説明

微小昇降積載台を具えたドーリと立体収納棚

【目的】倉庫の荷役操作を簡易化し、高齢就労を助け、又、IT自動化し運営を合理化する搬送・移載、収納機器を提供する。
【構成】断面形状コ字型長尺部材2本を荷幅で対向し奥方向へ水平、平行に柱、梁で支持し、荷高さ間隔で上下複数段に、左右複数列に設け、立体収納棚4を構成する。微小昇降積載台を具えたドーリ3がコ字型部材下段面のレール2を走行し、上段面の収納台1に積付ける。ドーリは積載部と機械部6に分割し、駆動輪16と荷重支持輪20を分け、ラック内ドーリレール2と搬送車上のドーリレールを往来し、搬送車は収納棚と荷渡しステーション間を往復する。搬送車は搭乗席、モニターを設け、中央より指令を受け簡易な操作をする。又は指令情報処理器を搭載し、自動化する。ドーリ積載部は直動カムで微小昇降し、チルト機能を付す。収納台1は切欠を設け軽量化し、個別番地で荷扱を電子情報処理化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は寄託荷物を保管する営業倉庫、製造業の原材料、製品を収納する工場倉庫、流通配送センターの倉庫、その他の倉庫、保管場所で、陸・海運、空輸等により到着した荷物を収納・保管場所まで運搬し、また、出庫、発送する荷物を収納・保管場所から上記の運送機関まで荷降し、運搬する倉庫設備の構内搬送移載装置、及び収納棚設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
荷物を収容し、保管する倉庫、保管場所で、輸送機関によって到着した荷物を収納・保管場所まで運搬し、積み付け、また、出庫、発送するため、荷降ろしし、輸送機関まで運搬する機器は、運転者が搭乗して搬送車の操縦と積降しを主に手動操作で行う床盤積み付け用のフォークリフトと、昇降する荷台に移載手段を具えた搬送装置で、主に自動的に立体棚へ収納するスタッカークレーンにほぼ2大別される。夫々長所、短所を有するが、共に多岐にわたる用途と規模で物品流通に貢献している。
【0003】
フォークリフトは操縦により自在に走行する運搬車体に設けるマスト、リフトブラケット、油圧装置等によって積載台であるフォークを昇降し、マスト、リフトブラケット全体を前後に繰り出し、引き込んで、荷物の搬送、積降しを搭乗者が操作し行う形式が主流である。近年、経済規模、産業構造が拡大し、グローバル化する中で物資の流通が大量化し、倉庫運営の荷扱いは小口化、多ロッド化が進み、煩雑な先入れ先出しが求めらていて、高齢者や女子の従業は過酷になる一方である。
社会人口は高齢化、少子化が進んで総人口に対する労働力率の低下が危惧されている中で、企業は経営効率化を進め、コスト削減を求めて海外進出を図っている。そのため、高齢者の職域は狭められていて、倉庫運営においても高齢者、女子労働者に簡便で取扱い容易な装置の提供が求められている。かかる情勢の中で倉庫の搬送移載装置としてのフォークリフトにも多くの短所、欠点が現れて来た。
(1)フォークリフトは如何なる場合も1台に1人必ず運転者を要する。前方視界悪く、狭い通路を走って、床盤へ段積みを行うため、その操作・操縦が難しく、更に、多くの場合、扱い荷物の品名、ロッド、数量、積置き場所等の積荷管理を併せて行うため、体力、頭脳とも苛酷労働である。
(2)大量運送などで、仮積みをして後から整理、荷繰りすることが多く、不必要な走行が行われ省エネルギー上無視できない。
(3)床盤段積み収納であるため荷崩れしやすく、特に地震災害に危険が大きい。
(4)通路を直進して積荷場所へ直角に変進するため、フォークリフト自身の最小旋回半径(r)44と積載したパレットロード等23の先端までの旋回半径(R)45の和(r+R)が直角積付け通路幅46となるので、車幅よりかなり広い通路を要し実質倉庫スペースに無駄がある。
(5)パレットへ積み付けた荷姿が不揃いのことが多く、段積み数も一定しないため、電子情報処理機器による積荷管理が直接には困難である。
【0004】
スタッカークレーンでは電子情報処理機器により入出庫が自動化され、在庫品の管理も電子情報処理化されるが、荷物収容量に対する設備費が大で小規模倉庫では適さない欠点がある。従来の立体ラックビルでは収納棚が左右、上下並びの2次元立体棚がほぼ全部であり、立地面積当りの荷物収容量を上げるため、更に奥方向へ並べて3次元立体収納棚を設け、ホイスト、コンベヤーによる移載、立体棚中にドーリが走り入って移載を行うなどの試みがあるが、的確で低コストな移載方法が見当たらない。
【0005】
【特許文献1】 特許3096509号公報
【特許文献2】 特許3356418号公報
【特許文献3】 特開平06−156994号公報
【特許文献4】 特許3523715号公報
【特許文献5】 特許3729316号公報
【特許文献6】 特許3757460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
社会人口の少子化、高齢化が進む中で、経済規模は拡大、産業構造はグローバル化して、企業の経営効率化が厳しく求められ、コスト低減のため生産拠点の海外進出が盛んに行なわれ、中高齢者の職域は狭められている。社会保障の国民負担率は年々増大し、年金受給年齢の引き上げも避けられなく、高齢者就業率の向上のためにも、高齢者や女子が簡易に取り扱える装置の出現が待たれる。少子、高齢化社会では、活力ある経済を持続し、民生水準を維持するためには、総人口に対する労働力率の低下を補う、あらゆる分野での労働力効率化、プロセスイノベーション型技術革新の進展が求められ、倉庫荷扱いの機器・装置でも電子情報処理機器を活用した、取り扱い簡便、確実な機器・設備が必要とされている。人口が都市に集中し、物資流通が都市へ集まる傾向があり、住居、インフラ用地が不足する中で、倉庫、保管場所でも建物容積収容率を更に向上させることが必要で、かつ、地震災害の避けられない我が国では、防災上、流通資産保全上、荷崩れの防止が重要視される。フォークリフト荷役における、運送荷物の大量到着故の、仮置き、荷繰り、整理等の省エネルギー上の無駄を省き、番地付けされた所定の場所に1行程で積み付けてしまう装置と管理法が求められている。
【0007】
既に述べたように、現在、倉庫、保管場所において荷物の積降し、搬送を行う機器装置として主流をなすフォークリフトとスタッカークレーンには経済、社会の変化とニーズに適応しない短所・欠点も数多く見られるようになっている。これらの改善すべき点を以下、具体的に述べる。
(1)フォークリフトは搬送車の操縦と積降し操作を運転者が搭乗して行うが、その操作、操縦は難しく運転者の反射神経と体力が要求される。これに代わり、立体収納棚の前方を左右に進退走行する搬送車に搭乗する中高齢者や女子の操作者が電子情報処理機器の助けを借り簡単な操作で、搬送車とそれに付属載置される荷物積載ドーリの走行、停止、位置決め、荷物の積降しを行えるようにすること、または電子情報処理制御器を搭載して無人、自動化を達成できる機器、装置を提供すること。
(2)フォークリフトで専任操縦者が従事して、入出庫のタイムラグを解消するために行う無駄な荷繰り、整理を無くし、1行程のみで入出庫を完結し省エネルギーを図ると共に、番地付けされた荷物収納棚と荷物情報記号を対比、検索することで、入出庫をスムーズに行えるようにすること。
(3)フォークリフトによる床盤上直接段積みに代え、3次元の立体収納棚へパレットロード等23を収納棚1単位に1荷物として収納保管し、4周を積荷相互、または支柱、梁で抑えて荷崩れや地震の揺れによる倒壊を防止すること。
(4)搬送車荷台を正面、左90°、右90°の3方向へ水平回動して、搬送車出退方向の左右両側に設ける3次元の立体収納棚に移載を行い、フォークリフトにおける直角積み付け通路幅の無駄を省いて、倉庫容積当り荷物収容率の向上を図ること。
(5)3次元立体的に設けた収納棚の1カプセルを1パレットロード等を収納する1収納台とすることで、その夫々に固有の番地を付け、パレットロード等にはICタグ、磁気カード等でパレットNo.、荷物情報を付し、互いに対応せしめて、入出庫管理、在庫管理、顧客管理などを荷扱い動作と同時に、電子情報処理器で行うことを可能にすること。
(6)スタッカークレーンにおいて、大部分を占めるスタッカークレーンの左右、上下並びの2次元立体収納棚を更に奥方へ数列までの3次元立体棚とし、それへ移載可能にして、荷物収容量対比で、搬送機械設備費を低減できるようにする。
(7)小規模な倉庫・保管場所であっても、荷物取扱いの自動化を低コストで達成し、既に稼動中の各階に床盤を有し、フォークリフトで段積みしている倉庫・保管場所を改装して、荷物取扱いを簡易な操作で行い得、または自動化できるような搬送移載装置を提供すること。
【0008】
倉庫、保管場所の操業工程は荷受、仕分け、記録、構内搬送、入庫積付け、保管、出庫、搬送、記録照合、発送等よりなり、この順で行われる。上記に述べた従来技術の課題点はこれらの内、入庫積付け、保管、出庫を担当するフォークリフトと積置場所設備を改善することで大部分が解決される。これ以外の工程、周辺搬送機器等は既に自動化、電子情報処理化が十分に行われている。
直交するX,Y,Zの3軸で表される整然とした3次元の立体収納棚へ荷物を収納する搬送、移載装置として、立体棚中に走り入って、積み降ろしを行うドーリを採用するのが最も普通に考えられるところだが、そこではドーリの積載台の昇降装置を簡易なものとすること、ドーリ走行レールと荷物収納棚が簡潔にまとまり、ラック全体が軽量に構成されること、ドーリの走行が確実で、停止場所の位置決めが正確に行えること、駆動電源、制御電流が簡単に継電できることなどが必須要件となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の微小昇降積載台を具えたドーリ3(以下、本ドーリということがある)と3次元立体収納棚4(以下、本ラックということがある)では、フォークリフトの荷台であるフォークの昇降、繰出し、引込み、および、フォークリフト自身の走行によって行う倉庫内外の搬送、積降しに代えてドーリ載置搬送車49の昇降し、水平回動する収容台50上に設けた収容台ドーリレール52に載置した本ドーリの微小昇降する積載台に荷物を積んで、断面形状コ字型部材の上段をパレットロード等収納台1とし、下段をラック内ドーリレール2として支柱で組み立てた3次元立体収納棚4の該ラック内ドーリレールと荷渡しステーション40に設ける同じ構造に2段一体的に造る、上段、パレットロード等置台38と下段、荷渡しステーションドーリレール37の下段のドーリレールの間を自在に走行、移動させ、前記パレットロード等収納台に荷物を積降しし、収納保管するものである。立体収納棚を同様に構成すれば、スタッカークレーンの昇降搬送台に水平回動する般送台ドーリレールを設けて、本ドーリを載置させ、その微小昇降する積載台に荷物を積み、3次元立体ラックのラック内ドーリレール2上を走行せしめて、パレットロード等収納台1に収納することができる。
【0010】
倉庫、保管場所における荷物取扱は運送機関からの荷受に始まり、庫内収納保管を経て発送までの間に、多岐にわたる作業と工程がある。本発明の微小昇降積載台を具えたドーリ3と3次元立体収納棚4はそれらの内の一部を担当するものであるが、これを運用するには他の工程との連携が欠かせず、それら工程も本ドーリと本ラックを運用するためには特異な構造の機器、設備が必要な過程があり、不可欠であるのでその概要は後述する。
【0011】
本発明の微小昇降積載台を具えたドーリ3はドーリ載置搬送車49荷台上の収容台ドーリレール52上に載置付属して、荷渡しステーションドーリレール37と収容台ドーリレール52とラック内ドーリレール2を順次走行して、荷物を搬送し、3次元立体収納棚4のパレットロード等収納台1へ収納する自走車であって、パレットロード等1個を運ぶため積載能力は1〜1.8トン程度である。
ラック内ドーリレール、収容台ドーリレール、荷渡しステーションドーリレールを構成する断面形状コ字型部材の下段の上面を転動する、ソリッドゴムタイヤ車輪4個(又はそれ以上)をドーリ積載部車体5とドーリ機械部車体6の共通車台の前、後方部へ夫々固設した車軸へ軸止して、ドーリ車体重量と積載重量を支える荷重支持車輪20とする。
3次元立体収納棚中を荷物を積載して走行するドーリが荷物を積降しする如何なる場合でも、収納した荷物の前方は常に空域30になっている特長に着目して、微小昇降積載台を具えたドーリ3はドーリ積載部車体の後方部へ、その積降しする棚の直ぐ上段の荷物の底部に接触しない限りにおいて、高さに制限がないドーリ機械部車体6を設け、ここに車軸装置、微小昇降装置の油圧シリンダー9、直動カム8等を除く制御装置、動力・駆動装置、発停制動装置、油圧ポンプ等の必要機器類のすべてを集中的に収めるのが特徴である。駆動装置車軸はこれへ設置し、この軸に車体の左右両側へ駆動輪として駆動ピニオン16または、駆動スプロケットを設ける。その車径がラック内ドーリレール2とパレットロード等収納台1との間隔を超えても支障がないよう隙間22を形成するように内側方向へ逃がす。このことは本ラックに於いて本ドーリを適用するすべての場合に支障なく駆動ピニオンが回転動作する保障となる。微小昇降積載台を具えたドーリ3が空荷の場合などで、荷重支持車輪の動作や駆動ピニオンのピニオンラックとの噛合いに不具合がある時は、本ドーリの車台に固設するブラケットへばね力で付勢する車軸を設け、これに軸止して転動する小径4輪をパレットロード等収納台1下側面に延伸して設けるレールに接して転動せしめ、本ドーリの浮き上がり等を防止する。
微小昇降積載台を具えたドーリ3の微小昇降積載台7はパレットロード等載置部24とその後方端部へそれに直角に立設したバックレストフレーム25から成り、該バックレストフレームの上端はドーリ機械部車体6の上部に固設したブラケット26に軸止され、微小昇降積載台の昇降、及びバックレストフレームの後傾の支点27となる。
微小昇降積載台にはパレットロード等載置部24の前方部分下面に取付ける微小昇降スプリング緩衝ローラー28がある。一方、ドーリの積載部車体5の車幅方向中央に、又は中央線に対称にピストンロッドを前方にして、車体と平行に油圧シリンダー9を横臥して設ける。ピストンロッド先端には前記ドーリの積載部車体に固設した直動カムスライドレール29上をピストンロッドの前後進退に伴って前後スライドする微小昇降装置直動カム8を設け、このカムの動作により前記微小昇降スプリング緩衝ローラー28が上下動作し、バックレストフレームの上端がドーリ機械部車体の頂部へ軸止されることの作用で、本ドーリの微小昇降積載台は前方部が高く、後方部がそれよりやや低く微小上昇67し、また、水平になるように下降68する。
【0012】
ここで、前記パレットロード等載置部24下面に取り付けた微小昇降スプリング緩衝ローラー28に当接する微小昇降装置直動カム8を該カムに設けた雌ねじ10に噛合う雄ねじスクリューロッド11をドーリの積載部車体5に車体に平行して横臥して設け、駆動体で左右回転させて、前後進退させる方式とした実施態様がある。
【0013】
また、ドーリの積載部車体5の前方部へ行程の短い竪置油圧シリンダー12を立設し、そのピストンロッド先端に軸止するローラーをパレットロード等載置部24下面の前方部に当接し、ピストンロッドの上下出退動作とバックレストフレーム上端がドーリ機械部車体上部固設のブラケットに軸止した支点27の作用で、微小昇降積載台7を前方部をやや高く、後方部をそれより低く上昇させ、水平に下降するよう構成する実施態様がある。
【0014】
ドーリの積載部車体5に立設する短い行程の竪置油圧シリンダー12を該積載部車体の対比前方部と後方部へ夫々に設けて、前方部のものはピストン行程をやや長く、後方部のものはピストン行程をそれより短く動作させて、パレットロード等載置部24とバックレストフレーム25の後傾上昇、水平下降を行なうと共にバックレストフレーム頂部をドーリ機械部車体の上部フレームに固設したブラケット26へ軸止せず、微小昇降積載台の昇降、後傾を自在に変えて、隙間A、隙間Bをやや大きく出来るように構成した微小昇降積載台を適用する実施態様がある。
【0015】
微小昇降積載台を具えたドーリ3の駆動用、制御用などの電源は断面形状コ字型のパレット等収納台とラック内ドーリレールの縦構造部分内側面34等に設ける架線からドーリ車体側に取付けるパンタグラフ、継電ホィール等で取り込み、ドーリ載置搬送車49から、収容台ドーリレール52が回動してラック内ドーリレール2に連結する51時点で接点ONとなる継電装置で送る。ドーリ機械部車体内に設ける巻込みドラムに巻かれて伸縮する電線で送ることも実状によっては使われる。制御信号はドーリ載置搬送車より無線発信される信号を受ける装置をドーリ機械部に設けて行なうのもよいし、予め、搭載シーケンサーに搭乗操作者が操作して入力記憶させる方法もある。
【0016】
本発明における3次元立体収納棚4は断面形状コ字型の鋼材、合成樹脂等の長尺部材、又は断面形状コ字型に形成した部材をもって、上下一体的に造る上段、パレットロード等収納台1と下段、ラック内ドーリレール2、及び支柱14、梁15によって構成される。上部平面、縦部立面、下部平面より成る断面形状コ字型長尺部材2本を面のない開放部が相互に向い合うように略パレット幅間隔で水平・平行に並べて奥方へ、また収納するパレットのもう一方の幅(奥行長さ)と収納の奥方並べ数で決まる所定の長さに設けるように、鋼材等の支柱と梁で組み立て、これを段棚の1段目として、更に上方へ高さほぼパレットロード等の高さよりやや高い間隔で、少なくとも2段以上に支柱14と梁15で組み立てる。左右方向にはこの段棚に隣接背向するように順次、少なくとも数列以上に設けていって、3次元の立体棚を構成するものである。
断面形状コ字型部材の下段ラック内ドーリレールの上面は微小昇降積載台を具えたドーリ3の車台に設けた、該ドーリの車重と積載するパレットロード等の重量を支持して走行するための4輪(又はそれ以上)の小径ソリッドタイヤ20の走行レール21となる。断面形状コ字型の下段、ラック内ドーリレール2の対向する1組2本の夫々内側端に微小昇降積載台を具えたドーリの機械部に設けるドーリ駆動用ピニオン16又はスプロケットが噛合うピニオンラック、ピン・ラック17、等を経年劣化時に交換できるように取付ける。
断面形状コ字型部材の上段パレットロード等収納台1を所定のパレット等収納場所におけるパレット等の前方部底面及びパレット等の後方部底面のみを支持するよう、その前、後部の中間部分を適宜に切り欠いて、断面形状コ字型部材の全体重量を軽減する構造とし、切欠き36から残ったパレット支持部は部材の耐荷重性能を増大するため、その基部即ちコ字状上段平面とコ字状縦構造部34の直角交差部を長く、先端部を短く梯形状35に構成することを特徴とする。なお、ここでパレット支持部35、切欠部36の梯形の形状は構成部材の強度、収納荷物の重量等によって適宜に決める必要がある。
本ドーリと本ラックを運用するに当っては、従来のフォーク差込孔を有する木製パレットでは厚みがあるため、本発明の目的達成にはそぐわない。合成樹脂素材に鋼材補強を施した平板パレット等を専用するか、ソーティング・ボックス(小型コンテナー)などの使用を考える。
【0017】
倉庫・保管場所における荷物取扱は運送機関からの荷受に始まり、庫内保管を経て発送までの間に多岐に亘る作業と工程がある。本発明の微小昇降積載台を具えたドーリ3と3次元立体収納棚4はそれらの一部を担当するものであるが、それを運用するには他工程との連携が欠かせず、発明の目的を達するにはそれら工程も特異な構造の装置・設備が必要な過程もあるので、それらの概要に付き説明する。
【0018】
(1)中央コクダクター
荷受、発送を担当するプラットホームでは実物の荷物処理作業を行なう傍らに、電子情報処理器を主として構成される中央コンダクター70を設ける。品名、数量、荷主、入庫日時、出庫予定日時等を電子情報処理器の入庫ファイルに記録し、予め、各パレット個別に付されたパレットNo.に対応して上記、各荷物情報等を記録する在庫品ファイルも入力される。磁気カード、ICチップ等をパレットロード等の所定位置に取付けると共に、在庫品ファイルの必要項目と庫内収納棚ファイル、在庫品ファイルを照合して決める入庫場所収納棚の番地をも、その磁気カード等に入力する。或は荷渡しステーション枠台40の所定位置に設けた指令受発信装置41にパレットNo.或はパレットロード等No.、入庫場所収納棚番地等のデータを送信する。
パレタイズ処理、ファイルへ書き込み、データ送信が終わったパレットロード等はコンベヤー、リフト、垂直搬送機等よりなる自動化された構内搬送設備によって荷渡しステーション40へ送られる。
【0019】
(2)荷渡しステーション
構内搬送設備の最終端(出庫工程では最先端)に位置するのは油圧リフト64上に設ける正逆回転するローラーコンベヤー39である。これは倉庫内3次元立体収納棚を構成するパレットロード等収納台1及び、ラック内ドーリレール2と同一の構造をもつ、上下2段一体的に造られたパレットロード等置台38と荷渡しステーションドーリレール37を支柱と枠で支持、構成する荷渡しステーション枠台40の内側に設置される。前記正逆回転するローラーコンベヤーと前記荷渡しステーション枠台はパレットロード等1個づつを扱い、それだけの大きさと強度をもつ。荷渡しステーション枠台手前(出庫時では枠台以後)の搬送ローラーコンベヤーとは別個に動作制御され、手前のコンベヤー上のパレットロード等は前記正逆回転するローラーコンベヤー上にパレットロード等が存在する間は直前の位置で停止し、留められる(入庫工程時)。
正逆回転するローラーコンベヤー39は前記油圧リフトの昇の位置42でパレットロード等を直前の部分から受入れ、所定の位置で停止し、前記油圧リフトはローラーコンベヤーと共に降の位置43まで下がる。パレットロード等はその底部両端がパレットロード等置台38に乗り、そこに置かれるように制御を構成する。一方、庫内立体棚の前方をその左右方向へ進退走行する、昇降、水平回動する荷台上に収容台ドーリレール52を設け、それへ微小昇降積載台を具えたドーリ2を載置するドーリ載置搬送車49が、本ラックのパレットロード等収納台1へパレットロード等を降ろし空荷となった本ドーリを収容台へ載置して、荷渡しステーション前方へ戻り、正確に位置決めして停止する。収容台ドーリレールの高さを荷渡しステーションドーリレール37に合わせた後、収容台が90°回転して収容台ドーリレール52と荷渡しステーションドーリレール37は連結接続され、本ドーリは荷渡しステーションのパレットロード等置台38に置かれたパレットロード等の下に微小昇降積載台7を降にして走り入る。パレットロード等の真下に停止し、微小昇降積載台を昇にしてパレットロード等23を持ち上げ、パレットロード等底下面とパレット等置台の間に隙間Aを形成し、ドーリ載置搬送車の収容台へ走り戻るよう操作し、或いは制御が構成されている。出庫工程はこれと逆となり、それに合った操作、制御を行う。
【0020】
(3)ドーリ載置搬送車
倉庫内3次元立体収納棚4の前方に左右方向に設けられた溝型直進方式のドーリ載置搬送車レール58上を進退走行する、荷台上に、昇降し、正面、左右90°方向に水平回動するドーリ収容台50を設け、更にその上に収容台ドーリレール52をもって、それへ本ドーリを載置し荷渡しステーションと本ラックの荷物収納場所の間を搬送する搬送車であって、運転操作者の搭乗席53と指令表示モニター54、運転操作装置55をもつ場合と運転操作を無人自動で行う電子情報処理制御器56を車載する場合の2方式がある。
車体のバランス形式はリーチ式フォークリフトと同じく、荷台の位置の前方と後方に車輪を持ち、カウンタウエイトを設けないものが適する。溝型の直進レール58上を進退走行するから、ソリッドゴムタイヤ車輪を用いる。荷台の昇降形式はインナーマストに取り付けたリフトブラケットに荷台を設けて、昇降レールのアウターマスト57内を油圧力とリフトチェーンで昇降させるフォークリフトで一般に使われる方式を基本型に考えるが、これは実状により種々の方式が採用できる。ドーリ収容台50は搬送車正面、左右90°の3方向で停止する回動盤装置である。その上に設けられる収容台ドーリレール52は3次元立体収納棚を構成するラック内ドーリレール2と同じ構造で本ドーリを走行させ、載置する。走り入り載置された本ドーリが所定の位置で収容台に固定係止される装置を設けることが重要である。駆動、昇降、回動、油圧装置、操縦、操作装置等の電源は搬送車レールに取り付ける電源線より取り入れる。直進走行であるからステアリング装置は通常では要しない。荷台のリーチ機構もない。フォークリフト等でみられる荷台のチルト機能もバックレストも、載置するドーリの微小昇降積載台のチルト機能、バックレスト25で行うため、原則、装置要しない。荷渡しステーション40において入庫すべきパレットロード等を受け取る時点で、パレットロード等を入庫すべき立体収納棚番地、パレットNo.等の指令データを荷渡しステーションに設けられた指令受発信装置41から読み取る、読取装置60を適宜の位置に設ける。読み取った指令データを実行するため、運転操作者に知らしめる指令表示モニター54をもち、或は無人で制御されるべく電子情報処理制御器56を搭載する。
微小昇降積載台を具えたドーリと3次元立体収納棚及びドーリ載置搬送車を低温冷蔵倉庫に適用する場合は、モニター、操作機器を含めて搭乗者席を常温に保つ設備を設け、これは低温下の労働条件改善にも資する。結露防止のため荷渡しステーションを予冷室に設けるなど配慮する。
【0021】
本発明の微小昇降積載台を具えたドーリと3次元立体収納棚は倉庫、保管場所において荷物を受領入庫し、収納保管し、後に出庫発送する全行程の内、各階の収納保管室の前室から収納保管室内へ搬送し、移載し、積み付ける入庫工程、保管工程、再び室外へ運び出す出庫工程のみを担当する。この間の各装置、機器の作用を次の3工程に分けて説明する。
【0022】
(1)入庫工程
自動構内搬送装置の終端ローラーコンベヤー65に来たパレットロード等は、荷渡しステーション昇降ローラーコンベヤーの昇の位置42で、ローラー回転により荷渡しステーション枠台40の所定位置に運ばれ、昇降ローラーコンベヤーは停止し、その降の位置43まで下がることによって、荷渡しステーション枠台のパレットロード等置台38へ載せられる。空荷の本ドーリ3を収容台ドーリレール52に載置したドーリ載置搬送車49が荷渡しステーション枠台の前方で停止し、ドーリ載置搬送車搭乗の操縦者の操作で、ドーリ載置搬送車の収容台が荷渡しステーション枠台40の高さに合わせて昇降停止し、収容台ドーリレール52が正面向きから90°回動し、荷渡しステーションドーリレール37と連結されて、パレットロード等置台38に載置されたパレットロード等の真下に、本ドーリがその微小昇降積載台を降の位置68にして走り入る。パレットロード等の真下の所定位置に停止され、微小昇降積載台が昇の位置67にされるとパレットロード等を持ち上げそのパレットロード等載置部24に載せる。パレット等底面とパレットロード等置台の上面に隙間A、31を生じて微小昇降積載台を具えたドーリ3は自在に走行できる。この時、ドーリ載置搬送車は荷渡しステーション枠台に備えられた指令受送信装置41からパレットNO.、収納棚番地などのデータを読み取り、または、パレットロード等の所定位置に取り付けられた磁気カード、ICチップ等から読み取って、該ドーリ載置搬送車に備えた電子情報処理器に記憶する。また、搭乗操作者が読み取れるようモニター表示され、パレットロード等を積載した本ドーリが連結されたドーリレールを渡って、収容台ドーリレールの所定位置に達し、本ドーリは走行時荷崩れ防止機能を保つよう微小昇降積載台を昇の位置のまま、ドーリ収容台に設けたドーリ固定装置によって、固定される。収容台ドーリレールが90°回転し、ドーリ載置搬送車と同方向に向く。
ドーリ載置搬送車49が発進し、倉庫の自動開閉扉をへて、溝型ドーリ載置搬送車レール58上を倉庫内へ走行し、指定された番地の棚の前方で、正確に位置決めされて停止する。ドーリ載置搬送車の収容台が所定段棚の高さへ昇降し、所定収納棚の方向に90°回動し、収容台ドーリレール52が3次元立体収納棚のラック内ドーリレール2と連結される。操作者が微調整して確実に連結する。ここで、高さ方向の調整は収納棚高さが決められているため、収容台の昇降機停止位置を事前に調整・固定しておくことが勧められる。収容台上の微小昇降積載台を具えたドーリ3はドーリ固定装置が解除され、パレットロード等を積載のまま本ラック内に進入し、指定された番地の棚に到って停止する。走行中の本ドーリの位置を検知し、モニター表示して、操作者が制動・停止を行なうのは、駆動用ピニオン、スプロケットの回転数検出、通過歯数検知等で容易に出来る。
微小昇降積載台を具えたドーリが指定番地の位置で停止後、その微小昇降積載台を降の位置68に下げる。パレット等底下面とパレットロード等収納台1の上面の間の隙間A、31はなくなり、パレットロード等は該収納台に置かれる。更にパレット下面と微小昇降積載台上面の間に一定の隙間B、32が生じるまで積載台を降下し、荷を降ろした本ドーリは走行自由となり、操作によりドーリ載置搬送車の収容台50まで戻される。ドーリ収容台が90°回動し、ドーリ載置搬送車と同方向に本ドーリ3が向いて、ドーリ固定装置で固定され、ドーリ載置搬送車は収容台を所定高さに下げ、倉庫外へ走り出る。
【0023】
(2)出庫工程
微小昇降積載台を具えたドーリが空積載で、ドーリ載置搬送車に載置されて、荷渡しステーションの前方へ停止し、荷渡しステーションに設けられた指令受発信装置41から、ドーリ載置搬送車のデータ読取装置に出庫すべきパレットロード等の収納棚番地、パレットNO.等の指図データを読み取り、モニター表示し、搭乗者がそれに従って操作を行なう場合も、搬送車内に具える電子情報処理制御器で、ドーリ載置搬送車と微小昇降積載台を具えたドーリの運行、動作を制御シーケンス化し、自動で出庫作業を行う場合も、これは前記(1)入庫工程の逆工程を行うもので、正逆の同作用であるため記述を省略する。
【0024】
(3)先入れ先出し工程
構内自動搬送装置を含めての工程が複雑化し、非効率になるような場合は入庫用荷渡しステーションと出庫用荷渡しステーションを夫々別に、並設して行うことも考え、この場合、先入れ先出し工程、荷繰り工程においも効果的に利用できる。また、別に先入れ先出し用牽引棚車72を作り、本ラックの最右端(倉庫の最奥部)に通常は留め置いて、先入れ先出し、荷繰り工程の必要な時にドーリ載置搬送車に連結73、牽引して来、該牽引棚車の段棚にパレットロード等を仮置きする。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、以上説明したように構成されているため、以下に記述するような効果を奏する。
(1)本ドーリは油圧ピストン、直動カムで微小昇降積載台を作動させるため、荷台昇降機構が簡略で低コストである。微小昇降積載台の昇で荷を積載し、積載時走行を行い、微小昇降積載台の降で荷を下ろし、空荷時走行をする構造であり、同時に行うバックレスト機能と併せ搬送ドーリの走行、荷物の積降ろしが安定すると共に昇降動力に無駄がない。
(2)搬送ドーリの走行路のラック内ドーリレール2とパレットロード等収納台1を2段一体的に構成し、更に駆動輪のピニオン、スプロケットと荷重支持車輪のソリッドゴム4輪を分離して設けたので、ドーリ走行用レールとパレットロード等収容台の間隔を狭められ、倉庫容積積荷効率を良好に出来た上、搬送ドーリの走行安定が増し、正確な運行が図れた。
(3)パレットロード等収容台を梯形切欠き部を設けて構成したので、収容棚ラックの全体重量を軽減できる。
(4)微小昇降積載台を具えたドーリをドーリ載置搬送車49に付属させ、収容台ドーリレール52を90°回動することで、ドーリ走行用のラック内ドーリレールと収容台ドーリレールを連結して、その上を移動する構造としたため、フォークリフトにおける直角回転半径を要せず、通路幅を狭くできて、倉庫面積積荷効率を大幅に改善出来た。
(5)ラック収納棚を三次元立体構造にできて、容積積荷効率が良く、X,Y,Z軸に相当する確実な番地付けにより諸機器の運行制御が容易になり、倉庫内積荷管理を電子情報処理器でファイル化するのに都合が良い。
(6)中央コンダクターでパレタイズする時点で、入庫品ファイル、在庫品ファイル等に記入すると同時に各階保管室前に備えられる荷渡しステーションの指令受発信装置に入出庫棚番地、パレットNO.等の指図データを送り、ドーリ載置搬送車は荷渡しを行うと同時にそれらを読み取り、ドーリ載置搬送車、微小昇降積載台を具えたドーリの運行と荷積場所をモニター表示指示し、或いはシーケンス化する構成のため、搭乗操作者はフォークリフト操縦に比べ格段の簡易さで操作できる。既に収納した荷とのトラブルもなく、ステアリング操作もない。少子高齢化社会において中高齢者、女子でも従事でき、職域の確保と企業に対する労働力の供給に資することができる。
(7)荷物は床面段積みでなく1個のパレットロード等が夫々1個のカプセル状収納棚に収められるので、荷崩れ、転倒の恐れがなく安全操業を達成できると共に、万一の地震時に荷崩れを生じず、防災上及び流通資産の保全上の効果が大きい。
(8)中央コンダクターで発した指令に基づいて1工程で荷物を所定収納棚へ入れ出しするため、無駄な荷繰り、荷整理が行われず搬送車走行の省エネができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施の形態を図1〜8に基づいて説明する。
【0027】
倉庫・保管場所の搬送、移載装置としてのフォークリフト、スタッカークレーンにおける不備を改めて、少子高齢化社会に適した搬送・移載装置とそれを運用するための立体収納棚を提供するもので、図においては、1はパレットロード等収納台であり、2は微小昇降積載台を具えたドーリ3の走行用のラック内ドーリレールであり、断面形状コ字型長尺部材の上段上面と下段上面が夫々当てられている。これは支柱14と梁15で組立てて、3次元立体収納棚を構成しているから、立体棚、ドーリレールが簡潔に得られる。パレットロード等収納台は梯形切欠36を設けて設備全体を軽量化している。ラック内ドーリレールは微小昇降積載台を具えたドーリの駆動用ピニオン16の噛合いピニオンラック17をパレットロード等収納台の内側端より更に内側へ位置するよう設けて、駆動用ピニオンの車径に制限がないようにした。断面形状コ字型部材の下段上面は微小昇降積載台を具えたドーリの荷重支持車輪20の走行レールとし、駆動輪と荷重支持車輪を分割して、車径を小とし、断面形状コ字型部材の上、下段間隔を小さくして、立体棚の容積積荷率を向上させる。
【0028】
3は微小昇降積載台を具えたドーリであり、微小昇降積載台7はパレットロード等載置部24とそれに直角に立設するバックレストフレーム25から成る。バックレストフレームはドーリ機械部車体6の上部へ設けたドーリ機械部上部固設ブラケット26に軸止され、その軸止部は積載台の微小昇降動作、バックレスト機能の支点となる。
微小昇降積載台7はその下裏側に取付けたスプリング緩衝ローラー28を介して、油圧ピストンの動作で前後水平にスライドする直動カム8の作用によって、上下昇降する。直動カムをスライドさせる方式としてその微小昇降装置直動カム8内部に雌ねじ10を設け、これに嵌合して回転する雄ねじスクリューロッド11を駆動体で動作させて、直動カムを前後進退させるものがある。この場合は油圧ポンプ装置を微小昇降積載台を具えたドーリに設ける必要はなく、大幅に、その構造は簡略化され、全体重量を減じる利点がある。
【0029】
5は微小昇降積載台を具えたドーリ3の積載部車体であり、6はその機械部車体である。微小昇降積載台を具えたドーリの車体をこのように機能上、構造上2分割して構成することにより、ドーリ積載部車体には積載台の動作に必要な装置、車軸等のみを設け、機械部車体には、本発明の微小昇降積載台を具えたドーリと3次元立体収納棚を運用する如何なる場合にも、積荷の前方は常に空域30になっていて干渉しない特長を生かして、車高、車長を十分取れるので、駆動機器、油圧機器、制御機器等の多くの装置を設けることが出来、微小昇降積載台の昇降機能を損ねることなく、パレットロード等収納台1とラック内ドーリレール2の上下間隔を小さく出来、ラック全体の容積収容率を高める効果がある。
【0030】
31はパレットロード等下面とパレットロード等収納台1の隙間A、32はパレットロード等下面と微小昇降積載台面の隙間Bを示し、荷物を積載した本ドーリは、積載台の微小上昇で隙間31を生じ、パレットロード等収納台と接触することなく走行可能となり、空積載の本ドーリは積載台の微小下降で隙間32を生じ、パレットロード等下面と接触することなく走行可能となる。
本ドーリの微小昇降積載台は支点27と直動カム8の作用で、積載台が後傾して昇降し、荷物転倒防止する機能を持つ。フォークリフトのマスト傾斜角度の規定は後傾10度乃至12度であるが、本ドーリは常に平坦で仕上げのよいレール上を走行するのみであるから8乃至10度の後傾で十分であり、この角度では本ドーリの微小昇降積載台の昇降行程は積載台の最後端が最も小で、略10乃至12mmになる。このことは昇降動作が安定である反面、ラック内ドーリレール2、パレットロード等収納台1、荷渡しステーションドーリレール37、パレットロード等置台38、収容台ドーリレール52等の設置水平度、表面仕上度、対加重剛性安定度などに十分な配慮を要することを示している。特にラック内ドーリレール2、収容台ドーリレール52、荷渡しステーションドーリレール37の連結部は剛性があって細密でなければならない。使用するパレットも底面の仕上げが良く、たわみの生じないことが必須である。
【0031】
微小昇降積載台の昇降行程を余裕あるものにするためには、バックレストフレームの上部を本ドーリの機械部車体6の上部へ固設したブラケット26に軸止することなく、パレットロード等載置部24に直角立設するのみとし、ドーリ積載部車体5へパレットロード等載置部24の対比前方部の位置にやや行程の長いシリンダーを持ち、後方部の位置にそれより短いシリンダーを持つ竪置油圧シリンダー12を立設して、該シリンダーのピストン先端をパレットロード等載置部裏面に滑軸支し、微小昇降積載台7の昇降、後傾チルトを行なわせるドーリを採用することが薦められる。これにより荷物の実状、収納棚の設置、ドーリレールの構造、ドーリ載置搬送車の構造及びレールの状況等のあらゆる場面に対応する、本発明の実施の最良の形態となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】断面形状コ字型長尺部材で組立てた収納棚のラック内ドーリレールに走り入った微小昇降積載台を具えたドーリを示す平面図
【図2】微小昇降積載台を具えたドーリの駆動ピニオンとピニオンラックを示す立面図
【図3】積載台が昇の位置にある微小昇降積載台を具えたドーリの積載台微小昇降装置1の直動カムを示す立面図
【図4】積載台が降の位置にある微小昇降積載台を具えたドーリの積載台微小昇降装置1の直動カムを示す立面図
【図5】微小昇降装置2のスクリューロッドと雌ねじを設けた直動カムを示す立面図
【図6】微小昇降装置4の対比前方部と後方部の竪置油圧シリンダーを示す立面図
【図7】断面形状コ字型部材で構成するラック内ドーリレール、パレットロード等収納台と微小昇降積載台を具えたドーリを示す立面図
【図8】梯形状に構成されたパレットロード等収納台と微小昇降積載台を具えたドーリを示す平面図
【図9】フォークリフトとドーリ載置搬送車の通路幅の比較を示す平面図
【図10】中央コンダクター、荷渡しステーションとドーリ載置搬送車、本ドーリの相互動作および配置を示す平面図
【図11】荷渡しステーション枠台の昇降ローラーコンベヤーの昇の位置を示す立面図
【図12】荷渡しステーション枠台の昇降ローラーコンベヤーの降の位置を示す立面図
【図13】荷渡しステーション枠台の昇降ローラーコンベヤーの構造立面図
【図14】ドーリ載置搬送車の搭乗席と表示モニター、操作盤等を示す立面図
【図15】無人操作方式のドーリ載置搬送車を示す立面図
【図16】先入れ先出し、荷繰り工程用の牽引棚車を示す立面図
【符号の説明】
【0033】
1 パレットロード等収納台
2 ラック内ドーリレール
3 微小昇降積載台を具えたドーリ
4 3次元立体収納棚
5 ドーリの積載部車体
6 ドーリの機械部車体
7 微小昇降積載台
8 微小昇降装置直動カム
9 油圧シリンダー
10 雌ねじ
11 雄ねじスクリューロッド
12 竪置油圧シリンダー
13 ピストン
14 3次元立体収納棚の支柱
15 3次元立体収納棚の梁
16 駆動ピニオン
17 ピニオンラック、ピン・ラック、噛合い孔
18 原動機
19 減速装置
20 荷重支持車輪
21 荷重支持車輪のレール
22 パレットロード等収納台とスプロケットの隙間
23 パレットロード等
24 パレットロード等載置部
25 バックレストフレーム
26 ドーリ機械部上部固設ブラケット
27 微小昇降積載台の昇降、チルト機能の支点
28 スプリング緩衝ローラー
29 直動カムスライドレール
30 収納パレットロード等の前方部空域
31 パレット下面とパレットロード等収納台の隙間(A)
32 パレット下面と微小昇降積載台面の隙間(B)
33 収納台、ドーリレールを構成する断面形状コ字型部材の上面
34 収納台、ドーリレールを構成する断面形状コ字型部材の縦構造部
35 梯形状に成型されたパレットロード等収納台
36 パレットロード等収納台の梯形状切欠き部
37 荷渡しステーションドーリレール
38 パレットロード等置台
39 正逆回転するローラーコンベヤー
40 荷渡しステーション枠台
41 指令受発信装置
42 ローラーコンベヤーの昇位置
43 ローラーコンベヤーの降位置
44 フォークリフトの最小旋回半径(r)
45 パレットロード等先端までの旋回半径(R)
46 フォークリフトの直角積付け通路幅(r+R)
47 ドーリ載置搬送車の所要通路幅
48 ドーリ載置搬送車上の積載荷物の旋回半径
49 ドーリ載置搬送車
50 ドーリ載置搬送車の昇降、回動するドーリ収容台
51 ラック内ドーリレールと収容台ドーリレールの連結
52 収容台ドーリレール
53 運転・操作者の搭乗席
54 指令表示モニター装置
55 運転・操作装置
56 電子情報処理制御器
57 アウターマスト
58 ドーリ載置搬送車レール
59 車輪
60 読取装置
61 収容台昇降用ブラケット
62 駆動用回転ベルト
63 減速モーター
64 油圧式リフト
65 構内搬送装置終端のローラーコンベヤー
66 昇降装置油圧シリンダー
67 微小昇降積載台の昇位置
68 微小昇降積載台の降位置
69 軸受
70 中央コンダクター
71 構内搬送機器
72 先入れ先出し用牽引棚車
73 連結器
74 フォークリフトのフォーク
75 荷渡しステーション枠台の支柱
76 フォークリフト
77 プーリー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面形状コ字型の長尺部材2本を左右対向に、略、荷幅間隔で平行、水平に奥方へ長く、支柱、梁で支持して設け、これを上下方向に荷物高さの間隔で複数段に、左右方向に相接して複数列に設けて形成した3次元立体収納棚(ラック)がある。この前記断面形状コ字型長尺部材の下段上面をラック内ドーリレールとして走行し、上段上面を収納台として、荷を入庫、収納、出庫するドーリにおいて、
(1)ドーリ車台の前方部に荷を載置するドーリ積載部車体を設け、車台後方部にドーリの駆動装置、油圧装置、制御機器等を集中して具えるドーリ機械部車体(上段の荷に接触しない限度で車高を高くできる)を設け、前記ドーリ積載部車体には積載台、微小昇降装置直動カム、油圧シリンダー、等を設けるに止めて、該ドーリ積載部車体の厚さを小とし、前記断面形状コ字型部材の上段、下段の間隔を小となして、前記3次元立体収納棚の容積収納率を大とすることを図った構造。
(2)左右対向に設けたラック内ドーリレールの左右内側端に設けるピニオンラック又はピン・ラックに噛み合って前記ドーリの走行駆動をするピニオン又はスプロケットをその径が、前記収納台とラック内ドーリレールの上下間隔より、大きく構成できるよう、該ピニオンまたはスプロケットの外側面が該収納台の内側端より内側方向に逃げる隙間を形成して、ドーリ機械部車体の左右両側に同軸に、出力、制動装置と共に駆動輪として設け、別に前記ドーリ車台の前方部、後方部左右両側に設ける4個(又はそれ以上)の遊動輪で、ドーリ車重と積載物重量を支持して、前記断面形状コ字型部材の下段上面をレールとして走行するよう構成する。
(3)前記ドーリ積載部車体上に微小昇降積載台を設け、これはパレットロード等載置部とその後端部に直角に立設したバックレストフレームからなり、該バックレストフレームの頂部を前記ドーリ機械部車体の上部フレームに固設したブラケットに軸止せしめ、前記微小昇降積載台の昇降機能の支点とする。微小昇降積載台のパレットロード等載置部の下裏面に設けたスプリング緩衝ローラーに当接する微小昇降装置直動カムを微小昇降装置油圧シリンダー、油圧ポンプの作用で、前後に摺動させ、直動カムを前進して前記微小昇降積載台をその前方をやや高く、後方をそれより低く上昇させ、前記収納台上の荷を微小昇降積載台に載せ、荷のパレット等の下面と収納台の間に隙間A、を生ぜしめ、ドーリの走行を自在とする。また、直動カムを後退させ、微小昇降積載台を収納台面より低い位置で水平になるよう下降させて、荷を微小昇降積載台から収納台に降ろし載せ、荷のパレット等の下面と微小昇降積載台面の間に隙間B、を生じて空荷のドーリの走行を自在とする構成とする。微小昇降装置を昇位置にする行程で、前記昇降機能の支点はパレットロード等載置部とバックレストフレームを後傾させる作用があり、積載荷物に対しチルト機能をもつように構成されている。
以上、3の特徴を有する、ドーリ載置搬送車の収容台ドーリレールと3次元立体収納棚のランク内ドーリレール、荷渡しステーションドーリレール間を往来して搬送、移載を行う微小昇降積載台を具えたドーリ。(以下、本ドーリと言うことがある)
【請求項2】
前記パレットロード等載置部裏側に設けたスプリング緩衝ローラーに当接する微小昇降装置直動カムを該直動カムに設けた雌ねじに噛み合う雄ねじスクリューロッドを駆動体で回転させ、前後に進退させる方式によって、微小昇降積載台の微小昇降を行う構造とした請求項1記載の微小昇降積載台を具えたドーリ。
【請求項3】
ドーリ積載部車体の前方部に立設する短い行程の竪置油圧シリンダーのピストンの上下動作で、微小昇降積載台の前方部を微小上昇し、バックレストフレーム頂部支点の作用で後方部をそれより小に微小上昇させ、該前方部、後方部が水平になるよう下降させる構造とした請求項1記載の微小昇降積載台を具えたドーリ。
【請求項4】
ドーリ積載部車体に立設する短い行程の竪置油圧シリンダダーを該積載部車体の比較前方部及び後方部に夫々設け、前方部のそれはやや行程を長く、後方部のそれはそれより短く昇降せしめて、パレットロード等載置部とバックレストフレームの上昇と後傾を行ない、水平になるよう下降を行なう。一方でバックレストフレーム頂部をドーリ機械部車体の上部ブラケットに軸止せず、微小昇降積載台の昇降、後傾を自在に変え得て、前記隙間A、隙間Bをやや大きく出来るように構成したことを特徴とする請求項1記載の微小昇降積載台を具えたドーリ。
【請求項5】
断面形状コ字型の長尺部材(又はコ字型に形成した部材)の開放部分が相互に向き合うように2本を平行、水平に略パレット幅の間隔で奥方へ向けて、支柱、梁で組み立てる。これを上方へ略、荷の高さ間隔で、同様に複数段に設け、左右方向へこれらが相互背向して接するよう並べて、複数列に設けて、構成した3次元立体棚の、断面形状コ字型部材の下段上面をラック内ドーリレールとし、上段上面を収納台とする。上段の前記収納台を所定のパレット等収納場所において、パレットロード等の前方部および後方部底面のみを支持するよう、その前後部の中間部分は切欠とし、前記断面形状コ字型部材全体の重量を軽減する構成とし、収納台のパレット等支持部はその基端部即ちコ字型上段平面とコ字型縦構造部の直角交差部を長く、先端部を短く、梯形状に成型し、耐荷重性能増大を図る。下段の前記ラック内ドーリレールはコ字型部材下段平面部の、縦構造部と交差のない先端部に本ドーリ駆動輪のピニオン、スプロケットに噛合うピニオンラック又はピン・ラックを取替え可能に固設し、コ字型部材下段の上面は荷重支持車輪のレールとして構成し、組立てたことを特徴とする本ドーリを運用するための3次元立体収納棚のパレットロード等収納台とラック内ドーリレール、および該パレットロード等収納台、ラック内ドーリレールと同じ構造をもって、支柱と枠で単段、単列に構成した、荷渡しステーション枠台のドーリレールとパレットロード等置台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−266011(P2008−266011A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−134759(P2007−134759)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(393007204)
【Fターム(参考)】