微小機械素子
本発明は、微小機械ユニット、特に調節可能な光学フィルタ、およびまたそのユニットを製造する方法に関する。このユニットは、互いに少なくとも部分的に固定される第1の素子層と第2の基板層とを含み、素子層は、複数の可動でない固定反射素子の間に分割される複数の反射素子を含み、固定素子は基板に接続され、空洞が、基板と各々の可動素子との間に規定され、各々の可動素子は空洞内でスプリングにより負荷される動きを生じるように設置され、複数の誘電性スペーサブロックが、それらの間の電気接触を回避するために各々の可動素子と基板との間の空洞内に配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小機械素子、特に、調節可能な光学スペクトルフィルタおよびそれを製造する方法に関し、これは、従来技術に従って、特に反射器が回折効果または光偏向効果を有する場合、交互に可動および固定の光学マイクロ/反射器の列を用いて実現できる。
【背景技術】
【0002】
分光フィルタリングに使用される可動光学マイクロ反射器は、いくつかある中で特に特許文献1に記載されており、その文献は、回折部分素子(sub−element)と呼ばれている一連の可動回折マイクロ反射器を備えて構成され得る回折光学素子に関する。その反射器または部分素子(1、3、図0aおよび0bを参照のこと)は、変位よりかなり大きい横寸法を有し、矩形形状(図0a)または同心円部分(図0b)を有し得る。回折部分素子から反射される光は干渉するので、特定の分光組成の光を除去でき、その素子の位置を垂直または横方向に調節することによって、フィルタの特性を連続して変化させることができる。
【0003】
上述の構成可能な回折素子の特別な場合は列で構成されており、一つおきの反射器は同調して移動でき、他の反射器は固定したままであり、2つの異なる位置をとる。これにより、2つの状態:単一バンドパスフィルタおよび二重バンドパスフィルタの間を交互に変えることができる光学フィルタが得られ、バンドは、単一フィルタのそれら独自の側に存在する。このような交互フィルタは、特に分光および赤外線ガス測定における適用に非常に適している。微小電気機械光学システム(MOEMS)としてのフィルタの実用的な実施形態は特定の条件を満たさなければならない。可動反射器の位置は、光学面に対して垂直方向において4分の1波長の距離にわたって調節可能でなければならない。波長は赤外線領域に存在するので、変位は1マイクロメートルのオーダーである。反射器は同じ面に存在しなければならない。変位は同調し、特にキロヘルツ領域における周波数、およびコンポーネントの寿命内の10億または1兆サイクルで反復され得る。可動反射器の間に固定された反射器が形式上存在し、サイズは、可動反射器とほぼ同様である。反射器は、レリーフパターンが刻まれるように所定の回折特性であり、このパターンの深さは波長と同じ大きさのオーダーである。数平方メートルの全領域は、同調して動く反射器によって変換されるべきである。
【0004】
上記の交互フィルタについての光学的原理は従来技術とされており、固められた微小機械形状は、非特許文献1において以前に公開されている。図0cは、市販のシリコンウエハに基づいた従来技術に係る実施形態を示し、二酸化ケイ素の薄層と融合される基板および構造層を含む。回折光学面が構造層の上部に形成された後、それは、エッチング法を用いて2セットのビーム(1、3)に分けられる。その後、一つおきのビーム(3)が、選択された領域において酸化層をエッチングにより除去することにより移動可能に製造される。これは単純なプロセスであるが、3つの本質的な不利点を有する。第1に、穴が可動ビームにおいて製造されなければならないので、酸化層のエッチングに使用される気体または液体がその中に侵入できる。第2に、ビームが基板に入る場合、異なる電位を有する表面が接触し、表面の間を流れる電流は、電圧の大きな低下を引き起こし得るか、または結果としてビームがそれらの間の電流により表面と共に融合する。第3に、ビームと基板との間の接触領域は、大きくかつ予測不可能になり、制止摩擦力を引き起こし得るものが存在する。2つの表面の間の接着力が非常に大きくなる場合に静止摩擦力は生じるので、表面を引き離さないように作動する利用可能な力、および継続した望ましくない接着が生じる。この場合、作動される力はシリコンにおける弾性ブリッジに由来する。
【0005】
接着力を減少させ、静止摩擦力を回避するために、異なる種類の電気機械システムで使用されるいくつかの既知の方法が存在する。特に重要なものは、「ランディングパッド」、「ストップ」、「バンプ」または「ディンプル」とも称されるスペーサブロックの使用である。それらは、概して、2つの機能:ある動きに対するエンドストップとして正確な距離を規定すること、および大面積が接触しないことを確実にすることによって静止摩擦力を防止することを満たす。例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4を参照のこと。静止摩擦力を防止するための他の重要な技術は以下の通りである:
表面が異なる電位と接触することを回避すること、
誘電体の寄生帯電が起こることを回避すること、
表面を化学的または機械的に処理して、粗さを導入し、接触領域を減少させること、および
表面を化学的に処理して、それらの撥水特性を増加させること、
電気機械システムを密封して覆い、湿気を回避して、表面の撥水特性を問題なくすること。
【0006】
既存の解決索は、大体、個々の微小機械システムの特定の必要性に適合され、標準的な方法は存在しない。既存の解決索に関する一部の典型的な問題は以下の通りである。スペーサブロックを使用しなければならない場合、製造方法が非常に複雑になり得、スペーサブロックの形態は上に存在する光学面に影響を与えるようになる場合があり(特に堆積された構造層にいわゆるサーフィスマイクロマシニングを用いる場合)、化学的に処理された撥水面は時間とともに特性を変化させ得、表面粗さの可能な生成は、接触領域が少ない表面より、システムにおける他の重要表面に損傷を与えるようになる場合がある。
【0007】
非常に有益であるが、また非常に複雑でもあるMEMSの例は、Texas Instrumentsによって製造され、例えば特許文献5およびより具体的には静止摩擦力に関する問題について特許文献6に記載されている、DMDミラーマトリクスである。この製品の製造において、上記の多くの問題が使用されている。
【0008】
スペーサブロックを製造すること、および同時に、後で結合されるか、または積層される表面の粗さを回避することは、とりわけ、特許文献7において考慮されている。特許文献7に示されている方法にはいくつかの不都合な点が存在する。アンダーエッチングプロセスは制御することが難しく、それによって、反結合性ストップの最小の再生可能な横方向サイズに対して実用限界が存在する。また、反結合性ストップの表面は、比較的平坦であり、結合が防止される場合、不都合である。さらに、酸化プロセスは上面および空洞を変化させ、平面ミラーの代わりに回折面の使用を制限する。
【0009】
スペーサブロックを用いる多くの従来技術の例はいわゆる犠牲層を使用する。マイクロシステムの製造の間、犠牲層は可動マイクロ構造になるものの間にあり、それらを固定する。犠牲層は、多くの場合、二酸化ケイ素から製造されるが、異なる材料、例えばポリマーから製造されてもよい。犠牲層は、エッチングを用いてプロセシングの終わり頃に取り除かれる。酸化層の除去に関する課題は、エッチングプロセスを十分に選択性にし得ることであるので、犠牲層のみを除去し、他の材料は除去しない。エッチング液が使用されなければならない場合、さらなる2つの課題が生じる:液体を微小空洞内に浸透させること、およびエッチング後に空洞を乾燥させること。
【0010】
特許文献8は、静止摩擦力を防止するために、ディンプルが凹部の底部に含まれ得る、加速度計を提示している。しかしながら、それらのディンプルがどのように実現され得るかを明示していない。特に標準的なMEMS製造機器が使用される場合、大きなKOHまたはTMAHエッチング凹部の底面上に微細構造を製造することは非常に困難である。
【0011】
特許文献4は、構造層の下側にスペーサブロックを製造する、中程度に複雑な方法を提示している。このような層は、通常、シリコンからなり、MEMS技術において、それらは素子層と称される。前記特許文献の導入(2〜8)において、一般に、MEMS素子層の下側を処理して、それが基板と積層される前にスペーサブロックを形成できないことが主張されている。さらに、基板と素子層との間の犠牲層の使用と一緒に、素子層の上側から処理することによってスペーサブロックが形成され得る方法が述べられている(多くの場合に使用される方法)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2004/059365号パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第2001/0055831号明細書
【特許文献3】米国特許第6,437,965号明細書
【特許文献4】米国特許第6,528,887号明細書
【特許文献5】米国特許第7,411,717号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2009/0170324号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2009/0170312号明細書
【特許文献8】欧州特許第1561724号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】IEEE/LEOS International Conference On Optical MEMS and Their Applications in August 2007(OMEMS2007)にて発表されたHakon Sagbergら,「Two−state Optical Filter Based on Micromechanical Diffractive Elements」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、微小機械ユニットおよびその微小機械ユニットを製造するための方法を提供することであり、そのユニットは、安く製造され、可動ビームの間に低い静止摩擦力を有し、制御することが容易である。本発明は、独立請求項に記載されているような特徴である上記のユニットおよび方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
従って、本発明は、好ましい実施形態において、固定および可動の光学的に反射する面が、1つかつ同じ材料層からエッチングされる固定および可動ビームの上面から構成されるような列を構築するための実用的な方法を提供する。固定ビームは薄い誘電体層を介して基板に恒久的に接続され、一方、可動ビームは基板内のエッチングされた凹部にわたって広がる。従って、それらは、ビームの底部が凹部の底部におけるスペーサブロックと接触するまで、静電気力によって基板の方向へ下側に引かれ得る。スペーサブロックは少しの接触領域およびそれによって弱い接着力を得るように成形され、それにより、静電気力が機能しなくなる場合、可動ビームが出発点に戻り得ることを確保し、そのスペーサブロックは固定ビームを基板に固定する同じ誘電体層から製造および機械加工される。
【0016】
以下の詳細な説明において、実現可能かつ比較的簡単な方法において、十分な積層特性および十分な静止摩擦力のないスペーサブロックを達成するように、結合/積層する前に、基板の上側および/または素子層の下側を処理することによってスペーサブロックを形成する実際の可能性を示す。この解決索は、特に、交互の固定および可動構造の列を形成するのに十分に適している。
【0017】
本発明を添付の図面を参照して以下に記載し、例として本発明を示す。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図0a】上記の特許文献1に開示されている従来技術を示す。
【図0b】上記の特許文献1に開示されている従来技術を示す。
【図0c】従来技術の原理を示す。
【図1a】本発明の好適な実施形態を示す。
【図1b】本発明の好適な実施形態を示す。
【図2】本発明の代替の実施形態を示す。
【図3】上から見た場合の本発明の一実施形態を示す。
【図4】図1a、bに示した実施形態の詳細を示す。
【図5a】本発明の好適な実施形態に係る製造方法を示す。
【図5b】本発明の好適な実施形態に係る製造方法を示す。
【図5c】本発明の好適な実施形態に係る製造方法を示す。
【図5d】本発明の好適な実施形態に係る製造方法を示す。
【図5e】本発明の好適な実施形態に係る製造方法を示す。
【図5f】本発明の好適な実施形態に係る製造方法を示す。
【図5g】本発明の好適な実施形態に係る製造方法を示す。
【図5h】本発明の好適な実施形態に係る製造方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
従って、本発明は、OMEMS2007における上述の説明に記載されているような交互光学フィルタとして機能する微小電気機械システムを製造するための新規方法を含む。新規方法に関して重要なことは、基板および材料のより薄い層の使用であり、通常、5〜50μmのオーダーの厚さであり、両方とも好ましくはシリコンから製造され、それらが結合される場合、一部の領域は最大接着を有し、他の領域は最小接着を有するように作製される。最小接着を有する領域において、スペーサブロックが使用されて、接着力が低下して、静止摩擦力が回避される。
【0020】
図1aおよび1bを参照すると、導入部分で記載した固定および可動の光学微小反射体(101)は、材料層から切り取られ/機械切りされ/エッチングされている固定ビーム(102)および可動ビーム(103)の上面から構成されている。ビームは直線として示しているが、上述の国際公開に示されるように他の形状を有してもよい。固定ビームは薄い誘電体層(106)により基板(105)に恒久的に接続されており、一方、可動ビームは基板における凹部107の上に広がる。従って、それらは、(図2に示すように)凹部の底部またはビームの下側にあり得るスペーサブロック(108)によって停止されるまで、静電気力によって基板の方向に引き下ろされ得る。本発明の本質的な特徴は、スペーサブロックが、基板に固定ビームを留める同じ誘電体層から製造されることである。スペーサブロックは、狭い接触領域およびそれによる弱い接着力を得るように成形され、それにより、静電気力が機能しなくなると、可動ビームがそれらの初期の位置に戻され得ることを確保する。従って、入射光Lは、ビームの相対的位置に依存して回折パターンによって操作され得る。
【0021】
接触リソグラフィーおよび異方性エッチングを用いて、スペーサブロックの直径は1マイクロメートル未満で製造されてもよく、いわゆるステッパーまたは縮小リソグラフィーを用いて、原則として、100nm未満の寸法を得ることもできる。
【0022】
(図3に示すように)本発明の一実施形態において、ビームがそれらの初期の位置に戻るようにする力は、可動ビーム(303)が共通(可動)フレーム(304)に一緒に接続され、このフレームが、小さな弾性ブリッジ(スプリング)(305)によって固定された外側領域(302)に接続されることから生じる。フレームが動くと、これらのスプリングは曲がるので、その開始位置にフレームが戻るように上方向に力が生じる。開始位置から望ましい距離を離して光学面と共にフレームを移動させるために、基板と素子層との間、従って、少なくとも可動ビームに電圧を印加することによって生成される静電場が使用される。電圧が十分に高い場合、図1Bに示すように、フレームは、基板における凹部に存在するスペーサブロックに全て引かれる。
【0023】
本発明は、光学面の変位にある機械的課題のために単純かつ強力な解決策を提供する。以下に詳細に記載する工程段階の組み合わせは以下のことを確実にする。
1)望ましい変位距離がエッチングした凹部の深さによって自由に決定できる。
2)エッチングが粗い表面を生成することから、接触領域がナノスケールで減少する。
3)スペーサブロックの延長が可能な限り少なくなされることから、接触領域がマイクロスケールで減少する。
4)固定ビームに対する十分な固定接着が、例えば、エッチングの間の選択された研磨面の保護によって確保される。
5)スペーサブロックの形状、厚さおよび位置は、光学面に影響を与えずに自由に決定できる。
6)光学面は、内部機械的張力のためにほぼ自由である厚いビームの上面にある。
7)例えば図0Cに示すように、既知の方法の多くの場合のように、「犠牲」層の複雑な除去を必要とせずにマイクロシステムが完了され得る。
【0024】
図4は、固定ビーム(402)および可動ビーム(403)の下側の基板(401)の表面の間の相違をより詳細に示す。基板は、最初、誘電体層(405)の下に示すように平坦な(研磨した)表面(404)を有する。凹部のエッチングにより、粗い表面(406)が生じ、この粗さは、スペーサブロック(407)になる誘電体層の堆積または成長後にも大部分維持される。スペーサブロックが、接触領域および接着力をさらに減少させるために粗い表面を有することは有益であり得る。従って、スペーサブロックの間の全ての接触領域は、可能な限り小さく、好ましくは1%未満にすべきであるが、それらのスペーサブロックはまた、ビームがそれらに対して配置される時間を過度に生じず、そしてスペーサブロックが曲がることを防いでビームに沿った分布を有するのに十分に大きくなければならない。
【0025】
凹部の外側の基板にある誘電体層は、研磨表面の上部に形成される場合、スペーサブロックより平坦な表面を有する。
【0026】
ここで、構造層の静的部分との十分な結合を達成するために大きな接着力/エネルギーを有することが望ましい。
【0027】
同じ誘電体層が、層とスペーサブロックとの両方の結合を形成できる場合でも、以前のエッチングプロセスは、2つの領域において層の異なる特性の表面を与えることができる。
【0028】
好適な実施形態(図5A〜H)において、本発明は、研磨された上面を有する基板(105)で開始する方法を含む(図5A)。凹部(107)は、例えば、メタンまたは他の炭化水素の測定において、約3.3μmの波長を有する光が測定される場合、ビームの変位距離に相当する深さ、例えば830nmで基板内にエッチングされる(図5B)が、素子が使用される約1/4の波長の光に適合される。エッチングプロセスは、SF6およびC4F8の混合物およびエッチング時間の較正を用いる反応性イオンエッチングであってもよく、±5%のオーダーの深さ精度を達成できる。その後、誘電体層(501)が、堆積または成長され(例えば熱成長二酸化ケイ素)、その後、スペーサブロック(108)を形成するために一部の領域においてエッチングにより除去される(図5C〜D)。図5Eは、素子層(502)が、ウエハ積層法(例えば融合結合)およびグラウンドまたはエッチングによる除去である処理ウエハ(503)を用いて基板(105)と一緒に融合される方法を示す。研磨後、およびまた、誘電体層が基板上に堆積または成長した後、表面が非常に平坦であるので、素子層が基板と融合される場合、凹部を有さない領域において非常に十分な接着が達成される。
【0029】
素子層が切断され、固定ビームおよび可動ビーム(図5H)を分離する狭い貫通するトレンチ(104)が現れる前に、光学面(101)は、例えば回折レリーフパターンを用いて反応性イオンエッチングにより刻まれる(図5G)。図3に示すように、可動セグメントから固定セグメントまでの一部の場所に小さな接続(ブリッジ)が存在するように切断は実施される。この切断を実施する好適な方法は、「ボッシュプロセス」として知られている、反応性イオンエッチングである。
【0030】
代替の解決索において、融合およびスペーサブロックが可動ビームの下に位置する前に、基板が誘電体層を有さないように、図5Cおよび5Dに示す工程段階は素子層の下側で実施される。他の代替の解決索において、エッチングされた凹部または凹部およびスペーサブロックの両方は、素子層の下側にあり得る。上述の代替の解決索に関する不都合な点は、素子層が基板に対して正確に並べなければならないということである。
【0031】
素子層の表面は、最終的に、光が反射されるように薄い金属層(金属膜)で被覆される。この層は非常に薄くおよび/または十分に平面である光学面のために低い内部機械的張力を有さなければならない。高い内部機械的張力を有する薄層は素子層を湾曲させる。金属層の熱膨張係数は、素子層についての係数とそんなに異なってはならない。可能な解決索は、応力平衡を得て、少なくとも熱補償(均衡的膨張)を得ないように2つの膜(例えばAlおよびSiO2)を使用することである。
【0032】
基板および素子層の両方はドーピングにより前もって所望の電気伝導性を与えられる。電圧が基板と素子層との間に印加される場合、静電気力が生じ、素子層の可動セグメントを基板に対して下方に引っ張る。図3に示した実施形態において、隔離された固定ビーム(301)の電位は、例えば、基板および導電性材料の堆積に対する下方への貫通エッチング(through−etching)を用いて接続がなされない限り、規定されない(流動している)。ビームの間の間隙が十分に大きい限り、ビームは厚いというよりかなり幅広く、規定されていない電位は可動ビームの移動に影響を与えない。可動セグメントの下側が誘導体スペーサブロックの上面と適合する場合、変位が停止する。変位と同時に、素子層の可動領域から固定領域までのブリッジ接続の弾性変形は、電位差が除去された場合、弾性変形から生じる力が、可動セグメントをそれらの最初に位置に戻すように起こる。しかしながら、これが発生するためには1つの条件が存在する。スペーサブロックとシリコンセグメントとの間の接着は、ビーム/ブリッジ/スプリングから生じる力より弱くなければならない。本発明は、この場合、基板およびダイエレクトリム(dielectricum)の記載されるエッチングプロセスを介して、ナノスケール(粗さ)およびマイクロスケール(スペーサブロックの境界)の両方での接触領域を最小化することを確保する。同じ材料(酸化ケイ素)は、実施されるエッチングプロセスに依存して、シリコンに対して完全に固有の接着を有し、それにより、層とスペーサブロックとの両方の結合として機能する。
【0033】
接触領域を最小化することに加えて、スペーサブロックが限定された領域を覆う別の理由も存在する。誘電体の寄生帯電は望ましくない静電接着力を生じ得る。これは、とりわけ、Sensors and Activators A 71(1998),p74−80に公開されているWebberら,「Parasitic charging of dielectric surfaces in capacitive microelectromechanical systems(MEMS)」による記事に記載されている。
【0034】
スペーサブロックの配置は任意に近接してなされ得、1つの好ましい解決索において、スペーサブロックは、可動フレームが、原則としてVelcroに関して、一度に少数のスペーサブロックから離れて持ち上げられるように配置される。接着エネルギーが大きい場合でさえ、接着力は、常に少ない領域で機能するのみであるから少なくなされ得る。
【0035】
従って、本発明はまた、スペーサブロックの厚さおよび配置が素子層および光学面の特性に影響を与えない解決索を提供し、ビームが可動する場合、静止摩擦力の特性およびビームの変形に関してその配置がほぼ単一になされ得ることを意味する。スペーサブロックおよび結合した層の両方を形成する誘電体層の厚さ(基板と素子層との間)は、空隙内の電場力を調節するように使用され得る自由パラメータである。
【0036】
図3に示した型において、素子層の表面は、5つの異なる種類の領域:静的受動態領域;可動受動態領域;静的能動態領域;可動能動態領域;およびまたスプリングビーム(静的領域と可動領域との間の遷移)を含む。受動態領域と能動態領域との間の相違は、後者が所望の方向において光を曲げる周期的またはほぼ周期的レリーフ構造を有することである。
【0037】
本発明の好ましい実施形態を図1A(初期状態、状態A)および図1B(可動状態、状態B)に示す。光学面(101)は、固定ビーム(102)および可動ビーム(103)の上部にあり、ビームは、(反応性イオンエッチングを用いる)貫通切断(104)によって同じ材料層/素子層(ドープされたシリコン)から製造される。固定ビームは、誘電体層(106)(二酸化ケイ素)を介して(シリコンの)基板(105)に恒久的に接続される。可動ビームの下の基板において凹部(107)が存在し、凹部の下部において、スペーサブロック(108)の形態の誘電体層の広がった領域が存在する。
【0038】
図1Bは移動する場合にビームの列が現れる方法を示す。可動ビームは、それらがスペーサブロック(108)上で停止するまで、静電気力によって基板に対して下方に引かれる。好ましい実施形態において、結合した層(106)およびスペーサブロック(108)は同じ層から形成され、同じ厚さを有する。従って、スペーサブロック(108)の厚さは、基板のみにおける凹部によって規定される変位距離に影響を与えない。正確な変位距離は、正確なタイミングおよび較正エッチングプロセスを用いてエッチングされる凹部において達成され得る。
【0039】
図2は、スペーサブロック(201)が可動ビーム(202)の下側に結合される代替の実施形態を示す。
【0040】
図3は上から見たビームの列の可能な実施形態を示す。固定ビーム(301)の任意数N(ここで:N=4)は誘電体層を介して基板に恒久的に接続される。加えて、外側領域(302)もまた、基板に接続される。可動ビーム(303)の数N+1(ここで:N+1=5)は共通(可動)フレーム(304)に一緒に接続され、このフレームは、狭い、弾性ブリッジ(スプリング)(305)を介して固定された外側領域(302)に接続される。フレームが移動し、それにより、フレームをその元の位置に戻そうとするように矯正力が生じる場合、これらのスプリングは湾曲する。初期の位置から所望の距離を離して、光学面とともにフレームを移動させるために、静電界が使用され、それは基板と素子層との間に電圧を印加することによって発生される。
【0041】
図4は、固定ビーム(402)と可動ビーム(403)の下側の基板(401)の表面の間の相違をより詳細に示す。基板は最初、誘電体層(405)の下側に示すように平坦(研磨)表面(404)を有する。凹部のエッチングは粗い表面(406)を生じ、この粗さは、スペーサブロック(407)になる誘電体層の配置後もほとんど維持される。
【0042】
図5は、研磨された上面を有する基板(105)で開始する好ましい実施形態を示す(図5A)。凹部(107)はビームの変位距離に相当する深さで基板内にエッチングされる(図5B)。誘電体層(501)は配置または成長した後、一部の領域でエッチングにより除去されて、スペーサブロック(108)を形成する(図5C〜D)。図5Eは、素子層(502)が、例えば、15μmの厚さを得るように、グラウンドまたはエッチングにより除去され得る処理ウエハ(503)を用いて基板(105)と結合する方法を示す(図5F)。所望の厚さは、埋められた酸化層との積層体である、いわゆるSOIウエハを用いることによって図に示すように得られ得る。ここで、素子層(502)の厚さは十分な精度で特定される。SOIウエハの研削およびエッチングは酸化層にて停止され得る。第2の代替法は、積層体502/503/504の代わりに均一なウエハを使用することである。次いで研削/エッチングは残存している層の測定によって制御されなければならず、素子層の表面は最後に研磨されなければならない。その後、光学面(101)は回折レリーフパターンで刻まれ(図5C)、その後、素子層は貫通して切断され、狭い貫通した溝(104)が形成され、固定ビームと可動ビームとを分離する(図5H)。
【0043】
従って要約すると、本発明は、微小機械システムならびに交互の固定および可動(回折)光学反射体の列を含む微小電気機械システムを構築するための方法に関し、その反射体は、1つおよび同じ材料層から形成される固定および可動ビームの上面から構成され、前記ビームは基板に直接または間接的に接続され、基板と固定ビームとの間の強力かつ固定された接着および同じ誘電体材料を用いる基板と可動ビームの下側との間の弱い接着を達成するために、選択された領域における凹部のエッチング、薄い誘電体層の配置、および選択された領域における前記層のエッチングにより、材料層の下側または基板の上側が処理された後、材料層と基板との間の接続が形成される。
【0044】
基板および材料層はシリコンから形成されることが好ましいが、他の材料もまた、製造方法および用途に依存して使用されてもよい。
【0045】
光学反射体は、好ましくは、例えば、直線または湾曲した回折レリーフパターン/合成ホログラムを有するが、純粋な反射表面もまた、想定されてもよい。
【0046】
基板と材料層との間の接続は、好ましくは、融合結合を用いて形成され、誘電体層は、前記基板および/または材料層上に堆積または成長され得る。それに応じて、凹部は、例えば反応性イオンを用いて基板内および/または材料層にエッチングされてもよい。
【0047】
実現された実施形態において、フレーム当たりのビームの数は2〜20であってもよく、材料層の可動部分と固定部分との間の分離は、深堀り反応性イオンエッチングによって生成される。スペーサブロックの外側延長部は0.5〜5μmであり、スペーサブロックの厚さは100nm〜2μmである。
【0048】
各フレームは対称なサスペンションを生じ得る4つのスプリングを有してもよく、それにより、スペーサブロックから均一に持ち上げられるか、または下方に低下されるか、あるいはサスペンションは対称であり得るので、フレームの一側は他方より容易に持ち上がる。
【0049】
上述のように、可動反射ビーム/素子と、下側の基板との間の移動は、それらの間に電圧を印加することによって生じる。可動でないビームは、浮遊電圧中で保持され得るか、またはこれが可動ビームの移動に影響を与える方法に応じて固定電圧を与えられ得る。
【0050】
図面は例として本発明を示し、図面における比率および寸法は、例示のために選択されているだけであり、実現された実施形態とは異なっていてもよい。
【図0a】
【図0b】
【図0c】
【図1A】
【図1B】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小機械素子、特に、調節可能な光学スペクトルフィルタおよびそれを製造する方法に関し、これは、従来技術に従って、特に反射器が回折効果または光偏向効果を有する場合、交互に可動および固定の光学マイクロ/反射器の列を用いて実現できる。
【背景技術】
【0002】
分光フィルタリングに使用される可動光学マイクロ反射器は、いくつかある中で特に特許文献1に記載されており、その文献は、回折部分素子(sub−element)と呼ばれている一連の可動回折マイクロ反射器を備えて構成され得る回折光学素子に関する。その反射器または部分素子(1、3、図0aおよび0bを参照のこと)は、変位よりかなり大きい横寸法を有し、矩形形状(図0a)または同心円部分(図0b)を有し得る。回折部分素子から反射される光は干渉するので、特定の分光組成の光を除去でき、その素子の位置を垂直または横方向に調節することによって、フィルタの特性を連続して変化させることができる。
【0003】
上述の構成可能な回折素子の特別な場合は列で構成されており、一つおきの反射器は同調して移動でき、他の反射器は固定したままであり、2つの異なる位置をとる。これにより、2つの状態:単一バンドパスフィルタおよび二重バンドパスフィルタの間を交互に変えることができる光学フィルタが得られ、バンドは、単一フィルタのそれら独自の側に存在する。このような交互フィルタは、特に分光および赤外線ガス測定における適用に非常に適している。微小電気機械光学システム(MOEMS)としてのフィルタの実用的な実施形態は特定の条件を満たさなければならない。可動反射器の位置は、光学面に対して垂直方向において4分の1波長の距離にわたって調節可能でなければならない。波長は赤外線領域に存在するので、変位は1マイクロメートルのオーダーである。反射器は同じ面に存在しなければならない。変位は同調し、特にキロヘルツ領域における周波数、およびコンポーネントの寿命内の10億または1兆サイクルで反復され得る。可動反射器の間に固定された反射器が形式上存在し、サイズは、可動反射器とほぼ同様である。反射器は、レリーフパターンが刻まれるように所定の回折特性であり、このパターンの深さは波長と同じ大きさのオーダーである。数平方メートルの全領域は、同調して動く反射器によって変換されるべきである。
【0004】
上記の交互フィルタについての光学的原理は従来技術とされており、固められた微小機械形状は、非特許文献1において以前に公開されている。図0cは、市販のシリコンウエハに基づいた従来技術に係る実施形態を示し、二酸化ケイ素の薄層と融合される基板および構造層を含む。回折光学面が構造層の上部に形成された後、それは、エッチング法を用いて2セットのビーム(1、3)に分けられる。その後、一つおきのビーム(3)が、選択された領域において酸化層をエッチングにより除去することにより移動可能に製造される。これは単純なプロセスであるが、3つの本質的な不利点を有する。第1に、穴が可動ビームにおいて製造されなければならないので、酸化層のエッチングに使用される気体または液体がその中に侵入できる。第2に、ビームが基板に入る場合、異なる電位を有する表面が接触し、表面の間を流れる電流は、電圧の大きな低下を引き起こし得るか、または結果としてビームがそれらの間の電流により表面と共に融合する。第3に、ビームと基板との間の接触領域は、大きくかつ予測不可能になり、制止摩擦力を引き起こし得るものが存在する。2つの表面の間の接着力が非常に大きくなる場合に静止摩擦力は生じるので、表面を引き離さないように作動する利用可能な力、および継続した望ましくない接着が生じる。この場合、作動される力はシリコンにおける弾性ブリッジに由来する。
【0005】
接着力を減少させ、静止摩擦力を回避するために、異なる種類の電気機械システムで使用されるいくつかの既知の方法が存在する。特に重要なものは、「ランディングパッド」、「ストップ」、「バンプ」または「ディンプル」とも称されるスペーサブロックの使用である。それらは、概して、2つの機能:ある動きに対するエンドストップとして正確な距離を規定すること、および大面積が接触しないことを確実にすることによって静止摩擦力を防止することを満たす。例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4を参照のこと。静止摩擦力を防止するための他の重要な技術は以下の通りである:
表面が異なる電位と接触することを回避すること、
誘電体の寄生帯電が起こることを回避すること、
表面を化学的または機械的に処理して、粗さを導入し、接触領域を減少させること、および
表面を化学的に処理して、それらの撥水特性を増加させること、
電気機械システムを密封して覆い、湿気を回避して、表面の撥水特性を問題なくすること。
【0006】
既存の解決索は、大体、個々の微小機械システムの特定の必要性に適合され、標準的な方法は存在しない。既存の解決索に関する一部の典型的な問題は以下の通りである。スペーサブロックを使用しなければならない場合、製造方法が非常に複雑になり得、スペーサブロックの形態は上に存在する光学面に影響を与えるようになる場合があり(特に堆積された構造層にいわゆるサーフィスマイクロマシニングを用いる場合)、化学的に処理された撥水面は時間とともに特性を変化させ得、表面粗さの可能な生成は、接触領域が少ない表面より、システムにおける他の重要表面に損傷を与えるようになる場合がある。
【0007】
非常に有益であるが、また非常に複雑でもあるMEMSの例は、Texas Instrumentsによって製造され、例えば特許文献5およびより具体的には静止摩擦力に関する問題について特許文献6に記載されている、DMDミラーマトリクスである。この製品の製造において、上記の多くの問題が使用されている。
【0008】
スペーサブロックを製造すること、および同時に、後で結合されるか、または積層される表面の粗さを回避することは、とりわけ、特許文献7において考慮されている。特許文献7に示されている方法にはいくつかの不都合な点が存在する。アンダーエッチングプロセスは制御することが難しく、それによって、反結合性ストップの最小の再生可能な横方向サイズに対して実用限界が存在する。また、反結合性ストップの表面は、比較的平坦であり、結合が防止される場合、不都合である。さらに、酸化プロセスは上面および空洞を変化させ、平面ミラーの代わりに回折面の使用を制限する。
【0009】
スペーサブロックを用いる多くの従来技術の例はいわゆる犠牲層を使用する。マイクロシステムの製造の間、犠牲層は可動マイクロ構造になるものの間にあり、それらを固定する。犠牲層は、多くの場合、二酸化ケイ素から製造されるが、異なる材料、例えばポリマーから製造されてもよい。犠牲層は、エッチングを用いてプロセシングの終わり頃に取り除かれる。酸化層の除去に関する課題は、エッチングプロセスを十分に選択性にし得ることであるので、犠牲層のみを除去し、他の材料は除去しない。エッチング液が使用されなければならない場合、さらなる2つの課題が生じる:液体を微小空洞内に浸透させること、およびエッチング後に空洞を乾燥させること。
【0010】
特許文献8は、静止摩擦力を防止するために、ディンプルが凹部の底部に含まれ得る、加速度計を提示している。しかしながら、それらのディンプルがどのように実現され得るかを明示していない。特に標準的なMEMS製造機器が使用される場合、大きなKOHまたはTMAHエッチング凹部の底面上に微細構造を製造することは非常に困難である。
【0011】
特許文献4は、構造層の下側にスペーサブロックを製造する、中程度に複雑な方法を提示している。このような層は、通常、シリコンからなり、MEMS技術において、それらは素子層と称される。前記特許文献の導入(2〜8)において、一般に、MEMS素子層の下側を処理して、それが基板と積層される前にスペーサブロックを形成できないことが主張されている。さらに、基板と素子層との間の犠牲層の使用と一緒に、素子層の上側から処理することによってスペーサブロックが形成され得る方法が述べられている(多くの場合に使用される方法)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2004/059365号パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第2001/0055831号明細書
【特許文献3】米国特許第6,437,965号明細書
【特許文献4】米国特許第6,528,887号明細書
【特許文献5】米国特許第7,411,717号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2009/0170324号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2009/0170312号明細書
【特許文献8】欧州特許第1561724号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】IEEE/LEOS International Conference On Optical MEMS and Their Applications in August 2007(OMEMS2007)にて発表されたHakon Sagbergら,「Two−state Optical Filter Based on Micromechanical Diffractive Elements」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、微小機械ユニットおよびその微小機械ユニットを製造するための方法を提供することであり、そのユニットは、安く製造され、可動ビームの間に低い静止摩擦力を有し、制御することが容易である。本発明は、独立請求項に記載されているような特徴である上記のユニットおよび方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
従って、本発明は、好ましい実施形態において、固定および可動の光学的に反射する面が、1つかつ同じ材料層からエッチングされる固定および可動ビームの上面から構成されるような列を構築するための実用的な方法を提供する。固定ビームは薄い誘電体層を介して基板に恒久的に接続され、一方、可動ビームは基板内のエッチングされた凹部にわたって広がる。従って、それらは、ビームの底部が凹部の底部におけるスペーサブロックと接触するまで、静電気力によって基板の方向へ下側に引かれ得る。スペーサブロックは少しの接触領域およびそれによって弱い接着力を得るように成形され、それにより、静電気力が機能しなくなる場合、可動ビームが出発点に戻り得ることを確保し、そのスペーサブロックは固定ビームを基板に固定する同じ誘電体層から製造および機械加工される。
【0016】
以下の詳細な説明において、実現可能かつ比較的簡単な方法において、十分な積層特性および十分な静止摩擦力のないスペーサブロックを達成するように、結合/積層する前に、基板の上側および/または素子層の下側を処理することによってスペーサブロックを形成する実際の可能性を示す。この解決索は、特に、交互の固定および可動構造の列を形成するのに十分に適している。
【0017】
本発明を添付の図面を参照して以下に記載し、例として本発明を示す。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図0a】上記の特許文献1に開示されている従来技術を示す。
【図0b】上記の特許文献1に開示されている従来技術を示す。
【図0c】従来技術の原理を示す。
【図1a】本発明の好適な実施形態を示す。
【図1b】本発明の好適な実施形態を示す。
【図2】本発明の代替の実施形態を示す。
【図3】上から見た場合の本発明の一実施形態を示す。
【図4】図1a、bに示した実施形態の詳細を示す。
【図5a】本発明の好適な実施形態に係る製造方法を示す。
【図5b】本発明の好適な実施形態に係る製造方法を示す。
【図5c】本発明の好適な実施形態に係る製造方法を示す。
【図5d】本発明の好適な実施形態に係る製造方法を示す。
【図5e】本発明の好適な実施形態に係る製造方法を示す。
【図5f】本発明の好適な実施形態に係る製造方法を示す。
【図5g】本発明の好適な実施形態に係る製造方法を示す。
【図5h】本発明の好適な実施形態に係る製造方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
従って、本発明は、OMEMS2007における上述の説明に記載されているような交互光学フィルタとして機能する微小電気機械システムを製造するための新規方法を含む。新規方法に関して重要なことは、基板および材料のより薄い層の使用であり、通常、5〜50μmのオーダーの厚さであり、両方とも好ましくはシリコンから製造され、それらが結合される場合、一部の領域は最大接着を有し、他の領域は最小接着を有するように作製される。最小接着を有する領域において、スペーサブロックが使用されて、接着力が低下して、静止摩擦力が回避される。
【0020】
図1aおよび1bを参照すると、導入部分で記載した固定および可動の光学微小反射体(101)は、材料層から切り取られ/機械切りされ/エッチングされている固定ビーム(102)および可動ビーム(103)の上面から構成されている。ビームは直線として示しているが、上述の国際公開に示されるように他の形状を有してもよい。固定ビームは薄い誘電体層(106)により基板(105)に恒久的に接続されており、一方、可動ビームは基板における凹部107の上に広がる。従って、それらは、(図2に示すように)凹部の底部またはビームの下側にあり得るスペーサブロック(108)によって停止されるまで、静電気力によって基板の方向に引き下ろされ得る。本発明の本質的な特徴は、スペーサブロックが、基板に固定ビームを留める同じ誘電体層から製造されることである。スペーサブロックは、狭い接触領域およびそれによる弱い接着力を得るように成形され、それにより、静電気力が機能しなくなると、可動ビームがそれらの初期の位置に戻され得ることを確保する。従って、入射光Lは、ビームの相対的位置に依存して回折パターンによって操作され得る。
【0021】
接触リソグラフィーおよび異方性エッチングを用いて、スペーサブロックの直径は1マイクロメートル未満で製造されてもよく、いわゆるステッパーまたは縮小リソグラフィーを用いて、原則として、100nm未満の寸法を得ることもできる。
【0022】
(図3に示すように)本発明の一実施形態において、ビームがそれらの初期の位置に戻るようにする力は、可動ビーム(303)が共通(可動)フレーム(304)に一緒に接続され、このフレームが、小さな弾性ブリッジ(スプリング)(305)によって固定された外側領域(302)に接続されることから生じる。フレームが動くと、これらのスプリングは曲がるので、その開始位置にフレームが戻るように上方向に力が生じる。開始位置から望ましい距離を離して光学面と共にフレームを移動させるために、基板と素子層との間、従って、少なくとも可動ビームに電圧を印加することによって生成される静電場が使用される。電圧が十分に高い場合、図1Bに示すように、フレームは、基板における凹部に存在するスペーサブロックに全て引かれる。
【0023】
本発明は、光学面の変位にある機械的課題のために単純かつ強力な解決策を提供する。以下に詳細に記載する工程段階の組み合わせは以下のことを確実にする。
1)望ましい変位距離がエッチングした凹部の深さによって自由に決定できる。
2)エッチングが粗い表面を生成することから、接触領域がナノスケールで減少する。
3)スペーサブロックの延長が可能な限り少なくなされることから、接触領域がマイクロスケールで減少する。
4)固定ビームに対する十分な固定接着が、例えば、エッチングの間の選択された研磨面の保護によって確保される。
5)スペーサブロックの形状、厚さおよび位置は、光学面に影響を与えずに自由に決定できる。
6)光学面は、内部機械的張力のためにほぼ自由である厚いビームの上面にある。
7)例えば図0Cに示すように、既知の方法の多くの場合のように、「犠牲」層の複雑な除去を必要とせずにマイクロシステムが完了され得る。
【0024】
図4は、固定ビーム(402)および可動ビーム(403)の下側の基板(401)の表面の間の相違をより詳細に示す。基板は、最初、誘電体層(405)の下に示すように平坦な(研磨した)表面(404)を有する。凹部のエッチングにより、粗い表面(406)が生じ、この粗さは、スペーサブロック(407)になる誘電体層の堆積または成長後にも大部分維持される。スペーサブロックが、接触領域および接着力をさらに減少させるために粗い表面を有することは有益であり得る。従って、スペーサブロックの間の全ての接触領域は、可能な限り小さく、好ましくは1%未満にすべきであるが、それらのスペーサブロックはまた、ビームがそれらに対して配置される時間を過度に生じず、そしてスペーサブロックが曲がることを防いでビームに沿った分布を有するのに十分に大きくなければならない。
【0025】
凹部の外側の基板にある誘電体層は、研磨表面の上部に形成される場合、スペーサブロックより平坦な表面を有する。
【0026】
ここで、構造層の静的部分との十分な結合を達成するために大きな接着力/エネルギーを有することが望ましい。
【0027】
同じ誘電体層が、層とスペーサブロックとの両方の結合を形成できる場合でも、以前のエッチングプロセスは、2つの領域において層の異なる特性の表面を与えることができる。
【0028】
好適な実施形態(図5A〜H)において、本発明は、研磨された上面を有する基板(105)で開始する方法を含む(図5A)。凹部(107)は、例えば、メタンまたは他の炭化水素の測定において、約3.3μmの波長を有する光が測定される場合、ビームの変位距離に相当する深さ、例えば830nmで基板内にエッチングされる(図5B)が、素子が使用される約1/4の波長の光に適合される。エッチングプロセスは、SF6およびC4F8の混合物およびエッチング時間の較正を用いる反応性イオンエッチングであってもよく、±5%のオーダーの深さ精度を達成できる。その後、誘電体層(501)が、堆積または成長され(例えば熱成長二酸化ケイ素)、その後、スペーサブロック(108)を形成するために一部の領域においてエッチングにより除去される(図5C〜D)。図5Eは、素子層(502)が、ウエハ積層法(例えば融合結合)およびグラウンドまたはエッチングによる除去である処理ウエハ(503)を用いて基板(105)と一緒に融合される方法を示す。研磨後、およびまた、誘電体層が基板上に堆積または成長した後、表面が非常に平坦であるので、素子層が基板と融合される場合、凹部を有さない領域において非常に十分な接着が達成される。
【0029】
素子層が切断され、固定ビームおよび可動ビーム(図5H)を分離する狭い貫通するトレンチ(104)が現れる前に、光学面(101)は、例えば回折レリーフパターンを用いて反応性イオンエッチングにより刻まれる(図5G)。図3に示すように、可動セグメントから固定セグメントまでの一部の場所に小さな接続(ブリッジ)が存在するように切断は実施される。この切断を実施する好適な方法は、「ボッシュプロセス」として知られている、反応性イオンエッチングである。
【0030】
代替の解決索において、融合およびスペーサブロックが可動ビームの下に位置する前に、基板が誘電体層を有さないように、図5Cおよび5Dに示す工程段階は素子層の下側で実施される。他の代替の解決索において、エッチングされた凹部または凹部およびスペーサブロックの両方は、素子層の下側にあり得る。上述の代替の解決索に関する不都合な点は、素子層が基板に対して正確に並べなければならないということである。
【0031】
素子層の表面は、最終的に、光が反射されるように薄い金属層(金属膜)で被覆される。この層は非常に薄くおよび/または十分に平面である光学面のために低い内部機械的張力を有さなければならない。高い内部機械的張力を有する薄層は素子層を湾曲させる。金属層の熱膨張係数は、素子層についての係数とそんなに異なってはならない。可能な解決索は、応力平衡を得て、少なくとも熱補償(均衡的膨張)を得ないように2つの膜(例えばAlおよびSiO2)を使用することである。
【0032】
基板および素子層の両方はドーピングにより前もって所望の電気伝導性を与えられる。電圧が基板と素子層との間に印加される場合、静電気力が生じ、素子層の可動セグメントを基板に対して下方に引っ張る。図3に示した実施形態において、隔離された固定ビーム(301)の電位は、例えば、基板および導電性材料の堆積に対する下方への貫通エッチング(through−etching)を用いて接続がなされない限り、規定されない(流動している)。ビームの間の間隙が十分に大きい限り、ビームは厚いというよりかなり幅広く、規定されていない電位は可動ビームの移動に影響を与えない。可動セグメントの下側が誘導体スペーサブロックの上面と適合する場合、変位が停止する。変位と同時に、素子層の可動領域から固定領域までのブリッジ接続の弾性変形は、電位差が除去された場合、弾性変形から生じる力が、可動セグメントをそれらの最初に位置に戻すように起こる。しかしながら、これが発生するためには1つの条件が存在する。スペーサブロックとシリコンセグメントとの間の接着は、ビーム/ブリッジ/スプリングから生じる力より弱くなければならない。本発明は、この場合、基板およびダイエレクトリム(dielectricum)の記載されるエッチングプロセスを介して、ナノスケール(粗さ)およびマイクロスケール(スペーサブロックの境界)の両方での接触領域を最小化することを確保する。同じ材料(酸化ケイ素)は、実施されるエッチングプロセスに依存して、シリコンに対して完全に固有の接着を有し、それにより、層とスペーサブロックとの両方の結合として機能する。
【0033】
接触領域を最小化することに加えて、スペーサブロックが限定された領域を覆う別の理由も存在する。誘電体の寄生帯電は望ましくない静電接着力を生じ得る。これは、とりわけ、Sensors and Activators A 71(1998),p74−80に公開されているWebberら,「Parasitic charging of dielectric surfaces in capacitive microelectromechanical systems(MEMS)」による記事に記載されている。
【0034】
スペーサブロックの配置は任意に近接してなされ得、1つの好ましい解決索において、スペーサブロックは、可動フレームが、原則としてVelcroに関して、一度に少数のスペーサブロックから離れて持ち上げられるように配置される。接着エネルギーが大きい場合でさえ、接着力は、常に少ない領域で機能するのみであるから少なくなされ得る。
【0035】
従って、本発明はまた、スペーサブロックの厚さおよび配置が素子層および光学面の特性に影響を与えない解決索を提供し、ビームが可動する場合、静止摩擦力の特性およびビームの変形に関してその配置がほぼ単一になされ得ることを意味する。スペーサブロックおよび結合した層の両方を形成する誘電体層の厚さ(基板と素子層との間)は、空隙内の電場力を調節するように使用され得る自由パラメータである。
【0036】
図3に示した型において、素子層の表面は、5つの異なる種類の領域:静的受動態領域;可動受動態領域;静的能動態領域;可動能動態領域;およびまたスプリングビーム(静的領域と可動領域との間の遷移)を含む。受動態領域と能動態領域との間の相違は、後者が所望の方向において光を曲げる周期的またはほぼ周期的レリーフ構造を有することである。
【0037】
本発明の好ましい実施形態を図1A(初期状態、状態A)および図1B(可動状態、状態B)に示す。光学面(101)は、固定ビーム(102)および可動ビーム(103)の上部にあり、ビームは、(反応性イオンエッチングを用いる)貫通切断(104)によって同じ材料層/素子層(ドープされたシリコン)から製造される。固定ビームは、誘電体層(106)(二酸化ケイ素)を介して(シリコンの)基板(105)に恒久的に接続される。可動ビームの下の基板において凹部(107)が存在し、凹部の下部において、スペーサブロック(108)の形態の誘電体層の広がった領域が存在する。
【0038】
図1Bは移動する場合にビームの列が現れる方法を示す。可動ビームは、それらがスペーサブロック(108)上で停止するまで、静電気力によって基板に対して下方に引かれる。好ましい実施形態において、結合した層(106)およびスペーサブロック(108)は同じ層から形成され、同じ厚さを有する。従って、スペーサブロック(108)の厚さは、基板のみにおける凹部によって規定される変位距離に影響を与えない。正確な変位距離は、正確なタイミングおよび較正エッチングプロセスを用いてエッチングされる凹部において達成され得る。
【0039】
図2は、スペーサブロック(201)が可動ビーム(202)の下側に結合される代替の実施形態を示す。
【0040】
図3は上から見たビームの列の可能な実施形態を示す。固定ビーム(301)の任意数N(ここで:N=4)は誘電体層を介して基板に恒久的に接続される。加えて、外側領域(302)もまた、基板に接続される。可動ビーム(303)の数N+1(ここで:N+1=5)は共通(可動)フレーム(304)に一緒に接続され、このフレームは、狭い、弾性ブリッジ(スプリング)(305)を介して固定された外側領域(302)に接続される。フレームが移動し、それにより、フレームをその元の位置に戻そうとするように矯正力が生じる場合、これらのスプリングは湾曲する。初期の位置から所望の距離を離して、光学面とともにフレームを移動させるために、静電界が使用され、それは基板と素子層との間に電圧を印加することによって発生される。
【0041】
図4は、固定ビーム(402)と可動ビーム(403)の下側の基板(401)の表面の間の相違をより詳細に示す。基板は最初、誘電体層(405)の下側に示すように平坦(研磨)表面(404)を有する。凹部のエッチングは粗い表面(406)を生じ、この粗さは、スペーサブロック(407)になる誘電体層の配置後もほとんど維持される。
【0042】
図5は、研磨された上面を有する基板(105)で開始する好ましい実施形態を示す(図5A)。凹部(107)はビームの変位距離に相当する深さで基板内にエッチングされる(図5B)。誘電体層(501)は配置または成長した後、一部の領域でエッチングにより除去されて、スペーサブロック(108)を形成する(図5C〜D)。図5Eは、素子層(502)が、例えば、15μmの厚さを得るように、グラウンドまたはエッチングにより除去され得る処理ウエハ(503)を用いて基板(105)と結合する方法を示す(図5F)。所望の厚さは、埋められた酸化層との積層体である、いわゆるSOIウエハを用いることによって図に示すように得られ得る。ここで、素子層(502)の厚さは十分な精度で特定される。SOIウエハの研削およびエッチングは酸化層にて停止され得る。第2の代替法は、積層体502/503/504の代わりに均一なウエハを使用することである。次いで研削/エッチングは残存している層の測定によって制御されなければならず、素子層の表面は最後に研磨されなければならない。その後、光学面(101)は回折レリーフパターンで刻まれ(図5C)、その後、素子層は貫通して切断され、狭い貫通した溝(104)が形成され、固定ビームと可動ビームとを分離する(図5H)。
【0043】
従って要約すると、本発明は、微小機械システムならびに交互の固定および可動(回折)光学反射体の列を含む微小電気機械システムを構築するための方法に関し、その反射体は、1つおよび同じ材料層から形成される固定および可動ビームの上面から構成され、前記ビームは基板に直接または間接的に接続され、基板と固定ビームとの間の強力かつ固定された接着および同じ誘電体材料を用いる基板と可動ビームの下側との間の弱い接着を達成するために、選択された領域における凹部のエッチング、薄い誘電体層の配置、および選択された領域における前記層のエッチングにより、材料層の下側または基板の上側が処理された後、材料層と基板との間の接続が形成される。
【0044】
基板および材料層はシリコンから形成されることが好ましいが、他の材料もまた、製造方法および用途に依存して使用されてもよい。
【0045】
光学反射体は、好ましくは、例えば、直線または湾曲した回折レリーフパターン/合成ホログラムを有するが、純粋な反射表面もまた、想定されてもよい。
【0046】
基板と材料層との間の接続は、好ましくは、融合結合を用いて形成され、誘電体層は、前記基板および/または材料層上に堆積または成長され得る。それに応じて、凹部は、例えば反応性イオンを用いて基板内および/または材料層にエッチングされてもよい。
【0047】
実現された実施形態において、フレーム当たりのビームの数は2〜20であってもよく、材料層の可動部分と固定部分との間の分離は、深堀り反応性イオンエッチングによって生成される。スペーサブロックの外側延長部は0.5〜5μmであり、スペーサブロックの厚さは100nm〜2μmである。
【0048】
各フレームは対称なサスペンションを生じ得る4つのスプリングを有してもよく、それにより、スペーサブロックから均一に持ち上げられるか、または下方に低下されるか、あるいはサスペンションは対称であり得るので、フレームの一側は他方より容易に持ち上がる。
【0049】
上述のように、可動反射ビーム/素子と、下側の基板との間の移動は、それらの間に電圧を印加することによって生じる。可動でないビームは、浮遊電圧中で保持され得るか、またはこれが可動ビームの移動に影響を与える方法に応じて固定電圧を与えられ得る。
【0050】
図面は例として本発明を示し、図面における比率および寸法は、例示のために選択されているだけであり、実現された実施形態とは異なっていてもよい。
【図0a】
【図0b】
【図0c】
【図1A】
【図1B】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに少なくとも部分的に固定される第1の素子層と、第2の基板層とを備える、微小機械ユニット、特に調節可能な光学フィルタであって、前記素子層は、複数の固定反射素子の間に分配される複数の可動反射素子を含み、前記固定素子は、誘電体層を介して前記基板に固定され、空洞が前記基板と各々の可動素子との間に規定され、各々の可動素子は、前記空洞内で制御可能な移動を与えるように設置され、複数の誘電体スペーサブロックが、各々の可動素子と前記基板との間の前記空洞内に配置され、前記スペーサブロックは前記基板を前記固定素子に固定する前記誘電体層と同じ誘電材料で製造される、ユニット。
【請求項2】
前記可動素子および前記基板は電源に接続されて、前記可動素子と前記基板との間に電圧を印加して、それらの間に静電気力を発生させ、それによって、前記基板に対して前記素子を移動させる、請求項1に記載のユニット。
【請求項3】
誘電体層は、前記基板から全てのビームを分離し、前記誘電体層は均一な厚さを有し、前記誘電体層は、可動ビームと前記基板との間に前記スペーサブロックを構成する、請求項1に記載のユニット。
【請求項4】
前記スペーサブロックは、前記ビームの全領域のうちの相当少ない部分、好ましくは1%未満を含む、前記可動ビームに対する接触面を有する、請求項1に記載のユニット。
【請求項5】
前記ユニットは光学フィルタであり、前記空洞の深さは、関連領域において光の波長の1/4のオーダーである、請求項1に記載のユニット。
【請求項6】
以下の工程:
a)基板ウエハ上の表面において選択された深さを有する選択された材料の基板ウエハに複数の凹部を形成させる工程であって、前記凹部は、可動ビームの配置および形態に相当する前記基板の表面上のパターンを示す、工程と、
b)前記凹部を有する前記基板ウエハの表面上に誘電体層を提供する工程と、
c)所定の位置においてスペーサブロックを規定するパターンを提供する前記凹部における前記誘電体層を除去する工程と、
d)前記誘電体層上に上側素子層を固定する工程と、
e)前記凹部上の前記パターンにおいて可動ビームを形成するために前記上側層を分割する工程と、
を含む、所定の形態の複数の可動ビームを有する、請求項1に記載のユニットを製造する方法。
【請求項7】
工程c)は、前記誘電体層の厚さに対応する高さを有し、前記ビームの領域より相当少ない部分を構成する前記可動ビームに対する接触面を有するように設置される別々のスペーサブロックを形成するために前記凹部における前記誘電体層のエッチングを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程d)は、いわゆる融合結合プロセスを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記上側素子層に反射面が供給される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記上側素子層に回折レリーフパターンが供給される、請求項6に記載の方法。
【請求項1】
互いに少なくとも部分的に固定される第1の素子層と、第2の基板層とを備える、微小機械ユニット、特に調節可能な光学フィルタであって、前記素子層は、複数の固定反射素子の間に分配される複数の可動反射素子を含み、前記固定素子は、誘電体層を介して前記基板に固定され、空洞が前記基板と各々の可動素子との間に規定され、各々の可動素子は、前記空洞内で制御可能な移動を与えるように設置され、複数の誘電体スペーサブロックが、各々の可動素子と前記基板との間の前記空洞内に配置され、前記スペーサブロックは前記基板を前記固定素子に固定する前記誘電体層と同じ誘電材料で製造される、ユニット。
【請求項2】
前記可動素子および前記基板は電源に接続されて、前記可動素子と前記基板との間に電圧を印加して、それらの間に静電気力を発生させ、それによって、前記基板に対して前記素子を移動させる、請求項1に記載のユニット。
【請求項3】
誘電体層は、前記基板から全てのビームを分離し、前記誘電体層は均一な厚さを有し、前記誘電体層は、可動ビームと前記基板との間に前記スペーサブロックを構成する、請求項1に記載のユニット。
【請求項4】
前記スペーサブロックは、前記ビームの全領域のうちの相当少ない部分、好ましくは1%未満を含む、前記可動ビームに対する接触面を有する、請求項1に記載のユニット。
【請求項5】
前記ユニットは光学フィルタであり、前記空洞の深さは、関連領域において光の波長の1/4のオーダーである、請求項1に記載のユニット。
【請求項6】
以下の工程:
a)基板ウエハ上の表面において選択された深さを有する選択された材料の基板ウエハに複数の凹部を形成させる工程であって、前記凹部は、可動ビームの配置および形態に相当する前記基板の表面上のパターンを示す、工程と、
b)前記凹部を有する前記基板ウエハの表面上に誘電体層を提供する工程と、
c)所定の位置においてスペーサブロックを規定するパターンを提供する前記凹部における前記誘電体層を除去する工程と、
d)前記誘電体層上に上側素子層を固定する工程と、
e)前記凹部上の前記パターンにおいて可動ビームを形成するために前記上側層を分割する工程と、
を含む、所定の形態の複数の可動ビームを有する、請求項1に記載のユニットを製造する方法。
【請求項7】
工程c)は、前記誘電体層の厚さに対応する高さを有し、前記ビームの領域より相当少ない部分を構成する前記可動ビームに対する接触面を有するように設置される別々のスペーサブロックを形成するために前記凹部における前記誘電体層のエッチングを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程d)は、いわゆる融合結合プロセスを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記上側素子層に反射面が供給される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記上側素子層に回折レリーフパターンが供給される、請求項6に記載の方法。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図5G】
【図5H】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図5G】
【図5H】
【公表番号】特表2013−501954(P2013−501954A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524244(P2012−524244)
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061850
【国際公開番号】WO2011/018521
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VELCRO
【出願人】(512028954)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061850
【国際公開番号】WO2011/018521
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VELCRO
【出願人】(512028954)
【Fターム(参考)】
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