微小流体デバイス上の加熱、冷却および熱サイクリングのためのシステムおよび方法
微小流体カード上の一体型熱交換システム。本発明の1つの局面に従って、持ち運び可能な微小流体カードは、搭載された加熱システム、冷却システムおよび熱サイクルシステムを有し、その結果、そのカードが携帯用に使用され得る。微小流体カードは、発熱性材料または吸熱性材料を含む1以上のリザーバーを備える。そのリザーバー材料の化学プロセスが活性化されると、そのリザーバーが微小流体カードの特定の位置に対して加熱または冷却を与える。複合リザーバーは、種々の温度を提供するために単一のカード上に備えられ得る。アッセイ試薬は、種々のリザーバーへ移動されて、多くの生物学的反応(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)またはrtPCR)に有用な熱サイクルを生じ得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、熱サイクリングにおける使用のための微小流体デバイス上の一体型ヒーターおよびクーラーに、より詳細には、加熱、冷却および熱サイクリングシステムを搭載した携帯用微小流体カードに関する。本発明は、さらに、例えば、PCRまたはrtPCRでの使用のための熱サイクリングを提供するために、微小流体デバイスと組み合わせた使用のための一体型熱交換回路、または熱電気冷却器(TEC)を有する微小流体カードに関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の説明)
液体のナノリットルサイズの容量に対する制御を提供する一体型微小流体取り扱いシステムは、現在の分析試験を小型化すること、および生物医学的試験で頻繁に用いられる小サンプルサイズを取り扱うことの両方で有用である。全体の化学的分析は、単一の微小流体デバイス上で実施され得る。これら微小流体デバイスは、チャネル、バルブ、ポンプ、フローセンサー、混合チャンバー、光学的検出器のような構成要素を含む。これら構成要素およびシステムの例は、米国特許第5,932,100号;同第5,922,210号;同第6,387,290号;同第5,747,349号;同第5,748,827号;同第5,726,751号;同第5,724,404号;同第5,716,852号;同第5,974,867号;同第6,007,775号;同第5,972,710号;同第5,971,158号;同第5,948,684号;および同第6,171,865号(これらの特許は、それらの全体が本明細書によって参考として援用される)中に見出され得る。
【0003】
分析を微小流体的に実施する能力は、処理能力、試薬消費、および自動化の実質的利点を提供する。微小流体システムの別の利点は、分析および/または合成のための反応体の処理を実施するために、単一の「チップ上のラボ(lab−on−a−chip)」デバイスにおいて多数の異なる操作を一体化する能力である。微小流体工学の利点から利益を受け得る操作の1つの例は、一般にPCRとして知られるポリメラーゼ連鎖反応、または一般に逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応として知られるrtPCRである。
【0004】
PCRは、DNAの特異的セグメントを増幅するために用いられる技法である。簡単には、DNAは、DNAポリメラーゼ、非結合ヌクレオチド塩基、および「プライマー」(すなわち、所望のDNAセグメントの端部と結合するヌクレオチドの短配列)を含む溶液と接触する。2つのプライマーが用いられる。第1のプライマーは、2つの対合するDNA鎖の1つの上の所望のセグメントの1つの端部で結合し、その一方、第2のプライマーは、他方の端部で、しかし他方のDNA鎖上で、結合する。この溶液は、約95℃の温度まで加熱され、このDNAの鎖間の結合を壊す。これらプライマーは、このような高温で上記DNA鎖に結合することができないので、この溶液は、約55℃まで冷却される。この温度で、これらプライマーは、分離された鎖に結合または「アニール」する。DNAポリメラーゼは、約72℃で最も良く働くので、温度は再び上げられ、そしてこのDNAポリメラーゼは、上記プライマーにフリーのヌクレオチド塩基を連結することにより新たな鎖を迅速に構築する。このプロセスが繰り返されるとき、1つのプライマーを用いて形成されたストランドは、他方のプライマーに結合し、所望のセグメントだけに制限されている新たな鎖を生じる。従って、これらプライマー間のDNAの領域が選択的に複製される。さらに、このプロセスの繰り返しは、数時間にDNAの小片の数十億のコピーを生成し得る。
【0005】
特異的細菌もしくはウイルス、または遺伝病の検出を可能にして、PCRは、ヒトの診断学のために利用可能な最も強力なツールになった。PCRは、DNAの単一分子ほどの小さい分子を増幅し得るので、汚染の問題は、最優先事項になる。汚染のリスクを最小にするため、多くの実験室は、それらのPCR機械を収容するために別個の部屋を設定することが必要になった。
【0006】
rtPCRは、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応の短縮型である。それは、RNA鎖がDNA相補物に転写され、それをPCR増幅に供し得る技法である。RNA鎖をDNA相補物に転写することは逆転写と呼ばれ、そして酵素:逆転写酵素によってなされる。
【0007】
PCRを基礎にするアッセイは3つの基礎的ステップを有する:DNAの単離、DNAの増幅、およびDNAの検出である。過去におけるDNA単離プロセスは、非常に冗漫な手順を含み、そして診断PCRにとって制限因子であった。技術の進歩とともに、DNA単離手順は単純化されるようになり、それにより、DNAは、試薬添加および遠心分離で迅速に抽出され得る。単純化されているけれども、単離の伝統的な方法は、高価かつ厄介な設備の使用を必要とし、これには、例えば、その後の、約16000gの相対遠心力(RCF)で少なくとも1300rmpの非冷却遠心分離が含まれる。さらに、マイクロピペットの良好なオートクレーブ可能なセットもまた、DNA抽出のために必要とされ、同様に、可変速度重負荷Vortex Mixer、細胞の溶解のための電子レンジ、および沸騰およびインキュベーションのためのウォーターバスがある。
【0008】
DNAが単離された後、単一のDNA分子が、上記で論議されたように、サイクル毎に温度を96℃〜55℃〜72℃に変更する熱サイクラーの支援で、10億コピー以上に増幅され得る。伝統的なPCRでは、PCR反応混合物の迅速な加熱および冷却のための反応容器としてのガラスキャピラリーの使用が、増幅時間を短縮化するために用いられている。しかし、これらの進歩にもかかわらず、単純化され、汚染のリスクまたは人の誤りを最小にし、可搬型であり、安価でかつ加速されたPCRのシステムおよび方法が必要である。一旦増幅されると、DNAは、例えば、光学的機器を用いることを含む、任意の数の利用可能な技法よって検出され得る。DNAの検出はまた、確認が所望されるかまたは定量が所望されるかに依存して、電気泳動によるか、または液体ハイブリダイゼーションによって達成され得る。
【0009】
微小流体工学は、種々の適用で用いられているけれども、単離、増幅および検出のステップを実施することに関して、PCRが微小流体工学的に有効に実施されるために、多くの技術的問題点が残っている。1つの困難性は、熱サイクラーの組み込みである。微小流体デバイス上の温度をモニターおよび変更するための適切なデバイスを開発するために種々の試みがなされている。例えば、国際特許出願PCT/US98/1791は、微小流体システム内の温度を、流体中に熱を生成し、そして流体温度の測定として溶液伝導度を測定するために、電流を流体に付与することによって、制御およびモニターするデバイスに関する。
【0010】
微小流体デバイス上の温度を制御するための別のシステムが、米国特許第6,541,274号に記載されている。この特許は、基板中に複数のリザーバーを有するリアクターシステムに関する。熱交換器は、上記リザーバー中に挿入されて温度を制御する。微小流体デバイス上の温度を制御するための現存するデバイスのなおその他の例は、米国特許第6,018,616号に記載されるような放射熱により、そして米国特許第6,020,187号に記載のような温度調節制御ブロックである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
一般に微小流体工学、そして詳細にはPCRまたはrtPCRの分野で顕著な進歩がなされてはいるが、熱サイクラーを備える微小流体デバイスのための技術分野において、特に微小流体PCRまたはrtPCRの文脈において、必要性が残っている。本発明は、この必要性を満たし、そしてさらに関連する利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の簡単な要旨)
本発明は、一般に、加熱、冷却および熱サイクリングシステムを搭載した微小流体デバイス、ならびに一体型熱交換器回路または熱電気冷却器(TEC)を有する微小流体デバイスに関する。
【0013】
1つの実施形態では、微小流体デバイスは、加熱、冷却および熱サイクリングシステムを搭載して開示され、このデバイス(例えば、カードの形態である)は、携帯可能に用いられ得る。この微小流体デバイスは、発熱性材料または吸熱性材料を含む1つ以上のリザーバーを備える。一旦、このリザーバー材料の化学的プロセスが活性化されると、このリザーバーは、上記微小流体カードの特定の位置に加熱または冷却を提供する。単一のカード上に複数のリザーバーが備えられ得、このカード上の種々の位置に変化する温度を提供する。任意の所望のアッセイ化学薬品が、種々のリザーバーに移動され得、例えば、PCRを含む多くの生物学的反応で有用な熱サイクルを生成する。
【0014】
別の実施形態では、一体型熱交換器が開示される。この交換器は、独立に加熱または冷却される流体を含む微小流体回路であるか、またはアッセイ流体を含む微小流体回路に隣接して位置決めされた発熱性材料または吸熱性材料であり、隣接する回路中の流体は、独立アッセイ回路中のアッセイ流体に温度変化を与える。熱交換器回路およびアッセイ回路の両方は、微小流体デバイス上に含まれる。熱交換器回路内の流体は、上記デバイスを、ポンプ輸送手段を提供する多岐管または器具に連結することにより循環され得る。
【0015】
本発明の別の実施形態では、熱電気冷却器(TEC)が、上記微小流体カード中に含まれる増幅リザーバーに隣接して位置決めされる。TECコントローラーは、このTEC、そして次に増幅リザーバーの温度を操作するために提供され、そして電源が、このTECに電力を提供するために提供される。
【0016】
本発明のこれらの局面およびその他の局面は、添付の図面および以下の詳細な説明を参照する際に明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(発明の詳細な説明)
上記のように、本発明は、一般に、オンボード加熱、冷却および熱サイクリングシステムを備えた微小流体デバイス、熱サイクリングを提供するために微小流体デバイスと組み合わせて用いられる一体型熱交換器回路またはTECを有する微小流体デバイスに関する。
【0018】
本発明の1つの局面によれば、可搬型微小流体デバイスはカードの形態にあり、そしてこのカードが可搬型で用いられ得るように、オンボード加熱、冷却および熱サイクリングシステムを有する。(一般に、本明細書中では、平面状の「カード」の形態で論議されているけれども、本発明の微小流体デバイスは、任意の数の物理的形態をとり得る。)この微小流体カードは、発熱性材料または吸熱性材料を含む1つ以上のリザーバーを含む。一旦、このリザーバー材料の化学的プロセスが活性化されると、このリザーバーは、上記微小流体カードの特定の位置に加熱または冷却を提供する。複数のリザーバーが単一のカード上に含まれ得、変化する温度を提供する。アッセイ化学薬品は、種々のリザーバーに移動され得、例えば、PCRを含む多くの生物学的反応で有用な熱サイクルを生成する。
【0019】
図1は、本発明の1つの例示の実施形態を示す。微小流体カード100は、発熱性または吸熱性粉末混合物を含むためのリザーバー110を含む。このリザーバー110は、加熱または冷却サイクルが開始されるまで、例えば、テープによって覆われ得る充填穴120を有する。固体混合物または液体混合物の異なる成分間のいくつかの化学的プロセスおよび物理的プロセスが、有意に発熱性または吸熱性であることが知られている。例えば、鉄粉末、活性炭粉末、およびセルロースの混合物は、数時間に亘り、60℃の一定温度を提供し得る。その一方、水溶液の温度は、塩化アンモニウムが添加される場合、減少する。正確な濃度が与えられると、成分が用い尽くされる(すなわち、反応が終了するか、または成分の濃度が平衡化する)まで、特定の熱吸収または熱出力を提供する数百の異なる混合物が存在する。
【0020】
例示の実施形態では、発熱性または吸熱性の材料の混合物がリザーバー110中に含まれる。充填穴または入口からのテープの除去に際し、空気が、この混合物と接触し、そしてこの混合物中の反応を開始し、このリザーバー上の温度を、このリザーバー内の材料の選択に依存して上昇(または下降)させる。1つの例では、鉄粉末、活性炭粉末、およびセルロースの混合物が用いられ、そして(10分後)62℃(±3℃)の温度を4時間の間維持することが見出された。このような混合物は、微小流体カード上の種々の位置で配置され得、そして、空気、湿度、または別の化学薬品のいずれかに曝されると、加熱(または冷却)プロセスを開始する。
【0021】
このようなカードの実際の適用は、インキュベーションのために37℃で数分間維持され得る免疫アッセイのような、一定温度でのインキュベーションを必要とする生物学的反応を実施するための受動または可搬微小流体カードを含み得る。多くのその他の生物学的反応は、37℃で数分間または数時間の酵素のインキュベーションに基づく。これらは、特に、DNA依存性DNAポリメラーゼ、制限酵素、RNA依存性DNAポリメラーゼ、ループ媒介等温増幅(LAMP)、および核酸配列を基礎にする増幅(NASBA)を含む。
【0022】
別の実施形態は、微小流体カード上に熱いゾーンおよび/または冷たいゾーンを提供する異なる混合物をともなう複数領域を含み得、その上に、微小流体回路が、任意の順序で、かつ所望される任意の接触時間の間、熱い領域および/または冷たい領域の上に所望の流体を保持し得る。例えば、核酸増幅のための熱サイクリング実験が、このデバイス中で実施され得る。サンプルが含まれる静止位置で温度を変化することを試みる現在の熱サイクラーとは異なり、この実施形態は、サンプルを微小流体工学によりカードの異なる位置に循環させる。これらの異なる位置は、所望の温度を有し得る。
【0023】
例えば、PCRカードは、95℃、55℃および72℃である3つの位置を有し得る。この適用は、立ち上げ時間(1つの温度から別の温度になる時間)がかなりより短いので、より短いサイクリング時間を生じ得る。立ち上がり時間は、代表的な熱サイクラー上のサイクリング時間の50%より多くに寄与する。別の利点は、かなりより小さい容量を用いる能力である。代表的な熱サイクラーでは、代表的な容量は10〜25μlであり、大部分は、実験室ピペットによって測定され得る量によって制限される。本発明の実施には、例えば、マイクロリットル程度低いか、または100nL程度にも低い、容量の増幅が達成され得る。さらに、より低い重量要求および電力要求のため、本発明は、操作のための外部器具をほとんど要求しないか、または要求しないハンドヘルド受動熱サイクリングカードの設計を可能にする。
【0024】
受動または可搬PCR微小流体カードに対し、多くの利点が存在している。PCRベースのアッセイの最初の2つのステップ(すなわち単離およひ増幅)は、いまや、微小流体工学および微小配管類によるクレジットカードのサイズの使い捨て可能なプラスチックデバイスに一体化され得、以下の利点を生じる:(1)汚染の最小化;(2)サンプル/試薬量の減少;(3)アッセイ時間の減少;(4)可搬性(ケア適用の点を含む);(5)単純さ;(6)前後一体化(例えば、単一カード上でのサンプル調製および分析の組み合わせ);ならびに(7)複数分析システムの排除。
【0025】
特に機器および装置に関して、PCRベースの微小流体カードに対する多くの利点が存在する。PCRカードにおいて、非冷却遠心分離を必要とするDNA抽出に以前必要とされた工程は、混合、分子拡散および固定された膜またはマトリックスの使用によるDNAの分離に置き換えられ得る。同様に、RNAの単離のために、上記機器は置き換えられ、そしてさらに、上記温度は、化学反応物の使用によって変化され得る。流体は、静水圧によって動かされることから、マイクロピペットは、PCRカードから除去される。混合は、拡散によって実施され、そして細胞溶解は、電子レンジにおいてではなく、溶解試薬との混合によって実施される。温度は、上記カード中の化学反応物によって変化され得ることから、水浴は同様に必要とされない。DNA増幅に関しては、本発明のPCRカードにおいて、熱サイクラーが、上記アッセイ回路に隣接する搭載リザーバーまたは微小流体回路のいずれかによって置き換えられる。さらに、上記工程の全ては封じ込められた滅菌条件下にて上記PCRカード中で生じ、そして別個の清潔な場所は必要とされないことから、空間のかなりの減少が提供される。
【0026】
(流体の加熱および冷却:熱交換器)
本発明の別の局面に従って、上記一体化熱交換器は、独立して加熱されるかもしくは冷却されるかのいずれかの流体を含有する微小流体回路であるか、またはアッセイ流体を含有する微小流体回路に隣接して配置される発熱性材料もしくは吸熱性材料であり、それによって、回路に隣接する流体は、独立の回路中にあるアッセイ流体に温度変化を与える。上記熱交換器回路および上記アッセイ含有回路の両方が、上記微小流体カード上に備えられる。上記熱交換器回路中の流体は、上記カードを機器の多岐管に連結することによって循環されて、ポンプ輸送手段を提供し得る。
【0027】
微小流体カードの任意の例示的実施形態において、一体化した加熱および冷却は、近接した(例えば、一方は他方の上部にあるか、またはそうでなければ隣接している)2つ以上のポンプおよびバルブ制御された微小流体回路を備える。一方の回路は、2つの部分の加熱混合物または冷却混合物の特定量の相互拡散を可能にし、そして他方は、加熱および/または冷却を必要とするアッセイ化学反応物を含有する微小流体回路である。加熱混合物の成分の相互拡散を制御することによって、例えば、正確な温度が、上記加熱混合物の2つの成分が流れている間中、調節および維持され得る。
【0028】
このような迅速な熱サイクラーの1つの実施形態は、図2に示される微小流体カードである。この配置は、標準的な熱サイクラーよりも4倍を超えて速いPCRサイズの熱交換という熱伝導能力を可能にする。これらの結果は、実験的に決定されており、そして17C/秒(3秒未満で50℃の変化、または1秒あたり17℃のランピング速度(ramping rate)を示す)までの勾配率を示す実際のデータによって実証されている。
【0029】
加熱および/または冷却を提供するための活性な微小流体回路を備える微小流体カードに対して、多くの、操作上、製造上および技術上の利点が存在する。例えば、これらのシステムは、比較的低い電力を必要とし、上記微小流体カードは、小さなサイズからなり、そして上記加熱/冷却単位は、例えば、4立方インチに標的化され、上記水溶液範囲中の任意の中間温度は、適切な熱コントローラー(0℃〜100℃)を用いて達成され得、そして/あるいは水溶液サンプルは、凍結および煮沸され得る。さらに、上記微小流体バルブ機能は、それらの小さいサイズおよび使用されるプラスチックの断熱特性を与えられており、バルブおよびカードプラスチックの大きな熱量の温度を変化させなくてもよく、迅速に温度を変化させる能力を提供する。同様に、小さい熱量は、非常に迅速な熱交換を可能にする。
【0030】
図2は、熱サイクラー熱交換器試験カードの1つの実施形態の平面図である。この、特別に設計され、そして作製されたカードは、加熱および冷却スキームの有効性を測定するために構築された。図3は、図2に示された試験カードの直線3A−3Aに沿って取られた断面図である。図4Aは、上記試験カードのフローチャートである。図4Bは、多岐管に挿入された上記試験カードの写真である。図4Cは、固定された熱電対を備えた試験カードの写真である。
【0031】
図5〜図8において、以下は、図の記号の定義である:
ColdSrc−冷流体貯蔵タンク(この場合、約0.3℃の氷水)における冷流体の温度を示す。
【0032】
HotSrc−温流体貯蔵タンク(この場合、これは、約80℃に加熱された水であった)における温流体の温度を示す。
【0033】
ColdIN−上記カードの入口での循環冷水の測定温度である。これは、試験下にある上記カードへの途中における、冷流体の温度上昇の指標である。この温度上昇は、これらの実験には重大ではないが、小さな、接近して連結された流体加熱器/冷却器の設計によって最小化される。
【0034】
HotIN−上記カードの入口での循環温水の測定温度である。これは、試験下にある上記カードへの途中における、温流体の(室温までの)温度下降の指標である。
【0035】
Mixer−上記サンプル流体のすぐ上およびすぐ下のチャネルを通って上記流体を流す前の、温流体および冷流体の混合物を均一にするために使用されるチャンバーの温度。これは、上記温流体バルブまたは上記冷流体バルブのいずれかの状態変化、ならびに上記温かい混合物および冷たい混合物の温度の状態変化を示すことによって、指示された温度変化の時間を示す。
【0036】
Chamber−上記試験カードの25μLサンプルチャンバーにおける固定された熱電対の温度。これは、上記サンプルの測定された熱応答である。
【0037】
図5は、熱チャンバー温度ステップ応答のグラフである。上記ステップ応答は、制御システムに特徴付けられる標準的な直線状システムである。図5に示される開ループステップ応答は、試験している配置に対して最大のサイクル時間を特徴付け得る、上昇時間および下降時間を示す。上記ステップ応答は、冷流体バルブを開いて上記チャンバー温度を均一にし、次いで、50秒の間、上記冷流体バルブを閉じ、同時に上記温流体バルブを開き、そして次いで、上記温流体バルブを閉じ、そして再び上記冷流体バルブを開くことに起因する。
【0038】
図6は、チャンバーの熱上昇の経時的なグラフである。上記チャンバー温度応答の上昇時間は、混合器の熱交換流体の熱上昇から約1秒まで遅らされる。これは、上記流体の流速および上記熱電対の分離によって、ほぼ説明される。流速は、温度を応答温度に導くことによる遅延の低下のために、上昇され得る。設計されたカードの配置において、50℃のサンプル温度上昇は、3秒内でもたらされる。PCRのための1つのプロトコルは、50℃の温度プラトーを必要とし、95℃〜75℃を移動し、そして50℃に戻る。駆動流体が正確に加熱され、かつ制御される場合、この正の熱上昇は、3秒未満で達成され得る。
【0039】
図7は、チャンバーの熱降下の経時的なグラフである。上記熱交換のための降下時間は、3秒未満で40℃の温度降下を達成する。やはり、代表的なPCRプロトコルにおいては、20℃〜30℃の熱降下が必要とされる。適切に設計された閉ループ熱フローコントローラーを用いると、この25μLのサンプルは、約10秒で3つのPCR温度によって熱サイクルされ得る。従って、PCRの30サイクルほどが、約5分で生じ得る。
【0040】
図8は、3レベル型調節(例えば、PCR)のグラフである。単純な開ループの3レベル温度サイクルは、上記温流体バルブおよび冷流体バルブを同時に開いて中間温度を達成することによって、実証される。このことは、上記バルブシステムが、上記温流体の限度と冷流体の限度との間の中間温度を達成する能力を実証する。適切に設計された混合器を備えた、上記温バルブおよび冷バルブの効率的サイクル調節を利用するバルブ制御システムは、任意の中間温度を達成し得る。上記システムはまた、上記駆動温度機能を調整して、より速いサイクル時間および安定な中間温度を達成できるようにし得る。
【0041】
図9は、上で詳細に記載された流体熱サイクラーにおける流体の流れを示すフローチャートである。
【0042】
積層カード上の加熱局部領域に対する上記熱流体アプローチは、いくつかの利点を有する。1つの主な利点は、増殖のための熱領域を、上記カード上の固定されない位置に位置させる能力である。第2の利点は、移動している熱流体によって上記増幅チャンバーを「囲む」または「覆う」ことにより、上記サンプルのなめらかかつ迅速な加熱を確実にする能力である。
【0043】
上記システムは、2つのポンプ、熱制御を備えた2つの熱交換器(温および冷)、熱流体リザーバー、関連する管系接続、上記ポンプからのパルスを緩和するための抵抗器およびコンデンサー、Fluorinert熱流体を加熱することによって生じた泡を除去するための非気泡化(de bubbler)回路を有する。
【0044】
上記熱流体に関して、水は、作動温度が沸点に近づくことから、熱流体として使用するのに実用的ではない。そこで、Fluorinert FC−40を、その不活性な特性およびその155℃という比較的高い沸点を理由に、代替として試験した。FC−40は、水の1/4の比熱(重量あたり)および水の約1/10の熱伝導性を有する。FC−40は、かなり不活性であり、そして充分に揮発性であって、流出物および漏出物はすぐに蒸発する。当業者は、多くの他の熱流体が本発明の技術に従って使用され得ることを、理解する。
【0045】
上記熱流体は、効率的な熱伝導材料ではないことから、入口ポートからどれほど離れているか、および増幅チャンバーがどれほど大きくあり得るかについて、制限が存在する。上記熱交換器から上記カードまでの全ての構成要素は、いくらかの熱量を有し、この熱量は、熱サイクリングの間に、加熱または冷却されなければならない。より大きな増幅領域を備えることは、流れの増大またはサイクル速度の低下を必要とする。
【0046】
Fluorinert FC−40を必要とされる温度にまで加熱する場合の1つの問題点は、上記流体中に溶解していた任意の空気が、高温では溶液から出てくることである。小さい泡は、上記回路の高い位置で集まる傾向にある。蓄積された空気が、上記流体の流れを阻止するのに充分に大きい泡を生じた場合、その泡は、温度制御において生じる問題にともなって進められた。上記熱流体システムは、周囲から容易に単離され得ず、そして循環している流体は、空気を再吸収する傾向にあることから、脱気は、実用的な選択肢ではなかった。この問題を緩和するために、回路のブリーダーによって泡を「トラップする」ことを考案した。上記熱交換器からの流体は、チャンバーの中心部にポンプ輸送され、この中心部では、存在している流体は、その底部から離れなければならない。入口ポートの上は、泡を集めることのできるチャンバーである。このチャンバーの先端には、ブリーダー管に接続されたポートが存在する。上記ブリーダー管は、熱流体リザーバーに戻される。上記ブリーダー管のリザーバー端で、抵抗器は、流れを減少する。0.020インチという短い長さのPEEK管系が、抵抗器として働く。
【0047】
(熱電気冷却器ペルチェ(TEC)を用いた熱サイクリング)
本発明のさらに別の代替的実施形態において、熱サイクリングは、熱電気冷却器(TEC)(例えば、ペルチェ)を用いて達成され得る。図10は、以下にさらに記載される本発明の熱電気サイクラーの構成要素のフロー概略図を示す。この配置は、PCRおよびrtPCRに伴う使用のための微小流体増幅チャンバーのための加熱冷却源として、TECを使用することの可能性を試験するために使用された。
【0048】
使用される機器:
電源 0〜20vdc(7.5VDCに設定)
逆電流方向へのDPDTスイッチ
熱シンク
DVM
TEC(Melcor CPO−8−63−06MM、12mm×25mm、Imax 2.1A、Vmax 7.62vdc)
熱電対
Micronics「run motor」ソフトウェアおよびThermocycler Dart(データ取得用)。
【0049】
例示的TECコントローラー配置:
PCを介した通信
・RS−232
・USB
・GPIB
サーミスターセンサー 20℃〜100℃
TECを温度まで上昇させる能力およびTECを温度まで低下させる能力。
【0050】
電流負荷 19VDCで3.7アンペア(7.4アンペアまで可能)
調節可能電圧出力 0〜20vdc、電流制限あり(または別個の電源を使用する能力)
データを取得および収集する能力。
【0051】
速いPIDループ
P=1℃〜200℃
I=1秒以下
D=1秒以下
加熱冷却のために異なるPID回路を使用する能力。
【0052】
最小の3つの温度にまで勾配を付け、そして浸漬する。勾配率は、1秒あたり6℃またはそれより速い。
【0053】
1つの例示的標的プロフィール:65℃〜75℃まで加熱し、そして60秒間維持する。94℃〜95℃まで可能な限りすばやく勾配を付け、5秒間維持(浸漬)し;65℃〜70℃まで勾配を付けて低下させ、さらに5秒間維持(浸漬)する。前述の2ステップ(94℃および72℃)を反復する。反復の総数は、各々40と見積もられる。
【0054】
温度および浸漬時間は、増幅のために選択された化学に基づいて変化する。
【0055】
第2の例示的標的プロフィール:95℃で3分間、27℃で30秒、65℃で10分間。別にこれの5ステップの改変が存在し、27℃〜95℃の温度で、種々の時間である。しかし、それは、PIDの要件外の意図を与える。
【0056】
第3の例示的標的プロフィール:90分までの間、温度を維持する。
【0057】
試験のセットアップおよび結果:全ての試験において、TECを7.5Vで作動させた。
【0058】
(試験操作:)
TECを、熱シンクとして作用するステンレス鋼テーブル上に配置した。熱電対を、上記TECの上面にテープで付けた。データを、TECが高温から低温にサイクルした際にとった。この試験により、60℃から95℃になるのに4.25秒という遷移時間、または8.65℃/秒を示したデータを得た。冷却時間は、96℃から60℃になるのに3秒、または12℃/秒であった。
【0059】
この試験は、TECを使用して温度を変化させることが実行可能であることを証明した。
【0060】
(増幅チャンバー試験:)
簡素な積層カードを、増幅チャンバーが0.004”Mylarの1つの層でキャッピングされるように設計した。これは、チャンバーのキャッピング層がTECと直接接触して配置されることを可能にした。図11に示すように、熱電対を、上記増幅チャンバーに挿入し、そしてそのチャンバーを、Fluorinert FC−40で充填した。
【0061】
増幅チャンバーの設計体積は、約10μlであった。これは、わずかに増大した。なぜなら、熱電対は、上記チャンバーにおいて膨張を引き起こすからである。実際の体積はおそらく15〜20μlである。上記熱電対は、増幅チャンバーの温度をモニタリングする。
【0062】
第1の試験を、積層をTECに直接配置して行った。絶縁パッドを、上記積層の上に配置し、そして3.5オンスのおもりを、先端に置いていくらかの圧力を提供した。
【0063】
図12のチャート(7.5v、インターフェース材料なし、TECは直接的にテーブルの上)において、加熱は、(特に、最初において)冷却よりもゆっくりであるように考えられ得る。図13は、図12におけるいくつかのデータの拡大を図示する。
【0064】
第2の試験を行った。このときは、TECを熱シンクの上に配置し、そして黒鉛熱インターフェースパッドの層を、上記TECと積層との間に配置した。図13は、熱シンクおよび黒鉛パッドを備えるTEC上のカードを示す。図14は、図13における結果を得た試験したカードの写真である。
【0065】
図15は、熱シンク上のTEC、およびそのTECと増幅チャンバーとの間の黒鉛パッドを示す。最初の図において、加熱は、(最初の加熱の後)速度が最後に尻すぼみになることなく、より一定である。しかし、冷却速度は、尻すぼみである。図16は、上記データの拡大を示す。全体のサイクル時間は、15.2秒である。
【0066】
(コメント:)
TECは、熱を片側からもう一方の側へ移動させる;プロセスにおいて、TECは熱を加える(TECは、かなりわずかな電流を起こす)。冷たい側が、すでに冷却した表面に接する場合、その表面から移動される熱は、最小であり、「熱い」側で起こった加熱は、主に、TECを通った電流に由来する。これは、TECが、冷たいステンレス鋼テーブル(約17℃)と直接接触した第一の試験において明らかである。何回かのサイクルの後、TECの下の領域は、わずかに熱くなり、そして70℃から95℃への上昇時間は、より速い。
【0067】
冷却時間は早い。なぜなら、TECとテーブルとの間には、熱を素早く逃がすのに十分な温度差があるからである。
【0068】
TECが熱シンク上に取り付けられる場合、その熱シンクは、積層に素早く移動され得る熱を保存し得る。従って、上昇温度はより早い。しかし、冷却時間は、より長い。なぜなら、TECと熱シンクとの間の温度差は、過剰な熱を非常に素早く逃がすことができないからである。
【0069】
上述は、効率的(および一定の)操作について達成されなければならない熱平衡を示す。熱シンクは、積層に素早く移動するために保存される十分な熱を有するべきであると同時に、熱シンクは、冷却プロセスを遅くするほど熱くあるべきでない。
【0070】
使用された黒鉛熱インターフェース材料は、試験された唯一の材料であり、他の適切な材料が使用され得る。
【0071】
これらの試験において使用されたTECは、比較的安価であり、非効率的なものであった。容易に利用可能な、より大きな電力のTECが存在する。熱い側と冷たい側との間の最大温度差は、下がることなく、約60℃である。本実施形態において、本発明者らは、カスケード式(積層型)TECを使用して考察するべきである。いくつかの用途は、27℃〜95℃の範囲を必要とし得る。カスケード式TECは、カードへの熱の移動およびカードからの熱の移動を補助し、そして発熱を防ぐ。
【0072】
(結論:)
16秒というサイクル時間(試験において最も悪い例)は、適切なサイズの熱シンク、TEC、およびより効率的な熱インターフェース材料を使用して大きく改善され得る。たとえ16秒においても、30回の完全なサイクルは、8分かかるだけである。TECは、上記カードの増幅領域に適合する大きさにされる。
【0073】
(最新の試験:)
上記のサイクル試験を、Parker Chomerics Thermagap材料61−02−0404−F574(0.020”の厚さ)を使用して繰り返した。574シリーズは、1.6W/m−Kの熱伝導率を提供するのにほんの5〜10psiの圧力を必要とする軟性エラストマー(<5Shore A)である。
【0074】
完全サイクルについてのタイミングは、サイクルの上および下における1秒間の反転時間を含んで、13〜14秒間であった。30回の完全なサイクルは、7分間かかる。上昇速度は、約5℃/秒である。下降速度は、約4℃/秒である。
【0075】
図17に示される以下の図を参照のこと。ここで留意すべきことは、増加および減少は、オーバーシュートを避けるために標的温度において「端数計算」を必要とすることである。これは、全体的なサイクル時間を有意に増加し得る。タイトなPIDコントロールループは、この端数計算を最小にし得る。
【0076】
(熱サイクルグラフィックインターフェース(GUI))
図18に示されるように、熱サイクルグラフィックインターフェースは、科学者または技術者がアッセイの開発について熱プロファイルを開発および調整することを可能にする。カスタムプロファイルは、種々の加熱要件および冷却要件について開発され得る。
【0077】
図19において、グラフは、制御サーミスタにおける温度を示す。PIDループ(比例積分および微分)は、各プロファイルを調整するためにトップパネルで調整され得る。タイミングは、各プロファイルの下側のパネルで設定され得る。データは、「Save Data」ボタンを押すことによって記録され得る。保存を停止したい場合は、「Store Data」ボタンを押す。CSVファイルとして保存される。
【0078】
図19に示されるように、一連のプロファイル(エレメント)を追加または削除することは、DまたはP.Selectの挿入もしくは削除の近くのPIDパネルを右クリックすることによって行われ得る。
【0079】
図20に示されるように、新たなエレメントは、プロファイル2とプロファイル3との間に挿入される。この場合において、本発明者らは、温度コントローラーが「OFF」に変えられる場合、5秒の「プロファイル」を含めている。一連のプロファイルを調整する場合、時々、数秒間TECをオフにすることが有用である。これは特に、オーバーシュートすることを回避するために冷却される場合に、一助となる。
【0080】
図21に示されるように、保存の後、新たなプロファイルは、プロファイル3となり、そして元々のプロファイル3は、プロファイル4となる。
【0081】
図22に示されるように、シリーズが開始された。出発プロファイル(Start Profile)の光が点灯する。使用中(In Use)の光は、プロファイルが作動(active)状態であることを示す。(Powerの光もまた、これがシミュレーションからでなかった場合に点灯する。)カウントタイマーは、どのくらいの時間、プロファイルが活動的であるかを示す。実施されるサイクルの数は、(Number of Cycles)ボックスから選択される。ここで留意することは、全てのプロファイルシリーズが、それがサイクルされるべきことを示してチェックされた、少なくとも1つのボックスを有さなければならないことである。「Number of Cycles」ボックスにて1サイクルを示すことによって、シリーズ全体が、開始から終了までいかなる繰り返しをすることなく実行され得る。サイクルに対するプロファイルの長いシリーズは、一緒に一列に並べられ得る。個々の繰り返されないプロファイルは、サイクルされるシリーズの前後に配置され得る。
【0082】
図23に示されるように、TECの上面に取り付けられた第2のサーミスタが存在する。これは、TECの過熱または冷却を防ぐためにモニタリングされる。サイクラーが稼動する場合、所定の制御サーミスタを常に有することが重要である。
【0083】
図24は、長いシリーズの一例を示す。プロファイル1およびプロファイル2は、一度実行される。プロファイル3〜プロファイル7の全ては、チェックされたサイクルボックスを有する。これらは、連続して実行され、次いで、39回繰り返される(サイクルの数(Number of Cycles)=39)。プロファイル7が39回実行された後、プロファイル8〜10が一度実行される。プロファイル10が実行された後、プログラムは、TECに対するコントローラーアウトプットをオフにする。
【0084】
図25は、最小のオーバーシュートを有する温度に到達するために、2つのプロファイルを使用する例を示す。低いほうのP(比例ゲイン)は、コントローラーにTECを素早く動かせる。次いで、高いほうのPへスイッチングすると、コントローラーのアウトプットは、より低くなり、そして温度は、標的をオーバーシュートしない。プロファイル3およびプロファイル4において、TECは、58.5℃にまで下げられる。システム上の待機時間(latency)が理由で、システムはオーバーシュートし、TECの温度を逆転する。TECに移動する熱は、オーバーシュートを減少する。設定温度、比例ゲイン、およびタイミングを調整することによって、温度をオーバーシュートすることなしに所望の温度に合わせることが可能である。次いで、その温度を保持するためのプロファイルが行われる。ここで留意することは、アウトプットがオフにされない限り(上記を参照のこと)、コントローラーは、TECを、セット温度にまで上昇させるかまたは下降させるかのいずれかに駆動することが試みられることである。十分な時間が与えられると、これは、「フラットなライン」を達成するが、迅速な熱サイクリングに関しては、ランプを上下に調整することが有用である。
【0085】
図26〜28は、GUIの種々の局面を示す。プルダウンメニューを使用して、最後に開かれたファイルが選択され得る。表示されるグラフ時間は、30秒〜5分に選択され得る。「室温」ならびにアウトプットのオンまたはオフが選択され得る。ここで留意すべきことは、シリーズが完了した後に、コントローラーのアウトプットがオフにされることである。多くの場合、シリーズの最後に室温プロファイルを有することが有用である。コントローラーがオンにされる場合、それは、TECを「設定温度」に駆動する。
【0086】
図29は、上で考察されるような本発明の原理に従って、熱サイクリングのためにTECを使用する微流動性カードの断面である。図29において、複数の増幅リザーバーまたは流動チャンバーは、TECによって同時にサイクルされる。増幅リザーバーは、PET材料およびACA(接着性キャリア接着剤)材料の層の間に維持され、携帯用の微流動性カードを提供する。
【0087】
図29にさらに示されるように、熱スペーサーまたは熱スプレッダーが、TEC表面にわたってより均一な熱を提供するために、TECと増幅リザーバーとの間に使用され得る。熱スプレッダーは、最終的に、TECの熱プロファイルによって決定されるが、1つの例示的な熱スプレッダーは、銅の層間のPTFEの層である。しかし、当業者は、熱スプレッダーの多くのバリエーションが受容可能であるあることを理解する。
【0088】
図29に示されるインターフェースパッドは、熱を微流動性カードに、より効率的に移動させる熱パッドである。同様に、TECと熱スプレッダーまたは熱スペーサーとの間の熱グリースは、同業者に公知であり、熱移動をさらに高める。
【0089】
(例示的な増幅方法および温度サイクル)
以下の温度プロファイルは、本発明の方法および装置を使用する微流動性カードで達成された。
【0090】
(A.ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)温度プロファイル)
【0091】
【表1】
主要目的:
1)一定性
2)アニーリング工程について調節可能で正確な温度(最低T)
3)アニーリング工程について調節可能な保持時間
4)伸長工程において調節可能な保持時間(72℃)
5)95℃を越えないこと(酵素の変性を防ぐ)
6)迅速性。
【0092】
(B.核酸配列に基づく分析(NASBA)温度プロファイル)
【0093】
【表2】
主要目的:
1)安定な40℃の温度(>42℃で酵素が変性される)。±1.0℃。
2)65℃および40℃での調節可能な保持時間。40℃について、最大90分間。
2)65℃以上がよい。
3)65℃において2〜5分間の保持が標準的であるが、それより短くてもよい(未知)。
4)65℃の後、40℃への一貫した時間(consitent time)(プログラムされた酵素添加のため)。
5)より短い方が良好であるが、65℃から40℃に冷却するための1〜2分間はよい。
【0094】
−DARTと一緒に使用される電流ブロックヒーターは、約10分間かかる。
【0095】
−電流熱サイクルは、約1分間かかる。
【0096】
(C.逆転写酵素(rt)温度プロファイル)
【0097】
【表3】
主要目的:
1)オーバーシュートがないか、または最小である、47℃で安定な温度。
2)47℃について、調節可能な保持時間。60分が最大。
3)10分間の75℃以上への急速な上昇。
【0098】
(D.ループ媒介性増幅(LAMP)温度プロファイル)
【0099】
【表4】
主要目的:
1)最小のオーバーシュートでの、安定な62℃。
2)62℃について調節可能な保持時間。60分が最大。
【0100】
(結論)
本発明の例示された実施形態の上記の記載は、網羅的であることも、本発明を詳細な形態の開示に限定することも意図しない。当業者が理解するように、本発明の特定の実施形態、および本発明についての実施例は、例示的な目的のために本明細書中で記載されるが、種々の等価な改変は本発明の範囲内で可能である。本明細書中で提供される、本発明の教示は、他の微流動性デバイスに適用され得、必ずしも上記のPCRカードおよびrtPCRカードである必要はない。
【0101】
上記より、本発明の特定の実施形態が例示の目的で本明細書中で記載されたが、種々の改変が、本発明の精神および範囲を逸脱することなくなされ得ることが理解される。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲以外によっては、限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】図1は、本発明の原理による熱サイクリング微小流体デバイスの概略図を示す。
【図2】図2は、本発明の原理による本発明の熱サイクリング微小流体デバイスの1つの実施形態の平面図を示す。
【図3】図3は、本発明の原理による図2の直線3A−3Aに沿った微小流体デバイスの断面図を示す。
【図4A】図4Aは、本発明の原理による多岐管中の熱サイクリング微小流体デバイスのフローチャートを示す。
【図4B】図4Bおよび4Cは、本発明の原理による多岐管中の熱サイクリング微小流体デバイスの写真を示す。
【図4C】図4Bおよび4Cは、本発明の原理による多岐管中の熱サイクリング微小流体デバイスの写真を示す。
【図5】図5は、本発明の原理による熱チャンバーステップ応答を経時的に示すグラフである。
【図6】図6は、本発明の原理による熱チャンバーの熱上昇を経時的に示すグラフである。
【図7】図7は、本発明の原理による熱チャンバーの熱下降を経時的に示すグラフである。
【図8】図8は、本発明の原理による、時間に対する3つのレベルのPCR温度調節を示すグラフである。
【図9】図9は、本発明の原理による流体熱サイクラーの構成要素を示すフローチャートである。
【図10】図10は、本発明の原理による熱電気サイクラーの構成要素を示すフローチャートである。
【図11】図11は、本発明の原理による、増幅チャンバー中に挿入された熱電対を備えた微小流体試験積層体の概略である。
【図12】図12は、本発明の原理による、TECがTECと微小流体カードとの間に熱インターフェース材料のないステンレス鋼上に直接配置されたときの温度変化を経時的に示すグラフである。
【図13】図13は、本発明の原理による、TECが熱シンク上に配置され、そしてグラファイト熱インターフェースパッドの層がTECと積層体との間に配置されるときの温度変化を経時的に示すグラフである。
【図14】図14は、本発明の原理による図13のカードの写真である。
【図15】図15は、本発明の原理による、TECが熱シンク、およびTECと増幅チャンバーとの間のグラファイトパッド上に配置されるときの温度変化を経時的に示すグラフである。
【図16】図16は、図15のグラフの一部分の拡大である。
【図17】図17は、本発明の原理による、TECがThermagap熱シンク上に配置されるときの温度変化を経時的に示すグラフである。
【図18】図18は、本発明の原理による、Thermal Cycler Graphic Interface(GUI)のスクリーンショットである。
【図19】図19は、本発明の原理による、Profileの付加または欠失を示すGUIのスクリーンショットである。
【図20】図20は、本発明の原理によるGUIの別のスクリーンショットである。
【図21】図21は、本発明の原理によるGUIの別のスクリーンショットである。
【図22】図22は、本発明の原理によるGUIの別のスクリーンショットである。
【図23】図23は、本発明の原理によるGUIの別のスクリーンショットである。
【図24】図24は、本発明の原理によるGUIの別のスクリーンショットである。
【図25】図25は、本発明の原理によるGUIの別のスクリーンショットである。
【図26】図26は、本発明の原理によるGUIの別のスクリーンショットである。
【図27】図27は、本発明の原理によるGUIの別のスクリーンショットである。
【図28】図28は、本発明の原理によるGUIの別のスクリーンショットである。
【図29】図29は、本発明の原理によるGUIの別のスクリーンショットである。
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、熱サイクリングにおける使用のための微小流体デバイス上の一体型ヒーターおよびクーラーに、より詳細には、加熱、冷却および熱サイクリングシステムを搭載した携帯用微小流体カードに関する。本発明は、さらに、例えば、PCRまたはrtPCRでの使用のための熱サイクリングを提供するために、微小流体デバイスと組み合わせた使用のための一体型熱交換回路、または熱電気冷却器(TEC)を有する微小流体カードに関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の説明)
液体のナノリットルサイズの容量に対する制御を提供する一体型微小流体取り扱いシステムは、現在の分析試験を小型化すること、および生物医学的試験で頻繁に用いられる小サンプルサイズを取り扱うことの両方で有用である。全体の化学的分析は、単一の微小流体デバイス上で実施され得る。これら微小流体デバイスは、チャネル、バルブ、ポンプ、フローセンサー、混合チャンバー、光学的検出器のような構成要素を含む。これら構成要素およびシステムの例は、米国特許第5,932,100号;同第5,922,210号;同第6,387,290号;同第5,747,349号;同第5,748,827号;同第5,726,751号;同第5,724,404号;同第5,716,852号;同第5,974,867号;同第6,007,775号;同第5,972,710号;同第5,971,158号;同第5,948,684号;および同第6,171,865号(これらの特許は、それらの全体が本明細書によって参考として援用される)中に見出され得る。
【0003】
分析を微小流体的に実施する能力は、処理能力、試薬消費、および自動化の実質的利点を提供する。微小流体システムの別の利点は、分析および/または合成のための反応体の処理を実施するために、単一の「チップ上のラボ(lab−on−a−chip)」デバイスにおいて多数の異なる操作を一体化する能力である。微小流体工学の利点から利益を受け得る操作の1つの例は、一般にPCRとして知られるポリメラーゼ連鎖反応、または一般に逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応として知られるrtPCRである。
【0004】
PCRは、DNAの特異的セグメントを増幅するために用いられる技法である。簡単には、DNAは、DNAポリメラーゼ、非結合ヌクレオチド塩基、および「プライマー」(すなわち、所望のDNAセグメントの端部と結合するヌクレオチドの短配列)を含む溶液と接触する。2つのプライマーが用いられる。第1のプライマーは、2つの対合するDNA鎖の1つの上の所望のセグメントの1つの端部で結合し、その一方、第2のプライマーは、他方の端部で、しかし他方のDNA鎖上で、結合する。この溶液は、約95℃の温度まで加熱され、このDNAの鎖間の結合を壊す。これらプライマーは、このような高温で上記DNA鎖に結合することができないので、この溶液は、約55℃まで冷却される。この温度で、これらプライマーは、分離された鎖に結合または「アニール」する。DNAポリメラーゼは、約72℃で最も良く働くので、温度は再び上げられ、そしてこのDNAポリメラーゼは、上記プライマーにフリーのヌクレオチド塩基を連結することにより新たな鎖を迅速に構築する。このプロセスが繰り返されるとき、1つのプライマーを用いて形成されたストランドは、他方のプライマーに結合し、所望のセグメントだけに制限されている新たな鎖を生じる。従って、これらプライマー間のDNAの領域が選択的に複製される。さらに、このプロセスの繰り返しは、数時間にDNAの小片の数十億のコピーを生成し得る。
【0005】
特異的細菌もしくはウイルス、または遺伝病の検出を可能にして、PCRは、ヒトの診断学のために利用可能な最も強力なツールになった。PCRは、DNAの単一分子ほどの小さい分子を増幅し得るので、汚染の問題は、最優先事項になる。汚染のリスクを最小にするため、多くの実験室は、それらのPCR機械を収容するために別個の部屋を設定することが必要になった。
【0006】
rtPCRは、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応の短縮型である。それは、RNA鎖がDNA相補物に転写され、それをPCR増幅に供し得る技法である。RNA鎖をDNA相補物に転写することは逆転写と呼ばれ、そして酵素:逆転写酵素によってなされる。
【0007】
PCRを基礎にするアッセイは3つの基礎的ステップを有する:DNAの単離、DNAの増幅、およびDNAの検出である。過去におけるDNA単離プロセスは、非常に冗漫な手順を含み、そして診断PCRにとって制限因子であった。技術の進歩とともに、DNA単離手順は単純化されるようになり、それにより、DNAは、試薬添加および遠心分離で迅速に抽出され得る。単純化されているけれども、単離の伝統的な方法は、高価かつ厄介な設備の使用を必要とし、これには、例えば、その後の、約16000gの相対遠心力(RCF)で少なくとも1300rmpの非冷却遠心分離が含まれる。さらに、マイクロピペットの良好なオートクレーブ可能なセットもまた、DNA抽出のために必要とされ、同様に、可変速度重負荷Vortex Mixer、細胞の溶解のための電子レンジ、および沸騰およびインキュベーションのためのウォーターバスがある。
【0008】
DNAが単離された後、単一のDNA分子が、上記で論議されたように、サイクル毎に温度を96℃〜55℃〜72℃に変更する熱サイクラーの支援で、10億コピー以上に増幅され得る。伝統的なPCRでは、PCR反応混合物の迅速な加熱および冷却のための反応容器としてのガラスキャピラリーの使用が、増幅時間を短縮化するために用いられている。しかし、これらの進歩にもかかわらず、単純化され、汚染のリスクまたは人の誤りを最小にし、可搬型であり、安価でかつ加速されたPCRのシステムおよび方法が必要である。一旦増幅されると、DNAは、例えば、光学的機器を用いることを含む、任意の数の利用可能な技法よって検出され得る。DNAの検出はまた、確認が所望されるかまたは定量が所望されるかに依存して、電気泳動によるか、または液体ハイブリダイゼーションによって達成され得る。
【0009】
微小流体工学は、種々の適用で用いられているけれども、単離、増幅および検出のステップを実施することに関して、PCRが微小流体工学的に有効に実施されるために、多くの技術的問題点が残っている。1つの困難性は、熱サイクラーの組み込みである。微小流体デバイス上の温度をモニターおよび変更するための適切なデバイスを開発するために種々の試みがなされている。例えば、国際特許出願PCT/US98/1791は、微小流体システム内の温度を、流体中に熱を生成し、そして流体温度の測定として溶液伝導度を測定するために、電流を流体に付与することによって、制御およびモニターするデバイスに関する。
【0010】
微小流体デバイス上の温度を制御するための別のシステムが、米国特許第6,541,274号に記載されている。この特許は、基板中に複数のリザーバーを有するリアクターシステムに関する。熱交換器は、上記リザーバー中に挿入されて温度を制御する。微小流体デバイス上の温度を制御するための現存するデバイスのなおその他の例は、米国特許第6,018,616号に記載されるような放射熱により、そして米国特許第6,020,187号に記載のような温度調節制御ブロックである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
一般に微小流体工学、そして詳細にはPCRまたはrtPCRの分野で顕著な進歩がなされてはいるが、熱サイクラーを備える微小流体デバイスのための技術分野において、特に微小流体PCRまたはrtPCRの文脈において、必要性が残っている。本発明は、この必要性を満たし、そしてさらに関連する利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の簡単な要旨)
本発明は、一般に、加熱、冷却および熱サイクリングシステムを搭載した微小流体デバイス、ならびに一体型熱交換器回路または熱電気冷却器(TEC)を有する微小流体デバイスに関する。
【0013】
1つの実施形態では、微小流体デバイスは、加熱、冷却および熱サイクリングシステムを搭載して開示され、このデバイス(例えば、カードの形態である)は、携帯可能に用いられ得る。この微小流体デバイスは、発熱性材料または吸熱性材料を含む1つ以上のリザーバーを備える。一旦、このリザーバー材料の化学的プロセスが活性化されると、このリザーバーは、上記微小流体カードの特定の位置に加熱または冷却を提供する。単一のカード上に複数のリザーバーが備えられ得、このカード上の種々の位置に変化する温度を提供する。任意の所望のアッセイ化学薬品が、種々のリザーバーに移動され得、例えば、PCRを含む多くの生物学的反応で有用な熱サイクルを生成する。
【0014】
別の実施形態では、一体型熱交換器が開示される。この交換器は、独立に加熱または冷却される流体を含む微小流体回路であるか、またはアッセイ流体を含む微小流体回路に隣接して位置決めされた発熱性材料または吸熱性材料であり、隣接する回路中の流体は、独立アッセイ回路中のアッセイ流体に温度変化を与える。熱交換器回路およびアッセイ回路の両方は、微小流体デバイス上に含まれる。熱交換器回路内の流体は、上記デバイスを、ポンプ輸送手段を提供する多岐管または器具に連結することにより循環され得る。
【0015】
本発明の別の実施形態では、熱電気冷却器(TEC)が、上記微小流体カード中に含まれる増幅リザーバーに隣接して位置決めされる。TECコントローラーは、このTEC、そして次に増幅リザーバーの温度を操作するために提供され、そして電源が、このTECに電力を提供するために提供される。
【0016】
本発明のこれらの局面およびその他の局面は、添付の図面および以下の詳細な説明を参照する際に明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(発明の詳細な説明)
上記のように、本発明は、一般に、オンボード加熱、冷却および熱サイクリングシステムを備えた微小流体デバイス、熱サイクリングを提供するために微小流体デバイスと組み合わせて用いられる一体型熱交換器回路またはTECを有する微小流体デバイスに関する。
【0018】
本発明の1つの局面によれば、可搬型微小流体デバイスはカードの形態にあり、そしてこのカードが可搬型で用いられ得るように、オンボード加熱、冷却および熱サイクリングシステムを有する。(一般に、本明細書中では、平面状の「カード」の形態で論議されているけれども、本発明の微小流体デバイスは、任意の数の物理的形態をとり得る。)この微小流体カードは、発熱性材料または吸熱性材料を含む1つ以上のリザーバーを含む。一旦、このリザーバー材料の化学的プロセスが活性化されると、このリザーバーは、上記微小流体カードの特定の位置に加熱または冷却を提供する。複数のリザーバーが単一のカード上に含まれ得、変化する温度を提供する。アッセイ化学薬品は、種々のリザーバーに移動され得、例えば、PCRを含む多くの生物学的反応で有用な熱サイクルを生成する。
【0019】
図1は、本発明の1つの例示の実施形態を示す。微小流体カード100は、発熱性または吸熱性粉末混合物を含むためのリザーバー110を含む。このリザーバー110は、加熱または冷却サイクルが開始されるまで、例えば、テープによって覆われ得る充填穴120を有する。固体混合物または液体混合物の異なる成分間のいくつかの化学的プロセスおよび物理的プロセスが、有意に発熱性または吸熱性であることが知られている。例えば、鉄粉末、活性炭粉末、およびセルロースの混合物は、数時間に亘り、60℃の一定温度を提供し得る。その一方、水溶液の温度は、塩化アンモニウムが添加される場合、減少する。正確な濃度が与えられると、成分が用い尽くされる(すなわち、反応が終了するか、または成分の濃度が平衡化する)まで、特定の熱吸収または熱出力を提供する数百の異なる混合物が存在する。
【0020】
例示の実施形態では、発熱性または吸熱性の材料の混合物がリザーバー110中に含まれる。充填穴または入口からのテープの除去に際し、空気が、この混合物と接触し、そしてこの混合物中の反応を開始し、このリザーバー上の温度を、このリザーバー内の材料の選択に依存して上昇(または下降)させる。1つの例では、鉄粉末、活性炭粉末、およびセルロースの混合物が用いられ、そして(10分後)62℃(±3℃)の温度を4時間の間維持することが見出された。このような混合物は、微小流体カード上の種々の位置で配置され得、そして、空気、湿度、または別の化学薬品のいずれかに曝されると、加熱(または冷却)プロセスを開始する。
【0021】
このようなカードの実際の適用は、インキュベーションのために37℃で数分間維持され得る免疫アッセイのような、一定温度でのインキュベーションを必要とする生物学的反応を実施するための受動または可搬微小流体カードを含み得る。多くのその他の生物学的反応は、37℃で数分間または数時間の酵素のインキュベーションに基づく。これらは、特に、DNA依存性DNAポリメラーゼ、制限酵素、RNA依存性DNAポリメラーゼ、ループ媒介等温増幅(LAMP)、および核酸配列を基礎にする増幅(NASBA)を含む。
【0022】
別の実施形態は、微小流体カード上に熱いゾーンおよび/または冷たいゾーンを提供する異なる混合物をともなう複数領域を含み得、その上に、微小流体回路が、任意の順序で、かつ所望される任意の接触時間の間、熱い領域および/または冷たい領域の上に所望の流体を保持し得る。例えば、核酸増幅のための熱サイクリング実験が、このデバイス中で実施され得る。サンプルが含まれる静止位置で温度を変化することを試みる現在の熱サイクラーとは異なり、この実施形態は、サンプルを微小流体工学によりカードの異なる位置に循環させる。これらの異なる位置は、所望の温度を有し得る。
【0023】
例えば、PCRカードは、95℃、55℃および72℃である3つの位置を有し得る。この適用は、立ち上げ時間(1つの温度から別の温度になる時間)がかなりより短いので、より短いサイクリング時間を生じ得る。立ち上がり時間は、代表的な熱サイクラー上のサイクリング時間の50%より多くに寄与する。別の利点は、かなりより小さい容量を用いる能力である。代表的な熱サイクラーでは、代表的な容量は10〜25μlであり、大部分は、実験室ピペットによって測定され得る量によって制限される。本発明の実施には、例えば、マイクロリットル程度低いか、または100nL程度にも低い、容量の増幅が達成され得る。さらに、より低い重量要求および電力要求のため、本発明は、操作のための外部器具をほとんど要求しないか、または要求しないハンドヘルド受動熱サイクリングカードの設計を可能にする。
【0024】
受動または可搬PCR微小流体カードに対し、多くの利点が存在している。PCRベースのアッセイの最初の2つのステップ(すなわち単離およひ増幅)は、いまや、微小流体工学および微小配管類によるクレジットカードのサイズの使い捨て可能なプラスチックデバイスに一体化され得、以下の利点を生じる:(1)汚染の最小化;(2)サンプル/試薬量の減少;(3)アッセイ時間の減少;(4)可搬性(ケア適用の点を含む);(5)単純さ;(6)前後一体化(例えば、単一カード上でのサンプル調製および分析の組み合わせ);ならびに(7)複数分析システムの排除。
【0025】
特に機器および装置に関して、PCRベースの微小流体カードに対する多くの利点が存在する。PCRカードにおいて、非冷却遠心分離を必要とするDNA抽出に以前必要とされた工程は、混合、分子拡散および固定された膜またはマトリックスの使用によるDNAの分離に置き換えられ得る。同様に、RNAの単離のために、上記機器は置き換えられ、そしてさらに、上記温度は、化学反応物の使用によって変化され得る。流体は、静水圧によって動かされることから、マイクロピペットは、PCRカードから除去される。混合は、拡散によって実施され、そして細胞溶解は、電子レンジにおいてではなく、溶解試薬との混合によって実施される。温度は、上記カード中の化学反応物によって変化され得ることから、水浴は同様に必要とされない。DNA増幅に関しては、本発明のPCRカードにおいて、熱サイクラーが、上記アッセイ回路に隣接する搭載リザーバーまたは微小流体回路のいずれかによって置き換えられる。さらに、上記工程の全ては封じ込められた滅菌条件下にて上記PCRカード中で生じ、そして別個の清潔な場所は必要とされないことから、空間のかなりの減少が提供される。
【0026】
(流体の加熱および冷却:熱交換器)
本発明の別の局面に従って、上記一体化熱交換器は、独立して加熱されるかもしくは冷却されるかのいずれかの流体を含有する微小流体回路であるか、またはアッセイ流体を含有する微小流体回路に隣接して配置される発熱性材料もしくは吸熱性材料であり、それによって、回路に隣接する流体は、独立の回路中にあるアッセイ流体に温度変化を与える。上記熱交換器回路および上記アッセイ含有回路の両方が、上記微小流体カード上に備えられる。上記熱交換器回路中の流体は、上記カードを機器の多岐管に連結することによって循環されて、ポンプ輸送手段を提供し得る。
【0027】
微小流体カードの任意の例示的実施形態において、一体化した加熱および冷却は、近接した(例えば、一方は他方の上部にあるか、またはそうでなければ隣接している)2つ以上のポンプおよびバルブ制御された微小流体回路を備える。一方の回路は、2つの部分の加熱混合物または冷却混合物の特定量の相互拡散を可能にし、そして他方は、加熱および/または冷却を必要とするアッセイ化学反応物を含有する微小流体回路である。加熱混合物の成分の相互拡散を制御することによって、例えば、正確な温度が、上記加熱混合物の2つの成分が流れている間中、調節および維持され得る。
【0028】
このような迅速な熱サイクラーの1つの実施形態は、図2に示される微小流体カードである。この配置は、標準的な熱サイクラーよりも4倍を超えて速いPCRサイズの熱交換という熱伝導能力を可能にする。これらの結果は、実験的に決定されており、そして17C/秒(3秒未満で50℃の変化、または1秒あたり17℃のランピング速度(ramping rate)を示す)までの勾配率を示す実際のデータによって実証されている。
【0029】
加熱および/または冷却を提供するための活性な微小流体回路を備える微小流体カードに対して、多くの、操作上、製造上および技術上の利点が存在する。例えば、これらのシステムは、比較的低い電力を必要とし、上記微小流体カードは、小さなサイズからなり、そして上記加熱/冷却単位は、例えば、4立方インチに標的化され、上記水溶液範囲中の任意の中間温度は、適切な熱コントローラー(0℃〜100℃)を用いて達成され得、そして/あるいは水溶液サンプルは、凍結および煮沸され得る。さらに、上記微小流体バルブ機能は、それらの小さいサイズおよび使用されるプラスチックの断熱特性を与えられており、バルブおよびカードプラスチックの大きな熱量の温度を変化させなくてもよく、迅速に温度を変化させる能力を提供する。同様に、小さい熱量は、非常に迅速な熱交換を可能にする。
【0030】
図2は、熱サイクラー熱交換器試験カードの1つの実施形態の平面図である。この、特別に設計され、そして作製されたカードは、加熱および冷却スキームの有効性を測定するために構築された。図3は、図2に示された試験カードの直線3A−3Aに沿って取られた断面図である。図4Aは、上記試験カードのフローチャートである。図4Bは、多岐管に挿入された上記試験カードの写真である。図4Cは、固定された熱電対を備えた試験カードの写真である。
【0031】
図5〜図8において、以下は、図の記号の定義である:
ColdSrc−冷流体貯蔵タンク(この場合、約0.3℃の氷水)における冷流体の温度を示す。
【0032】
HotSrc−温流体貯蔵タンク(この場合、これは、約80℃に加熱された水であった)における温流体の温度を示す。
【0033】
ColdIN−上記カードの入口での循環冷水の測定温度である。これは、試験下にある上記カードへの途中における、冷流体の温度上昇の指標である。この温度上昇は、これらの実験には重大ではないが、小さな、接近して連結された流体加熱器/冷却器の設計によって最小化される。
【0034】
HotIN−上記カードの入口での循環温水の測定温度である。これは、試験下にある上記カードへの途中における、温流体の(室温までの)温度下降の指標である。
【0035】
Mixer−上記サンプル流体のすぐ上およびすぐ下のチャネルを通って上記流体を流す前の、温流体および冷流体の混合物を均一にするために使用されるチャンバーの温度。これは、上記温流体バルブまたは上記冷流体バルブのいずれかの状態変化、ならびに上記温かい混合物および冷たい混合物の温度の状態変化を示すことによって、指示された温度変化の時間を示す。
【0036】
Chamber−上記試験カードの25μLサンプルチャンバーにおける固定された熱電対の温度。これは、上記サンプルの測定された熱応答である。
【0037】
図5は、熱チャンバー温度ステップ応答のグラフである。上記ステップ応答は、制御システムに特徴付けられる標準的な直線状システムである。図5に示される開ループステップ応答は、試験している配置に対して最大のサイクル時間を特徴付け得る、上昇時間および下降時間を示す。上記ステップ応答は、冷流体バルブを開いて上記チャンバー温度を均一にし、次いで、50秒の間、上記冷流体バルブを閉じ、同時に上記温流体バルブを開き、そして次いで、上記温流体バルブを閉じ、そして再び上記冷流体バルブを開くことに起因する。
【0038】
図6は、チャンバーの熱上昇の経時的なグラフである。上記チャンバー温度応答の上昇時間は、混合器の熱交換流体の熱上昇から約1秒まで遅らされる。これは、上記流体の流速および上記熱電対の分離によって、ほぼ説明される。流速は、温度を応答温度に導くことによる遅延の低下のために、上昇され得る。設計されたカードの配置において、50℃のサンプル温度上昇は、3秒内でもたらされる。PCRのための1つのプロトコルは、50℃の温度プラトーを必要とし、95℃〜75℃を移動し、そして50℃に戻る。駆動流体が正確に加熱され、かつ制御される場合、この正の熱上昇は、3秒未満で達成され得る。
【0039】
図7は、チャンバーの熱降下の経時的なグラフである。上記熱交換のための降下時間は、3秒未満で40℃の温度降下を達成する。やはり、代表的なPCRプロトコルにおいては、20℃〜30℃の熱降下が必要とされる。適切に設計された閉ループ熱フローコントローラーを用いると、この25μLのサンプルは、約10秒で3つのPCR温度によって熱サイクルされ得る。従って、PCRの30サイクルほどが、約5分で生じ得る。
【0040】
図8は、3レベル型調節(例えば、PCR)のグラフである。単純な開ループの3レベル温度サイクルは、上記温流体バルブおよび冷流体バルブを同時に開いて中間温度を達成することによって、実証される。このことは、上記バルブシステムが、上記温流体の限度と冷流体の限度との間の中間温度を達成する能力を実証する。適切に設計された混合器を備えた、上記温バルブおよび冷バルブの効率的サイクル調節を利用するバルブ制御システムは、任意の中間温度を達成し得る。上記システムはまた、上記駆動温度機能を調整して、より速いサイクル時間および安定な中間温度を達成できるようにし得る。
【0041】
図9は、上で詳細に記載された流体熱サイクラーにおける流体の流れを示すフローチャートである。
【0042】
積層カード上の加熱局部領域に対する上記熱流体アプローチは、いくつかの利点を有する。1つの主な利点は、増殖のための熱領域を、上記カード上の固定されない位置に位置させる能力である。第2の利点は、移動している熱流体によって上記増幅チャンバーを「囲む」または「覆う」ことにより、上記サンプルのなめらかかつ迅速な加熱を確実にする能力である。
【0043】
上記システムは、2つのポンプ、熱制御を備えた2つの熱交換器(温および冷)、熱流体リザーバー、関連する管系接続、上記ポンプからのパルスを緩和するための抵抗器およびコンデンサー、Fluorinert熱流体を加熱することによって生じた泡を除去するための非気泡化(de bubbler)回路を有する。
【0044】
上記熱流体に関して、水は、作動温度が沸点に近づくことから、熱流体として使用するのに実用的ではない。そこで、Fluorinert FC−40を、その不活性な特性およびその155℃という比較的高い沸点を理由に、代替として試験した。FC−40は、水の1/4の比熱(重量あたり)および水の約1/10の熱伝導性を有する。FC−40は、かなり不活性であり、そして充分に揮発性であって、流出物および漏出物はすぐに蒸発する。当業者は、多くの他の熱流体が本発明の技術に従って使用され得ることを、理解する。
【0045】
上記熱流体は、効率的な熱伝導材料ではないことから、入口ポートからどれほど離れているか、および増幅チャンバーがどれほど大きくあり得るかについて、制限が存在する。上記熱交換器から上記カードまでの全ての構成要素は、いくらかの熱量を有し、この熱量は、熱サイクリングの間に、加熱または冷却されなければならない。より大きな増幅領域を備えることは、流れの増大またはサイクル速度の低下を必要とする。
【0046】
Fluorinert FC−40を必要とされる温度にまで加熱する場合の1つの問題点は、上記流体中に溶解していた任意の空気が、高温では溶液から出てくることである。小さい泡は、上記回路の高い位置で集まる傾向にある。蓄積された空気が、上記流体の流れを阻止するのに充分に大きい泡を生じた場合、その泡は、温度制御において生じる問題にともなって進められた。上記熱流体システムは、周囲から容易に単離され得ず、そして循環している流体は、空気を再吸収する傾向にあることから、脱気は、実用的な選択肢ではなかった。この問題を緩和するために、回路のブリーダーによって泡を「トラップする」ことを考案した。上記熱交換器からの流体は、チャンバーの中心部にポンプ輸送され、この中心部では、存在している流体は、その底部から離れなければならない。入口ポートの上は、泡を集めることのできるチャンバーである。このチャンバーの先端には、ブリーダー管に接続されたポートが存在する。上記ブリーダー管は、熱流体リザーバーに戻される。上記ブリーダー管のリザーバー端で、抵抗器は、流れを減少する。0.020インチという短い長さのPEEK管系が、抵抗器として働く。
【0047】
(熱電気冷却器ペルチェ(TEC)を用いた熱サイクリング)
本発明のさらに別の代替的実施形態において、熱サイクリングは、熱電気冷却器(TEC)(例えば、ペルチェ)を用いて達成され得る。図10は、以下にさらに記載される本発明の熱電気サイクラーの構成要素のフロー概略図を示す。この配置は、PCRおよびrtPCRに伴う使用のための微小流体増幅チャンバーのための加熱冷却源として、TECを使用することの可能性を試験するために使用された。
【0048】
使用される機器:
電源 0〜20vdc(7.5VDCに設定)
逆電流方向へのDPDTスイッチ
熱シンク
DVM
TEC(Melcor CPO−8−63−06MM、12mm×25mm、Imax 2.1A、Vmax 7.62vdc)
熱電対
Micronics「run motor」ソフトウェアおよびThermocycler Dart(データ取得用)。
【0049】
例示的TECコントローラー配置:
PCを介した通信
・RS−232
・USB
・GPIB
サーミスターセンサー 20℃〜100℃
TECを温度まで上昇させる能力およびTECを温度まで低下させる能力。
【0050】
電流負荷 19VDCで3.7アンペア(7.4アンペアまで可能)
調節可能電圧出力 0〜20vdc、電流制限あり(または別個の電源を使用する能力)
データを取得および収集する能力。
【0051】
速いPIDループ
P=1℃〜200℃
I=1秒以下
D=1秒以下
加熱冷却のために異なるPID回路を使用する能力。
【0052】
最小の3つの温度にまで勾配を付け、そして浸漬する。勾配率は、1秒あたり6℃またはそれより速い。
【0053】
1つの例示的標的プロフィール:65℃〜75℃まで加熱し、そして60秒間維持する。94℃〜95℃まで可能な限りすばやく勾配を付け、5秒間維持(浸漬)し;65℃〜70℃まで勾配を付けて低下させ、さらに5秒間維持(浸漬)する。前述の2ステップ(94℃および72℃)を反復する。反復の総数は、各々40と見積もられる。
【0054】
温度および浸漬時間は、増幅のために選択された化学に基づいて変化する。
【0055】
第2の例示的標的プロフィール:95℃で3分間、27℃で30秒、65℃で10分間。別にこれの5ステップの改変が存在し、27℃〜95℃の温度で、種々の時間である。しかし、それは、PIDの要件外の意図を与える。
【0056】
第3の例示的標的プロフィール:90分までの間、温度を維持する。
【0057】
試験のセットアップおよび結果:全ての試験において、TECを7.5Vで作動させた。
【0058】
(試験操作:)
TECを、熱シンクとして作用するステンレス鋼テーブル上に配置した。熱電対を、上記TECの上面にテープで付けた。データを、TECが高温から低温にサイクルした際にとった。この試験により、60℃から95℃になるのに4.25秒という遷移時間、または8.65℃/秒を示したデータを得た。冷却時間は、96℃から60℃になるのに3秒、または12℃/秒であった。
【0059】
この試験は、TECを使用して温度を変化させることが実行可能であることを証明した。
【0060】
(増幅チャンバー試験:)
簡素な積層カードを、増幅チャンバーが0.004”Mylarの1つの層でキャッピングされるように設計した。これは、チャンバーのキャッピング層がTECと直接接触して配置されることを可能にした。図11に示すように、熱電対を、上記増幅チャンバーに挿入し、そしてそのチャンバーを、Fluorinert FC−40で充填した。
【0061】
増幅チャンバーの設計体積は、約10μlであった。これは、わずかに増大した。なぜなら、熱電対は、上記チャンバーにおいて膨張を引き起こすからである。実際の体積はおそらく15〜20μlである。上記熱電対は、増幅チャンバーの温度をモニタリングする。
【0062】
第1の試験を、積層をTECに直接配置して行った。絶縁パッドを、上記積層の上に配置し、そして3.5オンスのおもりを、先端に置いていくらかの圧力を提供した。
【0063】
図12のチャート(7.5v、インターフェース材料なし、TECは直接的にテーブルの上)において、加熱は、(特に、最初において)冷却よりもゆっくりであるように考えられ得る。図13は、図12におけるいくつかのデータの拡大を図示する。
【0064】
第2の試験を行った。このときは、TECを熱シンクの上に配置し、そして黒鉛熱インターフェースパッドの層を、上記TECと積層との間に配置した。図13は、熱シンクおよび黒鉛パッドを備えるTEC上のカードを示す。図14は、図13における結果を得た試験したカードの写真である。
【0065】
図15は、熱シンク上のTEC、およびそのTECと増幅チャンバーとの間の黒鉛パッドを示す。最初の図において、加熱は、(最初の加熱の後)速度が最後に尻すぼみになることなく、より一定である。しかし、冷却速度は、尻すぼみである。図16は、上記データの拡大を示す。全体のサイクル時間は、15.2秒である。
【0066】
(コメント:)
TECは、熱を片側からもう一方の側へ移動させる;プロセスにおいて、TECは熱を加える(TECは、かなりわずかな電流を起こす)。冷たい側が、すでに冷却した表面に接する場合、その表面から移動される熱は、最小であり、「熱い」側で起こった加熱は、主に、TECを通った電流に由来する。これは、TECが、冷たいステンレス鋼テーブル(約17℃)と直接接触した第一の試験において明らかである。何回かのサイクルの後、TECの下の領域は、わずかに熱くなり、そして70℃から95℃への上昇時間は、より速い。
【0067】
冷却時間は早い。なぜなら、TECとテーブルとの間には、熱を素早く逃がすのに十分な温度差があるからである。
【0068】
TECが熱シンク上に取り付けられる場合、その熱シンクは、積層に素早く移動され得る熱を保存し得る。従って、上昇温度はより早い。しかし、冷却時間は、より長い。なぜなら、TECと熱シンクとの間の温度差は、過剰な熱を非常に素早く逃がすことができないからである。
【0069】
上述は、効率的(および一定の)操作について達成されなければならない熱平衡を示す。熱シンクは、積層に素早く移動するために保存される十分な熱を有するべきであると同時に、熱シンクは、冷却プロセスを遅くするほど熱くあるべきでない。
【0070】
使用された黒鉛熱インターフェース材料は、試験された唯一の材料であり、他の適切な材料が使用され得る。
【0071】
これらの試験において使用されたTECは、比較的安価であり、非効率的なものであった。容易に利用可能な、より大きな電力のTECが存在する。熱い側と冷たい側との間の最大温度差は、下がることなく、約60℃である。本実施形態において、本発明者らは、カスケード式(積層型)TECを使用して考察するべきである。いくつかの用途は、27℃〜95℃の範囲を必要とし得る。カスケード式TECは、カードへの熱の移動およびカードからの熱の移動を補助し、そして発熱を防ぐ。
【0072】
(結論:)
16秒というサイクル時間(試験において最も悪い例)は、適切なサイズの熱シンク、TEC、およびより効率的な熱インターフェース材料を使用して大きく改善され得る。たとえ16秒においても、30回の完全なサイクルは、8分かかるだけである。TECは、上記カードの増幅領域に適合する大きさにされる。
【0073】
(最新の試験:)
上記のサイクル試験を、Parker Chomerics Thermagap材料61−02−0404−F574(0.020”の厚さ)を使用して繰り返した。574シリーズは、1.6W/m−Kの熱伝導率を提供するのにほんの5〜10psiの圧力を必要とする軟性エラストマー(<5Shore A)である。
【0074】
完全サイクルについてのタイミングは、サイクルの上および下における1秒間の反転時間を含んで、13〜14秒間であった。30回の完全なサイクルは、7分間かかる。上昇速度は、約5℃/秒である。下降速度は、約4℃/秒である。
【0075】
図17に示される以下の図を参照のこと。ここで留意すべきことは、増加および減少は、オーバーシュートを避けるために標的温度において「端数計算」を必要とすることである。これは、全体的なサイクル時間を有意に増加し得る。タイトなPIDコントロールループは、この端数計算を最小にし得る。
【0076】
(熱サイクルグラフィックインターフェース(GUI))
図18に示されるように、熱サイクルグラフィックインターフェースは、科学者または技術者がアッセイの開発について熱プロファイルを開発および調整することを可能にする。カスタムプロファイルは、種々の加熱要件および冷却要件について開発され得る。
【0077】
図19において、グラフは、制御サーミスタにおける温度を示す。PIDループ(比例積分および微分)は、各プロファイルを調整するためにトップパネルで調整され得る。タイミングは、各プロファイルの下側のパネルで設定され得る。データは、「Save Data」ボタンを押すことによって記録され得る。保存を停止したい場合は、「Store Data」ボタンを押す。CSVファイルとして保存される。
【0078】
図19に示されるように、一連のプロファイル(エレメント)を追加または削除することは、DまたはP.Selectの挿入もしくは削除の近くのPIDパネルを右クリックすることによって行われ得る。
【0079】
図20に示されるように、新たなエレメントは、プロファイル2とプロファイル3との間に挿入される。この場合において、本発明者らは、温度コントローラーが「OFF」に変えられる場合、5秒の「プロファイル」を含めている。一連のプロファイルを調整する場合、時々、数秒間TECをオフにすることが有用である。これは特に、オーバーシュートすることを回避するために冷却される場合に、一助となる。
【0080】
図21に示されるように、保存の後、新たなプロファイルは、プロファイル3となり、そして元々のプロファイル3は、プロファイル4となる。
【0081】
図22に示されるように、シリーズが開始された。出発プロファイル(Start Profile)の光が点灯する。使用中(In Use)の光は、プロファイルが作動(active)状態であることを示す。(Powerの光もまた、これがシミュレーションからでなかった場合に点灯する。)カウントタイマーは、どのくらいの時間、プロファイルが活動的であるかを示す。実施されるサイクルの数は、(Number of Cycles)ボックスから選択される。ここで留意することは、全てのプロファイルシリーズが、それがサイクルされるべきことを示してチェックされた、少なくとも1つのボックスを有さなければならないことである。「Number of Cycles」ボックスにて1サイクルを示すことによって、シリーズ全体が、開始から終了までいかなる繰り返しをすることなく実行され得る。サイクルに対するプロファイルの長いシリーズは、一緒に一列に並べられ得る。個々の繰り返されないプロファイルは、サイクルされるシリーズの前後に配置され得る。
【0082】
図23に示されるように、TECの上面に取り付けられた第2のサーミスタが存在する。これは、TECの過熱または冷却を防ぐためにモニタリングされる。サイクラーが稼動する場合、所定の制御サーミスタを常に有することが重要である。
【0083】
図24は、長いシリーズの一例を示す。プロファイル1およびプロファイル2は、一度実行される。プロファイル3〜プロファイル7の全ては、チェックされたサイクルボックスを有する。これらは、連続して実行され、次いで、39回繰り返される(サイクルの数(Number of Cycles)=39)。プロファイル7が39回実行された後、プロファイル8〜10が一度実行される。プロファイル10が実行された後、プログラムは、TECに対するコントローラーアウトプットをオフにする。
【0084】
図25は、最小のオーバーシュートを有する温度に到達するために、2つのプロファイルを使用する例を示す。低いほうのP(比例ゲイン)は、コントローラーにTECを素早く動かせる。次いで、高いほうのPへスイッチングすると、コントローラーのアウトプットは、より低くなり、そして温度は、標的をオーバーシュートしない。プロファイル3およびプロファイル4において、TECは、58.5℃にまで下げられる。システム上の待機時間(latency)が理由で、システムはオーバーシュートし、TECの温度を逆転する。TECに移動する熱は、オーバーシュートを減少する。設定温度、比例ゲイン、およびタイミングを調整することによって、温度をオーバーシュートすることなしに所望の温度に合わせることが可能である。次いで、その温度を保持するためのプロファイルが行われる。ここで留意することは、アウトプットがオフにされない限り(上記を参照のこと)、コントローラーは、TECを、セット温度にまで上昇させるかまたは下降させるかのいずれかに駆動することが試みられることである。十分な時間が与えられると、これは、「フラットなライン」を達成するが、迅速な熱サイクリングに関しては、ランプを上下に調整することが有用である。
【0085】
図26〜28は、GUIの種々の局面を示す。プルダウンメニューを使用して、最後に開かれたファイルが選択され得る。表示されるグラフ時間は、30秒〜5分に選択され得る。「室温」ならびにアウトプットのオンまたはオフが選択され得る。ここで留意すべきことは、シリーズが完了した後に、コントローラーのアウトプットがオフにされることである。多くの場合、シリーズの最後に室温プロファイルを有することが有用である。コントローラーがオンにされる場合、それは、TECを「設定温度」に駆動する。
【0086】
図29は、上で考察されるような本発明の原理に従って、熱サイクリングのためにTECを使用する微流動性カードの断面である。図29において、複数の増幅リザーバーまたは流動チャンバーは、TECによって同時にサイクルされる。増幅リザーバーは、PET材料およびACA(接着性キャリア接着剤)材料の層の間に維持され、携帯用の微流動性カードを提供する。
【0087】
図29にさらに示されるように、熱スペーサーまたは熱スプレッダーが、TEC表面にわたってより均一な熱を提供するために、TECと増幅リザーバーとの間に使用され得る。熱スプレッダーは、最終的に、TECの熱プロファイルによって決定されるが、1つの例示的な熱スプレッダーは、銅の層間のPTFEの層である。しかし、当業者は、熱スプレッダーの多くのバリエーションが受容可能であるあることを理解する。
【0088】
図29に示されるインターフェースパッドは、熱を微流動性カードに、より効率的に移動させる熱パッドである。同様に、TECと熱スプレッダーまたは熱スペーサーとの間の熱グリースは、同業者に公知であり、熱移動をさらに高める。
【0089】
(例示的な増幅方法および温度サイクル)
以下の温度プロファイルは、本発明の方法および装置を使用する微流動性カードで達成された。
【0090】
(A.ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)温度プロファイル)
【0091】
【表1】
主要目的:
1)一定性
2)アニーリング工程について調節可能で正確な温度(最低T)
3)アニーリング工程について調節可能な保持時間
4)伸長工程において調節可能な保持時間(72℃)
5)95℃を越えないこと(酵素の変性を防ぐ)
6)迅速性。
【0092】
(B.核酸配列に基づく分析(NASBA)温度プロファイル)
【0093】
【表2】
主要目的:
1)安定な40℃の温度(>42℃で酵素が変性される)。±1.0℃。
2)65℃および40℃での調節可能な保持時間。40℃について、最大90分間。
2)65℃以上がよい。
3)65℃において2〜5分間の保持が標準的であるが、それより短くてもよい(未知)。
4)65℃の後、40℃への一貫した時間(consitent time)(プログラムされた酵素添加のため)。
5)より短い方が良好であるが、65℃から40℃に冷却するための1〜2分間はよい。
【0094】
−DARTと一緒に使用される電流ブロックヒーターは、約10分間かかる。
【0095】
−電流熱サイクルは、約1分間かかる。
【0096】
(C.逆転写酵素(rt)温度プロファイル)
【0097】
【表3】
主要目的:
1)オーバーシュートがないか、または最小である、47℃で安定な温度。
2)47℃について、調節可能な保持時間。60分が最大。
3)10分間の75℃以上への急速な上昇。
【0098】
(D.ループ媒介性増幅(LAMP)温度プロファイル)
【0099】
【表4】
主要目的:
1)最小のオーバーシュートでの、安定な62℃。
2)62℃について調節可能な保持時間。60分が最大。
【0100】
(結論)
本発明の例示された実施形態の上記の記載は、網羅的であることも、本発明を詳細な形態の開示に限定することも意図しない。当業者が理解するように、本発明の特定の実施形態、および本発明についての実施例は、例示的な目的のために本明細書中で記載されるが、種々の等価な改変は本発明の範囲内で可能である。本明細書中で提供される、本発明の教示は、他の微流動性デバイスに適用され得、必ずしも上記のPCRカードおよびrtPCRカードである必要はない。
【0101】
上記より、本発明の特定の実施形態が例示の目的で本明細書中で記載されたが、種々の改変が、本発明の精神および範囲を逸脱することなくなされ得ることが理解される。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲以外によっては、限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】図1は、本発明の原理による熱サイクリング微小流体デバイスの概略図を示す。
【図2】図2は、本発明の原理による本発明の熱サイクリング微小流体デバイスの1つの実施形態の平面図を示す。
【図3】図3は、本発明の原理による図2の直線3A−3Aに沿った微小流体デバイスの断面図を示す。
【図4A】図4Aは、本発明の原理による多岐管中の熱サイクリング微小流体デバイスのフローチャートを示す。
【図4B】図4Bおよび4Cは、本発明の原理による多岐管中の熱サイクリング微小流体デバイスの写真を示す。
【図4C】図4Bおよび4Cは、本発明の原理による多岐管中の熱サイクリング微小流体デバイスの写真を示す。
【図5】図5は、本発明の原理による熱チャンバーステップ応答を経時的に示すグラフである。
【図6】図6は、本発明の原理による熱チャンバーの熱上昇を経時的に示すグラフである。
【図7】図7は、本発明の原理による熱チャンバーの熱下降を経時的に示すグラフである。
【図8】図8は、本発明の原理による、時間に対する3つのレベルのPCR温度調節を示すグラフである。
【図9】図9は、本発明の原理による流体熱サイクラーの構成要素を示すフローチャートである。
【図10】図10は、本発明の原理による熱電気サイクラーの構成要素を示すフローチャートである。
【図11】図11は、本発明の原理による、増幅チャンバー中に挿入された熱電対を備えた微小流体試験積層体の概略である。
【図12】図12は、本発明の原理による、TECがTECと微小流体カードとの間に熱インターフェース材料のないステンレス鋼上に直接配置されたときの温度変化を経時的に示すグラフである。
【図13】図13は、本発明の原理による、TECが熱シンク上に配置され、そしてグラファイト熱インターフェースパッドの層がTECと積層体との間に配置されるときの温度変化を経時的に示すグラフである。
【図14】図14は、本発明の原理による図13のカードの写真である。
【図15】図15は、本発明の原理による、TECが熱シンク、およびTECと増幅チャンバーとの間のグラファイトパッド上に配置されるときの温度変化を経時的に示すグラフである。
【図16】図16は、図15のグラフの一部分の拡大である。
【図17】図17は、本発明の原理による、TECがThermagap熱シンク上に配置されるときの温度変化を経時的に示すグラフである。
【図18】図18は、本発明の原理による、Thermal Cycler Graphic Interface(GUI)のスクリーンショットである。
【図19】図19は、本発明の原理による、Profileの付加または欠失を示すGUIのスクリーンショットである。
【図20】図20は、本発明の原理によるGUIの別のスクリーンショットである。
【図21】図21は、本発明の原理によるGUIの別のスクリーンショットである。
【図22】図22は、本発明の原理によるGUIの別のスクリーンショットである。
【図23】図23は、本発明の原理によるGUIの別のスクリーンショットである。
【図24】図24は、本発明の原理によるGUIの別のスクリーンショットである。
【図25】図25は、本発明の原理によるGUIの別のスクリーンショットである。
【図26】図26は、本発明の原理によるGUIの別のスクリーンショットである。
【図27】図27は、本発明の原理によるGUIの別のスクリーンショットである。
【図28】図28は、本発明の原理によるGUIの別のスクリーンショットである。
【図29】図29は、本発明の原理によるGUIの別のスクリーンショットである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体型熱サイクリングシステムを備える微小流体デバイスであって、該デバイスは、
第一のプレートおよび第二のプレートを有する微小流体デバイスであって、該第一のプレートは、第一の表面および第二の表面を有し、流体運搬回路が該第一の表面に形成され、該第二のプレートは、内面および外面を有し、該第二のプレートの該内面は、該第一のプレートの該第一の表面にシールされる、微小流体デバイス;ならびに
少なくとも1つのリザーバーであって、該リザーバーは、該外面に取り付けられ、そして該回路における流体の温度が該リザーバーの温度によって影響を受けるように該回路の一部分と熱的接触状態にあり、該リザーバーは、開口部を有する入口ポートをさらに備える、リザーバー
を備える、微小流体デバイス。
【請求項2】
前記リザーバーが、その中に含まれる発熱性材料をさらに含み、該リザーバーの前記入口ポートを開くことが、該発熱性材料を活性化させ、そして該リザーバーと、該リザーバーと熱的接触状態にある前記回路の一部分との温度交換を開始する、請求項1に記載の微小流体デバイス。
【請求項3】
前記リザーバーが、その中に含まれる吸熱性材料をさらに含み、該リザーバーの前記入口ポートを開くことが、該吸熱性材料を活性化させ、そして該リザーバーと、該リザーバーと熱的接触状態にある前記回路の一部分との温度交換を開始する、請求項1に記載の微小流体デバイス。
【請求項4】
前記微小流体デバイスの外面に位置決めされる少なくとも2つのリザーバーをさらに備え、該第一のリザーバーは、前記回路の第一の部分と熱的接触状態にあり、そして該第二のリザーバーは、該回路の第二の部分と熱的接触状態にある、請求項1に記載の微小流体デバイス。
【請求項5】
前記微小流体デバイスの外面に位置決めされる3つのリザーバーをさらに備え、該3つのリザーバーは、熱的に隣接する回路部分の温度を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を完結するのに適切な温度まで上昇させる、請求項1に記載の微小流体デバイス。
【請求項6】
前記リザーバーの入口ポートの開口部に密閉シールをさらに備える、請求項1に記載の微小流体デバイス。
【請求項7】
前記デバイスが、持ち運び可能である、請求項1に記載の微小流体デバイス。
【請求項8】
一体型熱交換回路を備える微小流体デバイスであって、該デバイスは、
第一のプレートおよび第二のプレートを有する微小流体デバイスであって、該第一のプレートは、第一の表面および第二の表面を有し、該第一の表面は、その中に形成される第一の流体運搬回路および第二の流体運搬回路を有し、該第一および第二の流体運搬回路は、熱的接触状態にあり、そして該第二のプレートは、該第一のプレートの該第一の表面にシールされる、微小流体デバイス
を備える、微小流体デバイス。
【請求項9】
熱交換システムであって、該システムは、
流体流動回路を含むデバイス;
該デバイス内に含まれる第一の流体流動回路;および
第二の流体流動回路であって、該第二の流体回路の温度が該第一の回路の温度に影響を与えるように該第一の流体流動回路と熱的接触状態にある、第二の流体流動回路;
を備える、システム。
【請求項10】
前記第二の流体流動回路が、連続的に流動する流体を含む、請求項9に記載の熱交換システム。
【請求項1】
一体型熱サイクリングシステムを備える微小流体デバイスであって、該デバイスは、
第一のプレートおよび第二のプレートを有する微小流体デバイスであって、該第一のプレートは、第一の表面および第二の表面を有し、流体運搬回路が該第一の表面に形成され、該第二のプレートは、内面および外面を有し、該第二のプレートの該内面は、該第一のプレートの該第一の表面にシールされる、微小流体デバイス;ならびに
少なくとも1つのリザーバーであって、該リザーバーは、該外面に取り付けられ、そして該回路における流体の温度が該リザーバーの温度によって影響を受けるように該回路の一部分と熱的接触状態にあり、該リザーバーは、開口部を有する入口ポートをさらに備える、リザーバー
を備える、微小流体デバイス。
【請求項2】
前記リザーバーが、その中に含まれる発熱性材料をさらに含み、該リザーバーの前記入口ポートを開くことが、該発熱性材料を活性化させ、そして該リザーバーと、該リザーバーと熱的接触状態にある前記回路の一部分との温度交換を開始する、請求項1に記載の微小流体デバイス。
【請求項3】
前記リザーバーが、その中に含まれる吸熱性材料をさらに含み、該リザーバーの前記入口ポートを開くことが、該吸熱性材料を活性化させ、そして該リザーバーと、該リザーバーと熱的接触状態にある前記回路の一部分との温度交換を開始する、請求項1に記載の微小流体デバイス。
【請求項4】
前記微小流体デバイスの外面に位置決めされる少なくとも2つのリザーバーをさらに備え、該第一のリザーバーは、前記回路の第一の部分と熱的接触状態にあり、そして該第二のリザーバーは、該回路の第二の部分と熱的接触状態にある、請求項1に記載の微小流体デバイス。
【請求項5】
前記微小流体デバイスの外面に位置決めされる3つのリザーバーをさらに備え、該3つのリザーバーは、熱的に隣接する回路部分の温度を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を完結するのに適切な温度まで上昇させる、請求項1に記載の微小流体デバイス。
【請求項6】
前記リザーバーの入口ポートの開口部に密閉シールをさらに備える、請求項1に記載の微小流体デバイス。
【請求項7】
前記デバイスが、持ち運び可能である、請求項1に記載の微小流体デバイス。
【請求項8】
一体型熱交換回路を備える微小流体デバイスであって、該デバイスは、
第一のプレートおよび第二のプレートを有する微小流体デバイスであって、該第一のプレートは、第一の表面および第二の表面を有し、該第一の表面は、その中に形成される第一の流体運搬回路および第二の流体運搬回路を有し、該第一および第二の流体運搬回路は、熱的接触状態にあり、そして該第二のプレートは、該第一のプレートの該第一の表面にシールされる、微小流体デバイス
を備える、微小流体デバイス。
【請求項9】
熱交換システムであって、該システムは、
流体流動回路を含むデバイス;
該デバイス内に含まれる第一の流体流動回路;および
第二の流体流動回路であって、該第二の流体回路の温度が該第一の回路の温度に影響を与えるように該第一の流体流動回路と熱的接触状態にある、第二の流体流動回路;
を備える、システム。
【請求項10】
前記第二の流体流動回路が、連続的に流動する流体を含む、請求項9に記載の熱交換システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公表番号】特表2006−527369(P2006−527369A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515242(P2006−515242)
【出願日】平成16年6月7日(2004.6.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/017943
【国際公開番号】WO2004/108287
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(503466853)マイクロニクス, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月7日(2004.6.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/017943
【国際公開番号】WO2004/108287
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(503466853)マイクロニクス, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】
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