説明

微生物の成長を刺激する口内用健康促進生成物

本発明は、連鎖球菌属、ユーバクテリウム属、ネイセリア属、ベイヨネラ属を含むグループから選択されたプロバイオテックと、pH上昇成分、および/または、緩衝成分との組み合わせを含み、口内微生物叢が乱された被験者の良好な口内健康に関連する口内微生物叢を回復する口内用組成物を開示する。また、本発明は、口内乾燥、虫歯、口臭、炎症を起こしている口内粘膜または口内菌類感染などの疾病に苦しんでいる被験者に良好な口内健康を回復するのを助けるために、他の口内健康促進生成物と組み合わせる口内用組成物の使用を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な口内健康に関連する口内微生物叢の回復に関する。
【背景技術】
【0002】
正常な状況において口内微生物叢の構成は、健康に関連する微生物が支配する方法でバランスをとっている。正常な口内微生物叢のバランスを乱す因子は、例えば、唾液分泌減退(唾液分泌を減少させる)、発酵性糖質の頻繁な摂取、口内衛生の無視、抗生物質治療およびホストディフェンスの減少である。
【0003】
唾液分泌減退(hyposalivation)になるとpHおよび緩衝能がしばしば減少するのが見られる。これは、ブドウ球菌、腸内細菌科、および腸内球菌のような通常の耐性微生物と同様に、ミュータンス連鎖球菌(mutans streptococci)、乳酸杆菌spp、およびカンジダ属のような酸を生成し酸に耐性がある微生物の増加をもたらす。また、発酵性糖質を頻繁に摂取することは、酸に耐性があり酸を生成する微生物に有利である。口腔内における乳酸杆菌細胞の数は、食品に含まれる糖質の摂取に明確に関連する。口内衛生を無視すると、微生物は、歯の表面に蓄積して歯垢を形成する。蓄積は、2、3週間後に、条件的嫌気性グラム陽性菌の減少と、歯肉炎症および歯周疾患の進展に関連する嫌気性グラム陰性菌の増加とをもたらす。口内衛生が無視されると、ブドウ球菌、腸内細菌科、腸内球菌、大腸菌型細菌もまた増加する結果となる。抗生物質治療は、しばしば、カンジダ属、ブドウ球菌、腸内球菌および大腸菌型細菌の増加をもたらす。長期間の歯内治療から腸内球菌はほとんどの抗生物質および消毒剤に対して抵抗力があり排除するのが非常に難しいことが知られている。さらに、複数の薬剤に耐性のブドウ球菌および腸内球菌は、この数年の間、重要な院内病原菌である。免疫を抑制する化学療法、急性白血病または末期疾患によるホストディフェンスが低下した被験者では、カンジダ属、ブドウ球菌、腸内球菌、大腸菌シュードモナス属およびグラム陰性桿菌の増加が規則的に見られる。研究によれば、頭頸部領域での放射線療法により唾液分泌減退した全ての被験者およびシェーグレン症候群を有するたいていの被験者は腸内球菌を宿しているが、これらの微生物は対応する健康な対照では検出されないことが示される。
【0004】
上記説明した正常で健康な口内細菌叢を乱す因子の中において、唾液分泌減退が最も研究されている因子である。成人人口内約25%は、唾液分泌減退の兆候である口内乾燥に苦しんでいる。唾液分泌減退がよく起こる理由として、頭頸部領域の放射線療法、リウマチ疾患、ホルモン変化、うつ病、糖尿病および薬剤などがある。
【0005】
副作用として唾液分泌減退を有する薬剤は、例えば、降圧剤、抗抑うつ剤、利尿剤、向精神薬剤および細胞増殖抑制剤である。唾液分泌減退を引き起こすことが知られていない薬剤もまた4〜5またはそれ以上の薬剤を一緒に飲むとこの問題を引き起こし得る。多くの薬剤治療は年配の間で共通であり、65才またはそれ以上の年齢層の約70%は唾液分泌減退に関連する不快を経験している。
【0006】
すべてのグループにおいて口内微生物叢で最も注目に値する変化は、乳酸菌の数と比率の増加である。乳酸菌は、さまざまな糖類を発酵して酸生成をもたすことが知られている。近年において乳酸菌種が、しばしば使用されている砂糖代替品であるソルビトールとキシリトールを発酵して酸生成をもたらし得ることが示された。また、乳酸菌は極低pHで生き残って増殖することが知られている。良好な口内健康と正常な唾液速度を有する被験者において、培養技術で分析すると、だ液サンプルの乳酸菌の比率は、ほとんど例外なく検出可能なレベル以下である。
【0007】
宿主有益効果(host-beneficial effect)をもたらす、いわゆるプロバイオテック(微生物の成長を刺激するもの)を有する自然に発生した細菌を含む生成物が開発され、乱された腸内微生物叢の治療に首尾よく使用された。これらの生成物の中で主に使用されたプロバイオテックは、乳酸菌である。これまで、口内健康へのプロバイオテックの効果に関していくつかの研究が利用可能であるが、その大部分もまた乳酸菌の使用に関するものでる。米国特許第2004/0101495号、国際公開第2004/067729号、国際公開第0009080号、欧州特許第0524732号、国際公開第03017951号、国際公開第0078322号の全ては、虫歯、歯垢、歯周部感染または口臭の治療あるいは予防方法として、口内に住んでいる微生物叢の一部でない乳酸菌の使用を開示している。しかしながら、上記議論したように、口内微生物叢が乱された被験者は、たいてい、乳酸菌の比率が高く虫歯発生率も高い。したがって、被験者における唾液分泌減退によって口内微生物叢が乱された被験者に対してプロバイオテックとして乳酸菌を使用するのは問題である。
【0008】
若干の例外はあるが、乳酸菌以外の微生物をプロバイオテックとして使用している。国際公開第2005/007178号は、BLISを生成する唾液連鎖球菌菌株(BLIS-producig Streptococcus salivarius)が嫌気性細菌、特に口臭を起こす細菌の成長抑制に使用する方法を開示している。唾液連鎖球菌の主な生息地は舌の背である。ショ糖を多く消費する被験者では、唾液連鎖球菌は歯肉縁上歯垢中で検出され得る。ショ糖が利用可能であるときに、唾液連鎖球菌は、大量の容易に溶解する可溶性の細胞外多糖類を生成する。これらの多糖類は、「ショ糖欠乏」の期間にそれ自身およびミュータンス連鎖球菌のような他の虫歯細菌によって使用され、歯垢中に長期間の酸生成と低いpHをもたらす。
【0009】
国際公開第96/40865号は、虫歯−感染しやすいホスト中の虫歯の治療および/または防止のための一つまたはそれ以上の乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)−欠乏性ミュータンス連鎖球菌菌株を含む組成物を開示する。生きている組換え型ミュータンス連鎖球菌細胞を使用できるとき、その細胞は生存率を維持するために摂取まで緩衝用生理食塩溶液あるいは培地中に貯蔵されることが示唆される。LDH欠乏性ミュータンス連鎖球菌の提案された機能は、例えば、ミュータンス連鎖球菌など他の病原性微生物による歯表面のコロニー化を防ぐことである。しかしながら、ミュータンス連鎖球菌は、清潔な歯面の早いコロニー形成物に属しておらず、糖消費が多く虫歯が多く見られる被験者に主に見いだされるものであり、健康で正常な口内細菌叢に属するものではない。国際公開第2005/018342号は、一つまたはそれ以上の連鎖球菌属ウベリス菌株(Streptcoccus uberis)、および/または、一つまたはそれ以上の連鎖球菌属オラリス菌株(Streptcoccus oralis)とともに、一つまたはそれ以上のLDH欠乏性ミュータンス連鎖球菌菌株を含む組成物を開示する。連鎖球菌属ウベリス菌株は、歯周部病原菌のコロニー化を妨げる可能性がある。連鎖球菌属オラリス菌株の使用は、過酸化水素の生成と歯周部微生物病原体の成長を抑制する過酸化水素の能力に基づいている。しかしながら、歯周炎サイトは、過酸化水素を放出するかなりの能力を有する多数のホストPMN細胞(多形核白血球)によって特徴付けられているので、連鎖球菌属オラリスによる追加の過酸化水素の生成は周辺効果を有する。
【0010】
炭酸/重炭酸塩システムは、微生物によって生成される酸を中和するために唾液中で最も重要な緩衝液システムである。主な唾液中の重炭酸塩は、そしゃくでだ液腺から放出されるものである。緩衝能が減少すると食後に、耐酸性微生物が好む長期間の低pHをもたらす。一般に口内微生物叢が乱された被験者の唾液のpHは、口内条件が健康な被験者と比べて低い。
【特許文献1】米国特許第2004/0101495号
【特許文献2】国際公開第2004/067729号
【特許文献3】国際公開第0009080号
【特許文献4】欧州特許第0524732号
【特許文献5】国際公開第03017951号
【特許文献6】国際公開第0078322号
【特許文献7】国際公開第2005/007178号
【特許文献8】国際公開第96/40865号
【特許文献9】国際公開第2005/018342号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
私たちが知っている限り、口臭と歯肉炎以外の理由によって微生物叢が乱された被験者に対して利用可能なプロバイオテック(probiotic)製品はない。
【0012】
口内乾燥で苦しんでいる被験者が市場で入手できるいくつかの製品がある。これらの製品の多くは、甘味剤としてソルビトール、および/または、キシリトールを含んでいる。しかしながら、乳酸杆菌、エンテロコッカス属、およびカンジダ属種は、栄養物としてこれらの甘味剤を使用して酸を生成し得る。ほとんどの生成物は、だ液腺を刺激することを意図する。このために、酸性化合物、例えば、リンゴ酸あるいはクエン酸が使用される。しかしながら、酸性化合物の使用は、口内pHをさらに減少させる。口内がひどく乾燥する被験者に対して唾液を刺激する生成物は有効でないことに注意すべきである。ほとんど測定できる唾液分泌がない被験者に対して、潤滑および/または湿気を与える効果を有するゲル状唾液代用品および生成物がある。これらの生成物は、口内pHまたは微生物叢に関して文書で記録された効果は全くない。
【0013】
重炭酸塩は、米国特許出願第2004/0115138号で使用されており、該特許出願は、口内健康管理調合として、ふくらし粉、NaHCO3(40〜70重量%)と、着香油、キサンタンガムバインダー、界面活性剤、湿潤剤、およびいくつかの天然成分などの他の成分との組み合わせを含む歯磨き粉ゲルまたはペーストを開示している。
【0014】
米国特許第4,618,489号は、10〜120mM濃度の重炭酸塩を20〜100mMの例えば、フッ化物、塩化物またはチオシアナトなどの他のイオンと共に使用する。この発明において重炭酸塩は、口内pHを上げるために使用され、それにより、酵素類、リゾチーム、トリプシン、およびキモトリプシンの活動を高め、口内のミュータンス連鎖球菌、乳酸杆菌属カセイ菌、およびアクチノマイセス属種の数を減少させる。リゾチームは、グラム陽性菌の細胞壁蛋白質成分を下げる能力を有する唾液成分である。正常で健康な口内細菌菌の大部分はグラム陽性菌である。口内で見つけられたトリプシンとキモトリプシンは、歯肉炎、歯周疾患および他の粘膜炎症部位でホスト多形核細胞から主に放出されたものである。炎症部位の特性の1つは、血清中のpH上昇生成物による正常を超えたpHである。
【0015】
また、尿素は唾液中の天然に存在するpH上昇成分である。尿素は、歯を白くする組成物中およびチューインガム中で一般的に使用されているが、米国特許第6,290,934号では、尿素過水和物は、歯垢の阻害と虫歯予防などの口内衛生および健康を促進する薬剤中の活性成分である。しかしながら、pH上昇あるいは緩衝物質のいずれもは、口腔中のプロバイオテック微生物(probiotics bacteria)の成長を促進する組合せにおいて使用されていない。
【0016】
虫歯および粘膜感染に関連する微生物種は、酸性pHを好み、歯周疾患の進展に関連する微生物種は正常を超えたpHを好み、良好な口内健康と関連している微生物種は中性pHを好みことは、周知である。また、重炭酸塩は、唾液中の主要な緩衝成分の1つであることも周知である。また、唾液および歯肉滲出液中に存在し歯の生物膜中に組み込まれたカルバミン(尿素)の微生物による低下は、口内pHを「健康」レベルにを保つために貢献することが、一般に同意されている。私たちの研究は、唾液分泌減退の被験者において、酸性にする、耐酸性、酸耐性の微生物種の増加と口内健康と関連する連鎖球菌属種の減少とを伴う微生物叢の変更を示した。この結果は、健康な口内条件において自然に多数存在していて素早くコロニーを形成する種の細菌株をコロニー化を支援するために自然に存在するpH上昇成分との組み合わせにおいて使用することは、唾液分泌減退の被験者において特に正常で健康な口内細菌叢への回復を促進するであろうことを示している。
【0017】
本発明は、口内微生物叢が乱された被験者の良好な口内健康に関連する口内微生物叢を回復するための微生物の成長を刺激するプロバイオテック細菌とpH上昇成分との組合せを提供する。本発明は、口内健康増進生成物の異なる種類に加えられることができる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、連鎖球菌属、ユーバクテリウム属、ネイセリア属、およびベイヨネラ属を含むグループであって、健康な口内微生物叢中に通常存在していて素早くコロニーを形成する口内細菌のグループから選択された、一つまたはそれ以上の分離された弱酸を生成するか酸を生成しない菌株と、pH上昇および/またはpH緩衝する能力を有する一つまたはそれ以上の物質と、を有する口内用組成物を開示する。
【0019】
本発明の更なる1つの態様は、良好な口内健康を回復するために使用する口内用組成物の調製のために、連鎖球菌属、ユーバクテリウム属、ネイセリア属、およびベイヨネラ属を含むグループであって、健康な口内微生物叢中に通常存在していて素早くコロニーを形成する口内細菌のグループから選択された、一つまたはそれ以上の分離された弱酸を生成するか酸を生成しない菌株と、pH上昇および/またはpH緩衝する能力を有する一つまたはそれ以上の物質との使用を提供することである。
【0020】
本発明の更なる1つの態様は、a)連鎖球菌属、ユーバクテリウム属、ネイセリア属、およびベイヨネラ属を含むグループであって、健康な口内微生物叢中に通常存在していて素早くコロニーを形成する口内細菌のグループから選択された、一つまたはそれ以上の分離された弱酸を生成するか酸を生成しない菌株と、b)pH上昇および/またはpH緩衝する能力を有する一つまたはそれ以上の物質と、を有し、口内乾燥、虫歯、口臭、炎症を起こしている口内粘膜膜、口内粘膜の痛みまたは口腔中の菌類感染の一つまたはそれ以上で苦しむ被験者における良好な口内健康の回復するための口内用組成物以下を含む口内用組成物を提供することである。
【0021】
本発明の1つの好適実施例では、前記弱酸を生成するか酸を生成しない菌株が、連鎖球菌属オラリス(Streptococcus oralis)である。
【0022】
本発明の1つの好適実施例では、前記弱酸を生成するか酸を生成しない菌株が、連鎖球菌属バースチビュラリス(Streptococcus vestibularis)である。
【0023】
本発明の1つの好適実施例では、前記弱酸を生成するか酸を生成しない菌株が、ユーバクテリウム属連鎖球菌サブレウム(Eubacterium Streptococcus saburreum)またはユーバクテリウム属連鎖球菌ユリイ(Eubacterium Streptococcus yurii)である。
【0024】
本発明の1つの好適実施例では、前記弱酸を生成するか酸を生成しない菌株が、ネイセリア属ムコサ(Neisseria mucosa)またはネイセリア属サブフラバ(Neisseria subflava)である。
【0025】
本発明の1つの好適実施例では、前記弱酸を生成するか酸を生成しない菌株が、ベイヨネラ属パーブラ(Veillonella parvula)またはベイヨネラ属ディスパー(Veillonella dispar)である。
【0026】
本発明の1つの好適実施例では、前記弱酸を生成するか酸を生成しない菌株が、遺伝子を組み換えられている。
【0027】
本発明の1つの好適実施例では、前記pH上昇および/またはpH緩衝する能力を有する物質は、重炭酸塩、尿素、リン酸、タンパク質、および/または、塩を含むグループから選ばれた物質の1つ、または2つまたはそれ以上の組合せである。
【0028】
本発明の1つの好適実施例では、前記pH上昇および/またはpH緩衝する能力を有する物質は、重炭酸ナトリウム、NaHCO3、および/または、尿素、またはこれらの組み合わせである。
【0029】
本発明のある好適実施例では、前記pH上昇および/またはpH緩衝する能力を有する物質は、pHをpH5.5からpH7.8に維持し、好ましくは、pHをpH6からpH7.5に維持し、より好ましくは、pHをpH6.5からpH7.2に維持する。
【0030】
本発明の1つの好適実施例では、前記pH上昇および/またはpH緩衝する能力を有する物質は、15〜300mmol/l口内用組成物、好ましくは、30〜200mmol/l口内用組成物、より好ましくは、50〜100mmol/l口内用組成物の濃度範囲で使用される。
【0031】
本発明の1つの好適実施例では、前記細菌が凍結乾燥されている。
【0032】
本発明の1つの好適実施例では、前記細菌が凍結乾燥されたあるいは生きた細菌が油に浸漬されている。
【0033】
本発明の1つの好適実施例では、潤滑剤は追加されている。
【0034】
本発明の1つの好適実施例では、前記潤滑剤は、食用油、植物性揮発油、グリセリン、カルボキシメチルセルロース、キサンタンゴムまたは動物ムチンを含むグループから選択される。
【0035】
本発明の1つの好適実施例では、前記潤滑剤は、ひまわり油である。
【0036】
本発明の1つの好適実施例では、フッ化ナトリウム、モノフッ化りん酸塩、または、フッ化第1スズを含むグループから選択されたフッ化化合物が追加される。
【0037】
本発明の1つの好適実施例では、ステビアが追加される。
【0038】
本発明の1つの好適実施例では、亜鉛および/または二酸化塩素(ClO2)が追加される。
【0039】
本発明の1つの好適実施例では、コルチゾン、ベンジダミン、非ステロイド抗炎症剤、または、例えば、キンセンカ抽出物またはティーツリーオイルなどのハーブ・エキスを含むグループから選択された抗炎症物質が追加される。
【0040】
本発明の1つの好適実施例では、リドカインまたはプリロカインを含むグループから選択された鎮痛剤が追加される。
【0041】
本発明の1つの好適実施例では、アンホテリシン、フルカノゾール(flucanozol)、またはニスタチンを含むグループから選択された抗真菌剤が追加される。
【0042】
本発明の1つの好適実施例では、ハッカ、果汁、甘草、ステビア・リボウディアナ、ステビオシド、レバウディオサイドA、ユーカリ油のような植物性揮発油、およびメンソールを含むグループから選択された1つまたはそれ以上の着香物質が追加される。
【0043】
本発明の1つの好適実施例では、口内用組成物は口内乾燥に苦しむ被験者に対して良好な口内健康を回復するために使用される。
【0044】
本発明の1つの好適実施例では、口内用組成物は虫歯に苦しむ被験者に対して良好な口内健康を回復するために使用される。
【0045】
本発明の1つの好適実施例では、口内用組成物は口臭に苦しむ被験者に対して良好な口内健康を回復するために使用される。
【0046】
本発明の1つの好適実施例では、口内用組成物は炎症を起こしている口内粘膜膜に苦しむ被験者に対して良好な口内健康を回復するために使用される。
【0047】
本発明の1つの好適実施例では、口内用組成物は口内粘膜の痛みに苦しむ被験者に対して良好な口内健康を回復するために使用される。
【0048】
本発明の1つの好適実施例では、口内用組成物は口腔中の菌類感染に苦しむ被験者に対して良好な口内健康を回復するために使用される。
【0049】
本発明の追加の態様において、連鎖球菌属、ユーバクテリウム属、ネイセリア属、およびベイヨネラ属を含むグループであって、健康な口内微生物叢中に通常存在していて素早くコロニーを形成する口内細菌のグループから選択された、一つまたはそれ以上の分離された弱酸を生成するか酸を生成しない菌株と、b)重炭酸塩、尿素、リン酸、タンパク質、および/または、塩を含むグループから前記被験者に対して好ましく選択された、pH上昇および/またはpH緩衝する能力を有する一つまたはそれ以上の物質と、を含む組成物の使用が、乱された微生物叢に苦しむ被験者に対して良好な口内健康を回復するための方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
良好な口内健康に関連する微生物はpH7を超えるpHを好む。「良好な口内健康」の表現は、活動している虫歯の病巣がない、歯肉炎を有するサイトが無いまたは数サイトしか無い、口内粘膜感染の前兆や徴候がないなどの意味を有することを意図する。口内微生物叢が乱された被験者の口腔中でプロバイオテック細菌が定着するのを可能にするためにpHを増加する必要がある。
【0051】
プロバイオテック細菌と、pH上昇成分、例えば、重炭酸塩および/または尿素との組み合わせによって、口内健康に関連する細菌の比率は増加し、酸を生成し、酸に耐性がある微生物の比率が減少する。
【0052】
本発明は、歯の業務および補助的な歯の手入れとともに毎日の在宅介護状況において使用することができる。本発明は、口内微生物叢が乱された被験者のために意図されたものであるが、また、あらゆる年代層のすべての被験者が安全に使用できるものである。
【0053】
以下で本発明はさらに詳細に説明される。しかしながら、下記に説明される記載された実施例は、実施例としてのみ与えられ、本発明を限定するものではない。以下に説明される特許請求の範囲において請求されたような本発明の範囲内の他の解決策、用途、目的、および機能は、当業者にとって明らかである。また、用語「有する(comprising)」は、列挙された要素または工程以外の他の要素または工程の存在を排除するものではなく、用語“a"あるいは“an"は、複数の要素の存在を排除するものではないことに注意すべきである。
【0054】
口内乾燥に悩む患者の唾液
様々な原因で口内乾燥を有する被験者における唾液分泌速度、pH、緩衝能、および刺激された唾液中の重炭酸塩とタンパク質濃度で測定された。結果は表1で示される。
【0055】
表1に薬剤、一次シェーレング症候群または頭頸部領域の放射線療法による口内乾燥を有する被験者と、正常な唾液分泌速度を有する対照と、刺激されない分泌速度(ml/分)、刺激された分泌速度(ml/分)、刺激された唾液中のpH、緩衝能、刺激された全唾液中の重炭酸塩濃度および唾液タンパク質濃度の平均値±sd(中央値)を表す。対照と比較された統計的有意差を*で示す。
【0056】
【表1】

【0057】
中程度のひどい口内乾燥を有するほとんどの被験者で、刺激のない分泌速度は、ほとんど無い。刺激された分泌速度は、50〜80%に減少する。頭頸部領域の放射線療法による口内乾燥を有する被験者の刺激された唾液中のpHは、かなり減少する。薬剤または一次シェーグレン症候群による口内乾燥を有するグループのpHは、刺激された唾液では対照に近いが、刺激されていない状態ではかなり低い。口内乾燥を有する3つのグループのすべての緩衝能と重炭酸塩濃度は、対照と比較してかなり低い。脆弱な粘膜膜を通る漿液の炎症と漏れとを示す唾液中のラクトフェリンとアルブミン濃度は、一次シェーグレン症候群グループと放射線療法グループでかなり高い。虫歯が多く活動している被験者と他の理由による口内微生物叢が乱された被験者では、唾液分泌速度は正常であるが、低pHと緩衝能の減少が共通している。
【0058】
唾液分泌減退を有する被験者の口内微生物叢
薬剤、一次シェーグレン症候群または頭頸部の放射線療法による唾液分泌減退を有する被験者と、通常の唾液分泌速度を有する対照との間で、舌上の口内微生物叢、頬の粘膜、歯肉縁上プラークと歯肉縁下領域における大臼歯領域の前庭を分析した。結果を表2〜6に示す。
【0059】
表2にlog10として表された舌上の特定微生物の全カウントおよび全数の平均値±sd(中央値)を示す。対照と比較した統計的有意差を*で示す。
【0060】
【表2】

【0061】
表3にlog10として表された頬の粘膜上の特定微生物の全カウントと全数の平均値±sd(中央値)を示す。対照と比較した統計的有意差を*で示す。
【0062】
【表3】

【0063】
表4にlog10として表された大臼歯領域の前庭における特定の微生物の全カウントと全数の平均値±sd(中央値)を示す。対照と比較した統計的有意差を*で示す。
【0064】
【表4】

【0065】
結果を要約する。放射線治療グループでは、酸に敏感な唾液連鎖球菌、サングイス連鎖球菌/連鎖球菌属オラリスは、対照と比較してかなり低い。また、放射治療グループは、酸性環境と粘膜感染に関連する白体と腸内球菌の増加を示している。放射線療法におけるすべての被験者が腸内球菌を宿していることに注意すべきである。一次シェーグレン症候群グループと薬剤グループにおいて、腸内球菌の数は増加し、白体の数は増加する傾向がある。免疫を抑制する化学療法によるホストディフェンスの低下、急性白血病あるいは末期疾患の被験者では、カンジダ属、大腸菌群、腸内球菌、シュードモナス属、ブドウ球菌およびグラム陰性球菌の増加が見られる。
【0066】
表5にlog10として表された歯肉縁上プラーク中における特定の微生物の全カウントと全数の平均値±sd(中央値)を示す。対照と比較した統計的有意差を*で示す。
【0067】
【表5】

【0068】
歯肉縁上プラークでは、虫歯と強く関連づけられるミュータンス連鎖球菌の数は、薬剤治療グループおよび一次シェーグレン症候群グループでかなり高く、放射治療グループで高い傾向にある。また、虫歯の活動が高い被験者において、ミュータンス連鎖球菌の数の増加が見られる。虫歯と酸性環境とに関連付けられる乳酸菌の数は、対照と比べて口内乾燥を有する3つのグループ全てでかなり大きい。また、乳酸菌の増加は、容易に発酵する糖質を頻繁に摂取する被験者に見られる。また、白体の数は、口内乾燥を有する3つのグループすべてでかなり増加している。白体の増加は抗生物質治療の一般的な副作用である。
【0069】
表6にlog10として表される歯肉溝領域中の特定微生物の全カウントと全数の平均値±sd(中央値)を示す。対照と比較された統計的有意差を*で示す。
【0070】
【表6】

【0071】
歯肉溝領域において、口内乾燥を有する被験者と対照との間には、統計的な有意差は無い。酸敏感性および歯周疾患に関連するポーヒロモナス・ジンジバリスが全く被験者から検出されなかったことに注意するべきである。また、歯周疾患に関連するアクチノバシラス属アクチノミクテムコミタンスのみがいくつかの被験者で非常に低い数で検出された。口内衛生を無視するとフゾバクテリウム属ヌクレタムやプレボテラ属インタメディアやプレボテラ属ジンジバリスなどのグラム陰性の微生物の増加をもたらす。
【0072】
乳酸菌と糖質および砂糖代用品の発酵
ソルビトールとキシリトールは、歯磨、チューインガム、唾液を刺激する錠剤、ふっ化物ゲルおよびリンスで最も頻繁に使用される甘味剤である。口内乾燥を有する被験者は、毎日これら生成物のいくつかを使用する。一次シェーグレン症候群あるいは頭頸部領域の放射線療法による口内乾燥を有する被験者の歯垢から分離された乳酸菌が調べられた。糖質、グルコース、フルクトース、ショ糖、砂糖代品のマンニトール、ソルビトール、およびキシリトールを発酵する乳酸菌の58菌株の能力が調べられた。乳酸菌菌株の69%がソルビトールを発酵し、乳酸菌菌株の24%がキシリトールをエナメル質の無機質脱落の臨界であるpH5.5以下のpHレベルまで発酵することに注意すべきである。糖質および砂糖代用品の発酵から得られる結果を表7に示す。
【0073】
表7に一次シェーグレン症候群または放射線療法による口内乾燥を有する被験者の歯肉縁上プラークから分離された乳酸菌の糖質と砂糖代用品の発酵後のpHを示す。菌株の比率(%)を示す。
【0074】
【表7】

【0075】
口内微生物叢が乱された被験者に適するプロバイオテック菌株
口腔中のプロバイオテック菌株として使用するのに最適となるために、菌は、弱酸を生成するか酸を生成しないものであり、砂糖代用品を発酵することができないまたは砂糖代用品を発酵するとき、低量の酸を生成する。「弱酸の生成あるいは酸を生成しない」の表現によって、わずかなpHをもたらす少量の酸のみを生成する細菌または糖質から酸を生成しない細菌を意味する。頬側上皮細胞と歯表面に接着する能力もまた必要性である。健全な状態では、α溶血性の条件的嫌気性連鎖球菌属が口腔中で支配している。S.oralis(連鎖球菌属オラリス)、S.sanguis(連鎖球菌属サングイス)、およびS.mitis(連鎖球菌属ミチス)を含む連鎖球菌属種は、新生児の口腔をコロニー化する最初の種であり、粘膜膜上および早い歯垢の両方で正常な口内微生物叢の一部である。S.oralisは中性pHを好み、弱酸を生成する。S.oralisは、口内疾患の進展にかかわることは知られていない。口内健康とプロバイオテックとなる可能性に関連する他の連鎖球菌属種は、例えば、S.vestibularis(連鎖球菌属べスチビュラリス)である。S.vestibularisは尿素を退化させてアンモニアの放出をもたらし、それによりpHを上昇させることができる。口内用プロバイオテックとして適切でない連鎖球菌属種は、嫌気性連鎖球菌属、β型溶血連鎖球菌およびミュータンス連鎖球菌である。嫌気性連鎖球菌属とβ型溶血連鎖球菌は伝染病に関連している。ミュータンス連鎖球菌は正常な健康な口内微生物叢の一部でない。ミュータンス連鎖球菌は、口腔をコロニー化するために歯表面を必要として、強く虫歯の進展に関連づけられる。
【0076】
健康な条件状態と関連づけられる口内内細菌の他の属およびプロバイオテックの可能な候補は、ユーバクテリウム属、ネイセリア属およびベイヨネラ属である。ユーバクテリウム属は、例えば、E.saburreum(ユーバクテリウム属サブレウム)とE.yurii(ユーバクテリウム属ユリイ)から成る微生物の不均質グループである。ユーバクテリウム属に属する多くの種は培養することが難しく、口腔における有病率と比率に関する知識は限られている。DNA技術は、口内ユーバクテリウム属に関する知識を高めるのを可能にした。ネイセリア属ムコサ(N.mucosa)ネイセリア属サブフラバ(N.subflava)などのネイセリア属に属するいくつかの種が、健康な口内粘膜上および早い歯垢中に見いだされ、疾病に関連するものではない。ベイヨネラ属は、例えば、ベイヨネラ属パービュラ(V.parvula)とベイヨネラ属ディスパー(V.dispar)などの種を含む。V.parvulaは早い歯垢中および健康な被験者の頬側粘膜上で見いだされる。ベイヨネラ属種の特徴は糖質を発酵しないことである。代わりに、ベイヨネラ属種は、エネルギー源として乳酸を使用して乳酸より弱い酸である酢酸をもたらす。また、本発明において遺伝子組み換え菌株の使用は想定される。プロバイオテック菌株の有望な特性は、細胞内、細胞外に多糖を貯蔵できないこと、エネルギー源として砂糖代用品を使用できないこと、低酸生成、唾液被覆歯表面と上皮細胞に接着する能力である。
【0077】
本発明で使用される株菌は、良好な口内健康を有する被験者から隔離されている。標準菌株から選択された菌株の使用は、利害の対立をもたらす。頬側粘膜のサンプリングに対して、無菌綿棒が使用され、歯表面のサンプリングに対して、無菌ようじが使用される。無菌綿棒または無菌ようじは、輸送媒体VMGAIIIを有する瓶とエッペンドルフガラスビンの両方に移される。培養に対して、液体媒質と同様に選択性および非選択性寒天平板が使用される。細菌株は、コロニー形態学、生化学試験、および確立した方法と一致する遺伝的特性を用いて特定される。貯蔵のために菌株は、48時間血液寒天培地上で培養され、クリヨバンク(Cryobank)チューブ(−70℃で貯蔵)に移され、また凍結乾燥される。菌株はゲーテボルグの培養収集大学(CCUG)で特定され貯蔵される。異なる砂糖および砂糖代用品を使用するためのプロバイオテック細菌株の能力およびおよびpH低下容量が調べられた。弱い酸を生成する能力を有するまたは糖質から酸を生成して利用する能力がない連鎖球菌属、ネイセリア属、ユーバクテリウム属およびベイヨネラ属の菌株が特定される。砂糖代用品に対して、連鎖球菌属のいくつかの菌株は砂糖代用品を使用ですることができるがpHへの影響は非常に小さかった。ネイセリア属、ユーバクテリウム属、およびベイヨネラ属の菌株はエネルギー源として砂糖代用品を使用することができなかった。
【0078】
さらに、唾液で覆された頬側上皮細胞と、唾液で被覆されたヒドロキシアパタイト(エナメルの主成分)ビーズに接着する能力は生体外(in-vitro)で試験された。簡潔に、菌株は後半対数期まで育てられた。5mgのヒドロキシアパタイトビーズあるいは頬側上皮細胞が健康な被験者からの浄化した唾液の70μlで覆われた。唾液で被覆されたビーズまたは頬側上皮細胞は一夜4℃で保持され、次に蒸留水とHEPES緩衝液で洗浄された。その後、100μlの細菌懸濁液が接種された(10μCi/ml14Cの酢酸が補われた媒体で成長した菌)。37℃で45分間接着を行い、次に、結合していない細菌が洗い流され、付着した細胞数は、シンチレーション計測を使用して決定された。連鎖球菌属種とネイセリア属種は、頬側上皮細胞とヒドロキシアパタイトに接着する最も良好能力を示した。ベイヨネラ属種とユーバクテリウム属種は、また、上皮細胞とヒドロキシアパタイトの両方に接着することができるが、同じ範囲に接着することはできない。
【0079】
pH上昇成分
「pH上昇成分」の表現によってpHの増加をもたらす成分を意味し、「緩衝物質」の表現によって、少量の酸またはアルカリがそれに加えられるときに、溶液中にそれが存在によってpHにおける抵抗が変化する成分を意味する。
【0080】
上で議論したように、口内プロバイオテック菌株はpHがpH7を超えないと口腔中で定着することはむずかしい。重炭酸塩は、唾液中で自然に存在する最も重要な緩衝成分である。尿素は唾液中で自然に存在する別のpH上昇成分である。口腔における最適pHはpH5.5を超えてpH7.8までであり、より好ましくはpH6を超えてpH7.5までであり、最も好ましくはpH6.5を超えてpH7.2までである。本発明で使用されるpH上昇および/またはpH緩衝液物質は、好ましい範囲内に口腔中のpHを維持することができる。正常な唾液分泌速度を有する被験者において、刺激された唾液中の重炭酸塩濃度は10〜60mmol/lである。この重炭酸塩濃度は、容易に発酵する糖質を摂取後の5〜20分後にpHを約pH4.5〜5.5から約pH7までpHを中和するのに十分である。ショ糖を晒した後のプラークpHへの重炭酸塩の効果は生体外で試験された。高重炭酸塩歯磨き粉に1分晒した後で、1mol/lの濃度を与えるために希釈され、pHは約6.7の始めのpHまで急速に増加し、実験の2時間の期間にわたって、臨界pHに向かって減退する傾向を全く示さなかった。重炭酸塩、および/または、尿素の異なる濃度におけるプロバイオテック菌株の成長が試験された。結果は、プロバイオテック菌株の成長は、本発明で使用される重炭酸塩、および/または、尿素濃度にわずかに影響を受けることを示した。重炭酸塩、および/または、尿素の好ましい濃度範囲は、15〜300mmol/l口内用組成物、より好ましくは30〜200mmol/l口内用組成物、最も好ましくは50〜100mmol/l口内用組成物である。本発明での使用が考えられる他のpH上昇成分は、例えば、二カリウム水素正リン酸塩、カリウム二水素正リン酸塩または二ナトリウム水素リン酸エステルなどのリン酸エステルである。また、唾液中で自然に存在するタンパク質は、糖たん白、ヒスタチンおよびスタセリン(statherins)などの緩衝物質として作用することができる。
【0081】
本発明と他の生成物との組み合わせ
必要に応じて、本発明は、所望の治療効果を達成するために他の活性成分に加えられる。
【0082】
そのような所望の効果の1つは、口腔の潤滑であり得る。これは、エクストラバージン、バージン(Extra Virgin、Virgin)および他の冷圧形態のオリーブ油、慣用または冷圧で調製されたなたね油、ひまわり油、大豆油、とうもろこし油、綿実油、落花生油、胡麻油、小麦胚種油などの穀物胚芽油、やし油とパーム核油、亜麻仁油などの食用油を添加することによって達成することができる。108〜1012細胞/mlの濃度の新鮮なまたは結乾燥されている微生物細胞は、最適pHを調整して維持する、例えば、重炭酸塩、および/または、尿素のようなpH上昇または緩衝化成分と共には潤滑剤に加えられる。混合物を均質化するために、界面活性剤が加えられ得る。本発明と共に使用することが想定される他の平滑剤は、例えば、ユーカリ油、グリセリン、カルボキシメチルセルロース、キサンタンゴムまたは動物粘液などの精油である。フッ化物の虫歯を予防効果はよく知られている。この効果は、主に歯の表面を強化する能力である。エナメル脱塩の臨界pHは、フッ化物は無い場合と比べてフッ化物があるときは低い。本発明の組成物は、必要に応じてフッ化ナトリウム、モノフルオロりん酸塩またはフッ化第1スズなどのフッ化物と組み合わることができる。
【0083】
ステビアはカロリーがなく糖質がない天然甘味料であり、血糖指標がゼロである。ひな菊科の植物から摘出されたステビアは健康な砂糖あるいは化学甘味剤の代用品を提供する。甘味を与えるステビア抽出成分は様々なステビオールグリコシドの混合物である。ステビアの葉の甘味成分は、ステビオシド(stevioside)、レバウディオシド(rebaudioside)A、C、D、EとダルコシドA(dulcoside A)である。細菌および他の感染性生物の成長および増殖を抑制するステビアの能力は、自然の口内微生物叢を回復するのに重要である。研究は、ミュータンス連鎖球菌、緑膿菌、プロテウス属ブルガリス、および他の微生物が栄養の無いステビア成分があるとき成長しないことを示している。ステビアは、虫歯の発生を下げることが示された。この事実は、ステビアをハーブの自然に甘い風味との組み合わせで、良好な口内健康の回復に使用するための組成物中の適切な成分とする。
【0084】
口臭は、通常、口内でアミノ酸の代謝で揮発性硫黄化合物を生成する微生物によって引き起こされる。トレポネーマ属デンティコラ(denticola)、P.ジンジバリス、P.インターメディア、タンネレラフォーシセンシス(Tannerella forsythensis)などの菌は揮発性硫黄化合物を生成し得る。口内衛生の無視や歯周疾患は口臭が一般的であるときの条件の例である。亜鉛は硫黄化合物の形成を抑え、二酸化塩素(ClO2)は急速に硫黄ガスと反応する。口臭を減少させるために、本発明の組成物は、必要に応じて亜鉛、および/または、二酸化塩素と組み合わすことができる。
【0085】
唾液は口腔内の全表面をコーティングする。唾液分泌減退は、しばしば唾液による保護の減少による炎症を起こしている口内粘膜をもたらす。また、激しい粘膜の炎症は頭頸部領域への放射線療法のよく知られた副作用である。抗炎症効果を提供するために、本発明の組成物は、必要に応じて、例えば、コルチゾン、ベンジダミンなどの物質のような抗炎症剤、非ステロイドの抗炎症剤または、例えば、キンセンカ抽出物またはティーツリー油などのハーブ・エキスと組み合わせることができる。
【0086】
頭頸部領域に対する放射線療法以外に、激しい粘膜炎症は細胞増殖抑制性療法の間に起こり得る。激しい粘膜炎症はしばしば非常に苦痛である。
【0087】
本発明の組成物は、必要に応じて、例えば、リドカインあるいはプリロカインなどの鎮痛剤と組み合わせることができる。
【0088】
抗生物質治療およびホストディフェンスの減少はしばしば細菌感染をもたらす。本発明は、口内健康に関連する口内微生物叢を回復するために、必要に応じて、アムフォテシリン(amfotericin)、フルカノゾール(flucanozol)またはニスタチンなどの抗真菌剤と組み合わせることができる。
【0089】
口内用組成物においしい味を与えるために、本発明は、必要に応じて、例えば、ミント、果汁、甘草、ステビア、ステビオシド、レバウディオサイドA、ユーカリ油などの植物性揮発油またはメンソールなどの風味物質と組み合わせることができる。
【0090】
製剤調合
本発明の化合物は標準の方法によってどんなレベルの純度で分離することができ、精製は当業者に知られている蒸留、再結晶化およびクロマトグラフィーなどの慣用手段によって達成することができる。
【0091】
プロバイオテック生成物中の細菌は、生きた細胞あるいは凍結乾燥された細胞である。生きた細胞はヨーグルトのように生成物中で使用されるが、凍結乾燥された細胞は、例えばバイオガイア・デンタル(BioGaia Dental)(商標登録)のような錠剤である。生きた細胞を有する生成物は細菌が連続的に死ぬので、1〜2週間以内に消費しなければならない。凍結乾燥された菌は、維持された生存率で数年間貯蔵することができる。しかしながら、凍結乾燥された菌は湿度に敏感である。細菌細胞を保護する1つの方法は、油中に貯蔵することである。凍結乾燥細菌細胞は、適切な油と直接混合され得る、あるいは、代替として細菌細胞溶液は、油と凍結乾燥された細胞とを混合して細菌細胞を完全に油に浸漬している。適切な油は、Extra Virgin、Virginおよび他の冷圧形態のオリーブ油、慣用または冷圧で調製されたなたね油、ひまわり油、大豆油、とうもろこし油、綿実油、落花生油、胡麻油、小麦胚種油などの穀物胚芽油、やし油とパーム核油、亜麻仁油などの食用油である。油中に凍結乾燥された菌の生存率は少なくとも9カ月維持される。必要に応じて生きている細胞は、上記油の1つに加えられて貯蔵することができる。
【0092】
本発明の化合物は、単独か薬剤的に許容可能な担体あるいは希釈剤と組み合わせて投与され得る、そのような投与は単一あるいは複数の投与で行われ得る。
【0093】
組成物は、例えば、錠剤、溶解性の錠剤、カプセル、丸剤サケッツ、ガラスビン、ハードあるいはソフトカプセル、水性または油性けん濁液、水性または油性溶液、乳剤、粉末、顆粒、シロップ、エリキシル剤、舐剤、再構成可能粉末、液剤、クリーム、トローチ、固い飴、スプレー、チューインガム、クリーム、軟膏、ゼリー、ゲル、ペースト、歯磨、リンス、デンタルフロス、および歯ようじ、液体エーロゾル、乾燥粉末製剤、HFAエアゾールまたは有機あるいは無機酸添加塩の形態であり得る。
【0094】
本発明の組成物は、口内、局所、頬投与に適した形態であり得る。
【0095】
疾患、処理すべき患者および投与経路に依存して、組成物は異なる投与量で投与され得る。
【0096】
塩/水和物/溶媒化合物
本発明の化合物は、薬学的に許容可能な酸あるいは塩基と塩を形成し得る。
【0097】
本発明の化合物の適切な塩基添加塩は、アルカリ金属塩(例えば、リチウム、ナトリウムまたはカリウムなど)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウムまたはマグネシウムなど)、有機アミン塩(例えば、アンモニウム、トリエチルアミン、モルホリン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N−ジベンジルエチルアミン、2−ヒドロキシエチルアミンのようなヒドロキシエチルアミン、ビス−(2−ヒドロキシエチル)−アミンあるいは3−(2−ヒドロキシエチル)−アミン、ビシクロヘキシルアミンのようなシクロアルキルアミン、またはプロカイン、ジベンジルピペリジン、N−ベンジル−N−フェネチルアミン、ジハイドロアビエティルアミン、N,N'−ビスジハイドロアビエティルアミン、グルカミン、N−メチルグルカミンとともに)、ピリジン型の塩(ピリジン、コリジン、キニーネまたはキノリンなど)またはアミノ酸(例えば、リジン)などの薬剤的に許容可能な塩で形成されたものを含んでいる。
【0098】
また、本発明の化合物は、例えば、水和した形態などの溶媒化していない形態と同様に溶媒化している形態中に存在し得ることが理解され得る。
【0099】
口内/頬側
口内あるいは頬側投与に対して、本発明の化合物は様々な付形剤と組み合わせることができる。口内投与に対する固体薬剤製剤は、しばしば、結着剤(例えば、シロップ、アカシア、ゼラチン、トラガカント、ポリビニルピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム、予備糊化したはトウモロコシ澱粉、ヒドロキシプロピル・メチルセルロース、デンプン、改質澱粉、アラビアゴム、トラガントゴム、グアーゴム、ペクチン、ワックスバインダー、微結晶セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピル・メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、コポリビドン、およびアルギン酸ナトリウム)、崩壊剤(デンプン、好ましくは、とうもろこし、じゃがいもまたはタピオカデンプン、アルギン酸、あるシリケイト複合体、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アカシア、ナトリウム・デンプン・グリコールレート、微結晶セルロース、クロスカーメロース・ナトリウム、クロスポビドン、ヒドロキシプロピル・メチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロースなど)、潤滑剤(ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、シリカ・ポリエチレングリコールワックス、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸カルシウム、カルヌバワックス、水素添加植物油、鉱油、ポリエチレングリコール、乳糖、ステアリルフマル酸ナトリウム)およびフィラー(高分子量のポリエチレングリコール、乳糖、リン酸カルシウム、グリシンステアリン酸マグネシウム、デンプン、米粉、チョーク、ゼラチン、微結晶セルロース、石膏、およびラクチトール)を含んでいる。また、そのような調製は、保存剤と抗酸化剤を含み得る。
【0100】
口内投与のための液組成は、例えば、乳剤、シロップ、またはエリキシル剤の形態であり得る、または、使用の前に水または多の適切な媒体を加えて戻す乾燥生成物として存在し得る。そのような液組成物は、沈殿防止剤(例えば、シロップ、メチルセルロース、水素添加された食用油、ゼラチン、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルミニウムステアリン酸塩ゲル、水素添加食用油)、乳化剤(例えば、レシチン、ソルビタン・モノオレイン酸、またはアカシア)、水溶性あるいは非水性媒体(例えば、アーモンド油、分割されたヤシ油などの食用油を含んでいる)、グリセリン、水または通常の食塩水、防腐剤(例えば、メチルまたはプロピル・p−ヒドロキシベンゾアートまたはソルビン酸)、慣用の着香剤、防腐剤、スイートニングまたは着色剤などの慣用の助剤を含み得る。また、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンおよびそれらの組合せなどの希釈剤もまた含み得る。
【0101】
当業者にとって、他の適切なフィラー、バインダー、崩壊剤、潤滑剤、および追加の付形剤はよく知られている。
【0102】
対照の/遅れた/延長された放出調合
本発明の化合物は、制御された放出調合で投与され得る。化合物は、所望時間の間、一定の薬剤活性を維持するために必要な速度で放出される。そのような服用形態は、予め決められた時間の間、体に薬剤を供給し、それにより、従来の制御されていない調合に比べてより長時間にわたって治療範囲レベルの薬剤を維持することができる。また、化合物は、活性物質の放出が標的に向けられる制御された放出調合に調合され得る。例えば、化合物の放出は調合のpH感度を通して消化システムの特定領域に制限され得る。当業者にとって、そのような調合はよく知られている。
【0103】
リポソーム
活性物質は、小さな単層小胞、大きい単層小胞、多層の小嚢などのリポソーム配送システムの形態で投与され得る。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどのさまざまなリン脂質から形成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口内用組成物であって、
a)連鎖球菌属、ユーバクテリウム属、ネイセリア属、およびベイヨネラ属を含むグループであって、健康な口内微生物叢中に通常存在していて素早くコロニーを形成する口内細菌のグループから選択された、一つまたはそれ以上の分離された弱酸を生成するか酸を生成しない菌株と、
b)pH上昇および/またはpH緩衝する能力を有する一つまたはそれ以上の物質と、を有することを特徴とする口内用組成物。
【請求項2】
前記弱酸を生成するか酸を生成しない菌株が、連鎖球菌属オラリス(Streptococcus oralis)であることを特徴とする請求項1に記載の口内用組成物。
【請求項3】
前記弱酸を生成するか酸を生成しない菌株が、連鎖球菌属バースチビュラリス(Streptococcus verstibularis)であることを特徴とする請求項1に記載の口内用組成物。
【請求項4】
前記弱酸を生成するか酸を生成しない菌株が、ユーバクテリウム属連鎖球菌サブレウム(Eubacterium Streptococcus saburreum)またはユーバクテリウム属連鎖球菌ユリイ(Eubacterium Streptococcus yurii)であることを特徴とする請求項1に記載の口内用組成物。
【請求項5】
前記弱酸を生成するか酸を生成しない菌株が、ネイセリア属ムコサ(Neisseria mucosa)またはネイセリア属サブフラバ(Neisseria subflava)であることを特徴とする請求項1に記載の口内用組成物。
【請求項6】
前記弱酸を生成するか酸を生成しない菌株が、ベイヨネラ属パーブラ(Veillonella parvula)またはベイヨネラ属ディスパー(Veillonella dispar)であることを特徴とする請求項1に記載の口内用組成物。
【請求項7】
前記弱酸を生成するか酸を生成しない菌株が、遺伝子を組み換えられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の口内用組成物。
【請求項8】
前記pH上昇および/またはpH緩衝する能力を有する物質は、重炭酸塩、尿素、リン酸、タンパク質、および/または、塩を含むグループから選ばれた物質の1つ、または2つまたはそれ以上の組合せであることを特徴とする請求項1に記載の口内用組成物。
【請求項9】
前記pH上昇および/またはpH緩衝する能力を有する物質は、重炭酸ナトリウム、NaHCO3、および/または、尿素、またはこれらの組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の口内用組成物。
【請求項10】
前記pH上昇および/またはpH緩衝する能力を有する物質は、pHをpH5.5からpH7.8に維持し、好ましくは、pHをpH6からpH7.5に維持し、より好ましくは、pHをpH6.5からpH7.2に維持することを特徴とする請求項1、8または9のいずれか1項に記載の口内用組成物。
【請求項11】
前記pH上昇および/またはpH緩衝する能力を有する物質は、15〜300mmol/l口内用組成物、好ましくは、30〜200mmol/l口内用組成物、より好ましくは、50〜100mmol/l口内用組成物の濃度範囲で使用されることを特徴とする請求項1、8、9または10のいずれか1項に記載の口内用組成物。
【請求項12】
前記細菌が凍結乾燥されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の口内用組成物。
【請求項13】
前記細菌が凍結乾燥されたあるいは生きた細菌が油に浸漬されていることを特徴とする請求項12に記載の口内用組成物。
【請求項14】
潤滑剤が追加されていることを特徴とする請求項1乃至13のうちのいずれか1項または複数項に記載の口内用組成物。
【請求項15】
前記潤滑剤は、食用油、植物性揮発油、グリセリン、カルボキシメチルセルロース、キサンタンゴムまたは動物ムチンを含むグループから選択されることを特徴とする請求項14に記載の口内用組成物。
【請求項16】
前記潤滑剤は、ひまわり油であることを特徴とする請求項15に記載の口内用組成物。
【請求項17】
フッ化ナトリウム、モノフッ化りん酸塩、または、フッ化第1スズを含むグループから選択されたフッ化化合物が追加されることを特徴とする請求項1乃至16のうちのいずれか1項または複数項に記載の口内用組成物。
【請求項18】
ステビアが追加されることを特徴とする請求項1乃至17のうちのいずれか1項または複数項に記載の口内用組成物。
【請求項19】
亜鉛および/または二酸化塩素が追加されることを特徴とする請求項1乃至18のうちのいずれか1項または複数項に記載の口内用組成物。
【請求項20】
コルチゾン、ベンジダミン、非ステロイド抗炎症剤、または、例えば、キンセンカ抽出物またはティーツリーオイルなどのハーブ・エキスを含むグループから選択された抗炎症物質が追加されることを特徴とする請求項1乃至19のうちのいずれか1項または複数項に記載の口内用組成物。
【請求項21】
リドカインまたはプリロカインを含むグループから選択された鎮痛剤が追加されることを特徴とする請求項1乃至20のうちのいずれか1項または複数項に記載の口内用組成物。
【請求項22】
アンホテリシン、フルカノゾール、またはニスタチンを含むグループから選択された抗真菌剤が追加されることを特徴とする請求項1乃至21のうちのいずれか1項または複数項に記載の口内用組成物。
【請求項23】
ハッカ、果汁、甘草、ステビア・リボウディアナ、ステビオシド、レバウディオサイドA、ユーカリ油のような植物性揮発油、メンソールを含むグループから選択された1つまたはそれ以上の着香物質が追加されることを特徴とする請求項1乃至22のうちのいずれか1項または複数項に記載の口内用組成物。
【請求項24】
良好な口内健康を回復するために使用する口内用組成物の調製に対して、
a)連鎖球菌属、ユーバクテリウム属、ネイセリア属、およびベイヨネラ属を含むグループであって、健康な口内微生物叢中に通常存在していて素早くコロニーを形成する口内細菌のグループから選択された、一つまたはそれ以上の分離された弱酸を生成するか酸を生成しない菌株と、
b)pH上昇および/またはpH緩衝する能力を有する一つまたはそれ以上の物質と、
を使用することを特徴とする使用方法。
【請求項25】
前記弱酸を生成するか酸を生成しない菌株が、連鎖球菌属オラリス(Streptococcus oralis)であることを特徴とする請求項24に記載の使用方法。
【請求項26】
前記弱酸を生成するか酸を生成しない菌株が、連鎖球菌属バースチビュラリス(Streptococcus verstibularis)であることを特徴とする請求項24に記載の使用方法。
【請求項27】
前記弱酸を生成するか酸を生成しない菌株が、ユーバクテリウム属連鎖球菌サブレウム(Eubacterium Streptococcus saburreum)またはユーバクテリウム属連鎖球菌ユリイ(Eubacterium Streptococcus yurii)であることを特徴とする請求項24に記載の使用方法。
【請求項28】
前記弱酸を生成するか酸を生成しない菌株が、ネイセリア属ムコサ(Neisseria mucosa)またはネイセリア属サブフラバ(Neisseria subflava)であることを特徴とする請求項24に記載の使用方法。
【請求項29】
前記弱酸を生成するか酸を生成しない菌株が、ベイヨネラ属パーブラ(Veillonella parvula)またはベイヨネラ属ディスパー(Veillonella dispar)であることを特徴とする請求項24に記載の使用方法。
【請求項30】
前記弱酸を生成するか酸を生成しない菌株が、遺伝子を組み換えられていることを特徴とする請求項24乃至29のうちのいずれか1項または複数項に記載の使用方法。
【請求項31】
前記pH上昇および/またはpH緩衝する能力を有する物質は、重炭酸塩、尿素、リン酸、タンパク質、および/または、塩を含むグループから選ばれた物質の1つ、または2つまたはそれ以上の組合せであることを特徴とする請求項24に記載の使用方法。
【請求項32】
前記pH上昇および/またはpH緩衝する能力を有する物質は、重炭酸ナトリウム、NaHCO3、および/または、尿素、またはこれらの組み合わせであることを特徴とする請求項24に記載の使用方法。
【請求項33】
前記pH上昇および/またはpH緩衝する能力を有する物質は、pHをpH5.5からpH7.8に維持し、好ましくは、pHをpH6からpH7.5に維持し、より好ましくは、pHをpH6.5からpH7.2に維持することを特徴とする請求項24、31または32のうちのいずれか1項または複数項に記載の使用方法。
【請求項34】
前記pH上昇および/またはpH緩衝する能力を有する物質は、15〜300mmol/l口内用組成物、好ましくは、30〜200mmol/l口内用組成物、より好ましくは、50〜100mmol/l口内用組成物の濃度範囲で使用されることを特徴とする請求項24、31、32または33のうちのいずれか1項または複数項に記載の使用方法。
【請求項35】
前記細菌が凍結乾燥されていることを特徴とする請求項24乃至29のいずれか1項に記載のに記載の使用方法。
【請求項36】
前記凍結乾燥された細菌が油に浸漬されていることを特徴とする請求項35に記載の使用方法。
【請求項37】
潤滑剤が追加されていることを特徴とする請求項24乃至36のうちのいずれか1項または複数項に記載の使用方法。
【請求項38】
前記潤滑剤は、食用油、植物性揮発油、グリセリン、カルボキシメチルセルロース、キサンタンゴムまたは動物ムチンを含むグループから選択されることを特徴とする請求項37に記載の使用方法。
【請求項39】
前記潤滑剤は、ひまわり油であることを特徴とする請求項37に記載の使用方法。
【請求項40】
フッ化ナトリウム、モノフッ化りん酸塩、または、フッ化第1スズを含むグループから選択されたフッ化化合物が追加されることを特徴とする請求項24乃至39のうちのいずれか1項または複数項に記載の使用方法。
【請求項41】
亜鉛および/または二酸化塩素が追加されることを特徴とする請求項24乃至40のうちのいずれか1項または複数項に記載の使用方法。
【請求項42】
コルチゾン、ベンジダミン、非ステロイド抗炎症剤、または、例えば、キンセンカ抽出物またはティーツリーオイルなどのハーブ・エキスを含むグループから選択された抗炎症物質が追加されることを特徴とする請求項24乃至41のうちのいずれか1項または複数項に記載の使用方法。
【請求項43】
リドカインまたはプリロカインを含むグループから選択された鎮痛剤が追加されることを特徴とする請求項24乃至42のうちのいずれか1項または複数項に記載の使用方法。
【請求項44】
アンホテリシン、フルカノゾール、またはニスタチンを含むグループから選択された抗真菌剤が追加されることを特徴とする請求項24乃至43のうちのいずれか1項または複数項に記載の使用方法。
【請求項45】
ハッカ、果汁、甘草、ステビア・リボウディアナ、ステビオシド、レバウディオサイドA、ユーカリ油のような植物性揮発油、およびメンソールを含むグループから選択された1つまたはそれ以上の着香物質が追加されることを特徴とする請求項24乃至44のうちのいずれか1項または複数項に記載の使用方法。
【請求項46】
口内乾燥に苦しむ被験者に対して良好な口内健康を回復することを特徴とする請求項24乃至45のうちのいずれか1項または複数項に記載の使用方法。
【請求項47】
虫歯に苦しむ被験者に対して良好な口内健康を回復することを特徴とする請求項24乃至45のうちのいずれか1項または複数項に記載の使用方法。
【請求項48】
口臭に苦しむ被験者に対して良好な口内健康を回復することを特徴とする請求項24乃至45のうちのいずれか1項または複数項に記載の使用方法。
【請求項49】
炎症を起こしている口内粘膜膜に苦しむ被験者に対して良好な口内健康を回復することを特徴とする請求項24乃至45のうちのいずれか1項または複数項に記載の使用方法。
【請求項50】
口内粘膜の痛みに苦しむ被験者に対して良好な口内健康を回復することを特徴とする請求項24乃至45のうちのいずれか1項または複数項に記載の使用方法。
【請求項51】
口腔中の菌類感染に苦しむ被験者に対して良好な口内健康を回復することを特徴とする請求項24乃至45のうちのいずれか1項または複数項に記載の使用方法。
【請求項52】
口内用組成物であって、
a)連鎖球菌属、ユーバクテリウム属、ネイセリア属、およびベイヨネラ属を含むグループであって、健康な口内微生物叢中に通常存在していて素早くコロニーを形成する口内細菌のグループから選択された、一つまたはそれ以上の分離された弱酸を生成するか酸を生成しない菌株と、
b)pH上昇および/またはpH緩衝する能力を有する一つまたはそれ以上の物質と、を有し、請求項46乃至51に記載された不調の1つまたはそれ以上に苦しむ被験者に対して良好な口内健康を回復する有することを特徴とする口内用組成物。
【請求項53】
a)連鎖球菌属、ユーバクテリウム属、ネイセリア属、およびベイヨネラ属を含むグループであって、健康な口内微生物叢中に通常存在していて素早くコロニーを形成する口内細菌のグループから選択された、一つまたはそれ以上の分離された弱酸を生成するか酸を生成しない菌株と、
b)重炭酸塩、尿素、リン酸、タンパク質、および/または、塩を含むグループから前記被験者に対して好ましくは選択された、pH上昇および/またはpH緩衝する能力を有する一つまたはそれ以上の物質と、
を含む組成物を投与することによって、乱された微生物叢に苦しむ被験者に対して良好な口内健康を回復する有する方法。

【公表番号】特表2009−522330(P2009−522330A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548992(P2008−548992)
【出願日】平成19年1月2日(2007.1.2)
【国際出願番号】PCT/EP2007/000015
【国際公開番号】WO2007/077210
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(508199668)
【氏名又は名称原語表記】WIKSTROM, Maude
【住所又は居所原語表記】Aschebergsgatan 28, S−411 33 Goteborg, Sweden
【出願人】(508199680)
【氏名又は名称原語表記】ALMSTAHL, Annica
【住所又は居所原語表記】Smedjebacken 4, S−446 35 Alvangen, Sweden
【Fターム(参考)】