説明

微生物相互作用を基にした過程を制御するための新規アルコキシラクトン、アルコキシラクタムおよびアルコキシチオラクタム



(I)
本発明は、式(I)の新規アルコキシラクトン、アルコキシラクタムおよびアルコキシチオラクタムに関し、該アルコキシラクトン、アルコキシラクタムおよびアルコキシチオラクタムを用いる微生物相互作用を基にした過程を制御するための方法、該アルコキシラクトン、アルコキシラクタムおよびアルコキシチオラクタムの使用、ならびに該アルコキシラクトン、アルコキシラクタムおよびアルコキシチオラクタムを含有する剤に関する。
該式中、AはOまたはNHを表し、AはOまたはSを表し、RおよびRは、各々独立して、水素、分枝鎖または直鎖メチル炭化水素基、あるいは、飽和あるいは一価または二価不飽和であるC2-C8炭化水素基、特にC2-C炭化水素基、好ましくはC2-C炭化水素基から選択される基を表し、Rは、飽和あるいは一価または二価不飽和である分枝鎖または直鎖状のC1-C18-飽和炭化水素基、特にC1-C16-飽和炭化水素基、好ましくはC1-C18-飽和炭化水素基、特に好ましくはC-C14-飽和炭化水素基から選択される基を表す。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、新規アルコキシラクトン、アルコキシラクタムおよびアルコキシチオラクタムに関し、該アルコキシラクトン、アルコキシラクタムおよびアルコキシチオラクタムを用いる微生物相互作用を基にした過程を制御するための方法、該アルコキシラクトン、アルコキシラクタムおよびアルコキシチオラクタムの使用、ならびに該アルコキシラクトン、アルコキシラクタムおよびアルコキシチオラクタムを含有する剤に関する。
【0002】
微生物は、複数の異なるシグナルによって互いに連絡をとりあっている。特に、微生物の連絡および相互作用のメカニズムは、先行技術において詳細に説明されている。
【0003】
抗菌物質をスクリーニングする際に使用することを目的とする特定のヒスチジンキナーゼまたは相同タンパク質は、WO00/56154;EP 0881297;US 6287836;EP 0909820およびUS 6001600に説明されている。キナーゼ誘導体は、グラム陽性生物からもっぱら得られる。
【0004】
WO 01/49708では、200個よりも少ないが少なくとも6個のアミノ酸を有するペプチドが、レスポンス・レギュレーターを遮断するために使用される。しかし、シグナル分子がブロックされるのではなく、むしろシグナル鎖において次のタンパク質の活性化が阻害される。
【0005】
細菌によるか、または細菌を用いた成熟バイオフィルムの形成は、様々な細胞外のシグナル物質以上に細菌細胞間の連絡に依存する。
【0006】
付着細菌の細胞数密度によって、最小濃度を超えるこのメッセンジャー物質のいずれのレベルでも、バイオフィルム形成の活性化、および別の毒性遺伝子の誘導に影響をもたらす。この現象は「クオラムセンシング(Quorum Sensing)」と呼ばれ、基本的にバイオフィルム内の生存細菌を破壊せずに、バイオフィルムを制御する可能性を開くものである。
【0007】
現在までに、非常に多数のシグナル分子が、グラム陰性およびグラム陽性細菌において同定されてきた[Miller, M.B., Bassler, B.L. (2001) Quorum sensing in bacteria. Annu Rev Microbiol. 55, 165-199; Kleerebezem, M., Quadri, L.E. (2001) Peptide pheromone-dependent regulation of antimicrobial peptide production in Gram-positive bacteria: a case of multi cellular behavior. Peptides 22, 1579-1596]。
【0008】
これらのシグナル分子の構造は、特にグラム陰性生物について十分研究されてきた。これらの生物体で見出されるシグナル物質(フェロモン)は、N−アシル側基の長さ、およびC3位置(3-オキソまたは3-ヒドロキシ基)での修飾によって異なる様々なN−アシル-L−ホモセリンラクトン(AHL)群のメンバーであることもおおい[Greenberg, E.P. (1997) Quorum sensing in Gram-negative bacteria. ASM News 63, 371-377]。
【0009】
このメカニズムは、グラム陽性細菌についてはいまだ十分に理解されていない。多くの場合、小分子ペプチドはシグナル分子と記載される[Kleerebezem, M., Quadri, L.E. (2001) peptide pheromone-dependent regulation of antimicrobial peptide productioin in Gram-positive bacteria: a case of multicellular bacteria. Peptide 22, 1579-1596]。
【0010】
しかし、この基本原理は類似している。各シグナル分子は、一般的には膜に結合した細胞性受容体(二成分系)によって、特異的に認識され、結合される。
【0011】
グラム陰性細菌においては、とりわけ、特異的なヒスチジンキナーゼは、前記のように受容体として作用する。これらのヒスチジンキナーゼは、いわゆる二成分系の構成成分である。第二成分は、いわゆるレスポンス・レギュレーターによって形成される。シグナル分子が、かかるヒスチジンキナーゼに結合する場合、レスポンス・レギュレーターが該キナーゼによって活性化される。活性化されたレスポンス・レギュレーターは、それ自身多くの様々な細胞過程のアクチベーターとして作用する[Chang C, Stewart, The two-component system. Regulation of diverse signaling pathways in prokaryotes and eukaryotes. Plant Physiol. 1998 Jul; 117(3):723-31.]。
【0012】
あらゆる細胞中で最も変化した機能を有するこのような二成分系が多数存在する一方、細胞内転写アクチベータータンパク質(「LuxR−タンパク質」)は、グラム陰性細菌によるバイオフィルムの発生に主に関与する。それらの機能性のために、LuxRクラスのタンパク質は、最初にAHLに結合し、次にDNA分子の制御領域との相互作用をうける[Eberl L, N-acyl homoserinelactone-mediated gene regulation in Gram-negative bacteria, Syst Appl Microbiol. 1999 Dec; 22(4):493-506.; Michael B, Smith JN, Swift S, Heffron F, Ahmer BM. SdiA of Salmonella enterica is a LuxR homolog that detects mixed microbial communities. J Bacteriol. 2001 Oct; 183(19):5733-42.; Gray KM, Garey JR., The evolution of bacterial LuxI and LuxR quorum sensing Microbiology. 2001 Aug; 147(Pt 8):2379-87.]。
【0013】
近年、転写アクチベータータンパク質(約200個のアミノ酸)のN末端部分のみがAHL分子の結合に関与することが知られた[Zhang RG, Pappas T, Brace JL, Miller PC, Oulmassov T, Molyneaux JM, Anderson JC, Bashkin JK, Winans SC, A., Structure of a bacterial quorum-sensing transcription factor complexed with pheromone and DNA. Nature. 2002 Jun 27; 417(6892):971-4.]。
【0014】
先行技術および科学者により、基本的に3つの異なる概念が、バイオフィルムの防止または制御について提唱されている。
【0015】
1.酵素、例えばラクトナーゼによるメッセンジャー物質の解裂
近年、様々な酵素がグラム陽性細菌から単離されており、これらはAHL分子を特異的に解裂し、そうしてこれらのシグナル経路(「クオラムセンシング」)を停止させ得る。これらのラクトナーゼは幾度も記載されてきた[Dong YH, Wang LH, Xu JL, Zhang HB, Zhang XF, Zhang LH. (2001) Quenching quorum-sensing-dependent bacterial infection by an N-acyl homoserine lactonase. Nature. 411, 813-817; WO 0185664; WO 0216623]。
【0016】
2.メッセンジャー物質それ自体の、例えば抗体による妨害/結合
【0017】
バイオフィルムを防止するための別の可能性は、AHL特異抗体の使用である。このタイプの抗体をメッセンジャー物質に結合することによって、後者はその本来の受容体(=ヒスチジンキナーゼ)にもはや結合出来なくなくなる[WO0194543]。しかし、抗体を製造するためのコストが高くつくため、この方法は医療目的にしか適さない。
【0018】
3.メッセンジャー物質の細胞性受容体の妨害、例えば構造アナログ様物質による遮断
【0019】
フラノンおよびフラノン誘導体は、特に構造アナログ様物質として知られている[Manfield M, de Nys R, Kumar N, Read R, Givskov M, Steinberg P, Kjelleberg., Evidence that halogogenated furanones from Delisea pulchra inhibit acylated homoserine lactone(AHL)-mediated gene expression displacing the AHL signal from its receptorprotein. Microbiology. 1999 Feb; 145 (Pt 2):283-91; WO 9629392; WO 0168091; WO 0168090; WO 0176594]。
【0020】
フラノンは、それらの構造からAHLアナログと説明される。それらはシグナル伝達経路を遮断する、即ちそれらはAHLシグナル物質を競合的に抑制し、細胞内標的分子(細胞内転写アクチベータータンパク質)に結合する。誘導された細菌の増殖は、フラノンの効果により、低濃度では阻害されない。
【0021】
フラノンの添加に加えて、抗体または抗体フラグメントの使用は、個々のケースにおいて議論されている[Bryers, J.D., 2001, gentetherapy approach to preventing bacterial colonization of biomaterials, Abstracts of papers, 222nd ACS National Meeting]。
【0022】
本発明は、微生物の相互作用を互いに制御し、調節し得る手段により新規物質を提供するという課題に基づいている。
【0023】
本発明の主題は、式I
【化1】


[式中、
はOまたはNHを表し、
はOまたはSを表し、
およびRは、各々独立して、水素、メチル、あるいはC2-C8−、特にC2-C−、最も好ましくはC2-C−飽和または一価もしくは二価不飽和の、分枝鎖または直鎖炭化水素群から選択される基を表し、そして、
は、C1-C18-、特にC1-C16-、好ましくはC1-C14-、特に好ましくはC-C18-、C-C16-もしくはC-C14-飽和あるいは一価または二価不飽和の、分枝鎖または直鎖炭化水素群から選択される基を表す。]
の化合物に関する。
【0024】
好ましくは、A1およびA2はOを表し、R1およびR2は水素またはメチルを表し、R3は、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、トリデシレンまたはテトラデシレンを表わす。特に好ましい実施態様において、RおよびRは水素またはメチルを表し、R3はデシレン、ウンデシレン、ドデシレン、トリデシレンまたはテトラデシレンを表す。さらに別の好ましい態様において、RおよびRはメチルを表し、R3はブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレンまたはオクチレンを表す。
【0025】
本発明によれば、特に、α-オクチルオキシパントラクトン、α-オクチルオキシブチロラクトン、α-トリデシルオキシブチロラクトン、α-ヘキサデシルオキシブチロラクトン、α-ヘプチルオキシパントラクトン、α-トリデシルオキシパントラクトンおよびα-ヘキサデシルオキシパントラクトンが非常に好ましい。
【0026】
式Iに記載の化合物の炭化水素基、R1、R2およびR3基は、互いに独立して、鎖中にOおよびSから選択されるヘテロ原子を所望により含み得る、および/またはハロゲン、特にフッ素、塩素または臭素、ヒドロキシ、C1-C6-アルキル、特にC1-C4-アルキル、トリフルオロメチル、C1-C6-アルコキシ、特にC1-C4-アルコキシ、好ましくはメトキシまたはエトキシ、C6-C10-アリール、特にC6-アリール、好ましくはフェニル、およびC1-C6-アルキル-C6-C10-アリール、特にC1-C4-アルキル-C6-アリール、好ましくはトルイルから選択される基によって、1置換または複数置換、好ましくは一置換され得る。
【0027】
本発明の化合物は、それらのラセミ混合物の形態で、または単離された立体異性体および/またはエナンチオマーの形態で存在し得る。
【0028】
本発明の化合物は、適当な塩基、特に炭酸セシウムまたはセシウムハロゲン化物の存在下、適当な有機溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド)中で、1-ハロアルカン、特に1−クロロアルカン、1-ブロモアルカンまたは1-ヨードアルカン、特に好ましくは1-ブロモアルカンと、適切なラクトン、ラクタムまたはチオラクタムとの反応によって有利に調製し得る。
【0029】
本発明に従って、R3がヘプチレン基であるか、より短い基である化合物は、反応混合物から蒸留によって作成され得る。R3がより大きな基である場合、生成物は結晶化によって作成されるのが好ましい。
【0030】
製造方法は、所望の標的化合物のサイズや型を機能に応じて当業者により、適当に修飾され得る。
【0031】
本発明の別の目的は、微生物相互作用を基にした過程を制御する方法である:
(a)必要ならば相互作用する微生物が決定される、
(b)必要ならば一または複数の適切な化合物が本発明化合物から選択される、
(c)本発明の化合物が、微生物相互作用が生じる培地に、所望の制御に十分な量で添加される。
【0032】
特に適当な微生物は、Aeromonas hydrophila、Aeromonas salmonicida、Agrobacterium tumefaciens、Burkholderia cepacia、Chromobacterium violaceum、Enterobacter agglomerans、Erwinia carotovora、Erwinia chrysanthemie、Escherichia coli、Nitrosomona europaea、Obesumbacterium proteus、Pantoea stewartii、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas aureofaciens、Pseudomonas fluorescens、Pseudomonas syringae、Ralstonia solanacearum、Rhizobium etli、Rhizobium leguminosarum、Rhodobacter sphaeroides、Salmonella enterica、Serratia liquefacie, ns、Vibrio anguillarum、Vibrio fischeri、Xenorhabdus nematophilus、Yersinia enterolytica、Yersinia pestis、Yersinia pseudotuberculosisおよびYersinia ruckeriから選択される。
【0033】
本発明によれば、グラム陽性細菌も適当な微生物である。
【0034】
最も重要な点は、特に水溶液において、バイオフィルムの発生に強力に関与する細菌である。これらは、シュードモナス属の広範なグループ、特にP. aeruginosa、Burkholderia cepacia、Serratia, Rhizobium、E. coli由来の主な細菌である。さらに重要なバイオフィルム細菌は、aquabacteriumおよびxanthomonasである。
【0035】
大部分の場合において、細菌のコミュニケーションシステムは、個々の細胞の形態変化を支配しないが、各生物の病原性に影響する。コミュニケーションシステムに関する最も重要な機能のいくつかは、例として次に挙げる:
【0036】
生物発光遺伝子(例えば、Photobacterium fischeri)の発現調節。
β-ラクタム-抗生物質Carbapenem(Erwinia carotovora)の産生およびPseudomonas aureofaciensにおけるAB−産生。
接合性プラスミド転移(Agrobacterium tumefaciensからのtral/traR)
飢餓応答(例えば、Pseudomonas)
P. aeruginosaによる細菌性移行(Serratia liquefaciensからのswrl/swrR)
分化したバイオフィルムの発生(P aeruginosa, B. cepacia)
様々な毒性因子の産生(P. aeruginosaによる細胞関連毒性因子、例えば細胞外因子、例えばプロテアーゼ(LasB−エラスターゼ、アルカリプロテアーゼおよびLasA−プロテアーゼ)、ヘモリシン[ラムノリピッドおよびホスホリパーゼ(phosoholipase)]および毒素(エキソトキシンAおよび外酵素S)の産生。
異なる細菌種間、例えばP. cepacia およびP. aeruginosaの、細胞間の交信。
【0037】
毒性因子産生の調節は、嚢胞性線維症患者の慢性的感染に関連して、pseudomonas aeruginosa および burkholderia cepaciaに関して特定の役割を担う。
【0038】
本発明に従って、微生物相互作用は、バイオフィルムの発生および/または成熟、多細胞性集団行動、抗生物質耐性協調的進化、抗生物質の協調合成、色素の協調合成、細胞外酵素、特に加水分解酵素の一斉産生および毒性因子の協調産生、好ましくはバイオフィルムの発生および/または成熟から選択される。
【0039】
本発明の別の対象は、微生物相互作用を基にした過程を制御するための、特にバイオフィルムの発生および/または成熟、特に好ましくはグラム陰性細菌が関与するバイオフィルムを制御するための、本発明化合物の使用である。
【0040】
例えば、船体は、藻類の成長に対してこの方法で保護され得る。バイオフィルムは、大きな生物の住処、例えばムラサキイガイおよび藻類の定着のための土台を形成する。この成長は、その粘性抵抗により船を減速させ、燃料消費を増加させて、結果としてこの堆積物は多大な費用をかけて定期的に除去しなければならない。
【0041】
有利には、本発明の化合物は、抗生物質とは異なり、細菌を殺さずに、成熟の進行、粘液質が生じないように細菌のコミュニケーションシステムを阻害するだけである。特に有利なことは、微生物は、微生物自身によって使用されるAHL分子の構造アナログを示すこれらの化合物に対して、どのような耐性をも発生させ得ないことである。
【0042】
医療に関連するバイオフィルムは、本発明の特に好ましい目的である。次に具体的に挙げる:
【0043】
嚢胞性線維症:嚢胞性線維症患者に影響を及ぼす慢性的な肺感染は、グラム陰性桿菌Pseudomonas aeruginosaによって引き起こされる。一旦バイオフィルムが肺において形成されれば、最も強力な抗生物質処置であっても、細菌をもはや殺すことは不可能である。上皮細胞での塩の輸送不全のために、この遺伝性疾患に罹患した患者は、肺において粘性粘液が発生し、これが病原体のための良好な栄養培地となる。
【0044】
コンタクトレンズ:フィルム形成細菌は、コンタクトレンズ上にも自身を定着させ得る。最も注目すべきことは、細菌Pseudomonas aeruginosaが重要な役割を果たすことである。この細菌は、眼の正常な叢中では生じないが、マスカラスポンジまたは雑菌の混入したコンタクトレンズ用洗浄液から、眼へと伝搬する。たとえ小さな創傷であっても、角膜炎症はよく起こる。
【0045】
移植:細菌バイオフィルムは、移植手術における全感染の約60%に関与し得る。患者の死亡率は、内因性移植、例えば人工関節または心臓バルブの場合では特に高い。
【0046】
カテーテル:輸血または人工的栄養に必要とされ得るような静脈通路も、重度な感染に導きうる。正常な皮膚叢由来の細菌、例えばstaphylococcus 型、または病原体、例えば多様なpseudomonas種は、患者の血管系に運ばれる前に、通路の外側面上に蓄積し得る。次いでこの細菌が、除去した時に慢性感染のトリガーとなり得るフィルムを形成する。
【0047】
歯垢:歯上の歯垢はみっともないだけでなく、ある環境において危険でもある。虫歯、歯肉炎(歯茎の出血)および歯周病(歯茎の炎症)が起こり得る。さらに、口腔叢由来の細菌は、小さな創傷から血液循環に侵入でき、心臓麻痺、早産または糖尿病を引き起こす疑いがある。
【0048】
本発明の好ましい使用は、滅菌剤、殺菌剤、含浸剤または防腐剤、洗剤または清浄剤、または冷却剤もしくは冷却潤滑剤(工業的塗布溶液)において、加えて浄水/水処理、および医薬、食品、醸造、薬品、着色材、木材、織物、化粧品、皮革、タバコ、皮膚、製鋼、紙、パルプ、プラスチック、燃料、油、ゴムまたは機械産業の分野において効果がある。
【0049】
特に好ましくは、本発明の使用は、医療設備、器具および装置、特にカテーテルおよび内視鏡に対するバイオフィルムの制御のための使用である。
【0050】
本発明の別の対象は、本発明の化合物を含んでいる、身体用手入れ剤、毛髪用シャンプー、毛髪用手入れ剤、発泡性入浴剤、シャワー用入浴剤、クリーム、ジェル、ローション、アルコール性のおよび水性アルコール溶液、エマルジョン、ワックス/油脂塊、粘着物、粉末または軟膏、口腔、歯または義歯手入れ用製品、化粧品、洗剤、清浄剤、すすぎ剤、手洗い用洗剤、手洗用食器洗浄剤、機械洗浄用食器洗浄剤、殺菌剤、ならびに食材、医薬品、濾材、織物製品、皮革製品、紙、皮膚または皮革の処理用剤である。
【0051】
本発明の化合物を含んでいるシャンプーおよび/または毛髪手入れ用製品、発泡性入浴剤、シャワー用入浴剤、クリーム、ジェル、ローション、アルコール性および水性アルコール溶液、エマルジョン、ワックス/油脂塊、スティック、粉末あるいは軟膏は、低刺激性界面活性剤、油、乳化剤、グリース、真珠光沢ワックス、粘稠提供剤、増粘剤、ポリマー、シリコン化合物、油脂、ワックス、安定化剤、生物起源の活性成分、消臭剤、制汗剤、フケ防止剤、フィルム形成剤、膨潤剤、UV光保護因子、抗酸化剤、ヒドロトロープ剤、防腐剤、防虫剤、日焼け用剤、可溶化剤、香油、着色材などを、助剤および添加剤として含み得る。
【0052】
適当な低刺激性、すなわち特に皮膚適合性界面活性剤の代表例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテルスルホネート、モノグリセリドスルホネート、モノおよび/またはジアルキルスルホサクシネート、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリド、脂肪酸グルタメート、α-オレフィンスルホネート、エーテルカルボン酸、アルキルオリゴグルコシド、脂肪酸グルカミド、アルキルアミドベタインおよび/またはタンパク質-脂肪酸濃縮物(好ましくはコムギタンパク質に基づくもの)である。
【0053】
例えば、次のものは油として見なされる:6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を有する脂肪アルコールを基にしたゲルベ(Guerbet)アルコール、直鎖C-C22-脂肪酸と直鎖C−C22−脂肪アルコールとのエステル、分枝鎖C−C13−カルボン酸と直鎖C−C22-脂肪アルコールとのエステル、例えばミリスチルミリステート、ミリスチルパルミテート、ミリスチルステアレート、ミリスチルイソステアレート、ミリスチルオレエート、ミリスチルベヘネート、ミリスチルエルケート、セチルミリステート、セチルパルミテート、セチルステアレート、セチルイソステアレート、セチルオレエート、セチルベヘネート、セチルエルケート、ステアリルミリステート、ステアリルパルミテート、ステアリルステアレート、ステアリルイソステアレート、ステアリルオレエート、ステアリルベヘネート、ステアリルエルケート、イソステアリルミリステート、イソステアリルパルミテート、イソステアリルステアレート、イソステアリルイソステアレート、イソステアリルオレエート、イソステアリルベヘネート、イソステアリルオレエート、オレイルミリステート、オレイルパルミテート、オレイルステアレート、オレイルイソステアレート、オレイルオレエート、オレイルベヘネート、オレイルエルケート、ベヘニルミリステート、ベヘニルパルミテート、ベヘニルステアレート、ベヘニルイソステアレート、ベヘニルオレエート、ベヘニルベヘネート、ベヘニルエルケート、エルシルミリステート、エルシルパルミテート、エルシルステアレート、エルシルイソステアレート、エルシルオレエート、エルシルベヘネートおよびエルシルエルケートである。さらに、適当なエステルは、直鎖C−C22-脂肪酸と分枝鎖アルコール、特に2−エチルヘキサノールとのエステル、ヒドロキシカルボン酸と直鎖または分枝鎖C−C22-脂肪アルコール、特にマレイン酸ジオクチルとのエステル、直鎖および/または分枝鎖脂肪酸とポリヒドロキシアルコール(例えば、プロピレングリコール、ダイマージオールまたはトリマージオール)および/またはゲルベアルコールとのエステル、C6-C10-脂肪酸を基にしたトリグリセリド、C−C18-脂肪酸を基にした液体モノ−/ジ-/トリグリセリド混合物、C−C22-脂肪アルコールおよび/またはゲルベアルコールと芳香族カルボン酸(特に安息香酸)とのエステル、C-C12-ジカルボン酸と、1〜22個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルコールまたは2〜10個の炭素原子および2〜6個のヒドロキシル基を有するポリオールとのエステル、植物性油、分枝鎖第一級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖および分枝鎖C-C22-脂肪アルコールカーボネート、ゲルベカーボネート、安息香酸と直鎖および/または分枝鎖C−C22-アルコールとのエステル(例えば、Finsolv(登録商標)TN)、アルキル基あたり6〜22個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖、対称または非対称ジアルキルエーテル、エポキシ化脂肪酸エステルのポリオールによる開環産物、、シリコン油および/または脂肪族またはナフテン系炭化水素(例えばスクアラン、スクアレンまたはジアルキルシクロヘキサン)である。
【0054】
乳化剤は、例えば、以下の群の少なくとも1つに由来する非イオン性界面活性剤から選択することができる:
(1)8〜22個の炭素原子を有する脂肪アルコールへの、12〜22個の炭素原子を有する脂肪酸への、アルキル基中に8〜15個の炭素原子を有するアルキルフェノールへの、ならびにアルキル基に8〜22個の炭素原子を有するアルキルアミンへの、エチレンオキシド2〜30モルおよび/またはプロピレンオキシド0〜5モルの付加生成物;
(2)グリセロールへのエチレンオキシド1〜30モルの付加生成物のC12/16脂肪酸モノおよびジエステル;
(3)グリセリンモノおよびジエステル、6〜22個の炭素原子を有する飽和および不飽和脂肪酸のソルビトールモノおよびジエステル、ならびにそれらのエチレンオキシド付加産物;
(4)アルキ(ケ)ニル基中に8〜22個の炭素原子を有するアルキルおよび/またはアルケニルモノおよびオリゴグリコシド、およびそれらのエトキシル化アナログ;
(5)ヒマシ油および/または水素化ヒマシ油への15〜60モルのエチレンオキシドの付加産物;
(6)ポリオールエステル、特にポリグリセリンエステル;
(7)ヒマシ油および/または水素化ヒマシ油へのエチレンオキシド2〜15モルの付加生成物;
(8)直鎖、分枝鎖、不飽和または飽和のC6/22-脂肪酸、リシノール酸、および12-ヒドロキシステアリン酸およびグリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、糖アルコール(例えばソルビトール)、アルキルグルコシド(例えば、メチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)およびポリグルコシド(例えば、セルロース)を基にした部分エステル;
(9)モノ、ジおよびトリアルキルホスフェート、ならびにモノ、ジおよび/またはトリ-PEG−アルキルホスフェートおよびそれらの塩;
(10)ウールワックスアルコール;
(11)ポリシロキサン-ポリアルキル-ポリエーテルコポリマーまたは対応する誘導体;
(12)ペンタエリスリトール、脂肪酸、クエン酸および特許DE1165574に記載の脂肪アルコールの混合エステルおよび/または6〜22個の炭素原子を有する脂肪酸、メチルグルコースおよびポリオール、好ましくはグリセリンまたはポリグリセリンの混合エステル;
(13)ポリアルキレングリコール;および
(14)グリセリンカーボネート。
【0055】
脂肪アルコール、脂肪酸、アルキルフェノール、脂肪酸のグリセリンモノおよびジエステル、ならびにソルビトールモノおよびジエステルへの、または代表的な既知のヒマシ油への、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの付加産物は、市販購入し得る製品である。それらは、同族体混合物として見なされ、この平均的なアルコキシル化度は、付加反応に使用したエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの量と基質量の比に対応する。グリセリンへのエチレンオキシドの付加産物のC12/18脂肪酸モノおよびジエステルは、DE 2024051から、化粧品調製物のための脂肪化剤と知られる。
【0056】
アルキルおよび/またはアルケニルモノおよびオリゴグリコシド、それらの製造および使用は、先行技術より既知である。それらの製造は、グルコースまたはオリゴサッカリドと8〜18個の炭素原子を含有する第一級アルコールとの反応より起こる。グリコシド基に関する限り、モノグリコシド(環状の糖基が脂肪アルコールとグリコシド結合している)、およびオリゴマーグリコシド(好ましくは、約8のオリゴマー化度を有する)の両方が適当である。この範囲において、オリゴマー化度は、このような工業用製品に代表的な同族体分布に基づく統計学的平均値である。
【0057】
適当なポリグリセリンエステルの代表例は、ポリグリセリル-2-ジポリヒドロキシステアレート(Dehymuls(登録商標)PGPH)、ポリグリセリン-3-ジイソステアレート(Lameform(登録商標)TGI)、ポリグリセリル-4イソステアレート(Isolan(登録商標)GI 34)、ポリグリセリル-3-オレエート、ジイソステアロイルポリグリセリル-3 ジイソステアレート(Isolan(登録商標)PDI)、ポリグリセリル-3メチルグルコースジステアレート(Tego Care(登録商標)450)、ポリグリセリル-3ミツロウワックス(Cera Bellina(登録商標))、ポリグリセリル-4カプレート(ポリグリセロールカプレートT2010/90)、ポリグリセリル-3セチルエーテル(Chimexane (登録商標)NL)、ポリグリセリル-3ジステアレート(Cremophor(登録商標)GS 32)およびポリグリセリルポリリシノレート(Admul(登録商標)WOL 1403)、ポリグリセリルダイマーエートイソステアレート(polyglyceryl dimerate isostearate)およびそれらの混合物である。
【0058】
さらに、双性イオン界面活性剤は、乳化剤としても使用し得る。双性イオン界面活性剤は、分子中に少なくとも第四級アンモニウム基および少なくとも一つのカルボキシレート基および少なくとも一つのスルホネート基を担持するその界面活性化合物である。特に適当な双性イオン界面活性剤は、いわゆるベタインであり、例えばN−アルキル-N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート、例えばココアルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N−アシルアミノプロピル-N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート、例えばココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート、および2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリン(アルキルまたはアシル基中の各々に8〜18個の炭素原子を有する)、ならびにココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチル グリシネートである。CTFA名称の元で既知である脂肪酸誘導体のコカミドプロピルベタインは特に好ましい。両性界面活性剤も適当な乳化剤である。両性界面活性剤は、C8/18アルキルまたはアシル基に加えて、分子中に少なくとも1つの遊離アミノ基および少なくとも1つのCOOHまたはSOH基を含有し、内部塩を形成できる界面活性化合物を包含すると解される。適当な両性界面活性剤の例は、N−アルキルグリシン、N−アルキルプロピオン酸、N−アルキルアミノ酪酸、N−アルキルイミノジプロピオン酸、N−ヒドロキシエチル-N−アルキルアミドプロピルグリシン、N−アルキルタウリン、N−アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸(それぞれのアルキル基中に約8〜18個のC原子を有する)である。特に好ましい両性界面活性剤は、N−ココアルキルアミノプロピオネート、ココアシルアミノエチルアミノプロピオネートおよびC12/18-アシルサルコシンである。両性界面活性剤の他に、第四級乳化剤もまた界面活性剤として見なされ、エステルクワット、好ましくはメチルで四級化したジ脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩が特に好ましいと考えられ得る。
【0059】
脂肪化剤(greasing agents)として、例えばラノリンおよびレシチン、さらにポリエトキシル化またはアシル化したラノリンおよびレシチン誘導体、ポリオール脂肪酸エステル、モノグリセリドおよび脂肪酸アルカノールアミドなどの物質が使用され得る、脂肪酸アルカノールアミドは、同時に発泡安定剤としてもはたらく。
【0060】
例示的な真珠光沢ワックスとしては、次のものを包含する:アルキレングリコールエステル、特にジステアリン酸エチレングリコール;脂肪酸アルカノールアミド、特にココ脂肪酸ジエタノールアミド;部分グリセリド、特にステアリン酸のモノグリセリド;多官能性の所望によりヒドロキシ置換されたカルボン酸と、6〜22個の炭素原子を有する脂肪アルコールとのエステル、特に酒石酸の長鎖エステル;合計して少なくとも24個の炭素原子を有する固体状物、例えば脂肪アルコール、脂肪ケトン、脂肪アルデヒド、脂肪エーテルおよび脂肪カーボネート、特にラウロンおよびジステアリルエーテル;脂肪酸様のステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸またはベヘン酸、12〜22個の炭素原子を有するオレフィンエポキシドの、12〜22個の炭素原子を有する脂肪アルコールおよび/または2〜15個の炭素原子および2〜10個のヒドロキシル基を有するポリオールによる開環産物、およびそれらの混合物。
【0061】
粘稠剤には、12〜22個、好ましくは16〜18個の炭素原子を有する脂肪アルコールまたはヒドロキシ脂肪アルコール、加えて部分グリセリド、脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸が含まれる。これらの物質と、アルキルオリゴグルコシドおよび/または同一鎖長の脂肪酸N−メチルグルカミドおよび/またはポリグリセリンポリ-12-ヒドロキシステアレートとの組合せが好ましい。
【0062】
適当な増粘剤は、例えばエアロジル(aerosil)型(親水性ケイ酸)、ポリサッカリド、特にキサンタンゴム、グアーガム、寒天、アルギネートおよびチロース(tyloses)、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース、さらに比較的高分子の脂肪酸のポリエチレングリコールモノ−およびジ−エステル、ポリアクリレート[例えば、Goodrich社のCarbopole(登録商標)またはSigma社のSynthalene(登録商標)]、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドン、界面活性剤(例えばエトキシル化脂肪酸グリセリドなど)、脂肪酸とポリオール(例えばペンタエリスリトールまたはトリメチロールプロパン)とのエステル、狭い同族体分布を有する脂肪アルコールエトキシレートまたはアルキルオリゴグルコシド、ならびに電解質、例えば食卓塩および塩化アンモニウムなどである。
【0063】
例示として適当なカチオン性ポリマーは、カチオン性セルロース誘導体、例えば第四級化ヒドロキシエチルセルロース、AmercholからポリマーJR 400(登録商標)の商品名で購入可能である、カチオン性スターチ、ジアリルアンモニウム塩とアクリルアミドの共重合体、第四級化ビニルピロリドン/ビニルイミダゾールポリマー、例えばLuviquat(登録商標)(BASF)など、ポリグリコールとアミンの縮合産物、第四級化コラーゲンポリペプチド、例えばラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン(Lamequat(登録商標)L/Gryuenau)など、第四級化コムギポリペプチド、ポリエチレンイミン、カチオン性シリコンポリマー、例えばアミドメチコンなど、アジピン酸とジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミン(Cartaretine(登録商標)/Sandoz)の共重合体、アクリル酸とジメチルジアリル塩化アンモニウム(Merquat(登録商標) 550/Chemviron)との共重合体、ポリアミノポリアミド(例えば、FR2252840 A記載)、およびそれらの架橋した水溶性ポリマーなど、カチオン性キチン誘導体、例えば第四級化キトサンなど、所望により微晶質分散している、ジハロアルキレン、例えばジブロモブタンなどと、ビスジアルキルアミン、例えばビス-ジメチルアミノ-1,3-プロパンなどとの縮合産物、カチオン性グアーガム、例えばCelanese 社のJaguar(登録商標)CBS、Jaguar(登録商標)C-17、Jaguar(登録商標)C-16など、第四級化アンモニウム塩ポリマー、例えばMiranol 社のMirapol(登録商標)A-15、Mirapol(登録商標)AD-1、Mirapol(登録商標)AZ-1などである。
【0064】
陰イオン性、双性イオン、両性および非イオン性ポリマーは、例えば酢酸ビニル-クロトン酸共重合体、ビニルピロリドン-ビニルアクリレート共重合体、酢酸ビニル-ブチルマレエート-イソボルニルアクリレート共重合体、メチルビニルエーテル-無水マレイン酸共重合体およびそれらのエステル、未架橋のポリアクリル酸およびポリオール架橋したポリアクリル酸、アクリルアミドプロピルトリメチル塩化アンモニウム-アクリレート共重合体、オクチルアシルアミド-メチルメタクリレート- tert-ブチルアミノエチルメタクリレート-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン-酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン-ジメチルアミノエチルメタクリレート-ビニルカプロラクタムターポリマー、ならびに所望により誘導体化したセルロースエーテルおよびシリコンを包含する。
【0065】
例示として適当なシリコン化合物は、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状シロキサン、ならびに、アミノ-、脂肪酸-、アルコール-、ポリエーテル-、エポキシ、フッ素-、グリコシド-および/またはアルキル修飾したシリコン化合物であって、これらは室温で液体または樹脂状のどちらであってもよい。シメチコン(これは、200〜300のジメチルシロキサン単位の平均鎖長を有するジメチコーンとケイ酸塩水和物との混合物である)適当な揮発性シリコンについての詳細な説明は、Todd et al., Cosm. Toil. 91, 27, (1976)にある。
【0066】
油脂の代表例はグリセリドである;ワックスは、とりわけ天然ワックス、例えばカンデリラワックス、カルナバワックス、日本精蝋、エスパルト草ワックス、コルクワックス、グアーガムワックス、コメ胚油ワックス、サトウキビワックス、オーリキュリー(ouricury)ワックス、モンタンワックス、ミツロウワックス、セラックワックス、鯨蝋、ラノリン(羊毛ワックス)、家禽油脂、セレシン、オゾケライト(ミネラルワックス)、ワセリン、パラフィンワックス、ミクロワックス;化学修飾したワックス(硬ワックス)、例えば、モンタンエステルワックスなど、サソール(Sasol)ワックス、水素添加ホホバワックス、および合成ワックス、例えばポリアルキレンワックスおよびポリエチレングリコールワックスなど、を包含する。
【0067】
脂肪酸の金属塩、例えばステアリン酸またはリシノール酸のマグネシウム、アルミニウムおよび/または亜鉛塩を、安定剤として使用することができる。
【0068】
生物由来の活性物質は、例えばトコフェロール、酢酸トコフェロール、パルミチン酸トコフェロール、アスコルビン酸、デオキシリボ核酸、レチノール、ビザボロール、アラントイン、フィタントリオール、パンテノール、AHA酸、アミノ酸、セラミド、偽セラミド、精油、植物抽出物およびビタミン複合体を意味すると解される。
【0069】
化粧品消臭剤は、体臭に対して、体臭のマスキングや除去に対して作用する。体臭は、アポクリン汗腺上の皮膚細菌の作用から生じ、これによって望ましくない臭気分解産物が形成される。従って、消臭剤は、殺菌剤、酵素阻害剤、臭気吸収剤または臭気マスキング剤として作用する活性成分を含有する。
【0070】
本発明の化粧品に所望により添加し得る殺菌剤として、基本的にグラム陽性細菌に対して活性である全ての物質が適当である。例えば、4-ヒドロキシ安息香酸およびその塩およびそのエステル、N−(4-クロロフェニル)-N'−(3,4-ジクロロフェニル)尿素、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(Triclosan)、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、2,2’-メチレン-ビス(6-ブロモ-4-クロロフェノール)、3-メチル-4-(1-メチルエチル)フェノール、2-ベンジル-4-クロロフェノール、3-(4-クロロフェノキシ)-1,2−プロパンジオール、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート、クロルヘキシジン、3,4,4’-トリクロロカルバニリド(TTC)、抗菌性香料、メントール、ミント油、フェノキシエタノール、モノラウリン酸グリセリン(GML)、モノカプリン酸ジグリセリン(DMC)、サリチル酸-N−アルキルアミド、例えば、サリチル酸n−オクチルアミドまたはサリチル酸n−デシルアミドなどである。
【0071】
酵素阻害剤は、また本発明の化粧品に添加され得る。可能で適当な酵素阻害剤の例は、エステラーゼ阻害剤である。これに関して、例えばクエン酸トリメチル、クエン酸トリプロピル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリブチル、特にクエン酸トリエチル(Hydagen(登録商標)CAT, Henkel KgaA, Duesseldorf/Germany)などのクエン酸トリアルキルが好ましい。該物質は酵素活性を阻害し、臭い形成を低下させる。エステラーゼ阻害剤として見なし得る別の物質は、ステロールスルフェートまたはステロールホスフェート、例えばラノステリン、コレステリン-、カンペステリン-、スチグマステリン-およびシトステリン−スルフェートまたは-ホスフェートなど、ジカルボン酸およびそれらのエステル、例えばグルタル酸、モノエチルグルタレート、ジエチルグルタレート、アジピン酸、モノエチルアジペート、ジエチルアジペート、マロン酸およびジエチルマロネートなど、ヒドロキシカルボン酸およびそれらのエステル、例えばクエン酸、リンゴ酸、酒石酸またはジエチルタートレートなど、加えて亜鉛グリシネートである。
は酒石酸ジエチルなど)、ならびに亜鉛グリシネートである。
【0072】
適当な臭気吸収剤は、臭気を形成する化合物を吸収し、それらを強固に遮断する物質である。それらは、個々の成分の分圧を低下させ、そうして伝搬速度を低下させる。香料は、これによって影響を受けずに残っていることが重要である。臭気吸収剤は、細菌に対して活性ではない。主成分として、例えば、特定のアビエチン酸誘導体またはラブダナムもしくはエゴノキの抽出物などの固定剤として当業者に知られている特定のほぼ中性臭気の芳香物質またはリシノール酸の錯亜鉛塩を含有する。香りまたは香油は、マスキング剤として作用し、マスキング剤としての機能に加えて、消臭剤にそれらの特定の芳香調を与える。例示的な香油としては、天然および合成芳香の混合物が包含される。天然芳香物には、花、茎および葉、果実、果皮、根、枝、ハーブおよび草、針状葉および枝、ならびに樹脂およびバルサム樹の抽出物を包含する。さらに、動物原料、例えばジャコウおよびビーバーなども考え得る。代表的な合成芳香化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素の型の生成物である。
【0073】
発刊抑制剤は、エクリン汗腺の活性に影響を及ぼすことによって発汗を低下させ、それによって腋下湿度および体臭に作用する。発刊抑制剤の水性または無水組成物は、一般的には下記成分を含有する:
(a)収斂性成分、
(b)油成分、
(c)非イオン性乳化剤、
(d)共乳化剤、
(e)構造付与剤、
(f)助剤、例えば増粘剤または錯化剤など、および/または
(g)非水性溶媒、例えばエタノール、プロピレングリコールおよび/またはグリセリンなど。
【0074】
アルミニウム、ジルコニウムまたは亜鉛の塩は、主に適当な収斂性の発汗抑制活性成分である。このような適当な抗水性(antihydrotic)活性物質は、例えば塩化アルミニウム、塩化アルミニウム水和物、二塩化アルミニウム水和物、アルミニウムセスキクロライド水和物、および、それらと例えば1,2-プロピレングリコールとの複合体、アルミニウムクロロヒドロキシアラントイネート、酒石酸塩化アルミニウム、アルミニウム-ジルコニウム-テトラクロロヒドレート、アルミニウム-ジルコニウム-テトラクロロヒドレート、アルミニウム-ジルコニウム-ペンタクロロヒドレート、および、それらとアミノ酸(例えばグリシンなど)との複合化合物である。
【0075】
発刊抑制剤は、少量の標準的な油溶性および水溶性助剤を含み得る。かかる油溶性助剤は、例えば以下のものであってよい:
・抗炎症性、皮膚保護性または芳香性のエーテル油、
・合成の皮膚保護活性成分、および/または
・油溶性の香油。
【0076】
代表的な水溶性の添加剤は、例えば防腐剤、水溶性香料、pH調整剤、例えば緩衝液混合物、水溶性増粘剤、例えば水溶性の天然または合成ポリマー、例えばキサンタンゴム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドンまたは高分子ポリエチレンオキシドである。
【0077】
クリムバゾール(Climbazole)、オクトピロックス(octopirox)および亜鉛ピレチオン(pyrethion)は、フケ防止剤として使用され得る。
【0078】
使用し得るフィルムビルダーは、例えばキトサン、微晶質キトサン、第四級化キトサン、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン-酢酸ビニル共重合体、アクリル酸系のポリマー、第四級化セルロース誘導体、コラーゲン、ヒアルロン酸またはその塩および同様の化合物である。
【0079】
水相に対する膨潤剤として、モンモリロナイト、無機粘土、ペムレン(Pemulen、登録商標)およびカルボポール型(Goodrich) を使用することができる。さらなる適当なポリマーまたは膨潤剤は、R.Lochhead in Cosm.Toil. 108, 95 (1993)らの論説にに見ることができる。
【0080】
UV光保護因子は、例えば室温で液体または固体であり、UV放射を吸収でき、得られるエネルギーをより長波長の放射の形で、例えば熱として放出し得る有機物質(保護性光フィルター)であると解される。UV-Bフィルターは、油溶性または水溶性であることができる。油溶性物質には、次のものを挙げることができる:
・3-ベンジリデンカンフルまたは3-ベンジリデンノルカンフルおよびその誘導体、例えば3-(4-メチルベンジリデン)カンフル(EP 0693471 B1に記載);
・4-アミノ安息香酸誘導体、好ましくは2−エチルヘキシル 4-ジメチルアミノ)ベンゾエート、2-オクチル 4-(ジメチルアミノ)ベンゾエートおよびアミル 4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート;
・桂皮酸のエステル、好ましくは2−エチルヘキシル4-メトキシシンナメート、プロピル4-メトキシシンナメート、イソアミル4-メトキシシンナメート、2-エチルヘキシル 2-シアノ-3,3-フェニルシンナメート(Octocrylene);
・サリチル酸のエステル、好ましくは2−エチルヘキシルサリチレート、4-イソプロピルベンジルサリチレート、ホモメンチルサリチレート;
・ベンゾフェノンの誘導体、好ましくは2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4'-メチルベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン;
・ベンザルマロン酸のエステル、好ましくはジ-2-エチルヘキシル 4−メトキシベンズマロネート;
・トリアジン誘導体、2,4,6-トリアニリノ-(p−カルボ−2'-エチル-1'-ヘキシルオキシ)-1,3,5-トリアジン(例えば、EP 0818450 A1に記載)およびオクチルトリアゾン、またはジオクチルブタミドトリアゾン[Uvasorb(登録商標)HEB];
・プロパン-1,3-ジオン、例えば1-(4-tert.ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオンなど;
ケトトリシクロ(5.2.1.0)デカン誘導体(EP 0694521 B1に記載)。
【0081】
水溶性物質には、次のものが包含される:
・2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸、ならびに、そのアルカリ-、アルカリ土類、アンモニウム-、アルキルアンモニウム-、アルカノールアンモニウム-およびグルクアンモニウム−の塩;
・ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、好ましくは2−ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸およびその塩;
・3-ベンジリデンカンフルのスルホン酸誘導体、例えば4-(2-オキソ-3-ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸および2-メチル-5-(2-オキソ-3-ボルニリデン)スルホン酸およびその塩。
【0082】
代表的なUV−A フィルターには、特にベンゾイルメタンの誘導体、例えば1-(4'−tert.-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)プロパン-1,3−ジオン、4-tert.-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン(Parsol 1789)、1-フェニル-3-(4'-イソプロピルフェニル)-プロパン-1,3−ジオン、ならびにエナミン化合物(DE 19712033 A1(BASF)に記載)などが包含される。もちろん、UV−AおよびUV−Bフィルターは、混合物としても添加され得る。例示した可溶性物質に加え、不溶性の、光保護着色材、即ち微細に分散させた、金属の酸化物または塩もこの役割について検討され得る。適当な金属酸化物の例は、特に亜鉛酸化物およびチタン酸化物であり、また鉄、シリコン、ジルコニウム、マンガン、アルミニウムおよびセリウムの酸化物、ならびにそれらの混合物である。ケイ酸塩(タルク)、硫酸バリウムまたはステアリン酸亜鉛を、塩としても添加され得る。酸化物および塩は、すでに皮膚ケアや皮膚保護エマルジョンおよびメイクアップ用化粧品のための顔料として使用されている。本明細書では、該粒子は、100nmよりも低い、好ましくは5〜50nm、特に15〜30nmの平均直径を持つべきである。それらは、球形であり得るが、楕円形または他の形状の粒子も使用できる。顔料は、表面処理すること、即ち親水性化または疎水性化することもできる。代表的な例は、被覆した二酸化チタン、例えば、Titandioxid Z 805(Degussa)またはEusolex(登録商標) T2000(Merck)である。疎水性被覆剤には、好ましくはトリアルコキシオクチルシランまたはシメチコンが含まれる。日光保護剤は、好ましくはミクロ顔料またはナノ顔料を含有する。微粉化亜鉛酸化物を使用するのが好ましい。さらなる適当なUV光保護フィルターは、P. Finkel in SoeFW-Journal, Volume 122 (1996), p. 543において見ることができる。
【0083】
同様に、一次光保護材および抗酸化剤型の二次光保護剤の上記した両群も使用することができ、UV光が皮膚を透過する時に伝搬される光化学的連鎖反応を遮断する。その代表例は、アミノ酸(例えば、グリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびその誘導体、イミダゾール(例えば、ウロカニン酸)およびその誘導体、ペプチド、例えばD,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシンおよびその誘導体(例えば、アンセリン)、カロテノイド、カロテン(例えば、α-カロチン、β-カロチン、リコピン)およびその誘導体、クロロゲン酸およびその誘導体、リポ酸およびその誘導体(例えば、ジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよび他のチオール(例えばチオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミンおよびそのグリコシル-、n-アセチル-、メチル-、エチル-、プロピル-、アミル-、ブチル-およびラウリル-、パリミトイル-、オレイル-、γ-リノレイル-、コレステリル-およびグリセリルエステル)ならびにその塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、チオジプロピオン酸およびその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、リピド、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)、ならびにスルホキシイミン化合物(例えば、ブチオニンスルホキシイミン、ホモシステインスルホキシイミン、ブチオニンスルホン、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタチオニンスルホキシイミン)の非常に少量の適合用量(例えばpmol〜μmol/kgなど)、さらに(金属)-キレート(例えば、α-ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α-ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、没食子酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびその誘導体、不飽和脂肪酸およびその誘導体(例えば、γ-リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、葉酸およびその誘導体、ユビキノンおよびユビキノールおよびその誘導体、ビタミンCおよび誘導体(例えば、アスコルビルパルミテート、Mgアスコルビルホスフェート、アスコルビルアセテート)、トコフェロールおよび誘導体(例えば、ビタミン-E-アセテート)、ビタミンAおよび誘導体(ビタミン-A−パルミテート)、ならびにベンゾイン樹脂のコニフェニルベンゾエート、ルチン酸およびその誘導体、α-グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤク樹脂酸酸、ノルジヒドログアイアレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、スーパーオキシド・ジスムターゼ、亜鉛およびその誘導体(例えば、ZnO、ZnSO4)、セレンおよびその誘導体(例えば、セレン-メチオニン)、スチルベンおよびその誘導体(例えば、スチルベン酸化物、トランス-スチルベン酸化物)、ならびにこれらの列挙した活性物質の発明に適する誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質)である。
【0084】
流動特性を改善するために、ヒドロトロープ剤、例えば、エタノール、イソプロピル アルコールまたはポリオールなどを添加してもよい。考慮し得るポリオールは、好ましくは2〜15個の炭素原子および少なくとも2個のヒドロキシル基を有する。ポリオールは、他の官能基、特にアミノ基を含み得るか、または窒素によって修飾され得る。代表例は、
・グリセリン;
・アルキレングリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、さらに100〜1000ダルトンの平均分子量を持つポリエチレングリコール;
・1.5〜10程度の自己縮合度を有する工業用オリゴグリセリン混合物、例えば40〜50重量%のジグリセリン含量を有する工業用ジグリセリン混合物;
・メチロール化合物、特にトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリスリトールおよびジペンタエリスリトールなど;
・低級アルキルグルコシド、特にアルキル基に1〜8個の炭素原子を有するもの、例えばメチルおよびブチルグリコシドなど;
・5〜12個の炭素原子を有する糖アルコール、例えばオルビトールまたはマンニトールなど;
・5〜12個の炭素原子を有する糖アルコール、例えばグルコースまたはサッカロースなど;
・アミノ糖、例えばグルカミンなど;
・ジアルコールアミン、例えばジエタノールアミンまたは2-アミノ-1,3プロパンジオールなど。
【0085】
適当な防腐剤は、例えばフェノキシエタノール、ホルムアルデヒド溶液、パラベン、ペンタンジオールまたはソルビン酸、ならびに化粧品規制補足書6のAおよびB部にに挙げられている他の群の物質である。防虫剤には、N,N−ジエチル-m−トルアミド、1,2-ペンタンジオールまたはエチルブチルアセチルアミノプロピオネートを包含しする;自己タンニン剤はジヒドロキシアセトンが含まれる。
【0086】
香油として、天然および合成芳香物の既知混合物を挙げることができる。天然の芳香物質は、花(ユリ、ラベンダー、ローズ、ジャスミン、ネロリ、イランイラン)、茎および葉(ゼラニウム、パチョリ、ダイダイ)、果実(アニシード、コリアンダー、ヒメウイキョウ、セイヨウネズ)、果皮(ベルガモット、レモン、オレンジ)、根(メース、アンゼリカ、セロリ、カルダモン、コスティック(costic)、アイリス、カルム)、木(松、白檀、グァバ、ヒマラヤスギ、ローズウッド)、ハーブおよびイネ科のもの(タラゴン、レモングラス、セージ、タイム)、針葉樹および枝(トウヒ、モミ、赤松、から松)、樹脂およびバルサム(ガルバナム、エレミ、安息香、ミルラ樹脂、オリバナム、オポポナックス)の抽出物である。さらに、動物性原料には、例えばジャコウおよびビーバーなども考えられ得る。通常の合成芳香化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素型の生成物である。
【0087】
着色材として、例えば、刊行物「Kosmetische Faerbemittel」[Farbstoffkommission der Deutschen Forschungsgemeinschaft、Verlag Chemie、Weinheim、1984、p.81-106]に記載の、化粧品目的のために適しており、認可された物質を使用することもできる、これらの着色材は、通常、混合物全体を基準に0.001〜0.1重量%の濃度で用いられ得る。
【0088】
助剤および添加剤の合計含量は、組成物を基準にして1〜50重量%、好ましくは5〜40重量%であってよい。該組成物は、慣例的な熱間法または冷間法を用いて製造することができる;好ましくは相反転温度法にしたがう。
【0089】
本発明の口腔、歯および/または義歯ケア剤が、例えばゲル、液体歯磨き粉、粘性歯磨き粉、総義歯清浄剤または義歯用接着クリームとして存在し得る。
【0090】
このために、適当な担体に本発明化合物を混合することが必要である。
【0091】
適当な担体は、例えば粉末製剤または口腔洗浄剤として、0〜15重量%エタノール、1〜1.5重量%芳香性の油および0.01〜0.5重量%甘味剤を包含するか、または使用前に水により希釈される口腔洗浄剤濃縮物として、15〜60重量%エタノール、0.05〜5重量%芳香性の油、0.1〜3重量%甘味剤、および所望により追加の助剤を含む、水性アルコール溶液を包含し得る。従って、組成成分の濃度は、希釈後使用中にそれらが制限濃度より低くならないように十分高い濃度で選択されるべきである。
【0092】
しかし、ゲルおよび幾分流動性のあるペーストは、担体として働き得る、これは柔軟なプラスチック容器またはチューブから絞り出すことができ、歯ブラシによって歯に適用得できる。このような製品は、比較的多量の湿潤剤、結合剤または稠度調節剤および研磨剤を含み得る。さらに、これらの調製物は、香油、甘味剤および水も含みうる。
【0093】
湿潤剤として、例えば、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールまたはこれらのポリオールの混合物、特に分子量が200〜800(400〜2000)であるポリエチレングリコールが含まれる、また使用されてもよい。好ましい湿潤剤はソルビトールであり、25〜40重量%の量で含み得る。
【0094】
それらのアルカリ塩の形態で、好ましくはそれらのナトリウムまたはカリウム塩の形態にある縮合リン酸塩は、抗歯石活性物質として、および脱塩阻害剤として包含され得る。加水分解効果のゆえに、これらのリン酸塩水溶液はアルカリ性である。本発明の口腔、歯および/または義歯ケア剤のpHは、酸の添加によって7.5〜9の好ましい値に調整される。
また、様々な縮合リン酸塩または縮合リン酸塩水和物の混合物を添加してもよい。特定した量である2〜12重量%は無水の塩を指す。5〜10重量%の濃度のトリポリリン酸ナトリウムまたはトリポリリン酸カリウムが、縮合リン酸塩としては好ましい。
【0095】
活性物質を含む好ましいものは、虫歯抑制性のフッ素化合物、好ましくはフッ素の量が0.1〜0.5重量%であるフッ化物またはモノフルオロリン酸塩の群からの化合物である。適当なフッ素化合物は、例えばモノフルオロリン酸ナトリウム(Na2PO3F)、モノフルオロリン酸カリウム、フッ化ナトリウムまたはフッ化カリウム、フッ化第一スズまたは有機アミノ化合物のフッ化物である。
【0096】
天然および合成の水溶性ポリマー、例えばトチャカ、トラガカント、グアーガム、スターチおよびそれらの非イオン性誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシエチルスターチ、セルロースエーテル、例えばヒドロキシエチルセルロースまたはメチルヒドロキシプロピルセルロースなどは、代表的な結合剤および稠度調節剤として機能する。また、寒天、キサンタンゴム、ペクチン、水溶性カルボキシビニルポリマー(例えば、Carbopol(登録商標)型)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、高分量ポリエチレングリコール(分子量10〜10D)も同様である。粘度を制御するのに適当な他の物質は、例えば、モンモリロナイト粘土、コロイド様増粘化シリカ、例えば、エーロゾルシリカまたは発熱性シリカなどの層状ケイ酸塩である。
【0097】
好ましい研磨成分としては、この目的に知られている全ての磨き剤が含まれるが、好ましくは沈殿化シリカ、ゲル化シリカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム三水和物、不溶性メタリン酸ナトリウム、ピロリン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二カルシウム、チョーク、ヒドロキシアパタイト、ヒドロタルサイト、タルク、ケイ酸マグネシウムアルミニウム(Veegum(登録商標))、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ナトリウム、ケイ酸アルミニウムシリカ、例えばゼオライトAまたは有機ポリマー、例えばポリメチル・アクリレートである。研磨剤は、例えば1〜10重量%の比較的少量で有利に使用される。
【0098】
本発明の歯および/または口腔ケア製品の器官感覚受容特性は、芳香油および甘味剤の添加によって改善され得る。口腔、歯および/または義歯の手入れに適当な天然および合成の芳香物質の全ては、芳香(性)油として見なされ得る。天然芳香物質は、薬品から単離したエーテル様油の形態およびそれらから単離した個々の成分の形態も使用され得る。好ましくは少なくとも1つの芳香族性油は、ペパーミント油、スペアミント油、アニソール、ヒメウイキョウ油、ユーカリ油、フェンネル油、シナモン油、ゼラニウム油、セージ油、タイム油、マルコラム(markoram)油、バジル油、レモン油、ゴールテリア油から、あるいは、これらの油から単離され、合成により製造された1つまたはそれ以上の成分を含む。列挙した油の最も重要な成分は、例えば、メントール、カルボン、アネトール、シネオール、オイゲノール、桂皮アルデヒド、ゲラニオール、シトロネロール、リナロール、サルベン、チモール、テルペン、テルピネオール、メチルカビコールおよびサリチル酸メチルである。さらに適当な芳香物質は、例えば、酢酸メチル、バニリン、イオノン、酢酸リナリル、ロジノールおよびピペリトンである。天然糖(例えば、スクロース、マルトース、ラクトースおよびフルクトースなど)または合成甘味剤(例えば、サッカリン、ナトリウム塩、サッカリンナトリウムまたはアスパルテームなど)のいずれかは、適当な甘味料である。
【0099】
界面活性剤として、特にアルキルおよび/またはアルケニル-(オリゴ)グリコシドは、使用され得る。それらの製造および界面活性剤としての使用は、例えば、US−A−3 839 318、US−A−3 707 535、US−A−3 547 828、DE−A−19 43 689、DE−A−20 36 472およびDE−A−30 01 064、そしてEP−A−77 167から知られている。グリコシド残基に関しては、両方のモノグリコシド(x=1) (ペントースまたはヘキソース残基が、4〜16個の炭素原子を有する第一アルコールにグリコシド結合している)、またオリゴマーグリコシド(10までのオリゴマー化度を有する)の両方が適当である。この場合、オリゴマー化度は、このような工業製品の代表的な同族体分布を基本にした統計学的平均値である。
【0100】
好ましい適当なアルキルおよび/またはアルケニル-(オリゴ)グリコシドは、式RO(C10O)x-Hはアルキルおよび/またはアルケニル-(オリゴ)グリコシドであり、式中のRは、8〜14個の炭素原子を有するアルキルおよび/またはアルケニル基であり、xは平均値1〜4を示す。1〜3のDPを有する水素化C12/14-ココアルコールに基づくアルキルオリゴグルコシドが、特に好ましい。アルキルおよび/またはアルケニルグリコシド界面活性剤は、非常に少量で使用することができ、0.005〜1重量%の量は、既に十分である。
【0101】
列挙したアルキルグリコシド界面活性剤に加えて、他の非イオン、両性およびカチオン性界面活性剤は、次のものを包含する:脂肪アルコールポリグリコールエーテルスルホネート、モノグリセリドスルホネート、モノグリセリドエーテルスルホネート、モノおよび/またはジアルキルスルホサクシネート、脂肪酸イセチオネート、脂肪酸サルコシネート、脂肪酸タウリド、脂肪酸グルタメート、エーテルカルボン酸、脂肪酸グルカミド、アルキルアミドベタインおよび/またはタンパク質-脂肪酸縮合物、この後者は好ましくはコムギタンパク質を基にしたもの。界面活性化合物の群からの非イオン性可溶化剤は、特に難水溶性芳香族性油を可溶化するために必要とされ得る。例えば、オキシエチル化脂肪酸グリセリド、オキシエチル化脂肪酸ソルビトール部分エステルまたはグリセリン-オキシエチル化の脂肪酸部分エステルまたはソルビトール-オキシエチレートは、この役割に適当である。オキシエチル化脂肪酸グリセリドの群からの可溶化剤には、12〜18個の炭素原子を有する直鎖脂肪酸のモノおよびジグリセリドへの、または例えばオキシステアリン酸またはリシノール酸などのヒドロキシ脂肪酸のトリグリセリドへの、エチレンオキシド20〜60moleの付加生成物を主に包含する。さらに適当な可溶化剤は、オキシエチル化脂肪酸ソルビトール部分エステルであり;好ましくは、それらは、12〜18個の炭素原子を有する脂肪酸とソルビトールのモノエステルおよびジエステルへの、エチレンオキシド20〜60 moleの付加生成物である。同じように適当な可溶化剤は、グリセリンオキソエチレートまたはソルビトールオキシエチレートの脂肪酸部分エステルである;それらは、好ましくはC12-C18-脂肪酸のモノエステルおよびジエステル、1mole グリセリンまたは1 moleソルビトールへのエチレンオキシド20〜60 moleの付加生成物である。
【0102】
本発明の口腔、歯および/または義歯ケア剤は、好ましくは、含まれる芳香族性油の可溶化剤として、水素化または非水素化ヒマシ油(すなわち、オキシステアリン酸トリグリセリドまたはリシノール酸トリグリセリドへの)への、グリセリンモノおよび/またはジステアレートへの、またはソルビトールモノおよび/またはジステアレートへの、エチレンオキシド20〜60moleの付加生成物を含み、所望により含有される芳香油のための溶媒として働く。
【0103】
口腔、歯および/または義歯ケア剤へのさらなる代表的な添加剤には、例えば、
−顔料、例えば二酸化チタンおよび/または着色材など、
−pH調整剤および緩衝物質、例えば重炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸、リン酸または酸性塩、例えばNaH2PO4など、
−創傷治癒用、および抗炎症性の物質、例えばアラントイン、尿素、パンテノール、アズレンまたはカモミール抽出物など、
−他の歯石に対する活性物質、例えば有機ホスホネート、例えばヒドロキシエタンジホスホネートまたはアザシクロヘプタンジホスホネートなど、
−防腐剤、例えばソルビン酸塩、p-ヒドロキシ安息香酸エステルなど、
−プラーク阻害剤、例えば、ヘキサクロロフェン、クロロヘキシジン、ヘキセチジン、トリクロサン、ブロモクロロフェン、フェニルサリチル酸エステルなど、である。
【0104】
特定の態様において、該組成物は、口腔洗浄剤、口腔濯ぎ水、義歯清浄剤または義歯接着剤である。
【0105】
発明として好ましい義歯清浄剤としては、特に義歯清浄化錠剤および粉末のために、口腔、歯および/または義歯ケア剤のために既に記載した成分に加えて、過化合物、例えば、ペルオキシホウ酸塩、ペルオキシモノ硫酸塩または過炭酸塩も適している。それらは、漂白活性に加えて、同時に消臭剤および/または殺菌剤として作用するという利点を有する。このような過化合物は、0.01〜10重量%、特に0.5〜5重量%の範囲で義歯清浄剤に加えられる。
【0106】
酵素、例えばプロテアーゼおよびカルボヒドロラーゼなどは、タンパク質および炭水化物を分解するための追加成分として適当である。pHは、pH4〜pH12、特にpH5〜pH11であり得る。
【0107】
さらに、別の助剤が義歯清浄化錠剤には必要とされ、例えば発泡剤(発泡を開始するような物質)など、例えばCO2放出物質(例えば炭酸水素ナトリウムなど)、増量剤(例えば硫酸ナトリウムまたはデキストロースなど)、滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム)、流動調整剤(例えばコロイド状シリコンジオキシドなど)、造粒剤(例えば、上記した高分子ポリエチレングリコールまたはポリビニルピロリドン)などである。
【0108】
義歯接着剤は、粉末、クリーム、フィルムまたは液体として提供することができ、これらは義歯の接着を助けることができる。
天然および合成膨潤剤は、活性成分として適当である。アルギネートに加え、植物性ガム、例えばアラビアゴム、トラガカントおよびカラヤゴムまたは天然ゴムは、天然の膨潤剤として解される。特に、アルギネートおよび合成膨潤剤、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、高分子エチレンオキシド共重合体、ポリビニルエーテル-マレイン酸およびポリアクリルアミドの塩が適当である。
【0109】
特に、疎水性の基剤、特に炭化水素、例えば白色ワセリン(DAB)またはパラフィン油などは、粘性製品および液体製品のための助剤として特に適当である。
【0110】
本発明の化合物は、微生物の増殖が望ましくないあらゆる場所で、例えば多くの工業的使用、例えば製紙業における水系において、微生物の増殖を阻害するために適当である。
多数の重要な工業が、使用される原材料に対して、または製造活動の様々な態様に対して、製造した最終産物に対して、これらの細菌、藻類、真菌などの活性により、強く影響を受ける。
本発明化合物の重要な用途としては、次のものを包含する:水性着色材、接着剤、ラテックスエマルジョンおよびグラウト化合物における、細菌および真菌類の増殖阻害;木材保護;切削油保存;パルプおよび紙製粉機および冷却水における粘液産生細菌および真菌類に対抗すること;モールド(mold)増殖を防止するための繊維製品および皮に対する噴霧または浸積処理;付着生物の接着防止のための抗付着化塗料における成分として;被覆フィルムの保護、被覆フィルムの風化に対して生じる特に真菌類の攻撃に対する外部着色;サトウキビおよびテンサイの糖製造におけるスライム沈着からの加工設備の保護;洗浄排出系および工業用新鮮水供給系における、微生物の増加および沈着の防止;切削油液体および切削油スラリー、加えて二次的粗製油精製における微生物の汚染および堆積への対抗;紙被覆の品質に影響し得る紙被覆過程における細菌および真菌増殖の阻害;様々な特殊厚紙、例えば厚紙およびパーティクルボードの製造における細菌および真菌の増殖および蓄積への対抗;様々な新たに切出した木材の細胞樹液の変色防止;後日使用、例えば紙被覆および彩色工業のために製造され、そして貯蔵および輸送中に微生物からの分解を受ける様々な種類の粘土や顔料スラリーにおいて細菌および真菌増殖に対抗すること;壁、床などに対する細菌および真菌類の増殖を防止するための、ならびにスイミングプール中の藻類の増殖を防止するための硬表面用殺菌剤。
【0111】
細菌および真菌類に対抗することは、紙製造のための繊維の水性分散物を含むパルプおよび紙製粉の水系において特に重要である。細菌および真菌類の蓄積から生じる制御不能なスライムの増量化は、中断およびより頻繁な清浄作業、原料消費の増加、高い維持費のために質的に、劣化した製品、品質製品をもたらす。製紙産業におけるスライム沈着の問題は、広範な閉鎖白水系の使用によって、一層重大となる。
【0112】
細菌および真菌増殖への対抗が決定的であるさらなる重要な分野は、粘土および顔料スラリーである。これらのスラリーは、様々な粘土、例えばカオリン、および顔料、例えば炭酸カルシウムおよび二酸化チタンからなる。それらは、通常、例えば紙被覆および着色材工業において、最終的な使用場から非常に離れたある場所で製造され、最終的に使用する工場に順次移動されるまで貯蔵される。スラリーが使用される紙および着色材の最終産物についての高い品質規格は、紙被覆または着色材工業に利用され得るために、該粘土および顔料スラリーが非常に低い微生物含量を有することを必要とする。
【0113】
微生物増殖に対抗するための別の重要な領域は、例えば循環冷却タワーを持つ冷却系である。これらの系は、不十分な通気および微生物増殖、特に細菌および真菌の増殖に対抗する日光への不十分な暴露を包含する条件下で、大量の水をかなりの時間大気にさらす。さらに、多くの冷却タワーは、熱交換表面を増加させるために、合成ポリマーまたは他の物質のビーズのフィリング(filling)を処理する。この構造型は、それが厄介な微生物の増殖のための理想的な物理的環境を提供するので、微生物増殖の問題を悪化させる。対抗できなければ、これらの微生物は勢いよく増殖し、バイオフィルムにより熱交換表面を遮断し、冷却系を駆動させるために使用される水輸送装置の該成分を目詰まりさせ得るコロニーを作る。本発明化合物は、これらの系における微生物増殖に卓越した対抗力を持つ。
【0114】
本発明の化合物は、特に水または水性媒体中の微生物の破壊作用に対抗するために適する。循環水または循環水性媒体を使用する系は、微生物によって感染され、微生物の沈着が該系において増加すると、それらの効果はかなり影響される。スライムとして分類された沈着物は、使用するコンテナおよび他の容器、各機械および処理設備の壁面を被覆し、パイプおよびバルブにおける故障を引き起こす。スライムの存在は、金属表面の腐食を促進し、木製タワーの腐朽を助長させる。スライムは、全ての製品において変色および他の欠点を引き起こし、コストがかかる停止時間を必要とする。水性媒体における微生物に対抗することは、分散性粒子または細粒が存在する場合、例えば紙製造において分散性セルロースファイバーおよび分散性増量剤および顔料、ならびに着色材製造における分散性顔料が存在する場合、特に重要である。
【0115】
本発明の化合物は、純粋形態で、または混合物の活性構成成分として、例えば滅菌剤、殺菌剤、注入剤または防腐剤の構成成分として添加され得る。
【0116】
多くの場合において、実地の用途に適当な混合物は、特定の適用形態および用途に従って選択される付加的な従来成分を全量の0〜99、好ましくは90〜10重量%を含む。
【0117】
液体調製物について、例えば水混和性有機溶媒は、例えばエタノール、イソプロパノールおよびエチレングリコール、プロピレングリコール、エチルエチレングリコール、プロピルプロピレングリコール20は、水不相溶性溶媒、例えば揮発油、ベンゼン、トルエン、酢酸エチルまたは二塩化メチレンなどと共に、溶媒とみなされ得る。
【0118】
細菌阻害作用に加えて、さらなる洗浄作用を望むならば、本発明の混合物は、界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤を含み得る。適当な界面活性剤の例示は、分子中に約1〜10のグルコースユニットを有するC8-C18-アルキルグルコシド、4〜40、好ましくは4〜20moleエチレンオキシドの、脂肪アルコール、アルキルシクロヘキサノール、アルキルフェノール、脂肪酸、脂肪酸アミドまたはアルカンスルホンアミドへの付加生成物である。特に、5〜16mole のエチレンオキシドの、ココまたは獣脂アルコール、オレイルアルコールへの、オレイルアルコールおよびセチルアルコールの混合物、さらにモノ、ジまたはトリアルキルフェノールへの、およびアルキル基において6〜14個の炭素原子を有するモノアルキルシクロヘキサノールへの付加生成物は興味深い。
【0119】
活性な水素原子を有する列挙した化合物へのエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの混合付加生成物も考慮される。
【0120】
列挙したアルコキシル化製品は、例えばエーテルまたはアセチル基によって、末端キャップされ得る。
【0121】
追加ビルダーは、本発明の混合物中に存在し得る;例えばグルコン酸のアルカリ塩(特にグリコン酸ナトリウム)、ニトリロ三酢酸アルカリ塩、エチレンジアミンテトラ酢酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、ホスホノブタントリカルボン酸、乳酸、クエン酸または酒石酸のアルカリ塩である。さらに、高分子ポリカルボン酸の水溶性塩も、ビルダー、例えばマレイン酸ポリマー、イタコン酸、フマル酸およびシトラコン酸として見なされ得る。これらの酸と、これらの酸各々または他の重合性モノマー(例えば、エチレン、プロピレン、アクリル酸、酢酸ビニル、イソブチレン、アクリルアミドおよびスチレン)との混合ポリマーも使用することができる。清浄用ブースター、例えば、脂肪酸モノおよびジエタノールアミド(例えば、モノエタノールアミドおよびココ脂肪酸のジエタノールアミド)、および脂肪アルコール(8〜12個の炭素原子を有する)、ならびに遊離脂肪アルコール(8〜12個の炭素原子を有する)と4mole までのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドとの付加生成物、さらにセルロースを基にした清浄用ブースターも、本発明混合物に混合できる。
【0122】
さらに、それは、この剤が別の抗微生物活性物質を含む場合に、別の適用分野にとっても有利であり得る。殺虫剤、例えばピレスロイド(Permethrin, Cypermethrin, Decamethrin and Fenvalerate)および/またはリンデン、エンドスルファン、ディルドリンなどは、本発明の剤中に混合することもできる。
【0123】
一般的に、本発明の剤を製剤するために使用される可能な構成成分の量は、市販対象および価格対象の関数であり、基本的に本発明には重要ではない。
【0124】
即時使用の防腐剤、に加えて液体濃縮物製造のために、式Iの発明の化合物を含む固体製品が、好ましくは粉末または顆粒形態で提供され得る。
【0125】
本発明の殺菌剤および防腐剤は、様々な状況、例えば家庭および産業、例えば病院、学校、浴場施設、公共の輸送機関、工業会社および工場などにおいて使用され得る。
【0126】
さらに、本発明化合物は、後に加工される工業製品、例えばインク、分散物およびエマルジョン塗料、接着剤およびグルー、掘削および切削油、あるいは紙、厚紙または皮革工業のための製品の保護、ならびに工業用水および排水の管理のためにも使用され得る。
【0127】
適用は、例えば、噴霧、ブラッシング、塗装、被覆、浸漬または加圧または真空注入によると考えられ得る。
【0128】
式Iの化合物は、1ppm〜1000ppm、特に20〜500ppm、特に好ましくは20〜100ppm、特に20〜50ppmの濃度で添加されるのが好ましい。
【0129】
下記実施例は、本発明を制限するものではなく、本発明を説明するものである。
【実施例1】
【0130】
実施例:
(a)アルキルオキシラクトンの合成
実施例1:α-オクチルオキシ-γ-ブチロラクトンの合成
【表1】

【0131】
実験:
α-ヒドロキシ-γ-ブチロラクトン(50 mmol)は完全ジメチルホルムアミド中で供される。炭酸セシウム(50 mmol)をこの溶液に添加し、ブロモオクタン(50 mmol)(完全ジメチルホルムアミド中に溶解した)を5分以内で滴加した。該反応混合物を、T=70℃、76時間に保ち、冷却し、濾過した。該反応を、薄層クロマトグラフィーおよびGLCにより追跡した。該溶媒の除去後、分留し得る赤褐色の残留物が残る。
収量:透明な液体20.6g(85%)、b.pt. 156-161℃(0.08mbar)。
【実施例2】
【0132】
実施例2:α-オクチルオキシ-D−(−)−パントラクトンの合成
【表2】

【0133】
実験:
D−(−)−パントラクトン(100 mmol)は完全ジメチルホルムアミド中で供される。炭酸セシウム(100 mmol)をこの溶媒に添加し、ブロモオクタン(100 mmol)(完全ジメチルホルムアミドに溶解した)を5分以内で滴加した。該反応混合物を、48時間室温に保ち、次いで冷却して、回転させた。該反応を、薄層クロマトグラフィーおよびGLCにより追跡した。溶媒除去後、高真空下で分留し得る透明な液体が残る。
収量5.06 g(48%)、透明な液体、b.pt.127-150℃(0.06mbar)。
【実施例3】
【0134】
実施例3:(R)-α-オクチルオキシ-γ-ブチロラクトンの合成
【表3】

【0135】
実験:
R−(+)−α−ヒドロキシ-γ-ブチロラクトン(19 mmol)は完全ジメチルホルムアミド中で供される。炭酸セシウム(19 mmol)をこの溶媒に添加し、ブロモオクタン(19 mmol)(完全ジメチルホルムアミド中に溶解した)を5分以内で滴加した。該反応をGLCにより追跡した。該反応混合物をT=50℃、91時間保持した。反応終了後、該反応混合物を冷却し、濾過した。溶媒除去後、粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。
収量2.34g (58%)、淡黄色透明液体
【実施例4】
【0136】
実施例4:α-ヘキサデシルオキシ-γ-ブチロラクトンの合成
【表4】

【0137】
実験:
α-ヒドロキシ-γ-ブチロラクトン(50mmol)は完全ジメチルホルムアミド中で供される。炭酸セシウム(50 mmol)をこの溶媒に添加し、1-ブロモヘキサデカン(50 mmol)(完全ジメチルホルムアミドに溶解した)を5分以内で滴加した。該反応混合物をT=70℃に約119時間保ち、該反応をGLCにより追跡した。反応終了後、該反応混合物を冷却し、濾過した。溶媒除去後、粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。
収量5.53 g (34%)、白色固体物質
【0138】
b)ガラス表面上のバイオフィルムの低下のためのアルキルオキシラクトンの使用。
実験:
細菌 Pseudomonas aeruginosa ATCC 15442 をCaso寒天上で一晩37℃で培養した。固体培地のCFU(Colony Forming Unit)を、37℃で7時間、150rpm(1.パッセージ)でCasoブロス(50 ml)でインキュベートした。この剥離液体培地から細菌(100μl)を、新たなCaso栄養培地(50 ml)に移し、37℃で約16時間、150rpm(2.Pasセージ)でインキュベートした。細菌数計測(10CFU/ml)を、このバイオフィルム試験において二回目の継代物から使用した。バイオフィルム試験について、上記濃度の細菌を、希釈した完全培地(DGHM−水希釈TBYにより20倍)と共に、マイクロタイタープレート(6穴)中へピペットで移し、これを小型バイオフィルム試験系として使用した。試験下にある活性物質を、所望の濃度で混合物(3ml)に添加した。コントロールとして、最初に、該活性物質はすでに内在性の色調を持ち得るので(陰性コントロール)、この試験を細菌を含まない活性物質を用いて行った;第二に、活性物質を含まないが細菌を有する希釈した完全培地を、コントロールとして使用した。さらに、表面上でのバイオフィルムの成長を調べる滅菌ガラスプレート(顕微鏡スライド)(サイズ18x18)を、6穴各々に置いた。各開始物質について、測定を3回行った、すなわち、開始物質につき3枚のガラススライドを調べた。6穴プレートを、6または24時間、30℃および60rpmで振とうした。予め決めたインキュベーション時間の後、開始物質あたり1mlを細菌数測定用に取出し、トリプトン−NaCl溶液に希釈し、Caso寒天上に播種した。得られるプレートを、24時間37℃でインキュベートし、次いで計測した。スライドガラスを、6穴プレートから取り出し、室温で乾燥させ、新しく6箇所で0.01% Safranin O-溶液(滅菌水で調製)(3ml)により15分染色した。次いで、着色溶液を吸い取り、結合していない着色材を、水によりスライドガラスから除洗し、着色したスライドガラスを乾燥した。着色し、乾燥したスライドガラスの表面を、スキャンし、Corel Draw paint 9を用いて評価した。測定値からバックグランド(ガラスの)を控除できるように、別の非処理スライガラスもスキャンした。
【0139】
結果:
結果を図1に示した。第一回目の範囲探索実験(3回のそれぞれ独立した実験)において、バイオフィルム形成における顕著な違いを、アルキルオキシラクトンを用いる試験と比較して、活性物質(図1において100%に設定)を添加しないコントロールに関してインキュベーション6時間後に観察した。各活性物質の50ppmおよび100ppmを、開始物質に添加した。100ppmのオクチルオキシブチロラクトン(H128)を用いる試験は、約40%(コントロールに対して)バイオフィルムの低下を示した;活性物質の濃度を増加していくと、それは沈殿し、バイオフィルム阻害における低下は20%であった(結果は示していない)。
【0140】
少なくとも明細書においては、濃度依存性である。オクチルオキシブチロラクトン(H128)に加えて、オクチルオキシパントラクトン(H33)が最良の結果を示した(100 ppmで30%以上のバイオフィルム低下)。別の活性物質(H99:ブチルオキシブチロラクトン;H123:ブチルオキシパントラクトン)は、バイオフィルム形成に対して唯一穏やかな効果を示した。全ての場合において、細胞増殖は消滅しなかった。
【0141】
次の実験のために、新規の、より大量の、そして別のアルキルオキシラクトン誘導体を合成した(表1;図2)。溶媒、例えばトルエンまたはジクロロメタンに由来する二次的影響を排除するために、全ての化合物について、残留溶媒の量をガスクロマトグラフィーによって決定し、全ての場合において、検出限界以下となった(GLC実験によって 純度>97%)。
【0142】
6時間のインキュベーション後に、バイオフィルム形成における違いを、様々なアルキルオキシラクトン(表1)を用いた試験と比較して、DMSOコントロールとして(図2において100%に設定)観察した。100ppmの各活性物質を開始物質に添加した。100ppmのヘプチルパントラクトン(188)を用いた試験は、40%以上(コントロールに対して)のバイオフィルム低下を示した。式I中のRで長い側鎖を有するパントラクトン誘導体は、バイオフィルム形成に対して、側鎖 (図2、暗灰色の棒)の長さが増加するに従って、より低い効果を示した。しかし、ブチロラクトン誘導体(図2、暗灰色の棒)について、最長の側鎖(ヘキサデシルブチロラクトン)を有する化合物は、最良のバイオフィルム低下を示したが、一方でより短い鎖を有する誘導体は、20%のバイオフィルムの低下を示しただけであった。ヒドロキシブチロラクトンおよびパントラクトン抽出物(図2、白色棒)は、どのような顕著な効果も示さなかった。全ての試験した場合において、細胞増殖は消滅しなかった、すなわち殺生物効果は観察されなかった。
【0143】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】図1は、P. aeruginosaのバイオフィルム形成に対する多様なアルコキシラクトンの効果。該データは、活性物質(=100%)を含まないコントロールを示す。
【図2】図2は、P. aeruginosaのバイオフィルム形成に対するアルコキシラクトンの側鎖の効果(黒:DMSO−コントロール;明灰色:ブチロラクトン誘導体;暗灰色:パントラクトン誘導体;斜線:ヒドロキシブチロラクトンおよびパントラクトン抽出物)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化1】


[式中、
はOまたはNHを表し、
はOまたはSを表し、
およびRは、各々独立して、水素、メチル、あるいはC2-C8飽和または一価もしくは二価不飽和の、分枝鎖または直鎖炭化水素群から選択される基を表し、そして、
は、C1-C18-飽和あるいは一価または二価不飽和の、分枝鎖または直鎖炭化水素群から選択される基を表す、
ここで、R、RおよびRは、各々独立して、鎖中にOおよびSから選択されるヘテロ原子も含み得る、および/またはハロゲン、ヒドロキシ、C1-C6-アルキル、トリフルオロメチル、C1-C6-アルコキシ、C6-C10-アリール、およびC1-C6-アルキル-C6-C10-アリールから選択される基によって一置換または複数置換され得る]。
【請求項2】
1およびA2はOを表し、R1およびR2は水素またはメチルを表し、R3は、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、トリデシレンまたはテトラデシレンを表わす、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
適切なラクトン、ラクタムまたはチオラクタムが、適当な塩基存在下に適当な有機溶媒中で1-ハロアルカンにより処理される、請求項1または2に記載の化合物の製造方法。
【請求項4】
(a)必要ならば相互作用する微生物が決定されること、
(b)必要ならば一または複数の適切な化合物が、式Iの化合物から選択されること、および
(c)所望の制御に十分な量で、式Iの化合物または複数の化合物が、微生物相互作用がおこる培地に添加されること、
を含む、微生物相互作用に基づく過程を制御する方法。
【請求項5】
微生物が、細菌、藻類または真菌類から、特に細菌、好ましくはグラム陰性細菌から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
微生物相互作用が、バイオフィルムの発生および/または成熟、多細胞性集団行動、抗生物質耐性の協調的進化、抗生物質の協調的合成、色素の協調的合成、細胞外酵素、特に加水分解酵素の協調的産生、毒性因子の協調的産生、好ましくはバイオフィルムの発生および/または成熟から選択される、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
微生物相互作用に基づく過程を制御するための、特にバイオフィルム、特に好ましくはグラム陰性細菌が関与するバイオフィルムの発生および/または成熟を制御するための、1つまたは複数の式Iの化合物の使用。
【請求項8】
滅菌剤、殺菌剤、含浸剤または防腐剤、洗剤または清浄剤において、あるいは冷却剤または冷却潤滑剤において効果がある、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
浄水、医薬、食品、醸造、薬品、着色材、木材、織物、化粧品、皮革、タバコ、皮(hide)、製鋼、製紙、パルプ、プラスチック、燃料、油、ゴムまたは機械産業の分野において効果がある、請求項7または8に記載の使用。
【請求項10】
医療設備、器具および装置、特にカテーテルおよび内視鏡に対するバイオフィルムの制御に有効である、請求項7〜9のいずれかに記載の使用。
【請求項11】
一または複数の式Iの化合物が、1ppm〜1000ppm、特に20〜500ppm、特に好ましくは20〜100ppmの範囲の濃度で使用される、請求項7〜10のいずれかに記載の使用。
【請求項12】
式Iの化合物を含む、身体用手入れ剤、毛髪用シャンプー、毛髪用手入れ剤、発泡性入浴剤、シャワー用入浴剤、クリーム、ジェル、ローション、アルコール性および水性アルコール溶液、エマルジョン、ワックス/油脂塊、粘着物、粉末または軟膏、口腔、歯または義歯手入れ用製品、化粧品、洗剤、清浄剤、すすぎ剤、手洗い用洗剤、手洗用食器洗浄剤、機械洗浄用食器洗浄剤、殺菌剤、ならびに食材、医薬品、濾材、織物製品、皮革製品、紙、皮膚または皮革の処理用剤。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−521335(P2007−521335A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545987(P2006−545987)
【出願日】平成16年12月11日(2004.12.11)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014141
【国際公開番号】WO2005/063726
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(391008825)ヘンケル・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチエン (309)
【氏名又は名称原語表記】HENKEL KOMMANDITGESELLSCHAFT AUF AKTIEN
【住所又は居所原語表記】40191 Dusseldorf,Henkelstrasse 67,Germany
【Fターム(参考)】