説明

微細繊維状セルロース及び/又はその複合体を含む香粧品組成物

【課題】本発明は、含有成分の凝集、固結、分離防止効果による安定性に優れ、触感の良い香粧品組成物を提供、および感触のよいゲル状の香粧品組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】長さ(長径)が0.5μm〜1mm、幅(短径)が2nm〜60μm、長さと幅の比(長径/短径)が5〜400の微細繊維状セルロースを0.01〜3質量%、界面活性剤を0.01〜40質量%含む香粧品組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細繊維状セルロース及び/またはその複合体を含有し、含有成分の凝集防止、分離防止効果による安定性に優れ、粘りがなく触感の良い洗浄用組成物、化粧用組成物又は化粧品、口腔用組成物(以下、総称して香粧品組成物という。)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人々の健康志向が高まり、香粧品組成物にも自然系の成分が好まれて配合されるようになってきた。セルロース系の素材は植物由来の天然系化合物であり、最も好まれる素材の一つと言える。 例えば、セルロースの入った化粧品としては。特許文献1が報告されている。該公報では微粒化セルロースをセルロースに対して2倍以上の水に分散してクリーム状もしくは乳液状の化粧用組成物について述べている。該公報ではセルロースは油代替として用いているが、重い触感が問題であった。
【0003】
また、特許文献2では平均粒径が50〜200μmのセルロース顆粒を含む化粧料について述べている。該公報はセルロースによるクレンジング作用を目指したものであり、ザラザラした触感を与えることを目的としている。該公報ではセルロースは顆粒状であり、その長さと幅の比(長径/短径)は5未満である。本発明では、セルロースを微細繊維状に加工し、ザラザラ感やベトツキ感の極力少ない香粧品組成物を達成するものであり、目的が全く違ったものである。これらの文献ではセルロースをそのまま利用しているが、一方で、セルロースにカルボキシルメチルセルロースナトリウムなどを混合し、乾燥・粉砕して得られるセルロース複合体も化粧品で使われている。
【0004】
セルロース複合体の入った化粧品用組成物としては特許文献3が報告されている。該公報ではミクロ結晶性セルロースをレオロジーコントロール剤として使用している。このようにセルロースを香粧品組成物に用いることは公知であるが、電子顕微鏡で見た該セルロースの長さ(長径)は0.5μ未満である。本発明ではセルロースの長さを0.5μm〜1mmにすること、すなわち、形状をより細長く微細な繊維状へと加工した微細繊維状セルロースや微細繊維状セルロース複合体を用いることにより、今までのセルロースやセルロース複合体よりも優れた効果が得られる点が大きな違いである。本発明者らはセルロースを微細繊維状セルロースへと加工することにより、通常のセルロースやその複合体と比べ、低濃度で高粘度を発現し、同粘度においてベトツキが少なく好感触であり、さらに他の多糖類等との組み合わせでゲルを形成するなど、特許文献3のセルロース複合体とは全く性質の違うものであることを見出し、これらの機能を香粧品組成物へと応用した。これは今までのセルロース含有の香粧品組成物とは全く違ったものである。
【0005】
また、特許文献4、5では微細繊維状セルロース複合体を化粧品に利用できるとの記載はある。しかし、添加量等について何ら具体的な記載も実施例もなく、医薬品や工業用途についても同列に記載していることから単なる羅列に過ぎないといえる。また、該公報では食品における食感改良や水不溶物の沈降抑制について述べているが、食品と香粧品とでは含まれる成分、製法、求める機能が全く違うことは明確であり、本発明では界面活性剤を含むことを必須要件としている点でも相違している。また、実際に微細繊維状セルロース複合体を香粧品組成物に用いた場合、水不溶物の沈降抑制、凝集防止、固結防止、例え沈降しても再分散の改善効果の付与だけではなく、香粧品としてザラツキ、ベトツキ感の少ない良好な感触や伸びの改良効果も得られるということは、当業者にとって容易に推測できるものではない。
以上のように、特定量の微細繊維状セルロース及び/又はその複合体と特定量の一種類以上の界面活性剤からなる香粧品組成物は報告されていなかった。
【0006】
【特許文献1】特許2992135号
【特許文献2】特許3032531号
【特許文献3】特表2006−503061号
【特許文献4】特開2004−283135
【特許文献5】特開2006−290972
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、含有成分の凝集、固結、分離防止効果による安定性、再分散性に優れ、触感の良い香粧品組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の大きさを持つ微細繊維状セルロースと水溶性高分子および/または親水性物質からなる微細繊維状セルロース複合体を0.01〜3質量%と、界面活性剤の少なくとも一種類以上を0.01〜40質量%含有する香粧品組成物が、含有成分の凝集防止、固結防止効果による安定性に優れ、さらに感触の良いゲル状の香粧品組成物を得られることを見出し、本発明を成すに至った。
【0009】
すなわち本発明は下記の通りである。
(1)長さ(長径)が0.5μm〜1mm、幅(短径)が2nm〜60μm、長さと幅の比(長径/短径)が5〜400の微細繊維状セルロースを0.01〜3質量%、界面活性剤を0.01〜40質量%含む香粧品組成物。
(2)a.ポリヒドロキシル化合物、b.油性成分、c.高級脂肪酸又はその塩、d.シリコーン誘導体、e.顔料から選ばれるいずれか一種以上の香粧品原料を0.01〜80質量%含有する(1)に記載の香粧品組成物。
(3)a.紫外線防御成分、b.美白成分、c.老化防止成分、d.金属イオン封鎖剤、e、保湿成分から選ばれるいずれか一種以上の成分を0.0001〜50質量%含有する(1)又は(2)に記載の香粧品組成物。
(4)更に、清掃剤及び/又は研磨剤、及び薬用成分を含む口腔用組成物である(1)記載の香粧品組成物。
(5)微細繊維状セルロースが、微細繊維状セルロースと水溶性高分子からなる微細繊維状セルロース複合体である(1)〜(4)のいずれかに記載の香りよそお品組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、微細繊維状セルロース及び/又はその複合体を0.01〜3質量%及び界面活性剤0.01〜40質量%を含有し、含有成分の凝集、固結、分離防止効果による安定性に優れ、触感の良い香粧品組成物を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明の内容を詳細に説明する。
本発明の微細繊維状セルロースは、植物細胞壁を起源としたセルロース性物質を湿式で粉砕し、短繊維化し、高圧ホモジザイザーでより、長さ(長径)が0.5μm〜1mm、幅(短径)が2nm〜60μm、長さと幅の比(長径/短径)が5〜400にまで高度に微細化したセルロース性物質である。このようにセルロース性物質を高度に微細繊維状とすることで、分子同士の絡まりや網目構造が強固となり通常の結晶性セルロースよりも低濃度で高粘度を示し、より粗大粒子の沈降を防止でき、加えてザラツキ、ベトツキ感の弱いといった微細繊維状セルロース特有の性質が発現する。このような特有の性質の発現には、特に長さと幅の比(長径/短径)が重要であり、長さと幅の比(長径/短径)は5〜
400、好ましくは10〜400、より好ましくは20〜400である。
【0012】
本発明の微細繊維状セルロース複合体は、前記、微細繊維状セルロースと水溶性高分子を配合して得られる水分散性セルロースで、その製造法は後述する実施例で紹介される他、他の例としては、特開2004−41119号公報がある。
本発明で使用される水溶性高分子は、冷水および/もしくは温水に溶解もしくは膨潤する高分子であり、乾燥時におけるセルロース同士の角質化を防止する作用を有するものである。具体的にはアラビアガム、アラビノガラクタン、アルギン酸およびその塩、カードラン、ガッティーガム、カラギーナン、カラヤガム、寒天、グアーガム、酵素分解グアーガム、クインスシードガム、ジェランガム、ゼラチン、タマリンド種子ガム、難消化性デキストリン、トラガントガム、ファーセルラン、プルラン、ペクチン、ポリデキストロース、水溶性大豆多糖類、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースの金属塩、メチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウムなどから選ばれた1種または2種以上の物質が使用される。中でもカルボキシルメチルセルロース・ナトリウムが好ましい。
【0013】
また、本発明では、微細繊維状セルロースと水溶性高分子に更に水溶性物質を加えて微細繊維状セルロース複合体としても良い。本発明で使用される水溶性物質は、冷水への溶解性が高く粘性をも殆どもたらさず、常温で固体の物質であり、例えば、デキストリン類、水溶性糖類(ブドウ糖、果糖、蔗糖、乳糖、異性化等、キシロース、トレハロース、ラフィノース、カップリングシュガー、パラチノース、ソルボース、還元澱粉糖化飴、マルトース、ラクツロース、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、セロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖等)、糖アルコール類(キシリトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール等)より選ばれた1種または2種以上の物質である。
本発明においては微細繊維状セルロースを、あらかじめ前記複合体とするほうが良好な結果が得られやすい。水への分散性、安定性、感触など全ての点において、前記複合体のほうが優れる傾向であるため、特別な理由がない限りは前記複合体として用いることが好ましい。
【0014】
本発明の香粧品組成物に微細繊維状セルロース及び/又はその複合体を添加する際、微細繊維状セルロースおよび/又はその複合体単独でもいいし、ガラクトマンナン、グルコマンナン、キサンタンガム、ローカストビーンガムから選ばれる1種以上の水溶性ガムを組み合わせても良い。その場合の微細繊維状セルロース複合体とガラクトマンナン、グルコマンナン、キサンタンガム、ローカストビーンガムから選ばれる1種以上の水溶性ガムの比率は、微細繊維状セルロース:ガラクトマンナン、グルコマンナン、キサンタンガム、ローカストビーンガムから選ばれる1種以上の水溶性ガム=10:90〜90:10質量%が好ましい。より好ましくは20:80〜70:30質量%である。
【0015】
ガラクトマンナンとは、β−D−マンノースがβ−1、4結合した主鎖と、α−D−ガラクトースがα−1、6結合した側鎖からなる構造を有する多糖類である。ガラクトマンナンの例としては、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム等があり、マンノースとグルコースの比率は、グアーガムで約2:1、ローカストビーンガムで約4:1、タラガムで約3:1である。
グルコマンナンとは、D−グルコースとD−マンノースがβ−1、4結合した構造を有し、グルコースとマンノースの比率が約2:3の多糖類である。精製度が低いと独特の刺激臭があるので、精製度の高いものを使用することが好ましい。
【0016】
キサンタンガムとはトウモロコシなどの澱粉を細菌 Xanthomonas campestris により発酵させて作られたもので、分子量は約200万もしくは1300万から5000万のものである。グルコース2分子、マンノース2分子、グルクロン酸の繰り返し単位からなるといわれている。キサンタンガムにはカリウム塩、ナトリウム塩
、カルシウム塩も含まれる。
【0017】
微細繊維状セルロース及び/又はその複合体と上記水溶性ガムの一種類もしくは複数を適切な割合で併用すると、ゲルを形成することが出来る。該ゲルはその組み合わせにより、硬いゲルから容易に破断する柔らかいゲルまで形状をコントロールすることが可能である。例えば、0.7%の微細繊維状セルロース複合体と0.3%のグルコマンナンを併用することにより、耐熱性の柔らかいゲルが得られる。また、0.5%の微細繊維状セルロース複合体と0.35%のグルコマンナン、0.15%のキサンタンガムを併用すると硬い感触のゲルが得られる。これらの混合比は目的の香粧品組成物の感触・用途に応じて適宜、調整することにより、最適なゲル状の香粧品組成物が得られる。既存のセルロース及び/又はセルロース複合体ではこのようなゲルを形成することは困難であり、ゲル状組成物と出来る点も本発明の大きな相違点の一つである。また、本発明のゲルでは、油性成分を含んでも良い。油性成分としては、例えば、スクワラン、流動パラフィン、ワセリン、固形パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、オリーブ油、アーモンド油、カカオ脂、マカデミアナッツ油、アボガド油、硬化パーム油、ヒマシ油、ヒマワリ油、月見草油、合成トリグリセライド、ミツロウ、ラノリン、カルナバロウ、キャンデリラロウ、ホホバ油、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデシルアルコール、コレステロール、シリコーン油などが挙げられる。これらを単独もしくは複数を微細繊維状セルロース及び/又は微細繊維状セルロース複合体と水溶性ガム類と一緒にホモジナイザーなどで水へ分散することにより油性成分含有ゲルを得ることが出来る。油性成分の添加量はゲルに対して50質量%以下が好ましい。50質量を越えると、油性物質に阻害されてゲル化が出来ない場合がある。また、この油性成分含有ゲルを粉砕することにより、油性成分を含んだミクロゲルとすることが出来る。
【0018】
微細繊維状セルロース及び/又はその複合体の添加量は0.01〜3質量%が好ましい。より好ましくは0.05〜2質量%、さらに好ましくは0.1〜1質量%である。微細繊維状セルロース及び/又はその複合体の添加量が0.01質量%未満の場合は、油分の多い香粧品組成物で離水が生じ易く、不溶成分の多い香粧品組成物では、含有成分の沈降、分離、固結などが生じる可能性がある。微細繊維状セルロース及び/又はその複合体の添加量が3質量%を超える場合、香粧品組成物の粘度が高くなり過ぎるために感触が重くなる場合がある。
【0019】
本発明でいう香粧品組成物とは外皮に用いる全ての化粧料(化粧品又は化粧用組成物)、洗浄料(洗浄用組成物)、口腔用組成物、すなわち、スキンケア化粧品、メーキャップ化粧品、ボディケア化粧品、ヘアケア化粧品、オーラルケア化粧品、フレグランス化粧品などである。例えば、シャンプー、ヘアリンス、ヘアトニック、トリートメント、ポマード、チック、ヘアクリーム、香油、液状整髪料、セットローション、ヘアスプレー、染毛料、洗顔クリーム、クレンジング、マッサージ、モイスチャー、乳液、化粧水、美容液、パック、ファンデーション、おしろい、口紅、リップクリーム、ほほ紅、アイメークアップ、マスカラ、マニキュア、日焼け止め、日焼け化粧品、髭剃り用化粧品、浴用化粧品(入浴剤、沐浴剤)、育毛剤、染毛剤、歯磨剤、洗口剤などが挙げられる。
【0020】
本発明でいう香粧品組成物は微細繊維状セルロース及び/又はその複合体以外に、界面活性剤を少なくとも一種類以上含んでいるものを言う。
本発明でいう界面活性剤は、アニオン型、カチオン型、ノニオン型、天然型、高分子型のいずれでもよく、例えば、リン脂質、レシチン、ラノリン、コレステロール、サポニン、ショ糖脂肪酸エステル、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレナルキルエーテル硫酸塩、アシルN−メチルタウリン塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、N−アシル
アミノ酸塩、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオキシエチレン型ノニオン界面活性剤、多価アルコールエステル型ノニオン界面活性剤、エチレンオキシド・プロピレンオキシド共重合体などが挙げられる。
【0021】
また、本発明の香粧品組成物は、a.ポリヒドロキシル化合物、b、油性成分、c.高級脂肪酸又はその塩、d.シリコーン誘導体、e.顔料から選ばれるいずれか一種以上の香粧品原料を組成物中に0.01〜80質量%含有していることが好ましい。より好ましくは0.05〜70質量%、さらに好ましくは0.1〜50質量%である。これらのものが含まれない場合、香粧品組成物としての機能が十分に発揮できない場合がある。
更に、a.紫外線防御成分、b.美白成分、c.老化防止成分、d.金属イオン封鎖剤、e、保湿成分から選ばれるいずれか一種以上の成分を0.0001〜50質量%含有することが好ましい。より好ましくは0.0005〜40質量%、さらに好ましくは0.001〜30質量%である。
また、口腔用組成物の場合、清掃剤及び/又は研磨剤及び薬用成分を含んでいることが好ましい。
【0022】
本発明でいうポリヒドロキシル化合物とは、その分子内にヒドロキシル基を持つものを言い、例えば、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、カルボキシルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、ヒアルロン酸、デキストラン、ガードラン、メチルヒドロキシプロピルセルロース、トラガカントガム、クインスシードなどが挙げられる。ただし、前記、微細繊維状セルロース複合体を形成するために用いる多糖類などは、微細繊維状セルロースと混合、混練、乾燥等をする際に、より強い相互作用を持つ複合体を形成しており、単純に水等の溶媒中で微細繊維状セルロースと多糖類を混合した場合とは違う性質を示すため、複合体化のために用いた多糖類等は本発明で言うポリヒドロキシル化合物には含まない。
【0023】
本発明でいう油性成分とは、水に対しての溶解度が10質量%未満のものを言う。例えば、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、カカオ油、ゴマ油、サフラワー油、大豆油、椿油、パーシック油、ひまし油、ミンク油、綿実油、モクロウ、ヤシ油、卵黄油、パーム油、パーム核油、合成トリグリセライド、ホホバ油等の油脂や流動パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、イソパラフィン等の炭化水素、ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナバロウ、キャンデリラロウおよびその誘導体等のロウのことをいう。
【0024】
本発明で言う高級脂肪酸又はその塩とは、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、ウンデシレン酸、ラノリン脂肪酸、硬質ラノリン脂肪酸、軟質ラノリン脂肪酸等の高級脂肪酸とそれらの金属塩のことを言う。
本発明でいうシリコーン誘導体とは、例えばポリエーテル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、揮発性シリコーン等のことをいう。
【0025】
本発明でいう顔料は、例えば、タルク、カオリン、セリサイト、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化クロム、水酸化クロム、タール系色素等、マイカ、(合成)セリサイト、炭化ケイ素、窒化硼素、二酸化チタン、黒酸化チタン、コンジョウ、赤酸化鉄、黒酸化鉄、黄酸化鉄、群青、チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、
ベンガラ、粘結顔料、グンジョウピンク、グンジョウバイオレット、水酸化クロム、雲母チタン、酸化クロム、酸化アルミニウムコバルト、カーボンブラック、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、ベントナイト、(合成)マイカ、酸化ジルコニウム、(メタ)ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸カルシウム、ポリエチレン粉末、ナイロン粉末、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート−ポリメチルメタクリレート積層末、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合粉末、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合粉末、ウールパウダー、シルクパウダー、結晶セルロース、N−アシルリジン、ポリメチルシルセスキオキサン粉末、植物の実や皮を粉末状にしたもの、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄コーティング雲母、酸化鉄雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、アルミニウムパウダー、微粒子酸化チタン(超微粒子とは平均粒径100nm以下のものを言う。)、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、カルミン、β−カロチン、クロロフィル、サンセットエローFCF、ポンソーSX、エオシンYS、テトラブロモフルオレセイン、ローダミンB、キノリンエローSS、キノリンエローWS、アリザニンシアニングリーン、キニザリングリーン、リソールビンB、リソールビンBCA、パーマトンレッド、ヘリンドンピンクCN、フタロシアニンブルー、β−アポ−8−カロチナール、カプサンチン、リロピン、ビキシン、クロシン、カンタキサンチン、シソニン、ラファニン、ニノシアニン、カルサミン、サフロールイエロー、ルチン、クエルセチン、カカオ色素、リポフラビン、ラッカイン酸、カルミン酸、ケルメス酸、アリザニン、シコニン、アルカニン、ニキノクローム、血色素、クルクミン、ベタニンなどが挙げられる。
【0026】
本発明の紫外線防御成分としては、例えば、ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、パラメトキシ桂皮酸誘導体、サリチル酸誘導体その他の紫外線吸収剤、酸化チタン、酸化亜鉛等の紫外線散乱剤などが挙げられる。
本発明の美白成分としては、例えば、アスコルビン酸類、アルブチン、プラセンタエキス、コウジ酸、エラグ酸、ルシノールなどが挙げられる。
本発明の老化防止成分としては、例えば、レチノイド、αーヒドロキシ酸、コエンザイムQ10、アスタキサンチンなどが挙げられる。
本発明の金属イオン封鎖剤としては、例えば、リン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルコン酸、ポリリン酸塩類、メタリン酸塩、ヒノキチール類などの金属イオン封鎖剤が挙げられる。
本発明の保湿成分としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、乳酸ナトリウム、2−ピロリドンー5−カルボン酸塩類、ソルビトール、ラフィノース、キシロビオース、キシロオリゴ糖、トレハロース、セラミド、ヒアルロン酸塩類、ピロリドンカルボン酸などの保湿剤が挙げられる。
【0027】
本発明で言う清掃剤、研磨剤としては、例えば、研磨性沈降シリカ、研磨性ゲルシリカなどの研磨性シリカ、リン酸水素カルシウム・2水和物および無水和物、リン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、軽石(パミス)、不溶性メタリン酸ナトリウム、第3リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、ポリメタクリル酸メチル、ベントナイト、ケイ酸ジルコニウム、ハイドロキシアパタイト、合成樹脂、酸化チタン、ゼオライトなどを例示することができる。好ましくは、研磨性シリカ、リン酸水素カルシウム・2水和物および無水和物、炭酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、ハイドロキシアパタイトである。研磨性シリカ、リン酸水素カルシウム・2水和物および無水和物、酸化アルミニウムがより好ましく、研磨性シリカが最も好ましい。清掃剤及び/又は研磨剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
本発明で言う薬用成分としては、例えば、クロルヘキシジン、トリクロサン、塩化セチ
ルピリジニウム、ヒノキチオールなどの抗菌剤、フッ化ナトリウム、フッ化第1錫、モノフルオロリン酸ナトリウムなどのフッ素化合物、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、プロテアーゼなどの歯垢形成抑制剤、トラネキサム酸、アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸類、アズレン、アラントイン、塩化リゾチーム、オオバクエキスなどの歯肉炎予防剤、ポリリン酸類などの歯石予防剤、塩化ナトリウムなどの歯茎引き締め剤、酢酸トコフェロールなどの各種ビタミンなどが挙げられる。
【0029】
本発明の香粧品組成物においては、これらの成分の他にも、本発明の目的が損なわれない限り、用途、目的に応じ、さらに各種の基材と併用することができる。
具体的には、サポニン等のグルコシド類、メチルセルロース、カルボキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合物の塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物の塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、リン酸塩などの陰イオン性高分子やポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等のノニオン性高分子等の分散剤;アルギン酸ナトリウム、デンプン誘導体、トラガントゴムなどの高分子界面活性剤;ラウリルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコール、水添ラノリンアルコール、へキシルデカノール、オクチルドデカノール等の高級アルコール;ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル等のその他のエステル油;金属石鹸、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、揮発性シリコーン等のシリコーン類等の揮発性および不揮発性の油分;ソルビトール、ラフィノース、ヒアルロン酸塩類などの保湿剤;チオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル第4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合体、4級化ポリビニルピロリドン誘導体、4級化ビニルピロリドン/ビニルイミダゾールポリマー、ポリグリコール/アミン縮合物、4級化コラーゲンポリペプチド、ポリエチレンイミン、カチオン性シリコーンポリマー、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンコポリマー、ポリアミノポリアミド、カチオン性キチン誘導体、4級化ポリマー等のカチオン性ポリマーなどのカチオン性化合物;ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプン、:アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸塩、グアーガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、:ペクチン、マンナン、デンプン、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体、両性メタクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム、ポリアクリル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、シリコーンレジン等の水溶性および油溶性高分子;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルメチルグリコシド、テトラデセンスルホン酸塩等の増粘、増泡成分;エチレンジアミン四酢酸およびその塩類、ヒドロキシエチレンジアミン3酢酸およびその塩類、リン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルコン酸、ポリリン酸塩類、メタリン酸塩、ヒノキチール類などの金属イオン封鎖剤;パラオキシ安息香酸エステル類、安息香酸およびその塩類、フェノキシエタノール、ヒノキチール等の防腐剤;クエン酸、リンゴ酸、アジピン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等のpH調整剤;ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、パラメトキシ桂皮酸誘導体、サリチル酸誘導体その他の紫外線吸収剤;酸化亜鉛、硫酸亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、スルホ石炭酸亜鉛、タンニン酸などの収斂剤;抗ヒ
スタミン剤;高分子シリコーン、環状シリコーン等のシリコーン系物質、トコフェロール類、BHA、BHT、没食子酸、NDGAなどの酸化防止剤;タルク、カオリン、セリサイト、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化クロム、水酸化クロム、タール系色素等、マイカ、(合成)セリサイト、炭化ケイ素、窒化硼素、二酸化チタン、黒酸化チタン、コンジョウ、赤酸化鉄、黒酸化鉄、黄酸化鉄、群青、チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、ベンガラ、粘結顔料、グンジョウピンク、グンジョウバイオレット、水酸化クロム、雲母チタン、酸化クロム、酸化アルミニウムコバルト、カーボンブラック、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、ベントナイト、(合成)マイカ、酸化ジルコニウム、(メタ)ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸カルシウム、ポリエチレン粉末、ナイロン粉末、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート−ポリメチルメタクリレート積層末、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合粉末、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合粉末、ウールパウダー、シルクパウダー、結晶セルロース、N−アシルリジン、ポリメチルシルセスキオキサン粉末、植物の実や皮を粉末状にしたもの、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄コーティング雲母、酸化鉄雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、アルミニウムパウダー、微粒子酸化チタン(超微粒子とは平均粒径100nm以下のものを言う。)、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、カルミン、β−カロチン、クロロフィル、サンセットエローFCF、ポンソーSX、エオシンYS、テトラブロモフルオレセイン、ローダミンB、キノリンエローSS、キノリンエローWS、アリザニンシアニングリーン、キニザリングリーン、リソールビンB、リソールビンBCA、パーマトンレッド、ヘリンドンピンクCN、フタロシアニンブルー、β−アポ−8−カロチナール、カプサンチン、リロピン、ビキシン、クロシン、カンタキサンチン、シソニン、ラファニン、ニノシアニン、カルサミン、サフロールイエロー、ルチン、クエルセチン、カカオ色素、リポフラビン、ラッカイン酸、カルミン酸、ケルメス酸、アリザニン、シコニン、アルカニン、ニキノクローム、血色素、クルクミン、ベタニン、等の化粧品用色材:精製水;その他を含有させることができる。本発明の香粧品組成物は、外皮に適用される全ての化粧品、洗浄剤や歯磨きなどの口腔用組成物を含み、その形態も水溶液系、化粧水等の可溶化系、乳液・クリーム等の乳化系、粉末系、油液系、ゲル系、軟膏系、水−油2層系、水−油−粉末3層系等幅広い形態を取りうる。
【実施例】
【0030】
実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、これらによって本発明は何ら制限されるものではない。なお、測定及び評価は以下の通りに行った。
<原料(セルロース性物質)の平均重合度>
ASTM Designation: D 1795−90「Standerd Test Method for Intrinsic Viscosity of Cellulose」に準じて行う。
<原料(セルロース)のα−セルロース含有量>
JIS P8101−1976(「溶解パルプ試験法」5.5 α−セルロース)に準じて行う。
【0031】
<セルロース繊維(粒子)の形状(長径、短径、長径/短径比)>
セルロース繊維(粒子)のサイズの範囲が広いので、一種類の顕微鏡で全てを観察することは不可能である。そこで、繊維(粒子)の大きさに応じて光学顕微鏡、走査型顕微鏡(中分解能SEM、高分解能SEM)を適宜選択し、観察・測定する。光学顕微鏡を使用する場合は、適当な濃度に調整したサンプル水分散液をスライドガラスにのせ、さらにカバーグラスをのせて観察に供する。また、中分解能SEM(JSM−5510LV、日本電子株式会社製)を使用する場合は、サンプル水分分散液を試料台にのせ、風乾した後、Pt−Pdを約3nm蒸着して観察に供する。
高分解能SEM(S−5000、株式会社日立サイエンスシステムズ製)を使用する場合は、サンプル水分散液を試料台にのせ、風乾した後、Pt−Pdを約1.5nm蒸着して観察に供する。
セルロース繊維(粒子)の長径、短径、長径/短径比は撮影した写真から15本(個)以上を選択し、測定した。繊維はほぼまっすぐから、髪の毛のようにカーブしているものがあったが、糸くずのように丸まっていることはなかった。短径(太さ)は、繊維1本の中でもバラツキはあったが、平均的な値を採用した。高分解能SEMは短径が数nm〜200nm程度の繊維の観察時に使用したが、一本の繊維が長すぎて、一つの視野に収まらなかった。そのため、視野を移動しつつ写真撮影を繰り返し、その後、写真を合成して解析した。
【0032】
<損失正接(=損失弾性率/貯蔵弾性率)>
(1)0.5%の水分散液となるようにサンプルと水を量り取り、エースホモジナイザー(日本精機株式会社製、AM−T型)で、15000rpmで15分間分散する。
(2)25℃の雰囲気中に3時間静置する。
(3)動的粘弾性測定装置にサンプル液を入れてから5分間静置後、下記の条件で測定し、周波数10rad/sにおける損失正接(tanδ)を求める。
装置 :ARES(100FRTN1型)
(Rheometric Scientific,Inc.製)
ジオメトリー:Double Wall Couette
温度 :25℃
歪み :10%
周波数 :1→100rad/s(約170秒かけて上昇させる)
【0033】
<0.25%粘度>
(1)固形分濃度が0.25%の水分散液となるようにサンプルと水を量り取り、エクセルオートホモジナイザー(日本精機株式会社製、ED−7型)で、15000rpmで15分間分散する。
(2)25℃の雰囲気中に3時間静置する。
(3)よく攪拌した後、回転粘度計(株式会社トキメック製、B形粘時計、BL形)をセットし、攪拌終了30秒後にローターの回転を開始し、それから30秒後の指示置より粘度を算出する。なお、ローター回転数は60rpmとし、ローターは粘度によって適宜変更する。
【0034】
<「水中で安定に懸濁する成分」の含有量>
(1)セルロース濃度が0.1%の水分散液となるようにサンプルと水を量り取り、エクセルオートホモジナイザー(日本精機株式会社製、ED−7型)で、15000rpmで15分間分散する。
(2)サンプル液20gを遠沈管に入れ、遠心分離機にて1000Gで5分間遠心分離する。
(3)上層の液体部分を取り除き、沈降成分の重量(a)を測定する。
(4)次いで、沈降成分を絶乾し、固形分の重量(b)を測定する。
(5)下記の式を用いて「水中で安定に懸濁する成分」の含有量(c)を算出する。
c=5000×(k1+k2) [%]
【0035】
サンプルが水溶性高分子(および親水性物質)を含まない場合は、k1およびk2は下記の式を用いて算出して使用する。
k1=0.02−b
k2={k1×(a−b)}/(19.98−a+b)
また、サンプルが水溶性高分子(および親水性物質)を含む場合は、k1およびk2は
下記の式を用いて使用する。
k1=0.02−b+s2
k2=k1×w2/w1
セルロース/水溶性高分子(親水性物質)=f/d [配合比率]
w1=19.98−a+b−0.02×d/f
w2=a−b
s2=0.02×d×w2/{f×(w1+W2)}
【0036】
「水中で安定に懸濁する成分」の含有量が非常に多い場合は、沈降成分の重量が小さな値となるので、上記の方法では測定精度が低くなってしまう。その場合は(3)以降の手順を以下のようにして行う。
(3’)上層の液体部分を取得し、重量(a’)を測定する。
(4’)次いで、上層部分を絶乾し、固形分の重量(b’)を測定する。
(5’)下記の式を用いて「水中で安定に懸濁する成分」の含有量(c)を算出する。
c=5000×(k1+k2) [%]
【0037】
サンプルが水溶性高分子(および親水性物質)を含まない場合は、k1およびk2は下記の式を用いて算出して使用する。
k1=b’
k2=k1×(19.98−a’+b’)/(a’−b’)
また、サンプルが親水性高分子(および親水性物質)を含む場合、k1およびk2は下記の式を用いて算出して使用する。
k1=b’−s2×w1/w2
k2=k1×w2/w1
セルロース/親水性物質(水溶性物質)=f/d [配合比率]
w1=a’―b’
w2=19.98−a’+b’―0.02×d/f
s2=0.02×d×w2/{f×(w1+w2)}
もし、(3’)の操作で上層の液体部分と沈降成分の境界が明瞭ではなく分離が難しい場合は全体の上部1/3量(約7g)を取得し、以降は(4’)、(5’)に従って操作する。
【0038】
<香粧品組成物の評価方法>
20代〜50代の男性5人、女性5人により1〜5の5段階の官能評価を下記のそれぞれの項目ごとに行い、その平均を取った。数値が5に近いほど、良好であることを示す。使用感とは、該香粧品を使用する際の感触や塗りやすさなどの評価を言う。
・使用感
1:ざらつく・重い/軽すぎる、2:ややざらつく・やや重い/やや軽い
3:普通、4:良い、5:非常に良い
・べとつき
1:非常にべとつく、2:べとつく、3:ほとんどべとつかない、
4:べとつかない、5:清涼感、サラサラ感、高級感がある
【0039】
・使用後のごわつき、つっぱりなど
1:非常にある、2:ややある、3:普通、
4:ほとんどない、5:全くない
・保存安定性
調整した香粧品組成物を透明な容器に充填し、40℃で1ヶ月静置した後、目視にて観察した。また、沈殿がある場合、容器を上下におよそ30cmの振幅で1回/秒で10秒間振り、その後に目視で観察した。
◎;凝集、沈降、分離がない、
○;わずかに沈降、凝集、分離があるが、手振りで均一に再分散可能。
△;わずかに沈降、凝集、分離があり、手振りでは均一に再分散できない。
×;顕著な沈降、凝集、分離がある。
【0040】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に例示する。
[製造例1]
微細繊維状セルロース複合体Aの調整;市販バガスパルプ(平均重合度=1320、α−セルロース含有量=77%)を、6×16mm角の矩形に裁断した。次いでバガスパルプ濃度が3質量%、カルボキシメチルセルロース・ナトリウムの濃度が0.176質量%となるように、それぞれの水を量り取り、家庭用ミキサーで5分間攪拌した。この水分散液を砥石回転型粉砕機(「セレンディピター」MKCA−6−3型、グラインダー:MKE6−46、グラインダー回転数1800rpm)で3回処理した。得られた水分散液の沈降体積は100%であった。
【0041】
次いで得られた水分散液を水で希釈して2質量%にし、高圧ホモジナイザー(「マイクロフルイダイザー」M−140K型、処理圧力110MPa)で4パスし、微細な繊維状のセルロースの水分散液Aを得た。結晶化度は73%以上であった。0.25%粘度は120mPa・sであった。光学顕微鏡および中分解能SEMで観察したところ、長径が10〜500μm、短径が1〜25μm、長径/短径比が5〜190の微細繊維状セルロースが観察された。損失正接は0.32であった。「水中で安定に懸濁する成分」は99質量%であった。
【0042】
固形分で微細繊維状セルロース:カルボキシメチルセルロース・ナトリウム:デキストリン=70:18:12(質量部)となるように、水分散液Aにカルボキシメチルセルロース・ナトリウムとデキストリンを添加し、攪拌型ホモジナイザーで、15分間攪拌・混合した。これをドラムドライヤーにて乾燥し、スクレーパーで掻き取り、得られたものをカッターミル(不二パウダル株式会社製「フラッシュミル」)で、目開き2mmの篩をほぼ全通する程度に粉砕し微細繊維状セルロース複合体Aを得た。微細繊維状セルロースの結晶化度は66%以上、0.25%粘度は143mPa・s、損失正接は0.38、「水中で安定に懸濁する成分」は98質量%であった。「水中で安定に懸濁する成分」を高分解能SEMで観察したところ、長径が1〜17μm、短径が10〜350nm、長径/短径比が20〜250のきわめて微細な繊維状セルロースが観察された。
【0043】
[製造例2]
微細繊維状セルロース複合体Bの調整;市販麦わらパルプ(平均重合度=930、α−セルロース含有量=68質量%)を、6×12mm角の矩形に裁断し、麦わらパルプ濃度が4質量%となるように水を加え、家庭用ミキサーで5分間撹拌した。これを高速回転型ホモジナイザー(ヤマト科学、「ULTRA−DISPERSER」)で1時間分散した。この水分散液を砥石回転型粉砕機(グラインダー回転数:1800rpm)で処理した。処理回数は2回で、グラインダークリアランスを60→40μmと変えて処理した。次いで得られた水分散液を水で希釈して2質量%にし、高圧ホモジナイザー(処理圧力:175MPa)で8パスし、水分散性セルロースBスラリーを得た。結晶化度は74%以上だった。光学顕微鏡で観察したところ、長径が10〜700μm、短径が1〜30μm、長径/短径比が10〜150の微細な繊維状のセルロースが観察された。損失正接は0.43だった。「水中で安定に懸濁する成分」の含有量は89質量%だった。それを高分解能SEMで観察したところ、長径が1〜20μm、短径が6〜300nm、長径/短径比が30〜350のきわめて微細な繊維状のセルロースが観察された。
【0044】
微細な繊維状のセルロースとカルボキシメチルセルロース・ナトリウムが、固形分とし
て85:15の質量比となるように、前記操作で得られた微細な繊維状のセルロースにカルボキシメチルセルロース・ナトリウムを添加し、攪拌型ホモジナイザーで、15分間撹拌・混合した。次いでドラムドライヤーにて乾燥し、スクレーパーで掻き取った。これをカッターミル(不二パウダル株式会社製)で、目開き1mmの篩をほぼ全通する程度に粉砕し、微細繊維状セルロース複合体Bを得た。
微細繊維状セルロース複合体Bの結晶化度は68%以上、損失正接は0.51であり、「水中で安定に懸濁する成分」の含有量は75質量%だった。それを高分解能SEMで観察したところ、長径が1〜20μm、短径が10〜300nm、長径/短径比が30〜350のきわめて微細な繊維状のセルロースが観察された。
また、以下のように香粧品組成物を調整した。なお微細繊維状セルロース複合体の分散はエクセルオートホモジナイザー(日本精機株式会社製、ED−7型)で、15000rpmで5分間分散した。
【0045】
[実施例1]
製造例1で調整した微細繊維状セルロース複合体Aを用いて、表1の組成(「適量」を除く数字の合計で100質量%となる。以下、同じ。)でパック用組成物を調整した。これは界面活性剤としてPOE(ポリオキシエチレン)ソルビタンモノラウリン酸エステルを含み、且つポリヒドロキシル化合物として、PEG(ポリエチレングリコール)等を含む洗浄用組成物の一例である。その評価結果を表9に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
[実施例2]
製造例1で調整した微細繊維状セルロース複合体Aを用いて、表2の組成でシャンプーを調整した。これは界面活性剤としてラウリルポリエキシエチレン(3)硫酸エステルナトリウム塩などを含む洗浄用組成物の一例である。その評価結果を表9に示す。
【0048】
【表2】

【0049】
[実施例3]
製造例1で調整した微細繊維状セルロース複合体Aを用いて、表3の組成でファンデーション(クリームタイプ)を調整した。これは、界面活性剤として、シリコーン系界面活性剤であるポリオキシエチレン変性ジメチルポリシロキサンを含んでいる。また、顔料として二酸化チタン等を含む洗浄用組成物の一例である。その評価結果を表9に示す。
【0050】
【表3】

【0051】
[実施例4]
製造例2で調整した微細繊維状セルロース複合体Bを用いて、表4の組成で日焼け止め化粧品を調整した。これは、界面活性剤としてジイソステアリン酸グリセリンを含む化粧料の一例である。その評価結果を表9に示す。
【0052】
【表4】

【0053】
[実施例5]
製造例2で調整した微細繊維状セルロース複合体Bを用いて、表5の組成で化粧水を調整した。これは、界面活性剤としてPOE(20)オレイルアルコールエーテルを、保湿成分としてジプロピレングリコール等を含んだ化粧料の一例である。その評価結果を表9に示す。
【0054】
【表5】

【0055】
[実施例6]
製造例2で調整した微細繊維状セルロース複合体Bを用いて、表6の組成でクレンジングフォームを調整した。これは、界面活性剤としてPOE(20)グリセロールモノステアリン酸を、高級脂肪酸としてステアリン酸やミリスチン酸などを含んだ洗浄用組成物の一例である。その評価結果を表9に示す。
【0056】
【表6】

【0057】
[実施例7]
製造例1で調整した微細繊維状セルロース複合体Aを用いて、表7の組成で歯磨きを調整した。これは、界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウムを含み、更に研磨剤(第二リン酸カルシウム・2水和物及び無水ケイ酸)と薬用成分(フッ化ナトリウム)を含んだ口腔用組成物の一例である。その評価結果を表9に示す。
【0058】
【表7】

【0059】
[実施例8]
製造例1で調整した微細繊維状セルロース複合体Aを用いて、表8の組成で保湿ゲルを調整した。これは界面活性剤としてモノステアリン酸グリセリンを含み、油性成分としてスクワラン、保湿成分としてヒアルロン酸などを含み、且つ微細繊維状セルロース複合体を用いてゲル状の形状とした化粧料の一例である。その評価結果を表9に示す。
【0060】
【表8】

【0061】
[比較例1]
実施例1の微細繊維状セルロース複合体Aをキサンタンガムに置き換えて、他は同様にパック用組成物を調整した。その評価結果を表9に示す。
[比較例2]
実施例2の微細繊維状セルロース複合体Aを精製水に置き換えて、他は同様にシャンプーを調整した。その評価結果を表9に示す。
[比較例3]
実施例5の微細繊維状セルロース複合体Bを粉末セルロース(平均粒径10μm)に置き換えて、他は同様に化粧水を調整した。その評価結果を表9に示す。
【0062】
[比較例4]
実施例8の微細繊維状セルロース複合体Aを精製水に置き換えて、他は同様に保湿ゲルを調整した。微細繊維状セルロース複合体Aを含まないため、ゲル化しなかったが、そのまま評価した。評価結果を表9に示す。
[比較例5]
実施例8のモノステアリン酸グリセリン(ノニオン界面活性剤)を精製水に置き換えて、同様にゲルを調整した。この組成物には界面活性剤を含まず、感触や使用感がやや悪く、しかも離水が起こりやすく保存安定性が悪化しており、化粧品としては不適であった。
【0063】
【表9】

【0064】
実施例の組成物は、いずれも感触が良く、ベトツキも少なくて、使用後も良好でかつ保存安定性も良好な評価であった。一方、比較例では、官能評価の点数が実施例と比較して悪く、また、長期保存することにより、含有成分の沈降や分離が見られた。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の組成物は、含有成分の凝集、固結、分離防止による安定性に優れ、触感の良く、ゲル状とすることもできるため香粧品組成物およびゲル状の香粧品組成物として好適に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ(長径)が0.5μm〜1mm、幅(短径)が2nm〜60μm、長さと幅の比(長径/短径)が5〜400の微細繊維状セルロースを0.01〜3質量%、界面活性剤を0.01〜40質量%含む香粧品組成物。
【請求項2】
a.ポリヒドロキシル化合物、b.油性成分、c.高級脂肪酸又はその塩、d.シリコーン誘導体、e.顔料から選ばれるいずれか一種以上の香粧品原料を0.01〜80質量%含有する請求項1記載の香粧品組成物。
【請求項3】
a.紫外線防御成分、b.美白成分、c.老化防止成分、d.金属イオン封鎖剤、e、保湿成分から選ばれるいずれか一種以上の成分を0.0001〜50質量%含有する請求項1又は2に記載の香粧品組成物。
【請求項4】
更に、清掃剤及び/又は研磨剤、及び薬用成分を含む口腔用組成物である請求項1記載の香粧品組成物。
【請求項5】
微細繊維状セルロースが、微細繊維状セルロースと水溶性高分子からなる微細繊維状セルロース複合体である請求項1〜4のいずれかに記載の香粧品組成物。

【公開番号】特開2009−62332(P2009−62332A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−232857(P2007−232857)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】