説明

微調整手段付きテンショナ

本発明は、ベルトを張力調整するベルトテンショナであって、エンジンのエンジンブロックに対して固定的に取り付け可能なピボットシャフトを有し、ピボットシャフトに回転可能に取り付けられていて、自由アーム停止位置と負荷停止位置との間でテンショナアーム軸線回りに回動するテンショナアームを有し、テンショナアームに回転可能に取り付けられていて、プーリ軸線回りに回転するプーリを有し、テンショナアームを自由アーム停止位置に向かって付勢するテンショナばねを有し、テンショナばねは、第1の端部及び第2の端部を有し、第1の端部は、テンショナアームに係合し、テンショナばねの第2の端部の位置を制御してテンショナばねの張力を制御するよう作動的に連結された微調整機構体を有することを特徴とするベルトテンショナに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン被動要素、例えばタイミングベルト、タイミングチェーン及び補助機器駆動ベルトを張力調整するテンショナに関する。本発明は、特に、タイミングベルトテンショナ及びテンショナにより生じるベルト張力の制御方式に関する。
【背景技術】
【0002】
タイミングベルト、タイミングチェーン及び補助機器駆動ベルト用のテンショナは、周知である。しかしながら、テンショナの中には、テンショナを取り付けるために用いられている締結具を弛めた場合にしか調節できないものがある。しかしながら、このことにより、エンジンが稼働中である場合、テンショナの調節はできない。というのは、このことは、テンショナがエンジンに完全にしっかりと取り付けられていない状態ではエンジンを作動させるうえで深刻な安全上の問題となるからである。しかしながら、残念なことに、エンジンが稼働中であるときにテンショナを調節することは、テンショナを調節するうえで最も正確なやり方である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
幾つかのテンショナに関するもう1つの問題は、これらテンショナ初期設置の際に正確に調節されていない場合、テンショナをエンジンに取り付け保持しているボルトが弛み、テンショナの位置が変わるということにある。しかしながら、ボルトを弛めると、本質的に、テンショナは、テンショナが許容可能な調節具合に合わせて持っていた近接性がどのようなものであれ、これを失ってしまう。したがって、2回目に設置を試みても、これは、最初の設置の試みを改善するものではない。このため、最初の試みの成功度を決して超えることはない。さらに、テンショナをこのように再設置することは、時間がかかる。
【0004】
かかるテンショナに関する別の問題は、設置プロセスが一般に手作業で行なわれ、かかる設置プロセスが自動化プロセスに向いていないということにある。
【0005】
これら上述のうちの問題のうちの1つ又は2つ以上を少なくとも部分的に軽減するテンショナを提供することが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一態様では、ベルトを張力調整するベルトテンショナであって、エンジンのエンジンブロックに対して固定的に取り付け可能なピボットシャフトと、ピボットシャフトに回転可能に取り付けられていて、自由アーム停止位置と負荷停止位置との間でテンショナアーム軸線回りに回動するテンショナアームと、テンショナアームに回転可能に取り付けられていて、プーリ軸線回りに回転するプーリと、テンショナアームを自由アーム停止位置に向かって付勢するテンショナばねとを有し、テンショナばねは、第1の端部及び第2の端部を有し、第1の端部は、テンショナアームに係合し、ベルトテンショナは、テンショナばねの第2の端部の位置を制御してテンショナばねの張力を制御するよう作動的に連結された微調整機構体を更に有することを特徴とするベルトテンショナに関する。
【0007】
本発明は、別の態様では、エンジンに設けられているベルトを張力調整する方法であって、
a)テンショナであって、ピボットシャフトと、ピボットシャフトに回転可能に取り付けられていて、自由アーム停止位置と負荷停止位置との間でテンショナアーム軸線回りに回動するテンショナアームと、テンショナアームに回転可能に取り付けられていて、プーリ軸線回りに回転するプーリと、テンショナアームを自由アーム停止位置に向かって付勢するよう位置決めされたテンショナばねとを有し、テンショナばねが第1の端部及び第2の端部を有し、第1の端部がテンショナアームに係合するようになっているテンショナを用意するステップと、
b)テンショナアーム軸線が固定されると共にプーリをベルトに係合させるようテンショナをエンジンのエンジンブロックに取り付けるステップと、
c)テンショナアーム軸線を固定状態に保ちながらテンショナばねの第2の端部を動かしてテンショナアームをベルトに係合させる付勢力を調節するステップとを有することを特徴とする方法に関する。
【0008】
本発明は、別の態様では、テンショナをエンジンに自動的に設置し、テンショナをエンジンに固定的に取り付けた後にベルト張力を微調整する方法に関する。
【0009】
本発明は、別の態様では、エンジンに固定的に取り付けられた後にベルト張力プロフィールの点で微調整可能なテンショナに関する。
【0010】
次に、添付の図面を参照して本発明を説明するが、これは例示に過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に従ってエンジンのエンジンブロックに取り付けられたテンショナの斜視図である。
【図2】ばね端部が巻き上げ方向に押圧された第1の位置にある状態の図1に示されているテンショナの拡大平面図である。
【図2A】図2に示されているテンショナの一部分の側面図である。
【図3】ばね端部が第2の又は基準位置にある状態の図1に示されているテンショナの平面図である。
【図4】ばね端部が巻き出し方向に付勢された第3の位置にある状態の図1に示されたテンショナの平面図である。
【図5A】図1に示されたテンショナの分解組立て斜視図である。
【図5B】図1に示されたテンショナの断面側面図である。
【図6】図1に示されたテンショナの下側の平面図であり、自由アーム停止部に当たっているばね端部を示す図である。
【図7】図1に示されたテンショナの下側の平面図であり、ばね端部を基準位置で示す図である。
【図8】図1に示されたテンショナの下側の平面図であり、負荷停止部に当たっているばね端部を示す図である。
【図9】図1に示されたテンショナの斜視図であり、テンショナのピボットシャフトの調節の仕方を示す図である。
【図10】図1に示されたテンショナの斜視図であり、テンショナのピボットシャフトの調節の仕方を示す図である。
【図11】図1に示されたテンショナの平面図であり、流体駆動される別のアクチュエータを示す図である。
【図12】図1に示されたテンショナの平面図であり、流体駆動される更に別のアクチュエータを示す図である。
【図13】図1に示されたテンショナの平面図であり、ソレノイドを含む別のアクチュエータを示す図である。
【図14】図1に示されたテンショナの平面図であり、機械的リンク機構を備えたソレノイドを含む更に別のアクチュエータを示す図である。
【図15】図1に示されたテンショナの平面図であり、受動型形状記憶合金アクチュエータを含む更に別のアクチュエータを示す図である。
【図16】図1に示されたテンショナの平面図であり、歯車モータを含む更に別のアクチュエータを示す図である。
【図17】図1に示されたテンショナの平面図であり、スクリュージャッキ装置を含む更に別のアクチュエータを示す図である。
【図18】図1に示されたテンショナの平面図であり、前進位置にある能動型形状記憶合金アクチュエータを含む更に別のアクチュエータを示す図である。
【図19】図1に示されたテンショナの平面図であり、引っ込み位置にある能動型形状記憶合金アクチュエータを含む更に別のアクチュエータを示す図である。
【図20】図1に示されたテンショナの平面図であり、ケーブルを介してばね端部を押すアクチュエータを含む更に別のアクチュエータを示す図である。
【図21】図1に示されたテンショナの平面図であり、ケーブルを介してばね端部を引くアクチュエータを含む更に別のアクチュエータを示す図である。
【図22】ばね端部が巻き上げ方向に調節されたときのテンショナの張力プロフィールを示すグラフ図である。
【図23】ばね端部が基準位置に調節されたときのテンショナの張力プロフィールを示すグラフ図である。
【図24】ばね端部が巻き戻し方向に調節されたときのテンショナの張力プロフィールを示すグラフ図である。
【図25A】図22〜図24に示されているテンショナに関する3つの張力プロフィールを示すグラフ図である。
【図25B】図25Aに示されたグラフの一部分の拡大図である。
【図26】本発明の実施形態としてのテンショナに含まれ又はこのテンショナによって使用可能な制御装置及びセンサの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照すると、図1は、本発明の実施形態としてのベルトテンショナ10を示している。ベルトテンショナ10は、エンジン13のエンジンブロック12に取り付けられた状態で示されている。テンショナ10は、ベルト16、例えば駆動ベルト又はタイミングベルトを張力調整するために用いられる。図2は、テンショナ10の拡大平面図である。図5Aは、テンショナ10の分解組立て斜視図である。図5Bは、テンショナ10の断面側面図である。
【0013】
図5Bを参照すると、テンショナ10は、オプションとしてのベースプレート17、ピボットシャフト18、テンショナアーム20、プーリ22、テンショナばね24、ベルト張力の粗調整機構体26(これをマクロ調整機構体26と称する場合がある)及びベルト張力の微調整機構体(これを微調整機構体28と称する場合がある)を有する。ベースプレート17は、エンジンブロック12に取り付け可能であり、このベースプレートは、以下に更に説明する微調整機構体28の取り付け面を提供する。ベースプレート17は、複数個のベースプレート締結具32(図1)によりエンジンブロック12に取り付け可能である。
【0014】
図5Bを参照すると、ピボットシャフト18は、ピボットシャフト本体34及びピボットシャフト本体34の符号38で示された遠位端部のところに位置するピボットシャフトフランジ36を有する。ピボットシャフト本体34を貫通してピボットシャフト締結具孔40が設けられており、かかるピボットシャフト締結具孔は、これを通るピボットシャフト締結具14の挿通を可能にし、それにより、ピボットシャフト10をベースプレート12に取り付け、それによりピボットシャフト18を回転的に固定する。ピボットシャフト締結具孔40は、ピボットシャフトを回転軸線42に沿って延びている。
【0015】
ピボットシャフト18は、中心がテンショナアームピボット軸線46と一致したテンショナアーム取り付け面44を有している。テンショナアーム20は、テンショナアーム取り付け面44に回転可能に取り付けられており、テンショナアームピボット軸線46回りに回動する。注目されるように、テンショナアームピボット軸線46は、ピボットシャフト締結具孔40から間隔を置いて位置し、即ち、これからずれている。ピボットシャフト締結具14をテンショナ取り付け孔15内に部分的にしか締め付けられていない場合、ピボットシャフト18は、回転可能であり、それにより、ピボットシャフト回転軸線42回りのテンショナアームピボット軸線46の角度位置の調節が可能である。2本の軸線40,46は、図2の平面図においても示されている。再び図5Bを参照すると、マクロ調整機構体26は、ピボットシャフト締結具孔40とテンショナアームピボット軸線46が互いにずれているということによって提供されており、かかるマクロ調整機構体については、以下に更に説明する。
【0016】
ピボットシャフト18は、ピボットシャフトフランジ36の延長部分に設けられた状態で示されている調節ツール受け入れ孔50を有している。調節ルール受け入れ孔50は、調節ツール51(図9及び図10に示されている)を受け入れるよう構成されている。図示の例示の実施形態では、調節ツール受け入れ孔50は、六角形の形をしており、調節ツール51は、アレン・キー(Allen Key )であるが、任意他の適当な形状及び任意他の適当なツールを用いることができる。テンショナアームピボット軸線46の回転位置を調節するため、必要に応じて先ず最初にピボットシャフト締結具14を、図9に示された方向に締結具14内に挿入されたツール(例えば、アレン・キー)の回転によって示されるようにベースプレート17から弛める。好ましくは、ピボットシャフト締結具14は、ピボットシャフト18をこれが取り付けられているエンジンブロック12の面に対してできるだけ直角に保つよう可能な限り僅かだけ弛められる。いったん弛めると、調節ツール51を用いてピボットシャフト18(及びテンショナアームピボット軸線46)をピボットシャフト回転軸線42回りに回転させ、ついには、ピボットシャフト18が選択された位置に達するようになる。ピボットシャフト18がいったん選択された位置に位置すると、ピボットシャフト締結具14を締め付けてピボットシャフト18及びテンショナアームピボット軸線46の位置を固定するのが良い。
【0017】
図5Bを参照すると、テンショナアーム20は、符号52で示されたスリーブ支承体を介してピボットシャフト18のテンショナアーム取り付け面44に回転可能に取り付けられたスリーブ部分51を有している。テンショナアーム20は、遠位側がピボットシャフトフランジ36によってピボットシャフト18上に捕捉されると共に起因側がばね支承リング56のテンショナアーム制限面54によって捕捉されており、ばね支承リング56は、ピボットシャフト18に固定的に連結されている(例えば、溶接によって)。ばね支承リング56は、テンショナばね24を捕捉するのを助ける。
【0018】
テンショナ10の使用中におけるテンショナアーム20の回転を阻止する摩擦力を減少させるために支承ワッシャ57をテンショナアーム20のスリーブ部分51の遠位端部とピボットシャフトフランジ32との間に設けるのが良い。スリーブ部分51の近位端部は、符号58で示された比較的狭い接触領域を備えた状態で製作されるのが良く、その結果、スリーブ部分51の遠位端部とテンショナアーム制御面54との間に生じる摩擦量は、比較的小さい。
【0019】
テンショナアーム20は、中心がプーリ軸線62に一致したプーリ取り付け面60を有している。プーリ22は、支承体64を介してプーリ取り付け面60に回転可能に取り付けられており、プーリ軸線62回りに回動する。テンショナアーム20は、プーリ軸線62がとりわけテンショナアーム20について提供されることが望ましい移動量に基づく選択された量だけテンショナアームピボット軸線46から間隔を置いて位置するように寸法決めされている。軸線62,46,42も又、図2の平面図に見える。
【0020】
プーリ22は、任意適当な形態のものであって良い。例えば、図示のプーリ22は、ベルト係合面66及びベルト16が使用中、プーリ22から途中で外れるのを阻止するよう設けられた第1及び第2のフランジ部分68,70を有する。
【0021】
テンショナばね24は、ばねチャンバ67内に保持され、ばねチャンバ67は、一部がテンショナアーム20により構成されると共に一部がばね支承部材56により構成されている。図2を参照すると、テンショナばね24は、テンショナアーム20を第1の方向(ベルト16に向かう方向)に押圧してベルト16に選択された大きさの張力をもたらす付勢力を生じさせる。図示の実施形態では、テンショナばね24は、トーションばねであり、第1の端部68及び第2の端部70を有している。テンショナばね24の第1の端部68は、テンショナアーム20に設けられた第1の端部スロット72(図6)内に位置決めされている。テンショナアーム20の第2の端部70は、ばねチャンバ67からテンショナアーム20に設けられた第2の端部スロット74(図6及び図5Aを通って外方に延びている)。
【0022】
テンショナアーム20の第2の端部スロット74は、第1の端壁76及び第2の端壁78により画定されている。第1及び第2の端壁76,78は、ベルト16に近づいたりこれから遠ざかったりするテンショナアーム20に利用できる移動角度範囲を制限する第1及び第2の制限面として働く。第1の端壁76を自由アーム停止部と呼ぶ場合があり、この第1の端壁は、第1の方向における(即ち、ベルト16に向かう又はこの中に入る)テンショナアーム20の移動を制限する。第2の端壁78を負荷停止部と称する場合があり、この第2端壁は、第2の方向における(ベルト16から遠ざかる)テンショナアーム20の移動を制限する。
【0023】
使用中、ばね24の第2の端部70を図7に示されているように符号79で示されたマーカに対して心出しするよう位置決めするような仕方で調節するのが良い。この位置では、ばね24により、テンショナアーム20は、特定の引張り力をベルト16に加える。ベルト16の張力が減少する状況(例えば、エンジンの熱収縮に起因して)、テンショナばね24の付勢力は、テンショナアーム20をベルト16内への方向(即ち、自由アーム停止部76に向かう第1の方向)に駆動する。テンショナアーム20が自由アーム停止部76に近づくと、ばね24は、幾分かの量だけ巻き戻り、その結果、このばねがテンショナアーム20に及ぼす付勢力は、それに応じて減少し、ついには、テンショナアーム20とベルト16との間の平衡状態に達するようになる。ベルト16の張力が増大する状況では(例えば、エンジンの熱膨張に起因して)、ベルト16は、締まり、そしてテンショナアーム20を負荷停止部78に向かう第2の方向に駆動する。テンショナアーム20が負荷停止部78に向かって回転すると、テンショナアーム20は、ばね24を巻き上げ、それによりばね24によりテンショナアーム20に及ぼされる付勢力を増大させ、ついには、テンショナアーム20とベルト16との間の平衡状態に達するようになる。
【0024】
図23に示されたグラフ図は、テンショナアーム20がその自由アーム停止位置とその負荷停止位置との間の運動範囲にわたって回転しているときのベルト16の張力のプロットを示している。ベルト16の張力は、これを図22及び図24のそれぞれの符号81a,81cで示された張力プロフィール曲線に対して識別するよう符号81bで示された曲線によって表されている。このグラフ図には、垂直の破線80が示されており、この垂直破線は、エンジンブロック12が特定の基準温度(例えば、25℃)にあるときの提供されるベルト張力及びテンショナアーム20の角度位置を特定している。また、グラフ図には、垂直の線82が示されており、この垂直の線は、エンジンブロック12が特定の低い温度、例えば、−40℃にあるときのベルト張力及びテンショナアーム20の角度位置を特定している。また、垂直の線84が示されており、この垂直な線は、エンジンブロック12が特定の高い温度(例えば、120℃)の状態にあるときのベルト張力及びテンショナアーム20の角度位置を特定している。注目されるように、図示の張力曲線81bは、図示されていて図7に示された調節状態にあり且つ特定のベルト16に用いられる特定のエンジンに取り付けられた特定のテンショナ10に特有である。曲線81bの形状は、これら上述の要素のうちの任意のもののばらつきに応じて様々であろう。本明細書の全体を通じて、「エンジン温度」及び「エンジンブロック温度」という用語は、テンショナ10の作動及び性能に関して実質的に同一の内容を意味するようになっている。
【0025】
図6を参照すると、ばね24の第2の端部70がエンジンブロック12上におけるテンショナアームピボット軸線46の位置を変えないでばね24を選択された量だけ巻き戻し方向に調節された場合、テンショナ10によりベルト16に提供される張力曲線は、図24に符号81cで示されているような曲線であろう。この場合も又、エンジンブロック基準温度(例えば、25℃)は、垂直の線80で表され、低温(例えば、−40℃)は、線82で表され、高温(例えば、120℃)は、線84で表されている。
【0026】
図8を参照すると、ばね24の第2の端部70がエンジンブロック12上におけるテンショナアームピボット軸線46の位置を変えないでばね24を選択された量だけ巻き上げる方向に調節された場合、テンショナ10によりベルト16に提供される張力曲線は、図22に示されているような曲線であろう。この場合も又、エンジンブロック基準温度(例えば、25℃)は、垂直の線80で表され、低温(例えば、−40℃)は、線82で表され、高温(例えば、120℃)は、線84で表されている。
【0027】
図25A及び図25B(図25Bは、図25Aの一部分の拡大図である)は、全て単一のグラフ上に位置した3本の張力プロフィール曲線81a,81b,81cを示している。図6〜図8に示された特定のテンショナ10に関し、ベルト張力プロフィール曲線81cは、テンショナアーム20の角度位置範囲の一部分にわたりテンショナアーム20について近似的に約33°の角度まで曲線81bよりも低いということが理解できる。ほぼこの角度では、曲線81aと曲線81bは、交差し、この角度を超えると、ベルト張力プロフィール曲線81aは、ベルト張力プロフィール曲線81bよりも高い。このことは、テンショナアーム20が約33°を超えると、ばね端部70を巻き戻し方向に基準位置から動かすと、実際に、ベルト張力が増大することを意味している。これは、この特定のベルトがこの特定のエンジンに設けられている状態では、ピボットシャフト18が特定の角度に合わせて調節されたこの特定のテンショナには特定の幾何学的形状が必要だからである。また、図25A及び図25Bから理解できるように、曲線81aは、約36.5°よりも小さいテンショナアーム角度に関して曲線81bよりも高く、この角度を超えると、曲線81aは、曲線81bよりも低い。このことは、約36.5°のテンショナアーム角度を超えた角度では、ばね端部70を巻き上げ方向に基準位置から調節すると、ベルト張力が減少することを意味している。
【0028】
一般に、ベルト張力が高いと、利点と欠点の両方がある。ベルト16に加わる張力が高いと、エンジンのねじり振動によりベルト16に共振が生じる恐れが減少する。ねじり振動は、エンジンの作動中にクランクシャフトの速度に生じる周期的変化(例えば、正弦波変化)に起因している。クランクシャフトのこれら速度変化は、ピストン及び連接棒の往復動相互間で生じるエネルギー移送及びクランクシャフトの回転運動の結果である。これら周期的速度変化は、ベルト16に共振を生じさせる場合がある。ベルト16の共振は、幾つかのマイナスの結果をもたらす場合がある。ベルト16がタイミングベルトである実施形態におけるかかる結果の1つは、共振の振幅が大きすぎる場合、これにより潜在的にベルト16がカムシャフトに対するそのタイミングを失ってスキップし、このことが当該技術分野において周知であるように、大抵のエンジンにとって破滅的であるということにある。したがって、タイミングベルト、例えばベルト16に関するベルト歯のスキップの恐れを減少させることが重要である。さらに、共振は、ベルト歯のスキップを生じさせるほどひどくはない場合であっても、ベルト16の寿命を短くする場合がある。ベルト16を比較的高い張力下に保つことにより、ねじり振動の効果が抑制され、それにより共振の恐れが減少する。
【0029】
しかしながら、高いベルト張力の重大な欠点は、ベルトと関連してエンジン出力について付随的に発生する損失が増大するということにある。というのは、エンジンは、ベルト張力が増大すると、回転するためには比較的精一杯働かなければならないからである。さらに、過度に高いベルト張力は、ベルト16の寿命に悪影響を及ぼす場合がある。
【0030】
微調整機構体28は、所望に応じてばね24の第2の端部70の調節を可能にし、それにより、テンショナ10のばね張力プロフィールを制御することができる。重要なこととして、微調整機構体28により、この調節は、ピボットシャフト締結具14を弛める必要なく起こることができる。これは、エンジン13へのテンショナ10の設置中及びエンジン13の次の試験中有利な場合がある。テンショナ10がエンジン13に取り付けられると、ベルト16に対するテンショナアーム20の正確な向き及び位置に幾分かのばらつきがあると共にばね24の付勢力に幾分かのばらつきがあり、しかも他の許容誤差があるであろう。これら変数を補償すると共に他の効果、例えば設計上、エンジンの作動の基準温度に対するエンジン組み立て設備内における周囲温度を計算に入れるために、ばね24の第2の端部70の位置は、張力プロフィールを図24の曲線81cにより示されたプロフィールに近づけ又は張力プロフィールを図22の曲線81aに示されたプロフィールに近づけるよう微調整機構体28を用いて調節可能である。
【0031】
幾つかの先行技術のテンショナでは、テンショナが許容可能な調節範囲内に位置決めされていない場合、テンショナに設けられたピボットシャフト締結具は、テンショナを再調節することができるよう弛められる必要があった。しかしながら、幾つかの先行技術のテンショナでは、ピボットシャフトの位置決め状態は、ピボットシャフト締結具をいったん弛めると失われ、このことは、設置プロセスの大部分を繰り返す必要があるということを意味している。さらに、設置プロセスが実質的に繰り返されるので、テンショナの2回目の設置の試みの結果として、依然として、適切ではない張力プロフィールが生じる恐れがある。さらに、許容可能な張力プロフィールが先行技術のテンショナを設置するための2回又は3回の試みの実施後に達成できなかった場合、エンジン組み立て会社の方針により、テンショナが不合格品となるか新たなテンショナをその定位置に設置するかのいずれかが行なわれ、或いは、より極端な場合においては、エンジン全体が再び作り直される場合があり、それによりそのエンジンと関連した組み立て時間及び組み立て費用が著しく増大する。これとは対照的に、本発明の実施形態としてのテンショナ10では、テンショナ10がエンジン13に最初に取り付けられた後に適当な張力プロフィールをもたらさなかった場合、張力プロフィールを許容可能な範囲内に至らせようとして微調整機構体28を調節することができ、それにより、本質的にテンショナ10を再設置する必要性がなくなる。だからといって、微調整機構体28は、テンショナ10の1回の設置具合が全て貧弱であった場合にこれを補償することが必ず必要であるというわけではないということが注目されよう。これは単に、微調整機構体28により、テンショナ10の中には、これを調節して迅速且つ容易に、しかも締結具14を弛め、次にテンショナ10を再設置する必要なく、許容可能な性能パラメータの範囲内に至らせることができるものがあるということである。
【0032】
微調整機構体28は、任意適当な形態を取ることができる。例えば、図2に示されている実施形態では、微調整機構体28は、任意所望の角度位置でベースプレート17(カム締結具88により)固定的に取り付け可能なカム86を有している。カム86は、図2では、大張力位置で示され、図3では基準張力位置で示され、図4では小張力位置で示されている。図2Aに示されているように、カム86は、チャネル形状の縁面90を有し、したがって、この縁面は、ばね24の第2の端部70を捕捉し、第2の端部70が縁面80から偶発的に滑り落ちるのを阻止するようになっている。
【0033】
さらに、カム86は、カム調節ツール(図示せず)を受け入れる調節ツール受け入れ開口部92を更に有するのが良く、このカム調節ツールは、任意適当なツールであって良く、例えば、アレン・キーである。カム86を調節するため、締結具88を必要に応じて弛め、ツール(図示せず)を用いてカム86を所望に応じて回転させるのが良く、次に締結具88を締め付ける。
【0034】
注目されるように、図2、図3及び図4に示された微調整機構体28は、手動調整型機構体であると共に回転機構体であり、その調整範囲にわたり無限に調整可能である。
【0035】
変形例として、2つ又は3つ以上の別々の位置相互間で動くことができる微調整機構体28、例えば図11に示されている微調整機構体28を提供することが可能である。図11の微調整機構体28は、リニアアクチュエータであって、流体圧を用いて第1の位置と第2の位置との間で動かされるアクチュエータ94を含む。具体的に説明すると、アクチュエータ94は、流体チャンバ98内に設けられたピストン96及びこの場合第1及び第2のばね100a,100bで構成されたオプションとしての付勢構造体100を有する。流体チャンバは、第1の端部104のところに第1のポートを有すると共に第2の端部108のところに第2のポート106を有する。第1の圧力状態にある流体が第1のポート102のところに提供され、第2の圧力状態にある流体が第2のポート106のところに提供される。第1及び第2のポート102,106のところの流体の圧力を制御することにより、ピストン96を第1又は第2の位置のところに動かすことができる。第1及び第2のポート102,106の通気時に、ばね100a,100bは、ピストン96をホームポジション(基準位置)に戻し、このホームポジションは、アクチュエータ94の第3の位置となる。第1及び第2の位置は、それぞれ、ピストン24の第2の端部70に関する大張力設定位置及び小張力設定位置に対応するのが良い。第3の位置は、第2の端部70の基準設定値に対応するのが良い。
【0036】
ピストン96は、ハウジングから延び出てばね24の第2の端部70に連結されている。ばね24の第2の端部70への連結は、符号110で示されている球形ロッド端部によって行なわれるのが良く、この球形ロッド端部は、この連結部が、ピストン96が伸縮するときにばね24の第2の端部70とピストン96との間に生じる角度変化に対応することができるよう球形物資を有する。球形ロッド端部は、ロードアイランド州02914イーストプロビデンス・ピーオーボックス14349所在のイグアス・インコーポレイテッド(igus Inc.)により提供されているものであるのが良い。
【0037】
図11に示されているアクチュエータ94は、空気圧アクチュエータか油圧アクチュエータかのいずれかであるのが良いことが注目されよう。
【0038】
図12を参照すると、図12は、アクチュエータ94を示しているが、図11に示されている実施形態に対して形態において幾つかの変更が加えられている。具体的に説明すると、第1のポート102は、ベントポートであり、その結果、第1の流体圧力は、大気圧である。さらに、付勢構造体100は、第1のばね112しか含んでいない。
【0039】
図13を参照すると、アクチュエータ94は、図11及び図12に示されている流体駆動アクチュエータに代えて、電磁ソレノイド114(これを単にソレノイド114と称する場合がある)である。図13に示されている実施形態では、ソレノイド114は、作動部材116を駆動し、この作動部材は、ばね24の第2の端部70に係合する。ソレノイド114は、その利用可能な位置の各々においてラッチ止めすると共にロックするよう構成されているのが良い。ソレノイド114を適当な電気源、例えばエンジンが設置されている車両内の電気系統に接続する電気導管118が示されている。
【0040】
球形ロッド端部110がばね24の第2の端部70と作動部材116を互いに連結した状態で示されている。
【0041】
ソレノイド114は、任意適当な形式のソレノイドであって良く、又、このソレノイドは、2つの位置に位置決め可能であるよう構成されていても良く、或いは、3つ又は4つ以上の位置に位置決め可能であるよう構成されていても良い。
【0042】
図14を参照すると、図14は、リンク機構120により互いに連結されたソレノイド114とばね24の第2の端部70を示している。リンク機構120は、第1のロッド122、ピボット部材124及び第2のロッド126を有する。第1のロッド122は、ソレノイド114によって直線的に直接作動され、この第1のロッドは、ピン継手127によりピボット部材124に連結されている。また、ピボット部材124は、ピン継手128によって第2のロッド126に連結されている。第1のロッド122が第1の方向に沿って動くと、それにより、ピボット部材125は、ピボット軸線130回りに回転し、それにより、第2のロッド126が駆動されて第2の方向に沿って動き、第2の方向は、第1の方向に対して任意の選択された角度をなしているのが良い。図示の実施形態では、第2のロッド126は、第1のロッド122に全体として垂直に動く。このため、リンク機構体120を利用すると、図13に示されているようにアクチュエータ94を位置決めするのに十分な余地がない場合であっても、アクチュエータ94をこれが選択された角度にわたり作動するよう構成することができる。さらに、ピン継手127,128のモーメントのアーム長さは、リンク機構120によって機械的利点が得られるよう選択されるのが良く、それにより、ばね端部70に対する選択された作動力をもたらすために比較的小形のアクチュエータ94を利用することができる。
【0043】
図13及び図14に示されている実施形態では、ソレノイドは、これが一方向(例えば、ばね24を巻き取るための方向、なお、この方向を巻き上げ方向と称する場合がある)に動くために付勢され、逆方向(例えば、ばね24を巻き戻すための方向、なお、この方向を巻き戻し方向と称する場合がある)に動くために消勢されるよう構成されているのが良い。ソレノイド114は、内部に位置した付勢ばねを有するのが良く、この付勢ばねは、ソレノイドを上述の逆方向に付勢する。追加的に又は代替的に、ばね24の第2の端部70を用いてばね24を巻き戻し方向に駆動する付勢力を生じさせても良い。
【0044】
図15を参照すると、アクチュエータ94は、形状記憶合金アクチュエータ132である。形状記憶合金アクチュエータ132は、形状記憶合金部材134を有し、この形状記憶合金部材は、ばね端部70を巻き上げ方向に動かす駆動力を生じさせる。図15に示されている形状記憶合金アクチュエータ132は、受動型アクチュエータであり、このアクチュエータは、エンジン13の動作温度範囲(例えば、−40℃〜120℃)に収まるよう、例えば80℃であるよう選択された移行温度を有する。移行温度を上回ると、形状記憶合金部材134は、その長さを変え、符号136で示された作動部材を第1の位置から第2の位置に駆動し、それにより第2の端部70を巻き上げ方向に駆動する。移行温度を下回ると、形状記憶合金部材134は、長い形状に戻り、それにより、ばね端部70及びオプションとしてのアクチュエータ132の内部に位置した付勢部材(図示せず)は、作動部材をばね巻き戻し方向に駆動することができる。図15に示されている実施形態では、作動部材136とばね端部70との連結は、作動部材136のチャネル形端面138により行なわれ、この端面138は、外面的にはカム86のチャネル形縁面90を介して図2Aに示されている捕捉と同様、図15に示された図の紙面から出る方向の第2の端部の運動を阻止する。変形例として、作動部材136は、球形ロッド端部、例えば図11〜図14に示されているロッド端部110を備えても良い。
【0045】
図16を参照すると、アクチュエータ94は、回転アクチュエータであり、このアクチュエータは、符号148で示された作動部材に作動的に連結された電気モータ140を有している。モータ140は、第1の歯車144が設けられた出力部材142を有する。第1の歯車144は、図示のように平歯車であるのが良い。第1の歯車144は、第2の歯車146を駆動し、この第2の歯車146は、モータ142から利用できるトルクを増大させるよう第1の歯車144よりも大径であるように構成されているのが良い。第2の歯車146にはカム148が取り付けられ、このカムは、ばね端部70に係合するチャネル形縁面150を備えている。電気導管152がモータ142を電気源、例えば車両の電気系統に接続するのが良い。モータ142は、一方向サーボモータ等であるのが良く、このモータの位置は、ばね端部70の位置が小張力位置と大張力位置との間の範囲にわたって無限に調節可能であるように実質的に無限に調節可能である。図16のアクチュエータ94として使用できるオプションとしての歯車モータ形アクチュエータとしては、米国特許第3,954,016号明細書、同第4,131,306号明細書、同第4,674,781号明細書、同第4,850,466号明細書、同第4,885,954号明細書、同第4,893,704号明細書、同第5,338,076号明細書、同5,634,676号明細書、同第5,862,903号明細書及び同第5,983,739号明細書に開示されたアクチュエータが挙げられ、これら米国特許の全てを参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。
【0046】
図16に示されている歯車144の代替手段として、モータ出力シャフト142は、ウォーム歯車を駆動するよう使用可能であり、このウォーム歯車は、ウォーム歯車が逆転駆動されるのを阻止するねじ山構造を備えるのが良い。
【0047】
図17を参照すると、アクチュエータ94は、スクリュージャッキ形アクチュエータ158であり、このアクチュエータは、ばね端部70を必要に応じて動かしてベルト張力を調整するよう手動で調節可能である。ばね端部70は、巻き戻し方向に付勢され、したがって、このばね端部は、符号160で示された作動部材を引っ込めると、巻き戻し方向に動く。
【0048】
図18及び図19を参照すると、アクチュエータ94は、能動型形状記憶合金アクチュエータ164である。アクチュエータ164は、エンジン13の作動温度範囲から外れる(好ましくはこれよりも高い)よう選択された移行温度を備えた形状記憶合金部材166を有する。例えば、移行温度は、約200℃であるように選択されるのが良い。その結果、アクチュエータ164は、エンジン温度それ自体への暴露によって受動的に作動されることはない。このアクチュエータは、必要に応じて車両の電気系統(又は、任意適当な源及びアース)に接続されると共に選択的に作動可能であるよう電気的に加熱される導線167a,167bを有するのが良い。図示のアクチュエータ164は、符号170で示された作動部材を巻き戻し方向に向かって付勢する付勢部材168を有し、その結果、電力がオン(図18)状態にあるとき、アクチュエータ164は、付勢部材168に打ち勝ってばね部材70を巻き上げ方向に動かすようになっており、アクチュエータ164(図19)への電力が切られると、形状記憶合金材料166は、低温時の(細長い)形状に戻り、ばね端部70及び付勢部材168は、作動部材170を巻き戻し方向に動かすようになっている。理解されるように、ばね端部70それ自体は、追加的に又は代替的に、作動部材170の付勢部材として働くことができる。アクチュエータ164は、2位置アクチュエータであるのが良く、変形例として、3つ又は4つ以上の位置に位置決め可能であるように構成されていても良い。
【0049】
アクチュエータ164に用いることができる形状記憶合金リニアアクチュエータの例が米国特許第4,160,226号明細書、同第5,345,963号明細書及び同第5,381,952号明細書に示されており、これら米国特許の全てを参照により引用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。
【0050】
図20を参照すると、アクチュエータ94は、ケーブル180を介してばね端部70に作用するリニアアクチュエータ(例えば、ソレノイド114又は図11及び図12に示された流体被動アクチュエータ94のうちの1つ)である。ケーブル180は、任意適当な形式のケーブルであって良く、例えば、ボーデン(Bowden)・ケーブルである。図20に示された実施形態では、ケーブル180は、作動部材182によって動かされてばね端部70を巻き上げ方向に押す。付勢部材(例えば、ソレノイド124)の一部であって良く又はばね端部70それ自体であって良い)がケーブルを巻き戻し方向に押圧する。
【0051】
図21を参照すると、アクチュエータ94は、図20に示されている実施形態と同様で、ケーブル190を介してばね端部70に作用するリニアアクチュエータ(例えば、ソレノイド114又は図11及び図12に示された流体被動アクチュエータ94のうちの1つ)であるが、異なる点は、ケーブル190の作動により、ばね端部70が図21に示されている実施形態では巻き上げ方向に引っ張られることである。
【0052】
図示の実施形態では、ばね端部70それ自体は、微調整機構体28をばね24を巻き出す方向に付勢し、したがって、ばね端部は、微調整機構体28のための付勢構造体の一部であると考えられることが注目されよう。
【0053】
図11〜図21に示されている実施形態のうちの幾つかでは、球形ロッド端部が用いられ、他の実施形態では、チャネル形端部を備えたロッドが用いられることが注目されよう。チャネル形のロッド端部を示す実施形態では、球形ロッド端部を用いることができ、変形例として、球形ロッド端部を示す実施形態では、チャネル形状の縁面を用いても良いことは理解されよう。
【0054】
さらに、図12に示されている機械的リンク機構並びに図20及び図21に示されているケーブルリンク機構を数種類のアクチュエータに用いることができることが注目され、かかるアクチュエータとしては、空気圧、油圧、ソレノイド及び形状記憶合金アクチュエータが挙げられる。
【0055】
オプションとして、テンショナ10は、符号200で示された制御装置を有するのが良く、この制御装置200は、微調整機構体28に作動的に連結されていて、エンジン13及びテンショナ10が搭載されている車両の使用中、ばね24の第2の端部70の位置を調節するようになっている。制御装置200は、1つ又は2つ以上の源から入力を受け取ることができ、そして、これら入力を用いて、ばね24の第2の端部70を設定すべき位置を求める際に1つ又は2つ以上のパラメータを決定することができる。特に制御装置200を用いるのが良い一パラメータは、エンジンブロック温度である。エンジンブロック温度は、エンジン13の熱膨張又は熱収縮の状態に直接的な影響を及ぼす。しかしながら、ベルト16の生じる寸法変化は、エンジンブロック12の寸法変化よりも比較的小さく、したがって、エンジンブロック12が熱収縮すると、ベルト16は、緩むと共に張力が小さくなり、これとは逆に、エンジンブロック12が熱膨張すると、ベルト16は、引き締まると共に張力が大きくなる。
【0056】
エンジンブロック12が冷えている状態では、ベルト16は、張力が比較的小さく、テンショナアーム20は、その自由アーム停止部76に向かって回動し、ここでは、テンショナアーム20をベルト16に押し付ける付勢力は、比較的小さい。エンジンブロック12が低いエンジンブロック温度の状態にあることを確認すると、制御装置200は、ばね24の端部の端部70を図4Aに示されている「低エンジンブロック温度」位置まで巻き上げ方向に動かしてばね24によりテンショナアーム20に及ぼされる付勢力を増大させ、それによりベルト16の張力を増大させるようプログラムされているのが良い。これにより、或る特定の影響、例えばねじり振動に対するベルト16の敏感性が低くなる。エンジン13が低エンジンブロック温度状態にある特定の例は、エンジン13の始動中である。或る特定のエンジン、例えば或る特定のディーゼルエンジンでは、エンジンの始動中に存在するねじり振動は、特に強く、ベルト16に共振を生じさせる場合がある。エンジンが比較的低温状態にあるときにベルト16に加わる比較的大きな付勢力を維持するよう制御装置200をプログラムすることにより、ベルト16の共振の発生及びその結果の発生が阻止される。
【0057】
エンジンブロック12が或る時間の間の稼働後に暖機運転しているとき、ベルト16の張力は、エンジンブロック12の熱膨張の結果として増大する。さらに、幾つかの場合において、エンジン13のねじり振動の大きさは、エンジン13が暖機運転するにつれて減少する。ベルト16の張力の増大により、テンショナアーム20は、或る量だけ負荷停止部78に向かう方向に動き、それにより、テンショナアーム20に加わるばね24の付勢力が増大する。しかしながら、テンショナアーム20及びベルト16に及ぼされる付勢力は、この時点では、ベルト16の共振を阻止するのに必要な力よりも大きい場合がある。とういうのは、この段階で共振を引き起こすねじり振動のレベルは、減少しているからである。このため、制御装置200は、ばね24の第2の端部70を図4Bに示されている位置まで巻き戻し方向に動かしてばね24の付勢力を減少させ、それによりベルト張力を減少させるようプログラムされているのが良い。上述の結果として、制御装置200は、共振を阻止するように上述したようにすることが有利な場合にはベルト16の比較的大きな張力を維持し、ベルト共振の原因となる要因に問題が少ない場合にはベルト16の比較的小さな張力を維持し、それによりエンジン13について付随的に発生する損失を減少させる。
【0058】
コントローラ200がエンジンブロック温度を求めることができるようにする制御装置200に提供される入力は、エンジンブロック12内に設けられている温度センサ202から得られるのが良い。エンジンブロック12に関する温度情報を受け取る代わりに、制御装置200は、ばね24を第2の端部70を順次巻き上げ方向に動かして車両の始動中、ばね付勢力を増大させるようプログラムされていても良い。制御装置200は、エンジン始動の開始後に選択された期間が経過した時点を検出するようプログラムされているのが良い。選択された期間の経過時、制御装置200は、選択された期間の経過後、エンジン13がベルト16の張力を増大させるよう適当な量だけ暖機運転し、もはや高いねじり振動度を生じさせないという仮定に基づいて、ばね24の付勢力を減少方向に調節するようプログラムされているのが良い。
【0059】
制御装置200がばね24の第2の端部70について適当な位置の決定の際に用いることができるもう1つのパラメータは、ベルト16の張力である。この目的のため、制御装置200は、ベルト張力センサ204から入力を受け取るのが良い。ベルト張力センサ204は、任意適当な形式のセンサであって良い。例えば、張力センサ84は、ベルト16の張力に関連した量だけベルト16により撓む係合部材に設けられた歪ゲージを含むのが良い。かかるセンサは、米国特許第6,484,593号明細書に示されており、この米国特許を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。変形例として、張力センサ204は、エンジン13の作動中、ベルト16の振動数を測定するセンサであっても良く、制御装置200は、振動数に基づいてベルト張力を求めることができる。かかるセンサの特定の例は、英国NE28・6BY・タインアンドウェア・ウォールセンド・モーリスロード所在のインテグレーテッド・ディスプレイ・システムズ・リミテッド(Integrated Display Systems Limited)より製造されたClavisベルトテンションメータ(Belt Tension Meter)である。張力の測定は、ばね24の第2の端部70の位置を調節するために制御装置200によって使用できる。制御装置200は、ベルト張力センサ204からの入力を受け取ることができ、そして、それだけに基づいて又は例えばエンジンブロック温度のようなパラメータに関する他の入力に基づいて、選択されたベルト張力を達成するためにばね24の第2の端部70をどこまで動かすべきかを判定することができる。
【0060】
ベルト張力センサ204は、テンショナ10を用いて達成される実際のベルト張力の高い精度を達成するために制御装置200により用いられる閉ループ制御システムの一部として使用可能である。例えば、エンジン13の始動中、制御装置200は、温度センサ202からの入力に基づいて、共振を阻止するためにベルト16に合う特定の張力が望ましいということを確かめることができる。当初、制御装置200は、所望のベルト張力を達成しようとしてばね24の第2の端部70を特定の位置まで動かすのが良い。ばね24の第2の端部70の運動中、制御装置200は、ベルト16が所望の張力までどれぐらい近づいたかを示す入力を張力センサ84から受け取るのが良い。この入力を用いて、制御装置200は、ばね24の第2の端部70についてその所望の張力を達成する特定の位置を求めることができる。
【0061】
制御装置200は、他のセンサ、例えばエンジンブロック12用の温度センサ、ねじり振動センサ86、クランクシャフト角度位置センサ88からの入力に基づいてベルト16に達成すべき特定の標的張力を求めることができる。
【0062】
制御装置200が求めることができるもう1つのパラメータは、ねじり振動センサ206を用いた任意特定の時点で存在するねじり振動の大きさである。注目されるように、センサという用語は、複雑さとは無関係に、センサの環境中の部材の状態を知らせる信号を別の装置に送るよう構成された構造体を含むものとして広義に解されるべきである。センサは、特性を検出し、この特性を或る装置に知らせるよう互いに協働するコンポーネントの複雑なシステムであっても良い。ねじり振動センサ206の例示の実施形態は、国際公開WO2006/045181号パンフレットに記載されているものであり、この国際公開を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。エンジン中のねじり振動の度合いを求めることにより、制御装置200は、共振がベルト16に生じる恐れを減少させるようテンショナで張力を調節することができる。
【0063】
ねじり振動を求めるもう1つの方法では、エンジン位置センサ208を用いるのが良く、エンジン位置センサ208は、例えば米国特許第7,188,021号明細書に示されているエンジンの正確な位置(例えば、上死点等)を計算し、センサ208からの入力を用いて予想ねじり振動を計算する。なお、この米国特許を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。
【0064】
制御装置200が求めることができるもう1つの例示のパラメータは、ベルト伸びセンサ210を用いたベルト延びの実際の量である。
【0065】
制御装置200によって求めることができる別のパラメータは、時間である。例えば、制御装置200は、エンジンの始動時、ベルト張力を選択された期間をかけて高いレベルまで増大させるよう構成されているのが良く、そして、エンジンが暖機運転し、ねじり振動が選択された期間後に減少するという仮定で、選択された期間後にベルトの張力を減少させることができる。
【0066】
図26に示されているセンサ202,204,206,208,210は、これらの実際の位置を示すものではないが、制御装置200に接続されたセンサ及びアクチュエータ94に接続された制御装置200を概略的に示すようになっていることは理解されよう。
【0067】
制御装置200は、ばね端部70の位置を連続的に変えて有効張力プロフィールがテンショナアーム20について或る角度範囲にわたり比較的平坦である(即ち、一定である)ようにするよう構成されるのが良いことは注目されよう。変形例として、制御装置200は、ばね端部70の位置を連続的に調節することによりテンショナの張力プロフィールに任意の効果的な形状を与えるよう構成されても良い。
【0068】
変形例として、制御装置200は、制御装置200が入力(例えば、ベルト張力又はエンジンブロック温度)に応答してばね24の第2の端部70を動かすが、制御装置200にはこれがベルト16に所望の張力を実際に与えたかどうかを判定するフィードバックが提供されない開ループ制御を用いて動作しても良い。
【0069】
微調整システム28が偏心形状を備えたピボットシャフトを必要とし、テンショナアームピボット軸線の位置を制御するよう回転する粗調整システム26と関連して提供されている説明を行なった。変形例として、テンショナは、回転ではなく直線動作である粗調整システムを有することが可能である。かかる直線調整機構体の一例が米国特許第6,149,542号明細書に示されており、この米国特許を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。
【0070】
ベースプレート17は、これによりテンショナ10を作動位置にあらかじめ設置することができ、その結果、ベースプレート17を締結具32(図1)の使用によりエンジン13に簡単に取り付けることができるという点で有利である。ベースプレート17がいったんエンジン13に取り付けられると、微調整機構体28を始動で又は自動的に調節してその特定のテンショナ10のための張力プロフィールを設定することができる。これにより、テンショナのスイッチに必要な全体的設置時間及び労力が減少する。しかしながら、ベースプレート17を省いても良く、ピボットシャフト18を締結具14によりエンジンブロック12に設けられている孔に直接取り付けることができるということは理解されよう。微調整機構体28は又、かかる実施形態ではエンジンブロック12に設けられている1つ又は2つ以上の適当な孔内に個々に収納されても良い。これにより、ベースプレート17の提供と関連した費用がなくなるが、それにより、テンショナ10の設置時間が長くなる。というのは、設置の際、ピボットシャフト18の回転角度を調節することが必要であり、しかも、2つのコンポーネント(即ち、ピボットシャフト18及び微調整機構体28)が1つのコンポーネント(ベースプレート17)に代えてエンジンブロック12に設置されることになるからである。
【0071】
図示のテンショナ10は、偏心取り付け型ピボットアーム18を有する。注目されるように、微調整機構体28は、他形式のテンショナ、例えば米国特許出願公開第2009/0011881号明細書に示されている同心ピボットシャフト付きテンショナに加わるベルト張力を調整するために設けられるのが良いことが注目されよう。なお、この米国特許出願公開を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。かかるテンショナは、一方向クラッチを有する。
【0072】
テンショナ10をエンジンに設置することができ、そして設置後、微調整機構体を用いて微調整できることは注目されよう。その結果、テンショナ10は、締結具14を完全に締め付けた状態で或る程度まで調節することができる。これにより、エンジンが稼働して燃料を燃やしている間、テンショナ10を微調節することができる。これにより、テンショナ10を最も正確に調節することができる。というのは、エンジンを稼働させると共に燃料を燃やすことは、テンショナが車両中にある場合に作動している状態に最も厳密にマッチするからである。理解されるように、変形例として、エンジンを他の方法により、例えば、添加プラグの取り外し後にクランクシャフトを回転させることにより又は添加プラグを取り付けた状態でエンジンを回転させることにより、電気モータか手動かのいずれかにより回すことができる。
【0073】
また、テンショナ10は、エンジンへのベースプレート17の設置に先立って、ベースプレート17にあらかじめ取り付けられても良いことが注目されよう。この場合、ベースプレートを適当なロボット装置によってエンジンに取り付けるのが良く、微調整機構体28を用いた微調整も又、適当なロボット/自動化装置を用いて実施できる。その結果、テンショナ10の取り付けプロセス全体を自動化することができる。
【0074】
上述の説明は、本発明の複数の実施形態に関するが、本発明は、添付の特許請求の範囲の公正な意味内容から逸脱しないで別の改造及び変更が可能であることは理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトを張力調整するベルトテンショナであって、
エンジンのエンジンブロックに対して固定的に取り付け可能なピボットシャフトを有し、
前記ピボットシャフトに回転可能に取り付けられていて、自由アーム停止位置と負荷停止位置との間でテンショナアーム軸線回りに回動するテンショナアームを有し、
前記テンショナアームに回転可能に取り付けられていて、プーリ軸線回りに回転するプーリを有し、
前記テンショナアームを前記自由アーム停止位置に向かって付勢するテンショナばねを有し、前記テンショナばねは、第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の端部は、前記テンショナアームに係合し、
前記テンショナばねの前記第2の端部の位置を制御して前記テンショナばねの張力を制御するよう作動的に連結された微調整機構体を有する、ベルトテンショナ。
【請求項2】
自由アーム停止部及び負荷停止部を更に有し、前記自由アーム停止部及び前記負荷停止部は、前記テンショナアームの前記自由アーム停止位置及び前記負荷停止位置をそれぞれ制御し、前記微調整機構体は、前記テンショナアームと前記自由アーム停止部位置との間及び前記テンショナアームと前記負荷停止位置との間で利用可能な角度範囲の大きさを制御する、請求項1記載のベルトテンショナ。
【請求項3】
前記微調整機構体は、リニアアクチュエータを含み、前記リニアアクチュエータは、前記テンショナばねの前記第2の端部に係合する作動部材を含む、請求項1記載のベルトテンショナ。
【請求項4】
前記微調整機構体は、前記作動部材に作動的に連結されると共に電気源に接続可能な形状記憶合金部材を含み、前記形状記憶合金部材は、前記形状記憶合金部材への電気の流れに基づいて調節可能な形態を有し、前記形状記憶合金部材の前記形態は、前記作動部材の位置を制御する、請求項3記載のベルトテンショナ。
【請求項5】
前記作動部材は、流体チャンバ内に位置決めされたピストンであり、前記流体チャンバは、第1の端部及び前記第1の端部のところに設けられていて、前記ピストンを前記第1の方向に押圧するために流体を第1の選択可能な圧力で受け入れる第1の流体ポートを有し、前記微調整機構体は、前記作動部材を前記第1の方向とは逆の第2の方向に付勢するよう位置決めされたピストン付勢部材を更に含む、請求項3記載のベルトテンショナ。
【請求項6】
前記作動部材は、流体チャンバ内に位置決めされたピストンであり、前記流体チャンバは、第1の端部及び前記第1の端部のところに設けられていて、流体を第1の選択可能な圧力で受け入れる第1の流体ポートを有し、前記流体チャンバは、第2の端部を有すると共に前記第2の端部のところに設けられていて、流体を第2の選択可能な圧力で受け入れる第2の流体ポートを有し、前記ピストンは、前記第1の端部及び前記第2の端部のところの流体の圧力の結果として、第1の位置と第2の位置との間で動くことができ、前記第1の位置及び前記第2の位置は、前記テンショナばねの前記第2の端部の前記第1の位置及び前記第2の位置に対応している、請求項3記載のベルトテンショナ。
【請求項7】
前記流体チャンバは、前記ピストンを前記第1の位置と前記第2の位置との間の第3の位置に向かって付勢する付勢構造体を更に含み、前記第3の位置は、前記テンショナばねの前記第2の端部の第3の位置に対応している、請求項6記載のベルトテンショナ。
【請求項8】
前記リニアアクチュエータは、電気源に接続可能なソレノイドである、請求項3記載のベルトテンショナ。
【請求項9】
前記リニアアクチュエータは、バイメタルアクチュエータである、請求項3記載のベルテンショナ。
【請求項10】
前記微調整機構体は、前記テンショナばねの前記第2の端部に係合する作動部材を有する回転アクチュエータを含む、請求項1記載のベルトテンショナ。
【請求項11】
前記回転アクチュエータは、前記作動部材に作動的に連結されたモータを更に有し、前記作動部材は、カムであり、前記モータの回転により、前記カムが回転し、それにより、前記テンショナばねの前記第2の端部が動く、請求項10記載のベルトテンショナ。
【請求項12】
制御装置を更に有し、前記制御装置は、前記微調整機構体に作動的に連結されると共に少なくとも1つのパラメータに基づいて前記ばねの前記第2の端部の位置を調節するよう構成されている、請求項1記載のベルトテンショナ。
【請求項13】
前記少なくとも1つのパラメータは、前記エンジンブロックの温度を含む、請求項1記載のベルトテンショナ。
【請求項14】
前記少なくとも1つのパラメータは、前記ベルトの張力を含む、請求項1記載のベルトテンショナ。
【請求項15】
前記ピボットシャフトに連結されたベースプレートを更に有し、前記ベースプレートは、前記エンジンブロックに設けられているベースプレートをロック構造体に係合して前記エンジンブロックに対する前記ベースプレートの回転位置を固定することができるようになっている、請求項1記載のベルトテンショナ。
【請求項16】
フェールセーフばね制限構造体を更に有し、前記フェールセーフばね制限構造体は、前記微調整機構体の故障の場合に前記フェールセーフばね制限構造体を越える前記テンショナばねの前記第2のばねの端部の運動を阻止するよう選択された位置で前記エンジンブロックに連結可能である、請求項1記載のベルトテンショナ。
【請求項17】
前記回転アクチュエータは、電気源に接続可能なソレノイドである、請求項3記載のベルトテンショナ。
【請求項18】
前記テンショナアーム軸線の位置を制御するよう作動的に連結されたマクロ調整機構体を更に有する、請求項1記載のベルトテンショナ。
【請求項19】
前記ピボットシャフトは、ピボットシャフト回転軸線に沿って延びると共にピボットシャフト締結具の挿通を可能にするよう構成された締結具孔を有し、前記ピボットシャフトは、テンショナアーム取り付け面を有し、前記テンショナアームは、テンショナアームピボット軸線に沿って回転できるよう前記テンショナアーム取り付け面回りに回転可能に取り付けられ、前記テンショナアームピボット軸線と前記ピボットシャフト回転軸線は、互いに間隔を置いて位置し、前記締結具孔の位置及び前記テンショナアーム取り付け面の位置は、前記マクロ調整機構体に含まれる、請求項18記載のベルトテンショナ。
【請求項20】
前記微調整機構体は、作動部材及びモータを含み、前記モータは、前記作動部材の少なくとも3つの位置で停止可能である、請求項1記載のベルトテンショナ。
【請求項21】
前記モータは、ウォームに作動的に連結され、前記ウォームは、前記モータの逆回転駆動を阻止するよう選択されたねじ山輪郭形状を有し、前記ウォームは、前記作動部材に作動的に連結されている、請求項20記載のベルトテンショナ。
【請求項22】
エンジンに設けられているベルトを張力調整する方法であって、
a)テンショナであって、ピボットシャフトと、前記ピボットシャフトに回転可能に取り付けられていて、自由アーム停止位置と負荷停止位置との間でテンショナアーム軸線回りに回動するテンショナアームと、前記テンショナアームに回転可能に取り付けられていて、プーリ軸線回りに回転するプーリと、前記テンショナアームを前記自由アーム停止位置に向かって付勢するよう位置決めされたテンショナばねとを有し、前記テンショナばねが第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の端部が前記テンショナアームに係合するようになっているテンショナを用意するステップと、
b)前記テンショナアーム軸線が固定されると共に前記プーリを前記ベルトに係合させるよう前記テンショナを前記エンジンのエンジンブロックに取り付けるステップと、
c)前記テンショナアーム軸線を固定状態に保ちながら前記テンショナばねの前記第2の端部を動かして前記テンショナアームを前記ベルトに係合させる付勢力を調節するステップとを有する、方法。
【請求項23】
前記ステップc)は、前記エンジンブロックの温度を測定するステップ及び前記エンジンブロックの温度に基づいて前記テンショナばねの前記第2の端部を動かすステップを含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記テンショナは、前記テンショナばねの前記第2の端部の位置を制御するよう作動的に連結された微調整機構体を更に有し、前記微調整機構体は、前記テンショナばねの前記第2の端部に係合する作動部材を有するアクチュエータを含む、請求項22記載の方法。
【請求項25】
前記微調整機構体に作動的に連結された制御装置を更に有し、前記制御装置は、前記微調整機構体を介して前記ばねの前記第2の端部の位置を調節するよう構成されている、請求項24記載の方法。
【請求項26】
燃料を前記エンジンに追加するステップと、前記燃料を燃焼させることにより前記エンジンを始動させると共に前記エンジンを作動させるステップと、前記エンジンの作動中、前記ステップc)を実施するステップとを更に有する、請求項25記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25A】
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【図25B】
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【図26】
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【公表番号】特表2012−518140(P2012−518140A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550391(P2011−550391)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【国際出願番号】PCT/CA2010/000229
【国際公開番号】WO2010/094127
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(504039362)リテンズ オートモーティヴ パートナーシップ (9)
【Fターム(参考)】