説明

情報処理システム、中継装置および通信制御方法

【課題】装置間の伝送路が長くなった場合でもデータを正しく伝送できるようにする。
【解決手段】通信ポート21,22のそれぞれにおいて第1の伝送速度でデータが送受信される第1の送受信動作と、通信ポート21,22のそれぞれにおいて第1の伝送速度より低い第2の伝送速度でデータがパラレルに送受信される第2の送受信動作とが、送受信制御部23によって選択される。データ分割部24は、第2の送受信動作が選択された場合に、送信データD1を分割して通信ポート21,22の数と同数の分割データD11,D12を生成し、生成した分割データD11,D12を、それぞれ通信ポート21,22を通じて送信させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、中継装置および通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、HDD(Hard Disk Drive)などの大容量の記憶装置を複数用いたストレージシステムが、広く普及している。一般的に、ストレージシステムには、複数の記憶装置と、これらの記憶装置に対するアクセスを制御する制御装置とが含まれる。このようなストレージシステム内の各装置は、例えばスイッチを介して接続される。スイッチとスイッチとの間や、スイッチと各装置との間は、通信ケーブルやプリント基板などの伝送路によって接続される。ストレージシステムの場合、FC(Fibre Channel)、SAS(Serial Attached SCSI, SCSI: Small Computer System Interface)などの規格に準拠した伝送路が使用されることが多い。
【0003】
ストレージシステム内の制御装置や記憶装置は、例えば、ラックマウント型のモジュール装置として実現される。装置間を接続するスイッチは、例えば、単独のモジュール装置として実現される場合もあれば、制御装置や記憶装置などのモジュール装置内に設けられる場合もある。また、記憶装置の数が多いストレージシステムでは、記憶装置やスイッチが複数のラックに収容され、ラック間が上記の伝送路によって接続されることもある。
【0004】
なお、複数の伝送路を介してデータが伝送されるシステムの例としては、時分割多重化されたバスを介して複数の伝送路にデータを送信する伝送路多重化装置を備え、伝送路に異常が発生した場合に、その伝送路に対応する時分割チャネル番号を発生しないようにしたシステムがある。
【0005】
また、伝送路の特性を適正化する技術の例としては、ケーブル長の検出結果に基づいて、画像同期信号の送信タイミングを制御するようにした撮像装置がある。さらに、ケーブル対の信号伝播時間の測定値に基づいて、許容されるケーブル長を算出してケーブル長を調整することで、ケーブルのスキューを低減するスキュー調整方法もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭60−196037号公報
【特許文献2】特開2010−93543号公報
【特許文献3】特開2001−338541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、伝送路において数百Mbps〜数Gbpsといった高速シリアル伝送を行う場合には、伝送路を信号が通過した際に挿入損失(インサーションロス)が発生することがある。この挿入損失は、例えば、表皮効果による抵抗損失や、基板材料の誘電正接(tanδ)による誘電損失などとして発生する。インサーションロスは、伝送周波数が高いほど、また、信号の伝送距離が長いほど大きくなる。
【0008】
前述のストレージシステムにおいては、例えば複数のラックに記憶装置が収容される場合など、ストレージシステム内に多数の装置が存在する場合には、スイッチ間の伝送路の長さが長くなることがある。伝送路の長さが長くなると、インサーションロスが高くなり、データを正しく伝送できなくなるという問題がある。特に、ストレージシステムでは各装置間のデータ伝送速度を高めることが要求されており、データ伝送速度を高くした場合には、インサーションロスはさらに高くなる。
【0009】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、装置間の伝送路が長くなった場合でもデータを正しく伝送できるようにした情報処理システム、中継装置および通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、複数の情報処理装置と、これらの情報処理装置のそれぞれの間で送受信されるデータを中継する中継装置とを有する情報処理システムが提供される。この情報処理システムにおいて、中継装置は、他の装置との間でそれぞれ通信する複数の通信ポートと、上記の複数の通信ポートのそれぞれにおいて第1の伝送速度でデータを送受信させる第1の送受信動作と、上記の複数の通信ポートを通じて、1つの通信ポート当たり第1の伝送速度より低い第2の伝送速度でデータをパラレルに送受信させる第2の送受信動作とを、選択的に実行させる送受信制御部と、送受信制御部によって第2の送受信動作の実行が選択された場合に、送信データを分割して上記の複数の通信ポートの数と同数の分割送信データを生成し、生成した分割送信データを1つずつ複数の通信ポートのそれぞれを通じて送信させるデータ分割部とを有する。
【0011】
また、上記目的を達成するために、上記の情報処理システムに含まれる中継装置と同様の処理を行う中継装置、および、上記の情報処理システムにおける通信制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
上記の情報処理システム、中継装置および通信制御方法によれば、中継装置と他の装置との間の伝送路が長くなった場合でもデータを正しく伝送できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施の形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【図2】伝送路におけるインサーションロス特性を示すグラフの例である。
【図3】第2の実施の形態に係るストレージシステムの全体構成例を示す図である。
【図4】CMのハードウェア構成例を示す図である。
【図5】DEのハードウェア構成例を示す図である。
【図6】スイッチの概略構成およびスイッチ間の接続関係を示す図である。
【図7】DEが備えるスイッチの内部構成例を示す図である。
【図8】分割フレームの構成例を示す図である。
【図9】DEMUXによるフレーム分割処理の例を示すフローチャートである。
【図10】MUXによるフレーム復元処理の例を示すフローチャートである。
【図11】CM、およびDE内のスイッチがそれぞれ備える処理機能の例を示すブロック図である。
【図12】接続管理テーブルに登録される情報の例を示す図である。
【図13】CM起動時におけるシステム管理部の処理例を示すフローチャートである。
【図14】DEのスイッチによる動作モード設定処理の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して実施の形態を詳細に説明する。
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【0015】
図1に示す情報処理システム1は、情報処理装置11〜14と、これらの情報処理装置11〜14の間で送受信されるデータを中継する中継装置20,30とを有する。この図1では、中継装置20は、情報処理装置11,12および中継装置30に接続し、例えば、情報処理装置11と情報処理装置12との間、情報処理装置11と情報処理装置13との間、および、情報処理装置11と情報処理装置14との間でそれぞれ送受信されるデータを中継する。また、中継装置30は、情報処理装置13,14と中継装置20とに接続し、例えば、情報処理装置11と情報処理装置13との間、および、情報処理装置11と情報処理装置14との間でそれぞれ送受信されるデータを中継する。
【0016】
なお、図1の例では4つの情報処理装置11〜14が設けられているが、情報処理システム1に設けられる情報処理装置の数は、2つ以上であれば特に限定されない。また、中継装置の数や、情報処理装置との接続状態についても、図1の例に限るものではない。例えば、1つの中継装置に対して複数の情報処理装置が接続されていてもよい。
【0017】
中継装置20は、通信ポート21,22、送受信制御部23およびデータ分割部24を備える。なお、中継装置30は、中継装置20と同様の構成を有するので、ここでは説明を省略する。
【0018】
通信ポート21,22は、例えば、ともに中継装置30と接続されている。通常の動作モードである第1の動作モードでは、通信ポート21は、中継装置30との間で第1の伝送速度でデータを送受信する。また、通信ポート22も同様に、第1の動作モードでは、中継装置30との間で第1の伝送速度でデータを送受信する。なお、第1の動作モードでは、通信ポート22を通じたデータ送受信が行われないようにしてもよい。
【0019】
一方、通信ポート21,22のそれぞれは、第1の伝送速度より低い第2の伝送速度でデータを送受信する第2の動作モードで通信を行うこともできる。第2の動作モードでは、通信ポート21,22が組み合わされて、データがパラレルに送受信される。
【0020】
送受信制御部23は、通信ポート21,22における動作モードを設定する。送受信制御部23は、例えば、通信ポート21,22と中継装置30との間の伝送路の長さに応じて、第1,第2の動作モードのいずれかを選択する。
【0021】
データ分割部24は、送受信制御部23によって第2の動作モードが選択された場合に、中継装置30に対して送信すべき送信データD1を、通信ポート21,22の数だけ分割して分割データD11,D12を生成する。データ分割部24は、生成した一方の分割データD11を通信ポート21に出力するとともに、生成した他方の分割データD12を通信ポート22に出力する。
【0022】
これにより、分割データD11,D12は、それぞれ通信ポート21,22から中継装置30に対してパラレルに送信される。このとき、分割データD11,D12のそれぞれについての伝送速度は、第1の動作モードと比較して低下するが、全体としては、分割データD11,D12の伝送速度の低下が抑制される。例えば、第2の伝送速度が第1の伝送速度の1/2であるものとすると、第2の動作モードでは、送信データD1を第1の動作モードで1つの通信ポート(例えば通信ポート21)を通じて送信した場合とほぼ同様の時間で、送信データD1の送信処理が完了する。
【0023】
ここで、図2は、伝送路におけるインサーションロス特性を示すグラフの例である。
伝送路において信号を伝送する際には、挿入損失(インサーションロス)が発生し得る。インサーションロスが大きい場合には、送信データのハイレベルにおける電圧レベルが伝送路を経由する過程で大きく減衰することから、ハイレベルにおける電圧レベルが受信側におけるビット判定のスレッショルドレベルを満たさなくなる。この場合には、データを正しく受信できなくなる。
【0024】
インサーションロスは、周波数特性を持っており、図2に示すように、伝送周波数が高くなるほど、インサーションロスが大きくなる。特に、1伝送路当たりの伝送周波数が数百Mbps〜数Gbpsといった高速の伝送を行う場合には、インサーションロスによる影響が無視できないほど大きくなる。
【0025】
さらに、インサーションロスは、図2に示すように、伝送路(例えばケーブル)の長さが長いほど大きくなる。近年の6Gbps(基本クロック周波数3GHz)といった高速シリアル伝送では、インサーションロスが大きくなることから、伝送路を長くできないことが問題となっていた。その一方で、情報処理システムの規模が大きくなるほど、機器間の伝送路の長さが長くならざるを得ないという問題もあった。
【0026】
このような問題に対して、図1に示した情報処理システム1では、中継装置20,30の間の伝送路がインサーションロスの影響が大きくなるほど長い場合に、第2の動作モードで通信することで、データを確実に伝送できるようになる。
【0027】
特に、通信ポート21,22の双方で第1の伝送速度で通信する第1の動作モードでも、常に両方の通信ポート21,22で第1の伝送速度に近い高速な通信が行われないことが多い。このため、上記の第2の動作モードで通信を行うことで、通信速度を大きく低下させることなく、データを正確に伝送できるようになる。
【0028】
さらに、近年の情報処理システムでは、多くの通信ポートを備える機器が多く、このような機器では通常は使用されない通信ポートも多い。このように通常は使用されない通信ポートを図1の通信ポート22として適用した場合には、通信速度をほとんど低下させることなく、データを正確に伝送できるようになる。
【0029】
なお、送受信制御部23は、例えば、通信ポート21,22を通じて接続される中継装置30との間の伝送路の長さを何らかの方法で認識することで、動作モードを選択することができる。例えば、送受信制御部23は、情報処理システム1における中継装置20の位置情報を基に、動作モードをどちらに設定すべきかを判定する。あるいは、例えば、中継装置20,30の間の通信ケーブルのコネクタに、通信ケーブルの長さの情報が記憶された記憶装置が設けられている場合には、送受信制御部23は、この記憶装置から読み取ったケーブル長さ情報を基に、動作モードを選択してもよい。
【0030】
次に、情報処理システムの例としてストレージシステムを適用した実施の形態について説明する。
〔第2の実施の形態〕
図3は、第2の実施の形態に係るストレージシステムの全体構成例を示す図である。
【0031】
図3に示すストレージシステム100は、CM(Controller Module)200と、複数のDE(Drive Enclosure)300a〜300gとを備える。このストレージシステム100は、ストレージ装置として複数のHDDを備えるシステムであり、DE300a〜300gのそれぞれには、ストレージ装置を構成する1つ以上のHDDが格納されている。なお、ストレージ装置としては、HDDに限らず、例えばSSD(Solid State Drive)などの他の種類のストレージ装置が使用されてもよい。
【0032】
CM200は、図示しないホスト装置からのデータの書き込み要求または読み出し要求に応じて、DE300a〜300gのそれぞれが備えるHDDに対するアクセスを制御する。本実施の形態では例として、CM200は、DE300a〜300gがそれぞれ備えるHDDの記憶領域を、RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)によって管理する。
【0033】
CM200およびDE300a〜300gのそれぞれは、ラックマウント型のモジュールとして実現される。そして、図3の例では、CM200およびDE300a〜300cはラック110に収容されており、DE300d〜300gはラック120に収容されている。
【0034】
CM200およびDE300a〜300gは、例として、SAS規格に準拠した通信ケーブルまたはプリント基板によって接続される。また、図3の例では、CM200はスイッチ(SW)201を備え、DE300a〜300gのそれぞれはスイッチ(SW)301を備える。スイッチ201,301は、伝送路の切り替えを行う装置である。そして、CM200およびDE300a〜300gのそれぞれが備えるスイッチがカスケード接続されることで、CM200とDE300a〜300g内のHDDとが接続される。
【0035】
例えば、DE300aのスイッチ301は、隣接するCM200のスイッチ201および隣接するDE300bのスイッチ301と接続され、DE300bのスイッチ301は、隣接するDE300aのスイッチ301および隣接するDE300cのスイッチ301と接続される。また、DE300cのスイッチ301とDE300dのスイッチ301とは、ラック110,120の外部を通る通信ケーブルによって接続され、これによりラック110内のモジュールとラック120内のモジュールとが接続される。
【0036】
図4は、CMのハードウェア構成例を示す図である。CM200は、前述のスイッチ201の他、RoC(RAID on Chip)202、RAM(Random Access Memory)203、フラッシュメモリ204およびCA(Channel Adapter)205を備える。
【0037】
RoC202は、CM200全体を統括的に制御するCPU202(Central Processing Unit)、および、スイッチ201との間をインタフェースするSASコントローラなどを内蔵する。
【0038】
RAM203は、CM200の主記憶装置として使用され、RoC202内のCPUに実行させるファームウェアの少なくとも一部や、このファームウェアによる処理に必要な各種データを一時的に記憶する。
【0039】
フラッシュメモリ204は、CM200の二次記憶装置として使用され、RoC202内のCPUによって実行されるファームウェアやその実行に必要な各種のデータなどを記憶する。なお、二次記憶装置としては、例えば、HDDなどの他の種類の不揮発性記憶装置が使用されてもよい。
【0040】
CA205は、図示しないホスト装置に接続し、ホスト装置との間でデータを送受信するインタフェース処理を実行する。RoC202内のCPUは、CA205がホスト装置から受け付けたデータの書き込み要求または読み出し要求に応じて、DE300a〜300g内のHDDに対するアクセスを制御する。
【0041】
スイッチ201は、RoC202と、DE300aなどの他のモジュールに設けられたスイッチとの間で、データを中継する。
図5は、DEのハードウェア構成例を示す図である。なお、DE300a〜300gは、それぞれ同様のハードウェア構成を有するので、図5ではこれらを「DE300」と表記する。DE300は、前述のスイッチ301の他、複数のHDD302,303,304,・・・を備える。
【0042】
HDD302,303,304,・・・のそれぞれは、スイッチ301に接続され、このスイッチ301を介してCM200からのアクセスを受け付ける。HDD302,303,304,・・・のそれぞれは、図示しないSASコントローラを備え、SASスイッチがスイッチ301との間におけるデータの送受信を制御する。
【0043】
図6は、スイッチの概略構成およびスイッチ間の接続関係を示す図である。
DE300a〜300gにそれぞれ設けられるスイッチ301は、複数の送受信部と、各送受信部の間でデータを中継するクロスバー321とを備える。各送受信部は、1組の送信回路(Tx)および受信回路(Rx)を備える。
【0044】
Txは、差動信号線によってスイッチなどの他のSASデバイスにデータを送信し、Rxは、差動信号線によって他のSASデバイスからデータを受信して、これらの差動信号線ペアによって全二重通信が行われる。そして、1つの送受信部内のTxおよびRxが備える差動信号線ペアが、1つの物理ポートを構成する。以下、この物理ポートを「ナローポート」と呼ぶ。1つのナローポートでは、最大6Gbpsの速度でデータを送受信できるものとする。また、送受信部内のTxおよびRxによって送受信される差動信号ペアの束を「ナローリンク」と呼ぶ。
【0045】
また、SAS規格では、複数のナローポートを組み合わせて論理的な1つのポートを構成できるようになっており、このようなポートを「ワイドポート」と呼ぶ。本実施の形態では、2つのナローポートを組み合わせてワイドポートを構成できるものとする。この場合、1つのワイドポートでは最大12Gbpsの速度でデータを送受信できる。また、ワイドポートによって送受信される差動信号ペアの束を「ワイドリンク」と呼ぶ。
【0046】
DE300a〜300gにそれぞれ設けられたスイッチ301は、上記の送受信部として、少なくとも送受信部311a,311b,312a,312bを備える。これらの送受信部のうち、送受信部311a,312aは、他のDEまたはCM200が備えるスイッチに接続されて、ワイドポートを構成可能になっている。また、送受信部311b,312bも同様に、他のDEまたはCM200が備えるスイッチに接続されて、ワイドポートを構成可能になっている。
【0047】
ここで、本実施の形態では、送受信部311a,311b,312a,312bは、それぞれ「通常モード」、「低速モード」、「パラレルモード」のいずれかで選択的に動作できるようになっている。通常モードおよび低速モードは、スイッチ同士がワイドポートとして通信する動作モードである。通常モードでは、各送受信部311a,311b,312a,312bは、相手側スイッチの送受信部との間で6Gbpsで通信する。この場合、スイッチ同士はワイドポートを通じて12Gbpsの速度で通信する。一方、低速モードでは、各送受信部311a,311b,312a,312bは、相手側スイッチの送受信部との間で3Gbpsで通信する。この場合、スイッチ同士はワイドポートを通じて6Gbpsの速度で通信する。
【0048】
また、パラレルモードでは、ワイドポートを構成可能な2つの送受信部のそれぞれが、1/2の速度(すなわち3Gbps)で通信する。このとき、2つの送受信部を用いてデータがパラレルに送受信されることで、合計6Gbpsでの通信が行われる。パラレルモードでは、このようにナローポートのそれぞれにおいて1/2の速度で通信することで、ナローポート間の伝送経路の距離が長く、6Gbpsでの通信時にはインサーションロスの影響が無視できなくなる場合でも、正しく通信できるようになる。
【0049】
図6では例として、DE300a〜300gのうち、DE300a,300bがそれぞれ備えるスイッチ301について示している。図6において、例えば、DE300aとDE300bとの間では、次のように通信が行われる。通常モードでは、DE300aの送受信部311b,312bと、DE300bの送受信部311a,312aとが、ワイドポートとして通信する。一方、パラレルモードでは、DE300aの送受信部311b,312bと、DE300bの送受信部311a,312aとが、1/2の速度でパラレルに通信する。
【0050】
パラレルモードでは、例えば、DE300aからDE300bにデータが送信される場合、DE300aのクロスバー321からのデータは送受信部311bに供給されるが、送受信部312bには供給されない。データの供給を受けた送受信部311bは、データを2つに分割して、その一方を送受信部312bに供給する。これにより、送受信部311b,312bは、分割されたデータをパラレルにDE300bのスイッチ301に送信する。DE300bの送受信部311aは、DE300aの送受信部311bから送信された一方の分割データを受信するとともに、DE300aの送受信部312bから送信された他方の分割データを、送受信部312aを通じて取得する。そして、DE300bの送受信部311aは、両方の分割データから元のデータを復元して、クロスバー321に供給する。
【0051】
また、例えば、パラレルモードでDE300bからDE300aにデータが送信される場合には、DE300bのクロスバー321からのデータは送受信部311aに供給されるが、送受信部312aには供給されない。データの供給を受けた送受信部311aは、データを2つに分割して、その一方を送受信部312aに供給する。これにより、送受信部311a,312aは、分割されたデータをパラレルにDE300aのスイッチ301に送信する。DE300aの送受信部311bは、DE300bの送受信部311aから送信された一方の分割データを受信するとともに、DE300bの送受信部312aから送信された他方の分割データを、送受信部312bを通じて取得する。そして、DE300aの送受信部311bは、両方の分割データから元のデータを復元して、クロスバー321に供給する。
【0052】
他のDE間でも同様に、通常モードおよび低速モードでは、一方のDEの送受信部311b,312bと、他方のDEの送受信部311a,312aとが、ワイドポートとして通信する。一方、パラレルモードでは、一方のDEの送受信部311b,312bと、他方のDEの送受信部311a,312aとが、1/2の速度でパラレルに通信する。
【0053】
図7は、DEが備えるスイッチの内部構成例を示す図である。
図7に示すように、DE300a〜300gがそれぞれ備えるスイッチ301は、上記の送受信部311a,311b,312a,312bおよびクロスバー321に加えて、送受信部312c,312d、CPU331、RAM332およびフラッシュメモリ333を備える。
【0054】
クロスバー321は、CPU331による制御の下で、クロスバー321に接続されたある送受信部から入力されたフレームを、そのフレームの宛先に対応する別の送受信部に出力する。
【0055】
送受信部312c,312dは、クロスバー321と、同じDE内のHDD(例えばHDD302)との間で、ワイドポートとしてデータを送受信する。送受信部312c,312dは、送受信部312a,312bと同様の構成を有する。ただし、送受信部312c,312dも、送受信部311b,312bのように、パラレルモードでの通信機能を備えていてもよい。例えば、スイッチとHDDとが別の筐体に設けられる場合に、スイッチとHDDの両者に、送受信部311b,312bのような、パラレルモードでの送受信機能を備える複数の送受信部を設けておく。この場合、スイッチとHDDとの間の伝送路の距離が長くなるとき、スイッチとHDDとがパラレルモードで通信することで、インサーションロスの影響を受けることなく正しい通信を実行できるようになる。
【0056】
なお、クロスバー321には、この他にさらに送受信部が接続されていてもよい。
CPU331は、スイッチ301の動作を統括的に制御する。CPU331は、フラッシュメモリ333に記憶されたファームウェアを実行することで、クロスバー321でのデータ中継処理や、送受信部311a,311b,312a,312bでの動作モードの切り替え処理などを実行する。
【0057】
RAM332は、CPU331に実行させるファームウェアの少なくとも一部や、このファームウェアによる処理に必要な各種データを一時的に記憶する。フラッシュメモリ333は、CPU331によって実行されるファームウェアやその実行に必要な各種のデータなどを記憶する。
【0058】
送受信部311a,311bはともに同様の構成を有するため、ここでは代表して送受信部311bについて説明する。また、送受信部312a,312bもともに同様の構成を有するため、ここでは代表して送受信部312bについて説明する。送受信部311bは、フレームバッファ341、DEMUX(Demultiplexer)342、MUX(Multiplexer)343、SERDES(Serializer/Desirializer)344およびPHY(物理層処理回路)345を備える。また、送受信部312bは、フレームバッファ351、SERDES352およびPHY353を備える。
【0059】
まず、送受信部312bにおいて、フレームバッファ351は、クロスバー321からパラレルデータとして送受信部312bに出力されたフレームを一時的に蓄積し、蓄積したフレームをSERDES352に出力する。また、フレームバッファ351は、他のスイッチから送受信部312bに送信されたフレームをSERDES352から受信して一時的に蓄積し、蓄積したフレームをクロスバー321に出力する。
【0060】
SERDES352は、パラレルデータとして入力されたフレームをシリアルデータに変換して、PHY353に出力する。SERDES352は、通常モードでは、フレームバッファ351からフレームを受信する一方、パラレルモードでは、送受信部311bのDEMUX342からフレームを受信する。また、SERDES352は、他のスイッチからPHY353を通じてシリアルデータとして受信したフレームを、パラレルデータに変換する。SERDES352は、通常モードでは、パラレル化したフレームをフレームバッファ351に出力する一方、パラレルモードでは、パラレル化したフレームを送受信部311bのMUX343に出力する。
【0061】
PHY353は、Txを含み、SERDES352によってシリアル化されたフレームを、差動信号として他のスイッチに送信する。また、PHY353は、Rxを含み、他のスイッチからのフレームを差動信号として受信して、SERDES352に送信する。
【0062】
一方、送受信部311bにおいて、フレームバッファ341は、クロスバー321からパラレルデータとして送受信部311bに出力されたフレームを一時的に蓄積し、蓄積したフレームをDEMUX342に出力する。また、フレームバッファ341は、MUX343からパラレルデータとして出力されたフレームを一時的に蓄積し、蓄積したフレームをクロスバー321に出力する。
【0063】
DEMUX342は、通常モードでは、フレームバッファ341から出力されたフレームをそのままSERDES344に転送する。一方、DEMUX342は、パラレルモードでは、フレームバッファ341から出力されたフレームを分割して2つの分割フレームを生成し、一方の分割フレームをSERDES344に、他方の分割フレームを送受信部312bのSERDES352にそれぞれ出力する。
【0064】
MUX343は、通常モードでは、SERDES344から出力されたフレームをそのままフレームバッファ341に転送する。一方、MUX343は、パラレルモードでは、SERDES344と、送受信部312bのSERDES352とからそれぞれ分割フレームを受信し、受信した各分割フレームを統合して元のフレームを復元し、フレームバッファ341に出力する。
【0065】
SERDES344は、パラレルデータとして入力されたフレームをシリアルデータに変換して、PHY345に出力する。また、SERDES344は、他のスイッチからPHY345を通じてシリアルデータとして受信したフレームを、パラレルデータに変換して、MUX343に出力する。
【0066】
PHY345は、Txを含み、SERDES344によってシリアル化されたフレームを、差動信号として他のスイッチに送信する。また、PHY345は、Rxを含み、他のスイッチからのフレームを差動信号として受信して、SERDES344に送信する。
【0067】
次に、パラレルモードにおけるDEMUX342およびMUX343の動作について説明する。まず、図8は、分割フレームの構成例を示す図である。
通常のフレームF1は、フレームF1の先頭であることを示すSOF(Start Of Frame)と、フレームF1の終端であることを示すEOF(End Of Frame)とを有する。また、フレームF1は、例えば、SOFとEOFとの間に、ヘッダとデータ領域とを有する。
【0068】
DEMUX342は、フレームF1を基に2つの分割フレームF11,F12を生成する。分割フレームF11,F12には、フレームF1のデータ領域に格納されたデータを2分割した分割データが、それぞれ格納される。なお、分割フレームF11は、DEMUX342からSERDES344に出力され、分割フレームF12は、DEMUX342から送受信部312bのSERDES352に出力されるものとする。
【0069】
分割フレームF11,F12のそれぞれの先頭にはSOFが配置され、終端にはEOFが配置される。また、分割フレームF11,F12のそれぞれにおいて、SOFの次にはヘッダが配置される。分割フレームF11,F12のそれぞれにおけるSOF、ヘッダおよびEOFは、元のフレームF1におけるSOF、ヘッダおよびEOFとそれぞれ同じであってよい。
【0070】
また、分割フレームF11,F12のそれぞれにおいては、ヘッダの後に、フレームナンバ、フレームポジションおよび分割データが配置される。フレームナンバは、分割前の元のフレームF1が同じものであることを示すものである。すなわち、同じフレームF1から生成された分割フレームF11,F12のそれぞれには、同じ値のフレームナンバが格納される。
【0071】
フレームポジションは、分割データが元のデータのどの位置にあったかを示すものである。同じフレームF1から生成された分割フレームF11,F12のそれぞれには、異なる値のフレームポジションが格納され、元のデータのうち前方向に配置されていた分割データが格納された分割フレームほど、フレームポジションの値が小さくされる。図8の例では、分割フレームF11内のフレームポジションの値より、分割フレームF12内のフレームポジションの値の方が大きい値とされる。
【0072】
図9は、DEMUXによるフレーム分割処理の例を示すフローチャートである。なお、この図9では、例として、送受信部311bが備えるDEMUX342の処理について説明する。
【0073】
[ステップS11]DEMUX342は、フレームバッファ341からフレームを取得する。DEMUX342は、取得したフレームを、例えば、DEMUX342が備える受信バッファ(図示せず)に格納する。
【0074】
[ステップS12]DEMUX342は、取得したフレームのデータ領域を例えば1/2ずつに分割し、2つの分割データを生成する。生成した2つの分割データは、例えば、DEMUX342が備える2つの送信バッファ(図示せず)にそれぞれ一時的に格納される。
【0075】
[ステップS13]DEMUX342は、フレームナンバおよびフレームポジションを生成する。
DEMUX342は、フレームナンバとして、例えば、フレーム分割処理を1フレームずつ実行するごとにカウントアップすることなどにより、ユニークな番号を生成する。DEMUX342は、生成したフレームナンバを、DEMUX342が備える2つの送信バッファの両方に格納する。
【0076】
また、DEMUX342は、生成する2つの分割フレームのそれぞれについてのフレームポジションとして、例えば固定値を生成する。例えば前述のように、DEMUX342は、DEMUX342が設けられた送受信部311bから送信される分割フレームF11に格納されるフレームポジションの値より、ワイドポートを構成可能な他の送受信部312bから送信される分割フレームF12に格納されるフレームポジションの値を大きくする。DEMUX342は、生成した2つのフレームポジションを、DEMUX342が備える2つの送信バッファにそれぞれ格納する。
【0077】
[ステップS14]DEMUX342は、ステップS11で受信バッファに格納したフレームのSOF、ヘッダおよびEOFを、DEMUX342が備える2つの送信バッファの両方に格納する。これにより、2つの送信バッファにそれぞれ分割フレームが生成される。DEMUX342は、一方の送信バッファに生成された分割フレームをSERDES344に出力するとともに、他方の送信バッファに生成された分割フレームを、送受信部312bのSERDES352に出力する。
【0078】
ステップS14でSERDES344に出力された分割フレームは、SERDES344によってシリアルデータ化された後、PHY345によって、隣接するスイッチの送受信部311aに対して3Gbpsで送信される。また、ステップS14で送受信部312bのSERDES352に出力された分割フレームは、SERDES352によってシリアルデータ化された後、PHY353によって、隣接するスイッチの送受信部312aに対して3Gbpsで送信される。
【0079】
ここで、通常モードおよび低速モードでは、送受信部311bのPHY345と送受信部312bのPHY353とは、ナローポートを2個使用したワイドリンク(x2ワイドリンク)としてリンクアップする。このとき、フレームバッファ341からDEMUX342に出力されたフレームは、DEMUX342をそのまま通過して、SERDES344によってシリアルデータ化された後、PHY345から隣接するスイッチの送受信部311aに対して送信される。PHY345は、通常モードでは6Gbpsでフレームを送信し、低速モードでは3Gbpsでフレームを送信する。
【0080】
また、通常モードおよび低速モードでは、フレームバッファ351からSERDES352に出力されたフレームは、SERDES352によってシリアルデータ化された後、PHY353から隣接するスイッチの送受信部312aに対して送信される。PHY353は、通常モードでは6Gbpsでフレームを送信し、低速モードでは3Gbpsでフレームを送信する。
【0081】
これに対して、パラレルモードでは、送受信部311bのPHY345と送受信部312bのPHY353とは、それぞれ個別のナローリンクとしてリンクアップする。このとき、フレームバッファ341からDEMUX342に出力されたフレームは、2つに分割されて、送受信部311bのPHY345および送受信部312bのPHY353のそれぞれから3Gbpsで送信される。これにより、送信された差動信号に対するインサーションロスの影響が軽減され、データが正確に送信されるようになる。
【0082】
また、ワイドポートを構成する複数の送受信部のそれぞれは、個別のデータを送受信する。このため、通常モードでは、例えば、DE内のHDDに記憶されたひとかたまりのデータを転送する場合、そのデータはワイドポートを構成する複数の送受信部のうちの1つによって最大6Gbpsで転送される。
【0083】
これに対して、パラレルモードでは、合計の転送速度は通常モードの1/2となる。しかしながら、DE内のHDDに記憶されたひとかたまりのデータを転送する場合には、そのデータが分割されて2つの送受信部から1/2の速度で転送されることから、そのデータは通常モードと同様に最大約6Gbpsで転送される。すなわち、パラレルモードでは、インサーションロスの影響が無視できないほどスイッチ間の伝送路が長い場合であっても、転送される個々のデータについては、データの転送速度をほとんど低下させることなく、データを正確に転送することが可能になる。
【0084】
図10は、MUXによるフレーム復元処理の例を示すフローチャートである。なお、この図10では、例として、送受信部311bが備えるMUX343の処理について説明する。
【0085】
[ステップS21]MUX343は、フレームナンバとして同じ値を持つ分割フレームを、SERDES344と、送受信部312bのSERDES352とから取得する。MUX343は、取得した2つの分割フレームを、例えば、MUX343が備える2つの受信バッファ(図示せず)にそれぞれ格納する。
【0086】
[ステップS22]MUX343は、取得した2つの分割フレームからフレームポジションを読み取る。MUX343は、取得した2つの分割フレームのうち、フレームポジションの値が小さい分割フレーム内の分割データを前半のデータ、フレームポジションが大きい分割フレーム内の分割データを後半のデータとして、元のデータを復元する。MUX343は、復元したデータを、MUX343が備える送信バッファ(図示せず)に格納する。
【0087】
[ステップS23]MUX343は、ステップS21で受信バッファに格納したいずれかの分割フレームのSOF、ヘッダおよびEOFを、MUX343が備える送信バッファに格納する。これにより、送信バッファにフレームが復元され、MUX343は、復元されたフレームをフレームバッファ341に送信する。
【0088】
以上の図10の処理により、分割データを受信し、その分割データから元のデータを正確に復元できるようになる。
次に、通常モードとパラレルモードの選択制御処理について説明する。まず、図11は、CM、およびDE内のスイッチがそれぞれ備える処理機能の例を示すブロック図である。
【0089】
CM200は、システム管理部211を備える。このシステム管理部211の処理は、例えば、RoC202内のCPUが所定のファームウェアを実行することで実現される。また、CM200のフラッシュメモリ204(またはRAM203)には、接続管理テーブル221が記憶される。
【0090】
一方、DE300a〜300gがそれぞれ備えるスイッチ301は、送受信制御部361を備える。この送受信制御部361の処理は、例えば、スイッチ301が備えるCPU331が所定のファームウェアを実行することで実現される。また、スイッチ301内のフラッシュメモリ333には、DE識別情報371とストレージ管理テーブル372とが記憶される。なお、DE300a〜300gがそれぞれ備えるスイッチ301は同じ構成を有するので、図11ではこれらを代表してDE300aについて示している。
【0091】
CM200のシステム管理部211は、ストレージシステム100全体を管理する。例えば、システム管理部211は、CM200の電源投入時や、ストレージシステム100に新たなDEが接続されたときなどに、DEからDEに関する情報を収集して、接続管理テーブル221に登録する。さらに、システム管理部211は、接続管理テーブル221の内容を、ストレージシステム100内の各DEのスイッチ301に送信する。このとき送信された情報は、各スイッチ301が動作モードを設定する際に使用される。
【0092】
スイッチ301の送受信制御部361は、スイッチ301内のデータ中継処理を制御する。例えば、送受信制御部361は、スイッチ301内の送受信部からクロスバー321に出力されたフレームの宛先に応じて、その宛先に対応する送受信部にフレームが入力されるように、クロスバー321の切り替え動作を制御する。
【0093】
また、送受信制御部361は、各送受信部における動作モードを設定する。動作モードの設定は、例えば、このスイッチ301が設けられたDEの電源が投入されたとき、または、CM200の電源が投入されたときなどに行われる。動作モードの設定の際には、送受信制御部361は、DE識別情報371や、ストレージ管理テーブル372に登録されたストレージに関する情報を、CM200のシステム管理部211に対して送信する。その後、システム管理部211から送信された、接続管理テーブル221の内容に応じて、動作モードを選択する。
【0094】
DE識別情報371は、スイッチ301が設けられたDEを識別する情報である。ストレージ管理テーブル372には、スイッチ301が設けられたDEの内部に接続されたストレージ装置(ここではHDD)に関する情報が登録される。ストレージ装置に関する情報としては、例えば、ストレージ装置の識別情報、種別情報、アクセス速度情報などが登録される。ストレージ管理テーブル372の情報は、例えば、送受信制御部361によって、あるいはユーザの入力操作に応じて登録される。前者の場合、送受信制御部361は、スイッチ301に接続されたストレージ装置から、そのストレージ装置に関する情報を収集して、ストレージ管理テーブル372に登録する。
【0095】
図12は、接続管理テーブルに登録される情報の例を示す図である。
接続管理テーブル221には、ラックを識別するラックナンバおよびDEを識別するDEナンバごとにレコードが設けられる。ラックナンバの数およびDEナンバの数はあらかじめ決められており、ラックナンバおよびDEナンバの組合せにより、DEがストレージシステム100内のどの位置に組み込まれているかを識別できるようになっている。例えば、ラックナンバ「#1」とDEナンバ「#1」との組合せは、1番目のラック(図3のラック110)内のDE用スロットのうち1番目のスロット(図3のDE300aが組み込まれたスロット)を示す。
【0096】
各DEナンバに対しては、そのスロットに組み込まれたDEを識別するDE識別情報が登録される。接続管理テーブル221に登録されるDE識別情報は、対応するDEのスイッチ301に記憶されたDE識別情報371を、システム管理部211がスイッチ301の送受信制御部361を通じて取得したものである。
【0097】
また、各DEナンバに対しては、対応するDEに含まれるストレージ装置ごとのエントリが設けられ、これらのエントリには、ストレージ装置に関する情報(ストレージ情報)が登録される。ストレージ情報としては、ストレージ装置の識別情報、種別情報、アクセス速度情報などが登録される。接続管理テーブル221に登録されるストレージ情報は、対応するDEのスイッチ301に記憶されたストレージ管理テーブル372に登録された情報を、システム管理部211がスイッチ301の送受信制御部361を通じて取得したものである。
【0098】
図13は、CM起動時におけるシステム管理部の処理例を示すフローチャートである。
[ステップS31]CM200の電源が投入されてCM200が起動すると、システム管理部211は、スイッチ201を介して、ストレージシステム100内の各DEのスイッチ301と通信する。システム管理部211は、各DEのスイッチ301から、各DEに関する情報と、各DEに含まれるストレージ装置の情報とを収集し、収集した情報を接続管理テーブル221に登録する。
【0099】
なお、システム管理部211は、例えば次のようにして情報収集を行うことで、通信相手のスイッチ301が属するDEがストレージシステム100内のどのスロットに組み込まれたものかを判断する。なお、ここでは、カスケード接続されたスイッチのうち、CM200のスイッチ201を最上位のものとして表現する。
【0100】
システム管理部211は、まず、CM200のスイッチ201の配下に接続されたDE300aのスイッチ301に対して、情報通知を要求する。DE300aのスイッチ301の送受信制御部361は、情報通知要求に応じて、上記各情報をCM200のシステム管理部211に送信する。システム管理部211は、受信した情報を、接続管理テーブル221内のラックナンバ「#1」およびDEナンバ「#1」に対応するレコードに登録する。
【0101】
次に、システム管理部211は、情報送信を要求したスイッチ301の下位に接続された、DE300bのスイッチ301に対して、情報通知を要求し、DE300bのスイッチ301の送受信制御部361から、上記各情報を受信する。システム管理部211は、受信した情報を、接続管理テーブル221内のラックナンバ「#1」およびDEナンバ「#2」に対応するレコードに登録する。
【0102】
システム管理部211は、上記の手順で、情報を取得したスイッチ301の下位のスイッチ301に対してさらに情報送信を要求することで、情報送信の要求先のスイッチがどのラックのどのスロットに組み込まれたものかを認識する。そして、システム管理部211は、認識したスロットに対応する接続管理テーブル221のレコードに対して、スイッチから取得した情報を登録する。
【0103】
[ステップS32]システム管理部211は、ステップS31での情報収集元である各スイッチ301に対して、接続管理テーブル221の内容を送信する。この処理では、システム管理部211は、例えば、ラックナンバおよびDEナンバの組合せと、各組合せに対応付けられたDE識別情報と、各組合せに対応付けられたすべてのストレージ情報におけるアクセス速度情報とを、すべてのスイッチ301に対して送信する。
【0104】
なお、例えば、CM200の起動後に、ストレージシステム100に新たなDEが接続された場合には、システム管理部211は、新たに接続されたDEのスイッチ301から、上記のステップS31と同様の手順で、DEに関する情報とDE内のストレージ装置の情報とを収集して、接続管理テーブル221に登録する。そして、システム管理部211は、ステップS32と同様の手順で、接続管理テーブル221に登録された情報を、新たに接続されたDEのスイッチ301に対して送信する。
【0105】
図14は、DEのスイッチによる動作モード設定処理の例を示すフローチャートである。なお、DE300a〜300gの各スイッチ301は同じ処理を行うので、ここでは例として、DE300aのスイッチ301における処理について説明する。
【0106】
[ステップS41]DE300aが起動したとき、あるいは、DE300aが起動した状態でCM200が起動したとき、DE300aの送受信制御部361は、CM200のシステム管理部211に対して、DE300aに関する情報と、DE300aに含まれるストレージ装置に関する情報とを送信する。具体的には、送受信制御部361は、フラッシュメモリ333に記憶されたDE識別情報371を、CM200のシステム管理部211に送信する。また、送受信制御部361は、フラッシュメモリ333内のストレージ管理テーブル372に登録された、ストレージ装置の識別情報、種別情報、アクセス速度情報などを、CM200のシステム管理部211に送信する。
【0107】
送受信制御部361から送信された情報は、図13のステップS31に示した手順で、CM200のシステム管理部211によって受信され、接続管理テーブル221に登録される。
【0108】
[ステップS42]送受信制御部361は、図13のステップS32の手順でCM200のシステム管理部211から送信された情報を受信する。このときに受信される情報には、ラックナンバおよびDEナンバの組合せと、各組合せに対応付けられたDE識別情報と、各組合せに対応付けられたすべてのストレージ情報におけるアクセス速度情報とが含まれる。
【0109】
[ステップS43]送受信制御部361は、スイッチ301が備える送受信部のうち、ワイドポートを構成する送受信部のペアを、処理対象として1組選択する。この処理で選択される送受信部のペアとは、例えば、図7における送受信部311a,312aのペア、送受信部311b、312bのペアなどを示す。
【0110】
[ステップS44]送受信制御部361は、ステップS42で受信した情報に基づいて、ステップS43で選択した送受信部が、DE300aが搭載されたラックとは別の他のラック内のDEに接続されているかを判定する。この判定処理では、送受信制御部361は、ステップS42で受信した情報から、DE300aを示すDE識別情報371が対応付けられたラックナンバおよびDEナンバの組合せを抽出する。送受信制御部361は、抽出したラックナンバおよびDEナンバの組合せから、DE300aが組み込まれたスロットの位置を判別する。
【0111】
ステップS43で選択した送受信部が下位側のスイッチ(すなわち、CM200とは逆側のスイッチ)に接続されている場合、送受信制御部361は、DE300aに対応付けられたDEナンバが、同一ラック内で最も大きい値であるときに、選択した送受信部が他のラック内のDEに接続されていると判定する。また、ステップS43で選択した送受信部が上位側のスイッチに接続されている場合、送受信制御部361は、DE300aに対応付けられたラックナンバが「#1」以外であり、かつ、DE300aに対応付けられたDEナンバが「#1」であるときに、選択した送受信部が他のラック内のDEに接続されていると判定する。
【0112】
送受信制御部361は、送受信部が他のラック内のDEに接続されていると判定した場合(S44:Yes)には、ステップS46の処理を実行する。一方、送受信制御部361は、送受信部が同一のラック内のDEに接続されていると判定した場合(S44:No)には、ステップS45の処理を実行する。
【0113】
[ステップS45]ステップS43で選択された送受信部が同一のラック内のDEに接続されていると判定された場合(S44:No)には、伝送路の長さは特に長くなく、インサーションロスの影響を受けないと考えられる。この場合、送受信制御部361は、選択した送受信部の動作モードを通常モードに設定する。この後、ステップS49の処理が実行される。
【0114】
[ステップS46]ステップS43で選択された送受信部が他のラック内のDEに接続されていると判定された場合(S44:Yes)には、伝送路の長さがインサーションロスの影響を無視できないほど長いと考えられる。この場合には、送受信制御部361は、ナローポートごとの伝送速度を1/2(すなわち3Gbps)にする動作モードを選択する。
【0115】
送受信制御部361は、まず、ステップS42で受信した情報に基づいて、スイッチ間の伝送速度を低速にして使用するべきかを判定する。ここで言う「低速」とは、CM200からのアクセス対象であるひとかたまりのデータを、スイッチ間で3Gbps以下の速度で伝送することを意味する。
【0116】
例えば、ステップS43で選択した送受信部が下位側のスイッチに接続されている場合、送受信制御部361は、DE300aより下位側のDEに搭載されたすべてのストレージ装置の実効データレートが300MBytes/s以下であるときに、下位側のスイッチ間の伝送速度を低速にして使用すべきと判定する。また、ステップS43で選択した送受信部が上位側のスイッチに接続されている場合、送受信制御部361は、DE300aおよびそれより下位側のDEに搭載されたすべてのストレージ装置の実効データレートが300MBytes/s以下であるときに、DE300aのスイッチの伝送速度と、それより下位側のスイッチ間の伝送速度とをともに低速にして使用すべきと判定する。
【0117】
送受信制御部361は、低速で使用すべきと判定した場合(S46:Yes)にはステップS47の処理を実行する一方、低速で使用する必要はないと判定した場合(S46:No)にはステップS48の処理を実行する。
【0118】
[ステップS47]ステップS46で低速で使用すべきと判定された場合(S46:Yes)には、ステップS43で選択した送受信部のペアを用いて、CM200からのアクセス対象であるひとかたまりのデータを6Gbpsで伝送する意味はないと考えられる。なぜなら、選択した送受信部を通じてアクセスされるすべてのストレージ装置の実効データレートが300MBytes/s以下であり、これらのストレージ装置から読み出したデータをスイッチ間において3Gbpsの伝送速度で伝送可能だからである。この場合、送受信制御部361は、ステップS46で選択した送受信部の動作モードを低速モードに設定する。この後、ステップS49の処理が実行される。
【0119】
[ステップS48]送受信制御部361は、ステップS46で選択した送受信部の動作モードをパラレルモードに設定する。前述のように、パラレルモードでは、選択された送受信部のペアを用いて全体として6Gbpsのパラレル通信が行われる。このため、CM200からのアクセス対象であるひとかたまりのデータを6Gbpsで伝送することができる。この後、ステップS49の処理が実行される。
【0120】
[ステップS49]送受信制御部361は、スイッチ301が備える、ワイドポートを構成する送受信部のペアをすべて選択したかを判定する。未選択の送受信部のペアがある場合(S49:No)、送受信制御部361は、ステップS43に進んで、未選択の送受信部のペアを選択する。一方、送受信部のペアがすべて選択済みである場合(S49:Yes)、送受信制御部361は、動作モード設定処理を終了する。
【0121】
以上の図14の処理によれば、ワイドポートを構成する送受信部のペアが他のラックのDEに接続されている場合に、伝送路が長いと判断されて、その送信部のペアに対してパラレルモードが設定される。これにより、1データ当たりの伝送速度を低下させることなく、データを正確に伝送できるようになる。
【0122】
ただし、伝送路が長いと判断される場合であっても、スイッチ間での1データ当たりの最大伝送速度が、送受信部のペアをアクセス経路とするストレージ装置のアクセス速度より大きくなるために、パラレルモードにする意味がないと判定される場合には、送受信部のペアに対して低速モードが設定される。これにより、ワイドポートでの通信が維持され、ワイドポートを構成する送受信部のそれぞれにおいて個別のデータを送信できるようになる。すなわち、パラレルモードに設定する場合と比較して、より多くの数のデータを伝送できる。
【0123】
なお、以上説明した第2の実施の形態では、2つの送受信部を組み合わせることでパラレルモードでの通信を実現したが、3つ以上の送受信部を組み合わせることでパラレルモードでの通信を実現してもよい。例えば、n個の送受信部を組み合わせた場合には、各送受信部による伝送速度を通常モードの1/nとする。そして、n個のうちの1つの送受信部が、送信フレームを基にn個の分割フレームを生成して、これらのn個の分割フレームをn個の送受信部からパラレルに送信させる。また、n個の送受信部が受信した分割フレームは、n個のうちの1つの送受信部によって1つのフレームに復元される。
【0124】
また、上記の第2の実施の形態では、動作モードの選択を各スイッチ301が行うようにしたが、他の例として、動作モードの選択をCM200が行うようにしてもよい。この場合、例えば、CM200のシステム管理部211は、図13のステップS31のようにDEおよびストレージ装置の情報を収集した後、収集した情報を基に、図14のステップS43〜S49のような手順で、各スイッチ301内の送受信部のペアごとに設定すべき動作モードを選択する。そして、システム管理部211は、選択した動作モードを各スイッチ301に送信して、対応する送受信部に設定させる。
【0125】
さらに、上記の第2の実施の形態では、動作モードの選択をCM200が管理する情報に基づいて行ったが、他の例として、通信ケーブルのコネクタに搭載されたメモリ内のケーブル長さ情報に基づいて、動作モードの選択が行われてもよい。この場合、スイッチ301のケーブル接続部には、通信ケーブルのコネクタに搭載されたメモリからデータを読み取る読み取り回路が設けられる。スイッチ301の送受信制御部361は、読み取り回路によって読み取られたケーブル長さ情報に基づき、送受信部に接続された通信ケーブルの長さを所定の基準値と比較することで、図14のステップS44の判定を行う。そして、送受信制御部361は、通信ケーブルの長さが基準値以下の場合にステップS45の処理を実行する一方、通信ケーブルの長さが基準値を超える場合にステップS46の処理を実行する。
【0126】
以上の各実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) 複数の情報処理装置と、
前記複数の情報処理装置のそれぞれの間で送受信されるデータを中継する中継装置と、
を有し、
前記中継装置は、
他の装置との間でそれぞれ通信する複数の通信ポートと、
前記複数の通信ポートのそれぞれにおいて第1の伝送速度でデータを送受信させる第1の送受信動作と、前記複数の通信ポートを通じて、1つの通信ポート当たり前記第1の伝送速度より低い第2の伝送速度でデータをパラレルに送受信させる第2の送受信動作とを、選択的に実行させる送受信制御部と、
前記送受信制御部によって前記第2の送受信動作の実行が選択された場合に、送信データを分割して前記複数の通信ポートの数と同数の分割送信データを生成し、生成した前記分割送信データを1つずつ前記複数の通信ポートのそれぞれを通じて送信させるデータ分割部と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【0127】
(付記2) 前記中継装置は、前記送受信制御部によって前記第2の送受信動作の実行が選択された場合に、前記複数の通信ポートのそれぞれを通じて受信した分割受信データを統合して元のデータを復元するデータ復元部をさらに有することを特徴とする付記1記載の情報処理システム。
【0128】
(付記3) 前記送受信制御部は、前記複数の通信ポートと前記他の装置との間の伝送路の距離に応じて、前記第1の送受信動作と前記第2の送受信動作とを選択することを特徴とする付記1または2記載の情報処理システム。
【0129】
(付記4) 前記複数の情報処理装置のうちの1つは、他の情報処理装置を制御する制御装置であり、
前記制御装置は、前記情報処理システムにおける前記中継装置の位置を示す位置情報を記憶する記憶部を有し、
前記送受信制御部は、前記記憶部に記憶された前記位置情報を前記制御装置から受信し、受信した前記位置情報を基に前記第1の送受信動作と前記第2の送受信動作とを選択する、
ことを特徴とする付記3記載の情報処理システム。
【0130】
(付記5) 前記複数の情報処理装置のうちの一部はストレージ装置であり、
前記送受信制御部は、前記複数の通信ポートをアクセス経路とする前記ストレージ装置のアクセス速度が、前記第2の伝送速度を前記複数の通信ポートの数だけ加算した速度より小さい場合には、前記複数の通信ポートのそれぞれにおいて前記第2の伝送速度で個別にシリアル通信させる第3の送受信動作を実行させる、
ことを特徴とする付記1〜4のいずれか1つに記載の情報処理システム。
【0131】
(付記6) 前記送受信制御部は、前記複数の通信ポートを通じて接続された前記他の装置が、自装置が収納された収納部とは異なる他の収納部に収納されている場合に、前記第2の送受信動作の実行を選択する、
ことを特徴とする付記1〜5のいずれか1つに記載の情報処理システム。
【0132】
(付記7) 前記情報処理システムはカスケード接続された複数の前記中継装置を有し、
前記中継装置のそれぞれにおける前記複数の通信ポートは、他の中継装置との間でそれぞれシリアル通信する通信ポートである、
ことを特徴とする付記1〜6のいずれか1つに記載の情報処理システム。
【0133】
(付記8) 複数の装置の間でデータを中継する中継装置において、
他の装置との間でそれぞれ通信する複数の通信ポートと、
前記複数の通信ポートのそれぞれにおいて第1の伝送速度でデータを送受信させる第1の送受信動作と、前記複数の通信ポートを通じて、1つの通信ポート当たり前記第1の伝送速度より低い第2の伝送速度でデータをパラレルに送受信させる第2の送受信動作とを、選択的に実行させる送受信制御部と、
前記送受信制御部によって前記第2の送受信動作の実行が選択された場合に、送信データを分割して前記複数の通信ポートの数と同数の分割送信データを生成し、生成した前記分割送信データを1つずつ前記複数の通信ポートのそれぞれを通じて送信させるデータ分割部と、
を有することを特徴とする中継装置。
【0134】
(付記9) 前記送受信制御部によって前記第2の送受信動作の実行が選択された場合に、前記複数の通信ポートのそれぞれを通じて受信した分割受信データを統合して元のデータを復元するデータ復元部をさらに有することを特徴とする付記8記載の中継装置。
【0135】
(付記10) 前記送受信制御部は、前記複数の通信ポートと前記他の装置との間の伝送路の距離に応じて、前記第1の送受信動作と前記第2の送受信動作とを選択することを特徴とする付記8または9記載の中継装置。
【0136】
(付記11) 複数の情報処理装置と、前記複数の情報処理装置のそれぞれの間で送受信されるデータを中継する中継装置とを含む情報処理システムにおける通信制御方法であって、
前記中継装置が、
他の装置との間でそれぞれ通信する複数の通信ポートのそれぞれにおいて、第1の伝送速度でデータを送受信させる第1の送受信動作と、前記複数の通信ポートを通じて、1つの通信ポート当たり前記第1の伝送速度より低い第2の伝送速度でデータをパラレルに送受信させる第2の送受信動作とを、選択的に実行し、
前記第2の送受信動作の実行を選択した場合に、送信データを分割して前記複数の通信ポートの数と同数の分割送信データを生成し、生成した前記分割送信データを1つずつ前記複数の通信ポートのそれぞれを通じて送信させる、
ことを特徴とする通信制御方法。
【0137】
(付記12) 前記中継装置は、前記第2の送受信動作の実行を選択した場合に、前記複数の通信ポートのそれぞれを通じて受信した分割受信データを統合して元のデータを復元することを特徴とする付記11記載の通信制御方法。
【0138】
(付記13) 前記中継装置は、前記複数の通信ポートと前記他の装置との間の伝送路の距離に応じて、前記第1の送受信動作と前記第2の送受信動作とを選択することを特徴とする付記11または12記載の通信制御方法。
【0139】
(付記14) 前記複数の情報処理装置のうちの1つは、他の情報処理装置を制御する制御装置であり、
前記制御装置は、前記情報処理システムにおける前記中継装置の位置を示す位置情報を記憶部に記憶し、
前記中継装置は、前記記憶部に記憶された前記位置情報を前記制御装置から受信し、受信した前記位置情報を基に前記第1の送受信動作と前記第2の送受信動作とを選択する、
ことを特徴とする付記13記載の通信制御方法。
【0140】
(付記15) 前記複数の情報処理装置のうちの一部はストレージ装置であり、
前記中継装置は、前記複数の通信ポートをアクセス経路とする前記ストレージ装置のアクセス速度が、前記第2の伝送速度を前記複数の通信ポートの数だけ加算した速度より小さい場合には、前記複数の通信ポートのそれぞれにおいて前記第2の伝送速度で個別にシリアル通信させる第3の送受信動作を実行させる、
ことを特徴とする付記11〜14のいずれか1つに記載の通信制御方法。
【0141】
(付記16) 前記中継装置は、前記複数の通信ポートを通じて接続された前記他の装置が、自装置が収納された収納部とは異なる他の収納部に収納されている場合に、前記第2の送受信動作の実行を選択する、
ことを特徴とする付記11〜15のいずれか1つに記載の通信制御方法。
【符号の説明】
【0142】
1 情報処理システム
11〜14 情報処理装置
20,30 中継装置
21,22 通信ポート
23 送受信制御部
24 データ分割部
D1 送信データ
D11,D12 分割データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の情報処理装置と、
前記複数の情報処理装置のそれぞれの間で送受信されるデータを中継する中継装置と、
を有し、
前記中継装置は、
他の装置との間でそれぞれ通信する複数の通信ポートと、
前記複数の通信ポートのそれぞれにおいて第1の伝送速度でデータを送受信させる第1の送受信動作と、前記複数の通信ポートを通じて、1つの通信ポート当たり前記第1の伝送速度より低い第2の伝送速度でデータをパラレルに送受信させる第2の送受信動作とを、選択的に実行させる送受信制御部と、
前記送受信制御部によって前記第2の送受信動作の実行が選択された場合に、送信データを分割して前記複数の通信ポートの数と同数の分割送信データを生成し、生成した前記分割送信データを1つずつ前記複数の通信ポートのそれぞれを通じて送信させるデータ分割部と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記中継装置は、前記送受信制御部によって前記第2の送受信動作の実行が選択された場合に、前記複数の通信ポートのそれぞれを通じて受信した分割受信データを統合して元のデータを復元するデータ復元部をさらに有することを特徴とする請求項1記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記送受信制御部は、前記複数の通信ポートと前記他の装置との間の伝送路の距離に応じて、前記第1の送受信動作と前記第2の送受信動作とを選択することを特徴とする請求項1または2記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記複数の情報処理装置のうちの1つは、他の情報処理装置を制御する制御装置であり、
前記制御装置は、前記情報処理システムにおける前記中継装置の位置を示す位置情報を記憶する記憶部を有し、
前記送受信制御部は、前記記憶部に記憶された前記位置情報を前記制御装置から受信し、受信した前記位置情報を基に前記第1の送受信動作と前記第2の送受信動作とを選択する、
ことを特徴とする請求項3記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記複数の情報処理装置のうちの一部はストレージ装置であり、
前記送受信制御部は、前記複数の通信ポートをアクセス経路とする前記ストレージ装置のアクセス速度が、前記第2の伝送速度を前記複数の通信ポートの数だけ加算した速度より小さい場合には、前記複数の通信ポートのそれぞれにおいて前記第2の伝送速度で個別にシリアル通信させる第3の送受信動作を実行させる、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記送受信制御部は、前記複数の通信ポートを通じて接続された前記他の装置が、自装置が収納された収納部とは異なる他の収納部に収納されている場合に、前記第2の送受信動作の実行を選択する、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記情報処理システムはカスケード接続された複数の前記中継装置を有し、
前記中継装置のそれぞれにおける前記複数の通信ポートは、他の中継装置との間でそれぞれシリアル通信する通信ポートである、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
複数の装置の間でデータを中継する中継装置において、
他の装置との間でそれぞれ通信する複数の通信ポートと、
前記複数の通信ポートのそれぞれにおいて第1の伝送速度でデータを送受信させる第1の送受信動作と、前記複数の通信ポートを通じて、1つの通信ポート当たり前記第1の伝送速度より低い第2の伝送速度でデータをパラレルに送受信させる第2の送受信動作とを、選択的に実行させる送受信制御部と、
前記送受信制御部によって前記第2の送受信動作の実行が選択された場合に、送信データを分割して前記複数の通信ポートの数と同数の分割送信データを生成し、生成した前記分割送信データを1つずつ前記複数の通信ポートのそれぞれを通じて送信させるデータ分割部と、
を有することを特徴とする中継装置。
【請求項9】
複数の情報処理装置と、前記複数の情報処理装置のそれぞれの間で送受信されるデータを中継する中継装置とを含む情報処理システムにおける通信制御方法であって、
前記中継装置が、
他の装置との間でそれぞれ通信する複数の通信ポートのそれぞれにおいて、第1の伝送速度でデータを送受信させる第1の送受信動作と、前記複数の通信ポートを通じて、1つの通信ポート当たり前記第1の伝送速度より低い第2の伝送速度でデータをパラレルに送受信させる第2の送受信動作とを、選択的に実行し、
前記第2の送受信動作の実行を選択した場合に、送信データを分割して前記複数の通信ポートの数と同数の分割送信データを生成し、生成した前記分割送信データを1つずつ前記複数の通信ポートのそれぞれを通じて送信させる、
ことを特徴とする通信制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−169946(P2012−169946A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30334(P2011−30334)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】