説明

情報処理システム、情報処理装置、画像形成装置、情報処理方法、情報処理プログラム

【課題】新たに機能が追加された場合にも、利便性を損なわずに新たな機能の利用を管理することが可能な情報処理システム、情報処理装置、画像形成装置、情報処理方法、情報処理プログラムを提供することを目的としている。
【解決手段】ユーザ認証処理の結果に基づき取得されたユーザ情報を、特定の処理を実行するアプリケーションに送信する送信手段を有することにより、ユーザ情報を用いて新たなアプリケーションより実現される機能の利用を管理することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ情報を用いて特定処理を実行する情報処理システム、情報処理装置、画像形成装置、情報処理方法、情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、ICカードなどに記録されたユーザ識別情報(以下、ユーザID)を読み取ってユーザ認証を行い、ユーザIDに対応した利用権限等に基づき個々のユーザに対応した機能の利用制限を行う複合機等がある。このような複合機等では、例えば外部から新たなアプリケーションをインストールすることにより、新たな機能を追加することができる。
【0003】
例えば特許文献1には、ICカードを用いてユーザ認証を行う情報処理管理システム、情報処理管理方法及び情報処理管理プログラムが記載されている。
【特許文献1】特開2007−60163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術では、例えば新たな機能として外部からインストールされたアプリケーションは、複合機等の有するユーザ認証機能と連携していない。よって新たにインストールされたアプリケーションでは、ユーザ認証の際に取得するユーザ毎の利用権限等に関する情報を用いて処理を行うことができない。
【0005】
このため、例えば従来の複合機等では、新たに追加された機能については、その機能の使用に際し再度ユーザ情報等の入力を要求する。よってユーザは新たに追加された機能を使用する度にユーザID等のユーザ情報を複合機側へ提供しなくてはならず、利便性が悪いという問題点がある。
【0006】
また例えば従来の複合機等では、新たに追加された機能については、ユーザ認証の結果に関わらず無差別に利用を許可する場合がある。この場合新たに追加された機能に関しては、ユーザ毎の利用権限に基づく利用の管理を行うことができないという問題点がある。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決すべく成されたものであり、新たに機能が追加された場合にも、利便性を損なわずに新たな機能の利用を管理することが可能な情報処理システム、情報処理装置、画像形成装置、情報処理方法、情報処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の如き構成を採用した。
【0009】
本発明は、ユーザ識別情報とユーザ情報とが対応付けられて格納されているデータベースを有する情報処理装置であって、特定の処理を実行する特定処理実行手段と、記録媒体に記録されたユーザ識別情報を取得する識別情報取得手段と、前記識別情報取得手段により取得された前記ユーザ識別情報の認証を行う認証手段と、前記認証手段により認証された前記ユーザ識別情報に対応したユーザ情報を前記データベースから取得するユーザ情報取得手段と、前記ユーザ情報取得手段により取得されたユーザ情報を、前記特定処理実行手段へ送信する送信手段と、を有する構成とした。
【0010】
また本発明の情報処理装置は、前記特定処理実行手段により実行される処理に用いられるユーザ情報を設定するユーザ情報設定手段を有し、前記ユーザ情報取得手段は、前記ユーザ情報設定手段により設定されたユーザ情報を取得する構成としても良い。
【0011】
また本発明の情報処理装置は、前記記録媒体から読み取る情報を設定する読取情報設定手段を有し、前記識別情報取得手段は、前記読取情報設定手段により設定された情報を取得する構成としても良い。
【0012】
また本発明の情報処理装置は、前記ユーザ情報取得手段により取得された前記ユーザ情報のうち、前記送信手段により送信される情報を設定する送信情報設定手段を有する構成としても良い。
【0013】
また本発明の情報処理装置において、前記記録媒体は、可搬型の記録媒体であることが好ましい。
【0014】
本発明は、上記の情報処理装置を搭載した画像形成装置とした。
【0015】
本発明は、ユーザ識別情報とユーザ情報とが対応付けられて格納されているユーザ情報管理サーバと、前記ユーザ情報管理サーバと接続された情報処理装置とから構成される情報処理システムであって、前記情報処理装置は、特定の処理を実行する特定処理実行手段と、記録媒体に記録されたユーザ識別情報を取得する識別情報取得手段と、前記識別情報取得手段により取得された前記ユーザ識別情報の認証を行う認証手段と、前記認証手段により認証された前記ユーザ識別情報に対応したユーザ情報を前記ユーザ情報管理サーバから取得するユーザ情報取得手段と、前記ユーザ情報取得手段により取得されたユーザ情報を、前記特定処理実行手段へ送信する送信手段と、を有する構成とした。
【0016】
本発明は、ユーザ識別情報とユーザ情報とが対応付けられて格納されているデータベースを有する情報処理装置による情報処理方法であって、特定の処理を実行する特定処理実行手順と、記録媒体に記録されたユーザ識別情報を取得する識別情報取得手順と、前記識別情報取得手順により取得された前記ユーザ識別情報の認証を行う認証手順と、前記認証手順により認証された前記ユーザ識別情報に対応したユーザ情報を前記データベースから取得するユーザ情報取得手順と、有する方法とした。
【0017】
本発明は、ユーザ識別情報とユーザ情報とが対応付けられて格納されているデータベースを有する情報処理装置において実行される情報処理プログラムであって、前記情報処理装置に、特定の処理を実行する特定処理実行ステップと、記録媒体に記録されたユーザ識別情報を取得する識別情報取得ステップと、前記識別情報取得ステップにより取得された前記ユーザ識別情報の認証を行う認証ステップと、前記認証ステップにより認証された前記ユーザ識別情報に対応したユーザ情報を前記データベースから取得するユーザ情報取得ステップと、前記ユーザ情報を、前記特定処理実行手順へ送信するユーザ情報送信ステップと、を実行させるプログラムとした。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、新たに機能が追加された場合にも、利便性を損なわずに新たな機能の利用を管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、ユーザ認証処理の結果に基づき取得されたユーザ情報を、特定の処理を実行する特定処理実行手段に送信する送信手段を有する。本発明では、この送信手段により、新たに特定の処理を実行するためのアプリケーションがインストールされた場合にも、利便性を損なわずに新たなアプリケーションより実現される機能の利用を管理することができる。
【0020】
以下の実施形態では、本発明の情報処理装置を画像形成装置により実現した形態について説明する。
(第一の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第一の実施形態について説明する。図1は、第一の実施形態の画像形成装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。本実施形態の画像形成装置100は、例えばコピー機能、スキャン機能、印刷機能などの複数の機能を有する複合機である。
【0021】
画像形成装置100は、それぞれバスBで相互に接続されているスキャン装置11、プロッタ装置12、ドライブ装置13、補助記憶装置14、メモリ装置15、演算処理装置16、インターフェース装置17、操作パネル18で構成される。
【0022】
スキャン装置11は、スキャナエンジンと、スキャナエンジンを制御するエンジン制御部などから構成されており、紙原稿を画像データとするために用いられる。プロッタ装置12はプロッタエンジンとプロッタエンジンを制御するエンジン制御部などから構成され、画像データを出力するために用いられる。インターフェース装置17は、モデム、LANカードなどで構成されており、ネットワークに接続する為に用いられる。画像形成装置100は、インターフェース装置17を介してネットワーク上の他の装置との情報の送受信を行う。操作パネル18は、タッチパネルなどで構成され、画像形成装置100の操作キーや処理の進捗状況などが表示される。
【0023】
本発明の情報処理プログラムは、画像形成装置100を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。情報処理プログラムは例えば記録媒体19の配布やネットワークからのダウンロードなどによって提供される。情報処理プログラムを記録した記録媒体19は、CD−ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。
【0024】
また、情報処理プログラムを記録した記録媒体19がドライブ装置13にセットされると、情報処理プログラムは記録媒体19からドライブ装置13を介して補助記憶装置14にインストールされる。ネットワークからダウンロードされた情報処理プログラムは、インターフェース装置17を介して補助記憶装置14にインストールされる。
【0025】
画像形成装置100は、インストールされた情報処理プログラムを格納すると共に、必要なファイル、データ等を格納する。メモリ装置15は、コンピュータの起動時に補助記憶装置14から情報処理プログラムを読み出して格納する。そして、演算処理装置16はメモリ装置15に格納された情報処理プログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【0026】
図2は、第一の実施形態の画像形成装置100の機能構成を示す図である。
【0027】
本実施形態の画像形成装置100には、ICカードリーダ110が接続されており、ICカードに記録されたユーザID(ユーザ識別情報)を読み取る。尚ICカードは、非接触型のカードであっても良いし、接触型のカードであっても良い。ICカードが非接触型のカードである場合、ICカードリーダ110はICカードが翳されるとユーザIDを読み取る。
【0028】
また本実施形態の画像形成装置100は、認証制御部120、アプリケーション群130、データベース140を有する。認証制御部120は、ICカードリーダ110により読み取られたユーザIDを用いた認証結果に基づき、ユーザ毎の画像形成装置100の利用を管理する。
【0029】
認証制御部120は、リーダ制御部121、認証処理部122、ユーザ情報取得部123、ユーザ情報設定部124、読取情報設定部125、送信情報設定部126、送信部127、表示制御部128を有する。
【0030】
リーダ制御部121は、ICカードリーダ110の制御を行う。本実施形態のリーダ制御部121は、例えば後述する読取情報設定部125により設定された情報をICカードから読み取るようにICカードリーダ110を制御しても良い。認証処理部122は、ICカードリーダ110により読み取ったユーザIDの認証処理を行う。具体的には認証処理部122は、後述するデータベース140内に読み取ったユーザIDと対応するユーザIDが存在した場合にユーザIDを認証する。
【0031】
ユーザ情報取得部123は、データベース140内に格納されたユーザIDと対応するユーザ情報を取得する。ユーザ情報の詳細は後述する。ユーザ情報設定部124は、ユーザ情報取得部123により取得するユーザ情報の項目等を設定する。読取情報設定部125は、ICカードリーダ110においてICカードから読み取る情報の項目を設定する。
【0032】
送信情報設定部126は、アプリケーション群130に送信される情報の設定を行う。送信情報設定部126では、主にユーザ情報取得部123により取得されたユーザ情報の中からアプリケーション群130に送信される送信情報が設定される。尚送信情報は、後述するアプリケーション群130を構成する個々のアプリケーション毎に設定されていても良い。
【0033】
送信部127は、送信対象の情報をアプリケーション群130に送信する。本実施形態の送信部127は、例えばユーザ情報取得部123が取得したユーザ情報を送信情報として送信しても良いし、送信情報設定部126により送信対象として設定された情報を送信しても良い。具体的には送信部127は、例えばスレッド間通信に用いられるソフトウェアの一種であるComManager通信等を用いて送信情報の送信を行っても良い。表示制御部128は、各処理の従って操作パネル18の表示を制御する。
【0034】
アプリケーション群130は、予め決められた特定の処理を行うアプリケーションの集合である。本実施形態では、アプリケーション群130は複数のアプリケーションにより構成されているものとしたが、アプリケーションは複数でなくても良い。本実施形態のアプリケーション群130は、例えばアプリケーション131、132を含む。アプリケーション131が実行する特定の処理とは、例えばFAX送信処理である。またアプリケーション132が実行する特定の処理とは、例えば画像データの配信処理である。
【0035】
本実施形態のアプリケーション群130に含まれるアプリケーションは、画像形成装置100が接続されたネットワーク等からダウンロードされて画像形成装置100にインストールされても良い。また本実施形態のアプリケーション群130に含まれるアプリケーションは、メモリカード等の画像形成装置100により読取可能な記録媒体に記録されており、この記録媒体から読み取られて画像形成装置100にインストールされても良い。
【0036】
また以下の本実施形態の説明では、認証制御部120はアプリケーション群130に含まれないものとして説明するが、本実施形態の認証制御部120も外部からインストールされるアプリケーションであっても良い。
【0037】
データベース140には、ユーザID141とユーザ情報142とが対応付けられて格納されている。ユーザID141とユーザ情報142は、予め管理者等により登録されているものとした。
【0038】
ユーザID141は、例えばICカードに記録されたユーザを識別するための識別情報である。具体的には例えば、ICカードに記録されたユーザの社員番号、ICカード固有のカードID等をユーザIDとしても良い。
【0039】
ユーザ情報142は、権限情報143と登録情報144とを含む情報である。権限情報143とは、ユーザ毎の画像形成装置100の利用権限を示す情報である。本実施形態の権限情報143には、アプリケーション群130に含まれる各アプリケーションの利用権限を示す情報も含まれる。権限情報143は、例えば管理者等により予めユーザ毎に設定されていても良い。
【0040】
登録情報144は、画像形成装置100の利用の際に使用される情報である。具体的には例えば、ユーザが登録したメールアドレス、FAX番号等(アドレス帳)である。登録情報144は、ユーザ自身により画像形成装置100に登録された情報であっても良い。
【0041】
図3は、データベース140に格納されたユーザID141aとユーザ情報142aの一例を示す図である。
【0042】
図3に示すように、ユーザ情報142に含まれるユーザ情報142aは、権限情報143a、登録情報144aの他に、ICカードリーダ110により読み取られるICカードに記録されたカードID、カード種別情報、利用開始日、利用終了日、無効フラグなどの項目を含む。
【0043】
カード種別情報とは、例えばICカードが特定のユーザに通常の利用のために与えられたカードであるか、または臨時で発行されたカードなどかを示す情報である。利用開始日、利用終了日は、ユーザが画像形成装置100の利用開始した日時、利用終了した日時を示す。無効フラグは、ユーザが画像形成装置100を利用できる利用者であるか否かを示す。例えば無効フラグがたっていた場合、ユーザは画像形成装置100の利用を許可されていないことを示す。更新情報は、ユーザ情報142aが更新された日時を示す。
【0044】
本実施形態の権限情報143aは、ユーザID141aにより識別されるユーザが利用可能な画像形成装置100の機能を示す情報である。本実施形態の権限情報143aには、アプリケーション群130を構成するアプリケーションのうち、利用可能なアプリケーションを示す情報が含まれる。
【0045】
例えば図3に示す例では、ユーザID141aで識別されるユーザは、印刷機能、コピー機能、スキャン機能の利用が許可されている。またユーザID141aのユーザは、アプリケーション群130を構成するアプリケーション131の利用が可能であり、アプリケーション132の利用は不可能となっている。よって例えばアプリケーション131がFAX送信処理を行うアプリケーションであり、アプリケーション132が画像データ配信処理を行うアプリケーションである場合、ユーザID141aのユーザは、画像形成装置100においてFAX送信処理を行うことが可能であり、画像データ配信処理を行うことはできない。
【0046】
次に本実施形態の画像形成装置100の動作を説明する。
【0047】
始めに、本実施形態の画像形成装置100が使用可能な状態へ遷移するまでの処理について説明する。図4は、第一の実施形態の画像形成装置100が使用可能状態へ遷移するまでの処理を説明するフローチャートである。
【0048】
本実施形態の画像形成装置100は、取得したユーザID141aの認証処理が実行され、ユーザのログインが完了した時点で、ログインしたユーザに許可された機能が使用可能な状態となる。
【0049】
画像形成装置100においてICカードが翳されると、ICカードリーダ110はICカードからユーザID141aを読み取る(S41)。尚本実施形態のリーダ制御部121は、読取情報設定部125により設定された情報をICカードリーダ110により読み取らせても良い。例えば読取情報設定部125により、ユーザIDの他に、カード種別、無効フラグ等の読取が設定されていた場合、ICカードリーダ110はリーダ制御部121の制御により設定された情報を読み取る。
【0050】
S41においてユーザID141aを読み取ると、認証処理部122はユーザID141aとデータベース140内のユーザID141とを照合し、ユーザID141aの認証処理を行う(S42)。
【0051】
認証処理の結果、ユーザID141aが認証されると(S43)、ユーザ情報取得部123は、データベース140から認証されたユーザID141aと対応するユーザ情報142aを取得する(S44)。尚本実施形態のユーザ情報取得部123は、取得対象としてユーザ情報設定部124により設定されたユーザ情報のみを取得しても良い。例えば本実施形態において、ユーザ情報設定部125により、取得対象としてユーザ情報142aのうち権限情報143a、登録情報144aが設定されていた場合、ユーザ情報取得部123は設定された取得対象の情報のみを取得しても良い。
【0052】
S44においてユーザ情報が取得されると、送信部127は取得されたユーザ情報を送信情報として取得し(S45)、アプリケーション群130の該当するアプリケーションへ送信する(S46)。尚本実施形態では、取得したユーザ情報142aを送信情報としても良いし、ユーザ情報142aのうち、送信情報設定部126により送信対象として設定された情報のみを送信情報としても良い。例えば本実施形態において送信情報設定部126により登録情報144aのみが送信対象の情報として設定されていた場合、送信部127はユーザ情報142aから登録情報144aのみを送信情報として送信する。
【0053】
また本実施形態では、送信先のアプリケーションを示す情報は、送信情報設定部126により予め設定されていても良い。送信部127は、設定された送信先となるアプリケーションに対し、送信情報を送信する。具体的には送信情報の送信先を示す情報は、例えば表示制御部128により操作パネル18に表示された設定画面等において行われても良い。本実施形態では、アプリケーション群130を構成する各アプリケーション毎にプロダクトIDが付与されており、送信情報の送信先を示す情報として、このプロダクトIDが設定されても良い。
【0054】
S46においてアプリケーションに送信情報が送信されると、アプリケーションは送信情報を受け取って保管する(S47)。例えば、アプリケーション131がユーザID141aに対応する送信情報を受け取った場合、アプリケーション131は、送信情報をアプリケーション131が使用する情報として画像形成装置100の補助記憶装置14等に格納し、保管しても良い。
【0055】
また図3に示すように、ユーザID141aに対応する権限情報143aによれば、アプリケーション132の利用は不可能となっているため、送信情報はアプリケーション132に対しては送信されなくても良い。
【0056】
図4へ戻って、アプリケーションによる送信情報の保管が完了すると、ユーザID141aとして識別されるユーザのログインが完了する。そして画像形成装置100は、ユーザID141aに対して許可された機能が使用可能な状態へ遷移する(S48)。尚本実施形態の画像形成装置100は、ログインが完了したとき、表示制御部128により操作パネル18に利用可能な機能を選択させるための画面を表示させても良い。
【0057】
このように本実施形態の画像形成装置100では、認証処理後に取得したユーザID141aに対応した送信情報をアプリケーション131へ送信することができる。よって本実施形態のアプリケーション131は、アプリケーション131が実行される際に、送信された送信情報を用いて処理を実行することができる。
【0058】
また本実施形態では、ユーザID141aの認証処理後に取得するユーザ情報142aに、アプリケーション131が利用可能か否かを示す情報が含まれる。このため本実施形態によれば、ユーザ毎にアプリケーション群130を構成する各アプリケーションの利用を管理することができる。
【0059】
次に図5を参照して本実施形態の画像形成装置100においてアプリケーション群130を構成するアプリケーションの実行が選択された場合の処理を説明する。図5は、第一の実施形態の画像形成装置100においてアプリケーションの実行が選択された場合の処理を説明するフローチャートである。
【0060】
画像形成装置100においてユーザのログインが完了すると、画像形成装置100はユーザに許可された機能の実行が可能な状態となっている。ここでアプリケーション群130を構成するアプリケーションが選択されると(S51)、選択されたアプリケーションは、認証処理の際に取得したユーザ情報142aに含まれる権限情報143aを参照し、選択されたアプリケーションが利用可能か否かを判断する(S52)。
【0061】
選択されたアプリケーションが利用可能であった場合、選択されたアプリケーションは、送信部127から受け取った送信情報から、アプリケーションの実行に必要となる情報を取得する(S53)。そしてアプリケーションは、取得した情報を用いて処理を実行する(S54)。
【0062】
このように本実施形態の画像形成装置100では、ログイン時に取得された権限情報143aに基づき、アプリケーション群130を構成するアプリケーションの利用を管理することができる。また本実施形態のアプリケーション群130を構成するアプリケーションは、送信された送信情報を用いて処理を実行することができる。
【0063】
以下に本実施形態のアプリケーション群130を構成するアプリケーションによる処理の具体例を説明する。
【0064】
始めに、図3に示すユーザ情報142aを有するユーザにより、FAX送信機能を実現するアプリケーション131が選択された場合について説明する。
【0065】
画像形成装置100においてユーザのログイン完了後にアプリケーション131が選択されると、アプリケーション131は、ユーザ情報142aに含まれる権限情報143aを参照し、このユーザのアプリケーション131の利用が許可されているか否かを判断する。
【0066】
権限情報143aではアプリケーション131の利用が許可されているため、画像形成装置100はアプリケーション131の実行指示を行う。アプリケーション131は実行指示を受けると、FAX送信処理の実行に必要となるFAX番号を取得する。尚FAX番号は、送信部127からアプリケーション131に対して送信された送信情報に含まれており、アプリケーション131の実行の際に使用される情報として保管されている。
【0067】
アプリケーション131は、処理実行に必要となる情報であるFAX番号を取得すると、スキャン装置11にセットされた原稿を読み取って、取得したFAX番号へ送信する。そしてアプリケーション131は、FAX送信処理の履歴を画像形成装置100内に蓄積する。尚本実施形態の画像形成装置100は、スキャン装置11から読み取った原稿だけでなく、画像形成装置100の補助記憶装置14等に蓄積された画像データを送信可能であっても良い。
【0068】
次に、図3に示すユーザ情報142aを有するユーザにより、画像データ配信機能を実現するアプリケーション132が選択された場合について説明する。
【0069】
画像形成装置100においてユーザのログイン後にアプリケーション132が選択されると、アプリケーション132は、ユーザ情報142aに含まれる権限情報143aを参照して、このユーザにアプリケーション132の利用が許可されているか否かを判断する。
【0070】
権限情報143aによれば、アプリケーション132の利用は許可されていないため、アプリケーション132は、表示制御部128により、アプリケーション132の利用が許可されていない旨のメッセージ等を操作パネル18へ表示させる。
【0071】
尚アプリケーション132の利用が許可されていた場合には、アプリケーション132は、処理実行に必要となる情報である画像データの配信先のメールアドレスを取得する。そしてアプリケーション132は、スキャン装置11により読み取られた画像データを取得した配信先のメールアドレスへ配信する。尚本実施形態の画像形成装置100は、スキャン装置11から読み取った画像データでなく、画像形成装置100の補助記憶装置14等に蓄積された画像データを配信しても良い。
【0072】
また例えばアプリケーション群130を構成する他のアプリケーションの例として、FAXの誤送信防止を考慮した誤送信防止アプリケーション等が含まれても良い。この誤送信防止アプリケーションは、例えばFAX送信処理を行うアプリケーション131をカスタマイズしたものであっても良い。
【0073】
誤送信防止アプリケーションは、誤送信防止アプリケーションの利用が許可された2人のユーザにより同一のFAX番号が入力された場合にFAX送信処理を行う。
【0074】
画像形成装置100において、ユーザAのログインが完了した後に、ユーザAにより誤送信防止アプリケーションの実行が選択されると、誤送信防止アプリケーションはユーザAに対して利用が許可されているか判断する。
【0075】
ユーザAに誤送信防止アプリケーションの利用が許可されていた場合、誤送信防止アプリケーションは、表示制御部128によりFAX番号入力画面を表示させる。ユーザAによりFAX番号が入力されると、誤送信防止アプリケーションは、次にユーザBのログインを促す。
【0076】
画像形成装置100においてユーザBのログインが完了すると、誤送信防止アプリケーションはユーザBに誤送信防止アプリケーションの利用が許可されているか否かを判断する。ユーザBに対して誤送信防止アプリケーションの利用が許可されている場合、誤送信防止アプリケーションは、表示制御部128によりFAX番号入力画面を表示させる。ユーザBによりFAX番号が入力されると、誤送信防止アプリケーションは、ユーザBにより入力されたFAX番号とユーザAにより入力されたFAX番号とを照合し、2つのFAX番号が一致しているか否かを判定する。
【0077】
2つのFAX番号が一致していた場合、誤送信防止アプリケーションは、入力されたFAX番号へのFAX送信を行う。
【0078】
このように本実施形態では、画像形成装置100の利用状況に合わせてカスタマイズされたアプリケーションにより処理を実行する場合にも、ユーザの認証処理の際に取得したユーザ情報を用いて処理を実行することができる。よって本実施形態によれば、外部からカスタマイズされたアプリケーションをインストールされて、新たに機能が追加された場合にも、利便性を損なわずに新たな機能の利用を管理することができる。
【0079】
尚本実施形態では、画像形成装置100単体で認証処理を実行するものとして説明したが、これに限定されない。例えば本実施形態の画像形成装置100は、認証処理を行うサーバ等と接続されていても良い。この場合画像形成装置100においてユーザIDが認証されなかったとき、このユーザIDをサーバへ送信し、サーバで再度認証処理を行っても良い。
【0080】
また画像形成装置100は、画像形成装置100で認証されないユーザIDがサーバでの認証処理で認証された場合、このユーザIDを自動的にデータベース140に格納しても良い。このとき画像形成装置100は、このユーザIDと対応するユーザ情報として、予め設定されたユーザ情報の初期値をユーザIDと紐付けてデータベース140へ格納しても良い。
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第二の実施形態について説明する。本発明の第二の実施形態は、ユーザ情報を管理するユーザ情報管理サーバからユーザ情報を取得する点が第一の実施形態と相違する。よって以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0081】
図6は、本発明の第二の実施形態の画像形成装置100Aを説明する図である。本実施形態の画像形成装置100Aは、ネットワーク200を介してユーザ情報管理サーバ300と接続されおり、システム400を構成する。
【0082】
画像形成装置100Aは、認証制御部120Aを有する。本実施形態の認証制御部120Aは、ICカードリーダ110により読み取られたユーザIDをユーザ情報管理サーバ300へ送信する。そしてユーザ情報管理サーバ300から送信されるユーザ情報に基づき、アプリケーション群130へ送信情報を送信する。
【0083】
本実施形態の認証制御部120Aは、第一の実施形態の認証制御部120の有する認証処理部122を有していない。また本実施形態の認証制御部120Aの有するユーザ情報取得部123Bは、ユーザ情報管理サーバ300から送信されるユーザ情報を取得する。本実施形態の画像形成装置100Aの有するデータベース140Aには、ユーザにより予め登録された登録情報144が格納されている。
【0084】
システム400を構成するユーザ情報管理サーバ300は、演算処理装置と記憶装置とを有する一般のコンピュータ等により実現される。ユーザ情報管理サーバ300は、データベース310を有する。また本実施形態のユーザ情報管理サーバ300は、認証処理部122A、ユーザ情報取得部123Aを有する。
【0085】
データベース310には、ユーザID141とユーザ情報142Aとが格納されている。本実施形態のデータベース310に格納されたユーザ情報142Aは、第一の実施形態のユーザ情報142から登録情報144を除いた情報であっても良い。すなわち本実施形態のデータベース310に格納されたユーザ情報142Aは、権限情報143を含む情報であっても良い。
【0086】
本実施形態の認証処理部122Aは、画像形成装置100AがICカードリーダ110により読み取ったユーザID141aを用いて認証処理を行う。具体的には認証処理部122Aは、画像形成装置100Aから送信されたユーザID141aとデータベース310内のユーザID141とを照合し、ユーザID141aと一致するユーザIDが存在した場合にこのユーザID141aを認証する。
【0087】
ユーザ情報取得部123Aは、認証されたユーザID141aに対応するユーザ情報142bをデータベース310のユーザ情報142Aから取得し、画像形成装置100Aへ送信する。
【0088】
以下に本実施形態の画像形成装置100Aが使用可能状態へ遷移するまでの処理を説明する。図7は、第二の実施形態の画像形成装置100Aが使用可能状態へ遷移するまでの処理を説明するフローチャートである。
【0089】
画像形成装置100AにおいてICカードが翳されると、ICカードリーダ110はICカードからユーザID141aを読み取る(S71)。ユーザID141aを読み取ると、画像形成装置100AはこのユーザID141aをユーザ情報管理サーバ300へ送信する(S72)。
【0090】
ユーザ情報管理サーバ300は、ユーザID141aを取得すると、認証処理部122Aにより認証処理を行う(S73)。ユーザ情報管理サーバ300において、認証処理部122AによりユーザID141aが認証されると(S74)、ユーザ情報取得部123AはユーザID141aと対応するユーザ情報142bを取得し、画像形成装置100Aへ送信する(S75)。尚ここで取得されるユーザ情報142bは、登録情報144を含まないユーザ情報142bであっても良い。
【0091】
画像形成装置100Aは、ユーザ情報管理サーバ300から送信されたユーザ情報142bを取得する(S76)。図7のS77以降の処理は、図4のS45以降の処理と同様であるから接続を省略する。
【0092】
このように本実施形態でも、第一の実施形態と同様の効果を得ることができる。よって本実施形態によれば、外部からカスタマイズされたアプリケーションをインストールされて、新たに機能が追加された場合にも、利便性を損なわずに新たな機能の利用を管理することができる。
【0093】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】第一の実施形態の画像形成装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図2】第一の実施形態の画像形成装置100の機能構成を示す図である。
【図3】データベース140に格納されたユーザID141aとユーザ情報142aの一例を示す図である。
【図4】第一の実施形態の画像形成装置100が使用可能状態へ遷移するまでの処理を説明するフローチャートである。
【図5】第一の実施形態の画像形成装置100においてアプリケーションの実行が選択された場合の処理を説明するフローチャートである。
【図6】第二の実施形態の画像形成装置100Aを説明する図である。
【図7】第二の実施形態の画像形成装置100Aが使用可能状態へ遷移するまでの処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0095】
100、100A 画像形成装置
110 ICカードリーダ
120、120A 認証制御部
121 リーダ制御部
122、122A 認証処理部
123、123A、123B ユーザ情報取得部
124 ユーザ情報設定部
125 読取情報設定部
126 送信情報設定部
127 送信部
128 表示制御部
130 アプリケーション群
131、132 アプリケーション
140、140A、310 データベース
141、141a ユーザID
142、142a、142b ユーザ情報
143 権限情報
144 登録情報
200 ネットワーク
300 ユーザ情報管理サーバ
400 システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ識別情報とユーザ情報とが対応付けられて格納されているデータベースを有する情報処理装置であって、
特定の処理を実行する特定処理実行手段と、
記録媒体に記録されたユーザ識別情報を取得する識別情報取得手段と、
前記識別情報取得手段により取得された前記ユーザ識別情報の認証を行う認証手段と、
前記認証手段により認証された前記ユーザ識別情報に対応したユーザ情報を前記データベースから取得するユーザ情報取得手段と、
前記ユーザ情報取得手段により取得された前記ユーザ情報を前記特定処理実行手段へ送信する送信手段と、を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記特定処理実行手段により実行される処理に用いられるユーザ情報を設定するユーザ情報設定手段を有し、
前記ユーザ情報取得手段は、前記ユーザ情報設定手段により設定されたユーザ情報を取得する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記記録媒体から読み取る情報を設定する読取情報設定手段を有し、
前記識別情報取得手段は、
前記読取情報設定手段により設定された情報を取得する請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ユーザ情報取得手段により取得された前記ユーザ情報のうち、前記送信手段により送信される情報を設定する送信情報設定手段を有する請求項1ないし3の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記記録媒体は、可搬型の記録媒体である請求項1ないし4の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一項に記載の情報処理装置を搭載した画像形成装置。
【請求項7】
ユーザ識別情報とユーザ情報とが対応付けられて格納されているユーザ情報管理サーバと、前記ユーザ情報管理サーバと接続された情報処理装置とから構成される情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
特定の処理を実行する特定処理実行手段と、
記録媒体に記録されたユーザ識別情報を取得する識別情報取得手段と、
前記識別情報取得手段により取得された前記ユーザ識別情報の認証を行う認証手段と、
前記認証手段により認証された前記ユーザ識別情報に対応したユーザ情報を前記ユーザ情報管理サーバから取得するユーザ情報取得手段と、
前記ユーザ情報取得手段により取得された前記ユーザ情報を前記特定処理実行手段へ送信する送信手段と、を有する情報処理システム。
【請求項8】
ユーザ識別情報とユーザ情報とが対応付けられて格納されているデータベースを有する情報処理装置による情報処理方法であって、
特定の処理を実行する特定処理実行手順と、
記録媒体に記録されたユーザ識別情報を取得する識別情報取得手順と、
前記識別情報取得手順により取得された前記ユーザ識別情報の認証を行う認証手順と、
前記認証手順により認証された前記ユーザ識別情報に対応したユーザ情報を前記データベースから取得するユーザ情報取得手順と、
前記ユーザ情報取得手順により取得された前記ユーザ情報を前記特定処理実行手順へ送信する送信手順と、有する情報処理方法。
【請求項9】
ユーザ識別情報とユーザ情報とが対応付けられて格納されているデータベースを有する情報処理装置において実行される情報処理プログラムであって、
前記情報処理装置に、
特定の処理を実行する特定処理実行ステップと、
記録媒体に記録されたユーザ識別情報を取得する識別情報取得ステップと、
前記識別情報取得ステップにより取得された前記ユーザ識別情報の認証を行う認証ステップと、
前記認証ステップにより認証された前記ユーザ識別情報に対応したユーザ情報を前記データベースから取得するユーザ情報取得ステップと、
前記ユーザ情報取得ステップにより取得された前記ユーザ情報を、前記特定処理実行手順へ送信するユーザ情報送信ステップと、を実行させる情報処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−260641(P2009−260641A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107096(P2008−107096)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】