説明

情報処理システム及びその制御方法

【課題】登録されているスキャンジョブに従ってスキャンされたデータと、台紙フォームとの整合性を判断してオーバレイ処理すること。
【解決手段】 クライアント端末から画像形成装置に対して証憑の読取を行なうスキャンジョブを送信する。画像形成装置は受信したスキャンジョブを実行する(S203)。この際、実行されるスキャンジョブがオーバレイ印刷を指示している場合、当該スキャンジョブで読み取られたデータとオーバレイする台紙フォームを選択し(S205)、その選択された台紙フォームと、読み取られたデータとのオーバレイを行う(S205)。これにより紙の無駄をなくしつつ、ユーザの操作を簡略化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ネットワークに接続されたクライアント端末、サーバ装置及び画像形成装置を含む情報処理システム及びその制御方法
【背景技術】
【0002】
電子帳票保存法が改正され証憑書類(見積もり書、納品書、請求書)等をスキャナにより読み取って電子データとして保存することが可能となった。これらの証憑データを電子データで保存するために、従来は以下のようなステップを行っていた(特許文献1)。
【0003】
先ず証憑書類を貼り付けるための台紙を印刷する。この台紙にはバーコードなどの識別子が印刷されており、その台紙に貼り付ける証憑書類をユニークに管理できる。そして、その台紙に証憑書類を貼り付けて複合機により読み取りを行う。このとき、ユーザは、その読み取って得た証憑データを登録する先のサーバ装置の設定や、読み取り解像度等の設定を行う。そしてスキャンが完了すると、その読み取って得られた証憑データは証憑サーバ装置に保存される。
【0004】
【特許文献1】特開2006−189930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術では、台紙の印刷による紙の無駄が発生し、またスキャン時に各種設定を行うため複合機を長時間占有しなければならないという問題があった。またスキャンの際には、スキャン対象の証憑データに対するチェックなどは行わないため、法律の要件を満たさないようなデータも登録してしまうという問題があった。
【0006】
上記従来技術の課題を解決するため、本発明にあっては、スキャンジョブに従ってスキャンされた証憑文書と、台紙フォームとの整合性を判断してオーバレイ処理して出力することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ネットワークに接続されたクライアント端末、サーバ装置及び少なくともスキャン機能を有する画像形成装置を含む情報処理システムであって、
前記クライアント端末から前記画像形成装置に対してスキャンジョブを送信する送信手段を有し、
前記画像形成装置は、
前記スキャンジョブを受信する受信手段と、
前記受信手段で受信したスキャンジョブの実行指示を受け付ける操作手段と、
前記スキャンジョブの実行指示を受け付けた場合に、前記スキャンジョブに従って、証憑文書を読みとり、証憑データを生成する画像読取手段と、
前記受信したスキャンジョブが、前記証憑文書と、台紙フォームとのオーバレイ処理を含む場合、前記証憑データとオーバレイするための台紙フォームを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された台紙フォームのデータと前記証憑データとのオーバレイ処理を行うオーバレイ処理手段と、
を有することを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る方法は、
ネットワークに接続されたクライアント端末、サーバ装置及び少なくともスキャン機能を有する画像形成装置を含む情報処理システムの制御方法であって、
前記クライアント端末から前記画像形成装置に対してスキャンジョブを送信する送信工程と、
前記スキャンジョブを受信する受信工程と、
受信した前記スキャンジョブに応じて、証憑文書を読みとり、証憑データを生成する読取工程と、
前記受信したスキャンジョブが前記証憑文書と台紙フォームとのオーバレイ処理を含む場合、前記証憑データとオーバレイ処理するための台紙フォームを選択する選択工程と、
前記選択工程により選択された台紙フォームのデータと前記証憑データとのオーバレイ処理を行うオーバレイ工程と、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、登録されているスキャンジョブに従ってスキャンされたデータと、台紙フォームとの整合性を判断してオーバレイして出力できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳しく説明する。なお、以下の実施の形態は、特許請求の範囲に係る本発明を限定するものではなく、また本実施の形態で説明されている特徴の組合せの全てが本発明の課題解決に必須の要素とは限らない。
【0011】
なお、本明細書中、証憑とは、取引の事実を証明する根拠となる書類を意味する。例えば、仕入先からの送り状、請求書、領収書、取引先からの注文書などがこれに含まれる。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係る情報処理システムの構成図である。ここではネットワークに複数の機器が接続されて構成されている。このネットワークは、インターネット、イントラネット等を含む。ここではネットワークに、クライアントコンピュータ(クライアント端末)101、証憑サーバ装置102及び画像形成装置103が接続されている。本実施形態の画像形成装置は、スキャナ、プリンタなどを含む複合機が一例として考えられる。本実施の形態に係るプログラムは、クライアントコンピュータ101内及び、画像形成装置103内の記憶装置に格納されており、各機器の起動時にそれぞれのキャッシュメモリにロードされて、そのプログラムが実行可能状態となる。また証憑サーバ装置102には、証憑をオーバレイするための台紙フォームが格納されている。この台紙フォームは、画像形成装置103内の記憶装置に記憶されても良い。画像形成装置103は、スキャン機能を有する複合機であっても良い。ここで、オーバーレイとは、複数の画像若しくはビットマップオブジェクトを重ね合わせて、ひとつのビットマップ画像を生成することである。
【0013】
図11は、本実施の形態に係るプログラムが動作するクライアントコンピュータ101の概略構成を示すブロック図である。CPU110は、HD(ハードディスク)115に格納されているアプリケーションプログラムと、プリンタドライバプログラムと、OSやネットワークプリンタ制御プログラムとをRAM112にロードして実行する。RAM112はまた、そのプログラムの実行に必要な情報や、ファイル等を一時的に格納する。ROM111は、基本I/Oプログラム等のプログラム、文書処理の際に使用するフォントデータ、テンプレート用データ等の各種データを記憶している。またRAM112は、CPU110の主メモリ、ワークエリア等として機能する。外部記憶ドライブ113は、メディア114に記憶されたプログラム等を、このコンピュータ101にロードすることができる。メディア114は、本実施の形態に係るプログラム、及びその関連データを格納する。キーボード116は、ユーザがクライアントコンピュータ101に対して、デバイスの制御コマンドの命令等を入力指示するものである。ディスプレイ(表示部)117は、キーボード116から入力されたコマンドや、画像形成装置103の状態等を表示する。システムバス118は、このクライアントコンピュータ101内のデータの流れを司るものである。ネットワークインターフェイス(以下、ネットワークI/F)119は、ローカルエリアネットワーク、或はインターネットに接続するための通信インターフェイスである。
【0014】
図12は、本実施の形態に係るプログラムがRAM112にロードされてCPU110により実行可能となった状態のメモリマップを表す図である。本実施の形態では、プログラム及び関連データをメディア114から直接RAM112にロードして実行させる例を示すが、本発明は、これに限定されない。例えば、HD115からRAM112にロードするようにしてもよい。またメディア114は、例えばFD、CD−ROM、DVD、ICメモリカード等である。このプログラムをROM111に記録しておき、これをメモリマップの一部となすように構成し、直接CPU110で実行するようにしても良い。
【0015】
121は基本I/Oプログラムであり、このコンピュータ101の電源がONされたときに、HD115からOSがRAM112に読み込まれる。基本I/Oプログラム121は、OSの動作を開始させるIPL(イニシャルプログラムローティング)機能等を有している。122はOSである。また123は制御プログラム、124は関連データがそれぞれ展開されるエリアである。125はCPU110がこのプログラムを実行する際に使用するワークエリアである。
【0016】
図13は、メディア114のデータ構成を説明する図である。130はメディア114のデータ内容を示す。131は、データの情報を示すボリューム情報であり、132はディレクトリ情報である。133は本実施の形態で説明するプログラムを示す。134はその関連データである。このプログラム133の機能は、図2〜図6を参照して以下に詳しく説明する。
【0017】
図2は、本実施の形態に係るクライアントコンピュータ及び画像形成装置による処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は、ユーザ操作に基づいてプログラムにより実行される。まずステップS201で、クライアントコンピュータ101は、ユーザの操作に応じて、スキャンジョブを生成する。次にステップS202で、クライアントコンピュータ101は生成したスキャンジョブを画像形成装置103に送信して登録する。画像形成装置103は、受信したスキャンジョブに応じて原稿上の画像をスキャンして読み取リ、それを電子データとして取り込むことができる。このステップS202の処理は、ステップS201の処理が完了した時点で自動的に実行される。画像形成装置103は任意のタイミングでユーザからのログイン処理を受け付ける。ログイン指示を受け付け、認証に成功すると画像形成装置103は、その操作パネルにユーザが登録したスキャンのジョブを表示する。
【0018】
次にステップS203で、画像形成装置103は、ユーザの操作に応じて、実行したいスキャンジョブを、その表示された一覧から選択して特定する。証憑文書が読み取り台にセットされて実行ボタン(図14参照)が押されると、画像形成装置103はステップS204で、予め登録されているスキャンジョブの各ジョブの設定値と証憑文書をスキャンして得た証憑データとを照合する。例えば、スキャンジョブに基づいてスキャンして読み取った証憑データと、そのスキャンジョブに登録されている証憑種別とを比較して、それが一致しているか否かを判定する。次にステップS205で、画像形成装置103は、ステップS204のチェック結果に応じて、必要なデータ変換処理(例えば解像度変換)を実行し、最適な台紙フォームの選択を行う。そしてステップS206に進み、ステップS205での変換処理の終了後に、その証憑データと台紙フォームとのオーバレイ印刷を実行する。次にステップS207に進み、オーバレイの実行結果を、指定された証憑サーバ装置102に格納する。
【0019】
図3は、スキャンジョブを生成するためのUIの一例を示す図である。まずクライアントコンピュータ101が画像形成装置103にアクセスすると、画像形成装置103はそのアクセスに応答してTOP画面301を表示する。ユーザが事前登録スキャンをクリックしたことを検知すると、次に、事前登録スキャンのメニュー302を表示する。ここで「証憑スキャン」(証憑書類の読み取り)が選択されると、証憑スキャンメニュー303を表示する。また証憑スキャンメニュー303において、編集ボタンが押されると、そのメニューのパラメータの編集を受け付けるため、メニュー画面304を表示する。メニュー画面304は、この証憑スキャン(請求書スキャンメニュー)の詳細な設定を表示する。この詳細設定は、スキャン枚数、スキャンプレビュー、解像度の変更の許可/不許可、解像度指定、格納先となる証憑サーバ装置の指定などを含む。またスキャンするページ毎に会社名、勘定科目、請求金額、備考、を付加できる。これにより図9に示すように、各ページごとに、これら項目が登録される。
【0020】
図4は、本実施の形態に係るクライアントコンピュータによるスキャンジョブの生成処理を説明するフローチャートである。このフローチャートは、図3のUI表示処理をより詳細に説明するものである。ステップS401で、ユーザの操作に応じて、クライアントコンピュータ101が画像形成装置103にリモートで接続する。これにより画像形成装置103はステップS402で、そのコンピュータ101との接続を検知してログイン画面を表示する。こうしてステップS403でログイン処理が成功するとステップS404に進み、「事前登録スキャン」のメニュー302を表示する。そしてステップS405で、登録するスキャンジョブをユーザに選択させる。
【0021】
ここでユーザにより「送信」が選択されたことを検知するとステップS406に進み、画像形成装置103は、その送信処理の画面を表示する。そしてステップS407で、送信先のメールアドレスを設定させ、ステップS408及びS409で、両面設定(原紙の両面を読み取るか否か)、その他、解像度やスキャン枚数等の設定を行わせる。尚、これらステップS407〜S409の実行順序はこれに限らず、どのような順番でも良い。
【0022】
またステップS405で、ユーザが「証憑スキャン」を選択した場合はステップS410に進み、画像形成装置103は、証憑スキャンの画面を表示する。次にステップS411で、スキャンする証憑種類の選択を受け付ける。次にステップS412で、スキャン枚数の設定、ステップS413で両面設定、ステップS414でプレビュー設定、ステップS415で証憑サーバ装置102の設定を受け付ける。尚、プレビュー設定は、オーバレイしたデータのプレビュー表示を行うか否かを設定するものである。次にステップS416で解像度の変更の許可/不許可の設定、ステップS417で解像度の指定、そしてステップS418でページ設定を受け付ける。尚、これらステップS411〜S418の実行順序はこれに限らない。そしてステップS418のページ設定では、図3に記載した通り、各ページ毎に会社名、勘定科目、請求金額、備考などの設定を受け付ける。
【0023】
またステップS405で、「スキャン」が選択された場合はステップS419に進み、コピー枚数の設定を受付け、次にステップS421で解像度の設定、次のステップS422で両面設定などを受け付ける。尚、これらステップS420〜S422の実行順序はこれに限らない。
【0024】
次にステップS405で、事前登録の「スキャンジョブ編集」が選択された場合はステップS423に進み、登録したスキャンジョブの一覧を表示し、ステップS424で、ユーザからの指示に応じて、その中から編集対象となるスキャンジョブを選択する。そしてステップS425で、ユーザの操作に応じて、そのスキャンジョブに対する設定編集処理を選択すると、ステップS426で、その編集を実行する。
【0025】
図5は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置103におけるスキャン処理を説明するフローチャートである。事前に証憑スキャンジョブの登録を済ませたユーザが、画像形成装置103を使用して、登録しているスキャンジョブを実行する場合について説明する。
【0026】
まずステップS501で画像形成装置103はユーザからのICカードやその他認証機能を利用したログインを受け付ける。こうしてステップS502でログインに成功するとステップS503に進み、画像形成装置103は、その操作パネルに事前登録スキャンジョブのメニューを表示する。これによりユーザは、ステップS504、S505で、その表示された事前登録スキャンメニューを参照して、登録されているスキャンジョブ一覧から、実行するスキャンジョブを選択する。次にステップS506に進み、ユーザが、その選択したスキャンジョブの原紙を用意して、その画像形成装置103の読み取り台に載置すると、画像形成装置103はそれを検知する。そしてステップS507で、ユーザが実行ボタンを押したことを検知するとスキャンジョブの実行指示を受け付けたものとして画像形成装置103は読み取り動作を開始する(S508)。そしてステップS509で、その証憑文書を読み取り、証憑データと台紙フォームとのオーバレイ処理を実行する。ここでステップS510で、処理中に何らかのエラーが発生した場合処理は終了する。こうしてステップS511で読み取る証憑がなくなるまで、ステップS509の証憑の読み取りと、そのオーバレイ処理を繰り返し実行する。
【0027】
こうしてステップS511で読み取るべき証憑がなくなるとステップS512に進み、この証憑スキャンジョブに設定された読み取り枚数(図8参照)と読み取った証憑文書の枚数が一致しているかチェックする。ここで枚数が一致している場合はステップS518に進み、設定されたスキャン後の処理を実行する。即ち、ステップS519で、実行が指示されている処理を判定し、ステップS520,S521,S522のそれぞれで、send処理,印刷処理、証憑サーバ装置102への登録処理を実行する。
【0028】
一方、ステップS512で枚数が一致しない場合はステップS513に進む。ステップS513で画像形成装置103は、操作パネルに(A)「スキャンジョブを一旦保存する」、(B)「スキャンジョブを一旦登録し他ユーザに移管する」、(C)「不一致を許容し処理を進める」の選択項目を表示してユーザに選択させる。尚、これらの選択をユーザに選択させずに、予め画像形成装置103に設定しておいても良い。項目(A)が選択されるとステップS514に進み、事前登録スキャンジョブを一旦保存して処理を終了する。また項目(B)が選択されるとステップS515に進み、そのスキャンジョブを一旦他のユーザに移管し、ステップS516で、その移管処理を実行して処理を終了する。また項目(C)が選択された場合はステップS517からステップS518に進み、上述の枚数が一致している場合と同様の処理を行う。
【0029】
図6は、本実施の形態に係る画像形成装置103におけるデータ変換処理を説明するフローチャートである。先ずステップS601で、スキャンジョブから、ユーザが設定した設定内容を抽出する。次にステップS602で、画像形成装置103に設定された設定内容を取得する。この場合はステップS602で、証憑書類毎に設定された値を取得する。そしてステップS603で、証憑データを取得する。次にステップS604で、ユーザが指定している解像度情報を取得する。次にステップS605に進み、証憑スキャン毎に設定されている値を取得し、その読み取ったデータの解像度をユーザの指定した解像度へ下げてもその所定の設定値以上の解像度となるか否かを判断する。解像度を下げるとその所定の設定値以上の解像度にならない場合は処理を終了する。証憑スキャン時は、例えば、解像度はデフォルトでは600DPIとする。所定の設定値は、200DPI以上になるようにすると好適である。あまり解像度を下げると、電子化の標準に適さない場合があるからである。
【0030】
ステップS606で、ユーザにより指定された解像度が、所定の設定値以上の解像度であると判定するとステップS607に進み、ユーザにより指定された解像度に変換する。次にステップS608に進み、台紙データに適合するかチェックする。ステップS609で、読み取りデータサイズに適合する台紙データが存在するか否かを判断し、存在する場合はステップS610に進んで、その台紙データを選択してステップS618に進み、オーバレイ処理を行う。
【0031】
一方、ステップS609で、台紙データが存在しないときはステップS611に進み、ユーザが設定した解像度をチェックして、上記と同様に、その解像度に変更可能かどうかを判定する。ステップS612で変更可能でないときはそのまま処理を終了するが、変更可能であればステップS613に進み、スキャンされた画像が収まる最大サイズの台紙の組合せ領域サイズを取得する。そしてステップS614で、スキャンしたデータの適合解像度を取得してステップS615に進む。ステップS615、S616で、その適合解像度が規定された解像度を満足するかを判定し、そうでないときは処理を終了する。一方、規定された解像度を満足するときはステップS617に進み、その読み取ったデータの解像度の変換処理を行ってステップS618に進み、組合せ処理を実行する。
【0032】
図7は、本実施の形態に係る画像形成装置103における台紙フォームの選択例を説明する図である。ここでは図7(A)は、A4サイズの縦方向の台紙フォームを示し、図7(B)は、A3サイズの横方向の台紙フォームを示している。
【0033】
図6のフローチャートで説明したように、読み取る原紙によってはオーバレイ対象である台紙データのサイズを上回ってしまい、データがはみ出してしまう可能性がある。それを防止するために、読取解像度を変更して(例えば、下げる等して)証憑データのサイズを縮小する方法がある。またそれ以外に、証憑データのサイズに応じて台紙データのサイズを変更して、証憑データ証憑が台紙フォームからはみ出すことを防止するとともに、証憑データの解像度を維持してもよい。図7では、A4サイズ及びA3サイズの台紙フォームを示しており、証憑データのサイズに応じて、何れかの台紙フォームを選択することにより、証憑データの解像度を変更することなく、台紙フォームとのオーバレイ印刷を実現できる。
【0034】
図8は、スキャンジョブを登録しているスキャンジョブテーブルの一例を示す図である。このスキャンジョブテーブルは、スキャンジョブを登録するテーブルデータであり、画像形成装置103の記憶装置に記憶されている。このテーブルは、ジョブをユニークに識別するための「ジョブID」、ジョブを登録したユーザを識別する「ユーザID」、ジョブを登録した時刻を示す「登録時刻」、スキャンジョブの種類を表す「事前登録種別」を含む。そして証憑類の区別を表す「証憑種別」、スキャンをする枚数を設定する「スキャン枚数」、スキャン時にプレビューを行うか否かを設定する「プレビュー」、両面スキャンを実施するか否かを設定する「両面設定」を含む。更に、解像度を変更することを許容するか否かを設定する「解像度変更」、解像度の具体的な値を設定する「解像度指定」、スキャンしたデータの格納先を指定する「格納サーバ」等を含んでいる。尚、ここで「プレビュー」「両面設定」「解像度変更」には、それを許容する「yes」、或は許容しない「no」の何れかが設定されている。また「解像度指定」には、予め指定された解像度に設定する場合は「default」が設定される。
【0035】
図9は、本実施の形態に係るジョブ個別テーブルの一例を示す図である。このジョブ個別テーブルは、図8で説明したジョブID毎に、さらに詳細な情報を保持するテーブルである。このテーブルもまた、画像形成装置103の記憶装置に記憶されている。このテーブルでは、ページ毎に保持すべき「会社名」、「勘定科目」、「品名」、「金額」、「取引名称」、「備考」等などのデータが格納されている。
【0036】
図10は、本実施の形態に係るメニュー毎に設定するパラメータ設定テーブルの一例を示す図である。ここでいうメニューとは、図9に示すスキャンジョブの種類である「証憑スキャン」、「スキャン」、「sendスキャン」等を示す。
【0037】
図10は、証憑スキャンに関してパラメータが設定されている場合のテーブルの状態を示している。この状態のテーブルには、2つのパラメータが設定されている。1つ(parameter1)は「解像度」に関するもので、もう1つの(parameter2)は、「台紙設定」に関するものである。それぞれデフォルト値(default)、最大値(max)、最小値(min)が設定されている。そして項目を増やしたい場合は、パラメータを追加することで実現できる。
【0038】
図14は、本実施の形態に係る画像形成装置103の操作パネルの表示部の表示例を示す図である。ユーザによる画像形成装置103へのログインを確認すると、画像形成装置103は、図14に示す画面を画像形成装置103の操作パネルに表示する。画像形成装置103は、その操作パネルのメインの領域に、ユーザがログイン時に未処理のスキャンジョブ及び印刷ジョブがあればそれを表示する。ユーザはそのジョブを選択して実行ボタンを押すと、画像形成装置103は必要な処理を実行する。
【0039】
(他の実施形態)
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータが該供給されたプログラムを読み出して実行することによっても達成され得る。その場合、プログラムの機能を有していれば、形態は、プログラムである必要はない。
【0040】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明のクレームでは、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
【0041】
プログラムを供給するための記録媒体としては、様々なものが使用できる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などである。
【0042】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページからハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。その場合、ダウンロードされるのは、本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルであってもよい。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明のクレームに含まれるものである。
【0043】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布する形態としても良い。その場合、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムが実行可能な形式でコンピュータにインストールされるようにする。
【0044】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される形態以外の形態でも実現可能である。例えば、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0045】
更に、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれるようにしてもよい。この場合、その後で、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態に係る情報処理システムの構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るクライアントコンピュータ及び画像形成装置による処理の流れを説明するフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態に係るスキャンジョブを生成するUIの一例を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るスキャンジョブの生成処理を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る画像形成装置におけるスキャン処理を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係る画像形成装置におけるデータ変換処理を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態に係る画像形成装置における台紙フォームの選択例を説明する図である。
【図8】スキャンジョブを登録しているスキャンジョブテーブルの一例を説明する図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るジョブ個別テーブルの一例を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係るメニュー毎に設定するパラメータ設定テーブルの一例を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態に係るプログラムが動作するクライアントコンピュータの概略構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の実施の形態に係るプログラムがRAMにロードされてCPUにより実行可能となった状態のメモリマップを表す図である。
【図13】メディア114のデータ構成を説明する図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の操作パネルの表示部の表示例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続されたクライアント端末、サーバ装置及び少なくともスキャン機能を有する画像形成装置を含む情報処理システムであって、
前記クライアント端末から前記画像形成装置に対してスキャンジョブを送信する送信手段を有し、
前記画像形成装置は、
前記スキャンジョブを受信する受信手段と、
前記受信手段で受信したスキャンジョブの実行指示を受け付ける操作手段と、
前記スキャンジョブの実行指示を受け付けた場合に、前記スキャンジョブに従って、証憑文書を読みとり、証憑データを生成する読取手段と、
受信した前記スキャンジョブが前記証憑文書と台紙フォームとのオーバレイ処理を含む場合、前記証憑データとオーバレイするための台紙フォームを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された台紙フォームのデータと前記証憑データとのオーバレイ処理を行うオーバレイ処理手段と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記オーバレイ手段によるオーバレイ処理の結果、生成されたデータを前記サーバ装置に登録する手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記スキャンジョブは、少なくともスキャン枚数、解像度情報、解像度の変更の許可/不許可を表わす情報、及び、格納先のサーバ装置に関する情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記オーバレイ処理手段は、前記選択手段により選択された台紙フォームのデータと前記読み取られたデータとのサイズが適合しない場合、前記読み取られたデータの解像度を変更してオーバレイすることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記台紙フォームのデータは、前記画像形成装置又はサーバ装置に登録されていることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
ネットワークに接続されたクライアント端末、サーバ装置及び少なくともスキャン機能を有する画像形成装置を含む情報処理システムの制御方法であって、
前記クライアント端末から前記画像形成装置に対してスキャンジョブを送信する送信工程と、
前記スキャンジョブを受信する受信工程と、
受信したスキャンジョブに応じて、証憑文書を読みとり、証憑データを生成する読取工程と、
前記受信したスキャンジョブが前記証憑文書と台紙フォームとのオーバレイ処理を含む場合、前記証憑データとオーバレイ処理するための台紙フォームを選択する選択工程と、
前記選択工程において選択された台紙フォームのデータと前記証憑データとのオーバレイ処理を行うオーバレイ工程と、
を含むことを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−163725(P2009−163725A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−313709(P2008−313709)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】