説明

情報処理回路および通信装置

【課題】トラフィック変動量を監視して、トラフィック変動量に応じて電源電圧を制御することで、急激なトラフィック増減に関わらず安定した電源電圧を保つことができる情報処理回路および通信装置を提供する。
【解決手段】パケット判定部110は、トラフィック量を監視することでパケット処理LSI 100が消費する電流を間接的に検出し、HPF111は、検出した電流量をフィルタすることで電流の変動量に応じた出力信号を生成し、電源105は、基準電圧VrefにHPF111の出力を加えた入力電圧と、出力電圧VoをフィードバックしたVfbとを比較してトラフィックの増減に応じて出力電圧Voを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理回路および通信装置に係り、特に接続される電源回路に対して負荷状況を通知するパケット処理回路および通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にLSI(大規模半導体集積回路)に電圧を供給する電源回路は、負荷電流の変動に対して或る応答特性を持つ。そこで、電源メーカー各社は、負荷電流の変動に対して、高速に応答して安定した電圧を供給するための技術を開発している(非特許文献1)。電源の応答特性が足りない場合、具体的には、電源の応答速度よりも早く負荷が変動した場合および電源が応答できる負荷変動量を超えて負荷が変動する場合、図1に示すように供給電圧がLSIの定格電圧を超えて変動する恐れがある。図1において、横軸は時間、図1(a)の縦軸は負荷電流、図1(b)の縦軸は供給電圧である。また、図1(b)の破線は、LSI動作電圧範囲である。図1(a)の負荷電流急増に対して、図1(b)の供給電圧は急落し、LSI動作電圧範囲を一時的に下回っている。一方、図1(a)の負荷電流急減に対して、図1(b)の供給電圧は急上昇し、LSI動作電圧範囲を一時的に上回っている。LSI動作電圧範囲を外れると、LSIに誤動作の虞がある。
【0003】
一方、LSIでは、低消費電力を実現するために低電源電圧化が行なわれ、LSIが動作可能な電源電圧範囲が狭くなっている。例えば、+1.0Vで動作するLSIの場合、定格電圧に対して許容できる電源電圧変動量は50mV程度である。
【0004】
更に、CMOSプロセスを使用したLSIの消費電力は、LSIの動作速度や動作率に応じて増加する。このことから、特にパケット処理LSIにおいて、パケットのトラフィック量に応じてLSIの動作速度または動作率を変更して、低消費電力を実現する技術が提案されている。特許文献1に記載の技術は、パケット通信におけるトラフィック量が常時ピークにあるわけではないことから、トラフィック量が少ない場合には処理性能を低下させて低消費電力を実現する技術である。ここでトラフィック量とは、パケット処理を行なうデータ量のことを意味する。 パケット通信において伝送路は、処理すべきパケットがない場合には無効データが流れている。先に挙げた特許文献1では、伝送路中に処理すべきパケットが少ない場合は、パケットを処理する速度を最低限に落として低消費電力を実現する。つまり、特許文献1に記載の技術を適用すると、パケット処理LSIの消費電力がトラフィック量に依存し、トラフィック増減時の負荷電流の変動量を大きくする。これらLSIの低消費電力化技術は、負荷変動に対する電源の応答特性への要求を益々厳しくしている。
【0005】
一方、O/E変換器、E/O変換器であるXFP(10 Gigabit Small Form Factor Pluggable Module)においては、XFPモジュールが使用する電源に対して、動作電圧範囲を定格電圧の5%以内と規定しているのに加えて、変動量を2%以内に抑えるように規定している。このようなモジュールとパケット処理LSIが電源を共用すると、パケット処理LSIが急激な負荷変動を起こした場合の電圧変動によって、パケット処理LSIが誤動作するだけでなく、周辺素子が誤動作する虞もある。これを防ぐために、各素子ごとに電源を用意すると、価格や実装面積の面で不利である。また、負荷変動に高速に応答する電源が、電源メーカーより販売されているが、このような電源は一般の電源に比べて高価である。
【0006】
急激な負荷変動に際しても電源電圧の変動を抑制する半導体集積回路としては、特許文献2に記載の技術がある。この技術では、LSIに入力する電源電圧を監視して、電源電圧が所定のしきい値よりも低い場合にはLSIの負荷を軽減させ、電源電圧が所定のしきい値よりも高い場合にはLSIの負荷を増加させ、負荷電流の変動を小さくすることで電源電圧の変動を抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−144753号公報
【特許文献2】特開2008−258377号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】浜田 智、「低電圧・高速応答電源の実力」トランジスタ技術、CQ出版社、2007年8月、p.179−p.194
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2に記載の技術では、電源電圧が所定のしきい値よりも低い場合にはLSIの処理性能を低下させて負荷を軽減させ、電源電圧が所定のしきい値よりも高い場合にはLSIに余剰な動作をさせて負荷を増加させ、負荷電流の変動を抑える。一般にパケット処理LSIでは各パケットを処理する速度が規定されており、負荷電流の変動を抑えるためにトラフィック増加時においてLSIの処理性能を低下させると、速度規定を満たせない虞がある。また、負荷電流の変動を抑えるために、LSIに余剰な動作をさせると、本来LSIが消費する電力以上の過剰な電力を消費することになる。
【0010】
本発明は、課題を解決し、トラフィック変動量を監視して、トラフィック変動量に応じて電源電圧を制御することで、急激なトラフィック増減に関わらず安定した電源電圧を保つことができる情報処理回路および通信装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
LSIに電圧を供給する電源回路の構成は、図2のように表せる。図2において、電源105は伝達関数H(s)の特性を持つ電源回路を表し、負荷RはLSIを表している。電源105は、出力電圧VoをフィードバックしたVfbと基準電圧Vrefとを比較して、出力電圧Voが安定するように制御している。
【0012】
上述した課題は、主論理部と、この主論理部の負荷電流を検出する電流検出部と、この電流検出部が検出した負荷電流を微分する微分器とからなる情報処理回路であって、外部電源から電源供給を受け、外部電源に対して微分器の出力を制御信号として供給する情報処理回路により、達成できる。
【0013】
また、第1の主論理部と、第2の主論理部と、この第1の主論理部と第2の主論理部との負荷電流を検出する電流検出部と、この電流検出部が検出した負荷電流を微分する微分器とからなる情報処理回路であって、外部電源から電源供給を受け、外部電源に対して微分器の出力を制御信号として供給する情報処理回路により、達成できる。
【0014】
さらに、第1の光信号を電気信号に変換するO/E変換器と、電気信号を低速電気信号へシリアル/パラレル変換を行なうシリアル/パラレル変換器と、このシリアル/パラレル変換器の出力についてパケット処理を行なうパケット処理部と、このパケット処理部の出力について高速電気信号へパラレル/シリアル変換を行なうパラレル/シリアル変換部と、高速電気信号を第2の光信号に変換するE/O変換器と、O/E変換器とシリアル/パラレル変換器とパケット処理部とパラレル/シリアル変換部とE/O変換器とに電源供給する電源とからなる通信装置において、パケット処理部は、主論理部と、この主論理部の負荷電流を検出する電流検出部と、この電流検出部が検出した負荷電流を微分する微分器とからなり、電源に対して微分器の出力を制御信号として供給する通信装置により、達成できる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明の情報処理回路および通信装置では、トラフィック変動量を監視して、トラフィック変動量に応じて電源電圧を制御することで、急激なトラフィック増減に関わらず安定した電源電圧を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来の電源に対する負荷変動の影響を表す波形図である。
【図2】従来の電源の構成を表すブロック図である。
【図3】電源構成を表すブロック図である。
【図4】シミュレーションで求めた、負荷変動の影響を表す波形図である。
【図5】通信装置の構成を表すブロック図である。
【図6】本発明の第一の実施例を表すブロック図である。
【図7】本発明の第一の実施例の動作を表す波形図である。
【図8】第一の実施例において、しきい値判定部301を追加したブロック図である。
【図9】図8に示したブロック図の動作を表す波形図である。
【図10】本発明の第二の実施例を表すブロック図である。
【図11】本発明の第二の実施例の動作を表す波形図である。
【図12】本発明の第三の実施例を表すブロック図である。
【図13】本発明の第三の実施例の動作を表す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、実施例を用い図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実質同一部位には、同じ参照番号を振り説明は繰り返さない。
【0018】
まず、図3を参照して、負荷について、電源へのフィードバックする構成を説明する。図3において、負荷Rの消費電流Iは、パケットのトラフィック量に依存する。電流検出部103は、パケットのトラフィック量から負荷Rの消費電流Iを検出する。微分器104は、伝達関数F(s)の特性を持ち、電流検出部103が検出した消費電流から変動量を算出する。電源105は、基準電圧Vrefに微分器104の出力を加えた入力電圧と、出力電圧VoをフィードバックしたVfbとを比較して、出力電圧Voが安定するように制御する。電流検出部103は、パケットのトラフィックを監視して負荷Rの消費電流を間接的に検出する。このため、電流検出部103は、負荷Rに消費電流Iが流れてからD(s)だけ遅れて負荷Rの消費電流を検出する。
【0019】
ここで、図2と図3に対して、負荷Rに流れる電流が変動する場合、すなわちLSIが消費する電流が変動する場合の出力電圧Voの変動量ΔVoをシミュレーションで求めた。図4を参照して、シミュレーション結果を説明する。図4において、横軸は時間、縦軸は規格化された電圧変動量である。すなわち電圧変動量0.0は、出力電圧の設定値、電圧変動量−1.0は、図2の回路での負荷電流急増時の供給電圧の落ち込み量である。すなわち、図3の回路での負荷電流急増時の供給電圧の落ち込み量は、−0.45程度である。なお、H(s)には或るHigh Pass Filter(以下、HPF)特性を、F(s)には別の或るHPF特性を仮定している。
【0020】
図4より、図3に示したようにLSIの負荷電流Iを検出して、微分器104を介して負荷電流の変動量ΔIを電源の入力電圧に加えることで、LSIの負荷電流が変動した場合の電圧変動を抑えられることが分かる。
【0021】
図5を参照して、通信装置の構成を説明する。図5において、通信装置900は、O/E変換器902と、SerDes(Serializer/Deserializer)903と、パケット処理LSI 100と、SerDes904と、E/O変換器905と、電源105とから構成されている。O/E変換器902は、伝送路としての入力ファイバ901が接続されている。E/O変換器905は、伝送路としての出力ファイバ906が接続されている。
【0022】
電源105は、O/E変換器902と、SerDes903と、パケット処理LSI 100と、SerDes904と、E/O変換器905とに、パケット処理LSI 100の負荷情報に基づいて、出力電圧Voの電源を供給する。O/E変換器902は、光信号を電気信号へ変換する。SerDes903は、高速電気信号を低速電気信号へシリアル/パラレル変換を行なう。パケット処理LSI 100は、各種パケット処理を行なう。パケット処理LSI 100は、電源105に負荷情報を送信する。SerDes904は、低速電気信号を高速電気信号へパラレル/シリアル変換を行なう。E/O変換器905は、電気信号を光信号へ変換する。
【0023】
図6を参照して、パケット処理LSI 100と電源105との接続関係を説明する。図6において、パケット処理LSI 100は、電流検出部103と、微分器104と、主論理部102とから、構成される。電流検出部103は、パケット判定部110を含んで構成される。微分器104は、HPF111を含んで構成される。パケット処理LSI 100は、電源105にVrefを供給する。電源105は、パケット処理LSI 100に電源供給する。
【0024】
主論理部102は、伝送路101を流れるパケットを受信し、種種のパケット処理を行なう。主論理部102の機能は、具体的には、受信したパケットのヘッダ情報に基づいて転送先を判断し、宛先に応じた伝送路へ転送する処理がある。パケット判定部110は、伝送路101中のパケットを監視して、主論理部102が動作するタイミングを検出する。
【0025】
パケット処理LSI 100において、消費電力は、内部の動作率に依存する。また、動作率は、パケットのトラフィック量に依存する。或る動作率の時の消費電力は、シミュレーションにより容易に算出することができる。このため、パケット判定部110は、トラフィック量を監視することでパケット処理LSI 100が消費する電流を間接的に検出する。この結果、パケット判定部110は、電流検出部103として機能する。HPF111は、電流検出部103が検出した電流量をフィルタすることで電流の変動量に応じた出力信号を生成する。この結果、HPF111は、微分器104の役割を果たしている。
【0026】
HPF111の出力を電源105の基準電圧Vrefと加算することで、電源105の入力電圧は、電流の変動量に応じて上下する。電源105は、出力電圧VoをフィードバックしたVfbと入力電圧とを比較して出力電圧Voを生成する。この結果、電源105は、電流の変動量に応じて出力電圧Voを制御できる。すなわち、電源105は、負荷電流の増加するトラフィック増加時には出力電圧Voを上げ、負荷電流の減少するトラフィック減少時には出力電圧Voを下げ、急激なトラフィック増減に関わらず安定した電源電圧を供給できる。
【0027】
一般的に、パケット処理LSI 100の内部動作クロック周波数は、数十〜数百MHz程度である。内部動作クロック周波数は、電源105の応答時間より十分速い。このため、主論理部102の動作による負荷変動が起きてから出力電圧Voが変動するまでに、電源105に対して制御を掛けることができる。
【0028】
図7を参照して、伝送路からパケットを受信した場合の動作波形を説明する。図7において、(a)は伝送路データ、(b)はパケット判定部出力、(c)はHPF出力、(d)はVref、(e)はVoをそれぞれ示す。
【0029】
図7(a)において、パケット判定部110は、パケットの先頭(SOP:Start Of Packet)と終端(EOP:End Of Packet)を検出する。すなわち、トラフィック増加時には主論理部102が動作開始するタイミングで図7(b)のパケット判定部出力信号をLからHに変更し、トラフィック減少時には主論理部102が動作終了するタイミングで出力信号をHからLに変更する。
【0030】
HPF111は、パケット判定部110の出力信号のうち、高周波成分のみを通して図7(c)の出力信号を生成する。図6では、基準電圧Vrefは、HPF111の出力信号である。Vrefは、電源105に入力され、電源105は、入力電圧に従って図7(e)の出力電圧Voを生成する。すなわち、トラフィック増加時には出力電圧Voを上げ、トラフィック減少時には出力電圧Voを下げ、急激なトラフィック増減に関わらず安定した電源電圧を供給できる。
【0031】
図8を参照して、他のパケット処理LSI 100Aと電源105の接続関係を説明する。図8において、パケット処理LSI 100Aは、電流検出部103と、微分器104と、主論理部102と、しきい値保持部301と、制御信号生成部300から、構成される。電流検出部103は、パケット判定部110を含んで構成される。微分器104は、HPF111を含んで構成される。パケット処理LSI 100Aは、電源105にVrefを供給する。電源105は、パケット処理LSI 100Aに電源供給する。
【0032】
制御信号生成部300は、HPF111の出力信号と、しきい値保持部301にある所定のしきい値とを比較して、電源105に対して電圧制御を行なうための信号を生成する。図8に示した構成では、HPF111の出力信号を、或るしきい値で振り分けるため、微小な変動を除去できるメリットがある。
【0033】
図9を参照して、制御信号生成部300が、2個のしきい値Vth1とVth2を使用して、HPF111出力信号から制御信号を生成する場合の波形図を説明する。図9において、(a)は伝送路データ、(b)はパケット判定部出力、(c)はHPF出力、(d)は制御信号である。図9(c)の破線は、Vth2、Vth1(Vth2>Vth1)である。
【0034】
制御信号生成部300は、HPF111出力信号<Vth1の場合、電源105に対して出力電圧VoをVだけ下げるように制御信号を生成する。制御信号生成部300は、Vth1<HPF111出力信号<Vth2の場合、電源105に対して出力電圧Voを維持するように制御信号を生成する。さらに、制御信号生成部300は、HPF111出力信号>Vth2の場合、電源105に対して出力電圧VoをVだけ上げるように制御信号を生成する。電源105は、受信した制御信号に応じて出力電圧Voを変更することで、急激なトラフィック増減に関わらず安定した電源電圧を供給する。
【0035】
以上説明したように、本実施形態によるパケット処理LSI100Aは、トラフィック変動量を監視して、トラフィック変動量に応じて電源電圧を制御することで、急激なトラフィック増減に関わらず安定した電源電圧を保つことができる。
【0036】
図10を参照して、他のパケット処理LSI 100Bと電源105の接続関係を説明する。図10において、パケット処理LSI 100Bは、電流検出部103Aと、微分器104と、主論理部102とから、構成される。電流検出部103Aは、パケット長検出部500を含んで構成される。微分器104は、HPF111を含んで構成される。パケット処理LSI 100Bは、電源105にVrefを供給する。電源105は、パケット処理LSI 100Bに電源供給する。
【0037】
パケット長検出部500は、伝送路中のパケットを監視して、受信したパケットのヘッダ情報からパケット長情報を取得し、主論理部102が動作するタイミングを検出する。すなわち、取得したパケット長がXの場合、パケット長検出部500は、パケット先頭からXまでの間を主論理部102が動作していると判定する。パケット長検出部500は、パケット長情報からトラフィック量を取得して、パケット処理LSIが消費する電流を間接的に検出することができる。このため、パケット長検出部500は、電流検出部103として機能する。HPF111は、電流検出部103が検出した電流量をフィルタすることで電流の変動量に応じた出力信号を生成し、微分器104の役割を果たしている。基準電圧VrefにHPF111の出力信号を加えた電圧が電源105に入力され、電源105は、入力電圧に従って出力電圧Voを生成する。すなわち、トラフィック増加時には出力電圧Voを上げ、トラフィック減少時には出力電圧Voを下げ、急激なトラフィック増減に関わらず安定した電源電圧を供給できる。
【0038】
図11を参照して、伝送路101からパケットを受信した場合の動作波形を説明する。図11において、(a)は伝送路データ、(b)はパケット長情報、(c)はパケット長検出部出力、(d)はHPF出力、(e)はVref、(f)はVoをそれぞれ示す。
【0039】
パケット長検出部500は、受信したパケットのパケット長情報から主論理部102が動作するタイミングを検出する。すなわち、受信したパケット長情報がXの場合、図11(c)に示すようにパケット受信時に出力信号をLからHに変更し、X後に出力信号をHからLに変更する。HPF111は、パケット長検出部500の出力信号のうち、高周波成分のみを通して図11(d)の出力信号を生成する。図11(e)の基準電圧Vrefは、この場合HPF出力と同一である。基準電圧VrefにHPF111の出力信号を加えた電圧が電源105に入力され、電源105は、入力電圧に従って図11(f)の出力電圧Voを生成する。すなわち、負荷電流の増加するトラフィック増加時には出力電圧Voを上げ、負荷電流の減少するトラフィック減少時には出力電圧Voを下げ、急激なトラフィック増減に関わらず安定した電源電圧を供給できる。
【0040】
以上説明したように、パケット処理LSI 100Bは、パケットに含まれるパケット長情報からトラフィック変動量を検出し、それに応じて電源電圧値を制御することで、急激なトラフィック増減に関わらず安定した電源電圧を保つことができる。
【0041】
図12を参照して、他のパケット処理LSI 100Cと電源105の接続関係を説明する。図12において、パケット処理LSI 100Cは、電流検出部103Bと、微分器104と、n台の主論理部710とから、構成される。電流検出部103Bは、パケット判定部110Aを含んで構成される。微分器104は、HPF111を含んで構成される。パケット処理LSI 100Cは、電源105にVrefを供給する。電源105は、パケット処理LSI 100Cに電源供給する。電流検出部103Bは、n本の伝統路700と接続されている。伝送路700には、主論理部710がそれぞれ接続されている。
【0042】
図12において、複数の伝送路と接続するパケット処理LSI 100Cは、パケット判定部110Aが伝送路1から伝送路n中のパケットを監視して、それぞれの主論理部710が動作するタイミングを検出する。すなわち、パケット判定部110Aは、トラフィック量を監視することでパケット処理LSI 100Cが消費する電流を検出する。この結果、パケット判定部110Aは、電流検出部103として機能する。HPF111は、電流検出部103が検出した電流量をフィルタすることで電流の変動量に応じた出力信号を生成し、微分器104の役割を果たしている。HPF111の出力を電源105の基準電圧Vrefと加算することで、電源105の入力電圧は電流の変動量に応じて上下する。電源105は、出力電圧VoをフィードバックしたVfbと入力電圧とを比較して出力電圧Voを生成するので、電流の変動量に応じて出力電圧Voを制御できる。すなわち、負荷電流の増加するトラフィック増加時には出力電圧Voを上げ、負荷電流の減少するトラフィック減少時には出力電圧Voを下げ、急激なトラフィック増減に関わらず安定した電源電圧を供給できる。
【0043】
図13を参照して、伝送路からパケットを受信した場合の動作波形を説明する。図13において、(a)は伝送路1データ、(b)は伝送路nデータ、(c)はパケット判定部出力、(d)はHPF出力、(e)はVref、(f)はVoをそれぞれ示す。図13(f)の破線は、LSI動作電圧範囲である。
【0044】
パケット判定部110Aは、伝送路1から伝送路n中にあるパケットのSOPとEOPを検出する。すなわち、トラフィック増加時には主論理部102が動作開始するタイミングで出力信号をLからHに変更し、トラフィック減少時には主論理部102が動作終了するタイミングで出力信号をHからLに変更する。HPF111は、パケット判定部110の出力信号のうち、高周波成分のみを通して出力信号を生成する。基準電圧VrefにHPF111の出力信号を加えた電圧が電源105に入力され、電源105は、入力電圧に従って出力電圧Voを生成する。すなわち、トラフィック増加時には出力電圧Voを上げ、トラフィック減少時には出力電圧Voを下げ、急激なトラフィック増減に関わらず安定した電源電圧を供給できる。
【0045】
以上説明したように、パケット処理LSI 100Cは、複数の伝送路のトラフィック変動量を監視し、それに応じて電源電圧値を制御することで、急激なトラフィック増減に関わらず安定した電源電圧を保つことができる。
【符号の説明】
【0046】
100…パケット処理LSI、101…伝送路、102…主論理部、103…電流検出部、104…微分器、105…電源、106…基準電圧Vref、107…出力電圧Vo、110…パケット判定部、111…HPF、900…通信装置、901…入力ファイバ、902…O/E変換器、903…SerDes、904…SerDes、905…E/O変換器、906…出力ファイバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主論理部と、この主論理部の負荷電流を検出する電流検出部と、この電流検出部が検出した負荷電流を微分する微分器とからなる情報処理回路であって、
外部電源から電源供給を受け、前記外部電源に対して前記微分器の出力を制御信号として供給することを特徴とする情報処理回路。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理回路であって、
前記主論理部は、パケット処理を実施し、
前記電流検出部は、パケットのトラフィック量を監視して、前記負荷電流を検出することを特徴とする情報処理回路。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理回路であって、
前記主論理部は、パケット処理を実施し、
前記電流検出部は、パケットの先頭と終端とを検出することでトラフィック量を監視して、前記負荷電流を検出することを特徴とする情報処理回路。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理回路であって、
前記主論理部は、パケット処理を実施し、
前記電流検出部は、パケットのヘッダ情報であるパケット長に基づいてトラフィック量を監視して、前記負荷電流を検出することを特徴とする情報処理回路。
【請求項5】
第1の主論理部と、第2の主論理部と、この第1の主論理部と第2の主論理部との負荷電流を検出する電流検出部と、この電流検出部が検出した負荷電流を微分する微分器とからなる情報処理回路であって、
外部電源から電源供給を受け、前記外部電源に対して前記微分器の出力を制御信号として供給することを特徴とする情報処理回路。
【請求項6】
第1の光信号を電気信号に変換するO/E変換器と、前記電気信号を低速電気信号へシリアル/パラレル変換を行なうシリアル/パラレル変換器と、このシリアル/パラレル変換器の出力についてパケット処理を行なうパケット処理部と、このパケット処理部の出力について高速電気信号へパラレル/シリアル変換を行なうパラレル/シリアル変換部と、前記高速電気信号を第2の光信号に変換するE/O変換器と、前記O/E変換器と前記シリアル/パラレル変換器と前記パケット処理部と前記パラレル/シリアル変換部と前記E/O変換器とに電源供給する電源とからなる通信装置において、
前記パケット処理部は、主論理部と、この主論理部の負荷電流を検出する電流検出部と、この電流検出部が検出した負荷電流を微分する微分器とからなり、前記電源に対して前記微分器の出力を制御信号として供給することを特徴とする通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−142567(P2011−142567A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2993(P2010−2993)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】