説明

情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム

【課題】キャリブレーションを、例えば、容易に、かつ確実に実行することができるようにする。
【解決手段】プリンタ21の検知部311は、プリンタ12の使用環境又は使用条件を検知する。PC11のキャリブレーション部301は、検知された使用環境又は使用条件に基づいて、プリンタ21が画像データに応じて印刷媒体上に再現した色の測色値を目標値に合致させるためのキャリブレーションを行うタイミングを判定し、キャリブレーションを行うタイミングであると判定したとき、そのキャリブレーションを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置には、通常、装置単体毎に差異があり、上記濃度階調値と、それらに対して実際に出力される色彩値との関係(以下、適宜、濃度特性と称する)も単体毎に相違する。そこで、装置の出荷時に、実際にメディア上に形成される画像の濃度(色彩値)が、所定の標準値(以下、目標値と称する)になるようにその装置の濃度特性に合った補正値が定められ、画像形成時には、対象とする画像データの各濃度階調値に対して、補正値に基づく色補正処理が行われるようになされている。
【0003】
しかしながら、環境の変化や各部の経年劣化等により、上述した濃度特性も変わってくる。そこで出力結果を上記目標値に保つために、印刷装置では、当初の補正値を調整するキャリブレーションが適宜行われる。
【0004】
キャリブレーションの一方法として、カラーチャートを用いる方法がある。この方法では、印刷装置で使用する色材(トナーやインク)の色毎に、それぞれ画像データの階調値を変化させた複数のパッチパターンからなるカラーチャートが印刷される。そしてカラーチャートの各パッチパターンの濃度(色彩値)を測色し、各パッチパターンの階調値に対して予定された目標値と当該実測値との差分に基づいて補正値が更新される。更新された補正値に基づいてルックアップテーブル(LUT)が適宜補正される。
【0005】
キャリブレーションの評価方法については、特許文献1に開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2005−204053号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで印刷装置のキャリブレーションは、例えば、用紙の変更があったときや、また保有する補正値の生成時の環境(例えば、気温や湿度)と異なる状況で使用するときに行われる。
【0008】
しかしながら、キャリブレーションを行うべき印刷装置の使用条件の変更や環境の変化はユーザが判断しなければならない。そのため、適切にキャリブレーションが実行されない可能性があるとともに、その判断自体もユーザの負担になる。
【0009】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、キャリブレーションを容易に、正確に実行させることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の側面の情報処理装置は、印刷装置が画像データに応じて印刷媒体上に再現した色の測色値を目標値に合致させるためのキャリブレーションを実行する情報処理装置であって、印刷装置の使用環境又は印刷装置の使用条件を検知する検知手段と、検知手段により検知された使用環境又は使用条件に基づいて、キャリブレーションを行うタイミングを判定する判定手段と、判定手段によりキャリブレーションを行うタイミングであると判定されたとき、キャリブレーションを実行する実行手段とを有することを特徴とする。
【0011】
検知手段は、印刷装置の筐体内の温度若しくは湿度を検知し、判定手段は、検知手段により検知された印刷装置の筐体内の温度若しくは湿度に基づいて、キャリブレーションを行うタイミングを判定することができる。
【0012】
本発明の第1の側面の情報処理方法は、印刷装置が画像データに応じて印刷媒体上に再現した色の測色値を目標値に合致させるためのキャリブレーションを実行する情報処理装置の情報処理方法であって、印刷装置の使用環境又は印刷装置の使用条件を検知する検知ステップと、検知ステップで検知された使用環境又は使用条件に基づいて、キャリブレーションを行うタイミングを判定する判定ステップと、判定ステップでキャリブレーションを行うタイミングであると判定されたとき、キャリブレーションを実行する実行ステップとを含むことを特徴とする。
【0013】
本発明の第1の側面のプログラムは、印刷装置が画像データに応じて印刷媒体上に再現した色の測色値を目標値に合致させるためのキャリブレーションをコンピュータに実行させるプログラムであって、印刷装置の使用環境又は印刷装置の使用条件を検知する検知ステップと、検知ステップで検知された使用環境又は使用条件に基づいて、キャリブレーションを行うタイミングを判定する判定ステップと、判定ステップでキャリブレーションを行うタイミングであると判定されたとき、キャリブレーションを実行する実行ステップとを含む情報処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0014】
本発明の第1の側面の情報処理装置、情報処理方法、又はプログラムにおいては、印刷装置の使用環境又は印刷装置の使用条件が検知され、検知された使用環境又は使用条件に基づいて、印刷装置が画像データに応じて印刷媒体上に再現した色の測色値を目標値に合致させるためのキャリブレーションを行うタイミングが判定され、キャリブレーションを行うタイミングであると判定されたとき、キャリブレーションが実行される。
【0015】
本発明の第2の側面の情報処理装置は、印刷装置により印刷される、各色の各階調値のデータに基づくパッチパターンの測色値を目標値に合致させるための補正値を生成するキャリブレーションを実行する情報処理装置であって、情報処理装置とネットワークを介して接続されている外部装置が、所定の印刷媒体又は所定の解像度についての補正値を保持しているか否かに基づいて、キャリブレーションを行うタイミングを判定する判定手段と、判定手段によりキャリブレーションを行うタイミングであると判定されたとき、外部装置に保持されている補正値を取得し、それを、所定の印刷媒体又は所定の解像度についての色補正に用いられるように記憶手段に記憶させる記憶制御手段とを有することを特徴とする。
【0016】
記憶手段は、所定の印刷媒体又は所定の解像度についての色補正に用いられる補正値を記憶し、判定手段は、外部装置が、所定の印刷媒体又は所定の解像度以外の印刷媒体又は解像度についての補正値を保持している場合、キャリブレーションを行うタイミングであると判定し、記憶制御手段は、外部装置に保持されている所定の印刷媒体又は所定の解像度以外の印刷媒体又は解像度についての補正値を取得し、その印刷媒体又は解像度についての色補正に用いられるように記憶手段に記憶させることを特徴とする。
【0017】
記憶手段は、所定の印刷媒体又は所定の解像度についての色補正に用いられる補正値を、測色値と目標値の差分に基づく補正値の精度を表す情報とともに記憶し、判定手段は、外部装置が、精度以上の精度を有する補正値を保持している場合、キャリブレーションを行うタイミングであると判定し、記憶制御手段は、外部装置に保持されている精度以上の精度を有する補正値を取得し、色補正に用いられるように記憶手段に記憶させることを特徴とする。
【0018】
本発明の第2の側面の情報処理方法は、印刷装置により印刷された、各色の各階調値のデータに基づくパッチパターンの測色値を目標値に合致させるための補正値を生成するキャリブレーションを実行する情報処理装置の情報処理方法であって、情報処理装置とネットワークを介して接続されている外部装置が、所定の印刷媒体又は所定の解像度についての補正値を保持しているか否かに基づいて、キャリブレーションを行うタイミングを判定する判定ステップと、判定ステップでキャリブレーションを行うタイミングであると判定されたとき、外部装置に保持されている補正値を取得し、それを、所定の印刷媒体又は所定の解像度についての色補正に用いられるように記憶手段に記憶させる記憶制御ステップとを含むことを特徴とする。
【0019】
本発明の第2の側面のプログラムは、印刷装置により印刷された、各色の各階調値のデータに基づくパッチパターンの測色値を目標値に合致させるための補正値を生成するキャリブレーションをコンピュータに実行させるプログラムであって、コンピュータとネットワークを介して接続されている外部装置が、所定の印刷媒体又は所定の解像度についての補正値を保持しているか否かに基づいて、キャリブレーションを行うタイミングを判定する判定ステップと、判定ステップでキャリブレーションを行うタイミングであると判定されたとき、外部装置に保持されている補正値を取得し、それを、所定の印刷媒体又は所定の解像度についての色補正に用いられるように記憶手段に記憶させる記憶制御ステップとを含む情報処理をコンピュータに実行させる。
【0020】
本発明の第2の側面の情報処理装置、情報処理方法、又はプログラムにおいては、コンピュータとネットワークを介して接続されている外部装置が、所定の印刷媒体又は所定の解像度についての補正値を保持しているか否かに基づいて、印刷装置により印刷された、各色の各階調値のデータに基づくパッチパターンの測色値を目標値に合致させるための補正値を生成するキャリブレーションを行うタイミングが判定され、キャリブレーションを行うタイミングであると判定されたとき、外部装置に保持されている補正値が取得され、それが、所定の印刷媒体又は所定の解像度についての色補正に用いられるように記憶手段に記憶される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら説明する。尚、各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態としてのPC11及びプリンタ21の構成例を示すブロック図である。
【0023】
PC11は、ユーザが指定したオブジェクト等のRGB各色階調値によって表現されたカラー画像データから、プリンタ21で印刷可能な各色ドットの形成有無によって表現された印刷データを生成し、それをプリンタ21に供給する。プリンタ21は、PC11から供給された印刷データに基づく画像を、給紙される用紙に複数の解像度で印刷することができる、いわゆるダイレクトプリントに対応したカラーインクジェットプリンタである。PC11とプリンタ21はまた、協働して、後述するキャリブレーションを実行する。
【0024】
PC11は、制御部31とハードディスク装置(HDD)32とを備えている。
【0025】
制御部31は、RAM(Random Access Memory)、CPU(Central Processing Unit)、及びI/O(いずれも図示せず)等で構成されている。制御部31は、例えばハードディスク装置32に保持されているコンピュータプログラムを実行することにより、ユーザが指定したオブジェクトをプリンタ21に印刷させたり、プリンタ21と協働してキャリブレーションを実行する。
【0026】
ハードディスク装置32には、オペレーティングシステム(図示せず)、カラーマネジメントプログラム111、及びプリンタドライバ112等の各種のコンピュータプログラムが記録されている。ハードディスク装置32にはまた、色補正に用いられる補正値が保持されている。なお色補正に用いられる補正値は、印刷媒体(即ちメディア)及び解像度によって異なるので、例えばメディア及び解像度毎にファイル形式で保持されている。
【0027】
カラーマネジメントプログラム111は、オブジェクトの印刷、カラーチャートの印刷、カラーチャートの測色、色補正、印字認証などの機能を提供するアプリケーションプログラムである。プリンタドライバ112は、カラーマネジメントプログラム111の制御に従って、プリンタ21を制御し、印刷処理を実行させるアプリケーションである。
【0028】
PC11は、キーボードやポインティングデバイス等からなる操作部12とドットマトリクスディスプレイ等からなる表示部13とを介して操作される。
【0029】
プリンタ21は、制御部41、印字部42、及び送紙部43を備えている。
【0030】
制御部41は、RAM、ROM(Read Only Memory)、CPU、及びI/O(いずれも図示せず)等で構成されている。制御部41は、PC11からの指示に応じて、各部を制御し、印刷処理等を実行させる。
【0031】
印字部42は、印字ヘッド42a、印字ヘッド42aを用紙(図1の例では、用紙P)の搬送方向に対して垂直な方向に移動させる駆動機構及びモータ(共に図示せず)等で構成されており、制御部41の制御に従って、印字オブジェクトの画像をインクジェット方式で用紙Pに形成する。印字ヘッド42aには、印字ヘッド42aの温度を測定するための温度センサ42bが取り付けられている。
【0032】
送紙部43は、用紙Pを搬送するためのローラ43a、モータ(図示せず)、用紙Pを裁断するためのカッター43b等で構成されており、制御部41の制御に従って、用紙Pを搬送する。
【0033】
プリンタ21の筐体内には、気温と湿度とを検出するための気温センサ44aと湿度センサ44bとが取り付けられている。
【0034】
プリンタ21には、乾燥機22及び測色機23が取り付けられている。
【0035】
乾燥機22は、送風ファン22a、及び発熱器(図示せず)等で構成されており、プリンタ21の制御部41の制御に従って、プリンタ21の送紙部43により搬送されてきた用紙Pを乾燥させる。
【0036】
測色機23は、光源23a、分光器(図示せず)、及び受光器23b等から構成され、プリンタ21の制御部41の制御に従って、プリンタ21の送紙部43によって搬送される用紙Pに印字されているカラーチャートの各パッチパターンについてLab値を分光測色方法によって測定する。
【0037】
図1には、キャリブレーションを実行するためのPC11の制御部31の機能的構成も示されている。この機能は、制御部31が、ハードディスク装置32に格納されているカラーマネジメントプログラム111及びプリンタドライバ112を実行することにより実現可能となる。
【0038】
キャリブレーション部121は、カラーマネジメントプログラム111の実行により実現される。キャリブレーション部121は、プリンタドライバ112を制御して、キャリブレーションの実行を制御する。
【0039】
ジョブ生成部131、スプールキュー132、及び印刷制御部133は、プリンタドライバ112の実行により実現される。
【0040】
ジョブ生成部131は、ユーザによって指定される任意のオブジェクトを印刷するための印刷ジョブを生成したり、キャリブレーション部121の制御に従って、キャリブレーションに利用するカラーチャートを印刷するための印刷ジョブや認証情報を印刷するための印刷ジョブを生成する。
【0041】
ここで認証情報は、キャリブレーションに用いられるカラーチャートの印刷の状況または状態を認証する情報であって、その印刷が実行された時刻、その印刷が実行された時の気温や湿度、その印刷が実行された時の印字ヘッド42aの温度を表す文字、記号等で構成される。
【0042】
スプールキュー132は、ジョブ生成部131により生成されたジョブを一時的に格納するバッファを構成する。
【0043】
印刷制御部133は、スプールキュー132に格納されているジョブを順次取り出して実行する。すなわち印刷制御部133は、ジョブを構成しているコマンドをプリンタ21に送信することによってプリンタ21を制御し、ジョブに設定されているオブジェクト、又はカラーチャートや認証情報をプリンタ21において印刷させる。
【0044】
図2は、キャリブレーションの流れを示すフローチャートである。このフローチャートを参照して、PC11及びプリンタ21で実行されるキャリブレーションについて説明する。
【0045】
図3は、キャリブレーションの実行に先立って表示部13に表示されるダイアログボックス201の表示例を示している。このダイアログボックス201は、プリンタドライバ112のジョブ生成部131により表示されるものであって、カラーマネジメントプログラム111が提供するGUI(Graphical User Interface)を介してユーザがキャリブレーションの実行を要求したときに表示される。
【0046】
このダイアログボックス201は、3つの選択部211,212,213とOKボタン214から構成されている。
【0047】
選択部211は、キャリブレーションの対象メディアを選択するときに操作される。選択部212は、キャリブレーションの対象解像度を選択するときに操作される。選択部213は、認証情報を印刷するときに操作される。OKボタン214は、各選択部での選択内容を確定して、キャリブレーションを実行させるときに操作される。
【0048】
図3の例では、対象メディアとして、メディアM1が選択され、対象解像度として、解像度D1,D2,D3が選択されている。この設定によれば、メディアM1における解像度D1,D2,D3についてのキャリブレーションが行われる。なお解像度D1,D2,D3の解像度は、解像度D1、D2、そしてD3の順番に高いものとする。即ち解像度D1,D2,D3の比較においては、解像度D1が低解像度、解像度D2が中解像度、そして解像度D3が高解像度と、言うことができる。なおデフォルトでは、選択可能な解像度が全て選択されているようにすることができる。
【0049】
また図3の例では、認証情報の印刷が設定されている。
【0050】
このようにダイアログボックス201を介して、ユーザが、キャリブレーションの対象メディア及び対象解像度を選択し、認証情報の印刷の要否を設定して、OKボタン214を操作すると、キャリブレーションが開始され、図2のステップS11において、PC11のキャリブレーション部121は、いまから行うキャリブレーションの条件を決定する。この例の場合、ダイアログボックス201を介してユーザによって選択されたキャリブレーションの対象メディア及び対象解像度や、印刷される認証情報のレイアウト等が、キャリブレーションの条件として決定させる。
【0051】
図3の例では、対象メディアがメディアM1であること、対象解像度が解像度D1,D2,D3であること等がキャリブレーションの条件として決定される。
【0052】
次にステップS12において、キャリブレーション部121は、ジョブ生成部131を制御して、ステップS11で決定した条件に対応するキャリブレーションジョブを生成させる。
【0053】
ここで生成されるキャリブレーションジョブは、キャリブレーションの対象解像度を示す情報や、最初にキャリブレーションの対象となる解像度のカラーチャートを印刷させるためのコマンド等を含んでいる。この例では、解像度の低い方からキャリブレーションの対象となるので、対象解像度のうち解像度が最も低い解像度D1のカラーチャートを印刷させるためのコマンド等を含むキャリブレーションジョブが生成される。
【0054】
ステップS13において、生成されたキャリブレーションジョブは、スプールキュー132を介して、印刷制御部133に送られ、ステップS14において、印刷制御部133がそれを取り込むと、キャリブレーションジョブが実行可能な状態になる。
【0055】
このようにキャリブレーションジョブが実行可能な状態になると、ステップS15において、印刷制御部133は、ユーザにより選択された各対象解像度のカラーチャートの印刷データの生成を、解像度の低い方から開始する。この例では、解像度D1、解像度D2、及び解像度D3での、色毎の、それぞれの階調値を変化させた複数のパッチパターンのビットマップデータの生成が、解像度D1、D2、そしてD3の順番で行われる。
【0056】
印刷制御部133は、最初にキャリブレーションの対象とされる解像度(この例の場合、解像度D1)のカラーチャートの印刷データを生成すると、ステップS16において、その印刷データを、例えばバンド単位でプリンタ21に送信する。なお解像度D2,D3のカラーチャートの印刷データの生成は、それらのデータが生成されるまで、継続して行われる。
【0057】
ステップS17において、プリンタ21の制御部41が、PC11からプリンタ21に送信されてきた印刷データを取得し、ステップS18において、取得した印刷データに基づくカラーチャートの形成を実行する。具体的には、送紙部43の各ローラ43aによって用紙P(この例の場合、メディアM1の用紙P)が搬送されながら、印字部42によって、パッチパターンの画像がインクジェット方式で用紙P上の所定の位置に形成される。
【0058】
このようにカラーチャート(いまの場合、解像度D1のカラーチャート)の画像形成が行われると、ステップS19において、プリンタ21の制御部41は、印字ヘッド42aに取り付けられている温度センサ42b、並びに気温センサ44a及び湿度センサ44bとから印字ヘッド42aの温度、並びにプリンタ21の筐体内の気温及び湿度とを示すセンサデータを取得し、PC11に送信する。
【0059】
ステップS20において、PC11のキャリブレーション部121は、プリンタ21からPC11に送信されてきたセンサデータを取得する。キャリブレーション部121はまた、計時データとして現在時刻をオペレーティングシステムから取得する。
【0060】
このとき取得される現在時刻は最初にキャリブレーションの対象となる解像度(いまの場合、解像度D1)のカラーチャートの印刷が完了した時刻にほぼ一致する。なお、計時データとして現在時刻を取得するタイミングは、ジョブの実行開始直後など、ジョブの実行中であればいつでもよい。
【0061】
次にステップS21において、PC11のキャリブレーション部121は、形成されたカラーチャートに対する乾燥及び測色を、プリンタ21に指示し、ステップS22において、乾燥機22及び測色機23は、プリンタ21の制御部41を介してその指令を入力し、ステップS23において、ステップS18で形成されたカラーチャート(いまの場合、解像度D1のカラーチャート)の画像に対する乾燥及び測色を行う。
【0062】
具体的には乾燥機22は、発熱器と送風ファン22aを起動し、カラーチャートを形成しているインク全体を、用紙Pを搬送しながら乾燥する。測色機23は、光源23aを点灯してカラーチャートを照明し、分光器を通じて受光器23bに入射するカラーチャートの反射光を検出することによってカラーチャートを構成する各パッチパターンを測色する。なおその際、制御部41は、送紙部43を制御して、カラーチャートが乾燥機22によって乾燥される位置に用紙Pを搬送させ、乾燥後においては測色機23のカラーチャートの走査のために用紙Pを搬送させる。
【0063】
このようにしてカラーチャートの画像に対する乾燥及び測色が行われると、ステップS24において、測色機23は、プリンタ21の制御部41を介して、測色結果をPC11に送信する。なお測色結果はカラーチャートを構成するパッチパターンをLab値で読み取った画像データである。
【0064】
ステップS25において、PC11のキャリブレーション部121は、プリンタ21を介してPC11に送信された測色結果を取得し、ステップS26において、計時データとして取得した現在時刻、並びにセンサデータとして取得した印字ヘッド42aの温度、及びプリンタ21の筐体内の気温と湿度に基づいて認証情報を確定させる。またキャリブレーション部121は、受信した測色結果に基づいて、解像度D1についての補正値ファイルを更新する。具体的には、基準となるカラーチャートの測色値(即ち目標値)と、取得した測色結果とを差分を算出し、その算出結果に基づいて解像度D1についての補正値ファイルの補正値を更新する。なお基準となるカラーチャートの測色値(即ち、目標値)は、例えばハードディスク装置32に記憶されている。この更新された補正値ファイルによってルックアップテーブルが適宜補正されることにより、色補正が行われる。なお補正値ファイル及びルックアップテーブルは、対応付けられてハードディスク装置32に記憶されている。
【0065】
このように解像度D1についての補正値ファイルが更新され(即ち解像度D1のキャリブレーションが行われ)、そのときの認証情報が確定すると、ステップ27において、キャリブレーション部121は、ジョブ生成部131を制御して、次の印刷ジョブを生成させる。ここで生成される印刷ジョブは、次にキャリブレーションの対象となる解像度のカラーチャートを印刷させるためのコマンド等を含んでいる。いまの場合、解像度D2のカラーチャートを印刷させるためのコマンド等を含む印刷ジョブが生成される。
【0066】
ステップS28において、生成された印刷ジョブは、スプールキュー132を介して、印刷制御部133に送られ、ステップS29において、印刷制御部133がそれを取り組むと、その印刷ジョブが実行可能な状態になる。
【0067】
このように印刷ジョブが実行可能な状態になると、ステップ30において、PC11の印刷制御部133は、次の解像度のカラーチャートの印刷データを送信する。いまの場合、解像度D2のカラーチャートの印刷データが送信される。なお解像度D1,D2,D3のカラーチャートの印刷データの生成は、ステップS15で既に開始されており、上述したステップS16からステップS29の処理に要する時間は、それらのカラーチャートの印刷データの生成に要する時間より十分長いため、ステップS30の処理が行われる前には、解像度D2(及び解像度D3)によるカラーチャートの印刷データは既に生成されている。
【0068】
ステップS31において、プリンタ21の制御部41が、PC11からプリンタ21に送信されてきた印刷データ(いまの場合、解像度D2のカラーチャートの印刷データ)を取得し、ステップS32において、ステップS18での処理と同様に、取得した印刷データに基づくカラーチャート(いまの場合、解像度D2のカラーチャート)を形成する。
【0069】
次にステップS33において、プリンタ21の制御部41は、ステップS19での処理と同様に、印字ヘッド42aの温度、並びにプリンタ21の筐体内の気温及び湿度とを示すセンサデータを取得し、PC11に送信する。
【0070】
ステップS34において、PC11のキャリブレーション部121は、ステップS20での処理と同様に、プリンタ21からPCに送信されてきたセンサデータを取得し、計時データとして現在時刻をオペレーティングシステムから取得する。
【0071】
次にステップS35において、PC11のキャリブレーション部121は、乾燥及び測色を、プリンタ21に指示し、ステップS36において、乾燥機22及び測色機23は、プリンタ21の制御部41を介してその指示を入力し、ステップS37において、ステップS23での処理と同様に、乾燥機22及び測色機23は、ステップS32で形成されたカラーチャート(いまの場合、解像度D2のカラーチャート)に対する乾燥及び測色を行う。
【0072】
解像度D2のカラーチャートの乾燥及び測色が行われると、ステップS38において、測色機23は、プリンタ21の制御部41を介して、測色結果をPC11に送信する。
【0073】
ステップS39において、PC11のキャリブレーション部121は、プリンタ21からPC11に送信されてきた測色結果を取得し、ステップS40において、ステップS26の処理と同様に、計時データとして取得した現在時刻、並びにセンサデータとして取得した印字ヘッド42aの温度、及びプリンタ21の筐体内の気温と湿度に基づいて認証情報を確定させる。またキャリブレーション部121は、取得した測色結果に基づいて、解像度D2についての補正値ファイルを更新する。
【0074】
このように解像度D2についての補正値ファイルが更新され(即ち解像度D2についてのキャリブレーションが行われると)、そのときの認証情報が確定すると、ステップS41において、キャリブレーション部121は、設定された全ての対象解像度についてキャリブレーションを行ったか否かを判定し、まだ残っている解像度があると判定した場合、ステップS27に戻り、次のキャリブレーションの対象である解像度に対してのキャリブレーションを実行する。いまの場合、まだ解像度D3についてのキャリブレーションが実行されていないので、ステップS41で、NOの判定がなされ、ステップS27に戻り、解像度D3についてのキャリブレーションが実行される。
【0075】
即ちステップ27で、解像度D3によるカラーチャートを印刷するための印刷ジョブが生成され、ステップS28及びS29で、その印刷ジョブが実行可能な状態になると、ステップ30及びS31で、解像度D3のカラーチャートの印刷データがプリンタ21に供給され、ステップS32で、解像度D3のカラーチャートが形成される。
【0076】
ステップS33及びS34で、そのときのセンサデータがPC11に提供される。
【0077】
次にステップS35及びS36で、乾燥及び測色が指示され、ステップS37で、解像度D3のカラーチャートに対する乾燥及び測色が行われる。ステップS38及びS39で、測色結果がPC11に提供される。
【0078】
ステップS40で、解像度D3についての補正値ファイルが更新され、そのときの認証情報が確定する。
【0079】
このように解像度D3についての補正値ファイルが更新され(即ち解像度D3についてのキャリブレーションが行われ)、その認証情報が確定すると、再びステップS41で、設定された全てのキャリブレーションの対象解像度についてキャリブレーションを行ったか否かが判定され、全ての対象解像度についてキャリブレーションを行ったと判定された場合、ステップS42に進む。いまの場合、対象解像度D1,D2,D3の全てについてキャリブレーションが行われたので、YESの判定がなされ、ステップS42に進む。
【0080】
ステップS42において、PC11のキャリブレーション部121は、ステップS26及びS40で確定した認証情報を印刷させるための印刷ジョブを生成する。
【0081】
ステップS43において、生成された印刷ジョブは、スプールキュー132を介して、印刷制御部133に送られ、ステップS44において、印刷制御部133がそれを取り込むと、その印刷ジョブが実行可能な状態になる。
【0082】
このように印刷ジョブが実行可能な状態になると、ステップS45において、印刷制御部133は、認証情報の印刷データをプリンタ21に送信する。
【0083】
ステップS46において、プリンタ21は、PC11から送信されてきた認証情報の印刷データを取得し、ステップS47において、取得した印刷データに基づく認証情報の印刷を実行する。即ちメディアの所定の位置に認証情報が形成され、そのインク全体が乾燥される。
【0084】
このように認証情報が印刷されると、キャリブレーション処理は終了する。
【0085】
以上のように、例えばユーザが、キャリブレーションの対象解像度を選択し(例えば、図3の選択部212を用いて選択し)、キャリブレーションの開始を1度だけ指示するだけで(例えば、図3のOKボタン214を操作するだけで)、複数の解像度(例えば、解像度D1,D2,D2)についてのキャリブレーションが実行されるようにしたので、簡単な操作で、複数の解像度(例えば、解像度D1,D2,D2)についてのキャリブレーションを行うことができる。
【0086】
また以上のように、複数の解像度(例えば、解像度D1,D2,D2)のカラーチャートの印刷データの生成を予め行い(例えば、ステップS15)、先に印刷された解像度のカラーチャート(例えば、解像度D2のカラーチャート)についての測色が行われたタイミングで(例えば、ステップS37)、次の解像度のカラーチャート(例えば、解像度D3のカラーチャート)の印刷が開始されるようにしたので(例えば、ステップS37の後、ステップS41を経由して再びステップS32が実行されるので)、複数の解像度についてのキャリブレーション処理を、迅速に行うことができる。
【0087】
また解像度が低いほど、カラーチャートの印刷データの生成に要する時間が短いことから、解像度が低い方からカラーチャート(例えば、解像度D1のカラーチャート)の印刷データを生成することにより、より迅速に、キャリブレーションを実行することができる。
【0088】
図4は、上述したキャリブレーションでの、印刷データの生成、その送信、その画像形成、及び乾燥と測色の処理時間及びそのタイミングを模式的に示した図である。このように対象解像度D1,D2,D3のカラーチャートの印刷データの生成が開始され(ステップS15)、先に印刷されたカラーチャート(例えば、解像度D2のカラーチャート)の測色が行われたタイミングで(例えば、ステップS37)、次の解像度のカラーチャート(例えば、解像度D3のカラーチャート)を形成できるようにしたので(例えば、ステップS37の後、ステップS41を経由して再びステップS32)、複数の解像度についてのキャリブレーションを、迅速に行うことができる。
【0089】
また解像度D1の印刷データの生成に要する時間が短いことから(図4においては、「解像度D1の印刷データの生成」が付されている矩形の縦方向の幅が最も小さいことから)、解像度D1のカラーチャートの印刷データから生成することにより、その後の処理をより迅速に開始することができ、その結果キャリブレーション全体の処理時間を短縮することができる。
【0090】
図5は、図4の場合と異なり、形成されたカラーチャートに対する乾燥・測色が行われた後に次の解像度のカラーチャートのデータ生成が行われる場合のタイミングを模式的に示した図である。全てのキャリブレーションに要する時間T2は、図4の場合の時間T1に比べて長くなる。
【0091】
また以上においては、カラーチャートの形成(例えば、ステップS18,S32)と乾燥(例えば、ステップS23,S37)の間で検出されたセンサデータ(例えば、ステップS19,S20,S33,S34)、即ち画像形成と乾燥処理を合わせて印刷処理と称すれば、印刷処理中に検出されたセンサデータに基づいて認証情報を確定するようにしたので(例えば、ステップS26,S40)、印刷時の環境を正確に示す認証情報を印刷することができる。
【0092】
図6は、解像度D1,D2,D3のカラーチャートと認証情報の印刷例を示す図である。図6の上段の例では、認証情報は、カラーチャートの後段に印刷されている。図6の下段の例では、カラーチャートの前段に印刷されている。以上のように、各解像度のキャリブレーションについての認証情報を、まとめて印刷するようにしたので、印刷面積を減らすことができる。
【0093】
印刷開始直後のシートの先頭部においては、印刷機構の初期動作時の遊び等の理由から印刷精度が維持できないことから、通常は、図6の上段の例のように、その領域は印刷に利用されない。しかしながら認証情報についてはユーザが解読可能な程度の精度で印刷されればよいことから、その領域に印刷することも可能である。そこで図6の下段の例のように、認証情報を、カラーチャートの前段であって、カラーチャートが印刷されるシートの先頭に印刷することで、メディアを有効に利用することができる。
【0094】
[他の実施の形態]
以上においては、ユーザが、ダイアログボックス201(図3)のOKボタン214を操作したときにキャリブレーションが実行されるものとしたが(即ち手動で実行されていたが)、PC11及びプリンタ21側で、キャリブレーションを行うべきタイミングを決定し、そのタイミングでキャリブレーションが実行されるようにすることもできる(即ち自動的に実行させることもできる)。なお以下において、PC11及びプリンタ21側で、キャリブレーションを行うべきタイミングを決定し、キャリブレーションを実行する処理を、適宜、第1のキャリブレーション実行制御処理と称する。
【0095】
図7は、この第1のキャリブレーション実行制御処理を行うPC11及びプリンタ21の構成例を示す図である。
【0096】
このPC11は、図1のPC11のキャリブレーション部121に代えて、キャリブレーション部301が設けられている構成を有し、このプリンタ21は、図1のプリンタ21に、検知部311がさらに設けられている構成を有している。
【0097】
プリンタ21の検知部311は、プリンタ21の使用環境又は使用条件を検知し、PC11のキャリブレーション部301は、その検知部311による検知結果に基づいて、キャリブレーションを行うべきタイミングを決定し、そのタイミングで上述したキャリブレーション(図2)を実行させる。
【0098】
例えば、検知部311は、プリンタ21に、新たなメディアが装着されたとき、そのことを検知し(即ち使用条件を検知し)、装着されたメディアを特定し、メディアを識別する情報(例えば、ID)を制御部41に送信する。具体的には検知部311は、ロール紙が図示せぬロール装着部に装着されたとき、そのロール紙に付されているバーコード等を読み取ることにより得られたメディアのIDを、制御部41に送信する。
【0099】
制御部41は、検知部311から送信されてきた識別情報を、PC11に送信し、PC11のキャリブレーション部301は、それを、印刷制御部133を介して取得する。キャリブレーション部301は、取得した識別情報を有するメディアについての補正値ファイルを保有しているか否かを判定し、保有していないと判定した場合、そのメディアについてキャリブレーションを行うタイミングであると判定する。
【0100】
また検知部311は、図示せぬインクセットが差し替えられたとき、そのことを検知し(即ち使用条件を検知し)、その旨を示す信号を、制御部41に送信する。制御部41は、検知部311から送信されてきた検知信号を、PC11に送信し、PC11のキャリブレーション部301は、それを、印刷制御部133を介して取得する。キャリブレーション部301は、その検知信号を取得したとき、キャリブレーションを行うタイミングであると判定する。
【0101】
また検知部311は、気温センサ44a及び湿度センサ44bからの信号を、所定のタイミングで取得し(即ち使用環境を検知し)、制御部41に送信する。制御部41は、検知部311から送信されてきた検知信号を、PC11に送信し、PC11のキャリブレーション部301は、その検知信号を取得し、その検知信号が示す気温又は湿度が、保持しているいまから印刷を行うメディア及び解像度についての補正値ファイルの生成又は更新時の環境と一定以上異なるか否かを判定し、一定以上異なると判定した場合、キャリブレーションを行うタイミングであると判定する。なお補正値ファイルの生成又は更新時の環境を示す情報は、補正値ファイルに対応付けて記憶されているものとする。
【0102】
図8は、第1のキャリブレーション実行制御処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートを参照して、第1のキャリブレーション実行制御処理について説明する。
【0103】
ステップS111において、PC11のキャリブレーション部301は、プリンタ21の検知部311による検知結果に基づいて、キャリブレーションを行うべきタイミングであるか否かを判定する。その具体的な判定方法は、上述した通りである。
【0104】
ステップS111で、キャリブレーションを行うべきタイミングであると判定された場合、ステップS112において、PC11のキャリブレーション部301は、キャリブレーションの実行をユーザに促すための処理を実行する。例えばキャリブレーションの実行をユーザに促すメッセージが表示される。
【0105】
図9は、キャリブレーションの実行をユーザに促すメッセージの表示例を示す図である。例えば新たなメディアが装着され、そのメディアについての補正値ファイルが保有されていないことによりキャリブレーションを行うタイミングであると判定された場合、図9の最上段に示す、所定のメッセージが示されたダイアログボックス321が表示部13に表示される。
【0106】
またインクセットが差し替えられたことによりキャリブレーションを行うタイミングであると判定された場合、図9の中段に示す、所定のメッセージが示されたダイアログボックス322が表示部13に表示される。
【0107】
また使用環境の変化があったことによりキャリブレーションを行うタイミングであると判定された場合、図9の最下段に示す、所定のメッセージが示されたダイアログボックス323が表示される。
【0108】
図8に戻りステップS113において、PC11のキャリブレーション部301は、キャリブレーションの実行がユーザにより要求されたか否かを判定する。例えば図9に示したダイアログボックス321,322,323には、キャリブレーションの実行を要求する際に操作されるボタン331,332,333が設けられているので、それらのボタンが操作されたか否かが判定される。
【0109】
ステップS113で、キャリブレーションの実行がユーザにより要求されたと判定された場合、ステップS114において、図2に示したキャリブレーションが実行される。ステップS111で、キャリブレーションを行うべきタイミングではないと判定されたとき、又はステップS113で、キャリブレーションの実行がユーザにより要求されていないと判定されたときは、ステップS111に戻り、それ以降の処理が同様に行われる。
【0110】
以上のように、PC11及びプリンタ21側がキャリブレーションのタイミングを決定し、そのタイミングでキャリブレーションを実行するようにしたので、キャリブレーションを、例えば、容易に、かつ確実に実行することができる。
【0111】
[他の実施の形態]
PC11とプリンタ21の利用形態には、図1に示した一対一の利用形態の他、複数のPC11が、1台のプリンタ21を使用する形態も存在する。例えばプリンタ21が、コピー画像を高速で多数個連続印刷(即ち量産印刷)できる印刷機である場合、このような形態で利用される。図10には、2台のPC11−1,11−2が、1台のプリンタ21とネットワーク331を介して接続され、2台のPC11−1,11−2を介して、1台のプリンタ21を使用する利用形態の例が示されている。
【0112】
このように複数のPC11が存在する場合、各PC11のそれぞれにおいて上述したキャリブレーションにより、あるPC11において必要とする、例えば所定のメディアと所定の解像度についての補正値ファイルを他のPC11が既に保持していることも想定される。そこで、必要な補正値ファイルを他のPC11が保有している場合、その補正値ファイルを得るためのキャリブレーションを行わずに、他のPC11からその補正値ファイルを取得し、それを用いて色補正が行われるようにすることができる。なお以下において、必要な補正値ファイルを他のPC11が保有している場合、その補正値ファイルを取得して、色補正のために保有する処理を、適宜、第2のキャリブレーション実行制御処理と称する。
【0113】
図11は、この第2のキャリブレーション実行制御処理を行うPC11及びプリンタ21の構成例を示す図である。
【0114】
このPC11は、図1のキャリブレーション部121に代えて、キャリブレーション部351が設けられている構成を有している。
【0115】
図12は、第2のキャリブレーション実行制御処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートを参照して、第2のキャリブレーション実行制御処理について説明する。
【0116】
ステップS151において、PC11のキャリブレーション部351は、必要な補正値ファイルが他のPC11に保有されているか否かを判定する。
【0117】
補正値ファイルは、図13に示すように、メディア及び解像度毎に、ルックアップテーブルに対応付けられている。また各補正値ファイルには、作成又は更新時の日時、気温又は湿度等の環境を示す情報が含まれている。また補正値についての、測色値と目標値との差分に基づく精度を表す情報も含まれている。従ってPC11のキャリブレーション部351は、図示せぬネットワークを介して接続されている他のPC11に対して、保有している補正値ファイルに関する情報を問い合わせ、他のPC11から、他のPC11が保有する補正値ファイルについての、例えばメディアや解像度の種類、日時、気温や湿度等の環境、又は精度に関する情報を取得することができる。
【0118】
キャリブレーション部351は、他のPC11が保有する補正値ファイルに関する情報を取得すると、その情報に基づいて、必要な補正値ファイルを他のPC11が保有しているか否かを判定する。例えば所定のメディアと所定の解像度についての補正値ファイルを必要としている場合、そのメディアと解像度を表す情報が、補正値ファイルに関する情報として取得されたとき、必要な補正値ファイルを他のPC11が保有しているものと判定される。
【0119】
図12に戻りステップS151で、必要な補正値ファイルを他のPC11が保有していると判定された場合、ステップS152において、他のPC11が保有している補正値ファイルの適用をユーザに促すための処理を実行する。例えばキャリブレーションの実行をユーザに促すメッセージが表示される。図14は、キャリブレーションの実行をユーザに促すメッセージの表示例を示す図である。このように所定のメッセージが示されるダイアログボックス361又は362が表示部13に表示される。
【0120】
なおここで「適用」とは、補正値ファイル又は補正値を、色補正に用いられるように保有すること(例えば、図13に示したように、ルックアップテーブルと対応付けて保有すること)を意味している。
【0121】
再び図12に戻りステップS153において、PC11のキャリブレーション部351は、キャリブレーションの実行がユーザにより要求されたか否かを判定する。例えば図14に示したダイアログボックス361,362には、キャリブレーションの実行を要求する際に操作されるボタン371,372が設けられているので、それらのボタンが操作されたか否かが判定される。
【0122】
ステップS153で、キャリブレーションの実行がユーザにより要求されたと判定された場合、ステップS154において、PC11のキャリブレーション部351は、他のPC11が保有している補正値ファイルを取得して適用する。即ち取得された補正値ファイルは、例えばルックアップテーブルに対応付けて記憶される。ルックアップテーブルに対応付けて補正値ファイルが記憶されることにより、色補正にその補正値ファイル(即ち補正値)を用いることができるようになる。
【0123】
以上のように、必要な補正値ファイルを他のPC11が保有している場合、その補正値ファイルを得るためのキャリブレーションを行わずに、その補正値ファイルを他のPC11から取得して適用するようにしたので、効率よく、キャリブレーションを行うことができる。
【0124】
なお以上においては、第1のキャリブレーション実行制御処理と第2のキャリブレーション実行制御処理がそれぞれ別個に行われる場合を例として説明したが、図15のフローチャートに示すように、第1のキャリブレーション実行制御処理と第2のキャリブレーション実行制御処理を組み合わせて実行することができる。図15のステップS201からS204での処理が、図8のステップS111からS114の処理に相当し、図15のステップS205からS208の処理が、図12のステップS151からS154の処理に相当する。なお第1のキャリブレーション実行制御処理と第2のキャリブレーション実行制御処理を組み合わされた処理を、第3のキャリブレーション実行制御処理と称する。
【0125】
[他の実施の形態]
図1に示したように、測色機23の給紙方法は、通常、ロール紙に対応しているが、プリンタ21の中には、その給紙方法が、ロール紙と単票紙の両方に対応しているものがある。このようにプリンタ21の給紙方法がロール紙及び単票紙の両方に対応していても、測色機23の給紙方法がロール紙のみに対応している場合、単票紙についてのキャリブレーションを実行することができない。しかしながら、給紙可能な単票紙(即ち通常印刷可能な単票紙)の用紙とロール紙の用紙が、例えば共に写真用紙であって材質が同である場合、同じ補正値を用いて色補正が可能である。そこでロール紙についてのキャリブレーションの結果得られた補正値(又は補正値ファイル)を、その単票紙に適用することができる。なお以下において、同じ補正値を用いて色補正が可能である用紙同士を、適宜、同質の用紙と称する。
【0126】
図16は、ロール紙に対するキャリブレーションの結果得られた補正値を、通常印刷可能な単票紙に適用するキャリブレーション(以下、単票紙対応キャリブレーションと称する)を実行するPC11及びプリンタ21の構成例を示すブロック図である。
【0127】
このPC11は、図1のPC11のキャリブレーション部121に代えて、キャリブレーション部401が設けられている構成を有し、このプリンタ21は、図1のプリンタ21に、検知部411がさらに設けられている構成を有している。なお図16には、ロール紙に対応する給紙方法の構成のみが図示されているが、プリンタ21の給紙方法は、通常印刷においてはロール紙及び単票紙の両方に対応しているものとする。
【0128】
単票紙対応キャリブレーションは、基本的には、図2に示した処理が実行されるが、ステップS11の処理の中で、図17に示すフローチャートにその手順が示される対象メディア決定処理が実行される。この対象メディア決定処理により決定された対象メディアがキャリブレーションの条件とされる。
【0129】
この対象メディア決定処理では、はじめにステップS251において、PC11のキャリブレーション部401は、プリンタ21に給紙されるメディアを特定する。具体的には、プリンタ21に装着され、表示部13に表示される所定の操作画面において指定されたメディアが、給紙されるメディアとして特定される。プリンタ21に装着されたメディアは、検知部411により検知されて、その検知結果が制御部41を介して、PC11のキャリブレーション部401に通知される。ここではロール紙がプリンタ21に装着され、そのロール紙が表示部13の所定の操作画面において指定されたものとし、給紙されるメディアとしてそのロール紙が特定されるものとする。
【0130】
ステップS252において、キャリブレーション部401は、通常印刷可能な単票紙の中から、給紙されるメディアとして特定されたロール紙の用紙と同質の用紙からなる単票紙(以下、適宜、対応単票紙と称する)を検出して、通常印刷可能な単票紙の中に、対応単票紙が存在するか否かを判定する。
【0131】
図18は、通常印刷可能な用紙のIDと、その給紙方法、その用紙と同質の用紙からなるロール紙のID、及びその用紙の名称が対応付けられているテーブルの例を示す図である。キャリブレーション部401は、このテーブルを保持し、そのテーブルを参照することで、給紙されるメディアとして特定されたロール紙の用紙と同質の用紙からなる単票紙を特定する。例えば給紙されるメディアとして、ID=1のロール紙が特定された場合、ID=1を基準用紙IDとするID=4の単票紙が検出される。
【0132】
ステップS252で、通常印刷可能な単票紙の中に、対応単票紙が存在すると判定された場合、処理は、ステップS253に進む。
【0133】
ステップS253において、PC11のキャリブレーション部401は、給紙されたロール紙に対するキャリブレーションの結果得られた補正値を対応単票紙にも適用する旨を示すメッセージを、表示部13を介して表示する。
【0134】
その後、ステップS254において、PC11のキャリブレーション部401は、給紙されるメディアとして特定されたロール紙とともに、対応単票紙を、対象メディアとする。
【0135】
一方、ステップS252で、通常印刷可能な単票紙の中に、対応単票紙が存在しないと判定された場合、処理は、ステップS255に進み、PC11のキャリブレーション部401は、給紙されるメディアとして特定されたロール紙のみを、キャリブレーションの対象メディアとする。
【0136】
以上のようにして、ロール紙と対応単票紙、又はロール紙のみが対象メディアとされると、その対象メディアが、キャリブレーションの条件とされ、図2のステップS12以降の処理が行われる。
【0137】
以上のように、給紙されるロール紙の用紙と同質の用紙からなる単票紙が存在する場合、給紙されるロール紙についてのキャリブレーションにより得られる補正値をその単票紙に適用するようにしたので(即ち単票紙の補正値ファイル又は補正値として、その単票紙の色補正に用いられるように保有するようにしたので)、測色機23がサポートしていない給紙方法の用紙についてもキャリブレーションを行うことができる。
【0138】
なお図17の例では、ステップS251において、ロール紙が給紙されることを前提としたが、通常印刷においては単票紙及びロール紙の両方に対する給紙が可能なので、キャリブレーションの際に、ユーザは間違って単票紙をプリンタ21に装着したり、またロール紙をプリンタ21に装着しても、PC11の表示部13に表示された所定の操作画面で単票紙を指定してしまうことがある。そこでこのようなユーザの作業ミスがあっても適切に対象メディアを決定できるようにすることが望ましい。
【0139】
図19は、このようなユーザの作業ミスがあっても適切に対象メディアを決定することができる対象メディア決定処理の流れを示すフローチャートである。
【0140】
ステップS301において、キャリブレーション部401は、プリンタ21に装着されたメディアがロール紙であるか否かを判定する。
【0141】
ステップS301で、プリンタ21に装着されたメディアがロール紙であると判定された場合、ステップS302において、キャリブレーション部401は、表示部13に表示される所定の操作画面(例えば、プリンタパネル)においてユーザにより指定されたメディアがロール紙であるか否かを判定する。
【0142】
ステップS302で、ユーザにより指定されたメディアがロール紙であると判定された場合、ステップS303において、キャリブレーション部401は、通常印刷可能な単票紙の中から、装着されたロール紙の用紙と同質の用紙からなる単票紙(即ち対応単票紙)を検出し、通常印刷可能な単票紙の中に、対応単票紙があるか否かを判定する。
【0143】
ステップS303で、対応単票紙が存在すると判定された場合、ステップS304において、PC11のキャリブレーション部401は、給紙されたロール紙に対するキャリブレーションの結果得られた補正値を対応単票紙にも適用する旨を示すメッセージを、表示部13を介して表示する。
【0144】
その後、ステップS305において、PC11のキャリブレーション部401は、給紙されるメディアとして特定されたロール紙と対応単票紙を、対象メディアとする。
【0145】
ステップS303で、対応単票紙が存在しないと判定された場合、ステップS306で、キャリブレーション部401は、プリンタ21に装着されたロール紙のみを対象メディアとする。
【0146】
ステップS302で、ユーザにより指定されたメディアがロール紙ではないと判定された場合(即ち、単票紙が指定された場合)、ステップS307において、キャリブレーション部401は、プリンタ21に装着されたロール紙の用紙とユーザにより指定された単票紙の用紙は同質であるか否かを判定し、同質であると判定した場合、処理は、ステップS308に進む。なおこの場合、例えば、図18に示したテーブルに、各用紙の材質を表す情報がさらに設定されており、キャリブレーション部401は、その情報を参照することにより、プリンタ21に装着されたロール紙の用紙とユーザにより指定された単票紙の用紙は同質であるか否かを判定することができる。
【0147】
ステップS308において、PC11のキャリブレーション部401は、プリンタ21に装着されたロール紙に対するキャリブレーションの結果得られた補正値を指定された単票紙(即ち、対応単票紙)にも適用する旨を示すメッセージを、表示部13を介して表示する。
【0148】
次にステップS309において、PC11のキャリブレーション部401は、装着されたロール紙と指定された単票紙(即ち、対応単票紙)を、対象メディアとする。
【0149】
ステップS307で、プリンタ21に装着されたロール紙の用紙とユーザにより指定された単票紙の用紙は同質ではないと判定された場合、ステップS310に進む。
【0150】
ステップS310において、キャリブレーション部401は、ユーザにより指定された単票紙の用紙と同質の用紙からなるロール紙をプリンタ21に装着することを促すメッセージを、表示部13を介して表示する。その後処理は、ステップS301に戻り、それ以降の処理が実行される。即ちユーザが、表示されたメッセージに応じて自分が先に指定した単票紙の用紙と同質の用紙からなるロール紙がプリンタ21に装着すると、ステップS301,S302,S307,S308,S309の処理により、新たに装着されたロール紙と指定された単票紙が、対象メディアとなる。
【0151】
ステップS301で、プリンタ21に装着されたメディアがロール紙ではないと判定された場合(即ち、単票紙が装着された場合)、ステップS311において、キャリブレーション部401は、プリンタパネルにおいてユーザにより指定したメディアが単票紙であるか否かを判定する。
【0152】
ステップS311で、ユーザにより指定されたメディアが単票紙であると判定された場合、ステップS312において、キャリブレーション部401は、ユーザにより指定された単票紙の用紙と同質の用紙からなるロール紙をプリンタ21に装着することを促すメッセージを表示する。その後処理は、ステップS301に戻り、それ以降の処理が実行される。即ちユーザが、表示されたメッセージに応じて自分が先に指定された単票紙と同質のロール紙をプリンタ21に装着すると、ステップS301,S302,S307,S308,S309の処理により、新たに装着されたロール紙と指定された単票紙が、対象メディアとなる。
【0153】
ステップS311で、ユーザにより指定されたメディアが単票紙ではないと判定された場合(即ちロール紙が指定された場合)、ステップS313において、キャリブレーション部401は、指定されたロール紙をプリンタ21に装着することを促すメッセージを、表示部13を介して表示する。その後処理は、ステップS301に戻る。
【0154】
ステップS305、ステップS306、又はステップS309で、対象メディアが決定された場合、処理は終了する。
【0155】
以上のように、単票紙がプリンタ21に装着された場合(例えば、ステップS301でNOの判定)、その単票紙の用紙と同質の用紙からなるロール紙の装着を促し(例えば、ステップS312)、新たに装着されたロール紙とともに、そのロール紙の用紙と同質の用紙からなる単票紙を対象メディアとしたので(例えば、ステップS309)、例えばユーザが初めに間違って装着した単票紙に、その単票紙の用紙と同質の用紙からなるロール紙の補正値を適用することができる。
【0156】
また以上のように、ロール紙がプリンタ21に装着されたが(例えば、ステップS301でYESの判定)、単票紙が指定された場合(例えば、ステップS302でNOの判定)、指定された単票紙の用紙と装着されたロール紙の用紙が同質のとき(例えば、ステップS307でYESの判定)、装着されたロール紙とともに、指定された単票紙を対象メディアとしたので(例えば、ステップS309)、例えばユーザが誤って指定した単票紙に、その単票紙の用紙と同質の用紙からなるロール紙の補正値を適用することができる。
【0157】
なおこの対象メディア決定処理は、プリンタ21に装着された用紙が変更されたときに、行われるようにすることができる。このようにプリンタ21に装着された用紙が変更されたときに、対象メディア決定処理が行われるようにするにより、対象メディアを適切に決定することができる。
【0158】
[他の実施の形態]
上述した処理を実行するのに必要なカラーマネジメントプログラム111やプリンタドライバ112は、PC11に組み込まれて、PC11とともにユーザに提供されたり、記録媒体やネットワークを介して提供することができる。例えば記録媒体やネットワークを介して提供される場合、ユーザのPCで、カラーマネジメントプログラム111やプリンタドライバ112は、ユーザのPCにある所定のアプリケーションプログラムと協働して動作しなければならない。そのためユーザのアプリケーションプログラムとカラーマネジメントプログラム111等の間におけるパラメータの授受を可能にするAPI(Application Program Interface)が必要となる。
【0159】
図20は、ユーザのアプリケーションプログラム521とカラーマネジメントプログラム111等の間におけるパラメータの授受を可能にするAPI511の利用例を示す図である。図20の例では、ユーザのPC501に、カラーマネジメントプログラム111及びプリンタドライバ112、API511、並びにユーザ独自のアプリケーションプログラム521がインストールされている。
【0160】
API511は、アプリケーションプログラム521から、例えば対象解像度を示すパラメートを受け付け、それをカラーマネジメントプログラム111に供給することができる。これによりアプリケーションプログラム521により選択された対象解像度をキャリブレーションの条件とすることができる。従って例えば、図3に示したプリンタドライバ112により表示される操作画面に代えてアプリケーションプログラム521により提供される操作画面を介して対象解像度を選択することができる。
【0161】
API511はまた、アプリケーションプログラム521から、キャリブレーションの自動実行や手動実行を示すパラメータを受け付け、それをカラーマネジメントプログラム111に供給することができる。これにより、アプリケーションプログラム521を介して、例えば図8に示したようなキャリブレーションの自動実行や、ユーザが図3の操作画面を利用してキャリブレーションの実行を要求する手動実行を選択することができる。
【0162】
API511はまた、アプリケーションプログラム521から、キャリブレーションの自動終了を示すパラメータを受け付け、それをカラーマネジメントプログラム111に供給することができる。これにより、例えば図2に示したように、対象解像度についてのキャリブレーションが全て完了したときに処理が終了する自動終了を実行させることができる。
【0163】
API511はまた、実行されたキャリブレーションの成否等を示す情報を保持することができる。例えば解像度毎に、そのキャリブレーションの成否結果が保持される。
【0164】
以上のように、ユーザのアプリケーションプログラム521と、カラーマネジメントプログラム111及びプリンタドライバ112等の間でのパラメータの授受を可能にするAPI511を提供することにより、ユーザは独自のアプリケーションプログラム521を介して、上述した処理を実行することができるので、例えばプリンタ21の利用の普及を図ることができる。
【0165】
また図2,8,12,15,17,19等にその流れを示した処理は、各ステップが、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくても、並列的あるいは個別に実行される処理を含むものである。例えば所定のステップの処理は、適宜省略することもできる。
【0166】
なお上述したPC11とプリンタ21を含む印刷システムを、1つの印刷装置とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】本発明の実施の形態に係るPCとプリンタの構成例を示すブロック図である。
【図2】図1のPC及びプリンタにおいて実行されるキャリブレーションの流れを示すフローチャートである。
【図3】図2に示すキャリブレーションの実行に先立って表示されるダイアログボックスの表示例を示す図である。
【図4】図2に示すキャリブレーションでの所定の処理の処理時間とタイミングを模式的に示した図である。
【図5】他のキャリブレーションでの所定の処理の処理時間とタイミングを模式的に示した図である。
【図6】メディアに印刷された各解像度のカラーチャートと認証情報の印刷例を示す図である。
【図7】第1のキャリブレーション実行制御処理を行うPC及びプリンタの構成例を示す図である。
【図8】図7のPC及びプリンタにおいて実行される第1のキャリブレーション実行制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】キャリブレーションの実行をユーザに促すメッセージの表示例を示す図である。
【図10】複数のPCが1台のプリンタを使用する例を示す図である。
【図11】第2のキャリブレーション実行制御処理を行うPC及びプリンタの構成例を示す図である。
【図12】図11のPC及びプリンタにおいて実行される第2のキャリブレーション実行制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】補正値ファイルの保有形態を示す図である。
【図14】キャリブレーションの実行をユーザに促すメッセージの他の表示例を示す図である。
【図15】図11のPC及びプリンタにおいて実行される第3のキャリブレーション実行制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】単票紙対応キャリブレーションを実行するPC11及びプリンタ21の構成例を示すブロック図である。
【図17】対象メディア決定処理の流れを示すフローチャートである。
【図18】通常印刷可能な用紙と同質の用紙との対応関係を示すテーブルの例を示す図である。
【図19】他の対象メディア決定処理の流れを示すフローチャートである。
【図20】アプリケーションプログラムとカラーマネジメントプログラム等の間におけるパラメータの授受を可能にするAPIの利用例を示す図である。
【符号の説明】
【0168】
11 PC, 21 プリンタ, 22 乾燥機, 23 測色機, 31 制御部, 32 ハードディスク装置, 41 制御部, 42 印字部, 43 送紙部, 111 カラーマネジメントプログラム, 112 プリンタドライバ, 121 キャリブレーション部, 131 ジョブ生成部, 132 スプールキュー, 133 印刷制御部, 301 キャリブレーション部, 311 検知部, 351 キャリブレーション部, 401 キャリブレーション部, 411 検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置が画像データに応じて印刷媒体上に再現した色の測色値を目標値に合致させるためのキャリブレーションを実行する情報処理装置において、
上記印刷装置の使用環境又は上記印刷装置の使用条件を検知する検知手段と、
上記検知手段により検知された使用環境又は使用条件に基づいて、上記キャリブレーションを行うタイミングを判定する判定手段と、
上記判定手段によりキャリブレーションを行うタイミングであると判定されたとき、上記キャリブレーションを実行する実行手段と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記検知手段は、前記印刷装置の筐体内の温度若しくは湿度を検知し、
前記判定手段は、前記検知手段により検知された前記印刷装置の筐体内の温度若しくは湿度に基づいて、上記キャリブレーションを行うタイミングを判定する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
印刷装置が画像データに応じて印刷媒体上に再現した色の測色値を目標値に合致させるためのキャリブレーションを実行する情報処理装置の情報処理方法において、
上記印刷装置の使用環境又は上記印刷装置の使用条件を検知する検知ステップと、
上記検知ステップで検知された使用環境又は使用条件に基づいて、上記キャリブレーションを行うタイミングを判定する判定ステップと、
上記判定ステップでキャリブレーションを行うタイミングであると判定されたとき、上記キャリブレーションを実行する実行ステップと
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項4】
印刷装置が画像データに応じて印刷媒体上に再現した色の測色値を目標値に合致させるためのキャリブレーションをコンピュータに実行させるプログラムであって、
上記印刷装置の使用環境又は上記印刷装置の使用条件を検知する検知ステップと、
上記検知ステップで検知された使用環境又は使用条件に基づいて、上記キャリブレーションを行うタイミングを判定する判定ステップと、
上記判定ステップでキャリブレーションを行うタイミングであると判定されたとき、上記キャリブレーションを実行する実行ステップと
を含む情報処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項5】
印刷装置により印刷される、各色の各階調値のデータに基づくパッチパターンの測色値を目標値に合致させるための補正値を生成するキャリブレーションを実行する情報処理装置において、
上記情報処理装置とネットワークを介して接続されている外部装置が、所定の印刷媒体又は所定の解像度についての補正値を保持しているか否かに基づいて、上記キャリブレーションを行うタイミングを判定する判定手段と、
上記判定手段によりキャリブレーションを行うタイミングであると判定されたとき、上記外部装置に保持されている上記補正値を取得し、それを、上記所定の印刷媒体又は所定の解像度についての色補正に用いられるように記憶手段に記憶させる記憶制御手段と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理装置であって、
前記記憶手段は、所定の印刷媒体又は所定の解像度についての色補正に用いられる補正値を記憶し、
前記判定手段は、前記外部装置が、上記所定の印刷媒体又は所定の解像度以外の印刷媒体又は解像度についての補正値を保持している場合、上記キャリブレーションを行うタイミングであると判定し、
前記記憶制御手段は、前記外部装置に保持されている上記所定の印刷媒体又は所定の解像度以外の印刷媒体又は解像度についての補正値を取得し、その印刷媒体又は解像度についての色補正に用いられるように前記記憶手段に記憶させる
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項5に記載の情報処理装置であって、
前記記憶手段は、所定の印刷媒体又は所定の解像度についての色補正に用いられる補正値を、前記測色値と前記目標値の差分に基づく補正値の精度を表す情報とともに記憶し、
前記判定手段は、前記外部装置が、上記精度以上の精度を有する補正値を保持している場合、上記キャリブレーションを行うタイミングであると判定し、
前記記憶制御手段は、前記外部装置に保持されている上記精度以上の精度を有する補正値を取得し、色補正に用いられるように前記記憶手段に記憶させる
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
印刷装置により印刷された、各色の各階調値のデータに基づくパッチパターンの測色値を目標値に合致させるための補正値を生成するキャリブレーションを実行する情報処理装置の情報処理方法において、
上記情報処理装置とネットワークを介して接続されている外部装置が、所定の印刷媒体又は所定の解像度についての補正値を保持しているか否かに基づいて、上記キャリブレーションを行うタイミングを判定する判定ステップと、
上記判定ステップでキャリブレーションを行うタイミングであると判定されたとき、上記外部装置に保持されている上記補正値を取得し、それを、上記所定の印刷媒体又は所定の解像度についての色補正に用いられるように記憶手段に記憶させる記憶制御ステップと
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
印刷装置により印刷された、各色の各階調値のデータに基づくパッチパターンの測色値を目標値に合致させるための補正値を生成するキャリブレーションをコンピュータに実行させるプログラムであって、
上記コンピュータとネットワークを介して接続されている外部装置が、所定の印刷媒体又は所定の解像度についての補正値を保持しているか否かに基づいて、上記キャリブレーションを行うタイミングを判定する判定ステップと、
上記判定ステップでキャリブレーションを行うタイミングであると判定されたとき、上記外部装置に保持されている上記補正値を取得し、それを、上記所定の印刷媒体又は所定の解像度についての色補正に用いられるように記憶手段に記憶させる記憶制御ステップと
を含む情報処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−109810(P2010−109810A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−280967(P2008−280967)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】