説明

情報処理装置、情報処理方法及び情報処理装置用プログラム

【課題】配信システムとしてのコンテンツの配信品質の劣化の防止と効果的な配信品質の向上とを両立させることで、配信システムとしての信頼性及び安定性を向上させることが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】複数のノードが階層ツリー状に接続されてなり且ついずれかのノードに対してコンテンツが配信される配信システム内の当該ノードにおいて、品質回復動作開始の閾値となる回復動作閾値L_th(n)又はC_th(n)を、単位時間当たりの品質回復動作の発生回数に基づいて自律的に制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理装置用プログラムの技術分野に属する。より詳細には、配信元から配信される動画や音楽等の配信情報を、その下流側に複数の階層を論理的に構成して接続されている情報処理装置(ノード)に段階的に中継しつつ配信するネットワークシステムに含まれる情報処理装置等の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭用のインターネット回線等の通信回線の高速化が著しい。この高速化に伴い、配信元となる一の配信サーバを頂点として各家庭等内にあるパーソナルコンピュータ等を複数個階層ツリー状に論理的に接続してネットワークシステムを構成し、そのネットワークシステムを介して配信サーバから配信情報を配信するコンテンツ配信システムが一般化しつつある。ここで、映画又は音楽等の当該配信情報を、以下適宜「コンテンツ」と称し、当該コンテンツに相当するデータ自体を以下「コンテンツデータ」と称する。また、当該コンテンツ配信システム自体を、以下単に「配信システム」と称する。
【0003】
更に、当該ネットワークシステム(配信システム)を、その接続態様の観点から見たものを「トポロジ」と称する。また、このようなネットワークシステムのトポロジにおいて、当該ネットワークシステムを構成する各パーソナルコンピュータ等の夫々を、一般に「ノード」と称する。
【0004】
また、上記配信システムについての従来技術を開示する特許文献としては、例えば下記特許文献1がある。この特許文献1記載の発明では、配信システムを構成する多数のノードを複数のセグメントに分類し、新たなノードが接続される場合の接続先を、セグメント毎に設けられた接続条件に基づいて接続先紹介装置により制御する構成とされている。
【0005】
ここで、上記通信回線には、ノード同士が電話回線等の有線回線を介して物理的に接続されたものである場合と、無線電波を用いた無線回線(いわゆる無線LAN(Local Area Network)等)を介して物理的に接続されたものである場合と、がある。そして、後者については、近年一般家庭内へも広く浸透しつつある。
【0006】
このとき、前者(有線回線)は外部からの干渉等の影響を受け難いが故に回線速度等が安定しており、上記配信システムを介したコンテンツの配信には好適である。これに対し、後者(無線回線)は、無線基地局又はいわゆる無線アクセスポイントまでの距離の離隔、電波干渉の発生或いは遮蔽物の存在等に起因して回線速度等が不安定化し易く、前者に比べるとコンテンツ配信には向かないと考えられる。ここで、以下の説明では、上記有線回線を介して配信システムに参加しているノード、すなわち配信システムのトポロジにおける上流側及び下流側夫々に位置している他のノードと有線回線を介して接続されているノードを、単に「有線環境ノード」と称する。また、上記無線回線を介して配信システムに参加しているノード、すなわち当該トポロジにおける上流側及び下流側夫々に位置している他のノードと無線回線を介して接続されているノードを、単に「無線環境ノード」と称する。
【0007】
上述したような有線環境ノード及び無線環境ノードに対し、下記特許文献1記載の発明では、当該有線環境ノードと無線環境とが、一律に区別されることなく取り扱われている。そしてこの点は、回線が不安定化した際に各ノードにおいて実行される回線速度の回復動作(配信品質の回復動作)についても同様である。なお、当該回復動作の一例を示す文献としては、例えば下記特許文献2がある。この特許文献2に開示されている技術では、配信システムを構成する各ノードがその上流側に接続されている他のノードから送られて来るコンテンツデータの品質を監視している。そして、その品質の低下を契機として当該他のノードとの接続を切断し、代替たる他のノードへ接続を切り換える構成とされている。
【特許文献1】特開2007−067814公報
【特許文献2】特開2003−169089公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に則って有線環境ノードと同等の上記回復動作の開始基準を無線環境ノードに適用した場合、上述したような無線回線の不安定さに対しては当該開始基準が高すぎることとなり、結果として無線環境ノードが有線環境ノードに比して頻繁に当該回復動作を実行してしまうこととなる。
【0009】
より具体的には、上記電波干渉等に起因して、無線環境ノードでは短時間にデータがいわゆるバースト損失したり或いは回線速度が変動したりする現象(すなわち、コンテンツに対応する受信ストリームの品質劣化)が恒常的に発生する。このため、これまで有線環境ノードに適用されていた回復動作の開始基準をそのまま無線環境ノードに適用すると、上記品質劣化(回線の不安定化)状態に敏感に反応し過ぎ、結果的に上記回復動作が過剰に開始され過ぎるのである。
【0010】
そしてこの過剰な回復動作の開始は、配信システムにおける配信経路の途中における回線の中断等が頻繁に起きることとなり、結果として配信システム全体としての信頼性や安定性の低下を来す原因となるものである。
【0011】
なお、上記特許文献2には、上述したような無線環境ノード固有の問題に関する対処方法については、一切開示も示唆もない。
【0012】
そこで、本発明は上記の要請や問題点等に鑑みて為されたもので、その目的の一例は、配信システムとしてのコンテンツの配信品質の劣化の防止と効果的な配信品質の向上とを両立させることで、配信システムとしての信頼性及び安定性を向上させることが可能な情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数の情報処理装置が通信回線を介して階層ツリー状に接続されて構成されており且ついずれかの前記情報処理装置に対して前記階層ツリーに沿って配信情報が配信されるネットワークシステムに含まれる前記情報処理装置において、前記配信情報の受信品質を検出する制御部等の品質検出手段と、前記検出された受信品質が予め設定された接続換え閾値未満となったとき、他の前記情報処理装置に対する接続換え動作を開始する制御部等の接続換え手段と、予め設定された単位時間内に開始された前記接続換え動作の数を検出する制御部等の接続換え数検出手段と、前記検出された数が予め設定された上限閾値を越えたとき、前記接続換え動作が開始され難くなるように前記接続換え閾値を変更し、前記検出された数が予め設定された下限閾値であって前記上限閾値よりも低い下限閾値未満となったとき、前記接続換え動作が開始され易くなるように前記接続換え閾値を変更する制御部等の閾値変更手段と、を備える。
【0014】
よって、単位時間内に開始された接続換え動作の数が上限閾値を越えたときは接続換え動作が開始され難くなるように接続換え閾値を変更し、また当該接続換え動作の数が下限閾値未満となったときは接続換え動作が開始され易くなるように接続換え閾値を変更するので、過剰な数の接続換え動作が実行されることによるネットワークシステムとしての配信情報の配信品質の劣化の防止と効果的な配信品質の向上とを両立させることができる。
【0015】
上記の課題を解決するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、前記閾値変更手段は、前記接続換え動作が開始され易くなるように前記接続換え閾値を変更するときの変更量を、当該接続換え動作が開始され難くなるように前記接続換え閾値を変更するときの変更量よりも大きくして当該接続換え閾値を変更するように構成される。
【0016】
よって、接続換え動作が開始され易くなるように接続換え閾値を変更するときの変更量を、当該接続換え動作が開始され難くなるように接続換え閾値を変更するときの変更量よりも大きくして当該接続換え閾値を変更するので、配信情報の受信品質が劣化した場合に接続換え閾値の変更量が大きくなることで、当該受信品質が劣化した場合に過剰な数の接続換え動作が実行されることをより効果的に抑制することができる。
【0017】
上記の課題を解決するために、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の情報処理装置において、変更後の前記接続換え閾値を不揮発性に記憶する記憶部等の記憶手段を更に備える。
【0018】
よって、変更後の接続換え閾値を不揮発性に記憶するので、情報処理装置の電源が一旦オフとされた後に新たに起動された場合でも、調整済みの接続換え閾値を用いることができ、過剰な数の接続換え動作が実行されることをより効果的に抑制することができる。
【0019】
上記の課題を解決するために、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置において、前記品質検出手段は、前記受信品質として、配信された前記配信情報における予め設定された単位時間内のバースト損失の発生回数を検出し、前記接続換え手段は、当該検出された発生回数が前記接続換え閾値を越えたとき前記接続換え動作を開始し、更に前記閾値変更手段は、前記検出された数が前記上限閾値を越えたとき前記接続換え動作が開始され難くなるように前記接続換え閾値を高く変更し、前記検出された数が前記下限閾値未満となったとき前記接続換え動作が開始され易くなるように前記接続換え閾値を低く変更するように構成される。
【0020】
よって、配信情報における予め設定された単位時間内のバースト損失の発生回数を受信品質とする場合において、検出された接続換え動作の数が上限閾値を越えたとき接続換え閾値を高く変更し、下限閾値未満となったとき接続換え閾値を低く変更するように当該接続換え閾値を夫々変更するので、過剰な数の接続換え動作が実行されることによるネットワークシステムとしての配信情報の配信品質の劣化の防止と効果的な配信品質の向上とを両立させることができる。
【0021】
上記の課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置において、前記品質検出手段は、前記受信品質として、配信された前記配信情報における予め設定された単位時間内の損失補完率を検出し、前記接続換え手段は、当該検出された損失補完率が前記接続換え閾値未満となったとき前記接続換え動作を開始し、更に前記閾値変更手段は、前記検出された数が前記上限閾値を越えたとき前記接続換え動作が開始され難くなるように前記接続換え閾値を低く変更し、前記検出された数が前記下限閾値未満となったとき前記接続換え動作が開始され易くなるように前記接続換え閾値を高く変更するように構成される。
【0022】
よって、配信情報における予め設定された単位時間内の損失補完率を受信品質とする場合において、検出された接続換え動作の数が上限閾値を越えたとき接続換え閾値を低く変更し、下限閾値未満となったとき接続換え閾値を高く変更するように当該接続換え閾値を夫々変更するので、過剰な数の接続換え動作が実行されることによるネットワークシステムとしての配信情報の配信品質の劣化の防止と効果的な配信品質の向上とを両立させることができる。
【0023】
上記の課題を解決するために、請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置において、前記接続換え手段は、前記検出された受信品質が予め設定された接続換え閾値未満となったとき、新たな接続先としての他の前記情報処理装置に対する接続換え動作を開始するように構成される。
【0024】
よって、新たな接続先に対して接続換え動作を実行するので、効果的に受信品質を改善させることができる。
【0025】
上記の課題を解決するために、請求項7に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置において、前記階層ツリーにおいて各前記情報処理装置は、前記配信情報が伝送されて来る主通信回線と、当該主通信回線に対する予備である予備通信回線と、により他の前記情報処理装置に夫々接続されており、前記接続換え手段は、前記検出された受信品質が予め設定された接続換え閾値未満となったとき、前記主通信回線を前記予備通信回線に切り換える前記接続換え動作を開始するように構成される。
【0026】
よって、主通信回線から接続済みの予備通信回線に切り換える接続換え動作を実行するので、迅速且つ効果的に受信品質を改善させることができる。
【0027】
上記の課題を解決するために、請求項8に記載の発明は、複数の情報処理装置が通信回線を介して階層ツリー状に接続されて構成されており且ついずれかの前記情報処理装置に対して前記階層ツリーに沿って配信情報が配信されるネットワークシステムに含まれる前記情報処理装置において実行される情報処理方法において、前記配信情報の受信品質を検出する品質検出工程と、前記検出された受信品質が予め設定された接続換え閾値未満となったとき、他の前記情報処理装置に対する接続換え動作を開始する接続換え工程と、予め設定された単位時間内に開始された前記接続換え動作の数を検出する接続換え数検出工程と、前記検出された数が予め設定された上限閾値を越えたとき、前記接続換え動作が開始され難くなるように前記接続換え閾値を変更し、前記検出された数が予め設定された下限閾値であって前記上限閾値よりも低い下限閾値未満となったとき、前記接続換え動作が開始され易くなるように前記接続換え閾値を変更する閾値変更工程と、を含む。
【0028】
よって、単位時間内に開始された接続換え動作の数が上限閾値を越えたときは接続換え動作が開始され難くなるように接続換え閾値を変更し、また当該接続換え動作の数が下限閾値未満となったときは接続換え動作が開始され易くなるように接続換え閾値を変更するので、過剰な数の接続換え動作が実行されることによるネットワークシステムとしての配信情報の配信品質の劣化の防止と効果的な配信品質の向上とを両立させることができる。
【0029】
上記の課題を解決するために、請求項9に記載の発明は、コンピュータを、請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置として機能させる。
【0030】
よって、当該情報処理装置用プログラムをコンピュータが読み込んで実行することにより、単位時間内に開始された接続換え動作の数が上限閾値を越えたときは接続換え動作が開始され難くなるように接続換え閾値を変更し、また当該接続換え動作の数が下限閾値未満となったときは接続換え動作が開始され易くなるように接続換え閾値を変更するように当該コンピュータが機能するので、過剰な数の接続換え動作が実行されることによるネットワークシステムとしての配信情報の配信品質の劣化の防止と効果的な配信品質の向上とを両立させることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、単位時間内に開始された接続換え動作の数が上限閾値を越えたときは接続換え動作が開始され難くなるように接続換え閾値を変更し、また当該接続換え動作の数が下限閾値未満となったときは接続換え動作が開始され易くなるように接続換え閾値を変更するので、過剰な数の接続換え動作が実行されることによるネットワークシステムとしての配信情報の配信品質の劣化の防止と効果的な配信品質の向上とを両立させることができる。
【0032】
従って、ネットワークシステムとしての配信情報の配信品質の劣化の防止と効果的な配信品質の向上とを両立させることで、ネットワークシステムとしての信頼性及び安定性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
次に、本発明を実施するための最良の形態について、図1乃至図7を用いて説明する。なお、以下に説明する実施形態及び変形形態(以下、当該実施形態及び変形体を、適宜纏めて単に実施形態等と称する)は、階層ツリー型の上記配信システムに対して本発明を適用した場合の実施形態等である。
【0034】
また、図1は実施形態等に係る配信システムを構成する各装置の接続態様の一例を示す図であり、図2は当該配信システムに対してノードが新たに参加する場合の動作を例示する図である。更に、図3は当該配信システムにおいて後述する予備回線を新たに接続する際の動作を例示する図であり、図4は当該配信システムにおいて発生するパケット損失及びその補完動作を例示する図である。更にまた、図5は当該配信システムからノードが脱退する場合の動作を例示する図であり、図6は当該配信システムにおける後述の接続換え動作等を例示する図である。また、図7は実施形態等に係る回復動作閾値の変更動作を示す図である。
(I)実施形態等に係る配信システムとしての全体構成等
先ず、実施形態等に係る配信システムの概要構成及び機能について図1を用いて説明する。
【0035】
図1に示すように、実施形態等に係る配信システムSは、例えばインターネット等のネットワーク(現実世界の物理ネットワーク)を用いて構成されるものである。このとき、当該物理ネットワーク10として具体的には、例えば図1の下部枠101内に示すように、IX(Internet eXchange)5、ISP(Internet Service Provider)6、DSL(Digital Subscriber Line)回線事業者(の装置)7、FTTH(Fiber To The Home)回線事業者(の装置)8、ルータ(図示せず)及び通信回線(例えば、電話回線や光ケーブル等)9等を含む物理ネットワーク10を用いることができる。なおここで、図1の下部枠101内において、各通信回線9に対応する実線の太さは、各通信回線9の帯域の広さ(例えば、データ転送速度)を表している。
【0036】
一方、実施形態等に係る配信システムSは、配信されるコンテンツにおける配信単位に相当し且つ複数連続するパケットの配信元である放送局1と、複数のノード2と、により構成されている。そして、配信システムSは、図1の下部枠101内に示すような物理ネットワーク10を基礎として、各ノード2が物理的な通信回線9を介して(論理的に)接続され、図1の上部枠100内に示すように構成されている。
【0037】
より具体的に配信システムSでは、放送局1を頂点(最上位)として、複数のノード2が通信回線9を介した物理ネットワーク10により相互に物理的に接続されている。そして、これら各ノード2が、当該物理ネットワーク10を基礎として、複数の階層(図1の例では四階層以上)を含む論理的な階層ツリー構造を有するネットワークシステム(物理ネットワーク10上に論理的に構成される論理ネットワークシステム)を形成している。この構成において、コンテンツの配信時には、上記連続する複数のパケットが、当該論理ネットワークシステムにおける上流(上位階層)から下流(下位階層)の方向へ各ノード2により中継されつつ配信される。
【0038】
ここで、上記放送局1は、実際には、放送対象たる上記コンテンツに相当するコンテンツデータを蓄積するハードディスクドライブ等からなる記録装置や、その配信を制御する制御装置、或いは、物理ネットワーク10に対するコンテンツデータ等の入出力を制御するインターフェース装置等を含んだ放送局装置として実現されるものである。また、上記ノード2は、実際には、例えば各家庭に設置されているインターネット接続可能なパーソナルコンピュータや、いわゆるセットトップボックス等のノード装置として実現されるものである。
【0039】
図1において、上部枠100内に示されるノード2は、配信システムSに参加しているノード2である。そして、当該配信システムSに参加するためには、未参加のノードが、後述する如く接続先紹介サーバ3(図1下部枠101内参照)に対して参加要求メッセージを送信し、当該接続先紹介サーバ3により参加権限があることを認証される必要がある。
【0040】
この接続先紹介サーバ3は、配信システムSに参加している放送局1及び各ノード2の所在情報(例えば、IP(Internet Protocol)アドレス及びポート番号(待ち受けポート番号)等)と、配信システムSにおける放送局1とノード2間及び各ノード2間のトポロジ(ネットワークシステムとしての接続態様)を示すトポロジ情報と、を、図示しないデータベースを用いて管理している。
【0041】
そして、当該接続先紹介サーバ3は、未参加のノードからの参加要求に対して上記認証(参加認証)を行った後、上記トポロジ情報等を参照しつつ、当該ノードに対して、参加の際の接続先となる既参加のノード2(当該トポロジ等を考慮して選定される参加済のノード2)の所在情報を通知する。これにより、当該所在情報の通知を受けた(新規参加の)ノードは、当該所在情報に基づき、参加済のノード2との接続を確立し、これによって当該配信システムSに参加する。
【0042】
なお、配信システムSにおける階層ツリー状のトポロジは、各ノード2に直接接続される下流側のノード2の最大接続数やバランス(対称性)等を考慮して決定される。また、これらに加えて、例えばノード2間のローカリティ(物理ネットワーク10上における近接度(ホップ数(介在するルータ数)が少ないほど高い)等を考慮して決定されるものでもよい。更に、無線環境ノードについては、上記の如き回線速度の不安定性等に起因してコンテンツデータの中継が不安定になりがちなので、上記トポロジにおいて最下層(配信システムSの下流側末端)に接続されるように当該トポロジが制御されるのが望ましい。
【0043】
更に、参加済のノード2の電源がオフとなった場合又は当該ノード2に対する通信状態が不良等になった場合等においては、当該ノード2は配信システムSから脱退する。これにより、当該脱退したノード2に直接接続されていた下流側のノード2等は、接続先紹介サーバ3から新たな接続先となる他の参加済のノード2の所在情報を取得して接続を確立する必要がある。
【0044】
なお、以下の説明では、当該新たな接続先への接続変更を、適宜「接続換え」と称する。また、実施形態等に係る各ノード2は、その上流側に位置する他のノード2との間に、コンテンツデータ配信用の本来の通信回線の他に、後述する予備回線を夫々常に確立している。そして、当該本来の通信回線から予備回線への切り換えについては、上記「接続換え動作」と区別すべく「切り換え動作」と称する。
【0045】
更にまた、上記階層ツリー状のトポロジは、放送局1毎、換言すれば、放送チャンネル毎に形成される。すなわち、図1の上部枠100内では、一つの放送チャンネルのみ示している(但し、一つの放送局1で複数の放送チャンネルによる放送を賄う場合もある)。そして、例えば参加済のノード2においてそのユーザにより放送チャンネルが切り換えられた場合には、当該ノード2は、その切り換え後の放送チャンネルにおける参加済の他のノード2の所在情報を接続先紹介サーバ3から取得して上記接続換えの動作(切り換え先の放送チャンネルへの参加動作)を実行する。
(II)実施形態等に係る配信ステムの構成及び当該配信システムへの参加動作等
次に、実施形態等に係る配信システムSにおけるトポロジの構成並びに当該配信システムSに対する新規参加の場合の動作について、より具体的に図2を用いて説明する。
【0046】
例えば図2に示す新たなノードNが新規に配信システムSに参加する場合、当該ノードNは、先ず接続先紹介サーバ3に対して上記参加要求に係る上流ノード紹介要求メッセージMG1を送信する。そして、接続先紹介サーバ3により上記参加認証等が為され、対応する参加許可の情報と共に直近上流側のノード2となる参加済のノード2の所在情報を含む上流ノード候補メッセージMG2が送信されてくると、新規参加のノードNは、当該所在情報により示される既参加のノード2から自ら選択した一のノード2(図2に例示する場合はノード2f)に対して接続要求メッセージMG3を送信する。これにより、当該ノード2(2f)から接続許可応答メッセージMG4を取得することで、ノードNは、当該ノード2(2f)の直近下流側に新たなノード2oとして接続され、配信システムSへの当該ノードN(2o)の参加動作が完了する。なお、配信システムSに新たに参加したノード2oは、当該参加後にその旨を示す図示しない参加報告メッセージを接続先紹介サーバ3に送信する。
【0047】
そして、配信システムSにおいて新たにノード2oが参加した以降は、放送局1から配信されるコンテンツに相当するコンテンツデータが、当該配信システムS内を階層ツリーに沿って順次上流側から下流側に中継されることにより、各ノード2に対するコンテンツの配信が実行される。
【0048】
これに加えて、実施形態等に係る配信システムSでは、放送局1から見て第二階層以下の階層に参加している各ノード2には、コンテンツの配信に使用される本来の通信回線以外に、当該ノード2から見て上位の階層に属するいずれか他のノード2との間に上記予備回線が接続されている。なお、以下に説明する図2乃至図5において、上記通信回線は実線で示されており、予備回線は破線で示されている。
【0049】
この予備回線の接続は本来の通信回線の接続と並行して維持されており、当該通信回線から切り換えて予備回線をコンテンツデータの配信に使用することがいつでも可能とされている。そして、当該通信回線を用いたコンテンツデータの配信品質が低下したり通信回線自体が遮断された場合には、当該配信品質の回復を図るべく本来の通信回線から切り換えられた予備回線が、当該切り換え以降のコンテンツデータの配信に用いられる。換言すれば、通信回線を介したコンテンツデータの配信品質が低下したノード2は、他のノード2への接続換え動作と、上記予備回線への切り換え動作と、を択一的に実行して配信品質の回復を図るのである。
(III)実施形態等に係る予備回線の接続動作
次に、実施形態等に係る配信システムSにおける上記予備回線の接続動作について、より具体的に図3を用いて説明する。
【0050】
例えば図3に示す新規参加直後のノード2mが新たに上記予備回線を接続する場合、当該ノード2mは、先ず接続先紹介サーバ3に対して上記予備回線の接続先となる他の上流側のノード2の紹介を要求する旨の上流ノード紹介要求メッセージMG8を送信する。
【0051】
そして、当該上流ノード紹介要求メッセージMG8を受信した接続先紹介サーバ3は、自身に記憶している後述のトポロジデータベースを参照し、配信システムSのトポロジにおいてノード2mの上流側に位置する他のノード2を例えばランダムに一又は複数選択する。その後接続先紹介サーバ3は、当該選択されたノード2夫々の所在情報を含む上流ノード候補メッセージMG9をノード2mに送信する。
【0052】
これによりノード2mは、当該上流ノード候補メッセージMG9に含まれている所在情報により示されるノード2から自ら選択した一のノード2(図3に例示する場合はノード2f)に対して予備回線接続要求メッセージMG10を送信する。これにより、当該ノード2fから図示しない接続許可応答メッセージを受信することで、ノード2mは当該ノード2fとの間での予備回線の接続動作を完了する。
(IV)実施形態等に係るパケット損失の補完動作について
次に、上記した異常としてのパケット損失を補完するための各ノード2における補完動作について、具体的に図4を例示されるノード2dを代表として説明する。
【0053】
図4において、ノード2aからコンテンツの配信を受けているノード2dは、送信されて来たコンテンツデータCDを後述するバッファメモリ内に一定期間記憶し、その後当該コンテンツデータCDを下流側のノード2i及び2jに中継したり、当該ノード2d内での再生処理に供させている。このときノード2dは、当該バッファメモリ内に蓄積されているコンテンツデータCDを定期的に監視/確認し、受信したコンテンツデータCD内に含まれるパケットの損失を検出する動作を繰り返している。
【0054】
そして、当該監視/確認動作によりノード2aとの間でパケット損失DFが発生した場合、これを放置すると当該パケット損失DFがノード2dの下流側のノード2i及び2jに伝搬してしまう(図4参照)。そこでノード2dは、バッファメモリ内でパケット損失DFの発生を検出すると、ノード2a及び予備回線で接続されているノード2b夫々に対して、パケット損失DFの補完動作を行うために損失補完要求メッセージMG11を送信する。この損失補完要求メッセージMG11には、損失されているパケットを識別するためのパケット識別情報等が含まれている。
【0055】
これにより、当該損失補完要求メッセージMG11を受信したノード2a及びノード2bは、損失されたパケットに該当するパケットを自身内のバッファメモリ内から再度抽出し、当該抽出したパケットを補完用パケットRPとしてノード2dに夫々再送信する。これによりノード2dは、受信した補完用パケットRPを図4に例示するように下流側のノード2i及び2jへ中継することで、パケット損失DFの補完動作を完了する。
(V)実施形態等に係る配信システムからの脱退動作
次に、実施形態等に係る配信システムSからのノード2の脱退動作について、図5を用いて説明する。なお、図5は、例えばその電源スイッチがオフとされたこと等の理由により、上記配信システムSからノード2fが脱退する場合を例示している。
【0056】
なお、当該脱退するノード2fは、その脱退直前において、配信用の本来の通信回線を介して直近上流側のノード2bと接続され、且つ、当該通信回線を介して直近下流側のノード2n及び2oと接続されていたものとする。更に当該ノード2fは、その脱退直線において、直近下流側のノード2k及び2mとの間で予備回線の接続を行っていたものとする。
【0057】
当該脱退動作においては、図5に例示するように、脱退するノード2eは、下流側の上記ノード2n、2o、2k及び2mに対して、自身が配信システムSから脱退する旨の脱退報告メッセージMG5を夫々送信する。そして、当該ノード2n及び2oは、ノード2fからの上記脱退報告メッセージMG5を夫々受信すると、当該ノード2fとの接続状態を断とし、新たな他の上流ノード2との接続換え動作(図2参照)を開始する。またノード2fとの間で予備回線を形成していたノード2k及び2mは、ノード2fからの上記脱退報告メッセージMG5を夫々受信すると、当該ノード2fとの接続状態を断とし、新たな他の上流ノード2との間での予備回線の接続動作(図3参照)を開始する。
【0058】
以上の各動作により、配信システムSにおいてノード2fが脱退した後も、その直近下流にあったノード2n及び2oに対するコンテンツの配信が継続されると共に、ノード2k及び2mも新たな予備回線を確立することとなる。
【0059】
次に、当該脱退するノード2fは、当該ノード2fに対するコンテンツの供給元である上流側のノード2(図5に示す場合はノード2b)及び予備回線を確立している上流側のノード2(図5に示す場合はノード2a)に対して、データ送信停止要求メッセージMG6及び接続解除要求メッセージMG7を夫々送信する。このとき、コンテンツの供給元たるノード2b宛の上記データ送信停止要求メッセージMG6及び接続解除要求メッセージMG7は夫々当該ノード2bとの間の通信回線を介して送信される。また予備回線を確立しているノード2a宛の上記データ送信停止要求メッセージMG6及び接続解除要求メッセージMG7は夫々当該予備回線を介して送信される。
【0060】
そして、当該二つの要求メッセージを夫々受信したノード2bは今まで実行していたコンテンツ中継動作を停止する。また、同様に二つの要求メッセージを夫々受信したノード2aは今までノード2fとの間で確立していた予備回線を断とする。その後ノード2bは、上記コンテンツの配信停止動作と並行してノード2b内のノード管理情報からノード2fに係る情報を削除することで、当該ノード2fとの通信回線の接続を断とする。またノード2aは、同様に上記予備回線の接続断の動作と並行してノード2a内のノード管理情報からノード2fに係る情報を削除する。これらにより、当該ノード2bから脱退するノード2fへのコンテンツの配信は停止される。
(VI)実施形態等に係る接続換え動作及び切り換え動作
次に、実施形態等に係る接続換え動作及び切り換え動作について、具体的に図6を用いて説明する。なお、当該実施形態等に係る接続換え動作及び切り換え動作は、上流側にあるノード2の脱退に伴う上述(図5参照)した接続換え(当該ノード2からの配信量が短時間で完全にゼロになる場合の接続換え)動作とは異なる。すなわち、当該接続換え動作及び切り換え動作は、例えば、上流側にあるノード2との間の通信回線9上に何らかの障害が発生した(図6において△印で示す)等の理由により、当該ノード2からの配信に一定量以上の異常が発生した場合に対処するための接続換え動作及び切り換え動作である。なお、以下の説明では、当該接続換え動作又は切り換え動作を纏めて単に「品質回復動作」と称する。
【0061】
ここで、当該異常の発生の有無(下記品質回復動作の開始の有無)は、例えば、コンテンツデータに生じた単位時間当たりのいわゆるバースト損失の回数や、当該コンテンツデータについての単位時間当たりの損失補完率等に基づいて判定される。なお、単位時間当たりのバースト損失の回数が多いほど、又は単位時間当たりの損失補完率が低いほど、通信回線の品質としては劣化していることになる。また、実施形態等においては、当該各品質回復動作の開始判定に係る異常の発生数の閾値を纏めて「回復動作閾値」と称する。
【0062】
先ず、上記接続換え動作について図6を用いて具体的に説明する。
【0063】
当該接続換え動作として、図6に例示する実施形態等に係る配信システムSにおいて、各ノード2はそれに対応する直近上流側に接続されているノード2からのコンテンツの配信状態を常時監視している。そしてこのとき、例えば図5に示すノード2kとノード2eとの間で上記障害等(図6△印参照)が発生したとする。この場合ノード2kは、当該障害等に起因してノード2k自体への配信中に一定量以上の上記異常が発生したことが認識できる。そして、ノード2kは、当該異常の発生数が上記回復動作閾値を越えたことを認識すると、ノード2eに対して、当該ノード2eからの離脱要求メッセージMG12を送信する。これと共にノード2kは、当該接続換えに係る新たな接続先たる他のノード2の紹介を要求する旨の上流ノード紹介要求メッセージMG13を、接続先紹介サーバ3に送信する。
【0064】
そして、当該上流ノード紹介要求メッセージMG13を受信した接続先紹介サーバ3は、ノード2kに対して、新たに直近上流側のノード2となる他の参加済のノード2(図6に例示する場合はノード2h)の所在情報を含む上流ノード候補メッセージMG14を送信する。これにより、ノード2kは、既参加のノード2hに関する情報を得ることができる。次にノード2kはノード2hに対して接続要求メッセージMG15を送信し、応答メッセージとして当該ノード2hから接続許可応答メッセージMG16を取得することで、ノード2kは、当該ノード2hの直近下流側に接続換えされ、コンテンツの配信が新たに開始又は再開される。
【0065】
次に、上記切り換え動作について図6等を用いて具体的に説明する。
【0066】
配信システムSにおいて本来の通信回線の他に予備回線を確立しているノード2は、図6に例示する場合と同様にして上流側の(コンテンツデータの供給元たる)ノード2との間で上記障害等(図6△印参照)が発生したとする。そして当該ノード2は、当該異常の発生数が上記回復動作閾値を越えたことを認識すると、現在通信回線を介して接続されている直近上流側のノード2からのコンテンツデータの受信を停止し、予備回線での接続を確立している他の上流側のノード2からコンテンツデータを再受信するように切り換え動作を実行する。このための具体的な動作としてノード2kは、現在直近上流側に接続されているノード2eに対してはデータ送信停止要求メッセージ(図5参照)を送信し、更に予備回線を確立している上流側のノード2fに対して図示しないデータ送信開始要求メッセージを送信する動作となる。
(VII)実施形態等に係る回復動作閾値の変更動作について
次に、実施形態等に係る回復動作閾値の変更動作について、図7を用いて具体的に説明する。
【0067】
実施形態等に係る各ノード2では、それが有線環境ノードであるか無線環境ノードであるかに拘わらず、図6を用いて説明した回復動作閾値を、図6を用いて説明した品質回復動作の、第二の単位時間(例えば5分間)当たりの実行回数に基づいて増減させる。これにより、当該実行頻度を各ノード2において自律的に制御可能とする。なお、以下の説明では、当該品質回復動作の第二の単位時間当たりの実行回数を、単に「回復動作実行回数」と称する。
【0068】
ここで、当該回復動作閾値としては二通りの閾値が考えられる。即ち第一の閾値としては、受信したコンテンツデータに生じた第一の単位時間(例えば1分間)当たりのバースト損失の発生回数についての閾値が考えられる。また第二の閾値としては、受信したコンテンツデータにおける上記第一の単位時間当たりの損失補完率(すなわち、図4に例示した補完処理の成功率)についての閾値が考えられる。なお、以下の説明では、上記第一の単位時間当たりのバースト損失の発生回数を単に「バースト損失発生回数」と称し、また当該第一の単位時間当たりの損失補完率を単に「損失補完率」と称する。
(A)バースト損失発生回数に基づいて接続換え動作等を行う場合
次に、上記バースト損失発生回数に基づいて品質回復動作を開始する場合の回復動作閾値の変更動作について、図7(a)を用いて説明する。
【0069】
上記バースト損失発生回数に基づいて品質回復動作を開始する場合、図6に例示した品質回復動作の初期状態において、ノード2は、バースト損失発生回数が上記回復動作閾値(上記第一の閾値)の初期値L_th(0)を越えたとき、上記品質回復動作を開始する。
【0070】
そして、上記回復動作実行回数が予め設定されている回復動作上限値R_thを越えたとき、ノード2は、回復動作閾値の上記初期値L_th(0)を予め設定されている一定値だけ増大させる。これにより、品質回復動作が開始され難くする、すなわち、当該品質回復動作の開始についての感度を鈍くする。この結果として、当該ノード2についての上記初期値L_th(0)は図7(a)に例示する回復動作閾値L_th(1)となる。
【0071】
次に、回復動作閾値をL_th(1)とした後、回復動作実行回数が再度回復動作上限値R_thを越えたとき、ノード2は、当該回復動作閾値L_th(1)を上記一定値だけ更に増大させる。これにより、品質回復動作が更に開始され難くする、すなわち、当該品質回復動作の開始についての感度を更に鈍くする。この結果として、当該ノード2についての上記回復動作閾値L_th(1)は図7(a)に例示する回復動作閾値L_th(2)となる。
【0072】
以降、同様にして、回復動作実行回数が更に増えるのであれば、ノード2は、回復動作閾値が更に高くなりように変更することを繰り返して、品質回復動作が更に開始され難くする。
【0073】
一方、回復動作実行回数が予め設定されている回復動作通常値R_thを下回ったときには、ノード2は、そのときの回復動作閾値(例えば値L_th(1))を一定値だけ減少させる(戻す)。これにより、品質回復動作が開始され易くする、すなわち、当該品質回復動作の開始についての感度を敏感にする。この結果として、当該ノード2についての例えば上記回復動作閾値L_th(1)は図7(a)に例示する回復動作閾値L_th(0)となる。
(B)損失補完率に基づいて接続換え動作等を行う場合
次に、上記損失補完率に基づいて品質回復動作を開始する場合の回復動作閾値の変更動作について、図7(b)を用いて説明する。
【0074】
上記損失補完率に基づいて品質回復動作を開始する場合、図6に例示した品質回復動作の初期状態において、ノード2は、損失補完率が上記回復動作閾値(上記第二の閾値)の初期値C_th(0)を下回ったとき、上記品質回復動作を開始する。
【0075】
そして、上記回復動作実行回数が予め設定されている回復動作上限値R_thを越えたとき、ノード2は、回復動作閾値の上記初期値C_th(0)を予め設定されている一定値だけ減少させる。これにより、品質回復動作が開始され難くする。この結果として、当該ノード2についての上記初期値C_th(0)は図7(b)に例示する回復動作閾値C_th(1)となる。
【0076】
次に、回復動作閾値をC_th(1)とした後、回復動作実行回数が再度回復動作上限値R_thを越えたとき、ノード2は、当該回復動作閾値C_th(1)を上記一定値だけ更に減少させる。これにより、品質回復動作が更に開始され難くする。この結果として、当該ノード2についての上記回復動作閾値C_th(1)は図7(b)に例示する回復動作閾値C_th(2)となる。
【0077】
以降、同様にして、回復動作実行回数が更に増えるのであれば、ノード2は、第一の閾値が更に低くなりように変更することを繰り返して、品質回復動作が更に開始され難くする。
【0078】
一方、回復動作実行回数が予め設定されている回復動作通常値R_thを下回ったときには、ノード2は、そのときの回復動作閾値(例えば回復動作閾値C_th(1))を一定値だけ増大させる(戻す)。これにより、品質回復動作が開始され易くする。この結果として、当該ノード2についての例えば上記回復動作閾値C_th(1)は図7(b)に例示する回復動作閾値C_th(0)となる。
【0079】
なお、上記(A)及び(B)夫々の場合において、回復動作上限値R_th、回復動作通常値R_th、回復動作閾値の各初期値C_th(0)又はL_th(0)並びに回復動作閾値の変更における上記一定値(図7参照)、夫々の具体的な値は、例えば、配信システムSにおいて予想されるノード2の参加数の最大値、配信システムSにおける全てのノード2における無線環境ノードが占める割合、又は配信システムSを用いて配信されるコンテンツの質或いは配信システムSとして期待される全体的なサービス品質等に基づいて、当該配信システムSの管理者により予め設定されるものである。
【0080】
以上夫々説明した実施形態等に係る回復動作閾値の制御動作を各ノード2において実行することで、品質回復動作が過剰に開始されることを自動的に抑制できる。これにより、配信システムSとしてのコンテンツの配信品質の劣化の防止と効果的な配信品質の向上とを両立させることができる。
【0081】
従って、配信システムSとしてのコンテンツの配信品質の劣化の防止と効果的な配信品質の向上とを両立させることで、配信システムS全体としての信頼性及び安定性を向上させることができる。
【実施例】
【0082】
次に、上記実施形態に係る配信システムSに属する放送局1、各ノード2及び接続先紹介サーバ3夫々の具体的な構成及び各ノード2についての細部動作について、実施例として図8至図14を用いて説明する。
【0083】
なお、図8は実施例に係る放送局1の細部構成を示すブロック図であり、図9は実施例に係る各ノード2の細部構成を共通的に示すブロック図であり、図10は実施例に係る接続先紹介サーバ3の細部構成を示すブロック図である。また図11乃至図14は当該各ノード2において実行される実施例に係る動作を共通的に夫々示すフローチャートである。
【0084】
始めに、実施例に係る放送局1の概要構成及び概要動作について、図8を用いて説明する。
【0085】
図8に示すように、実施例に係る放送局1は、制御部11、記憶部12、暗号化用アクセラレータ13、エンコーダ部14、通信部15及び入力部16を備えて構成され、これらの構成要素は、バス17を介して相互に接続されている。
【0086】
このとき、制御部11は、演算機能を有するCPU、作業用RAM(Random Access Memory)並びに各種データ及びプログラム(OS(Operating System)及び各種アプリケーションを含む)を記憶するROM(Read Only Memory)等から構成されている。また、記憶部12は、上記コンテンツデータ(パケット)を記憶保存するためのHDD(Hard Disc Drive)等から構成されている。更に、暗号化用アクセラレータ13は、暗号鍵を用いてコンテンツデータを暗号化するために用いられる。
【0087】
一方、エンコーダ部14は、コンテンツデータを規定のデータ形式へ変換する。また、通信部15は、通信回線9を介してノード2等との間のコンテンツや各種メッセージの通信制御を行う。更に、入力部16は、例えば、キーボード又はマウス等からなり、使用者(オペレータ)からの指示を受け付け当該指示に応じた指示信号を制御部11に対して与える。
【0088】
以上の構成において、制御部11は、CPUが記憶部12等に記憶されたプログラムを実行することにより放送局1全体を統括制御して実施例に係る各動作を実行する。より具体的に制御部11は、記憶部12に記憶保存されたコンテンツデータを、エンコード部14を用いてデータ形式を変換した後、暗号鍵を用いて暗号化用アクセラレータ13により暗号化させる。その後、制御部11は、当該コンテンツデータを所定のデータ量に分割して連続する複数の上記パケットを生成し、通信部15を介してこれをノード2(図1乃至図6に示す例では、ノード2a及び2b)に対してストリーム配信する。
【0089】
また、制御部11は、当該コンテンツデータの配信先を、記憶部12に記憶された接続態様(トポロジ)テーブルを参照して決定する。このトポロジテーブルには、少なくとも、放送局1と接続されるノード2(換言すれば、コンテンツデータの配信先であるノード2)のIPアドレス及びポート番号が夫々記述されている。
【0090】
次に、実施例に係る各ノード2の概要構成及び概要動作について、図9を用いて説明する。なお、実施例に係る各ノード2は基本的に同一の構成を備える。
【0091】
図9に示すように、実施例に係るノード2は、品質検出手段、接続換え手段、接続換え数検出手段及び閾値変更手段としての制御部21と、記憶手段としての記憶部22と、上記バッファメモリ23と、復号化アクセラレータ24と、デコーダ部25と、映像処理部26と、表示部27と、音声処理部28と、スピーカ29と、通信部29aと、入力部29bと、ICカードスロット29cと、を備えて構成されている。そして、これらの構成要素はバス29dを介して相互に接続されている。
【0092】
このとき、制御部11は、演算機能を有するCPU、作業用RAM、各種データ及びプログラム(OS及び各種アプリケーションを含む)を記憶するROM等から構成されている。また、記憶部22は、各種データ及びプログラム等を記憶するHDD等から構成されている。更にバッファメモリ23は、受信したコンテンツデータを一時的に蓄積(記憶)する。これに加えて記憶部22は、実施形態に係る上記回復動作上限値R_th及び回復動作通常値R_thと、その時点での回復動作閾値L_th(n)(バースト損失発生回数に基づいて接続換え動作等を行う場合)又は回復動作閾値C_th(n)(損失補完率に基づいて接続換え動作等を行う場合)のいずれか一方と、を、夫々回復動作上限値データ22A、回付動作通常値データ22B及び回付動作閾値データ22Cとして不揮発性に記憶している。
【0093】
一方、復号化アクセラレータ24は、バッファメモリ23に蓄積された暗号化されたコンテンツデータを、復号鍵を用いて復号化する。また、デコーダ部25は、復号化されたコンテンツデータに含まれるビデオデータ及びオーディオデータ等をデコード(データ伸張等)して再生する。更に、映像処理部26は、当該再生されたビデオデータ等に対して所定の描画動作を施し映像信号として出力する。
【0094】
他方、表示部27は、CRT(Cathode Ray Tube)及び液晶ディスプレイ等からなり、映像処理部26から出力された映像信号に基づき対応する映像を表示する。また、音声処理部28は、上記再生されたオーディオデータをアナログ音声信号にD(Digital)/A(Analog)変換した後これをアンプにより増幅して出力する。更に、スピーカ部29は、当該音声処理部28から出力された音声信号を音波として出力する。
【0095】
また、通信部29aは、通信回線9を介して放送局1や他のノード2等との間の通信制御を行う。更に、入力部29bは、例えば、マウス、キーボード及び操作パネル或いはリモコン等からなり、使用者(視聴者)からの各種指示に対応する指示信号を制御部21に対して出力する。そして、ICカードスロット29cは、ICカード29eに対する情報の読み書きを行う。
【0096】
ここで、ICカード29eは、耐タンパ性があり、例えば、配信システムSの運営者等から各ノード2の使用者に配布されるものである。このとき、当該耐タンパ性とは、非正規な手段による機密データの読み取りを防ぎ、簡単に解析できないようにタンパリング対策が施されていることを言う。このICカード29eは、CPUからなるICカードコントローラ、耐タンパ性のある不揮発性メモリ、例えば、EEPROM(Electrical Erasable and Programmable ROM)等を備えて構成されている。当該不揮発性メモリには、ユーザID、暗号化されたコンテンツデータを復号化するための復号鍵及びデジタル証明書等が記憶されている。ここで、当該デジタル証明書は、ノード2が配信システムSに参加する際に、上述した上流ノード紹介要求メッセージMG1(当該ノード2の所在情報が含まれる)と共に接続先紹介サーバ3に送信される。
【0097】
一方、バッファメモリ23は、例えばFIFO(First In First Out)形式のリングバッファメモリから構成されており、制御部21の制御下、受信ポインタにより示される記憶領域に通信部29aを通じて受信されたコンテンツデータを一時的に蓄積する。
【0098】
このとき、制御部21は、それに含まれるCPUが記憶部22等に記憶されたプログラムを読み出して実行することによりノード2全体を統括制御し、後述する実施例に係る各動作を実行する。これに加えて、制御部21は、通常の動作として、上流から配信されてきた複数のパケットを通信部29aを通じて受信してバッファメモリ23に書き込み、且つ、当該バッファメモリ23に蓄積されているパケット(一定時間過去に受信されたパケット)を読み出して通信部29aを通じて下流のノード2に送信(中継)する。一方、バッファメモリ23は、再生ポインタにより示される当該バッファメモリ23の記憶領域に蓄積されているパケットを読み出し、バス29dを介して復号化アクセラレータ24やデコーダ部25に出力する。
【0099】
なお、上記プログラムは、例えば、ネットワーク10上の所定のサーバからダウンロードされるようにしてもよいし、例えば、CD−ROM(Compact disc - ROM)等の記録媒体に記録されて当該記録媒体のドライブを介して読み込まれるようにしてもよい。
【0100】
最後に、実施例に係る接続先紹介サーバ3の概要構成及び概要動作について、図10を用いて説明する。
【0101】
図10に示すように、実施例に係る接続先紹介サーバ3は、制御部35と、記憶部36と、通信部37と、を備えて構成され、これらの構成要素は、バス38を介して相互に接続されている。
【0102】
このとき、制御部35は、演算機能を有するCPU,作業用RAM,各種データ及びプログラム(OS及び各種アプリケーションを含む)を記憶するROM等から構成されている。また、記憶部36は、各種データ等を記憶保存するためのHDD等から構成されている。更に、通信部37は、ネットワーク10を通じてノード2等との間の情報の通信制御を行う。
【0103】
この構成において、記憶部36内には、配信システムSに参加している放送局1及び各ノード2の所在情報を含む端末管理データベース36Aと、配信システムSにおける放送局1とノード2及び各ノード2間のトポロジ情報が記憶されたトポロジデータベース36Bと、が蓄積・記憶されている。
【0104】
そして、制御部35は、それに含まれるCPUが記憶部36等に記憶されたプログラムを実行することにより接続先紹介サーバ3全体を統括制御して実施例に係る各動作を実行する。
【0105】
より具体的に制御部35は、未参加のノード2、例えば、図2に例示するノードNから上記上流ノード紹介要求メッセージMG1が送信されてきたとき、上述した認証動作(例えば参加要求に付加されたデジタル証明書の有効性の判定動作等)を行う。そして、当該認証が有効であったならば、当該ノードNの所在情報とデジタル証明書のダイジェストとを、例えば、デジタル証明書を所定のハッシュ関数でハッシュ化したハッシュ値を端末管理データベース36A内に記憶する。
【0106】
また、制御部35は、上記認証が有効であった場合に、上記上流ノード紹介要求メッセージMG1を送信してきたノードNに対して、接続先候補となる複数の上流ノード2の所在情報及び階層レベル情報(当該上流ノード2が、第何階層に存在するかを示す情報)を含む上記上流ノード候補メッセージMG2を、通信部37を通じて送信する。そして、当該上流ノード候補メッセージMG2を受信したノードNにおいては、接続先候補となる複数の上流ノード2の配信システムS内でのネットワーク近接度が比較される。これにより、最も近い位置に存在するノード2(上流ノード)が選定されて、当該ノード2との間で上記接続要求メッセージMG3及び接続許可応答メッセージMG4の授受が為されて接続が確立される。その後、当該接続が確立された上流ノード2の所在情報が接続先紹介サーバ3に対して送信(返信)される。これに対して、制御部35は、当該ノードNに関するトポロジ情報を上記トポロジデータベース36B内に記憶する。
【0107】
これに加えて制御部35は、上記接続換え動作を開始したノード2、例えば、図6に例示するノード2kから上記上流ノード紹介要求メッセージMG13が送信されてきたとき、当該上流ノード紹介要求メッセージMG13を送信してきたノード2kに対して、接続先候補となる複数の上流ノード2の所在情報及び階層レベル情報を含む上記上流ノード候補メッセージMG14を、通信部37を通じて送信する。そして、当該上流ノード候補メッセージMG14を受信したノード2kにおいては、接続先候補となる複数の上流ノード2の配信システムS内でのネットワーク近接度が比較される。これにより、最も近い位置に存在するノード2(図6に示す場合はノード2h)が選定されて、当該ノード2hとの間で上記接続要求メッセージMG15及び接続許可応答メッセージMG16の授受が為されて接続が確立される。その後、当該接続が確立された上流ノード2hの所在情報が接続先紹介サーバ3に対して送信(返信)される。これに対して、制御部35は、当該ノード2kに関するトポロジ情報を上記トポロジデータベース36B内に記憶する。
【0108】
次に、上述した構成を備えるノード2における実施例に係る動作について、具体的に図11乃至図14を用いて説明する。なお、実施例に係る放送局1における動作は、例えば上記特許文献1における図4及び段落番号[0061]乃至[0087]に例示される従来のものと同一であるので、細部の説明は省略する。また、実施例に係る接続先紹介サーバ3もまた、例えば上記特許文献1における図8及び段落番号[0119]乃至[0151]に例示される従来のものと同一であるので、細部の説明は省略する。
【0109】
また、実施例に係る各ノード2においては、無線環境ノードであるか有線環境ノードであるかに拘わらず、全て図11乃至図14に示す動作と同一の動作が夫々に実行されている。
【0110】
また、図11においては、実施例に係る各ノード2において実行される上記参加動作(ステップS1乃至S8(図2参照))から、受信したパケットの中継動作及び再生動作(ステップS9乃至S13)までを説明する。
【0111】
図11に示すように、実施例に係るいずれかのノード2(以下、図11乃至図14を用いてその動作を説明するノード2を、対象ノード2と称する)において、その電源スイッチがオンとされて対象ノード2における主電源及び補助電源がオンとされると、最初に対象ノード2の記憶部22内に記憶されているプログラムや各構成部材夫々が制御部21によって初期化される(ステップS1)。なお、上記補助電源は、上記主電源がオフとされた後において最終的に対象ノード2に対する電源供給が全て断とされるまでオンとされている電源である。
【0112】
そして、当該初期化が完了すると、次に、対象ノード2の制御部21は、当該対象ノード2自体において、参加要求操作(図2参照)、上記接続換え動作(図6参照)の要求又は新たな上記予備回線の接続(図3参照)の要求のいずれかが生起したか否かを確認する(ステップS2)。
【0113】
このとき、当該参加要求操作とは、配信システムSにその対象ノード2自体が新たに参加する旨(すなわち、当該選択されたチャンネルに相当するコンテンツデータの受信を希望する旨)の操作である。また、当該参加要求操作の有無の確認は、対象ノード2の制御部21が、例えば視聴を希望する放送局1に相当するチャンネルを選択する操作がそのユーザにより実行されたか否かを確認することにより実行される。
【0114】
そして、参加要求操作が実行されたか、或いは接続換え動作の要求又は予備回線接続の要求のいずれかが生起したとき(ステップS2;YES)、制御部21は、実際に配信システムSに参加する、又は新たな予備回線の或いは接続先新たな通信回線の接続先を発見するための上流ノード紹介要求メッセージMG1又はMG8或いはMG13を、接続先紹介サーバ3に送信する(ステップS3)。
【0115】
その後は、制御部21は、対象ノード2における上記電源スイッチがオフとされたか否かを確認し(ステップS4)、オフとされていないときは(ステップS4;NO)、制御部21は、上記ステップS2に戻って上述してきた一連の動作を繰り返す。一方、ステップS4の判定において、電源スイッチがオフとされたときは(ステップS4;YES)、上記主電源をオフとし、それまで参加していた配信システムSから脱退する動作を実行した後に上記補助電源もオフとして(ステップS5)、対象ノード2としての動作を終了する。
【0116】
他方、上記ステップS2の判定において、上記参加の旨の操作又は接続換え動作要求或いは予備回線接続要求が元々生起していないか、又は一度当該参加の旨の操作又は接続換え動作要求或いは予備回線接続要求が生起し、それに対応するステップS3の判定として上流ノード紹介要求メッセージMG1又はMG8或いはMG13を接続先紹介サーバ3へ送信後であるとき(ステップS2;NO)、制御部21は、当該上流ノード紹介要求メッセージMG1又はMG8或いはMG13に対する応答としての上記上流ノード候補メッセージMG2又はMG9或いはMG14を接続先紹介サーバ3から受信したか否かを確認する(ステップS6)。
【0117】
そして、当該上流ノード候補メッセージMG2又はMG9或いはMG14を受信しているときは(ステップS6;YES)、制御部21は、上流ノード候補メッセージMG2又はMG9或いはMG14の中から接続対象となる他のノード2を選択し、その選択したノード2に対していわゆるNAT(Network Address Translation)越え動作を実行する(ステップS7)。
【0118】
ここで、当該NAT越え動作とは、通常、いわゆるエッジルータにおいてWAN(Wide Area Network)側からLAN(Local Area Network)側へ未知のパケットを通過させるときに用いられる動作のことを指し、より具体的には、例えば、「UDP Hole Punching」や「UPnP(Universal Plug and Play)」といった技術により実現される動作である。
【0119】
当該NAT越え動作が完了したら、制御部21は、実際のパケットの配信を受けるべく、当該NAT越え動作の対象となったノード2に対して、上記接続要求メッセージMG3又はMG15或いは上記予備回線接続要求メッセージMG10を送信し(ステップS8)、その後、上記ステップS4の動作に移行して上述した一連の動作を繰り返す。
【0120】
一方、上記ステップS6の判定において、上流ノード候補メッセージMG2又はMG9或いはMG14のいずれも受信していないとき(ステップS6;NO)、制御部21は、次に新たなパケットを上流側の他のノード2から受信したか否かを制御部21において確認する(ステップS9)。
【0121】
そして、当該上流側のノード2からパケットを受信していない場合(ステップS9;NO)、制御部21は、後述の図12に示す動作に移行する。一方、パケットを受信した場合には(ステップS9;YES)、そのパケットの受信態様に基づいて、記憶部22及び制御部21において管理している受信品質統計情報を更新する(ステップS12)。
【0122】
ここで、受信品質統計情報とは、具体的には、各ノード2が受信したパケットの量等に基づいて算出された、過去1分間(上記第一の単位時間)のバースト損失発生数又は損失補完率である。そして、この受信品質統計情報としての平均バースト損失発生数又は平均損失補完率が悪化してくると、それは即ち上述したように当該ノード2に対するコンテンツの配信状態が悪化したものと見なすことができるのである(図6△印参照)。
【0123】
次に、当該対象ノード2に対して下流側に接続されている他のノード2が存在しているか否かを確認する(ステップS11)。これにより、当該下流側のノード2が存在している場合(ステップS11;YES)、制御部21は、当該下流側のノード2に対して必要なパケットを中継しつつ(ステップS12)、受信したパケットを自らのデコーダ部25へ出力し、復号したコンテンツを映像処理部26及び音声処理部28を用いて再生し(ステップS13)、その後上記ステップS4の動作に移行して上述した一連の動作を繰り返す。
【0124】
なお、上記ステップS11の判定において、下流側のノード2が存在していない場合は(ステップS11;NO)、制御部21は、そのまま上記ステップS13に移行して自らにおける再生動作を実行する。
【0125】
次に、上記ステップS9の動作において、上流側のノード2からパケットを受信していない場合(ステップS9;NO)以降の動作について、図12を用いて説明する。なお、図12においては、実施例に係る対象ノード2において実行される上記脱退動作(ステップS20乃至S25)、当該対象ノード2の下流側において新たに参加する他のノード2の当該参加動作又は接続換え動作(ステップS26乃至S30)について夫々説明する。
【0126】
図11に示すステップS9の判定において、パケットを受信していないとき(ステップS9;NO)、制御部21は、図12に示すように、パケット受信待ちの状態で対象ノード2において配信システムSから脱退する旨の操作が為されたか否かを確認する(ステップS20。図5参照)。
【0127】
ステップS20の監視動作中において当該脱退する旨の操作が為されたとき(ステップS20;YES)、制御部21は、その時点で下流側に接続されている他のノード2(予備回線にて接続されている他のノード2を含む。図12を用いた説明の記載において以下同様。)が存在しているか否かを確認する(ステップS21)。これにより、当該下流側のノード2が存在している場合(ステップS21;YES)、制御部21は、当該下流側のノード2に対して上記脱退報告メッセージMG5の送信を行い(ステップS22)、その後下記ステップS23の動作に移行する。
【0128】
一方、上記ステップS21の判定において、下流側のノード2が存在していない場合(ステップS21;NO)、制御部21は次に、現在接続されている直近上流のノード2に対してデータ送信停止要求メッセージMG6及び接続解除要求メッセージMG7を夫々送信する(ステップS23、S24。図5参照)。そして制御部21は、接続先紹介サーバ3に対して配信システムSのトポロジから脱退した旨の図示しない脱退報告メッセージを送信し(ステップS25)、図11に示すステップS4の動作に移行して上述した一連の動作を繰り返す。
【0129】
他方、ステップS20の判定において、上記脱退する旨の操作が為されないとき(ステップS20;NO)、次に制御部21は、当該操作の監視中において下流側に接続されている他のノード2から新たな接続要求メッセージMG3又はMG15或いは新たな予備回線接続要求メッセージMG10が送信されて来ているか否かを確認する(ステップS26)。
【0130】
これにより、当該接続要求メッセージMG3又はMG15或いは予備回線接続要求メッセージMG10が送信されて来ているとき(ステップS26;YES)、制御部21は、現在対象ノード2の下流側に接続されている他のノード2の数が当該対象ノード2としての接続可能数に達しているか否かを確認する(ステップS27)。ここで、制御部21は、対象ノード2の記憶部22に記憶されているノード管理情報に基づいて当該確認動作を実行する。
【0131】
また、上記接続可能数については、対象ノード2として予め設定されている接続可能数となる。例えば、図2乃至図6に例示する配信システムSの場合は「2」となる。
【0132】
そして、対象ノード2に現在接続されている下流ノード数が上記接続可能数に達している場合は(ステップS27;YES)、下流側にもはや新たな他のノード2を接続できないこととなる。よって、制御部21は、ステップS26の判定において接続要求メッセージMG3又はMG15或いは予備回線接続要求メッセージMG10を送信して来た他のノード2に対し当該接続要求を拒否する旨の接続拒否メッセージを送信して(ステップS28)、当該他のノード2の対象ノード2に対する接続を拒否する。
【0133】
その後、対象ノード2の制御部21は、図11に示すステップS4の動作に移行して上述した一連の動作を繰り返す。
【0134】
次に、上記ステップS27の判定において、対象ノード2に現在接続されている下流ノード数が上記接続可能数に達していない場合(ステップS27;NO)、制御部21は、送信されて来た接続要求メッセージMG3又はMG15或いは予備回線接続要求メッセージMG10に対応して当該下流側の他のノード2の所在情報を記憶部22に記憶されているノード管理情報内に追加(登録)する(ステップS29)。その後制御部21は、当該下流側の他のノード2に対して上記接続許可応答メッセージMG4又はMG16或いは予備回線接続についての上記図示しない接続許可応答メッセージ(図3参照)を送信し、当該他のノード2との間における接続動作を実行する(ステップS30)。そして、制御部21は、図13に示すステップS4の動作に移行して上述した一連の動作を繰り返す。
【0135】
一方、ステップS26の判定において、接続要求メッセージMG3又はMG15或いは予備回線接続要求メッセージMG10のいずれもが送信されて来ていないとき(ステップS26;NO)、制御部21は、後述の図13に示す動作に移行する。
【0136】
次に、上記ステップS26の動作において、接続要求メッセージMG3又はMG15或いは予備回線接続要求メッセージMG10のいずれもが送信されて来ていないとき(ステップS26;NO)の動作について、図13を用いて説明する。なお、図13においては、実施例に係る対象ノード2において実行される上記参加動作等(ステップS35乃至S41)、当該対象ノード2の下流側に接続される他のノード2との間における種々の動作(ステップS42乃至S47)について夫々説明する。
【0137】
図12に示すステップS26の判定において、接続要求メッセージMG3又はMG15或いは予備回線接続要求メッセージMG10のいずれもが送信されて来ているとき(ステップS26;NO)、制御部21は、図13に示すように、直近上流側の他のノード2から接続許可応答メッセージMG4又はMG16或いは予備回線接続についての上記図示しない接続許可応答メッセージを受信したか否かを確認する(ステップS35)。そして、当該接続許可応答メッセージMG4又はMG16或いは予備回線接続についての上記図示しない接続許可応答メッセージを受信したとき(ステップS35;YES)、制御部21は次に、現在対象ノード2において他のノード2との間で予備回線が確立されているか否かを確認する(ステップS36)。そして、当該予備回線が確立されているとき(ステップS36;YES)、制御部21は後述するステップS39の動作に移行する。一方、ステップS36の判定において、予備回線が確立されていないとき(ステップS36;NO)、制御部21は、コンテンツデータの配信を受けるべく、その旨の図示しないデータ送信開始要求メッセージを上流側の他のノード2に向けて送信する(ステップS37)。このとき、当該データ送信開始要求メッセージには、例えばLAN(Local Area Network)におけるゲートウエイのMAC(Media Access Control)アドレスと、当該対象ノード2がパケットを受信する際に用いられる暗号通信方式に関する情報等がセキュリティ情報として添付されている。
【0138】
その後制御部21は、現在は接続されていない予備回線を新たに接続するべく、上記予備回線接続要求メッセージMG10を送信し(ステップS38。図3参照)、更に接続先紹介サーバ3に対して配信システムSのトポロジに対する参加報告メッセージを送信し(ステップS39)、その後、図11に示すステップS4の動作に移行して上述した一連の動作を繰り返す。
【0139】
一方、ステップS35の判定において、接続許可応答メッセージMG4又はMG16或いは予備回線接続についての上記図示しない接続許可応答メッセージのいずれも受信していないとき(ステップS35;NO)、制御部21は次に、上流側の他のノード2から接続拒否メッセージ(図12ステップS28参照)を受信したか否かを確認する(ステップS40)。そして、当該接続拒否メッセージが送信されて来た時は(ステップS40;YES)、本来の通信回線又は予備回線についての新たな接続先を探索すべく、上流ノード紹介要求メッセージMG1、MG8又はMG13を接続先紹介サーバ3に送信する(ステップS41)。その後、制御部21は、図11に示すステップS4の動作に移行して上述した一連の動作を繰り返す。
【0140】
他方、ステップS40の判定において、接続拒否メッセージも送信されて来ていない時(ステップS40;NO)、次に制御部21は、下流側に接続されている他のノード2から新たな接続解除要求メッセージMG7を受信しているか否かを確認する(ステップS42)。そして、当該接続解除要求メッセージMG7を受信したとき(ステップS42;YES)、制御部21は、当該接続解除要求メッセージMG7に対応して下流側の他のノード2の所在情報を上記ノード管理情報から削除することで当該下流側の他のノード2の削除動作を実行し(ステップS43)、図11に示すステップS4の動作に移行して上述した一連の動作を繰り返す。
【0141】
一方、ステップS42の判定において、新たな接続解除要求メッセージMG7も受信していないとき(ステップS42;NO)、制御部21は次に、下流側に接続されている他のノード2から上記データ送信開始要求メッセージを受信しているか否かを確認する(ステップS37参照。ステップS44)。
【0142】
そして、当該データ送信開始要求メッセージを受信しているときは(ステップS44;YES)、制御部21は、当該データ送信開始要求メッセージに応答して通常のコンテンツデータとしてのパケットを下流側の他のノード2に送信し(ステップS45)、図11に示すステップS4の動作に移行して上述した一連の動作を繰り返す。
【0143】
他方、ステップS44の判定において、データ送信開始要求メッセージを受信していないとき(ステップS44;NO)、制御部21は次に、下流側の他のノード2から上記データ送信停止要求メッセージMG6を受信しているか否かを確認する(ステップS46)。そして、当該データ送信停止要求メッセージMG6も受信していないときは(ステップS46;NO)、制御部21は、後述の図14に示す動作に移行する。
【0144】
一方、当該データ送信停止要求メッセージMG6を受信した場合(ステップS46;YES)、制御部21は、下流側の他のノード2に対するコンテンツデータとしてのパケットの送信を停止し(ステップS47)、図11に示すステップS4の動作に移行して上述した一連の動作を繰り返す。
【0145】
次に、上記ステップS46の判定においてデータ送信停止要求メッセージMG6も受信していない場合(ステップS46;NO)以降の動作について、図14を用いて説明する。
【0146】
図13に示すステップS46の判定において、データ送信停止要求メッセージMG6も受信していないとき(ステップS46;NO)、制御部21は、図14に示すように、対象ノード2において、上流側のノード2からのコンテンツの配信状態が悪化したか否かを確認する(ステップS50)。このステップS50における判定方法は、具体的には、その時点で対象ノード2の記憶部22に記憶されている受信品質統計情報として記憶されている回復動作閾値データ22Cとの比較等において、対象ノード2への実際の配信状態が悪化したか否かを確認する。
【0147】
ステップS50の確認動作において、当該配信状態が悪化した(実際のバースト損失の発生回数が増加した又は損失補完率が低下した)と確認された場合(ステップS50;YES)、制御部21は、記憶部22内に不揮発性に記憶されている上記回復動作実行回数の値を「1」だけインクリメントする(ステップS52)。その後制御部21は、上記品質回復動作として接続換え動作と切り換え動作のいずれかを、例えばランダムに選択する(ステップS53)。
【0148】
そして制御部21は、ステップS53の動作において接続換え動作が選択されたか否かを確認し(ステップS54)、当該接続換え動作が選択されていないとき(ステップS54;NO)、制御部21は、品質回復動作として切り換え動作が選択されたとして、その時点で予備回線を介して接続が確立されている上流側のノード2に対して当該予備回線における上記図示しないデータ送信開始要求メッセージを送信する(ステップS58)。その後制御部21は、図11に示すステップS4の動作に移行して上述した一連の動作を繰り返す。
【0149】
一方、上記ステップS54の判定において、ステップS53の動作において接続換え動作が選択された場合(ステップS54;YES)、制御部21は、その時点から上記接続換え動作を開始する。より具体的に制御部21は、その時点で接続されている直近上流のノード2及び予備接続が確立されているノード2の双方に対して接続解除要求メッセージMG7を送信する(ステップS55。図5参照)。そして制御部21は、接続先紹介サーバ3に対して配信システムSのトポロジから脱退した旨の図示しない脱退報告メッセージを送信し(ステップS56)、その後、図6に示した接続換え動作を実行する(ステップS57)。その後制御部21は、図11に示すステップS4の動作に移行して上述した一連の動作を繰り返す。
【0150】
一方、上記ステップS50の判定において、配信状態が悪化していないとき(ステップS50;NO)、制御部21は、その時点での回復動作実行回数が記憶部22内に記憶されている上記回復動作上限値データ22Aの値を超えているか否かを確認する(ステップS59)。そして、その時点での回復動作実行回数が回復動作上限値データ22Aの値を越えているとき(ステップS59;YES)、制御部21は、その時の回復動作閾値データ22Cの値を一段階鈍感側に更新する(ステップS60。図7(a)「UP」矢印又は図7(b)「DOWN」矢印参照)。その後制御部21は、図11に示すステップS4の動作に移行して上述した一連の動作を繰り返す。
【0151】
他方、上記ステップS59の判定において、その時点での回復動作実行回数が回復動作上限値データ22Aの値を越えていないとき、次に制御部21は、その時点での回復動作実行回数が記憶部22内に記憶されている上記回復動作通常値データ22Bの値を下回っているか否かを確認する(ステップS61)。そして、その時点での回復動作実行回数が回復動作通常値データ22Bの値を下回っているとき(ステップS61;YES)、制御部21は、その時の回復動作閾値データ22Cの値を一段階敏感側に更新する(ステップS61。図7(a)「DOWN」矢印又は図7(b)「UP」矢印参照)。その後制御部21は、図11に示すステップS4の動作に移行して上述した一連の動作を繰り返す。
【0152】
更に、上記ステップS61の判定において、その時点での回復動作実行回数が回復動作通常値データ22Bの値を下回っていないとき(ステップS61;NO)、次に制御部21は、上流側のいずれかのノード2から上記脱退報告メッセージMG5(図5参照)が送信されて来たか否かを確認する(ステップS63)。そして、当該脱退報告メッセージMG5が送信されて来たかとき(ステップS63;YES)、制御部21は更に、その脱退報告メッセージMG5を送信してきたノード2との間で予備回線が確立されているか否かを確認する(ステップS64)。そして、当該予備回線が確立されている場合(ステップS64;YES)、当該上流側のノード2の脱退に伴う新たな予備回線取得動作を実行する(ステップS65。図3参照。)。その後制御部21は、図11に示すステップS4の動作に移行して上述した一連の動作を繰り返す。
【0153】
他方、上記ステップS64の判定において、脱退報告メッセージMG5を送信してきたノード2との間では予備回線が確立されていない場合(ステップS64;NO)、制御部21は、当該上流側のノード2の脱退に伴う上記接続換え動作を実行すべく、上記ステップS55の動作に移行して上述した一連の動作を繰り返す。
【0154】
更に上記ステップS63の判定において、脱退報告メッセージMG5も送信されて来ていないとき(ステップS63;NO)、制御部21は、図11に示すステップS4の動作に移行して上述した一連の動作を繰り返す。
【0155】
以上夫々説明したように、実施形態に係る配信システムSにおける各ノード2等の動作によれば、第二の単位時間(例えば5分間)内に開始された品質回復動作の数が回復動作上限値R_thを越えたときは品質回復動作が開始され難くなるように回復動作閾値L_th(n)又はC_th(n)を変更し、また当該品質回復動作の数が回復動作通常値R_th未満となったときは品質回復動作が開始され易くなるように回復動作閾値L_th(n)又はC_th(n)を変更するので、過剰な数の品質回復動作が実行されることによる配信システムSとしてのコンテンツの配信品質の劣化の防止と効果的な配信品質の向上とを両立させることができる。
【0156】
従って、配信システムSとしてのコンテンツの配信品質の劣化の防止と効果的な配信品質の向上とを両立させることで、配信システムSとしての信頼性及び安定性を向上させることができる。
【0157】
また、変更後の回復動作閾値L_th(n)又はC_th(n)を不揮発性に記憶するので、ノード2の電源が一旦オフとされた後に新たに起動された場合でも、調整済みの回復動作閾値L_th(n)又はC_th(n)を用いることができ、過剰な数の品質回復動作が実行されることをより効果的に抑制することができる。
【0158】
更に、コンテンツにおける第一の単位時間内のバースト損失の発生回数を受信品質とする場合において、検出された品質回復動作の数が回復動作上限値R_thを越えたとき回復動作閾値L_th(n)を高く変更し、回復動作通常値R_th未満となったとき回復動作閾値L_th(n)を低く変更するように当該回復動作閾値L_th(n)を夫々変更し、更に、当該第一の単位時間内の損失補完率を受信品質とする場合において、検出された品質回復動作の数が回復動作上限値R_thを越えたとき回復動作閾値C_th(n)を低く変更し、回復動作通常値R_th未満となったとき回復動作閾値C_th(n)を高く変更するように当該回復動作閾値C_th(n)を夫々変更するので、過剰な数の品質回復動作が実行されることによる配信システムSとしてのコンテンツの配信品質の劣化の防止と効果的な配信品質の向上とを両立させることができる。
【0159】
また、品質回復動作として接続換え動作を選択した場合には、新たな接続先に対して品質回復動作を実行することにより、効果的に受信品質を改善させることができる。
【0160】
更に、品質回復動作として切り換え動作を選択した場合には、本来の通信回線から接続済みの予備回線に切り換える品質回復動作を実行することにより、迅速且つ効果的に受信品質を改善させることができる。
【0161】
なお、上述した実施形態では、配信システムSにおけるノード2間の通信プロトコルとして、通信の信頼性が無いいわゆるUDP(User Datagram Protocol)を用いることを想定していた。これに対して、品質回復動作を開始する際の条件として用いる測定対象として、単位時間当たりのデータ受信量に置き換えることで通信の信頼性があるいわゆるTCP(Transmission Control Protocol)を通信プロトコルに用いる配信システムに対して発明を適用することも可能である。
【0162】
更に、述した実施形態では、配信システムSとして、いわゆるP2P(Pear to Pear)型同報配信システムを例として取り上げたが、これ以外に、例えばP2P型オンデマンド配信システムに対して本発明を適用することも可能である。
【0163】
更にまた、上記回復動作閾値L_th(n)又はC_th(n)を変更する場合において、品質回復動作の開始についての感度を鈍くする際には一段階分の変更量を大きくし、一方、品質回復動作の開始についての感度を鈍くする際には一段階分の変更量を小さくするように構成することもできる。この場合には、コンテンツの受信品質が劣化した場合に回復動作閾値L_th(n)又はC_th(n)の変更量が大きくなることで、当該受信品質が劣化した場合に過剰な数の品質回復動作が実行されることをより効果的に抑制することができる。
【0164】
なお、上述した実施形態等では、通信回線9の種類が有線回線と無線回線の二種類である場合について説明したが、これ以外に、コンテンツの配信に対する安定度が異なる二種類の有線回線(例えば、光回線とADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線)が存在する配信システム日本発明を適用することもできる。
【0165】
更に、コンテンツの配信に対する安定度が異なる三種類以上の回線(例えば、光回線、ADSL回線及び無線回線)が存在する配信システム日本発明を適用することもできる。
【0166】
更にまた、図11乃至図14に夫々示すフローチャートに対応するプログラムを、フレキシブルディスク又はハードディスク等の情報記録媒体に記録しておき、又はインターネット等を介して取得して記録しておき、これらを汎用のコンピュータで読み出して実行することにより、当該コンピュータを第1実施例に係るノード2内の制御部21として活用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0167】
以上夫々説明したように、本発明はツリー構造を有する配信システムを用いたコンテンツの配信の分野に利用することが可能であり、特に配信に対する安定性が異なる複数種類の回線にノード2が接続されている配信システムにおけるコンテンツの配信の分野に適用すれば特に顕著な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】実施形態等に係る配信システムを構成する各装置の接続態様の一例を示す図である。
【図2】実施形態等に係る配信システムにおける参加動作を示すブロック図である。
【図3】実施形態等に係る配信システムにおいて予備回線を新たに接続する際の動作を例示する図である。
【図4】実施形態等に係る配信システムにおいて発生するパケット損失及びその補完動作を例示する図である。
【図5】実施形態等に係る配信システムにおける脱退動作を示す図である。
【図6】実施形態等に係る配信システムにおける接続換え作を示す図である。
【図7】実施形態に係る配信システムにおける回復動作閾値の変更を例示する図であり、(a)はバースト損失の発生回数を受信品質とする場合における回復動作閾値の変更を例示する図であり、(b)は損失補完率を受信品質とする場合における回復動作閾値の変更を例示する図である。
【図8】実施形態等に係る放送局の概要構成を示すブロック図である。
【図9】実施形態等に係るノードの概要構成を示すブロック図である。
【図10】実施形態等に係る接続先紹介サーバの概要構成を示すブロック図である。
【図11】実施例に係るノードにおける動作を示すフローチャート(I)である。
【図12】実施例に係るノードにおける動作を示すフローチャート(II)である。
【図13】実施例に係るノードにおける動作を示すフローチャート(III)である。
【図14】実施例に係るノードにおける動作を示すフローチャート(IV)である。
【符号の説明】
【0169】
1 放送局
2、2a、2b、2c、2d、2e、2f、2j、2k、2m、2n、2o、N ノード
3 接続先紹介サーバ
5 IX
6 ISP
7 DSL回線事業者
8 FTTH回線事業者
9 通信回線
10 物理ネットワーク
11、21、35 制御部
12、22、36 記憶部
13 暗号化用アクセラレータ
14 エンコーダ部
15、29a、37 通信部
16、29b 入力部
17、29d、38 バス
22A 回復動作上限値データ
22B 回復動作通常値データ
22C 回復動作閾値データ
23 バッファメモリ
24 復号化アクセラレータ
25 デコーダ部
26 映像処理部
27 表示部
28 音声処理部
29 スピーカ
29e ICカード
29c ICカードスロット
36A 端末管理データベース
36B トポロジデータベース
S 配信システム
RP 補完用パケット
CD コンテンツデータ
DF パケット損失
MG1、MG8、MG13 上流ノード紹介要求メッセージ
MG2、MG9、MG14 上流ノード候補メッセージ
MG3、MG15 接続要求メッセージ
MG4、MG16 接続許可応答メッセージ
MG5 脱退報告メッセージ
MG6 データ送信停止要求メッセージ
MG7 接続解除要求メッセージ
MG10 予備回線接続要求メッセージ
MG11 損失補完要求メッセージ
MG12 離脱要求メッセージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の情報処理装置が通信回線を介して階層ツリー状に接続されて構成されており且ついずれかの前記情報処理装置に対して前記階層ツリーに沿って配信情報が配信されるネットワークシステムに含まれる前記情報処理装置において、
前記配信情報の受信品質を検出する品質検出手段と、
前記検出された受信品質が予め設定された接続換え閾値未満となったとき、他の前記情報処理装置に対する接続換え動作を開始する接続換え手段と、
予め設定された単位時間内に開始された前記接続換え動作の数を検出する接続換え数検出手段と、
前記検出された数が予め設定された上限閾値を越えたとき、前記接続換え動作が開始され難くなるように前記接続換え閾値を変更し、前記検出された数が予め設定された下限閾値であって前記上限閾値よりも低い下限閾値未満となったとき、前記接続換え動作が開始され易くなるように前記接続換え閾値を変更する閾値変更手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記閾値変更手段は、前記接続換え動作が開始され易くなるように前記接続換え閾値を変更するときの変更量を、当該接続換え動作が開始され難くなるように前記接続換え閾値を変更するときの変更量よりも大きくして当該接続換え閾値を変更することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報処理装置において、
変更後の前記接続換え閾値を不揮発性に記憶する記憶手段を更に備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
前記品質検出手段は、前記受信品質として、配信された前記配信情報における予め設定された単位時間内のバースト損失の発生回数を検出し、
前記接続換え手段は、当該検出された発生回数が前記接続換え閾値を越えたとき前記接続換え動作を開始し、
更に前記閾値変更手段は、前記検出された数が前記上限閾値を越えたとき前記接続換え動作が開始され難くなるように前記接続換え閾値を高く変更し、前記検出された数が前記下限閾値未満となったとき前記接続換え動作が開始され易くなるように前記接続換え閾値を低く変更することを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
前記品質検出手段は、前記受信品質として、配信された前記配信情報における予め設定された単位時間内の損失補完率を検出し、
前記接続換え手段は、当該検出された損失補完率が前記接続換え閾値未満となったとき前記接続換え動作を開始し、
更に前記閾値変更手段は、前記検出された数が前記上限閾値を越えたとき前記接続換え動作が開始され難くなるように前記接続換え閾値を低く変更し、前記検出された数が前記下限閾値未満となったとき前記接続換え動作が開始され易くなるように前記接続換え閾値を高く変更することを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
前記接続換え手段は、前記検出された受信品質が予め設定された接続換え閾値未満となったとき、新たな接続先としての他の前記情報処理装置に対する接続換え動作を開始することを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
前記階層ツリーにおいて各前記情報処理装置は、前記配信情報が伝送されて来る主通信回線と、当該主通信回線に対する予備である予備通信回線と、により他の前記情報処理装置に夫々接続されており、
前記接続換え手段は、前記検出された受信品質が予め設定された接続換え閾値未満となったとき、前記主通信回線を前記予備通信回線に切り換える前記接続換え動作を開始することを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
複数の情報処理装置が通信回線を介して階層ツリー状に接続されて構成されており且ついずれかの前記情報処理装置に対して前記階層ツリーに沿って配信情報が配信されるネットワークシステムに含まれる前記情報処理装置において実行される情報処理方法において、
前記配信情報の受信品質を検出する品質検出工程と、
前記検出された受信品質が予め設定された接続換え閾値未満となったとき、他の前記情報処理装置に対する接続換え動作を開始する接続換え工程と、
予め設定された単位時間内に開始された前記接続換え動作の数を検出する接続換え数検出工程と、
前記検出された数が予め設定された上限閾値を越えたとき、前記接続換え動作が開始され難くなるように前記接続換え閾値を変更し、前記検出された数が予め設定された下限閾値であって前記上限閾値よりも低い下限閾値未満となったとき、前記接続換え動作が開始され易くなるように前記接続換え閾値を変更する閾値変更工程と、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置として機能させることを特徴とする情報処理装置用プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2010−124294(P2010−124294A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296632(P2008−296632)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】