説明

情報処理装置及び端末並びに充電器

【課題】端末に搭載された二次電池の容量が一旦不足した後は、専用の充電器が無ければ当該端末を使用できないようにする。
【解決手段】充電器3は、プログラムを記憶するプログラム記憶部35を備える。端末2は、接続状態にある充電器3のプログラム記憶部35からプログラムを取り込む。そして、充電器3から取り込んだプログラムを揮発性記憶部203に格納する。端末2は、この揮発性記憶部203に格納されたプログラムに基づいて情報処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池を駆動電源として搭載してなる端末と、前記二次電池を充電するための充電器とを備えた情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば流通・物流の分野においては、発注,受注、検品等の業務用機器として携帯型の端末、いわゆるハンディターミナルが使用される。これらの端末は、携帯性を高めるために、駆動電源として二次電池(バッテリ)を搭載している。このため通常は、クレイドルと称される端末専用の充電器と組み合わされて利用される。
【0003】
ところで、この種の端末は、持運びが容易である。それに加え、端末の動作を制御するOS(Operating System)等のプログラムは、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性記憶媒体に記憶されている。このため、たとえ電池容量がなくなっても、OSが消失してしまうことはない。したがって、専用の充電器が無くても、何らかの方法で二次電池を充電する等して駆動電源が確保されれば、端末は使用可能となる。このため、この種の端末は盗難に遭う可能性が高い。
【0004】
例えば特許文献1には、電源装置が接続されたUSB(Universal Serial Bus)メモリの内部に、コントローラ、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、タイマ用電池、タイマ等を備え、コントローラが、DRAMに対して、タイマに従う通常のリフレッシュ動作を行う機能に加えて、タイマの時間が予め設定した時間に到達した際にリフレッシュ動作を停止する機能を備えたものが開示されている。
【0005】
この特許文献1に記載された技術を上記端末に適用することにより、二次電池の容量が残っていてDRAMに対するリフレッシュ動作が可能な状態であっても、タイマの時間が予め設定した時間に到達した時点でリフレッシュ動作が停止されるので、DRAMに保存されているデータが全て消去される。したがって、盗難に遭ったとしても、DRAMに保存されていたデータが漏洩するのを高い確率で防ぐことができる。
【特許文献1】特開2007−109148号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術を端末に適用したところで、タイマの時間が予め設定した時間に到達した後や二次電池の容量がなくなった後もプログラムは消失しないので、その後、駆動電源が確保されれば、当該端末を使用できる点に代わりはない。このため、盗難に遭う可能性は依然として高い。
【0007】
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、端末に搭載された二次電池の容量が一旦不足した後は、専用の充電器が無ければ当該端末を使用できなくなる情報処理装置及びその端末並びに充電器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、二次電池を駆動電源として搭載してなる端末と、二次電池を充電するための充電器とを備え、端末と充電器とが接続状態にあるとき、二次電池が充電されるとともに双方間でデータ通信を行えるようにした情報処理装置において、充電器は、プログラムを記憶するプログラム記憶部を備える。端末は、接続状態にある充電器のプログラム記憶部からプログラムを取り込むプログラム取得手段と、このプログラム取得手段により充電器から取り込んだプログラムを格納する揮発性記憶部と、この揮発性記憶部に格納されたプログラムに基づいて情報処理を行う情報処理手段とを備える。
【発明の効果】
【0009】
かかる手段を講じた本発明によれば、端末に搭載された二次電池の容量が一旦不足した後は、専用の充電器が無ければ当該端末を使用できなくなる情報処理装置及びその端末並びに充電器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。
なお、この実施の形態は、流通・物流の分野において、発注、受注、検品等の業務用機器として使用される携帯型の端末と、この端末に駆動電源として搭載された二次電池を充電するための充電器とからなる情報処理装置に本発明を適用した場合である。
【0011】
図1は、本実施の形態における情報処理装置1の要部構成を示すブロック図である。この情報処理装置1は、端末2と充電器3とからなる。
【0012】
端末2は、一般にはハンディターミナルと称され、情報処理部20、充電回路接続部21、二次電池22、起動ボタン23及びスイッチ回路24等で構成されている。情報処理部20は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、DRAM203、充電状態検出部204、データ通信部205、タッチパネル206及びタイマ207等で構成されている。端末2は、二次電池22を唯一の駆動電源とする。
【0013】
充電器3は、一般にはクレイドルと称され、電源接続部31、充電回路32、充電回路接続部33、外部PC接続部34、PROM(Programmable Read Only Memory)35、データ通信部36及び補助記憶装置接続部37等で構成している。外部PC接続部34は、パーソナルコンピュータ(以下、PCと略称する)4を着脱自在に接続して、データを送受することができる。補助記憶装置接続部37は、USBメモリ等の補助記憶装置5を着脱自在に接続して、データを送受することができる。
【0014】
端末2を充電器3に装着すると、端末2側の充電回路接続部21と充電器3側の充電回路接続部33とが接続される。この状態で、電源接続部31を介して充電回路32に電源が供給されると、充電回路32の作用により、端末2に搭載されている二次電池22が充電される。
【0015】
また、端末2を充電器3に装着すると、端末2側のデータ通信部205と充電器3側のデータ通信部36とが接続される。この接続状態にあるとき、端末2と充電器3とは、各々のデータ通信部205,36を介してデータを送受することができる。ここに、端末2側のデータ通信部205は、充電器3と接続状態にあるとき該充電器3とデータ通信が可能なデータ通信手段を構成する。同様に、充電器3側のデータ通信部36は、接続状態にある端末2とデータ通信が可能なデータ通信手段を構成する。
【0016】
充電器3のPROM35には、前記端末2において使用されるプログラムが記憶されている。プログラムは、端末2の基本プログラムであるOS(Operating System)を含む。また、発注、受注,検品などの各種業務に関する情報処理を制御するためのアプリケーションプログラムを含む。ここに、PROM35は、プログラム記憶部を構成する。
【0017】
上記PROM35に記憶されるプログラムは、外部PC接続部34を介して接続されたPC4によって、適宜書き換えることができる。
【0018】
端末2の不揮発性記憶部であるROM202には、端末2の起動に最低限必要なプログラム(以下、起動プログラムと称する)が記憶されている。この起動プログラムは、例えばブートストラップローダと称される。
【0019】
端末2の揮発性記憶部であるDRAM203には、プログラムを含む各種のデータが可変的に記憶される。情報処理部20に駆動電源が供給されている動作状態において、CPU201は、上記DRAM203を定期的にリフレッシュ動作して、DRAM203に書き込まれたデータを保持する機能を有している。
【0020】
充電状態検出部204は、二次電池22の充電量をリアルタイムで検出する。また、二次電池22が充電中か否かも検出することができる。
【0021】
起動ボタン23は、端末2のユーザによって操作可能な部位、例えば端末2の筐体前面にタッチパネル206とともに設けられている。この起動ボタン23が短く押されたときにはスイッチ回路24が閉塞し、長く押されたときにはスイッチ回路24が開放する。スイッチ回路24が閉塞すると、二次電池22から放電されて、情報処理部20に駆動電源が供給される。この電源供給を受けて、情報処理部20は、動作状態となる。
【0022】
また、スイッチ回路24が閉塞すると、情報処理部20のCPU201にON信号が与えられる。動作状態となった情報処理部20のCPU201は、上記ON信号を受信すると、図2の流れ図に示す手順で処理を実行する。
【0023】
先ず、CPU201は、ST(ステップ)1として、二次電池22が充電中であるか否かを判断する。二次電池22が充電中であるか否かは、充電状態検出部204の検出情報から判断できる。二次電池22が充電中でない場合には(ST1のNO)、当該端末2は充電器3と接続状態にない。この場合、CPU201は、今回の処理を終了する。
【0024】
二次電池22が充電中である場合には(ST1のYES)、当該端末2は充電器3と接続状態にある。この場合、CPU201は、ST2としてROM202に記憶された起動プログラムを起動する。そして、この起動プログラムに従い、CPU201はST3〜ST6の処理を実行する。
【0025】
ST3では、CPU201は、DRAM203を初期化する。そして、このDRAM203を初期化した後、CPU201は、ST4としてDRAM203上にOS等のプログラムを書き込む。すなわち、端末2側のデータ通信部205及び充電器3側のデータ通信部36を介して、充電器3のPROM35に記憶されているプログラムを取込む(プログラム取得手段)。そして、このプログラムをDRAM203に書き込む。
【0026】
CPU201は、ST5としてプログラムの書込みが完了したか否かを判断する。書込みが完了したと判断したならば(ST5のYES)、CPU201は、ST6としてこのプログラムに含まれるOSを起動する。そして、このOSに従い、CPU201はST7以降の処理を実行する。
【0027】
ST7では、CPU201は、接続状態にある充電器3の補助記憶装置接続部37に補助記憶装置5が接続されているか否かを判断する。すなわちCPU201は、データ通信部205を介して補助記憶装置5に問合せ信号を送信し、この問合せに対する応答信号の有無を判断する。応答信号がない場合には(ST7のNO)、補助記憶装置5が接続されていない。この場合は、CPU201は、ST10の処理に進む。
【0028】
補助記憶装置5からの応答信号があった場合には(ST7のYES)、補助記憶装置5が接続されている。この場合は、CPU201は、ST8としてその補助記憶装置5に記憶されているデータファイルを取り込み、DRAM203に書き込む。
【0029】
CPU201は、ST9としてデータファイルの書込みが完了したか否かを判断する。書込みが完了したと判断したならば(ST9のYES)、ST10の処理に進む。
【0030】
ST10では、CPU201は、タイマ207にタイムアウト時間をセットする。タイムアウト時間は、PROM35から取り込んだプログラムに含まれている。
【0031】
タイムアウト時間をセットした後、CPU201は、ST11として二次電池22の充電量を検出する。充電量は、充電状態検出部204によって計測されている。CPU201は、この充電量から、充電器3を取り外したときの端末2の稼働時間を算出する。この演算は、充電量をパラメータとした所定の演算式に基づいて行われる。次に、CPU201は、ST12として上記タイムアウト時間と稼働時間とを比較する。そして、短い方の時間をタッチパネル206に表示させる。
【0032】
しかる後、CPU201は、ST13として二次電池22が非充電状態になったか否かを判断する。充電状態検出部204の検出情報により非充電状態でない、すなわち端末2が充電器3に接続されていて二次電池22が充電されていると判断した場合には(ST13のNO)、CPU201は、ST11の処理に戻る。すなわち、現時点における二次電池22の充電量から稼働時間を算出し直し、タイムアウト時間と比較して、短い方の時間をタッチパネル206に表示させる。
【0033】
以後、二次電池22が非充電状態になるまで、CPU201は、上記ST11〜ST13の処理を繰返し実行する。二次電池22が非充電状態となったならば(ST13のYES)、端末2が充電器3から取り外されたとみなす。この場合、CPU201は、ST14としてタイマ207の計時動作をスタートさせる(計時制御手段)。そして、発注、受注,検品などの通常業務を可能とする。
【0034】
例えばCPU201は、タッチパネル206に業務メニュー画面を表示させる。そして、この業務メニューの中からいずれかの業務が選択されると、CPU201は、DRAM203に複写された各種のプログラムの中からその業務に対応したアプリケーションプログラムを実行して、該当する情報処理を実行する(情報処理手段)。この情報処理の実行により、DRAM203に書き込まれたデータファイルが適宜更新される。
【0035】
また、CPU201は、この通常業務において、OSに従い、図3の流れ図に示す手順の電源監視処理を実行する。すなわちCPU201は、ST21としてタイマ207がタイムアウトしたか否かを判断する。タイムアウトしていない場合には(ST21のNO)、CPU201は、ST22としてタイムアウトまでの残り時間を算出する(残り時間演算手段)。また、ST23として充電状態検出部204を介して二次電池22の充電量を検出する。そして、この充電量から、充電器3を取り外したときの端末2の稼働時間を算出する(稼働時間演算手段)。
【0036】
次に、CPU201は、ST24として上記タイムアウトまでの残り時間と二次電池22による稼働時間とを比較する。そして、短い方の時間を動作可能時間としてタッチパネル206に表示させる(動作可能時間表示手段)。
【0037】
次に、CPU201は、ST25として二次電池22への充電が開始されたか否かを判断する。充電状態検出部204の検出情報により充電が開始されていないと判断した場合には(ST25のNO)、CPU201は、通常業務が継続されているものとみなす。この場合、CPU201は、ST21の処理に戻る。
【0038】
すなわち、タイマ207がタイムアウトしたか否かを判断し、タイムアウトしていない場合には、タイムアウトまでの残り時間を算出する。そして、現時点における二次電池22の充電量から稼働時間を算出し直し、タイムアウトまでの残り時間と比較して、短い方の時間をタッチパネル206に表示させる。
【0039】
以後、二次電池22の充電が開始されるまで、CPU201は、上記ST21〜ST25の処理を繰返し実行する。
【0040】
充電状態検出部204の検出情報により二次電池22の充電が開始されたと判断した場合には(ST25のYES)、CPU201は、端末2が充電器3に接続されたとみなす。この場合、CPU201は、ST26として接続状態にある充電器3の補助記憶装置接続部37に補助記憶装置5が接続されているか否かを判断する。補助記憶装置5が接続されていない場合には(ST26のNO)、CPU201は、図2のST9の処理に進む。
【0041】
すなわち、CPU201は、タイマ207にタイムアウト時間を再度セットする。また、現時点における二次電池22の充電量から稼働時間を算出し直し、タイムアウト時間と比較して、短い方の時間をタッチパネル206に表示させる。その後、二次電池22が非充電状態となったならば、CPU201は、タイマ207の計時動作をスタートさせる。そして、発注、受注,検品などの通常業務を可能とする。
【0042】
一方、充電器3の補助記憶装置接続部37に補助記憶装置5が接続されていた場合には(ST26のYES)、CPU201は、ST27としてDRAM203に記憶されているデータファイルを全て読み出す。そして、これらのデータファイルを、データ通信部205を介して補助記憶装置5に書き込む(データ書込み手段)。
【0043】
CPU201は、ST28としてデータファイルの書込みが完了したか否かを判断する。完了した場合には(ST28のYES)、CPU201は、当該端末2の動作終了を許可するメッセージをタッチパネル206に表示させる。この状態で、CPU201は、ST30として起動ボタン23が長押しされるか、ST31としてタイマ207がタイムアウトするのを待機する。
【0044】
起動ボタン23が長押しされると、スイッチ回路24から入力されていたON信号が停止するので、CPU201は、起動ボタン23が長押しされたと判断する。起動ボタン23が長押しされたと判断した場合(ST30のYES)、あるいはタイマ207がタイムアウトした場合には(ST31のYES)、CPU201は、ST32としてスイッチ回路24に電源オフ信号を出力する。また、前記ST21の処理において、タイマ207がタイムアウトしたと判断した場合も(ST21のYES)、CPU201は、ST32としてスイッチ回路24に電源オフ信号を出力する。
【0045】
スイッチ回路24に電源オフ信号が入力されると、二次電池22からの電源供給が停止される。これにより、DRAM203に対するリフレッシュ動作が停止するので、DRAM203に記憶されていたデータが全てクリアされる(クリア手段)。
【0046】
このように本実施の形態の情報処理装置においては、端末2のROM202には、起動プログラムのみが記憶されており、OSやアプリケーションプログラムなどの通常業務に必要なプログラムは記憶されていない。これのプログラムは、端末専用の充電器3のPROM35に記憶されている。また、充電器3に接続可能な補助記憶装置5には、端末2が発注,受注、検品等の業務用機器として動作する際に必要な各種のデータファイルが記憶されている。
【0047】
端末2を充電器3に接続すると、端末2に搭載された二次電池22が充電される。この状態で、端末2の起動ボタン23を短押しすると、端末2において、起動プログラムが起動する。そして、この起動プログラムの作用により、充電器3のPROM35からOSやアプリケーションプログラムなどのプログラムが取り込まれ、DRAM203に書き込まれる。また、充電器3に接続された補助記憶装置5から各種のデータファイルが取り込まれ、DRAM203に書き込まれる。
【0048】
かくして、端末2は、発注,受注、検品等の業務用機器として動作可能となる。そこで、ユーザは、端末2を充電器3から取り外して必要な業務を実行する。この業務処理の実行により、DRAM203に書き込まれたデータファイルのデータが適時更新される。
【0049】
ところで、端末2にはタイマ207が設けられており、端末2を充電器3に接続すると、タイマ207に所定のタイムアウト時間がセットされる。その後、端末2を充電器3から取り外すと、タイマ207は、計時動作を開始する。そして、充電器3に接続されることなくタイムアウト時間が経過すると、スイッチ回路24がオフして、二次電池22からの電源供給が停止される。これにより、DRAM203に対するリフレッシュ動作が停止する。
【0050】
また、端末2を充電器3から取り外した状態では、二次電池22が駆動電源として消費される。そして、この二次電池22の容量がなくなると、DRAM203に対するリフレッシュ動作が停止する。
【0051】
このように、リフレッシュ動作が停止すると、DRAM203に記憶されていたデータは全てクリアされる。その結果、OSなどのプログラムが消去されるので、端末2は動作しなくなる。
【0052】
そこで、端末2においては、タイムアウトまでの残り時間と、二次電池22による稼働時間とが比較され、短い方が電源オフまでの所要時間としてタッチパネル206に表示されるようになっている。したがってユーザは、電源オフまでの所要時間を確認することによって、電源がオフされる前に端末2を充電器3に接続することができる。
【0053】
DRAM203のリフレッシュ動作が継続している端末2を充電器3に接続すると、該充電器3に補助記憶装置5が接続されている場合と接続されていない場合とで動作が異なる。補助記憶装置5が接続されていない場合には、タイマ207のタイムアウト時間が初期値に戻される。したがって、その後、端末2を充電器3から取り外すことによって、該端末2を直前の業務から継続して使用することができる。
【0054】
補助記憶装置5が接続されていた場合には、DRAM203内のデータファイルが、充電器3を介して補助記憶装置5に書き込まれる。そして、書込み完了後、タッチパネル206に終了許可表示が行われる。そこでユーザは、起動ボタン23を長押しする。そうすると、スイッチ回路24がオフして、二次電池22からの電源供給が停止される。これにより、DRAM203に対するリフレッシュ動作が停止して、DRAM203に記憶されていたデータが全てクリアされる。
【0055】
なお、この状態においても、二次電池22の充電は継続されている。したがって、端末2を再度使用する場合には、起動ボタン23を短押しすればよい。そうすることにより、DRAM203にOSを含むプログラムが書き込まれるとともに、必要なデータファイルも書き込まれるので、端末2を業務用機器として使用することができる。
【0056】
このように本実施の形態によれば、何らかの方法で二次電池22を充電できたとしても、専用の充電器3がないと端末2は動作しないので、盗難被害に遭う可能性は小さい。また、たとえ盗難に遭っても、所定の時間が経過するとDRAM203のデータがクリアされるので、機密性のある情報が漏洩する危険性も低い。
【0057】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0058】
例えば前記実施の形態では、端末2を充電器3に接続した際にDRAM203内のデータファイルを全て補助記憶装置5に書き込んだが、補助記憶装置5に書き込むファイルと書き込まないファイルとを区別しても良い。例えば、機密性の高い情報が格納されたデータファイルだけを補助記憶装置5に書き込んでバックアップするようにしても良い。また、データファイルのリストをタッチパネル206に表示させて、補助記憶装置5に書き込むファイルと書き込まないファイルとをユーザが選択できるようにしても良い。
【0059】
また、前記実施の形態では、起動ボタン23を短押しすることによって起動し、長押しすることによって電源をオフする場合を示したが、起動用のボタンと電源オフ用のボタンとをそれぞれ端末2に備えるようにしてもよい。
【0060】
また、タイマ207による電源オフ機能を備えていない端末にも、本発明を適用することは可能である。また、本発明は、発注,受注、検品等の業務用機器として使用される端末2に限定されるものではなく、ノート型のパーソナルコンピュータ,携帯情報端末、携帯電話等、二次電池を駆動電源として搭載してなる端末と、その二次電池を充電するための充電器とを備えた情報処理装置であれば、適用することができる。
【0061】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施の形態における情報処理装置1の要部構成を示すブロック図。
【図2】同実施の形態において、端末のCPUが起動時に実行する処理手順を示す流れ図。
【図3】同実施の形態において、端末のCPUが通常業務の処理時に実行する電源監視処理の手順を示す流れ図。
【符号の説明】
【0063】
1…情報処理装置、2…端末、3…充電器、4…パーソナルコンピュータ、5…補助記憶装置、20…情報処理部、21…充電回路接続部、22…二次電池、23…起動ボタン、24…スイッチ回路、32…電源接続部、32…充電回路、33…充電回路接続部、34…外部PC接続部、35…PROM、36…データ通信部36、37…補助記憶装置接続部、201…CPU、202…ROM、203…DRAM、204…充電状態検出部、205…データ通信部、206…タッチパネル、207…タイマ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池を駆動電源として搭載してなる端末と、前記二次電池を充電するための充電器とを備え、前記端末と前記充電器とが接続状態にあるとき、前記二次電池が充電されるとともに双方間でデータ通信を行えるようにした情報処理装置において、
前記充電器は、プログラムを記憶するプログラム記憶部を具備し、
前記端末は、接続状態にある前記充電器のプログラム記憶部から前記プログラムを取り込むプログラム取得手段と、このプログラム取得手段により前記充電器から取り込んだプログラムを格納する揮発性記憶部と、この揮発性記憶部に格納されたプログラムに基づいて情報処理を行う情報処理手段とを具備したことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記充電器は、前記プログラム記憶部に記憶されるプログラムを外部から書換え可能であることを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記端末は、タイマと、このタイマによる計時時間が所定時間に到達すると、前記揮発性記憶部をクリアするクリア手段とをさらに具備したことを特徴とする請求項1または2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記端末は、前記充電器から外されたとき前記タイマの計時動作をスタートさせる計時制御手段と、前記二次電池の充電量から当該端末の稼働時間を算出する稼働時間演算手段と、前記タイマによる計時時間が前記所定時間に到達するまでの残り時間を算出する残り時間演算手段と、前記稼働時間と前記残り時間とを比較して短い方を動作可能時間として表示する動作可能時間表示手段とをさらに具備したことを特徴とする請求項3記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プログラム記憶部に記憶されるプログラムは、前記端末のオペレーティング・システムを含むことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記充電器は、補助記憶装置をさらに具備し、
前記端末は、前記充電器に接続されると、前記揮発性記憶部に記憶されたデータを前記充電器を介して補助記憶装置に書き込むデータ書込み手段をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項7】
充電器に接続されることによって充電が行われる二次電池を駆動電源として搭載してなる端末において、
前記充電器と接続状態にあるとき該充電器とデータ通信が可能なデータ通信手段と、このデータ通信手段を介して前記充電器からプログラムを取り込むプログラム取得手段と、このプログラム取得手段により前記充電器から取り込んだプログラムを格納する揮発性記憶部と、この揮発性記憶部に格納されたプログラムに基づいて情報処理を行う情報処理手段とを具備したことを特徴とする端末。
【請求項8】
タイマと、このタイマによる計時時間が所定時間に到達すると、前記揮発性記憶部をクリアするクリア手段とをさらに具備したことを特徴とする請求項7記載の端末。
【請求項9】
前記充電器から外されたとき前記タイマの計時動作をスタートさせる計時制御手段と、前記二次電池の充電量から当該端末の稼働時間を算出する稼働時間演算手段と、前記タイマによる計時時間が所定時間に到達するまでの残り時間を算出する残り時間演算手段と、前記稼働時間と前記残り時間とを比較して短い方を動作可能時間として表示する動作可能時間表示手段とをさらに具備したことを特徴とする請求項8記載の端末。
【請求項10】
前記充電器に接続されると、前記揮発性記憶部に記憶されたデータを前記充電器に設けられた補助記憶装置に書き込むデータ書込み手段をさらに具備したことを特徴とする請求項7記載の端末。
【請求項11】
駆動電源として二次電池を搭載してなる端末と接続可能であり、該端末と接続状態にあるとき前記二次電池の充電を行う充電器において、
プログラムを記憶するプログラム記憶部と、接続状態にある端末とデータ通信が可能なデータ通信手段とを具備し、
前記プログラム記憶部に記憶されたプログラムが前記データ通信手段を介して前記接続状態にある端末に取り込まれることを特徴とする充電器。
【請求項12】
前記プログラム記憶部に記憶されるプログラムを外部から書換え可能であることを特徴とする請求項11記載の充電器。
【請求項13】
前記プログラム記憶部に記憶されるプログラムは、前記端末のオペレーティング・システムを含むことを特徴とする請求項11または12記載の充電器。
【請求項14】
補助記憶装置をさらに具備し、
接続状態にある前記端末から送信されたデータが、前記データ通信手段を介して前記補助記憶装置に書き込まれることを特徴とする請求項11記載の充電器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−183119(P2009−183119A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21974(P2008−21974)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】