説明

情報処理装置及び認証方法

【課題】簡易な操作でユーザを認証すること。
【解決手段】携帯電話機1は、筐体へのユーザのタップ動作を検知するカメラ部12と、タップ動作のパターンを示すパターン情報を予め記憶するデータベース13と、検知されたタップ動作のパターンとデータベース13に記憶されているパターン情報とを照合し、両者が一致する場合にユーザを認証する認証部14と、を備える。これにより、筐体に対して行われたタップ動作とパターン情報とを照合することでユーザ認証が実行されるので、ユーザは筐体を軽く叩くだけで自身を認証させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ認証を実行する情報処理装置及びその認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、不正使用等を防止するために、ユーザ認証により機器の機能をロック及びロック解除する技術が知られている。例えば、下記特許文献1には、携帯電話機の機能のロック及びロック解除を外部の通信装置を用いて行うことが可能なセキュリティシステムが記載されている。このシステムでは、他の通信装置と携帯電話機との間で呼が確立され、携帯電話機の留守録機能が作動したときに、他の通信装置から所定のキー入力操作が行われると、携帯電話機の機能がロック又はロック解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−32369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のように、認証のためにキー入力を要求した場合には、ユーザは押下しようとするキーに指を動かす必要があるので、操作が煩雑である。また、携帯電話機などのように一つのキーに複数の文字が割り当てられている場合には、一つの文字を入力するためにキーを複数回押下する必要も生じるが、このような操作もユーザにとって面倒である。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、簡易な操作でユーザを認証することが可能な情報処理装置及び認証方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報処理装置は、筐体へのユーザのタップ動作を検知する検知手段と、タップ動作のパターンを示すパターン情報を予め記憶する記憶手段と、検知手段により検知されたタップ動作のパターンと記憶手段に記憶されているパターン情報とを照合し、両者が一致する場合にユーザを認証する認証手段と、を備える。
【0007】
また、本発明の認証方法は、情報処理装置により実行される認証方法であって、情報処理装置の筐体へのユーザのタップ動作を検知する検知ステップと、検知ステップにおいて検知されたタップ動作のパターンと、情報処理装置の記憶手段に記憶されている、タップ動作のパターンを示すパターン情報とを照合し、両者が一致する場合にユーザを認証する認証ステップと、を含む。
【0008】
このような情報処理装置及び認証方法によれば、情報処理装置の筐体に対して行われたタップ動作と、予め記憶されているパターン情報とを照合することでユーザ認証が実行される。これにより、ユーザは筐体を軽く叩くだけで自身を認証させることができる。すなわち、簡易な操作でユーザを認証することができる。
【0009】
本発明の情報処理装置では、検知手段が、カメラを備え、該カメラにより検知される光量の変化のパターンによりタップ動作を検知し、記憶手段が、カメラにより検知される光量の変化のパターンをパターン情報として予め記憶することが好ましい。
【0010】
本発明の情報処理装置では、検知手段が、マイクを備え、該マイクにより検知されるタップ動作時の音の発生間隔のパターンによりタップ動作を検知し、記憶手段が、マイクにより検知されるタップ動作時の音の発生間隔のパターンをパターン情報として予め記憶することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
このような情報処理装置及び認証方法によれば、筐体に対して行われたタップ動作と、予め記憶されているパターンとを照合することでユーザ認証が実行されるので、簡易な操作でユーザを認証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態に係る携帯電話機の機能構成を示す図である。
【図2】図1に示す携帯電話機のハードウェア構成を示す図である。
【図3】図1に示すデータベースが記憶するパターン情報の例を示す図である。
【図4】図1に示す携帯電話機の動作を示すフローチャートである。
【図5】変形例に係る携帯電話機の機能構成を示す図である。
【図6】図5に示すデータベースが記憶するパターン情報の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態では、本発明に係る情報処理装置を携帯電話機に適用する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
まず、図1〜3を用いて、実施形態に係る携帯電話機1の機能及び構成を説明する。
【0015】
図1に示すように、携帯電話機1は、機能的構成要素として認証要求部11、カメラ部(検知手段)12、データベース(記憶手段)13、認証部(認証手段)14、機能制御部15及び表示部16を備えている。
【0016】
この携帯電話機1は、図2に示すように、オペレーティングシステムやアプリケーションプログラムなどを実行するCPU101と、ROM及びRAMで構成される主記憶部102と、メモリなどで構成される補助記憶部103と、データ通信を行う通信制御部104と、液晶モニタなどで構成される表示部105と、入力キーなどで構成される操作部106とで構成される。図1に示す各機能は、CPU101及び主記憶部102の上に所定のソフトウェアを読み込ませ、CPU101の制御の下で通信制御部104を動作させたり、主記憶部102や補助記憶部103に対してデータを読み書きしたりすることで実現される。
【0017】
図1に戻って、認証要求部11は、認証を要する事象が携帯電話機1で発生したときに、カメラ部12及び表示部16に対して認証処理の開始を要求する部分である。ここで、認証を要する事象とは、例えば携帯電話機1の電源の投入、携帯電話機1が折畳式である場合の開動作、所定の入力の受付などであるが、これらに限定されるものではない。このような特定の事象が発生すると、認証要求部11はその事象を検知し、認証処理を開始させるための指示信号をカメラ部12及び表示部16に出力する。
【0018】
カメラ部12は、携帯電話機1の筐体へのユーザのタップ動作を検知する部分である。カメラ部12は、指示信号が入力されると起動し、ユーザがこのカメラ部12をタップする(軽く叩く)動作を検知し始める。
【0019】
カメラ部12は検知する光量の多少に基づいてタップ動作の有無を検知する。すなわち、カメラ部12を構成するレンズが指等により覆われておらず、一定量以上の光を検知できる状態を「明」状態とし、レンズが指などにより覆われて光を全く又はほとんど検知できない状態を「暗」状態として、この明暗の繰返しパターン(検知される光量の変化のパターン)によりタップ動作を検知する。明暗を区別する閾値は任意に設定してよい。例えば、暗い部屋でも明暗を識別できるように閾値を設定したり、非常に明るい場所においてレンズを指で押えた際にその指を透過して検知される光量を考慮して閾値を設定したりすることが考えられる。
【0020】
カメラ部12は明暗の各状態の継続時間を計測し、明暗の状態を示す情報と継続時間とを関連付け、検知情報として認証部14に逐次出力する。例えば、カメラ部12は「明状態が0.3秒続いた」ことや「暗状態が0.1秒続いた」ことを示す検知情報を出力する。また、明暗の変化が所定時間以上(例えば2秒以上)起こらなかった場合には、検知処理の終了を示す終了信号を生成して認証部14に出力する。
【0021】
データベース13は、タップ動作のパターンを示すパターン情報を予め記憶する部分である。データベース13は、例えば「暗(0.1秒)→明(0.3秒)→暗(0.1秒)→明(0.1秒)→暗(0.1秒)→明(0.1秒)→暗(0.1秒)→明(0.5秒)→暗(0.1秒)」という光量の変化のパターンを図3に示すパターン情報として記憶している。このパターン情報は、後述する認証部14への検知情報の入力順と、その検知情報で示される明暗状態及び継続時間とで構成されている。
【0022】
認証部14は、カメラ部12により検知されたタップ動作のパターンとデータベース13に記憶されているパターン情報とを照合し、両者が一致する場合にユーザを認証する部分である。
【0023】
認証部14は、終了信号を受け付けるまでの間に入力されてきた検知情報を入力順に組み合わせ、入力パターンとして記憶する。続いて、認証部14はデータベース13からパターン情報を読み出し、入力パターンとパターン情報とが一致するか否かを判定する。そして認証部14は、両者が一致すればユーザを許可することを示す許可信号を生成し、一致しなければユーザを拒否することを示す拒否信号を生成する。続いて、認証部14は許可信号又は拒否信号を機能制御部15及び表示部16に出力する。
【0024】
機能制御部15は、認証部14による判定結果に基づいて、携帯電話機1の機能をロック又はロック解除する部分である。許可信号が入力された場合には、機能制御部15は搭載機能のロックを解除してユーザにその機能を提供する。一方、拒否信号が入力された場合には、機能制御部15は搭載機能をロックしてそれ以上のユーザ操作を拒絶する。
【0025】
表示部16は、認証処理に関する情報を表示する部分である。認証要求部11から指示信号が入力された場合には、表示部16はユーザに認証処理を促すための情報(例えば「認証してください」という文字列)を表示する。その後、認証部14から許可信号が入力された場合には、表示部16は認証されたことを示す情報(例えば「正常に認証されました」という文字列)を表示し、拒否信号が入力された場合には、認証されなかったことを示す情報(例えば「認証に失敗しました」という文字列)を表示する。
【0026】
次に、図4を用いて、図1に示す携帯電話機1の動作を説明するとともに本実施形態に係る認証方法について説明する。
【0027】
認証要求部11が認証を要する事象を検知して認証処理の開始を要求すると、表示部16が認証を促す情報を表示すると共に、カメラ部12がタップ動作の検知を開始する(ステップS11、検知ステップ)。続いて、認証部14が検知されたタップ動作のパターンとデータベース13内のパターン情報とを照合する(ステップS12、認証ステップ)。このとき、両者が一致すれば、認証部14はユーザを認証(許可)し(ステップS13;YES)、その後、機能制御部15によるロック解除処理及び表示部16による所定の通知が実行される(ステップS14)。この場合、ユーザは所望の操作を行うことができる。
【0028】
一方、検知されたパターンとパターン情報とが一致しなければ、認証部14はユーザを拒否し(ステップS13;NO)、その後、機能制御部15によるロック処理及び表示部16による所定の通知が実行される(ステップS15)。この場合、ユーザは所望の操作を行うことはできず、再度認証処理を行う必要がある。
【0029】
以上説明したように、本実施形態によれば、携帯電話機1の筐体に対して行われたタップ動作と、予め記憶されているパターン情報とを照合することでユーザ認証が実行される。これにより、ユーザは、キー入力のときのように指を各キーの場所まで動かすことなく、筐体を軽く叩くだけで自身を認証させることができる。すなわち、簡易な操作でユーザを認証することができる。
【0030】
また、タップの間隔(継続時間)及び回数の組み合わせを用いて認証処理を実行するので、セキュリティの堅牢性を高めることができる。例えば、暗証番号を入力させる場合と比べて、より多くの認証パターンを発生させることが可能である。
【0031】
また、ほとんどの携帯電話機に搭載されているカメラを用いてタップ動作を検知することで、特別なセンサを新たに搭載することなく上記のような簡易操作による認証を実現することができる。
【0032】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で以下のような様々な変形が可能である。
【0033】
上記実施形態ではカメラ部12がタップ動作を検知したが、検知手段の構成はこれに限定されず、例えばマイクによりタップ動作を検知してもよい。このような変形例を図5及び6を用いて説明する。図5に示す携帯電話機2は、上記実施形態におけるカメラ部12に代えてマイク部(検知手段)17を備えている。
【0034】
マイク部17は、指示信号が入力されると、タップ動作時に発生する音(以下では「タップ音」という)の発生パターンを検知し始める。具体的には、指等で筐体が叩かれてタップ音が検知された状態を「タップ状態」とし、筐体から指等が離れてタップ音が検知されない状態を「無音状態」として、無音状態の時間のパターンによりタップ動作を検知する。音の有無を区別する閾値は任意に設定してよい。例えば、周囲が静かな場合や、周囲の騒音が激しい場合などを考慮して閾値を設定することが考えられる。
【0035】
マイク部17は、タップ動作で区切られる無音状態の時間、すなわちタップ音の発生間隔を計測し、その継続時間を認証部14に逐次出力する。例えば、マイク部17は「無音状態が0.1秒続いた」ことを示す検知情報を出力する。また、マイク部17は無音状態が所定時間以上(例えば2秒以上)続いた場合に、検知処理の終了を示す終了信号を生成して認証部14に出力する。
【0036】
タップ動作をマイクにより検知することに伴い、データベース13が記憶するパターン情報も変わる。携帯電話機2の場合には、データベース13は例えば「0.3秒→0.1秒→0.1秒→0.5秒」というタップ音の発生間隔のパターンを図6に示すパターン情報として記憶している。このパターン情報は、認証部14への検知情報の入力順と、その検知情報で示される無音時間とで構成されている。なお、図6に示すパターン情報は、図3に示すものと同じタップ動作のパターンを示している。
【0037】
認証部14は、終了信号を受け付けるまでの間に入力されてきた検知情報に基づく入力パターンと、データベース13内のパターン情報とを照合して許否を判定する。判定に用いる情報の内容は上記実施形態と異なるが、照合及び判定の処理自体は上記実施形態と同じである。
【0038】
なお、携帯電話機2の他の機能的構成要素は、上記実施形態で説明したことと同様である。
【0039】
このような変形例においても、ユーザは、キー入力のときのように指を各キーの場所まで動かすことなく、筐体を軽く叩くだけで自身を認証させることができる。また、タップの間隔(継続時間)及び回数の組み合わせを用いて認証処理を実行するので、セキュリティの堅牢性を高めることができる。また、携帯電話機に必ず搭載されているマイクを用いてタップ動作を検知することで、特別なセンサを新たに搭載することなく上記のような簡易操作による認証を実現することができる。
【0040】
上記実施形態では情報処理装置として携帯電話機を示したが、本発明を適用する装置の種類は限定されない。例えば、携帯情報端末(Personal Digital Assistant:PDA)やパーソナルコンピュータなどの各種移動端末及び固定端末、入退室管理などのための各種認証装置などに本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0041】
1,2…携帯電話機、11…認証要求部、12…カメラ部(検知手段)、13…データベース(記憶手段)、14…認証部(認証手段)、15…機能制御部、16…表示部、17…マイク部(検知手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体へのユーザのタップ動作を検知する検知手段と、
タップ動作のパターンを示すパターン情報を予め記憶する記憶手段と、
前記検知手段により検知されたタップ動作のパターンと前記記憶手段に記憶されているパターン情報とを照合し、両者が一致する場合に前記ユーザを認証する認証手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記検知手段が、カメラを備え、該カメラにより検知される光量の変化のパターンにより前記タップ動作を検知し、
前記記憶手段が、前記カメラにより検知される光量の変化のパターンを前記パターン情報として予め記憶する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記検知手段が、マイクを備え、該マイクにより検知されるタップ動作時の音の発生間隔のパターンにより前記タップ動作を検知し、
前記記憶手段が、前記マイクにより検知されるタップ動作時の音の発生間隔のパターンを前記パターン情報として予め記憶する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
情報処理装置により実行される認証方法であって、
前記情報処理装置の筐体へのユーザのタップ動作を検知する検知ステップと、
前記検知ステップにおいて検知されたタップ動作のパターンと、前記情報処理装置の記憶手段に記憶されている、タップ動作のパターンを示すパターン情報とを照合し、両者が一致する場合に前記ユーザを認証する認証ステップと、
を含む認証方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−257058(P2010−257058A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104093(P2009−104093)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】