説明

情報提供車載装置

【課題】さまざまな通信メディアからの情報提供に対して、正常に動作している地点のみで情報を表示再生することができる情報提供車載装置を提供する。
【解決手段】路側に設置された通信装置から狭域通信で送られてくる情報を受信する受信装置と、この受信された情報を解釈して情報提供を行うか否かを判断する情報提供判断装置105と、この判断結果に基づき情報の表示再生を行う情報表示再生装置111を備えた情報提供車載装置において、センタ装置300からの情報を受信する広域通信装置107と、広域通信装置で受信された情報に含まれる情報提供を行う地点を記録する地図連携情報記憶装置109と、広域通信装置で受信された情報によって指示に応答して、情報表示再生装置において行われる地図連携情報記憶装置に記録されている特定地点における情報提供の表示再生を停止させる表示判断装置110を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、道路を走行している車両のドライバに情報を提供する情報提供車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
道路上を走行している自動車に各種情報、例えば、車両の前方の道路の混雑具合などといった情報を提供する装置として、VICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム/登録商標。以下省略する。)が知られている。このVICSにおいては、渋滞情報を含む各種情報が主にカーナビゲーション装置の表示装置を介してドライバに提供されている。VICSには、通信メディアとしてFM電波を使用するもの、2.4GHzの電波ビーコンを使用するもの、および、光ビーコンを使用するものが存在する。
【0003】
VICSは、従来は、渋滞情報などを受信して表示する機能が中心であったが、近年は、ドライバから直接に見ることができないカーブの先の渋滞情報などを画像でドライバに知らせる安全運転支援にも利用され始めている。さらに、ETC(Electronic Toll Collection System:ノンストップ自動料金支払いシステム/登録商標)において利用されている5.8GHzの電波を用いたDSRC(Dedicated Short Range Communications:狭域通信)によって情報を提供するシステムも実用化が検討されている。
【0004】
このような道路に設置された機器と通信を行って取得した情報を利用するシステムとして、特許文献1は、車両の発進時に適切なメッセージを運転者に与えることによって衝突事故または渋滞の発生などを抑制できるようにした車両発進支援装置を開示している。この車両発進支援装置は、信号機から路車間通信によって該信号機の表示色情報を取得するとともに、自車両の前方で停車中の他車両から車々間通信によって該他車両のアクセル情報を取得し、表示色情報に基づいて信号機が赤信号から青信号に変化したことを検知したときに、他車両からアクセル情報を取得したか否かを判定し、取得したタイミングで発進可能案内メッセージを報知するようにする。これにより、信号機が赤信号から青信号に変化した後、他車両がアクセルを踏んで自車両も発進可能な状態となったときに発進可能案内メッセージが流れるので、他車両の運転意図を自車両で正確に把握できる。
【0005】
また、特許文献2は、対向直進車の走行状態を右折運転者に確実且つ正確に伝達して、運転者の右折判断を軽減する路車間通信を用いた右折運転支援装置を開示している。この右折運転支援装置は、交差点に接近する対向直進車を撮像して映像信号を出力する画像センサと、信号機を制御する信号制御機からの現示データおよび画像センサからの映像信号を入力し、対向直進車の走行状態を算出して右折車が安全に右折できるか否かを示す右折判断情報を演算する演算装置と、得られた映像信号および右折判断情報を右折車に送信する送信機とを路上に備えている。また、送信機から送られる映像信号および右折判断情報を受信する受信機と、受信した映像信号および右折判断情報を表示する表示装置とを右折車に備えている。これにより右折運転者は、車内で対向直進車の映像および右折判断情報を確認して右折の可否を判断する。
【0006】
これら特許文献1および特許文献2に開示された路車間通信を使用した情報提供システムでは、路側に通信用の機器が設置されている場所でのみ動作可能であるため、ドライバが、通信用の機器が設置されている場所であるか、また、情報提供システムが正常に機能している状態であるかを知ることができる仕組みが必要である。
【0007】
このような技術として、特許文献3は、信号情報を提供できる交通信号機が設置されている交差点とそうでない交差点が混在している場合であっても、ドライバが戸惑わずに安全運転支援システムの速度制御などの安全運転支援制御サービスを受けることができる情報提供システムを開示している。この情報提供システムにおいて、中央装置は、各交差点がサービス交差点か否かを識別するための情報を含むサービス交差点情報を、複数のサービス交通信号機および複数の交通信号機に送信する。路上装置は、通信回線を介して接続されたサービス交通信号機または交通信号機からサービス交差点情報を受信し、車載装置に送信する。車載装置は、サービス交差点情報に基づいて、サービス交差点の所在地を道路地図に重畳して描画した画像などの報知情報を作成し、ドライバに提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−310280号公報
【特許文献2】特開平9−270097号公報
【特許文献3】特開2008−112255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、情報提供を行うための通信メディアには、さまざまな形式が存在し、情報提供を行う公共事業者も複数であるため、特許文献3に開示された情報提供システムでは、特定の通信メディアを管理する事業者の情報提供地点を提示することしかできない。また、情報提供地点において、何らかの原因で車両側における情報提供が正常に行われていないことを、情報提供システムのセンタ側で判断することができないという問題もある。
【0010】
この発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、その課題は、さまざまな通信メディアからの情報提供に対して、正常に動作している地点のみで情報を表示再生することができる情報提供車載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、上記課題を解決するために、路側に設置された通信装置から狭域通信で送られてくる情報を受信する受信装置と、受信装置で受信された情報を解釈して情報提供を行うか否かを判断する情報提供判断装置と、情報提供判断装置の判断結果に基づき情報の表示再生を行う情報表示再生装置とを備えた情報提供車載装置において、センタ装置からの情報を受信する広域通信装置と、広域通信装置で受信された情報に含まれる情報提供を行う地点を記録する地図連携情報記憶装置と、広域通信装置で受信された情報によって指示に応答して、情報表示再生装置において行われる地図連携情報記憶装置に記録されている特定地点における情報提供の表示再生を停止させる表示判断装置を備えている。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、センタ装置から情報提供地点の情報を配信するように構成したので、すべての情報提供場所の情報をドライバに通知することができるとともに、情報提供が正常で、ドライバにとって適切であったか否かを車両側で判断し、その結果をセンタ装置に通知し、センタ装置からの指示に応答して情報提供に問題のある情報提供地点で情報提供の表示再生を停止できるように構成したので、正常に動作している地点のみで情報を表示再生することができ、誤った表示が行われるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1に係る情報提供車載装置が適用された情報提供車載システムの構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態2に係る情報提供車載装置を構成する情報表示再生装置の画面の推移を表した図である。
【図3】この発明の実施の形態3に係る情報提供車載装置を構成する情報表示再生装置の他の画面の推移を表した図である。
【図4】この発明の実施の形態4に係る情報提供車載装置において狭域通信で通信装置から情報を受信したときの情報受信処理を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態4に係る情報提供車載装置において広域通信でセンタ装置から情報を受信した場合の情報受信処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る情報提供車載装置が適用された情報提供車載システムの構成を示すブロック図である。この情報提供車載システムは、情報提供車載装置100、路側情報提供装置200およびセンタ装置300を備えている。
【0015】
情報提供車載装置100は、例えばカーナビゲーション装置によって実現されており、ドライバに情報提供を行う。この情報提供車載装置100については、後に詳細に説明する。
【0016】
路側情報提供装置200は、インフラストラクチャとして路側の電柱などに取り付けられており、交通情報を管理する例えば警察などといった公共事業者の管制センタ(図示は省略する)にネットワークによって接続されている。この路側情報提供装置200には、情報提供車載装置100と通信するための通信装置として、光ビーコン201および/またはDSRC路側機202が接続されている。これらの通信装置は、交差点周辺など道路上に設置され、安全運転支援などのための画像、音声またはデータなどを配信する。
【0017】
光ビーコン201は、路上に設置され、路側情報提供装置200と情報提供車載装置100との間で光を用いて交通情報を送受信する。同様に、DSRC路側機202は、路上に設置され、路側情報提供装置200と情報提供車載装置100との間で電波を用いて交通情報を送受信する。
【0018】
センタ装置300は、テレマティックスと呼ばれる自動車向けの広域通信サービスを提供する。このセンタ装置300は、情報提供場所および表示の有無などを記録する情報提供場所情報データベース301を備えている。センタ装置300は、携帯電話の基地局302を介して、広域通信で、情報提供場所情報データベース301から読み出した情報提供する地点の情報を提供する。なお、センタ装置300と情報提供車載装置100との間の通信は、高速で走る車の中でもインターネットが使用可能な無線通信技術であるワイマックスを用いることができる。また、センタ装置300から情報提供車載装置100へのデータの送信は、FM放送または地上デジタル放送などを用いて行うこともできる。
【0019】
情報提供車載装置100は、光送受素子101、光通信装置102、DSRCアンテナ103、DSRC通信装置104、情報提供判断装置105、広域通信アンテナ106、広域通信装置107、GPS(Global Positioning System)受信機108、地図連携情報記憶装置109、表示判断装置110および情報表示再生装置111を備えている。
【0020】
光送受素子101は、光ビーコン201を介して、路側情報提供装置200との間で光を用いた狭域通信を行う。すなわち、光送受素子101は、光ビーコン201から受信した光を電気信号に変換して光通信装置102に送る。光通信装置102は、光送受素子101から送られてきた信号に対して復調などの信号処理を施し、情報提供判断装置105に送る。この光通信装置102は、この発明の受信装置に対応する。なお、光送受素子101および光通信装置102は、双方向の通信を行うことができるが、ここでは、この発明に係るサービスを実現するために必要な最小限の機能として、一方向の通信のみが行われるものとして説明する。
【0021】
DSRCアンテナ103は、DSRC路側機202を介して、路側情報提供装置200との間で電波による狭域通信を行う。すなわち、DSRCアンテナ103は、DSRC路側機202から受信した電波を電気信号に変換してDSRC通信装置104に送る。DSRC通信装置104は、DSRCアンテナ103からの信号に対して復調などの信号処理を施し、情報提供判断装置105に送る。このDSRC通信装置104は、この発明の受信装置に対応する。なお、DSRCアンテナ103およびDSRC通信装置104は、双方向の通信を行うことができるが、ここでは、この発明に係るサービスを実現するために必要な最小限の機能として、一方向の通信のみが行われるものとして説明する。
【0022】
情報提供判断装置105は、光通信装置102およびDSRC通信装置104から受け取った信号および図示しないセンサから得られる車両の走行状態などから、正常な場合の情報提供の内容と情報提供のタイミングなどを判断する。この情報提供判断装置105における判断結果は、表示判断装置110に送られる。
【0023】
広域通信アンテナ106は、基地局302を介して、センタ装置300との間で広域通信を行う。すなわち、広域通信アンテナ106は、基地局302から受信した電波を電気信号に変換して広域通信装置107に送るとともに、広域通信装置107からの電気信号を電波に変換して基地局302に送る。広域通信装置107は、広域通信アンテナ106から送られてくる信号に対して復調などの信号処理を施し、表示判断装置110に送るとともに、表示判断装置110から送られてくる信号に対して変調などの信号処理を施し、広域通信アンテナ106に送る。
【0024】
GPS受信機108は、GPS衛星から送信されるGPS信号から自車の現在位置を示す信号を抽出し、現在位置信号として表示判断装置110に送る。地図連携情報記憶装置109は、情報提供地点の情報を記録する。この地図連携情報記憶装置109に対する読み出しおよび書き込みは、表示判断装置110によって行われる。
【0025】
表示判断装置110は、その地点で表示再生を行うか否かを判断する。具体的には、表示判断装置110は、情報提供判断装置105から情報提供すると判断した旨が送られてきたときに、その地点の情報提供を表示再生するかを判断する。この表示判断装置110における判断結果は、情報表示再生装置111に送られる。
【0026】
情報表示再生装置111は、画像を表示するためのLCD(Liquid Crystal Display)、ならびに、音声および喚起音を発生するためのスピーカを含み、表示判断装置110から送られてくる判断結果に基づき、実際に表示再生を行う。
【0027】
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態1に係る情報提供車載システムの動作を説明する。この情報提供車載システムにおいては、交差点周辺など道路上に設置された通信装置(光ビーコン201および/またはDSRC路側機202)から、安全運転支援などのための画像、音声またはデータなどの情報が配信される。
【0028】
光送受素子101は、光ビーコン201からの光を受信して電気信号に変換し、光通信装置102に送る。光通信装置102は、光送受素子101から送られてきた信号に対して復調などの信号処理を施し、情報提供判断装置105に送る。同様に、DSRCアンテナ103は、DSRC路側機202からの電波を受信して電気信号に変換し、DSRC通信装置104に送る。DSRC通信装置104は、DSRCアンテナ103からの信号に対して復調などの信号処理を施し、情報提供判断装置105に送る。
【0029】
情報提供判断装置105は、光通信装置102およびDSRC通信装置104から受け取った信号および車両の走行状態などから、情報提供の内容および情報提供のタイミングなどを判断し、判断結果を表示判断装置110に送る。なお、センタ装置300の情報提供場所情報データベース301から基地局302を介して配信された情報提供地点の情報と、その地点での表示/非表示の情報は、事前に、広域通信アンテナ106および広域通信装置107を経由して表示判断装置110に取り込まれ、この表示判断装置110から地図連携情報記憶装置109へ記録されているものとする。
【0030】
表示判断装置110は、情報提供判断装置105から情報提供する旨の判断結果が送られてきた場合に、その地点の情報提供を表示再生するか否かを判断する。そして、表示再生する旨を判断した時は、その地点の情報提供を情報表示再生装置111に送る。これにより、情報表示再生装置111に、その地点の情報提供が表示再生される。
【0031】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係る情報提供車載装置によれば、例えば、携帯電話などの通信網を用いて独自にテレマティックスサービスを行っているカーメーカの管理するセンタ装置300から、各通信メディアおよび公共事業者の行っている情報提供地点の情報を配信するように構成したので、すべての情報提供場所の情報をドライバに通知することができるとともに、情報提供が正常で、ドライバにとって適切であったか否かを、車両側で判断し、その結果をセンタ装置に通知するように構成したので、情報提供に問題のある情報提供地点で、誤った表示が行われないようにすることができる。
【0032】
なお、その地点での表示再生を停止する情報が事前に配信されている場合は、情報表示再生装置111での画面への表示、喚起音または音声の再生は停止される。これにより、情報提供の通信メディアにかかわらず、情報提供に問題がある地点においては、センタ装置300から指示することにより、表示再生を行わないようにすることができる。
【0033】
また、図1に示すブロック図では、車両に搭載される情報提供車載装置の各要素を一体化した場合の例を示したが、各要素を別筐体に分離して構成することもできる。特に、情報表示再生装置111は、既存のカーナビゲーション装置の表示装置および音声再生装置を利用することができる。
【0034】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係る情報提供車載装置が適用された情報提供車載システムは、情報提供がなされている地点をドライバに知らせるようにしたものである。この実施の形態2に係る情報提供車載システムの構成は、図1に示した実施の形態1に係る情報提供車載システムの構成と同じである。以下では、実施の形態2に係る情報提供車載システムの動作を、情報表示再生装置111の画面への表示例を参照しながら説明する。
【0035】
図2は、カーナビゲーション装置の画面を情報表示再生装置111として使用した場合の画面の推移を表した図である。図2(a)は、情報提供が正常に行われている場合の表示例である。地図上の矢印は自車の位置を示し、矢印の先に存在する○印は、情報提供が行われている交差点を示している。○印の地点で情報提供が正常に行われている場合、つまり正常運用中は画面の左上方に「提供中」の文字列が表示される。したがって、ドライバは、情報提供が行われている地点と、その地点における情報提供状態を事前に把握することができる。なお、図2(a)に示す例では、情報提供が正常に行われている状態を「提供中」という文字列の表示により示しているが、アイコンの表示により示すように構成することもできる。また、正常運用中は、○印の色およびアイコンの色を青またはグリーンなどといった正常を想起させる色で表すように構成できる。
【0036】
図2(b)は、情報提供が正常に行われていない場合、つまり情報提供が停止されている場合の表示例である。矢印の先に存在する斜線が付された○印の場所が、センタ装置300からの情報により、表示再生を停止している地点を表しており、通常は情報提供が行われる場所であったとしても、現在は正常でなく、情報提供の表示再生が停止していることを示している。この場合、画面の左上には「停止中」という文字列が表示される。したがって、ドライバは、この先の交差点で情報提供の表示再生がされないことを事前に知ることができる。
【0037】
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係る情報提供車載装置が適用された情報提供車載システムによれば、センタ装置300から送信された情報によって、この先の情報提供地点とその場所で情報提供が正常になされているか否かを事前にドライバに知らせることができるので、たとえば、安全運転支援の注意喚起情報が表示されない場合に、安全であるから注意喚起が表示されないのか、情報提供に何らかの問題があって注意喚起が表示されないのかをドライバは事前に認識することができる。
【0038】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係る情報提供車載装置が適用された情報提供車載システムは、情報提供が正常に行われたか否かを判断し、情報提供が正常に行われなかった場所をセンタ装置300に通知するようにしたものである。この実施の形態3に係る情報提供車載システムの構成は、図1に示した実施の形態1に係る情報提供車載システムの構成と同じである。以下では、実施の形態3に係る情報提供車載システムの動作を、情報表示再生装置111の画面への表示例を参照しながら説明する。
【0039】
図3は、カーナビゲーション装置の画面を情報表示再生装置111として使用した場合の画面の推移を表した図である。図3(a)は、情報提供中の画面、図3(b)は、情報提供後の画面をそれぞれ示している。
【0040】
図3(a)は、車両が、情報提供がなされている交差点にいる場合の表示であり、画面の右側に「信号注意」の注意喚起画面が表示されている。画面の左上には、情報提供がなされている旨を示す「動作中」の文字列が表示されている。なお、「動作中」の文字列の代わりに、アイコンで表示することもできる。画面の右下には表示停止ボタン「×」が表示されており、ドライバは、タッチパネルを介して表示された表示停止ボタン「×」を押すことにより、注意喚起画面を消去することができる。
【0041】
注意喚起画面は、ドライバが操作しなくても、交差点を通過した後には消去される。図3(b)は、この場合の画面を示す。画面の左上には、情報提供がなされていない旨を示す「動作終了」の文字列が表示されている。「動作終了」の文字列の代わりに、アイコンで表示することもできる。画面の右下の表示停止ボタン「×」は、交差点を通過した後も、しばらくは表示されたままの状態である。
【0042】
ユーザは、図3(b)に示す画面が表示された状態で表示停止ボタン「×」を押すことにより、この場所での注意喚起を表示しないように指定できる。この場合、ドライバが、表示が不要である旨を指示した地点は、地図連携情報記憶装置109に記憶される。これにより、次に、この地点を通過するときの情報提供が停止される。なお、表示停止中の場合は、図示は省略するが、情報提供地点において表示開始ボタン「○」を画面の右下に表示し、タッチパネルを介して表示された表示開始ボタン「○」が押されることにより、次回に情報提供地点を通過する場合に情報提供がなされるように構成できる。
【0043】
また、テレマティックスにより、ドライバが表示停止を指示した地点がどこであるかをセンタ装置300に通知し、センタ装置300では、これを集計して、その地点での情報提供の有効性を判断し、有効性が低い場合は、有効性が低い地点として、情報提供場所情報データベース301に記録し、テレマティックスにより、他の車両に情報を配信するように構成できる。
【0044】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4に係る情報提供車載装置が適用された情報提供車載システムは、情報提供が正常でないことを、ドライバの判断ではなく、自動的に行うようにしたものである。この実施の形態4に係る情報提供車載システムの構成は、図1に示した実施の形態1に係る情報提供車載システムの構成と同じである。以下では、実施の形態4に係る情報提供車載システムの動作を、情報提供の表示の有無を判断する処理を中心に、フローチャートを参照しながら説明する。
【0045】
図4は、光ビーコン201またはDSRC路側機202から狭域通信で情報を受信したときの情報受信処理を示すフローチャートである。この情報受信処理では、路側から情報を受信すると、まず、受信データの解析が行われる(ステップST11)。すなわち、情報提供判断装置105は、光ビーコン201またはDSRC路側機202から、必要な情報をすべて正常に受信しているかなどを確認する。
【0046】
次いで、データ異常の有無が調べられる(ステップST12)。すなわち、情報提供判断装置105は、受信したデータの内容に異常があるか否かを調べる。この場合、例えば、一部のデータを受信できない場合、または、路側の機器の故障を示すデータが受信された場合などはデータ異常とみなされる。
【0047】
上記ステップST12において、データ異常が無いことが判断されると、情報提供表示が行われる(ステップST13)。すなわち、情報提供判断装置105は、光通信装置102またはDSRC通信装置104から受け取った信号および車両の走行状態などから、情報提供の内容および情報提供のタイミングなどを判断し、判断結果を表示判断装置110に送る。表示判断装置110は、情報提供判断装置105から情報提供する旨の判断結果が送られてきた場合に、その地点の情報提供を表示再生するか否かを判断し、表示再生する旨を判断した時は、その地点の情報提供を情報表示再生装置111に送る。これにより、情報表示再生装置111に、その地点の情報提供が表示再生される。
【0048】
次いで、正常地点として記録される(ステップST14)。すなわち、表示判断装置110は、情報提供を表示再生する旨を判断した地点を、正常に動作した地点として地図連携情報記憶装置109に記録する。
【0049】
次いで、正常路側装置番号が記録される(ステップST15)。すなわち、表示判断装置110は、正常に動作した地点に配置されている光ビーコン201またはDSRC路側機202は正常に動作した機器であるとして、その路側の装置に付されている固有の番号を、地図連携情報記憶装置109に記録する。その後、シーケンスはステップST18に進む。
【0050】
一方、上記ステップST12において、データ異常が有ることが判断されると、異常地点として記録される(ステップST16)。すなわち、表示判断装置110は、情報提供を表示再生しない旨を判断した地点を、異常な地点として地図連携情報記憶装置109に記録する。
【0051】
次いで、異常路側装置番号が記録される(ステップST17)。すなわち、表示判断装置110は、正常に動作しなかった地点に配置されている光ビーコン201またはDSRC路側機202は、異常なデータを送信した機器であるとして、その路側の装置に付されている固有の番号を、地図連携情報記憶装置109に記録する。その後、シーケンスはステップST18に進む。
【0052】
ステップST18においては、記録の変更が有るかどうかが調べられる。すなわち、表示判断装置110は、情報提供の場所を過ぎてから、情報提供地点の正常または異常の記録が変わったかどうかを判断する。このステップST18において、記録の変更が有ることが判断されると、センタに記録の変更箇所のデータが送信される(ステップST19)。すなわち、表示判断装置110は、テレマティックスによる広域通信で、センタ装置300の情報提供場所情報データベース301へ記録の変更箇所のデータを送信する。その後、情報受信処理は終了し、情報受信待機状態になる。ステップST18において、記録の変更が無いことが判断されると、ステップST19の処理はスキップされ、情報受信待機状態になる。
【0053】
なお、図4に示したフローチャートでは、路側情報を受信する毎にその地点の情報としてセンタ装置300に送信するように構成したが、複数の地点の記録を蓄積しておき、一定周期でセンタ装置300に送信するように構成できる。また、走行終了後にセンタ装置300に送信するように構成することもできる。
【0054】
図5は、テレマティックスによる広域通信で、センタ装置300から情報提供場所の情報を受信した場合の情報受信処理を示すフローチャートである。この情報受信処理では、テレマティックスによる広域通信で、センタ装置300からの情報提供場所情報が受信されると、まず、受信された情報提供場所情報画面が地図連携情報として記憶される(ステップST21)。すなわち、表示判断装置110は、センタ装置300から基地局302、広域通信アンテナ106および広域通信装置107を介して受信した複数の地点の情報を、地図連携情報記憶装置109に記録する。
【0055】
次いで、自車位置が特定される(ステップST22)。すなわち、表示判断装置110は、GPS受信機108から現在位置信号を取得し、この取得した現在位置信号に基づき自車位置を特定する。
【0056】
次いで、情報提供場所に接近しているかどうかが調べられる(ステップST23)。すなわち、表示判断装置110は、自車の進行方向に存在する情報提供場所に接近しているかを、地図連携情報記憶装置109から読み出した情報提供場所の位置情報と、ステップST22で特定した自車位置とから判断する。このステップST23において、情報提供場所に接近していないことが判断されると、シーケンスはステップST22に戻り、上述した処理が繰り返し実行される。
【0057】
一方、ステップST23において、情報提供場所に接近中であることが判断されると、次いで、異常な地点であるか否かが調べられる(ステップST24)。すなわち、表示判断装置110は、地図連携情報記憶装置109に記憶されている情報に基づき、接近中の情報提供場所が正常に動作している地点であるか、異常がある地点であるかを調べる。
【0058】
このステップST24において、異常な地点でない、つまり正常な地点であることが判断されると、情報提供場所が正常であることが表示される(ステップST25)。すなわち、表示判断装置110は、地図画面上に情報提供場所が正常動作している地点である旨を情報表示再生装置111に送る。これにより、情報表示再生装置111に、情報提供場所が正常に表示される。その後、路側から情報が受信された場合、情報が正常に表示再生される(ステップST26)。このステップST26においては、上述した図4に示す処理が行われる。その後、シーケンスはステップST22に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0059】
一方、ステップST24において、異常な地点であることが判断されると、情報提供場所が異常であることが表示される(ステップST27)。すなわち、表示判断装置110は、地図画面上に情報提供場所が異常であって表示停止中である旨を情報表示再生装置111に送る。これにより、情報表示再生装置111に、情報提供場所が異常である旨が表示される。その後、路側から情報を受信した場合、情報の表示は停止される(ステップST28)。その後、シーケンスはステップST22に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0060】
以上説明したように、この発明の実施の形態4に係る情報提供車載装置が適用された情報提供車載システムによれば、情報提供車載装置100の情報提供判断装置105で異常を検出し、路側の情報に異常がある場合、自動的に表示を停止するとともに、その地点で異常が起きていることをセンタ装置300に伝えることにより、テレマティックスで他車両にも通知することができる。これにより、他の車両のドライバは事前にその地点での情報提供に問題があり、表示を停止していることを知ることができる。
【0061】
なお、異常な地点にいるかどうかを判断する方法としては、GPS受信機108から得られる自車位置とセンタ装置300から配信される位置情報とを比較して判断する方法と、道路上に設置された通信装置から情報を受信したときに付随される通信装置に付された固有の番号(ID)と、センタ装置300から送られてきた通信装置を特定する固有の番号(ID)とを比較して判断する方法があり、後者の方法では、例えばトンネル内などを走行中であってGPS受信機108からの現在位置信号に基づいて位置を特定できない場合であっても、表示を停止する地点を間違えることはない。
【0062】
上述した各実施の形態では、情報提供地点という特定地点において、情報提供がなされている旨を表示させるか、表示を停止するかを制御するように構成したが、情報提供地点においては複数のサービスが同時に提供される場合もあり、その場合、特定地点で優先的に表示させるサービスを示す優先度データを持たせたり、情報提供判断装置105で判断に使用するパラメータとして特定地点毎に異なるデータを持たせたりするように構成することもできる。この構成によれば、各情報提供場所において、表示の有無だけでなく、表示の優先度およびパラメータを場所毎に設けることができ、その場所で、最適な表示になるように個別に調整することができる。
【符号の説明】
【0063】
100 情報提供車載装置、101 光送受素子、102 光通信装置、103 DSRCアンテナ、104 DSRC通信装置、105 情報提供判断装置、106 広域通信アンテナ、107 広域通信装置、108 GPS受信機、109 地図連携情報記憶装置、110 表示判断装置、111 情報表示再生装置、200 路側情報提供装置、201 光ビーコン、202 DSRC路側機、300 センタ装置、301 情報提供場所情報データベース、302 基地局。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路側に設置された通信装置から狭域通信で送られてくる情報を受信する受信装置と、
前記受信装置で受信された情報を解釈して情報提供を行うか否かを判断する情報提供判断装置と、
前記情報提供判断装置の判断結果に基づき情報の表示再生を行う情報表示再生装置とを備えた情報提供車載装置において、
センタ装置からの情報を受信する広域通信装置と、
前記広域通信装置で受信された情報に含まれる情報提供を行う地点を記録する地図連携情報記憶装置と、
前記広域通信装置で受信された情報によって指示に応答して、前記情報表示再生装置において行われる前記地図連携情報記憶装置に記録されている特定地点における情報提供の表示再生を停止させる表示判断装置
とを備えた情報提供車載装置。
【請求項2】
表示判断装置は、情報提供の表示再生を停止している地点を前記情報表示再生装置に表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供車載装置。
【請求項3】
表示判断装置は、情報提供の表示再生を行っている地点を前記情報表示再生装置に表示させる
ことを特徴とする請求項2に記載の情報提供車載装置。
【請求項4】
表示判断装置は、情報提供判断装置によって受信装置で受信された情報が解釈された結果、該情報に何らかの異常があった場合に、自動的にその地点の情報が異常である旨をセンタ装置に送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供車載装置。
【請求項5】
表示判断装置は、情報表示再生装置で表示再生された情報が適切でない地点が入力された場合に、該地点を地図連携情報記憶装置に記録するとともにセンタ装置に送信する
ことを特徴とする請求項4に記載の情報提供車載装置。
【請求項6】
表示判断装置は、情報提供地点という特定地点において、情報提供判断装置において情報提供を行うか否かの判断に使用されるパラメータまたは情報提供の表示再生の優先度をセンタ装置からの指示により変更する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項記載の情報提供車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−2249(P2011−2249A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143322(P2009−143322)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】