説明

情報種別に応じた無線中継装置

【課題】 無線中継装置にローカル接続されているローカル接続機器にマルチホップ式に中継されてきた情報が届いた場合、上段の無線中継装置に情報を受信した旨の受信通知を当該情報の送信元へ伝達することができる無線中継装置を提供することにある。
【解決手段】 他無線中継装置通信部110はアンテナ111を介して他無線中継装置よりデータを受信し、情報種別判定部130が、前記受信したデータが自ローカル接続機器用のデータであると判定したならば受信通知送信/中継部140に送出する。受信通知送信/中継部140は正常に受信出来た旨を、アンテナ111から他無線中継装置へデータを送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無線中継装置間でマルチホップ式に情報を中継する無線中継ネットワークを構成する無線中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信可能な距離が短い無線中継装置を複数配置し、複数の無線中継装置により情報を広い範囲に中継するマルチホップ式無線中継ネットワークに関する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、上位から下位への一方向の通信であり、下位の無線中継装置が正常に情報を受け取ったか判らないため、例えば、途中のいずれかの段の隣接する無線中継装置間で通信エラーが発生して、目的とする当該情報の配信先である最下段の無線中継装置に接続されたローカル接続機器にまでデータが届かなかった場合、その事実を当該情報の配信元は認知できない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−231566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、無線中継装置にローカル接続されているローカル接続機器にマルチホップ式に中継されてきた情報が届いた場合、上段の無線中継装置に情報を受信した旨の受信通知を当該情報の送信元へ伝達することができる無線中継装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、複数の無線中継装置間でマルチホップ式に情報を中継する無線中継ネットワークを構成する無線中継装置であって、第1の他無線中継装置から情報を受信して第2の他無線中継装置へ前記受信した情報を中継する、または前記第2の他無線中継装置から情報を受信して前記受信した情報を前記第1の他無線中継装置へ中継する情報中継手段と、前記第1または第2の他無線中継装置へ前記配信情報を受信した旨の受信通知を送信する受信通知送信手段と、前記第1または第2の他無線中継装置から受信した情報の種別を判定する情報種別判定手段と、前記第1または第2の他無線中継装置から受信した配信情報を自無線中継装置とローカル接続されたローカル接続機器へ中継するローカル接続機器中継手段と、を有し、前記情報中継手段が前記第1の他無線中継装置から情報の種別を識別する情報識別フラグが付加された配信情報を受信した場合に、前記情報中継手段は前記受信した配信情報を第2の他無線中継装置へ中継し、前記情報種別判定手段は前記受信した配信情報に付加された情報識別フラグを読取り前記受信した配信情報の情報種別が自無線中継装置とローカル接続されたローカル接続機器に対応した情報の種別であるか否かを判定し、前記ローカル接続機器中継手段は前記情報種別判定手段が前記受信した配信情報の情報種別が自無線中継装置とローカル接続されたローカル接続機器に対応した情報の種別であると判定したならば前記受信した配信情報を前記ローカル接続機器へ中継し、前記受信通知送信手段は前記第1の他無線中継装置へ前記配信情報を受信した旨の受信通知を送信し、前記情報中継手段が前記第2の他無線中継装置から前記配信情報を受信した旨の受信通知を受信した場合に、前記情報中継手段は前記受信した受信通知を前記第1の他無線中継装置へ中継することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、マルチホップ式に情報を中継する各無線中継装置が下段から伝達されてきた受信通知を当該情報の送信元へ伝達することができる無線中継装置を提供できる。これにより、情報種別を指定するだけの具体的な送信先を指定しない情報送信であっても、その情報種別に対応しているローカル接続機器の内、どのローカル接続機器に当該情報が届いたかを、当該情報の配信元は把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明による一実施例を示す全体構成図である。
【図2】本発明装置の回路ブロック図である
【図3】本発明装置の動作フローチャートである
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の詳細について説明する。
図1は、本発明装置の実施形態に係わる中継システムの全体構成図である。1は本発明による無線中継装置(以下、本装置と略すこともある)であって、複数の無線中継装置でマルチホップ式の無線中継ネットワークを構成している。
【0010】
2は本装置1とローカル接続されている各種ローカル接続機器であって、2−9は本装置1−9とローカル接続されたスピーカ、2−10は本装置1−10とローカル接続されたモニタカメラ、2−11は本装置1−11とローカル接続された表示装置である。
【0011】
3は各種データの配信元または収集元の各種センタ5と繋がるゲートウェイであって、各種センタ5として、緊急情報を配信または収集する緊急情報センタ5−1、催事や広告等に係わる情報を配信する情報センタ5−2、電気、ガス、水道等の使用量に係わるデータを収集する検針センタ5−3を示している。
【0012】
4は各戸に設置された電気、ガス、水道等の検針装置であって、本装置1にローカル接続されたローカル接続機器である。検針装置4−4〜4−6は本装置1−4〜1−6のそれぞれとローカル接続されており、各検針装置4からの検針データはマルチホップ式に検針センタ5−3へ中継される。また、検針センタからのお知らせ等の情報がマルチホップ式に各検針装置4に中継される。
【0013】
各無線中継装置1−1〜1−11のそれぞれは、隣接する無線中継装置との距離が無線電波の到達距離(例えば100m)以下の間隔で、所定の管理単位の地域(例えば市町村)に分散しており、隣接する無線中継装置との間でデータを中継する。
【0014】
例えば、緊急情報センタ5−1からのデータは、無線中継装置1−1,1−2,1−3,・・・・,1−9,1−10,1−11を経由して、Center to Endの方向(下方)に伝達する。そして、緊急情報センタ5−1からのデータの内、緊急通報音声(例えば津波発生等)は無線中継装置1−9を介して、街頭に設置されたスピーカ2−9から拡声再生される。同様に、映像,文字から成る緊急通報情報は、無線中継装置1−11を介して、街頭に設置された大型の表示装置2−11に表示される。
【0015】
また、モニタカメラ2−10からの映像と音声は、無線中継装置1−10,1−9,1−8,・・・・,1−1を経由して、End to Centerの方向(上方)に伝達し、無線中継装置1−1を介して、緊急情報センタ5−1に届く。
【0016】
ここで、例えば、このモニタカメラ2−10は常時稼動していてもよいし、異常時に緊急情報センタ5−1からの遠隔制御で起動するようにしてもよい。
【0017】
図2は、本装置1のブロック構成図であって、110は隣接する他の無線中継装置と無線通信する他無線中継装置通信部、111はアンテナ、120は自無線中継装置と他無線中継装置またはローカル接続機器との間でデータを中継制御するデータ中継制御部、130は他無線中継装置から受信した情報の種別を判定する情報種別判定部、140は前段の他無線中継装置へ配信情報を受信した旨の受信通知を送信または中継する受信通知送信/中継部、150はローカル接続機器中継部である。161はローカル接続機器と本装置1を接続するローカル接続ラインである。
【0018】
ここで、他無線中継装置通信部110はアンテナ111を介して他無線中継装置よりデータを受信し、データをデータ中継制御部120に送出する。データ中継制御部120は、受信通知送信/中継部140とローカル接続機器中継部150との間でデータの中継制御を行う。情報種別判定部130は、データ中継制御部120からデータを受信し自ローカル接続機器用のデータであるか否かを判定する。受信通知送信/中継部140はデータを正常に受信した旨の受信通知を、データ中継制御部120と他無線中継装置通信部110を介し、アンテナ111より他無線中継装置へ送出する。また他無線中継装置より受信した受信通知の中継を行う。
【0019】
ローカル接続機器中継部150は情報種別判定部130が自ローカル接続機器用のデータと判定した場合、ローカル接続ライン161を介してローカル接続機器2,3,4,にデータを送出する。
【0020】
図3は本装置1の動作フローチャートである。以下、図2を併用して、本装置1の動作フローを説明する。
【0021】
本フローは本装置1の電源が投入された時にスタートし(S300)、他無線中継装置通信部110が隣接する他無線中継装置通信部または自無線中継装置とローカル接続された他中継装置からのデータの受信を監視する(S310)。
【0022】
データを受信した場合(S310,YES)、データ中継制御部120は、受信したデータから自無線中継装置とローカル接続されたローカル接続機器(以下、自ローカル接続機器と略す)向けのデータ種別であるかを識別するためのヘッダー情報を読み取り、前記受信したデータは自ローカル接続機器向けか否かを判定し(S320)、前記受信したデータが自ローカル接続機器向けのデータではないと判定したならば(S320,NO)、後段の他無線中継装置へデータを転送し(S350)、待機状態に戻る。
【0023】
また、前記受信したデータが自ローカル接続機器向けのデータであった場合(S320,YES)、自ローカル接続機器にデータを転送し(S330)、前段の他無線中継装置へ受信通知を送信する(S340)。その後、データを後段の無線中継装置へ転送する(S350)。
【符号の説明】
【0024】
1 ・・・無線中継装置
2 ・・・各種ローカル接続機器
3 ・・・各種センタと繋がるゲートウェイ
4 ・・・検針装置
5 ・・・各種センタ
110・・・他無線中継装置通信部
111・・・アンテナ
120・・・データ中継制御部
130・・・情報種別判定部
140・・・受信通知送信/中継部
150・・・ローカル接続機器中継部
161・・・ローカル接続ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線中継装置間でマルチホップ式に情報を中継する無線中継ネットワークを構成する無線中継装置であって、
第1の他無線中継装置から情報を受信して第2の他無線中継装置へ前記受信した情報を中継するまたは前記第2の他無線中継装置から情報を受信して前記受信した情報を前記第1の他無線中継装置へ中継する情報中継手段と、前記第1または第2の他無線中継装置へ前記配信情報を受信した旨の受信通知を送信する受信通知送信手段と、前記第1または第2の他無線中継装置から受信した情報の種別を判定する情報種別判定手段と、前記第1または第2の他無線中継装置から受信した配信情報を自無線中継装置とローカル接続されたローカル接続機器へ中継するローカル接続機器中継手段と、を有し、
前記情報中継手段が前記第1の他無線中継装置から情報の種別を識別する情報識別フラグが付加された配信情報を受信した場合に、前記情報中継手段は前記受信した配信情報を第2の他無線中継装置へ中継し、前記情報種別判定手段は前記受信した配信情報に付加された情報識別フラグを読取り前記受信した配信情報の情報種別が自無線中継装置とローカル接続されたローカル接続機器に対応した情報の種別であるか否かを判定し、前記ローカル接続機器中継手段は前記情報種別判定手段が前記受信した配信情報の情報種別が自無線中継装置とローカル接続されたローカル接続機器に対応した情報の種別であると判定したならば前記受信した配信情報を前記ローカル接続機器へ中継し、前記受信通知送信手段は前記第1の他無線中継装置へ前記配信情報を受信した旨の受信通知を送信し、
前記情報中継手段が前記第2の他無線中継装置から前記配信情報を受信した旨の受信通知を受信した場合に、前記情報中継手段は前記受信した受信通知を前記第1の他無線中継装置へ中継することを特徴とする、情報種別に応じて情報を中継する無線中継装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−21485(P2013−21485A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152915(P2011−152915)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】