情報表示装置、経路設定方法およびプログラム

【課題】外部からの測位が困難な状況下においても位置表示の誤差を少なくすること。
【解決手段】現在位置情報を取得するGPS受信機19と、音声を取得して解析する音声解析部17と、音声解析部17により解析した音声が、GPS受信機19により取得した現在位置情報が示す現在位置または現在位置周辺の施設に関連する特徴的な音声であり、且つ特徴的な音声を取得したときのGPS受信機19による現在位置情報が、特徴的な音声に関する施設ではない場合、当該施設を現在位置として補正する制御部24と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示装置、経路設定方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positioning System)を利用したナビゲーション装置は、自動車や船舶に搭載して利用されるものが広く知られているが、近年では、PND(Potable Navigation Device)が普及しつつある。特に、PNDの可搬性を利用し、自動車や船舶での利用にとどまらず、オートバイ、自転車または歩行者による利用も考慮された製品がある。
【0003】
一般的な車載用のナビゲーション装置は、ジャイロセンサ、加速度センサなどのセンサ類を搭載すると共に、車速パルスから得られる速度情報などによる自律測位とGPSによる測位等とを組み合わせたハイブリッド測位により自車の現在位置を特定している。また、蓄積している道路地図にマップマッチングさせることで位置補正を行い、自車の正確な現在位置を道路地図上に表示している。
【0004】
特許文献1には、歩行者が携帯するPNDを想定し、歩道にマップマッチングさせたり車両用地図と歩行者用地図とを切替えて表示させるナビゲーション装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−254775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したようなPNDは、その多くがGPSのみによって自己の現在位置を特定している。また車速パルスから得られる速度情報が得られないため、自律測位の精度も劣る。GPSが受信できない状況が続いた場合、GPSのみによって自己の現在位置を特定しているPNDは現在位置の特定が不可能であり、自律測位を併用したハイブリッド測位を用いているPNDでも現在位置の特定精度は著しく劣ってしまう。
【0007】
また、歩行者が携帯することを想定したPNDでは、車道または歩道といった道路にマップマッチングするだけでなく、歩行者の行動可能な範囲については全般的にマップマッチングの対象とするべきである。たとえば歩行者が携帯することを想定したPNDは、鉄道の線路に沿った移動に対してもマップマッチングする必要がある。しかしながら特許文献1などの従来のPNDでは、鉄道の線路に沿った移動に対するマップマッチングは想定されていない。
【0008】
さらに、鉄道の線路に沿った移動に対してマップマッチングさせようとすると、以下に述べる2つの問題がある。
【0009】
(1)鉄道の線路と並行した道路が存在する場合、線路と道路のいずれにマップマッチングするべきかをPNDにおいて判断することが難しい。
(2)鉄道の列車に乗車している状況では、金属製である列車の車体が電波を遮蔽するため、GPSの受信感度が低下する状態が継続し易い。このため、自律測位を併用したハイブリッド測位が必要となるが、従来のPNDにおいては自律測位が全くできない、または、自律測位の精度が劣る。これにより列車に乗車している状態においては、PNDにおける位置表示の誤差が拡大し易い。
【0010】
本発明は、このような背景の下に行われたものであって、GPSなどの外部からの測位が困難な状況下においても位置表示の誤差を少なくすることができる情報表示装置、経路設定方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1つの観点は、情報表示装置としての観点である。すなわち、本発明の情報表示装置は、現在位置情報を取得する現在位置情報取得手段と、音声を取得して解析する音声解析手段と、音声解析手段により解析した音声が、現在位置情報取得手段により取得した現在位置情報が示す現在位置または現在位置周辺の施設に関連する特徴的な音声であり、且つ特徴的な音声を取得したときの現在位置情報取得手段による現在位置情報が、特徴的な音声に関する施設ではない場合、当該施設を現在位置として補正する現在位置補正手段と、を備えるものである。
【0012】
たとえば、音声解析手段による音声の取得は、現在位置情報取得手段により取得される現在位置情報が、特徴的な音声であると判断可能な音声に関する施設から所定の範囲内となったときに開始することが好ましい。
【0013】
さらに、音声解析手段による音声の取得は、現在位置情報取得手段により取得される現在位置情報が、特徴的な音声であると判断可能な音声に関する施設から所定の範囲内であるときに、定期的に行うことが好ましい。
【0014】
本発明の他の観点は、情報表示方法としての観点である。すなわち、本発明の情報表示方法は、自己の現在位置を表示させる情報表示装置において行われる情報表示方法であって、現在位置情報を取得する現在位置情報取得ステップと、音声を取得して解析する音声解析ステップと、音声解析ステップの処理により解析された音声が、現在位置情報取得ステップの処理により取得した現在位置情報が示す現在位置または現在位置周辺の施設に関連する特徴的な音声であり、且つ特徴的な音声を取得したときの現在位置情報取得ステップの処理により取得した現在位置情報が、特徴的な音声に関する施設ではない場合、当該施設を現在位置として補正する現在位置補正ステップと、を実行するものである。
【0015】
本発明のさらに他の観点は、プログラムとしての観点である。すなわち、本発明のプログラムは、情報処理装置にインストールすることにより、その情報処理装置に、本発明の情報表示装置の機能を実現するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、GPSなどの外部からの測位が困難な状況下においても位置表示の誤差を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る情報表示装置のブロック構成図である。
【図2】図1の制御部の動作のうち鉄道駅へのマップマッチング動作を示すフローチャートである。
【図3】図1の制御部の動作のうち鉄道駅へのマップマッチングにおける補正前の現在位置と補正後の現在位置を示す図である。
【図4】図1の制御部の動作のうち鉄道線路へのマップマッチング動作を示すフローチャートである。
【図5】図1の制御部の動作のうち鉄道線路へのマップマッチングにおける補正前の現在位置と補正後の現在位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(本発明の実施の形態に係る情報表示装置1の構成について)
本発明の実施の形態に係る情報表示装置1の構成について図1を参照して説明する。図1は、情報表示装置1のブロック構成図である。
【0019】
情報表示装置1は、マイクロフォン10、A/Dコンバータ11、D/Aコンバータ12、スピーカ13、表示部14、タッチパネル15、外部I/F(インタフェース)16、音声解析部17(請求項でいう音声解析手段)、GPS受信機用アンテナ18、GPS受信機19(請求項でいう現在位置情報取得手段の一部)、ジャイロセンサ20、加速度センサ21、経路探索部22(請求項でいう現在位置情報取得手段の一部)、メモリ23、制御部24(請求項でいう音声解析手段の一部、現在位置情報取得手段の一部、現在位置補正手段)から構成される。
【0020】
マイクロフォン10は、各種の設定情報を音声入力することができる。たとえば制御部24は、マイクロフォン10から入力される音声によって出発地または目的地などの設定情報を認識できる。また、マイクロフォン10は、自律測位を行うための周囲の音声情報を取得する。なお、ここで音声情報とは、人の声に限らず、あらゆる音の情報を含むものとする。
【0021】
A/Dコンバータ11は、マイクロフォン10から入力されたアナログ信号としての音声情報をデジタル信号に変換して制御部24へ入力する。
【0022】
D/Aコンバータ12は、制御部24から出力されるデジタル信号としての音声情報をアナログ信号に変換してスピーカ13へ出力する。
【0023】
スピーカ13は、D/Aコンバータ12から出力されたアナログ信号に基づいて音声情報を出力する。なお、スピーカ13は、イヤホンやヘッドホンである場合も含む。
【0024】
表示部14は、制御部24に駆動されて各種の情報を表示する。また、表示部14にはタッチパネル15が重畳して設けられている。
【0025】
タッチパネル15は、ユーザの操作によって制御部24へ入力を行うためのものである。また、タッチパネル15は透明であり表示部14に重畳されている。これにより、表示部14に表示されるアイコンに対応するタッチパネル15の部位をユーザが指などで押圧することにより、当該アイコンに対応する入力操作を行うことができる。なお、タッチパネル15の方式は、超音波表面弾性波方式、画像認識方式、抵抗膜方式、または静電容量方式などが知られているが、これらの如何なる方式でもよい。
【0026】
外部I/F16は、たとえばUSB(Universal Serial Bus)ポートなどの汎用性の高い外部インタフェースである。外部I/F16に、たとえば無線LAN(Local Area Network)(不図示)などに接続するための通信装置30を接続すれば、制御部24の制御にしたがって、無線LANなどに接続可能である。あるいは、外部I/F16にUSBメモリ31などを接続すれば、このUSBメモリ31に記憶されている情報をメモリ23に転送したり、メモリ23に記憶されている情報をこのUSBメモリ31に転送できる。
【0027】
音声解析部17は、制御部24の制御にしたがって、マイクロフォン10から入力される音声情報を解析する。すなわち、音声解析部17は、メモリ23に記憶されている音響モデルと、マイクロフォン10から入力される音声情報とを比較することによって、マイクロフォン10から入力された音声情報がどのようなものであるかを認識する。メモリ23に記憶されている音響モデルとしては、HMM(隠れマルコフモデル;Hidden Markov Model)などを用いる。
【0028】
GPS受信機用アンテナ18は、GPS受信機19がGPS衛星(不図示)からの信号を受信するためのアンテナである。
【0029】
GPS受信機19は、GPS受信機用アンテナ18を介してGPS衛星からの信号を受信することにより情報表示装置1の現在位置を認識して制御部24に情報表示装置1の現在位置情報を出力することができる。
【0030】
ジャイロセンサ20は、情報表示装置1の移動中における方向転換を検出するためのセンサである。ジャイロセンサ20の検出出力は、制御部24に取り込まれ、GPS受信機19の出力と共に情報表示装置1の移動状態を認識するために用いられる。
【0031】
加速度センサ21は、表示装置1の傾きなど、情報表示装置1の姿勢を検出したり、あるいは、情報表示装置1の移動速度の変化を検出するためのセンサである。制御部24は、加速度センサ21の検出出力により表示部14の表示形態(縦方向表示または横方向表示)を変更するなどの制御を行うことができる。あるいは、制御部24は、加速度センサ21の検出出力により情報表示装置1の移動速度の加減速状態を認識することができる。
【0032】
経路探索部22は、制御部24の制御に基づいて、設定された出発地および目的地にしたがって経路を探索するためのものである。また、経路探索部22は、GPS受信機19からの現在位置情報を参照し、経路上における現在位置の特定を行い、その特定結果を制御部24に出力することができる。
【0033】
メモリ23は、制御部24の動作に必要となる各種の情報および設定された経路の情報などを記憶するためのものである。メモリ23は、たとえばROM(Read Only Memory)および/またはRAM(Random Access Memory)および/またはHDD(Hard Disk Drive)および/またはフラッシュメモリなどの不揮発性メモリなどを備えている。
【0034】
なお、メモリ23の記憶内容は、音響モデル、道路地図情報、鉄道地図情報などである。これらの記憶内容は、USBメモリ31を外部I/F16に接続し、メモリ23にUSBメモリ31の記憶内容を転送することによってアップデートが可能である。
【0035】
制御部24は、情報表示装置1の各部を制御するための中央演算装置(CPU(Central Processing Unit)またはDSP(Digital Signal Processor)など)である。
【0036】
また、制御部24は、GPS受信機19、ジャイロセンサ20、加速度センサ21からの現在位置情報、方向転換情報、姿勢情報、加速度情報を入力し、情報表示装置1の現在位置、方向転換、姿勢、移動速度の変化等を認識することができる。
【0037】
また、制御部24は、経路探索部22によって経路案内のための経路を探索することができる。
【0038】
また、制御部24は、情報表示装置1の動作に必要となる情報をメモリ23に書込み、あるいは読み出すことができる。
【0039】
また、制御部24は、マイクロフォン10からA/Dコンバータ11を介してデジタル信号としての音声情報を入力し、これを音声解析部17に解析させることができる。
【0040】
また、制御部24は、デジタル信号としての音声情報をD/Aコンバータ12を介してスピーカ13から出力させることができる。
【0041】
(情報表示装置1の動作について)
(鉄道駅へのマップマッチング)
次に、情報表示装置1の動作のうち鉄道駅へのマップマッチングについて図2のフローチャートを参照して説明する。図2は、情報表示装置1の制御部24の動作のうち鉄道駅へのマップマッチング動作を示すフローチャートである。
【0042】
START:制御部24は、情報表示装置1がON状態になると、ステップS1の処理へ移行する。
【0043】
ステップS1:制御部24は、情報表示装置1の現在位置が鉄道駅近傍(たとえば50m以内)か否かを判断する。すなわち、制御部24は、GPS受信機19から取得した現在位置情報に基づき情報表示装置1の現在位置が鉄道駅近傍である場合(ステップS1でYes)、ステップS2の処理へ移行する。一方、制御部24は、GPS受信機19から取得した現在位置情報に基づき情報表示装置1の現在位置が鉄道駅近傍でない場合(ステップS1でNo)、ステップS1の処理を繰り返し実行する。
【0044】
ステップS2:制御部24は、マイクロフォン10から入力されてA/Dコンバータ11でデジタル信号に変換された音声情報を取得し、音声解析部17を用いて音声解析を実施し、ステップS3の処理へ移行する。
【0045】
ステップS3:制御部24は、鉄道駅に関する特徴的な音声情報を取得したか否かを判断する。すなわち、制御部24は、マイクロフォン10から入力されてA/Dコンバータ11でデジタル信号に変換された音声情報を音声解析部17を用いて音声解析した結果、鉄道駅に関する特徴的な音声情報を取得した場合(ステップS3でYes)、ステップS4の処理へ移行する。一方、制御部24は、マイクロフォン10から入力されてA/Dコンバータ11でデジタル信号に変換された音声情報を音声解析部17を用いて音声解析した結果、鉄道駅に関する特徴的な音声情報を取得していない場合(ステップS3でNo)、ステップS6の処理へ移行する。
【0046】
ステップS4:制御部24は、GPS受信機19から取得した現在位置情報に基づく現在位置が鉄道駅か否かを判断する。すなわち、制御部24は、GPS受信機19から取得した現在位置情報に基づく現在位置が鉄道駅でない場合(ステップS4でNo)、ステップS5の処理へ移行する。一方、制御部24は、GPS受信機19から取得した現在位置情報に基づく現在位置が鉄道駅である場合(ステップS4でYes)、処理を終了する(END)。
【0047】
ステップS5:制御部24は、現在位置を鉄道駅にマップマッチングして処理を終了する(END)。
【0048】
ステップS6:制御部24は、GPS受信機19から取得した現在位置情報に基づく現在位置が鉄道駅近傍から離れたか否かを判断する。すなわち、制御部24は、GPS受信機19から取得した現在位置情報に基づく現在位置が鉄道駅近傍から離れた場合(ステップS6でYes)、処理を終了する(END)。一方、制御部24は、GPS受信機19から取得した現在位置情報に基づく現在位置が鉄道駅近傍から離れていない場合(ステップS6でNo)、ステップS3の処理へ戻る。
【0049】
すなわち、制御部24は、GPS受信機19から取得して現在位置情報に基づき情報表示装置1の現在位置を逐次確認している。
【0050】
情報表示装置1を携帯するユーザの移動中に、鉄道駅より所定距離内の範囲(たとえば50m以内)に入ると、制御部24は、マイクロフォン10から音声情報の取得を開始すると共に、マイクロフォン10から入力されてA/Dコンバータ11でデジタル信号に変換された音声情報に対して音声解析部17を用いて音声解析を開始する。
【0051】
なお、ユーザの移動手段は、徒歩、自転車、自動車、鉄道などのいずれでもよい。たとえば自動車により鉄道駅近傍を通過するのみである場合(ある平均速度以上で通過するのみである場合)は、鉄道駅より所定距離内に一旦入っても、鉄道駅の特徴的な音声情報を取得することはないまま、所定距離内から所定時間内に離脱するためにマップマッチングは行われない。
【0052】
このように、ユーザが各種移動手段により鉄道駅に近づいている場合、現在位置が鉄道駅より所定距離内に入ると、制御部24は、マイクロフォン10から音声情報の取得を開始すると共に、マイクロフォン10から入力されてA/Dコンバータ11でデジタル信号に変換された音声情報に対して音声解析部17を用いて音声解析を開始する。
【0053】
このときに、ユーザが実際に鉄道駅に入り、プラットホームに立つことによって、あるいは列車に乗車することによって、制御部24は、鉄道駅であることを判定可能な特徴的な音声情報を取得することができる。この特徴的な音声情報とは、たとえば発車メロディあるいはドアの開閉音、線路の継ぎ目の音であってその周期が徐々に大きくなる、または、小さくなるものなどである。
【0054】
制御部24は、音声解析部17を用いて解析した音声情報とメモリ23に予め記憶しておいた音声情報とを比較することにより、解析した音声情報が発車メロディ、ドアの開閉音等の特徴的な音声情報であるか否かを判断する。
【0055】
制御部24は、音声解析部17を用いて解析した音声情報が発車メロディ、ドアの開閉音などの鉄道駅の特徴的な音声情報であることが判明し、GPS受信機19で取得した現在位置情報が鉄道駅である場合、この現在位置情報は正しいのでマップマッチングは不要であると判断する。
【0056】
一方、制御部24は、音声解析部17を用いて解析した音声情報が発車メロディ、ドアの開閉音などの鉄道駅の特徴的な音声情報であることが判明し、GPS受信機19で取得した現在位置情報が鉄道駅でない場合、この現在位置情報は正確ではないのでマップマッチングを実行する。
【0057】
このマップマッチングによる補正の様子を図3を参照して説明する。図3は、鉄道駅へのマップマッチングにおける補正前の現在位置と補正後の現在位置を示す図である。情報表示装置1が鉄道駅構内に移動すると、屋根や壁の中の鉄筋や鉄骨によってGPS衛星からの電波が遮蔽され易くなるため、情報表示装置1の現在位置の誤差が生じ易くなる。
【0058】
情報表示装置1の現在位置に、図3に示すような補正前の誤差が生じている状態で、音声解析部17を用いて解析した音声情報が発車メロディあるいはドアの開閉音などの鉄道駅の特徴的な音声情報であることが判明した場合には、現在位置は鉄道駅構内へと補正される。
【0059】
(列車乗車中のマップマッチング)
次に、情報表示装置1の動作のうち列車乗車中のマップマッチングについて図4のフローチャートを参照して説明する。図4は、情報表示装置1の制御部24の動作のうち列車乗車中のマップマッチング動作を示すフローチャートである。
【0060】
START:制御部24は、情報表示装置1がON状態になると、ステップS10の処理へ移行する。なお、図4のフローチャートの動作と並行して図2のフローチャートの動作も行われていることは当然である。
【0061】
ステップS10:制御部24は、情報表示装置1の現在位置が鉄道線路近傍(たとえば50m以内)か否かを判断する。すなわち、制御部24は、GPS受信機19から取得した現在位置情報に基づき情報表示装置1の現在位置が鉄道線路近傍である場合(ステップS10でYes)、ステップS11の処理へ移行する。一方、制御部24は、GPS受信機19から取得した現在位置情報に基づき情報表示装置1の現在位置が鉄道線路近傍でない場合(ステップS10でNo)、ステップS10の処理を繰り返し実行する。
【0062】
ステップS11:制御部24は、情報表示装置1の現在位置が所定距離(たとえば数km)以上鉄道線路に沿ってその近傍を移動中か否かを判断する。すなわち、制御部24は、GPS受信機19から取得した現在位置情報に基づき情報表示装置1の現在位置が所定距離以上鉄道線路に沿ってその近傍を移動中と判断される場合(ステップS11でYes)、ステップS12の処理へ移行する。一方、制御部24は、GPS受信機19から取得した現在位置情報に基づき情報表示装置1の現在位置が所定距離以上鉄道線路に沿ってその近傍を移動中でないと判断される場合(ステップS11No)、処理を終了する(END)。
【0063】
ステップS12:制御部24は、マイクロフォン10から入力されてA/Dコンバータ11でデジタル信号に変換された音声情報を取得し、音声解析部17を用いて音声解析を実施し、ステップS13の処理へ移行する。
【0064】
ステップS13:制御部24は、鉄道線路に関する特徴的な音声情報を取得したか否かを判断する。すなわち、制御部24は、マイクロフォン10から入力されてA/Dコンバータ11でデジタル信号に変換された音声情報を音声解析部17を用いて音声解析した結果、鉄道線路に関する特徴的な音声情報を取得した場合(ステップS13でYes)、ステップS14の処理へ移行する。一方、制御部24は、マイクロフォン10から入力されてA/Dコンバータ11でデジタル信号に変換された音声情報を音声解析部17を用いて音声解析した結果、鉄道線路に関する特徴的な音声情報を取得していない場合(ステップS13でNo)、ステップS16の処理へ移行する。
【0065】
ステップS14:制御部24は、GPS受信機19から取得した現在位置情報に基づく現在位置が鉄道線路上か否かを判断する。すなわち、制御部24は、GPS受信機19から取得した現在位置情報に基づく現在位置が鉄道線路上でない場合(ステップS14でNo)、ステップS15の処理へ移行する。一方、制御部24は、GPS受信機19から取得した現在位置情報に基づく現在位置が鉄道線路上である場合(ステップS14でYes)、処理を終了する(END)。
【0066】
ステップS15:制御部24は、現在位置を鉄道線路上にマップマッチングして処理を終了する(END)。
【0067】
ステップS16:制御部24は、GPS受信機19から取得した現在位置情報に基づく現在位置が鉄道線路近傍から離れたか否かを判断する。すなわち、制御部24は、GPS受信機19から取得した現在位置情報に基づく現在位置が鉄道線路近傍から離れた場合(ステップS16でYes)、処理を終了する(END)。一方、制御部24は、GPS受信機19から取得した現在位置情報に基づく現在位置が鉄道線路近傍から離れていない場合(ステップS16でNo)、ステップS13の処理へ戻る。
【0068】
すなわち、制御部24は、GPS受信機19から取得して現在位置情報に基づき情報表示装置1の現在位置を逐次確認している。
【0069】
情報表示装置1を携帯するユーザの移動中に、鉄道線路より所定距離内の範囲(たとえば50m以内)に入ると、制御部24は、マイクロフォン10から音声情報の取得を開始すると共に、マイクロフォン10から入力されてA/Dコンバータ11でデジタル信号に変換された音声情報に対して音声解析部17を用いて音声解析を開始する。
【0070】
また、情報表示装置1が所定距離以上鉄道線路に沿ってその近傍を移動中であるか否かを判断する。ここで所定距離以上鉄道線路に沿ってその近傍を移動中とは、所定距離以上鉄道線路に沿ってその近傍を移動している状態が継続しているという意味である。
【0071】
所定距離は、たとえば数km(およそ2km〜3km)である。すなわち、鉄道線路上を走行する列車の場合、一般的には数km移動している状態が継続する。
【0072】
一方で、鉄道線路と並行する車道を走行している自動車は、鉄道線路と比較すると頻繁に信号機や一時停止が存在するため、一般的には数km移動している状態が継続することは難しい。
【0073】
したがって、情報表示装置1が所定距離以上鉄道線路に沿ってその近傍を移動中でない場合は、列車に乗車している可能性は排除してよいため、制御部24は処理を終了する。
【0074】
しかしながら、地方の国道などでは、信号機や一時停止が頻繁に存在しない場合もあり、鉄道線路と同様に、数km以上移動している状態が継続する場合もある。
【0075】
このような場合には、制御部24は、移動中に、鉄道線路に関する特徴的な音声情報を取得したか否かを判断することによって情報表示装置1が鉄道線路を移動中か否かを判断する。
【0076】
ここで、鉄道線路に関する特徴的な音声情報とは、たとえば線路の継ぎ目の通過音である。その他、列車形式毎の警笛音などがある。
【0077】
これにより、制御部24は、数km以上移動している状態が継続していても鉄道線路に関する特徴的な音声情報が取得されなかった場合には、鉄道線路上を移動していないものとして処理を終了する。
【0078】
制御部24は、音声解析部17を用いて解析した音声情報とメモリ23に予め記憶しておいた音声情報とを比較することにより、解析した音声情報が線路の継ぎ目の通過音等の鉄道線路に関する特徴的な音声情報であるか否かを判断する。
【0079】
制御部24は、音声解析部17を用いて解析した音声情報が線路の継ぎ目の通過音などの鉄道線路の特徴的な音声情報であることが判明し、GPS受信機19で取得した現在位置情報が鉄道線路上である場合、この現在位置情報は正しいのでマップマッチングは不要であると判断する。
【0080】
一方、制御部24は、音声解析部17を用いて解析した音声情報が線路の継ぎ目の通過音などの鉄道線路の特徴的な音声情報であることが判明し、GPS受信機19で取得した現在位置情報が鉄道線路上でない場合、この現在位置情報は正確ではないのでマップマッチングを実行する。
【0081】
このマップマッチングによる補正の様子を図5を参照して説明する。図5は、図1の制御部の動作のうち鉄道線路へのマップマッチングにおける補正前の現在位置と補正後の現在位置を示す図である。情報表示装置1が列車内に移動すると、列車の外壁が金属であるためGPS衛星からの電波が遮蔽され易くなるため、情報表示装置1の現在位置の誤差が生じ易くなる。
【0082】
情報表示装置1の現在位置に、図5に示すような補正前の誤差が生じている状態で、音声解析部17を用いて解析した音声情報が線路の継ぎ目の通過音などの鉄道線路の特徴的な音声情報であることが判明した場合には、現在位置は鉄道線路上へと補正される。
【0083】
(プログラムを用いた実施の形態)
情報表示装置1の各部は、所定のプログラムにより動作する汎用の情報処理装置(CPU、DSP、マイクロプロセッサ(マイクロコンピュータ)など)によって構成されてもよい。例えば、汎用の情報処理装置は、メモリ、CPU、入出力ポートなどを有する。汎用の情報処理装置のCPUは、メモリなどから所定のプログラムとして制御プログラムを読み込んで実行する。これにより、汎用の情報処理装置には、情報表示装置1の各部の機能が実現される。
【0084】
なお、汎用の情報処理装置が実行する制御プログラムは、情報表示装置1の出荷前に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであっても、情報表示装置1の出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであってもよい。また、制御プログラムの一部が、情報表示装置1の出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶されたものであってもよい。情報表示装置1の出荷後に、汎用の情報処理装置のメモリなどに記憶される制御プログラムは、例えば、CD−ROMなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶されているものをインストールしたものであっても、インターネットなどの伝送媒体を介してダウンロードしたものをインストールしたものであってもよい。
【0085】
また、制御プログラムは、汎用の情報処理装置によって直接実行可能なものだけでなく、ハードディスクなどにインストールすることによって実行可能となるものも含む。また、圧縮されたり、暗号化されたりしたものも含む。
【0086】
(実施の形態の効果について)
情報表示装置1は、現在位置の情報を取得し、音声を取得して解析し、解析した音声が、取得した現在位置情報が示す現在位置または現在位置周辺に関する施設に関連する特徴的な音声であり、且つ特徴的な音声を取得したときの現在位置情報が、特徴的な音声に関する施設ではない場合、当該施設を現在位置として補正する。
【0087】
これにより、GPSなどの外部からの測位が困難な状況下においても位置表示の誤差を少なくすることができると共に、たとえば鉄道駅または鉄道の線路上にマップマッチングすることができる。
【0088】
さらに、音声の取得は、取得される現在位置情報が、特徴的な音声であると判断可能な音声に関する施設の近傍となったときに開始することができる。これにより、無効な音声取得および音声解析の処理を無くすことができ、情報表示装置1を効率良く運用することができる。
【0089】
あるいは、音声の取得は、取得される現在位置情報が、特徴的な音声であると判断可能な音声に関する施設から所定の範囲内(すなわち近傍)であるときに、定期的に行うようにしてもよい。これによれば、有効な音声取得および音声解析の処理を行いつつ、情報表示装置1を効率良く運用することができる。
【0090】
また、汎用の情報処理装置にインストールすることにより、その情報処理装置に、情報表示装置1の機能を実現するプログラムを用いることにより、情報表示装置1の大量生産や仕様変更(または設計変更)に対して柔軟に対応可能となる。
【0091】
(その他の実施の形態)
本発明の実施の形態は、その要旨を逸脱しない限り、様々に変更が可能である。たとえば、マイクロフォン10による音声情報の取得および音声解析部17による音声解析の処理は、継続的に行わず、所定の周期で断続的に行ってもよい。
【0092】
また、いずれの場合も音声情報の取得レベルの大きさに閾値を設け、閾値以下または閾値未満の取得レベルについては無視することが好ましい。たとえば鉄道線路に並行する車道を走行中の自動車に搭載された情報表示装置1が、並行して走る列車が鉄道線路を通過中に発生する線路の継ぎ目通過音を取得した場合、これにより列車乗車中と誤認識しないようにすることが好ましい。
【0093】
上述した実施の形態では、情報表示装置1が所定距離以上鉄道線路近傍を移動中であるか否かを判断するとして説明した。これに対し、情報表示装置1が所定時間以上鉄道線路近傍を移動中であるか否かを判断してもよい。所定時間とは、たとえば数分間(およそ5分間〜6分間)である。この場合、移動速度がゼロにならない限り移動中としてよい。
【0094】
また、対象となる線路が新幹線や新交通システムであった場合、線路の継ぎ目の通過音の取得は困難である。このような場合は、情報表示装置1は、駅構内または車内のアナウンス音などの特徴を音響モデルとしてメモリ23に記憶し、これによりマップマッチングを行ってもよい。昨今では、駅構内または車内のアナウンス音は、合成音声を用い定型化されている場合が多い。このような場合には、駅構内または車内のアナウンス音を容易に音響モデル化することができる。
【0095】
また、線路の継ぎ目の通過音の発生箇所については、予め定められた位置で発生する。よって、メモリ23に線路の継ぎ目の通過音の発生箇所の位置情報を記憶しておき、現在位置が継ぎ目ポイント近傍に来たときに、音声取得および音声解析を開始するようにしてもよい。
【0096】
また、上述の実施の形態では、マイクロフォン10から入力される音声情報を解析することによって、情報表示装置1の現在位置を補正した。このとき、ジャイロセンサ20、加速度センサ21などの検出出力による自律測位とGPSによる測位等とを組み合わせたハイブリッド測位により情報表示装置1の現在位置を常に補正する機能が働いていることは言うまでもない。
【0097】
たとえば情報表示装置1を歩行中のユーザが携帯している場合、あるいは情報表示装置1が自動車に搭載されている場合であれば、交差点などで一気に90度程度の進行方向の変化は頻繁に起こり得る。このような進行方向の変化は、ジャイロセンサ20によって検出できる。これに対し、情報表示装置1を列車で移動中のユーザが携帯している場合、進行方向の変化は前者と比べて起こり難い。これにより、情報表示装置1の現在位置を補正してもよい。
【0098】
上述した実施の形態では、説明を分り易くするために、経路探索部22の機能ブロックを図示したが、制御部24の機能に含まれるようにしてもよい。
【0099】
上述した実施の形態では、情報表示装置1をPNDであるとして説明した。これに対し、情報表示装置1は携帯電話端末であり、その携帯電話端末の1つの機能としてPNDに相当する機能も含まれるということでもよい。
【0100】
また、図1の構成におけるD/Aコンバータ12、スピーカ13は備えなくてもよい。この場合は、各種表示は表示部14で視覚的に表示する。
【0101】
上述の実施の形態では、鉄道駅あるいは鉄道線路における特徴的な音声を取得し、鉄道駅あるいは鉄道線路にマップマッチングする例を説明した。それ以外にも空港における特徴的な音声として「Attention Please!!」などのアナウンス音またはジェット機のエンジン音などを取得し、空港または空路にマップマッチングするなどとしてもよい。もしくは、港における特徴的な音声として船舶の汽笛や船舶のエンジン音などを取得し、港や航路にマップマッチングするなどとしてもよい。それ以外でも特徴的な音声が発生するあらゆる箇所についてマップマッチングを行ってもよい。
【0102】
また、列車等がある速度で踏切等を通過する際、ドップラー効果によって音の周波数が変化する。この周波数の変化を利用して、現在位置が踏切であるなどを認識して現在位置の補正を行うようにしてもよい。
【0103】
また、上述の実施の形態では、音声情報はGPS受信機19などから得られる現在位置情報の補正に用いるとして説明した。これに対し、地下鉄などのように、GPS受信機19などから得られる現在位置情報が全く無い状況においては、音声情報のみによって現在位置を特定してもよい。
【0104】
たとえば加速度センサ21によって駅に到着(停車)した、あるいは、駅を発車したという情報を得ることができる。また、駅のアナウンスを音声解析部17が音声解析することによって駅名の情報を取得可能である。これにより、GPS受信機19などから得られる現在位置情報が全く無い状況においても音声情報および加速度情報のみによって現在位置を特定することができる。
【符号の説明】
【0105】
1…情報表示装置、10…マイクロフォン(音声解析手段の一部)、17…音声解析部(音声解析手段の一部)、19…GPS受信機(現在位置情報取得手段の一部)、23…メモリ(音声解析手段の一部)、24…制御部(現在位置情報取得手段の一部、音声解析手段の一部、現在位置補正手段の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置情報を取得する現在位置情報取得手段と、
音声を取得して解析する音声解析手段と、
上記音声解析手段により解析した音声が、上記現在位置情報が示す現在位置または現在位置周辺の施設に関連する特徴的な音声であり、且つ上記特徴的な音声を取得したときの上記現在位置情報が、上記特徴的な音声に関する施設ではない場合、当該施設を現在位置として補正する現在位置補正手段と、
を備える、
ことを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の情報表示装置であって、
前記音声解析手段による音声の取得は、前記現在位置情報が、前記特徴的な音声であると判断可能な音声に関する施設から所定の範囲内となったときに開始する、
ことを特徴とする情報表示装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の情報表示装置であって、
前記音声解析手段による音声の取得は、前記現在位置情報が、前記特徴的な音声であると判断可能な音声に関する施設から所定の範囲内であるときに、定期的に行う、
ことを特徴とする情報表示装置。
【請求項4】
自己の現在位置を表示させる情報表示装置において行われる情報表示方法であって、
現在位置情報を取得する現在位置情報取得ステップと、
音声を取得して解析する音声解析ステップと、
上記音声解析ステップの処理により解析された音声が、上記現在位置情報が示す現在位置または現在位置周辺の施設に関連する特徴的な音声であり、且つ上記特徴的な音声を取得したときの上記現在位置情報が、上記特徴的な音声に関する施設ではない場合、当該施設を現在位置として補正する現在位置補正ステップと、
を実行する、
ことを特徴とする情報表示方法。
【請求項5】
情報処理装置にインストールすることにより、その情報処理装置に、
請求項1から3のいずれか1項記載の情報表示装置の機能を実現する、
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−38983(P2011−38983A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189009(P2009−189009)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(308036402)JVC・ケンウッド・ホールディングス株式会社 (1,152)
【Fターム(参考)】