説明

情報表示装置

【課題】両面印刷物を任意の位置に載置し、表面に対して適切な位置に裏面を表示する。
【解決手段】表示装置1は、位置検出部10aと裏面スキャン部10bを一体化した表示部10と、画像表示方向決定部20、表示位置算出部30と、を備えて構成し、画像表示方向決定部20は、綴じ方向情報入力部40から綴じ方向の情報を外部から入力し、画像バッファに記憶した画像データの読み出し方向情報を決定し、そして、表示位置算出部30は、この情報と位置検出部10aによって求められた位置情報に基づいて、裏面スキャン部10bにより取得した両面印刷物300の裏面画像の表示位置と向きを決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面原稿の裏画像を表示サイズ内の適切な位置に適切なサイズで表示する表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙に代表される記録媒体に記録されている文書は、他の媒体に記録されている文書と比較して、情報を保持し、使用する上で、最も扱いやすい場合がある。しかし、電子的なデータとは異なり、かさばる等、物理的な容量が多くなる。従って、コンパクトにまとめるため、割り付けや両面印刷することが多い。
【0003】
このような両面印刷された原稿を裏面の内容を見ながら、表面を参照するような場合、ユーザの利便性が悪いという問題がある。例えば、表面に図の説明文章があり、裏面に説明しようとしている図がある場合、ユーザは表面の説明文章を読み、紙を裏返して、裏面の図を見、また、表面の説明文章を読むといったことを繰り返す必要がある。これは、ユーザにとって情報を理解する妨げとなる。また、情報の提供者にとっても、ユーザに容易に理解してもらうという点でデメリットになる。
【0004】
上記に示す問題点を解決する従来技術として、例えば、プレゼンテーションにおける視聴者用の表示装置やコピー機等のプレビュー用に使用する表示装置等、両面原稿の表裏画像を一つの表示装置に裏面と表面の表示方向を合わせて、同時に表示する技術が開示されている(下記、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平1−54579号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、上記プレゼンテーションや、複数人による会議における発表者それぞれの出席者の場合には、直接、両面印刷の原稿を手元に置いて原稿を用いる場合が多く、例えば、数頁先、数頁後に飛んだりしなら、原稿を使用する場合や、当然ながら、裏面の画像を参照するケースが多い。このような場合には、従来の表示装置では、表裏同時に原稿を読み取る手段と、表裏同時に表示する手段とが分離している構造をとっているため、上記のような使用環境下では、利便性が悪いといった問題点がある。
【0006】
また、原稿のサイズが一定である場合とは限らず、その裏面を適切なサイズで表示できない場合もあるという問題点もある。
【0007】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、ユーザの利便性の悪さを解消し、両面印刷された文書を載置し、その裏面を適切な位置に表示する表示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような問題点を解決するために、本発明に係る表示装置は、以下のような構成とし、特徴を有する。
【0009】
本発明に係る表示装置は、両面印刷原稿を載置し、該両面印刷原稿の裏面を表示する情報表示装置であって、載置した前記両面印刷原稿の位置情報を検出する位置検出部と、前記裏面の画像データを取得し記憶する裏面スキャン部とを一体化した表示部と、前記両面印刷原稿の綴じ方向情報を入力し、記憶した前記画像データの読み出し方向を決定する画像表示方向決定部と、前記位置情報と前記前記画像データの読み出し方向の情報から前記裏面を前記表示部に画像表示する表示位置を算出する表示位置算出部と、を備え、前記表示位置算出部は、前記位置情報と前記表示部の全体のサイズとから、前記裏面の画像を表示できる表示領域を確定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る表示装置において、前記表示位置算出部は、前記確定した表示領域内に前記両面印刷原稿の裏面を表示する場合、位置検出部によって検出された位置情報に囲まれる領域内に重ねて表示することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る表示装置において、前記表示位置算出部は、前記確定した表示領域内に前記両面印刷原稿の裏面が前記両面印刷原稿の表面の大きさと同一の大きさで表示したとき、該表示領域内に収まらない又は小さすぎた場合には、前記裏面の画像データを縮小又は拡大して前記領域内に表示するようにしたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る表示装置において、前記画像表示方向決定部は、前記裏面スキャン部のスキャン方向が前記表示装置のスキャン方向と逆である場合、前記綴じ方向情報が縦綴じの場合には、前記画像データの読み出し方向が左右180°回転する方向であることを示す情報を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上記のように構成された本発明に係る表示装置によれば、両面印刷物を直接載置しながら、裏面と対比が可能であることから、装置の小型化を図ることができるとともに、ユーザの判断に応じて、両面印刷物の取り替えや載置位置の変更等、よりよい利便性を提供することができる。
【0014】
また、本発明に係る表示装置によれば、両面印刷物の表面に対する裏面の位置を決定する表示位置算出部を設けることにより、ユーザに対してより見やすい表示位置、表示サイズを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1〜図4は、本発明に係る表示装置の実施形態の一例であって、図中、同一の符号を付した部分は同一物を表わすものとする。
【0017】
<システム構成の説明>
図1は、本実施形態に係る表示装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【0018】
図2は、本実施形態に係る表示装置の表示部に載置した両面印刷物およびその裏面を表示した例を示す図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係る表示装置1は、位置検出部10aと裏面スキャン部10bを一体化した表示部10と、画像表示方向決定部20、表示位置算出部30、綴じ方向情報入力部40と、を備えて構成されている。
【0020】
表示部10は、載置した両面印刷物300の位置情報(例えば、左上隅、右下隅の表示部座標系における座標値)を取得する位置検出部10aと、この位置検出部10aで取得した位置情報い基づく領域内の両面印刷物300の裏面画像データ301を取得する裏面スキャン部10bとを組み込んだものである。
【0021】
ここで、上記のような両面印刷物300が表示部10のどこに置かれたかを示す位置情報を取得できる機能と、スキャナーとしても使用できる機能を有する表示部10として、光センサー内臓液晶パネルが挙げられる(例えば、シャープ株式会社により提供されている。)。この光センサー内臓液晶パネルは、液晶パネルの解像度と同じ数の接触部分(ポイント)を認識し、位置情報を検出することができ、また、両面印刷物300の裏面をスキャンし、裏面の画像データを取得することができる。
【0022】
そして、表示部10は、図2に示すように、裏面スキャン部10bにより取得した載置した両面印刷物300の裏面の画像データを、後記する表示位置算出部30で決定した表示位置に基づいて、裏面画像301を表示する。
【0023】
なお、位置検出部10aは、表示部10に組み込んだものとして説明したが、裏面スキャン部10bによる画像データを画像処理手段により画像処理することで位置情報を算出するようにすることも可能である。
【0024】
また、ディスプレイとしては、例えば、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなども考えられる。
【0025】
続いて、画像表示方向決定部20は、裏面スキャン部10bにより取得した両面印刷物300の印刷方向の向きを決定する部分である。
【0026】
図3は、横綴じで両面印刷された両面印刷物の表面画像に対する裏面画像データによる画像を表す図である。
【0027】
また、図4は、縦綴じで両面印刷された両面印刷物の表面画像に対する裏面画像データによる画像を表す図である。
【0028】
ここで、図3、4は、裏面スキャン部10bによる裏面の画像読み取りのスキャン方向は、両面印刷物の裏面から見て、左上から右下方向にスキャンした場合の画像を示している。
【0029】
従って、図3に示す横綴じの場合には、正常方向の画像が得られる一方、図4に示す縦綴じの場合には、180°回転した画像が得られる。なお、裏面スキャン部10bによる裏面の画像読み取りのスキャン方向を上記とは逆に右上から左下方向にスキャンした場合には、図3については左右反転画像、図4については上下反転画像が得られる。
表示方向を決定するために、画像表示方向決定部20は、綴じ方向情報入力部40から綴じ方向の情報を入力し、画像バッファに記憶した画像データの読み出し方向情報(「横綴じ情報」又は「縦綴じ情報」)を決定し、この情報を表示位置算出部30に転送する。
【0030】
なお、表示部10に載置した両面印刷物300の表面画像の画像データを取得する場合には、表示装置10に置かれた両面印刷物300の表面情報をスキャンする表面スキャン手段、例えば、表示部10の上方にカメラを取り付け、位置検出部10aによって検出された位置情報に基づき、両面印刷物300を撮ることによって実現することができる。
【0031】
続いて、表示位置算出部30は、画像表示方向決定部20により取得した画像データの読み出し方向情報と、位置検出部10aによって求められた位置情報に基づいて、裏面スキャン部10bにより取得した両面印刷物300の裏面画像の表示位置と向きを決定する。
【0032】
図5は、表示部に載置した両面印刷物の位置情報から裏面画像データの表示可能領域を示す図である。
【0033】
両面印刷物300は、表示部10の任意の位置に載置することができ、図5では、横方向1920ドット×縦方向1260ドットの表示部10に横方向10ドット目、縦方向900ドット目、幅590ドットの両面印刷物300を載置した場合の裏面の画像表示領域を示している。
【0034】
すなわち、画像表示領域は、横方向601〜1920ドット、縦方向0〜1260ドットの領域である。この領域内に裏面画像301を表示する。この場合、両面印刷物300の大きさと同一の大きさの裏面画像301を基準としているが、表示領域に裏面画像301を大きくて表示できない場合には、適切な大きさに縮小して表示する。また、裏面の所定の領域を指定して、適切な大きさに拡大して表示するようにしてもよい。
【0035】
また、両面印刷物300の裏面の内容によっては、裏面の画像の表示位置が、表面の置かれた位置に重なってもよい。例えば、裏面の余白部分を認識し、その部分は裏面に重なって表示してもよい。
【0036】
本実施形態では、両面印刷物300の裏面を、表面の右隣に表示したが、これに限らず、表示部10の裏面画像表示領域のサイズにより、表示場所を変えて例えば、左隣に表示してもよい。
【0037】
<表示処理の動作の説明>
次に、図6を参照しながら、表示装置1の表示処理の流れについて説明する。
【0038】
図6は、本実施形態に係る表示装置の表示処理を示すフローチャートである。
【0039】
まず、表示装置1の表示部10に両面印刷物300を載置したとき、位置検出部10aは、表示部10のどの位置(表示部10の座標位置)に置かれたかを検出する(ステップS10)。
【0040】
次に、裏面スキャン部10bは、両面印刷物300の裏面302をスキャンし、スキャンした画像データを画像表示方向決定部20に送る(ステップS11)。
【0041】
画像表示方向決定部20は、両面印刷物300の綴じ方向の情報又はステップS11の処理で取得した両面印刷物300の裏面302の画像データに基づく画像処理により綴じ方向を決定し、裏面302の画像データとともに綴じ方向情報を表示位置算出部30に送る(ステップS12)。
【0042】
表示位置算出部30は、ステップS12で取得した綴じ方向情報をもとに、例えば、図4に示す表面画像401と裏面画像データによる裏面画像402の表示方向が同じかどうかを判断する(ステップS13)。
【0043】
表面画像401と裏面画像402の表示方向が同じであると判断した場合(ステップS13;YES)、裏面画像402を180°回転せずに、ステップS12でスキャンした裏面画像402の画像データを表示部10に送る。
【0044】
一方、表面画像401と裏面画像302の表示方向が異なる場合には(ステップS13;NO)、ステップS12でスキャンした裏面画像402の画像データの表示方向を180°回転し、回転した裏面画像402の画像データを表示部10に送る(ステップS14)。
【0045】
最後に、表示部10は、受け取った裏面402の画像データを、ステップS10で取得した両面印刷物300の位置に重ならないように表示領域を確定し、その領域内で表示する(ステップS15)。
【0046】
以上説明したように、本発明に係る表示装置1によれば、両面印刷物を直接載置しながら、裏面と対比が可能であることから、ユーザの判断に応じて、両面印刷物の取り替えや載置位置の変更等、よりよい利便性を提供することができる。
【0047】
また、ユーザに対してより見やすい表示位置、表示サイズを提供することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の表示装置は、印刷物のスキャン機能をもつ表示装置全般に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本実施形態に係る表示装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本実施形態に係る表示装置の表示部に載置した両面印刷物およびその裏面を表示した例を示す図である。
【図3】横綴じで両面印刷された両面印刷部の表面画像に対する裏面画像データによる画像を表す図である。
【図4】縦綴じで両面印刷された両面印刷部の表面画像に対する裏面画像データによる画像を表す図である。
【図5】表示部に載置した両面印刷物の位置情報から裏面画像データの表示可能領域を示す図である。
【図6】本実施形態に係る表示装置の表示処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
1 表示装置
10 表示部
10a 位置検出部
10b 裏面スキャン部
20 画像表示方向決定部
30 表示位置算出部
40 綴じ方向情報入力部
300、400、500 両面印刷物
301、402、501 裏面画像
401、501 表面画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面印刷原稿を載置し、該両面印刷原稿の裏面を表示する情報表示装置であって、
載置した前記両面印刷原稿の位置情報を検出する位置検出部と、前記裏面の画像データを取得し記憶する裏面スキャン部とを一体化した表示部と、
前記両面印刷原稿の綴じ方向情報を入力し、記憶した前記画像データの読み出し方向を決定する画像表示方向決定部と、
前記位置情報と前記前記画像データの読み出し方向の情報から前記裏面を前記表示部に画像表示する表示位置を算出する表示位置算出部と、を備え、
前記表示位置算出部は、前記位置情報と前記表示部の全体のサイズとから、前記裏面の画像を表示できる表示領域を確定することを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】
前記表示位置算出部は、前記確定した表示領域内に前記両面印刷原稿の裏面を表示する場合、位置検出部によって検出された位置情報に囲まれる領域内に重ねて表示することを特徴とする請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項3】
前記表示位置算出部は、前記確定した表示領域内に前記両面印刷原稿の裏面が前記両面印刷原稿の表面の大きさと同一の大きさで表示したとき、該表示領域内に収まらない又は小さすぎた場合には、前記裏面の画像データを縮小又は拡大して前記領域内に表示するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報表示装置。
【請求項4】
前記画像表示方向決定部は、前記裏面スキャン部のスキャン方向が前記表示装置のスキャン方向と逆である場合、前記綴じ方向情報が縦綴じの場合には、前記画像データの読み出し方向が左右180°回転する方向であることを示す情報を出力することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−288292(P2009−288292A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−137781(P2008−137781)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】