説明

情報記録媒体および光記録再生装置

【課題】超解像技術を用いた情報記録媒体、及び光記録再生装置であって、装置の下位互換を確保しつつ、情報の最適記録パワー及び/または最適再生パワーの利用、及びその調整を行うことが可能な情報記録媒体、及び光記録再生装置を実現する。
【解決手段】管理情報の信号が光学分解能以上のサイズのピットで構成され、且つ従来の光ディスク技術の再生方法で再生可能な光ディスクを用い、光ディスク装置はコントロールデータエリア(CDA)の管理情報に基づいて記録及び/または再生の調整を、特に、ユーザデータエリア(UDA)である超解像領域の最適記録パワー及び/または最適再生パワーの調整を行う。ユーザデータエリア(UDA)である超解像領域を有する光ディスクを光ディスク装置で記録又は再生する場合に、適切な記録又は再生の調整が可能で、光ディスクのユーザ情報を記録又は再生する情報領域において適切な記録又は再生ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報記録媒体および光記録再生装置に関し、特に、光学分解能よりも小さなサイズのピットをレーザ照射による熱を利用して再生する超解像技術における情報記録媒体および光記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報記録媒体として、光ディスクが広く普及している。光ディスクにおける、信号の記録及び記録された信号の再生は、レーザ光を対物レンズで集光し、光ディスクの情報記録層に照射することで行う。このとき、集光スポットのサイズはレーザ光の波長λと対物レンズのレンズ開口数NAを用いたλ/NAで表され、このスポットサイズを用いて同じ長さのデータピットとスペースの繰り返しパターンを再生した場合、有限の再生信号振幅が得られるデータピットのサイズはλ/4NA以上とされる。ここで、このλ/4NAよりも小さいサイズは光学分解能よりも小さいと呼ばれる。CD、DVD、HD-DVD、Blu-ray Disc (BD)に代表される従来の光ディスク技術では、用いるデータピットの最小サイズを光学分解能以上のサイズとして用いている。そのため、CDの0.65GBからBDの25GBへの記録容量の増加は、主にレーザ光の波長λを780nmから405nmへと短くし、対物レンズのレンズ開口数NAを0.5から0.85へと大きくし、集光スポットのサイズを小さくすることで実現した。
【0003】
光学分解能よりも小さなサイズのデータピットを用いた光ディスクとしては、非特許文献4記載の光ディスクがある。この光ディスクでは、最短ピットのサイズのみ光学分解能よりも小さく、それ以外は光学分解能以上のサイズである。この光ディスクの再生は従来の光ディスク技術の再生と同様に行うため、最短ピットからの信号振幅はほぼゼロである。しかし、最短ピット以外のピットは光学分解能以上であり、そこから得られる再生信号の振幅は有限であるため、これらの信号を基準として信号処理を施すことで、最短ピットの信号も復号できる。これにより、この光ディスクでは42GBの面密度を達成する。
【0004】
更なる大容量化のためには、光源波長λを短くし、レンズ開口数NAを大きくする方法が考えられる。しかし、光源波長が405nmよりも短い場合、その波長は紫外光となるため、ディスク基板や保護層が光を吸収するようになり、良好な記録再生品質を確保することが困難となることが予想される。また、レンズ開口数を大きくすると、対物レンズから射出される光は近接場光となるため、記録再生時に対物レンズと媒体間の距離を非常に近くする必要がある。この構成ではディスクの歪みや汚れの影響によって記録再生エラーが生じ易く、光ディスクの特徴である媒体可換が困難と予想される。
【0005】
これらとは異なる方法で高密度化を実現する方法の一つとして、超解像技術が提案されている。超解像技術では、光ディスクの媒体に何らかの機構を設けることで、サイズが光学分解能よりも小さなピットの再生を可能とする(超解像再生)。
【0006】
例えば非特許文献1には、相変化材料を用いた超解像技術が報告されている。通常、相変化材料はCD-RW,DVD-RAM,DVD±RW,BDなどの記録型光ディスクの記録膜として用いられ、照射するレーザの熱により結晶/融解/非晶質と状態及び光学特性が変化する材料である。非特許文献1に開示された方法では、再生専用(ROM)型基板に相変化材料の膜(相変化膜)を製膜した光ディスクを使用する。再生時、照射レーザの熱によってスポット内の一部の相変化膜が融解し、光学特性、例えば屈折率や反射率などが変化する。このような光学特性が変化した領域が記録媒体上の光スポット照射領域内に含まれていれば、当該光学特性が変化した領域が含まれていない場合に比べて、上記光スポットからの反射光の状態は変わる。光スポット照射領域内に光学特性が変化した領域を含む場合の反射光の状態は、光学特性が変化した領域を含まない場合に比べROM基板の信号を大きく反映して変化するため、光学分解能よりも小さなサイズのピットを再生することが可能となる。このように、超解像技術は再生時のレーザ照射の熱を利用して微小ピットの再生を行う技術である。ここで、超解像を実現するために用いられた、温度によって光学特性が変化する物質は超解像物質と呼ばれる。
【0007】
非特許文献2及び非特許文献3には、超解像物質として相変化材料を用いた超解像技術が報告されている。この超解像技術ではピット(又はマーク)部分のみが相変化材料で構成されるディスクを使用する。非特許文献2では、相変化膜に結晶/非晶質の選択的エッチングを行うことで非晶質のマークのみを残し、スペース部分に保護膜を製膜することでディスクを作製する。また、非特許文献3では、ROM型基板に製膜した相変化膜に対して化学研磨を行い、凹形状のピット部分のみに相変化材料を埋め込むことで光ディスクを作製する。再生時、照射レーザによってスポット内の高温領域のピットの相変化膜が融解し、光学特性が変化するため、超解像再生が実現される。この方法では、相変化材料がピット部分のみに存在するため、相変化膜が全面にある場合に比べて融解領域を小さく制限することができる。これにより、この方法を用いて非常に小さいピットを再生できる可能性がある。
【0008】
これらの非特許文献に開示された技術とは異なる光ディスクの高密度化技術として、多層化、近接場光、二光子吸収等を用いた技術が提案されている。多層化技術では、1枚のディスク内にある程度距離を離した情報記録層を複数設けることで、体積方向に大容量化する。各層の記録及び再生は、それぞれの層に照射レーザの焦点を合わせることで行う。多層化技術は、非特許文献2にも述べられるように、超解像技術と組み合わせることが可能であると予想される。
【0009】
【非特許文献1】Japanese Journal of Applied Physics 32, 5210
【非特許文献2】Japanese Journal of Applied Physics 45, 2593
【非特許文献3】Japanese Journal of Applied Physics 46, 3917
【非特許文献4】Optical Data Storage 2007, TuB2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
光ディスクに記録されたユーザ情報を記録又は再生する場合、通常、光ディスク装置は、上記ユーザ情報が記録されている領域のアドレス情報や推奨記録パワーあるいは推奨再生パワーを含む管理情報を再生し、取得した管理情報に基づいて記録動作又は再生動作の調整を行う。
【0011】
超解像技術を適用した光ディスクを実用化する場合、光ディスクの構成としては、情報記録層の全ての層の全情報領域が超解像領域である構成、一部の層の全領域が超解像領域である構成など、種々の構成が考えられるが、基本的には、何らかの管理情報を元に光ディスク装置の動作制御を行うことになるものと考えられる。しかしながら、管理情報が超解像領域に記録されている場合、従来の光ディスク技術の再生方法では管理情報を再生できない。超解像技術より情報を記録した領域は、記録密度を高める必要から従来の光ディスク技術(例えば、BDやDVDなど)よりもトラック間隔は狭く設定されると予想される。トラック間隔が光学分解能よりも小さい場合、従来技術ではトラッキングサーボをかけることができないため、従って管理情報を再生できない。管理情報の記録されている超解像領域のトラック間隔が従来光ディスク技術の再生でトラッキングサーボのかかる程度に広かったとしても、従来技術における再生パワーと超解像再生に必要な再生パワーはかなり異なり、しかも再生信号出力の再生パワー依存性が非常に大きいため、再生パワーを調整しないことには再生は困難である。
【0012】
超解像再生において再生信号出力の再生パワー依存性が非常に大きく、再生パワーの調整が必須であることを示すため、図1(A)、図1(B)に、超解像記録された信号パターンの再生信号振幅と、トラッキングエラー信号であるプッシュプル信号振幅の再生パワーPrの関係を測定した結果をそれぞれ示す。超解像技術では、所定サイズの光スポットを記録媒体に照射して照射領域内に温度分布をつくり、スポット内の超解像物質の光学特性が常温の場合と同じ領域(低温領域)と、超解像物質の光学特性が常温に対して変化した領域(高温領域)の反射率及び位相の差異を利用して、光学分解能よりも小さなサイズのピットを再生する。従って、スポット内の高温領域のサイズによって再生信号の品質が変化する。
【0013】
図1(A)、図1(B)は、光源波長λ=405nm、対物レンズの開口数NA=0.85である光ピックアップを用いて、光学分解能よりも小さい50nmのピットとスペースの繰り返しパターン(ピュアトーンパターン)を超解像再生した結果である。ピュアトーンパターン間のトラック間隔を200nmに設定してある。図1(A)の実験結果によれば、再生パワーPrが0.625mWから0.75mWの間で再生信号振幅が立ち上がりはじめ、従って、おおよそ再生パワーPr≧0.75mWで超解像効果が現れ、再生パワーPr=1.25mWで最大値となる。また、再生パワーPrが1.25mWから増加又は減少すると、再生信号振幅は減少する。同様に、図1(B)の実験結果によれば、プッシュプル信号振幅は、再生パワーPr≧0.75mWで超解像効果が現れ、再生パワーPr=1.25mWで最大値となる。図1(A)の再生信号振幅と同様に、再生パワーPrが1.25mWから増加又は減少すると、プッシュプル信号振幅は減少しており、スポット内の高温領域のサイズ変動の影響を大きく受けることが分かる。
【0014】
以上から、超解像再生では最適な再生パワー、つまり最適なスポット内の高温領域のサイズが存在し、この最適サイズよりも高温領域のサイズが小さい又は大きい場合、再生信号振幅・トラッキングエラー信号はいずれも小さくなる。従って、超解像技術における再生パワーは再生信号品質及びトラッキングエラー信号品質に大きく影響し、再生パワーの制御は必須となる。
【0015】
光ディスク装置の再生光学系を、最初から超解像再生に最適化すれば、管理情報を超解像領域に記録しても再生は可能かも知れないが、超解像再生に必要な再生パワーは、常解像再生に必要な再生パワーよりもかなり大きいため、超解像再生に最適化された再生パワーでディスク全面を読みに行くと、常解像領域に記録された情報を破壊してしまう可能性がある。また、超解像再生の再生パワーは再生する媒体の特性によって異なると予想され、各媒体に適した再生パワーの制御は必須である。更に、光ディスク装置の再生光学系を超解像再生に最適化することは、従来技術の光ディスクが読めない、つまり下位互換が無いことを意味し、装置設計上、現実的ではない。
【0016】
本発明は、超解像技術を用いた情報記録媒体、及び光記録再生装置であって、装置の下位互換を確保しつつ、情報の最適記録パワー及び/または最適再生パワーの利用、及びその調整を行うことが可能な情報記録媒体、及び光記録再生装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した本発明の課題は、ユーザ情報が超解像領域に記録された光ディスクであっても、管理情報については常解像領域に記録することにより解決できる。記録層が多層である場合には、少なくともそのうち1層は、管理情報が常解像領域に形成されるように光ディスクを構成する。
【0018】
管理情報が常解像領域に形成されるため、ディスクを最初に読みに行く際の再生パワーは常解像方式を基準として設定しておけば良く、過大な再生パワー照射によるディスク破壊の危険性がない。従って、下位互換を保持しつつ、管理情報を確実に再生可能な光ディスクあるいは光ディスク装置を実現することが可能となる。
【0019】
管理情報としては、超解像方式で記録された情報の光ディスク上での位置情報(アドレス情報、領域情報など)を常解像領域に記録するが、必要に応じて、超解像領域を再生するための再生パワーの推奨値などを記録しても良い。あるいは、光ディスク装置側に、超解像領域に対する「試し読み」の機能を実装しても良い。これにより、再生パワーをより高精度に設定可能な光ディスク装置を実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、超解像領域を有する光ディスクを光ディスク装置で記録又は再生する場合に、装置の下位互換を確保しつつ、適切な記録又は再生の調整が可能な光ディスクまたは光ディスク装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
上述した本発明の実施形態を説明するに前に、その基本構成を説明する。なお、以下の実施例の説明において、光学分解能よりも小さい第1のサイズのピット又はマークにより情報が記録される領域を超解像領域と称し、光学分解能以上の第2のサイズのピット又はマークにより情報が記録される領域を常解像領域と呼ぶ場合がある。超解像領域の再生時に照射されるレーザのパワーを第1のパワーとした場合、常解像領域の再生時に照射されるレーザのパワーは、第1のパワーよりも小さな第2のパワーであり、かつ当該第2のパワーで超解像領域を照射しても、第1のサイズのピット又はマークからの再生信号の振幅は略ゼロである。超解像領域に形成される第1のサイズのピット又はマークは、通常は、超解像物質を用いて構成される。ここで、常解像方式とは媒体の常解像領域,及びかかる領域を最適に再生する方法を指し、超解像方式とは媒体の超解像領域,及びかかる領域を最適に再生する方法を示している。
【0022】
以下の実施例においては、超解像領域を含み、かつ管理情報の信号が常解像領域に記録された光ディスクを作製する。光ディスクに記録されたユーザ情報を再生ないし記録するに先立ち、光ディスク装置は上記の管理情報を再生し、再生動作ないし記録動作の調整を行う上で必要な情報を取得する。そして、管理情報に基づいて再生動作ないし記録動作の調整を行う。
【0023】
再生の場合、光ディスク装置は取得した管理情報に基づいてレーザ照射位置を再生する情報領域へ移動し、かかる領域を再生するための調整を行う。再生する情報領域が従来光ディスク技術で再生可能な場合、従来と同様な再生調整、例えば、レンズチルトや球面収差等の調整を行う。再生する領域が超解像領域の場合、上述の従来と同様な再生調整に加え、取得した管理情報に基づいて再生パワーの調整も行う。以上の調整により、光ディスク装置は再生するユーザ情報の記録された情報領域を再生することができ、ユーザ情報を取得できる。
【0024】
記録の場合、光ディスク装置は取得した管理情報に基づいて記録調整を行うための情報領域へレーザ照射位置を移動し、ユーザ情報を記録するための調整を行う。かかる領域において、光ディスク装置は取得した推奨記録パワーで試し書きを行い、試し書きの再生信号品質に基づいて、再生の場合と同様な再生調整を行う。次に、推奨記録パワーに基づいて決定した複数種類の記録パワーを用いて試し書きを行い、調整した再生条件で再生し、試し書きの再生信号品質に基づいて記録パワーの調整を行う。以上の調整により、光ディスク装置はユーザ情報を記録する情報領域において、ユーザ情報を適切に記録できる。
【0025】
続いて本発明の実施の形態として、図面を参照しながら説明する。なお、以下の各実施例は、本発明を実施する形態は実施例の一例であって、本発明が以下の実施例に限られるものではないことは言うまでもない。例えば、以下の説明では、従来の光ディスク技術としてBDを例にして説明を行うが、BD以外にも、各種DVDあるいはCDフォーマットなどを含めても何ら差し支えない。
【実施例1】
【0026】
本実施例では、光ディスクの管理情報が常解像領域に記録され、ユーザ情報が超解像領域に記録された光ディスク、つまり、同一記録層に常解像領域と超解像領域とが混在している再生専用光ディスク(ROM)を用いた構成例について示す。
【0027】
図2(A)は、本実施例の光ディスク(媒体)の記録層の上面図を示す。また、図2(B)には、図2(A)に対応する光ディスクの記録層の仕様を示す。図2(A)(B)に示した光ディスクは、情報記録層が単層の直径12cmのROM型媒体であり、情報記録層の半径20mm〜56mmが情報領域である。
【0028】
図2(A)に示した光ディスクの記録層には、内周側から順に、ディスクID等が記録されるバーストカッティンエリア(Burst Cutting Area:BCA)と、管理情報が記録されるコントロールデータエリア(Control Data Area:CDA)、その外周側に超解像領域が隣接していることを示す境界情報が記録されるバッファエリア(Buffer Area:BA)、コンテンツやアプリケーションなどの各種ユーザデータがアドレス情報と対応して記録されるユーザデータエリア(User Data Area:UDA)の4領域が形成されている。各領域に記録される情報は、全てエンボスピットを用いて構成されており、ユーザデータエリアのみが超解像方式で、その他の領域は全て従来技術であるBD(Blu-ray Disc)の規格に従って情報が記録されている。従って、常解像領域に記録された記録ピットのトラック幅は75nm、トラックピッチは320nmである。超解像領域には、トラック幅25nm、トラックピッチ240nmとなるように記録ピットを記録してあり、BD方式の光学系で現状使用されているレーザに対しては、これらの記録ピットのサイズは光学分解能以下となる。
【0029】
図2(A)(B)に示した光ディスクでは境界情報がエンボスで記録されているが、この情報はLang/Groove構造のWobbling信号で記録しておくことも可能である。また、図2(A)(B)に示した光ディスクではBAのトラック方向の幅を数トラックと非常に狭い領域にしたが、数トラックより広くても問題はない。
本実施例では、コントロールデータエリアに記録する管理情報として、超解像領域の範囲を示す位置情報のみが記録される場合を想定している。従って、再生する光ディスクに適合した再生パワーを設定する機能が光ディスク装置側に必要となる。以下、本実施例の光ディスク装置を再生可能な光ディスク装置の構成例にについて説明する。
【0030】
図3には、本実施例の光ディスク装置の構成例を示す。本実施例の光ディスク装置は、図2(A)(B)に示した光ディスク301を保持し回転駆動させるためのディスク回転部を構成するスピンドルモータ302、光ディスク301に対して情報を読み書きするための光ピックアップ部303、光ディスク装置全体を統括制御する制御部などにより構成される。図3の場合は、制御部はデジタルシグナルプロセッサー(DSP)305およびマイコン306からなる。光ディスク301はディスク回転部であるスピンドルモータ302によりCLV(Constant linear velocity)制御、あるいはCAV(Constant angle velocity)制御される。光ピックアップ部303は光ディスク301に対向して設けられ、図示されないレーザダイオード(LD)から射出したレーザ光304を同じく図示を省略した対物レンズを介して情報記録層に照射し、光ディスクへの記録再生を行う。図3に示した光ピックアップ部303に備えられたLDは波長405nm、光ピックアップ部303の光学系に備えられた対物レンズのNAは0.85であるため、光ピックアップ部の構成は、従来光ディスク技術であるBD用の光ピックアップ部とほぼ同等な構成である。図示はしていないが、光ピックアップ部303には球面収差補正,フォーカスサーボ,トラッキングサーボ用のアクチュエータが設けられており、これらアクチュエータはDSP305からの制御信号に基づいて駆動する。
【0031】
DSP305は、通常LSIで構成され、LDドライバ(LDD),記録データのエンコーダ,再生信号のデコーダ,光ピックアップ部303のサーボ制御,スピンドルモータ302の回転制御,情報記憶等の機能を有す。そのため、DSP305を制御部と呼ぶ場合がある。また、マイコン306はDSP305から取得した再生信号,サーボ信号等の信号の評価及び処理を行う中央処理部(Central Processing Unit: CPU)308と記憶部(メモリユニット)307を有し、評価に基づいて生成する再生パワー,記録パワー,サーボアクチュエータ等に関する信号をDSP305にフィードバックする。メモリユニットに格納されるソフトウェアの詳細については後述する。なお、図3では、制御部をDSP305とマイコン306とに分けて構成したが、両者を1チップ化して同一のLSIで構成しても構わない。
【0032】
さて、光ディスク301の信号の再生は、光ピックアップ部303内のLDから再生パワーのレーザ光304を射出することで行う。再生時、光ピックアップ部303から出力された再生信号はDSP305に供給され、DSP305内の再生信号処理部及びデコーダによってデコードされ、再生データとして出力される。このとき、DSP305は、光ピックアップ部303から供給される信号に基づいてフォーカスエラー及びトラッキングエラー信号を生成し、光ピックアップ部303内のフォーカス及びトラッキングサーボ用のアクチュエータに供給することで、フォーカスサーボ及びトラッキングサーボを制御する。また、レンズチルトアクチュエータや球面収差補正アクチュエータを含む再生光学系も光ピックアップ部303からの信号に基づいてDSP305によって制御される。このとき、光ピックアップ部303から供給される光ディスクの偏芯に関する信号,回転に関する信号,再生信号等に基づきマイコン306が生成する信号、及び光ディスク301に記録されている管理情報も用いて、DSP305は再生パワーの値やサーボ信号を制御する。
【0033】
光ディスク301に信号を記録する場合、記録データはDSP305内のエンコーダによってエンコードされた記録信号となり、記録信号に基づいてLDD駆動信号を生成し、光ピックアップ部303内のLDに供給して信号を記録する。このとき、記録パワーの値は光ディスク301に記録されている管理情報、及び試し書きの再生信号をマイコン306で評価した結果等を用いて決定される。ここで試し書きとは、信号を記録するに先立ち、光ディスク301の試し書き領域であるドライブテストゾーン(Drive Test Zone:DTZ)において複数種類の記録パワーを用いて記録を行い、かかる記録の再生信号品質に基づいて最適記録パワーを決定する操作である。
【0034】
光ディスク301の記録再生に先立ち、ディスクの膜をレーザ照射によって初期状態に変化させる必要がある場合には、LDから初期化パワーのレーザ光304を射出することで初期化を行う。また、光ディスク301が書き換え可能な媒体である場合は、光ディスク301の既に信号が記録された領域を未記録状態に戻す消去パワーのレーザ光304をLDから射出することで信号を消去する。
【0035】
次に、図3に示した光ディスク装置の再生動作および記録動作について、図4に示すフローチャートを用いて説明する。図4のフローチャートは、図3に示す光ディスク装置における記録調整及び再生調整の手順の一例であり、主要な項目のみを記載している。
【0036】
図4において、作製した光ディスクを光ディスク装置にセットし(S401)、4.92m/sの線速度でCLV回転させた。制御部の制御により、レーザ照射位置を記録層のBCAに移動した後、常解像方式の再生パワーとして典型的な再生パワー0.3mWでレーザを照射し、フォーカスサーボをONにしたところ、トラッキングエラー信号であるプッシュプル信号が適切な振幅で得られた。これは、BCA及びCDAがBD準拠の情報領域であり、320nmとトラックピッチが本実施例の光ピックアップの光学分解能以上のサイズであることによる。そこで、プッシュプル方式でトラッキングサーボをONにした(S402)。
【0037】
次に、制御部は、光ピックアップ部303による再生位置を記録層のCDAに移動し、CDAに記録してある信号を再生することで、光ディスクの管理情報を取得した(S403)。次に、再生動作の対象であるユーザデータ領域が超解像領域か常解像領域かの判定を行った(S404)。取得した管理情報から、ユーザデータ領域は超解像領域に記録されており、また、ユーザデータのアドレスから、ユーザデータは半径にして約24mmから56mmの領域に記録されていることが分かった。従って、以降は、ステップ404に続く制御フローが実行された。
【0038】
制御部の制御の下、トラッキングサーボをOFFにし(S406)、目的アドレスのUDAに光ピックアップ部を移動したところ(S407)、プッシュプル信号の振幅が非常に小さくなった。これは、超解像領域のトラックピッチが240nmと狭く、本光ディスク装置の光学分解能よりも小さなサイズであるためである。そこで、トラッキングが可能な強度のプッシュプル信号が得られるまで、再生パワーを適当な刻み幅で徐々に増大させた(S408)。再生パワーは、DSP305によって制御され、得られたプッシュプル信号が閾値を満たしているかどうかの判定動作は、マイコン306により実行された。具体的には、メモリ307内に格納された判定プログラムをCPU308が実行することにより判定が行われた。このため、マイコン306内(例えば、メモリ307やCPU308内のレジスタなど)には、トラッキング可能かどうかを判定するための閾値情報(本実施例の場合、2V)と刻み幅の情報(本実施例の場合、0.125mW)とが格納されている。
【0039】
図5にはステップ408の実行結果を示す。再生パワーが常解像領域の再生パワーとして設定した0.3mWから増大すると共に、プッシュプル信号の振幅が増加し再生パワー1.25mWでトラッキングが可能な程度のプッシュプル信号が得られたことが分かる。
【0040】
次に、トラッキングサーボをONにし(S409)、再生パワーの最適化ステップであるS410を実行した。ステップ410は、再生パワーを変えて所定パターンを読み出してエラー率(bit error rate: bER)を計算し、エラー率が最小となる再生パワーを最適値として設定するステップであり、記録動作の制御時に行う「試し書き」に相当する概念である。この概念を、仮に「試し読み」と呼ぶことも可能である。再生パワーの制御はDSP305によって実行され、エラー率の計算はマイコン306により実行された。このような演算処理を実行するため、図3に示すように、マイコン306内のメモリ307には、再生信号品質(bER)を計算するためのソフトウェアとbERと再生パワーとを対応して記憶するためのソフトウェアとが格納され、これらのソフトウェアをCPU306が実行することにより、「最適パワー演算部309」および「再生信号品質・再生パワー記憶部310」の各機能ブロックがマイコン306内に形成される。便宜上、図2では、これらの機能ブロックがメモリ307内に形成されるように図示してある。
【0041】
以上の演算処理を実行するため、マイコン306は、再生パワーを変えるときの刻み幅(本実施例の場合、0.125mW)の情報と、試し読みに使用する再生パワーの上限値(本実施例の場合、1.6mW)を決める情報とが格納されている。本実施例の再生パワーの上限は、再生信号のbERが最小となった再生パワーから更に6段階分再生パワーを増加させ、bERの最小となる再生パワーが変化しない場合再生パワー調整を終了するようにした。ここで、再生パワーの上限値は、数値ではなくステップ408の実行により定まる再生パワーの最低値(=超解像再生においてトラッキングが可能となる程度のプッシュプル信号が取得できる再生パワー)を基準として、それに適当な量を上乗せした値を上限としても良い。例えば、本実施例の場合において再生パワーの上限値を決めるための上乗せ量は、1.6mW−1.25mW=0.35mWであり、この0.35mWという情報を、メモリ307やCPU308内のレジスタなどに格納しておく。上乗せ量の最適値は光ディスクの特性や仕様に応じて変わる可能性があるため、あるいは上乗せ量の情報は、光ディスクの管理領域に記録しておいても良い。
【0042】
図6には、ステップ410の実行の結果得られる、再生信号のエラー率(bER)と再生パワーPrの関係の測定結果を示す。この測定結果から、超解像領域に対する再生パワーの最適値は、つまり、エラー率が最も小さくなる再生パワーの値は1.45mWであることが判明した。マイコン306は、測定結果である再生パワーの最適値情報1.45mWを DSP05に伝送し、DSP305は伝送された情報に基づき再生パワーを変更した(S411)。
【0043】
以上で再生動作開始時の調整を終了し、UDAの再生を開始した(S412)。その結果、記録層のUDA全面に亘ってbER<8×10-6と良好な再生信号品質が得られた。また、以上の説明において、図4のフローチャート上、必要に応じてレンズチルト調整や球面収差補正等の再生調整を行ったが、これらの調整については従来光ディスク技術における調整方法と同様であるため図示・説明は省略した。
【0044】
以上の説明においては、記録層が一層のみの単層記録媒体を前提にして説明を行ったが、記録層が複数積層された多層記録媒体においても再生時の制御動作は基本的に同一である。多層記録媒体の場合は、時により記録層間のジャンプが発生するが、層間ジャンプが発生した場合には、LDの出力をステップ402で使用した0.3mWまで下げ、この再生パワーでジャンプ先の記録層の管理領域を読み出す。その後、図3のフローと同じフローが順次実行され、ジャンプ先のUDAが再生される。なお、本実施例では、超解像領域と常解像領域に記録する情報の変調規則は共に1−7符号であるとしたが、変調規則が異なっていても特に問題ないことは言うまでもない。
【0045】
以上、光ディスクの管理情報を従来光ディスク技術の再生方法を用いて再生可能な信号で記録することにより、再生の調整を適切に行え、良好な再生信号品質でユーザ情報を再生できることを確認した。
【実施例2】
【0046】
本実施例では、実施例1と構造は同一であるが、超解像領域の再生パワーの推奨値が管理領域に格納されている光ディスクを用いた構成例について示す。本実施例の光ディスクは、構造的には、図2(A)(B)に示した光ディスクと全く同一なので、説明は省略する。また、本実施例で説明する光ディスク装置は、図3に示した装置と構造的には同一であるが、「最適パワー演算部」や「再生信号品質・再生パワー記憶部」のようなソフトウェアは実装されていない。
【0047】
図7には、本実施例の光ディスク装置の再生時の動作フローを示す。ステップ701、702の動作は実施例1と同一であるため、説明は省略する。
【0048】
ステップ703にて、管理領域(CDA)に記録された制御情報を取得する。本実施例の光ディスク装置の場合は、CDAには、常解像領域(本実施例の場合はBD準拠領域)のアドレス情報と超解像領域のアドレス情報、および超解像領域に対する再生パワーの推奨値が記録されている。ステップ704の判定動作の実行後、ステップ706を経て、LDの照射領域をUDAに移動する(S707)。その後、CDAに記録された推奨再生パワー1.5mWに再生パワーを変更し(S708)、トラッキングサーボをかけ(S709)、再生動作を開始した(S710)ところ、UDA全面に亘ってほぼbER<8×10-6と良好な再生信号品質が得られた。
【0049】
本実施例の光ディスク装置の場合、試し読みを実行しないので、必ずしもエラー率が最低となる再生パワーで再生動作を実行している訳ではなく、従って、装置として最良の状態で再生動作を行っている訳ではない。しかしながら、光ディスクの品質が良好で再生パワーに対するエラー率の変動が少ないような場合であれば、本実施例の光ディスク装置も十分に再生動作可能である。例えば、実施例1の図6では、再生パワーが1.4mW〜1.5mW程度では、エラー率の変動が殆ど無く、エラー率に対する再生パワーのマージンが大きく取れるため、再生動作をディスク情報を元に制御する本実施例の光ディスク装置であっても再生可能である。このような良好なディスク品質は、例えばROMであれば実現可能である。また、本実施例の光ディスク装置は、試し読みを行わないため、常解像領域の再生から超解像領域の再生に移る際の待ち時間が少ないという利点がある。
【0050】
以上、本実施例により、複雑な記録及び再生調整のための構成を光ディスク装置に持たせることなく、適切な記録又は再生の調整が可能である。
【実施例3】
【0051】
実施例1,2では、同一記録層に常解像領域と超解像領域が混在したフォーマットの光ディスクを想定して説明を行ったが、超解像方式による記録再生を実現する光ディスクとしては、実施例1,2の他、種々の構成を取ることが可能である。本実施例では、各種のフォーマットにより超解像光ディスクを構成した例について説明する。
【0052】
(1)第1のフォーマット
図8(A)〜(C)を用いて第1のフォーマットの光ディスク構成を説明する。図8(A)は第1のフォーマットの光ディスクのデータ領域の位置関係を表した模式図である。図8(A)に示した光ディスクは、情報記録層が2層のROM型媒体であり、第1層に管理情報を含む常解像領域と、ユーザデータエリア(UDA)に対応する超解像領域とが混在し、第2層全面が超解像領域となっている形式の光ディスクである。ここで、図8(A)に示すように、情報記録層の番号は、光入射側から見て奥側を第1層、手前側を第2層と定義している。また、図中の"NR"はNormal Resolutionを、"SR"はSuper Resolutionを意味し、それぞれ、常解像領域、超解像領域を示す符号である。第2層に管理領域を設けないため、第2層は全面をUDAとして使用することが可能である。よって、実施例1,2の記録層をそのまま積層して多層媒体を構成する場合に比べて、光ディスクのフォーマット効率を高めることができる。
【0053】
図8(B)には、図8(A)に示した光ディスクの第2記録層の上面図を示す(第1記録層の上面図については、図2(A)と同一であるので図示は省略する)。また、図8(C)には、図8(A)に示した光ディスクの仕様を示す。
【0054】
本フォーマットの光ディスクは、実施例1,2のいずれの光ディスク装置にても再生可能である。ただし、再生パワーの最適値は層毎に異なるので、再生動作時に層間ジャンプが発生する毎に、図4ないし図7に示した再生パワー制御を行う必要がある。従って、CDAには、超解像領域の範囲のアドレス情報と共に、各記録層に形成されているUDAの範囲を示すアドレス情報も記録されている。光ディスク装置は、これらのアドレス情報をマイコン306内あるいはDSP305内に記憶し、UDAの再生時に光スポットの移動先が同一記録層かどうかを判断する。光スポットが記録層をまたいで移動する場合には、図4ないし図7のフローに従って再生パワー制御を実行する。従って、図7のフローに基づいて再生パワー制御を実行する場合、第1層のCDAには、管理情報として、第1層の再生パワー推奨値と、第2層の再生パワー推奨値の両方が記録されることになる。なお、図4のフローに基づいて再生パワー制御を実行し、同じ記録層を2回目以降に再生する場合には、最初に定めた再生パワーの最適値を使用すればよいため、再度の再生パワー最適値検索は必要ない。
【0055】
(2)第2のフォーマット
図9(A)、図9(B)に示した光ディスクは、図8(A)〜(C)とは対照的に、第2層全面を常解像領域とし、第1層には管理情報を含む常解像領域と、ユーザデータエリア(UDA)に対応する超解像領域とが混在させた形式の光ディスクである。第2層に常解像領域のUDAが存在し、かつ管理情報も常解像領域に形成されているため、本フォーマットの光ディスクは、従来技術の光ディスク装置であっても情報を必ず読み出せる(記録型ディスクでは書き込める)UDAが存在することになる。すなわち、本フォーマットで光ディスクを構成することにより、CDAとUDAの双方が読み出し可能という意味での下位互換を確保することが可能となる(実施例1,2の場合は、超解像再生に対応していない光ディスク装置は、その光ディスクのUDAが"読めない"ことが判定できるのみである)。
【0056】
本フォーマットの光ディスクは、UDAが常解像領域、超解像領域両方に形成されている。従って、光スポットの移動先に応じて、再生パワーを適切に変更する必要がある。以下、図10を用いて、本フォーマットの光ディスクを再生可能な光ディスク装置の動作フローについて説明する。なお、光ディスク装置のハードウェア構成は、図3に示した構成と同等であるものとする。
【0057】
本フォーマットの光ディスクが光ディスク装置にセットされる(S1001)と、常解像方式の再生制御が実行され(S1002)、管理領域を再生することにより管理情報が読み出される(S1003)。これらの動作は、実施例1の光ディスク装置と同様である。本フォーマットの光ディスクにおいては、管理情報としては、第1層のUDA範囲を示すアドレス情報、第2層のUDAの範囲を示すアドレス情報、第1層のUDAに対する再生パワーの推奨値、試し読みを実行するための再生パワーの刻み幅情報、試し読みを実行する上限値の上乗せ情報、が記録されており、読み出された各種管理情報は、マイコン306内のメモリに格納される。
【0058】
ステップ1004では、読み出された管理情報を元に、光スポットの移動先が超解像領域かどうかが判定され、移動先が超解像領域である場合には、実施例1同様、トラッキングサーボがOFFにされ(S1006)、超解像領域(本フォーマットでは第1層)のUDAに移動される。光スポット移動後、ステップ1008にてUDAの適当な領域が、CDAに記録された推奨再生パワーにて再生され(S1008)、検出されるプッシュプル信号強度がトラッキングサーボ可能な閾値に達しているかどうかの判定が行われる(S1009)。閾値に達していなければ、推奨値を開始点とし管理領域に記録された刻み幅情報を用いて、閾値に達するまで再生パワーの初期値探索を行う(S1008〜S1010)。閾値に達していれば、トラッキングサーボがONにされ(S1011)、試し読みが実行され(S1012)、再生パワーの最適値が決定される。再生パワーの最適値が決まれば、再生パワーを最適値に変更し(S1013)、光学系の調整など一般的な再生制御を行った後、再生動作が開始される(S1014)。
【0059】
光スポットの移動先が超解像領域で無かった場合には、常解像再生の再生制御が実行され(S1005)、再生動作が開始される(S1014)。
【0060】
さて、ステップ1014以降、再生動作を継続していると、シーク動作など、光スポットを大きな距離だけ移動する場合が生じる(S1015)。本実施例の光ディスク装置は、そのような移動が発生する際、光スポット移動が層間の光スポット移動を伴うかどうかを判定する機能を有している。このような機能は、光スポットの移動先のアドレスと各記録層のUDAのアドレス範囲を照合するプログラムを、CPU308が実行することにより実現される。
【0061】
そこで、S1015のようなイベントが発生した場合、本実施例の光ディスク装置は、ステップ光スポット移動が層間移動を伴うかどうか判断する(S1016)。層間移動が無い場合には、同一記録層内で光スポットを移動し、同じ再生条件で再生動作を継続する(S1018)。層間移動が発生する場合には、移動先の記録方式が超解像か常解像かを判定する(S1017)。光スポット移動先の記録方式が常解像であれば、光学系の調整など一般的な再生制御を行った後、トラッキングサーボをOFFにして目的層に光スポットを移動後、再生動作が開始される(S1028)。光スポット移動先の記録方式が超解像であれば、ステップ1020から1027までのフローが順次実行され、再生パワーが最適値に再設定された状態で、目的記録層での再生動作が再開される(S1028)。以上のフローは、ステップ1006から1014までのフローと同様であるため、説明は繰り返さない。層間の光スポット移動が発生する場合(S1029)には、ステップ1016以降のフローが、再度繰り返される。なお、2回目以降の層間移動においては、管理領域の情報は既に、光ディスク装置のメモリ307に読み込まれているため、改めて管理領域を読みに行く必要はない。また、実施例1で説明した図4のフローとは異なり、図10(A)(B)のフローでは、再生パワーの推奨値を用いてステップ1008およびステップ1022を実行しているため、ステップ1009ないし1023の判定ステップの際に一度でyesとなる確率が高い。よって、トラッキングサーボをonにできる再生パワーを得るための試行錯誤フローであるS1010〜S1008ないしS1024〜ステップ1022のループが事実上不要になるため、その分だけ再生パワー最適値の探索時間を少なくすることができる。また、再生パワーを検索する際に、管理領域に記録された再生パワーの推奨位置を再生パワー探索開始の指標として使用することができるため、再生パワー検索中に誤った再生パワーを照射し、管理情報を破壊してしまう危険性を低減することができる。
【0062】
(3)第3のフォーマット
図11(A)〜(C)を用いて第3のフォーマットの光ディスク構成を説明する。図11(A)に示した光ディスクは、情報記録層が2層のROM型媒体であり、第1層全面を常解像領域とし、CDAやUDAを常解像方式で形成し、第2層全面を超解像領域のUDAとして構成した光ディスクである。図11(B)には、図11(A)に示した光ディスクの第1記録層の上面図を示す(第2記録層の上面図については、図8(B)と同一であるので図示は省略する)。また、図11(C)には、図11(A)に示した光ディスクの仕様を示す。本フォーマットの第1記録層は、外観上は図2(A)の記録層とほぼ同一であるが、BCA、CDAおよびUDAがいずれも常解像領域に形成されているため、超解像領域と常解像領域の境界情報を記録するバッファエリア(BA)が不要である。従って、超解像領域と常解像領域を同じ記録層に混在させた形式の光ディスクに比べて、若干、フォーマット効率を高めることができるという利点がある。
【0063】
従来技術の光ディスク装置により情報を読み出せるUDAが存在するため下位互換を確保することが可能である点は、第2フォーマットの光ディスクと同様である。なお、本フォーマットの光ディスクは、図10(A)(B)の制御フローを実行する光ディスク装置により再生することが可能である。
【0064】
(4)第4のフォーマット
図12(A)〜(C)を用いて第4のフォーマットの光ディスク構成を説明する。本フォーマットの光ディスクは、同一記録層のUDAを常解像領域と超解像領域で構成した光ディスクである。図12(A)は、記録層の構成を示す模式図であり、図12(B)は、図12(A)の上面図である。図12(C)は、各領域の仕様である。図12(A)〜(C)では単層記録層構造の光ディスクしか示していないが、多層媒体を構成することもできる。本フォーマットの光ディスクも、図10(A)(B)の制御フローを実行する光ディスク装置により再生することが可能である。ただし、本フォーマットの光ディスクは、同一記録層内に異なる記録方式のUDAが存在するため、再生パワー探索を実行するかどうかの判断基準として層間移動の有無という条件は使用できない。従って、光スポットの移動先が超解像領域か常解像領域かを判断して、その結果に基づき再生条件再設定の要不要を判断する必要がある。
【0065】
以上、本実施例の光ディスクにより、フォーマット効率に優れた超解像光ディスクを実現することが可能となる。特に、第2フォーマット〜第4フォーマットの場合、UDAとして常解像、超解像両方の方式のUDAを備えており、下位互換の確保が可能な超解像光ディスクを実現することができる。これにより、例えば、コンテンツの種類に応じて記録領域を変えるなど、多様な用途に使用できる光ディスクを実現することが可能となる。
【実施例4】
【0066】
本実施例では、実施例3における第1のフォーマットの光ディスクを用いて記録型(R型)光ディスクおよび光ディスク装置を構成した例について説明する。
【0067】
図13(A)に本実施例の記録媒体における記録層の構成を示す模式図を示す。本構成は図8(A)に示した構成と同様であるため、説明は繰り返さない。図13(B)には、記録層の上面図を第1層と第2層の各々について示す。また、図13(C)には、図13(B)に示した光ディスクの仕様を示す。第1層の常解像領域にBCA、CDA、BAの各領域が形成され、第1層および第2層の超解像領域にUDAが形成される点、および第2層にBCA、CDA、BAが設けられていない点は実施例3の第1のフォーマットの光ディスクと同様である。また、BCA、CDA、BAの各領域の機能・目的は実施例1と同一であるため、説明は省略する。
【0068】
本実施例の光ディスクは、R型媒体であるため、第1層および第2層の超解像領域にドライブテストゾーン(DTZ)が設けられている。DTZは記録における試し書きを行う領域である(試し書きについては後述する)。第1層のCDAとDTZの境界には数トラックのBAが設けてあり、BAの境界情報はLand/Groove構造のWobbling信号で記録されている。
【0069】
図14には、本実施例の光ディスクに対して所定の光ディスク装置により記録動作を行った際の動作フローを示す。なお、以降の説明は、図3と同様の光ディスク装置を用いて記録を行う想定の下で行う。
【0070】
最初に、本実施例の光ディスクを光ディスク装置にセットする(S401)。このステップからS403までは、図4のフローと同じであるため説明は省略する。
【0071】
S404で、記録または再生動作の対象であるユーザデータ領域が超解像領域か常解像領域かの判定動作が実行される。S403で取得した管理情報から、ユーザデータ領域は超解像領域に記録されており、また管理情報に含まれるUDAのアドレス情報から、ユーザデータは、第1層では半径にして約24mmから56mmの領域に、第2層では、半径にして約21mmから56mmの領域に記録されていることが分かった。従って、以降は、ステップ404のyes側に続く制御フローが実行された。
【0072】
ステップ404以降の動作では、再生動作・記録動作に応じてフローが分岐する。再生時のフローについては図4と同様であるので、以下では、記録動作の場合について説明を行う。記録動作の場合、マイコン306のメモリ307内には、S404の段階で、記録されるユーザデータと記録先のアドレス情報が格納されている。すなわち、マイコン306は、記録を行うユーザデータの記録先アドレスが分かっている。そこで、トラッキングサーボをOFFにし(S406)、記録先アドレスが存在する記録層のDTZに光スポットが移動される(S408)。本実施例では、光スポットの移動先は第1層であり、この移動動作は、制御部により制御される。S409にて再生パワーの探索動作が実行される。試し読み開始する際の再生パワー初期値としては、S403で読み出された値が参照される。本フローのS409の動作は、図4のS408の動作とほぼ同様であるので説明は省略する。S410でトラッキングサーボがONにされた後、S403で読み出された値を初期値として試し書き動作が実行される(S412)。本実施例では、取得した第1層の推奨記録パワー7mWであり、この推奨パワーを初期値として試し書きが実行される(S412)。試し書きの際には、推奨記録パワーを中心として複数の記録パワー(Pw=6.0,6.5,7.0,7.5,8.0mW)が設定され、これらの記録パワーを用いて、所定の試し書きパターンがDTZに記録される。試し書きパターンの記録が終了すると、各試し書きパターンが再生され、各試し書きの再生信号のエラー率が測定される。この際、再生パワーを所定の刻み幅で変えて再生を行い、再生信号のエラー率を測定することにより、試し読みも実行される(S414)。
【0073】
以上の制御により、再生信号のエラー率が最小となる最適記録パワーPwと最適再生パワーPrとが、Pw=7.5mW、Pr=1.4mWと決定された。再生パワーPrに対する再生信号のエラー率(bER)の測定結果を図15に、記録パワーPwに対する再生信号のエラー率(bER)の測定結果を図16にそれぞれ示す。決定された最適記録パワーPwと最適再生パワーPr とは、DSP305を介して光ピックアップ部303に転送され、LDの記録パワーと再生パワーとが、上記の最適値に設定された(S416)。その後、光スポットがUDAに移動され、記録動作が開始された(S417)。
【0074】
S408で光スポットの移動先が第2層だった場合の例を以下に述べる。管理情報の取得後(S403)、トラッキングサーボをOFFにし(S406)、第2層のDTZに移動した(S408)。再生パワーを取得した第2層の推奨再生パワー2.4mWに変更たところ、トラッキングエラー信号の振幅が閾値以上となったので(S409)、この再生パワーでトラッキングサーボをONにした(S410)。ステップ412で、取得した第2層の推奨記録パワー11mWを用いて試し書きパターンを記録した(S412)。試し書きパターン記録時の記録パワーとしては、推奨記録パワーを中心として複数の記録パワー(Pw=10,10.5,11,11.5,12mW)を設定した。その後、試し書きパターンを再生することにより、再生信号のエラー率の再生パワー依存性と記録パワー依存性とを測定し、最適記録パワーPwと最適再生パワーPrとを決定した。その結果、第2層に対する最適再生パワーPrと最適記録パワーPwは、各々Pr=2.4mW、Pw=11mWであった。
【0075】
以上で記録開始前のセットアップを完了し、最適記録パワーを用いて第1層、第2層のUDA全領域に記録動作を行った。記録した信号を再生した結果、第1層においては、再生信号のエラー率は全面に亘って4×10-6以下、第2層においては、再生信号のエラー率が2×10-6以下と非常に良好な再生信号品質が得られた。
【0076】
なお、図14においては、試し書きと試し読みの際の再生動作を同じステップ(S414)で行うとして説明したが、試し読みと試し書きとを違うステップで実行しても構わない。その際には、初めに試し書きを行い、記録した信号を試し読みする動作を繰り返し、最適記録パワー及び再生パワーを決定する。
【実施例5】
【0077】
本実施例では、研磨工程を経て製造される光ディスクの記録再生について説明する。図17(A)に、本実施例の光ディスクにおける記録層の構成を示す模式図を示す。図17(A)に示す光ディスクは、単層のROM型光ディスクであって、ユーザ情報が超解像領域(SR)に記録されており、管理情報が常解像領域(NR)に記録されている。図17(B)には、図17(A)に示した光ディスクの仕様を示す。光ディスクの外周から、UDA、BA、CDA、BCAの領域が形成されている。本実施例の光ディスクは非特許文献3記載の研磨プロセスにより表面が平坦化されているが、研磨処理は超解像領域に対してのみ行い、常解像領域は未研磨状態とした。すなわち、UDAのみが研磨されているため、CDAとUDAの間には研磨部と未研磨部が混在する領域が存在する。本実施例の光ディスクは、従って、この光ディスクには研磨領域と未研磨領域の境界領域が存在し、本実施例では、この境界領域を情報が記録されていないバッファエリア(BA)に充てている。CDAに記録される管理情報には、各情報領域の種類及び超解像領域における推奨再生パワーが含まれる。
【0078】
本実施例の光ディスクで、研磨プロセスを超解像領域(本実施例ではUDA)しか研磨を行わなかった理由は、研磨部ではピットとスペースの光学特性が等しくなり、ピットのサイズが光学分解能以上でも従来光ディスク技術の再生方法では再生できなくなってしまうからである。このことを図18を用いて詳述する。
【0079】
図18には、BD準拠領域に研磨を行って作製した光ディスクと、研磨を行わなかった光ディスクの光学特性を示す対比図を示す(超解像領域は研磨を行っている)。作製した光ディスクのBD準拠領域をBD方式と同様な再生パワーで再生した場合、研磨を行った光ディスクに対しては、図18の「研磨有り」カラムの常解像領域における光学特性に示されるように、ピット部分及びスペース部分の反射率が等しく且つ位相差がゼロであるため、反射光量は常に一定、つまり再生信号振幅がゼロとなり、再生は不可能となる。ここで、表中における位相差とは、マーク,スペースそれぞれから光ピックアップの光検出器までの光路長の差に、2π/λ(光源波長)を掛けた値であり、0〜2πで表記している。よって、研磨を行った光ディスクではBD準拠領域をBD方式で再生できず、管理情報がBD準拠領域に記録されてあっても、その情報を取得できない。一方、BD準拠領域で研磨を行わなかった場合、図18の「研磨無し」カラムに示されるように、ピット部とスペース部では反射率は等しいが位相差が異なるため再生信号振幅はゼロとはならない。
【0080】
更にまた、超解像領域を研磨することにより次の利点も得られる。図18の「研磨有り」カラムの超解像領域における光学特性を見ると、スポット内の低温領域では、ピット部とスペース部で光学特性が全く同じであるが、高温領域ではピット部とスペース部で異なった光学特性が得られる。仮に低温領域でピット部とスペース部で異なった光学特性が得られるとすると、低温領域の反射光量がピットのパターンに依存して変動することになるため、再生信号に余計なノイズが重畳することになり、従って再生信号の品質が劣化する。本実施例光ディスクのように超解像領域を研磨することにより、超解像再生時の再生信号に低温領域からのノイズ成分が重畳しなくなるため、再生信号処理が簡素化される。
【0081】
本実施例の光ディスクは、図4あるいは図14に示したフローにより記録再生を行うことが可能であるが、いずれも既に説明済みであるため説明は繰り返さない。ただし本実施例では、図4あるいは図14のステップ406でトラッキングサーボをOFFにしてからUDAに移動する際(S407)、フォーカスサーボをかけた状態でBAを通過してもフォーカスエラー信号が乱れず、フォーカスが外れることはなかった。なお、本実施例では、管理領域に記録される推奨再生パワーは1.6mW、再生信号のエラー率が最小となる最適再生パワーは1.8mWであった。得られた最適再生パワーを用いて再生制御を行うことにより、UDA全領域に亘ってbER<1×10-6と良好な再生信号品質が得られた。
【0082】
以上、常解像領域を研磨せずに超解像領域を研磨することにより、常解像領域に対しては従来の常解像再生でも再生可能とし、超解像領域に対しては、光スポット内の低温領域についてはピット(あるいはマーク)とスペースとで光学特性が等しく、高温領域ではピット(あるいはマーク)とスペースとの光学特性が異なる光ディスクが製造可能となる。これにより、実施例1〜4で説明した光ディスクよりも再生信号品質が良好な光ディスクを実現することができる。
【実施例6】
【0083】
本実施例では、光ディスクの偏芯情報に基づく再生パワーの制御機能を備えた光ディスク装置の構成例について説明する。簡単のため、光ディスクの構成としては、実施例1の構成の光ディスクを使用するものとして説明を行う。ここで、超解像再生と光ディスクの偏芯の関係について説明する。超解像領域再生においては、光ディスクの偏芯が大きい場合、再生信号品質が光ディスク一周内で変動する。これは、偏芯によって光ピックアップのレンズシフト量が変化し、超解像膜の膜面における実効照射パワーが変化し、結果として超解像再生時のスポット内の高温領域のサイズが変動するためである。「レンズシフト量」とは、光ディスクの偏芯中心とトラック中心のズレ量であり、光スポットの中心とトラック中心がズレた場合に、光スポット中心をトラック中心に移動させるための対物レンズの移動量から算出可能な量である。この再生信号品質の変動は、上記超解像領域の再生時の調整に、光ディスクの偏芯情報に基づいて再生パワーを変動させる再生パワーコントロールを加えることで解決される。即ち、光ピックアップの光学系に含まれる光源からの光出射強度を、種々の偏芯情報、例えば「レンズシフト量」を考慮して調整することにより、光ディスク一周内でスポット内の高温領域のサイズを一定に保持することが可能となり、再生信号品質の変動が抑制される。
【0084】
図19に、再生パワーの制御機能を備えた光ディスク装置の内部構成の一例を示す。図19に示す光ディスク装置1900は、光ディスク1901を保持し、回転駆動させるスピンドルモータ1902、光ディスク1901に対して情報を読み書きするための光ピックアップ部1903、光ディスク装置全体を統括制御する制御部などにより構成される。図19の場合は、制御部はデジタルシグナルプロセッサー(DSP)1905およびマイコン1906からなる。図示されていないが、光ピックアップ部1903は、光ディスク1901に照射する光の光源となるレーザダイオード(LD)や、光源で発生した光を光ディスクに照射し、あるいは光ディスクからの反射光を検出するための光学系を備える。同様に、図示されてはいないが、光ピックアップ部1903には、球面収差補正,フォーカスサーボ,トラッキングサーボ用のアクチュエータが設けられており、これらアクチュエータはDSP1905からの制御信号に基づいて駆動される。
【0085】
DSP1905は、LDドライバ(LDD),記録データのエンコーダ,再生信号のデコーダ,光ピックアップ部1903のサーボ制御,スピンドルモータ1902の回転制御,情報記憶等の機能を有する。1906はDSP1905から取得した再生信号,サーボ信号等の信号の評価及び処理を行う中央処理部(CPU)1908と記憶部(メモリ)1907を有し、再生パワーや記録パワーの最適値,あるいはサーボアクチュエータ等に関する信号などをDSP1905にフィードバックする。メモリユニットに格納されるソフトウェアの詳細については後述する。なお、図19では、制御部をDSP1905とマイコン1906とに分けて構成したが、両者を1チップ化して同一のLSIで構成しても構わない。
【0086】
マイコン1906内には、メモリ1907に格納されたプログラムをCPU1908が実行することにより、図19に示すような機能ブロックが実現される。便宜上、図19では、この機能ブロックがメモリ1907内に展開されるように記載しているが、実際には、CPUとメモリの共同動作により実現される。本実施例の場合、マイコン1906内には、偏芯量を計算する偏芯量算出部1909、算出された偏芯量を格納する偏芯量記憶部1910、再生信号の情報を用いてbER等の信号品質に関する情報を算出する信号品質算出部1911、信号品質情報や偏芯情報を用いて再生パワーを計算する最適パワー演算部1912、最適パワー演算部での計算結果を格納する再生信号品質・再生パワー記憶部1913、計算された最適パワー演算部をDSP用の制御信号に変換する制御信号生成部1914などが形成される。
【0087】
次に、図19に示す光ディスク装置のパワー制御の詳細について、図20を用いて説明する。図20は、再生時のパワー制御を示すフロー図である。光ディスクを装置にセットし(S2001)、レーザ照射位置をBCAに移動し、再生パワー0.3mWでレーザを照射する。フォーカスサーボをONにした後、プッシュプル方式でトラッキングサーボをONにする(S2002)。再生位置をCDAに移動し、CDAに記録してある信号を再生することで、光ディスク1901の各情報領域の種類及び超解像領域の推奨再生パワーを含む管理情報を取得する(S2003)。取得した管理情報から、UDAは超解像領域に形成されており、再生する情報領域は超解像領域であると判定できたので(S2004)、トラッキングサーボをOFFにする(S2006)。
【0088】
ステップ2007においては、光ディスクの偏芯量の測定が実行される。偏芯量算出部1909は、DSPから供給されたスピンドルインデックス信号をもとにディスクの回転角度情報を算出し、さらに再生信号とトラッキングエラー信号をもとにそれぞれの回転角度に対応する偏芯情報を算出する。本実施例では、偏芯情報としてトラッキングエラー信号から算出されるレンズのシフト量を用いている。偏芯情報の算出は、トラッキングエラー信号とRF信号を比較し、トラックを横切る方向が外側か内側か判別し、トラッキングエラー信号を用いて各回転角度で偏芯中心からトラック何本分外側又は内側へ移動しているかを算出し、各回転角度でのトラック本数に光ディスクのトラックピッチを乗じて算出される。算出された偏芯情報は、対応する回転角度の情報と共に偏芯量記憶部1910に転送され、記憶される。ディスク1901に回転角度を示す信号が記録されている場合には、光ディスク1901の回転角度は回転角度情報の再生信号から取得することも可能である。また、レンズシフト量はレンズアクチュエータの駆動電圧信号からも取得,算出することが可能である。さらに、ピックアップにレンズシフト量を直接測定する手段が備わっている場合には直接レンズシフト量を取得することも可能である。図21に、算出されたディスク回転角度とレンズシフト量の関係を示す。図21の縦軸はレンズシフト量、横軸は光ディスクの所定回転開始位置からの回転角を示す。図21から、光ディスクが一回転する間にレンズシフト量が大きく変動することが確認できる。
【0089】
次に、光スポットをUDAに移動し(S2008)、再生パワーをCDAから取得した推奨再生パワー1.3mWに変更する(S2009)。推奨再生パワーでトラッキングエラー振幅が閾値以上にならない場合には、閾値に達するまで再生パワー探索を行う。この制御の詳細は実施例1と同様なので説明は繰り返さない。トラッキングエラー振幅が閾値以上となる再生パワーが得られたところでトラッキングサーボをONにする(S2010)。ところが、偏芯量が大きい場合は、図21から類推できるように、光ディスクが1回転する間に再生信号の振幅が変動する。理由は、前述の通り、レンズシフト量が変動することで超解像膜に照射されるレーザの光量が変化し、高温領域のサイズが変化するためである。そこで、図21のレンズシフト量の情報に基づいて、高温領域のサイズが光ディスク回転角度によらずほぼ一定となるように光ディスクの回転角度に応じて再生パワーを制御する、再生パワーコントロールを開始する。
【0090】
まず、ステップ2011にて、再生パワーの角度制御の条件の初期値を算出した。本実施例においては、再生パワーの角度依存性を、光ディスクの回転角度をθ、回転原点からの回転角θにおける再生パワーをPr(θ)、同θにおけるレンズシフト量をd(θ)、再生パワー補正係数をΔPr、レンズシフト量の最大値をdmaxとしたとき、以下の式により表現できるものとした。
【0091】
Pr(θ)=Pr0+ΔPr×d(θ)/dmax (式1)

ここで、Pr0はベース再生パワーであり、再生パワーのうちの固定成分(角度によっては変動しない)に相当する。ΔPr×d(θ)/dmax は、再生パワーのうち角度に依存して変化する変動成分に相当し、最大値dmaxで規格化したレンズシフト量に再生パワー補正係数ΔPrを掛けることにより、Pr(θ)がレンズシフト量に応じて変化するようにしたものである。
Pr0の初期値としては、ステップ2009で決定された値を用いる。本実施例の場合はPr0=1.3mWである。ΔPrの初期値としては、本実施例では、一周内で再生信号の振幅が一定となるように0.4mWとした。ΔPrの初期値は、CDAに記録しておいてもよいが、最適パワー演算部1912により計算しても良い。最適パワー演算部1912は、偏芯量記憶部1910に格納されたレンズシフト量と回転角度の情報を元に、式1に従ってPr(θ)を計算し、回転角度θの情報と共に再生信号品質・再生パワー記憶部1913に格納する。
【0092】
図22には、UDAの所定トラック上で再生信号振幅と再生パワーとを、S2011の再生パワーコントロールを行った場合と行わなかった場合とで比較して示す。黒の点が再生パワーコントロールを行った場合に相当し、白の点が再生パワーコントロールを行わなかった場合に相当する。再生パワーコントロールを行うことで、再生信号の振幅が光スポット一周内で一定となり、レンズシフトによるスポット内の高温領域のサイズの変動を抑制できていることが、図22から分かる。
【0093】
次いで、試し読みによりPr(θ)の最適化ステップを実行する(S2012)。Pr0とΔPrは再生パワーコントロールのパラメータであり、再生信号のエラー率(bER)が最小になるように調整される必要がある。今回、調整を簡略化するために、Pr0とΔPrの比ΔPr/Pr0を初期値の比0.4/1.3=0.3で一定としてPr0及びΔPrを変化させ、各々における再生信号のbERとDSP305から供給される再生信号を用いて算出し、算出したbERを比較することでbERが最小となるPr0及びΔPrを決定した。図23には、ステップ2012で算出されるbERとベース再生パワーPr0の関係を示す。図23から、再生信号のエラー率はPr0=1.6mWで最小となることがわかり、よって最適ベース再生パワーPr0は1.6mWと決定され、ΔPr/Pr0=0.3であることから最適再生パワー補正係数ΔPrは0.48mWと決定された。その後、最適パワー演算部1912は、各θに応じたPr(θ)を計算し、再生信号品質・再生パワー記憶部1913に記憶した。
【0094】
Pr0とΔPrの最適化に際しては、厳密にはPr0とΔPrを各々を独立に変化させて調整した方がより最適なPr0及びΔPrを決定できると考えられる。しかし、本実施例のステップ2012のようにPr0とΔPrの比を一定にして調整を行っても、実用上は十分に問題のない調整を行うことができる。理由は以下の通りである。
【0095】
式1において、d(θ)/dmaxは0から1の間の値を取るから、Pr(θ)の最大値はPr0+ΔPrであり、最小値は、Pr0である。従って、Pr(θ)の取りうる最大値を最小値で割ると、Prmax/Prmin=1+ΔPr/Pr0となる。これは、物理的には、レンズシフト量d(θ)が最大となる場合には、レンズシフト量ゼロの場合に対して(1+ΔPr/Pr0)倍の再生パワーを照射することで同じサイズの超解像スポット(高温領域)が得られることを意味する。すなわち、ΔPr/Pr0の比を一定にするということは、再生パワーの変動成分の振幅を固定成分に対応させて定めることを意味する。変動成分の振幅が決まれば、偏芯による超解像スポットサイズの変動は、式1の変動成分ΔPr×d(θ)/dmaxより抑制されるため、トラック一周内での超解像スポットのサイズは一定に保たれ、その結果信号振幅も一定となる。後は、bERが最小となるようPr0を最適化すれば良い。以上の通り、ΔPr/Pr0の比を一定にして再生パワーを決定しても、信号振幅の変動に由来するbERの劣化を抑制することが可能である。なお、本実施例の方法で再生パワーを決定する場合、各回転角θに対する最適再生パワーPr(θ)が必要となるため、少なくとも1トラック一周分のデータが必要となる。
【0096】
制御信号生成部1914は、計算されたPr(θ)をDSPの制御信号に変換し、DSP1905へ供給した。これにより、DSP1905は、LDの駆動電圧を制御し、再生パワーを最適値に変更した(S2013)。以降、再生動作が開始され、光ディスクの回転角に応じた適切な再生パワー制御がなされた(S2014)。その結果、DA全領域に亘って、bER<9×10-7以下と良好な再生信号品質が得られた。
【0097】
本実施例では、再生パワーコントロールは、図20のステップ2010の実行後(トラッキングサーボをかけた後)に開始したが、トラッキングサーボを安定させるために、トラッキングサーボをかける前、すなわちステップ2009の終了直後に再生パワーコントロールを開始してもよい。このとき、ベース再生パワーPr0及び再生パワー補正係数ΔPrはトラッキングが安定するように設定し、トラッキングサーボをかけた後、上記実施例と同様に再生パワーコントロールの詳細な調整を行うことで、上記結果と同様な結果が得られる。
【0098】
また、図20のフローでは、偏芯量の測定をステップS2007で行っているがステップS2009で行った場合も同様な結果が得られた。あるいは、ステップ2011〜2012の再生パワーコントロール開始時に偏芯量の測定を行い、得られた偏芯量の情報を用いてその後の再生パワーコントロールフローを実行する方法も考えられる。この場合、偏芯量の測定はレンズアクチュエータの駆動電圧で測定した方が良い。これは、光ディスクの偏芯量に比べ、レンズをシフトさせるレンズアクチュエータの駆動電圧はレンズシフト量と直接的に関係した量であるため、より厳密なレンズシフト量の算出が期待されるためである。この方法で再生パワーコントロールを含む再生制御の初期調整を行い、光ディスク全面を測定した結果、UDA全領域に亘ってbER<5×10-7以下と良好な再生信号品質が得られた。偏芯量の測定を再生パワーコントロール実行時に行う場合、光ディスク回転中にスピンドルインデックスと光ディスクの回転角度にずれが生じても、随時ディスクの回転角度とレンズシフト量の情報が更新されるため、再生信号品質を維持することができる。
【0099】
また、以上の説明では、再生パワーコントロールを式1に基づいて行ったが、必ずしもこの式でコントロールを行う必要はない。例えば、レンズシフト量とスポット内高温領域のサイズの関係によっては、以下の式2〜式4を用いても良い。
【0100】
Pr(θ)=Pr0+ΔPr×{d(θ)/dmax}k(k=1/3,1/2,1,2など) (式2)

Pr(θ)=Pr0+ΔPr×|sin(θ+α)| (式3)

Pr(θ)=Pr0+ΔPr×sin(θ+α) (式4)

Pr(θ)=Pr0+ΔPr×sin(θ+α)k(k=1/3,1/2,1,2など) (式5)

式1では、レンズシフト量と再生パワー(物理的には高温領域のサイズ)が1次比例の関係であると仮定しているが、式2では、再生パワーの変動成分が規格化レンズシフト量のべき乗で表現されると仮定している(k=1の場合が式1に相当する)。媒体特性によっては、線形関数よりもべき乗関数の方が、再生パワーの回転角度依存性とよく一致する場合もあり、Pr(θ)の表現式は、適宜変更するとよい。
【0101】
また、本実施例の光ディスクの場合、図21に示されるように、光スポット一周でのレンズシフト量は正弦波の絶対値に近い変化をしている。よって、式3のように、再生パワーコントロールを正弦関数の絶対値で表現しても良い。また、式4のように、正弦関数のそのものを用いる方法もある。あるいは、式5のように、正弦関数のべき乗関数を用いる方法もある。αはレンズシフト量の変動と同期させるための位相補正値である。式3に基づいて再生パワーPr(θ)を制御したところ、ディスク全面においてbERが1×10-6以下と、式1を用いた場合とほぼ同等な再生信号品質が得られた。ここで、式3及び式4の三角関数部分は正弦関数としたが、当然のことながら余弦関数を用いても同様な性能が得られる。
【0102】
本実施例で説明した再生パワーコントロールでは、再生パワーPr(θ)を光ディスクのトラック内で連続的に変化させている。しかし現行の光ディスク装置によっては、内部記憶装置やLD駆動装置の性能上、再生パワーの多値制御が難しい場合がある。その場合、再生パワーPr(θ)を連続的ではなく離散的に変化させて再生パワーコントロールを行う。再生θに対応した再生パワーの離散値としては、光ディスク装置に適応したn値(n=1, 2, 3, …)を取ればよいが、nが減少すると再生信号のエラー率(bER)は増加する。
【0103】
本実施例では、再生パワーの角度制御について、実施例1と同じ構成の光ディスクを用いて説明を行ったが、本実施例の偏芯量を考慮した再生パワーコントロールが、実施例2〜5に記載された光ディスクに対しても適用できることは言うまでもない。また、再生制御のみならず、記録パワーの制御に対して本実施例の偏芯量を考慮したパワー制御を適用することも可能である。その場合には、記録パワーに対して例えば式1〜式4のような角度依存性を仮定し、光ディスクの回転角度を考慮した記録パワーにて試し書きを行い、得られる再生信号を用いて式に含まれるパラメータを最適化すればよい。例えば図14のフローチャートで言えば、ステップ406の実行後に偏芯量測定を行い、角度依存性を考慮した記録パワーで試し書きステップ414を実行する。ステップ414で得られる再生信号からbERを計算することにより、記録パワーに対する式1〜式4のパラメータを最適化することができる。これにより、偏芯量が大きくなってもより精密な記録パワー制御が実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1(A)】光ディスクの超解像領域における、再生信号の振幅と再生パワーの関係の一例を示す図。
【図1(B)】光ディスクの超解像領域における、プッシュプル信号の振幅と再生パワーの関係の一例を示す図。
【図2(A)】実施例1の光ディスクの記録層上面図。
【図2(B)】図2(A)に対応する光ディスクの記録層の仕様を示す図。
【図3】実施例1の光ディスク装置の全体構成を示す模式図。
【図4】実施例1の光ディスク装置の再生パワー制御フローの一例を示す図。
【図5】図4のステップ408の実行過程におけるプッシュプル信号振幅と再生パワーの関係を示す図。
【図6】図4のステップ410の実行結果得られる再生信号のエラー率と再生パワーPrの関係を示す図。
【図7】実施例2の光ディスク装置の再生パワー制御フローの一例を示す図。
【図8(A)】実施例3の第1のフォーマットの光ディスクの記録層の構成を模式的に示す斜視図。
【図8(B)】図8(A)の第2層に対応する記録層の上面図。
【図8(C)】実施例3の第1のフォーマットの記録層の仕様を示す図。
【図9(A)】実施例3の第2のフォーマットの光ディスクの記録層の構成を模式的に示す斜視図。
【図9(B)】実施例3の第2のフォーマットの記録層の仕様を示す図。
【図10(A)】実施例3の第2のフォーマットの光ディスクを再生する際の再生制御フロー図。
【図10(B)】実施例3の第2のフォーマットの光ディスクを再生する際の再生制御フロー図。
【図11(A)】実施例3の第3のフォーマットの光ディスクの記録層の構成を模式的に示す斜視図。
【図11(B)】図11(A)の第1層に対応する記録層の上面図。
【図11(C)】実施例3の第3のフォーマットの記録層の仕様を示す図。
【図12(A)】実施例3の第4のフォーマットの光ディスクの記録層の構成を模式的に示す斜視図。
【図12(B)】図12(A)の記録層の上面図。
【図12(C)】実施例3の第4のフォーマットの記録層の仕様を示す図。
【図13(A)】実施例4の光ディスクの記録層の構成を模式的に示す斜視図。
【図13(B)】図13(A)の第1層および第2層の上面図。
【図13(C)】実施例4の光ディスクの記録層の仕様を示す図。
【図14】実施例4の光ディスク装置の再生パワー制御フローの一例を示す図。
【図15】試し読みの実行により得られるbERと再生パワーの関係の一例を示す図。
【図16】試し書きパターンを再生して得られるbERと記録パワーの関係の一例を示す図。
【図17(A)】実施例5の光ディスクの記録層上面図。
【図17(B)】図17(A)に対応する光ディスクの記録層の仕様を示す図。
【図18】研磨工程の有無と光学特性との関連を示す対比表を示す図。
【図19】実施例6の光ディスク装置の全体構成を示す模式図。
【図20】実施例6の光ディスク装置の再生パワー制御フローの一例を示す図。
【図21】レンズシフト量と光ディスクの回転角の関係を示す図。
【図22】再生信号振幅と再生パワーの光ディスク回転角依存性を、偏芯量を考慮した再生パワー制御を行った場合と行わない場合とで、対比して示した図。
【図23】bERとベース再生パワーPr0の関係を示す図。
【符号の説明】
【0105】
301…光ディスク、302…ディスク回転部、303…光ピックアップ部、304…レーザ光、305…DSP、306…マイコン、307…メモリユニット、308…CPU、309…最適パワー演算部、310…再生信号品質・再生パワー記憶部、1901…光ディスク、1902…ディスク回転部、1903…光ピックアップ部、1904…レーザ光、1905…DSP、1906…マイコン、1907…メモリユニット、1908…CPU、1909…偏芯量算出部、1910…偏芯量記憶部、1911…信号品質算出部、1912…最適パワー演算部、1913…再生信号品質・再生パワー記憶部、1914…制御信号生成部、UDA…ユーザデータ領域、BA…バッファ領域、CDA…コントロールデータ領域、BCA…バーストカッティング領域、NR…常解像領域、SR…超解像領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1層の記録層を備え、当該記録層に形成されるピット又はマーク並びにスペースにより情報が記録される情報記録媒体において、
前記記録層は、超解像再生に対応する記録領域と常解像再生に対応する記録領域とを有し、
前記常解像再生に対応する記録領域に、前記情報記録媒体の管理情報が記録されたことを特徴とする情報記録媒体。
【請求項2】
少なくとも1層の記録層を備え、当該記録層に形成されるピット又はマーク並びにスペースにより情報が記録される情報記録媒体において、
前記記録層は、
光学分解能よりも小さい第1のサイズのピット又はマークが形成される第1の領域と、
光学分解能以上の第2のサイズのピット又はマークが形成される第2の領域とを有し、
前記情報の再生時には、
前記第1の領域には第1のパワーのレーザが照射され、
前記第2の領域には前記第1のパワーよりも小さいパワーのレーザが照射され、
前記第2の領域には、前記第1の領域に記録された情報の再生条件を示す情報が記録されたことを特徴とする情報記録媒体。
【請求項3】
請求項1に記載の情報記録媒体であって、
前記管理情報として、前記超解像再生に対応する記録領域に形成されたピット又はマークに対し、再生時に照射するレーザのパワーを示す情報が記録されたことを特徴とする情報記録媒体。
【請求項4】
請求項2に記載の情報記録媒体であって、
前記再生条件として、前記第1の領域に形成されたピット又はマークに対し、再生時に照射するレーザのパワーを示す情報が記録されたことを特徴とする情報記録媒体。
【請求項5】
請求項1に記載の情報記録媒体であって、
前記常解像再生に対応する記録領域に、
前記超解像領域に情報を記録するためのレーザパワーを示す情報が記録されたことを特徴とする情報記録媒体。
【請求項6】
請求項2に記載の情報記録媒体であって、
前記第2の領域には、
前記第1の領域に前記マークまたはピットを形成ないし上書きするためのレーザーパワーの推奨値を示す情報が記録されたことを特徴とする情報記録媒体。
【請求項7】
請求項2記載の情報記録媒体において、
前記第1の領域と第2の領域とが同一の記録層に形成されたことを特徴とする情報記録媒体。
【請求項8】
請求項7に記載の情報記録媒体において、
前記第1の領域と前記第2の領域の間に形成されたバッファ領域を有することを特徴とする情報記録媒体。
【請求項9】
請求項2に記載の情報記録媒体において、
前記第1の領域と第2の領域とが、各々別の記録層に形成されたことを特徴とする情報記録媒体。
【請求項10】
超解像再生に対応する記録領域と常解像再生に対応する記録領域とが形成された記録層を有し、前記常解像再生に対応する記録領域に管理情報が記録された情報記録媒体をを再生する機能を備えた光記録再生装置において、
前記情報記録媒体を保持し、回転駆動させるスピンドルモータと、
前記情報記録媒体に対してレーザを照射し、再生光を受信して再生信号を出力する光ピックアップと、
当該光ピックアップから前記再生信号を受け取る制御部とを備え、
前記光記録再生装置は、
前記記録再生動作の開始時には、常に前記常解像再生に対応する記録領域に記録された前記管理情報を読み出すことを特徴とする光記録再生装置。
【請求項11】
超解像再生方式に対応した記録領域を有する情報記録媒体を再生する機能を備えた光記録再生装置において、
前記情報記録媒体を保持し、回転駆動させるスピンドルモータと、
前記情報記録媒体に対してレーザを照射し、再生光を受信して再生信号を出力する光ピックアップと、
当該光ピックアップから前記再生信号を受け取る制御部とを備え、
前記光記録再生装置は、前記情報記録媒体の再生時、
前記超解像再生方式に対応した記録領域に対して前記レーザを所定のパワーで照射し、
得られる再生信号出力が所定の閾値を満たすかどうか判定し、
当該判定結果に応じて前記レーザのパワーを調整することを繰り返すことにより、前記レーザの再生パワーを最適化することを特徴とする光記録再生装置。
【請求項12】
請求項10に記載の光記録再生装置において、
前記制御部は、前記情報記録媒体の偏芯量に応じて前記レーザの再生パワーを制御することを特徴とする光記録再生装置。
【請求項13】
請求項11に記載の光記録再生装置において、
前記制御部は、前記情報記録媒体の偏芯量に応じて前記レーザの再生パワーを制御することを特徴とする光記録再生装置。
【請求項14】
請求項10に記載の光記録再生装置において、
前記制御部は記憶部を有し、
当該記憶部には、前記偏芯量と前記情報記録媒体の回転角との対応関係が記憶され、
前記制御部は、当該対応関係を参照して前記偏芯量を算出することを特徴とする光記録再生装置。
【請求項15】
請求項11に記載の光記録再生装置において、
前記制御部は記憶部を有し、
当該記憶部には、前記偏芯量と前記情報記録媒体の回転角との対応関係が記憶され、
前記制御部は、当該対応関係を参照して前記偏芯量を算出することを特徴とする光記録再生装置。
【請求項16】
請求項10に記載の光記録再生装置において、
前記制御部は、前記光ディスクの回転角に対応して前記第1の領域の再生パワーを制御することを特徴とする光記録再生装置。
【請求項17】
請求項10に記載の光記録再生装置において、
前記制御部は、前記光ディスクの回転角に対応して前記第1の領域の再生パワーを制御することを特徴とする光記録再生装置。

【図1(A)】
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【図1(B)】
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【図2(A)】
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【図2(B)】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8(A)】
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【図8(B)】
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【図8(C)】
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【図9(A)】
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【図9(B)】
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【図10(A)】
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【図10(B)】
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【図11(A)】
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【図11(B)】
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【図11(C)】
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【図12(A)】
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【図12(B)】
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【図12(C)】
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【図13(A)】
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【図13(B)】
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【図13(C)】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17(A)】
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【図17(B)】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−86581(P2010−86581A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252982(P2008−252982)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】