説明

感光性ポリマー印刷版の製造方法

a)(i)親水性表面を有するか又は親水性層を与えられた支持体、及び(ii)前記支持体上の光重合可能な被覆、を含む平版印刷版プリカーサを準備する、b)プレートセッターにおいて前記被覆を像に従って露光する、c)プリカーサを現像し、それによって支持体から被覆の非露光領域を除去する、工程を含む平版印刷版の製造方法において、現像工程がプリカーサの被覆をゴム溶液で処理することによってゴム塗布ユニットにおいてオフプレスで実施されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は平版印刷版の製造方法に関し、それによってネガ作用感光性ポリマー印刷版プリカーサは像に従って露光され、ゴム溶液でゴム塗布ユニットにおいてオフプレスで現像され、それにより単一工程で版を現像し、ゴム塗布する。
【背景技術】
【0002】
平版印刷では、印刷版の如きいわゆる印刷マスターは印刷機のシリンダー上に装着される。マスターはその表面上に平版像を担持し、印刷されたコピーはインクを前記像に塗布し、次いでインクをマスターから受容材料(それは典型的には紙である)上に転写することによって得られる。通常のいわゆる「湿式」平版印刷では、インク並びに水性インク溜め溶液(給湿液とも称される)は親油性(又は疎水性、即ちインク受容性、撥水性)領域並びに親水性(又は疎油性、即ち水受容性、撥インク性)領域からなる平版像に供給される。いわゆる「ドライオグラフィック」印刷では、平版像はインク受容性及びインク不粘着性(インク反発性)領域からなり、ドライオグラフィック印刷中、インクだけがマスターに供給される。
【0003】
印刷マスターは一般に、いわゆるコンピュータトウフィルム(CtF)法によって得られ、そこでは書体選択、走査、色分解、網かけ、トラッピング、レイアウト及び面付けの如き様々な製版工程はデジタル的に達成され、各色分解はイメージセッターを使用してグラフィックアートに転写される。処理後、フィルムは版プリカーサと称される像形成材料の露光のためのマスクとして使用されることができ、版処理後、マスターとして使用されることができる印刷版が得られる。1995年頃以来、いわゆる「コンピュータトウプレート(CtP)」法は多くの関心を得た。「ダイレクトトウプレート」とも称されるこの方法はフィルムの創造を無視する。なぜならばデジタル文書はいわゆるプレートセッターによって印刷版プリカーサに直接転写されるからである。CtPのための印刷版プリカーサはしばしばデジタル版と称される。
【0004】
デジタル版は大まかに三つのカテゴリーに分類されることができる:(i)銀塩拡散転写機構に従って作用する銀版;(ii)露光時に硬化する光重合可能な組成物を含有する感光性ポリマー版;及び(iii)像形成機構が熱によって又は光から熱への変換によって開始される感熱版。感熱版は主に、青、緑又は赤の光(即ち、450〜750nmの範囲の波長)、紫の光(即ち、350〜450nmの範囲の波長)、又は赤外光(即ち、750〜1500nmの範囲の波長)に対して増感されることができる。レーザ源は対応するレーザ波長に増感される印刷版プリカーサを露光するためにますます使用されている。典型的には、可視光増感光重合版を露光するためにArレーザ(488nm)又はFD−YAGレーザ(532nm)を使用することができる。DVDによるデータ貯蔵のために元々開発された、低コストの青又は紫のレーザダイオードの広範囲の利用可能性は、より短い波長で操作するプレートセッターの製造を実現した。特に、350〜450nmで放出する半導体レーザはInGaN材料を使用して実現されている。830nm付近を放出する赤外レーザダイオード又は1060nm付近を放出するNd−YAGレーザもまた使用することができる。
【0005】
典型的には、感光性ポリマー版はpH>10を有するアルカリ現像液で処理される。現在、最も市販されている平版は露光された版が現像される後でそれが印刷機上に置かれる前に追加のゴム塗布工程を必要とし、例えば酸化、指紋、脂肪、油又はダストによる汚染、又は例えば版の取扱い時の引っ掻き傷による損傷に対して保護されることが必要である。かかる追加のゴム塗布工程はエンドユーザにとって不都合である。なぜならばそれは時間を消費する工程であり、追加のゴム塗布ステーションを必要とするからである。
【0006】
WO 02/101469はアルカリ現像可能な平版印刷版プリカーサとして有用な像形成可能な要素を処理する方法を開示し、その要素は現像され、特定の構造を有する水溶性ポリヒドロキシ化合物を含む水性アルカリ現像ゴム塗布溶液でゴム塗布される。
【0007】
EP 1342568は感熱性平版印刷版の製造方法を開示し、そこでは加熱時に合着する疎水性熱可塑性ポリマー粒子の被覆を含む、像に従って加熱されたプリカーサがゴム溶液で現像されている。このタイプの印刷版のための実際の実施態様はAzura技術の名称の下でAgfaによって導入された。
【0008】
US 6027857,US 6171735,US 6420089,US 6071675,US 6245481,US 6387595,US 6482571,US 6576401及びUS 6548222では、平版印刷版の製造方法が開示され、像に従った露光後の感光性ポリマー版は印刷機上に装着され、支持体から未露光領域を除去するためにインク及びインク溜めを適用することによってオンプレスで処理される。また、US 2003/16577及びUS 2004/13968は光重合可能な層を含む版がインク及びインク溜めで又は非アルカリ性水性現像液でのオンプレス処理で処理されることができる方法を開示する。
【0009】
かかる感光性ポリマー印刷版のオンプレス処理と関連した第一の問題は昼光安定性の不足である。即ち、像が処理前に安定せず、従って露光された版は露光後に短い時間内で処理されることが必要である。しかしながら、オンプレス処理は印刷ジョブ時には可能でないので、露光された版が印刷機上に装着されて処理されることができる前に前の印刷ジョブが完了するまでエンドユーザは待たなければならない。結果として、次の印刷ジョブのための版の露光は未露光の版が周囲光によって影響されることを避けるために、前の印刷ジョブの完了の直前まで遅らせなければならない。あるいは、露光された版は安全光条件下で維持されなければならないが、これは再び、例えば紫及び赤外の感光性ポリマー版と通常関連された使用の容易性及び便利さを低減する。
【0010】
オンプレス処理可能な感光性ポリマー版について従来技術で解決されないままである第二の問題は露光と処理の間の可視像の不足である。処理によって被覆の未露光領域の除去後に可視像を得るために感光性被覆に着色剤を加えることが知られているが、これは露光後の像品質を検査するために像に従った露光の直後に露光された版と露光されない版を区別することができない。なぜならば可視像はオンプレス処理後に出現されるにすぎないからである。さらに、オンプレス処理可能な版は通常、着色剤を含有しない。なぜならば被覆の非印刷領域のオンプレス除去はインク溜め溶液及び/又はインクの汚染を起こすかもしれず、それは前記着色剤による汚染が消えるまで許容できない数の印刷されたコピーをとるかもしれないからである。
【0011】
インク溜め及びインクでのオンプレス処理と関連した第三の問題は未露光領域の不十分な清浄である。
【発明の開示】
【0012】
本発明の目的は感光性ポリマー版プリカーサによって平版印刷版を製造する方法を提供することであり、それは処理工程を必要としない方法として使用者によって理解され、そこでは露光された版は印刷機上に装着される前に制限されない時間の間、周囲光で維持されることができる。この目的は露光された版がゴム溶液によってオフプレスで処理されるという特別な特徴を有する請求項1に規定された方法によって実現される。感光性ポリマー版の未露光領域がゴム塗布工程によって除去されるので、平版印刷像はもはや周囲昼光によって影響されない。逆に、昼光に対するさらなる露光は露光された領域の重合度を増大するだけだろう。即ち、像を劣化するよりむしろ強化するだろう。さらに、本発明者は予期せぬことに、ゴム処理がインク溜め溶液及びインクによるオンプレス処理より良好な清浄を生み出すことを観察した。
【0013】
本発明のさらなる目的は感光性ポリマー版プリカーサによって平版印刷版を製造する方法を提供することであり、それは処理工程を必要としない方法として使用者によって理解され、そこでは露光された版は印刷機上に装着される前に制限されない時間の間、周囲光で維持されることができ、可視像は版を印刷機上に装着する前に与えられる。この目的は着色剤を感光性ポリマー版の被覆に加えることによって実現される。被覆の非印刷領域はゴム塗布工程において除去されるので、印刷ジョブの開始時にインク溜め又はインクの汚染の危険が全くない。
【0014】
本発明の他の特別は実施態様は従属請求項に規定されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明によれば、平版印刷版の製造方法であって、
a)(i)親水性表面を有するか又は親水性層を与えられた支持体、及び(ii)光重合可能な層を含む、前記支持体上の被覆、を含む平版印刷版プリカーサを準備する、
b)プレートセッターにおいて前記被覆を像に従って露光する、
c)プリカーサを現像し、それによって支持体から被覆の非露光領域を除去する、
工程を含む方法において、
現像工程がプリカーサの被覆をゴム溶液で処理することによってゴム塗布ユニットにおいてオフプレスで実施されることを特徴とする方法が提供される。
【0016】
ゴム溶液は典型的には、例えば酸化、指紋、脂肪、油又はダストによる汚染、又は例えば版の取扱い時の引っ掻き傷による損傷に対する印刷版の平版印刷像を保護することができる一つ以上の表面保護化合物を含む水性液体である。かかる化合物の好適な例はフィルム形成親水性ポリマー又は界面活性剤である。ゴム溶液での処理後に版上に残る層は好ましくは表面保護化合物の0.05〜20g/mを含む。
【0017】
ゴム溶液は通常、供給者の指示に従って使用前にエンドユーザによって水で希釈される濃厚溶液として供給される。本明細書では、ゴム溶液に存在する化合物の全ての濃度は他に特記しない限り、希釈されないゴム溶液に対する重量%(wt%又は%w/w)として表示される。
【0018】
ゴム溶液における保護化合物として使用するために好ましいポリマーはアラビアゴム、プルラン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース又はメチルセルロースの如きセルロース誘導体、(シクロ)デキストリン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリサッカライド、アクリル酸、メタクリル酸又はアクリルアミドのホモ及びコポリマー、ビニルメチルエーテルと無水マレイン酸のコポリマー、酢酸ビニルと無水マレイン酸のコポリマー又はスチレンと無水マレイン酸のコポリマーである。極めて好ましいポリマーはカルボキシル、スルホン又はホスホン基、例えば(メタ)アクリル酸、酢酸ビニル、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸又はアクリルアミドプロパンスルホン酸を含有するモノマーのホモ又はコポリマー又はそれらの塩である。
【0019】
表面保護剤として使用するための界面活性剤の例はアニオン性又は非イオン性界面活性剤を含む。ゴム溶液はまた、表面保護剤として上の親水性ポリマーの一種以上、さらに一種以上の界面活性剤を含めて被覆層の表面特性を改良してもよい。ゴム溶液の表面張力は40〜50mN/mであることが好ましい。
【0020】
ゴム溶液は好ましくはアニオン性界面活性剤、より好ましくはアニオン性基がスルホン酸基であるアニオン性界面活性剤を含む。
【0021】
アニオン性界面活性剤の例は脂肪族酸塩、アビエチン酸塩、ヒドロキシアルカンスルホネート、アルカンスルホネート、ジアルキルスルホスクシネート、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、枝分かれしたアルキルベンゼンスルホネート、アルキルナフタレンスルホネート、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホネート、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテルの塩、ナトリウムN−メチル−N−オレイルタウレート、モノアミドジナトリウムN−アルキルスルホスクシネート、石油スルホネート、硫酸化ヒマシ油、硫酸化牛脂油、脂肪族アルキルエーテルの硫酸エステルの塩、アルキル硫酸エステルの塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル、脂肪族モノグリセリドの硫酸エステルの塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの硝酸エステルの塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルの硫酸エステルの塩、アルキル燐酸エステルの塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの燐酸エステルの塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの燐酸エステルの塩、無水スチレンマレイン酸コポリマーの部分的に鹸化された化合物、無水オレフィンマレイン酸コポリマーの部分的に鹸化された化合物、及びナフタレンスルホネートホルマリン縮合物を含む。これらのアニオン性界面活性剤のうち特に好ましいものはジアルキルスルホスクシネート、アルキル硫酸エステルの塩及びアルキルナフタレンスルホネートである。
【0022】
好適なアニオン性界面活性剤の特別な例はナトリウムドデシルフェノキシベンゼンジスルホネート、アルキル化ナフタレンスルホネートのナトリウム塩、ジナトリウムメチレン−ジナフタレン−ジスルホネート、ナトリウムドデシル−ベンゼンスルホネート、スルホン化アルキルジフェニルオキシド、アンモニウム又はカリウムパーフルオロアルキルスルホネート及びナトリウムジオクチル−スルホスクシネートを含む。
【0023】
非イオン性界面活性剤の好適な例はポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、グリセリン脂肪族酸の部分エステル、ソルビタン脂肪族酸の部分エステル、ペンタエリスリトール脂肪族酸の部分エステル、プロピレングリコールモノ脂肪族エステル、スクロース脂肪族酸の部分エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪族酸の部分エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪族酸の部分エステル、ポリエチレングリコール脂肪族酸エステル、ポリグリセリン脂肪族酸の部分エステル、ポリオキシエチレン化ヒマシ油、ポリオキシエチレングリセリン脂肪族酸の部分エステル、脂肪族ジエタノールアミド、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪族エステル、及びトリアルキルアミンオキサイドを含む。これらの非イオン性界面活性剤のうち特に好ましいものはポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル及びポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーである。さらに、フッ素系及びシリコン系のアニオン性及び非イオン性界面活性剤も同様に使用できる。
【0024】
上記界面活性剤の二種以上を組み合わせて使用してもよい。例えば、二種以上の異なるアニオン性界面活性剤の組み合わせ又はアニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤の組み合わせが好ましいかもしれない。かかる界面活性剤の量は特に限定されないが、0.01〜20重量%が好ましい。
【0025】
本発明によれば、ゴム溶液は好ましくは3〜9、より好ましくは4.5〜8.5、最も好ましくは5〜7のpH値を有する。ゴム溶液のpHは通常、0.01〜2重量%の量で鉱酸、有機酸又は無機塩で調節される、鉱酸の例は硝酸、硫酸、燐酸及びメタ燐酸を含む。特に有機酸はpH制御剤として及び減感剤として使用される。有機酸の例はカルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸又はそれらの塩、例えばスクシネート、ホスフェート、ホスホネート、スルフェート及びスルホネートを含む。有機酸の特別な例はクエン酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、マレイン酸、乳酸、レブリン酸、フィチン酸及び有機ホスホン酸を含む。
【0026】
ゴム溶液は好ましくは無機塩をさらに含む。無機塩の例は硝酸マグネシウム、一塩基燐酸ナトリウム、二塩基燐酸ナトリウム、硫酸ニッケル、ナトリウムヘキサメタホスフェート及びナトリウムトリポリホスフェートを含む。KHPO又はNaHPOの如きアルカリ金属二水素ホスフェートが最も好ましい。他の無機塩、例えば硫酸マグネシウム又は硝酸亜鉛を腐食抑制剤として使用することができる。鉱酸、有機酸又は無機塩を単独又はそれらの一種以上の組み合わせで使用してもよい。
【0027】
本発明の別の実施態様によれば、版の処理における現像液としてのゴム溶液はアニオン性界面活性剤と無機塩の混合物を含むことが好ましい。この混合物ではアニオン性界面活性剤はスルホン酸基を有するアニオン性界面活性剤、より好ましくはモノ又はジアルキル置換ジフェニルエーテル−スルホン酸のアルカリ金属塩であり、無機塩は好ましくは一又は二塩基性ホスフェート塩、より好ましくはアルカリ金属二水素ホスフェート、最も好ましくはKHPO又はNaHPOである。
【0028】
本発明の別の実施態様によれば、アニオン性界面活性剤と無機塩の混合物を含むゴム溶液は好ましくは3〜9、より好ましくは4〜8、最も好ましくは5〜7のpHを有する。
【0029】
前述の成分に加えて、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン及びジグリセリンの如き湿潤剤をゴム溶液に存在させてもよい。湿潤剤を単独で又はそれらの一種以上と組み合わせて使用してもよい。一般に、前述の湿潤剤は1〜25重量%の量で使用されることが好ましい。
【0030】
さらに、キレート化合物をゴム溶液に存在させてもよい。希釈水に含まれるカルシウムイオン及び他の不純物は印刷に対して悪影響を有し、従って印刷物の汚染を生じうる。この問題はキレート化合物を希釈水に加えることによって除去されることができる。かかるキレート化合物の好ましい例は有機ホスホン酸又はホスホノアルカントリカルボン酸を含む。特別な例はエチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、ニトリロトリ酢酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸及びアミノトリ(メチレンホスホン酸)のカリウム又はナトリウム塩である。これらのキレート剤のこれらのナトリウム又はカリウム塩に加えて、有機アミン塩が有用である。添加されるかかるキレート剤の好ましい量は希釈された形でゴム溶液に対して0.001〜1.0重量%である。
【0031】
さらに、防腐剤及び消泡剤をゴム溶液に存在させてもよい。かかる防腐剤の例はフェノール、その誘導体、ホルマリン、イミダゾール誘導体、ナトリウムデヒドロアセテート、4−イソチアゾリン−3−オン誘導体、ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ベンズトリアゾール誘導体、アミジングアニジン誘導体、4級アンモニウム塩、ピリジン誘導体、キノリン誘導体、グアニジン誘導体、ジアジン、トリアゾール誘導体、オキサゾール及びオキサジン誘導体を含む。添加されるかかる防腐剤の好ましい量は細菌、真菌、酵母などに対して安定した効果を発揮できるようなものである。細菌、真菌及び酵母の種類に依存するが、それは希釈された形でゴム溶液に対して0.01〜4重量%であることが好ましい。さらに、好ましくは、様々な真菌及び細菌に対して防腐効果を発揮するように二種以上の防腐剤を組み合わせて使用してもよい。消泡剤は好ましくはシリコーン消泡剤である。これらの消泡剤のうち、乳剤分散タイプ又は可溶化タイプのいずれかの消泡剤を使用することができる。添加されるかかる消泡剤の適切な量は希釈された形でゴム溶液に対して0.001〜1.0重量%である。
【0032】
前述の成分に加えて、もし望むならインク受容剤をゴム溶液に存在させてもよい。かかるインク受容剤の例はテレビン油、キシレン、トルエン、低ヘプタン、ソルベントナフサ、ケロシン、ミネラルスピリット、約120℃〜約250℃の沸点を有する石油画分の如き炭化水素、ジエステルフタレート(例えばジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジノニイルフタレート、ジデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ブチルベンジルフタレート)、脂肪族二塩基エステル(例えばジオクチルアジペート、ブチルグリコールアジペート、ジオクチルアゼレート、ジブチルセバケート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケートジオクチルセバケート)、エポキシ化トリグリセリド(例えばエポキシ大豆油)、エステルホスフェート(例えばトリクレシルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリスクロロエチルホスフェート)及びベンゾエートのエステル(例えばベンジルベンゾエート)の如き雰囲気圧で300℃以上の沸点及び15℃以下の凝固点を有する可塑剤を含む。これらの溶媒と組み合わせて使用されることができる他の溶媒の例はケトン(例えばシクロヘキサノン)、ハロゲン化炭化水素(例えばエチレンジクロライド)、エチレングリコールエーテル(例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル)、脂肪族酸(例えばカプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、イソバレリアン酸)及び不飽和脂肪酸(例えばアクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ウンデシル酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブテシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレイン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸、イワシ酸、タリリン酸、リカン酸)を含む。好ましくは、それは脂肪族酸であり、それは50℃の温度で液体であり、より好ましくは5〜25個の炭素原子、最も好ましくは8〜21個の炭素原子を有する。インク受容剤は単独で又はそれらの一種以上と組み合わせて使用されてもよい。インク受容剤は0.01〜10重量%、より好ましくは0.05〜5重量%の量で使用されることが好ましい。前述のインク受容剤は水中油乳剤であってもよく又は可溶化剤の助けで可溶化されてもよい。
【0033】
ゴム溶液の粘度は例えば10〜10の分子量を有するポリ(エチレンオキサイド)の如き粘度を増加する化合物を加えることによって例えば1.7〜5mPa.sの値に調整されることができる。かかる化合物は0.01〜10g/lの濃度で存在させることができる。
【0034】
ベーキングゴムは上記と同じ組成を有し、さらに通常のベーク温度で蒸発しない化合物が好ましい。好適なベーキングゴム溶液の特定の例は例えばEP−A 222297,EP−A 1025992,DE−A 2626473及びUS 4786581に記載されている。
【0035】
特に好ましい平版支持体は、電気化学的にしぼ付けされかつ陽極酸化されたアルミニウム支持体である。アルミニウム支持体の陽極酸化の粒状化は良く知られている。しぼ付けのために使用される酸は例えば硝酸又は硫酸である。しぼ付けのために使用される酸は塩化水素を含むことが好ましい。また、例えば塩化水素と酢酸の混合物を使用することができる。一方では電極電圧、酸電解質の性質及び濃度又は電力消費の如き電気化学的しぼ付け及び陽極酸化パラメータと、他方では陽極重量(アルミニウム表面上に形成されたAlのg/m)及びRaに関する得られた平版品質との間の関係が良く知られている。種々の製造パラメータとRa又は陽極重量の間の関係についての詳細は例えば論文「Management of Change in the Aluminium Printing Industry」,F.R.Mayers著、ATB Metallurgie Journal発行、volume 42 nr.1−2(2002)pag.69に見出すことができる。
【0036】
陽極酸化されたアルミニウム支持体はその表面の親水性を改良するためにいわゆる後陽極処理を受けるようにしてもよい。例えば、アルミニウム支持体は高温(例えば95℃)でケイ酸ナトリウム溶液でその表面を処理することによってケイ酸化されてもよい。あるいは、燐酸塩処理を適用してもよく、それは無機フッ化物をさらに含んでもよい燐酸塩溶液でアルミニウム酸化物表面を処理することを含む。さらに、アルミニウム酸化物表面はクエン酸又はクエン酸塩溶液でリンスされてもよい。この処理は室温で実施されてもよく又は約30〜50℃のわずかに高い温度で実施されてもよい。さらに重要な処理はアルミニウム酸化物表面を重炭酸塩でリンスすることを含む。さらに、アルミニウム酸化物表面はポリビニルホスホン酸、ポリビニルメチルホスホン酸、ポリビニルアルコールのホスホン酸エステル、ポリビニルスルホン酸、ポリビニルベンゼンスルホン酸、ポリビニルアルコールの硫酸エステル、及びスルホン化脂肪族アルデヒドとの反応によって形成されたポリビニルアルコールのアセタールで処理されてもよい。
【0037】
別の有用な後陽極処理はポリアクリル酸の溶液又は少なくとも30mol%のアクリル酸モノマー単位、例えばGLASCOL E15(ポリアクリル酸、ALLIED COLLOIDSから商業的に入手可能)を含むポリマーで実施されてもよい。
【0038】
しぼ付けされかつ陽極酸化されたアルミニウム支持体は版のごときシート板材料であってもよく又はそれは印刷機の印刷シリンダーのまわりでスライドできるスリーブの如き円柱形の要素であってもよい。
【0039】
支持体は可撓性支持体であってもよく、それは「ベース層」と以下称される親水性層を与えられてもよい。可撓性支持体は例えば紙、プラスチックフィルム又はアルミニウムである。プラスチックフィルムの好ましい例はポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルムなどである。プラスチックフィルム支持体は不透明又は透明であってもよい。
【0040】
ベース層はホルムアルデヒド、グリオキサール、ポリイソシアネート又は加水分解されたテトラ−アルキルオルトシリケートの如き硬化剤で架橋された親水性結合剤から得られた架橋親水性層であることが好ましい。加水分解されたテトラ−アルキルオルトシリケートが特に好ましい。親水性ベース層の厚さは0.2〜25μmの範囲で変化してもよく、1〜10μmが好ましい。ベース層の好ましい実施態様のさらなる詳細は例えばEP−A 1025992に見出すことができる。
【0041】
本発明の方法に使用される平版印刷版プリカーサはネガ作用であり、露光及び未露光領域のそれぞれにおいて疎水性及び親水性領域からなる平版像を現像する。親水性領域は、親水性表面を有するか又は親水性を与えられた支持体によって規定される。疎水性領域は、露光で硬化され、所望によりその後加熱工程が行なわれる被覆によって規定される。
【0042】
ここで「硬化され」は、被覆がゴム溶液に対して溶解できないか又は分散できないことを意味し、これは、感光性被覆の重合及び/又は架橋、所望によりその後重合及び/又は架橋反応を増強する又はスピードアップするための加熱工程を行なうことによって達成されることができる。以下「予備加熱」とも称される、この任意の加熱工程では、版プリカーサは約80℃〜150℃の温度で好ましくは約5秒〜1分の滞留時間、加熱される。
【0043】
支持体上の被覆は光重合可能な層を含む。この層は重合可能なモノマー又はオリゴマー、及び前記モノマー又はオリゴマーを硬化できる開始剤、及び所望により像に従った露光工程に使用される光を吸収できる増感剤を含む。
【0044】
光重合可能な層の被覆厚さは好ましくは0.1〜4.0g/m、より好ましくは0.4〜2.0g/mである。
【0045】
本発明の一実施態様によれば、前記重合可能なモノマー又はオリゴマーは少なくとも一つのエポキシ又はビニルエーテル官能基を含むモノマー又はオリゴマーであり、前記開始剤は所望により増感剤の存在下で、露光で遊離酸を発生しうるブレンステッド酸発生体であり、以下、前記開始剤は「カチオン光開始剤」又は「カチオン開始剤」とも称される。
【0046】
好適な多官能エポキシモノマーは例えば3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシメチル)アジペート、二官能ビスフェノールエピクロロヒドリンエポキシ樹脂及び多官能エピクロロヒドリンテトラフェニロールエタンエポキシ樹脂を含む。
【0047】
好適なカチオン光開始剤は例えばトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジアリールイオドニウムヘキサフルオロアンチモネート、及びハロアルキル置換s−トリアジンを含む。ほとんどの開始剤はまた、フリーラジカル開始剤であることが注目される。なぜならばブレンステッド酸を生成することに加えて、それらはまた、光又は熱分解時にフリーラジカルを生成するからである。
【0048】
本発明のより好ましい実施態様によれば、前記重合可能なモノマー又はオリゴマーは以下「フリーラジカル重合可能なモノマー」とも称される少なくとも一つの末端エチレン基を有するエチレン不飽和化合物であり、前記開始剤は所望により増感剤の存在下で、露光でフリーラジカルを生成しうる化合物であり、以下、前記開始剤は「フリーラジカル開始剤」とも称される。
【0049】
好適なフリーラジカル光重合可能なモノマーは例えば多官能(メタ)アクリレートモノマー(例えばエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、エトキシル化エチレングリコール及びエトキシル化トリメチロールプロパンの(メタ)アクリレートエステル、多官能ウレタン化(メタ)アクリレート、及びエポキシ化(メタ)アクリレート)、及びオリゴマーアミン誘導体を含む。(メタ)アクリルモノマーはまた、(メタ)アクリレート基に加えて、他の二重結合又はエポキシド基を有してもよい。(メタ)アクリレートモノマーはまた、(カルボン酸の如き)酸性又は(アミンの如き)塩基性官能を含有してもよい。
【0050】
露光で増感剤の存在下でフリーラジカルを発生しうるいかなるフリーラジカル開始剤も本発明のフリーラジカル開始剤として使用されることができる。好適なフリーラジカル開始剤は例えばアセトフェノンの誘導体(例えば2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、及び2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル−2−モルフォリノプロパン−1−オン);ベンゾフェノン;ベンジル;ケトクマリン(例えば3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン及び7−メトキシクマリン);キサントン;チオキサントン;ベンゾイン又はアルキル置換アントラキノン;オニウム塩(例えばジアリールイオドニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジアリールイオドニウムトリフレート、(4−2−ヒドロキシテトラデシル−オキシ)−フェニル)フェニルイオドニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリアリールスルホニウムp−トルエンスルホネート、(3−フェニルプロパン−2−オンイル)トリアリールホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート、及びN−エトキシ(2−メチル)ピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、及びUS特許No.5955238,6037098、及び5629354に記載されたオニウム塩;ボレート塩(例えばテトラブチルアンモニウムトリフェニル(n−ブチル)ボレート、テトラエチルアンモニウムトリフェニル(n−ブチル)ボレート、ジフェニルイオドニウムテトラフェニルボレート、及びトリフェニルスルホニウムトリフェニル(n−ブチル)ボレート、及びUS特許No.6232038及び6218076に記載されたボレート塩);ハロアルキル置換s−トリアジン(例えば2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシ−スチリル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシ−ナフサ−1−イル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−s−トリアジン、及び2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[(4−エトキシ−エチレンオキシ)−フェン−1−イル]−s−トリアジン及びUS特許No.5955238,6037098,6010824及び5629354に記載されたs−トリアジン);及びチタノセン(ビス(エタ9−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス[2,6−ジフルオロ−3−(IH−ピロール−1−イル)フェニル]チタン)を含む。オニウム塩、ボレート塩、及びs−トリアジンが好ましいフリーラジカル開始剤である。ジアリールイオドニウム塩及びトリアリールスルホニウム塩が好ましいオニウム塩である。トリアリールアルキルボレート塩が好ましいボレート塩である。トリクロロメチル置換s−トリアジンが好ましいs−トリアジンである。
【0051】
本発明の別の実施態様によれば、前記重合可能なモノマー又はオリゴマーは少なくとも一つのエポキシ又はビニルエーテル官能基を含むモノマー又はオリゴマーと少なくとも一つの末端エチレン基を有する重合可能なエチレン不飽和化合物の組み合わせであってもよく、前記開始剤はカチオン開始剤及びフリーラジカル開始剤の組み合わせであってもよい。少なくとも一つのエポキシ又はビニルエーテル官能基を含むモノマー又はオリゴマー及び少なくとも一つの末端エチレン基を有する重合可能なエチレン不飽和化合物は同じ化合物であることができ、そこでは化合物はエチレン基とエポキシ又はビニルエーテル基の両方を含有する。かかる化合物の例はグリシジルアクリレートの如きエポキシ官能アクリルモノマーを含む。フリーラジカル開始剤及びカチオン開始剤は化合物がフリーラジカル及び遊離酸の両方を生成することができるなら同じ化合物であることができる。かかる化合物の例はジアリールイオドニウムヘキサフルオロアンチモネートの如き種々のオニウム塩及び2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[(4−エトキシエチレンオキシ)−フェン−1−イル]−s−トリアジンの如きs−トリアジンを含み、それらは増感剤の存在下でフリーラジカルと遊離酸の両方を生成することができる。
【0052】
光重合可能な層はまた、多官能モノマーを含んでもよい。このモノマーはエチレン不飽和基及び/又はエポキシ又はビニルエーテル基から選択された少なくとも二つの官能基を含む。光重合ポリマー被覆に使用するための特定の多官能モノマーはUS 6410205,US 5049479,EP 1079276,EP 1369232,EP 1369231,EP 1341040,US 2003/0124460,EP 1241002,EP 1288720及び引用された参照:Chemistry & Technology UV & EB formulation for coatings,inks & paints−Volume 2−Prepolymers and Reactive Diluents for UV and EB Curable Formulations,N.S. Allen,M.A.Johnson,P.K.T.Oldring,M.S.Salim著−P.K.T.Oldring編−1991−ISBN 0947798102を含む参照文献に開示されている。
【0053】
光重合可能な層はまた、共開始剤を含んでもよい。典型的には、共開始剤はフリーラジカル開始剤及び/又はカチオン開始剤と組み合わせて使用される。光重合被覆に使用するための特定の共開始剤はUS 6410205,US 5049479,EP 1079276,EP 1369232,EP 1369231,EP 1341040,US 2003/0124460,EP 1241002,EP 1288720及び引用された参照:Chemistry & Technology UV & EB formulation for coatings,inks & paints−Volume 3−Photoinitiators for Free Radical and Cationic Polymerisation,K.K.Dietliker著−P.K.T.Oldring編−1991−ISBN 0947798161を含む参照文献に開示されている。
【0054】
光重合可能な層はまた、阻害剤を含んでもよい。光重合被覆に使用するための特定の開始剤はUS 6410205及びEP 1288720に開示されている。
【0055】
光重合可能な層はまた、結合剤を含んでもよい。結合剤は広い範囲の有機ポリマーから選択されることができる。異なる結合剤の組成も使用することができる。有用な結合剤は例えば塩素化ポリアルキレン(特に塩素化ポリエチレン及び塩素化ポリプロピレン)、ポリメタクリル酸アルキルエステル又はアルケニルエステル(特にポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリイソブチル(メタ)アクリレート、ポリヘキシル(メタ)アクリレート、ポリ(2−エチルヘキシル)(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はアルケニルエステルと他の共重合可能なモノマーと(特に(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン及び/又はブタジエンと)のポリアルキル(メタ)アクリレートコポリマー、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニリデン/(メタ)アクリロニトリルコポリマー、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、塩化ビニリデン/(メタ)アクリロニトリルコポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン又はアルキル化ビニルピロリドンのコポリマー、ポリビニルカプロラクタム、ビニルカプロラクタムのコポリマー、ポリ(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリロニトリル/スチレンコポリマー、(メタ)アクリルアミド/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー、(メタ)アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)ターポリマー、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、メチルセルロース、エチルセルロース、アセチルセルロース、ヒドロキシ−(C−C−アルキル)セルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルホルマル及びポリビニルブチラールを含む。特に好ましい結合剤はビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン又はアルキル化ビニルピロリドンをモノマー単位として有するポリマーである。アルキル化ビニルピロリドンポリマーはアルファオレフィンをビニルピロリドンポリマー幹上にグラフトすることによって得られることができる。かかる製品の典型例はISPから商業的に入手可能なAgrimer AL Graftポリマーである。
【0056】
アルキル化基の長さはC〜C30で変化しうる。他の有用な結合剤はカルボキシル基を含有する結合剤であり、特にα,β−不飽和カルボン酸のモノマー単位又はα,β−不飽和ジカルボン酸(好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、酢酸ビニル、マレイン酸又はイタコン酸)のモノマー単位を含有するコポリマーである。用語「コポリマー」は本発明では少なくとも二つの異なるモノマーの単位を含有するポリマーとして理解され、従ってターポリマー及びそれより高次元の混合されたポリマーも含む。
【0057】
有用なコポリマーの特定の例は(メタ)アクリル酸の単位及びアルキル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート及び/又は(メタ)アクリロニトリルの単位を含有するもの並びにクロトン酸の単位及びアルキル(メタ)アクリレート及び/又は(メタ)アクリロニトリルの単位を含有するコポリマー及び酢酸ビニル/アルキル(メタ)アクリレートコポリマーである。また、無水マレイン酸又はマレイン酸モノアルキルエステルの単位を含有するコポリマーが好適である。これらの中では例えば無水マレイン酸及びスチレンの単位を含有するコポリマー、不飽和エーテル又はエステル又は不飽和脂肪族炭化水素及びかかるコポリマーから得られたエステル化生成物である。さらに好適な結合剤は分子内無水ジカルボン酸を有するヒドロキシル含有ポリマーの変換から得られることができる生成物である。さらに有用な結合剤は、酸水素原子を有する基が存在し、それらの幾つか又は全てが活性化イソシアネートで変換されるポリマーである。これらのポリマーの例は脂肪族又は芳香族スルホニルイソシアネート又はホスフィン酸イソシアネートでのヒドロキシル含有ポリマーの変換によって得られた生成物である、また、脂肪族又は芳香族ヒドロキシル基、例えばヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、ヒドロキシスチレン又はビニルアルコールの単位を含有するコポリマー、並びにエポキシ樹脂が好適である。但し、それらが十分な数のフリーOH基を担持することが条件である。特に有用な結合剤及び特に有用な反応結合剤はEP 1369232,EP 1369231,EP 1341040,US 2003/0124460,EP 1241002,EP 1288720,US 6027857,US 6171735及びUS 6420089に開示されている。
【0058】
また、特に好適な結合剤は酢酸ビニルとビニルアルコールのコポリマーであり、それは好ましくは10〜98mol%、より好ましくは35〜95mol%、最も好ましくは40〜75mol%のビニルアルコールの量でビニルアルコールを含み、最良の結果は50〜65mol%のビニルアルコールで得られる。酢酸ビニルとビニルアルコールのコポリマーのDIN 53401に規定された方法によって測定されたエステル価は好ましくは25〜700mgKOH/g、より好ましくは50〜500mgKOH/g、最も好ましくは100〜300mgKOH/gの範囲である。酢酸ビニルとビニルアルコールのコポリマーの粘度はDIN 53015に規定されたように20℃で4重量%の水溶液で測定され、粘度は3〜60mPa.s、より好ましくは4〜30mPa.s、最も好ましくは5〜25mPa.sの範囲である。酢酸ビニルとビニルアルコールのコポリマーの平均分子量Mwは好ましくは5000〜500000g/mol、より好ましくは10000〜400000g/mol、最も好ましくは15000〜250000g/molの範囲である。
【0059】
結合剤として使用される有機ポリマーは600〜200000、好ましくは1000〜100000の典型的な平均分子量Mwを有する。さらに、10〜250、好ましくは20〜200の酸価、又は50〜750、好ましくは100〜500のヒドロキシル価を有するポリマーが好ましい。結合剤の量は一般に、組成物の不揮発性成分の全重量に対して10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%の範囲である。
【0060】
ゴム溶液でのプリカーサの現像性を可能にする又は増強するために光重合可能な層に様々な界面活性剤を加えてもよい。ポリマー界面活性剤及び小さな分子の界面活性剤の両方を使用することができる。非イオン界面活性剤が好ましい。好ましい非イオン界面活性剤は一つ以上のポリエーテル(例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びエチレングリコールとプロピレングリコールのコポリマー)セグメントを含有するポリマー及びオリゴマーである。好ましい非イオン界面活性剤の例はプロピレングリコールとエチレングリコールのブロックコポリマー(プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドのブロックコポリマーとも称される);エトキシル化又はプロポキシル化アクリレートオリゴマー;及びポリエトキシル化アルキルフェノール及びポリエトキシル化脂肪アルコールである。非イオン界面活性剤は好ましくは被覆の0.1〜30重量%、より好ましくは0.5〜20%、最も好ましくは1〜15%の範囲の量で添加される。
【0061】
光重合可能な層はまた、増感剤を含んでもよい。好ましい増感剤は350nm〜450nm、好ましくは370nm〜420nm、より好ましくは390nm〜415nmの吸収スペクトルを有する紫外光吸収増感剤である。特に好ましい増感剤はEP 1349006及びEP−A−3103499(2003年9月22日出願)(これらの二つの特許出願における引用文献を含む)に開示される。他の好ましい増感剤は750nm〜1300nm、好ましくは780nm〜1200nm、より好ましくは800nm〜1100nmの吸収スペクトルを有する赤外光吸収増感剤である。特に好ましい増感剤は引用文献を含む、EP 1359008に開示される。他の好ましい増感剤は450nm〜750nmの吸収スペクトルを有する、青、緑又は赤の光を吸収する増感剤である。有用な増感剤はUS 6410205,US 5049479,EP 1079276,EP 1369232,EP 1369231,EP 1341040,US 2003/0124460,EP 1241002,EP 1288720及び引用文献:Chemistry & Technology UV & EB formulation for coatings,inks & paints−Volume 3−Photoinitiators for Free Radical and Cationic Polymerisation,K.K.Dietliker著−P.K.T.Oldring編−1991−ISBN 0947798161を含む参照文献に開示される増感色素から選択されることができる。
【0062】
本発明の別の好ましい実施態様によれば、プリカーサの被覆は着色剤をさらに含む。着色剤は光重合可能な層に又は光重合可能な層の下もしくは上の別個の層に存在させることができる。ゴム溶液での処理後、着色剤の少なくとも一部は硬化された被覆領域上に残り、支持体上に可視像を生成する。
【0063】
着色剤は色素又は顔料であることができる。色素又は顔料は色素又は顔料を含む層がヒトの目に対して着色されるときに着色剤として使用されることができる。
【0064】
本発明の一つの実施態様によれば、着色剤は顔料である。様々なタイプの顔料、例えば有機顔料、無機顔料、カーボンブラック、金属粉顔料及び蛍光顔料を使用することができる。有機顔料が好ましい。
【0065】
有機顔料の特別な例はキナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、フタロシアニン顔料、アントラピリミジン顔料、アンタントロン顔料、インダントロン顔料、フラバントロン顔料、ペリレン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ペリノン顔料、キノフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、イソインドリノン顔料、アゾメチン顔料、及びアゾ顔料を含む。
【0066】
着色剤として使用可能な顔料の特定の例は以下の通りである(ここではC.Iはカラーインデックスの略語であり、青色顔料はヒトの目に青に見える顔料として理解され、他の着色顔料はアナログ的な方法で理解されなければならない):
− C.I.Pigment Blue 1,C.I.Pigment Blue 2,C.I.Pigment Blue 3,C.I.Pigment Blue 15:3,C.I.Pigment Blue 15:4,C.I.Pigment Blue 15:34,C.I.Pigment Blue 16,C.I.Pigment Blue 22,C.I.Pigment Blue 60など;及びC.I.Vat Blue 4,C.I.Vat Blue 60などを含む青色顔料;
− C.I.Pigment Red 5,C.I.Pigment Red 7,C.I.Pigment Red 12,C.I.Pigment Red 48(Ca),C.I.Pigment Red 48(Mn),C.I.Pigment Red 57(Ca),C.I.Pigment Red 57:1,C.I.Pigment Red 112,C.I.Pigment Red 122,C.I.Pigment Red 123,C.I.Pigment Red 168,C.I.Pigment Red 184,C.I.Pigment Red 202,及びC.I.Pigment Red 209を含む赤色顔料;
− C.I.Pigment Yellow 1,C.I.Pigment Yellow 2,C.I.Pigment Yellow 3,C.I.Pigment Yellow 12,C.I.Pigment Yellow 13,C.I.Pigment Yellow 14C,C.I.Pigment Yellow 16,C.I.Pigment Yellow 17,C.I.Pigment Yellow 73,C.I.Pigment Yellow 74,C.I.Pigment Yellow 75,C.I.Pigment Yellow 83,C.I.Pigment Yellow 93,C.I.Pigment Yellow 95,C.I.Pigment Yellow 97,C.I.Pigment Yellow 98,C.I.Pigment Yellow 109,C.I.Pigment Yellow 110,C.I.Pigment Yellow 114,C.I.Pigment Yellow 128,C.I.Pigment Yellow 129,C.I.Pigment Yellow 138,C.I.Pigment Yellow 150,C.I.Pigment Yellow 151,C.I.Pigment Yellow 154,C.I.Pigment Yellow 155,C.I.Pigment Yellow 180,及びC.I.Pigment Yellow 185を含む黄色顔料;
− C.I.Pigment Orange 36,C.I.Pigment Orange 43,及びこれらの顔料の混合物を含むオレンジ色顔料。
C.I.Pigment Green 7,C.I.Pigment Green 36,及びこれらの顔料の混合物を含む緑色顔料;
− Mitsubishi Chemical Corporationによって製造されたもの、例えばNo.2300,No.900,MCF 88,No.33,No.40,No.45,No.52,MA 7,MA8,MA 100,及びNo.2200 B;Columbian Carbon Co.,Ltd.によって製造されたもの、例えばRaven 5750,Raven 5250,Raven 5000,Raven 3500,Raven 1255,及びRaven 700;Cabot Corporationによって製造されたもの、例えばRegal 400 R,Regal 330 R,Regal 660 R,Mogul L,Monarch 700,Monarch 800,Monarch 880,Monarch 900,Monarch 1000,Monarch 1100,Monarch 1300,及びMonarch 1400;及びDegussaによって製造されたもの、例えばColor Black FW 1,Color Black FW 2,Color Black FW 2 V,Color Black FW 18,Color Black FW 200,Color Black S 150,Color Black S 160,Color Black S 170,Printex 35,Printex U,Printex V,Printex 140 U,Special Black 6,Special Black 5,Special Black 4A,及びSpecial Black 4を含む黒色顔料。
【0067】
茶色顔料、紫色顔料、蛍光顔料及び金属粉末顔料の如き他のタイプの顔料を着色剤として使用することもできる。顔料を単独で又は二つ以上の顔料の混合物として着色剤として使用してもよい。
【0068】
シアン顔料を含む青色顔料が好ましい。
【0069】
顔料は顔料粒子の表面処理を受けて又は受けずに使用されてもよい。好ましくは、顔料は表面処理を受ける。表面処理のための方法は樹脂の表面被覆を適用する方法、界面活性剤を適用する方法、及び顔料の表面へ反応性材料(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネートなど)を結合する方法を含む。表面処理を有する顔料の好適な例はWO 02/04210に記載された変性顔料である。特にWO 02/04210に記載された青色変性顔料は本発明の着色剤として好ましい。
【0070】
顔料は好ましくは10μm未満、より好ましくは5μm未満、特に好ましくは3μm未満の粒径を有する。顔料を分散するための方法はインク又はトナーなどの製造のために使用されるいかなる公知の分散方法であってもよい。分散機は超音波分散機、サンドミル、アトリッター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、羽根車、ディスペンサー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3ロールミル及びプレスニーダーを含む。その詳細は「Latest Pigment Applied Technology」(CMC Publications,1986年出版)に記載されている。
【0071】
分散剤はいわゆる自己分散顔料の分散の調製で省略されてもよい。自己分散顔料の特定の例は顔料表面が分散液と適合しうるような方法で表面処理を受けた顔料である。水性媒体における自己分散顔料の典型例は粒子表面に結合されたイオン性もしくはイオン化可能な基又はポリエチレンオキサイド鎖を有する顔料である。イオン性又はイオン化可能な基の例はカルボン酸基、スルホン酸基、燐酸基又はホスホン酸基又はこれらの酸のアルカリ金属塩のような酸性基又はその塩である。自己分散顔料の好適な例はWO 02/04210に記載され、これらは本発明において好ましい。WO 02/04210における青色自己分散顔料が好ましい。
【0072】
典型的には、被覆における顔料の量は約0.005g/m〜2g/m、好ましくは約0.007g/m〜0.5g/m、より好ましくは約0.01g/m〜0.2g/m、最も好ましくは約0.01g/m〜0.1g/mの範囲でありうる。
【0073】
本発明の別の実施態様では、光重合可能な被覆における着色剤として色素を使用することができる。ヒトの目に着色して映る、例えば「Dye Handbook」(Organic Synthetic Chemistry Association,1970年発行)に記載された商業的に入手可能な色素の如きいかなる公知の色素も光重合可能な被覆における着色剤として使用することができる。その特定の例はアゾ色素、金属錯塩アゾ色素、ピラゾロンアゾ色素、アントラキノン色素、フタロシアニン色素、カルボニウム色素、キノンイミン色素、メチン色素などを含む。フタロシアニン色素が好ましい。好適な色素は塩形成有機色素であり、油溶解性色素及び塩基性色素から選択されてもよい。その特定の例は(ここではCIはカラーインデックスの略語である):Oil Yellow 101,Oil Yellow 103,Oil Pink 312,Oil Green BG,Oil Bue GOS,Oil Blue 603,Oil Black BY,Oil Black BS,Oil Black T−505,Victoria Pure Blue,Crystal Violet(CI42555),Methyl Violet(CI42535),Ethyl Violet,Rhodamine B(CI415170B),Malachite Green(CI42000),Methylene Blue (CI52015)である。また、GB 2192729に開示された色素も着色剤として使用してもよい。
【0074】
典型的には、被覆における色素の量は約0.005g/m〜2g/m、好ましくは約0.007g/m〜0.5g/m、より好ましくは約0.01g/m〜0.2g/m、最も好ましくは約0.01g/m〜0.1g/mの範囲でありうる。
【0075】
処理後に形成された像のコントラストは版の露光された領域に残存する着色剤の吸光係数と量に依存する。処理後に形成された像のコントラストは露光領域における光学濃度と非露光領域における光学濃度の差として規定される。以下で報告される光学濃度値は幾つかのフィルター(例えばシアン、マゼンタ、イエロー)を備えた光学濃度計によって反射で測定される。光学濃度は着色剤の色と対応したフィルターで測定される。例えばシアンフィルターは青色の像層の光学濃度を測定するために使用される。
【0076】
本発明に対して十分なコントラストを得るために、光学濃度におけるこの差の値は好ましくは少なくとも0.3、より好ましくは少なくとも0.4、最も好ましくは少なくとも0.5である。コントラスト値に対して特定の上限はないが、典型的にはコントラストは3.0以下、さらには2.0以下である。
【0077】
ヒトの観察者に対して良好な視覚的コントラストを得るために、着色剤の色のタイプも重要でありうる。着色剤のために好ましい色はシアン又は青色であり、青色下では我々はヒトの目に対して青に映る色を理解する。
【0078】
本発明の好ましい実施態様によれば、光重合可能な被覆は酸素バリヤー層として作用する上部層を含む。上部層に使用されることができる好ましい結合剤はポリビニルアルコール及びEP−A−3103498(2003年9月22日出願)、US 6410205及びEP 1288720(これらの特許及び特許出願の引用文献を含む)に開示されたポリマーである。上部層の被覆厚さは好ましくは0.10〜2.0g/m、より好ましくは0.20〜1.5g/m、最も好ましくは0.25〜1.0g/mである。別の実施態様では、上部層はフィルム形成親水性ポリマー又は界面活性剤、所望により上述のようなゴム溶液の他の化合物を含んでもよい。
【0079】
像に従った露光工程はレーザ、例えば約830nm付近を放出するレーザダイオード、約1060nm付近を放出するNdYAGレーザ、約400nm付近を放出する紫レーザもしくはArレーザの如きガスレーザによって、デジタル変調UV露光、例えばデジタル鏡装置によって、又はマスクと接触した従来の露光によって実施されることができる。レーザ露光及びデジタル変調UV露光が好ましい。
【0080】
本発明の別の実施態様によれば、現像工程は現像時に被覆を摩擦及び/又はブラシ掛けするための少なくとも一つのローラを与えられたゴム塗布ユニットにおけるゴム溶液でオフプレスで実施される。このゴム塗布ユニットを使用することによって非露光被覆領域は高スピードで、より完全に支持体から除去されることができる。
【0081】
本発明の別の好ましい実施態様によれば、露光工程はプリカーサが周囲光から遮蔽される運搬手段によってゴム塗布ユニットに機械的に結合されるプレートセッターで実施される。
【実施例】
【0082】
実施例1及び2
実施例1及び2において本発明は紫感光性の光重合可能な組成物について実証される。
【0083】
実施例1
印刷版プリカーサの調製
実施例1に使用された成分:
(A)2−ブタノンにおいて32.4重量%のメチルメタクリレート/メタクリル酸コポリマー(4:1のメチルメタクリレート/メタクリル酸の重量比;酸価:110mgKOH/g)を含有する溶液(25℃で粘度105mm/s)。
(B)1molの2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート及び2molのヒドロキシエチルメタクリレートからの反応生成物の88.2重量%を含有する溶液(25℃で粘度3.30mm/s)。
(C)Mono Z1620,1molのヘキサメチレンジイソシアネート、1molの2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び0.5molの2−(2−ヒドロキシエチル)−ピペリジンからの30.1重量%の反応生成物を含有する2−ブタノンにおける溶液(25℃で粘度1.7mm/s)。
(D)1,4−ジスチリル−(3,5−トリメトキシ、4−(2−ブチル)オキシ)ベンゼン。
(E)Heliogene blue D7490(登録商標)分散液(9.9重量%,25℃で粘度7.0mm/s),BASF AGの商品名、EP 1072956に規定。
(F)2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2−ビスイミダゾール。
(G)2−メルカプトベンゾチアゾール。
(H)Edaplan LA411(登録商標)(Dowanol PM(登録商標)における1重量%,Dow Chemical Companyの商品名)。
(I)2−ブタノン。
(J)プロピレングリコール−モノメチルエーテル(Dowanol PM(登録商標)、Dow Chemical Companyの商品名)。
(K)部分的に加水分解されたポリ(ビニルアルコール)(20℃における4重量%の水溶液において粘度4mPa.s、鹸化の程度88mol%)。
(L)完全に加水分解されたポリ(ビニルアルコール)(20℃における4重量%の水溶液において粘度6mPa.s、鹸化の程度98mol%)。
(M)部分的に加水分解されたポリ(ビニルアルコール)(20℃における4重量%の水溶液において粘度8mPa.s、鹸化の程度88mol%)。
(N)Acticide LA1206;Thorから商業的に入手可能な殺生物剤。
(O)Metolat FC 355(エトキシル化エチレンジアミン;Muenzing Chemieから商業的に入手可能)。

(P)Lutensol A8(90重量%)(BASFから商業的に入手可能な界面活性剤)。
(Q)水。
【0084】
A)光重合可能な組成物の調製及び被覆
表1に特定された成分を混合することによって組成物が調製された(pw=重量部;wt%=重量パーセント)。この組成物は、電気化学的に粗面化されかつ陽極酸化されたアルミニウムシート上に被覆され、その表面はポリ(ビニルホスホン)酸の水溶液(酸化物重量3g/m)での処理によって親水性にされ、105℃で乾燥された。層の生じた厚さは1.5g/mであった。
【0085】

【0086】
B)上部層の調製及び被覆
光重合可能な層の上に表2に規定されたような組成の水溶液(2.0重量%含有)を被覆し、次いで120℃で2分間乾燥した。

上部層は0.95g/mの乾燥厚さを有していた。
【0087】
印刷版の調製
版を40μJ/cmのエネルギー密度で像形成した。像形成は392〜417nmを放出する紫レーザダイオードを備えた実験用紫プレートセッター装置(平床システム)で実施された。以下の像形成条件が使用された:
走査スピード:1000m/s
可変像平面パワー:0〜10.5mW
スポット径:20μm
アドレス指定能力:1270dpi
【0088】
像形成後に版が100℃で1分間予備加熱された。予備加熱工程後、版はTHERMOTECT(TECHNOVAから商業的に入手可能なベーキング/ゴム溶液)で清浄された。ゴム塗布溶液は8.36のpHを有していた。非像領域はゴム塗布工程によって除去された。得られた像は1.06のシアン濃度(GretagMacbeth D19C濃度計で測定)を有していた。版はHeidelberg GT046印刷機上で試験され、良好な印刷物が得られた。
【0089】
実施例2
実施例1で調製された像形成要素を、実施例1で規定されたのと同じ実験用プレートセッターを使用して予備加熱工程なしで500μJ/cmで露光した。次に版をTHERMOTECTゴム溶液(TECHNOVAから商業的に入手可能なベーキング/ゴム溶液)で清浄した。非像領域はこの清浄工程によって除去された。得られた像は1.06のシアン濃度(GretagMacbeth D19C濃度計で測定)を有していた。版はHeidelberg GT046印刷機上で試験され、良好な印刷物が得られた。
【0090】
実施例3
この実施例では本発明はIR感受性の光重合可能な組成物に対して実証される。
【0091】
印刷版プリカーサの調製
実施例で使用された成分
(A)2−ブタノンにおいて32.8重量%のメチルメタクリレート/メタクリル酸コポリマー(4:1のメチルメタクリレート/メタクリル酸の重量比;酸価:110mgKOH/g)を含有する溶液(25℃で粘度105mm/s)。
(B)1molの2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート及び2molのヒドロキシエチルメタクリレートからの反応生成物の86.8重量%を含有する溶液(25℃で粘度3.30mm/s)。
(C)S0094(FEW Chemicalsから商業的に入手可能なIR色素)。
(D)Heliogene blue D7490(登録商標)分散液(9.9重量%,25℃で粘度7.0mm/s),BASF AGの商品名、EP 1072956に規定。
(E)2,4−ビス−トリクロロメチル−6−ジフェニル−4−イル−[1,3,5]トリアジン。
(F)Edaplan LA411(登録商標)(Dowanol PM(登録商標)における1重量%,Dow Chemical Companyの商品名)。
(G)2−ブタノン。
(H)プロピレングリコール−モノメチルエーテル(Dowanol PM(登録商標)、Dow Chemical Companyの商品名)。
(I)完全に加水分解されたポリ(ビニルアルコール)(20℃における4重量%の水溶液において粘度6mPa.s、鹸化の程度98mol%)。
(J)部分的に加水分解されたポリ(ビニルアルコール)(20℃における4重量%の水溶液において粘度8mPa.s、鹸化の程度88mol%)。
(K)ポリビニルピロリドン(k値=30)。
(L)水。
【0092】
A)光重合可能な組成物の調製及び被覆
表3に特定された成分を混合することによって組成物が調製された(pw=重量部;wt%=重量パーセント)。この組成物は、電気化学的に粗面化されかつ陽極酸化されたアルミニウムシート上に被覆され、その表面はポリ(ビニルホスホン)酸の水溶液(酸化物重量3g/m)での処理によって親水性にされ、105℃で乾燥された。層の生じた厚さは1.5g/mであった。
【0093】

【0094】
B)上部層の調製及び被覆
光重合可能な層の上に表4に規定されたような組成の水溶液(2.0重量%含有)を被覆し、次いで120℃で2分間乾燥した。
【0095】

上部層は1.50g/mの乾燥厚さを有していた。
【0096】
印刷版の調製
版を80mJ/cmのエネルギー密度で像形成した。像形成をCreo Trendsetter 3244Tで実施した。次に、版を100℃で1分間予備加熱した。
【0097】
予備加熱工程後、版をTHERMOTECT(TECHNOVAから商業的に入手可能なベーキング/ゴム溶液)で清浄した。非像領域はゴム塗布工程によって除去された。得られた像は1.17のシアン濃度(GretagMacbeth D19C濃度計で測定)を有していた。版はHeidelberg GT046印刷機上で試験され、良好な印刷物が得られた。
【0098】
実施例4〜7
印刷版プリカーサの調製
実施例で使用された成分
(B)1molの2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート及び2molのヒドロキシエチルメタクリレートからの反応生成物の88.2重量%を含有する溶液(25℃で粘度3.30mm/s)。
(C)Mono Z1620,1molのヘキサメチレンジイソシアネート、1molの2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び0.5molの2−(2−ヒドロキシエチル)−ピペリジンからの反応生成物の30.1重量%を含有する2−ブタノンにおける溶液(25℃で粘度1.7mm/s)。
(D)1,4−ジスチリル−(3,5−トリメトキシ、4−(2−ブチル)オキシ)ベンゼン。
(E)Heliogene blue D7490(登録商標)分散液(9.9重量%,25℃で粘度7.0mm/s),BASF AGの商品名、EP 1072956に規定。
(F)Hostanox 03,Clariantからのフェノール系酸化防止剤。
(G)2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2−ビスイミダゾール。
(H)2−メルカプトベンゾチアゾール。
(I)Edaplan LA411(登録商標)(Dowanol PM(登録商標)における10重量%,Dow Chemical Companyの商品名)。
(J)2−ブタノン。
(K)プロピレングリコール−モノメチルエーテル(Dowanol PM(登録商標)、Dow Chemical Companyの商品名)。
(L)部分的に加水分解されたポリ(ビニルアルコール)(20℃における4重量%の水溶液において粘度4mPa.s、鹸化の程度88mol%)。
(M)完全に加水分解されたポリ(ビニルアルコール)(20℃における4重量%の水溶液において粘度6mPa.s、鹸化の程度98mol%)。
(N)部分的に加水分解されたポリ(ビニルアルコール)(20℃における4重量%の水溶液において粘度8mPa.s、鹸化の程度88mol%)。
(O)Acticide LA1206;Thorから商業的に入手可能な殺生物剤。
(P)Lupasol P(BASFから商業的に入手可能な、水におけるポリエチレンイミン50%)。
(Q)Lutensol A8(90重量%)(BASFから商業的に入手可能な界面活性剤)。
(R)水。
【0099】
A)光重合可能な組成物の調製及び被覆
表5に特定された成分を混合することによって組成物が調製された(pw=重量部;wt%=重量パーセント)。この組成物は、電気化学的に粗面化されかつ陽極酸化されたアルミニウムシート上に被覆され、その表面はポリ(ビニルホスホン)酸の水溶液(酸化物重量3g/m)での処理によって親水性にされ、105℃で乾燥された。層の生じた厚さは1.5g/mであった。
【0100】

(1)PVP/VA I−335(50%イソプロピルアルコール)はISPから入手可能なコ(ビニルピロリドン−酢酸ビニル)コポリマーである。
(2)PVP/VA S−630(20% Dowanol)はISPから入手可能なコ(ビニルピロリドン−酢酸ビニル)コポリマーである。
(3)Luvitec K90(Dowanol中に20%)はBASFから入手可能なポリビニルピロリドンである。
(4)PVCB(Dowanol中に20%)はCLARIANTから入手可能な、無水フタル酸とPOVAL405の反応生成物である(POVAL405はKURARAYから入手可能な、酢酸ビニルとビニルアルコールのコポリマーである)。
【0101】
B)上部層の調製及び被覆
これらの光重合可能な層の上部に、表6に規定された組成の水溶液(2.0重量%含有)を被覆し、次いで120℃で2分間乾燥した。上部層は1.75g/mの乾燥厚さを有していた。
【0102】

【0103】
版を57μJ/cmのエネルギー密度で像形成した。像形成は392〜417nmを放出する紫レーザダイオードを備えた実験用紫プレートセッター装置(平床システム)で実施された。以下の像形成条件が使用された:
走査スピード:1000m/s
スポット径:20μm
アドレス指定能力:1270dpi
【0104】
各版を幾つかの部分に分割し、これらの部分の幾つかを予備加熱工程あり及びなしで処理し、116℃で20秒間実施し、表7に示した様々な溶液において室温で処理した(Gum−1,Gum−2又は水)。表7は様々な溶液で処理した後の非露光領域の清浄結果を要約する。評価0は像形成なしを示し、評価1は不十分な清浄で劣った像形成を示し、評価2は良好な像区別及び良好な清浄を示し、評価3は優れた清浄で良好な像区別を示す。評価3及び評価2は十分な清浄に相当し(本発明例)、評価0及び評価1は不十分な清浄に相当する(比較例)。
【0105】
Gum−1は下記のように調製された溶液である:
750gの脱イオン水に、
100mlのDowfax 3B2(Dow Chemicalから商業的に入手可能)、
31.25gの1,3−ベンゼンジスルホン酸ジナトリウム塩(Riedel de Haanから入手可能)、
31.25mlのVersa TL77(Alco Chemicalから入手可能なポリスチレンスルホン酸)、
10.4gのトリナトリウムクエン酸二水和物、
2mlのActicide LA1206(Thorからの殺生物剤)、
2.08gのPolyox WSRN−750(Union Carbideから入手可能)を、撹拌下で添加し、脱イオン水をさらに添加して1000gにした。
pHは7.2〜7.8である。
【0106】
Gum−2は下記のようにして調製された溶液である。
700gの脱イオン水に、
77.3mlのDowfax 3B2(Dow Chemicalから商業的に入手可能)、
32.6gのトリナトリウムクエン酸二水和物、
9.8gのクエン酸を、
撹拌下で添加し、脱イオン水をさらに添加して1000gにした。
次に、この溶液の5000gに、95gの燐酸トリナトリウムを添加した。
この溶液は10重量%の燐酸トリナトリウムの溶液でpH=7にもたらされた。
【0107】

表7中の実施例は、清浄が不十分である水での処理に比べて、本発明のゴム溶液で処理された版に対して得られた改良された清浄を実証する。
【0108】
実施例8〜11
印刷版プリカーサの調製
実施例に使用された成分
(B)1molの2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート及び2molのヒドロキシエチルメタクリレートからの反応生成物の88.2重量%を含有する溶液(25℃で粘度3.30mm/s)。
(C)Mono Z1620,1molのヘキサメチレンジイソシアネート、1molの2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び0.5molの2−(2−ヒドロキシエチル)−ピペリジンからの反応生成物の30.1重量%を含有する2−ブタノンにおける溶液(25℃で粘度1.7mm/s)。
(D)1,4−ジスチリル−(3,5−トリメトキシ、4−(2−ブチル)オキシ)ベンゼン。
(E)Heliogene blue D7490(登録商標)分散液(9.9重量%,25℃で粘度7.0mm/s),BASF AGの商品名、EP 1072956に規定。
(F)Hostanox 03,Clariantからのフェノール系酸化防止剤。
(G)2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2−ビスイミダゾール。
(H)2−メルカプトベンゾチアゾール。
(I)Edaplan LA411(登録商標)(Dowanol PM(登録商標)における10重量%,Dow Chemical Companyの商品名)。
(J)2−ブタノン。
(K)プロピレングリコール−モノメチルエーテル(Dowanol PM(登録商標)、Dow Chemical Companyの商品名)。
(L)部分的に加水分解されたポリ(ビニルアルコール)(20℃における4重量%の水溶液において粘度4mPa.s、鹸化の程度88mol%)。
(M)完全に加水分解されたポリ(ビニルアルコール)(20℃における4重量%の水溶液において粘度6mPa.s、鹸化の程度98mol%)。
(N)部分的に加水分解されたポリ(ビニルアルコール)(20℃における4重量%の水溶液において粘度8mPa.s、鹸化の程度88mol%)。
(O)Acticide LA1206;Thorから商業的に入手可能な殺生物剤。
(P)Lupasol P(BASFから商業的に入手可能な、水におけるポリエチレンイミン50%)。
(Q)Lutensol A8(90重量%)(BASFから商業的に入手可能な界面活性剤)。
(R)水。
【0109】
A)光重合可能な組成物の調製及び被覆
表8に特定された成分を混合することによって組成物が調製された(pw=重量部;wt%=重量パーセント)。この組成物は、電気化学的に粗面化されかつ陽極酸化されたアルミニウムシート上に被覆され、その表面はポリ(ビニルホスホン)酸の水溶液(酸化物重量3g/m)での処理によって親水性にされ、105℃で乾燥された。層の生じた厚さは1.5g/mであった。
【0110】

(1)Gantrez ES425はISPから入手可能なコ(ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸)の(半)ブチルエステルである。
(2)Gantrez ES435はISPから入手可能なコ(ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸)の(半)ブチルエステルである。
(3)Gantrez A425はISPから入手可能なコ(ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸)の(半)ブチルエステルである。
【0111】
B)上部層の調製及び被覆
これらの光重合可能な層の上部に、表9に規定された組成の水溶液(2.0重量%含有)を被覆し、次いで120℃で2分間乾燥した。上部層は1.75g/mの乾燥厚さを有していた。
【0112】

【0113】
版を57μJ/cmのエネルギー密度で像形成した。像形成は392〜417nmを放出する紫レーザダイオードを備えた実験用紫プレートセッター装置(平床システム)で実施された。以下の像形成条件が使用された:
走査スピード:1000m/s
スポット径:20μm
アドレス指定能力:1270dpi
【0114】
各版を幾つかの部分に分割し、これらの部分の幾つかを予備加熱工程あり及びなしで処理し、116℃で20秒間実施し、表10に示した様々な溶液において室温で処理した(本発明例に対してGum−1及びGum−2、比較例として水)。表10は様々な溶液で処理した後の非露光領域の清浄結果を要約する。評価0は像形成なしを示し、評価1は不十分な清浄で劣った像形成を示し、評価2は良好な像区別及び良好な清浄を示し、評価3は優れた清浄で良好な像区別を示す。評価3及び評価2は十分な清浄に相当し(本発明例)、評価0及び評価1は不十分な清浄に相当する(比較例)。
【0115】

【0116】
表10中の実施例は、清浄が不十分である水での処理に比べて、本発明のゴム溶液で処理された版に対して得られた改良された清浄を実証する。
【0117】
実施例12〜17
印刷版プリカーサの調製
実施例で使用された成分
(B)1molの2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート及び2molのヒドロキシエチルメタクリレートからの反応生成物の88.2重量%を含有する溶液(25℃で粘度3.30mm/s)。
(C)Mono Z1620,1molのヘキサメチレンジイソシアネート、1molの2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び0.5molの2−(2−ヒドロキシエチル)−ピペリジンからの反応生成物の30.1重量%を含有する2−ブタノンにおける溶液(25℃で粘度1.7mm/s)。
(D)1,4−ジスチリル−(3,5−トリメトキシ、4−(2−ブチル)オキシ)ベンゼン。
(E)Heliogene blue D7490(登録商標)分散液(9.9重量%,25℃で粘度7.0mm/s),BASF AGの商品名、EP 1072956に規定。
(F)Hostanox 03,Clariantからのフェノール系酸化防止剤。
(G)2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2−ビスイミダゾール。
(H)2−メルカプトベンゾチアゾール。
(I)Edaplan LA411(登録商標)(Dowanol PM(登録商標)における10重量%,Dow Chemical Companyの商品名)。
(J)2−ブタノン。
(K)プロピレングリコール−モノメチルエーテル(Dowanol PM(登録商標)、Dow Chemical Companyの商品名)。
(L)部分的に加水分解されたポリ(ビニルアルコール)(20℃における4重量%の水溶液において粘度4mPa.s、鹸化の程度88mol%)。
(M)完全に加水分解されたポリ(ビニルアルコール)(20℃における4重量%の水溶液において粘度6mPa.s、鹸化の程度98mol%)。
(N)部分的に加水分解されたポリ(ビニルアルコール)(20℃における4重量%の水溶液において粘度8mPa.s、鹸化の程度88mol%)。
(O)Acticide LA1206;Thorから商業的に入手可能な、殺生物剤。
(P)Lupasol P(BASFから商業的に入手可能な、水におけるポリエチレンイミン50%)。
(Q)Lutensol A8(90重量%)(BASFから商業的に入手可能な界面活性剤)。
(R)水。
【0118】
A)光重合可能な組成物の調製及び被覆
表11に特定された成分を混合することによって組成物が調製された(pw=重量部;wt%=重量パーセント)。この組成物は、電気化学的に粗面化されかつ陽極酸化されたアルミニウムシート上に被覆され、その表面はポリ(ビニルホスホン)酸の水溶液(酸化物重量3g/m)での処理によって親水性にされ、105℃で乾燥された。層の生じた厚さは1.5g/mであった。
【0119】

(1)Luvitec Vcap K43E(エタノールにおける40%)はBASFから入手可能なポリビニルカプロラクタムである。
(2)Agrimer AL−10 LC(20% Dowanol)はISPから入手可能なブチル化ポリ(ビニルピロリドン)である。
(3)Antaron V516(イソプロパノールにおける50%)はMAPRICから入手可能な、ヘキサデセンでグラフトされたポリビニルピロリドンである。
(4)PVP/VA I−535(50%イソプロパノール)はISPから入手可能な、ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマーである。
(5)PVP/VA I−735(50%イソプロパノール)はISPから入手可能な、ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマーである。
(6)Luvitec K30(20% Dowanol)はBASFから入手可能なポリビニルピロリドンである。
【0120】
B)上部層の調製及び被覆
これらの光重合可能な層の上部に、表12に規定された組成の水溶液(2.0重量%含有)を被覆し、次いで120℃で2分間乾燥した。上部層は1.75g/mの乾燥厚さを有していた。
【0121】

【0122】
版を57μJ/cmのエネルギー密度で像形成した。像形成は392〜417nmを放出する紫レーザダイオードを備えた実験用紫プレートセッター装置(平床システム)で実施された。以下の像形成条件が使用された:
走査スピード:1000m/s
スポット径:20μm
アドレス指定能力:1270dpi
【0123】
各版を幾つかの部分に分割し、これらの部分の幾つかを予備加熱工程あり及びなしで処理し、116℃で20秒間実施し、表13に示した様々な溶液において室温で処理した(本発明例に対してGum−1及びGum−2、比較例として水)。表13は様々な溶液で処理した後の非露光領域の清浄結果を要約する。評価0は像形成なしを示し、評価1は不十分な清浄で劣った像形成を示し、評価2は良好な像区別及び良好な清浄を示し、評価3は優れた清浄で良好な像区別を示す。評価3及び評価2は十分な清浄に相当し(本発明例)、評価0及び評価1は不十分な清浄に相当する(比較例)。
【0124】

良好な清浄は表13の実施例によって実証されるようにゴム溶液で処理された版に対して得られた。
【0125】
実施例18〜21
表14に特定された成分を混合することによって組成物が調製された(pw=重量部;wt%重量パーセント)。溶液は、電気化学的に粗面化されかつ陽極酸化されたアルミニウムシート上に被覆され、その表面はポリビニルホスホン酸の水溶液(酸化物重量3g/m)での処理によって親水性にされ、120℃で1分間乾燥された(循環炉)。
【0126】

【0127】
(1)Alcotex 552PはSynthomerから得られたポリビニルアルコールの40%水溶液(加水分解度=55%)である。
(2)Mowiol 10−74はClariantから得られた部分的に加水分解されたポリビニルアルコールのDowanol/水(76.8%/19.2%)の4%溶液(加水分解度74%、20℃で4重量%の溶液の粘度10mPa.s)である。
(3)IR色素は下記構造を有する:

(4)Triazine BU1549はClariantからの2−[1,1′−ビフェニル]−4−イル−4,6− ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンである。
(5)TBMPSはトリブロモメチルフェニルスルホンである。
(6)FST426Rは1molの2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネートと2molのヒドロキシエチルメタクリレートの反応生成物の88.2重量%を含有する2−ブタノンにおける溶液(25℃で粘度3.30mm/秒)である。
(7)Edaplan LA411はMunzing Chemieから得られた界面活性剤(Dow Chemical CompanyのDowanol PM(登録商標)商品名における1%溶液)である。
(8)Dowanol PMはDow Chemicalから得られたプロピレングリコールモノメチルエーテルである。
【0128】
感光性層の上部に表15に規定された組成の水溶液を被覆し、110℃で2分間乾燥した。そうして形成された保護オーバーコートは2.0g/mの乾燥厚さを有していた。
【0129】

【0130】
オーバーコート層の乾燥後、版を50〜275mJ/cmの異なるエネルギーでCreo Trendsetter IRレーザ(830nm)で像形成し、次いでVSP 85S処理器の予備加熱区域(110℃)に通過させた。
【0131】
予備加熱工程後、表16に示したようにGum−2又はGum−3を用いたAzura C120又はAgfa HWP450処理器でのゴム塗布工程を行なった。全ての版は優れた清浄を示す。次いで版をK+E 800インク及びAgfa Prima FS101給湿液及び圧縮可能なブランケットを有するGTO−46印刷機上で印刷した。オフセット紙上に1000を越える走行長さの印刷物が印刷された。感度は劣化しないシャープな印刷像が1000ページで見ることができる最小エネルギーで測定された。これらの実験では、Dmax>1.5及びDmin=0.0であった。結果を表16に示す。
【0132】
Gum−3は下記のようにして調製された溶液である:
700gの脱イオン水に、
77.3mlのDowfax 3B2(Dow Chemicalから商業的に入手可能)、
32.6gのトリナトリウムクエン酸二水和物、
9.8gのクエン酸を撹拌下で添加し、脱イオン水をさらに添加して1000gにした。
pHは4.8〜5.2である。
【0133】

【0134】
実施例22
表17に特定された成分を混合することによって組成物が調製された(pw=重量部;wt%重量パーセント)。溶液は、電気化学的に粗面化されかつ陽極酸化されたアルミニウムシート上に被覆され、その表面はポリビニルホスホン酸の水溶液(酸化物重量3g/m)での処理によって親水性にされ、120℃で1分間乾燥された(循環炉)。
【0135】

【0136】
感光性層の上部に表15に規定された組成の水溶液を被覆し、110℃で2分間乾燥した。そうして形成された保護オーバーコートは2.0g/mの乾燥厚さを有していた。
【0137】
版を、392〜417nmを放出する紫レーザダイオードを備えたPolaris紫プレートセッター装置(平床システム)によって像形成し、次いでVSP 85S処理器の予備加熱区域(110℃)に通過させた。下記の像形成条件を使用した:
走査スピード:600又は1000m/秒
可変像平面パワー:0〜25mW
スポット径:20μm
アドレス指定能力:1270dpi
【0138】
予備加熱工程後、Gum−3溶液を用いるHWP450処理器におけるゴム塗布工程を行なった。版は優れた清浄を示す。次いで版をK+E800インク及びAgfa Prima FS101給湿液及び圧縮可能なブランケットを有するGTO−46印刷機上で印刷した。オフセット紙上に250を越える走行長さの印刷物を印刷した。感度は劣化しないシャープな印刷像が250頁の印刷物で見ることができる最小エネルギー(68μJ/cm)で測定された。この実験では、Dmax>1.0及びDmin=0.0であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平版印刷版の製造方法であって、
a)(i)親水性表面を有するか又は親水性層を与えられた支持体、及び(ii)光重合可能な層を含む、前記支持体上の被覆、を含む平版印刷版プリカーサを準備する、
b)プレートセッターにおいて前記被覆を像に従って露光する、
c)プリカーサを現像し、それによって支持体から被覆の非露光領域を除去する、
工程を含む方法において、
現像工程がプリカーサの被覆をゴム溶液で処理することによってゴム塗布ユニットにおいてオフプレスで実施されることを特徴とする方法。
【請求項2】
プレートセッターが、プリカーサが周囲光から遮蔽される運搬手段によってゴム塗布ユニットに機械的に結合される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ゴム塗布ユニットが現像時に被覆を摩擦するか及び/又はブラシ掛けするための少なくとも一つのローラを与えられている請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記光重合可能な層が光重合可能なモノマー又はオリゴマー及び前記モノマー又はオリゴマーを露光で硬化しうる開始剤を含む請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記光重合可能なモノマー又はオリゴマーが少なくとも一つの末端エチレン基を有するエチレン不飽和化合物であり、前記開始剤がフリーラジカルを発生しうる化合物である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記光重合可能な層が600〜200000の平均分子量Mw及び10〜250の酸価又は50〜750のヒドロキシル価を有するポリマーをさらに含む請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマーが脂肪族又は芳香族ヒドロキシル基を有する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
脂肪族又は芳香族ヒドロキシル基を有する前記ポリマーがヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、ヒドロキシスチレン又はビニルアルコールの単位を含有するコポリマーである請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマーが酢酸ビニルとビニルアルコールのコポリマーである請求項6又は7に記載の方法。
【請求項10】
酢酸ビニルとビニルアルコールの前記コポリマーが10〜98mol%のビニルアルコールを含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
酢酸ビニルとビニルアルコールの前記コポリマーが20℃で4重量%水溶液として測定すると3〜60mPa.sの範囲の粘度を有する請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記光重合可能な層がビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン又はアルキル化ビニルピロリドンをモノマー単位として有するポリマーをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記光重合可能な層が像に従った露光の工程に使用される光を吸収しうる増感剤をさらに含む請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記増感剤が青、緑又は赤の光を吸収しうる請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記増感剤が紫の光を吸収しうる請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記増感剤が赤外光を吸収しうる請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記光重合可能な層が0.1〜4g/mの範囲の厚さを有する請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記光重合可能な層が非イオン性界面活性剤をさらに含む請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記非イオン性界面活性剤が被覆の0.1〜30重量%の範囲の量で存在する請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記被覆が着色剤をさらに含む請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記被覆が酸素バリヤー層として作用する上部層をさらに含む請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記上部層が非イオン性界面活性剤を含む請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記上部層が0.10〜2.0g/mの範囲の層厚さを有する請求項20又は21に記載の方法。
【請求項24】
前記ゴム溶液が3〜9のpHを有する請求項1〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記ゴム溶液が4.5〜8.5のpHを有する請求項1〜24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記ゴム溶液がフィルム形成親水性ポリマー又は界面活性剤を含む請求項1〜25のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2007−538279(P2007−538279A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517260(P2007−517260)
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【国際出願番号】PCT/EP2005/052298
【国際公開番号】WO2005/111727
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(591023136)アグファ・ゲヴェルト・ナームロゼ・ベンノートチャップ (20)
【氏名又は名称原語表記】AGFA−GEVAERT NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】