説明

感光性樹脂組成物およびその用途

【課題】物理的および化学的耐性が共に良好である感光性樹脂組成物を提供すること。特に、電子装置中の絶縁材料としての使用、または半導体装置の不動態化フィルム、表面保護フィルム、緩衝体コーティング層もしくは層間絶縁フィルムの生成に適合させた、ポリイミドを含む感光性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】式(I)の感光性ポリイミドと、
[化1]


アクリレートモノマーと、
光開始剤と
を含み、
式中、A、B、D、J、mおよびnは、本明細書で定義するとおりである感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理的および化学的耐性が共に良好である感光性樹脂組成物に関する。特に、本発明は、電子装置中の絶縁材料としての使用、または半導体装置の不動態化フィルム、表面保護フィルム、緩衝体コーティング層もしくは層間絶縁フィルムの生成に適合させた、ポリイミドを含む感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、軽量、薄型かつ小型の電子製品に対する要望に後押しされて、様々な電子部品のサイズがますます小型化している。したがって、軽量、薄型および高温耐性を特徴とするとともに、大量生産が可能であるフレキシブルプリント回路基板(FPCB)の開発が急速に進んでいる。FPCBは、携帯電話、液晶ディスプレイ(LCD)、ポリマー発光ダイオード(PLED)および有機LEDなどのほとんどすべての普及している電子製品の中で見ることができる。FPCBは、旧来のシリコン基板およびガラス基板と比べて柔軟性が高いので、フレキシブルプリント回路(FPC)としても知られている。
【0003】
通常、FPCには、FPC上の銅回路を保護するためにカバーレイフィルムが設けられる。カバーレイフィルムの適切な材料は、望ましい耐熱性、寸法安定性、電気的および化学的耐性を示さなければならない。一般に、カバーレイフィルムは、以下の手法を用いてFPC上に積層される。カバーレイフィルムはまず、FPCの回路に対応する開口部を有する指定の形態に加工し、次いで、カバーレイフィルムの片面に接着層を形成し、カバーレイフィルムをFPCと位置合わせしてFPCに付着させる。最後に、カバーレイフィルムをFPCに熱圧プレスする。しかし、この手法では、非常に薄いカバーレイフィルムに加工を施し、開口部を作る必要があり、またカバーレイフィルムをFPCに密着させる作業はほとんどすべてを、手作業で行わなければならないので、この手法には、製造歩留りが悪く、コスト高であるなどの欠点がある。
【0004】
知られているように、上述の問題は、感光性材料の使用によって克服することができる。当技術分野で一般に使用される感光性材料は、主としてエポキシ樹脂およびアクリル酸樹脂からなる。しかし、エポキシ樹脂およびアクリル酸樹脂製のカバーレイフィルムの耐熱性、絶縁性、耐薬品性および機械強度は、高性能製品に使用するのには十分でない。
【0005】
別の従来型の感光性樹脂として、感光性基をポリイミドに導入することにより得られる感光性ポリイミド(PSPI)がある。PSPIを使用することにより、製造歩留りが悪く、人件費が高いという上述の問題を克服することができる。その上、ポリイミドは、優れた熱安定性を有し、その申し分のない機械的、電気的および化学的性質ならびに難燃性は、UL−94V0規格も満たしている。したがって、PSPIは、より密集し、より細い線を有する高性能FPCへの使用に非常に適する。
【0006】
従来型のPSPIは、一般にそのポリアミド酸またはポリアミドエステル前駆体から作られる。たとえば、Toray Industries Incorporationは、感光性基を有する第三級アミンが、ポリアミド酸のカルボキシル(−COOH)とイオン結合を形成するようにすることにより、感光性材料を製造している。その製造法を以下に示す。
【0007】
[化1]


しかし、このようにして製造された感光性材料は、所望のポリイミドを得るのに300℃より高温で後硬化させなければならない。残念なことに、FPC上の銅回路は、そのような高温では酸化しやすく、それが製品の電気的性質および信頼性に不都合な影響を及ぼすことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−345007号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
高温後硬化工程によって引き起こされる銅回路の酸化の問題を解消するために、特開2003−345007号は、高温後硬化工程なしで調製される種類のPSPIを開示している。この出願によれば、第三級アミン基を有するアクリレートモノマーを、−COOH基を主鎖に有する可溶性ポリイミドと反応させることにより、ネガ型PSPIを生成する。しかし、第三級アミン基を有するアクリレートモノマーは、水に曝されると、開環反応によってポリイミドの安定性を低下させることもあるアルカリ物質を生成する傾向がある。さらに、これによって、引き続く後硬化工程の間にフィルムが縮んで、現像後の回路パターンのゆがみを引き起こすことにもなりかねない。したがって、この種類のポリイミドは、厚さが10μm未満のカバーレイフィルムの製造にしか適さない。より厚いポリイミド層のカバーレイフィルムを製造しようとする場合、この手法の使用は限られることになる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、
式(I)の感光性ポリイミドと、
【0011】
[化2]

アクリレートモノマーと、
光開始剤と
を含み、
式中、
AおよびJは、それぞれ独立に、四価の有機基であり、
BおよびDは、それぞれ独立に、二価の有機基であり、
nは、0または0より大きい整数であり、
mは、0より大きい整数であり、
AおよびBの少なくとも一方は、
【0012】
[化3]

からなる群から選択される1個または複数の感光性基G*を有し、
式中、
Rは、−C=C−を有する不飽和基であり、または
【0013】
[化4]

からなる群から選択され、R1は、置換または未置換の飽和または不飽和C1〜C20有機基であり、R2は、−C=C−を有する不飽和基であり、
10は、アクリレート基を有する不飽和基である、感光性樹脂組成物を提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、
上述の組成物を基板上に適用すること、
前記基板上で露光ステップを実施すること、
前記基板上で現像ステップを実施すること、および
前記基板を約100oC〜約200oCの範囲の温度で熱処理すること
を含む、ポリイミド回路の形成方法を提供することである。
【0015】
本発明の感光性樹脂組成物は、FPCのカバーレイフィルムの製造に使用する場合、後硬化温度がより低くて済み、これがエネルギーの節約になる。さらに、本発明の感光性樹脂組成物を使用すると、厚さが25μmを超えるカバーレイフィルムを製造することができるので、これについての工業的要求も完全に満たされる。
【0016】
本発明を実施するための詳細な工業技術および好ましい実施形態について、特許を請求する本発明の特徴が当業者に十分に理解されるように、以下の段落に記載する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明の一部の実施形態について詳述する。しかし、本発明は、本発明の真意から逸脱することなく異なる様々な形態で実行することもできる。本発明の範囲は、本明細書で例示することに限定されるとは理解されないものとする。
【0018】
本発明の感光性樹脂組成物は、
式(I)の感光性ポリイミドと、
【0019】
[化5]

アクリレートモノマーと、
光開始剤とを含み、
式中、
AおよびJは、それぞれ独立に、四価の有機基であり、
BおよびDは、それぞれ独立に、二価の有機基であり、
nは、0または0より大きい整数であり、
mは、0より大きい整数であり、
AおよびBの少なくとも一方は、
【0020】
[化6]

からなる群から選択される1個または複数の感光性基G*を有し、
式中、
Rは、−C=C−を有する不飽和基であり、または
【0021】
[化7]

からなる群から選択され、R1は、置換または未置換の飽和または不飽和C1〜C20有機基であり、R2は、−C=C−を有する不飽和基であり、
10は、アクリレート基を有する不飽和基である。
【0022】
上述の−C=C−を有する不飽和基は、
【0023】
[化8]


からなる群から選択されることが好ましく、
式中、
4およびR5は、それぞれ独立に、Hまたは置換もしくは未置換C1〜C7有機基であり、
6は、共有結合、−O−または置換もしくは未置換C1〜C20有機基である。
【0024】
より好ましくは、−C=C−を有する不飽和基は、
【0025】
[化9]


からなる群から選択され、
式中、zは、0〜6の範囲の整数である。
【0026】
最も好ましくは、上述の−C=C−を有する不飽和基は、
【0027】
[化10]

からなる群から選択され、
式中、zは、0〜6の範囲の整数である。
【0028】
1は、
【0029】
[化11]

からなる群から選択されるものでよい、置換または未置換の飽和または不飽和C1〜C20有機基であり、
式中、
rは、0より大きい整数であり、好ましくは1〜20の範囲の整数であり、
o、pおよびqは、それぞれ独立に、0または0より大きい整数であり、好ましくは0〜10の範囲の整数であり、
4、R5およびR6は、上で定義した意味を有し、
7は、Hまたは置換もしくは未置換C1〜C12有機基であり、
8は、共有結合であり、または
【0030】
[化12]

からなる群から選択される。
【0031】
1は、
【0032】
[化13]

からなる群から選択されることが好ましい。
【0033】
10は、アクリレート基を有する不飽和基である。本発明では、アクリレート基を有する不飽和基は、
【0034】
[化14]

であり、式中、R17は、Hまたはメチルであり、K1およびK2は、それぞれ独立に、0〜6の範囲であり、好ましくは2〜4の範囲の整数である。
【0035】
さらに、当業者であればわかるとおり、式(I)のnが0でないとき、感光性基を有する重合単位は、感光性基をもたない重合単位と共に配置されていてもよく、またはそれと不規則に組み合わせて配置されていてもよい。
【0036】
本発明の感光性樹脂組成物中に使用する式(1)のPSPIにおいて、式(1)のAは、
【0037】
[化15]

からなる群から選択されるものでよく、
式中、
Mは、感光性基G*、H、COOH、OH、NH2またはSHであり、G*は、上で定義した意味を有し、
13は、−CH2−、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−C(CH32−または−C(CF32−であり、
14は、−Hまたは−CH3であり、
Xは、−O−、−NH−または−S−である。
【0038】
式(1)のAは、
【0039】
[化16]

からなる群から選択されることが好ましく、
式中、Mは、上で定義したとおりである。
【0040】
本発明の感光性樹脂組成物中に使用する式(1)のPSPIにおいて、式(1)のJは、重合反応の結果として生じる酸無水物残基であり、
【0041】
[化17]

からなる群から選択されるものでよく、
式中、
13、R14およびXは、上で定義した意味を有し、
15は、−H、−OH、−COOH、−NH2または−SHである。
【0042】
Jは、
【0043】
[化18]





からなる群から選択されることが好ましい。
【0044】
本発明の感光性樹脂組成物中に使用する式(1)のPSPIにおいて、式(1)のBは、
【0045】
[化19]

からなる群から選択されるものでよく、
式中、
M”は、H、C1〜C4アルキル、C1〜C4ペルフルオロアルキル、メトキシ、エトキシ、ハロゲン、OH、COOH、NH2、SHまたは感光性基G*であり、G*は、上で定義した意味を有し、
S1およびS2は、それぞれ独立に、1〜4の範囲の整数であり、
tは、0より大きい整数であり、好ましくは1〜6の範囲の整数であり、
uは、0または0より大きい整数であり、好ましくは1〜12の範囲の整数であり、
vは、0または0より大きい整数であり、好ましくは1〜12の範囲の整数であり、
9は、H、メチル、エチルまたはフェニルであり、
11は、共有結合であり、または
−O−、−S−、−CH2−、−S(O)2−、
【0046】
[化20]

【0047】
[化21]

からなる群から選択され、
式中、wおよびxは、それぞれ独立に、0より大きい整数であり、好ましくは、wは1〜12の範囲の整数であり、xは1〜4の範囲の整数であり、S1は、上で定義した意味を有し、
12は、共有結合、−SO2−、−C(O)−、−C(CF32−または置換もしくは未置換C1〜C18有機基であり、R19は、HまたはC1〜C4アルキルである。
【0048】
式(1)のBは、
【0049】
[化22]





からなる群から選択されることが好ましく、
式中、M”、uおよびvは、上で定義したとおりであり、yは、1〜12、好ましくは1〜6の範囲の整数である。
【0050】
本発明の感光性樹脂組成物中に使用する式(1)のPSPIにおいて、式(1)のDに関しては特に制約がないが、二価の芳香族基、二価の脂肪族基またはシロキシ基を有する二価の基でよい。Dは、
【0051】
[化23]


からなる群から選択されることが好ましく、
式中、
R”は、H、C1〜C4アルキル、C1〜C4ペルフルオロアルキル、メトキシ、エトキシ、ハロゲン、OH、COOH、NH2またはSHであり、
C1およびC2は、それぞれ独立に、1〜4の範囲の整数であり、
a1およびa2は、それぞれ独立に、0より大きい整数であり、好ましくは、a1は1〜6の範囲の整数であり、a2は5〜15の範囲の整数であり、
9およびR11は、上で定義した意味を有する。
【0052】
式(I)のDは、
【0053】
[化24]









からなる群から選択されることがより好ましく、
式中、yは、1〜12、好ましくは1〜6の範囲の整数であり、R”およびa2は、上で定義した意味を有する。
【0054】
本発明の感光性樹脂組成物のPSPIは、従来の適切などんな方法によって調製してもよい。一般に、ジアミンモノマーを、反応性官能基(たとえば、OH、COOH、NH2またはSH)を含んでいる酸無水物モノマーと共に重合させるか、または酸無水物モノマーを、反応性官能基を含んでいるジアミンモノマーと共に重合させると、反応性官能基を有するポリイミドが得られる。次いで、得られるその生成物に、感光性基を有するエポキシアクリレート化合物またはイソシアネート化合物を付加して、得られるポリイミドを、感光性基を側鎖に有する感光性ポリイミドに変性させる。
【0055】
本発明においてポリイミドの変性に使用するイソシアネート化合物は、次の構造:O=C=N−R*[式中、R*は、−C=C−不飽和基を有する感光性基である]を有するものであるか、または以下の構造を有する基であり、
【0056】
[化25]

式中、R2は、−C=C−不飽和基を有する感光性基であり、R1は、上で定義した意味を有する。
【0057】
本発明においてポリイミドの変性に使用するエポキシアクリレート化合物は、以下の構造を有し、
【0058】
[化26]

式中、K1、K2およびR17は、上で定義した意味を有する。
【0059】
たとえば、本発明のPSPIは、以下の4通りの方法の1つによって調製することができる。
【0060】
(I)ジアミンモノマーを、反応性官能基を含んでいる酸無水物モノマーと共に重合させ、エポキシアクリレート化合物を付加して変性させる。反応スキームは、以下のように簡潔に説明される。
【0061】
(a)重合反応:
【0062】
[化27]

[式中、Gは反応性官能基であり、Arは四価の有機基であり、Ar’は二価の有機基であり、iは0より大きい整数であり、jは0または0より大きい整数である。]
【0063】
(b)変性:GがCOOHである場合、たとえば、ステップ(a)からの生成物にエポキシアクリレート化合物(たとえばメタクリル酸グリシジル)を加えると、COOHとの開環反応を経て、感光性基を側鎖に有するポリイミドが得られる。
【0064】
[化28]

[式中、f+g=iである。]
【0065】
(II)ジアミンモノマーを、反応性官能基を含んでいる酸無水物モノマーと共に重合させ、イソシアネート化合物を付加して変性させる。反応スキームは、以下のように簡潔に説明される。
【0066】
(a)重合反応:
【0067】
[化29]

[式中、G、Ar、Ar’、iおよびjは、上で定義した意味を有する。]
【0068】
(b)変性:GがCOOHである場合、たとえば、ステップ(a)からの生成物に式O=C=N−Rのイソシアネート化合物を加えてCOOHと反応させると、感光性基を側鎖に有するポリイミドが得られる。
【0069】
[化30]

[式中、f+g=iである。]
【0070】
(III)酸無水物モノマーを、反応性官能基を含んでいるジアミンモノマーと共に重合させ、イソシアネート化合物を付加して変性させる。反応プロセスは、以下のように簡潔に説明される。
【0071】
(a)重合反応:
【0072】
[化31]

[式中、G、Ar、Ar’、iおよびjは、上で定義した意味を有する。]
【0073】
(b)変性:GがCOOHである場合、たとえば、ステップ(a)からの生成物に式O=C=N−Rのイソシアネート化合物を加えてCOOHと反応させると、感光性基を側鎖に有するポリイミドが得られる。
【0074】
[化32]

[式中、f+g=iである。]
【0075】
(IV)酸無水物モノマーを、反応性官能基を含んでいるジアミンモノマーと共に重合させ、エポキシアクリレート化合物を付加して変性させる。反応スキームは、以下のように簡潔に説明される。
【0076】
(a)重合反応:
【0077】
[化33]

[式中、G、Ar、Ar’、iおよびjは、上で定義した意味を有する。]
【0078】
(b)変性:GがCOOHである場合、たとえば、ステップ(a)からの生成物にエポキシアクリレート化合物(たとえばメタクリル酸グリシジル)を加えると、COOHとの開環反応を経て、感光性基を側鎖に有するポリイミドが得られる。
【0079】
[化34]

[式中、f+g=iである。]
【0080】
上で例示した方法に加えて、感光性ポリイミドは、両方が反応性官能基を有するジアミンモノマーと酸無水物モノマーを互いに重合させ、次いで方法(I)〜(IV)のステップ(b)などに従って、重合生成物をエポキシアクリレート化合物またはイソシアネート化合物で変性させることにより得ることもできる。そうして調製された感光性ポリイミドは、その酸無水物残基およびジアミン残基の両方に感光性基を有する。
【0081】
本発明の感光性樹脂組成物では、PSPIが有する感光性基が少なすぎる場合、光重合工程の間に架橋密度が非常に低くなって、得られる組成物の感光性が低下し、それによって露光および現像後に回路のゆがみが引き起こされることになる。一方、PSPIが有する感光性基が多すぎる場合、得られるポリマー中のヒドロキシルまたはカルボキシルの含有量が非常に不十分となって、アルカリ現像液へのポリマーの溶解度が低下し、それによって現像後に露光されてない部分が残ることになる。したがって、ポリイミド中の感光性基の含有量をさらに制御するために、式(I)におけるn(感光性基をもたない部分の数)に対するm(感光性基を有する部分の数)の比率は、約0.04〜約25であることが好ましく、約0.1〜約10であることがより好ましい。
【0082】
本発明の感光性樹脂組成物中に使用するアクリレートモノマーは、少なくとも1個の−C=C−を有するアクリレートモノマーであり、2個以上の−C=C−を有する多官能性アクリレートモノマーであることが好ましい。このようなモノマーを加えることにより、分子間に架橋を形成することができるので、組成物の実用性の向上に好都合となる。
【0083】
本発明の感光性樹脂組成物では、アクリレートモノマーの量は、感光性ポリイミド100重量部に対して約5重量部〜約80重量部であり、好ましくは約10重量部〜約40重量部である。加えるアクリレートモノマーの量が少なすぎる場合、架橋密度は低くなりすぎ、これによって後硬化工程の後にフィルムが縮んで、回路の変形や製造歩留りの悪さなどの欠点がもたらされる。一方、加えるアクリレートモノマーの量が多すぎる場合、得られる組成物の全般的な物理的性質が弱くなり(たとえば、難燃性、電気的性質および化学的性質が弱まることになる)、優れたカバーレイフィルムとしての使用に適さなくなる。
【0084】
本発明での使用に適するアクリレートモノマーは、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジメタクリレート、ビスフェノールF EO変性ジアクリレート、ビスフェノールF EO変性ジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ペンタエリトリトールジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、テチラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンタンジオールジメタクリレート、ペンタエリトリトールジメタクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサメタクリレート、テチラメチロールプロパンテトラメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリ(プロピレングリコールジアクリレート)、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールアクリレート、2,4−ジエチル−1,5ペンタンジオールジメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロドデカンジメタノールジアクリレート、2,4−ジエチル−1,5ペンタンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート(3EOTMPTA)、トリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレート、イソシアヌレートトリアクリレート、イソシアヌレートジアクリレート、イソシアヌレートトリ(エタンアクリレート)、ペンタエリトリトールテトラアクリレート(PETEA)、エトキシル化ペンタエリトリトールテトラアクリレート、プロポキシル化ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート、およびこれらの組合せからなる群から選択することができるが、これに限らない。
【0085】
本発明では、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジメタクリレート、ビスフェノールF EO変性ジアクリレート、ビスフェノールF EO変性ジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレート、およびこれらの組合せからなる群から選択されるアクリレートモノマーを使用することが好ましい。
【0086】
前述の感光性ポリイミドおよびアクリレートモノマーに加えて、本発明の感光性樹脂組成物は、光開始剤をさらに含む。光開始剤は、光照射を受けるとフリーラジカルを生成して、フリーラジカルの移動を介して重合反応を開始するように適合させたものである。本発明の感光性樹脂組成物中に使用することのできる光開始剤に特に制約はない。使用する光開始剤は、波長が約350nm〜約500nmの範囲の光を吸収してフリーラジカルを生成することのできる化合物を含むことが好ましい。
【0087】
本発明の感光性樹脂組成物では、光開始剤の種類および量は通常、使用するアクリレートモノマーの種類に応じて決まる。一般に、感光性ポリイミド100重量部に対して、光開始剤の量は、約0.01重量部〜約20重量部であり、好ましくは約0.05重量部〜約5重量部である。加える光開始剤の量が少なすぎる場合、露光の際のフリーラジカルの量が不十分であるために感光性が低下する。一方、加える光開始剤の量が多すぎる場合、露出光がコーティングフィルム表面によって過度に吸収される。そこで、露出光が内部に到達するのは難しく、そのため内側と外側とで重合速度が一様でなくなる。
【0088】
本発明での使用に適する光開始剤は、たとえば、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス−4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、カンファーキノン、3,5−ビス(ジエチルアミノベンジリデン)−N−メチル−4−ピペリドン、3,5−ビス(ジメチルアミノベンジリデン)−N−メチル−4−ピペリドン、3,5−ビス(ジエチルアミノベンジリデン)−N−エチル−4−ピペリドン、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジメチルアミノ)クマリン、リボフラビンテトラブチレート、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、3,5−ジメチルチオキサントン、3,5−ジイソプロピルチオキサントン、1−フェニル−2−(エトキシカルボニル)オキシイミノプロパン−1−オン、ベンゾインエーテル、ベゾインイソプロピルエーテル、ベンゾアントロン、5−ニトロアセナフテン、2−ニトロフルオレン、アントロン、1,2−ベンゾアントラキノン、1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾール、チオキサンテン−9−オン、10−チオキサンテノン、3−アセチルインドール、2,6−ジ(p−ジメチルアミノベンザル)−4−カルボキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(p−ジメチルアミノベンザル)−4−ヒドロキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(p−ジエチルアミノベンザル)−4−カルボキスシクロヘキサノン、2,6−ジ(p−ジエチルアミノベンザル))−4−ヒドロキシシクロヘキサノン、4,6−ジメチル−7−エチルアミノクマリン、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、7−ジエチルアミノ−3−(1−メチルベンゾイミダゾリル)クマリン、3−(2−ベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)キノリン、4−(p−ジメチルアミノスチリル)キノリン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)−3,3−ジメチル−3H−インドール、およびこれらの組合せからなる群から選択されるものでよい。好ましい光開始剤は、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、またはこれらの組合せである。
【0089】
さらに、組成物をコーティングに適する粘度または所望の濃度に調整するために、適切な任意の溶媒を任意選択で加えてもよい。その例は、ジメチルスルホキシド(DMSO)やジエチルスルホキシドなどのスルホキシド溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)やN,N−ジエチルホルムアミド(DEF)などのホルムアミド溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)やN,N−ジエチルアセトアミド(DEAc)などのアセトアミド溶媒、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)やN−エチル−2−ピロリドン(NEP)などのピロリドン溶媒;フェノール、o−クレゾール、メタクレゾール、p−クレゾール、ジメチルフェノール、ハロフェノール、ピロカテコールなどのフェノール溶媒;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジオキソランなどのエーテル溶媒;メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール溶媒;ブチルセロソルブなどのセロソルブ溶媒;γ−ブチロラクトン(GBL)、キシレン、トルエン、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)などである。
【0090】
さらに、後硬化後の本発明の感光性樹脂組成物の物理的性質を強化するために、エポキシ樹脂を任意選択で加えてもよい。エポキシ樹脂を、ポリイミドポリマー中に残存する反応性官能基と反応させることで、安定性の高いPSPIポリマーを得ることができる。本発明での使用に適するエポキシ樹脂は、ビスフェノールA EO変性エポキシ、ビスフェノールA PO変性エポキシ、o−クレゾールノボラックエポキシ、ビスフェノールAノボラックエポキシ、トリス(ヒドロキシフェニル)メタンノボラックエポキシ、ノボラックエポキシ、グリシジルアミン型エポキシ、トリス(ヒドロキシフェニル)メタンエポキシ、脂環式エポキシ、およびこれらの組合せからなる群から選択することができるが、これに限らない。エポキシ樹脂を加える場合、本発明の感光性ポリイミド100重量部に対して約1重量部〜約50重量部、好ましくは約5重量部〜約40重量部の量で加えるべきである。
【0091】
本発明の感光性樹脂組成物を、従来の石版印刷法と組み合わせて使用すると、FPC上に所望のカバーレイ層を形成することができる。したがって、本発明は、
本発明の感光性樹脂組成物を基板上に適用すること、
前記基板上で露光ステップを実施すること、
前記基板上で現像ステップを実施すること、および
前記基板を約100oC〜約200oCの範囲の温度で熱処理すること
を含む、ポリイミド回路の形成方法も提供する。
【0092】
詳細には、本発明の感光性樹脂組成物をまず、任意の適切な方法で基板(たとえばFPC)に適用して、コーティングを形成する。本発明の感光性樹脂組成物は、基板表面に液体の形で適用してもよいし、固体の形で基板に直接積層してもよい。引き続き、石版印刷法(すなわち露光ステップ)を実施して、コーティング上に回路を画定し、次いで適切な現像液を使用して、コーティングの露光されていない部分を除去する。最後に、基板を温度約100℃〜約200℃で後硬化させて、所望のポリイミド回路を得る。
【0093】
従来、ポリイミドの調製には、約300℃〜約350℃に及ぶ熱処理(すなわち硬化)温度が必要である。しかし、本発明の感光性樹脂組成物は、温度約100℃〜約200℃で硬化させることができる。硬化温度が低いと、基板上の回路の酸化および劣化を防ぎ、コストを抑えることができる。本発明の重要な事案とはならないが、本発明で使用する石版印刷法は、当業者によく知られており、したがって本明細書ではこれ以上記載しない。
【0094】
以下では、本発明についてその実施例に即してさらに説明するが、実施例に記載の略語は、以下のように定義される。
6FDA:4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデン−2,2−ビス−(フタル酸無水物)
BAPA:2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン
MEMG:ビス(4−アミノフェノキシ)メタン
DMDB:2,2’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジアミン
GMA:グリシジルメタクリレート
2−IEA:2−イソシアナトエチルアクリレート
1−MI:1−メチルイミダゾール
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
HMC:4’−ヒドロキシ−4−メトキシカルコン
IPDI:イソホロンジイソシアネート
PTZ:フェノチアジン
NMP:N−メチルピロリドン
TBAB:臭化テトラブチルアンモニウム
MEHQ:ヒドロキノンモノメチルエーテル
DA1:
【0095】
[化35]

【0096】
(A)ヒドロキシルを有するポリイミドの合成
【実施例1】
【0097】
88.85g(0.2mol)の6FDA、28.63g(0.1mol)のBAPA、および23.03g(0.1mol)のMEMGを秤量し、300mLのNMP中に加えた。得られる混合物を室温で1時間撹拌し、50℃に加熱し、さらに4時間撹拌した。次に、50mLのキシレンを混合物中に加え、次いでこれを、ディーン・スターク装置を用いて150℃で脱水した。脱水が完了した後、ヒドロキシルを有するポリイミド(P1)が得られた。
【実施例2】
【0098】
100.074g(0.2mol)のDA1および42.46g(0.2mol)のDMDBを秤量し、450mLのNMP中に加えた。得られる混合物を室温で1時間撹拌し、50℃に加熱し、さらに4時間撹拌した。次に、50mLのトルエンを混合物中に加え、次いでこれを、ディーン−スターク装置を用いて130℃で脱水した。脱水が完了した後、ヒドロキシルを有するポリイミド(P2)が得られた。
【0099】
(B)ジイソシアネートによって変性させたポリイミドの合成
【実施例3】
【0100】
490gの実施例1で調製したポリイミドP1を秤量し、これに0.85gの1−MI、6.51gのHEMA、11.12gのIPDI、および0.11gのPTZを加えた。得られる混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、温度を60℃に上昇させながら、混合物をさらに6時間撹拌して、ジイソシアネートによって変性されたヒドロキシルを有する感光性ポリイミド(P3)を得た。
【実施例4】
【0101】
実施例1で調製した490gのポリイミドP1を秤量し、これに0.85gの1−MI、25.43gのHMC、22.23gのIPDI、および0.11gのPTZを加えた。得られる混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、温度を60℃に上昇させながら、混合物をさらに6時間撹拌して、ジイソシアネートによって変性されたヒドロキシルを有する感光性ポリイミド(P4)を得た。
【実施例5】
【0102】
実施例2で調製した142.5gのポリイミドP2を秤量し、これに7g(0.05mol)の2−IEA、0.05gの1−MI、および0.06gのPTZを加えた。得られる混合物を80℃に加熱し、8時間撹拌して、感光性ポリイミドP5を得た。
【0103】
(C)エポキシアクリレート化合物によって変性させたポリイミドの合成
【実施例6】
【0104】
実施例1で調製した140.5gのポリイミドP1を秤量し、これに6.11g(0.05mol)のGMA、0.015gのTBAB、および0.06gのMEHQを加えた。次いで、得られる混合物を90℃に加熱し、12時間撹拌して、感光性ポリイミドP6を得た。
【実施例7】
【0105】
実施例2で調製した142.5gのポリイミドP2を秤量し、これに6.11g(0.05mol)のGMA、0.015gのTBAB、および0.06gのMEHQを加えた。次いで、得られる混合物を90℃に加熱し、12時間撹拌して、感光性ポリイミドP7を得た。
【0106】
(D)ポリイミド組成物
実施例3〜7で調製した感光性ポリイミド生成物P3〜P7を、それぞれ光開始剤、アクリレートモノマー、およびエポキシ樹脂と混合して、以下の表1に示す組成物を調製した。
【0107】
【表1】

1)光開始剤は、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドであり、
2)AM1は、トリプロピレングリコールジアクリレートであり、
3)AM2は、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート(3EOTMPTA)であり、
4)AM3は、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレートであり、
5)EP1は、ビスフェノールA EO変性エポキシ樹脂である。
【0108】
(E)現像前後のフィルム厚およびフィルムの縮みの測定
上述のように配合した組成物の溶液をそれぞれスピンコーティング工程によってそれぞれの銅基板上に塗布した。コーティング工程が完了すると、基板を60℃のオーブンに入れて、30分間かけて焼き付けた。次いで、基板をオーブンから取り出し、そのフィルム厚の値を測定し、測定結果を以下の表2に記録した。
【0109】
基板を室温に冷却し、露光および現像後のその性質を評価した。現像条件は以下のとおりである。すなわち、現像液は1%Na2CO3とし、現像温度は30℃とし、現像圧力は1〜2kg/m2とした。この評価結果も表2に記録している。
【0110】
【表2】

【0111】
表2からわかるように、本発明の感光性樹脂組成物は、焼付け後も25μmのフィルム厚を維持することができ、感光性樹脂組成物の分子構造が良好であることを示している。また本発明の感光性樹脂組成物は、現像前後のフィルム厚の差が5μm未満である。したがって、この組成物は、実際にフォトレジスタとして使用されたとき、フォトレジストパターンのゆがみを効果的に防ぐことができる。
【0112】
上記の開示は、その詳細な技術的内容および独創性のある特徴に関する。当業者であれば、記載した本発明の開示および提案に基づき、その特性から逸脱することなく様々な変更および交換を進めることができる。それにもかかわらず、そうした変更および交換が、上記では十分に開示されていないとしても、それらは特許請求の範囲に実質的に包含されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の感光性ポリイミドと、
[化1]

アクリレートモノマーと、
光開始剤と
を含み、
式中、
AおよびJは、それぞれ独立に、四価の有機基であり、
BおよびDは、それぞれ独立に、二価の有機基であり、
nは、0または0より大きい整数であり、
mは、0より大きい整数であり、
AおよびBの少なくとも一方は、
[化2]

からなる群から選択される1個または複数の感光性基G*を有し、
式中、
Rは、−C=C−を有する不飽和基であり、または
[化3]

からなる群から選択され、R1は、置換または未置換の飽和または不飽和C1〜C20有機基であり、R2は、−C=C−を有する不飽和基であり、
10は、アクリレート基を有する不飽和基であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
【請求項2】
−C=C−を有する不飽和基が、
[化4]

からなる群から選択され、
式中、
4およびR5は、それぞれ独立に、Hまたは置換もしくは未置換C1〜C7有機基であり、
6は、共有結合、−O−または置換もしくは未置換C1〜C20有機基であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
1が、
[化5]


からなる群から選択され、
式中、
rは、0より大きい整数であり、
o、pおよびqは、それぞれ独立に、0または0より大きい整数であり、
4、R5およびR6は、請求項2で定義した意味を有し、
7は、Hまたは置換もしくは未置換C1〜C12有機基であり、
8は、共有結合であり、または
[化6]

からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
アクリレート基を有する不飽和基が、
[化7]

であり、式中、R17は、Hまたはメチルであり、K1およびK2は、それぞれ独立に、0〜6の範囲の整数であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
Aが、
[化8]

からなる群から選択され、
式中、
Mは、感光性基G*、H、COOH、OH、NH2またはSHであり、G*は、請求項1で定義した意味を有し、
13は、−CH2−、−O−、−S−、−CO−、−SO2−、−C(CH32−または−C(CF32−であり、
14は、−Hまたは−CH3であり、
Xは、−O−、−NH−または−S−であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
Jが、
[化9]

からなる群から選択され、
式中、
13、R14およびXは、請求項5で定義した意味を有し、
15は、−H、−OH、−COOH、−NH2または−SHであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
Bが、
[化10]

からなる群から選択され、
式中、
M”は、H、C1〜C4アルキル、C1〜C4ペルフルオロアルキル、メトキシ、エトキシ、ハロゲン、OH、COOH、NH2、SHまたは感光性基G*であり、G*は、請求項1で定義した意味を有し、
S1およびS2は、それぞれ独立に、1〜4の範囲の整数であり、
tは、0より大きい整数であり、
uは、0または0より大きい整数であり、
vは、0または0より大きい整数であり、
9は、H、メチル、エチルまたはフェニルであり、
11は、共有結合であり、または
−O−、−S−、−CH2−、−S(O)2−、
[化11]

、−C(CF32−、−C(O)−、 −C(CH32−、
[化12]

式中、wおよびxは、それぞれ独立に、0より大きい整数であり、R12は、共有結合、−SO2−、−C(O)−、−C(CF32−、または置換もしくは未置換C1〜C18有機基であり、R19は、HまたはC1〜C4アルキルであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
Dが、
[化13]

式中、
R”は、H、C1〜C4アルキル、C1〜C4ペルフルオロアルキル、メトキシ、エトキシ、ハロゲン、OH、COOH、NH2またはSHであり、
C1およびC2は、それぞれ独立に、1〜4の範囲の整数であり、
a1およびa2は、それぞれ独立に、0より大きい整数であり、
9およびR11は、請求項7で定義した意味を有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
アクリレートモノマーの量が、感光性ポリイミド100重量部に対して約5重量部〜約80重量部であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
mとnの比率が約0.04〜約25であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
光開始剤の量が、感光性ポリイミド100重量部に対して約0.01重量部〜約20重量部であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
光開始剤が、約350nm〜約500nmの範囲の波長を有する光を吸収してフリーラジカルを生成することのできる化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
エポキシ樹脂をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1に記載の組成物を基板上に適用すること、
前記基板上で露光ステップを実施すること、
前記基板上で現像ステップを実施すること、および
前記基板を約100oC〜約200oCの範囲の温度で熱処理すること
を含むことを特徴とする、ポリイミド回路の形成方法。

【公開番号】特開2011−180571(P2011−180571A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176101(P2010−176101)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(500202322)長興化學工業股▲ふん▼有限公司 (30)
【Fターム(参考)】