説明

感光性樹脂組成物

【課題】 紫外線による硬化後の透明性に優れ、熱や時間経過による外観や物性変化の小さい感光性樹脂硬化物、該硬化物を与える感光性樹脂組成物、並びに、該組成物を基材に塗布し紫外線を照射して硬化させる被覆物の製造方法を提供する。
【解決手段】 水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a1)、ポリオール(a2)およびポリイソシアネート(b)から形成されてなるウレタン(メタ)アクリレート(A)、ポリオール(B)および光重合開始剤(C)からなる感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリオールおよび光重合開始剤からなる感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウレタン(メタ)アクリレートからなる感光性樹脂組成物は、放射線照射により硬化し、得られる硬化物が優れた弾性を有するため、光学部材、電気・電子部材、シーリング剤、接着剤、紙、プラスチック等のコーティング剤として広く使用されている(例えば、特許文献1、2参照)。一般に、これらの組成物には、硬化収縮を小さくしたり、内部歪を抑えたり、硬化物の柔軟性、接着性、摩耗性等を高めるために、可塑剤が添加されることが知られており、該可塑剤としてはジオクチルフタレート、リン酸トリクレジル、ジプロピレングリコールジベンゾエート等が使用されている。(例えば、特許文献3〜5参照)
【0003】
【特許文献1】特開平07−330858号公報
【特許文献2】特開平11− 12340号公報
【特許文献3】特開平07−325397号公報
【特許文献4】特開平09− 40730号公報
【特許文献5】特開2006−53484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの可塑剤は、ウレタン(メタ)アクリレートとの相溶性が不十分なため、放射線照射による硬化後、熱や時間経過によりブリードアウトしたり、また、比較的低分子であることから、一部揮発して硬化物の外観や物性が変化する、接着性が悪化する、さらに揮発した可塑剤成分がアレルギーを引き起こす等の問題があった。
本発明の目的は、紫外線による硬化後の透明性に優れ、時間経過による外観や物性変化の小さい感光性樹脂硬化物、および該硬化物を与える感光性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a1)、ポリオール(a2)およびポリイソシアネート(b)から形成されてなるウレタン(メタ)アクリレート(A)、ポリオール(B)および光重合開始剤(C)からなる感光性樹脂組成物;該組成物を硬化させてなる硬化物;並びに、該組成物を基材の少なくとも片面の少なくとも一部に塗布し、紫外線を照射して硬化させることを特徴とする被覆物の製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の感光性樹脂組成物は、下記の効果を奏する。
(1)長期保存時の外観や粘度の変化が小さく貯蔵安定性に優れる。
(2)該組成物を硬化させてなる硬化物は、透明性、柔軟性、プラスチックとの接着性および傷回復性、並びにこれらの特性の経時安定性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明におけるウレタン(メタ)アクリレート(A)は、水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a1)、ポリオール(a2)およびポリイソシアネート(b)から
形成されてなる。
(a1)には、炭素数(以下Cと略記)4以上かつ数平均分子量[以下Mnと略記、測定はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法による。]5,000以下の、例えば下記のもの、およびこれらの2種以上の混合物が含まれる。
(a11)(メタ)アクリル酸のアルキレンオキシド(以下AOと略記)(C2〜4)付加物
(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、−2−ヒドロキシプロピル、−2−ヒドロキシブチルおよびこれらのAO付加物(分子量160以上かつMn5,000以下)等;
(a12)(a11)のε−カプロラクトン付加物(分子量230以上かつMn5,000以下)
(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル−ε−カプロラクトン2モル付加物等;
(a13)(メタ)アクリル酸とジオール(Mn300〜5,000)との反応生成物
ジオール(Mn300〜5,000、例えばポリカーボネートジオール、ポリエチレングリコール、ポリエステルジオール)のモノ(メタ)アクリレート;
【0008】
(a14)(メタ)アクリル酸とエポキシドとの反応生成物
C8〜30、例えば2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−ビフェノキシプロプル(メタ)アクリレート等;
(a15)(メタ)アクリル酸と3官能以上のポリオール(分子量92以上かつMn5,000以下)との反応生成物
グリセリン(以下GRと略記)モノ−およびジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(以下TMPと略記)モノ−およびジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(以下PEと略記)モノ−、ジ−およびトリ(メタ)アクリレート、ジTMPモノ−、ジ−およびトリ(メタ)アクリレート、ジPEモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−およびペンタ(メタ)アクリレート、およびこれらのAO付加物(付加モル数1〜100)等;(a16)(メタ)アクリル酸とポリアルカジエン(アルカジエンはC4〜5)ポリオールまたはその水添物との反応生成物[但し、(a13)および(a15)を除く。]
ポリアルカジエンポリオールとしては、ブタジエンポリオール(Mn300〜5,000)、イソプレンポリオール(Mn300〜5000)等が挙げられ、水添ポリアルカジエンポリオールとしては、水添ブタジエンポリオール(Mn300〜5,000)、水添イソプレンポリオール(Mn300〜5,000)等が挙げられ、水添率は好ましくは50〜98モル%、さらに好ましくは80〜95モル%である。
これらのうち後述の(b)との反応性の観点から好ましいのは(a11)、(a14)、(a15)、さらに好ましいのは(a11)および(a15)である。
【0009】
本発明における(a2)には、C2以上かつMn400以下の、例えば下記のもの、およびこれらの2種以上の混合物が含まれる。
(a21)2価アルコール(C2〜20またはそれ以上)、例えばC2〜12の脂肪族2価アルコール[(ジ)アルキレングリコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−、2,3−、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールおよび3−メチルペンタンジオール(以下それぞれEG、DEG、PG、DPG、BD、HD、NPGおよびMPDと略記)、ドデカンジオール等)等]、C6〜10の脂環式骨格を有する2価アルコール[1,3−および1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等]、C8〜20の芳香脂肪族2価アルコール[キシリレングリコール、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン等];
(a22)3価〜8価またはそれ以上の多価アルコール、例えば(シクロ)アルカンポリ
オールおよびそれらの分子内もしくは分子間脱水物[GR、TMP、PE、ソルビトー
ル(以下SOと略記)およびジPE、1,2 ,6−ヘキサントリオール、エリスリトー
ル、シクロヘキサントリオール、マンニトール、キシリトール、ソルビタン、ジGRその他のポリGR等]、糖類およびその誘導体[ショ糖、グルコース、フラクトース、マンノース、ラクトース、グルコシド(メチルグルコシド等)等];
【0010】
(a23)ポリエーテルポリオール、例えば、ポリエチレングリコール(以下PEGと略記)(Mn200〜20,000)、ポリプロピレングリコール(以下PPGと略記)(Mn200〜20,000)、ポリテトラメチレングリコール(以下PTMGと略記)(Mn400〜10,000);
(a24)ポリエステルポリオール(Mn400〜20,000)、例えば、アジピン酸とBDおよびHDとのエステル、無水マレイン酸とNPGとのエステル、コハク酸とビスフェノールAのエチレンオキシド(以下EOと略記)4モル付加物とのエステル;ポリカプロラクトンポリオール(Mn400〜10,000)、例えば、HDのε−カプロラクトン付加物、TMPのε−カプロラクトン付加物;
(a25)ポリカーボネートポリオール(Mn500〜10,000)例えば、BDまたはHDのポリカーボーネートジオール、アジピン酸変性HDのポリカーボネートジオール;
(a26)ポリブタジエンポリオール(Mn500〜10,000)、ポリイソプレンポリオール(Mn500〜10,000)およびこれらの水添化物;
(a27)エポキシ樹脂(Mn300〜5,000)、例えば、1,6ヘキサンジオールジグリシジルエーテルと酢酸2モルとの反応物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルの5モル開環重合物;
(a28)上記(a21)〜(a27)のAO1〜50モル付加物、例えばビスフェノールAのAO2〜50モル付加物。
【0011】
これらのうち硬化物の接着性、強靭性の観点から好ましいのは、(a23)、(a24)、(a25)、(a28)、さらに好ましいのは(a24)および(a28)である。
【0012】
(a1)と(a2)の重量比は、硬化性、後述する硬化物の柔軟性の観点から好ましく
は1/99〜90/10、さらに好ましくは3/97〜40/60である。
【0013】
本発明におけるポリイソシアネート(以下、PIと略記することがある。)(b)には、例えば下記のもの、およびこれらの2種以上の混合物が含まれる。
(b1)C(NCO基中のCを除く、以下同じ)6〜20の芳香族ポリイソシアネート
ジイソシアネート(以下、DIと略記)、例えば1,3−および/または1,4−フェ
ニレンDI、2,4−および/または2,6−トリレンDI(TDI)、4,
4’−および/または2,4’−ジフェニルメタンDI(MDI)、m−およびp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニ
ル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジ
イソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンDI、およびm−およびp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート;および3官能以上のPI(トリイソシアネート等)、例えば粗製TDI、粗製MDI(ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート)および4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート
【0014】
(b2)C2〜18の脂肪族ポリイソシアネート
DI、例えばエチレンDI、テトラメチレンDI、ヘキサメチレンDI(HDI)、ヘプタメチレンDI、オクタメチレンDI、ノナメチレンDI、デカメチレンDI、ドデカメチレンDI、2,2,4−および/または2,4,4
−トリメチルヘキサメチレンD
I、リジンDI、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、2,6−ジイソシアナトエチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネートおよびトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI
);および3官能以上のPI(トリイソシアネート等)、例えば1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネートおよびリジンエステルトリイソシアネート(リジンとアルカノールアミンの反応生成物のホスゲン化物、例えば2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、2−および/または3−イソシアナトプロピル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート)
【0015】
(b3)C4〜45の脂環式ポリイソシアネート
DI、例えばイソホロンDI(IPDI)、2,4−および/または2,6−メチルシクロヘキサンDI(水添TDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−DI(水添MDI)、シクロヘキシレンDI、メチルシクロヘキシレンDI、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキシレン−1,2−ジカルボキシレートおよび2,5−および/または2,6−ノルボルナンDI、ダイマー酸DI(DDI);および3官能以上のPI(トリイソシアネート等)、例えばビシクロヘプタントリイソシアネート
(b4)C8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネート
m−および/またはp−キシリレンDI(XDI)、ジエチルベンゼンDIおよびα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンDI(TMXDI)
(b5)上記(b1)〜(b4)のヌレート化物
これらのうち後述する硬化物の透明性の観点から好ましいのは(b2)、(b3)、および(b5)のうちの脂肪族のものである。
【0016】
ウレタン(メタ)アクリレート(A)の製造において、NCO基と水酸基の当量比は、特に限定されないが、保存安定性の観点から好ましくは1:1.1〜1.1:1、さらに好ましくは1:1.05〜1.05:1である。
【0017】
(A)の製造方法におけるウレタン化反応の条件は、特に限定されず、例えば、
[1](a1)および/または(a2)の、一部とすべての(b)を混合し、通常40〜120℃、反応性および該混合物の安定性の観点から好ましくは60〜100℃で2〜20時間反応させてNCO末端プレポリマーを製造した後、残りの(a1)および/または(a2)を加え、同様の条件で(A)を製造するか、または、すべての(a1)および(a2)と、(b)の一部を上記と同様の条件で反応させてOH末端プレポリマーを製造した後、残りの(b)を加え、同様の条件で(A)を製造する方法[プレポリマー法];
[2](a1)、(a2)および(b)を一括混合し、上記と同様の条件で反応させて(A)を製造する方法[ワンショット(一括反応)法]が挙げられる。
これらのうち分子量制御の観点から好ましいのはプレポリマー法である。
【0018】
また、必要により溶剤(酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン等)で希釈して反応させてもよい。溶剤の使用量は、(a1)、(a2)および(b)の合計重量に基づいて通常5,000%以下、反応速度の観点から好ましい上限は1,000%、混合物の取り扱い性の観点から好ましい下限は10%である。
【0019】
ウレタン化反応は、常圧、減圧または加圧のいずれでも行うことができる。ウレタン化反応の進行状況は、例えば反応系のNCO%および水酸基価を測定することにより判断することができる。
【0020】
(A)の製造において、反応時間の観点からウレタン化触媒(U)を使用するのが好ましい。(U)には、有機ビスマス化合物(U1)、有機スズ化合物(U2)、有機チタン化合物(U3)、3級アミンおよび4級アンモニウム塩(U4)が含まれる。
【0021】
(U1)としては、例えば下記のもの、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
(U11)有機ビスマスカルボキシレート
一般式 Bi(COOR)3 で表され、Rとしては1価の、脂肪族基[C1〜20、例えばアルキル(メチル、エチル、n−およびi−プロピル、n−、i−、sec−およびt−ブチル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシルおよびドデシル)基およびアルケニル(1−、2−およびi−プロペニル、1−、2−および3−ブテニル)基]、芳香(脂肪)族(C6〜20、例えばフェニル、トルイル、キシレニル、ベンジル、フェネチルおよびヘキシルフェニル)基および脂環(C3〜10、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロオクチル)基等が挙げられる。
これらのRのうち耐加水分解性の観点から好ましいのはC2〜12の脂肪族基、およびC5〜10の脂環基である。
(U12)有機ビスマスアルコキシド
一般式Bi(OR)3 で表され、Rは上記と同じで、耐加水分解性の観点から好ましいRも上記と同じである。
(U13)ジカルボニル基を有する化合物とBiのキレート化合物
ジカルボニル基を有する化合物には、C4〜15、例えばアセチルアセトン、アセチル酢酸、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレートが含まれ、キレート化合物にはこれらとBiのキレート化合物が含まれる。
【0022】
(U2)としては、例えばトリメチルチンラウレート、トリメチルチンヒドロキサイド、ジメチルチンジラウレート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンマレエート、スタナスオクトエートが挙げられる。
(U3)としては、例えば、テトラアルキル(C=2〜12)チタネート、アルキレンジカルボン酸(C=2〜12)チタンが挙げられる。
(U4)のうち3級アミンとしては、例えばトリエチレンジアミン、テトラアルキル(C1〜3)アルキレン(C2〜6)ジアミン(例えば、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルヘキシレンジアミン)、ジアザビシクロアルケン類{1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7〔DBU[サンアプロ(株)製、登録商標]〕等}が挙げられる。
(U4)のうち4級アンモニウム塩としては、例えばテトラアルキル(C1〜4)アンモニウムブロマイド、テトラアルキル(C1〜4)アンモニウムパークロレートが挙げられる。
【0023】
これらのうち、反応性および非着色性の観点から好ましいのは、(U1)、(U2)、安全性と(A)の分子量制御の観点から、さらに好ましいのは(U1)である。(U1)のうち反応性および触媒としての安定性の観点からとくに好ましいのは(U11)および(U13)、非着色の観点からとくに好ましいのは(U11)である。
【0024】
(U)の使用量は、(A)の重量に基づいて反応性、透明性の観点から好ましくは0.001〜1%、さらに好ましくは0.05〜0.2%である。
【0025】
(U)として(U11)を使用する場合、(U11)の安定性の観点からさらに有機酸を含有させてもよい。有機酸としては、例えば脂肪族カルボン酸(C2〜C20、例えば酢酸、プロピオン酸、イソプロピオン酸、酪酸、イソバレン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸およびドデカン酸)、脂環式カルボン酸(C4〜10、例えばシクロブタン酸、シクロペンタン酸およびシクロヘキサン酸)、芳香族カルボン酸(C7〜15、例えば安息香酸、テレフタル酸、フタル酸およびトリメリット酸)、α−不飽和カルボン酸[C3〜10、例えば(メタ)アクリル酸、桂皮酸およびマレイン酸]および2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと多塩基酸(C2〜15、例えばシュウ酸、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、トリメリット酸およびこれらの酸無水物)とのモノエステル化物およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらのうち耐加水分解性の観点から好ましいのは脂肪族および脂環式カルボン酸である。
【0026】
(U11)と上記有機酸の重量比は(U11)の安定性の観点から好ましくは0.001/1〜9/1、さらに好ましくは0.01/1〜4/1である。
【0027】
本発明におけるポリオール(B)は、本発明の組成物の硬化後に、可塑剤として働き、柔軟性、接着性、耐摩耗性等を向上させたり、硬化収縮率を低減する働きをする。
(B)としては、前記(a2)と同じものが挙げられる。これらのうち硬化物の
特性(後述の硬化物の評価特性)の観点から、好ましいのは(a2)と同一の繰り返し単位を有するもの、例えば、(a2)がPPGの場合、同じPPGやビスフェノールAのプロピレンオキシド(以下POと略記)付加物等であり、さらに好ましいのは、(a2)と同じPPGである。
【0028】
(B)のMnは、硬化物の熱安定性および(B)の揮発性の観点から好ましい下限は、200、さらに好ましくは500、組成物の性状安定性、硬化物の透明性の観点から好ましい上限は、5,000、さらに好ましくは3,000である。
【0029】
(B)の使用量は、(A)の重量に基づいて、硬化物の柔軟性、プラスチックとの接着性および硬化物の靭性の観点から好ましくは0.5〜50%、さらに好ましくは1〜30%である。
【0030】
本発明における光重合開始剤(C)としては、ヒドロキシベンゾイル化合物(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインアルキルエーテル等)、ベンゾイルホルメート化合物(メチルベンゾイルホルメート等)、チオキサントン化合物(イソプロピルチオキサントン等)、ベンゾフェノン(ベンゾフェノン等)、リン酸エステル化合物(1,3,5−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等)、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。これらのうち、硬化物の非着色の観点から好ましいのは2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよび1,3,5−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドである。
(C)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常0.01〜20%、硬化性および硬化物の柔軟性の観点から好ましくは0.1〜10%、さらに好ましくは0.3〜2%である。
【0031】
本発明の組成物には、(A)の性能を損なうことなく、組成物の粘度を下げて取り扱い性を良くしたり、硬化物の柔軟性、接着性等を向上させるとの観点から、さらに単官能(メタ)アクリロイル基含有化合物(D1)、およびその他の(メタ)アクリロイル基含有化合物(D2)[(A)、(D1)を除くもの]からなる群から選ばれる1種または2種以上の(メタ)アクリロイル基含有化合物(D)を含有させてもよい。
【0032】
(D1)としては、C4以上かつMn2,000以下の、例えば下記のもの、およびこれらの2種以上の混合物が含まれる。
(D11)C1〜30の脂肪族1価アルコールの(メタ)アクリレート
ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等
(D12)脂環式(メタ)アクリレート
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジイルメチル(メタ)アクリレート等
(D13)複素環含有(メタ)アクリレート
テトラフルフリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクロイルモルホリン等
(D14)C1〜30の脂肪族1価アルコールのAO1〜30モル付加物の(メタ)アクリレート
ラウリルアルコールのEO2モル付加物の(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールのPO3モル付加物の(メタ)アクリレート等
(D15)C6〜30の[アルキル(C1〜20)]フェノールのAO1〜30モル付加物の(メタ)アクリレート
フェノールのEO1モル付加物の(メタ)アクリレート、フェノールのPO3モル付加物の(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEO1〜2モル付加物の(メタ)アクリレート等
(D16)芳香脂肪族アルコールの(メタ)アクリレート
ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート等
(D17)水酸基含有(メタ)アクリレート
前記(a1)のうち、単官能のもの[(a11)〜(a14)および(a16)]
これらのうち、硬化物の柔軟性、接着性、強靭性の観点から好ましいのは(D13)、(D14)、(D15)、(D17)、さらに好ましいのは(D13)、(D15)、(D17)である。
【0033】
(D1)の使用量は、(A)の重量に基づき、組成物の取り扱い性および硬化物の靭性の観点から好ましくは10〜400%、さらに好ましくは50〜300%である。
【0034】
(D2)には、C8以上かつMn500,000以下の、下記のものが含まれ、これらは1種単独でも2種以上の併用でもいずれでもよい。
【0035】
(D21)ジ(メタ)アクリレート
(D211)ポリオキシアルキレン(アルキレンはC2〜4)(分子量106以上かつMn3,000以下)のジ(メタ)アクリレート
PEG(Mn400)、PPG(Mn200)およびPTMG(Mn650)の各ジ(メタ)アクリレート等
(D212)ビスフェノール化合物のAO2〜30モル付加物のジ(メタ)アクリレート
ビスフェノールA、−Fおよび−Sの、EO2モルおよびPO4モル付加物の各ジ(メタ)アクリレート等
(D213)C2〜30の脂肪族2価アルコールのジ(メタ)アクリレート
EG、PG、NPGおよびHDの各ジ(メタ)アクリレート等
(D214)C6〜30の脂環式骨格を有する2価アルコールのジ(メタ)アクリレート
ジメチロールトリシクロデカン、シクロヘキサンジメタノールおよび水素化ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート等
【0036】
(D22)ポリ(3価〜6価またはそれ以上)(メタ)アクリレート
(D221)C3〜40の多価(3価〜6価またはそれ以上)アルコールのポリ(メタ)アクリレート
TMPトリ(メタ)アクリレート、GRトリ(メタ)アクリレート、TMPのPO3モル付加物のトリ(メタ)アクリレート、TMPのEO3モル付加物のトリ(メタ)アクリレート、PEのトリ(メタ)アクリレート、PEのテトラ(メタ)アクリレート、PEのEO4モル付加物のテトラ(メタ)アクリレート、ジPEのヘキサ(メタ)アクリレート等
【0037】
(D23)ポリエステル(メタ)アクリレート
多価(2〜4)カルボン酸、多価(2〜8またはそれ以上)アルコールおよび(メタ)アクリロイル基含有化合物のエステル化により得られる複数のエステル結合と複数の(メ
タ)アクリロイル基を有する分子量150以上かつMn4,000以下のポリエステル(メタ)アクリレート
多価(2〜4)カルボン酸としては、例えば脂肪族多価カルボン酸[C3〜20、例えばマロン酸、マレイン酸(無水物)、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、酸無水物の反応物(ジPEと無水マレイン酸の反応物等)、脂環式多価カルボン酸[C5〜30、例えばシクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロ(無水)フタル酸およびメチルテトラヒドロ(無水)フタル酸]および芳香族多価カルボン酸[C8〜30、例えばイソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸(無水物)およびトリメリット酸(無水物)]が挙げられる。
多価(2〜8またはそれ以上)アルコールとしては、前記(a2)として例示したポリオールが挙げられる。
(メタ)アクリロイル基含有化合物としては、C2〜30、例えば(メタ)アクリル酸およびヒドロキシメチル(メタ)アクリレート挙げられる。
【0038】
(D24)側鎖および/または末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリアルカジエン
[例えばポリブタジエンジ(メタ)アクリレート(Mn500〜500,000)]
【0039】
(D25)ジメチルポリシロキサンの側鎖および/または末端に(メタ)アクリロイル基を有するシロキサン重合体[Mn300〜20,000、例えばジメチルポリシロキサンジ(メタ)アクリレート]
これらのうち硬化物の強靭性の観点から好ましいのは、(D21)、(D22)および(D23)である。
【0040】
(D2)の使用量は、(A)の重量に基づいて、通常300%以下、硬化物の柔軟性および靭性の観点から好ましくは5〜100%、とくに好ましくは10〜50%である。
【0041】
本発明の組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、硬化性を向上させる目的でさらに熱硬化触媒(E)を含有させることができる。
(E)としては、過酸化物(t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド等)およびアゾ化合物(アゾビスイソブチロニトリルおよびアゾビスイソバレロニトリル等)等が挙げられる。これらのうち組成物の安定性、反応性の観点から好ましいのは過酸化物、さらに好ましいのはt−ブチルパーオキシベンゾエートおよびメチルエチルケトンパーオキシドである。
【0042】
(E)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて通常10%以下、硬化性の観点から好ましくは0.1〜5%、さらに好ましくは0.5〜1%である。(E)を使用する場合、熱処理をするのが好ましい。熱処理の条件は、硬化物の透明性、反り、後述する基材を使用する場合の接着性や基材の変形の観点から、好ましくは50〜150℃、さらに好ましくは80〜120℃、処理時間は、同様の観点から、好ましくは1〜60分、さらに好ましくは5〜30分である。
【0043】
本発明の組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要によりさらに種々の添加剤(F)を含有させてもよい。(F)には、無機微粒子(F1)、顔料(F2)、分散剤(F3)、消泡剤(F4)、レベリング剤(F5)、シランカップリング剤(F6)、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)(F7)、スリップ剤(F8)、酸化防止剤(F9)および紫外線吸収剤(F10)からなる群から選ばれる1種または2種以上の添加剤が含まれる。
(F)の合計の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常60%以下、好ましくは0.005〜50%である。
【0044】
無機微粒子(F1)としては、アルミナ[酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ア
ルミナホワイト(アルミナ水和物)、シリカアルミナ(アルミナとシリカの融着物、アルミナの表面にシリカをコーティングしたもの等)]、ジルコニア、金属炭化物(炭化タングステン、炭化チタン、炭化ケイ素、炭化ホウ素等)、ダイヤモンド、カーボンブラック(チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等)、シリカ(微粉ケイ酸、含水ケイ酸、ケイ藻、コロイダルシリカ等)、ケイ酸塩(微粉ケイ酸マグネシウム、タルク、ソープストーン、ステアライト、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸マグネシウム、アルミノケイ酸ソーダ等)、炭酸塩[沈降性(活性、乾式、重質または軽質)炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等]、クレー(カオリン質クレー、セリサイト質クレー、バイロフィライト質クレー、モンモリロナイト質クレー、ベントナイト、酸性白土等)、硫酸塩[硫酸アルミニウム(硫酸バンド、サチンホワイト等)、硫酸バリウム(バライト粉、沈降性硫酸バリウム、リトポン等)、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム(石コウ)(無水石コウ、半水石コウ等)等]、鉛白、雲母粉、亜鉛華、酸化チタン、活性フッ化カルシウム、セメント、石灰、亜硫酸カルシウム、二硫化モリブデン、およびマイクロバルーン等が挙げられる。
【0045】
これらのうち硬化物の耐擦傷性および組成物、硬化物の非着色の観点から好ましいのはアルミナ、シリカ、ケイ酸塩、炭酸塩、硫酸塩および酸化チタン、さらに好ましいのはシリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウムおよび酸化チタンである。
(F1)は、2種以上併用してもよく、また2種以上が複合化(例えばシリカに酸化チタンが融着)されたものでもよい。(F1)の形状は、特に限定されず、例えば不定形状、球状、中空状、多孔質状、花弁状、凝集状および粒状のいずれでもよい。
(F1)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常50%以下、硬化物の可撓性の観点から好ましくは30%以下、さらに好ましくは3〜25%である。
【0046】
顔料(F2)としては、下記のものが挙げられる。
(1)アゾ系顔料
不溶性モノアゾ顔料(トルイジンレッド、パーマネントカーミンFB、ファストエローG等)、不溶性ジスアゾ顔料(ジスアゾイエローAAA、ジスアゾオレンジPMP等)、アゾレーキ(溶性アゾ顔料)(レーキレッドC、ブリリアントカーミン6B等)、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等;
(2)多環式顔料
フタロシアニンブルー、インダントロンブルー、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット等;
(3)染つけレーキ
塩基性染料(ビクトリアピュアブルーBOレーキ等)、酸性染料(アルカリブルートーナー等)等;
(4)その他
アジン系顔料(アニリンブラック等)、昼光けい光顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料等;
(F2)の使用量は、組成物の全重量に基づいて、通常50%以下、硬化物の可撓性の観点から好ましくは40%以下、さらに好ましく30%以下である。
【0047】
分散剤(F3)としては、有機分散剤[高分子分散剤(Mn2,000〜500,000)および低分子分散剤(分子量100以上かつMn2,000未満)]および無機分散剤が挙げられる。
【0048】
高分子分散剤としては、ナフタレンスルホン酸塩[アルカリ金属(NaおよびK等。以下同じ。)塩、アンモニウム塩等]のホルマリン縮合物、ポリスチレンスルホン酸塩(塩は上記に同じ。以下も同じ。)、ポリアクリル酸塩、ポリ(2〜4)カルボン酸(マレイン酸/グリセリン/モノアリルエーテル共重合体等)塩、カルボキシメチルセルロース(
Mn1,000〜10,000)およびポリビニルアルコール(Mn1,000〜100,000)等が挙げられる。
【0049】
低分子分散剤としては、下記のものが挙げられる。
(1)ポリオキシアルキレン型
脂肪族アルコール(C4〜30)、[アルキル(C1〜30)]フェノール、脂肪族(C4〜30)アミンおよび脂肪族(C4〜30)アミドのAO(C2〜4)1〜30モル付加物
脂肪族アルコールとしては、n−、i−、sec−およびt−ブタノール、オクタノール、ドデカノール等;(アルキル)フェノールとしては、フェノール、メチルフェノールおよびノニルフェノール等;脂肪族アミンとしては、ラウリルアミンおよびメチルステアリルアミン等;および脂肪族アミドとしては、ステアリン酸アミド等が挙げられる。
(2)多価アルコール型
C4〜30の脂肪酸(ラウリン酸、ステアリン酸等。以下同じ。)と多価(2価〜6価またはそれ以上)アルコール(例えばGR、PE、SOおよびソルビタン)のモノエステル化合物
(3)カルボン酸塩型
C4〜30の脂肪酸のアルカリ金属塩
(4)硫酸エステル型
C4〜30の脂肪族アルコール(上記に同じ。以下も同じ。)および脂肪族アルコールのAO(C2〜4)1〜30モル付加物の硫酸エステルアルカリ金属塩等
【0050】
(5)スルホン酸塩型
[アルキル(C1〜30)]フェノール(上記に同じ。以下も同じ。)のスルホン酸アルカリ金属塩
(6)リン酸エステル型
C4〜30の脂肪族アルコールおよび脂肪族アルコールのAO(C2〜4)1〜30モル付加物のモノまたはジリン酸エステルの塩[アルカリ金属塩、4級アンモニウム塩等](7)1〜3級アミン塩型
C4〜30の脂肪族アミン[1級(ラウリルアミン等)、2級(ジブチルアミン等)および3級アミン(ジメチルステアリルアミン等)]塩酸塩、トリエタノールアミンとC4〜30の脂肪酸のモノエステルの無機酸(塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸等。以下同じ。)塩
(8)4級アンモニウム塩型
C4〜30の4級アンモニウム(ブチルトリメチルアンモニウム、ジエチルラウリルメチルアンモニウム、ジメチルジステアリルアンモニウム等)の無機酸塩等
が挙げられる。
【0051】
無機分散剤としては、ポリリン酸のアルカリ金属塩およびリン酸系分散剤(リン酸、モノアルキルリン酸エステル、ジアルキルリン酸エステル等)等が挙げられる。
(F3)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常10%以下、好ましくは0.05〜5%である。
【0052】
消泡剤(F4)としては、低級アルコール(C1〜6)(メタノール、ブタノール等)、高級アルコール(C8〜18)(オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール等)、高級脂肪酸(C10〜20)(オレイン酸、ステアリン酸等)、高級脂肪酸エステル(C11〜30)(グリセリンモノラウリレート等)、リン酸エステル(トリブチルホスフェート等)、金属石けん(ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等)、ポリエーテル[PEG(Mn200〜10,000)、PPG(Mn200〜10,000)等]、シリコーン(ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フルオ
ロシリコーンオイル等)および鉱物油系(シリカ粉末を鉱物油に分散させたもの)等が挙げられる。
(F4)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常3%以下、好ましくは0.01〜2%である。
【0053】
レベリング剤(F5)としては、PEG型非イオン界面活性剤(ノニルフェノールEO1〜40モル付加物、ステアリン酸EO1〜40モル付加物等)、多価アルコール型非イオン界面活性剤(ソルビタンパルミチン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸トリエステル等)、フッ素系界面活性剤(パーフルオロアルキルEO1〜50モル付加物、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルベタイン等)、変性シリコーンオイル[例えばポリエーテル変性シリコーンオイルおよび(メタ)アクリレート変性シリコーンオイル]等が挙げられる。
(F5)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常3%以下、好ましくは0.1〜2%である。
【0054】
シランカップリング剤(F6)としては、アミノ基含有シランカップリング剤(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−フェニルアミノフロピルトリメトキシシラン等)、ウレイド基含有シランカップリング剤(ウレイドプロピルトリエトキシシラン等)、ビニル基含有シランカップリング剤[ビニルエトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等]、メタクリレート基含有シランカップリング剤(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等)、エポキシ基含有シランカップリング剤(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等)、イソシアネート基含有シランカップリング剤(γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等)、ポリマー型シランカップリング剤(ポリエトキシジメチルシロキサン、ポリエトキシジメチルシロキサン等)、カチオン型シランカップリング剤[N−(N−ベンジル−β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩等]等が挙げられる。
(D6)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常10%以下、好ましくは0.5〜7%である。
【0055】
チクソトロピー性付与剤(F7)としては、無機チクソトロピー性付与剤(ベントナイト、有機処理ベントナイトおよびコロイダル炭酸カルシウム等)および有機チクソトロピー性付与剤(水添ヒマシ油ワックス、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸アルミニウム、重合アマニ油等)が挙げられる。
(F7)の使用量は本発明の組成物の全重量に基づいて、通常20%以下、好ましくは0.5〜10%である。
【0056】
スリップ剤(F8)としては、高級脂肪酸エステル(ステアリン酸ブチル等)、高級脂肪酸アミド(エチレンビスステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等)、金属石けん(ステアリン酸カルシウム、オレイン酸アルミニウム等)、ワックス[パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルボキシル基含有ポリエチレンワックス等)等]およびシリコーン(例えばジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイルおよびフルオロシリコーンオイル)等が挙げられる。
(F8)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常5%以下、好ましくは0.01〜2%である。
【0057】
酸化防止剤(F9)としては、ヒンダードフェノール化合物〔トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル〕およびアミン化合物(n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミノメチルメタクリレート等)が挙げられる。
(F9)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常3%以下、好ましくは0.005〜2%である。
【0058】
紫外線吸収剤(F10)としては、ベンゾトリアゾール化合物[2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等]、トリアジン化合物〔2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール〕、ベンゾフェノン(2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン等)、シュウ酸アニリド化合物(2−エトキシ−2’−エチルオキサリック酸ビスアニリド等)が挙げられる。
(F10)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常3%以下、好ましくは0.005〜2%である。
【0059】
上記(F1)〜(F10)の間で添加剤が同一で重複する場合は、それぞれの添加剤が該当する添加効果を奏する量を他の添加剤としての効果に関わりなく使用するのではなく、他の添加剤としての効果も同時に得られることをも考慮し、使用目的に応じて使用量を調整するものとする。
【0060】
本発明の組成物は、塗工の際に、塗工に適した粘度に調整するために、必要に応じて溶剤で希釈してもよい。溶剤の使用量は、溶剤を加える前の該組成物の重量に基づいて通常2,000%以下、好ましくは10〜500%である。また、塗料の粘度は、使用時の温度(通常5〜60℃)で、通常5〜500,000mPa・s、安定塗工の観点から好ましくは50〜10,000mPa・sである。
【0061】
該溶剤としては、本発明の組成物中の樹脂分を溶解するものであれば特に限定されることはなく、具体的には、芳香族炭化水素(C7〜10、例えばトルエン、キシレンおよびエチルベンゼン)、エステルまたはエーテルエステル(C4〜10、例えば酢酸エチル、酢酸ブチルおよびメトキシブチルアセテート)、エーテル(C4〜10、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、EGのモノエチルエーテル、EGのモノブチルエーテル、PGのモノメチルエーテルおよびDEGのモノエチルエーテル)、ケトン(C3〜10、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトンおよびシクロヘキサノン)、アルコール(C1〜10、例えばメタノール、エタノール、n−およびi−プロパノール、n−、i−、sec−およびt−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコールおよびベンジルアルコール)、アミド(C3〜6、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等)、スルホキシド(C2〜4、例えばジメチルスルホキシド)、水、およびこれらの2種以上の混合溶剤が挙げられる。
これらのうち好ましいのは沸点が70〜100℃のエステル、ケトンおよびアルコール、さらに好ましいのは酢酸エチル、メチルエチルケトン、i−プロパノールおよびこれらの混合物である。
【0062】
本発明の組成物は、必要により溶剤で希釈して、基材に塗工し必要により乾燥させた後、紫外線照射で硬化させることにより基材の少なくとも片面の少なくとも一部に硬化物を有する被覆物を得ることができる。
該塗工に際しては、通常用いられる装置、例えば塗工機[バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター(サイズプレスロールコーター、ゲートロールコーター等)、エアナイフコーター、スピンコーター、ブレードコーター等]が使用できる。塗工膜厚は、硬化乾燥後の膜厚として、通常0.5〜300μm、乾燥性、硬化性の観点から好ましい上限は250μm、耐摩耗性、耐溶剤性、耐汚染性の観点から好ましい下限は1μmである。
【0063】
本発明の組成物を溶剤で希釈して使用する場合は、塗工後に乾燥するのが好ましい。乾燥方法としては、例えば熱風乾燥(ドライヤー等)が挙げられる。乾燥温度は、通常10〜200℃、乾燥速度の観点から好ましい下限は30℃、塗膜の表面平滑性の観点から好ましい上限は150℃である。
【0064】
本発明の組成物を紫外線照射で硬化させるに際しては、種々の紫外線照射装置[例えばアイグランデージ、アイグラフィック(株)製]を使用することができる。紫外線の照射量は、通常10〜10,000mJ/cm2、硬化物の可撓性の観点から好ましい上限は
5,000mJ/cm2、組成物の硬化性の観点から好ましい下限は100mJ/cm2である。
【0065】
本発明の組成物は、基材等のコーティング剤、接着剤、シーリング剤などに使用することができる。また、金型を使用して、基材表面上に立体形状を有するシートを得ることができる。適用される基材としては、特に限定はされないが、例えば紙、プラスチック、ガラスおよび金属が挙げられる。具体的には、紙(例えば薄葉紙、紙間強化紙、チタン紙、ラテックス含浸紙および石膏ボード用原紙)、プラスチック[プラスチックフィルム(塩化ビニル、ポリエステル、ポリプロピレンおよびポリメチルメタクリレート等のフィルム)、プラスチック板(ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートおよびメチルメタクリレート/スチレン共重合物等の板)等]、ガラス板、銅板、アルミ板、鉄板等が挙げられる。
【0066】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0067】
製造例1〜3
撹拌機、冷却管および温度計を備えた四つ口フラスコに、表1に示す割合で(a2)と(b)を配合し、表1の条件Iで反応させた後、(a1)および触媒としてビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)(2−エチルヘキサン酸50%溶液)0.05部を加え、表1の条件IIで反応させ、ウレタンアクリレート(A−1)〜(A−3)を得た。(A−1)〜(A−3)のNCO%、Mnを表1に示す。
【表1】

PTMG−2000:ポリテトラメチレングリコール[商品名「PTMG−2000」、
三菱化学(株)製、Mn2,000]
BP−5P :ビスフェノールAのPO5モル付加物[商品名「ニューポールBP−5
P」、三洋化成工業(株)製、表2も同じ。]
PCL−208:ポリカプロラクトンジオール[商品名「プラクセル208」、ダイセル
化学(株)製、Mn800]
PP−950 :ポリプロピレングリコール[商品名「サンニックスPP−950」、三
洋化成工業(株)製、Mn950。表2も同じ。]
HEA :2−ヒドロキシエチルアクリレート
M−5710 :2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート[商品名「アロ
ニックスM−5710」、東亞合成(株)製。表2も同じ。]
【0068】
実施例1〜7
(A−1)〜(A−3)を表2に示す重量比に従って配合し、樹脂組成物(実施例1〜7)を得た。該組成物の外観、ハーゼン単位色数、粘度〔BL型粘度計[東京計器(株)製]〕を測定した。配合直後と−20℃および40℃で各3ヶ月間保管した後の各性状を評価した。結果を表2に示す。
【0069】
比較例1〜3
表2に示す重量比に従って配合し、樹脂組成物(比較例1〜3)を得た。該組成物について実施例1〜7と同様にして各性状を評価した。結果を表2に示す。
【0070】
【表2】

外観:Gは淡黄色液状を表す。
色数:JIS K4101の色数試験方法に準じた測定値。
粘度:BL型粘度計[東京計器(株)製]、25℃での測定値。単位はmPa・s。
PTMG−1000:ポリテトラメチレングリコール[商品名「PTMG−1000」、
三菱化学(株)製、Mn1,000]
PCL−220:ポリカプロラクトンジオール[商品名「プラクセル220」、ダイセル
化学(株)製、Mn2,000]
IBXA :イソボルニルアクリレート[商品名「IBXA」、大阪有機(株)製]POA :フェノキシエチルアクリレート[商品名「ライトアクリレートPOA」
、共栄社化学(株)製]
M−111 :ノニルフェニルジエチレングリコールアクリレート[商品名「アロニッ
クスM−111」、東亞合成(株)製]
BA−641 :ビスフェノールA EO4モル付加物のアクリレート[商品名「ネオマ
ーBA−641」、三洋化成工業(株)製]
TMPT :トリメチロールプロパントリアクリレート[商品名「ライトアクリレー
トTMPT」、共栄社化学(株)製]
TCP :トリクレジルホスファイト[商品名「TCP」、大八化学(株)製、可
塑剤]
DOP :ジオクチルフタレート[商品名「DOP」、大八化学(株)製、可塑剤

I184 :1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン[商品名「イルガキュア
184、チバスペシャリティケミカル(株)製]
TPO :1,3,5−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド[商
品名「ルシリンTPO、BASF(株)製]
【0071】
実施例8〜14、比較例4〜6(硬化物の作成)
実施例1〜7、比較例1〜3の各組成物を用い、下記の評価項目に従って硬化物を作成し、透明性、接着性、柔軟性および傷回復性を評価した。硬化直後と25℃で3ヶ月間静置した後の各性能を表3に示す。
【0072】
【表3】

【0073】
(評価項目)
(1)透過率(透明性の評価)
(i)硬化物作成法
周辺部にスペーサー枠(厚さ100μm、以下同じ。)をセットしたガラス板〔MICRO SLIDE GLASS 水板[松浪ガラス(株)製]、長さ76×幅26×厚さ1.3mm、以下同じ〕上に、試料を充填し、さらにその上にガラス板を重ね、ニップローラーで挟んで空気を押し出した。その後、紫外線照射装置[アイグランデージ、アイグラフィック(株)製。照射ランプはメタルハライドランプ。以下同じ。]を用いて、1,000mJ/cm2の紫外線を照射し、硬化物を得た。
(ii)透過率測定方法
JIS K−7361−1に準じ全光線透過率測定装置[商品名「haze−gard
dual」、BYK gardner(株)製]を用いて透過率を測定した。
【0074】
(2)接着強度(接着性の評価)
(i)硬化物作成法
JIS K−6854−1に準じて、周辺部にスペーサー枠をセットしたガラス板上に、試料を充填し、さらにその上にPETフィルム[商品名「A4100」、東洋紡(株)製、長さ150mm×幅50mm×厚さ200μm、以下同じ。]を重ね、ニップローラーで挟んで空気を押し出した。その後、紫外線照射装置を用いて、1,000mJ/cm2の紫外線を照射し、90℃剥離用試験片を得た。
(ii)接着強度測定方法
JIS K−6854−1に準じて、オートグラフ[AG100kNGまたはAG100NIS、(株)島津製作所製]を用いて、室温23℃、引張速度50mm/分でT剥離(90℃剥離)試験を行い接着強度を測定した。
【0075】
(3)折り曲げ性(柔軟性の評価)
(i)硬化物作成法
PETフィルム上に厚さ25μmになるようにアプリケータを用いて、組成物を塗工し、塗膜に対して紫外線照射装置を用いて、1,000mJ/cm2の紫外線を照射し、片
面に硬化塗膜を有するシート(被覆物)を得た。
(ii)折り曲げ性試験方法
得られたシートを180℃折り曲げ、折り曲げた部分の表裏外観を目視観察し、下記基準で評価した。
○:ひび割れなし
×:ひび割れあり
(4)傷回復性
(i)硬化物作成法
上記(3)(i)と同様にして片面に硬化塗膜を有するシート(被覆物)を得た。
(ii)傷回復性試験方法
得られたシートに爪で引っかき、1時間後の引っかき跡の状態を下記の基準で評価した。
○:引っかき跡なし
×:引っかき跡あり
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の感光性樹脂組成物を硬化させてなる硬化物は、透明性、柔軟性、プラスチックとの接着性および傷回復性、並びにこれらの特性の経時安定性が良好なことから、透明性の要求される部材(光学用途、コーティング用途)等に幅広く用いることができ、極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a1)、ポリオール(a2)およびポリイソシアネート(b)から形成されてなるウレタン(メタ)アクリレート(A)、ポリオール(B)および光重合開始剤(C)からなる感光性樹脂組成物。
【請求項2】
(a2)と(B)が、同一の繰り返し単位を有するポリオールである請求項1記載の組成物。
【請求項3】
(A)の重量に基づく(B)の割合が0.5〜50%である請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
さらに、単官能(メタ)アクリロイル基含有化合物およびその他の(メタ)アクリロイル基含有化合物からなる群から選ばれる1種または2種以上の(メタ)アクリロイル基含有化合物を含有させてなる請求項1〜3のいずれか記載の組成物。
【請求項5】
さらに、熱硬化触媒を含有させてなる請求項1〜4のいずれか記載の組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか記載の組成物からなるコーティング剤、接着剤またはシーリング剤。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか記載の組成物を硬化させてなる硬化物。
【請求項8】
請求項7記載の硬化物を基材の少なくとも片面の少なくとも一部に有する被覆物。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか記載の組成物を基材の少なくとも片面の少なくとも一部に塗布し、紫外線を照射して硬化させることを特徴とする被覆物の製造方法。

【公開番号】特開2007−314779(P2007−314779A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−114780(P2007−114780)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】