説明

感光性組成物およびそれを用いたパターン形成方法

【課題】形成パターンの微細化の要請に適合したアルカリ現像可能な感光性組成物を提供する。
【解決手段】酸分解性基を有するトルクセン誘導体化合物と、化学放射線の作用により酸を発生する光酸発生剤とを含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子などの製造工程における微細加工に用いられる感光性組成物、およびそれを用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波素子や量子効果デバイス試作などにおいては、100nm以下の微細なパターニング特性が要求されている。レジストの成分として高分子化合物が含有された場合には、その分子サイズがエッジラフネスなどに影響を与えることが問題となりつつある。したがって、高分子化合物をベースとするレジストでは、解像度をそれ以上に改良することが困難になってきている。
【0003】
高解像性を得るため、環状フェノール誘導体を用いるEBレジストも研究されているものの、高い解像性に加えて十分な感度を有し、しかもアルカリ水溶液により現像可能なレジストは未だ得られていない。
【0004】
アルカリ可溶性の環状フェノール誘導体としては、環状レゾルシノールを用いたネガ型レジスト、フェニル誘導体を用いたポジ型レジストが提案されている(例えば、非特許文献1,2参照)。これらを用いてもパターン形成は必ずしも十分満足のいくものではなく、基板への密着性についても言及されていない。さらに、耐熱性の高い低分子化合物として、トルクセン誘導体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、トルクセン誘導体をパターン形成用の感光性組成物に適用する具体的な方法は、開示されてはいない。
【非特許文献1】Chem.Lett.1997(3),265
【非特許文献2】Chem.Lett.2004(6),706
【特許文献1】特開2003−261473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、形成パターンの微細化の要請に適合したアルカリ現像可能な感光性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様にかかる感光性組成物は、下記一般式(T1)で表わされる化合物と、化学放射線の作用により酸を発生する光酸発生剤とを含有することを特徴とする。
【化8】

【0007】
(上記一般式(T1)中、R1は水素原子であり、その一部は、以下に示す(AD−1)、(AD−2)および(AD−3)からなる群から選択される少なくとも1種の疎水性基により置換されている。)
【化9】

【0008】
本発明の他の態様にかかる感光性組成物は、下記一般式(T2)で表わされる化合物と、化学放射線の作用により酸を発生する光酸発生剤とを含有することを特徴とする。
【化10】

【0009】
(上記一般式(T2)中、R2は水素原子であり、その一部は、以下に示す親水性基(LA)により置換されている。)
【化11】

【0010】
本発明の他の態様にかかる感光性組成物は、下記一般式(T3)で表わされる化合物と、化学放射線の作用により酸を発生する光酸発生剤とを含有することを特徴とする。
【化12】

【0011】
(上記一般式(T3)中、R3は水素原子および疎水性基である。疎水性基は、以下に示す(AD−1)、(AD−2)および(AD−3)からなる群から選択され、水素原子の一部は、以下に示す親水性基(LA)により置換されている。)
【化13】

【0012】
【化14】

【0013】
本発明の一態様にかかるパターン形成方法は、基板上に前述の感光性組成物を含む感光性層を形成する工程と、
前記感光性層の所定の領域に化学放射線を照射してパターン露光する工程と、
前記基板を熱処理する工程と、
前記熱処理後の感光性層をアルカリ水溶液で現像処理して、前記感光性層の露光部を選択的に除去する工程と
を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、形成パターンの微細化の要請に適合したアルカリ現像可能な感光性組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0016】
本発明の一実施形態にかかる感光性組成物は、トルクセン骨格を有し、特定の酸分解性基が導入された化合物(以下、トルクセン誘導体と称する)と、化学放射線の作用により酸を発生する光酸発生剤とを含有する。トルクセン誘導体は、下記一般式(T1)、(T2)、および(T3)で表わされる化合物のいずれかである。
【化15】

【0017】
上記一般式(T1)中、R1は水素原子であり、その一部は、以下に示す(AD−1)、(AD−2)および(AD−3)からなる群から選択される少なくとも1種の疎水性基により置換されている。また、上記一般式(T2)中、R2は水素原子であり、その一部は、以下に示す親水性基(LA)により置換されている。さらに、上記一般式(T3)中、R3は水素原子および疎水性基である。疎水性基は、以下に示す(AD−1)、(AD−2)および(AD−3)からなる群から選択され、水素原子の一部は、以下に示す親水性基(LA)により置換されている。前述したような疎水性基および親水性基は、いずれも酸分解性基である。
【化16】

【0018】
【化17】

【0019】
こうした感光性組成物を含む感光性層の所定の領域に化学放射線を照射すると、露光部において選択的に光酸発生剤から酸が発生する。本実施形態に用いられるトルクセン誘導体には、酸分解性基が導入されており、この酸分解性基は酸によって分解する。その結果、感光性層の露光部は、アルカリ水溶液に対する溶解性が高められ、アルカリ現像液により選択的に溶解除去することができる。すなわち、本発明の実施形態にかかる感光性組成物は、ポジ型の化学増幅型レジストである。
【0020】
前記一般式(T1),(T2),(T3)で表わされる化合物は、マトリックス化合物として感光性組成物に配合される。かかる化合物は、剛直性の高いトルクセン骨格を中心に有している。トルクセン骨格においては、芳香族環が五員環により立体的に固定化されているため、構造自体の剛直性が高く、エントロピー変化が抑制されて、高い耐熱性を有する。
【0021】
しかも、トルクセン骨格の5,10,15位には、ベンジル基がそれぞれ結合しており、この3つのベンジル基によってアモルファス性が高められる。
【0022】
前記一般式(T1),(T2),(T3)で表わされる化合物は、いずれも低分子化合物である。低分子化合物は、アモルファス性を示さず、結晶性を示すのが一般的である。それにもかかわらず、一般式(T1),(T2),(T3)で表わされる化合物は、特異的にアモルファス性を示し、マトリックス化合物として好適な特性を有することが本発明者らによって見出された。
【0023】
本発明の一実施形態にかかる感光性組成物は、分子サイズの小さい低分子化合物をマトリックス化合物として含有するので、分子量の小さい化合物のみで構成されることとなる。その結果、解像度を高めるとともにエッジラフネスを改善することができる。
【0024】
例えば高分子化合物は、分子サイズが大きいので、分子鎖の絡まりあった網目構造の集合体のサイズが大きい。こうした高分子化合物をマトリックス化合物として含有する感光性組成物の場合には、現像時に露光部の大きな集合体が脱離する。この脱離に基づいて、現像後に得られるパターンの側壁には大きなエッジラフネスを生ずることとなる。
【0025】
これに対して、低分子化合物は、分子サイズが小さく、分子鎖の絡まりあった集合体のサイズも小さい。このため、低分子化合物のみで構成される感光性組成物の場合には、現像時に露光部の脱離する集合体が小さい。現像後に得られるパターンの側壁にエッジラフネスが生じたとしても、その程度は低減される。その結果、低分子化合物を用いた本発明の実施形態にかかる感光性組成物では、解像度が高められ、エッジラフネスを改善することが可能となった。
【0026】
本発明の一実施形態にかかる感光性組成物には、特定の酸分解性基を有するトルクセン誘導体が含有されるので、解像度を高め、エッジラフネスを改善できるとともに超高感度を実現することが可能となったものである。
【0027】
光酸発生剤から発生した酸の触媒反応下の結合解裂エネルギーが最も小さいことから、酸分解性基はアセタール類を含むことが好ましい。アセタール類は、保護基の脱離反応が容易に生じて感度の向上につながる点でも有利である。
【0028】
アセタール類に加えて、酸分解性基には、脂環式骨格が含まれることが好ましい。化学放射線を真空中で照射する場合には、脱ガスが発生して、照射装置の内部を汚すことが問題とされている。脂環式骨格によって、こうした問題を回避することができる。具体的には、脂環式骨格は、一般に200℃以上の高沸点を示すことから、脱ガスの発生を抑えられる効果が得られる。脂環式骨格は特に限定されないが、なかでも、アダマンタンおよびハイパーラクトンが好ましい。
【0029】
アダマンタンは、疎水性が強いことから、低い保護率で現像液に対し高い抑止効果を示し、ヒドロキシ基を多く残すことができる。その結果、シリコン基板への密着性を高く保って、コントラストを高くできる点で有利である。すなわち、前述の(AD−1)、(AD−2)および(AD−3)からなる群から選択される疎水性基である。
【0030】
一方、ハイパーラクトンは親水性を有しているので、アダマンタンの場合とは逆に、高い保護率でもレジスト膜の表面エネルギーを高く保つことができる。すなわち、高いコントラストを維持したまま、シリコン基板などに対する密着性が高められる。前述の親水性基(LA)が、これに該当する。
【0031】
このように、(AD−1)、(AD−2)、(AD−3)および(LA)は、いずれもコントラストの向上に寄与する。
【0032】
前記一般式(T1)においては、(AD−1)、(AD−2)および(AD−3)から選択される疎水性基が、R1の一部に導入され、R1の残部は水素原子である。水性現像液に対する溶解抑止性、およびシリコンなどの基板に対する密着性を考慮すると、水素原子は、R1総量の10%以上90%以下を占めることが好ましい。ここで、R1総量に対する水素原子の割合は、全分子における水素原子が導入されたR1の数を、R1の総量で除した数平均的な百分率であるとする。例えば、全体で200分子あるとして、そのうちの100分子においては2つのR1に水素原子が導入され、残りの100分子では4つのR1に水素原子が導入された場合には、(2÷6×100+4÷6×100)÷200=0.5となり、R1総量の50%が水素原子であることになる。後述するR2およびR3の場合も、同様の方法によって、その総量に対する水素原子の割合を算出することができる。
【0033】
水性現像液としては、テトラメチルアンモニウムヒドキシド水溶液、テトラエチルアンモニウム水溶液、コリン水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ現像液を用いることができる。水素原子の含有量は、R1総量の20%以上60%以下であることがより好ましい。
【0034】
前記一般式(T2)においては、親水性基(LA)がR2の一部に導入され、R2の残部は水素原子である。前述と同様の理由から、水素原子は、R2総量の10%以上90%以下を占めることが好ましい。水素原子の含有量は、R2総量の60%以上80%以下であることがより好ましい。
【0035】
前記一般式(T3)においては、(AD−1)、(AD−2)および(AD−3)から選択される疎水性基と、親水性基(LA)とがR3の一部に導入され、R3の残部は水素原子である。前述と同様の理由から、水素原子は、R3総量の10%以上90%以下を占めることが好ましい。水素原子の含有量は、R3総量の40%以上80%以下であることがより好ましい。
【0036】
3に導入される疎水性基と親水性基との比は、2:1〜1:2であることが好ましい。この場合には、前述の溶解抑止能および密着性を厳密に制御することができる。疎水性基と親水性基との比は、2:3〜3:2であることがより好ましく、1:1が最も好ましい。
【0037】
疎水性基(AD−1)、(AD−2)、および(AD−3)における水性現像液に対する溶解抑止の効果は、(AD−3)が最も優れており、(AD−2)、(AD−1)の順である。したがって、疎水性基全体が(AD−3)であることが最も好ましい。
【0038】
上述したような疎水性基および親水性基の少なくとも一方を含む酸分解性基の分解は、光酸発生剤から発生する酸によって生じる。光酸発生剤は、化学放射線の作用により酸を発生する化合物である。化学放射線とは、具体的には紫外線および電離放射線をさし、光酸発生剤としては、スルホニル、ヨードニウム、およびその他のオニウム塩化合物やスルホニルエステルが好ましく用いられる。光酸発生剤の好ましい具体例としては、下記のものを挙げることができる。
【化18】

【0039】
【化19】

【0040】
【化20】

【0041】
【化21】

【0042】
【化22】

【0043】
【化23】

【0044】
【化24】

【0045】
【化25】

【0046】
【化26】

【0047】
ここで、R10、R11およびR12は、同一でも異なっていてもよく、置換または非置換のアルキル基、および置換または非置換のアリール基から選択される。
【化27】

【0048】
ここでZは、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアルコキシ基、置換または非置換のアリール基、およびハロゲン原子から選択される置換基であり、X+−は任意のカチオン基である。nは、そのカチオン基の全体電荷が+1になるような1〜3の整数である。
【化28】

【0049】
光酸発生剤は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。光酸発生剤の含有量は、一般には、感光性組成物に含まれる固形成分の全重量の0.1〜10.0重量%とすることができる。固形成分とは、感光性組成物から有機溶媒成分を除いた組成物をさす。光酸発生剤の含有量が少なすぎる場合には、十分な感度を得ることが困難となる。特に電離放射線による照射では、紫外線に比べて、多くの光酸発生剤を要する。一方、光酸発生剤が多すぎる場合には、例えばArFエキシマー光などによる露光の場合では、光酸発生剤そのものの光吸収によって、露光波長における感光性組成物の光透過性が損なわれることがある。光酸発生剤は、固形成分の0.3〜5.0重量%の量で配合されることが、より好ましい。
【0050】
本発明の実施形態にかかる感光性組成物には、必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。例えば、化学増幅型レジストの欠点である環境中の塩基性化合物の影響を低減させるために、微量の塩基性化合物を添加してもよい。
【0051】
塩基性化合物としては、例えば、ピリジン誘導体、アニリン誘導体、アミン化合物、およびインデン誘導体などが挙げられる。ピリジン誘導体としては、例えばt−ブチルピリジン、ベンジルピリジン、および各種のピリジニウム塩などが挙げられ、アニリン誘導体としては、例えばN−メチルアニリン、N−エチルアニリン、およびN,N’−ジメチルアニリンなどが挙げられる。また、アミン化合物としては、例えばジフェニルアミンおよびN−メチルジフェニルアミンなどが挙げられる。
【0052】
塩基性化合物の添加量は、一般に光酸発生剤のモル数を基準にして、0.1〜100モル%の範囲内とすることが好ましい。この範囲内で添加されていれば、感光性組成物の感度を低下させることなく、その効果を十分に得ることができる。塩基性化合物の添加量は、用いるパターニング装置等に応じて適宜調整することが望まれる。塩基性化合物の添加量は、光酸発生剤のモル数を基準にして5〜90モル%であることがより好ましい。
【0053】
本発明の実施形態にかかる感光性組成物は、上述した各成分を溶剤に溶解し、メンブレンフィルターなどで濾過することによって調製することができる。溶剤としては、ケトン類、セロソルブ類、およびエステル類といった有機溶媒が挙げられる。具体的には、ケトンとしては、例えばシクロヘキサノン、アセトン、エチルメチルケトン、およびメチルイソブチルケトンなどが挙げられる。セロソルブル類としては、例えばメチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、およびブチルセロソルブアセテートなどが挙げられる。また、エステル類としては、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、γ−ブチロラクトン、および3−メトキシプロピオン酸メチルなどが挙げられる。上述したような溶剤は、必要に応じて2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0054】
感光性組成物の種類によっては、溶解性を向上させるためにジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、アニソール、モノクロロベンゼン、あるいはオルトジクロロベンゼンなどを、溶剤の一部として用いることもできる。さらには、低毒性溶媒として乳酸エチルなどの乳酸エステル、プロピレングリコールモノエチルアセテートなどを用いてもよい。
【0055】
本発明の実施形態にかかる感光性組成物を用いてパターンを形成するにあたっては、まず、感光性組成物を基板上に塗布して感光性層を形成する。基板としては、任意のものを用いることができる。基板としては具体的には、シリコンウェハー、ドーピングされたシリコンウェハー、表面に各種の絶縁膜、電極、または配線が形成されたシリコンウェハー、マスクブランクス、GaAsまたはAlGaAsなどのIII−V族化合物半導体ウェハーなどを挙げることができる。さらに、クロムまたは酸化クロム蒸着基板、アルミニウム蒸着基板、IBSPGコート基板、SOGコート基板、またはSiNコート基板を用いることもできる。
【0056】
こうした基板上に感光性組成物を塗布するには任意の方法を採用することができ、例えば、スピンコーティング、ディップコーティング、ドクターブレード法、およびカーテンコーティングなどが挙げられる。
【0057】
塗布された感光性組成物を加熱乾燥して、感光性層が形成される。マトリックス化合物の酸分解性置換基や、光酸発生剤は未露光のときであっても、高温加熱で分解反応を起こし、反応してしまうことから、加熱乾燥の温度は170℃以下が好ましく、70〜120℃が好ましい。
【0058】
次に、感光性層の所定の領域に化学放射線を照射してパターン露光を行なう。露光は、所定のマスクパターンを介して、感光性層に化学放射線を照射することにより行なうことができる。あるいは、マスクパターンを用いずに、感光性層に電離放射線を直接走査させて露光を行なってもよい。
【0059】
露光に用いる電離放射線は、前記の感光性組成物が感度を有する波長を有するものであれば任意のものを用いることができる。具体的には、紫外線、水銀ランプのi線、h線、またはg線、キセノンランプ光、新紫外UV光(例えばKrFまたはArFなどのエキシマーレーザー光)、X線、シンクロトロンオービタルラジエーション(SR)、電子線、γ線、およびイオンビームなどを用いることができる。
【0060】
露光後の基板に対しては、加熱処理(ベーキング処理)を行なう。加熱処理は、任意の方法で行なうことができるが、一般的には熱板上や加熱炉中での加熱、または赤外線照射などにより加熱することができる。化学増幅型のレジスト組成物を用いたパターン形成においては、酸触媒反応を促進させるために加熱処理を行なうが、酸が過剰に拡散するのを抑えるために、加熱処理の温度は150℃以下に抑えることが望まれる。
【0061】
続いて、感光性層を水性現像液(アルカリ現像液)により現像する。アルカリ現像液としては、有機アルカリ水溶液および無機アルカリ水溶液のいずれを用いてもよい。有機アルカリ水溶液としては、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、およびコリン水溶液などが挙げられ、無機アルカリ水溶液としては、例えば水酸化カリウム水溶液、および水酸化ナトリウム水溶液などが挙げられる。
【0062】
アルカリ現像液の濃度は限定されないが、感光性層の露光部と未露光部との溶解速度差を大きくして、十分な溶解コントラストを確保するために、15モル%以下の濃度であることが好ましい。この濃度は、マトリックス化合物に導入された保護基の量に応じて調整することが必要である。
【0063】
このように、アルカリ現像液としてpH11以下の水性現像液を用いることもできる。また、これらの現像液には、必要に応じて任意の添加剤を添加することもできる。例えば、界面活性剤を添加して現像液の表面張力を下げたり、中性塩を加えて現像を活性にすることもできる。また、現像液の温度も任意であり、冷水を用いることも温水を用いることもできる。
【0064】
本発明のパターン形成方法においては、必要に応じて、さらに工程を加えることもできる。例えば、基板上に感光性層を塗設する前に平坦化層形成させる工程、露光光の反射を低減させるための反射防止層を形成させる工程、現像処理後の基板を水などで洗浄して、現像液などを除去するリンス工程、および、ドライエッチング前に紫外線を再度照射する工程などを、前述の工程に組み合わせることができる。
【0065】
本発明の実施形態にかかる感光性組成物を含む感光性層においては、現像処理によって感光性層の露光部が選択的に溶解除去されることによって、レジストパターンが形成される。本発明の実施形態にかかる感光性組成物が用いられるので、本発明の実施形態にかかる方法によって、エッジラフネスが低減されたパターンを、高い解像度および感度で形成することが可能である。
【0066】
以下、本発明の具体例を示す。
【0067】
(合成例1)
50gの五酸化リンを三口フラスコに収容してアルゴン置換し、50mlの脱水ジエチルエーテルおよび50mlの脱水クロロホルムを加えた。得られた溶液を還流しながら8時間、撹拌した。沈殿物ろ過し、ろ液を濃縮して、残留した黄色粘性の液体の生成物を得た。
【0068】
21.25gのポリリン酸エステルと、9.25gの5−メトキシ−1−インダノンとを三口フラスコに収容し、アルゴン置換した。これを、140℃に加熱し、還流しながら2時間撹拌した。次に、フラスコを冷却しながらエタノール50mlを徐々に添加して、室温で1時間、撹拌した。沈殿物を吸引ろ過した後、沈殿物をアセトンで洗浄して、回収した。
【0069】
50℃での真空乾燥により、黄色固体の生成物が得られた。1H−NMR測定の結果、黄色生成物は、下記化学式で表わされる(2,7,12−トリメトキシトルクセン)と同定された。
【化29】

【0070】
(合成例2)
前述の合成例1で得られた2,7,12−トリメトキシトルクセン(6.50g)を三口フラスコに収容し、アルゴン置換した。その中へ脱水ジメチルホルムアミド(500ml)を加えてよく撹拌し、懸濁液を得た。4℃まで冷却し、少量の脱水ヘキサンで洗浄した水素化ナトリウム(1.12g)を加えて、透明な赤褐色になるまで撹拌した。
【0071】
その中へパラメトキシベンジルブロミド(10.55g)を滴下し、1時間、室温で撹拌した。次に、大量の酢酸エチルを加え、得られた溶液を希しゅう酸水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した。抽出した有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、濃縮した。生じた残留物を少量の酢酸エチルで洗浄して、黄色粉末の生成物を得た。
【0072】
1H−NMR測定の結果、黄色生成物は、下記化学式で表わされる(5,10,15−トリス(4−メトキシフェニルメチル)−2,7,12−トリメトキシトルクセン)と同定された。
【化30】

【0073】
(合成例3)
前述の合成例2で得られた5,10,15−トリス(4−メトキシフェニルメチル)−2,7,12−トリメトキシトルクセン(3g)を三口フラスコに収容し、アルゴン置換した。その中へ30%臭化水素含有酢酸溶液(500ml)を加えて、2時間、還流反応させた。反応混合物を大量の氷水中に注ぎ、生じた固体を回収して、純水で洗浄した。
【0074】
回収した固体を酢酸エチルに溶解し、純水で2回、5%炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、再び純水で洗浄した。抽出した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させて濃縮し、黄色粉末の生成物が得られた。
【0075】
1H−NMR測定の結果、黄色生成物は、下記化学式で表わされる(5,10,15−トリス(4−ヒドロキシフェニルメチル)−2,7,12−トリヒドロキシトルクセン(以下THBTXと称する))と同定された。
【化31】

【0076】
(合成例4)
前述の合成例3で得られたTHBTX(0.213g)を三口フラスコに収容し、酢酸エチル(3.0g)を加えて溶解させた。アダマンチルエチルビニルエーテル(0.79g)を加えて撹拌した後、ジクロロ酢酸(0.014g)を滴下して撹拌した。
【0077】
一昼夜後の溶液を0.5%水酸化ナトリウム水溶液(6.0g)中に入れ、酢酸エチルで3回抽出した。その酢酸エチル溶液を純水で洗浄し、濃縮してヘキサンで沈殿させた。沈殿物を回収し、乾燥させたところ、黄色粉末の生成物が得られた。収量は0.34gであった。
【0078】
1H−NMR測定の結果、黄色生成物は、下記化学式で表わされる(部分保護5、10、15−トリス(4−アダマンチルエチルオキシエトキシフェニルメチル)−2、7、12−アダマンチルエチルオキシエトキシトルクセン(以下AEVEBTXと称する)と同定された。
【化32】

【0079】
(合成例5)
前述の合成例3で得られたTHBTX(0.213g)を三口フラスコに収容し、酢酸エチル(3.0g)を加えて溶解させた。ハイパーラクトンビニルエーテル(0.75g)を加えて撹拌した後、ジクロロ酢酸(0.014g)を滴下して撹拌した。
【0080】
一昼夜経過後の溶液を0.5%水酸化ナトリウム水溶液(6.0g)中に加え、酢酸エチルで3回抽出した。その酢酸エチル溶液を純水で洗浄し、濃縮してヘキサンで沈殿させた。沈殿物を回収し、乾燥させたところ、黄色粉末の生成物が得られた。収量は0.26gであった。
【0081】
1H−NMR測定の結果、黄色生成物は、下記化学式で表わされる(部分保護5、10、15−トリス(4−ハイパーラクチルオキシエチルオキシフェニルメチル)−2、7、12−ハイパーラクチルオキシエチルオキシトルクセン(以下HPVEBTXという)と同定された。
【化33】

【0082】
(合成例6)
前述の合成例3で得られたTHBTX(0.213g)を三口フラスコに収容し、酢酸エチル(3.0g)を加えて溶解させた。ハイパーラクトンビニルエーテル(0.375g)とアダマンチルエチルビニルエーテル(0.371g)とを加えて撹拌した後、ジクロロ酢酸(0.014g)を滴下して撹拌した。
【0083】
一昼夜経過後の溶液を0.5%水酸化ナトリウム水溶液(6.0g)中に加え、酢酸エチルで3回抽出した。その酢酸エチル溶液を純水で洗浄し、濃縮してヘキサンで沈殿させた。沈殿物を回収し、乾燥させたところ、黄色粉末の生成物が得られた。収量は0.30gであった。
【0084】
1H−NMR測定の結果、黄色生成物は、下記化学式で表わされる(部分保護5、10、15−トリス(4−アダマンチルエトキシ/ハイパーラクチルオキシエチルオキシフェニルメチル)−2、7、12−アダマンチルエトキシ/ハイパーラクチルオキシエチルオキシトルクセン(以下AEVE−HPVEBTXと称する)を得た。
【化34】

【0085】
以上のように、トルクセン骨格を有する化合物を合成した。各化合物を、溶剤としてのメトキシプロピオン酸メチルに溶解し、光酸発生剤および塩基性化合物を配合してレジスト液を調製した。光酸発生剤としてはトリフェニルスルホニウムトリフレートを用い、塩基性化合物としてはトリブチルアミンを用いた。
【0086】
レジスト液の処方を、下記表1に示す。表中、括弧内の数値は配合量で表わす。以下の実施例および比較例において、マトリックス化合物の配合量は溶剤に対する重量%、光酸発生剤の配合量はマトリックス化合物に対する重量%である。また、塩基性化合物の配合量は、光酸発生剤に対するモル%である。
【表1】

【0087】
(実施例1〜6)
上述のように調製されたレジスト液を用いてレジスト膜を形成し、パターニングを行なった。具体的には、レジスト液をスピンコーティングによりシリコンウェハー上に塗布して、膜厚200nm程度のレジスト膜を形成した。得られたレジスト膜を、110℃で90秒間ベーキングした後、KrFエキシマレーザーステッパーでパターン露光を行なった。
【0088】
必要に応じて露光後ベーキング処理を施した後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液により現像を行ない、ポジ型のパターンを得た。SEM観察によりパターンの剥がれの有無を調べ、以下の基準で密着性を判断した。密着性は“○”および“△”であれば、合格レベルである。
【0089】
○:全く認められない
△:発生した
×:完全に剥がれ、所定の位置にパターンがない
処理の条件を下記表2に示し、結果を下記表3にまとめる。
【表2】

【0090】
【表3】

【0091】
表2、3の結果から明らかなように、本発明の実施形態にかかる感光性組成物は、いずれもアルカリ現像により微細パターンを形成することが可能である。光酸発生剤の感光機構を考慮すると、軟X線(13nm)のEUV光にも感光することは容易に推測できる。すなわち、将来のEUVリソグラフィーにも本発明の実施形態にかかる感光性組成物は応用することが充分可能である。
【0092】
次に、下記表4に示す処方でレジスト液を調製した。なお、光酸発生剤としてはトリフェニルスルホニウムトリフレートを用い、塩基性化合物としてはトリブチルアミンを用いた。
【表4】

【0093】
(実施例7〜12)
前述のレジスト液7〜12を用いて、電子線描画試験を行なった。具体的には、レジスト液をスピンコーティングによりシリコンウェハー上に塗布して、膜厚100nm程度のレジスト膜を形成した。得られたレジスト膜を110℃で90秒間ベーキングした後、低加速電子線描画装置(電子線の加速電圧は5keV)でパターン描画を行なった。
【0094】
必要に応じて露光後ベーキング処理を施した後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液により現像し、ポジ型のパターンを得た。処理の条件を下記表5に示し、得られた結果を下記表6にまとめる。
【表5】

【0095】
【表6】

【0096】
ラフネスの評価は、次に示すラインワイズラフネス(LWR)評価の方法で行なった。レジスト膜を電子線描画してベーキング処理、TMAH水溶液による現像処理を行なって、線幅100nmで一定のラインアンドスペースパターンを形成した。得られたパターンについて、350nm×200nm(ROI)の範囲でLWRの値(3σ値)を算出した。
【0097】
上記表5の結果から明らかなように、本発明の実施形態にかかる感光性組成物は、いずれもアルカリ水溶液による現像が可能である。特に、マトリックス化合物としてAEVE−HPVEBTXを用いた場合(実施例11,12)には、基板との密着性が極めて良好なパターンが得られることが、表6の密着性の結果により確認された。しかも、ラフネスが許容範囲内に低減されたレジストパターンを、高い感度で形成することができ、優れた解像性が得られることが表6の結果からわかる。
【0098】
(比較例1)
前述の合成例3で得られたTHBTX(1.50g)を三口フラスコに収容し、脱水テトラヒドロフラン(50ml)を加えて溶解させた。撹拌しながら炭酸カリウム(5.09g)、18−クラウン−6(6.45g)、およびピロカルボン酸ジターシャリーブチルジカルボネート(7.46ml)を順次添加した。
【0099】
40℃で1時間撹拌した後、純水を加えた。酢酸エチルで3回抽出して有機層を得、これを濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)で精製した。さらに、テトラヒドロフランで再結晶した。得られた固体を吸引ろ過して乾燥させたところ、黄色粉末の生成物が得られた。収量は0.50gであった。
【0100】
1H−NMR測定の結果、黄色生成物は、下記化学式で表わされる部分保護5、10、15−トリス(4−ターシャリーブトキシカルボニルオキシフェニルメチル)−2、7、12−トリターシャリーブトキシカルボニルオキシトルクセン(以下TBOTXと称する)を得た。
【化35】

【0101】
マトリックス化合物としてTBOBTXを用いて、下記表7に示す処方によりレジスト液13を調製した。光酸発生剤としてはトリフェニルスルホニウムトリフレートを用い、塩基性化合物としてはトリブチルアミンを用いた。
【表7】

【0102】
実施例の場合と同様の手法により電子線描画試験を行なって、感度および密着性を調べた。処理の条件を下記表8に示し、得られた結果を下記表9にまとめる。なお、これら表には、比較のために前述の実施例11の結果等も併せて示した。
【表8】

【0103】
【表9】

【0104】
上記表9の結果から明らかなように、特定の酸分解性基が導入されたトルクセン化合物をマトリックス化合物として含有する実施例の感光性組成物は、比較例の感光性組成物に比べて高い感度でパターンを形成することができる。これは、アセタール結合が発生した酸により切断されやすいためである。しかも脂環式骨格を有するため、現像前の潜像が見えにくく、アウトガスが少ないことが確認できる。
【0105】
(比較例2)
マトリックス化合物として分子量20000の部分的にターシャリーブトキシカルボニルオキシ化したポリヒドロキシスチレン(以下TBOPHSと称する)を用いて、下記表10に示す処方によりレジスト液14を調製した。光酸発生剤としてはトリフェニルスルホニウムトリフレートを用い、塩基性化合物としてはトリブチルアミンを用いた。
【表10】

【0106】
実施例の場合と同様の手法により電子線描画試験を行なって、ラフネスおよび密着性を調べた。処理の条件を下記表11に示し、得られた結果を、下記表12にまとめる。なお、これら表には、比較のために前述の実施例11の結果等も併せて示した。
【表11】

【0107】
【表12】

【0108】
上記表12の結果から明らかなように、特定の酸分解性基が導入されたトルクセン化合物をマトリックス化合物として含有する実施例感光性組成物は、比較例の感光性組成物に比べてラフネスを改善することができる。これは、TBOPHSの平均分子量が20000であるのに対し、トルクセン化合物の分子量が約1000から2000と、分子サイズが小さいことによる。
【0109】
(比較例3)
1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン(2g)を三口フラスコに収容し、アルゴン置換した。その中へ脱水テトラヒドロフラン(50ml)を加え、基質を溶解した。この溶液を撹拌しながら、炭酸カリウム(7.52g)、18−クラウン−6(9.52g)、およびピロカルボン酸ジターシャリーブチルジカルボネート(11.05ml)を順次添加した。
【0110】
40℃で10時間撹拌した後、純水を加えた。酢酸エチルで3回抽出して有機層を得、これを濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)で精製した。さらに、テトラヒドロフラン−メタノール混合溶媒で再結晶した。得られた固体を吸引ろ過し、乾燥させたところ白色粉末の生成物が得られた。
【0111】
1H−NMR測定の結果、白色粉末の生成物は、下記化学式で表わされる1,3,5−トリス(4−ターシャリーブトキシカルボニルオキシフェニル)ベンゼン(以下TBOTPBと称する)を得た。
【化36】

【0112】
マトリックス化合物としてTBOTPBを用いて、下記表13に示す処方によりレジスト液15を調製した。光酸発生剤としてはトリフェニルスルホニウムトリフレートを用い、塩基性化合物としてはトリブチルアミンを用いた。
【表13】

【0113】
実施例の場合と同様の手法により電子線描画試験を行なって、感度、ラフネスおよび密着性を調べた。処理の条件を下記表14に示し、得られた結果を下記表15にまとめる。なお、これら表には、比較のために前述の実施例11の結果等も併せて示した。
【表14】

【0114】
【表15】

【0115】
上記表15の結果から明らかなように、特定の酸分解性基が導入されたトルクセン化合物をマトリックス化合物として含有する実施例の感光性組成物は、比較例の感光性組成物に比べて高い感度でパターンを形成することができ、しかもラフネスも改善される。得られたパターンは、基板との密着性も良好である。アセタール結合が酸により切断されやすいことから感度が高められ、トルクセン化合物の分子サイズが小さいことに起因してラフネスが改善された。しかも、構造が剛直であり分子鎖の絡まりあいが小さいため、基板との密着性が高められた。
【0116】
これに対し、TBOTPBは、酸分解性基のカルボキシエーテル結合が酸により切断されにくいことから感度が低い。しかも、化合物の構造がトルクセンに比べ軟らかく、分子鎖の絡まり合いが強く、またガラス転移温度が約70℃と低いことに起因して、得られるパターンのラフネスや密着性は劣っている。
【0117】
上述したように、本発明の実施形態にかかる感光性組成物は、将来のEUVリソグラフィーにおいても、低減されたラフネスでレジストパターンを形成することが可能であり、その工業的価値は絶大である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(T1)で表わされる化合物と、
化学放射線の作用により酸を発生する光酸発生剤と
を含有することを特徴とする感光性組成物。
【化1】

(上記一般式(T1)中、R1は水素原子であり、その一部は、以下に示す(AD−1)、(AD−2)および(AD−3)からなる群から選択される少なくとも1種の疎水性基により置換されている。)
【化2】

【請求項2】
前記水素原子は、前記R1総量の10%以上90%以下を占めることを特徴とする請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項3】
前記水素原子は、前記R1総量の20%以上60%以下を占めることを特徴とする請求項1または2に記載の感光性組成物。
【請求項4】
前記疎水性基は、少なくとも疎水性基(AD−3)を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項5】
下記一般式(T2)で表わされる化合物と、
化学放射線の作用により酸を発生する光酸発生剤と
を含有することを特徴とする感光性組成物。
【化3】

(上記一般式(T2)中、R2は水素原子であり、その一部は、以下に示す親水性基(LA)により置換されている。)
【化4】

【請求項6】
前記水素原子は、前記R2総量の10%以上90%以下を占めることを特徴とする請求項5に記載の感光性組成物。
【請求項7】
前記水素原子は、前記R2総量の60%以上80%以下を占めることを特徴とする請求項5または6に記載の感光性組成物。
【請求項8】
下記一般式(T3)で表わされる化合物と、
化学放射線の作用により酸を発生する光酸発生剤と
を含有することを特徴とする感光性組成物。
【化5】

(上記一般式(T3)中、R3は水素原子および疎水性基である。疎水性基は、以下に示す(AD−1)、(AD−2)および(AD−3)からなる群から選択され、水素原子の一部は、以下に示す親水性基(LA)により置換されている。)
【化6】

【化7】

【請求項9】
前記水素原子は、前記R3総量の10%以上90%以下を占めることを特徴とする請求項8に記載の感光性組成物。
【請求項10】
前記水素原子は、前記R3総量の40%以上80%以下を占めることを特徴とする請求項8または9に記載の感光性組成物。
【請求項11】
前記疎水性基と親水性基との比は、2:1〜1:2であることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項12】
前記疎水性基と親水性基との比は、2:3〜3:2であることを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項13】
前記疎水性基と親水性基との比は、1:1であることを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項14】
前記疎水性基は、少なくとも疎水性基(AD−3)を含むことを特徴とする請求項8乃至13のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項15】
塩基性化合物をさらに含有することを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項16】
基板上に請求項1乃至15のいずれか1項に記載の感光性組成物を含む感光性層を形成する工程と、
前記感光性層の所定の領域に化学放射線を照射してパターン露光する工程と、
前記基板を熱処理する工程と、
前記熱処理後の感光性層をアルカリ水溶液で現像処理して、前記感光性層の露光部を選択的に除去する工程と
を具備することを特徴とするパターン形成方法。

【公開番号】特開2009−198605(P2009−198605A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−37892(P2008−37892)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】