説明

感圧式接着組成物及び該感圧式接着組成物を用いた積層体

【課題】本発明は、溶剤を使用しないため無公害であり、ポリオレフィン系樹脂に対する接着性が良好であり、170℃で72時間の加熱においても接着力が低下しない感圧式接着層の形成が可能な感圧式接着組成物、及び該感圧式接着組成物を用いてなる積層体を提供することにある。
【解決手段】軟化点が100〜150℃の範囲である熱可塑性組成物(D)、及び酸化防止剤(E)を含有する感圧式接着組成物であって、
上記熱可塑性組成物(D)が、
エラストマー全体に対してジブロックの含有量が50重量%以下で、スチレン比率が10〜40重量%あるスチレン系エラストマー(A)、
固体粘着付与樹脂(B)、及び
鉱物油軟化剤(C)を配合してなることを特徴とする感圧式接着組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感圧式粘接着組成物及び該感圧式粘接着組成物を用いた積層体に関する。詳しくは、本発明は各種被着体との接着性に優れる感圧式粘接着組成物であり、特にポリオレフィン系樹脂に強固に接着可能で、長時間加熱された後も接着力が低下しない積層体を形成し得る感圧式接着組成物に関する。
【技術背景】
【0002】
従来、電気、自動車、建築などの工業関連用途、各種医療用途などをはじめとする広範な産業分野において、部材を固定する方法として、感圧式接着剤を用いた両面テープや接着剤による固定する方法が知られている。
【0003】
感圧式接着剤や接着剤に求められる基本性能の一つとして、木材、コンクリート、アルミ、銅、ステンレス等の金属、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂等のプラスチック等の被着体に対して強固に接着することが挙げられる。
【0004】
その中でも、ポリ塩化ビニル樹脂は、柔軟性、耐久性、コスト面から自動車、家電製品など、広い用途に活用されてきたが、近年、廃棄物処理が困難であることから使用量が減少する傾向にある。一方、ポリオレフィン系樹脂は、リサイクル、部材の統合化の動きから使用量が増加する傾向にあるが、炭素と水素のみから構成されているため、極めて極性が低い点が一つの特徴とされる樹脂である。
【0005】
ポリオレフィン系樹脂への接着には、ポリオレフィン系樹脂への接着に優れるゴム系感圧式接着組成物が一般に使用されている。ゴム系感圧式接着組成物としては、スチレン系エラストマーを主成分とする様々な感圧式粘接着組成物が提案されてきた。例えば、スチレン系エラストマー、粘着付与樹脂、軟化剤より構成される種々の感圧式粘接着組成物が提案されている(特許文献1〜4参照)。
また、極性が高いため極性の低いポリオレフィン系樹脂への接着には適してはいないが、接着性、耐候性等の特性やコスト等の総合的観点から汎用的に使用されているアクリル系共重合体を主成分として種々の検討により接着性を改良したアクリル系感圧式接着組成物が提案されている(特許文献5参照)。
【0006】
しかし、特許文献1、2、4、5に記載される感圧式接着組成物を用いてなる積層体は、接着力が不十分で、室温付近では強固に接着するが、低温域もしくは高温域で急激に接着力が低下してしまう。特許文献3は、軟化剤成分を使用してないため粘度が高く、加工性に問題があった。
【0007】
ところで、感圧式接着製品は、通常、基材とその基材上に形成された感圧式接着層とから構成されており、この感圧式接着層の形成には、液状硬化型感圧式接着組成物、溶剤型感圧式接着組成物、水系感圧式接着組成物などの種々の感圧式接着組成物が使用されている(特許文献6〜9参照)。
【0008】
しかし、感圧式接着製品の感圧式接着層の形成に液状硬化型感圧式接着組成物を使用する場合には、得られる感圧式接着層の接着性能が不充分であるという問題点がある。特許文献6、7に記載される感圧式接着組成物は50μm以下の感圧式接着層では十分な接着力とならなかった。
【0009】
これに対し、特許文献8では感圧式接着層の形成に溶剤型感圧式接着組成物を使用しており、得られる感圧式接着層の接着性能は充分であるが、溶液型感圧式接着組成物は有機溶剤を使用しているので、感圧式接着層の形成工程での労働環境や衛生環境が悪化すること、また、大気汚染などの環境への配慮が必要であること、溶剤回収にコストがかかること、等という問題点がある。
【0010】
また、特許文献9のように水系感圧式接着組成物を使用する場合には、溶剤型感圧式接着組成物を使用する場合に比べて環境に与える影響は小さいものの、形成した感圧式接着層の乾燥に時間とエネルギーとを必要とし、このため感圧式接着層の形成工程での作業性に劣るという問題点がある。
【特許文献1】特開2008−120929号公報
【特許文献2】特開2006−8947号公報
【特許文献3】特開2005−82605号公報
【特許文献4】特開2006−96957号公報
【特許文献5】特開2007−224258号公報
【特許文献6】特開2003−13028号公報
【特許文献7】特開2002−241709号公報
【特許文献8】特開2007−154082号公報
【特許文献9】特開2001−207146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、溶剤を使用しないため無公害であり、ポリオレフィン系樹脂に対する接着性が良好であり、170℃で72時間の加熱においても接着力が低下しない感圧式接着層の形成が可能な感圧式接着組成物、及び該感圧式接着組成物を用いてなる積層体を提供することにある。
【発明を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記問題を解決するため、鋭意検討した結果、本発明に達した。
即ち、第1の発明は、軟化点が100〜150℃の範囲である熱可塑性組成物(D)、及び酸化防止剤(E)を含有する感圧式接着組成物であって、上記熱可塑性組成物(D)が、エラストマー全体に対してジブロックの含有量が50重量%以下で、スチレン比率が10〜40重量%あるスチレン系エラストマー(A)、固体粘着付与樹脂(B)、及び鉱物油軟化剤(C)を配合してなることを特徴とする感圧式接着組成物に関する。
【0013】
また、第2の発明は、固体粘着付与樹脂(B)が、水素添加された石油系樹脂及び/又はテルペン系樹脂であることを特徴とする上記発明の感圧式接着組成物に関する。
【0014】
また、第3の発明は、鉱物油軟化剤(C)が、鉱物油軟化剤全体に対して鉱物油軟化剤(C)の芳香族環を10重量%未満含有していることを特徴とする上記発明の感圧式接着組成物に関する。
【0015】
また、第4の発明は、酸化防止剤(E)がフェノール系酸化防止剤及び/又はリン系酸化防止剤であることを特徴とする上記発明の感圧式接着組成物に関する。
【0016】
また、第5の発明は、熱可塑性組成物(D)100重量部に対して酸化防止剤(E)0.05〜10重量部を含むことを特徴とする上記発明の感圧式接着組成物に関する。
【0017】
また、第6の発明は、熱可塑性組成物(D)が、スチレン系エラストマー(A)30重量部〜55重量部、固体粘着付与樹脂(B)40重量部〜60重量部、及び鉱物油軟化剤(C)1〜15重量%を合計100重量部になるように配合してなることを特徴とする上記発明の感圧式接着組成物に関する。
【0018】
また、第7の発明は、170℃、72時間加熱後、ポリプロピレンに対して貼付し、23℃において24時間経過後、0℃〜60℃の温度域で、180°剥離の接着力が10N/25mm以上であることを特徴とする上記発明の感圧式接着組成物に関する。
【0019】
また、第8の発明は、上記発明の感圧式接着組成物から形成される感圧式接着層がフィルム状基材の片面もしくは両面に積層されてなる積層体に関する。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、無公害で、ポリオレフィン系樹脂への接着性が良好で、170℃で72時間の加熱においても接着力が低下しない感圧式接着層の成形が可能な感圧式粘接着組成物、及び該感圧式粘接着組成物を用いてなる積層体を提供できるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の感圧式粘接着組成物について説明する。
【0022】
本発明の感圧式接着組成物に用いられる熱可塑性樹脂(D)は、軟化点が100〜150℃の範囲にあって、感圧式接着組成物の主たる成分であり、後述する酸化防止剤(E)を配合して感圧式接着層を形成する。
本発明に用いられる熱可塑性組成物(D)は、スチレン系エラストマー(A)、固体粘着付与樹脂(B)、及び鉱物油軟化剤(C)、必要に応じてその他の成分を配合してなる。
【0023】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂(D)を構成するスチレン系エラストマー(A)としては、スチレン/ブタジエンブロック共重合体(S−B、ジブロック)、(S−B−S、トリブロック)、スチレン/イソプレンブロック共重合体(S−I、ジブロック)、(S−I−S、トリブロック)、及びスチレン/ブタジエン−イソプレンブロック共重合体(S−B・I、ジブロック)、(S−B・I−S、トリブロック)ならびにこれらブロック共重合体の水添物、例えば、スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体の水添物(SEBS)、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体の水添物(SEPS)、また、カルボキシル変性した上記記載のスチレン系エラストマー、更には、スチレンブロックの中にはスチレンのほかに、スチレンとα−メチルスチレン等の芳香族系ビニル化合物の共重合体も例示される。
【0024】
これらスチレン系エラストマーの中でも、スチレン/イソプレンブロック共重合体(S−I、ジブロック)、(S−I−S、トリブロック)、スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体の水添物(SEBS)、さらにはスチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体の水添物(SEBS)のカルボキシル変性スチレン系エラストマーが好ましく用いられる。
【0025】
スチレン系エラストマーは、単独で用いられても、2種以上が併用されてもよく、ジブロックとトリブロックが混合されていても良いが、含有しているジブロックはエラストマー(A)全体に対して50重量%以下であり、好ましくは35重量%である。50重量%以下でないと高温域で接着力が低下する。
【0026】
これらスチレン系エラストマーに含まれるスチレン比率はエラストマー(A)全体に対して10ないし40重量%であり、好ましくは15ないし35重量%である。10重量%未満であると感圧性接着組成物の凝集力が低下する。40重量%を超えると流動性が悪くなる。
【0027】
上記スチレン系エラストマーの重量平均分子量は、GPC法によるポリスチレン換算重量平均分子量で50,000〜400,000の範囲が好ましく、より好ましくは80,000〜300,000の範囲である。重量平均分子量が50,000未満では、感圧性接着組成物の凝集力が低下するため、高温雰囲気下での接着力が低下する。重量平均分子量が400,000を超えると、接着力が不足するとともに、流動性が悪くなる。
【0028】
一般に、軟化点が100〜150℃の温度範囲にある熱可塑性樹脂(D)は、上記のようにジブロック含有量、スチレン比率、重量平均分子量を限定しなくてもポリオレフィン系樹脂に対して23℃雰囲気で10N/25mm以上の接着力となる。しかし、低温域から高温域までの幅広い温度範囲で10N/25mm以上の接着力となるためにはジブロックの含有量、スチレン比率、重量平均分子量を上記の範囲に設定することが極めて重要である。
すなわち、分子量である程度の凝集力を維持しつつ、スチレン部位による物理的な架橋により高温域でも貯蔵弾性率が低下せず、ジブロックにより低温域でもタックが消失することなく、低温域から高温域までの幅広い温度範囲で10N/25mm以上の接着力となるという効果を発揮する。
【0029】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂(D)を構成する固体粘着付与樹脂(B)としては、水素添加された脂肪族系、脂環族系、芳香族系等の石油系樹脂やテルペン系樹脂が、耐候性に優れているので好ましい。より好ましい固体粘着付与樹脂の具体例としては、例えば、水素添加された脂環族系石油樹脂である荒川化学社製、商品名:アルコンや、テルペン系樹脂であるヤスハラケミカル社製、商品名:クリアロンなどが挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0030】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂(D)を構成する固体粘着付与樹脂(B)の軟化点は90〜140℃であることが好ましい。より好ましくは100〜135℃である。90℃以下では、高温域で急激に弾性率が低下してしまう原因となることがあり、140℃を超えてしまうと低温域でタックが消失してしまうことがある。
【0031】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂(D)を構成する鉱物油軟化剤(C)としては、芳香族環、ナフテン環及びパラフィン鎖の三者の組み合わさったパラフィン系もしくはナフテン系鉱物油軟化剤が色相が薄いため好ましい。一般に、パラフィン鎖が鉱物油軟化剤全体に対して50重量%以上を占めるものをパラフィン系、ナフテン環が30〜40重量%のものはナフテン系、芳香族環が30重量%以上のものは芳香族系と呼ばれて区別されている。着色のしやすさという観点から、芳香族系鉱物油軟化剤は使用することは出来ず、パラフィン系及びナフテン系鉱物油軟化剤であっても、芳香族環が10重量%未満でないと着色しやすいため、使用することは好ましくない。
【0032】
熱可塑性樹脂(D)全体を100重量部としたとき、熱可塑性樹脂(D)に用いられる熱可塑性エラストマー(A)の配合量は、30重量部〜55重量部で、好ましいくは35重量部〜50重量部である。30重量部未満では凝集力を維持することが困難となり、55重量部を超える場合には加工性が悪くなる。
【0033】
熱可塑性樹脂(D)全体を100重量部としたとき、熱可塑性樹脂(D)に用いられる固体粘着付与樹脂(B)の配合量は40重量部〜60重量部で、好ましいくは45重量部〜55重量部である。40重量部未満ではポリオレフィン系樹脂に対して10N/25mm以上の接着力となることが困難となり、60重量部を超える場合にはタックが消失する。
【0034】
熱可塑性樹脂(D)全体を100重量部としたとき、熱可塑性樹脂(D)に用いられる鉱物油軟化剤(C)の配合量は、1重量部〜15重量部で、好ましくは3重量部から13重量部以下である。1重量部未満では、加工性が低下し、得られる組成物の柔軟性が失われることになる。15重量部を超えると配合は、鉱物油軟化剤(C)がブリードアウトしやすくなる。
【0035】
本発明の感圧性接着組成物を構成する感圧性接着層は、酸化防止剤(E)が添加されていることが必要である。
【0036】
熱可塑性組成物(D)に酸化防止剤(E)を含有させることにより、加熱による熱劣化や自動酸化を効果的に抑制することができるので、物性の安定性が向上する。
【0037】
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が好ましい。これらの酸化防止剤は、単独で用いても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0038】
上記フェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジエチル〔[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル〕ホスフォネート、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル]プロピオネート等が挙げられる。これらのフェノール系酸化防止剤は、単独で用いても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0039】
上記リン系酸化防止剤としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等が挙げられる。
【0040】
上記フェノール系酸化防止剤は、自動酸化の連鎖成長過程で生じるROO・(パーオキシラジカル)に水素を供与して安定化し、自身はオルト位置換基によって保護された安定なフェノキシラジカルとなって連鎖反応を停止するラジカルトラップ剤としての機能を有し、そのことにより感圧性接着層の熱劣化を効果的に抑制する。特に、フェノール系酸化防止剤と、フェノール系酸化防止剤よりラジカルトラップ反応の速いラクトン系酸化防止剤やビタミンE系酸化防止剤等とを併用することにより、上記光劣化抑制効果はより優れたものとなる。
【0041】
上記リン系酸化防止剤は、過酸化物、ROOHを非ラジカル的に分解し、自動酸化過程の連鎖反応を停止する機能を有し、そのことにより感圧性接着層の熱劣化を効果的に抑制する。
【0042】
酸化防止剤の添加量は、特に限定されるものではないが、感圧性接着層を形成するために用いられる熱可塑性樹脂(D)100重量部に対して、0.05〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜8重量部である。熱可塑性樹脂(D)100重量部に対する酸化防止剤の添加量が0.05重量部未満であると、酸化防止剤を添加することによる上記効果を十分に得られないことがあり、10重量部を超えると、酸化防止剤が感圧性接着層の表面にブリードアウトすることがある。
【0043】
本発明の感圧式接着組成物には、発明の目的を損なわない範囲で紫外線吸収剤、光安定剤、接着昂進防止剤、シランカップリング剤などの添加剤が添加されてもよい。
【0044】
上記紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の通常使用されるものが挙げられる。
【0045】
上記光安定剤としては、ヒンダードアミン系の通常使用されるものが挙げられる。
【0046】
上記接着昂進防止剤としては、脂肪酸アミド、ポリエチレンイミンの長鎖アルキルグラフト物、大豆油変性アルキド樹脂(例えば、荒川化学社製、商品名「アラキード251」等)、トール油変性アルキド樹脂(例えば、荒川化学社製、商品名「アラキード6300」等)などが挙げられる。
【0047】
上記さらにシランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトブチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0048】
本発明の感圧性接着組成物の周波数10Hzにおける剪断貯蔵弾性率は、23℃で5×10〜5×10Paの範囲であることが好ましい。剪断貯蔵弾性率がこの範囲外の場合には、接着力不足により剥離工程における作業性が悪くなるおそれがある。
【0049】
本発明の感圧性接着組成物を製造する方法としては特に限定されず、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、撹拌機を備えた溶融釜、一軸または二軸の押し出し機を用いて加熱混合することを特徴とするホットメルト法、適当な溶剤に配合成分を投入し、これを攪拌することによって感圧式接着組成物の均一な溶液を得る溶剤法など、いずれの方法も用いることができるが、ホットメルト法が環境への影響が少ないため好ましい。
【0050】
本発明の感圧式接着組成物は、無溶剤で、あるいはその溶液を、紙、プラスチックフィルムなどの支持体に通常用いられる塗工機またはホットメルト塗工機を用いて均一に塗布し、必要に応じて乾燥、冷却することによって、各種の積層体を製造することができるが、本発明の感圧式接着組成物は、耐熱性に優れており、溶融温度を高めても溶融粘度の経時変化が少ないため、ホットメルト型感圧式接着組成物として好適に使用することができので、加熱溶融させることにより、支持体上に塗布することが好ましい。
【0051】
次に本発明の積層体について説明する。
本発明の積層体の基本的積層構成は、フィルム状基材/感圧式接着層/剥離フィルムのような片面積層体、あるいは剥離フィルム/感圧式接着層/フィルム状基材/感圧式接着層/剥離フィルムのような両面積層体である。使用時に、剥離フィルムが剥がされ、感圧式接着層が被着体に貼付される。感圧性接着組成物は、貼着の際被着体に感圧式粘接着層が触れるその瞬間に感圧式粘接着層がタックを有すのみならず、感圧式接着組成物以外の接着組成物(以下、単に接着剤という)とは異なり、貼着中も完全に固化することなく、タックと適度な固さを有しつつ、貼着状態を維持するための凝集力を有することが必要である。凝集力は重量平均分子量に大きく依存する。
【0052】
フィルム状基材の素材としては、特に制限無く使用することが出来る。例えば、樹脂フィルムとしては、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリスチレン樹脂、ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレン、プリプロピレン、ノルボルネン等のオレフィン系樹脂があり、単層のものでもこれらの積層物であってもよい。その他、不織布、織布、布、紙、ガラス、金属箔、金属メッシュとこれを含む複合物が挙げられる。また、必要に応じて、フィルムの表面にコロナ放電処理、プラズマ処理、ブラスト処理、ケミカルエッチング処理などの易接着処理、帯電防止処理、着色処理等を施してもよい。さらに後述する離型性フィルムもフィルム状基材として用い、離型性フィルムに感圧式接着組成物を塗工することもできる。これらフィルム状基材の厚みには特に制限はないが、作業性から1μmから5000μmが好ましい。
【0053】
感圧性接着層の厚さは、1μmから200μm、好ましくは5μmから100μm、更に好ましくは10μmからである。1μm以下では十分な接着力が得られないことがあり、200μmを超えても接着力等の特性はそれ以上向上しない場合が多い。
【0054】
感圧式粘接着層は、必要に応じて、離型性フィルム等と貼り合わせて用いることが出来る。離型性フィルムとしては、特に制限はないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムという)、ポリエチレン、プリプロピレン、ノルボルネン等のポリオレフィン系樹脂フィルム、PPS樹脂フィルム、TACフィルム、アクリル樹脂フィルム、またはこれらに離型処理を施したもの等が挙げられる。
【0055】
本発明の積層体は、感圧性接着層が離型性フィルム以外のフィルム状基材と離型性フィルムとの間、離型性フィルム以外のフィルム状基材と離型性フィルム以外のフィルム状基材との間、あるいは離型性フィルムと離型性フィルムの間に挟持された構成のいずれであってもよい。離型性フィルム以外のフィルム状基材と離型性フィルムとの間に感圧性接着層が挟持された構成が好ましい。
【実施例】
【0056】
以下に、この発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、この発明は、下記実施例に限定されない。また、下記実施例および比較例中、「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を意味するものとする。
【0057】
[製造例1〜37]
表1に示した比率で、固体粘着付与剤(B)、鉱物油軟化剤(C)、酸化防止剤(E)を攪拌機を備えたニーダーに加え、加熱し、溶融状態になった段階でスチレン系エラストマー(A)を加え150℃で3時間攪拌し、ホットメルト型感圧式接着組成物を得た。このホットメルト型感圧式接着組成物を用いて、後述する方法に従い、試験片等を作製すると共に各種評価を行った。結果を表3に示した。
【0058】
[製造例38]
n−ブチルアクリレート95部、アクリル酸4.7部、ヘキサンジオールジアクリレート0.3部、光開始剤としてダイロキュア1173(チバスペシャリティケミカルズ製)0.3部、およびクリアロンP−115を10部部混合し、UV硬化型感圧式接着組成物を得た。
このUV硬化型感圧式接着組成物を用いて、後述する方法に従い、試験片等を作製すると共に各種評価を行った。結果を表3に示した。
【0059】
[製造例39]
温度計、撹拌機、不活性ガス導入管、還流冷却器および滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート98.2部、アクリル酸1.5部および2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)0.3部からなるモノマー混合物のうち40部と、酢酸エチル60部を加えて昇温し、80℃になったところで過酸化物系開始剤(ナイパーBMT−K40:日本油脂社製)0.1部を添加して重合を開始した。重合開始後、10分経過してから、残りのモノマー混合物60部と酢酸エチル20部とナイパーBMT−K40を0.1部混合した物を、90分間に亘って均一に滴下しながら、還流温度で重合を続けた。モノマーの滴下が終了してから90分後に、後添加用開始剤としてアゾ系重合開始剤(ABN−E:日本ヒドラジン工業(株)社製)を0.3部とトルエン40部を添加し、さらに90分間熟成して反応を終了させた。その結果、固形分45.0%、重量平均分子量55.0万(Mw:GPC測定:標準ポリスチレン換算)のアクリル樹脂を含む透明な溶液を得た。
【0060】
なお、GPCによる分子量測定条件は以下の通りである。
GPC測定装置:Liquid Chromatography Model 510(Waters社製)
検出器:M410示差屈折計
カラム:Ultra Styragel Linear(7.8mm×30cm)
Ultra Styragel 100A(7.8mm×30cm)
Ultra Styragel 500A(7.8mm×30cm)
溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
試料濃度は0.2%、注入量は200マイクロリットル/回とした。
【0061】
上記アクリル樹脂を含む透明な溶液に、トルエン20部、テルペンフェノール系粘着付与樹脂(「タマノル803L」:荒川化学工業社製)20部を加え、アクリル樹脂及び粘着付与樹脂を含む溶液を得た。このアクリル樹脂及び粘着付与樹脂を含む溶液100部に対し、「コロネートL−55E」(変性TDI系イソシアネート;日本ポリウレタン社製;固形分55%)1.5部を配合してよく混合し、溶剤型感圧式接着組成物の溶液を作製した。この溶剤型感圧式接着組成物の溶液を用いて、後述する方法に従い、試験片等を作製すると共に各種評価を行った。評価結果を表3に示した。
【0062】
上記製造例1〜37で得られたホットメルト型感圧式接着組成物をTダイ法により押し出し、基材としてポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルム、東レ株式会社製、厚さ50μm)に感圧式接着層が40μmになるように積層し、剥離フィルム/感圧式接着層/PETフィルムという構成の積層体を得た。
【0063】
上記製造例38で得られたUV硬化型感圧式接着組成物をハンドコーターにより、基材としてPETフィルム(東レ株式会社製、厚さ50μm)に積層し、そのPETフィルムを窒素雰囲気下にてフュージョンUVシステムズ・ジャパン製Hバルブを用い2000mJ/cmの照射強度でUV照射し、感圧式接着層が40μmとになるようにし、剥離フィルム/感圧式接着層/PETフィルムという構成の積層体を得た。
【0064】
上記製造例39で得られた溶剤型感圧式接着組成物の溶液をハンドコーターにより、基材としてPETフィルム(東レ株式会社製、厚さ50μm)に溶剤型感圧式接着組成物を乾燥後の厚さが40μmとなるように積層した後、100℃で3分間乾燥させ、温度23℃、相対湿度65%の雰囲気下で7日間養生し、剥離フィルム/感圧式接着層/PETフィルムという構成の積層体を得た。
【0065】
【表1】

【0066】
スチレン系エラストマー(A)
D1101:クレイトンD1101(クレイトンポリマー社製)、SBS/SB、スチレン比率31重量%、ジブロック17重量%
D1107:クレイトンD1107(クレイトンポリマー社製)、SIS/SI、スチレン比率15重量%、ジブロック22重量%
D1112:クレイトンD1112(クレイトンポリマー社製)、SIS/SI、スチレン比率15重量%、ジブロック40重量%
D1117:クレイトンD1117(クレイトンポリマー社製)、SIS/SI、スチレン比率17重量%、ジブロック33重量%
D1119:クレイトンD1119(クレイトンポリマー社製)、SIS/SI、スチレン比率22重量%、ジブロック65重量%
D1160:クレイトンD1160(クレイトンポリマー社製)、SIS、スチレン比率18.5重量%、ジブロック1重量%以下
D1161:クレイトンD1161(クレイトンポリマー社製)、SIS/SI、スチレン比率15重量%、ジブロック19重量%
D1162:クレイトンD1162(クレイトンポリマー社製)、SIS、スチレン比率44重量%、ジブロック1重量%以下
D1163:クレイトンD1163(クレイトンポリマー社製)、SIS/SI、スチレン比率15重量%、ジブロック38重量%
D1193:クレイトンD1193(クレイトンポリマー社製)、SIS/SI、スチレン比率24重量%、ジブロック20重量%
G1650:クレイトンG1650(クレイトンポリマー社製)、SEBS、スチレン比率30重量%、ジブロック1重量%以下
G1652:クレイトンG1652(クレイトンポリマー社製)、SEBS、スチレン比率30重量%、ジブロック1重量%以下
G1657:クレイトンG1657(クレイトンポリマー社製)、SEBS/SEB、スチレン比率13重量%、ジブロック30重量%
G1701:クレイトンG1701(クレイトンポリマー社製)、SEP、スチレン比率37重量%、ジブロック100重量%
G1726:クレイトンFG1901(クレイトンポリマー社製)、SEBS/SEB、スチレン比率30重量%、ジブロック70重量%
FG1901:クレイトンFG1901(クレイトンポリマー社製)、SEBS、スチレン比率30重量%、ジブロック1重量%以下
4033:セプトン4033(クラレ社製)、SEEPS、スチレン比率30重量%、ジブロック1重量%以下
4055:セプトン4055(クラレ社製)、SEEPS、スチレン比率30重量%、ジブロック1重量%以下
8104:セプトン8104(クラレ社製)、SEBS、スチレン比率60重量%、ジブロック1重量%以下
3450:クインタック3450(日本ゼオン社製)、SIS、スチレン比率19重量%、ジブロック30重量%
3460:クインタック3460(日本ゼオン社製)、SIS、スチレン比率25重量%、ジブロック45重量%
TR2500:JSR TR2500(JSR社製)、SBS、スチレン比率35重量%、ジブロック1重量%以下
H1031:タフテックH1031(旭化成社製)、SEBS、スチレン比率30重量%、ジブロック1重量%以下
【0067】
固体粘着付与樹脂(B)
アルコンP−100:アルコンP−100(荒川化学工業社製)、水添石油系粘着付与樹脂、軟化点100℃
アルコンP−115:アルコンP−115(荒川化学工業社製)、水添石油系粘着付与樹脂、軟化点115℃
アルコンP−125:アルコンP−125(荒川化学工業社製)、水添石油系粘着付与樹脂、軟化点125℃
アルコンP−140:アルコンP−140(荒川化学工業社製)、水添石油系粘着付与樹脂、軟化点140℃
アルコンM−100:アルコンM−100(荒川化学工業社製)、水添石油系粘着付与樹脂、軟化点100℃
803L:タマノル803L(荒川化学工業社製)、テルペンフェノール系粘着付与樹脂、軟化点150℃
クリアロンP−85:クリアロンP−85(ヤスハラケミカル社製)、水添テルペン系粘着付与樹脂、軟化点85℃
クリアロンP−105:クリアロンP−105(ヤスハラケミカル社製)、水添テルペン系粘着付与樹脂、軟化点105℃
クリアロンP−115:クリアロンP−115(ヤスハラケミカル社製)、水添テルペン系粘着付与樹脂、軟化点115℃
クリアロンP−125:クリアロンP−125(ヤスハラケミカル社製)、水添テルペン系粘着付与樹脂、軟化点125℃
クリアロンP−135:クリアロンP−135(ヤスハラケミカル社製)、水添テルペン系粘着付与樹脂、軟化点135℃
クリアロンP−150:クリアロンP−150(ヤスハラケミカル社製)、水添テルペン系粘着付与樹脂、軟化点150℃
クリアロンM−115:クリアロンM−115(ヤスハラケミカル社製)、水添テルペン系粘着付与樹脂、軟化点115℃
5320:エスコレッツ5320(トーネックス社製)、水添石油系粘着付与樹脂、軟化点125℃
リカタックF−105:リカタックF−105(理化ファインテック社製)、ロジン系粘着付与樹脂、軟化点105℃
【0068】
鉱物油軟化剤(C)
PW−90:PW−90(出光興産社製)、パラフィン系鉱物油軟化剤、パラフィン鎖29重量%、ナフテン環71重量%
PW−380:PW−380(出光興産社製)、パラフィン系鉱物油軟化剤、パラフィン鎖27重量%、ナフテン環73重量%
N−90:N−90(出光興産社製)、ナフテン系鉱物油軟化剤、パラフィン鎖47.7重量%、ナフテン環46.1重量%、芳香族環6.2重量%
NR−68:NR−68(出光興産社製)、ナフテン系鉱物油軟化剤、パラフィン鎖44重量%、ナフテン環44重量%、芳香族環12重量%
AC−12:AC−12(出光興産社製)、芳香族系鉱物油軟化剤、パラフィン鎖28.6重量%、ナフテン環36.2重量%、芳香族環35.2重量%
371N:シェルフレックス371N(シェル化学社製)、ナフテン系鉱物油軟化剤、パラフィン鎖55重量%、ナフテン環43重量%、芳香族環2重量%
【0069】
酸化防止剤(E)
IRGANOX 1010:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・ジャパン製)
IRGAFOS 168:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(チバ・ジャパン製)
【0070】
【表2】

【0071】
[接着力の測定方法]
長さ10cm、幅25mmに切り取った積層体を用意し、23℃、相対湿度65%の雰囲気下で、2kgのゴムローラを2往復させることでポリプロピレン板(PP板:エンジニアリングテストサービス社製)に積層体を圧着した。圧着してから24時間後に、引張試験機で、速度300mm/分で、積層体を180°方向に引っ張ってPP板から剥離させた時の強度を測定し、この剥離強度を接着力(N/25mm)とした。
○:0℃、23℃、60℃での接着力が10N/25mm以上のもの
×:0℃、23℃、60℃での接着力が10N/25mm未満のもの
【0072】
[加熱後の接着力の測定方法]
製造例1〜38で作製した感圧式接着組成物をスチレン缶に取り、密封した。170℃雰囲気下に72時間静置し、23℃、相対湿度65%の雰囲気下で1時間以上静置した後、上記記載の方法により積層体を作製し、上記の接着力測定方法により接着力を測定した。また、製造例39で作製した溶剤型感圧式接着組成物は溶剤を除去した後、上記に記載した同様の方法で加熱した。再度溶剤に感圧式接着組成物を溶解し、上記方法で積層体を作製した後、接着力を測定した。
【0073】
[加熱後の外観(黄変調査)]
製造例1〜38で作製した感圧式接着組成物をスチレン缶に取り、密封した。170℃雰囲気下に72時間静置した後、23℃、相対湿度65%の雰囲気下で1時間静置し、目視にて外観を確認した。評価基準は以下の通りである。また、製造例39で作製した溶剤型感圧式接着組成物は溶剤を除去した後に上記試験と同様の方法で外観確認した。
◎:ほとんど着色していない。
○:やや黄色味かかっているが使用可能である。
△:黄色味かかっているが、着色した樹脂であれば使用できる。
×:褐色になっていて使用できない。
【0074】
[粘度の測定方法]
製造例1〜38で作製した感圧式接着組成物をB型粘度計(東京計器社製)で170℃の粘度を測定した。製造例39で作製した感圧式接着組成物は、溶剤を除去した後に上記試験と同様の方法で粘度測定した。
【0075】
[加熱後の粘度の測定方法]
製造例1〜38で作製した感圧式接着組成物をスチレン缶に取り、密封した。170℃雰囲気下に72時間静置した後、B型粘度計(東京計器社製)で170℃の粘度を測定した。製造例39で作製した感圧式接着組成物は、溶剤を除去した後に上記試験と同様の方法で粘度測定した。
【0076】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0077】
以上説明したとおり、本発明の感圧式接着組成物により、低温域から高温域でポリオレフィン系樹脂に強固に接着し、溶剤などを使用しないため環境への負荷も少ない積層体を作製することが出来る。その例として、接着力、粘度、加熱後の外観、接着力、粘度が挙げられる。近年の環境への取り組みを考えると、要求特性はますます厳しくなっていくものと考えられる。そこで、本発明の感圧式接着組成物は、上記の特性を発揮できるため、さらに有用になると考えられる。
また、本発明の感圧式接着剤組成物は、一般ラベル、シールの他、塗料、弾性壁材、塗膜防水材、床材、タッキファイヤ、接着剤、積層構造体用接着剤、シーリング剤、成形材料、表面改質用コーティング剤、バインダー(磁気記録媒体、インキバインダー、鋳物バインダー、焼成レンガバインダー、グラフト材、マイクロカプセル、グラスファイバーサイジング用等)、ウレタンフォーム(硬質、半硬質、軟質)、ウレタンRIM、UV・EB硬化樹脂、ハイソリッド塗料、熱硬化型エラストマー、マイクロセルラー、繊維加工剤、可塑剤、吸音材料、制振材料、界面活性剤、ゲルコート剤、人工大理石用樹脂、人工大理石用耐衝撃性付与剤、インキ用樹脂、フィルム(ラミネート接着剤、保護フィルム等)、合わせガラス用樹脂、反応性希釈剤、各種成形材料、弾性繊維、人工皮革、合成皮革等の原料として、また、各種樹脂添加剤およびその原料等としても非常に有用に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟化点が100〜150℃の範囲である熱可塑性組成物(D)、及び酸化防止剤(E)を含有する感圧式接着組成物であって、
上記熱可塑性組成物(D)が、
エラストマー全体に対してジブロックの含有量が50重量%以下で、スチレン比率が10〜40重量%あるスチレン系エラストマー(A)、
固体粘着付与樹脂(B)、及び
鉱物油軟化剤(C)を配合してなることを特徴とする感圧式接着組成物。
【請求項2】
固体粘着付与樹脂(B)が、水素添加された石油系樹脂及び/又はテルペン系樹脂であることを特徴とする請求項1記載の感圧式接着組成物。
【請求項3】
鉱物油軟化剤(C)が、鉱物油軟化剤全体に対して芳香族環を10重量%未満含有していることを特徴とする請求項1又は2記載の感圧式接着組成物。
【請求項4】
酸化防止剤(E)が、フェノール系酸化防止剤及び/又はリン系酸化防止剤であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の感圧式接着組成物。
【請求項5】
熱可塑性組成物(D)100重量部に対して酸化防止剤(E)0.05〜10重量部を含むことを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の感圧式接着組成物。
【請求項6】
熱可塑性組成物(D)が、スチレン系エラストマー(A)30重量部〜55重量部、固体粘着付与樹脂(B)40重量部〜60重量部、及び鉱物油軟化剤(C)1〜15重量%を合計100重量部になるように配合してなることを特徴とする請求項1ないし5いずれか記載の感圧式接着組成物。
【請求項7】
170℃、72時間加熱後、ポリプロピレンに対して貼付し、23℃において24時間経過後、0℃〜60℃の温度域で、180°剥離の接着力が10N/25mm以上であることを特徴とする請求項1ないし6いずれか記載の感圧式接着組成物。
【請求項8】
請求項1ないし7いずれか記載の感圧式接着組成物から形成される感圧式接着層がフィルム状基材の片面もしくは両面に積層されてなる積層体。

【公開番号】特開2010−77372(P2010−77372A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273583(P2008−273583)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(591004881)東洋アドレ株式会社 (51)
【Fターム(参考)】