説明

感圧接着剤用の光開始剤及びUV架橋性アクリルポリマー

【課題】熱溶融加工が可能であるUV架橋性アクリルポリマー並びにかかるポリマーを製造する方法に対して、当該技術において継続的要求及び継続的ニーズがある。
【解決手段】アクリル及びビニルモノマー並びに重合性UV光開始剤を含むUV架橋性アクリルホットメルト感圧接着剤が提供される。該光開始剤は、エチレンオキシド、及びウレタン若しくは尿素、カーボネート又はシロキサン官能基の両方を含むスペーサーを含む。該エチレンオキシドは直接的に発色団(たとえばベンゾフェノン)部分に結合され、一方ウレタン(又は尿素、カーボネート、シロキサン)は重合性部分(たとえばスチレンC=C二重結合)に密接に連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にホットメルト感圧接着剤の製造に有用であるところの、重合性UV光開始剤及びUV架橋性アクリルポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
ホットメルト感圧接着剤(HMPSA)は、ホットメルト接着剤の性質と感圧接着剤(PSA)の性質とを併せ持つ組成物である。ホットメルト接着剤は室温において固体であり、基材上においてコーティングするために高められた温度において溶融され、そして冷却されるとそれらの固体を回復する。感圧接着剤は室温においてアグレッシブ(aggressive)で且つ持続的に粘着性であり、そして軽い指圧の適用により表面に固着する。これらの性質の組合せにより、高められた温度において溶融し、そして冷えると持続的に粘着性の固体コーティング膜(この膜は、接触すると固着する)を形成する組成物が提供される。これらの組成物は、普通には、紙、布、金属及びプラスチックフィルムのような様々な基材に適用され、しかしてこれらの基材は次いで数多くの種々の製品、特に感圧接着テープ及びラベルに転換される。これらの感圧接着製品は、自動車工業において(たとえば留める又はシールするために)、製薬工業において(たとえば包帯又は経皮薬物送達システム用)又は包装工業において(たとえばシールする、接合する又はラベルを貼り付けるために)広範囲の用途を有する。
【0003】
良好に働き得るHMPSAは、室温において高い凝集強さ、基材上における低い収縮、貯蔵及び使用中の感圧性質の保持、並びに典型的なコーティング温度(たとえば約80℃〜約180℃)において比較的流動性の粘度を示さねばならない。非常に低分子量のポリマーは十分な流動性を備えたホットメルト接着剤を生じるけれども、生じた接着剤は凝集強さを欠く。非常に高分子量のポリマーは比較的良好な凝集強さを与えるが、しかし普通の適用温度において粘稠すぎて基材上に容易にはコーティングされ得ない。粘度を下げるために、それらは高割合の低分子量の油又は樹脂で増量されねばならない。低分子量の油又は樹脂の添加は、今度は凝集強さ及び耐熱性を減じる。それ故、凝集性を増すために、高分子量が必須である。これらの問題を回避するために、化学線により架橋反応を受ける様々な官能基を備えた中分子量のポリマーが作られてきた。このようにして、アクリルPSAの凝集性は、十分な架橋により高められ得る。
【0004】
熱溶融加工が可能であるUV架橋性アクリルポリマー並びにかかるポリマーを製造する方法に対して、当該技術において継続的要求及び継続的ニーズがある。本発明は、ペンダントUV光開始剤で機能化されているポリマーであって、コーティング操作後にアクリルHMPSAとして基材上で架橋されるポリマーを提供することにより、このニーズに取り組む。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、光開始剤、光開始剤を含むアクリルポリマー、及びアクリルポリマーを含むUV硬化性接着剤を提供する。
【0006】
本発明の一つの側面は、構造式
【化1】

〔ここで、
Zは、S、O、CH2又はNHであり、
1〜8は、独立してH、Cl、Br、I、F、C1〜24アルコキシ、C1〜24アルキル又はアリールであり、しかもR1〜8の少なくとも一つは−W−X−Y基を含まねばならず、
Wは、C1〜12アルキレン又はC1〜12オキシアルキレンであり、
Xは、カーボネート、ウレタン、尿素、テトラメチルジシロキサン又はそれらの組合せであり、そして
Yは、−R−C(R10)=CHである(ここで、Rは線状若しくは分枝状のC2〜10アルキレン若しくはC2〜10オキシアルキレン又はアリーレンあるいはそれらの誘導体であり、そしてR10はH又はCHである)〕
を有する光開始剤に向けられる。
【0007】
特に好ましい具体的態様は、次の構造式
【化2】

〔ここで、n=1〜12である〕
及び
【化3】

を有する光開始剤である。
【0008】
本発明の別の側面は、本明細書に記載された光開始剤を含むUV硬化性アクリルポリマーに向けられる。本発明のアクリルポリマーは、典型的には、約70〜約95重量部の式CH−CH(R)(COOR)(ここで、RはH又はCHであり、そしてRはC1〜20アルキル鎖である)のアクリル又はメタクリル酸誘導体、0〜約30重量部の式CH−CH(R)(COOR)(ここで、RはH又はCHであり、そしてRはヒドロキシル官能性C1〜20アルキル鎖である)のアクリル又はメタクリル酸誘導体、カルボキシ又は無水物官能基を含有する0〜約20重量部のアクリル又はビニル化合物、アミン、アミド、ウレタン、エポキシド又はイソシアネート官能基を含有する0〜約30重量部のアクリル又はビニル化合物、及び約0.01〜約15重量部一層好ましくは約0.1〜約5重量部の本明細書に記載された光開始剤を含む。
【0009】
本発明の更に別の側面は、本明細書に記載されたアクリルポリマーを含むUV架橋性ホットメルト感圧接着剤に向けられる。
【0010】
該接着剤は、たとえば工業用及び医用テープのような、物品の製造に用いられ得て、そして該接着剤を含む製造物品は本発明に包含される。
【0011】
発明の詳細な説明
本発明は、当該技術に、ポリマー鎖に結合された光開始剤を含むアクリルポリマーを提供する。重合性光開始剤は、C=C二重結合及び芳香族ケトンのUV反応性発色団の両方を含有する。光開始剤は、エチレンオキシド及びウレタン、尿素、カーボネート又はシロキサン官能基の両方を含有するスペーサーを含む。エチレンオキシドは直接的に発色団(たとえばベンゾフェノン)部分に結合され、一方ウレタン、尿素、カーボネート又はシロキサンは重合性部分たとえばアクリル又はスチレンC=C二重結合に密接に連結される。
【0012】
本発明のHMPSAに用いられるアクリルポリマーを構成する特定のアクリル及びビニルモノマーの選択及び相対量は、接着剤の所望の最終的性質及び意図される最終用途に依存する。所望の性質を達成するべきアクリル及びビニルモノマーの選択並びに最終組成物中のそれらの相対量は、当業者の専門知識内である。
【0013】
本発明の一つの具体的態様において、用いられるアクリルポリマーは、次の組成を有するもの、或いは次のモノマー又は成分を含むモノマー混合物を重合することにより製造され得るものである。すなわち、(a)約70〜約95重量部の式CH=CH(R)(COOR)(ここで、RはH又はCHであり、そしてRはC1〜20アルキル鎖である)のアクリル又はメタクリル酸誘導体、(b)0〜約30重量部の式CH=CH(R)(COOR)(ここで、RはH又はCHであり、そしてRはヒドロキシル官能性C1〜20アルキル鎖である)のアクリル又はメタクリル酸誘導体、(c)カルボキシ又は無水物官能基を含有する0〜約20重量部のアクリル又はビニル化合物、(d)アミン、アミド、ウレタン、エポキシド又はイソシアネート官能基を含有する0〜約30重量部のアクリル又はビニル化合物、及び(e)約0.01〜約15重量部一層好ましくは約0.1〜約5重量部の光開始剤(本明細書において下記により詳細に記載される)である。
【0014】
本発明の方法について、成分(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)(適切である場合)のモノマーは、重合によりアクリルポリマーに転化される。重合について、諸モノマーは、生じるコポリマーがHMPSAとして用いられ得るように、特に生じるコポリマーがDonatas Satasの「Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology」(van Nostrand,ニューヨーク,1989)による感圧接着特性を有するように選ばれる。これらの用途について、生じるコポリマーの静的ガラス転移温度は、有利には約25℃未満である。
【0015】
成分(a)として有用なアクリル及び/又はメタクリル酸誘導体の例は、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘプチルアクリレート、n−オクチルアクリレート及びn−ノニルアクリレート、並びに2−エチルヘキシルアクリレート及びイソオクチルアクリレートのようなそれらの対応する分枝状異性体を包含する。これらのモノマー、特に分枝状異性体は、光開始剤又はUV反応性の官能性モノマー(下記により詳細に定められる)とのUV開始ラジカル架橋又はカップリング反応(H引抜き)を受けることができる。
【0016】
成分(b)として有用なアクリル及び/又はメタクリル酸誘導体の例は、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート及びそれらの対応するメタクリレートを包含する。アクリレート又はメタクリレートの代わりに、ビニルアセテート、スチレン、α−メチルスチレン、エチルビニルエーテル、アクリロニトリル及びビニルクロライドのようなビニル化合物を用いることが可能である。次の例示的群からのビニルモノマーは、成分(b)として随意に用いられ得る。すなわち、ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルハライド、ビニリデンハライド、ビニルピリジン、α位置に芳香族環及び複素環を含有するビニル化合物である。
【0017】
成分(c)として有用なカルボン酸又は無水物官能基を含有する好適なアクリル又はビニルモノマーの例は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、4−(メタクリロイルオキシエチル)トリメリット酸無水物等を包含する。
【0018】
成分(d)として有用な好適なアクリル又はビニル化合物、特に、UV光開始剤又は他のUV反応性官能基との水素引抜き反応が可能なものの例は、次の式
【化4】

のアミン、アミド及びベンジル化合物を包含する。
【0019】
成分(d)として有用な好適なアクリル又はビニルモノマーの他の例は、アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、ビニルピリジン、並びにt−オクチルアクリルアミド、1−ビニル−2−ピロリジノン(NVP)、2−(tert−ブチルアミノ)エチルメタクリレート(t−BEAM)である。加えて、成分(d)用のモノマーとして、MOI、m−TMI(登録商標)のようなイソシアネート官能基化モノマー、又はグリシジルメタクリレートのようなエポキシ化モノマー、あるいはより一般的に、UV光開始剤との化学反応に参加することができる官能基を含有するあらゆるモノマーがある。
【0020】
分子間水素引抜き及び次いでラジカルカップリング反応によってUV活性化架橋反応を受けることの可能な、成分(e)として有用な光開始剤を含有する好適なビニル又はアクリル化合物の例は、次の式I、II及びIII
【化5】

〔ここで、
Zは、S、O、CH又はNHであり、
1〜8は、独立してH、Cl、Br、I、F、C1〜24アルコキシ、C1〜24アルキル又はアリールであり、しかもR1〜8の少なくとも一つは−W−X−Y基を含まねばならず、
Wは、C1〜12アルキレン又はC1〜12オキシアルキレンであり、
Xは、カーボネート、ウレタン、尿素、テトラメチルジシロキサン又はそれらの組合せであり、そして
Yは、−R−C(R10)=CHである(ここで、Rは線状若しくは分枝状のC2〜10アルキレン若しくはC2〜10オキシアルキレン又はアリーレンあるいはそれらの誘導体であり、そしてR10はH又はCHである)〕
の化合物を包含する。
【0021】
成分(e)として用いるための好ましい光開始剤は、構造式(IIA)
【化6】

〔ここで、n=1〜12であり、好ましくはn=1である〕
により表される。
【0022】
成分(e)として用いるための別の好ましい光開始剤は、構造式(IIIA)
【化7】

〔ここで、n=1〜12であり、好ましくはn=1である〕
により表される。
【0023】
成分(e)として用いるための別の好ましい光開始剤は、構造式(IIB)
【化8】

〔ここで、n=1〜12であり、好ましくはn=1である〕
により表される。
【0024】
成分(e)として用いるための更に別の好ましい光開始剤は、構造式(IIC)
【化9】

により表される。
【0025】
成分(e)として用いるための更に別の好ましい光開始剤は、構造式(IID)
【化10】

により表される。
【0026】
一般に、UV光開始剤は、ノリッシュ(Norrish)I型及びII型光開始剤に細分され得る。両クラスの例は、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ヒドロキシアルキルフェノン、フェニルシクロヘキシルケトン、アントラキノン、チオキサントン、トリアジン又はフルオレノン誘導体等を包含する。
【0027】
ノリッシュI型光開始剤と称される化合物は、露光されるとノリッシュI型反応に従って分解するものである。それは好都合にはカルボニル化合物の光断片化であり、しかしてカルボニル基に対してαの炭素原子への結合がラジカル開裂(α開裂)されて、アシルラジカル及びアルキルラジカルを生じる。
【0028】
本発明の目的のために、ノリッシュ光開始剤はまた、カルボニル基の代わりに別の官能基が存在し、そして開裂がこの基とα炭素原子の間の結合に関するものを包含する。
【0029】
ノリッシュII型光開始剤は、露光されると水素引抜きでもってノリッシュII型反応に従って分解する。これは分子内反応である。
【0030】
脂肪族ケトンの場合において、水素は、上記に示された官能基に相当するものに対してγ位置から脱離され得る。
【0031】
I型開始剤は、特に、ベンゾイン誘導体、ベンジルケタール及びアセトフェノン誘導体のような芳香族カルボニル化合物を包含する。II型光開始剤は、特に、たとえばベンゾフェノン、ベンジル又はチオキサントンのような芳香族ケトンである。更なる詳細について、たとえばRompp Lexikon Chemie−バージョン2.0,シュトゥットガルト/ニューヨーク:Georg Thieme Verlag,1999が参照される。
【0032】
更に、トリアジン、ヘキサアリールビスイミダゾール及び染料をベースとした光開始剤も存在する。申し分のない概要が、英国ロンドンのPKT Oldring, Sita Technologyにより編集された、Dowling、Pappas、Monroe、Carroy、DeckerのChemistry & Technology of UV & EB Formulation for Coatings, Inks & Paints,Vol.5に与えられている。
【0033】
ポリマー鎖中に組み込まれる成分(e)の量は、意図される最終用途にとっての粘着性、剥離接着力及び凝集強さの優秀なバランスを維持するのに十分な架橋を与えるのに十分でなければならない。この量は、ポリマーの組成、放射線源、受け取られる放射線量、及び基材上の接着剤コーティング膜の厚さに依存する。一般に、この量は、アクリル又はビニルモノマーの100部当たり0.01〜15部、好ましくは0.1〜5部の範囲にある。
【0034】
当業者に知られているように、アクリルポリマーの製造は、フリーラジカル、アニオン及びカチオン技法のような周知の重合技法を用いて、溶液、乳化又は塊状重合法により行われ得る。これらのコポリマーは、次いで、溶媒の除去、ラテックスの凝固、又はニート(neat)ポリマーの溶融加工によりホットメルト接着剤に形成され得る。
【0035】
重合は、1種若しくはそれ以上の有機溶媒の存在下で及び/又は水の存在下で行われ得る。適当な有機溶媒又は溶媒の混合物は、ヘキサン、ヘプタン、オクタン及びイソオクタンのようなアルカン、ベンゼン、トルエン及びキシレンのような芳香族炭化水素、エチル、プロピル、ブチル及びヘプチルアセテートのようなエステル、クロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール及びエチレングリコールモノメチルエーテルのようなアルカノール、ジエチルエーテル及びジブチルエーテルのようなエーテル、又はそれらの混合物である。
【0036】
本方法の一つの有利な具体的態様において、重合反応は、エチルアセテート溶媒中においてAIBNの触媒作用下で進行する。他の変型において、重合反応は、酸又は塩基の触媒作用下で行われる。酸として、いかなるルイス酸化合物も用いることが可能である。反応は、好ましくはp−トルエンスルホン酸又はイタコン酸を用いて行われる。塩基として、いかなるルイス塩基も用いることが可能である。反応は、好ましくは、4−ビニルアニリン又は酢酸ナトリウムによる触媒作用でもって行われる。
【0037】
製造されたアクリルポリマーは、一般に、10,000〜2,000,000g/mol、一層好ましくは100,000と700,000g/molの間の平均分子量(M)を有する。Mは、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)又はマトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法(MALDI−MS)により決定される。
【0038】
光開始剤の好ましい具体的態様において、エチレンオキシドとウレタン又は尿素又はカーボネート又はシロキサン官能基の両方が、UV反応性基と重合性基を連結するためにスペーサーとして一緒に用いられる。特定的には、エチレンオキシドは直接的にベンゾフェノン又はアセトフェノン部分に結合され、そしてカルバメート、尿素又はカーボネート基は重合性スチレンC=C二重結合基に結合される。好ましくは、アセトフェノン又はベンゾフェノンのどちらかがUV反応性基として用いられ、そしてm−TMI(登録商標)からのC=C結合が重合性基として用いられる。かかるスペーサーの構造は、高いUV架橋効力及び高い熱安定性をアクリルポリマーに与える。
【0039】
アクリルポリマーは、成分(a)〜(e)のモノマー混合物を重合することにより製造され得る。その代わりに、UV架橋性アクリルポリマーの製造は、二工程反応を含み得る。すなわち、(1)重合反応においてコモノマーとしてm−TMI(登録商標)又はMOIを用いることにより、ペンダントイソシアネート官能基を有するアクリルポリマーを製造し、そして次いで(2)ペンダントイソシアネート基をヒドロキシル又はアミン官能基化ベンゾフェノン又はアセトフェノンと反応させる。この二工程法において、成分(a)、(b)、(c)及び(d)からのモノマーの限られた数のみが用いられ得、何故ならペンダントイソシアネート基がアルコール、アミン及び酸のような官能基と反応し得るからである。
【0040】
ホットメルトPSAとして用いられるために、アクリルポリマーは、溶媒不含でなければならない。この目的のために、上記に記載されたように製造されたコポリマーは、2重量%より小さい好ましくは0.5重量%未満の溶媒含有率に濃縮される。この過程は、好ましくは、当業者に知られているところのベント型押出機、リング押出機、一軸スクリュー押出機又は二軸スクリュー押出機のような濃縮押出機にて行われる。
【0041】
本接着剤はまた、可塑剤、粘着付与剤及び充填剤のような様々な他の添加剤を含み得、しかしてそれらはすべてホットメルトPSAの製造に慣用的に用いられている。添加されるべき粘着付与性樹脂として、文献に記載されているいかなる公知の粘着付与性樹脂も用いることが可能である。代表的には、ピネン樹脂、インデン樹脂及びロジン、それらの不均化、水素化、重合及びエステル化誘導体及び塩、脂肪族及び芳香族炭化水素樹脂、テルペン樹脂、テルペン−フェノール樹脂、C5樹脂、C9樹脂及び他の炭化水素樹脂が挙げられ得る。生じた接着剤の性質を所望の最終特性に従って調整するために、これらの又は他の樹脂のいかなる所望の組合せも用いられ得る。
【0042】
一般に、相当するアクリルポリマーと相溶性であるいかなる樹脂も用いることが可能である。特に、あらゆる脂肪族、芳香族、アルキル芳香族炭化水素樹脂、ストレートモノマーに基づいた炭化水素樹脂、水素化炭化水素樹脂、官能性炭化水素樹脂、及び天然樹脂が言及され得る。Donatas Satasの「Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology」(van Nostrand,1989)における当該技術の現状の記述が、明示的に言及され得る。
【0043】
更なる有利な開発において、低分子量アクリルポリマー、フタレート、鯨油可塑剤又は可塑剤樹脂のような1種又はそれ以上の可塑剤が、アクリルHMPSAに添加される。
【0044】
アクリルHMPSAは、更に、老化抑制剤、酸化防止剤、光安定剤、オゾン保護剤、脂肪酸、樹脂、核形成剤、発泡剤、配合剤及び/又は促進剤のような1種又はそれ以上の添加剤とブレンドされ得る。
【0045】
それらは、更に、繊維、カーボンブラック、酸化亜鉛、二酸化チタン、中実又は中空ガラス(ミクロ)ビーズ、他の物質のミクロビーズ、シリカ、シリケート及び白亜のような1種又はそれ以上の充填剤と混合され得る。ブロッキングされていないイソシアネートの添加もまた可能である。
【0046】
本発明の方法について、更に、後続の架橋を促進する化合物をアクリルHMPSAに添加することが有利であり得る。この目的のために、コポリマーは、随意に、架橋剤とブレンドされ得る。適当な架橋剤の例は、官能性アクリレートである。架橋が放射線下で行われる本発明の方法による好ましい物質は、たとえば、二官能性又は三官能性アクリレート、及び二官能性又は多官能性ウレタンアクリレートである。しかしながら、本発明において、当業者によく知られているところの、アクリルポリマーを架橋することが可能であるいかなる更なる二官能性又は多官能性化合物も用いることが可能である。随意の熱架橋又は湿分架橋のために、ブロッキングされた二官能性又は多官能性のイソシアネート又は他の官能基を用いることが可能である。
【0047】
HMPSAの生成のために本発明の方法を格別有利にする一つの更なる開発は、すべての添加剤が溶融状態のニートアクリルポリマーとブレンドされるか、又はより効率的には重合反応の終わりにおけるコポリマーの溶液中に添加されるかのどちらかである。溶媒が除去されると、かかる混合物は濃縮されてHMPSAをもたらす。
【0048】
たいていの感圧使用において、ホットメルト接着剤は、架橋の前に支持体又は基材に適用される。接着剤は、好ましくは、基材上でコーティング可能な流体にするために加熱され得る組成物をもたらすように配合される。普通に用いられる工業的コーティング温度は、80〜180℃の範囲にある。典型的には、本発明のHMPSAは、かかる適用温度において1000〜500,000cPの間、好ましくは5000〜100,000cPの間の溶融粘度を有する。
【0049】
HMPSAの適用は、ローラー、スロットオリフィス、吹付け又は押出コーティングのようないかなる慣用手段を用いても成し遂げられ得る。基材は、フィルム、テープ、シート、パネル、発泡体等の形態にあり得、そして紙、布、プラスチック(ポリエステル、PE、PP、BOPP及びPVC)、不織繊維、金属、箔、ガラス、天然ゴム、合成ゴム、木材又は合板から作られ得る。このリストは、終結的であるようには意図されていない。コーティングされた基材がロール巻きの形態にて用いられることになっている場合、基材の裏面は、通常、接着剤が基材の反対側に固着するのを防止するために剥離コーティング剤でコーティングされる。基材が両側にて接着剤でコーティングされそして巻かれることになっている場合、剥離紙又は他の保護手段が一方の側の接着剤の上に置かれて、その接着剤が他方の側の接着剤に固着するのを防止する。いくつかの使用において、第2の基材が、直接的に接着剤に適用され得る。
【0050】
感圧接着フィルムは、熱溶融物を剥離ライナー(シリコーンでコーティングされた紙又はプラスチックフィルムのような)に適用することにより形成され得、そして次いで照射後、この接着剤は剥離ライナーから剥離され、そしてフィルムとして用いられ得る。その代わりに、接着剤が剥離ライナー上にコーティングされ、基材に貼り合わせられそして転写され得る。
【0051】
本発明のホットメルトPSAは、空気又は窒素中で、200〜500nm、好ましくは250〜320nmの範囲のUV光での照射により架橋され得る。照射は、接着剤組成物が依然として溶融状態にある間に、又はそれらが室温に冷えた後に直ちに行われ得る。
【0052】
照射は、低凝集性組成物をより高い可塑性のエラストマー接着剤に変換するのに十分な期間行われる。正確な暴露時間は、放射線の特質及び強度、光開始剤(成分(e))の量、ポリマー組成物、接着剤配合物、接着フィルムの厚さ、環境因子、及び放射線源と接着フィルムの間の距離に依存する。暴露の線量又は長さは、ベルト速度により制御される。ランプの出力をベルト速度に適応させるか、又はその熱負荷を低減するためにベルトを部分的に遮光することが適切であり得る。
【0053】
用いられる実際の放射線は、有効量のUV線を供与する限り、いかなる源からの化学線でもあり得、何故なら本発明の接着剤組成物は一般に紫外範囲の波長に対して最大感度を示すからである。適当な放射線源は、炭素アーク、水銀蒸気アーク、特殊な紫外光放射性リン光体を備えた蛍光灯、電子フラッシュランプ等、特定波長のレーザー、又はそれらの組合わせである。好ましいランプは、Fusion Systemsからの無電極マイクロ波作動式ランプ、又は商業的に慣用の高圧若しくは中圧水銀ランプ(たとえば80〜240W/cmの出力を備えたもの)である。
【0054】
加えて、本発明による記載されたアクリルHMPSAは、電子ビームでもって架橋され得る。このタイプの架橋はまた、UV架橋に加えて行われ得る。電子ビーム硬化は、電離放射線により行われる。
【0055】
次の例は例示の目的のみのために与えられ、しかしていかなる不必要な限定もそれにより受けたくはないものである。
【実施例】
【0056】
接着剤試料の各々を、感圧テープについての次の試験方法(それらのいくつかはPressure Sensitive Tape Council(PSTC)により開発された)に従って試験した。
【0057】
コーティング膜の作製
ホットメルト感圧接着剤又はニートコポリマーを基材に適用しそしてそれをUV線下で硬化するべき手順は、次のとおりであった。接着剤を適用するために、2本の加熱可能なロールを備えた実験室コーターを用いた。接着剤を150℃に加熱し、そして2ミル厚のシリコーンでコーティングされたPET剥離ライナー上にコーティングした。次いで、ライナー上の接着剤をHバルブ(Fusion Systems)下で、UV−A585mJ/cm2及びUV−B512mJ/cm2の線量でもって、毎分35フィート(10.7m)のライン速度にて照射した。次いで、このフィルムをポリエチレンテレフタレート基材(Mylar(登録商標),DuPont)に貼り合わせそして転写し、そして23℃及び50%相対湿度にて状態調整した。別段指摘されていなければ、接着フィルムの厚さは3.5ミルであった。
【0058】
ゲル分率
パーセントゲルフラクションを、架橋レベル及び光開始剤効力の指標として用いた。UV照射アクリルポリマー(又は配合された接着剤)の試料をシリコーン剥離ライナーから分離し、そして最寄りの0.1mgまで秤量した。次いで、この試料をガラスジャー中に入れ、そしてトルエン中に24〜48時間浸した。トルエン抽出の前後の試料質量の差により、トルエンに不溶であるコポリマーの質量分率の百分率としてゲルフラクションが与えられた。試料が配合された接着剤である場合、いかなるトルエン可溶成分の質量も、初期重量から差し引かれる必要がある。
【0059】
剪断接着力
次のように修正されたPSTC−107の手順Aに従って、剪断接着力を測定した。アクリルポリマーのすべての試験試料を、上記の手順に従ってUV照射した。試験パネルを15分完全に濡らした後に適用された12×25mmの面積における1kgの剪断負荷下で、剪断接着力を測定した。すべての試験を、23℃及び50%相対湿度にて遂行した。
【0060】
剥離接着力
次のように修正されたPSTC−101の試験方法Aに従って、基材と被着体の間の180°試験における剥離接着力を測定した。アクリルポリマーのすべての試験試料を、上記の手順に従ってUV照射した。ステンレス鋼パネルを15分完全に濡らした後、剥離強さを測定した。
【0061】
ループタック
次のように修正されたPSTC−16の試験方法Bに従って、ループタックを測定した。この測定のために、ループタック試験機を用いた。アクリルポリマーのすべての試験試料を、上記の手順に従ってUV照射した。接着剤を2ミルPETフィルム支持体上にコーティングし、そして試験片ストリップのサイズは125mm×24mmであった。
【0062】
剪断接着破壊温度(SAFT)
アクリルポリマーのすべての試験試料を、上記の手順に従ってUV照射した。25×25mmの貼合わせ試験片を120°F(49℃)におけるオーブン中に1kgの剪断負荷下にて(該負荷を適用する前に室温にて15分完全に濡らした)置くことにより、SAFT測定を遂行した。オーブン温度を1分ごとに1°Fの増分にて上げ、そして接着層が破壊した温度を記録した。接着層が破壊しなかった場合、試験は375°F(191℃)にて自動的に終了した(その時点において、オーブンは冷え始まる)。
【0063】
実施例1
クロロホルム(無水,60mL)中の4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノン(5.0g、0.02mol)の溶液を、N下で室温にて撹拌した。引き続いて、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート(m−TMI(登録商標))(4.2g、0.02mol)及びジブチルスズジラウレート(0.04g、0.06mmol)を添加した。反応過程をFTIRにより監視し、そしてイソシアネートピーク(約2260cm-1)が消失した時に完了した。次いで、溶媒を室温にて真空下で除去し、そして生成物を薄黄色液体として定量収率でもって得た。この化合物の同定は、1H−NMRにより、次の構造(IIA)を有すると確認された。
【化11】

【0064】
実施例2
トルエン(無水,50mL)中の1−[3−(4−ベンゾイルフェノキシ)プロピル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(5.0g、0.013mol)及びアリルメタクリレート(1.7g、0.013mol)の溶液を、室温にて撹拌した。環状メチルビニルシロキサンにおける白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体(15mg)を添加し、そしてこの反応混合物を約24時間連続的に撹拌した。SiHピーク(約2119cm-1)の消失まで、反応過程をFTIRにより監視した。次いで、溶媒を室温にて真空下で除去し、そして生成物を薄黄色液体として定量収率でもって得た。この化合物の同定は、1H−NMRにより、次の構造(IV)を有すると確認された。
【化12】

【0065】
実施例3
クロロホルム(無水,60mL)中の4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノン(5.0g、0.02mol)の溶液を、N2下で室温にて撹拌した。引き続いて、2−イソシアナトエチルメタクリレート(MOI)(3.2g、0.02mol)及びトリエチルアミン(0.5g、5.0mmol)を添加した。反応過程をFTIRにより監視し、そしてイソシアネートピーク(約2260cm-1)が消失した時に完了した。次いで、溶媒を室温にて真空下で除去し、そして生成物を薄黄色液体として定量収率でもって得た。この化合物の同定は、1H−NMRにより、次の構造(V)を有すると確認された。
【化13】

【0066】
実施例4
トルエン(100mL)中の4,4′−メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI)(5.1g、0.02mol)の溶液を、N2下で室温にて撹拌した。引き続いて、ヒドロキシプロピルメタクリレート(2.9g、0.02mol)及びトリエチルアミン(1.0g、9.9mmol)を添加した。白色沈殿物が、12時間にわたってゆっくり形成した。THF(無水,50mL)を添加し、しかしてこの溶液は清澄且つ無色になった。4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノン(5.0g、0.02mol)を添加し、そしてこの混合物を更に12時間撹拌した。濾過によるすべての不溶性副生成物の除去後、この溶液を室温にて真空下で濃縮し(約20mL)、そして少量のヘキサンを添加した(約10mL)。室温における一晩の放置後、この溶液からオフホワイト色結晶質固体を得た。この化合物の同定は、1H−NMRにより、次の構造(VI)を有すると確認された。
【化14】

【0067】
実施例5
トルエン(無水,150mL)及びトリエチルアミン中の4,4′−メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI)(10g、0.04mol)の溶液を、N2下で室温にて撹拌した。ヒドロキシプロピルメタクリレート(5.8g、0.04mol)を、ゆっくり添加した。白色沈殿物が、12時間にわたってゆっくり形成した。THF(無水,50mL)を添加し、しかしてこの溶液は清澄且つ無色になった。4−ヒドロキシベンゾフェノン(7.9g、0.04mol)を添加し、そしてこの混合物を更に12時間撹拌した。濾過によるすべての不溶性副生成物の除去後、溶媒を除去し、そしてこの固体をメタノールで抽出した。得られたメタノール溶液を室温にて真空下で乾燥して、粗生成物を得た。トルエン/ヘキサン(1:2)中における再結晶により、オフホワイト色結晶質固体を得た。この化合物の同定は、1H−NMRにより、次の構造(VII)を有すると確認された。
【化15】

【0068】
実施例6
クロロホルム(無水,60mL)中の4−ベンゾフェノン(10.0g、0.05mol)の溶液を、N2下で室温にて撹拌した。引き続いて、2−イソシアナトエチルメタクリレート(MOI)(8.0g、0.05mol)及びトリエチルアミン(1.0g、10.0mmol)を添加した。イソシアネートピーク(約2260cm-1)の消失まで、反応過程をFTIRにより監視した。次いで、溶媒を室温にて真空下で除去し、そして生成物を薄黄色液体として定量収率でもって得た。この化合物の同定は、1H−NMRにより、次の構造(VIII)を有すると確認された。
【化16】

【0069】
実施例7
メチレンクロライド(100mL)中の4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノン(2.0g、8.3mmol)、メタクリル酸無水物(2.5g、16.2mmol)及び4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)(0.2g、1.6mmol)の溶液を、N2下で室温にて12時間撹拌した。この反応混合物を、水酸化ナトリウムの水溶液で2回そして蒸留水で2回洗浄した。溶媒を蒸留により30℃にて除去した。次いで、反応溶媒を室温にて真空下で除去し、そして生成物を粘稠な薄黄色液体として得た。この化合物の同定は、1H−NMRにより、次の構造(IX)を有すると確認された。
【化17】

【0070】
実施例8
異なる重合性光開始剤を含有するいくつかのアクリルポリマーを、溶液重合により製造した。各コポリマーは、アクリルモノマーの混合物、すなわち70pphm(重量により100部のモノマー当たりの部数)のエチルヘキシルアクリレート(2−EHA)、20pphmのメチルアクリレート(MA)、10pphmの1−ビニル−2−ピロリジノン(NVP)及び0.8ppmの重合性光開始剤を含んでいた。試薬及び手順は、次のとおりであった(表1)。
【0071】
【表1】

【0072】
初期装填物を加熱還流し、そして15分保持した。還流を維持しながら、残りのモノマー混合物の添加を開始し、そして2時間にわたって続けた。同時に、開始剤の添加を開始し、そして3時間にわたって続けた。開始剤の添加の完了時に、反応を還流に更に3時間保持した。次いで、スカベンジャー触媒を1時間にわたって添加し、そして添加が完了した後、この反応混合物を還流に2時間保持した。25℃に冷却した後、この内容物を残留2−EHAについて分析した。残留2−エチルヘキシルアクリレートが0.1%より大であった場合、追加のスカベンジャーを1時間にわたって添加した。生じた溶液は、53%の固形分含有率を有していた。溶媒を60〜70℃にて真空下で放散した後、GPCにより決定しておおよそ1.0〜1.8×105のMを有するホットメルト感圧接着剤(ニートポリマー)を得た。いくつかのアクリルポリマー(A〜G)をこの手順により製造し、そしてそれらの組成が表2に示されている。
【0073】
【表2】

【0074】
実施例9
この例は、実施例8において製造されたコポリマーについてのゲル分率及び剪断強さの結果を記載する。上記に記載された手順に従って、試料を試験した。それらの結果は、表3に与えられている。すべてのアクリルポリマーが、妥当なゲル分率及び剪断接着力を示した。ポリマーAが、最高の架橋効率及び剪断接着力を有していた。ポリマーA203及びA258は、BASF Aktiengesellschaftから商業的に入手できる2種のUV硬化性アクリルポリマーであった。
【0075】
【表3】

【0076】
実施例10
この例は、実施例8において製造されたアクリルポリマーのいくつかの粘度、剥離接着力及びループタックを記載する。上記に記載された手順に従って、試料を試験した。それらの結果は、表4に示されている。ポリマーはすべて、匹敵し得る剥離接着力及びループタックを実証している。
【0077】
【表4】

【0078】
実施例11
この例は、実施例8において製造されたアクリルポリマーのいくつかのSAFTを記載する。上記に記載された手順に従って、試料を試験した。それらの結果は、表5に与えられている。ポリマーAは非常に高いSAFTを有しており、そしてそのポリマー試験片はこの試験方法の最高温度において破壊しなかった。
【0079】
【表5】

【0080】
実施例12
この例は、実施例8において製造されたアクリルポリマーの熱安定性を記載する。この調査のために、試験試料は、UV照射されなかった。ポリマー試料を150℃にて24時間加熱した。ブルックフィールドを用いて加熱前後の試料の粘度変化を測定し、そしてコポリマーの熱安定性についての判定基準として用いた。試験結果は、表6に一覧表にされている。ポリマーE及びFを除いてほとんどのポリマーが、150℃未満における24時間の良好な熱安定性を示した。
【0081】
【表6】

【0082】
当業者に明らかであるように、本発明の数多くの改変及び変型が、その精神及び範囲から逸脱することなく成され得る。本明細書に記載された特定の具体的態様は例としてのみ呈されており、そして本発明は、添付の請求項が権利を有するところの等価物の完全範囲と一緒に、かかる請求項によってのみ限定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式
【化1】

〔ここで、
Zは、S、O、CH又はNHであり、
1〜8は、独立してH、Cl、Br、I、F、C1〜24アルコキシ、C1〜24アルキル又はアリールであり、しかもR1〜8の少なくとも一つは−W−X−Y基を含まねばならず、
Wは、C1〜12アルキレン又はC1〜12オキシアルキレンであり、
Xは、カーボネート、ウレタン、尿素、テトラメチルジシロキサン又はそれらの組合せであり、そして
Yは、−R−C(R12)=CHである(ここで、Rは線状若しくは分枝状のC2〜10アルキレン若しくはC2〜10オキシアルキレン又はアリーレンあるいはそれらの誘導体であり、そしてR10はH又はCHである)〕
を有する光開始剤。
【請求項2】
構造式
【化2】

〔ここで、n=1〜12である〕
を有する、請求項1に記載の光開始剤。
【請求項3】
n=1である、請求項2に記載の光開始剤。
【請求項4】
構造式
【化3】

〔ここで、n=1〜12である〕
を有する、請求項1に記載の光開始剤。
【請求項5】
n=1である、請求項4に記載の光開始剤。
【請求項6】
構造式
【化4】

を有する、請求項1に記載の光開始剤。
【請求項7】
UV硬化性アクリルポリマーであって、次のモノマー成分
(a)約70〜約95重量部の式CH=CH(R)(COOR)(ここで、RはH又はCHであり、そしてRはC1〜20アルキル鎖である)のアクリル又はメタクリル酸誘導体、
(b)0〜約30重量部の式CH=CH(R)(COOR)(ここで、RはH又はCHであり、そしてRはヒドロキシル官能性C1〜20アルキル鎖である)のアクリル又はメタクリル酸誘導体、
(c)0〜約20重量部の、カルボキシ又は無水物官能基を含有するアクリル又はビニル化合物、
(d)0〜約30重量部の、アミン、アミド、ウレタン、エポキシド又はイソシアネート官能基を含有するアクリル又はビニル化合物、及び
(e)約0.01〜約15重量部の、構造式
【化5】

〔ここで、
Zは、S、O、CH又はNHであり、
1〜8は、独立してH、Cl、Br、I、F、C1〜24アルコキシ、C1〜24アルキル又はアリールであり、しかもR1〜8の少なくとも一つは−W−X−Y基を含まねばならず、
Wは、C1〜12アルキレン又はC1〜12オキシアルキレンであり、
Xは、カーボネート、ウレタン、尿素、テトラメチルジシロキサン又はそれらの組合せであり、そして
Yは、−R−C(R10)=CHである(ここで、Rは線状若しくは分枝状のC2〜10アルキレン若しくはC2〜10オキシアルキレン又はアリーレンあるいはそれらの誘導体であり、そしてR10はH又はCHである)〕
を有する光開始剤
を含むアクリルポリマー。
【請求項8】
約0.1〜約5重量部の成分(e)を含む、請求項7に記載のアクリルポリマー。
【請求項9】
成分(a)が、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート又は/及びイソオクチルアクリレートである、請求項7に記載のアクリルポリマー。
【請求項10】
成分(b)を含み、そして成分(b)がヒドロキシエチルアクリレート又はヒドロキシプロピルアクリレートである、請求項7に記載のアクリルポリマー。
【請求項11】
成分(c)を含み、そして成分(c)がアクリル酸又はマレイン酸無水物である、請求項7に記載のアクリルポリマー。
【請求項12】
成分(d)を含み、そして成分(d)が1−ビニル−2−ピロリジノン(NVP)、2−(tert−ブチルアミノ)エチルメタクリレート(t−BAEM)、アクリルアミド、グリシジルメタクリレート、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート(m−TMI(登録商標))、又は次の式
【化6】

の化合物である、請求項7に記載のアクリルポリマー。
【請求項13】
成分(e)が
【化7】

〔ここで、n=1〜12である〕
である、請求項7に記載のアクリルポリマー。
【請求項14】
成分(e)が
【化8】

〔ここで、n=1〜12である〕
である、請求項7に記載のアクリルポリマー。
【請求項15】
成分(e)が
【化9】

である、請求項7に記載のアクリルポリマー。
【請求項16】
UV硬化性ホットメルト感圧接着剤であって、請求項7に記載のアクリルポリマーを含む接着剤。
【請求項17】
アクリルポリマーが
(a)約70〜約95重量部のメチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート及び/又はイソオクチルアクリレート、
(b)0〜約30重量部のヒドロキシエチルアクリレート及び/又はヒドロキシプロピルアクリレート、
(c)0〜約20重量部のアクリル酸又はマレイン酸無水物、
(d)0〜約30重量部の1−ビニル−2−ピロリジノン(NVP)、2−(tert−ブチルアミノ)エチルメタクリレート(t−BAEM)、アクリルアミド、グリシジルメタクリレート、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート(m−TMI(登録商標))、又は次の式
【化10】

の化合物、及び
(e)約0.01〜約15重量部の、
【化11】

〔ここで、n=1〜12である〕
から成る群から選択された光開始剤
を含む、請求項16に記載の接着剤。
【請求項18】
アクリルポリマーの成分(e)が
【化12】

〔ここで、n=1〜12である〕
である、請求項17に記載の接着剤。
【請求項19】
アクリルポリマーの成分(e)が
【化13】

〔ここで、n=1〜12である〕
である、請求項17に記載の接着剤。
【請求項20】
アクリルポリマーの成分(e)が
【化14】

である、請求項17に記載の接着剤。

【公開番号】特開2006−188687(P2006−188687A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−369991(P2005−369991)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(590000824)ナショナル スターチ アンド ケミカル インベストメント ホールディング コーポレイション (112)
【Fターム(参考)】