説明

懸濁液

【課題】改善された安定性と相溶性をその都度の使用系で示し、高い光学密度あるいは着色力を、例えば紙、ラテックス、プラスチック又はテキスタイルのような基体材料に対して示し、そして低いゼータ電位と高い表面張力を示す懸濁液を提供する。
【解決手段】懸濁液を、少なくとも1種の水不溶性の着色剤、一般式1の少なくとも1種の複素環式化合物、水及び/又は一価もしくは多価のアルコールを含有するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、懸濁液、その製造方法並びにその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
その都度の使用媒体に不溶性の着色剤を、テキスタイル/繊維(EP0263412号)、紙(US4366139号)、プラスチック(US5760112号、WO9523038号)、分散塗料(US3998652号、US3841888号)及びコンクリート(WO01550050号)の着色並びにインクジェットインキ(US9911935号)のために使用することは知られている。
【0003】
更に、使用媒体に不溶性の着色剤を、本来の色付与作用の他の更なる特性に基づいて、例えば補強のため、帯電防止仕上げのため又は充填剤として使用することは知られている。このように、グラファイト水性懸濁液を、例えばテキスタイルのような材料の帯電防止仕上げのために、又はトナーの製造のために使用することは知られている(PL178064号、JP08015895号)。
【0004】
コロイド状のカーボンブラック水性懸濁液を、テキスタイル、皮革又はラテックスの着色のため、又はプラスチック、接着剤、シリコーン又はその類似物の導電率の調節のため、塗料、印刷インキの製造のため、又は直接、例えばインクジェットプリンタ(インクジェット)用のインキとして使用することは知られている(US−A5,085,698号、US−A5,320,668号)。
【0005】
更に、使用媒体に不溶性の着色剤の懸濁液を、同時に湿潤剤として作用するアゾ化合物を使用して、更なる湿潤剤を添加せずに製造することは知られている(US9,911,935号)。
【0006】
更に、カーボンブラック水性懸濁液を、水溶性の湿潤剤、例えばアクリル樹脂(US−A5,609,671号)又はエトキシレート(DE19824947号A1)を使用して製造することは知られている。
【0007】
湿潤剤により安定化された公知のカーボンブラック懸濁液は、非イオン系界面活性剤の使用に際しては、ゼータ電位が高すぎることと、表面張力が低いことが欠点であり、そしてアニオン系界面活性剤の使用に際しては、紙の湿潤が、同様にアニオン性の紙用塗料との強い相互作用に基づいて過剰であることが欠点であり、このことは低い光学密度あるいは着色力をもたらす。
【0008】
使用媒体に不溶性の着色剤の安定化のためにアゾ化合物を使用することの欠点は、それらの潜在的な分解生成物として芳香族アミンが生ずることである。これらの第一級芳香族アミンの多くは、発癌作用の疑いがある。更にアゾ化合物は酸化を受けやすいことがあり、これにより使用時に不安定となる場合がある。アゾ化合物を使用することの更なる欠点は、製造時の発生が避けられない高い割合の無機塩、例えば塩化ナトリウム又は硫酸ナトリウムである。無機塩は非常に低い濃度であっても粘度を激しくかつ不可逆的に高める。
【特許文献1】EP0263412号
【特許文献2】US4366139号
【特許文献3】US5760112号
【特許文献4】WO9523038号
【特許文献5】US3998652号
【特許文献6】US3841888号
【特許文献7】WO01550050号
【特許文献8】US9911935号
【特許文献9】PL178064号
【特許文献10】JP08015895号
【特許文献11】US−A5,085,698号
【特許文献12】US−A5,320,668号
【特許文献13】US9,911,935号
【特許文献14】US−A5,609,671号
【特許文献15】DE19824947号A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、改善された安定性と相溶性をその都度の使用系で示し、高い光学密度あるいは着色力を、例えば紙、ラテックス、プラスチック又はテキスタイルのような基体材料に対して示し、そして低いゼータ電位と高い表面張力を示す懸濁液を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の対象は、懸濁液であって、
(a)少なくとも1種の水不溶性の着色剤、
(b)一般式1
【0011】
【化1】

[式中、
〜Rは同一もしくは異なって、水素、親水性基もしくは疎水性基、アクセプター置換基もしくはドナー置換基又はアクセプター基、ドナー基、親水性基もしくは疎水性基を有する脂肪族、芳香族もしくは複素芳香族の、非環式もしくは環式の系からなる]の少なくとも1種の複素環式化合物
(c)水及び/又は一価もしくは多価のアルコール
を含有することを特徴とする懸濁液である。
【0012】
一価又は多価のアルコールは、ブタノール、エタノール、ブチルグリコール、エトキシプロパノール、エチレングリコール、グリセリン、ペンタンジオール、プロパンジオール又はポリオールであってよい。
【0013】
脂肪族、芳香族又は複素芳香族の、非環式又は環式の系は、例えば親水性もしくは疎水性の、荷電又は非荷電の基のような他の基を有してよい。
【0014】
本発明による懸濁液はコロイド状であってよい。
【0015】
コロイド状とは、懸濁媒体中に10nm〜10μmの直径を有する粒子が均一に分布していることを意味する。インクにおいて使用するためには、印刷法に応じて、所望の印刷特性、例えば印刷鮮明度を得るために低い粘度が好ましい。懸濁液中の粒子の荷電状態を説明するものであるゼータ電位が低いことは、良好な懸濁液安定性についての尺度である。高い表面張力は、例えばインクジェット法では、液滴形成に良い影響を与える。高い分散度は、良好な貯蔵安定性、使用時の良好な着色特性、そして特にインクジェット法の場合のノズル閉塞の防止のために重要な意味がある。
【0016】
水不溶性の着色剤としては、無機顔料又は有機顔料、例えば炭素材料、白色顔料及び着色顔料、例えば黄色顔料、シアン顔料、磁性顔料又は緑色顔料を使用することができる。
【0017】
炭素材料としては、カーボンブラックを使用することができる。例えばカーボンブラックとしては、DE19521565号から知られたファーネスブラック、ガスブラック、チャネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、プラズマブラック(Plasmaruss)、インバージョンブラック(Inversionsruss)、WO98/45361号又はDE19613796号から知られたSi含有カーボンブラック、又はWO98/42778号から知られた金属含有カーボンブラック、アークカーボン及び化学的な製造方法の副産物である炭素材料を使用することができる。炭素材料は、事前の反応によって活性化させることができる。ゴム混合物中で補強性充填剤として使用される炭素材料を使用することができる。ピグメントブラックを使用することができる。更なる炭素材料は:導電性炭素材料、UV安定化用炭素材料、ゴム以外の系、例えばアスファルト又はプラスチックにおける充填剤としての炭素材料、又は冶金における還元剤としての炭素材料であってよい。
【0018】
炭素材料としては、グラファイト粉末、グラファイト繊維、アスファルト、炭素繊維、炭素フィブリル、炭素ナノ管(カーボンナノチューブ)、カーボン織物、炭素エーロゲル、ガラス様炭素生成物及び活性炭素を使用することができる。
【0019】
ガスブラックは、揮発性成分(950℃)25質量%未満を有してよい。ガスブラックは、BET表面積80〜350m/gを有してよい。ガスブラックは、ASTM D3849により測定された一次粒度8〜40nm、有利には13〜30nm、特に有利には13〜20nmを有してよい。ガスブラックは、DINISO 787/5により測定された吸油量250〜1000g/100gを有してよい。ガスブラックは、種々のガスブラックの混合物であってもよい。
【0020】
ガスブラックとしては、例えばDegussa AG社のFarbruss FW 200、Farbruss FW 2、Farbruss FW 2 V、Farbruss FW 1、Farbruss FW 18、Farbruss S 170、Farbruss S 160、Spezialruss 6、Spezialruss 5、Spezialruss 4、Spezialruss 4A、NIPex 150、NIPex 160 IQ、NIPex 170 IQ、NIPex 180 IQ、Printex U、Printex V、Printex 140 U又はPrintex 140 Vを使用することができる。
【0021】
カーボンブラックとしては、更にCabot社のElftex 570、Elftex 430、Elftex 125、Regal 350R、Raven 1080U又はRaven 1255又はColumbien社のConductex 975又はConductex SCを使用することができる。
【0022】
ファーネスブラックは、揮発性成分(950℃)5質量%未満を有してよい。ファーネスブラックは、BET表面積20〜350m/gを有してよい。ファーネスブラックは、一次粒度70nm未満を有してよい。ファーネスブラックは、DBP35〜450ml/100gを有してよい。ファーネスブラックは、種々のファーネスブラックの混合物であってもよい。ファーネスブラックはpH値2〜10.5を有してよい。
【0023】
ファーネスブラックとしては、例えばDegussa AG社のPrintex 60、Printex L、Printex L6、Printex 300、Printex 25、Spezialschwarz 100、Spezialschwarz 250、Spezialschwarz 350及びSpezialschwarz 550を使用することができる。
【0024】
ランプブラックとしては、例えばDegussa AG社のFlammruss 101を使用することができる。
【0025】
着色顔料としては、二酸化チタン、白亜、炭酸カルシウム、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー180、ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー97、ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー15、ピグメントイエロー101、ピグメントイエロー108、ピグメントイエロー24、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー、ピグメントバイオレット19、ピグメントバイオレット3、ピグメントレッド122、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド184、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー29、ピグメントブルー27、ピグメントブルー61、ピグメントブラック6、ピグメントブラック1、ピグメントブラック11、ピグメントブラック7、ピグメントブラック10、ピグメントブラック8、ピグメントブラック9.83を使用することができる。
【0026】
一般式1の複素環式化合物は、一般式1の複素環式化合物中に単数又は複数で含まれていてよい。置換基R〜Rは、同一もしくは異なって、非置換もしくは置換の、脂肪族もしくは芳香族の置換基、例えばフェニル置換基もしくはナフチル置換基又は複素芳香族置換基、例えばピロリル置換基、ピリジニル置換基、フリル置換基又はプリル置換基、アクセプター置換基、例えば−COOR10、−CO−R10、−CN、−SO10又は−SOOR10(その際、R10=H、アルカリ金属カチオン、アンモニウム、アルキル、アリール又は官能化されたアルキルもしくはアリール、例えばω−カルボキシアルキル、HSO−C−、HN−C−又はHN−SO−C−(x=1〜20、y=1〜45))、ドナー置換基、例えばアルキル基、アリール基、OR11、N(R11、SR11又はP(R11[その際、R11=H、アルキル、アリール又は官能化されたアルキルもしくはアリール、−(O−R12−OR13(その際、R12=官能化されたもしくは官能化されていない、分枝鎖状もしくは非分枝鎖状の、飽和もしくは不飽和の、脂肪族、芳香族もしくは脂肪族と芳香族の混成の二価の炭化水素基、そしてR13=H、アルキル又はアリール)の形のオリゴマーもしくはポリマー]であってよい。
【0027】
式1の複素環式化合物は、正もしくは負に荷電しているか、又は非荷電であってよい。電荷を有する複素環式化合物の場合に、その電荷は、相応に反対に荷電した対イオンXによって完全に又は部分的に飽和されていてよい。対イオンXは、正に荷電した金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン又はアンモニウムイオンN(R14であってよく、その際、R14は同一もしくは異なって、H、アルキル、アリール、官能化されたアルキルもしくはアリール、例えばω−カルボキシアルキル、HSO−C−、HN−C−、HN−SO−C−(x=1〜20、y=1〜45)、−(O−R12−OR13の形の単量体、二量体、三量体、オリゴマー又はポリマーであってよい。
【0028】
負に荷電した対イオンXの場合に、該イオンは、ハロゲン化物イオン、例えばF、Cl、Br又はI、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、臭素酸イオン、亜臭素酸イオン、亜塩素酸イオン、次亜塩素酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン又はテトラフェニルホウ酸イオンであってよい。
【0029】
一般式1の複素環式化合物は、完全に又は部分的にラジカル塩として存在してよい。
【0030】
一般式1の複素環式化合物としては、例えば
【0031】
【化2】

を使用することができる。
【0032】
本発明による懸濁液中の式1の複素環式化合物の割合は、5質量%未満、有利には3質量%未満であってよい。
【0033】
本発明による懸濁液は湿潤剤不含であってよい。
【0034】
本発明による懸濁液は、殺生剤を含有してよい。
【0035】
殺生剤は、0.01〜1.0質量%の量で添加することができる。殺生剤としては、イソチアゾリノン誘導体、ホルムアルデヒド放出剤(Formaldehydabspalter)又は両方の製品の組合せ製品を使用することができる。例えば、Schuelke&Mayr社のParmetol、Bode Chemie社のEbotec、Thor Chemie社のActicide、Troy社のMergal又はZeneca社のProxelといった殺生剤を使用することができる。
【0036】
更に、湿潤剤は、懸濁液全体に対して、0.01〜1質量%、有利には0.4〜0.6質量%の量で添加することができる。湿潤剤としては、脂肪アルコールエトキシレート、ポリアクリル酸及び/又はそれらの誘導体、アクリル酸及び/又はアクリル酸誘導体及び/又はスチレン及び/又はスチレン誘導体及び/又はポリエーテルを含有するコポリマー、リグニンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホネート、ナフタリンスルホン酸誘導体又は無水マレイン酸及び/又はマレイン酸誘導体を含有するコポリマーのような化合物を使用することができる。コポリマーは、統計的又は交互のブロックコポリマー又はグラフトコポリマーであってよい。例えば分散補助添加剤としては、Johnson Polymer B.V.社のJoncryl 678、Joncryl 680、Joncryl 682又はJoncryl 690を使用することができる。
【0037】
有利な一実施態様では、分散補助添加剤としては、完全にアンモニウム又はアルカリ水酸化物で中和された形態の、特にNaOHで中和された形態のスチレン−アクリル酸コポリマーを使用することができる。
【0038】
別の種類の湿潤剤を同様に本発明による懸濁液の製造のために使用することができる。
【0039】
更に、ケトン、例えばメチル−エチルケトン、メチル−イソブチルケトン又はジイソブチルケトン、アルコール、例えば1,5−ペンタンジオール、グリコール、例えばジプロピレングリコール、複素環式化合物、例えば2−ピロリドン又はグリセリンのような添加剤を本発明による懸濁液に添加することができる。
【0040】
本発明による水性懸濁液中の添加剤の割合は、25質量%未満、有利には15質量%未満であってよい。
【0041】
本発明の更なる対象は、本発明による懸濁液の製造方法において、水不溶性の着色剤と一般式1の複素環式化合物とを水及び/又は一価もしくは多価のアルコール中に分散させることを特徴とする方法である。
【0042】
分散は、パールミル、超音波機器、高圧ホモジェナイザ、マイクロフルイダイザ、ディゾルバ、ロータ−ステータ(Ultra−Turrax)又は同等の装置を用いて実施することができる。分散に引き続いて、水性懸濁液を遠心分離及び/又は濾過によって精製することができる。
【0043】
本発明による懸濁液は、インキ、インクジェットインキ、塗料及び印刷インキ中で使用することができる。
【0044】
本発明による懸濁液は、プラスチック(例えばポリアクリレート分散液:アクリル酸エステルとメタクリル酸エステル、アクリル酸エステルとスチレン、アクリル酸エステルとビニルアセテート、ビニルアセテートとマレイン酸エステルからなるホモポリマー及びコポリマー;ラテックス分散液:ブタジエン、スチレンとアクリルニトリル(スチレン−ブタジエンとアクリルニトリル−ブタジエン)、ポリクロロプレン、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、アクリルニトリル−ブタジエン;ポリウレタン分散液:ポリウレタン−アクリレート分散液、エポキシ−ポリウレタン分散液及びポリウレタン−エポキシ−アクリレート分散液;ポリビニルアセテート:ホモポリマー及びコポリマー、ビニルアセテート−エチレン−コポリマー、ビニルアセテート−エチレン−アクリレートターポリマー、ビニルアセテート−アクリレートコポリマー、ビニルアセテート−バーサテート(Versatat)コポリマー、エチレン−ビニルクロライド−、ビニルアセテート−マレイネート;エポキシ樹脂:自己架橋性、酸化硬化性又はUV硬化性並びに可塑剤含有及び不含)、テキスタイル、皮革、接着剤、ラテックス、シリコーン、コンクリート、建材、紙、繊維、土、木材、インキ、インクジェットインキ、塗料及び印刷インキの補強、着色、導電性仕上げ、例えば帯電防止仕上げもしくは導電性仕上げ及びUV保護のために使用することができる。
【0045】
本発明による懸濁液は、家屋用塗料、印刷インキ、プラスチック分散液又は接着剤中で使用することができる。
【0046】
本発明の更なる対象は、本発明による懸濁液を含有することを特徴とするインキである。
【0047】
本発明の更なる対象は、本発明による懸濁液を含有することを特徴とするプラスチックである。
【0048】
本発明による懸濁液の利点は、アゾ基不含の複素環式化合物を使用することである。使用媒体に不溶性の着色剤の本発明による懸濁液の更なる利点は、高い光学密度、低いゼータ電位、高い表面張力、良好な貯蔵安定性並びに高い分散度である。
【実施例】
【0049】
色合いの濃さの測定
測定機器 Datacolor Spectraflash 600 PLUS
測定ジオメトリ d/8゜
光源 D65/10゜;UVフィルタ付
その他の記載事項 測定口径30mm、正反射光を含まない(ohne Glanzeinschluss)
評価ソフトウェア BCSWin ヴァージョン2.2 2000(Windows用のBASF Color System)
装置は、測定前に製造元の指示に従って較正する。
【0050】
試料の測定はシートによって行われる(シート側を上に)
着色力の測定
測定機器 Datacolor Spectraflash 600 PLUS
測定ジオメトリ d/8゜
光源 D65/10゜;UVフィルタ付
その他の記載事項 測定口径30mm、正反射光を含まない
評価ソフトウェア BCSWin ヴァージョン2.2 2000(Windows用のBASF Color System)
装置は、測定前に製造元の指示に従って較正する。
【0051】
試料の測定はシートによって行われる(シート側を上に)
粘度の測定
S93型スピンドル(クロスアームスピンドル(Kreuzbalkenspindel))を有するBrookfield DV II+を用いて30rpmで測定する。このために装置を、スピンドルが完全に液体中に浸り、かつ容器底部から約1cm上方に浮かぶように調整する。測定温度は23℃である。
【0052】
測定は、装置が1つの値に落ち着くまで続ける。光学顕微鏡による検査の説明
評価されるべき分散液1滴をスライドガラスに置き、そしてカバーガラスで覆う。ここで、その液滴に対して慎重に(例えば親指で)帯褐色の透き通った層が生ずるまで圧力を加える摩擦又は他の剪断力を与えることを避けるべきである。スライドガラスを、少なくとも400倍の拡大率を有する透過光顕微鏡下に置いた(例えばニコン社のOptiphot)。粒度の均一性の他に、分散液であるか又は凝集系であるかを評価することができる。分散液の場合には、粒子はブラウン分子運動に基づき完全にまとまりなく運動する。凝集した分散液の場合には、方向性をもった流動が確認できる。
【0053】
実施例1〜3
所要量の水(第1表)を分散容器(プラスチック容器)中に量り入れる。分散助剤(第1表)あるいはニグロシン(第1表)を量り入れ、そして水中に完全に溶解させる。カーボンブラック(第1表)を量り入れ、そして溶解させる。カーボンブラックを、へらで完全に濡れるまで撹拌する。カーボンブラックを、超音波プロセッサ(Heilscher UIP 500)で1分間分散させる。その分散液を光学顕微鏡下で調査する。
【0054】
ニグロシンは染料であり、ニトロベンゼンとアニリンとを塩化鉄(II)及び塩酸の存在下に反応させた、一般式1のフェナジン染料から成る錯混合物を含有する製品である。
【0055】
薄層クロマトグラフィーにより、同様にインジュリン中に存在している多数の化合物、特に式
【0056】
【化3】

を有するインジュリン6Bが示される。
【0057】
インジュリンに対して、染料は主により高分子量を有するフェナジンから構成される。水溶性ニグロシンと、エタノール可溶性ニグロシンと、脂溶性ニグロシンとの間には差異がある。実施例で使用したニグロシン WLF Uncut Powderは水溶性である。
【0058】
【表1】

【0059】
実施例4〜6
80gのプラスチック分散液を容器中に量り入れ、そして20gの分散液を添加する。金属製へらを用いて、慎重な撹拌によって均質な混合物を製造する(第2表)。
【0060】
前記混合物から、Erichson社製“K Comfort Coater”を用いて45μm厚の被膜を印画紙上に引く。この被膜の黒度は測色装置を用いて測定する。測定された絶対的な色合いの濃さを第2表に示す。
【0061】
【表2】

【0062】
本発明による懸濁液で製造された全ての塗被膜の場合に、より高い黒度数(絶対的な色合いの濃さ)が測定され、これは懸濁液とプラスチック分散液とのより良好な相溶性を推論できる。
【0063】
実施例7〜10
80gのプラスチック分散液を容器中に量り入れ、そして実施例1あるいは比較例1からの懸濁液20gを添加する。金属製へらを用いて、慎重な撹拌によって均質な混合物を製造する。
【0064】
49.5gの白色分散液(Sto AG社のIsposan perfect)を容器に量り入れ、そして本懸濁液により着色されたプラスチック分散液0.5gを添加する。金属製へらを用いて、慎重な撹拌によって均質な混合物を製造する。
【0065】
該混合物をHauschild型のターボミキサ中で300rpmにおいて30秒間均質化させる。前記混合物から200μmのドクターブレードを用いてアセテートシート上に薄層を塗被し、これを空気中での貯蔵によって乾燥させて被膜とする。
【0066】
第3表に、測定された絶対的な着色力を示す。
【0067】
【表3】

【0068】
本発明による懸濁液で製造された全ての塗被膜の場合に、より高い着色力値が得られ、これは材料混合物(プラスチック分散液と白色分散液)中での懸濁液のより良好な相溶性を推論できる。
【0069】
実施例11
70gのプラスチック分散液を容器中に量り入れ、そして実施例1あるいは比較例1からの懸濁液30gを添加する。金属製へらを用いて、慎重な撹拌によって均質な混合物を製造する。そのうち50mlをガラスビーカーに移して、粘度測定を実施する。
【0070】
第4表に粘度を示す。
【0071】
【表4】

【0072】
本発明による懸濁液で製造された全てのプラスチック分散液の場合に、粘度の変化はないか、又は非常に僅かにのみ粘度が変化したに過ぎなかったが、一方で比較例では、30分後で既に粘度の著しい増加が観察される。懸濁液とプラスチック分散液との相溶性は、本発明による懸濁液の場合にはもたらされるが、比較例の場合にはもたらされない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
懸濁液であって、
(a)少なくとも1種の水不溶性の着色剤、
(b)一般式1
【化1】

[式中、
〜Rは同一もしくは異なって、水素、親水性基もしくは疎水性基、アクセプター置換基もしくはドナー置換基又はアクセプター基、ドナー基、親水性基もしくは疎水性基を有する脂肪族、芳香族もしくは複素芳香族の、非環式もしくは環式の系からなる]の少なくとも1種の複素環式化合物
(c)水及び/又は一価もしくは多価のアルコール
を含有することを特徴とする懸濁液。
【請求項2】
水不溶性の着色剤が無機顔料又は有機顔料であることを特徴とする、請求項1記載の懸濁液。
【請求項3】
水不溶性の着色剤が、カーボンブラック、二酸化チタン、白亜、炭酸カルシウム、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー180、ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー97、ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー15、ピグメントイエロー101、ピグメントイエロー108、ピグメントイエロー24、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー、ピグメントバイオレット19、ピグメントバイオレット3、ピグメントレッド122、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド184、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー29、ピグメントブルー27、ピグメントブルー61、ピグメントブラック6、ピグメントブラック1、ピグメントブラック11、ピグメントブラック7、ピグメントブラック10、ピグメントブラック8又はピグメントブラック9.83であることを特徴とする、請求項1又は2記載の懸濁液。
【請求項4】
一般式1が一般式1の複素環式化合物中に単数又は複数で含まれており、かつ置換基R〜Rが同一もしくは異なって、フェニル置換基、ナフチル置換基、複素芳香族置換基、−COOR10、−CO−R10、−CN、−SO10、−SOOR10(その際、R10=H、アルカリ金属カチオン、アンモニウム、アルキル、アリール又は官能化されたアルキルもしくはアリール)、アルキル基、アリール基、OR11、N(R11、SR11、P(R11[その際、R11=H、アルキル、アリール又は官能化されたアルキルもしくはアリール、又は−(O−R12−OR13(その際、R12=官能化されたもしくは官能化されていない、分枝鎖状もしくは非分枝鎖状の、飽和もしくは不飽和の、脂肪族、芳香族もしくは脂肪族と芳香族の混成の二価の炭化水素基、そしてR13=H、アルキル又はアリール)の形のオリゴマーもしくはポリマー]であることを特徴とする、請求項1記載の懸濁液。
【請求項5】
式1の複素環式化合物の割合が5質量%未満であることを特徴とする、請求項1記載の懸濁液。
【請求項6】
追加的に、殺生剤、湿潤剤又は添加剤が含まれていることを特徴とする、請求項1記載の懸濁液。
【請求項7】
湿潤剤が、脂肪アルコールエトキシレート、ポリアクリル酸及び/又はそれらの誘導体、アクリル酸及び/又はアクリル酸誘導体及び/又はスチレン及び/又はスチレン誘導体及び/又はポリエーテルを含有するコポリマー、リグニンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホネート、ナフタリンスルホン酸誘導体又は無水マレイン酸及び/又はマレイン酸誘導体を含有するコポリマー又は前記の化合物の組み合わせであることを特徴とする、請求項6記載の懸濁液。
【請求項8】
湿潤剤の割合が0.01〜1質量%であることを特徴とする、請求項6記載の懸濁液。
【請求項9】
添加剤が、ケトン、アルコール、複素環式化合物、グリコール又はグリセリンであることを特徴とする、請求項6記載の懸濁液。
【請求項10】
添加剤の割合が25質量%未満であることを特徴とする、請求項6記載の懸濁液。
【請求項11】
請求項1記載の懸濁液の製造方法において、水不溶性の着色剤と式1の複素環式化合物とを水及び/又は一価もしくは多価のアルコール中に分散させることを特徴とする懸濁液の製造方法。
【請求項12】
分散を、パールミル、超音波機器、ディゾルバ、高圧ホモジェナイザ、マイクロフルイダイザ、ロータ−ステータ又は同等の装置を用いて実施することを特徴とする、請求項11記載の懸濁液の製造方法。
【請求項13】
プラスチック、ラテックス、テキスタイル、皮革、接着剤、シリコーン、コンクリート、建材、紙、繊維及び土の着色、帯電防止仕上げ及び/又はUV保護のための、請求項1記載の懸濁液の使用。
【請求項14】
インキ、インクジェットインキ、塗料及び印刷インキにおける、請求項1記載の懸濁液の使用。
【請求項15】
請求項1記載の懸濁液を含有することを特徴とするインキ。
【請求項16】
請求項1記載の懸濁液を含有することを特徴とするプラスチック。

【公開番号】特開2006−257419(P2006−257419A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−55521(P2006−55521)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
【出願人】(501073862)デグサ アクチエンゲゼルシャフト (837)
【氏名又は名称原語表記】Degussa AG
【住所又は居所原語表記】Bennigsenplatz 1, D−40474 Duesseldorf, Germany
【Fターム(参考)】