説明

懸濁溶解炉の供給システム

懸濁溶解炉に恒常的かつ継続的な供給をさせる供給システムを開示する。本発明の設備は、微細粒状化供給物用の中間貯蔵容器、微細粒状化材料の供給量を正確に調節する供給量調節器、および供給物を炉のバーナーが設けられている懸濁溶解炉の最上部まで持ち上げる気圧コンベヤを備える。本設備において、重い構造の貯蔵容器は、地表面付近に配置され、炉の周辺および頂部の構造は、従来の方式よりも実質的に軽量に設計されている。


【発明の詳細な説明】
【詳細な説明】
【0001】
本発明は、懸濁溶解炉に微細粒状化材料を供給させる供給システムに関するものである。本発明はとくに、微細粒状化材料を含有する金属精鉱を、懸濁溶解炉のバーナーに供給する方法および設備に関する。
【0002】
懸濁溶解は、銅、ニッケル、または鉛精鉱などの微細分割化金属精鉱から、マットまたは金属を製造する方法である。一般的に懸濁溶解炉は、懸濁液中の乾燥精鉱を焙焼して溶解するための円形の縦型反応シャフトと、溶解した溶滴を回収してマットまたは金属をスラグから分離するための沈降床と、排ガスおよび煙塵用の煙路シャフトとを備える。
【0003】
金属精鉱の溶解は、主に縦型反応シャフトで行う。金属精鉱、酸素富有空気、およびスラグ生成剤、すなわちフラックスを、反応シャフトの頂部からシャフト内に供給する。
【0004】
種々の精鉱およびフラックスを混合して、回転乾燥機、蒸気乾燥機、または気流乾燥機で乾燥する。乾燥させた供給材料は、精鉱バーナーが設置されている反応シャフトの頂部に運搬する。反応シャフトにおける固体とガスとの反応を有利に実現するために、いくつかの異なるタイプの精鉱バーナーが開発されてきた。
【0005】
懸濁溶解は、金属精鉱の生産力の高い精錬法である。最新の懸濁溶解炉の生産能力は、1日の精鉱処理量が、乾燥精鉱で数千 (2000〜5000) トンの範囲であることを特徴とする。最新の懸濁溶解炉の運転において、高稼働率を維持することが重要である。その目的は、炉の完全稼動を数百時間継続して維持することである。無駄な機能停止時間は、溶解炉のバーナー用の精鉱供給システムの、継続的かつ確実な稼動を確保することで削減できる。
【0006】
精鉱をバーナーに継続的かつ確実に供給するうえでの問題を解決するために、既知の方法では、精鉱用の中間貯蔵容器を、バーナー付近に反応シャフトの頂部と同じ高さで構成する。貯蔵容器とバーナーとの間に設けられた供給調節装置によって、一定の供給量を実現できる。乾燥精鉱は、気圧コンベヤで貯蔵容器まで持ち上げてもよい。中間貯蔵容器への投入量は、懸濁炉に3、4時間供給する量にほぼ相当する量、すなわち精鉱100〜600トンであろう。炉の高さは20メートルを超えるため、中間貯蔵容器の構造は重くなり、また高額な出資を余儀なくされる。
【0007】
本発明は、上述の問題を解決して、懸濁溶解炉のバーナーに確実かつ継続的に精鉱を供給するために改良された方法および設備を提供する。本発明は、精鉱貯蔵容器の重構造を反応シャフト頂部の高さより低い、すなわち地表面近くに設置するという考えに基づいている。より詳細には、精鉱貯蔵容器の排出口は反応シャフト頂部の高さよりも低く、かつ地表面に近いところに位置する。
【0008】
バーナーへの供給物は微細粒状化物であり、精鉱の乾燥混合物およびフラックス、また、たいてい煙塵も含有する。懸濁溶解炉では、排ガスから回収した煙塵を再利用するのが一般的である。供給原料は気圧コンベヤで反応シャフトの最上部まで運搬する。供給量は、貯蔵容器と気圧コンベヤとの間に設けられた供給量調節器で調節する。
【0009】
本発明の採用によって、著しい効果が達成される。精鉱混合物を懸濁溶解炉に供給するための設備は単純で、構造もより軽量になる。また、本発明による設備および方法は、現在使用されている構造物よりも低額の出資しか要さない。本設備および方法によって、精鉱乾燥機からの供給物の投入の途切れが解消される。
【0010】
本発明の設備は、懸濁溶解炉の精鉱バーナーに微細粒状化物を継続的かつ恒常的に供給する。精鉱バーナーは懸濁溶解炉の反応シャフトの頂部に設けられる。本発明の設備は、微細粒状化物の投入口および排出口を有する貯蔵容器、粒状物質を正確に調節した供給量で供給させる供給調節装置、および粒状物を懸濁溶解炉の最上部まで運搬するための気圧コンベヤを含んでいる。微細粒状化物用貯蔵容器の排出口は、反応シャフト頂部よりも実質的に低い位置に設けられる。供給調節装置は、貯蔵容器の排出口からの微細粒状化物を受け取り、粒状物を気圧コンベヤに供給させるためのものである。気圧コンベヤは、精鉱バーナーに供給調節装置に提供された供給量と同量の供給を行うためのものである。
【0011】
本発明による方法は、懸濁溶解炉の反応シャフトの頂部に設けられた精鉱バーナーに、金属精鉱を含有する微細粒状化物の連続的かつ調節された供給をもたらす。本方法は、バーナーよりも低い位置に設けられた排出口を有する貯蔵容器に微細粒状化物を供給する工程と、懸濁溶解炉に少なくとも1時間供給するのに相当する量の微細粒状化物の貯蔵を容器内に形成および維持する工程と、気圧コンベヤに微細粒状化物の連続的かつ調節された供給をさせる供給量調節装置に微細粒状化物を供給する工程と、気圧コンベヤで微細粒状化物を懸濁溶解炉のバーナーに運搬する工程とからなる。
【0012】
精鉱バーナーに供給される微細粒状化物は、乾燥金属精鉱とフラックスとの混合物である。また、懸濁炉への供給混合物は、懸濁炉の煙路シャフトから出た排気ガスから回収した煙塵の3〜15%を含んでいてもよい。
【0013】
本発明の好適な実施例において、精鉱貯蔵容器の排出口は減量型供給調節器につながれている。減量型供給装置の動作および原理は、米国特許第6,446,836号に記載されている。供給調節器は、精鉱を希薄相の気圧コンベヤに供給するためのものである。運搬した微細粒状化物の密度は、空気1kgあたり固形物10〜50kgであり、運搬圧力は、通常1〜3バールの間である。気圧コンベヤは、粒状物を反応シャフトの頂部まで持ち上げ、また気圧コンベヤはその材料を精鉱バーナーに直接供給するためのものである。精鉱バーナーへの供給量は、供給調節器に提供された供給量と同量である。
【0014】
本発明の他の好適な実施例において、精鉱貯蔵容器の排出口は、濃厚相の気圧コンベヤの供給調節器に設けられている。気圧コンベヤ内およびコンベヤの供給調節器内の圧力は、6バール前後である。運搬した微細粒状化物の密度は、空気1kgあたり固形物50〜150kgである。気圧コンベヤは、微細粒状化物を精鉱バーナーに直接供給するためのものである。
【0015】
本発明のさらに他の好適な実施例において、精鉱貯蔵容器の排出口は、減量型供給調節器に設けられている。供給調節器は、精鉱をエアリフト型気圧コンベヤに供給するためのものである。エアリフト内の圧力は0.3バール前後である。エアリフト型コンベヤには、圧縮空気の大半を固体から分離させる膨張容器が設けられている。固体は、減圧供給装置を介して、精鉱を精鉱バーナーに供給するためのエアスライド型コンベヤに供給される。エアスライド型コンベヤから供給された質量流量は、減量調節器に提供された供給量に相当するように合わせられる。
【0016】
図1の装置において、金属精鉱とフラックスとの乾燥混合物がパイプ48から貯蔵容器10に供給される。貯蔵容器の排出口46は、精鉱混合物を減量供給調節器11に供給するためのものである。スクリューコンベヤ14は、正確な質量流量の精鉱混合物を、希薄相の気圧コンベヤである気圧コンベヤ12に運搬する。気圧コンベヤ12は、精鉱混合物を懸濁溶解炉16の精鉱バーナー13まで持ち上げる。図1に示されるように、貯蔵容器10の排出口46は、反応シャフト15の頂部および精鉱バーナー13よりも実質的に低い位置に設けられる。煙塵を貯蔵容器17に供給する。精鉱混合物と煙塵との供給比は、慎重に調節しなければならない。そのため、煙塵を供給量調節器18に供給し、調節した質量流量の煙塵をスクリューコンベヤ19を介して気圧コンベヤ12に運搬する。精鉱混合物および煙塵の流れは連続的であるため、懸濁溶解炉16の壊れ得ない運転を保証する。
【0017】
図2は、金属精鉱とフラックスとの乾燥混合物がパイプ47から貯蔵容器20へ供給されるのを示している。貯蔵容器の排出口45は、気圧コンベヤ22の供給調節器21に投入する精鉱混合物を、中間圧力室24に供給するためのものである。気圧コンベヤ22は、濃厚相の気圧コンベヤである。正確な質量流量の精鉱混合物を気圧コンベヤ22に供給する。気圧コンベヤ22は、精鉱混合物を懸濁溶解炉26の精鉱バーナー23まで持ち上げる。図2に示されるように、貯蔵容器20の排出口46は、反応シャフト25および精鉱バーナー23よりも実質的に低い位置に設けられる。煙塵を貯蔵容器27に供給する。ここでも、精鉱混合物と煙塵との供給比を、慎重に調節しなければならない。そのため、煙塵は投入室29を介して気圧コンベヤ22の供給量調節器28に供給し、調節した質量流量の煙塵を気圧コンベヤを介して精鉱バーナー23まで運搬する。精鉱混合物および煙塵の流れは連続的であるため、懸濁溶解炉26の壊れ得ない運転を保証する。
【0018】
図3は、金属精鉱とフラックスとの乾燥混合物がパイプ43から貯蔵容器30へ供給されるのを示している。貯蔵容器の排出口44は、気圧コンベヤ32に投入する精鉱混合物を、減量供給調節器31に供給するためのものである。気圧コンベヤ32は、エアリフト型コンベヤである。正確な質量流量の精鉱混合物をスクリューコンベヤ34を介して気圧コンベヤ32に供給する。気圧コンベヤ32は、エアスライドコンベヤ42上の減圧供給装置を介して、粒状物が供給される膨張容器40まで精鉱混合物を持ち上げる。懸濁溶解炉36の精鉱バーナー33には、正確に調節した継続的な供給を行う。図3に示されるように、貯蔵容器30の排出口44は、反応シャフト35および精鉱バーナー33よりも実質的に低い位置に設けられる。煙塵は貯蔵容器37に供給する。ここでも、精鉱混合物と煙塵との供給比を、慎重に調節しなければならない。そのため、煙塵の流量は減量調節器38で調節し、スクリューコンベヤ39を介してエアリフト型コンベヤ32に供給する。精鉱混合物および煙塵の流れは連続的であるため、懸濁溶解炉36の壊れ得ない運転を保証する。
【0019】
精鉱バーナー13、23、33は、どのようなタイプの金属精鉱バーナーでもよい。本発明の設備にとくに適している精鉱バーナーは、スリーブ型バーナーおよび拡散型バーナーである。スリーブ型バーナーの原理は米国特許第6238457号に開示されており、拡散型バーナーの原理は国際公開第WO 02/055746号に開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の好適な実施例における設備の概略図である。
【図2】図2は、本発明の他の好適な実施例における設備の概略図である。
【図3】図3は、本発明のさらなる実施例における設備の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細粒状化物の投入口および排出口を有する貯蔵容器と、
正確に調節した供給量で前記微細粒状化物を供給させる供給調節装置と、
前記微細粒状化物を懸濁溶解炉の最上部まで運搬するための気圧コンベヤとを含み、
前記懸濁溶解炉の反応シャフトの頂部に設けられた精鉱バーナーに前記微細粒状化物を継続的かつ恒常的に供給する設備において、
前記貯蔵容器の微細粒状化物の排出口は、前記反応シャフトよりも実質的に低い位置に設けられ、
前記供給調節装置は、前記貯蔵容器の排出口からの微細粒状化物を受け取って、前記気圧コンベヤに微細粒状化物を供給させるためのものであり、
また、前記気圧コンベヤは、前記精鉱バーナーに前記供給調節装置に提供された供給量と同量の供給を行うためのものであることを特徴とする設備。
【請求項2】
請求項1に記載の設備において、前記微細粒状化物は金属精鉱を含むことを特徴とする設備。
【請求項3】
請求項1に記載の設備において、前記微細粒状化物は金属精鉱およびフラックスを含むことを特徴とする設備。
【請求項4】
請求項1に記載の設備において、前記微細粒状化物は金属精鉱、フラックス、および煙塵を含むことを特徴とする設備。
【請求項5】
請求項1に記載の設備において、該設備は金属精鉱とフラックスとの乾燥混合物用の第1貯蔵容器、煙塵用の第2貯蔵容器、金属精鉱とフラックスの混合物用の第1供給量調節器、および煙塵用の第2供給量調節器を備えることを特徴とする設備。
【請求項6】
請求項1から5に記載の設備において、前記気圧コンベヤは希薄相の気圧コンベヤであることを特徴とする設備。
【請求項7】
請求項1から5に記載の設備において、前記気圧コンベヤは濃厚相の気圧コンベヤであることを特徴とする設備。
【請求項8】
請求項1から5に記載の設備において、前記気圧コンベヤはエアリフト型気圧コンベヤであり、該エアリフトは、減圧供給装置およびエアスライドコンベヤを介して前記懸濁溶解炉のバーナーへ粒状物を供給するための膨張容器を備えることを特徴とする設備。
【請求項9】
請求項1から5に記載の設備において、前記供給調節装置は減量調節器であり、また前記気圧コンベヤは希薄相の気圧コンベヤであることを特徴とする設備。
【請求項10】
請求項1から5に記載の設備において、前記供給調節装置は減量調節器であり、また前記気圧コンベヤはエアリフト型気圧コンベヤであることを特徴とする設備。
【請求項11】
請求項1から5に記載の設備において、前記精鉱バーナーはスリーブ型バーナーまたは拡散型バーナーであることを特徴とする設備。
【請求項12】
懸濁溶解炉の反応シャフトの頂部に設けられた精鉱バーナーに、金属精鉱を含有する微細粒状化物の連続的かつ調節された供給をさせる方法において、該方法は、
前記バーナーより低い位置に排出口を有する貯蔵容器に微細粒状化物を供給する工程と、
前記懸濁溶解炉に少なくとも1時間の供給に相当する量の微細粒状化物の貯蔵を前記貯蔵容器に形成して維持する工程と、
気圧調節器に微細粒状化物の連続的かつ調節された供給を行う供給量調節装置に微細粒状化物を供給させる工程と、
該物を前記気圧コンベヤで前記懸濁溶解炉のバーナーに運搬する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、前記供給量調節器は減量型調節器の原理に応じて作動することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法において、該方法は、さらに、前記気圧コンベヤに煙塵を供給する工程を含むことを特徴とする方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−518052(P2007−518052A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−548324(P2006−548324)
【出願日】平成17年1月10日(2005.1.10)
【国際出願番号】PCT/FI2005/000010
【国際公開番号】WO2005/067366
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(505232933)オウトクンプ テクノロジー オサケ ユキチュア (19)
【氏名又は名称原語表記】OUTOKUMPU TECHNOLOGY OY
【Fターム(参考)】