説明

成形可能な生分解性ポリマー

乾燥重量基準で、デンプンおよび/または加工高アミロースデンプンを45〜85重量%;好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、およびエチレンとビニルアルコールのコポリマーから選択され、溶融状態のデンプン成分と適合する融点を有する水溶性ポリマーを2〜15重量%;分子量が50〜6000、より好ましくは50〜2500、さらにより好ましくは100〜400の範囲であり、好ましくは、ソルビトール、グリセロール、マルチトール、キシリトール、マンニトール、エリスリトール、ポリグリセロール、グリセロールトリオレエート、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、グリセリルトリアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、ポリエチレンオキシド、エチレングリコール、ジエチレングリコールまたはポリエチレングリコール、より好ましくはグリセロール、マルチトール、ソルビトール、エリスリトールおよびキシリトールからなる群から選択される1種または複数のポリオール可塑剤を5〜45重量%含む、生分解性の射出成形可能なポリマー組成物に関する。この組成物は、好ましくは実質的に水溶性である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性ポリマー製品、特に射出成形可能なデンプンベースのポリマーの改良に関する。特に、本発明は、必要に応じて変えられる機械的性質、および改良された環境性能を有する射出成形用途における使用に適した樹脂配合物に関する。本発明はさらに、こうした樹脂およびそれらを原料とする製品の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生分解性である多くのプラスチック製品に対する需要が増加している。
デンプンベースの生分解性ポリマーは既知で安価であるが、一般には、粘度が高く、溶解特性が悪く、このため、それらを加工するのは困難である。デンプンを原料とする製品は、脆く、水に弱いことが多い。デンプンベースのポリマーの製造において、特に射出成形については困難に直面してきた。デンプンの分子構造は、デンプンを可塑化しそれを押出ダイに通すために必要なせん断応力および温度条件によって悪影響を受ける。ほとんどの製品において、発泡を避けなければならず、これには、一般にデンプンが水分を含むので注意を必要とする。発泡は、米国特許第5,314,754号および第5,316,578号に提案されているように、ダイから出る前に融成物をガス抜きすることによって回避されてきた。後者の特許はデンプンに水を添加することも避けている。米国特許第5,569,692号で説明されているように、デンプンに結合している水が高圧を必要とするような蒸気圧を発生しないので、デンプンを乾燥せずに水を添加することを避けることによって、デンプンを120℃〜170℃の間の温度で処理することができる。
【0003】
デンプンの溶融加工性を改良する別の手法は、米国特許第5,362,777号のような、デンプンの融点を下げる添加剤を提供することである。添加剤は、ジメチルスルホキシド、ポリオールおよびアミノまたはアミド化合物の中から選択される。
【0004】
米国特許第5,043,196号は、射出成形のための高アミロースデンプンを開示している。
【0005】
米国特許第5,162,392号は射出成形可能なトウモロコシデンプンおよびLDPE生分解性ポリマーを開示している。
【0006】
特定の用途のためのデンプンポリマーを製造するために、それらはさまざまな他のポリマーと混合されてきた。米国特許第5,322,866号では生分解性インフレーションフィルム(ブローフィルム;blown film)が開示され、そこでは、生デンプン、ポリビニルアルコールおよびタルクをグリセロールおよび水と混合している。米国特許第5,449,708号は、デンプンエチレンアクリル酸およびステアリン酸の塩にグリセロールベースの潤滑剤を加えた組成物を開示している。軟質で明るい透明シートが米国特許第5,374,304号に開示されている。これらは高アミロースデンプンおよびグリセロール可塑剤から構成されている。デンプンを高アミロースまたは加工デンプンとともに使用することも提案されている。米国特許第5,314,754号および第5,316,578号は、ともにヒドロキシプロピル置換デンプンを含む加工デンプンの使用を提案している。報告によれば、ヒドロキシプロピル化はポリマーの破断点伸びおよび破裂強度を増大させ、弾性を改良する。
【0007】
国際出願WO00/36006は、多量の加工デンプンおよび少量の水溶性ポリビニルアルコールを用いる生分解性水溶性配合物を開示している。これらの配合物は熱成形が可能であるが、射出成形可能な組成物の例はない。
【0008】
従来技術の前述の考察が生分解性の射出可能なポリマー組成物の分野における一般既知知識の認識と同等であると理解されるべきではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,314,754号明細書
【特許文献2】米国特許第5,316,578号明細書
【特許文献3】米国特許第5,569,692号明細書
【特許文献4】米国特許第5,362,777号明細書
【特許文献5】米国特許第5,043,196号明細書
【特許文献6】米国特許第5,162,392号明細書
【特許文献7】米国特許第5,322,866号明細書
【特許文献8】米国特許第5,449,708号明細書
【特許文献9】米国特許第5,374,304号明細書
【特許文献10】国際公開(WO)00/36006号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、流動性を良好にするためにより高い溶融加工温度で容易に加工することができるが、含水率が低いため加工する間の気泡や変色を避けることができ、それらの目的の用途に対して許容できる特性を有する、射出成形可能な生分解性ポリマー組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、乾燥重量基準で、
(a)デンプンおよび/または加工高アミロースデンプンを45〜85重量%、
(b)好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、およびエチレンとビニルアルコールのコポリマーから選択され、溶融状態のデンプン成分と適合する融点を有する、水溶性ポリマーを2〜15重量%、
(c)分子量が50〜6000、より好ましくは50〜2500、さらにより好ましくは100〜400の範囲であり、好ましくは、ソルビトール、グリセロール、マルチトール、キシリトール、マンニトール、エリスリトール、ポリグリセロール、グリセロールトリオレエート、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、グリセリルトリアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、ポリエチレンオキシド、エチレングリコール、ジエチレングリコールまたはポリエチレングリコール、より好ましくはグリセロール、マルチトール、ソルビトール、エリスリトールおよびキシリトールからなる群から選択される、1種または複数のポリオール可塑剤を5〜45重量%、
含む、生分解性の射出成形可能なポリマーを提供する。
【0012】
場合により、組成物は機械的性能および環境性能を含む望ましい機械的性質の範囲を定めるために選択した充填剤を0.5〜60重量%含んでよい。
【0013】
場合により、ポリマー組成物は、1種または複数のC12〜22の脂肪酸または塩も乾燥基準で0.1〜5.0重量%含んでよい。
【0014】
さらに、場合により、組成物は1〜22の間の親水性親油性バランス(HLB)値を有する乳化剤も0.2〜3.0重量%含んでよい。
【0015】
組成物はデンプン骨格にグラフトされたまたはグラフトされていないポリエステルも4〜45重量%含んでよい。
【0016】
定義した組成物は、射出成形品の形成に適し、可塑剤および充填剤の組合せによるそれらの機械的性質の多様性、ならびにコポリマーおよび耐水性添加剤の選択による環境性能の多様性を特徴とする。組成物は50MPa〜2500MPaを超える範囲の引張弾性率(引張り係数)、および2%〜200%を超える破断点伸びを含む特性を有することが望ましい。組成物は実質的に水溶性であることが好ましい。
【0017】
乾燥重量基準で、
(a)デンプンおよび/または加工高アミロースデンプンを45〜85重量%、
(b)好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、およびエチレンとビニルアルコールのコポリマーから選択され、溶融状態のデンプン成分と適合する融点を有する、水溶性ポリマーを2〜15重量%、
(c)分子量が50〜6000、より好ましくは50〜2500、さらにより好ましくは100〜400の範囲であり、好ましくは、ソルビトール、グリセロール、マルチトール、キシリトール、マンニトール、エリスリトール、ポリグリセロール、グリセロールトリオレエート、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、グリセリルトリアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、ポリエチレンオキシド、エチレングリコール、ジエチレングリコールまたはポリエチレングリコール、より好ましくはグリセロール、マルチトール、ソルビトール、エリスリトールおよびキシリトールからなる群から選択される、1種または複数のポリオール可塑剤を5〜45重量%、
含む、樹脂組成物から形成された射出成形製品も提供する。
【0018】
場合により、製品を形成する組成物は、機械的性能および環境性能を含む望ましい機械的性質を規定するために選択した充填剤0.5〜60重量%を含んでよい。
【0019】
場合により、製品を形成するポリマー組成物は、1種または複数のC12〜22の脂肪酸または塩も乾燥基準で0.1〜5.0重量%含んでよい。
【0020】
さらに、場合により、製品を形成する組成物は1〜22の間の親水性親油性バランス(HLB)値を有する乳化剤0.2〜3.0重量%も含んでよい。樹脂組成物から形成する射出成形製品は実質的に水溶性であることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】可塑剤、充填剤およびコポリマーの組合せの機能として記載した組成物から形成されたポリマーの機械的性質を示す図である。
【図2】記載した特定の組成物の機械的性質である弾性率および破断点ひずみを互いにプロットした図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
組成物中の、加工および/または未加工デンプンの量は、他の全ての成分の必要添加量によって制限される。デンプンは残部を補う。デンプンは、小麦、トウモロコシ、ジャガイモ、米、オート麦、クズウコンおよびエンドウ豆の起源(原料)から得られる。1つの好ましい原料は、トウモロコシ(コーン)デンプンである。未加工デンプンは、最終製品のバリア特性に寄与することができる再生可能な資源からの安価な生分解性原料であり、したがってこの用途にとって非常に魅力的である。しかしながら、その使用は、老化(retrogradation;脆性をもたらす結晶化)の発生、結果として形成された製品の限られた光学的透明度、限られたフィルム成形性、および限られた引張弾性によって制限される。デンプン全体量に対する割合としての未加工デンプンの好ましい濃度範囲は、100%の水準まで可能であるが、0〜50%である。
【0023】
加工デンプンの含有量の上限は主にそのコストによって決まる。この成分は良好な凝集性および伸び特性、良好な光学的特性、および劣化に対する耐性を含む、得られる材料の構造上の利点に寄与する。劣化(retrogradation)という用語は、加熱および冷却操作後の保管中に、デンプン成分によって結晶化度が戻ることを表現するために用いられる。一般的に、この過程は老化(staling)と呼ばれるもので、デンプンベースの食品の長期にわたる保管中の硬化(hardening)(または剛化(stiffening))を説明するものである。ヒドロキシプロピル化は結晶化度の抑制に寄与する。代表的な加工デンプンには、C2〜6ヒドロキシアルキル基を有するもの、またはジカルボン酸無水物との反応によって変性したデンプンが含まれる。好ましい成分は、ヒドロキシプロピル化アミロースである。ヒドロキシエーテル置換体を形成する他の置換基はヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチルであってよく、アセチル化デンプンまたは無水マレイン酸、無水フタル酸もしくは無水オクテニルコハク酸などの無水物を使用してエステル誘導体を生成することができる。置換度(1構成単位中で置換されているヒドロキシル基の平均数)は、好ましくは0.05〜2である。好ましいデンプンは、高アミローストウモロコシ(コーン)デンプンであり、より好ましくは、ヒドロキシプロピル化高アミロースデンプンである。好ましい成分は、ヒドロキシプロピル化高アミロースデンプンである。典型的な値は6.1〜6.9%である。
【0024】
コスト削減および特性最適化のために、このデンプンの一部を、以下のものに置き換えることができる:
1)より高いまたはより低いレベルのヒドロキシプロピル化デンプン;
2)より高いレベルの未加工デンプン。これは、特に加工デンプンのヒドロキシプロピル化のレベルを増加する場合に可能である;
3)より高い疎水性度を有する無水オクテニルコハク酸(OSA;octenyl succinic anhydride)で加工したデンプン。この加工デンプンを添加すると、置換度の増加とともに耐水性が増加する。OSAデンプン中のアセチル結合は、その材料が水および生物活性のある環境に接近した場合に、生分解性を保持することを保証する;
4)好ましくは、デンプンとグラフトしたスチレンブタジエンからなるデンプンコポリマー。この材料は、製品の耐衝撃性を改良する。
【0025】
含水率(湿量基準)は0〜15%の間であることができ、含水率が低いほど、より高い溶融温度で、その温度における水分の損失による問題がなく、加工することができる。未加工デンプンは、最終製品のバリア特性に寄与する再生可能な資源からの安価な生分解性原料であり、したがってこの用途にとって非常に魅力的である。しかしながら、その使用は、劣化(脆性をもたらす結晶化)の発生、結果として成形された製品の限られた光学的透明度、限られたフィルム成形性、および限られた引張弾性によって制限される。高アミロースデンプンは劣化に対して耐性がある(それは、主に加熱デンプン内のアミロペクチンの結晶化と関係することが認められている)。デンプン全体量の割合としての未加工デンプンの好ましい濃度範囲は、0〜50%である。
【0026】
組成物のポリマー成分(b)は好ましくはデンプンと相溶性があり、水溶性、生分解性であり、選択した1つまたは複数のデンプンの処理温度(1つまたは複数)と適合する、低い融点を有することが好ましい。好ましくは、選択したポリマーは室温条件で水溶性を示してはならない。PVOHなどのコポリマーをポリマーの剛性および耐水性を改良するために使用してもよい。水溶性のポリマーは、デンプンと相溶性がある。コポリマーの分子量を増加させるか、またはコポリマーの量を増加させると、耐水性が向上する。耐水性を向上させるために、PVOHの加水分解レベルを変えること、もしくはEVAまたはEVOHコポリマーを用いることができる。生分解性ポリエステルは耐水性を増大させ、ポリエステル10%で1日未満に調整した材料の耐水性が、ポリエステル40%で12週間を超えるまでになる。コポリマー混合物は、デンプンマトリックス内に耐水性のミクロ領域を形成し、水拡散のためのより複雑な経路を作ることにより耐水性を向上させることができる。混合物のミクロ構造は、デンプンとポリエステルの相溶性(適合性)(溶解パラメーター)ならびにポリエステル相およびデンプン相の間の粘度差によって決まる。極端な場合(粘度が非常に高い熱可塑性デンプン(TPS)と粘度が低いポリエステル)、ポリエステルは高分子量デンプンのコアの周囲に耐水性の膜を形成する。直鎖の脂肪族ポリエステルは、芳香族または脂肪族−芳香族ポリエステルよりもデンプンとの相溶性(適合性)が高い。ポリエステルはデンプンにグラフトされる必要はないが、デンプンとの相溶性(適合性)が完全ではない。そこで、マリガー他、「反応押出を使用したデンプンポリエステルブレンドの適合性」、ポリマーエンジニアリング&サイエンス、2006年、ワイリーインターサイエンス(Maliger et al,Compatibilization of STARCH POLYESTER BLENDS USING REACTIVE EXTRUSION,Polymer Engineering & Science − 2006,Wiley InterScience)に記載されているように、デンプン骨格にポリエステルをグラフトすることによって相溶性(適合性)を改良することができる。こうした適切なポリエステルは、Ire Chemical Ltd.から入手可能な生分解性ポリエステル、EnPolである。本発明で用いられるEnPolの等級はEnPol G8060 ポリブチレンアジペート−コ−テレフタレート(PBAT)およびEnPol G4560 ポリブチレンアジペートスクシネート(PBAS)が好ましい。こうしたポリエステルが存在する場合には、デンプン骨格にグラフトされてまたはグラフトされないで、5〜45重量%の量で存在してもよい。
【0027】
ポリビニルアルコールが好ましいポリマーであるが、エチレンビニルアルコール、エチレン酢酸ビニルのポリマー、またはポリビニルアルコールとの混合物も使用できる。PVOHは、優れたフィルム成形およびバインダー特性、良好な弾性の組合せを提供し、デンプンベースの配合物の加工を助ける。PVOH(ポリビニルアルコール)は、酢酸ビニルモノマーの重合によって製造されるポリ酢酸ビニルを加水分解することによって製造される。完全に加水分解した等級のものは、残留アセテート基をあったとしてもわずかにしか含まないが、部分的に加水分解した等級では、いくらかの残留アセテート基が存在する。完全に加水分解した等級のものは熱水(93.3℃(200°F))に溶解し、室温まで冷却した場合も溶液のままである。PVOHの好ましい等級には、重量平均分子量が90,000〜112,000の範囲、および固有粘度が20〜70mPa・sの範囲であるものが含まれる。適切なコポリマーには、DuPont Elvanol 71:30、Elvanol 70:62、Elvanol 55:22 EVOH、およびEval F104が含まれる。分子量が高い等級ほど、脆性を低減し、耐衝撃性を向上させ、感水性を低減するようである。その最大量は主にコストによって決まる。PVOHの量を増加させると著しく破断点伸びが増加し、ヤング(弾性)率が低下する。射出成形材料のための好ましい濃度範囲は2〜15重量%、より好ましくは、4〜10重量%である。
【0028】
単一の可塑剤の量が多いと、可塑剤とデンプンとの混合が不完全となり、可塑剤が表面へマイグレーション(migration)すること(ブルーミング)をもたらす再結晶が起こり得ることが認められている。したがって、個々の成分を、記述したような望ましくない特徴を生じさせるような最大量未満に保ちながら、より高い全可塑化レベルを達成する可塑剤の組合せが好ましい。
【0029】
使用するポリオール可塑剤はゲル化後のデンプンとさまざまな程度の結合を可能にする範囲の分子サイズおよびヒドロキシ基を有する。使用する可塑剤の種類および量は、最終熱可塑性デンプンポリマーの物理的性質に劇的な影響を及ぼす。マルチトールなどの分子量の大きい可塑剤は弾性率を増大させ、破断点伸びを低減させる。エリスリトールなどある種の可塑剤は柔軟性を望ましく改良し、破断点伸びを増大させる。グリセロールは揮発性が高く、乾燥中または加工中に消失する可能性がある。ソルビトール、エリスリトールおよびマンニトールなどのある種の可塑剤は容易に再結晶化し、ポリマー内に移行し表面に移動しブルームを起こす可能性がある。可塑剤を組み合わせることは最終材料に必要とされる特性とこれらの不利な副次的な悪影響との釣合いを取るために必要である。一般に可塑剤の量が多いほど弾性率を低減し破断点伸びを増加させる傾向があることが認められている。非可塑性TPSポリマーは非常に高い弾性率(>2500MPa)を有するが、従来の手段では加工することができない。材料をシート、フィルムまたは成形品として加工するために最小量の可塑剤(水またはポリオール)が必要と思われる。約20%の最小量の可塑剤で、ポリオールで可塑化した射出成形可能な材料で得られた最高弾性率は約1000MPaである。好ましい可塑剤はポリオールの混合物であり、特に、1種または複数の他のポリオール、特にマルチトール、グリセロール、ソルビトール、エリスリトールおよびキシリトールである。可塑剤は3種類の役割を果たす:すなわち、押出配合過程および射出成形過程の適切なレオロジーを提供し、さらにまた、製品の機械的性質にも確実に影響を及ぼす。コスト、食品との接触または皮膚/粘膜との接触は、適切な可塑剤の選択における重要な課題である。最終製品の加工性能、機械的性質および保管寿命はポリオール混合物の正確な組成によって決まる。ゼロまたは非常に低い含水量において、可塑剤含量は好ましくは5%〜45%、より好ましくは15〜35%である。使用する可塑剤の種類によって、射出成形製品の平衡含水率は、標準水分バランス法によって測定して約2〜5%である。
【0030】
ソルビトール、マルチトールおよびグリセロール混合物は、キシリトールならびにキシリトールとソルビトールおよびグリセロールとの混合物と同様に、配合物の機械的性質の改良に特に適している。ソルビトールおよびキシリトールは特に良好な湿潤剤である。しかしながら、グリセロールを特にある一定の閾値未満で使用する場合、可塑剤の存在によってポリマー鎖が一時的に移動性を増すために、結晶化または少なくとも高度の秩序化が起こり、非可塑化デンプン配合物と比較してこれらの配合物の剛性および脆性を増加させる逆可塑化(anti−plasticisation)が起こることがある。さらに、ソルビトールを単独で使用する場合、結晶化が見られる。ある種のポリオール(特にソルビトールおよびグリセロール)は表面へのマイグレーション(移行)を示す可能性があり、ソルビトールの場合は不透明な結晶性フィルムを、またはグリセロールの場合は油状のフィルムを形成する可能性がある。種々のポリオールを混合することにより、この影響はさまざまな程度まで抑制される。乳化剤としてグリセロールモノステアレートおよびステアロイル乳酸ナトリウム(sodium stearoyl lactylate)を添加することによって、安定化を強化できる。さらに、塩との相乗効果によって、機械的性質に対してより強力な効果がもたらされる。
【0031】
配合処理中は、適切なデンプンのゼラチン化を確実にするために水を存在させる。過剰の水は、通気孔またはオン/オフラインのペレット乾燥によって配合中に除去してもよく、さらに、射出成形前に、例えばホッパー乾燥を用いて所望の水準に調節してもよい。選択したポリオール混合物の湿潤特性は製品の適切で安定した含水率に影響する。使用するポリオールブレンドに応じて、可塑剤含有量は好ましくは10〜35%であり、水分含有量は10〜0%である。柔軟性が高い射出成形部品に対する可塑剤含有量は、硬い射出成形品またはシート製品に対するよりも多いことが好ましい。
【0032】
ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレンおよびポリエチレングリコールを、1種でまたは一緒に組成物中で使用して、組成物が生体適合性であり、尿サンプルコレクターおよびタンポンアプリケーターを含む粘膜組織との接触がある医療用具に使用することができることを確実にすることができる。好ましいポリエチレンオキシドは、20,000を超える分子量を有するものである。医療用途のためには、配合物は細胞毒性試験(ISO 10993−5)、感作試験(ISO 10993−10)および刺激試験(ISO 10993.10)に合格しなければならない。好ましい添加剤はポリエチレンオキシド(分子量210,000のPEG−5000)であり、ステアリン酸の代わりに0.57%または2%で加えた場合に、細胞毒性試験において溶菌ゼロという結果となり、0.57%のステアリン酸に加えて5%で加えた場合にも溶菌ゼロという結果となる。さらに、ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレンおよびポリエチレングリコールは、1種でまたは一緒に、配合物の耐水性を増大させる可能性があり、その結果、特に多層構造(MLS;multi−layer structures)における層間剥離を生じ得る過剰な膨潤を防ぐ。
【0033】
1種または複数の脂肪酸および脂肪酸塩も、それらが、例えばワックスよりもデンプンとの良好な相溶性(適合性)を示しているので、組成物中の潤滑剤として使用できる。ステアリン酸は疎水性であり、したがってデンプンベース物質の感湿性を改良する可能性がある。ステアリン酸と同様に、ステアリン酸カルシウムなどの塩も使用できる。使用する脂肪酸および/または脂肪酸塩の量は、好ましくは0.1〜5.0重量%、より好ましくは0.2〜3.0重量%である。ステアリン酸のナトリウム塩およびカリウム塩も使用することができる。やはりコストが、この成分の選択における要因となり得るが、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、リノール酸、およびベヘン酸は全て適している。エルカミドなどの他の加工助剤も使用してよい。加工助剤の選択はMLSの層間剥離に対する必要な耐性によって大きく制限される。
【0034】
デンプンは脂肪酸と複合体を形成し得るものと考えられる。デンプングルコピラノシド(グルコース)は「いす型」配置をした6員環である。環の周囲は親水性であるが、その面は疎水性である。デンプン鎖は1回旋あたり約6個の残基を有するらせんを形成する。その結果、親水性の外面と疎水性の内面を有する中空の円柱となる。内側の空間の直径は約4.5Åであり、ステアリン酸のような直鎖アルキル分子がその中におさまることができる。同様に、GMS(グリセロールモノステアレート)などの乳化剤の脂肪酸部分は、ゼラチン化したデンプンと複合体を形成し、デンプンの結晶化を抑制し、それによって老化の進行を遅らせることができる。アミロース(デンプン中の線状成分)およびアミロペクチン(デンプン中の分岐成分)と複合体を形成するモノグリセリドの量は、乳化剤の脂肪酸部分の飽和度に依存する。不飽和脂肪酸は、脂肪酸鎖中の二重結合によって形成される屈曲を有し、それが複合体を形成する能力を制限する。
【0035】
乳化剤が組成物中に存在し、製品の用途が食品の包装である場合、乳化剤は食品等級の乳化剤であることが好ましい。一般に、その選択はHLB(親水性親油性バランス)値による。1種または複数の好ましい乳化剤は、HLB数が1〜22の間の食品等級の乳化剤から選択され、プロピレングリコールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、グリセロールモノステアレート、アセチル化モノグリセリド(ステアレート)、ソルビタンモノオレエート、プロピレングリコールモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ステアロイル−2−乳酸カルシウム、グリセロールモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、大豆レシチン、モノグリセリドのジアセチル化酒石酸エステル、ステアロイル乳酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレートが含まれる。ステアロイル乳酸ナトリウムおよびグリセロールモノステアレートがデンプン系で一般に使用される。一般的な乳化剤およびそれらのHLB値を表1に示す。存在する乳化剤の量は0.2〜3.0重量%の間が好ましい。
【0036】
【表1】

【0037】
グリセロールモノステアレートは、デンプン組成物中で脱泡作用および抗劣化作用を有するので特に適している。1〜1.5%の範囲で添加した場合、機械的性質を安定させ、混合物の均一性を増加させる乳化剤として作用する。0.25%〜1.5%で可塑剤系に添加したステアロイル乳酸ナトリウムは、さらに機械的性質を安定させ、混合物の均一性を増加させる。ステアロイルラクチレートは(ナトリウムまたはカルシウム塩として)生地補強剤(dough strengthener)としても一般に用いられ、したがって抗劣化剤として作用することができる。グリセロールモノステアレートおよびナトリウムステアロイル乳酸を組み合わせることにより、特性がより速く安定する。HLB値は加重則(additive rule)に従い、SSLとGMSの適切な混合物では4〜10程度である。
【0038】
抗酸化剤または亜硫酸塩剤(二酸化硫黄、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムおよび亜硫酸水素カリウム、ならびにメタ重亜硫酸塩)を含む還元剤は、酵素的褐変および非酵素的褐変を防ぐために多くの食品に添加されており、本明細書で記載される組成物中でも同じ性質で作用する。亜硫酸塩は、カルボニル中間体と反応し、その結果それらがさらに反応して褐色色素を形成するのを防ぐことにより、非酵素的褐変を抑制する。クエン酸は、しばしばアスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムとともに、酵素的褐変の化学的抑制剤として長い間使用されている。オクタデシル3,5−ジ−(tert)−ブチル−4−ヒドロキシヒドロケイヒ酸 (Irganox)も抗酸化剤として添加してよい。トコフェロール(ビタミンE)も食品に使用される自然の安定剤であり、非酵素的褐変抑制効果を改良するためにアスコルビン酸と組み合わせて使用されている。褐変が望ましくない場合の抗酸化剤の濃度は2重量%までが好ましい。
【0039】
水は、デンプンを「ゲル化(ゼラチン化)」(無秩序化または融解とも呼ばれる)してポリマーゲル構造にするために添加される。水はまた、材料を軟化させすなわち弾性率を減少させる点において、最終生成物中で可塑剤のように作用することができる。材料の含水率は水分活性で、もしくは30%未満または75%を超える相対湿度(RH)で変化する可能性がある。多くの用途において、材料が曝される部分のRHは、90%までの値に達する可能性がある。安定した機械的性質、積層特性、およびあらゆる温度での容易な加工のためには不揮発性の可塑剤が好ましい。したがって、一部または全部の水を、配合段階の途中もしくは後、および/または続く射出成形もしくはフィルム形成の供給段階中に蒸発させてもよい。これは押出バレルの通気および/またはペレットのオンライン乾燥によって達成できる。非可塑化配合物の押出加工は10%まで低い含水量で可能となり、ポリオール可塑剤を有する配合物は、射出成形前に遊離水を0%にまで乾燥することができる。好ましい含水率は、水分吸着実験によって測定された最終生成物の使用中のRH範囲における、配合物の平衡含水率である。これは具体的な組成物に依存するが、3〜12%の範囲である。
【0040】
充填剤および特に補強用充填剤は、可塑化材料の剛性を増加させるのに使用してもよい。さまざまな充填剤を使用できる。最終製品に必要な特性によって、1種または複数の充填剤が使用できる。デンプンポリマーの環境に対する信用を補足するので、充填剤としては天然繊維または鉱物が好ましい。充填剤の選択における重要な要素は、充填剤のアスペクト比である。アスペクト比が高い充填剤ほど(木粉および珪灰石など)強化効果が高くなり、剛性は高いが破断点伸びは低くなる。他の補強用充填剤には、シリカおよびシリカベースの食品加工の副生成物(例えば、もみ殻)が含まれる。タルクなどの不活性充填剤により、靱性が改良された軟質材料ができる。天然繊維(サイザル、ジュート、獣毛、オートミールなど)および合成繊維も剛性を増大させるために使用でき、耐水性も改良できる。キチンは、その繰返し単位としてD−グルコサミンを有する天然多糖類である。キトサンはキチンを変性した形であり、より容易に取扱いおよび加工できる。キチンは、エビ、カニおよびイカを含む、さまざまな無脊椎動物から生成される。キチンは補強用充填剤として機能し、さらにTPS(熱可塑性デンプン)の耐水性も向上させる。他の天然材料(例えばリグニン)も耐水性を向上させることができるが、デンプンとの相溶性(適合性)を改良するために改変する必要がある。他の適切な充填剤は、強化効果および付加的な耐水性のいずれのためにも利用できる炭酸カルシウム、カオリン、粘土、および二酸化チタン、ガラス繊維、ナノコンポジットおよびナノ粒子を含んでよい。充填剤は、好ましくは0.5〜60重量%、より好ましくは20〜50重量%、さらに好ましくは25〜35重量%の量で存在してもよい。
【0041】
材料は、共回転または逆回転二軸スクリューまたは選択されたデザインの一軸スクリュー押出機を用いる、押出配合によって製造される。好ましい工程は、押出圧力が少なくとも20barであり、スクリュー速度が少なくとも100RPMである二軸スクリュー共回転配合(twin screw co−rotating compounding)である。他の可塑剤の量および性質によって水をその工程に(可塑剤とともに液体注入によって)加えてもよい。押出品ストランド(strand)の対流乾燥、粒状物の遠心分離および流動床、またはバレルの通気、もしくは両方を用いて水分の除去を行うことができる。粒状物は、水中ペレット化、ダイフェイスカット、またはストランドの冷却および切断によって得られる。
【0042】
適切な方法は、配合および射出成形が直列になっていて、そこでは、押出物はシューティングポット(shooting pot)に蓄積され、型に射出される。ここで射出成形器入口の含水率は加工条件が最良になり収縮が最小となるために最適化される。
【0043】
必要に応じて、射出成形品のさらなる乾燥を、トンネル乾燥、ドラム、または流動床で行ってもよい。
【0044】
材料は、従来のホットまたはコールドランナーシステムを備えたスクリュー駆動または射出駆動法を用いて射出成形してもよい。所与の配合物の粘度は、射出成形法に一般的なせん断速度において、例えばLDPEおよびPPなどの射出成形によって加工された一般的な熱可塑性プラスチックと同程度である。これは、マルチキャビティ法における圧力が従来の方法と同程度であることを意味する。
【0045】
本発明の一実施形態では、射出成形製品は部分的または完全に耐水性被覆剤で被覆できる。こうした被覆は、射出成形製品の耐水性を調節し、被覆剤の選択およびその被覆剤の適用によって、射出成形製品全部または一部の耐水性を達成できる。こうして被覆された製品は全体または一部が、30分から7日目の決められた時間内のどこかで可溶となる。適切な被覆剤としては、好ましくはセラックニス(shellac)、生分解性ポリエステルまたはPLA(ポリ乳酸)溶液の1種または組合せを含む疎水性被覆剤が挙げられる。
【実施例】
【0046】
本発明の配合物が、どのようにして本発明の用途に特有の特性を達成するのかを明示するために、表2に提示される以下の実施例を調製した。
【0047】
表2には、実施例の組成物に含まれていた乳化剤および平滑剤などの加工助剤が含まれていないので、表2中の実施例の成分の乾燥重量の合計は100%未満である。実施例の組成物に組み込まれた加工助剤には、ステアリン酸、グリセロールモノステアレート、ステアロイル乳酸ナトリウム、およびステアリン酸カルシウムが含まれていた。
【0048】
実施例1〜7は、可塑剤と充填剤の相互作用の程度の測定を試みたものである。
【0049】
実施例5〜7は補強用充填剤の使用を実証したものである。実施例8〜10も最終製品の機械的性質に対する充填剤の影響を実証したものである。
【0050】
実施例10、28および31〜32はコポリマー添加剤の影響および最終製品の耐水性のレベルを実証したものである。
【0051】
【表2−1】

【0052】
【表2−2】

【0053】
【表2−3】

【0054】
いくつかの実施例の機械的性質を評価するために、以下の特性を測定した。
【0055】
1.低ヤング(弾性)率
材料の剛性は、ポリオール可塑剤、充填剤およびコポリマーの量および組成によって操作することができ、30MPa〜3000MPaを超える範囲であり得る。これにより、これらの等級が広範囲の射出成形用途に適したものとなる。
【0056】
2.破断点ひずみ(>30%)
材料の伸び挙動は、可塑剤の量によって操作でき、最小2%未満〜210%を超える範囲であり得る。これにより、これらの等級が広範囲の射出成形用途に適するものとなる。
【0057】
これらの特性を図1に図示する。図2は弾性率に対する破断点ひずみをプロットしたものである。
【0058】
低ヤング(弾性)率、高い破断点伸び、適切な引張強度、生体適合性、生分解性、水溶性および射出成形性の組合せにより、これらの配合物がさまざまな用途に理想的に適したものとなる。上記の記載および実施例から、価格および性能特性の点で、従来の非生分解性射出成形可能な樹脂と同等な生分解性デンプン組成物が提供されることが認識されよう。
【0059】
当業者は、特定の組成物の含有量を製品の所望の特性に合わせて調整することによって、記載した射出成形組成物がさまざまな用途に使用できることを理解されよう。この組成物は、フラッシュ性(flushability)および生分解性であることが望ましいタンポンアプリケーター、綿棒の軸、採尿具、カトラリー、ひしゃくおよびへら(スパチュラ)などを含む医療または食品関連製品を成形するために使用できる。これらの特性により、トイレットロールの巻芯、トイレ用ブラシヘッド、包装に使用されるクリップおよびひも、食肉加工に使用される食道クリップ、建物の一時的な下水管プラグ、不活性な弾薬シミュレータおよび蚊駆除バケツを含む、現在のくずまたは廃棄物管理問題を象徴する製品においても、この組成物が有用になる。
【0060】
当業者は、本発明の本質的な教示から逸脱せずに、本発明をさまざまな方法で実施できることを理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥重量基準で、
(a)デンプンおよび/または加工高アミロースデンプンを45〜85重量%、
(b)好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、およびエチレンとビニルアルコールのコポリマーから選択され、溶融状態のデンプン成分と適合する融点を有する、水溶性ポリマーを2〜15重量%、
(c)分子量が50〜6000、より好ましくは50〜2500、さらにより好ましくは100〜400の範囲であり、好ましくは、ソルビトール、グリセロール、マルチトール、キシリトール、マンニトール、エリスリトール、ポリグリセロール、グリセロールトリオレエート、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、グリセリルトリアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、ポリエチレンオキシド、エチレングリコール、ジエチレングリコールまたはポリエチレングリコール、より好ましくはグリセロール、マルチトール、ソルビトール、エリスリトールおよびキシリトールからなる群から選択される、1種または複数のポリオール可塑剤を5〜45重量%、
含む、生分解性の射出成形可能なポリマー組成物。
【請求項2】
機械的性能および環境性能を含む望ましい機械的性質を規定するために選択した充填剤を0.5〜60重量%含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
充填剤が、シリカ、タルク、キチン、珪灰石、ガラス繊維、およびナノ粒子を含む無機充填剤の群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
さらに1種または複数のC12〜22の脂肪酸または塩を乾燥基準で0.1〜5.0重量%含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
1〜22の間の親水性親油性バランス(HLB)値を有する乳化剤を0.2〜3.0重量%含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
デンプン骨格にグラフトされたまたはグラフトされていないポリエステルを4〜45重量%含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
組成物が実質的に水溶性である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
ポリオキシエチレンまたはポリエチレンオキシドをさらに含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
乾燥重量基準で、
(a)デンプンおよび/または加工高アミロースデンプンを45〜85重量%、
(b)好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、およびエチレンとビニルアルコールのコポリマーから選択され、溶融状態のデンプン成分と適合する融点を有する、水溶性ポリマーを2〜15重量%、
(c)分子量が50〜6000、より好ましくは50〜2500、さらにより好ましくは100〜400の範囲であり、好ましくは、ソルビトール、グリセロール、マルチトール、キシリトール、マンニトール、エリスリトール、ポリグリセロール、グリセロールトリオレエート、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、グリセリルトリアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、ポリエチレンオキシド、エチレングリコール、ジエチレングリコールまたはポリエチレングリコール、より好ましくはグリセロール、マルチトール、ソルビトール、エリスリトールおよびキシリトールからなる群から選択される、1種または複数のポリオール可塑剤を5〜45重量%、
含む、樹脂組成物から形成された射出成形製品。
【請求項10】
乾燥重量基準で、
(a)デンプンおよび/または加工高アミロースデンプンを45〜85重量%、
(b)好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、およびエチレンとビニルアルコールのコポリマーから選択され、溶融状態のデンプン成分と適合する融点を有する、水溶性ポリマーを2〜15重量%、
(c)分子量が50〜6000、より好ましくは50〜2500、さらにより好ましくは100〜400の範囲であり、好ましくは、ソルビトール、グリセロール、マルチトール、キシリトール、マンニトール、エリスリトール、ポリグリセロール、グリセロールトリオレエート、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、グリセリルトリアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、ポリエチレンオキシド、エチレングリコール、ジエチレングリコールまたはポリエチレングリコール、より好ましくはグリセロール、マルチトール、ソルビトール、エリスリトールおよびキシリトールからなる群から選択される、1種または複数のポリオール可塑剤を5〜45重量%、
含む、実質的に水溶性である樹脂組成物から形成された射出成形製品。
【請求項11】
さらに、ポリオキシエチレンまたはポリエチレンオキシドを含む、請求項10に記載の射出成形製品。
【請求項12】
少なくとも製品の一部が耐水性被覆剤で被覆された、請求項10または11のいずれか一項に記載の射出成形製品。
【請求項13】
耐水性被覆剤がセラックニス、生分解性ポリエステルおよびPLA(ポリ乳酸)溶液を含む群から選択される、請求項12に記載の射出成形製品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−545658(P2009−545658A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523109(P2009−523109)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【国際出願番号】PCT/AU2007/001103
【国際公開番号】WO2008/014573
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(502247341)プランティック・テクノロジーズ・リミテッド (7)
【Fターム(参考)】