説明

成形材料

【課題】ポリエステル樹脂及びフィラーからなる制振材料と該ポリエステル樹脂以外の熱可塑性樹脂及び/ または熱硬化性樹脂を混合させてなる成形材料であって、特に室温より高い温度領域で優れた制振性を発揮する成形材料を提供する。
【解決手段】本発明の成形材料はポリエステル樹脂(X)に充填剤を分散させた樹脂組成物からなる制振材料(α)とポリエステル樹脂(X)以外の熱可塑性樹脂及び/または熱硬化性樹脂を混合させてなる成形材料であって、ポリエステル樹脂(X)がジカルボン酸構成単位とジオール構成単位を主として構成され、全ジカルボン酸構成単位中、50モル%以上が芳香族ジカルボン酸に由来するジカルボン酸構成単位であり、前記芳香族ジカルボン酸に由来するジカルボン酸構成単位中、70モル%以上がイソフタル酸に由来するジカルボン酸構成単位であり、全構成単位中、炭素原子数が5以上の脂肪族ジカルボン酸成分構成単位、炭素原子数が5以上の脂肪族ジオール成分構成単位および炭素原子数が5以上の脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分構成単位、の合計が5モル%以上であり、且つ制振材料(α)中の充填物として鱗片状あるいは平板状の充填材を18〜70質量%含み、さらに充填物として特定の粒子状金属酸化物を2〜20質量%含むことを特徴とする成形材料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は制振性を発揮する成形材料及び成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコン、OA機器、AV機器、携帯電話などの電気・電子機器、光学機器、精密機器、玩具、家庭・事務電気製品などの部品やハウジング、さらには自動車、航空機、船舶の部品に利用される成形材料には、耐衝撃性、耐熱性、強度、寸法安定性等の一般的な材料特性の他に、制振性(振動エネルギーを吸収する性質)が要求されている。制振性は成形品の形状に依存する部分も大きいが、使用する材料の弾性率や制振性にも依存する。これら多くの要求性能を単一の材料で全て満足させることは極めて困難であるため、複数の材料を複合化、例えば各種ポリマーのブレンドや、有機材料と無機材料の複合化、異種材料の積層等、して使用される。特に弾性率と制振性は互いに相反する性能であるため、弾性率の高い材料と制振材料を組み合わせて使用する必要がある。
【0003】
従来、制振材料のような振動エネルギーを吸収する材料として、塩化ビニル系樹脂に可塑剤を添加した軟質の塩化ビニル系樹脂が知られている。この軟質塩化ビニル系樹脂は、振動エネルギーを樹脂内部において摩擦熱として消費することで、振動エネルギーの減衰が計られるようになっていたが、十分な振動エネルギーの吸収、減衰ができなかった。
【0004】
また、加工性、機械的強度、材料コストの面から優れる制振材料としてブチルゴムやNBRブタジエンアクリルニトリルゴムなどのゴム材料が多く用いられている。ところがこれらのゴム材料は、一般の高分子材料の中では最も減衰性(振動エネルギーの伝達絶縁性能、あるいは伝達緩和性能)に優れてはいるものの、ゴム材料単独で制振材料として使用するには制振性が低く、例えば建造物や機器類の防振構造には、ゴム材料と鋼板とを積層した積層体、あるいはこれに塑性変形して振動エネルギーを吸収する鉛コアやオイルダンパーを組み合わせた制振構造体という複合形態で使用されていた。
【0005】
従来の制振材料としてのゴム材料は、上記の如く単独では使用できず、複合化を余儀な
くされていたので、必然的にその防振構造も複雑なものとなってしまうことから、制振材
料自身、ゴム材料自身の高制振性化が求められていた。
【0006】
また、制振材料として、主鎖のエステル結合間の炭素数が奇数である部分を持つポリエステル樹脂組成物が開示されている(特許文献1)。このポリエステル樹脂組成物は室温付近での制振性能に優れており、制振材料として有望な材料であるが、ポリエステル樹脂に導電性材料であるカーボン粉末が主に用いられ、マイカ粉末等と共に分散させるために、制振材料は黒色や茶色となり、制振性能を維持向上させながら多彩な色調を求められる用途や箇所には使用し難いという問題がある。また、室温より高い温度領域で優れた制振性を発揮する成形材料が開示されている(特許文献2)。
【0007】
これらの制振材料の積層方法には、接着剤や粘着剤、両面テープでの張り合わせ、ラミネートや塗布、プレスによる接着、もしくは自己粘着型制振材料の張り合わせなどの方法があるが、工程が複雑になりコストの上昇につながること、また成形品の形状によっては積層できない場合や、空間上の制約を受けるなどの欠点を有する。
【0008】
さらにポリプロピレン樹脂やABS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアセタール樹脂などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂に代表される成形材料とのブレンドは、ゴム材料が熱可塑性では無いため溶融ブレンドや材料のリサイクルに限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−052377号公報
【特許文献2】国際公開第09/063837号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、簡便に製造および使用が可能で制振材料に求められる十分な性能を発揮し、特に室温より高い温度領域で優れた制振性を発揮する成形材料および成形品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記目的を達成する為に鋭意検討した結果、ポリエステル樹脂及びフィラーからなる制振材料と該ポリエステル樹脂以外の熱可塑性樹脂及び/または熱硬化性樹脂を混合させてなる成形材料において、該ポリエステル樹脂を特定することにより成形材料の制振性が著しく改善されることを見出し、本発明に至ったものである。すなわち、本発明は、ジカルボン酸構成単位とジオール構成単位を主として構成されるポリエステル樹脂(X)に充填材を分散させてなる樹脂組成物からなる制振材料(α)とポリエステル樹脂(X)以外の熱可塑性樹脂及び/または熱硬化性樹脂を混合させてなる成形材料であって、制振材料(α)が下記条件(1)〜(10)を満たすことを特徴とする成形材料に関する。
(1)ポリエステル樹脂(X)の全ジカルボン酸構成単位中、50モル%以上が(A)芳香族ジカルボン酸に由来するジカルボン酸構成単位であり、前記芳香族ジカルボン酸に由来するジカルボン酸構成単位中、70モル%以上がイソフタル酸に由来するジカルボン酸構成単位である。
(2)ポリエステル樹脂(X)の全ジオール構成単位中、(B)エチレングリコールと1,4−ブタンジオールに由来するジオール成分構成単位、の合計が60モル%以上である。
(3)ポリエステル樹脂(X)の全構成単位中、(C)炭素原子数が5以上の脂肪族ジカルボン酸成分構成単位、炭素原子数が5以上の脂肪族ジオール成分構成単位および炭素原子数が5以上の脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分構成単位、の合計が5モル%以上である。
(4)ポリエステル樹脂(X)中の上記(A)、(B)および(C)の構成単位の合計が、ポリエステル樹脂の全構成単位の75モル%以上である。
(5)テトラクロロエタン/フェノール=1/1(重量比)混合溶媒中、25℃で測定したポリエステル樹脂(X)の固有粘度が0.2〜2.0dL/gである。
(6)示差走査熱量計で測定したポリエステル樹脂(X)の降温時結晶化発熱ピークの熱量が5J/g以下である。
(7)充填材の含有量が制振材料(α)に対して20〜80質量%である。
(8)充填材として鱗片状あるいは平板状の充填材を含み、該鱗片状あるいは平板状の充填材の含有量が制振材料(α)に対して18〜70質量%である。
(9)さらに充填材として二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化鉄、酸化アルミニウムおよび酸化マグネシウムからなる群から選ばれる一種以上の粒子状金属酸化物を含み、該金属酸化物の含有量が制振材料(α)に対して2〜20質量%である。
(10)樹脂組成物の損失弾性率の最大値が5×10[N/m]以上である。
本発明はさらに、上記成形材料を用いた成形品に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の成形材料及び成形品によれば、簡便に製造可能で、室温より高い温度領域においても十分な制振性能を発揮する、より優れた制振性を発揮する成形品及び成形材料を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の成形材料は、本発明は、ジカルボン酸構成単位とジオール構成単位を主として構成されるポリエステル樹脂(X)に充填材を分散させてなる樹脂組成物からなる制振材料(α)とポリエステル樹脂(X)以外の熱可塑性樹脂及び/または熱硬化性樹脂を混合させてなる成形材料であり、制振材料(α)が下記条件(1)〜(10)を満たす成形材料である。
(1)ポリエステル樹脂(X)の全ジカルボン酸構成単位中、50モル%以上が(A)芳香族ジカルボン酸に由来するジカルボン酸構成単位であり、前記芳香族ジカルボン酸に由来するジカルボン酸構成単位中、70モル%以上がイソフタル酸に由来するジカルボン酸構成単位である。
(2)ポリエステル樹脂(X)の全ジオール構成単位中、(B)エチレングリコールと1,4−ブタンジオールに由来するジオール成分構成単位、の合計が60モル%以上である。
(3)ポリエステル樹脂(X)の全構成単位中、(C)炭素原子数が5以上の脂肪族ジカルボン酸成分構成単位、炭素原子数が5以上の脂肪族ジオール成分構成単位および炭素原子数が5以上の脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分構成単位、の合計が5モル%以上である。
(4)ポリエステル樹脂(X)中の上記(A)、(B)および(C)の構成単位の合計が、ポリエステル樹脂の全構成単位の75モル%以上である。
(5)テトラクロロエタン/フェノール=1/1(重量比)混合溶媒中、25℃で測定したポリエステル樹脂(X)の固有粘度が0.2〜2.0dL/gである。
(6)示差走査熱量計で測定したポリエステル樹脂(X)の降温時結晶化発熱ピークの熱量が5J/g以下である。
(7)充填材の含有量が制振材料(α)に対して20〜80質量%である。
(8)充填材として鱗片状あるいは平板状の充填材を含み、該鱗片状あるいは平板状の充填材の含有量が制振材料(α)に対して18〜70質量%である。
(9)さらに充填材として二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化鉄、酸化アルミニウムおよび酸化マグネシウムからなる群から選ばれる一種以上の粒子状金属酸化物を含み、該金属酸化物の含有量が制振材料(α)に対して2〜20質量%である。
(10)樹脂組成物の損失弾性率の最大値が5×10[N/m]以上である。
【0014】
本発明の制振材料(α)に用いる樹脂はジカルボン酸構成単位とジオール構成単位を主として構成されるポリエステル樹脂(X)である。ポリエステル樹脂(X)の全構成単位中、ジカルボン酸構成単位とジオール構成単位の合計は75モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。
【0015】
ポリエステル樹脂(X)のジカルボン酸構成単位中、50モル%以上が(A)芳香族ジカルボン酸に由来するジカルボン酸構成単位であり、好ましくは60モル%以上が(A)芳香族ジカルボン酸に由来するジカルボン酸構成単位である。(A)芳香族ジカルボン酸に由来するジカルボン酸構成単位が50モル%未満の場合、樹脂重合に際して反応性が不足する必要ため好ましくない。
さらに、(A)芳香族ジカルボン酸に由来するジカルボン酸構成単位中、イソフタル酸構成単位が70モル%以上であり、好ましくは90モル%以上である。イソフタル酸構成単位が70モル%以上であることにより、制振材料(α)の制振性能を高めるための充填材をより多くポリエステル樹脂(X)に分散させることができる。
【0016】
本発明に使用される(A)芳香族ジカルボン酸成分は、イソフタル酸がその70モル%以上であれば他の芳香族ジカルボン酸も使用することができる。具体的には、フタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸などの従来公知の芳香族ジカルボン酸、およびこれらのアルキル、ハロゲン、アルコキシ置換体などが挙げられる。本発明に使用されるポリエステル樹脂(X)の芳香族ジカルボン酸成分は、上記に由来する1種または2種以上の構成単位を含んでいてもよい。
【0017】
本発明で用いるポリエステル樹脂(X)の全ジオール構成単位中、(B)エチレングリコールと1,4−ブタンジオールに由来するジオール成分構成単位、の合計は60モル%以上であり、好ましくは70モル%以上である。さらに、本願で用いるポリエステル樹脂(X)の全ジオール構成単位中、エチレングリコール由来するジオール成分構成単位が60モル%以上であることが好ましく、より好ましくは70モル%以上である。
【0018】
本発明で用いるポリエステル樹脂(X)の全構成単位中、(C)炭素原子数が5以上の脂肪族ジカルボン酸成分構成単位、炭素原子数が5以上の脂肪族ジオール成分構成単位および炭素原子数が5以上の脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分構成単位、の合計は5モル%以上であり、好ましくは10モル%以上である。(C)炭素原子数が5以上の脂肪族ジカルボン酸成分構成単位、炭素原子数が5以上の脂肪族ジオール成分構成単位および炭素原子数が5以上の脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分構成単位、の合計が5モル%未満の場合、材料が強靭性に欠けるため好ましくない。
本発明に使用される(C)炭素原子数が5以上の脂肪族ジカルボン酸構成単位、炭素原子数が5以上の脂肪族ジオール単位または炭素原子数が5以上の脂肪族ヒドロキシカルボン酸単位を含む共重合成分とは、ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分またはジオール成分またはヒドロキシカルボン酸成分のうち、官能基間に存在する主鎖および側鎖に含有される炭素原子数の合計が5以上のものを指す。このとき、エステル結合を形成するカルボキシル基に含まれる炭素原子はジカルボン酸構成単位またはヒドロキシカルボン酸構成単位に含まれるものとする。
【0019】
上記(C)に該当する構成成分としては、具体的には2−メチルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、ペンタシクロドデカンジカルボン酸、イソホロンジカルボン酸、3,9−ビス(2−カルボキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどの脂肪族ジカルボン酸、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオールとその誘導体、デカヒドロナフタレンジメタノールとその誘導体、ノルボルネンジメタノールとその誘導体、トリシクロデカンジメタノールとその誘導体、ペンタシクロドデカンジメタノール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール、5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサン、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカンなどの脂肪族ジオール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどのポリエーテル化合物、2−ヒドロキシヘキサデカン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、3,4−ジヒドロキシけい皮酸などのヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。このうち、好ましくはアゼライン酸、セバシン酸、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリエチレングリコールであり、より好ましくはアゼライン酸、セバシン酸、トリエチレングリコールであり、最も好ましくはアゼライン酸である。
【0020】
本発明で用いるポリエステル樹脂(X)中の上記(A)、(B)および(C)の構成単位の合計は、ポリエステル樹脂の全構成単位の75モル%以上であり、好ましくは90モル%以上である。(A)、(B)および(C)の構成単位の合計が、ポリエステル樹脂(X)の全構成単位の75モル%以上であることにより、制振性能、成形性、強靭性その他の物性が優れたものとできる。
【0021】
本発明で用いるポリエステル樹脂(X)は、上記(A)、(B)および(C)の構成単位の合計が、ポリエステル樹脂の全構成単位の75モル%以上であれば、他の従来公知のジカルボン酸、ジオール、ヒドロキシカルボン酸、多価カルボン酸および多価アルコールを使用することができる。他の従来公知のジカルボン酸、ジオール、ヒドロキシカルボン酸、多価カルボン酸および多価アルコールの具体例としては、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ヒドロキシ酢酸などの炭素数5未満の脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジオールおよび脂肪族ヒドロキシカルボン酸、メタキシレングリコール、テトラリンジメタノールとその誘導体などの芳香族ジオール、ヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシイソフタル酸、2,4−ジヒドロキシアセトフェノン、4−ヒドロキシフタル酸、4,4’−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリカルバリル酸グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価カルボン酸および多価アルコールおよび多価ヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。
【0022】
本発明に用いるポリエステル樹脂(X)は、テトラクロロエタン/フェノール=1/1(重量比)混合溶媒中、25℃で測定した固有粘度が0.2〜2.0dL/gであること、かつ示差走査熱量計で測定した降温時結晶化発熱ピークの熱量が5J/g以下であることが必要である。上記の条件を満たさない場合、制振性能が低下するため好ましくない。
【0023】
本発明に用いるポリエステル樹脂(X)を製造する方法に特に制限はなく、従来公知の方法を適用することができる。一般的には原料であるモノマーを重縮合することにより製造できる。例えばエステル交換法、直接エステル化法などの溶融重合法または溶液重合法を挙げることができる。エステル交換触媒、エステル化触媒、エーテル化防止剤、また重合に用いる重合触媒、熱安定剤、光安定剤などの各種安定剤、重合調整剤なども従来既知のものを用いることができる。エステル交換触媒として、マンガン、コバルト、亜鉛、チタン、カルシウムなどの金属を含む化合物、またエステル化触媒として、マンガン、コバルト、亜鉛、チタン、カルシウムなどの金属を含む化合物、またエーテル化防止剤としてアミン化合物などが例示される。重縮合触媒としてはゲルマニウム、アンチモン、スズ、チタンなどの金属を含む化合物、例えば酸化ゲルマニウム(IV)、酸化アンチモン(III)、トリフェニルスチビン、酢酸アンチモン(III)、酸化スズ(II)やチタン(IV)テトラブトキシド、チタン(IV)テトライソプロポキシド、チタン(IV)ビス(アセチルアセトナート)ジイソプロポキシドなどのチタン酸エステル類が例示される。また熱安定剤としてリン酸、亜リン酸、フェニルホスホン酸などの各種リン化合物を加えることも有効である。その他光安定剤、耐電防止剤、滑剤、酸化防止剤、離型剤などを加えても良い。また、原料となるジカルボン酸成分は、前記のジカルボン酸成分構成単位が由来するジカルボン酸の他にそれらのジカルボン酸エステル、ジカルボン酸塩化物、活性アシル誘導体、ジニトリルなどのジカルボン酸誘導体を用いることもできる。
【0024】
本発明の成形材料に用いられる制振材料(α)には、上記ポリエステル樹脂(X)の振動エネルギー吸収能力を向上させる目的で充填材を分散させることが必要不可欠である。本発明で使用される充填材は、樹脂組成物全体に対して20〜80質量%であり、40〜80質量%であることが好ましく、60〜80質量%であることがさらに好ましい。20質量%未満では充填材を分散させた場合の制振性能の向上効果があまり現れず、80質量%を超えると成形性に乏しくなってしまう。
【0025】
本発明で使用される充填材としては、鱗片状あるいは平板状の充填材を含んでいることが必要とされる。該当する充填材としては、例えばマイカ鱗片、ガラス片、セリサイト、グラファイト、タルク、アルミニウムフレーク、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、黒鉛、などが例示できる。これらの中でも、充填材としてマイカ鱗片を分散させた場合により高い制振性能が得られるため好ましい。また、鱗片状あるいは平板状の充填材であれば、含まれる充填材は上記の範囲内に限定されない。
【0026】
鱗片状あるいは平板状の充填材の含有量は、制振材料(α)全体に対して18〜70質量%であり、40〜70質量%であることが好ましく、55〜70質量%であることがさらに好ましい。18質量%未満では鱗片状あるいは平板状の充填材を分散させた場合の制振性能の向上効果があまり現れず、70質量%を超えると成形性に乏しくなってしまう。
【0027】
本発明の成形材料に用いられる制振材料(α)は、上記の鱗片状あるいは平板状の充填材とは別に、さらに二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化鉄、酸化アルミニウムおよび酸化マグネシウムからなる群から選ばれる一種以上の粒子状金属酸化物を充填材として添加し、制振材料(α)の振動エネルギー吸収能力をより向上させることが必要である。これらの中でも、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化カルシウムを分散させた場合に制振性能が向上するため好ましく、二酸化チタンがより好ましい。
【0028】
上記の金属酸化物の含有量は制振材料(α)全体に対して2〜20質量%であり、5〜18質量%であることが好ましい。2質量%未満では添加の効果が小さく、20質量%を超えた場合成形性および強靭性が低下し、それらを維持するためには鱗片状あるいは平板状の充填材の含有量を低く抑える必要があるため、結果として制振性能が低下してしまう。
【0029】
本発明の成形材料に用いられる制振材料(α)はポリエステル樹脂(X)に鱗片状あるいは平板状の充填材および前記した特定の粒子状金属酸化物を添加することが必要であるが、添加する充填材は上記の範囲に限定されず、必要であればさらに異なる種類の充填材を併用することができる。具体的には、繊維状充填材としてガラス繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、酸化亜鉛ウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカなど、粒子状充填材としてワラステナイト、ゼオライト、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、モンモリロナイト、アルミノシリケートを含むメタロシリケート、二酸化ケイ素などのケイ酸塩・ケイ素酸化物や金属ケイ素化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、酸化アンチモン、酸化タングステンなど前記した特定の金属酸化物以外の金属酸化物、ニッケルフレーク、鉄粉、鉛粉、銅粉などの金属粉、ガラスビーズ、セラミックビーズ、炭化珪素、カーボン粉末などが挙げられる。また、これら充填材の種類は上記の範囲内に限定されない。
【0030】
本発明の成形材料に用いられる制振材料(α)はポリエステル樹脂(X)に鱗片状あるいは平板状の充填材および前記した特定の粒子状金属酸化物を分散させることで得られるが、の混合方法は従来公知の方法を用いることができる。例えば、熱ロール、バンバリーミキサー、二軸混練機、押出機などの装置を用いて溶融混合する方法が挙げられる。その他、ポリエステル樹脂を溶剤に溶解あるいは膨潤させ、充填材を分散させた後に乾燥する方法、各成分を微粉末状で混合する方法なども採用することができる。なお、充填材や添加剤などの添加方法、添加順序などは特に限定されない。
【0031】
本発明に用いられるポリエステル樹脂(X)以外の熱可塑性樹脂としては例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン− 酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリイソプレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、スチレン− アクリロニトリル共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂(X)以外のポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアセタール樹脂、上記樹脂の繊維強化材などが挙げられるがこれに限定されない。中でもポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリイソプレン樹脂、ABS樹脂、スチレン− アクリロニトリル共重合体樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂(X)以外のポリエステル樹脂、ガラス繊維強化ポリプロピレン樹脂が好ましい。さらに中でも、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ガラス繊維強化ポリプロピレン樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂としてはフェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられるがこれに限定されない。ポリエステル樹脂(X)以外の熱可塑性樹脂及び/または熱硬化性樹脂は1種もしくは2種以上の混合物でも良い。
【0032】
本発明の成形材料中の制振材料(α)の含有割合が高くなると制振性も高くなる。特に制振材料(α)の含有割合が1〜70質量%である場合に成形材料として物性のバランスが良く好ましく、より好ましくは5〜60質量%、さらに好ましくは10〜50質量%である。
【0033】
本発明の成形材料はポリエステル樹脂(X)に充填剤を分散させた樹脂組成物からなる制振材料(α)とポリエステル樹脂(X)以外の熱可塑性樹脂及び/または熱硬化性樹脂を混合させてなる成形材料であるが、必要に応じて、1種以上の添加剤、例えば、分散剤、相溶化剤、界面活性剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、難燃剤、架橋剤、酸化防止剤、老化防止剤、耐候剤、耐熱剤、加工助剤、光沢剤、着色剤(顔料、染料)発泡剤、発泡助剤、導電性材料、無機充填材などを本発明の効果を阻害しない範囲で添加することができる。
【0034】
本発明の成形材料はポリエステル樹脂(X)に充填剤を分散させた樹脂組成物からなる制振材料(α)とポリエステル樹脂(X)以外の熱可塑性樹脂及び/または熱硬化性樹脂を混合し、必要に応じてその他の添加剤を混合することで得られるが、混合方法は既知の方法を用いることができる。例えば、熱ロール、バンバリーミキサー、二軸混練機、押出機などの装置を用いて溶融混合する方法が挙げられる。またポリエステル樹脂(X)に二酸化チタン(Y)及びマイカ鱗片(Z)を分散させた樹脂組成物からなる制振材料(α)をポリエステル樹脂(X)以外の熱可塑性樹脂及び/または熱硬化性樹脂にドライブレンドした後に成形してもよい。なおその他添加剤などの添加方法、添加順序などは特に限定されない。
【0035】
本発明の成形品は、上記成形材料を射出成形することにより得られるが、押出成形、プレス成形など他の既知の方法で成形して得ても良い。本発明の成形品は、パソコン、OA機器、AV機器、携帯電話などの電気・電子機器、光学機器、精密機器、玩具、家庭・事務電気製品などの部品やハウジング、さらには自動車、航空機、船舶などの部品に好適に利用することができる。
【実施例】
【0036】
以下に実施例を示すが本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
ポリエステル樹脂及び制振材料の評価は以下の方法によった。
(1)ポリエステル樹脂のモノマー組成
400MHz−H−NMRスペクトル測定結果の積分値の比から算出した。
【0037】
(2)ポリエステル樹脂の固有粘度([η]):
テトラクロロエタン/フェノール=1/1(重量比)混合溶媒にポリエステル樹脂を溶解させ25℃に保持して、ウベローデ型粘度計を使用して測定した。
【0038】
(3)ポリエステル樹脂の降温時結晶化発熱ピークの熱量(ΔHc):
ポリエステル樹脂の降温時結晶化発熱ピークの熱量(ΔHc)は、島津製作所製DSC/TA−50WS型示差走査熱量計を使用して測定した。試料約10mgをアルミニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス気流中(50ml/分)、昇温速度10℃/分で150℃まで昇温、150℃で1分間保持した後、10℃/分の降温速度で降温した際に現れる発熱ピークの面積から求めた。
【0039】
(4)制振材料の損失係数:
制振材料(α)ならびにポリエステル樹脂(X)以外の熱可塑性樹脂及び/または熱硬化性樹脂からなる成形材料を射出成形機により成形し、厚み約4mmのダンベル試験片(JIS K 7162 試験片タイプ1A)とした。得られたダンベル試験片を損失係数測定装置(株式会社小野測器製)を用いて、測定温度範囲が0〜80℃の条件で中央加振法により500Hz反共振点での損失係数を測定した。上記の測定温度範囲において得られた損失係数のうち40℃における損失係数を比較することで制振性を評価した。なお、損失係数が大きいほど制振性が高い。
【0040】
実施例1
加熱装置、撹拌翼、分縮器、トラップ、温度計および窒素ガス導入管を備えた500ミリリットルガラス製フラスコに、ジカルボン酸を全量0.8モル、ジオールを全量1.2モル投入した。この時、投入したジカルボン酸の構成単位はイソフタル酸(エイ・ジイ・インターナショナル・ケミカル株式会社製)64.8モル%、アゼライン酸(コグニス社製EMEROX1144)28.0モル%、テレフタル酸(水島アロマ株式会社製)7.2モル%であり、投入したジオール構成単位はエチレングリコール(丸善油化学株式会社製)100モル%である。投入した原料を常圧窒素雰囲気下で220℃迄昇温して2.5時間以上エステル化反応を行い、溜去される縮合水の量をモニターしながらジカルボン酸の反応転化率が90モル%以上となった後、チタン(IV)テトラブトキシドを50ppm(総仕込み原料質量から縮合水質量を除いた初期縮合反応生成物の全質量に対するチタンの濃度)加え、昇温と減圧を徐々に行い、ジオール成分を系外に抜き出しつつ、最終的に240〜250℃、1.5kPa以下で重縮合反応を行った。徐々に反応混合物の粘度と攪拌トルク値が上昇し、適度な粘度に到達した時点あるいはジオールの留出が停止した時点で反応を終了した。
このポリエステル樹脂 24.8質量%、二酸化チタン粉末(石原産業株式会社製、商品名:タイペークCR−80)15質量%及びマイカ鱗片(山口雲母株式会社製、商品名:CS−060DC)60質量%、カーボン粉末(ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製:ケッチェンブラックEC) 0.2質量%を二軸混練機を用いて200℃で混練して制振材料(α)を得た。
得られた制振材料(α)30質量%とポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社製:MG03B)70質量%をドライブレンドし、さらに射出成形機を用いて成形して成形品を得た。得られた成形材料の物性を第1表に示す。
【0041】
実施例2
制振材料(α)50質量%とポリプロピレン(MG03B)50質量%をドライブレンドし、さらに射出成形機を用いて成形して成形品を得た。得られた成形材料の物性を第1表に示す。
【0042】
比較例1
ポリプロピレン(MG03B)を射出成形機を用いて成形して成形品を得た。物性を第1表に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
実施例3
制振材料(α)30質量%とABS(UMG−ABS株式会社製:サイコラックFu23)70質量%をドライブレンドし、射出成形機を用いて成形して成形品を得た。得られた成形材料の物性を第2表に示す。
【0045】
実施例4
制振材料(α)50質量%とABS(サイコラックFu23)50質量%をドライブレンドし、さらに射出成形機を用いて成形して成形品を得た。得られた成形材料の物性を第2表に示す。
【0046】
比較例2
ABS(サイコラックFu23) を射出成形機を用いて成形して成形品を得た。物性を第2表に示す。
【0047】
【表2】

【0048】
実施例5
制振材料(α)30質量%とガラス繊維強化ポリプロピレン(いその株式会社製:PHG−30SH)70質量%をドライブレンドし、さらに射出成形機を用いて成形して成形品を得た。得られた成形材料の物性を第3表に示す。
【0049】
実施例6
制振材料(α)50質量%とガラス繊維強化ポリプロピレン(PHG−30SH)50質量%をドライブレンドし、さらに射出成形機を用いて成形して成形品を得た。得られた成形材料の物性を第3表に示す。
【0050】
比較例3
ガラス繊維強化ポリプロピレン(PHG−30SH) を射出成形機を用いて成形して成形品を得た。物性を第3表に示す。
【0051】
【表3】

【0052】
第1表、第2表及び第3表 に示すように、実施例の制振材料(α)ならびにポリエステル樹脂(X)以外の熱可塑性樹脂及び/または熱硬化性樹脂を混合させてなる成形材料は、比較例のポリプロピレン樹脂(比較例1)、ABS樹脂(比較例2)及びガラス繊維強化ポリプロピレン樹脂(比較例3)と比べて制振性が高い。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の成形材料は成形品として、パソコン、OA機器、AV機器、携帯電話などの電気・電子機器、光学機器、精密機器、玩具、家庭・事務電気製品などの部品やハウジング、さらには自動車、航空機、船舶などの部品として振動の発生する箇所に好適に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジカルボン酸構成単位とジオール構成単位を主として構成されるポリエステル樹脂(X)に充填材を分散させた樹脂組成物からなる制振材料(α) とポリエステル樹脂(X)以外の熱可塑性樹脂及び/または熱硬化性樹脂を混合させることからなる成形材料であって、制振材料(α)が下記条件(1)〜(10)を満たす成形材料。
(1)ポリエステル樹脂(X)の全ジカルボン酸構成単位中、50モル%以上が(A)芳香族ジカルボン酸に由来するジカルボン酸構成単位であり、前記芳香族ジカルボン酸に由来するジカルボン酸構成単位中、70モル%以上がイソフタル酸に由来するジカルボン酸構成単位である。
(2)ポリエステル樹脂(X)の全ジオール構成単位中、(B)エチレングリコールと1,4−ブタンジオールに由来するジオール成分構成単位、の合計が60モル%以上である。
(3)ポリエステル樹脂(X)の全構成単位中、(C)炭素原子数が5以上の脂肪族ジカルボン酸成分構成単位、炭素原子数が5以上の脂肪族ジオール成分構成単位および炭素原子数が5以上の脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分構成単位、の合計が5モル%以上である。
(4)ポリエステル樹脂(X)中の上記(A)、(B)および(C)の構成単位の合計が、ポリエステル樹脂の全構成単位の75モル%以上である。
(5)テトラクロロエタン/フェノール=1/1(重量比)混合溶媒中、25℃で測定したポリエステル樹脂(X)の固有粘度が0.2〜2.0dL/gである。
(6)示差走査熱量計で測定したポリエステル樹脂(X)の降温時結晶化発熱ピークの熱量が5J/g以下である。
(7)充填材の含有量が樹脂組成物に対して20〜80質量%である。
(8)充填材として鱗片状あるいは平板状の充填材を含み、該鱗片状あるいは平板状の充填材の含有量が樹脂組成物に対して18〜70質量%である。
(9)さらに充填材として二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化鉄、酸化アルミニウムおよび酸化マグネシウムからなる群から選ばれる一種以上の粒子状金属酸化物を含み、該金属酸化物の含有量が樹脂組成物に対して2〜20質量%である。
(10)樹脂組成物の損失弾性率の最大値が5×10[N/m]以上である。
【請求項2】
芳香族ジカルボン酸成分に由来するジカルボン酸構成単位中、90モル%以上がイソフタル酸に由来するジカルボン酸構成単位である請求項1に記載の成形材料。
【請求項3】
全ジオール構成単位中、エチレングリコールに由来するジオール成分構成単位が60モル%以上である請求項1に記載の成形材料。
【請求項4】
上記(C)の構成単位が、アゼライン酸、セバシン酸、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよびトリエチレングリコールからなる群から選ばれた1種以上に由来する構成単位である請求項1に記載の成形材料。
【請求項5】
上記(C)の構成単位が、アゼライン酸、セバシン酸およびトリエチレングリコールからなる群から選ばれた1種以上に由来する構成単位である請求項1に記載の成形材料。
【請求項6】
上記(C)の構成単位が、アゼライン酸に由来する構成単位である請求項1に記載の成形材料。
【請求項7】
ポリエステル樹脂中(X)の上記(A)、(B)および(C)の構成単位の合計が、ポリエステル樹脂の全構成単位の90%以上である請求項1に記載の成形材料。
【請求項8】
鱗片状あるいは平板状の充填材がマイカ鱗片である請求項1に記載の成形材料。
【請求項9】
粒子状金属酸化物が二酸化チタンである請求項1に記載の成形材料。
【請求項10】
熱可塑性樹脂及び/または熱硬化性樹脂がポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリイソプレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアセタール樹脂、及び上記樹脂の繊維強化材からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の成形材料
【請求項11】
熱可塑性樹脂及び/または熱硬化性樹脂がポリプロピレン樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の成形材料。
【請求項12】
熱可塑性樹脂及び/または熱硬化性樹脂がABS樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の成形材料。
【請求項13】
熱可塑性樹脂及び/または熱硬化性樹脂がガラス繊維強化ポリプロピレン樹脂であることを特徴とする請求項1記載の成形材料。
【請求項14】
熱可塑性樹脂及び/または熱硬化性樹脂がフェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、及び不飽和ポリエステル樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の成形材料。
【請求項15】
成形材料中の制振材料(α)の含有量が1〜70質量%である請求項1に記載の成形材料。
【請求項16】
成形材料中の制振材料(α)の含有量が5〜60質量%である請求項1に記載の成形材料。
【請求項17】
成形材料中の制振材料(α)の含有量が10〜50質量%である請求項1に記載の成形材料。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれかに記載の成形材料からなる成形品。
【請求項19】
請求項1〜17のいずれかに記載の成形材料を射出成形してなる成形品。

【公開番号】特開2011−74244(P2011−74244A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227662(P2009−227662)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】