成形機、及び射出制御方法
【課題】射出工程中の不具合の抑制を図ることができる成形機を提供する。
【解決手段】一つの実施形態に係る成形機1は、固定金型11が取り付けられる固定盤3と、移動金型12が取り付けられる移動盤4と、移動盤4を進退させ、移動金型12と固定金型11との型締を行う型締駆動機構6と、前記型締の状態に関する情報を検出する検出部31と、射出装置7と、射出工程中に検出部31からの情報を監視し、前記情報から得られた数値により射出装置7の射出圧力を抑制するように制御する制御手段8とを具備する。
【解決手段】一つの実施形態に係る成形機1は、固定金型11が取り付けられる固定盤3と、移動金型12が取り付けられる移動盤4と、移動盤4を進退させ、移動金型12と固定金型11との型締を行う型締駆動機構6と、前記型締の状態に関する情報を検出する検出部31と、射出装置7と、射出工程中に検出部31からの情報を監視し、前記情報から得られた数値により射出装置7の射出圧力を抑制するように制御する制御手段8とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出装置を備えた成形機、及び成形機の射出制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
成形中の異常を検知する種々の成形機が提案されている。
【0003】
特許文献1には、型締力を検出するタイバーセンサを用い、成形中の型締力を検出して監視する射出成形機が開示されている。この射出成形機では、射出によってもたらされた樹脂充填圧が型締完了時の型締力よりも所定量以上大きくなった時に、樹脂充填圧が異常であると判断し、成形動作を直ちに中断する。
【0004】
特許文献2には、型締完了時のタイバーの伸び量を基準として、射出工程中のタイバーの伸び量を検出する射出成形方法が開示されている。この射出成形方法では、タイバーの伸び量の検出値を型開量に換算して波形表示し、その波形表示による型開量から成形品の射出成形に適正な型締力が設定される。
【0005】
特許文献3には、予め定められた最大型締力PMを初期型締力として射出成形を行う射出成形機が開示されている。この射出成形機では、予め設定された設定最大プラテン間距離Lmaxに対する最大プラテン間距離の超過量eが許容超過量Eを超えるまで初期型締力を所定量ΔPずつ減じながら射出成形が繰り返される。そして、超過量eが許容超過量Eを超えた場合に、その直前のショットにおける初期型締力を最適値として量産成形が行われる。
【0006】
特許文献4には、射出充填中の射出圧力を検出する射出成形機が開示されている。この射出成形機では、得られた圧力検出値Dpに予め設定した所定の係数を乗ずることにより、当該圧力検出値Dpを型締力目標値Fcに変換し、得られた型締力目標値Fcで型締力が制御される。
【0007】
特許文献5には、固定金型と可動金型の間の型開量Lを検出する型開量センサと、この型開量センサからの検出信号を用いて駆動源を制御する制御部とを有した射出成形機が開示されている。この射出成形機の制御部は、型閉が完了した後は金型を閉じるために必要な最低の型締力F1で締結を行い、樹脂の充填が開始されると、充填工程の間、前記型開量が一定値L0となるように前記駆動源を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−1028号公報
【特許文献2】特開2004−160682号公報
【特許文献3】特開平8−66951号公報
【特許文献4】特開平8−252849号公報
【特許文献5】特開平7−100893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
成形機の射出工程中の最大射出圧力は、基本的にオペレータが自由に設定することができる。設定された射出圧力が高すぎる場合、型締力が不足し、金型が開き、成形品にバリが発生するなどの不具合を招く可能性がある。
【0010】
本発明の目的は、射出工程中の不具合の抑制を図ることができる成形機及び射出制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明の一つの形態に係る成形機は、固定金型が取り付けられる固定盤と、移動金型が取り付けられる移動盤と、前記移動盤を進退させ、前記移動金型と前記固定金型との型締を行う型締駆動機構と、前記型締の状態に関する情報を検出する検出部と、射出装置と、射出工程中に前記検出部からの情報を監視し、前記情報から得られた数値により前記射出装置の射出圧力を抑制するように制御する制御手段とを具備する。
【0012】
前記目的を達成するために、本発明の一つの形態に係る射出制御方法は、固定金型が取り付けられる固定盤と、移動金型が取り付けられる移動盤と、前記移動盤を進退させ、前記移動金型と前記固定金型との型締を行う型締駆動機構と、前記型締の状態に関する情報を検出する検出部と、射出装置と、を備えた成形機において、射出工程中に前記検出部からの情報を監視し、前記情報から得られた数値により前記射出装置の射出圧力を抑制するように制御する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、射出工程中の不具合の抑制を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係る成形機の側面図。
【図2】図1中に示された制御部の構成を模試的に示すブロック図。
【図3】図1中に示された成形機の射出工程を示すフローチャート。
【図4】図1中に示された成形機の型締力と射出圧力の関係を示すグラフ。
【図5】第2の実施形態に係る成形機の型締力と射出圧力との関係を示すグラフ。
【図6】第3の実施形態に係る成形機の型締力と射出圧力との関係を示すグラフ。
【図7】第3の実施形態の変形例に係る成形機の型締力と射出圧力との関係を示すグラフ。
【図8】第4の実施形態に係る成形機の側面図。
【図9】図8中に示された成形機の金型間距離と射出圧力の関係を示すグラフ。
【図10】第5の実施形態に係る成形機の金型間距離と射出圧力との関係を示すグラフ。
【図11】第6の実施形態に係る成形機の金型間距離と射出圧力との関係を示すグラフ。
【図12】第6の実施形態の変形例に係る成形機の金型間距離と射出圧力との関係を示すグラフ。
【図13】第1の実施形態と関連した成形機の型締力と射出圧力との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、いくつかの実施形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1乃至図4は、本発明の第1の実施形態に係る射出成形機1を開示している。射出成形機1は、「成形機」の一例である。図1に示すように、射出成形機1は、フレーム2、固定盤3、移動盤4、タイバー5、型締駆動機構6、射出装置7、及び制御部8を備えている。
【0017】
フレーム2は、射出成形機1の土台を形成している。フレーム2の上には、図示しないリニアガイドが設けられている。固定盤3は、フレーム2上に固定されている。固定盤3には、固定金型11が取り付けられる。タイバー5は、例えば4本設けられている。タイバー5の一端部(第1の端部)は、固定盤3に固定されている。タイバー5は、固定盤3から移動盤4を通り越して、型締駆動機構6まで延びている。
【0018】
移動盤4は、フレーム2のリニアガイド上に載置されている。移動盤4は、タイバー5またはリニアガイドに案内され、固定盤3に近付く方向と固定盤3から離れる方向とに進退可能である。移動盤4には、移動金型12が取り付けられる。移動金型12は、固定金型11に対向する。移動金型12と固定金型11とが合わされることで、移動金型12と固定金型11との間に製品形状に対応した空間が形成される。
【0019】
型締駆動機構6は、移動盤4に対して、固定盤3とは反対側に設けられている。型締駆動機構6の一例は、トグル機構である。なお、型締駆動機構6の構成は、トグル機構に限らず、例えば油圧シリンダとタイバーを用いた構成やその他の構成であってもよい。本実施形態の型締駆動機構6は、例えば、トグルサポート13(圧受盤)、トグル機構駆動部14、クロスヘッド15、第1のトグルレバー16、第2のトグルレバー17、及びトグルアーム18を備えている。
【0020】
トグルサポート13は、トグル型締装置の支持部であり、フレーム2上に支持されている。トグルサポート13には、タイバー5の他端部(第2の端部)が固定されている。トグル機構駆動部14は、トグルサポート13に設けられ、例えば、型締サーボモータ21、ボールねじ22、及び伝達機構23を備えている。
【0021】
ボールねじ22の先端部には、クロスヘッド15が取り付けられている。ボールねじ22は、回転運動を直線運動に変換する運動方向変換機構の一例である。ボールねじ22が回転されることで、クロスヘッド15が移動盤4に向けて進退(図1中で左右方向の移動)される。
【0022】
伝達機構23は、例えば回転体23a(例えばプーリ)と、この回転体23aに掛けられた線状体23b(例えばタイミングベルト)などで構成されている。伝達機構23は、型締サーボモータ21の回転をボールねじ22に伝達する。これにより、型締サーボモータ21が回転されると、クロスヘッド15が進退される。
【0023】
第1のトグルレバー16は、クロスヘッド15に連結されている。第2のトグルレバー17は、トグルサポート13と第1のトグルレバー16との間に設けられている。トグルアーム18は、第2のトグルレバー17と移動盤4との間に設けられている。トグルサポート13と第2のトグルレバー17との間、第1のトグルレバー16と第2のトグルレバー17との間、第2のトグルレバー17とトグルアーム18との間、クロスヘッド15と第1のトグルレバー16との間、及びトグルアーム18と移動盤4との間は、それぞれ揺動可能にリンク結合されている。
【0024】
クロスヘッド15が進退されると、トグル機構が作動する。すなわち、クロスヘッド15が前進(図1中で右方向に移動)すると、移動盤4が固定盤3に向いて移動され、型閉が行われる。また、トグル倍率が乗じられた型締力が移動盤4に加わり、移動金型12と固定金型11の型締が行われる。なお、トグル機構やトグル機構駆動部の構成は、上記に限定されるものではなく、他の構成であってもよい。
【0025】
図1に示すように、本実施形態の射出成形機1は、型締状態(型閉状態)に関する情報を検出する検出部31を有する。本実施形態に係る検出部31は、例えば型締力に関する情報を検出する。検出部31は、例えばタイバー5に設けられている。検出部31は、例えばタイバー5の伸び量を検出する。タイバー5の伸び量は、「型締力に関する情報」の一例である。
【0026】
検出部31は、検出した型締力に関する情報(型締状態に関する情報/型締の状態に関する情報)を制御部8に送る。なお、「型締力に関する情報(型締状態に関する情報)」とは、直接に計測された型締力などの値に限らず、その情報に基づき制御部8が型締力(または型締状態)を割り出す(算出する)ことができる情報でもよい。検出部31は、1つでもよく、複数設けられてもよい。複数の検出部31を設ける場合は、4本のタイバー5のそれぞれ、又は対角に位置した2つのタイバー5のそれぞれに検出部31を設けてもよい。
【0027】
検出部31は、上記例に限らず、例えば型締サーボモータ21の回転数またはトルクを検出するセンサでもよい。制御部8は、例えば型締サーボモータ21の回転数またはトルクなどの情報から型締力を割り出してもよい。
【0028】
また、検出部31は、例えば型締駆動機構6に含まれる1つ又は複数の部材の位置から型締の状態に関する情報を得るものでもよい。検出部31の一例は、例えばクロスヘッド15の位置を検出するセンサである。ここで、クロスヘッド15の位置を検出するセンサは、直接にクロスヘッド15の位置を検出する位置センサだけでなく、型締サーボモータ21の回転数またはトルクなどを測定するセンサなど、センサの検出結果から制御部8を用いてクロスヘッド15の位置を検出することができるセンサであれば特に限定されない。クロスヘッド15の位置を検出することでも、型締力に関する情報を得ることができる。なお、検出部31は、その他のセンサであってもよい。
【0029】
次に、射出装置7について説明する。
射出装置7は、固定盤3の背後に設けられている。射出装置7は、加熱バレル41、スクリュ42、計量部43、及び射出装置駆動部44を備えている。加熱バレル41は、溶湯材料を金型内に注入するノズル41aを備えるとともに、ホッパ45に接続されている。スクリュ42は、加熱バレル41の内部で進退自在(図1中で左右方向に移動可能)に設けられている。
【0030】
計量部43は、計量用サーボモータ46と、この計量用サーボモータ46の回転をスクリュ42に伝える伝達機構47とを有する。伝達機構47は、例えば回転体47a(例えばプーリ)と、この回転体47aに掛けられた線状体47b(例えばタイミングベルト)などで構成されている。計量用サーボモータ46が駆動され、加熱バレル41内でスクリュ42が回転されると、原料の樹脂がホッパ45から加熱バレル41内に導入される。導入された樹脂は、加熱及び混練されながら加熱バレル41の先端側に送られ、溶融樹脂となって加熱バレル41の先端部分に貯えられる。ここで、原料は樹脂に限定されることはなく、金属、ガラス、ゴム、炭素繊維を含む炭化化合物など成形材料として用いることができるものであれば何でもよい。
【0031】
射出装置駆動部44は、射出用サーボモータ51、ボールねじ52、及び伝達機構53を有する。ボールねじ52は、回転運動を直線運動に変換する運動方向変換機構の一例であり、スクリュ42に連動している。ボールねじ52が回転されることで、加熱バレル41内でスクリュ42が進退(図1中で左右方向の移動)される。
【0032】
伝達機構53は、例えば回転体53a(例えばプーリ)と、この回転体53aに掛けられた線状体53b(例えばタイミングベルト)などで構成されている。伝達機構53は、射出用サーボモータ51の回転をボールねじ52に伝達する。これにより、射出用サーボモータ51が回転されると、スクリュ42が進退される。なお、射出装置駆動部44の構成は、上記に限定されるものではなく、他の構成であってもよい。
【0033】
射出装置7は、該射出装置7の射出圧力に関する情報を検出する射出圧力検出部55を備えている。なお射出圧力検出部55は、図中の位置にあるものに限らず、射出装置7のその他の位置に設けてもよい。射出圧力検出部55は、検出した射出圧力に関する情報を制御部8に送る。なお、「射出圧力に関する情報」とは、直接に計測された射出圧力の値に限らず、その情報に基づき制御部8が射出圧力を割り出す(算出する)ことができる情報でもよい。なお、直接に計測される射出装置7の射出圧力は、例えば、射出圧力検出部55を圧力センサとすることにより得られる。また、射出圧力に関する情報に基づき制御部8が割り出す射出装置7の射出圧力は、例えば、射出用サーボモータ51の駆動を制御することで、すなわちスクリュ42の前進速度(射出速度)を制御することで、制御される。
【0034】
図1に示すように、射出成形機1は、マン・マシン・インターフェイス(以下、MMI/F)60を有する。MMI/F60は、ヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)とも呼ばれる。オペレータは、MMI/F60を通じて、射出成形機1の動作に関する指令などの設定を入力することができる。MMI/F60を通じて入力可能な情報の一例は、例えば射出装置7の射出工程中の最大射出圧力の設定値P1や、型締力の設定値、通常モードから後述する射出圧力抑制モードへ移行する条件の設定などである。
【0035】
制御部8は、「制御手段」の一例である。制御部8は、射出工程中に検出部31から受け取る情報を監視し、その情報から得られた数値(すなわちその情報に含まれた数値、またはその情報に含まれた数値から算出される数値)が予め設定された閾値を越えた時に、射出装置7の射出圧力を抑制するように制御する。つまり、制御部8は、射出工程中に検出部31からの情報を監視し、その情報から得られた数値により(数値に基づき)射出装置7の射出圧力を抑制するように制御する。
【0036】
本実施形態では、制御部8は、検出部31の情報から得られた射出開始時の型締の状態に関する数値を記憶し、この数値を前記閾値として使用する。また本実施形態では、制御部8は、射出開始時の型締力を前記閾値として使用する。すなわち、制御部8は、検出部31の情報から得られた射出工程中の型締力の値が、前記閾値として設定された射出開始時の型締力の値を超えた時に、射出圧力を制御する。
【0037】
詳しく述べると、制御部8の一例は、情報処理部61、設定部62、記憶部63、及び射出装置制御部64を含む。なおこれらの機能はそれぞれ独立して設けられてもよいが、いくつかの機能が複合して設けられてもよい。
【0038】
設定部62は、MMI/F60を通じて入力された情報を格納する。設定部62は、例えば、オペレータから入力された最大射出圧力の設定値P1(第1の設定値、または初期設定値)や、型締力の設定値、通常モードから射出圧力抑制モードへ移行する条件の設定などに関する情報を格納する。記憶部63は、検出部31の情報から得られた射出開始時(型締完了時)の型締状態に関する情報を格納する。本実施形態では、記憶部63は、射出開始時の型締力の値を記憶する。
【0039】
射出装置制御部64は、射出用サーボモータ51の駆動を制御する。射出装置制御部64は、例えば射出用サーボモータ51の駆動を制御することで、射出装置7の射出圧力を制御する。射出装置制御部64は、射出圧力検出部55から射出圧力に関する実測値を受け取る。射出装置制御部64は、射出圧力検出部55からの実測値を参照しながら、射出圧力の大きさを任意の値に制御する。射出装置制御部64は、通常モードでは、オペレータから入力された最大射出圧力の設定値P1に基づき、すなわち該最大射出圧力の設定値P1を超えないように射出圧力を制御する。
【0040】
情報処理部61は、設定部62との間で情報をやり取りし、オペレータから入力された最大射出圧力の設定値P1や、型締力の設定値、通常モードから射出圧力抑制モードへ移行する条件の設定などを参照する。
【0041】
また情報処理部61は、監視部の一例であり、検出部31から送られた型締状態に関する情報、例えば型締力に関する情報を監視する。情報処理部61は、検出部31の情報から得られた射出工程中の型締力の値を、記憶部63に格納された「射出開始時の型締力の値」と比較し、大小関係を判定する。情報処理部61は、射出工程中の型締力の値が、射出開始時の型締力の値を超えた時に、オペレータが設定した最大射出圧力の設定値P1を過大と認定し、通常モードから射出圧力抑制モードへ移行させる。
【0042】
射出圧力抑制モードの一例では、制御部8は、射出装置7の射出圧力の設定値(例えば最大射出圧力の設定値)を、該設定値から引き下げられた新しい設定値に自動で更新し、この新しい設定値に基づき、検出部31の情報から得られる数値が前記閾値以下に低下するように射出圧力を制御する。
【0043】
本実施形態では、制御部8は、射出工程中の型締力の値が、記憶部63に記憶された射出開始時の型締力の値(すなわち閾値)を超えて上昇を始めた時(図4中のt1)の射出圧力の値を、それ以降の射出圧力の最大値として設定する。そして、この最大値を超えないようにそれ以降の射出圧力が制御される。すなわち、図4中のt1の射出圧力の値を、新しい最大射出圧力の設定値P2(第2の設定値)として初期の設定値P1から更新し、この新しい設定値P2に基づき、それ以降の射出圧力が制御される。
【0044】
次に、本実施形態の制御部8の作用について、図3及び図4を参照して説明する。ただし、図4において、時間t1以降の射出圧力と型締力の波形で山を描いている部分は、説明の都合上、誇張して説明している。
【0045】
図3に示すように、まず、射出開始時の型締力に関する情報が検出部31によって検出される。この情報は、制御部8に送られ、必要に応じて加工されて閾値として記憶部63に格納される(ステップS11)。図4に示すように、本実施形態の射出工程中の型締力の大きさは、例えば射出開始時から一定に制御される。すなわち、本実施形態の射出工程中の型締力は、オペレータから入力された最大射出圧力の設定値P1が過大でない限り、射出開始時の値に保たれる。制御部8は、通常モードで制御を行い、オペレータから設定された最大射出圧力の設定値P1を超えない範囲で射出圧力が制御される。
【0046】
図3に示すように、検出部31は、射出工程中の型締力に関する情報を検出し、その情報を制御部8に送る(ステップS12)。制御部8は、検出部31の情報から得られた射出工程中の型締力の値を、記憶部63に格納された射出開始時の型締力の値と比較する(ステップS13)。そして、射出工程中の型締力が、射出開始時の型締力の値(すなわち閾値)よりも小さい状態が射出工程完了まで続けば、通常モードで射出工程が完了される。
【0047】
一方で、オペレータが設定した最大射出圧力の設定値P1が高すぎる場合、図4に示すように、射出圧力の増加に伴い、金型が開こうとし、これにより射出工程中の型締力が増加する。図3に示すように、制御部8は、射出工程中の型締力の値を、射出開始時の型締力の値と比較し、射出工程中の型締力が、射出開始時の型締力の値よりも大きくなると、型締力の増加を検知する(ステップS14)。
【0048】
制御部8が型締力の増加を検知すると、制御部8は、射出成形機1の動作を通常モードから射出圧力抑制モードに移行させる。具体的には、図3及び図4に示すように、射出工程中の型締力が閾値を越えて上昇を開始したタイミング(図4中のt1)の射出圧力を、射出工程中の新しい最大射出圧力の設定値P2として設定し直す(ステップS15)。すなわち、制御部8は、それ以降の射出工程では、この新しい最大射出圧力の設定値P2を超えないように射出圧力を制御する。
【0049】
これにより、図4に示すように、型締力が上昇を開始したタイミング以降の射出圧力は抑制される。射出圧力は、低く設定され直した新しい最大射出圧力の設定値P2まで低下し、例えばこの新しい最大射出圧力の設定値P2で維持される。これに伴い、射出工程中の型締力は、射出開始時の値(すなわち閾値)まで低下し、この射出開始時の値で維持される。そして、図3に示すように、射出工程が完了する(ステップS16)。
【0050】
このような構成によれば、射出工程中の不具合を抑制することができる。
ここで比較のため、本実施形態の制御部8を有しない射出成形機について図13を参照して説明する。図13に示すように、オペレータが設定した最大射出圧力の設定値P1が高すぎる場合、射出圧力の増加に伴い、射出工程中の型締力が増加する。そして、オペレータが設定した最大射出圧力の設定値P1に達するまで射出圧力が増加し、その時点まで型締力も増加し続ける。
【0051】
オペレータが設定した射出圧力の設定値が高すぎる場合、射出圧力に対して型締力が不足し、金型が開き、成形品のバリ発生や金型破損などの不具合を招く可能性がある。トグル式型締装置の場合、型締力が増加し、型締装置が破損する可能性がある。
【0052】
一方で、本実施形態に係る射出成形機1は、射出工程中に検出部31からの情報を監視し、前記情報から得られた数値が予め設定された閾値を越えた時に、射出装置7の射出圧力を抑制するように制御する制御部8を有する。これにより、射出工程中の型締力が大きく増加する前に、射出圧力が抑制され、成形品にバリが発生する可能性が小さくなる。その結果、成形不良を抑制でき、高効率に成形品の生産を行うことが可能となる。また、射出工程中の型締力の増加が抑制されるので、金型や型締装置の破損を抑制することができる。
【0053】
本実施形態では、制御部8は、前記数値が前記閾値を越えて増加を始めた時の射出圧力を、射出圧力の最大値として設定し、この最大値を越えないようにそれ以降の射出圧力を制御する。これによれば、型締力が過大にならない範囲で比較的大きな射出圧力を維持することができるので、射出圧力を低下させることによる充填不足などの不具合を抑制することができる。
【0054】
次に、第1の実施形態の一つの変形例に係る射出成形機1及び射出制御方法について説明する。一般的に射出工程では、例えば、検出部31の特性や制御部8での演算などによってもたらされる(引き起こされる)誤差により、型締力の値が多少なりともバラつくことがある。例えば50[MPa]の型締力で型締した場合でも、49.9[MPa]または49.8[MPa]など、多少バラつくことがある。
【0055】
本変形例は、上記誤差を考慮したものであり、制御部8は、射出工程中の監視区間において、所定のサンプリング周期(制御周期)を設定し、このサンプリング周期毎に型締の状態に関する数値(例えば型締力)を監視する。すなわち、制御部8は、所定の時間間隔で、型締の状態に関する数値を継続的に監視する。そして、あるサンプリング周期(制御周期)の時点での閾値として、その一つ前(すなわち直前)のサンプリング周期の時に検出された型締の状態に関する数値を使用する。すなわち、制御部8は、例えば射出工程中の型締力が、一つ前のサンプリング周期の時に得られた型締力を超えた時に、射出圧力抑制モードに移行させる。なお「サンプリング周期の時」とは、いわゆる「サンプリング周期時(制御周期時)」のことであり、それぞれ所定の長さを有する複数のサンプリング周期のなかの、ある時点において実行されているサンプリング周期を指す。
【0056】
一例としては、例えば射出開始時の型締力が50[MPa]であった場合、本変形例の制御部8は、射出開始時の型締力が50[MPa]ということに関わらず、射出工程中、常に型締力を監視し、射出工程中のある時点での型締力がその一つ前のサンプリング周期の時に得られた型締力を超えた時、その時の射出圧力を射出工程中の最大射出圧力として射出圧力制御を行う。このような構成によっても、上記第1の実施形態と同様に、射出工程中の不具合を抑制することができる。
【0057】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る射出成形機1及び射出制御方法について、図5を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また下記に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態と同じである。
【0058】
本実施形態では、制御部8は、検出部31の情報から得られた射出開始時の型締の状態に関する数値に、予め設定された数値またはユーザ設定により入力された数値を加えたものを前記閾値として使用する。
【0059】
制御部8の一例は、射出開始時の型締力の値に、例えば射出成形機1の内部パラメータとして予め設定された値、またはMMI/F60を通じてオペレータから入力された値を加えた数値を、前記閾値(型締力上限値)として使用する。制御部8は、射出工程中の型締力の値がこの閾値(型締力上限値)を超えたときに、オペレータが設定した最大射出圧力の設定値P1を過大と認定し、通常モードから射出圧力抑制モードへ移行させる。
【0060】
なお制御部8は、上記構成に代えて、射出工程中の所定のサンプリング周期毎に型締の状態に関する数値(例えば型締力)を監視し、一つ前のサンプリング周期の時に検出された型締の状態に関する数値(例えば型締力)に予め設定された数値またはユーザ設定により入力された数値を加えたものを前記閾値として使用するようにしてもよい。
【0061】
なお、制御部8は、上記2つの構成に代えて、型締力上限値の絶対値(閾値の絶対値)を、内部パラメータで予め設定された値またはオペレータから入力された値で設定してもよい。すなわち、制御部8は、射出工程中の型締力が内部パラメータで予め設定された値またはオペレータから入力された値を超えた時に、通常モードから射出圧力抑制モードへ移行させる。
【0062】
これらの構成によっても、上記第1の実施形態と同様に、射出工程中の不具合を抑制することができる。また、前記閾値としての型締力上限値を任意に設定することができるので、射出工程の制御に関する自由度が高まる。
【0063】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る射出成形機1及び射出制御方法について、図6を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また下記に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態と同じである。
【0064】
図6に示すように、本実施形態では、射出工程中の型締力は射出開始時から一定ではなく、射出開始時から増加する。本実施形態では、射出開始時の型締力に代えて、種々の値を前記閾値として使用することができる。例えば、射出開始から所定時間経過後の型締力の値を、前記閾値として使用してもよい。
【0065】
また、図7は、本実施形態の一つの変形例を示す。図7に示す変形例では、上記第2の実施形態と同様に、予め設定された数値またはユーザ設定により入力された数値に基づき前記閾値が設定されてもよい。
【0066】
これらの構成によっても、上記第1の実施形態と同様に、射出工程中の不具合を抑制することができる。
【0067】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係る射出成形機1及び射出制御方法について、図8及び図9を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また下記に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態と同じである。
【0068】
図8に示すように、本実施形態の射出成形機1は、型締状態(型閉状態)に関する情報(型締の状態(型閉の状態)に関する情報)を検出する検出部31として、金型間距離に関する情報を検出する型開き量センサを有する。検出部31の一例は、固定金型11及び移動金型12の少なくとも一方に取り付けられた距離センサであり、固定金型11と移動金型12の間の金型間距離に関する情報を検出する。なお「金型間距離に関する情報」とは、直接に計測された金型間距離の値に限らず、この情報に基づき制御部8が金型間距離を割り出す(算出する)ことができる情報でもよい。検出部31は、1つでもよく、複数設けられてもよい。
【0069】
なお、検出部31は、上記例に限らず、移動盤4及び固定盤3の少なくとも一方に取り付けられた距離センサや、型締装置に設けられたビジョンセンサ(カメラやビデオカメラ)でもよい。距離センサの駆動原理は、光学式、磁気式、磁歪式、超音波式、抵抗体(ポテンションメータ)式、作動トランス式など種々のものがあり、またそれぞれに回転式と直線式の何れかまたは双方のものがあるが、これらは適宜、適用可能である。距離センサとしては、直線式のものが好ましいが、回転式のものであれば、ラックとピニオンを用いて直線式に変換して使用してもよい。またビジョンセンサは、例えばスタンドに取り付けられ、型締装置とは別体に設けられてもよい。また、検出部31は、型締力に関する情報の一例であるタイバー5の伸び量や、クロスヘッド15の位置など、型締力に関する情報を検出し、この情報に基づき制御部8で金型間距離を割り出す(算出する)ことにより、金型間距離に関する情報を検出してもよい。
【0070】
図9に示すように、本実施形態では、制御部8は、射出開始時の金型間距離の値を前記閾値として使用する。制御部8は、検出部31の情報から得られた射出工程中の金型間距離の値が、前記閾値として設定された射出開始時の金型間距離の値を超えた時に、射出圧力を制御する。
【0071】
詳しく述べると、記憶部63は、射出開始時の金型間距離の値を記憶する。情報処理部61は、検出部31から送られた金型間距離に関する情報を監視する。情報処理部61は、検出部31の情報から得られた射出工程中の金型間距離の値を、記憶部63に格納された「射出開始時の金型間距離の値」と比較し、大小関係を判定する。情報処理部61は、射出工程中の金型間距離の値が、射出開始時の金型間距離の値を超えた時に、オペレータが設定した最大射出圧力の設定値P1を過大と認定し、通常モードから射出圧力抑制モードへ移行させる。その他の詳細は、例えば第1の実施形態の「型締力」との文言を「金型間距離」と読み直して適用することができる。
【0072】
なお、第1の実施形態の変形例と同様に、制御部8は、射出工程中の監視区間において、所定のサンプリング周期(制御周期)を設定し、このサンプリング周期毎に金型間距離を監視してもよい。すなわち、制御部8は、所定の時間間隔で、金型間距離を継続的に監視する。そして、あるサンプリング周期(制御周期)の時点での閾値として、一つ前のサンプリング周期の時に検出された金型間距離の値を使用する。すなわち、制御部8は、例えば射出工程中の金型間距離の値が、一つ前のサンプリング周期の時に得られた金型間距離の値を超えた時に、射出圧力抑制モードに移行させる。
【0073】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態に係る射出成形機1及び射出制御方法について、図10を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また下記に説明する以外の構成は、上記第4の実施形態と同じである。
【0074】
本実施形態では、上記第2の実施形態と同様に、例えば内部パラメータとして予め設定された数値またはユーザ設定により入力された数値により前記閾値が設定される。
【0075】
制御部8の一例は、射出開始時の金型間距離の値に、例えば射出成形機1の内部パラメータとして予め設定された値、またはMMI/F60を通じてオペレータから入力された値を加えた数値を、閾値(金型間距離の上限値)として使用する。制御部8は、射出工程中の金型間距離の値がこの閾値(金型間距離の上限値)を超えたときに、オペレータが設定した最大射出圧力の設定値P1を過大と認定し、通常モードから射出圧力抑制モードへ移行させる。
【0076】
なお制御部8は、上記構成に代えて、射出工程中の所定のサンプリング周期毎に金型間距離の値を監視し、一つ前のサンプリング周期の時に検出された金型間距離の値に予め設定された数値またはユーザ設定により入力された数値を加えたものを前記閾値として使用してもよい。
【0077】
なお、制御部8は、上記2つの構成に代えて、金型間距離の上限値の絶対値(閾値の絶対値)を、内部パラメータで予め設定された値またはオペレータから入力された値で設定してもよい。すなわち、制御部8は、射出工程中の金型間距離が内部パラメータで予め設定された値またはオペレータから入力された値を超えた時に、通常モードから射出圧力抑制モードへ移行させてもよい。
【0078】
これらの構成によっても、上記第4の実施形態と同様に、射出工程中の不具合を抑制することができる。また、前記閾値としての金型間距離の上限値を任意に設定することができるので、射出工程の制御に関する自由度が高まる。
【0079】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態に係る射出成形機1及び射出制御方法について、図11を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また下記に説明する以外の構成は、上記第4の実施形態と同じである。
【0080】
本実施形態では、上記第3の実施形態に類似しており、射出工程中の金型間距離は一定ではなく、射出開始時から減少する。本変形例では、射出開始時の金型間距離に代えて、種々の値を前記閾値として使用することができる。例えば、射出開始から所定時間経過後の金型間距離の値を、前記閾値として使用してもよい。
【0081】
図12は、本実施形態の変形例を示す。図12に示す変形例は、本実施形態に上記第3の実施形態の変形例を適用したもので、例えば、本実施形態の射出工程中の金型間距離と、予め設定された数値またはユーザ設定により入力された数値に基づき前記閾値が設定されてもよい。
【0082】
これらの構成によっても、上記第1の実施形態と同様に、射出工程中の不具合を抑制することができる。
【0083】
以上、第1乃至第6の実施形態及びいくつかの変形例について説明したが、本発明の実施形態はこれらに限定されるものではない。各実施形態に係る構成要素は、適宜組み合わせて実施することができる。また、本発明は、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0084】
上記第1乃至第6の実施形態では、制御部8は、検出部31の情報から得られた数値が閾値を越えた時の射出圧力を、射出圧力の新しい設定値P2としているが、これに限られるものではない。制御部8は、例えば予め設定された内部パラメータまたはユーザ設定にて、射出圧力の任意の低減値が設定されていてもよい。すなわち、最大射出圧力の設定値P1を、任意の設定量だけ小さくして新しい設定値P2としてもよい。
【0085】
通常モードから射出圧力抑制モードに移る条件の閾値は、型締力の値や金型間距離の値に限られず、例えば型締力や金型間距離とは異なる他の要素に関する値であってもよい。また閾値は、射出開始時の値や、内部パラメータまたはユーザ設定により入力された数値に限らず、その他の数値であってもよい。本発明は、射出成形機に限らず、ダイカストマシンやトランスファ成形機など他の成形機にも適用することができ、射出成形機と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0086】
1…射出成形機、3…固定盤、4…移動盤、6…型締駆動機構、7…射出装置、8…制御部、11…固定金型、12…移動金型、31…検出部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出装置を備えた成形機、及び成形機の射出制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
成形中の異常を検知する種々の成形機が提案されている。
【0003】
特許文献1には、型締力を検出するタイバーセンサを用い、成形中の型締力を検出して監視する射出成形機が開示されている。この射出成形機では、射出によってもたらされた樹脂充填圧が型締完了時の型締力よりも所定量以上大きくなった時に、樹脂充填圧が異常であると判断し、成形動作を直ちに中断する。
【0004】
特許文献2には、型締完了時のタイバーの伸び量を基準として、射出工程中のタイバーの伸び量を検出する射出成形方法が開示されている。この射出成形方法では、タイバーの伸び量の検出値を型開量に換算して波形表示し、その波形表示による型開量から成形品の射出成形に適正な型締力が設定される。
【0005】
特許文献3には、予め定められた最大型締力PMを初期型締力として射出成形を行う射出成形機が開示されている。この射出成形機では、予め設定された設定最大プラテン間距離Lmaxに対する最大プラテン間距離の超過量eが許容超過量Eを超えるまで初期型締力を所定量ΔPずつ減じながら射出成形が繰り返される。そして、超過量eが許容超過量Eを超えた場合に、その直前のショットにおける初期型締力を最適値として量産成形が行われる。
【0006】
特許文献4には、射出充填中の射出圧力を検出する射出成形機が開示されている。この射出成形機では、得られた圧力検出値Dpに予め設定した所定の係数を乗ずることにより、当該圧力検出値Dpを型締力目標値Fcに変換し、得られた型締力目標値Fcで型締力が制御される。
【0007】
特許文献5には、固定金型と可動金型の間の型開量Lを検出する型開量センサと、この型開量センサからの検出信号を用いて駆動源を制御する制御部とを有した射出成形機が開示されている。この射出成形機の制御部は、型閉が完了した後は金型を閉じるために必要な最低の型締力F1で締結を行い、樹脂の充填が開始されると、充填工程の間、前記型開量が一定値L0となるように前記駆動源を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−1028号公報
【特許文献2】特開2004−160682号公報
【特許文献3】特開平8−66951号公報
【特許文献4】特開平8−252849号公報
【特許文献5】特開平7−100893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
成形機の射出工程中の最大射出圧力は、基本的にオペレータが自由に設定することができる。設定された射出圧力が高すぎる場合、型締力が不足し、金型が開き、成形品にバリが発生するなどの不具合を招く可能性がある。
【0010】
本発明の目的は、射出工程中の不具合の抑制を図ることができる成形機及び射出制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明の一つの形態に係る成形機は、固定金型が取り付けられる固定盤と、移動金型が取り付けられる移動盤と、前記移動盤を進退させ、前記移動金型と前記固定金型との型締を行う型締駆動機構と、前記型締の状態に関する情報を検出する検出部と、射出装置と、射出工程中に前記検出部からの情報を監視し、前記情報から得られた数値により前記射出装置の射出圧力を抑制するように制御する制御手段とを具備する。
【0012】
前記目的を達成するために、本発明の一つの形態に係る射出制御方法は、固定金型が取り付けられる固定盤と、移動金型が取り付けられる移動盤と、前記移動盤を進退させ、前記移動金型と前記固定金型との型締を行う型締駆動機構と、前記型締の状態に関する情報を検出する検出部と、射出装置と、を備えた成形機において、射出工程中に前記検出部からの情報を監視し、前記情報から得られた数値により前記射出装置の射出圧力を抑制するように制御する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、射出工程中の不具合の抑制を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係る成形機の側面図。
【図2】図1中に示された制御部の構成を模試的に示すブロック図。
【図3】図1中に示された成形機の射出工程を示すフローチャート。
【図4】図1中に示された成形機の型締力と射出圧力の関係を示すグラフ。
【図5】第2の実施形態に係る成形機の型締力と射出圧力との関係を示すグラフ。
【図6】第3の実施形態に係る成形機の型締力と射出圧力との関係を示すグラフ。
【図7】第3の実施形態の変形例に係る成形機の型締力と射出圧力との関係を示すグラフ。
【図8】第4の実施形態に係る成形機の側面図。
【図9】図8中に示された成形機の金型間距離と射出圧力の関係を示すグラフ。
【図10】第5の実施形態に係る成形機の金型間距離と射出圧力との関係を示すグラフ。
【図11】第6の実施形態に係る成形機の金型間距離と射出圧力との関係を示すグラフ。
【図12】第6の実施形態の変形例に係る成形機の金型間距離と射出圧力との関係を示すグラフ。
【図13】第1の実施形態と関連した成形機の型締力と射出圧力との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、いくつかの実施形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1乃至図4は、本発明の第1の実施形態に係る射出成形機1を開示している。射出成形機1は、「成形機」の一例である。図1に示すように、射出成形機1は、フレーム2、固定盤3、移動盤4、タイバー5、型締駆動機構6、射出装置7、及び制御部8を備えている。
【0017】
フレーム2は、射出成形機1の土台を形成している。フレーム2の上には、図示しないリニアガイドが設けられている。固定盤3は、フレーム2上に固定されている。固定盤3には、固定金型11が取り付けられる。タイバー5は、例えば4本設けられている。タイバー5の一端部(第1の端部)は、固定盤3に固定されている。タイバー5は、固定盤3から移動盤4を通り越して、型締駆動機構6まで延びている。
【0018】
移動盤4は、フレーム2のリニアガイド上に載置されている。移動盤4は、タイバー5またはリニアガイドに案内され、固定盤3に近付く方向と固定盤3から離れる方向とに進退可能である。移動盤4には、移動金型12が取り付けられる。移動金型12は、固定金型11に対向する。移動金型12と固定金型11とが合わされることで、移動金型12と固定金型11との間に製品形状に対応した空間が形成される。
【0019】
型締駆動機構6は、移動盤4に対して、固定盤3とは反対側に設けられている。型締駆動機構6の一例は、トグル機構である。なお、型締駆動機構6の構成は、トグル機構に限らず、例えば油圧シリンダとタイバーを用いた構成やその他の構成であってもよい。本実施形態の型締駆動機構6は、例えば、トグルサポート13(圧受盤)、トグル機構駆動部14、クロスヘッド15、第1のトグルレバー16、第2のトグルレバー17、及びトグルアーム18を備えている。
【0020】
トグルサポート13は、トグル型締装置の支持部であり、フレーム2上に支持されている。トグルサポート13には、タイバー5の他端部(第2の端部)が固定されている。トグル機構駆動部14は、トグルサポート13に設けられ、例えば、型締サーボモータ21、ボールねじ22、及び伝達機構23を備えている。
【0021】
ボールねじ22の先端部には、クロスヘッド15が取り付けられている。ボールねじ22は、回転運動を直線運動に変換する運動方向変換機構の一例である。ボールねじ22が回転されることで、クロスヘッド15が移動盤4に向けて進退(図1中で左右方向の移動)される。
【0022】
伝達機構23は、例えば回転体23a(例えばプーリ)と、この回転体23aに掛けられた線状体23b(例えばタイミングベルト)などで構成されている。伝達機構23は、型締サーボモータ21の回転をボールねじ22に伝達する。これにより、型締サーボモータ21が回転されると、クロスヘッド15が進退される。
【0023】
第1のトグルレバー16は、クロスヘッド15に連結されている。第2のトグルレバー17は、トグルサポート13と第1のトグルレバー16との間に設けられている。トグルアーム18は、第2のトグルレバー17と移動盤4との間に設けられている。トグルサポート13と第2のトグルレバー17との間、第1のトグルレバー16と第2のトグルレバー17との間、第2のトグルレバー17とトグルアーム18との間、クロスヘッド15と第1のトグルレバー16との間、及びトグルアーム18と移動盤4との間は、それぞれ揺動可能にリンク結合されている。
【0024】
クロスヘッド15が進退されると、トグル機構が作動する。すなわち、クロスヘッド15が前進(図1中で右方向に移動)すると、移動盤4が固定盤3に向いて移動され、型閉が行われる。また、トグル倍率が乗じられた型締力が移動盤4に加わり、移動金型12と固定金型11の型締が行われる。なお、トグル機構やトグル機構駆動部の構成は、上記に限定されるものではなく、他の構成であってもよい。
【0025】
図1に示すように、本実施形態の射出成形機1は、型締状態(型閉状態)に関する情報を検出する検出部31を有する。本実施形態に係る検出部31は、例えば型締力に関する情報を検出する。検出部31は、例えばタイバー5に設けられている。検出部31は、例えばタイバー5の伸び量を検出する。タイバー5の伸び量は、「型締力に関する情報」の一例である。
【0026】
検出部31は、検出した型締力に関する情報(型締状態に関する情報/型締の状態に関する情報)を制御部8に送る。なお、「型締力に関する情報(型締状態に関する情報)」とは、直接に計測された型締力などの値に限らず、その情報に基づき制御部8が型締力(または型締状態)を割り出す(算出する)ことができる情報でもよい。検出部31は、1つでもよく、複数設けられてもよい。複数の検出部31を設ける場合は、4本のタイバー5のそれぞれ、又は対角に位置した2つのタイバー5のそれぞれに検出部31を設けてもよい。
【0027】
検出部31は、上記例に限らず、例えば型締サーボモータ21の回転数またはトルクを検出するセンサでもよい。制御部8は、例えば型締サーボモータ21の回転数またはトルクなどの情報から型締力を割り出してもよい。
【0028】
また、検出部31は、例えば型締駆動機構6に含まれる1つ又は複数の部材の位置から型締の状態に関する情報を得るものでもよい。検出部31の一例は、例えばクロスヘッド15の位置を検出するセンサである。ここで、クロスヘッド15の位置を検出するセンサは、直接にクロスヘッド15の位置を検出する位置センサだけでなく、型締サーボモータ21の回転数またはトルクなどを測定するセンサなど、センサの検出結果から制御部8を用いてクロスヘッド15の位置を検出することができるセンサであれば特に限定されない。クロスヘッド15の位置を検出することでも、型締力に関する情報を得ることができる。なお、検出部31は、その他のセンサであってもよい。
【0029】
次に、射出装置7について説明する。
射出装置7は、固定盤3の背後に設けられている。射出装置7は、加熱バレル41、スクリュ42、計量部43、及び射出装置駆動部44を備えている。加熱バレル41は、溶湯材料を金型内に注入するノズル41aを備えるとともに、ホッパ45に接続されている。スクリュ42は、加熱バレル41の内部で進退自在(図1中で左右方向に移動可能)に設けられている。
【0030】
計量部43は、計量用サーボモータ46と、この計量用サーボモータ46の回転をスクリュ42に伝える伝達機構47とを有する。伝達機構47は、例えば回転体47a(例えばプーリ)と、この回転体47aに掛けられた線状体47b(例えばタイミングベルト)などで構成されている。計量用サーボモータ46が駆動され、加熱バレル41内でスクリュ42が回転されると、原料の樹脂がホッパ45から加熱バレル41内に導入される。導入された樹脂は、加熱及び混練されながら加熱バレル41の先端側に送られ、溶融樹脂となって加熱バレル41の先端部分に貯えられる。ここで、原料は樹脂に限定されることはなく、金属、ガラス、ゴム、炭素繊維を含む炭化化合物など成形材料として用いることができるものであれば何でもよい。
【0031】
射出装置駆動部44は、射出用サーボモータ51、ボールねじ52、及び伝達機構53を有する。ボールねじ52は、回転運動を直線運動に変換する運動方向変換機構の一例であり、スクリュ42に連動している。ボールねじ52が回転されることで、加熱バレル41内でスクリュ42が進退(図1中で左右方向の移動)される。
【0032】
伝達機構53は、例えば回転体53a(例えばプーリ)と、この回転体53aに掛けられた線状体53b(例えばタイミングベルト)などで構成されている。伝達機構53は、射出用サーボモータ51の回転をボールねじ52に伝達する。これにより、射出用サーボモータ51が回転されると、スクリュ42が進退される。なお、射出装置駆動部44の構成は、上記に限定されるものではなく、他の構成であってもよい。
【0033】
射出装置7は、該射出装置7の射出圧力に関する情報を検出する射出圧力検出部55を備えている。なお射出圧力検出部55は、図中の位置にあるものに限らず、射出装置7のその他の位置に設けてもよい。射出圧力検出部55は、検出した射出圧力に関する情報を制御部8に送る。なお、「射出圧力に関する情報」とは、直接に計測された射出圧力の値に限らず、その情報に基づき制御部8が射出圧力を割り出す(算出する)ことができる情報でもよい。なお、直接に計測される射出装置7の射出圧力は、例えば、射出圧力検出部55を圧力センサとすることにより得られる。また、射出圧力に関する情報に基づき制御部8が割り出す射出装置7の射出圧力は、例えば、射出用サーボモータ51の駆動を制御することで、すなわちスクリュ42の前進速度(射出速度)を制御することで、制御される。
【0034】
図1に示すように、射出成形機1は、マン・マシン・インターフェイス(以下、MMI/F)60を有する。MMI/F60は、ヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)とも呼ばれる。オペレータは、MMI/F60を通じて、射出成形機1の動作に関する指令などの設定を入力することができる。MMI/F60を通じて入力可能な情報の一例は、例えば射出装置7の射出工程中の最大射出圧力の設定値P1や、型締力の設定値、通常モードから後述する射出圧力抑制モードへ移行する条件の設定などである。
【0035】
制御部8は、「制御手段」の一例である。制御部8は、射出工程中に検出部31から受け取る情報を監視し、その情報から得られた数値(すなわちその情報に含まれた数値、またはその情報に含まれた数値から算出される数値)が予め設定された閾値を越えた時に、射出装置7の射出圧力を抑制するように制御する。つまり、制御部8は、射出工程中に検出部31からの情報を監視し、その情報から得られた数値により(数値に基づき)射出装置7の射出圧力を抑制するように制御する。
【0036】
本実施形態では、制御部8は、検出部31の情報から得られた射出開始時の型締の状態に関する数値を記憶し、この数値を前記閾値として使用する。また本実施形態では、制御部8は、射出開始時の型締力を前記閾値として使用する。すなわち、制御部8は、検出部31の情報から得られた射出工程中の型締力の値が、前記閾値として設定された射出開始時の型締力の値を超えた時に、射出圧力を制御する。
【0037】
詳しく述べると、制御部8の一例は、情報処理部61、設定部62、記憶部63、及び射出装置制御部64を含む。なおこれらの機能はそれぞれ独立して設けられてもよいが、いくつかの機能が複合して設けられてもよい。
【0038】
設定部62は、MMI/F60を通じて入力された情報を格納する。設定部62は、例えば、オペレータから入力された最大射出圧力の設定値P1(第1の設定値、または初期設定値)や、型締力の設定値、通常モードから射出圧力抑制モードへ移行する条件の設定などに関する情報を格納する。記憶部63は、検出部31の情報から得られた射出開始時(型締完了時)の型締状態に関する情報を格納する。本実施形態では、記憶部63は、射出開始時の型締力の値を記憶する。
【0039】
射出装置制御部64は、射出用サーボモータ51の駆動を制御する。射出装置制御部64は、例えば射出用サーボモータ51の駆動を制御することで、射出装置7の射出圧力を制御する。射出装置制御部64は、射出圧力検出部55から射出圧力に関する実測値を受け取る。射出装置制御部64は、射出圧力検出部55からの実測値を参照しながら、射出圧力の大きさを任意の値に制御する。射出装置制御部64は、通常モードでは、オペレータから入力された最大射出圧力の設定値P1に基づき、すなわち該最大射出圧力の設定値P1を超えないように射出圧力を制御する。
【0040】
情報処理部61は、設定部62との間で情報をやり取りし、オペレータから入力された最大射出圧力の設定値P1や、型締力の設定値、通常モードから射出圧力抑制モードへ移行する条件の設定などを参照する。
【0041】
また情報処理部61は、監視部の一例であり、検出部31から送られた型締状態に関する情報、例えば型締力に関する情報を監視する。情報処理部61は、検出部31の情報から得られた射出工程中の型締力の値を、記憶部63に格納された「射出開始時の型締力の値」と比較し、大小関係を判定する。情報処理部61は、射出工程中の型締力の値が、射出開始時の型締力の値を超えた時に、オペレータが設定した最大射出圧力の設定値P1を過大と認定し、通常モードから射出圧力抑制モードへ移行させる。
【0042】
射出圧力抑制モードの一例では、制御部8は、射出装置7の射出圧力の設定値(例えば最大射出圧力の設定値)を、該設定値から引き下げられた新しい設定値に自動で更新し、この新しい設定値に基づき、検出部31の情報から得られる数値が前記閾値以下に低下するように射出圧力を制御する。
【0043】
本実施形態では、制御部8は、射出工程中の型締力の値が、記憶部63に記憶された射出開始時の型締力の値(すなわち閾値)を超えて上昇を始めた時(図4中のt1)の射出圧力の値を、それ以降の射出圧力の最大値として設定する。そして、この最大値を超えないようにそれ以降の射出圧力が制御される。すなわち、図4中のt1の射出圧力の値を、新しい最大射出圧力の設定値P2(第2の設定値)として初期の設定値P1から更新し、この新しい設定値P2に基づき、それ以降の射出圧力が制御される。
【0044】
次に、本実施形態の制御部8の作用について、図3及び図4を参照して説明する。ただし、図4において、時間t1以降の射出圧力と型締力の波形で山を描いている部分は、説明の都合上、誇張して説明している。
【0045】
図3に示すように、まず、射出開始時の型締力に関する情報が検出部31によって検出される。この情報は、制御部8に送られ、必要に応じて加工されて閾値として記憶部63に格納される(ステップS11)。図4に示すように、本実施形態の射出工程中の型締力の大きさは、例えば射出開始時から一定に制御される。すなわち、本実施形態の射出工程中の型締力は、オペレータから入力された最大射出圧力の設定値P1が過大でない限り、射出開始時の値に保たれる。制御部8は、通常モードで制御を行い、オペレータから設定された最大射出圧力の設定値P1を超えない範囲で射出圧力が制御される。
【0046】
図3に示すように、検出部31は、射出工程中の型締力に関する情報を検出し、その情報を制御部8に送る(ステップS12)。制御部8は、検出部31の情報から得られた射出工程中の型締力の値を、記憶部63に格納された射出開始時の型締力の値と比較する(ステップS13)。そして、射出工程中の型締力が、射出開始時の型締力の値(すなわち閾値)よりも小さい状態が射出工程完了まで続けば、通常モードで射出工程が完了される。
【0047】
一方で、オペレータが設定した最大射出圧力の設定値P1が高すぎる場合、図4に示すように、射出圧力の増加に伴い、金型が開こうとし、これにより射出工程中の型締力が増加する。図3に示すように、制御部8は、射出工程中の型締力の値を、射出開始時の型締力の値と比較し、射出工程中の型締力が、射出開始時の型締力の値よりも大きくなると、型締力の増加を検知する(ステップS14)。
【0048】
制御部8が型締力の増加を検知すると、制御部8は、射出成形機1の動作を通常モードから射出圧力抑制モードに移行させる。具体的には、図3及び図4に示すように、射出工程中の型締力が閾値を越えて上昇を開始したタイミング(図4中のt1)の射出圧力を、射出工程中の新しい最大射出圧力の設定値P2として設定し直す(ステップS15)。すなわち、制御部8は、それ以降の射出工程では、この新しい最大射出圧力の設定値P2を超えないように射出圧力を制御する。
【0049】
これにより、図4に示すように、型締力が上昇を開始したタイミング以降の射出圧力は抑制される。射出圧力は、低く設定され直した新しい最大射出圧力の設定値P2まで低下し、例えばこの新しい最大射出圧力の設定値P2で維持される。これに伴い、射出工程中の型締力は、射出開始時の値(すなわち閾値)まで低下し、この射出開始時の値で維持される。そして、図3に示すように、射出工程が完了する(ステップS16)。
【0050】
このような構成によれば、射出工程中の不具合を抑制することができる。
ここで比較のため、本実施形態の制御部8を有しない射出成形機について図13を参照して説明する。図13に示すように、オペレータが設定した最大射出圧力の設定値P1が高すぎる場合、射出圧力の増加に伴い、射出工程中の型締力が増加する。そして、オペレータが設定した最大射出圧力の設定値P1に達するまで射出圧力が増加し、その時点まで型締力も増加し続ける。
【0051】
オペレータが設定した射出圧力の設定値が高すぎる場合、射出圧力に対して型締力が不足し、金型が開き、成形品のバリ発生や金型破損などの不具合を招く可能性がある。トグル式型締装置の場合、型締力が増加し、型締装置が破損する可能性がある。
【0052】
一方で、本実施形態に係る射出成形機1は、射出工程中に検出部31からの情報を監視し、前記情報から得られた数値が予め設定された閾値を越えた時に、射出装置7の射出圧力を抑制するように制御する制御部8を有する。これにより、射出工程中の型締力が大きく増加する前に、射出圧力が抑制され、成形品にバリが発生する可能性が小さくなる。その結果、成形不良を抑制でき、高効率に成形品の生産を行うことが可能となる。また、射出工程中の型締力の増加が抑制されるので、金型や型締装置の破損を抑制することができる。
【0053】
本実施形態では、制御部8は、前記数値が前記閾値を越えて増加を始めた時の射出圧力を、射出圧力の最大値として設定し、この最大値を越えないようにそれ以降の射出圧力を制御する。これによれば、型締力が過大にならない範囲で比較的大きな射出圧力を維持することができるので、射出圧力を低下させることによる充填不足などの不具合を抑制することができる。
【0054】
次に、第1の実施形態の一つの変形例に係る射出成形機1及び射出制御方法について説明する。一般的に射出工程では、例えば、検出部31の特性や制御部8での演算などによってもたらされる(引き起こされる)誤差により、型締力の値が多少なりともバラつくことがある。例えば50[MPa]の型締力で型締した場合でも、49.9[MPa]または49.8[MPa]など、多少バラつくことがある。
【0055】
本変形例は、上記誤差を考慮したものであり、制御部8は、射出工程中の監視区間において、所定のサンプリング周期(制御周期)を設定し、このサンプリング周期毎に型締の状態に関する数値(例えば型締力)を監視する。すなわち、制御部8は、所定の時間間隔で、型締の状態に関する数値を継続的に監視する。そして、あるサンプリング周期(制御周期)の時点での閾値として、その一つ前(すなわち直前)のサンプリング周期の時に検出された型締の状態に関する数値を使用する。すなわち、制御部8は、例えば射出工程中の型締力が、一つ前のサンプリング周期の時に得られた型締力を超えた時に、射出圧力抑制モードに移行させる。なお「サンプリング周期の時」とは、いわゆる「サンプリング周期時(制御周期時)」のことであり、それぞれ所定の長さを有する複数のサンプリング周期のなかの、ある時点において実行されているサンプリング周期を指す。
【0056】
一例としては、例えば射出開始時の型締力が50[MPa]であった場合、本変形例の制御部8は、射出開始時の型締力が50[MPa]ということに関わらず、射出工程中、常に型締力を監視し、射出工程中のある時点での型締力がその一つ前のサンプリング周期の時に得られた型締力を超えた時、その時の射出圧力を射出工程中の最大射出圧力として射出圧力制御を行う。このような構成によっても、上記第1の実施形態と同様に、射出工程中の不具合を抑制することができる。
【0057】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る射出成形機1及び射出制御方法について、図5を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また下記に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態と同じである。
【0058】
本実施形態では、制御部8は、検出部31の情報から得られた射出開始時の型締の状態に関する数値に、予め設定された数値またはユーザ設定により入力された数値を加えたものを前記閾値として使用する。
【0059】
制御部8の一例は、射出開始時の型締力の値に、例えば射出成形機1の内部パラメータとして予め設定された値、またはMMI/F60を通じてオペレータから入力された値を加えた数値を、前記閾値(型締力上限値)として使用する。制御部8は、射出工程中の型締力の値がこの閾値(型締力上限値)を超えたときに、オペレータが設定した最大射出圧力の設定値P1を過大と認定し、通常モードから射出圧力抑制モードへ移行させる。
【0060】
なお制御部8は、上記構成に代えて、射出工程中の所定のサンプリング周期毎に型締の状態に関する数値(例えば型締力)を監視し、一つ前のサンプリング周期の時に検出された型締の状態に関する数値(例えば型締力)に予め設定された数値またはユーザ設定により入力された数値を加えたものを前記閾値として使用するようにしてもよい。
【0061】
なお、制御部8は、上記2つの構成に代えて、型締力上限値の絶対値(閾値の絶対値)を、内部パラメータで予め設定された値またはオペレータから入力された値で設定してもよい。すなわち、制御部8は、射出工程中の型締力が内部パラメータで予め設定された値またはオペレータから入力された値を超えた時に、通常モードから射出圧力抑制モードへ移行させる。
【0062】
これらの構成によっても、上記第1の実施形態と同様に、射出工程中の不具合を抑制することができる。また、前記閾値としての型締力上限値を任意に設定することができるので、射出工程の制御に関する自由度が高まる。
【0063】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る射出成形機1及び射出制御方法について、図6を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また下記に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態と同じである。
【0064】
図6に示すように、本実施形態では、射出工程中の型締力は射出開始時から一定ではなく、射出開始時から増加する。本実施形態では、射出開始時の型締力に代えて、種々の値を前記閾値として使用することができる。例えば、射出開始から所定時間経過後の型締力の値を、前記閾値として使用してもよい。
【0065】
また、図7は、本実施形態の一つの変形例を示す。図7に示す変形例では、上記第2の実施形態と同様に、予め設定された数値またはユーザ設定により入力された数値に基づき前記閾値が設定されてもよい。
【0066】
これらの構成によっても、上記第1の実施形態と同様に、射出工程中の不具合を抑制することができる。
【0067】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係る射出成形機1及び射出制御方法について、図8及び図9を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また下記に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態と同じである。
【0068】
図8に示すように、本実施形態の射出成形機1は、型締状態(型閉状態)に関する情報(型締の状態(型閉の状態)に関する情報)を検出する検出部31として、金型間距離に関する情報を検出する型開き量センサを有する。検出部31の一例は、固定金型11及び移動金型12の少なくとも一方に取り付けられた距離センサであり、固定金型11と移動金型12の間の金型間距離に関する情報を検出する。なお「金型間距離に関する情報」とは、直接に計測された金型間距離の値に限らず、この情報に基づき制御部8が金型間距離を割り出す(算出する)ことができる情報でもよい。検出部31は、1つでもよく、複数設けられてもよい。
【0069】
なお、検出部31は、上記例に限らず、移動盤4及び固定盤3の少なくとも一方に取り付けられた距離センサや、型締装置に設けられたビジョンセンサ(カメラやビデオカメラ)でもよい。距離センサの駆動原理は、光学式、磁気式、磁歪式、超音波式、抵抗体(ポテンションメータ)式、作動トランス式など種々のものがあり、またそれぞれに回転式と直線式の何れかまたは双方のものがあるが、これらは適宜、適用可能である。距離センサとしては、直線式のものが好ましいが、回転式のものであれば、ラックとピニオンを用いて直線式に変換して使用してもよい。またビジョンセンサは、例えばスタンドに取り付けられ、型締装置とは別体に設けられてもよい。また、検出部31は、型締力に関する情報の一例であるタイバー5の伸び量や、クロスヘッド15の位置など、型締力に関する情報を検出し、この情報に基づき制御部8で金型間距離を割り出す(算出する)ことにより、金型間距離に関する情報を検出してもよい。
【0070】
図9に示すように、本実施形態では、制御部8は、射出開始時の金型間距離の値を前記閾値として使用する。制御部8は、検出部31の情報から得られた射出工程中の金型間距離の値が、前記閾値として設定された射出開始時の金型間距離の値を超えた時に、射出圧力を制御する。
【0071】
詳しく述べると、記憶部63は、射出開始時の金型間距離の値を記憶する。情報処理部61は、検出部31から送られた金型間距離に関する情報を監視する。情報処理部61は、検出部31の情報から得られた射出工程中の金型間距離の値を、記憶部63に格納された「射出開始時の金型間距離の値」と比較し、大小関係を判定する。情報処理部61は、射出工程中の金型間距離の値が、射出開始時の金型間距離の値を超えた時に、オペレータが設定した最大射出圧力の設定値P1を過大と認定し、通常モードから射出圧力抑制モードへ移行させる。その他の詳細は、例えば第1の実施形態の「型締力」との文言を「金型間距離」と読み直して適用することができる。
【0072】
なお、第1の実施形態の変形例と同様に、制御部8は、射出工程中の監視区間において、所定のサンプリング周期(制御周期)を設定し、このサンプリング周期毎に金型間距離を監視してもよい。すなわち、制御部8は、所定の時間間隔で、金型間距離を継続的に監視する。そして、あるサンプリング周期(制御周期)の時点での閾値として、一つ前のサンプリング周期の時に検出された金型間距離の値を使用する。すなわち、制御部8は、例えば射出工程中の金型間距離の値が、一つ前のサンプリング周期の時に得られた金型間距離の値を超えた時に、射出圧力抑制モードに移行させる。
【0073】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態に係る射出成形機1及び射出制御方法について、図10を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また下記に説明する以外の構成は、上記第4の実施形態と同じである。
【0074】
本実施形態では、上記第2の実施形態と同様に、例えば内部パラメータとして予め設定された数値またはユーザ設定により入力された数値により前記閾値が設定される。
【0075】
制御部8の一例は、射出開始時の金型間距離の値に、例えば射出成形機1の内部パラメータとして予め設定された値、またはMMI/F60を通じてオペレータから入力された値を加えた数値を、閾値(金型間距離の上限値)として使用する。制御部8は、射出工程中の金型間距離の値がこの閾値(金型間距離の上限値)を超えたときに、オペレータが設定した最大射出圧力の設定値P1を過大と認定し、通常モードから射出圧力抑制モードへ移行させる。
【0076】
なお制御部8は、上記構成に代えて、射出工程中の所定のサンプリング周期毎に金型間距離の値を監視し、一つ前のサンプリング周期の時に検出された金型間距離の値に予め設定された数値またはユーザ設定により入力された数値を加えたものを前記閾値として使用してもよい。
【0077】
なお、制御部8は、上記2つの構成に代えて、金型間距離の上限値の絶対値(閾値の絶対値)を、内部パラメータで予め設定された値またはオペレータから入力された値で設定してもよい。すなわち、制御部8は、射出工程中の金型間距離が内部パラメータで予め設定された値またはオペレータから入力された値を超えた時に、通常モードから射出圧力抑制モードへ移行させてもよい。
【0078】
これらの構成によっても、上記第4の実施形態と同様に、射出工程中の不具合を抑制することができる。また、前記閾値としての金型間距離の上限値を任意に設定することができるので、射出工程の制御に関する自由度が高まる。
【0079】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態に係る射出成形機1及び射出制御方法について、図11を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また下記に説明する以外の構成は、上記第4の実施形態と同じである。
【0080】
本実施形態では、上記第3の実施形態に類似しており、射出工程中の金型間距離は一定ではなく、射出開始時から減少する。本変形例では、射出開始時の金型間距離に代えて、種々の値を前記閾値として使用することができる。例えば、射出開始から所定時間経過後の金型間距離の値を、前記閾値として使用してもよい。
【0081】
図12は、本実施形態の変形例を示す。図12に示す変形例は、本実施形態に上記第3の実施形態の変形例を適用したもので、例えば、本実施形態の射出工程中の金型間距離と、予め設定された数値またはユーザ設定により入力された数値に基づき前記閾値が設定されてもよい。
【0082】
これらの構成によっても、上記第1の実施形態と同様に、射出工程中の不具合を抑制することができる。
【0083】
以上、第1乃至第6の実施形態及びいくつかの変形例について説明したが、本発明の実施形態はこれらに限定されるものではない。各実施形態に係る構成要素は、適宜組み合わせて実施することができる。また、本発明は、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0084】
上記第1乃至第6の実施形態では、制御部8は、検出部31の情報から得られた数値が閾値を越えた時の射出圧力を、射出圧力の新しい設定値P2としているが、これに限られるものではない。制御部8は、例えば予め設定された内部パラメータまたはユーザ設定にて、射出圧力の任意の低減値が設定されていてもよい。すなわち、最大射出圧力の設定値P1を、任意の設定量だけ小さくして新しい設定値P2としてもよい。
【0085】
通常モードから射出圧力抑制モードに移る条件の閾値は、型締力の値や金型間距離の値に限られず、例えば型締力や金型間距離とは異なる他の要素に関する値であってもよい。また閾値は、射出開始時の値や、内部パラメータまたはユーザ設定により入力された数値に限らず、その他の数値であってもよい。本発明は、射出成形機に限らず、ダイカストマシンやトランスファ成形機など他の成形機にも適用することができ、射出成形機と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0086】
1…射出成形機、3…固定盤、4…移動盤、6…型締駆動機構、7…射出装置、8…制御部、11…固定金型、12…移動金型、31…検出部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定金型が取り付けられる固定盤と、
移動金型が取り付けられる移動盤と、
前記移動盤を進退させ、前記移動金型と前記固定金型との型締を行う型締駆動機構と、
前記型締の状態に関する情報を検出する検出部と、
射出装置と、
射出工程中に前記検出部からの情報を監視し、前記情報から得られた数値が予め設定された閾値を越えた時に、前記射出装置の射出圧力を抑制するように制御する制御手段と、
を具備したことを特徴とする成形機。
【請求項2】
請求項1の記載において、
前記制御手段は、前記数値が前記閾値を越えた時に、前記数値が前記閾値以下に低下するように射出圧力を制御することを特徴とする成形機。
【請求項3】
請求項1または請求項2の記載において、
前記制御手段は、前記数値が前記閾値を越えて上昇を始めた時の射出圧力の値を、射出工程中の射出圧力の最大値として設定し、この最大値を超えないようにそれ以降の射出圧力を制御することを特徴とする成形機。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項の記載において、
前記制御手段は、前記検出部の情報から得られた射出開始時の型締の状態に関する数値を記憶し、この数値を前記閾値として使用することを特徴とする成形機。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項の記載において、
前記制御手段は、前記検出部の情報から得られた射出開始時の型締の状態に関する数値に、予め設定された数値またはユーザ設定により入力された数値を加えたものを前記閾値として使用することを特徴とする成形機。
【請求項6】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項の記載において、
前記制御手段は、射出工程中に所定のサンプリング周期毎に型締の状態に関する数値を監視し、一つ前のサンプリング周期の時に検出された数値を前記閾値として使用することを特徴とする成形機。
【請求項7】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項の記載において、
前記制御手段は、射出工程中に所定のサンプリング周期毎に型締の状態に関する数値を監視し、一つ前のサンプリング周期の時に検出された数値に予め設定された数値またはユーザ設定により入力された数値を加えたものを前記閾値として使用することを特徴とする成形機。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項の記載において、
前記検出部は、型締力に関する情報を検出し、前記制御手段は、前記検出部の情報から得られた射出工程中の型締力の値が前記閾値として設定された型締力の値を越えた時に、射出圧力を制御することを特徴とする成形機。
【請求項9】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項の記載において、
前記検出部は、前記固定金型と前記移動金型との金型間距離に関する情報を検出し、前記制御手段は、前記検出部の情報から得られた射出工程中の金型間距離の値が前記閾値として設定された金型間距離の値を越えた時に、射出圧力を制御することを特徴とする成形機。
【請求項10】
請求項9の記載において、
前記検出部は、距離センサであることを特徴とする成形機。
【請求項11】
請求項9の記載において、
前記検出部は、ビジョンセンサであることを特徴とする成形機。
【請求項12】
請求項9の記載において、
前記検出部は、型締力に関する情報から前記固定金型と前記移動金型との金型間距離に関する情報を検出することを特徴とする成形機。
【請求項13】
請求項1乃至請求項9、及び請求項12のいずれか1項の記載において、
前記検出部は、前記型締駆動機構に含まれる1つ又は複数の部材の位置から前記型締の状態に関する情報を得ることを特徴とする成形機。
【請求項14】
固定金型が取り付けられる固定盤と、
移動金型が取り付けられる移動盤と、
前記移動盤を進退させ、前記移動金型と前記固定金型との型締を行う型締駆動機構と、
前記型締の状態に関する情報を検出する検出部と、
射出装置と、
射出工程中に前記検出部からの情報を監視し、前記情報から得られた数値により前記射出装置の射出圧力を抑制するように制御する制御手段と、
を具備したことを特徴とする成形機。
【請求項15】
固定金型が取り付けられる固定盤と、
移動金型が取り付けられる移動盤と、
前記移動盤を進退させ、前記移動金型と前記固定金型との型締を行う型締駆動機構と、
前記型締の状態に関する情報を検出する検出部と、
射出装置と、
を備えた成形機において、
射出工程中に前記検出部からの情報を監視し、前記情報から得られた数値が予め設定された閾値を越えた時に、前記射出装置の射出圧力を抑制するように制御することを特徴とする射出制御方法。
【請求項16】
請求項15の記載において、
前記数値が前記閾値を越えた時に、前記数値が前記閾値以下に低下するように射出圧力を制御することを特徴とする射出制御方法。
【請求項17】
請求項15または請求項16の記載において、
前記数値が前記閾値を越えて上昇を始めた時の射出圧力の値を、射出工程中の射出圧力の最大値として設定し、この最大値を超えないようにそれ以降の射出圧力を制御することを特徴とする射出制御方法。
【請求項18】
請求項15乃至請求項17のいずれか1項の記載において、
前記検出部の情報から得られた射出開始時の型締の状態に関する数値を記憶し、この数値を前記閾値として使用することを特徴とする射出制御方法。
【請求項19】
請求項15乃至請求項17のいずれか1項の記載において、
前記検出部の情報から得られた射出開始時の型締の状態に関する数値に、予め設定された数値またはユーザ設定により入力された数値を加えたものを前記閾値として使用することを特徴とする射出制御方法。
【請求項20】
請求項15乃至請求項17のいずれか1項の記載において、
射出工程中に所定のサンプリング周期毎に型締の状態に関する数値を監視し、一つ前のサンプリング周期の時に検出された数値を前記閾値として使用することを特徴とする射出制御方法。
【請求項21】
請求項15乃至請求項17のいずれか1項の記載において、
射出工程中に所定のサンプリング周期毎に型締の状態に関する数値を監視し、一つ前のサンプリング周期の時に検出された数値に予め設定された数値またはユーザ設定により入力された数値を加えたものを前記閾値として使用することを特徴とする射出制御方法。
【請求項22】
請求項15乃至請求項21のいずれか1項の記載において、
前記検出部は、型締力に関する情報を検出し、
前記検出部の情報から得られた型締力の値が前記閾値として設定された型締力の閾値を越えた時に、射出圧力を制御することを特徴とする射出制御方法。
【請求項23】
請求項15乃至請求項21のいずれか1項の記載において、
前記検出部は、前記固定金型と前記移動金型との金型間距離に関する情報を検出し、
前記検出部の情報から得られた金型間距離の値が前記閾値として設定された金型間距離の閾値を越えた時に、射出圧力を制御することを特徴とする射出制御方法。
【請求項24】
請求項23の記載において、
前記検出部は、距離センサであることを特徴とする射出制御方法。
【請求項25】
請求項23の記載において、
前記検出部は、ビジョンセンサであることを特徴とする射出制御方法。
【請求項26】
請求項23の記載において、
前記検出部は、型締力に関する情報から前記固定金型と前記移動金型との金型間距離に関する情報を検出することを特徴とする射出制御方法。
【請求項27】
請求項15乃至請求項23、及び請求項26のいずれか1項の記載において、
前記検出部は、前記型締駆動機構に含まれる1つ又は複数の部材の位置から前記型締の状態に関する情報を得ることを特徴とする射出制御方法。
【請求項28】
固定金型が取り付けられる固定盤と、
移動金型が取り付けられる移動盤と、
前記移動盤を進退させ、前記移動金型と前記固定金型との型締を行う型締駆動機構と、
前記型締の状態に関する情報を検出する検出部と、
射出装置と、
を備えた成形機において、
射出工程中に前記検出部からの情報を監視し、前記情報から得られた数値により前記射出装置の射出圧力を抑制するように制御することを特徴とする射出制御方法。
【請求項1】
固定金型が取り付けられる固定盤と、
移動金型が取り付けられる移動盤と、
前記移動盤を進退させ、前記移動金型と前記固定金型との型締を行う型締駆動機構と、
前記型締の状態に関する情報を検出する検出部と、
射出装置と、
射出工程中に前記検出部からの情報を監視し、前記情報から得られた数値が予め設定された閾値を越えた時に、前記射出装置の射出圧力を抑制するように制御する制御手段と、
を具備したことを特徴とする成形機。
【請求項2】
請求項1の記載において、
前記制御手段は、前記数値が前記閾値を越えた時に、前記数値が前記閾値以下に低下するように射出圧力を制御することを特徴とする成形機。
【請求項3】
請求項1または請求項2の記載において、
前記制御手段は、前記数値が前記閾値を越えて上昇を始めた時の射出圧力の値を、射出工程中の射出圧力の最大値として設定し、この最大値を超えないようにそれ以降の射出圧力を制御することを特徴とする成形機。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項の記載において、
前記制御手段は、前記検出部の情報から得られた射出開始時の型締の状態に関する数値を記憶し、この数値を前記閾値として使用することを特徴とする成形機。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項の記載において、
前記制御手段は、前記検出部の情報から得られた射出開始時の型締の状態に関する数値に、予め設定された数値またはユーザ設定により入力された数値を加えたものを前記閾値として使用することを特徴とする成形機。
【請求項6】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項の記載において、
前記制御手段は、射出工程中に所定のサンプリング周期毎に型締の状態に関する数値を監視し、一つ前のサンプリング周期の時に検出された数値を前記閾値として使用することを特徴とする成形機。
【請求項7】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項の記載において、
前記制御手段は、射出工程中に所定のサンプリング周期毎に型締の状態に関する数値を監視し、一つ前のサンプリング周期の時に検出された数値に予め設定された数値またはユーザ設定により入力された数値を加えたものを前記閾値として使用することを特徴とする成形機。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項の記載において、
前記検出部は、型締力に関する情報を検出し、前記制御手段は、前記検出部の情報から得られた射出工程中の型締力の値が前記閾値として設定された型締力の値を越えた時に、射出圧力を制御することを特徴とする成形機。
【請求項9】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項の記載において、
前記検出部は、前記固定金型と前記移動金型との金型間距離に関する情報を検出し、前記制御手段は、前記検出部の情報から得られた射出工程中の金型間距離の値が前記閾値として設定された金型間距離の値を越えた時に、射出圧力を制御することを特徴とする成形機。
【請求項10】
請求項9の記載において、
前記検出部は、距離センサであることを特徴とする成形機。
【請求項11】
請求項9の記載において、
前記検出部は、ビジョンセンサであることを特徴とする成形機。
【請求項12】
請求項9の記載において、
前記検出部は、型締力に関する情報から前記固定金型と前記移動金型との金型間距離に関する情報を検出することを特徴とする成形機。
【請求項13】
請求項1乃至請求項9、及び請求項12のいずれか1項の記載において、
前記検出部は、前記型締駆動機構に含まれる1つ又は複数の部材の位置から前記型締の状態に関する情報を得ることを特徴とする成形機。
【請求項14】
固定金型が取り付けられる固定盤と、
移動金型が取り付けられる移動盤と、
前記移動盤を進退させ、前記移動金型と前記固定金型との型締を行う型締駆動機構と、
前記型締の状態に関する情報を検出する検出部と、
射出装置と、
射出工程中に前記検出部からの情報を監視し、前記情報から得られた数値により前記射出装置の射出圧力を抑制するように制御する制御手段と、
を具備したことを特徴とする成形機。
【請求項15】
固定金型が取り付けられる固定盤と、
移動金型が取り付けられる移動盤と、
前記移動盤を進退させ、前記移動金型と前記固定金型との型締を行う型締駆動機構と、
前記型締の状態に関する情報を検出する検出部と、
射出装置と、
を備えた成形機において、
射出工程中に前記検出部からの情報を監視し、前記情報から得られた数値が予め設定された閾値を越えた時に、前記射出装置の射出圧力を抑制するように制御することを特徴とする射出制御方法。
【請求項16】
請求項15の記載において、
前記数値が前記閾値を越えた時に、前記数値が前記閾値以下に低下するように射出圧力を制御することを特徴とする射出制御方法。
【請求項17】
請求項15または請求項16の記載において、
前記数値が前記閾値を越えて上昇を始めた時の射出圧力の値を、射出工程中の射出圧力の最大値として設定し、この最大値を超えないようにそれ以降の射出圧力を制御することを特徴とする射出制御方法。
【請求項18】
請求項15乃至請求項17のいずれか1項の記載において、
前記検出部の情報から得られた射出開始時の型締の状態に関する数値を記憶し、この数値を前記閾値として使用することを特徴とする射出制御方法。
【請求項19】
請求項15乃至請求項17のいずれか1項の記載において、
前記検出部の情報から得られた射出開始時の型締の状態に関する数値に、予め設定された数値またはユーザ設定により入力された数値を加えたものを前記閾値として使用することを特徴とする射出制御方法。
【請求項20】
請求項15乃至請求項17のいずれか1項の記載において、
射出工程中に所定のサンプリング周期毎に型締の状態に関する数値を監視し、一つ前のサンプリング周期の時に検出された数値を前記閾値として使用することを特徴とする射出制御方法。
【請求項21】
請求項15乃至請求項17のいずれか1項の記載において、
射出工程中に所定のサンプリング周期毎に型締の状態に関する数値を監視し、一つ前のサンプリング周期の時に検出された数値に予め設定された数値またはユーザ設定により入力された数値を加えたものを前記閾値として使用することを特徴とする射出制御方法。
【請求項22】
請求項15乃至請求項21のいずれか1項の記載において、
前記検出部は、型締力に関する情報を検出し、
前記検出部の情報から得られた型締力の値が前記閾値として設定された型締力の閾値を越えた時に、射出圧力を制御することを特徴とする射出制御方法。
【請求項23】
請求項15乃至請求項21のいずれか1項の記載において、
前記検出部は、前記固定金型と前記移動金型との金型間距離に関する情報を検出し、
前記検出部の情報から得られた金型間距離の値が前記閾値として設定された金型間距離の閾値を越えた時に、射出圧力を制御することを特徴とする射出制御方法。
【請求項24】
請求項23の記載において、
前記検出部は、距離センサであることを特徴とする射出制御方法。
【請求項25】
請求項23の記載において、
前記検出部は、ビジョンセンサであることを特徴とする射出制御方法。
【請求項26】
請求項23の記載において、
前記検出部は、型締力に関する情報から前記固定金型と前記移動金型との金型間距離に関する情報を検出することを特徴とする射出制御方法。
【請求項27】
請求項15乃至請求項23、及び請求項26のいずれか1項の記載において、
前記検出部は、前記型締駆動機構に含まれる1つ又は複数の部材の位置から前記型締の状態に関する情報を得ることを特徴とする射出制御方法。
【請求項28】
固定金型が取り付けられる固定盤と、
移動金型が取り付けられる移動盤と、
前記移動盤を進退させ、前記移動金型と前記固定金型との型締を行う型締駆動機構と、
前記型締の状態に関する情報を検出する検出部と、
射出装置と、
を備えた成形機において、
射出工程中に前記検出部からの情報を監視し、前記情報から得られた数値により前記射出装置の射出圧力を抑制するように制御することを特徴とする射出制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−250360(P2012−250360A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122247(P2011−122247)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000003458)東芝機械株式会社 (843)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000003458)東芝機械株式会社 (843)
【Fターム(参考)】
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