説明

成形金属物品の連続製造方法および装置

金属の平らなウェブを含む供給材料から成形された金属部材を製造する連続製造方法は、ウェブを成形するロール成形ステーションと、成形されたウェブを個別の部材に切断する切断ステーションと、部材を構成する金属の物理特性を変えるための加工ステーションとを含む。方法は、加熱処理および/または成形を含んでもよい。方法は、また、印付け、検査、分類等のようなさらなる作業を行うようになっていてもよい。また、方法を実施するための装置を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ここに援用される、2004年1月20日に出願され、「成形され、硬化した鋼物品の連続製造方法および装置」と題する米国仮特許出願第60/537,695号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、一般的に、金属物品の製造方法および装置に関する。より具体的には、本発明は、金属物品の連続製造方法および装置に関する。より具体的には、本発明は、金属物品の製造のための、ロール成形工程と物品取扱い工程の組み合わせに関する。
【背景技術】
【0003】
ロール成形は、多数の様々に形成された金属物の製造に有利に使用される。ロール成形工程では、金属板、典型的には鋼板が、該鋼板を予め選択された断面形状を有するボディに段々に曲げ、延ばし、成形する、一連のローラダイに連続的に供給される。ロール成形工程は、連続製造工程に容易に組み込むことができ、そのような技術は、様々な自動車部品の製造に広く使用される。いくつかの顕著な例外で、ロール成形工程は、一般的に、長手方向寸法の物品を成形するのに用いることができず、これがロール成形技術の有用性をある程度まで制限する。
【0004】
曲げ、型押し、鍛造、ハイドロホーミング、ダイフォーミング、ポストフォーミング等のような他の金属成形プロセスを、金属物品を成形するのに利用することができる。また、熱処理、窒化処理、急冷、焼き戻しのような工程を、金属物品の硬度または他の特性を制御するのに採用してもよい。以下に説明するように、本発明は、成形金属物品を生産するための一体的、且つ連続的なシステムおよび工程を提供するために、ロール成形を、他の金属成形および処理工程と組み合わせる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動車および他の自動車車両は、一般的に、バンパービームや、サイド押込みビームのような多数の保護部材を含む。これらの部材は、高強度でなくてはならず、好ましくは軽量で、低価格である。バンパーおよび押込みビームは、その結果として、C形状のもの、または閉箱形断面もしくは円形横断面のものである横断面形を有する折り曲げ鋼板部材でしばしば作られる。理想的には、そのような部材は、比較的軽量で、高強度で、低価格である。以下に詳述するように、本発明の一つの側面は、自動車のバンパービームやサイド押込みバーのような、特別に形成された高強度の鋼成形品を生産するための、連続製造方法および装置を提供する。本発明の方法および装置は、巻かれた鋼板を利用して連続的に行われるロール成形と他の加工作業の組み合わせに頼っている。多くのロール成形方法とは異なり、本発明の方法は、比較的複雑な形状を作るのに使用することができる。本発明のこれらのおよび他の詳細は、以下の図面、解説、および説明から明白になるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
成形された金属部材の連続製造方法をここに開示する。本方法は、巻かれた、実質的に平らな金属ウェブで始まる。組み合わせて作動され、通過する金属のウェブを徐々に成形する複数のローラダイを含むロール成形ステーションが設けられる。金属のウェブは、ロール成形ステーションに供給され、ローラダイがウェブを、予め選択された横断面形を有する連続的な細長いボディに成形する。連続的な細長いボディは、各々予め選択された横断面形を有する複数の部材に切断される。加工ステーションが設けられており、部材は加工ステーションに供給され、ここで、部材を構成する金属の物理特性を変えるように加工される。特定の実施形態では、加工ステーションは、加熱ステーションである。他の実施形態では、部材を加工ステーションに供給する工程は、複数の部材を集め、部材を少なくとも二つの部材のグループにグループ分けし、部材のグループをステーションに集合的に供給する。或る場合には、部材は、長さにしたがってグループ分けされるのがよい。加工は、一定時間、金属転移をもたらすのに十分な温度で部材を加熱することからなるのがよい。
【0007】
本発明のさらなる実施形態では、部材は、加熱された後、成形工程の使用によって成形されてもよい。
【0008】
特定の実施形態では、加工ステーションは、加熱ステーションであり、加熱ステーションの雰囲気は、例えば、不活性雰囲気、還元雰囲気、窒化雰囲気、または酸化雰囲気を提供するように、制御されるのがよい。
【0009】
本発明のさらなる実施形態では、ロール成形ステーションで成形される前に、開口、隆起した突起等のような部分がウェブに成形されてもよい。さらに他の実施形態では、ウェブは、ロール成形の前にエッジ調整工程を受けてもよい。特定の実施形態では、方法は、成形され、硬化した鋼物品を提供するのに利用される。
【0010】
また、本方法を実施するための装置をここに開示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、その最も一般的な形態では、成形された金属部材の連続生産を行うための装置を含む。部品は、好ましくは、金属供給材料の巻かれたウェブから連続的に生産される。装置は、金属の巻かれたウェブを支持し、且つウェブをシステムの他のステーションに供給する巻出ステーションを含む。巻出ステーションの下流には、複数のロール成形ダイを含むロール成形ステーションがある。ロール成形ステーションは、ウェブを連続的に受け入れ、ウェブを、予め選択された横断面形を有する連続的な細長いボディに成形するように作動可能である。システムは、ロール成形ステーションの下流であり、且つ連続的な細長いボディを、各々予め選択された横断面形を有する複数の部材に切断するように作動可能な切断ステーションを含む。加熱ステーションまたは他の加工ステーションが、切断ステーションの下流にあり、それは、物品を構成する鋼の物理特性を変えるように作動可能である。例えば、成形される金属が鋼であり、加工ステーションが加熱ステーションである場合には、例えばオーステナイト化温度以上に加熱することにより、金属転移をもたらすのに十分な温度まで鋼を加熱するように機能することができる。図示した実施形態では、ダイフォーミングステーションが、加熱ステーションの下流に位置しており、それは、加熱された部材を加熱ステーションから受け入れ、成形作業を行うように作動可能である。成形作業は、物品の形状を変えることができ、または、同様に、急冷作業等を通して、現在の形状を維持するように作動してもよい。金属は比較的熱く、かなり可塑状態であるので、そのような作業は非常に簡単に実行することができる。ダイフォーミングステーションは、さらに、加熱され、成形された部材を急冷するように作動可能である。この急冷は、水をベースにした流体などの冷却流体を用いてダイの中で行われるのがよい。急冷は、マルテンサイト相のような特定の金属相で固定し、鋼を少なくとも部分的に硬化させ、それによって、硬化した鋼部分を提供する。
【0012】
本発明のこの一般的なシステムを、様々な部品を製造するのに採用してもよく、システムの特定の構成は、ある程度まで製造される部品に依存する。説明の目的で、本発明の方法を、硬化した鋼バンパービームを製造するための一つの特定の装置および方法に関して、詳細に記載する。このタイプのシステムは、ドアビーム、フレームメンバー、シートバック、および他の構造部品などの他の品物を製造するのに使用できることを理解するべきである。また、システムは、アルミニウムのような他の金属から品物を製造するのに採用することができる。
【0013】
図1乃至図6は、この特定のシステムを表す。今、図1を参照すると、システムの第一部分が示され、このシステムの第一部分では、鋼のコイル10が、巻出ステーションで支持され、巻出ステーションは、鋼のウェブ14を連続的にシステムの残部に供給するのに役立つ。鋼は、或る場合には、下流の処理中、特に加熱および急冷工程中腐食を制御するように被覆されるのがよい。被覆は、有機でもよいし、無機でもよく、アルミニウム被覆鋼が一つの好ましい材料である。
【0014】
図示した実施形態では、鋼のウェブ14は、平滑矯正ステーション16に移り、該平滑矯正ステーションは、典型的には一組のローラの使用によりウェブ14を平滑にするのに役立つ。平滑矯正ステーション16は、採用される鋼の品質および/または下流の処理要件に応じて、省略されてもよい。平滑矯正ステーション16を出た後、この実施形態では、ウェブは、穴あけおよび成形ステーション18に進む。再び、このステーションは、任意であるが、ウェブ14に一つあるいはそれ以上の成形作業を行うように機能する。これらの作業は、ウェブに多数の開口をあける、および/またはウェブに、凹面部分または凸面部分のような浮き出し部分または圧印部分を形成することを含むことができる。これらの開口および部分は、下流の切断作業等を容易にする取付箇所、ねじ穴、補強部、または穴あき箇所を提供することができる。これらの部分は、また、完成品の弾力性、衝突性、および/または他の物理的パラメータを「調整する」のに使用することができる。これらの部分の外形や配置を制御することにより、正確に成形され且つ位置決めされた部分および/または物理的パラメータを有する完成品を本方法で製造することができる。
【0015】
印を材料に着けてもよい。これらの印は、部品番号、ロゴ、商標等からなるのがよい。これらを、レーザーマーキング、インクジェットプリント、彫刻等のような周知技術によって着けてもよい。印付けステーションを、穴あけおよび成形ステーションと関連させてもよいし、あるいはそうでなければ配置してもよい。
【0016】
図1から見られるように、第一のたるみループ20aおよび第二のたるみループ20bがウェブに形成される。これらのループは、この実施形態では、穴あけおよび/または成形作業が行われる間、ウェブが静止していることを必要とする穴あけおよび成形ステーションに順応する。たるみループ20a,20bの使用により、穴あけおよび成形のためにウェブ部分を停止させながら、ウェブ14は、連続的に供給される。ウェブの部分が加工中停止する事実は、これが連続的工程である事実を否定しない。他の実施形態では、穴あけおよび成形作業は、ローラダイ又は同様な装置を用いて、移動するウェブに行われてもよい。
【0017】
図示されていないが、システムは、鋼の一つのコイルの端部を他のコイルの始端に溶接または取り付ける二つの巻出ステーションを含んでもよい。この構成は、「運転中に」コイルの交換を許し、たるみループにより、システムをコイルの交換中連続的に運転させる。
【0018】
穴あけ/成形ステーション18の下流には、エッジ調整ステーション22がある。このステーションは、ウェブ14のエッジを縁取りしていかなる不揃いをも除去する。このステーションは、鋼の品質およびプロセスの要件に応じて、穴あけおよび成形ステーション18の上流に配置されてもよいし、あるいは、完全に省略されてもよい。
【0019】
システムは、好ましくは、ウェブの中心線を様々なステーションの中心線と整列させておくための一つまたはそれ以上の心出しステーションを含む。この心出しは、穴あけまたは成形部分がウェブに含まれるとき、心出しは、部分が完成品に正しく配置されることを確保するから、特に重要である。心出しは、ウェブのエッジに係合する機械的部材によって行われてもよい。心出しは、また、光学的センサ、電気的センサ、または他の非接触センサを有するシステムによって行われてもよい。心出しステーション19は、穴あけ/成形ステーション18、並びにエッジ調整ステーション22、およびロール成形ステーション24と関連されていてもよい。
【0020】
今、図2を参照すると、プロセスの他の部分が示されており、見られるように、穴あけおよび成形ステーションで形成された部分を有するウェブ14は、ロール成形ステーション24に進む。このステーション24は、概略形態で示されているが、ウェブ14が通過するにつれてウェブ14を徐々に曲げて成形する複数のロール成形ダイを含むことは、当業者には理解されよう。上述したように、ロール成形ステーションは、一般的に、ウェブ14が通過するときにウェブがローラで心出しされるようにするためのステーションと関連されるか、あるいはその上流にある心出し装置を含む。これは、ウェブの予備成形構造部分が完成品に組み込まれるとき、特に重要である。
【0021】
図2に示すように、ウェブ14は、ロール成形ステーションに入り、そこから、この例では、一般的にC形である予め選択された横断面形を有する連続の細長いボディ26として出る。ロール成形ステーション24の下流には、閉横断面形を成形するために、成形された連続の細長いボディ26の二つの自由エッジを互いに、または他の部分に接合するように機能する接合ステーションがある。この実施形態では、接合は、溶接ステーション28によって行われるが、接合が、鑞付け、接着剤、機械的結合等によって行われてもよいことを理解すべきである。溶接ステーションは、特定の場合には省略されてもよいし、あるいは装置の他の部分に配置されてもよい。溶接は、連続的に移動するボディと両立できる任意の数の技術によって行われてもよい。好ましい技術のいくつかは、特に、誘導溶接、アーク溶接(TIG溶接およびMIG溶接を含む)、スポット溶接、ガス溶接、レーザー溶接、および抵抗溶接である。
【0022】
或る場合には、システムは、製造される形の形態に応じて、いくつかの溶接およびロール成形ステーションを含んでいてもよい。例えば、第一のロール成形ステーションは、形の一部分を成形し、次いで、第一の中流溶接ステーションが形の部分を互いに接合し、その後、第二のロール成形ステーションが形をさらに成形し、それに続いて、第二の溶接ステーションが形の残りの部分を接合する。明らかに、さらに他のステーションを、システムに同様に含ませてもよい。接合に続いて、連続的な細長い成形ボディ26は、切断ステーション30を通過し、ここで、ボディは、各々細長いボディ26の予め選択された形を有する多数の部材を生産するように、ボディ26が予め選択された長さに切断される。穴あけ/成形ステーション18でウェブに形成された予備成形穴によって、あるいは別個の上流ステーション(図示せず)で形成された穴によって切断を容易にする。切断は、入手できる技術を使用して「移動中に」行われてもよい。切断ステーションは、工程の要件に応じて、部材の全てを同じ長さに切断するようにプログラムされていてもよく、あるいは、部材を様々な長さに切断するように操作してもよい。或る場合には、穴あけ、型押し等のようなさらなる作業を、ラインにさらなるステーションを含むことによって、切断の前、切断中、あるいは切断後にワークピースに行われてもよい。上で気づくように、本発明の或る実施形態では、部材は、溶接される前に切断されてもよい。
【0023】
今、図3を参照すると、本発明の装置の中を連続して通る複数の切断部材32a−32dが示されている。部材32aおよび部材32bは、部材32cおよび部材32dよりも長さが短いことに気づくべきである。これらの部材32は、連続して、一連/平行フィーダステーション34に通り、該ステーションは、これらの連続して配置された部材を集めて、それらを複数のグループにグループ分けし、各グループは少なくとも二つの部材を有する。図4に示すように、一連の平行フィーダは、部材32を二つの別々のグループ36a,36bにグループ分けし、各グループ36a,36bは四つの部材を含む。図4にさらに示すように、システムは、グループ36a,36bを受け入れ、これらの部材が予め選択されたある基準を満たすかどうかを決定するためにこれらを検査する検査/排除ステーション38を含む。これらの標準を満たさない部材は排除され、そして図4に示すように、部材32aは排除された。検査ステーションは、また、部品に識別印を配置するように操作する印付け機能を行うことができる。そのような印は、部品番号、追跡番号、部品が作られた鋼のコイルの識別、日付、顧客番号、品質管理マーク等を表示することができる。印付けステーションは、任意の他の印付けステーションに付加してもよいし、あるいは唯一の印付けステーションであってもよい。印付けは、高温インク、エッチング、穴あけ、けがき、彫刻などの機械的手段の使用によって、またはレーザー、アーク等の使用によって行われてもよい。
【0024】
検査に続いて、部品のグループ、例えばグループ36a,36bは、連続的に金属炉40に供給される。炉は、部品を、装填された金属部材の金属転移を引き起こすのに十分な高温に維持する。ここに図示される特定の工程では、この金属転移は、オーステナイト転移であり、これに関して、部品は900℃を越える温度に加熱される。語「炉」は、ここでは、部品を高温に維持することができる全てのタイプの加熱ステーションを含む最も広い意味で使用されていることを理解すべきである。そのように、炉は、燃焼加熱炉、アーク炉、抵抗加熱炉、および誘導加熱または放射加熱によって部品を加熱するステーションを含んでもよい。
【0025】
図示するように、炉は、部品の滞留時間と炉40からの排出を管理するように操作するシーケンスコントローラ42を含む。さらに図示するように、炉40は、また、炉内に予め選択された雰囲気を作るための雰囲気コントローラ44を含むのがよい。典型的には、この雰囲気は、アルゴン雰囲気ような不活性ガス雰囲気、還元雰囲気、または窒化雰囲気であるのがよい。或る作業では、成形される金属の性質に応じて、炉内に酸化雰囲気を有することが望ましく、それも雰囲気コントローラ44によって行われてもよい。
【0026】
或る場合には、加熱は、製造される特定の部品に応答して制御されるのがよい。例えば、コントローラは、特定の温度処理を必要とする部品を識別し、次いで部品を熱処理する温度を調整するために、検査ステーションと共に作動するのがよい。この方法では、システムは、連続的に、異なる部品を異なる温度に加熱するように作動するのがよい。同様に、加熱時間は制御されるのがよい。
【0027】
今、図5を参照すると、炉40での適切な熱処理に続いて、加熱された部品、例えば部品36a,36bは、炉から排出され、そして高温に維持されながら、一対の急冷ダイ46a,46bに移送される。移送は、好ましくは、ロボット移送フィーダ52で行われる。これらのダイは、加熱された部品を受け入れ、且つ成形する。ダイは、図に示すように部品の長手方向輪郭を成形してもよいし、あるいは急冷中に、ロール成形された輪郭を保持し且つ安定させるように役立ててもよい。金属が加熱されていることを考慮すれば、成形は、比較的容易に行われ、この事実はダイの設計や構造に反映される。或る場合には、炉40とダイ46の間の雰囲気は、加熱された部品の酸化または他の好ましくない反応を防止するように制御されるのがよい。さらに他の場合には、部品が依然として高温にある間に、部品に溶接作業が行われてもよい。溶接は、炉内で、部品が炉を出た後に、あるいはダイの中で行われてもよい。
【0028】
成形に続いて、部品はダイの中で、典型的には、急冷流体を入口54からダイの中に導入することによって急冷される。急冷流体は、典型的には液体で、一般的には水をベースにした液体であるが、この技術で知られるように他の急冷媒体を採用してもよい。急冷工程は金属を硬化させ、ダイフォーミング工程によって金属に施された形状が固定する。図5に示すように、完成され、形成され、硬化した金属部品50a,50bは、成形ダイ46a,46bから排出される。
【0029】
本発明の範囲内で、多数の異なるシステムが急冷流体をダイに送出するのに採用される。今、図6を参照すると、本発明で採用される一つの特定のシステムが示されている。ここに示すように、急冷流体は、流体入口54からダイ46の中に導入され、そこから出口56に移動される。この実施形態では、入口54および出口56は、ダイユニットの取り外しおよび交換を容易にする急速連結継手58によって急冷流体システムの残部に連結されている。図6の急冷システムは、流体を予め選択された温度に維持するための加熱器または冷却器(図示せず)を含む保持タンク60を含む。急冷流体は出口62によって保持タンクを出る。この実施形態では、直列に配置された一対のポンプ64a,64bは、急冷流体を保持タンク60からシステムの残部に運ぶように作動する。圧送は、単一のポンプで行われてもよいけれども、第二のポンプを包含することは、信頼性を増大させ、運転中止を必要とすることなくメンテナンスを考慮に入れるシステムの余剰を提供する。このシステムの一つの操作態様では、大抵の、また、或る場合には、全ての、圧送機能は、単一のポンプで所定時間に行われ、第二のポンプは予備として保持される。ポンプの一つが故障したら、第二のポンプが稼働し始め、これによって第一のポンプを修理または交換している間、冷却媒体の流れを維持する。
【0030】
図6のシステムは、ポンプ64a,64bの下流に切換え弁68を含む。切換え弁68は、急冷流体をダイ46にまたはバイパス返還ライン70に選択的に運ぶように作動する。バルブ68が第一位置にあるとき、急冷流体は、この実施形態では予熱器74を含む入口ライン72によってポンプ64からダイ46に通る。予熱器は、急冷流体が、ダイ46内で急冷操作を効果的に行うのに適切な温度であることを確保するように機能する。急冷流体がダイ46を通過した後、急冷流体は、ダイ出口56を通して出て、戻りライン76を経て保持タンク60に戻る。図6の実施形態では、熱交換器78が、戻りライン76と関連しており、戻ってきた急冷流体が保持タンク60に入る前に、急冷流体から熱を抽出するように作動する。他の様々なシステムでは、熱交換器78は除去されてもよいし、或いは保持タンク60とともに配置されてもよい。熱交換器78から抽出された廃熱を、他のプロセス流体を加熱するのにおよび/または作業場に環境暖房を与えるのに採用してもよい。
【0031】
切換え弁68が、第二位置にあるとき、急冷流体は、ダイをバイパスして、切換えライン70を経て直接保持タンクに戻る。このタイプの構造を用いることによって、システムを、ポンプまたは複数のポンプ64が流体の流れを維持するように連続的に作動するように作動することができる。これは、システムの圧力を一定に且つ平衡状態に維持し、ポンプの寿命に有害であり、且つシステム内に、システムまたはダイを損傷することがある流体ハンマーを引き起こすポンプの始動、停止を回避する。加えて、これは、流体の流れの迅速なオン・オフ制御を考慮に入れ、それによって急冷工程の正確さが増す。平滑な流体流れを提供するためにダイの入口ポート54および出口ポート56をそれぞれ微調整することにより、流体流れをさらに容易にすることができる。
【0032】
急冷システムの作動は、好ましくは、ポンプ64a,64b、弁68、および予熱器74の作動を直接制御するマイクロプロセッサー型急冷コントローラ80の制御の下にある。コントローラ80は、好ましくは、特に、ダイ46、予熱器74、保持タンク60、ポンプ64a,64b、弁68を含む、システムの様々な構成部品から圧力データおよび/または温度データを得る。図6のシステムの他の変形および修正は、同様に本発明の実施形態で実施される。
【0033】
以上は、本発明の一つの特定の実施形態の説明である。多数の修正および変更が行われてもよいことを理解すべきである。例えば、一連/並行フィーダは、さらに、部品を長さで分け、部品を、炉内に装入するための長さをベースとしたグループにグループ分けするようにさらに作動してもよい。そのようなグループは、全て一つの長さのものである部品を含んでいてもよく、部品が異なる長さの特定のパターンのものであるグループの部品を含んでいてもよい。他の実施形態では、炉40は、該炉に装入され、異なる部品のために異なる滞留時間を与えるようにプログラムされていてもよく、これに関して、互いに独立して作動する複数の供給および排出システムを有していてもよい。さらに他の実施形態では、炉は、これと関連した廃熱収集器を有していてもよい。この収集器は、例えば、炉の直後の環境から加熱空気を集め、その熱を、プロセス水を温めるため、または作業場のための熱を補給するために用いてもよい。また、ダイフォーミングステーションおよび急冷ステーションは、複数の異なるダイを含み、システムが、部品の長さおよび/または形に応じて、特定のダイに特定の部品を装入するように作動してもよい。そのような実施形態では、多様なツーリングをシステムで同時に採用させるために、ダイまたは他のツーリングの寸法のいくらかを標準化することが望ましい。例えば、もし成形ダイが全て同じ高さで全て同じ移動長さを有していたら、ダイを交換するとき、プレスの調整をする必要はなく、いくつかの異なるダイを同時に利用してもよい。
【0034】
また、前述のシステムは、ダイフォーミングステーションおよび方法を組み込むものとして記載されたが、他の実施形態は、曲げ、型押し、鍛造、ハイドロホーミング、ポストフォーミング等のような成形プロセスを組み込んでもよい。また、さらに他の実施形態では、成形された部材は、さらに形状を変えて、または変えないで、鋼の物理特性を変えるように、さもなければ加工ステーションで処理されてもよい。例えば、物品は、ステーションで熱処理され、窒化処理され、硬化され、あるいはその他の加工がされてもよい。なお、他の修正および変更は、ここに示唆される事項を考慮して当業者にとって明白である。
【0035】
前述を考慮すると、ここに表される図面、説明、および記載は、本発明の特定の実施形態を説明するものであり、実施にあたり限定であることを意味しないことを理解すべきである。特許請求の範囲は、本発明の範囲を定める、全ての均等物を含む。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の方法を実施するための装置の一実施形態の部分を示す概略図である。
【図2】装置の他の部分を示す概略図である。
【図3】本発明の装置を通る多数のロール成形部材を示す概略図である。
【図4】装置のさらに他の部分を示す概略図である。
【図5】ロールおよびダイ成形された部品が装置を通過するのを示す装置の最終部分を示す図である。
【図6】本発明の実施に用いられる急冷流体送出システムの概略線図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形された鋼部材の連続製造方法であって、
巻かれた、実質的に平らな鋼のウェブを供給する工程と、
通過する鋼のウェブを徐々に成形するために組み合わせて作動可能な複数のローラダイを含むロール成形ステーションを設ける工程と、
前記ウェブを前記ロール成形ステーションに供給して、ローラダイが前記ウェブを、予め選択された横断面形を有する連続的な細長いボディに成形する工程と、
前記連続的な細長いボディを、各々前記予め選択された横断面形を有する複数の部材に切断する工程と、
加熱ステーションを設ける工程と、
前記部材を前記加熱ステーションに供給する工程と、
前記部材の物理特性を変えることができるように、前記部材を前記加熱ステーションで加熱する工程と、を含む、
ことを特徴とする成形された鋼部材の連続製造方法。
【請求項2】
前記部材を前記加熱ステーションに供給する工程は、複数の部材を集め、前記部材を少なくとも二つの部材のグループにグループ分けし、前記部材のグループを前記加熱ステーションに集合的に供給する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記部材をグループ分けする前記工程は、長さにしたがって前記部材をグループ分けする、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記部材を加熱する工程は、一定時間、前記部材を構成する鋼の金属転移をもたらすのに十分な温度で前記部材を加熱する、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属転移は、オーステナイト転移である、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記部材を加熱した後に前記部材を成形するさらなる工程を含む、
請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記部材を加熱し、前記金属転移がもたらされた後、前記部材を急冷するさらなる工程を含む、
請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記部材を加熱ステーションで加熱する工程が実行されている間、前記加熱ステーション内の雰囲気を制御するさらなる工程を含む、
請求項4に記載の方法。
【請求項9】
加熱ステーションの雰囲気を制御する工程は、不活性雰囲気、還元雰囲気、窒化雰囲気、および酸化雰囲気からなるグループから選択された雰囲気を作ることができるように、雰囲気を制御する、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記部材が加熱ステーションから取り出される時から、成形のさらなる工程を受ける時まで、前記部材の周りに制御された雰囲気を作るさらなる工程を含む、
請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記ウェブを前記ロール成形ステーションに供給する工程の前に、前記ウェブに少なくとも一つの部分を成形するさらなる工程を含み、前記少なくとも一つの部分は、前記ウェブに構成された開口、または前記ウェブの平面から突出する隆起部分あるいはくぼみ部分を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ウェブのエッジを調整するさらなる工程を含み、前記調整工程は、前記ウェブを前記ロール成形ステーションに供給する工程の前に実行される、
請求項1に記載の方法。
【請求項13】
細長いボディの横断面形が少なくとも部分的に閉じた形となるように、前記ウェブが前記ロール成形ステーションの少なくとも一部分を通過した後、ウェブの部分を互いに接合するさらなる工程を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記部分を接合する前記工程は、溶接工程である、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記細長いボディを複数の部材に切断する工程は、前記細長いボディを少なくとも二つの異なる長さを有する部材に切断する、
請求項1に記載の方法。
【請求項16】
成形された鋼部材の連続製造システムであって、
鋼の巻かれたウェブを支持し、前記ウェブをシステムの他のステーションに供給するように作動可能な巻出ステーションと、
前記ウェブを連続的に受け入れ、前記ウェブを、予め選択された横断面形を有する連続的な細長いボディに成形する、複数のロール成形ダイを含むロール成形ステーションと、
前記連続的な細長いボディを、各々前記予め選択された横断面形を有する複数の部材に切断する切断ステーションと、
物理特性を変えるように、前記部材を加熱する加熱ステーションと、
前記加工ステーションと関連したフィーダと、を含み、該フィーダは、切断された部材を受け入れ、且つ前記切断された部材を前記加工ステーションに移送するように作動する、
ことを特徴とする成形された鋼部材の連続製造システム。
【請求項17】
前記ロール成形ステーションの上流に配置された成形ステーションをさらに含み、該成形ステーションは、一つまたはそれ以上の成形作業を前記ウェブに行うように作動し、前記成形作業は、前記ウェブに開口を形成すること、および前記ウェブの平面から隆起したまたはくぼんだ部分を前記ウェブに成形することの一つまたはそれ以上を含む、
請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記成形作業は、周期的に行われ、前記システムは、前記成形ステーションの上流で前記ウェブに第一ループを、且つ前記成形ステーションの下流で前記ウェブに第二ループを作るように構成され、前記ループ部分は、ウェブの部分を周期的な成形作業中停止させる、
請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記ロール成形された細長いボディの横断面形が少なくとも閉じられた形であるように、前記ウェブの部分を接合する接合ステーションをさらに含む、
請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記切断ステーションは、前記連続的な細長いボディを異なる長さの部材に切断するように作動可能である、
請求項16に記載のシステム。
【請求項21】
前記フィーダは、切断された部材を集め、切断された部材を少なくとも二つの部材のグループにグループ分けし、前記グループの各々を前記炉に一度に供給するように作動可能である、
請求項16に記載のシステム。
【請求項22】
前記フィーダは、前記部材を長さにしたがってグループにグループ分けするように作動可能である、
請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記切断ステーションの下流に配置され、前記部材を検査して、予め選択された基準を満たさない部材を排除するように作動可能である検査ステーションをさらに含み、前記排除された部材は、加熱ステーションに入らない、
請求項17に記載のシステム。
【請求項24】
前記部材に印を付けるように作動可能な印付けステーションを含む、
請求項16に記載のシステム。
【請求項25】
前記システムは、さらに、前記部材を加熱した後に成形するように作動可能である、
請求項16に記載のシステム。
【請求項26】
前記加熱ステーションは、さらに、制御された雰囲気を作るように作動可能である、
請求項16に記載のシステム。
【請求項27】
前記制御された雰囲気は、不活性雰囲気、還元雰囲気、窒化雰囲気、および酸化雰囲気からなるグループから選択される、
請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
成形された金属部材の連続製造方法であって、
巻かれた、実質的に平らな金属のウェブを供給する工程と、
通過する金属のウェブを徐々に成形するように組み合わせて作動可能な複数のローラダイを含むロール成形ステーションを設ける工程と、
前記ウェブを前記ロール成形ステーションに供給し、ローラダイが前記ウェブを、予め選択された横断面形を有する連続的な細長いボディに成形する工程と、
前記連続的な細長いボディを、各々前記予め選択された横断面形を有する複数の部材に切断する工程と、
加熱ステーションを設ける工程と、
前記部材を前記加熱ステーションに供給する工程と、
前記部材を構成する金属の物理特性を変えるように、前記部材を前記加熱ステーションで加工する工程と、を含む、
ことを特徴とする成形された金属部材の連続製造方法。
【請求項29】
前記部材を前記加熱ステーションに供給する工程は、複数の部材を集め、前記部材を少なくとも二つの部材のグループにグループ分けし、前記部材のグループを前記加工ステーションに集合的に供給する、
請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記部材をグループ分けする前記工程は、前記部材を長さにしたがってグループ分けする、
請求項29に記載の方法。
【請求項31】
成形された金属部材の連続製造システムであって、
鋼の巻かれたウェブを支持し、且つ前記ウェブをシステムの他のステーションに供給するように作動可能な巻出ステーションと、
複数のロール成形ダイを含み、前記ウェブを連続的に受け入れ、前記ウェブを、予め選択された横断面形を有する連続的な細長いボディに成形する、ロール成形ステーションと、
前記連続的な細長いボディを、各々前記予め選択された横断面形を有する複数の部材に切断する切断ステーションと、
前記部材を構成する金属の物理特性を変えるように、前記部材を加工する加工ステーションと、
前記加工ステーションと関連し、切断された部材を受け入れ、前記切断された部材を前記加工ステーションに移送するように作動可能なフィーダと、を含む、
ことを特徴とする成形された金属部材の連続製造システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2007−526947(P2007−526947A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551272(P2006−551272)
【出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/001833
【国際公開番号】WO2005/072232
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(502291953)プルマン インダストリーズ インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】