説明

手動式FOUPオプナー

【課題】発塵によるパーティクルの問題を解消し、一般的に知られている自動機ではなく、全て容易な手動操作によって行う安価で、かつ手軽に使用できるFOUPオプナーを提供する。
【解決手段】レバー操作により作動させる吸着パッド6と、FOUP1の蓋2のロックを外すラッチキー7とをドアプレート8に取り付け、吸着パッド6とラッチキー7をドアプレート8の回転によりFOUPドア2をFOUP1の手前に引き出せるように構成し、かつ前記の機構の全てを前後に移動できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハーを周囲の汚染源から汚染されるのを防止し、所定の間隔で、収納して搬送する密閉可能な半導体ウエハーの収納容器FOUP (Front Opening Unified Pod)を開閉するための容器開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LSI等の半導体装置は集積度が年々増大し、それと供に回路パターンもサブミクロン例えば0.1ミクロンまたはそれ以下へと微細化も進み、それに対応して半導体装置の製造環境のクリーン度も益々要求されている。従って半導体装置を製造するための半導体ウエハーは高いクリーン度に保持することが必要な製品であり、クリーンルームまたは最近ではウエハー周りを局部的にクリーン度を維持するクリーントンネルが実用化されている。ウエハーを搬送したり処理したりする場合には、その周囲をクリーン度の高い環境に維持することが重要である。
【0003】
またウエハーのサイズもますます大口径化され、現在、一般的に半導体製造ラインに流されているウエハーの直径が300mmにも達する。半導体製造にあたり各工程のライン間、または工場間のウエハーの搬送に際し、FOUPは雰囲気がどのような環境であれクリーン度を維持できる密閉された容器で、ウエハーの搬送には欠かせない補助的ではあるが重要な働きを担う容器である。
【0004】
従来の一般的な手動式FOUPオプナーの実施例1を図3に示す。
ベースプレート4上にキネマピン5が設けられており、そのキネマピン5上にFOUP本体1を載せる。ドアプレート8を回転させ、ドアプレート8に取り付けられているラッチキー7をFOUPドア2に密着させる。ラッチキー7を廻してFOUPドア2のロックを外す。ドアプレート8にFOUPドア2を保持させたまま、ドアプレート8を回転させてFOUPドア2を開ける。FOUP本体1からウエハーを抜き取り、検査等の作業を行う。
【0005】
しかし、この従来の手動式FOUPオプナーでは以下の問題点がある。FOUPドア2のロックを外した後、このラッチキー7のみによる保持ではFOUPドア2の保持が不十分なためFOUPシェル開口とFOUPドア2周辺の摩擦が大きいためゴミが発生し、FOUP本体1内のウエハーを汚染させるおそれもある。また、FOUPオプナーは回転台がなく、FOUP本体1が旋回できない場合はFOUP本体1の載せ下ろしも不便である。
【0006】
以下関連の特許文献の一覧を掲載する。
【特許文献1】特開2002−076093
【特許文献2】特開2002−164411
【特許文献3】特開2002−184831
【0007】
特開2002−076093によるFOUPオプナーは、半導体ウエハーを所定の間隔で、水平に、複数枚収納したFOUPと、前記FOUPを載置して位置決めするドックプレートと、前記ドックプレートを、FOUPドアが着脱される位置の近傍まで移動させるドック移動機構と、前記FOUPドアを着脱する着脱機構と前記FOUPドアを保持する保持機構とを有するポートドアと、前記ポートドアを水平に移動させるポートドア進退機構と、前記FOUPドアを格納するために、前記ポートドアが前記FOUPドアを保持した状態で、前記ポートドアを垂直に移動させるポートドア昇降機構と、前記ポートドアにより閉塞される開口部を有するポートプレートとからなる(特許文献1)。
【0008】
特開2002−164411によるFOUPオプナーは、FOUPオプナーが、少なくとも、FOUPドアを着脱して保持する着脱機構と保持機構とを有するポートドアと、ポートドアを水平に移動させるポートドア進退機構と、ポートドアを垂直に移動させるポートドア昇降機構とを備えてなり、ポートドア昇降機構の昇降基部材には、センサ進退機構が設けられ、センサ進退機構には、センサ取付部材が上方に向けて延設され、センサ取付部材の上部に、FOUP内収納ウェハの有無、収納状態、収納位置(高さ)等を検出するための光学式の透過型センサもしくはマッピングセンサが取り付けられている。これはポートドアを垂直に移動させるポートドア昇降機構を備え、ポートドア昇降機構の昇降基部材には、センサ進退機構が設けられとあるように自動式オプナーである(特許文献2)。
【0009】
特開2002−184831によるFOUPオプナーは、FOUPオプナーが、閉塞した内部に半導体ウェハを複数枚収納してなるFOUPのFOUPドアを着脱して保持する着脱機構と保持機構とを有するポートドアを備えてなり、ポートドアには、FOUPドアの外壁を封止する封止手段が設けられている。封止手段は、ポートドアの外周縁に沿って設けられ、FOUPドア側に凸の形状をなし、FOUPドアの全周を蓋うようにされている。封止手段は、パッキング手段を備えることができる。また、FOUPドアの外壁の封止空間から汚染雰囲気を排気する排気手段が設けられてもよい。ポートドアには、FOUPドアの外壁を封止する封止手段が設けられていることが特徴である(特許文献3)。
【0012】
前記ポートドアの前記FOUPドアとの係合面が、前記ポートプレートの開口部を貫通して突出させられ、前記ドック移動機構の作動に伴い、前記FOUPが前進して、前記FOUPドアが前記ポートドアの係合面に衝突するようにされ、衝突した前記FOUPドアと前記ポートドアとを所定の位置まで追従して移動させることができる追従移動手段が設けられたことを特徴とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特開2003−249537によるFOUPオプナーは、構造が簡単で低価格であるものの、FOUP蓋の開閉時に、FOUPシェル開口とFOUPドア周辺の摩擦が大きくFOUP蓋をFOUP本体の開口部付近で回転させるため回転部より発生する発塵の問題がある。
【0014】
特開2002−076093によるFOUPオプナーは、FOUPドアを自動的に開閉させられるものの、手動運用に比較し、製作コストが高く、導入も困難であり、普及にもブレーキがかかっていた。
本発明によるFOUPオプナー手動操作によりFOUPの蓋を簡便に開閉できるようにし、かつ上記の問題をも併せて解決した手動開閉オプナーである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0015】
レバー操作により作動させる吸着パッドと、FOUPの蓋のロックを外すラッチキーとをドアプレートに取り付け、前記吸着パッドとラッチキーを前記ドアプレートの回転によりFOUPドアをFOUPの手前に引き出せるように構成し、かつ前記の機構の全てを前後に移動できるようにした。
【0016】
この方式を採用することにより、FOUPドアをFOUPの開口部に平行に最初に手前に引き出し、それからFOUPドアを回転させてFOUPドアを開けるためFOUPドアの回転時にFOUPドアがウエハーに擦れることはなく発塵によるゴミの低減を行うことができる。また、個人差を解消し、操作の安定化を図ることができる。
【0017】
特に扉回転時のFOUP本体とFOUPドアの回転ヒンジ部分での摩擦による発塵を解消することができる。
上記のFOUPオプナーを旋回プレートに設置し、FOUPを前後に反転してFOUPを着脱できる。この方式を採用することのより手前にあるFOUPオプナーがFOUPの後側に移動するため旋回プレート上のFOUPの着脱が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に関わる手動式FOUPオプナーの平面図である。
FOUP開閉手順を以下に説明する。ベースプレート4上に旋回プレート3があり、旋回プレート3上にはキネマピン5が3本立てられている。旋回プレート3上のほぼ中央に位置する2本のキネマピン5Aが奥側にあるポジションが旋回プレート3の初期位置である。そのキネマピン5上にFOUP本体1を載せ、ほぼ中央に位置する2本のキネマピン5が手前側となるポジションまで旋回させる。
【0019】
次に、ドアプレート8を搭載したドッキングプレート9をFOUP本体1に向かって前進させ、ドアプレート8に取付けられているラッチキー7および吸着パッド6をFOUPドア2に密着させる。吸着パッド6によりFOUPドア2を吸着させてラッチキー7を廻しFOUPドア2のロックを外す。
【0020】
ドアプレート8にFOUPドア2を保持させたままドッキングプレート9を後退させてFOUPドア2を開ける。その後ドアプレート8を回転させてFOUP前面のウエハー作業空間を確保する。
【0021】
FOUP本体1からウエハーを抜き取り、検査等の作業を行う。FOUP本体1からウエハーを抜き取り後、ドアプレート8を回転させてFOUP前面に平行になるように合わせる。ドッキングプレート9をFOUP本体1に向かって前進させる。ドアプレート8に取付けられているラッチキー7によりFOUP本体1にFOUPドア2をロックし、吸着パッド6を解除して、FOUPを閉める。旋回プレート3上のほぼ中央に位置する2本のキネマピン5が奥側にくるように旋回プレート3を旋回させる。
それからFOUPドア2とともにFOUP本体1を旋回プレート3から取り除く。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本願発明によるFOUPオプナーはFOUPドアを開閉するにあたり発塵によるFOUP及びFOUP内に収納された半導体ウエハーを汚染させることなく、また、FOUP本体のFOUPオプナーからの着脱も手動で容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に関わるFOUPオプナーの平面図。
【図2】本発明に関わるFOUPオプナーの吸着パッド部の側面図。
【図3】従来の実施例1のFOUPオプナーの平面図。
【図4】従来の他の実施例2のFOUPオプナーの平面図(扉閉)。
【図5】従来の他の実施例2のFOUPオプナーの平面図(扉開)。
【符号の説明】
【0024】
1 FOUP本体
2 FOUPドア
3 旋回プレート
4 ベースプレート
5A,5B キネマピン
6 吸着パッド
7 ラッチキー
8 ドアプレート
9 ドッキングプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レバー操作により作動させる吸着パッドと、FOUPドアのロックを外すラッチキーとをドアプレートに取り付け、前記吸着パッドとラッチキーを前記ドアプレートの回転によりFOUPドアを手前に引き出せるように構成し、かつ前記の機構の全てを前後に移動できるようにしたFOUPオプナー。
【請求項2】
請求項1に記載のFOUPオプナーを旋回プレート3上に設置し、FOUPを前後に反転してFOUPを着脱できるFOUPオプナー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−339618(P2006−339618A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−187292(P2005−187292)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2004年12月1日から3日 SEMI・ジャパン開催の「セミコン・ジャパン 2004」に出品
【出願人】(000109222)株式会社ダン・タクマ (2)
【Fターム(参考)】