説明

把手付きボトル

【課題】 把手部材の形状を簡単なものにし、インサート成形により内容量が500ml以下のボトルの肩部に、把手を固着させるようにした把手付きボトルを提供すること。
【解決手段】 把手付き小容量ボトルとして、ボトルの容量が500ml以下のPET樹脂製で、別途成形された把手部材をブロー金型の肩部形成部に装着し、加熱軟化させたプリフォームをブロー成形することにより、ボトルの肩部に把手部材をインサート成形したボトルであって、把手部材が、中央部上方を垂直面とし、その下方を傾斜湾曲面とし、その他の表面をボトルの肩部とほぼ面一になるように形成された表壁面と、表壁面の中央上端から延びる水平部と表壁面の中央下端から立設された垂直部とを連設させてなる把手とからなり、表壁面裏面の上端、下端、および側面には、ボトル内方に突出する突部が配設されており、前記垂直面下端には、下方に突出する突条が形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把手付きボトル、特に、把手部材をインサート成形により一体成形した内容量が500ml以下のPET樹脂製ボトルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器の持ち運びを簡単にするため、把手を具えた把手付きボトルとして、把手部材を別体で成形し、インサート成形によりボトルの一部に固着させた把手付きボトルは、従来より知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−335958号
【特許文献2】特開平7−80921号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1、2記載の把手付きボトルは、いずれも大型のボトルであって、把手はボトルの胴部にインサート成形されるようにしている。
しかしながら、500ml以下の小容量のボトルでは、従来のように把手を胴部に取り付けた場合、把手がかえってボトルの持ち運びや取扱いの妨げとなり、美観を損なうことにもなった。
【0005】
小容量のボトルの場合には、ボトル自体を手で掴むことだけで充分であるので、ボトル自体に把手を付けることまで考えなかった。
また、ボトルの持ち運び、使い勝手をよくするため、小容量のボトルの首部にひも等を巻き付けたり、ボトル自体を袋等で包み込んだり、ひも等を引っ掛けて使用するということも考えられてはいるが、ボトルに、ひも等を装着するための作業が必要となっていた。
【0006】
本発明は、上記の事情を考え、把手部材の形状を簡単なものにし、インサート成形により内容量が500ml以下のボトルの肩部に、把手を固着させるようにした把手付きボトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、把手付き小容量ボトルとして、ボトルの容量が500ml以下のPET樹脂製で、別途成形された把手部材をブロー金型の肩部形成部に装着し、加熱軟化させたプリフォームをブロー成形することにより、ボトルの肩部に把手部材をインサート成形したボトルであって、把手部材が、中央部上方を垂直面とし、その下方を傾斜湾曲面とし、その他の表面をボトルの肩部とほぼ面一になるように形成された表壁面と、表壁面の中央上端から延びる水平部と表壁面の中央下端から立設された垂直部とを連設させてなる把手とからなり、表壁面裏面の上端、下端、および側面には、ボトル内方に突出する突部が配設されており、前記垂直面下端には、下方に突出する突条が形成されていることを特徴とする構成を採用する。
【0008】
把手部材の他の実施例として、把手部材の把手が、水平部と垂直部とからなる把手に替え、表壁面の中央上端から延びる把手杆と、該把手杆先端から垂設された引っ掛け部とからなることを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の把手付きボトルは、容量が500ml以下のPETボトルの肩部に把手をインサート成形することによって取着するようにしたので、胴部のパネル面の形状を変更することがなく、ボトルの持ち運び、使い勝手がよくなった。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施例の把手付きボトルの断面立面図である。
【図2】把手部材の断面立面図である。
【図3】第2実施例の把手付きボトルの断面立面図である。
【図4】把手部材の断面立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の把手付きボトルについて、実施例をあげ、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0012】
図1において、AはPET樹脂により延伸ブロー成形され、内容量が500ml以下のボトル、BaはボトルAの肩部の一部にインサート成形により一体成形される把手部材、CaはボトルAの肩部の一部に把手部材Baをインサート成形することにより形成される係合凹部である。
ボトルAは、口部1と肩部2、胴部3と底部とからなっている。
肩部2と胴部3の境には、横リブ4が設けられている。
【0013】
把手部材Baは、図1、2に示すように、中央部が、垂直面20と傾斜湾曲面21とからなり、その他の表面がボトルの肩部2の表面とほぼ面一になるように形成された表壁面22と、表壁面22表面の中央上端から突設された水平部23と、下端から立設された垂直部24とからなる把手25とを具えており、把手25と表壁面22との間は、把手孔26となっている。
【0014】
表壁面22には、裏面の上端、下端、および、側面の上下にボトル内方に突出する突部27a、27b、27cが配設されており、中央の垂直面20の下端から下方に突出する突条28が垂設されている。
【0015】
係合凹部Caは、成形した把手部材BaをボトルAのブロー金型の肩部形成部に装着し、加熱軟化させたボトルAのプリフォームをブロー成形することにより、プリフォームが、把手部材Baの表壁面22の裏面、および各突部27a、27b、27cの表面と側面、突条28と傾斜湾曲面21との間に、ボトルAの樹脂が回り込み、図1に示すように、ボトルAの肩部2の一部に係合凹部Caが形成される。
その際、突条28の表面側に係合する凸部30が、ボトルAに形成される。
【0016】
次に、本実施例の把手付きボトルの作用効果について説明する。
本実施例の把手付きボトルでは、把手部材Baの表壁面22の裏面の突部27と、ボトルA成形時に形成される係合凹部Ca、および凸部30との係合により、把手部材BaをボトルAにより強固に固着することができる。
また、手指等で把手部材Baの把手25を摘んだり、把手孔26にフックを引っ掛けることが簡単にでき、ボトルの持ち運びに便利である。
【0017】
本実施形態の把手付きボトルは、ボトルAに把手部材Baをインサート成形により一体化して成形するので強固に固着することができ、ボトルとしての美観を損なうことがない。
【0018】
さらに、把手部材Baは、手指等で把手25を摘んだり、把手孔26に引っ掛けることができればよいので、大きさを小さくすることができ、内容量が少なく小さいボトルにも、ボトルAに把手部材Baをインサート成形により一体化して強固に固着することができる。
【0019】
本発明の把手付きボトルは、ボトルAに把手部材Baをインサート成形により一体化して強固に固着することができればよいので、ボトルの形状は円形、四角形、多角形を問わずどんな形状でもよい。
【実施例2】
【0020】
次に、第1実施例の把手部材の形状を変えた第2実施例について説明する。
本実施例の第1実施例と同一の構成部分には、同一の符号を付して図示し、詳しい説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0021】
図3において、Aはボトル、BbはボトルAの把手部材である。
【0022】
把手部材Bbは、図3、4に示すように、前記第1実施例と同様に、中央に垂直面35と傾斜湾曲面36とを具えた表壁面37と、表壁面37の中央上端から外方に突出して先端を下方に折曲げ、引っ掛け部38を形成した把手杆39とからなっている。
表壁面37の裏面には、前記実施例と同一の突起40a、40b、40cと、突条41が形成されている。
【0023】
次に、本実施例の把手付きボトルの作用効果について説明する。
本実施例の把手付きボトルでは、手指等で把手部材Bbの把手杆39を摘んだり、引っ掛け部38に引っ掛けることで、ボトルの持ち運びに便利である。
【0024】
また、手指等をボトルに引っ掛けるのに、第1実施例の把手孔ではなく、引っ掛け部38に引っ掛ければよいので、把手部材Bbの大きさが小さいものでも手指等を引っ掛けることができる。
その他の作用効果は、実施例1と同じである。
【0025】
上記各実施例の把手部材は、手指等を引っ掛けることができるので、ストラップや首掛け等を引っ掛けて結ぶことにより、ボトルの持ち運びをさらに便利にすることができ、さらに、ストラップや首掛け等をフック等に引っ掛ける等によりボトルを所定の場所に引っ掛けておくことができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の把手付きボトルは、把手部材の構造を簡単で小さいものにすることができ、内容量が500ml以下のPET樹脂により成形されるボトルの成形時に、把手部材をインサート成形することにより一体成形させることで、把手部材をボトルの肩部の一部に固着することができる。
また、どのような形のボトルにも、把手部材を一体成形し、持ち運び、または引っ掛けることが簡単にできるので、飲料品、食料品、香料、薬品の容器として、広く利用することができる。
【符号の説明】
【0027】
A ボトル
Ba、Bb 把手部材
Ca、Cb 係合凹部
1 口部
2 肩部
3 胴部
4 横リブ
20、35 垂直面
21、36 傾斜湾曲面
22、37 表壁面
23 水平部
24 垂直部
25 把手
26 把手孔
27a,b,c 突部
28、41 突条
30 凸部
38 引っ掛け部
39 把手杆
40a、40b、40c 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトルの容量が500ml以下のPET樹脂製で、別途成形された把手部材をブロー金型の肩部形成部に装着し、加熱軟化させたプリフォームをブロー成形することにより、ボトルの肩部に把手部材をインサート成形したボトルであって、
把手部材が、中央部上方を垂直面とし、その下方を傾斜湾曲面とし、その他の表面をボトルの肩部とほぼ面一になるように形成された表壁面と、表壁面の中央上端から延びる水平部と表壁面の中央下端から立設された垂直部とを連設させてなる把手とからなり、
表壁面裏面の上端、下端、および側面には、ボトル内方に突出する突部が配設されており、
前記垂直面下端には、下方に突出する突条が形成されていることを特徴とする把手付き小容量ボトル。
【請求項2】
把手部材の把手が、水平部と垂直部とからなる把手に替え、表壁面の中央上端から延びる把手杆と、該把手杆先端から垂設された引っ掛け部とからなることを特徴とする請求項1記載の把手付き小容量ボトル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−213418(P2011−213418A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156726(P2011−156726)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【分割の表示】特願2006−54132(P2006−54132)の分割
【原出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】