説明

把持装置

【課題】フォトマスク基板等を把持爪内の一定の位置(例えば、先端側位置)で把持することが可能な把持装置を提供する。
【解決手段】上側把持爪134が下降して、移動プレート430が基板300に当接すると、移動プレート430が、中間スライダ420の底面に形成された斜面に沿って後方に移動を開始するとともに、中間スライダ420が、ベース部410の底面に形成された斜面に沿って前方に移動を開始する。そして、後面ガイド部材450が基板300の後面に当接するようになると、基板300及び移動プレート430は後方への移動を停止し、中間スライダ420及び後面ガイド部材450とともに、前方への移動を開始する。そして、基板300の前面が前面ガイド部材440に当接するようになると、基板300及び移動プレート430は、中間スライダ420及び後面ガイド部材450とともに、前方への移動を停止し、基板300が上側把持爪134の先端側で位置合わせされた状態で上側把持爪134によって把持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトマスク基板等の板状体を把持する把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(LCD)やLSI等の製造に使用されるフォトマスクは、複数の工程を経て製作されるが、各工程毎に、各種処理装置が利用されている。そのため、フォトマスクの製作過程においては、フォトマスクを構成する基板を、工程順に、各工程を担当する各処理装置に順次搬送して行く必要がある。当該搬送には、例えば、台車が利用される。台車等によって各処理装置の近くまで運ばれた基板は、台車等から各処理装置へ移載されて、各処理装置で処理される。そして、各処理装置での処理が終了した基板は、再度、各処理装置から台車等へ移載されて、次の処理装置に運ばれる。このような台車等と各処理装置との間での基板の受け渡しは、従来は、人手で行われることが一般的であった。
【0003】
一方、LCDの大型化に伴い、フォトマスクのサイズも大きくなってきており、現在、LCDの製造に使用されているフォトマスクには、1220mm×1400mm(厚さ13mm)という大型のものも存在する。その結果、フォトマスクを構成する基板の重量も重たくなってきており、人手で扱うのが困難になってきている。また、処理装置によっては、基板の受け渡しに正確な位置合わせを必要とするものもあり、このような処理装置に対する基板の受け渡しは更に困難なものとなる。
【0004】
なお、特開2003−100846号公報には、フォトマスクの製造ラインにおいて、搬送台車と処理装置との間でフォトマスク基板の受け渡しを行う基板受渡機構が開示されている。
【0005】
また、特開2000−31250号公報には、3次元的に移動可能なアーム本体と、基板を垂直な姿勢に保持すべくアーム本体の一方側の表面上に適当な間隔で立設された複数の把持部材とを備えたアームユニットが開示されている。当該アームユニットにおいては、各把持部材の先端には、基板の周辺部に嵌合可能な切欠を備えるツメ部が形成されており、これらのツメ部が基板の周辺部に嵌合することにより、基板が周囲から把持されて垂直な姿勢に保持される。
【0006】
しかしながら、仮に、前記アームユニットを利用して基板の移載を行うことを考えた場合、各ツメ部が備える切欠のサイズ(基板の厚み方向の長さ)は、基板の厚みのばらつきや、基板と切欠との位置合わせの容易さを考慮して、移載対象となる基板の厚み(の最大値)よりやや大きめに形成されることになる。そのため、例えば、複数の基板を一枚ずつ前記アームユニットで移載する場合、各ツメ部において基板が把持される切欠内位置に、ばらつきが生じ得ることになる。各ツメ部の切欠内における基板の把持位置がばらつくと、それに応じて、把持された基板の向きにばらつきが生じることになる。基板の受け渡し先となる処理装置によっては、基板が高い精度で一定の向きを向いている(例えば、処理装置に対して正対している)ことを要求するものもあり、基板の向きにばらつきが生じると、このような処理装置に対する基板の受け渡しが困難になる。特に、基板のサイズが大きくなると、各ツメ部での把持位置の微妙な違いが、基板の左右両端位置の大きなずれ等につながってしまう。
【特許文献1】特開2003−100846号公報
【特許文献2】特開2000−31250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、フォトマスク基板等の板状体を、把持爪内の一定の位置(例えば、先端側位置)で把持することが可能な把持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る把持装置は、板状体(例えば、フォトマスク等の基板)の端部に当接する把持爪を備え、前記把持爪は、ベース部と、前記ベース部に対して前後動可能な中間スライダ部と、前記中間スライダ部に対して前後動可能な移動プレート部と、前記ベース部に設けられ、前記板状体の一方の面に当接して、前記板状体の動きを規制する固定ガイド部と、前記中間スライダ部に設けられ、前記板状体の他方の面に当接して、前記板状体を前記固定ガイド部のある方向へ押す移動ガイド部とを備え、前記板状体の端面が前記移動プレート部に当接すると、前記中間スライダ部が前記固定ガイド部のある方向へ移動を開始し、前記移動ガイド部が、前記板状体の一方の面が前記固定ガイド部に当接するまで、前記板状体の他方の面を押すことを特徴とする。
【0009】
この場合において、前記ベース部の前記中間スライダ部と対向する面は、前記板状体の端面が前記移動プレート部に当接すると、前記中間スライダ部が前記固定ガイド部のある方向へ移動を開始するような傾斜を有しているようにしてもよい。
【0010】
また、以上の場合において、前記板状体の端面が前記移動プレート部に当接すると、前記移動プレート部が前記移動ガイド部のある方向へ移動を開始するようにしてもよい。この場合、前記中間スライダ部の前記移動プレート部と対向する面は、前記板状体の端面が前記移動プレート部に当接すると、前記移動プレート部が前記移動ガイド部のある方向へ移動を開始するような傾斜を有しているようにしてもよい。
【0011】
また、以上の場合において、前記板状体の端面が前記移動プレートに当接すると、前記移動プレート部が、前記移動ガイド部のある方向へ移動を開始するとともに、前記中間スライダ部が、前記固定ガイド部のある方向へ移動を開始し、前記板状体の他方の面が前記移動ガイド部に当接すると、前記移動プレート部は、前記移動ガイド部のある方向への移動を停止し、前記板状体の一方の面が前記固定ガイド部に当接すると、前記中間スライダ部は、前記固定ガイド部のある方向への移動を停止するようにしてもよい。また、前記把持爪は、前記ベース部に対する前記中間スライダ部の動きを案内する第一直動案内手段と、前記中間スライダ部に対する前記移動プレート部の動きを案内する第二直動案内手段とを更に備えるようにしてもよい。前記第一直動案内手段及び第二直動案内手段はそれぞれ、例えば、リニアガイドによって構成される。
【0012】
また、前記把持装置は、前記把持爪を複数備えるようにしてもよい。この場合、複数の前記把持爪は、例えば、前記板状体の上端部に当接する上側把持爪と、前記板状体の下端部に当接する下側把持爪とによって構成される。更に、前記上側把持爪及び前記下側把持爪は、それぞれ、上下動可能であるようにしてもよい。そして、前記上側把持爪は、前記中間スライダ部を、前記固定ガイド部から遠ざかる方向に付勢する第一付勢手段と、前記移動プレート部を、前記移動ガイド部のある方向に付勢する第二付勢手段とを更に備えるようにしてもよい。また、前記下側把持爪は、前記中間スライダ部を、前記固定ガイド部から遠ざかる方向に付勢する第一付勢手段と、前記移動プレート部を、前記移動ガイド部から遠ざかる方向に付勢する第二付勢手段とを更に備えるようにしてもよい。前記第一付勢手段及び第二付勢手段はそれぞれ、例えば、コイルばねによって構成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、フォトマスク基板等の板状体を、把持爪内の一定の位置で把持することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下では、基板の移載を行う基板移載装置に本発明を適用した場合について説明する。
【0015】
図1〜図3は、本発明による基板移載装置(把持装置)の外観を示す図である。図1は正面側斜め上から見た斜視図を示し、図2は背面側斜め上から見た斜視図を示し、図3は背面図を示す。本基板移載装置は、フォトマスク等の矩形平板状基板を立てた状態で上下方向に把持(挟持)して移載を行うものであって、オペレータが行う基板移載作業を補助するものである。例えば、オペレータは、本基板移載装置を利用して、台車と処理装置との間で基板の移載を行う。
【0016】
図1〜図3に示すように、本発明による基板移載装置100は、胴体部110と、アーム部120と、把持部130とを備える。
【0017】
胴体部110は、胴体ベース部111と回転胴部112とから構成される。胴体ベース部111は、基板移載装置100が設置される床などに固定されるものであり、その中央部に、垂直方向に伸びるシャフト(不図示)が固定されている。回転胴部112は、胴体ベース部111に固定されたシャフトを中心に回転可能なものであり、四角柱状の形状を有する。回転胴部112の筐体内には、基板移載装置100の動作を制御する制御部等が収められている。また、回転胴部112の一側面には、水平方向に伸びるアーム部120の基端部が上下動(昇降)可能なように取り付けられている。
【0018】
アーム部120は、円筒状の形状を有する第一アーム121及び第二アーム122から構成される。第一アーム121の後端は、回転胴部112の側面に上下動可能なように取り付けられる。第一アーム121の先端と、第二アーム122の後端とは、第二アーム122が第一アーム121に対して(垂直な軸を中心に)水平方向に回転可能なように連結される。第二アーム122の先端には、把持部130が、水平方向に回転可能なように取り付けられる。なお、第一アーム121(アーム部120)の上下動は、例えば、回転胴部112の筐体内に収められたリニアガイド、ボールネジ、モータ等を利用して実現される。
【0019】
把持部130は、移載対象となる基板を垂直に立てた状態(後述するチルト動作時は、やや前傾した状態)で把持するものであって、チルトベース部131と、チルト部132とを備える。チルトベース部131とチルト部132とは、チルト部132がチルトベース部131に対して(水平な軸を中心に)垂直方向に回転可能なように、下端部で連結されている。チルト部132がチルトベース部131に対して垂直方向に回転することで、チルト部132が前傾することになる。なお、チルト部132のチルト動作(前傾動及び前傾状態から元の垂直状態に復帰する動き)は、例えば、把持部130の筐体内に収められたボールネジ、モータ等を利用して実現される。
【0020】
このようなチルト動作を行うチルト部132は、基板を把持するための爪を複数(本実施形態では3つ)備えている。より具体的には、垂直に立てた状態の基板の下端部(底面)を支持する一つの下側把持爪133と、垂直に立てた状態の基板の上端部(上面)を押さえる2つの上側把持爪134とを備える。下側把持爪133は、チルト部132の前面下部に上下動可能に取り付けられており、2つの上側把持爪134は、チルト部132の前面上部に上下動可能に取り付けられた上側把持部材135の両端部に取り付けられている。上側把持部材135は、水平方向に長い矩形状の平板部材であり、様々なサイズの基板に対応できるように、下側把持爪133に比べて、長い距離上下動することができる。基板移載装置100においては、下側把持爪133を上昇させ、上側把持部材135(すなわち、上側把持爪134)を下降させることで、基板の把持(クランプ)を行い、上側把持部材135(すなわち、上側把持爪134)を上昇させ、下側把持爪133を下降させることで基板の解放(アンクランプ)を行う。下側把持爪133及び上側把持部材135の上下動は、例えば、把持部130の筐体内に収められたリニアガイド、ボールネジ、モータ等を利用して実現される。各把持爪133,134には、基板を各把持爪133,134内の一定の位置(本実施形態では、先端側位置)で把持することを可能にする機構(以下、基板位置合わせ機構という)が設けられている。当該基板位置合わせ機構の詳細については後述する。
【0021】
一方、チルトベース部131には、図3に示すように、表示装置及び入力装置として、タッチパネル付き液晶ディスプレイ141が取り付けられている。タッチパネル付き液晶ディスプレイ141は、基板移載装置100の操作に必要な各種メニューや装置の状態を表示すると共に、オペレータの指示を入力するためのものである。更に、チルトベース部131には、表示装置として、モニタ142が取り付けられている。モニタ142は、下側及び上側把持爪133,134のクランプ・アンクランプ状態を確認するために各把持爪付近に設けられたCCDカメラ(不図示)の映像を表示するためのものである。
【0022】
また、チルトベース部131の両側面には、外側に伸びるハンドル143が取り付けられている。オペレータは、当該ハンドル143を持って、把持部130を必要な場所に移動させることで、基板の移載を行う。ハンドル143には、基板移載装置100を操作するためのスイッチ144が複数個設けられている。例えば、チルト動作、クランプ・アンクランプ動作、アーム上下動を指示するためのスイッチが設けられている。
【0023】
次に、以上のような構成を有する基板移載装置100の動作について説明する。
【0024】
図4は、基板移載装置100の使用方法を説明するための図である。ここでは、同図に示す基板載置台201から基板載置台202へ基板300を移載する場合を例にして説明する。なお、基板載置台201,202は共に、斜めに立てかけるようにして基板を載置するタイプの載置台である。また、各基板載置台201,202の前には、基板の受け渡しを行う際の把持部130の位置決めを容易にするための器具として、キャッチャー211,212が設けられている。キャッチャー211,212は、同図(b)に示すように、把持部130の下端部(チルトベース部131とチルト部132との連結部周辺)を収容する収容部213と、当該収容部213の動きを直線方向に制限するリニアガイド214とから構成され、各基板載置台201,202の前に配置される設置台(不図示)の上に載せられて、収容部213が各基板載置台201,202に対して垂直な方向に前後動できるように設置される。
【0025】
まず、同図(a)に示すように基板載置台201に載置されている基板300を把持するため、オペレータは、把持部130のハンドル143を持って、把持部130を基板載置台201に概ね正対する位置まで移動させる。この際、オペレータのハンドル操作に応じて、把持部130の第二アーム122に対する回転、第二アーム122の第一アーム121に対する回転(屈伸)並びに第一アーム121及び回転胴部112の回転(旋回)が適宜行われる。そして、把持部130の下端部がキャッチャー211の収容部213の上方に位置するところまで把持部130を移動させると、オペレータは、スイッチ144を操作して、アーム部120を下降させ、把持部130の下端部をキャッチャー211の収容部213に収容させる。把持部130の下端部がキャッチャー211の収容部213に収容されると、把持部130は、基板載置台201に対して左右方向の位置合わせされた状態になる。把持部130の下端部の収容が完了すると、オペレータは、スイッチ144を操作して、チルト部132を所定角度前傾させる。オペレータによってチルト動作が指示されると、チルト部132は、チルト部132の前面が基板300と平行になるよう、所定角度前傾する。
【0026】
チルト部132が前傾して、チルト部132の前面と基板300が平行になると、次に、オペレータは、ハンドル143を前に押して、同図(a)に示すように、把持部130を基板300の直前の位置(基板把持位置)まで前進させる。このとき、把持部130は、下端部がキャッチャー211の収容部213に収容された状態で収容部213と共に水平直線移動するので、基板載置台201に対して正対した状態(左右方向の位置合わせがされた状態)で移動させることができる。なお、このとき、上下の把持爪133,134は、解放状態、すなわち、下側把持爪133は下降し、上側把持爪134(上側把持部材135)は上昇した状態にある。把持部130が基板把持位置に達すると、オペレータは、スイッチ144を操作して、基板300のクランプを行う。オペレータによってクランプ動作が指示されると、まず、下側把持爪133が上昇して、下側把持爪133が基板300の底面に当接し、続いて、上側把持部材135が下降して、上側把持爪134が基板300の上面に当接する。下側把持爪133及び上側把持爪134は、基板300にかかる力(クランプ力)が予め決められた値以上になると、上昇及び下降を停止する。クランプ力の制御は、例えば、モータのトルク制御によって行われ、基板300を把持している間は、常に一定の力が基板300に加わるように制御される。このようにして下側把持爪133と上側把持爪134とによる基板300の把持(挟持)が完了すると、オペレータは、スイッチ144を操作して、前傾していたチルト部132を、垂直な状態に復帰させる。続いて、オペレータは、基板300が基板載置台201から充分離れるよう、ハンドル143を引っ張って、把持部130を後退させる。把持部130の後退が完了すると、オペレータは、スイッチ144を操作して、アーム部120を上昇させ、把持部130の下端部をキャッチャー211の収容部213から外す。
【0027】
その後、オペレータは、把持部130で把持した基板300を基板載置台202に載置するため、ハンドル143を操作して、把持部130をアーム部120及び胴体部110(回転胴部112)と共に、例えば、時計回りに回転させながら、把持部130を基板載置台202に概ね正対する位置まで移動させる。そして、把持部130の下端部がキャッチャー212の収容部213の上方に位置するところまで把持部130を移動させると、オペレータは、スイッチ144を操作して、アーム部120を下降させ、把持部130の下端部をキャッチャー212の収容部213に収容させる。把持部130の下端部の収容が完了すると、オペレータは、ハンドル143を前に押して、把持部130を基板載置台202の直前の位置(基板載置位置)まで前進させる。基板載置位置に達すると、オペレータは、スイッチ144を操作して、同図(b)に示すように、チルト部132を所定角度前傾させる。その結果、基板300は、把持部130に把持された状態のまま、基板載置台202に斜めに立てかけられて載置されることになる。次に、オペレータは、スイッチ144を操作して、基板300のアンクランプを行う。オペレータによってアンクランプ動作が指示されると、まず、上側把持部材135が上昇して、上側把持爪134が基板300の上面から離れ、続いて、下側把持爪133が下降して、下側把持爪133が基板300の底面から離れる。このようにして基板300の解放が完了すると、オペレータは、把持部130が基板載置台202に載置された基板300から充分離れるよう、ハンドル143を引っ張って、把持部130を後退させる。その後、オペレータは、スイッチ144を操作して、前傾しているチルト部132を垂直な状態に復帰させ、更に、アーム部120を上昇させて、把持部130の下端部をキャッチャー212の収容部213から外す。
【0028】
以上のようにして、基板載置台201から基板載置台202へ基板300の移載が行われる。オペレータは、基板移載装置100を利用することで、基板の移載を容易に行うことができる。なお、ここでは、チルト部132を前傾させた状態で基板300の受け渡しを行っているが、移載元又は移載先が垂直な状態で基板の受け渡しを行う装置等の場合は、チルト動作は不要となる。
【0029】
次に、各把持爪133,134に設けられた基板位置合わせ機構について説明する。基板位置あわせ機構とは、把持対象となる基板を各把持爪で把持する際に、各把持爪の予め決められた一定の位置(本実施形態では、各把持爪の先端側位置)で基板が把持されるように各把持爪において基板を移動させる機構である。各把持爪に基板位置合わせ機構を設けることにより、把持動作開始時に基板が各把持爪に最初に当接した位置にかかわらず、各把持爪において基板を先端側に移動させ、把持動作が完了した時点では、基板が必ず各把持爪において先端側位置で把持されているようにすることが可能となる。
【0030】
なお、基板位置合わせ機構は、各把持爪133,134にそれぞれ設けられるが、2つの上側把持爪134にそれぞれ設けられる基板位置合わせ機構の構造は同一であり、下側把持爪133に設けられる基板位置合わせ機構も上側把持爪134のものとほぼ同様の構造を有するので、以下では、主に、一方の上側把持爪134に設けられた基板位置合わせ機構について説明する。
【0031】
図5〜図10は、上側把持爪134に設けられた基板位置合わせ機構を説明するための図である。図5は、上側把持爪134の周辺部分の平面図を示し、図6は、上側把持爪134の周辺部分の側面図を示し、図7は、上側把持爪134の周辺部分の底面図を示す。また、図8〜図10は、上側把持爪134の断面図を示し、図8は、図5のA−A拡大断面図であり、図9は、図5のB−B拡大断面図であり、図10は、図5のC−C拡大断面図である。
【0032】
図5及び図6に示すように、上側把持爪134は、取付部材401,402によって、上側把持部材135の端部に取り付けられている。また、図8〜図10に示すように、上側把持爪134は、ベース部410と、中間スライダ420と、移動プレート430と、前面ガイド部材440と、後面ガイド部材450と、第一直動案内部材460と、第二直動案内部材470とを備える。
【0033】
ベース部410は、上側把持爪134のベースとなる部材である。中間スライダ420は、ベース部410と移動プレート430との間に配置されて、ベース部410の底面に沿って前後動する部材である。移動プレート430は、中間スライダ420の下方に配置されて、中間スライダ420の底面に沿って前後動する部材である。第一直動案内部材460は、ベース部410と中間スライダ420との間に配置されて、ベース部410に対する中間スライダ420の動きを直線運動に制限する部材である。第二直動案内部材470は、中間スライダ420と移動プレート430との間に配置されて、中間スライダ420に対する移動プレート430の動きを直線運動に制限する部材である。図10に示すように、本実施形態においては、第一直動案内部材460及び第二直動案内部材470は、それぞれ、(同図の左右方向に)間隔をあけて配置された2つのリニアガイドによって構成されている。
【0034】
ベース部410は、その基端部が取付部材401に固定される。また、ベース部410には、第一直動案内部材460を介して、中間スライダ420が前後動可能に取り付けられている。すなわち、ベース部410の底面(図8において下向きの面)に、第一直動案内部材460を構成するリニアガイドのレール461が固定され、第一直動案内部材460を構成するリニアガイドのスライダ(スライドユニット)462が、中間スライダ420の上面(図8において上向きの面)に固定されている。なお、後述するように、ベース部410の底面は、ベース部410の上面(水平面)に対して所定角度(例えば、1°)傾斜しており、中間スライダ420は、当該傾斜面に沿って前後動することになる。
【0035】
更に、中間スライダ420には、第二直動案内部材470を介して、移動プレート430が前後動可能に取り付けられている。すなわち、中間スライダ420の底面(図9において下向きの面)に、第二直動案内部材470を構成するリニアガイドのレール471が固定され、第二直動案内部材470を構成するリニアガイドのスライダ472が、移動プレート430の上面(図9において上向きの面)に固定されている。なお、後述するように、中間スライダ420の底面も、上側把持爪134の一部として組み付けられた状態で、ベース部410の上面(水平面)に対して所定角度(例えば、ベース部410の底面とは逆向きに1°)傾斜するように形成されており、移動プレート430は、当該傾斜面に沿って前後動することとなる。
【0036】
また、ベース部410の先端側には、前面ガイド部材440が固定され、中間スライダ420の後端側には、後面ガイド部材450が固定されている。前面ガイド部材440は、基板位置合わせの基準となる部材であり、基板の前面と当接して、基板の前方向の動きを規制するもの(固定ガイド)である。一方、後面ガイド部材450は、基板の後面に当接して基板を前方(前面ガイド部材440がある方向)に押し、基板を前方に移動させる部材(移動ガイド)である。前面ガイド部材440と後面ガイド部材450との間隔は、把持動作開始前の初期状態では、把持対象となる基板の厚み(の最大値)よりやや広くなるようになっており、把持動作時には、両者の間に、把持対象となる基板が嵌り込むことになる。
【0037】
また、図9及び図10に示すように、上側把持爪134は、第一付勢部材480と、第二付勢部材490とを備えている。図10に示すように、本実施形態においては、第一付勢部材480及び第二付勢部材490はそれぞれ、(同図の左右方向に)間隔をあけて配置された2本の引っ張りコイルバネによって構成されている。
【0038】
第一付勢部材480は、ベース部410と中間スライダ420との間に配置されて、ベース部410に対して、中間スライダ420を後方(前面ガイド部材440から遠ざかる方向)に付勢するものである。第一付勢部材480を構成する引っ張りコイルバネは、一方のフックが、ベース部410の底面に立設された円柱状部材411(の側面に形成された溝)に引っかけられ、他方のフックが、中間スライダ420の上面に立設された円柱状部材421(の側面に形成された溝)に引っかけられることによって、ベース部410と中間スライダ420に取り付けられている。そして、外力が加わっていない状態では、中間スライダ420は、第一付勢部材480によって後方に引っ張られて、中間スライダ420の後端部側面が、ベース部410の内側側面と当接した状態(図8に示した状態)で静止する。すなわち、外力が加わっていない状態では、前面ガイド部材440と後面ガイド部材450との間隔は、最も開いた状態に維持されることになる。
【0039】
一方、第二付勢部材490は、中間スライダ420と移動プレート430との間に配置されて、ベース部410に対して、移動プレート430を後方(後面ガイド部材450がある方向)に付勢するものである。第二付勢部材490を構成する引っ張りコイルバネは、一方のフックが、ベース部410の底面に立設された円柱状部材411(の側面に形成された溝)に引っかけられ、他方のフックが、移動プレート430の上面に立設された円柱状部材431(の側面に形成された溝)に引っかけられることによって、ベース部410と移動プレート430に取り付けられている。上側把持爪134の一部として組み付けられた際、中間スライダ420の底面は、前方に向かって下向きに傾くことになるので、外力が加わっていない状態(基板が当接してない状態)でも、移動プレート430は、重力によって(中間スライダ420の底面に沿って)前方に付勢されることになる。しかしながら、移動プレート430は、第二付勢部材490によって(中間スライダ420の底面に沿って)後方にも付勢されるので、重力による前方向の力と、第二付勢部材490による後方向の力とが釣り合う位置において、移動プレート430は静止することになる。その結果、移動プレート430は、基板300と当接する部分が、前面ガイド部材440と後面ガイド部材450との間から見えるような位置で静止することになる。
【0040】
また、図9に示すように、上側把持爪134は、基板300の有無を検知するための検知部材403及び光センサ404を備える。検知部材403は、回転軸405を中心に回転可能な部材であって、上側把持爪134が基板300を把持する際に、基板300の端面に当接する突出部406を備える。上側把持爪134が基板300を把持する際に、上側把持爪134が下降して、検知部材403の突出部406が基板300の上端面に当接すると、検知部材403は、回転軸405を中心に反時計回りに回転し始める。検知部材403が一定角度以上回転すると、検知部材403の一部が、光センサ404の物体検知用の光を遮ることとなり、直接的には検知部材403の存在が検知され、その結果、間接的に基板300の存在が検知される。なお、基板300を解放する際に、上側把持爪134が上昇して、基板300が検知部材403の突出部406から離れ始めると、回転軸405に設けられたねじりコイルバネによって、検知部材403が基板把持時とは逆方向に回転をし始め、基板300が検知部材403の突出部406に当接しなくなると、図8及び図9に示すように、突出部406が移動プレート430の底面よりも下方に突出した状態(初期状態)で静止する。当該初期状態では、光センサ404の物体検知用の光は、検知部材403によって遮られないので、直接的には検知部材403の不存在が検知され、その結果、間接的に基板が無いことが検知される。
【0041】
次に、基板位置合わせ機構を構成する各構成要素の詳細について説明する。なお、以下の説明においても、これまでの説明と同様に、上側把持爪134の一部として組み付けられた状態を基準に、各構成要素の上面及び底面を決めている。
【0042】
図11は、ベース部410の構造を示す図である。同図(a)は、ベース部410の底面図であり、同図(b)は、同図(a)のA−A断面図であり、同図(c)は、同図(a)のB−B断面図である。
【0043】
同図に示すように、ベース部410は、概ね直方体状の外形を有し、その底面に開口が形成されて、その内部に、第一直動案内部材460、中間スライダ420、第二直動案内部材470、移動プレート430等を収容する空間412が形成されている。
【0044】
ベース部410の長手方向の一方の端部には、ベース部410を取付部材401に固定するための2つの孔413が形成されている。また、ベース部410の長手方向の他方の端部中央には、前面ガイド部材440を固定するための孔414が形成されている。また、一方の端部に形成された2つの孔413の間には、当該2つの孔413が形成された側の端から、他方の端部に形成された孔414の近くまで直線状に伸びる切れ込み415が形成されている。当該切れ込み415は、前述した検知部材403を配置するために設けられている。そして、ベース部410の上壁416の内側面(ベース部410の底面)には、当該切れ込み415の両側及び先端を囲うように、突出部417が形成されており、当該突出部417によって、上壁416の内側面は、2つの領域に分離されている。
【0045】
同図(b)に示すように、ベース部410の上壁416の厚みは、前方(孔414のある側)に向けて一定の割合で薄くなるように形成されている。すなわち、上壁416の内側面は、上壁416の外側面に対して、一定の角度(例えば、1°)で傾斜するように形成されている。その結果、ベース部410が上側把持爪134の一部として組み付けられた状態(図8の状態)では、ベース部410の上壁内側面は、前方に向けて一定の角度で上昇するように傾斜することになる。
【0046】
また、ベース部410の上壁416には、第一直動案内部材460を構成するリニアガイドのレール461を固定するための4つの孔418と、第一付勢部材480を構成する引っ張りコイルバネのフックを引っかける円柱部材411を挿入して固定するための孔419とが、突出部417の両側にそれぞれ形成されている。
【0047】
図12は、前面ガイド部材440の構造を示す図である。同図(a)は平面図であり、同図(b)は正面図であり、同図(c)は側面図である。
【0048】
同図に示すように、前面ガイド部材440は、ガイド本体441と、取付部442とを備える。
【0049】
ガイド本体441は、基板の前面と当接して基板の前方向の動きを規制する部分である。すなわち、基板の位置合わせの基準となるものであり、基板がガイド本体441に当接して前方向の動きを停止することによって、基板の位置合わせがされることになる。同図に示すように、ガイド本体441は、概ね細長い直方体状の外形を有し、基板と対向する面は、基板と接触する部分を最小限にするため、基板の前面(垂直面)に対して、所定の角度(例えば、2°)をなすよう形成されており、更に、当該基板と対向する面には、前進した移動プレート430の先端との干渉を避けるため、切り欠き443が形成されている。
【0050】
取付部442は、前面ガイド部材440をベース部410に固定するための直方体状の部分であって、ガイド本体441の長手方向中央に、当該長手方向とは垂直な方向に伸びるように設けられている。取付部442の上面(ベース部410と接する面)には、前面ガイド部材440をベース部410に固定するための穴444が形成されている。
【0051】
図13は、中間スライダ420及び後面ガイド部材450の構造を示す図である。同図(a)は平面図であり、同図(b)は正面図であり、同図(c)は、同図(a)のA−A断面図であり、同図(d)は、同図(a)のB−B断面図である。
【0052】
同図に示すように、中間スライダ420は、2つのスライド部422と、当該2つのスライド部422を連結する連結部423とを備える。スライド部422はそれぞれ、細長い平板状の形状を有しており、第一直動案内部材460を構成するリニアガイドのスライダ462を上面に固定するための2つの孔424と、第二直動案内部材470を構成するリニアガイドのレール471を底面に固定するための3つの孔425と、第一付勢部材480を構成する引っ張りコイルバネのフックを引っかける円柱部材421を挿入して固定するための孔426が形成されている。また、スライド部422の後端外側のかど(同図(a)の左下隅及び右下隅)は、ベース部410の底面に立設された円柱状部材411との干渉を避けるような形状に切り欠いてある。
【0053】
同図(c)に示すように、各スライド部422は、前方(同図(c)の上方向)に向かって一定の割合で厚みが厚くなるように形成されており、各スライド部422の上面を、ベース部410の上壁内側面と平行に配置すると、各スライド部422の底面が、ベース部410の上壁内側面とは逆の向きに一定角度(例えば、1°)傾斜するようになる。すなわち、上側把持爪134の一部として組み付けられた際、各スライド部422の底面は、ベース部410の上面(水平面)に対して、前方に向けて一定の角度で下降するように傾斜することになる。
【0054】
また、連結部423は、2つのスライド部422を、その一方の端部において連結する部分であって、同図(b)に示すように、正面視においてコの字状の形状を有する。また、連結部423には、後面ガイド部材450を固定するための孔427が2つ形成されている。
【0055】
一方、同図に示すように、後面ガイド部材450は、概ね直方体状の形状を有しており、基板の後面と対向する面451は、基板と接触する部分を最小限にするため、基板の後面(垂直面)に対して、所定の角度(例えば、2°)をなすよう形成されている。また、後面ガイド部材450には、後面ガイド部材450を連結部423の底面(スライド部422とは反対側の面)に固定するための孔452が2つ形成されている。
【0056】
図14は、移動プレート430の構造を示す図である。同図(a)は平面図であり、同図(b)は、同図(a)のA−A断面図である。
【0057】
同図に示すように、移動プレート430は、本体部432と、本体部432の一辺の両側に設けられた2つの脚部433とを備える。
【0058】
本体部432は、基板の端面と当接する部分であり、概ね矩形平板状の外形を有し、先端側の端部中央には、前面ガイド部材440の取付部442との干渉を避けるため、矩形状の切り欠き434が形成されている。また、本体部432の左右両辺付近には、第二直動案内部材470を構成するリニアガイドのスライダ472を固定するための孔435が2つずつ形成されている。
【0059】
また、脚部433は、それぞれ、矩形平板状の形状を有し、中間スライダ420の連結部423との干渉を避けるように、本体部432の後端の左右両側に設けられている。また、脚部433の本体部432よりの部分には、第二付勢部材490を構成する引っ張りコイルバネのフックを引っかける円柱部材431を挿入して固定するための孔436が形成されている。
【0060】
同図(b)に示すように、移動プレート430は、前方(同図の上方向)に向かって一定の割合で厚みが薄くなるように形成されており、底面に対して上面が一定の角度(例えば、1°)で傾斜している。すなわち、上側把持爪134の一部として組み付けられた際、移動プレート430の底面(図8において下向きの面)が、ベース部410の上面(水平面)と平行になるように形成されている。
【0061】
次に、以上のような構造を有する基板位置合わせ機構の動作について説明する。
【0062】
図15は、基板位置合わせ機構の動作を説明するための図である。同図(a)は、位置合わせされる前の状態を示し、同図(b)は、位置合わせ終了後の状態を示している。
【0063】
まず、把持動作開始に伴い、上側把持爪134が下降して、同図(a)に示すように、移動プレート430の端面が基板300に当接すると、移動プレート430及び(第二直動案内部材470を介して)中間スライダ420に上向きの力が作用する。その結果、移動プレート430が、中間スライダ420の底面に形成された斜面に沿って後方(後面ガイド部材450がある方向)に移動を開始するとともに、中間スライダ420が、ベース部410の底面に形成された斜面に沿って前方(前面ガイド部材440がある方向)に移動を開始する。なお、移動プレート430の後方への移動に伴い、当該移動プレート430に当接する基板300も、摩擦によって移動プレート430と共に後方に移動する。
【0064】
このようにして、上側把持爪134の下降に伴って、移動プレート430及び基板300の(中間スライダ420に対する)後方への移動及び中間スライダ420の前方への移動が行われると、やがて、中間スライダ420に固定された後面ガイド部材450が、基板300の後面に当接するようになる。
【0065】
後面ガイド部材450が基板300の後面に当接するようになると、基板300が、後面ガイド部材450によって前方へ押されるようになるので、基板300及び移動プレート430は後方への移動を停止して、中間スライダ420及び後面ガイド部材450とともに、前方への移動を開始することになる。
【0066】
このようにして、基板300が前方への移動を開始すると、やがて、同図(b)に示すように、基板300の前面が前面ガイド部材440に当接するようなる。基板300の前面が前面ガイド部材440に当接すると、基板300及び移動プレート430は、前方への移動を停止し、それに伴い、中間スライダ420及び後面ガイド部材450も前方への移動を停止する。すなわち、基板300は、上側把持爪134の先端側に位置合わせされた状態で移動を停止し、当該位置において、上側把持爪134によって把持される(押さえつけられる)ことになる。
【0067】
なお、把持している基板300を解放するため、上側把持爪134が上昇して、移動プレート430が基板300に当接しなくなると、上向きの力が作用しなくなるので、中間スライダ420及び後面ガイド部材450は、第一付勢部材480によって後方に引っ張られて、後方への移動を開始し、中間スライダ420の後端部側面が、ベース部410の内側側面と当接した状態(図8に示した状態)で静止する。また、移動プレート430は、重力による前方向の力と、第二付勢部材490による後方向の力とが釣り合う位置において、静止する。
【0068】
上側把持爪134の基板位置合わせ機構では、以上のような動作を行うことによって、把持動作開始時に、基板300が移動プレート430のどの位置に当接したかにかかわらず、把持動作完了時点では、基板300の前面が前面ガイド部材440と当接した状態、すなわち、先端側に位置合わせされた状態で把持されることになる。
【0069】
なお、前述したように、下側把持爪133にも、上側把持爪134と同様の基板位置合わせ機構が設けられており、下側把持爪133の基板位置合わせ機構も、上側把持爪134の基板位置合わせ機構と同様に動作するが、下側把持爪133では、把持爪の向きが逆(図15等の上下を逆にした状態)になることに伴い、中間スライダ420の移動プレート430と対向する面の傾斜が逆向き(後方に向かって下降するよう)になるので、下側把持爪133では、移動プレート430を適当な位置に静止させるため、第二付勢部材490は、移動プレート430を後方ではなく前方(後面ガイド部材450から遠ざかる方向)に付勢することが必要になる。そのため、下側把持爪133では、第二付勢部材490は、例えば、引っ張りコイルばねではなく、圧縮コイルばねによって構成される。この場合、移動プレート430は、重力による後方向の力と、第二付勢部材490による前方向の力とが釣り合う位置において静止することになる。また、本実施形態では、下側把持爪133の(左右方向の)幅を、上側把持爪134の2倍となるようにしているので(図1参照)、下側把持爪133を構成するベース部410、中間スライダ420、移動プレート430等の幅は、上側把持爪134を構成するベース部410、中間スライダ420、移動プレート430等の幅の2倍となり、それにともにない、下側把持爪133では、各直動案内部材460,470は、例えば、上側把持爪134の2倍の数(すなわち、4つ)のリニアガイドで構成される。
【0070】
基板移載装置100の各把持爪は、以上のような構造を有しているので、把持動作開始時の基板の位置にかかわらず、把持動作完了時点では、各把持爪内の一定の位置(すなわち、先端側位置)で、基板が把持されていることとなる。その結果、把持された基板の向きにばらつきが生じなくなり、正確な位置合わせを要求する処理装置等に対する基板の受け渡しが容易に行えるようになる。
【0071】
以上、本発明の実施形態について説明したが、当然のことながら、本発明の実施形態は上記のものに限られない。例えば、上述した実施形態では、各把持爪の先端側位置で基板が把持されるようにしていたが、他の位置、例えば、把持爪の後端側の位置で基板が把持されるようにすることも考えられる。また、上述した実施形態では、基板の上端面及び下端面に当接する各把持爪に、本発明を適用した場合について説明したが、基板の両側端面に当接する各把持爪に本発明を適用することも考えられる。また、上述した実施形態では、基本的に、基板を立てた状態で把持する把持装置に本発明を適用した場合について説明したが、基板を(例えば、水平に)寝かせた状態で把持する把持装置に本発明を適用することも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明による基板移載装置100を正面側斜め上から見た斜視図である。
【図2】本発明による基板移載装置100を背面側斜め上から見た斜視図である。
【図3】本発明による基板移載装置100の背面図である。
【図4】基板移載装置100の使用方法を説明するための図である。
【図5】上側把持爪134の周辺部分の平面図である。
【図6】上側把持爪134の周辺部分の側面図である。
【図7】上側把持爪134の周辺部分の底面図である。
【図8】図5のA−A拡大断面図である。
【図9】図5のB−B拡大断面図である。
【図10】図5のC−C拡大断面図である。
【図11】ベース部410の構造を示す図である。
【図12】前面ガイド部材440の構造を示す図である。
【図13】中間スライダ420及び後面ガイド部材450の構造を示す図である。
【図14】移動プレート430の構造を示す図である。
【図15】基板位置合わせ機構の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0073】
100 基板移載装置
110 胴体部
111 胴体ベース部
112 回転胴部
120 アーム部
121 第一アーム
122 第二アーム
130 把持部
131 チルトベース部
132 チルト部
133 下側把持爪
134 上側把持爪
135 上側把持部材
141 タッチパネル付き液晶ディスプレイ
142 モニタ
143 ハンドル
144 スイッチ
201,202 基板載置台
211,212 キャッチャー
213 収容部
214 リニアガイド
300 基板
401,402 取付部材
403 検知部材
404 光センサ
405 回転軸
406 突出部
410 ベース部
411 円柱状部材
412 空間
413,414 孔
415 切れ込み
416 上壁
417 突出部
418,419 孔
420 中間スライダ
421 円柱状部材
422 スライド部
423 連結部
424〜427 孔
430 移動プレート
431 円柱状部材
432 本体部
433 脚部
434 切り欠き
435,436 孔
440 前面ガイド部材
441 ガイド本体
442 取付部
443 切り欠き
444 穴
450 後面ガイド部材
452 孔
460 第一直動案内部材
461 レール
462 スライダ
470 第二直動案内部材
471 レール
472 スライダ
480 第一付勢部材
490 第二付勢部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状体の端部に当接する把持爪を備え、
前記把持爪は、
ベース部と、
前記ベース部に対して前後動可能な中間スライダ部と、
前記中間スライダ部に対して前後動可能な移動プレート部と、
前記ベース部に設けられ、前記板状体の一方の面に当接して、前記板状体の動きを規制する固定ガイド部と、
前記中間スライダ部に設けられ、前記板状体の他方の面に当接して、前記板状体を前記固定ガイド部のある方向へ押す移動ガイド部と
を備え、
前記板状体の端面が前記移動プレート部に当接すると、前記中間スライダ部が前記固定ガイド部のある方向へ移動を開始し、前記移動ガイド部が、前記板状体の一方の面が前記固定ガイド部に当接するまで、前記板状体の他方の面を押す
ことを特徴とする把持装置。
【請求項2】
前記ベース部の前記中間スライダ部と対向する面は、前記板状体の端面が前記移動プレート部に当接すると、前記中間スライダ部が前記固定ガイド部のある方向へ移動を開始するような傾斜を有している
ことを特徴とする請求項1に記載の把持装置。
【請求項3】
前記板状体の端面が前記移動プレート部に当接すると、前記移動プレート部が前記移動ガイド部のある方向へ移動を開始する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の把持装置。
【請求項4】
前記中間スライダ部の前記移動プレート部と対向する面は、前記板状体の端面が前記移動プレート部に当接すると、前記移動プレート部が前記移動ガイド部のある方向へ移動を開始するような傾斜を有している
ことを特徴とする請求項3に記載の把持装置。
【請求項5】
前記板状体の端面が前記移動プレート部に当接すると、前記移動プレート部が、前記移動ガイド部のある方向へ移動を開始するとともに、前記中間スライダ部が、前記固定ガイド部のある方向へ移動を開始し、
前記板状体の他方の面が前記移動ガイド部に当接すると、前記移動プレート部は、前記移動ガイド部のある方向への移動を停止し、
前記板状体の一方の面が前記固定ガイド部に当接すると、前記中間スライダ部は、前記固定ガイド部のある方向への移動を停止する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の把持装置。
【請求項6】
前記把持爪は、
前記ベース部に対する前記中間スライダ部の動きを案内する第一直動案内手段と、
前記中間スライダ部に対する前記移動プレート部の動きを案内する第二直動案内手段と
を更に備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の把持装置。
【請求項7】
前記把持爪を複数備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の把持装置。
【請求項8】
複数の前記把持爪は、前記板状体の上端部に当接する上側把持爪と、前記板状体の下端部に当接する下側把持爪とによって構成される
ことを特徴とする請求項7に記載の把持装置。
【請求項9】
前記上側把持爪及び前記下側把持爪は、それぞれ、上下動可能である
ことを特徴とする請求項8に記載の把持装置。
【請求項10】
前記上側把持爪は、
前記中間スライダ部を、前記固定ガイド部から遠ざかる方向に付勢する第一付勢手段と、
前記移動プレート部を、前記移動ガイド部のある方向に付勢する第二付勢手段と
を更に備えたことを特徴とする請求項8又は9に記載の把持装置。
【請求項11】
前記下側把持爪は、
前記中間スライダ部を、前記固定ガイド部から遠ざかる方向に付勢する第一付勢手段と、
前記移動プレート部を、前記移動ガイド部から遠ざかる方向に付勢する第二付勢手段と
を更に備えたことを特徴とする請求項8又は9に記載の把持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−277354(P2008−277354A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−116163(P2007−116163)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(398032289)株式会社テックスイージー (20)
【Fターム(参考)】