説明

投射型表示装置及びその制御方法

【課題】この発明は、簡易な構成で盗難や不正使用等から十分に保護することを可能とするとともに、所有者に対しても取り扱いの自由度を高めて実用に好適するようにした投射型表示装置及びその制御方法を提供することを目的としている。
【解決手段】入力されたパスワードが予め設定されたパスワードに一致したとき、本体部(12)を起動可能状態に制御するパスワード手段(14,22,30)を備え、このパスワード手段(14,22,30)がオフ状態に設定されているときであっても、本体部(12)に対して着脱自在に構成されるコントロールパネル(16)が本体部(12)に装着されていない状態では、本体部(12)の起動を要求する操作に応じてパスワードの入力を要求するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば液晶カラープロジェクタ等に代表される投射型表示装置及びその制御方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、首記の如き投射型表示装置は、大スクリーンに対して情報の拡大表示が可能であることから、多くの人々に一斉に情報を視認させる際に便利である。このため、投射型表示装置は、例えば、学校、会社、多目的ホール等のような、多数の人が出入りする場所に設置される機会が多くなっている。
【0003】
この場合、投射型表示装置を、盗難、いたずら、不正使用等から保護するために、現状では、種々の対策が考えられている。例えば、特許文献1には、機器本体に対して操作パネルを着脱自在とし、操作パネルIDが一致した操作パネルのみによる操作を可能とさせるようにした電子機器の構成が開示されている。
【特許文献1】特開2005−192095
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、この発明は上記事情を考慮してなされたもので、簡易な構成で盗難や不正使用等から十分に保護することを可能とするとともに、所有者に対しても取り扱いの自由度を高めて実用に好適するようにした投射型表示装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係る投射型表示装置は、投射レンズを備えた本体部と;本体部の起動を要求する操作に応じてパスワードの入力を要求し、入力されたパスワードが予め設定されたパスワードに一致したとき本体部を起動可能状態に制御するパスワード手段と;パスワード手段を、本体部の起動を要求する操作に応じてパスワードの入力を要求するオン状態と、パスワードの入力を要求することなく本体部を起動可能状態に制御するオフ状態とに選択的に設定するためのパスワード機能設定手段と;本体部に対して着脱自在に構成されるもので、本体部に装着され、かつ、本体部が起動可能状態に制御されているときに、本体部を所定の動作状態または停止状態に制御可能な操作部を有するコントロールパネルと;パスワード機能設定手段によりパスワード手段がオフ状態に設定されているときであっても、コントロールパネルが本体部に装着されていない状態では、本体部の起動を要求する操作に応じてパスワードの入力を要求するように制御する制御手段とを備えるようにしたものである。
【0006】
また、この発明に係る投射型表示装置の制御方法は、投射レンズを備えた本体部と;本体部の起動を要求する操作に応じてパスワードの入力を要求し、入力されたパスワードが予め設定されたパスワードに一致したとき本体部を起動可能状態に制御するパスワード手段と;パスワード手段を、本体部の起動を要求する操作に応じてパスワードの入力を要求するオン状態と、パスワードの入力を要求することなく本体部を起動可能状態に制御するオフ状態とに選択的に設定するためのパスワード機能設定手段と;本体部に対して着脱自在に構成されるもので、本体部に装着され、かつ、本体部が起動可能状態に制御されているときに、本体部を所定の動作状態または停止状態に制御可能な操作部を有するコントロールパネルとを備えた投射型表示装置を制御する方法を対象としている。そして、本体部の起動を要求する操作に応じて、パスワード機能設定手段によりパスワード手段がオフ状態に設定されているか否かを判別する第1の工程と;第1の工程でパスワード手段がオフ状態に設定されていると判断されたとき、コントロールパネルが前記本体部に装着されているか否かを判別する第2の工程と;第2の工程でコントロールパネルが本体部に装着されていないと判断されたとき、パスワードの入力を要求する第3の工程とを備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
上記した発明によれば、パスワード手段がオフ状態に設定されているときであっても、コントロールパネルが本体部に装着されていない状態では、本体部の起動を要求する操作に応じてパスワードの入力を要求するようにしたので、簡易な構成で盗難や不正使用等から十分に保護することが可能となるとともに、所有者に対しても取り扱いの自由度を高めて実用に適するものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、この実施の形態で説明するカラープロジェクタ11の外観を示している。すなわち、このカラープロジェクタ11は、プロジェクタ本体となる、ほぼ薄型の箱状に形成された据置タイプのキャビネット12を有している。
【0009】
そして、このキャビネット12には、その前面パネル12aの一端部に、投射レンズ13が配置されている。この投射レンズ13は、キャビネット12の前面に設置された映像投射面となる後述するスクリーンに、映像化された情報を拡大投射して表示させるためのものである。
【0010】
また、上記キャビネット12には、詳細は後述するが、その上面パネル12bに、表示部14及び操作部15が配置されている。このうち、表示部14は、カラープロジェクタ11の現在の状態を表示したり、カラープロジェクタ11を各種のモードに設定するためのメニュー画面を表示したりするものである。
【0011】
さらに、上記操作部15は、電源キーを備えるとともに、カラープロジェクタ11を各種の動作状態または停止状態に制御したり、カラープロジェクタ11を各種のモードに設定したりするための各種のキーを備えている。これらのキーは、ユーザが操作するために上面パネル12bから露出するように設置されている。
【0012】
ここで、上記のように電源キーを含む各種のキーを備えた操作部15は、図2に示すように、1つのほぼ板状に形成されたコントロールパネル16として、キャビネット12とは別体になるように構成されている。そして、このコントロールパネル16は、キャビネット12に対して着脱自在となるように構成されている。
【0013】
すなわち、キャビネット12の上面パネル12bの後端側中央部には、上面パネル12に対しては凹形状を有し、キャビネット12の後面に対しては開口17aされた装着部17が形成されている。そして、コントロールパネル16は、キャビネット12の後面に形成された開口17aから、その操作部15の形成された平面部が、上面パネル12bに平行となるように装着部17に挿入されることにより、装着部17に装着可能となる。
【0014】
この場合、コントロールパネル16には、その装着部17への挿入方向に平行する一対の側面18それぞれに、装着部17への挿入方向に平行な鍔状のガイド部19が突設されている。このガイド部19は、コントロールパネル16の厚み方向に対して中央部分に形成されている。
【0015】
また、上記装着部17には、コントロールパネル16の挿入方向に平行する一対の側面20それぞれに、コントロールパネル16のガイド部19が挿入されて、コントロールパネル16の装着部17への挿入を案内するためのガイド溝21が形成されている。
【0016】
これにより、コントロールパネル16は、そのガイド部19をガイド溝21に挿入させるように開口17aから装着部17に挿入され、そのまま、操作部15の形成された平面部が、上面パネル12bに平行となるように装着部17内に挿入されることにより、装着部17に装着可能となる。
【0017】
なお、上記コントロールパネル16の操作部15には、上記投射レンズ13を介して光投射を行なわせるための電源キー15a、上記表示部14にメニュー画面を表示させるためのメニューキー15b、表示部14に表示されたメニュー画面に含まれる複数の選択肢を選択するための方向キー15c、方向キー15cで選択した選択肢を決定するための決定キー15d等が配置されている。
【0018】
また、上記キャビネット12には、その前面パネル12aに、ワイヤレスのリモートコントローラ22から送信される操作情報を受信して、キャビネット12内の信号処理系に伝達する受信部23が設置されている。このリモートコントローラ22には、上記投射レンズ13を介して光投射を行なわせるための電源キー22a、上記表示部14にメニュー画面を表示させるためのメニューキー22b、表示部14に表示されたメニュー画面に含まれる複数の選択肢を選択するための方向キー22c、方向キー22cで選択した選択肢を決定するための決定キー22d、テンキー22e等が配置されている。
【0019】
ここで、図3に示すように、コントロールパネル16の装着部17への挿入方向先端面には、キャビネット12内の信号処理系と電気的接続を行なうためのコネクタ24が設置されている。
【0020】
一方、キャビネット12の装着部17には、コントロールパネル16が装着された状態で、そのコネクタ24に対応する位置にコネクタ25が設置されている。これにより、コントロールパネル16が装着部17に装着されたとき、コネクタ24,25同士が接続されて、コントロールパネル16とキャビネット12内の信号処理系との電気的接続が可能となる。
【0021】
図4は、上記したカラープロジェクタ11の信号処理系を概略的に示している。すなわち、入力端子26に供給された映像信号は、映像信号処理部27に供給されて投射される際に必要な所定の信号処理が施される。
【0022】
そして、映像信号処理部27から出力された映像信号は、映像投射部28に供給されて光学像に変換された後、上記投射レンズ13を介してスクリーン29に拡大投射され、ここに、映像表示が行なわれる。
【0023】
上記したカラープロジェクタ11の一連の映像投射動作は、制御部30によって統括的に制御されている。この制御部30は、例えばCPU(central processing unit)等を内蔵しているもので、コントロールパネル16からコネクタ24,25を介して受信した操作情報、または、リモートコントローラ22から受信部23を介して受信した操作情報に基づいて、その操作内容が反映されるように各部をそれぞれ制御している。
【0024】
また、この制御部30は、上記表示部14を制御して、カラープロジェクタ11の現在の状態の表示や、カラープロジェクタ11を各種のモードに設定するためのメニュー画面の表示を行なわせている。
【0025】
ここで、上記制御部30は、コントロールパネル16が装着部17に装着されているか否か、つまり、コントロールパネル16のコネクタ24と装着部17のコネクタ25とが接続されているか否かを自動的に検出する接続検出機能を備えている。
【0026】
すなわち、図5に示すように、コントロールパネル16のコネクタ24には、装着部17のコネクタ25に接続されているか否かを検出するための専用の検出用端子24aが備えられている。また、装着部17のコネクタ25にも、コントロールパネル16のコネクタ24が接続されているか否かを検出するための専用の検出用端子25aが備えられている。これらの各検出用端子24a,25aは、コネクタ24,25同士が接続されたときに、相互に接続されるように設けられている。
【0027】
そして、コネクタ24の検出用端子24aは、コントロールパネル16内で接地されることにより、論理レベルがL(Low)となっている。また、コネクタ25の検出用端子25aは、キャビネット12内で上記制御部30に接続されるとともに、抵抗Rを介して基準電位+Bの印加された電源端子31に接続されることにより、論理レベルがH(High)となっている。
【0028】
このため、コネクタ24,25同士が接続されていなければ、コネクタ25の検出用端子25aの論理レベルがHであるため、制御部30は、装着部17にコントロールパネル16が装着されていないと判断することができる。また、コネクタ24,25同士が接続されていれば、コネクタ25の検出用端子25aの論理レベルがLになるため、制御部30は、装着部17にコントロールパネル16が装着されていると判断することができる。
【0029】
また、上記制御部30は、パスワード機能を備えている。このパスワード機能は、ユーザによりオン状態またはオフ状態に設定可能である。パスワード機能がオン状態に設定されている場合、制御部30は、装着部17に装着されたコントロールパネル16の電源キー15aがオンされたとき、または、リモートコントローラ22の電源キー22aがオンされたときに、ユーザに対してパスワードの入力を要求する。
【0030】
このパスワードの入力は、ユーザがリモートコントローラ22のテンキー22eを操作して、複数桁(例えば4桁)の数字を入力することにより実現される。そして、制御部30は、ユーザが入力したパスワードが予め設定されたパスワードと一致したときにのみ、カラープロジェクタ11が起動可能となるように制御する。
【0031】
カラープロジェクタ11が起動可能になるとは、起動要求、つまり、上記電源キー15aまたは22aのオン操作に基づいて、上記投射レンズ13からの光投射を可能にするとともに、コントロールパネル16またはリモートコントローラ22からの各種の操作情報に基づいて、カラープロジェクタ11を各種の動作状態または停止状態に制御可能にすることである。
【0032】
なお、ユーザの入力したパスワードが予め設定されたパスワードと一致しない場合、制御部30は、コントロールパネル16またはリモートコントローラ22からの各種の操作情報を受け付けず、カラープロジェクタ11の起動を不可とする。また、パスワード機能がオフ状態に設定されている場合、制御部30は、パスワードを必要とせずに、カラープロジェクタ11を起動可能となすように制御する。
【0033】
さらに、上記制御部30は、ユーザによりセキュリティレベルを「標準」と、「標準」よりも高い「高」とに選択的に設定可能となっている。
【0034】
そして、この制御部30は、装着部17に装着されたコントロールパネル16の電源キー15aがオンされたとき、または、リモートコントローラ22の電源キー22aがオンされたとき、上記パスワード機能のオン,オフの設定状態と、セキュリティレベルの「標準」,「高」の設定状態と、接続検出機能の検出結果とに基づいて、図6に示すように、動作を制限している。
【0035】
すなわち、制御部30は、パスワード機能がオンで、セキュリティレベルが「高」であり、コントロールパネル16が装着部17に装着されていないとき、リモートコントローラ22との通信を不可とし、パスワードの入力を要求せず、カラープロジェクタ11の起動を不可とするように制御する。
【0036】
また、制御部30は、パスワード機能がオンで、セキュリティレベルが「高」であり、コントロールパネル16が装着部17に装着されているとき、リモートコントローラ22との通信を可能とし、パスワードの入力を要求するように制御する。このため、正しいパスワードが入力された場合には、カラープロジェクタ11が起動可能となる。
【0037】
さらに、制御部30は、パスワード機能がオンで、セキュリティレベルが「標準」であり、コントロールパネル16が装着部17に装着されていないとき、リモートコントローラ22との通信を可能とし、パスワードの入力を要求するように制御する。このため、正しいパスワードが入力された場合には、カラープロジェクタ11が起動可能となる。
【0038】
また、制御部30は、パスワード機能がオンで、セキュリティレベルが「標準」であり、コントロールパネル16が装着部17に装着されているとき、リモートコントローラ22との通信を可能とし、パスワードの入力を要求するように制御する。このため、正しいパスワードが入力された場合には、カラープロジェクタ11が起動可能となる。
【0039】
さらに、制御部30は、パスワード機能がオフで、コントロールパネル16が装着部17に装着されていないとき、リモートコントローラ22との通信を可能とし、パスワードの入力を要求するように制御する。すなわち、パスワード機能がオフ状態、つまり、パスワードの入力を必要としない状態に設定されていても、コントロールパネル16が装着されていない場合には、パスワード機能を自動的にオン状態に切り替えて、パスワードの入力を要求するように制御する。このため、正しいパスワードが入力された場合にのみ、カラープロジェクタ11が起動可能となる。
【0040】
また、制御部30は、パスワード機能がオフで、コントロールパネル16が装着部17に装着されているとき、リモートコントローラ22との通信を可能とし、パスワードの入力を要求しないように制御する。すなわち、パスワードを入力することなく、カラープロジェクタ11を起動することが可能となる。
【0041】
図7及び図8は、図6に示した制御部30の動作をまとめたフローチャートを示している。すなわち、処理が開始(ステップS1)され、ステップS2で、カラープロジェクタ11の図示しないAC(alternating current)商用電源プラグがコンセントに差し込まれると、制御部30は、ステップS3で、電力が供給されてスタンバイ状態になる。
【0042】
この制御部30のスタンバイ状態において、ステップS4で、装着部17に装着されたコントロールパネル16の電源キー15a、または、リモートコントローラ22の電源キー22aがオンされると、制御部30は、ステップS5で、パスワード機能がオン状態に設定されているか否かを判別する。
【0043】
そして、パスワード機能がオン状態に設定されていないと判断された場合(NO)、つまり、パスワード機能がオフ状態に設定されていると判断された場合、制御部30は、ステップS6で、コントロールパネル16が装着部17に装着されているか否かを判別し、装着されていると判断された場合(YES)、ステップS13で、カラープロジェクタ11を起動可能に制御して、処理を終了(ステップS14)する。
【0044】
また、上記ステップS5でパスワード機能がオン状態に設定されていると判断された場合(YES)、制御部30は、ステップS7で、セキュリティレベルが「標準」に設定されているか否かを判別する。
【0045】
そして、セキュリティレベルが「標準」に設定されていると判断された場合(YES)、または、上記ステップS6でコントロールパネル16が装着部17に装着されていないと判断された場合(NO)、制御部30は、ステップS8で、ユーザに対してパスワードの入力を要求するメッセージを表示部14に表示する。
【0046】
その後、制御部30は、ステップS9で、ユーザがリモートコントローラ22のテンキー22eを操作して入力したパスワードが、予め設定されたパスワードと一致したか否かを判別し、一致したと判断された場合(YES)、ステップS13で、カラープロジェクタ11を起動可能に制御して、処理を終了(ステップS14)する。
【0047】
また、上記ステップS7でセキュリティレベルが「標準」に設定されていないと判断された場合(NO)、つまり、セキュリティレベルが「高」に設定されていると判断された場合、制御部30は、ステップS10で、コントロールパネル16が装着部17に装着されているか否かを判別する。
【0048】
そして、コントロールパネル16が装着部17に装着されていると判断された場合(YES)、制御部30は、ステップS8の処理に移行される。また、上記ステップS10でコントロールパネル16が装着部17に装着されていないと判断された場合(NO)、制御部30は、ステップS12で、カラープロジェクタ11を起動不可に設定し、オンされている電源キー15aまたは22aをオフさせて、ステップS3の処理に戻される。
【0049】
さらに、上記ステップS9でユーザの入力したパスワードが予め設定されたパスワードと一致しないと判断された場合(NO)、制御部30は、ステップS11で、パスワードの不一致が予め設定された回数n(例えば5回)に達したか否かを判別し、その回数に達していないと判断された場合(NO)、ステップS8の処理に移行される。
【0050】
また、上記ステップS11でパスワードの不一致が予め設定された回数nに達したと判断された場合(YES)、制御部30は、ステップS12で、カラープロジェクタ11を起動不可に設定し、オンされている電源キー15aまたは22aをオフさせて、ステップS3の処理に戻される。
【0051】
上記した実施の形態によれば、装着部17に装着されたコントロールパネル16の電源キー15a、または、リモートコントローラ22の電源キー22aがオンされたときに、パスワード機能の設定状態と、セキュリティレベルの設定状態と、接続検出機能の検出結果との組み合わせに基づいて、カラープロジェクタ11の起動を可または不可に制御するようにしている。これにより、簡易な構成でカラープロジェクタ11を盗難や不正使用等から十分に保護することが可能となるとともに、所有者に対しても取り扱いの自由度を高めて実用に適するものとなる。
【0052】
特に、セキュリティレベルを「高」と「標準」との2種類に選択的に設定可能とし、セキュリティレベルが「高」の場合には、パスワード機能がオン状態であっても、コントロールパネル16が非装着であれば、リモートコントローラ22との通信を不可としてカラープロジェクタ11を起動不可にしている。これに対し、セキュリティレベルが「標準」の場合には、パスワード機能がオン状態であれば、コントロールパネル16が非装着であっても、リモートコントローラ22との通信を可としてパスワードを要求するようにしている。
【0053】
すなわち、同じコントロールパネル16の非装着状態であっても、ユーザによるセキュリティレベルの設定に応じて、カラープロジェクタ11を起動不可と起動可能とに選択的に制御することができるようにしたので、所有者に対しての取り扱いの自由度を高めて実用性を向上させることができる。
【0054】
また、パスワード機能がオフ状態、つまり、パスワードの入力を必要としない状態に設定されていても、コントロールパネル16が装着されていない場合には、パスワード機能をオン状態に切り替えて、パスワードの入力を要求するようにしたので、このような点でも、カラープロジェクタ11を盗難や不正使用等から十分に保護することが可能となる。
【0055】
次に、上記したパスワード機能のオンオフ設定、セキュリティレベルの設定、パスワードの変更について説明する。すなわち、先のステップS13でカラープロジェクタ11が起動可能に制御された状態において、装着部17に装着されたコントロールパネル16のメニューキー15b、または、リモートコントローラ22のメニューキー22bを操作する。
【0056】
すると、上記制御部30は、表示部14に、図9(a)に示すようなトップメニュー画面を表示させる。このトップメニュー画面の表示状態で、装着部17に装着されたコントロールパネル16の所定の(例えば下方向の)方向キー15c、または、リモートコントローラ22の所定の(例えば下方向の)方向キー22cを操作すると、操作する毎に、図9(b)に示すようなパスワード機能設定画面、図9(c)に示すようなセキュリティレベル設定画面、図9(d)に示すようなパスワード変更画面に順次切り替わり、再び、図9(a)に示すトップメニュー画面に戻る。
【0057】
このため、ユーザは、自分の設定したい機能に対応する画面を表示させて、装着部17に装着されたコントロールパネル16の決定キー15d、または、リモートコントローラ22の決定キー22dを操作する。
【0058】
例えば、図9(b)に示すパスワード機能設定画面が選択され決定されたとする。このパスワード機能設定画面では、パスワード機能をオン状態に設定するための「する」という項目と、パスワード機能をオフ状態に設定するための「しない」という項目との2種類が表示されている。
【0059】
このため、ユーザは、装着部17に装着されたコントロールパネル16の所定の(例えば左右方向の)方向キー15c、または、リモートコントローラ22の所定の(例えば左右方向の)方向キー22cを操作して所望の項目を選択し、決定キー15dまたは22dを操作することにより、パスワード機能をオン状態またはオフ状態に設定することが可能となる。
【0060】
また、例えば、図9(c)に示すセキュリティレベル設定画面が選択され決定されたとする。このセキュリティレベル設定画面では、セキュリティレベルを「高」に設定するための「高」という項目と、セキュリティレベルを「標準」に設定するための「標準」という項目との2種類が表示されている。
【0061】
このため、ユーザは、装着部17に装着されたコントロールパネル16の所定の(例えば左右方向の)方向キー15c、または、リモートコントローラ22の所定の(例えば左右方向の)方向キー22cを操作して所望の項目を選択し、決定キー15dまたは22dを操作することにより、セキュリティレベルを「高」または「標準」に設定することが可能となる。
【0062】
さらに、例えば、図9(d)に示すパスワード変更画面が選択され決定されたとする。このパスワード変更画面では、数字による4桁のパスワードを設定するための項目が表示されている。この場合、ユーザは、リモートコントローラ22のテンキー22eを操作して4つの数字を入力し、決定キー22dを操作することにより、パスワードを変更することが可能となる。
【0063】
なお、上記した実施の形態では、カラープロジェクタ11のキャビネット12に表示部14を設置し、この表示部14に、カラープロジェクタ11の現在状態の表示や、カラープロジェクタ11を各種のモードに設定するためのメニュー画面の表示を行なわせるようにしている。
【0064】
しかしながら、これに限らず、例えば、カラープロジェクタ11の映像投射機能を利用し、OSD(on screen display)表示により実際の投影映像内に、現在状態を表示させたり、メニュー画面を表示させて各種モードの設定を行なうようにしたりしても良いことはもちろんである。
【0065】
ここで、図10に示すように、上記コントロールパネル16の操作部15の形成されている面と反対側の面にラベル32を貼り付け、このラベル32にパスワードを記載して表示するようにすれば便利である。この場合、ラベル32には、カラープロジェクタ11の製造者側で出荷時に入力する所定のパスワード(図中*で示す)が既に記述されているとともに、ユーザがパスワードを変更した場合に備えて、変更後のパスワードを記述する複数の欄(図中括弧で示す)が設けられている。
【0066】
また、図11に示すように、コントロールパネル16の操作部15の形成されている面と反対側の面に、4桁の数字をそれぞれダイヤル式に変更可能な数字記憶部33を設置しておき、この数字記憶部33に現在設定されているパスワードを記憶させて表示しておくようにすることも可能である。
【0067】
なお、この発明は上記した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を種々変形して具体化することができる。また、上記した実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いものである。さらに、異なる実施の形態に係る構成要素を適宜組み合わせても良いものである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】この発明の実施の形態を示すもので、カラープロジェクタの外観を説明するために示す斜視図。
【図2】同実施の形態におけるカラープロジェクタのキャビネットとコントロールパネルとの関係を説明するために示す斜視図。
【図3】同実施の形態におけるカラープロジェクタのキャビネットとコントロールパネルとの関係を説明するために示す上面図。
【図4】同実施の形態におけるカラープロジェクタの信号処理系の概略を説明するために示すブロック構成図。
【図5】同実施の形態におけるカラープロジェクタのキャビネットとコントロールパネルとの接続検出機能を説明するために示すブロック構成図。
【図6】同実施の形態におけるカラープロジェクタの制御部が行なう主要な動作を説明するために示す図。
【図7】同実施の形態におけるカラープロジェクタの制御部が行なう主要な動作の一部を説明するために示すフローチャート。
【図8】同実施の形態におけるカラープロジェクタの制御部が行なう主要な動作の残部を説明するために示すフローチャート。
【図9】同実施の形態におけるカラープロジェクタの各種機能を設定する際のメニュー画面の一例を説明するために示す図。
【図10】同実施の形態におけるカラープロジェクタのパスワードの記憶手法の一例を説明するために示す図。
【図11】同実施の形態におけるカラープロジェクタのパスワードの記憶手法の他の例を説明するために示す図。
【符号の説明】
【0069】
11…カラープロジェクタ、12…キャビネット、13…投射レンズ、14…表示部、15…操作部、16…コントロールパネル、17…装着部、18…側面、19…ガイド部、20…側面、21…ガイド溝、22…リモートコントローラ、23…受信部、24,25…コネクタ、26…入力端子、27…映像信号処理部、28…映像投射部、29…スクリーン、30…制御部、31…電源端子、32…ラベル、33…数字記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投射レンズを備えた本体部と、
前記本体部の起動を要求する操作に応じてパスワードの入力を要求し、入力されたパスワードが予め設定されたパスワードに一致したとき前記本体部を起動可能状態に制御するパスワード手段と、
前記パスワード手段を、前記本体部の起動を要求する操作に応じてパスワードの入力を要求するオン状態と、パスワードの入力を要求することなく前記本体部を起動可能状態に制御するオフ状態とに選択的に設定するためのパスワード機能設定手段と、
前記本体部に対して着脱自在に構成されるもので、前記本体部に装着され、かつ、前記本体部が起動可能状態に制御されているときに、前記本体部を所定の動作状態または停止状態に制御可能な操作部を有するコントロールパネルと、
前記パスワード機能設定手段により前記パスワード手段がオフ状態に設定されているときであっても、前記コントロールパネルが前記本体部に装着されていない状態では、前記本体部の起動を要求する操作に応じてパスワードの入力を要求するように制御する制御手段とを具備することを特徴とする投射型表示装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記パスワード機能設定手段により前記パスワード手段がオフ状態に設定されている場合、前記コントロールパネルが前記本体部に装着されている状態では、前記本体部の起動を要求する操作に応じてパスワードの入力を要求することなく前記本体部を起動可能状態に制御することを特徴とする請求項1記載の投射型表示装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記パスワード機能設定手段により前記パスワード手段がオン状態に設定されている場合、前記コントロールパネルが前記本体部に装着されているか装着されていないかに無関係に、前記本体部の起動を要求する操作に応じてパスワードの入力を要求するように制御することを特徴とする請求項1記載の投射型表示装置。
【請求項4】
前記本体部に対して前記コントロールパネルが装着されているか装着されていないかを検出する検出手段を備え、
前記制御手段は、前記パスワード機能設定手段により前記パスワード手段がオフ状態に設定されているときであっても、前記検出手段により前記本体部に対して前記コントロールパネルが装着されていないことが検出されている状態では、前記本体部の起動を要求する操作に応じてパスワードの入力を要求するように制御することを特徴とする請求項1記載の投射型表示装置。
【請求項5】
前記コントロールパネルの操作部は、前記本体部の起動を要求する操作を行なうためのキーを含むことを特徴とする請求項1記載の投射型表示装置。
【請求項6】
前記本体部の起動を要求する操作を行なうためのキーは、起動可能状態に制御されている前記本体部を、所定の動作状態または停止状態に遠隔操作可能なリモートコントローラに設けられることを特徴とする請求項1記載の投射型表示装置。
【請求項7】
前記パスワードは、前記リモートコントローラによって入力されることを特徴とする請求項6記載の投射型表示装置。
【請求項8】
前記コントロールパネルに前記パスワードを表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1記載の投射型表示装置。
【請求項9】
セキュリティレベルを第1のレベルと前記第1のレベルよりも高い第2のレベルとに選択的に設定するためのセキュリティレベル設定手段を備え、
前記制御手段は、前記パスワード機能設定手段により前記パスワード手段がオン状態に設定され、かつ、前記セキュリティレベル設定手段により前記セキュリティレベルが第2のレベルに設定されている場合、前記コントロールパネルが前記本体部に装着されていない状態では、前記本体部を起動不可状態に制御することを特徴とする請求項1記載の投射型表示装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記パスワード機能設定手段により前記パスワード手段がオン状態に設定され、かつ、前記セキュリティレベル設定手段により前記セキュリティレベルが第2のレベルに設定されている場合、前記コントロールパネルが前記本体部に装着されている状態では、前記本体部の起動を要求する操作に応じてパスワードの入力を要求するように制御することを特徴とする請求項9記載の投射型表示装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記パスワード機能設定手段により前記パスワード手段がオン状態に設定され、かつ、前記セキュリティレベル設定手段により前記セキュリティレベルが第1のレベルに設定されている場合、前記コントロールパネルが前記本体部に装着されているか装着されていないかに無関係に、前記本体部の起動を要求する操作に応じてパスワードの入力を要求するように制御することを特徴とする請求項9記載の投射型表示装置。
【請求項12】
投射レンズを備えた本体部と、
前記本体部の起動を要求する操作に応じてパスワードの入力を要求し、入力されたパスワードが予め設定されたパスワードに一致したとき前記本体部を起動可能状態に制御するパスワード手段と、
前記パスワード手段を、前記本体部の起動を要求する操作に応じてパスワードの入力を要求するオン状態と、パスワードの入力を要求することなく前記本体部を起動可能状態に制御するオフ状態とに選択的に設定するためのパスワード機能設定手段と、
前記本体部に対して着脱自在に構成されるもので、前記本体部に装着され、かつ、前記本体部が起動可能状態に制御されているときに、前記本体部を所定の動作状態または停止状態に制御可能な操作部を有するコントロールパネルとを備えた投射型表示装置を制御する方法であって、
前記本体部の起動を要求する操作に応じて、前記パスワード機能設定手段により前記パスワード手段がオフ状態に設定されているか否かを判別する第1の工程と、
前記第1の工程で前記パスワード手段がオフ状態に設定されていると判断されたとき、前記コントロールパネルが前記本体部に装着されているか否かを判別する第2の工程と、
前記第2の工程で前記コントロールパネルが前記本体部に装着されていないと判断されたとき、前記パスワードの入力を要求する第3の工程とを具備することを特徴とする投射型表示装置の制御方法。
【請求項13】
セキュリティレベルを第1のレベルと前記第1のレベルよりも高い第2のレベルとに選択的に設定するためのセキュリティレベル設定手段を備え、
前記第3の工程は、前記パスワード手段がオン状態に設定され、かつ、前記セキュリティレベルが第2のレベルに設定されている場合、前記コントロールパネルが前記本体部に装着されていない状態では、前記本体部を起動不可状態に制御することを特徴とする請求項12記載の投射型表示装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−33038(P2008−33038A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−206706(P2006−206706)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】