説明

抗ウイルス薬としてのチエノピロール

本発明は、式(I)


(式中、Ar、A、D1、D2、W、X、Y及びZは、本明細書中に定義された通りである。)の四環式チエノピロール化合物及びこれらの医薬的に許容される塩、これらを含有する医薬組成物並びにC型肝炎ウイルスによる感染の治療又は予防のためのこれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、四環式チエノピロール化合物、これらを含有する医薬組成物、C型肝炎感染の予防及び治療に於けるこれらの使用並びにこのような化合物及び組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
C型肝炎(HCV)は、ウイルス感染が原因である。HCV感染のための適切な治療は未だ存在しないが、哺乳動物、特にヒトに於けるそのRNAポリメラーゼの阻害が有益であろうと信じられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
国際特許出願公開WO2005/023819(Istituto di Ricerche di Biologia Molecolare)には、チエノピロール誘導体並びにC型肝炎感染の治療及び予防に於けるこれらの使用が開示されている。しかしながら、四環式チエノピロール誘導体は開示されていない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、本発明は、式(I):
【0005】
【化12】

[式中、Arは、少なくとも1個の芳香族環を含有する部分であり、N、O及びSから独立して選択された1個、2個又は3個のヘテロ原子を場合により含有する、5個、6個、9個又は10個の環原子を有し、この環は、基Q及びQによって場合により置換されており、
は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、CONR、(CH0−3NR、O(CH1−3NR、O(CH0−3CONR、O(CH0−3アリール、O(CH0−3ヘテロアリール、OCHRであり、
及びRは、それぞれ独立して、水素、C1−4アルキル及びC(O)C1−4アルキルから選択され又は
、R及びこれらが結合している窒素原子は、4から7個の環原子のヘテロ脂肪族環を形成し、ここで、該環は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換されており、
及びRは、それぞれ独立して、水素及びC1−4アルコキシから選択され又は
及びRは、N、O及びSから選択されたヘテロ原子によって結合されて、4から7個の環原子のヘテロ脂肪族環を形成し、ここで、該環は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換されており、
ここで、該C1−4アルキル、C1−4アルコキシ及びアリール基は、ハロゲン又はヒドロキシによって場合により置換されており、
は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシであり、ここで、該C1−4アルキル及びC1−4アルコキシ基は、ハロゲン又はヒドロキシによって場合により置換されており又は
及びQは、結合又はN、O及びSから選択されたヘテロ原子によって結合されて、4から7個の原子の環を形成することができ、ここで、該環は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換されており、
Aは、C3−6アルキル若しくはC2−6アルケニルであり又は
Aは、3から8個の環原子の非芳香族環であり、ここで、該環は、二重結合を含有していてよく及び/又はO、S、SO、SO若しくはNH部分を含有していてよく又は
Aは、4から8個の環原子の非芳香族二環式部分であり及び
Aは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換されており、
及びDの一方はSであり及び他方はC−(CH0−3であり、
は、水素であり、ヒドロキシ又はハロゲンによって場合により置換された、C1−6アルキル、ヒドロキシ、(CH0−31−6アルコキシ、(CH0−3NR、(CH0−3アリール又は(CH0−3アリールオキシであり、
及びRは、それぞれ独立して、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル及びC3−8シクロアルキルから選択され、
点線は、C−(CH0−3とCRとの間の結合を表し、
は、水素、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、CN、COH、CO1−4アルキル、アリール、ヘテロアリール又はC(O)NRであり、ここで、該C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、アリール及びヘテロアリール基は、ヒドロキシ又はフッ素によって場合により置換されており、
は、水素又はC1−4アルキルであり、
は、水素、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、(CH0−3(CR0−1又はSOであり、
及びRは、独立して、ハロゲン、C1−6アルキル若しくはC1−6アルコキシから選択され又は
及びRは、これらが結合している炭素原子と一緒に、4から7員の、炭素環若しくはN、O及びSから選択された1個若しくは2個のヘテロ原子を含有する複素環を形成し、
は、NR、OR、C(O)NR、アリール、ヘテロアリール又はHetであり、
及びRは、それぞれ独立して、水素及びC1−4アルキルから選択され、
及びRは、それぞれ独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、(CH0−3COH、(CH0−3CO(C1−6アルキル)、(CH=CH)COH又は(CH=CH)CO(C1−6アルキル)によって場合により置換された、水素、C1−6アルキル及びアリールから選択され、
Hetは、4から7個の環原子のヘテロ脂肪族環であり、この環は、N、O若しくはSから選択された1個、2個若しくは3個のヘテロ原子又は基、S(O)、S(O)、NH若しくはNC1−4アルキルを含有していてよく、
は、C1−4アルキル、C2−4アルケニル又は(CH0−3であり、
は、アリール、ヘテロアリール、C1−4アルキル、C3−8シクロアルキル、CO、Het又はNRであり、ここで、Hetは前記定義された通りであり、R及びRは、それぞれ独立して、水素、C1−4アルキル及びCO(CH0−3アリールから選択され、Rは水素又はC1−4アルキルであり、
ここでRは、ハロゲン、C1−4アルキル又はNRによって場合により置換されており、ここで、R及びRは、それぞれ独立して、水素及びC1−4アルキルから選択され、
ここでRは、ヒドロキシ、フッ素、塩素、C1−4アルキル、オキソ、COH又はCO1−4アルキルによって場合により置換されており又は
、R及びこれらが結合している窒素原子は、4から7個の環原子のヘテロ脂肪族環を形成し、ここで、該環は、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換されており、
W及びZは、独立して、結合、C=O、O、S、S(O)、S(O)、−(CR1011)−(CR12130−1−及びNR10から選択され、
X及びYは、独立して、結合、C=O、O、−CR1415−及びNR14から選択され、
W、X、Y及びZの0個、1個又は2個は結合であり、
10、R11、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C1−6アルコキシ、C(O)C1−6アルキル、(CH0−3Het、(CH0−3NR1617、C(O)(CH0−3NR1617、NHC(O)(CH0−3NR1617、O(CH0−3NR1617、S(O)0−2(CH0−31617及びC(O)(CH0−3OR16から選択され、ここで、HetはC1−6アルキルによって場合により置換されており、
16及びR17は、独立して、水素、C1−6アルキル、(CH0−4NR1819及び(CH1−4OR18から選択され又は
16、R17及びこれらが結合している窒素原子は、4から7個の環原子のヘテロ脂肪族環を形成し、この環は、O若しくはSから選択された1または2個以上のヘテロ原子又は基S(O)、S(O)、NH若しくはNC1−4アルキルを場合により含有していてよく、この環は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換されていてよく、
18及びR19は、独立して、水素、C1−6アルキル及び(CH0−3フェニルから選択され又は
18、R19及びこれらが結合している窒素原子は、4から7個の環原子のヘテロ脂肪族環を形成し、この環は、O若しくはSから選択された1または2個以上のヘテロ原子又は基S(O)、S(O)、NH若しくはNC1−4アルキルを場合により含有していてよく、この環は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換されていてよい。]
の化合物及びこれらの医薬的に許容される塩を提供する。
【0006】
一つの実施形態に於いて、本発明は、式(Io):
【0007】
【化13】

[式中、Arは、少なくとも1個の芳香族環を含有する部分であり、N、O及びSから独立して選択された1個、2個又は3個のヘテロ原子を場合により含有する、5個、6個、9個又は10個の環原子を有し、この環は、基Q及びQによって場合により置換されており、
は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、CONR、(CH0−3NR、O(CH1−3NR、O(CH0−3CONR、O(CH0−3アリール、O(CH0−3ヘテロアリール、OCHRであり、
及びRは、それぞれ独立して、水素、C1−4アルキル及びC(O)C1−4アルキルから選択され又は
、R及びこれらが結合している窒素原子は、4から7個の環原子のヘテロ脂肪族環を形成し、ここで、該環は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換されており、
及びRは、それぞれ独立して、水素及びC1−4アルコキシから選択され又は
及びRは、N、O及びSから選択されたヘテロ原子によって結合されて、4から7個の環原子のヘテロ脂肪族環を形成し、ここで、該環は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換されており、
ここで、該C1−4アルキル、C1−4アルコキシ及びアリール基は、ハロゲン又はヒドロキシによって場合により置換されており、
は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシであり、ここで、該C1−4アルキル及びC1−4アルコキシ基は、ハロゲン又はヒドロキシによって場合により置換されており又は
及びQは、結合又はN、O及びSから選択されたヘテロ原子によって結合されて、4から7個の原子の環を形成することができ、ここで、該環は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換されており、
Aは、C3−6アルキル若しくはC2−6アルケニルであり又は
Aは、3から8個の環原子の非芳香族環であり、ここで、該環は、二重結合を含有していてよく及び/又はO、S、SO、SO若しくはNH部分を含有していてよく又は
Aは、4から8個の環原子の非芳香族二環式部分であり及び
Aは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換されており、
及びDの一方はSであり及び他方はC−(CH0−3であり、
は、水素であり、ヒドロキシ又はハロゲンによって場合により置換された、C1−6アルキル、ヒドロキシ、(CH0−31−6アルコキシ、(CH0−3NR、(CH0−3アリール又は(CH0−3アリールオキシであり、
及びRは、それぞれ独立して、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル及びC3−8シクロアルキルから選択され、
点線は、C−(CH0−3とCRとの間の結合を表し、
は、水素、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、CN、COH、CO1−4アルキル、アリール、ヘテロアリール又はC(O)NRであり、ここで、該C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、アリール及びヘテロアリール基は、ヒドロキシ又はフッ素によって場合により置換されており、
は、水素又はC1−4アルキルであり、
は、水素、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、(CH0−3(CR0−1又はSOであり、
及びRは、独立して、ハロゲン、C1−6アルキル若しくはC1−6アルコキシから選択され又は
及びRは、これらが結合している炭素原子と一緒に、4から7員の、炭素環若しくはN、O及びSから選択された1個若しくは2個のヘテロ原子を含有する複素環を形成し、
は、NR、OR、C(O)NR、アリール、ヘテロアリール又はHetであり、
及びRは、それぞれ独立して、水素及びC1−4アルキルから選択され、
及びRは、水素であり、それぞれ独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、(CH0−3COH、(CH0−3CO(C1−6アルキル)、(CH=CH)COH又は(CH=CH)CO(C1−6アルキル)によって場合により置換された、C1−6アルキル及びアリールから選択され、
Hetは、4から7個の環原子のヘテロ脂肪族環であり、この環は、N、O若しくはSから選択された1個、2個若しくは3個のヘテロ原子又は基、S(O)、S(O)、NH若しくはNC1−4アルキルを含有していてよく、
は、C1−4アルキル、C2−4アルケニル又は(CH0−3であり、
は、アリール、ヘテロアリール、C1−4アルキル、C3−8シクロアルキル、CO、Het又はNRであり、ここで、Hetは前記定義された通りであり、R及びRは、それぞれ独立して、水素、C1−4アルキル及びCO(CH0−3アリールから選択され、Rは水素又はC1−4アルキルであり、
ここでRは、ハロゲン、C1−4アルキル又はNRによって場合により置換されており、ここで、R及びRは、それぞれ独立して、水素及びC1−4アルキルから選択され、
ここでRは、ヒドロキシ、フッ素、塩素、C1−4アルキル、オキソ、COH又はCO1−4アルキルによって場合により置換されており又は
、R及びこれらが結合している窒素原子は、4から7個の環原子のヘテロ脂肪族環を形成し、ここで、該環は、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換されており、
W及びZは、独立して、結合、C=O、O、S、S(O)、S(O)、−(CR1011)−(CR12130−1−及びNR10から選択され、
X及びYは、独立して、結合、C=O、O、−CR1415−及びNR14から選択され、
W、X、Y及びZの0個、1個又は2個は結合であり、
10、R11、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C1−6アルコキシ、C(O)C1−6アルキル、Het、(CH0−3NR1617、C(O)(CH0−3NR1617、NHC(O)(CH0−3NR1617、O(CH0−3NR1617、S(O)0−2(CH0−31617及びC(O)(CH0−3OR16から選択され、
16及びR17は、独立して、水素、C1−6アルキル及び(CH0−4NR1819から選択され又は
16、R17及びこれらが結合している窒素原子は、4から7個の環原子のヘテロ脂肪族環を形成し、この環は、O若しくはSから選択された1または2個以上のヘテロ原子又は基S(O)、S(O)、NH若しくはNC1−4アルキルを場合により含有していてよく、この環は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換されていてよく、
18及びR19は、独立して、水素及びC1−6アルキルから選択され又は
18、R19及びこれらが結合している窒素原子は、4から7個の環原子のヘテロ脂肪族環を形成し、この環は、O若しくはSから選択された1または2個以上のヘテロ原子又は基S(O)、S(O)、NH若しくはNC1−4アルキルを場合により含有していてよく、この環は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換されていてよい。]
の化合物及びこれらの医薬的に許容される塩を提供する。
【0008】
本発明の一つの実施形態に於いて、Arは、N、O及びSから独立して選択された1個、2個又は3個のヘテロ原子を場合により含有する、5員又は6員の芳香族環であり、この環は、前記定義された通りの基Q及びQによって場合により置換されている。
【0009】
好ましくは、Arは、N、O又はSから独立して選択された1個又は2個のヘテロ原子を場合により含有する、5員又は6員の芳香族環、例えば、フェニル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、フラニル、ピラゾリル、イミダゾリル及びチエニルであり、この環は、前記定義された通りの基Q及びQによって場合により置換されている。更に好ましくは、Arは、前記定義された通りの基Q及びQによって場合により置換された、フェニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−フラニル、3−フラニル、2−チエニル又は3−チエニルであり、特にフェニル又は2−チエニルである。
【0010】
好ましくは、Qは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、(CH0−3N(C1−6アルキル)、O(CH)アリール又はO(CH)ヘテロアリールである。更に好ましくは、Qは、フッ素、塩素、メチル、メトキシ、CHNMe、O(CH)フェニル又はO(CH)ピリジルである。
【0011】
好ましくは、Qは存在しない。
【0012】
別の実施形態に於いて、Aは、C3−6アルキル、C2−6アルケニル又はC3−8シクロアルキルであり、ここで、Aは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換されている。好ましくは、Aは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換された、C3−8シクロアルキル、更に好ましくは、シクロペンチル又はシクロヘキシル、更に好ましくはシクロヘキシルである。
【0013】
好ましくは、Aは、置換されていないか又はフッ素、塩素、メチル又はメトキシ、特にフッ素によって置換されている。更に好ましくは、Aは置換されていない。
【0014】
別の実施形態に於いて、DはSであり、DはC−(CH0−3であり、ここで、Rは前記定義された通りである。好ましくは、Rは、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ又は(CH1−2N(C1−6アルキル)である。更に好ましくは、Rは、水素又はC1−6アルキルである。特に、Rは、水素又はメチルである。更に特に、Rは水素である。
【0015】
別の実施形態に於いて、Rは、COH、ヘテロアリール又はC(O)NRであり、ここで、該ヘテロアリール基は、ヒドロキシ又はフッ素によって場合により置換されており、R及びRは、前記定義された通りである。好ましくは、Rは、COH、テトラゾリル、オキサジアゾリル、C(O)NHSO又はC(O)NH(CR0−1であり、ここで、該オキサジアゾリル基は、ヒドロキシによって場合により置換されており、R及びRは、前記定義された通りである。更に好ましくは、Rは、COH又はC(O)NHSO(CH0−3であり、ここで、Rは前記定義された通りである。最も好ましくは、Rは、COH、C(O)NHSOCHCO又はC(O)NHSONRである。特に、RはCOHである。
【0016】
がC(O)NRであり、Rが(CH0−3(CR0−1であるとき、好ましくは、R及びRは、これらが結合している炭素原子と一緒に、4から7員の炭素環を形成し、RはC(O)NRであり、ここでR及びRは、前記定義された通りである。更に好ましくは、R及びRは、これらが結合している炭素原子と一緒に、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシル環を形成し、RはC(O)NHRであり、ここでRは、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−4アルキル、(CH0−3COH又は(CH=CH)COHによって場合により置換された、C1−6アルキル又はアリールである。最も好ましくは、R及びRは、これらが結合している炭素原子と一緒に、シクロペンチル又はシクロヘキシル環を形成し、RはC(O)NHRであり、ここでRは、ヒドロキシ、ハロゲン、(CH0−2COH又は(CH=CH)COHによって場合により置換された、アリールである。特に、Rは、
【0017】
【化14】

である。
【0018】
別の実施形態に於いて、Wは、結合、C=O、−(CR1011)−(CR12130−1−又はNR10であり、ここで、R10、R11、R12及びR13は、前記定義された通りである。好ましくは、Wは、結合又は−(CR1011)−(CR12130−1−、例えば、−CH−、−CHCH−、−CH(CH)−、−CH(CH)−CH(CH)−、−C(CH−又は−C(CH−C(CH−である。更に好ましくは、Wは、結合、−CH−又は−CHCH−である。最も好ましくは、Wは結合又は−CH−である。
【0019】
別の実施形態に於いて、Zは、結合、C=O、O、−(CR1011)−(CR12130−1−又はNR10であり、ここで、R10、R11、R12及びR13は、前記定義された通りである。好ましくは、Zは、結合、O、−(CR1011)−(CR12130−1−又はNR10である。更に好ましくは、Zは、結合、O、−CH−、−CHCH−又はNHである。最も好ましくは、Zは結合、O又は−CH−である。
【0020】
別の実施形態に於いて、Xは、C=O、−CR1415−又はNR14であり、ここで、R14及びR15は、前記定義された通りである。好ましくは、Xは、C=O、−CH−、−CH(C1−6アルキル)−、CHNHR16、−CHN(C1−4アルキル)又はCH−O−(CH−NR1617であり、ここで、R16及びR17は、前記定義された通りである。更に好ましくは、Xは、C=O、−CH−、CHN(C、−CH−O
【0021】
【化15】

又はCHNH−CH−CH−NR1819であり、ここで、R18及びR19は、前記定義された通りである。好ましくは、R18及びR19は、共にCHであるか又はR18、R19及びこれらが結合している窒素原子は、アゼチジニル、ピロリジニル又はピペリジニル環を形成する。
【0022】
別の実施形態に於いて、Yは、C=O、O、−CR1415−又はNR14であり、ここで、R14及びR15は、前記定義された通りである。好ましくは、Yは、O、−CR1415−又はNR14である。更に好ましくは、Yは、O、−CH−、−CH(OH)−、CH(O−(CHNR1617)−、NH、N(C1−6アルキル)、NCHCHN(C1−6アルキル)、NC(O)(CH1−2N(C1−6アルキル)又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、ベンジルオキシ又はN(C1−4アルキル)によって場合により置換されたN(CH1−3Hetである。適切なY基の例には、O、−CH−、−CH(OH)−、NH、N−CH
【0023】
【化16】

が含まれる。
【0024】
本発明の化合物の一つの好ましいグループは、式(Ia):
【0025】
【化17】

(式中、W、X、Y、Z、R、A及びArは、式(I)に関連して定義された通りである。)
の化合物及びこの医薬的に許容される塩である。
【0026】
一つの実施形態に於いて、式(Ia)の化合物は、式(Iaa):
【0027】
【化18】

(式中、X、Y、Z及びQは、式(I)に関連して定義された通りである。)
を有する。
【0028】
好ましくは、Xは、C=O又は−CR1415−であり、ここで、R14及びR15は、式(I)に関連して前記定義された通りである。更に好ましくは、Xは、C=O、−CH−、CH−O−CHCHNR1617又はCHNHR16であり、ここで、R16及びR17は、式(I)に関連して定義された通りである。最も好ましくは、Xは、C=O、−CH−、CHOCHCHNR1819又はCHNHCHCHNR1819であり、ここで、R18及びR19は、前記定義された通りである。好ましくは、R18及びR19は、共にCHであるか又はR18、R19及びこれらが結合している窒素原子は、アゼチジニル、ピロリジニル又はピペリジニル環、特にピロリジニル環を形成する。
【0029】
好ましくは、Yは、−CR1415−又はNR14であり、ここで、R14及びR15は、式(I)に関連して定義された通りである。更に好ましくは、Yは、−CH−、−CH(OH)−、CH(O(CHNR1617)−、NH、N(C1−6アルキル)、N(CH1−2N(C1−6アルキル)、NC(O)(CH1−2N(C1−6アルキル)又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、ベンジルオキシ又はN(C1−4アルキル)によって場合により置換されたN(CH1−3Hetである。適切なY基の例には、−CH−、−CH(OH)−、NH、N−CH
【0030】
【化19】

が含まれる。
【0031】
好ましくは、Zは、結合、O又は−CR1011−である。最も好ましくは、Zは、結合、O又は−CH−である。
【0032】
好ましくは、Qは、C1−6アルコキシ、O(CH0−3アリール、O(CH0−3ヘテロアリール、ハロゲン又は不存在である。更に好ましくは、Qは、C1−4アルコキシ、O(CHアリール、O(CHヘテロアリール、ハロゲン又は不存在である。最も好ましくは、Qは、メトキシ、ベンジルオキシ、O−CH−ピリジル、フッ素、塩素又は不存在である。
【0033】
本発明の化合物の他の好ましいグループは、式(Ib):
【0034】
【化20】

(式中、W、X、Y、Z及びRは、式(I)に関連して定義された通りである。)
の化合物及びこの医薬的に許容される塩である。
【0035】
好ましくは、Wは、−(CR1011)−(CR12130−1−であり、ここで、R10、R11、R12及びR13は、式(I)に関連して定義された通りである。更に好ましくは、Wは、−(CR1011)−であり、ここで、R10及びR11は、式(I)に関連して定義された通りである。最も好ましくは、Wは−CH−である。
【0036】
好ましくは、Xは、−CR1415−であり、ここで、R14及びR15は、式(I)に関連して定義された通りである。更に好ましくは、Xは−CH−である。
【0037】
好ましくは、Yは、−CR1415−又はNR14であり、ここで、R14及びR15は、式(I)に関連して定義された通りである。更に好ましくは、Yは、NR14であり、ここで、R14は、式(I)に関連して定義された通りである。最も好ましくは、Yは、NH又はN(C1−6アルキル)である。特に、YはN(CH)である。
【0038】
好ましくは、Zは、−(CR1011)−(CR12130−1−であり、ここで、R10、R11、R12及びR13は、式(I)に関連して定義された通りである。更に好ましくは、Zは、−(CR1011)−であり、ここで、R10及びR11は、式(I)に関連して定義された通りである。最も好ましくは、Zは−CH−である。
【0039】
好ましくは、Rは、C(O)NRであり、ここで、R及びRは、式(I)に関連して定義された通りである。更に好ましくは、RはC(O)NHRであり、ここで、Rは(CH0−3(CR0−1であり、R、R及びRは、式(I)に関連して定義された通りである。最も好ましくは、Rは、C(O)NH(CR)C(O)NRであり、ここで、R、R、R及びRは、式(I)に関連して定義された通りである。特に、Rは、
【0040】
【化21】

(式中、Rは、式(I)に関連して定義された通りである。)
である。Rの例には、
【0041】
【化22】

が含まれる。
【0042】
他の実施形態に於いて、式(Ia)の化合物は、式(Iab):
【0043】
【化23】

(式中、X、Y及びZは、式(I)に関連して定義された通りである。)
を有する。
【0044】
好ましくは、Xは−CH−である。
【0045】
好ましくは、YはNR14であり、ここで、R14は、式(I)に関連して定義された通りである。更に好ましくは、Yは、N(CH1−3NR1617であり、ここで、R16及びR17は、式(I)に関連して定義された通りである。最も好ましくは、YはN(CHN(C1−4アルキル)、例えば、N(CHN(CH及びN(CHN(Cである。
【0046】
好ましくは、Zは−CH−である。
【0047】
本発明の別の実施形態に於いて、式(Ic):
【0048】
【化24】

(式中、W、X、Y及びZは、式(I)に関連して定義された通りであり、RはC1−4アルキルである。)
の化合物及びこの医薬的に許容される塩が提供される。
【0049】
好ましくは、Wは−CH−である。
【0050】
好ましくは、Xは、結合、−CH−又は−CHR14であり、ここで、R14は、式(I)に関連して定義された通りである。更に好ましくは、Xは、結合又は−CH(NR1617)−であり、ここで、R16及びR17は、式(I)に関連して定義された通りである。最も好ましくは、Xは、結合又は−CH(N[C1−4アルキル])−、例えば、−CH(N[CH)−である。
【0051】
好ましくは、YはO又は−CH−である。
【0052】
好ましくは、Zは結合又はOである。
【0053】
式(I)又は全ての置換基に於いて、任意の変数が2回以上生じるとき、それぞれの発生でのこの定義は、全ての他の発生でのこの定義に独立である。
【0054】
本明細書で使用されるとき、基又は基の一部としての用語「アルキル」又は「アルコキシ」は、この基が直鎖又は分枝鎖であることを意味する。適切なアルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル及びt−ブチルが含まれる。適切なアルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ及びt−ブトキシが含まれる。
【0055】
本明細書に於いて参照されるシクロアルキル基は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルを表すことができる。適切なシクロアルキルアルキル基は、例えば、シクロプロピルメチルであってよい。
【0056】
本明細書で使用されるとき、基又は基の一部としての用語「アルケニル」は、この基が直鎖又は分枝鎖であることを意味する。適切なアルケニルの例には、ビニル及びアリルが含まれる。
【0057】
本明細書で使用されるとき、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味する。好ましいハロゲンは、フッ素及び塩素である。
【0058】
本明細書で使用されるとき、基又は基の一部としての用語「アリール」は、炭素環式芳香族環を意味する。適切なアリール基の例には、フェニル及びナフチルが含まれる。
【0059】
本明細書で使用されるとき、基又は基の一部としての用語「ヘテロアリール」は、N、O及びSから選択された1から4個のヘテロ原子を含有する5員から10員のヘテロ芳香族環系を意味する。このような基の特別の例には、ピロリル、フラニル、チエニル、ピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアジニル、テトラゾリル、インドリル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフリル、キノリニル及びイソキノリニルが含まれる。
【0060】
化合物又は基が「場合により置換された」として記載される場合、1個以上の置換基が存在してよい。更に、任意の置換基は、これらが種々の方法で、直接的に又は結合基(下記のものがこの例である、アミン、アミド、エステル、エーテル、チオエーテル、スルホンアミド、スルファミド、スルホキシド、ウレア、チオウレア及びウレタン)を介して置換している、化合物又は基に結合することができる。適切なとき、任意の置換基は、それ自体、他の置換基によって置換されていてよく、後者は、前者に直接的に又は結合基、例えば、上記に例示したものを介して結合されている。
【0061】
本発明の範囲内の特定の化合物には、下記の実施例及び表中に名称を記載したもの及びこれらの医薬的に許容される塩が含まれる。
【0062】
医薬に於いて使用するために、式(I)の化合物の塩は、非毒性の医薬的に許容される塩である。しかしながら、他の塩が、本発明に従った化合物又はこれらの非毒性の医薬的に許容される塩の製造に於いて有用である。本発明の化合物の適切な医薬的に許容される塩には、酸付加塩が含まれ、これは、例えば、本発明に従った化合物の溶液を、医薬的に許容される酸、例えば、塩酸、フマル酸、p−トルエンスルホン酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、リン酸又は硫酸の溶液と混合することによって生成させることができる。アミン基の塩は、また、この中でアミノ窒素原子が、適切な有機基、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル又はアラルキル部分を有する、第四級アンモニウム塩を含んでいてよい。更に、本発明の化合物が酸性部分を有する場合、これらの適切な医薬的に許容される塩には、金属塩、例えば、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム又はカリウム塩及びアルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム又はマグネシウム塩が含まれてよい。
【0063】
この塩は、従来の手段により、例えば、生成物の遊離塩基形を、この中で塩が不溶性である溶媒若しくは媒体中で又は真空中で若しくは凍結乾燥により除去される溶媒、例えば、水中で、適切な酸の1当量以上と反応させることにより又は適切なイオン交換樹脂上で、存在する塩のアニオンを他のアニオンで交換することにより生成させることができる。
【0064】
本発明には、この範囲内に、前記式(I)の化合物のプロドラッグが含まれる。一般的に、このようなプロドラッグは、インビボで式(I)の必要とされる化合物に容易に転化できる、式(I)の化合物の機能性誘導体である。適切なプロドラッグ誘導体の選択及び製造のための従来の手順は、例えば、「Design of Prodrugs」、H.Bundgaard編、Elsevier、1985に記載されている。
【0065】
プロドラッグは、活性薬物を放出するために体内で変換を必要とし、親薬物分子を越えた改良された送達特性を有する、生物学的に活性の物質(「親薬物」又は「親分子」)の薬理学的に不活性の誘導体であってよい。インビボでの変換は、例えば、幾つかの代謝工程、例えば、カルボン酸エステル、リン酸エステル又は硫酸エステルの化学的若しくは酵素的加水分解又は感受性官能基の還元若しくは酸化の結果としてであってよい。
【0066】
本発明には、この範囲内に、式(I)の化合物の溶媒和物及びこの塩、例えば水和物が含まれる。
【0067】
本発明には、また、この範囲内に、式(I)の化合物の、任意のエナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体及び互変異性体が含まれる。全てのこのような異性体及びこれらの混合物は、本発明の範囲内に包含されることが理解されるべきである。
【0068】
本発明は、更に、治療で使用するための、式(I)の化合物又はこれらの医薬的に許容される塩を提供する。
【0069】
他の態様に於いて、本発明は、ヒト又は動物に於ける、C型肝炎ウイルスによる感染の治療又は予防のための医薬の製造のための、前記定義された通りの式(I)の化合物又はこれらの医薬的に許容される塩の使用を提供する。
【0070】
本発明の別の態様は、医薬的に許容される担体と関連して、前記定義された通りの式(I)の化合物又はこれらの医薬的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。この組成物は、意図する投薬方法に依存して、任意の適切な剤形であってよい。例えば、経口投薬のための錠剤、カプセル剤若しくは液剤又は非経口での投薬のための水剤若しくは懸濁剤の剤形であってよい。
【0071】
医薬組成物には、場合により、また、ウイルス感染の治療のための1種以上の他の医薬、例えば、抗ウイルス薬又は免疫調節薬、例えば、α−、β−若しくはγ−インターフェロンが含まれている。
【0072】
別の態様に於いて、本発明は、C型肝炎ウイルスポリメラーゼを阻害する方法及び/又はC型肝炎ウイルスに起因する疾病を治療若しくは予防する方法であって、この状態に罹っているヒト又は動物(好ましくは哺乳動物)被検者に、前記の医薬組成物又は前記定義された通りの式(I)の化合物若しくはこれらの医薬的に許容される塩の治療的又は予防的有効量を投薬することを含む方法を提供する。「有効量」は、被検者に利益を起こすために又は少なくとも被検者の状態に於ける変化を起こすために十分な量を意味する。
【0073】
化合物を投薬する用量割合は、使用される特定の化合物の活性、この化合物の代謝安定性及び作用の長さ、患者の年齢、体重、全体的な健康状態、性、食事、投薬の方式及び時間、排泄の割合、医薬組合せ、特定の状態の酷度並びに治療を受けている宿主を含む種々の要因に依存する。適切な用量レベルは、2から5回より多い経口用量で、約0.02から5又は10g/日のものであってよい。例えば、1日当たり1から3回で、体重1kg当たり化合物10から50mgの投薬が適切である。適切な値は、日常的試験によって選択可能である。この化合物は、単独で又は同時に若しくは逐次的に、他の治療と組み合わせて投薬することができる。例えば、これは、当業者に公知である、抗ウイルス薬、免疫調節薬、抗感染薬又はワクチンの有効量と組み合わせて投薬することができる。これは、経口、静脈内、皮膚及び皮下を含む、如何なる適切な経路によっても投薬することができる。これは、適切な部位に直接的に又はこれが特別の部位、例えば、或る種の細胞を標的にする方法で投薬することができる。適切な標的方法は既知である。
【0074】
本発明の追加の態様は、前記定義された通りの式(I)の少なくとも1種の化合物又はこれらの医薬的に許容される塩を、1種以上の医薬的に許容される添加剤、希釈剤若しくは担体及び/又は1種以上の他の治療的に若しくは予防的に活性の薬物と混合することを含む、医薬組成物の製造方法を提供する。
【0075】
本発明は、また、式(I)の化合物の製造方法を提供する。
【0076】
一般的方法(a)に従って、式中、ZがCHであり、XがC=Oであり、YがNR14である式(I)の化合物は、式(II)の化合物と式(III)の化合物:
【0077】
【化25】

(式中、D、D、W、A、Ar、R及びR14は、式(I)に関連して定義された通りであり、R20及びR21は、独立して、水素、メチル及びエチルから選択され、Pは、適切な保護基である。)
との反応、続く内部閉環によって製造することができる。この反応は、便利には、穏和な還元剤、例えば、ホウ水素化ナトリウム又はシアノホウ水素化ナトリウムの存在下で、適切な溶媒、例えば、テトラヒドロフラン又はメタノール中で実施することができる。
【0078】
一般的方法(b)に従って、式中、ZがOであり、W及びYがCHであり、XがC=Oである式(I)の化合物は、式(IV):
【0079】
【化26】

(式中、D、D、A、Ar、R及びR14は、式(I)に関連して定義された通りである。)
の化合物の内部閉環、続く酸化によって製造することができる。この反応は、便利には、塩基、例えば、水素化ナトリウムの存在下で、適切な溶媒、例えば、DMF中で実施することができる。
【0080】
一般的方法(c)に従って、式中、XがC=Oであり、YがNR14である式(I)の化合物は、式(V):
【0081】
【化27】

(式中、W、Z、D、D、A、Ar、R及びR14は、式(I)に関連して定義された通りであり、P及びPは、適切な保護基である。)
の化合物の内部閉環によって製造することができる。P及びPの正確な性質に依存して、脱保護は、塩基性又は酸性条件下で達成することができ、次いで得られる酸を、ペプチドカップリング剤、例えば、HATU又はEDCIを使用して、アミンにカップリングさせる。その代わりに、Pがアルキル基、特にメチルであり、Pが存在しない場合、環化は、適切な塩基、例えば、ナトリウムメトキシドを使用して、適切な溶媒、例えば、メタノール中で達成することができる。
【0082】
一般的方法(d)に従って、式中、ZがCHR10であり、YがCHR14であり、XがCHであり、Wが−(CH(n−1)−である式(I)の化合物は、式(VI):
【0083】
【化28】

(式中、nは1から3であり、D、D、A、Ar、R、R10及びR14は、式(I)に於けるように定義される。)
の化合物の閉環メタセシス、続く新たに生成された二重結合の加工によって製造することができる。この反応は、便利には、閉環メタセシス触媒(例えば、ルテニウム触媒)の存在下で実施することができる。
【0084】
式(II)、(III)、(IV)、(V)及び(VI)の化合物は、当分野で公知であるか又は例えば、添付するスキーム及び実施例に記載した手順又は容易に明らかである代替の手順を使用して、当業者に周知である従来の方法論によって製造することができる。
【0085】
適切な手順の更に詳細なことを、添付するスキーム及び実施例に示す。例えば、式(I)の化合物は、当分野で周知である合成方法論を使用して、式(I)の他の化合物に転化させることができる。
【0086】
従って、例えば、式中、RがCOCHである式(I)の化合物は、例えば、適切な溶媒、例えばジクロロメタン中でBBrによる又は適切な溶媒、例えばジオキサン、THF及び/若しくはメタノール中で、水の存在下で、KOH若しくはNaOHによる処理による、エステルのカルボン酸への転化によって、式中、RがCOHである式(I)の化合物に転化させることができる。
【0087】
更に、式中、RがCOHである式(I)の化合物は、カップリング剤、例えば1−エチル−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド及び脱水剤、例えばDMAPの存在下で、カルボン酸をHNRと反応させることによって、式中、RがC(O)NRである式(I)の化合物に転化させることができる。
【0088】
あるいは、式中、RがCOHである式(I)の化合物は、塩基、例えばジイソプロピルエチルアミン及び脱水剤、例えばHATUの存在下で、カルボン酸をRNHClアミニウムクロリド塩と反応させることによって、式中、RがC(O)NRである式(I)の化合物に転化させることができる。
【0089】
更に、式中、XがC=Oである化合物は、例えば、適切な溶媒、例えばTHF中で、ボラン試薬、例えばBH・MeSによるオキソ基の還元によって、式中、XがCHである式(I)の化合物に転化させることができる。
【0090】
また、式中、YがNHである式(I)の化合物は、脱プロトン化試薬、例えば水素化ナトリウムの存在下で、R14−Clとの反応によって、式中、YがNR14である式(I)の化合物に転化させることができる。
【0091】
一般的合成スキーム
一般的に、5個の合成スキームを、式(I)の化合物を得るために使用した。
【0092】
方法A
【0093】
【化29】

【0094】
5−ブロモチエノピロール中間体(WO2005/023819に記載されているようにして製造した。)を、チエノピロール窒素上で官能化して、前駆体官能基W’/X’を、つなぎ鎖の要素W/Xのいずれか又は両方に導入した。次いで、Pd仲介クロスカップリング方法論(例えば、Suzuki、Stilleら)によって、C5芳香族基保有前駆体官能基Z’/Y’を、つなぎ鎖の要素Z/Yのいずれか又は両方にした。官能基操作、続く閉環によって、四環式系を得た。次いで、エステル脱保護によって、チエノピロールカルボン酸を得た。
【0095】
方法B
【0096】
【化30】

【0097】
C5芳香族基を、最初に、Pd仲介クロスカップリング方法論(Suzuki、Stilleら)によって導入した。次いで、つなぎ鎖が作られ、チエノピロール窒素上での環化により、最後に環を閉じた。次いで、エステル脱保護によって、チエノピロール窒素につながれたC5芳香族基を有する、チエノピロールカルボン酸を得た。
【0098】
方法C
【0099】
【化31】

【0100】
方法A及び方法Bから生じた縮合四環式中間体を、つなぎ鎖内での官能基の操作に付し、その後、エステル脱保護により、C5−つなぎチエノピロールカルボン酸を得た。
【0101】
方法D
【0102】
【化32】

【0103】
方法A−Cから生じたC5−つなぎチエノピロールカルボン酸を、カルボキシラート官能基の操作により更に誘導して、カルボキシ代替物又はカルボキサミドを有する化合物を得た。
【0104】
方法E
【0105】
【化33】

【0106】
C5芳香族基を、最初に、Pd仲介クロスカップリング方法論(Suzuki、Stilleら)によって導入した。このカップリングのために必要なビニルアレーンが入手できなかった場合、対応するホルミルアレーンを使用して、続いて加工することができた。次いで、チエノピロール窒素を、ω−ハロゲンアルク−1−エンによってアルキル化した。閉環メタセシス触媒の存在下での環化によって環式系が得られた。次いで、新たに形成された二重結合を加工して、適切な官能基を得、次いで、更に加工した。次いで、エステル脱保護によって、チエノピロール窒素につながれたC5芳香族基を有するチエノピロールカルボン酸が得られた。
【0107】
上記の合成系列のいずれの間にも、関連する分子のいずれかの感受性又は反応性基を保護することが、必要である及び/又は望ましい。これは、従来の基を保護する手段、例えば、Protective Groups in Organic Chemistry、J.F.W.McOmie編、Plenum Press、1973及びT.W.Greene及びP.G.M.Wuts著、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley & Sons、第3版、1999に記載されているものによって達成することができる。この保護基は、当分野で公知の方法を使用して、便利な後の段階で除去することができる。
【0108】
本発明を、下記の限定されない実施例によって、更に示す。
【0109】
本発明の化合物を、酵素阻害アッセイに於いて(例(i))及び細胞ベースサブゲノム複製アッセイ(cell based subgenomic replication assay)(例(ii))に於いて、HCV RNA依存性RNAポリメラーゼ(NS5B)に対する阻害活性について試験した。この化合物は、一般的に、酵素アッセイに於いて5μMよりも低いIC50を有し、幾つかの例は、細胞ベースアッセイに於いて2μMよりも低いEC50を有している。表中に名称を記載した化合物及び実施例は、ACDLabsからのソフトウエア(バージョン6.0)を使用して生じさせた。
【0110】
(i)インビトロHCV NS5B酵素阻害アッセイ
21C末端残渣(残渣1−570)を欠くNS5Bタンパク質をコードするHCV−BK cDNA配列を、T7プロモーターのpT7.7ベクター下流中及びT7ファージの遺伝子10タンパク質の第一ATGを有するフレーム内でクローン化した。精製手順を単純化するために、C末端HisTagを添加した。E.coliBL21(DE3)に於ける発現を、文献に記載されているように実施した(Tomei et al.,JGV(2000),81,759)。細菌を、標準LB培地中で、600nmで0.8の吸光度まで37℃で成長させた。次いで、培養基の温度を18℃まで低下させ、発現を、0.4mM IPTGで更に23時間誘導した。全ての続く精製工程を4℃で実施した。細胞を採取し、PBS(20mM Na−リン酸塩[pH7.5]、150mM NaCl)で洗浄し、lysis緩衝液100ml/培養基1リットル中に再懸濁し、モデル110Sミクロフルイダイザーで崩壊させた。lysis緩衝液には、10mMトリス[pH8.0]、1mM EDTA、0.5M NaCl、50%グリセロール、10mM β−メルカプトエタノール、0.1% n−オクチル−β−D−グルコピラノシド(Inalco;n−OG)、コンプリート(Complete)(商標)プロテアーゼ阻害薬カクテル(Roche)が含有されていた。10mM MgClを添加した後、抽出液を、DNaseIのml毎0.5単位で30分間温置した。不溶性物質を、ソルバル(Sorvall)SS34ローター内で15,000rpmで60分間の遠心分離によってペレット化した。透明になった上澄み液を、グリセロールを欠くlysis緩衝液中で平衡化させたDEAE−セファロースFF樹脂の培養基のリットルs50mlで、45分間回分式で温置した。DEAE−セファロースからの流動物を、0.3M NaClにまで希釈し、A緩衝液+10mMイミダゾール(A緩衝液:10mMトリス[pH8.0]、20%グリセロール、0.3M NaCl、0.1% n−OG、10mM β−メルカプトエタノール)と平衡化させたNi−NTAスーパーフロー(Superflow)カラム(Qiagen;3ml/培養基のリットル)上に担持させ、A緩衝液中の50から500mMイミダゾール勾配で溶離した。ピーク画分を集め、0.15M NaClを含有するD緩衝液(10mMヘペス[pH8.0]、20%グリセロール、0.2% n−OG、1mM EDTA、5mM DTT)に対して透析し、D緩衝液と平衡化させたハイトラップ(HiTrap)ヘパリンカラム(Amersham)上に担持させ、D緩衝液中の0.15から0.8M NaCl勾配で溶離した。このタンパク質を液体窒素中のアリコート内に貯蔵した。
【0111】
この精製した酵素は、Journal of General Virology 81:759−767(2000)中の記載に従って、テンプレートとしてRNAを使用して、インビトロRNAポリメラーゼ活性を有することが示された。この文献には、テンプレート/プライマーとしてポリ(A)及びオリゴ(U)を使用する、重合アッセイが記載されている。トリチウム化したUTPの含有は、酸不溶性放射能を測定することによって定量される。本発明者らは、このアッセイを使用して、HCV RdRpの阻害薬として、前記の種々の化合物をスクリーニングした。
【0112】
放射性UMPの含有は、下記のようにして測定した。標準的反応(50μl)を、テンプレート/プライマーとして、20mMトリス/HCl pH7.5、5mM MgCl、1mM DTT、10mM NaCl、0.01%トリトン(Triton)X−100、1μCi[H]−UTP(40Ci/ミリモル、NEN)、10μM UTP及び10μg/mlポリ(A)/オリゴ(U)12(1μg/ml、Genset)を含有する緩衝液中で実施した。最終NS5B ΔC21酵素濃度は5nMであった。アセンブリーの順序は、1)化合物、2)酵素、3)テンプレート/プライマー、4)NTPであった。22℃で1時間温置した後、20%TCA50μlを添加することによって反応を停止し、サンプルをDE81フィルターに適用した。このフィルターを、1M NaHPO/NaHPOを含有する5%TCA、pH7.0で十分に洗浄し、水、次いでエタノールですすぎ、空気乾燥し、フィルター結合放射能を、シンチレーションカウンター内で測定した。前記のそれぞれの化合物の種々の濃度の存在下でこの反応を実施することにより、式:
残留活性%=100/(1+[I]/IC50
(式中、[I]は阻害薬濃度であり、「s」は阻害曲線の勾配である。)
を使用することによってIC50値の決定が可能であった。
【0113】
(ii)細胞ベースHCV複製アッセイ
サブゲノムHCVレプリコンを安定に維持する細胞クローンを、Lohmannら(1999)によって記載されたI377ネオ/NS3−3’/wt(EMBL−ジェンバンク(genbank)No.AJ242652)と同一のRNAレプリコンで、Huh−7細胞を形質移入し、続いて硫酸ネオマイシン(G418)で選択することによって得た。ウイルス複製を、抗NS3モノクローナル抗体10E5/24(国際特許出願公開WO02/59321に記載されている通り)を使用し、96ウエルマイクロタイタープレート(Cell−ELISA)内で成長した細胞上で直接的に実施したELISAアッセイによるNS3タンパク質の発現を測定することによってモニターした。細胞は、DMEM/10%FCS0.1mlの最終体積で、ウエル当たり10細胞の密度で、96ウエルプレートの中に播種した。プレーティングの2時間後に、阻害薬の3倍の濃度を含有するDMEM/10%FCS50μlを添加し、細胞を96時間温置し、次いで氷冷したイソプロパノールで10分間固定した。それぞれの条件を二重に試験し、平均吸光度値を計算のために使用した。細胞をPBS中で2回洗浄し、PBS+0.1%トリトンX100+0.02%SDS(PBSTS)中の5%脱脂粉乳でブロックし、次いでミルク/PBSTS中に希釈した10E5/24mabと共に4℃で温置した。PBSTSで5回洗浄した後、細胞を、ミルク/PBSTS中に希釈した、リン酸アルカリに共役したFc特異抗マウスIgG(Sigma)と共に室温で3時間温置した。再び上記のように洗浄した後、反応を、p−ニトロフェニルリン酸二ナトリウム基質(Sigma)と共に進め、405/620nmでの吸光度を、ときどき読み取った。計算のために、本発明者らは、阻害薬無しで温置したサンプルが、1と1.5との間からなる吸光度を有したデータ組を使用した。NS3の発現を50%ほど減少した阻害薬濃度(IC50)を、このデータをヒル(Hill)式:
画分阻害=1−(Ai−b)/(A−b)=[I]/([I]+IC50
(式中、
Ai=示された阻害薬濃度で補充されたHBI10細胞の吸光度値、
=阻害薬無しで温置されたHBI10細胞の吸光度値、
b=同じマイクロタイタープレート内に同じ密度でプレーティングされ、阻害薬無しで温置された、Huh−7細胞の吸光度値、
n=ヒル係数)
に当てはめることによって計算した。
【0114】
(iii)一般的手順
全ての溶媒は、商業的供給者(Fluka,puriss)から得、更に精製することなく使用した。日常的脱保護及びカップリング工程を除いて、反応は、オーブン乾燥した(110℃)ガラス器具内で、窒素の雰囲気下で実施した。有機抽出液は、硫酸ナトリウムで乾燥し、(乾燥剤を濾過した後)減圧下で運転するロータリーエバポレーターで濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーは、刊行物記載の手順(W.C.Still et al.,J.Org.Chem.1978,43,2923)に従ってシリカゲル上で又は予備充填されたカラムを使用する商業的フラッシュクロマトグラフィーシステム(Biotage corporation及びJones Flashmaster II)上で実施した。
【0115】
試薬は、通常、商業的供給者から直接入手した(供給されたまま使用した)が、社内収集物からの限定された数の化合物を使用した。後者の場合に、試薬は、科学文献に報告されているか又は当業者に公知である、日常的合成工程を使用して容易に入手可能である。
【0116】
H NMRスペクトルは、300から600MHzの(報告した)周波数で操作するブルッカー(Bruker)AMシリーズ分光計で記録した。非交換性プロトン(見える場合は交換性プロトン)に対応するシグナルについての化学シフト(δ)は、テトラメチルシランに対して100万当たりの部(ppm)で記録し、参照として残留溶媒ピークを使用して測定する。シグナルは下記の順に要約される。多重度(s、一重項;d、二重項;t、三重項;q、四重項;m、多重項;b、ブロード及びこれらの組合せ);ヘルツ(Hz)でのカップリング定数(群);プロトンの数。質量スペクトル(MS)データは、ネガティブ(ES)又はポジティブ(ES)イオン化モードで操作する、パーキン・エルマー(Perkin Elmer)API100又はウォーターズ・マイクロマス(Waters MicroMass)ZQで得た。結果は、電荷に対する質量の比(m/z)として報告する。分取規模HPLC分離は、ウォーターズ486吸収検出器を備えたウォーターズ・デルタ・プレプ(Waters Delta Prep)4000分離モジュール又はギルソン(Gilson)分取システムで実施した。
【0117】
実施例、スキーム及び表中に、下記の略語を使用する。ジオキサン:1,4−ジオキサン;DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン;DMF:N,N−ジメチルホルムアミド;DMSO:ジメチルスルホキシド;EtOAc:酢酸エチル;eq.:当量;h:時間;HATU:O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート;MeCN:アセトニトリル;min:分;MS:質量スペクトル;PE:石油エーテル30/60;quant.:定量的;RP−HPLC:逆相高速液体クロマトグラフィー;RP−MS−HPLC:質量ガイド(mass−guided)逆相高速液体クロマトグラフィー;RT:室温;THF:テトラヒドロフラン。
【実施例1】
【0118】
13−シクロヘキシル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸
工程1:tert−ブチル 6−シクロヘキシル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート
乾燥CHCl中の6−シクロヘキシル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボン酸(1当量、WO2005/023819に記載されているようにして製造した)の懸濁液(0.19M)を、tert−ブチル N,N’−ジイソプロピルイミドカルバマート(2当量)によって処理した。得られた透明溶液を、還流まで20時間加熱した。反応を完結転化にまで駆動するために、16時間後に、イソウレアの更なる当量の添加が必要であった。冷却した後、溶媒を、真空中で蒸発させて残渣を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(PE:EtOAc、10:1)によって精製して、標題化合物(57%)を得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d,300K,δ)11.12(bs,1H),7.55(s,1H),7.08(s,1H),2.60−2.50(m,1H),1.99−1.67(m,5H),1.51(s,9H),1.45−1.19(m,5H)。MS(ES)m/z:306[M+H]
【0119】
工程2:tert−ブチル 6−シクロヘキシル−4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート
tert−ブチル 6−シクロヘキシル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート(1当量、工程1から)を、無水DMF中に溶解し(0.42M)、水素化ナトリウム(2当量、鉱油中60%懸濁液)を添加した。得られた懸濁液を室温で30分間撹拌した。次いで、ブロモ酢酸メチル(3当量)を添加し、この溶液を50℃で1時間撹拌した。冷却した後、反応混合物をEtOAcで希釈し、1N塩酸、飽和NaHCO溶液及び食塩水で逐次的に洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空中で蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(PE:EtOAc、9:1)によって精製して、標題化合物(85%)を得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d,300K,δ)7.72(s,1H),7.06(s,1H),5.05(s,2H),3.69(s,3H),2.56−2.50(m,1H),1.99−1.67(m,5H),1.52(s,9H),1.43−1.19(m,5H)。MS(ES) m/z:378[M+H]
【0120】
工程3:tert−ブチル 5−ブロモ−6−シクロヘキシル−4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート
tert−ブチル 6−シクロヘキシル−4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート(1当量、工程2から)を、0℃に冷却した無水CHCl中に溶解し、N−ブロモスクシンイミド(1当量)によって40分間かけて少しずつ処理した。この反応混合物を、1Mチオ硫酸ナトリウム溶液の添加によってクエンチし、EtOAcで抽出した。一緒にした有機層を、1Mチオ硫酸ナトリウム溶液で及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。蒸発によって、純粋な標題化合物(87%)を薄黄色フォームとして得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d,300K,δ)7.86(s,1H),5.12(s,2H),3.69(s,3H),2.67−2.56(m,1H),1.81−1.70(m,5H),1.52(s,9H),1.52−1.27(m,5H)。MS(ES) m/z:456,458[M+H]
【0121】
工程4:tert−ブチル 6−シクロヘキシル−5−(2−ホルミルフェニル)−4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート
tert−ブチル 5−ブロモ−6−シクロヘキシル−4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート(1当量、工程3から)及び2−ホルミル−フェニルボロン酸(1.5当量)を、ジオキサン中に溶解し(0.1M)、2M NaCO溶液(2当量)によって処理した。この溶液を、これに通してアルゴンをバブリングさせることによって脱気し、Pd(PPhCl(0.1当量)を添加した。この反応混合物を還流まで20分間加熱し、次いでRTまで冷却し、EtOAcで希釈し、1N塩酸及び食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空中で蒸発させ、残渣をクロマトグラフィー(PE:EtOAc、9:1)によって精製して、純粋な標題化合物(68%)を固体として得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d,300K,δ)9.70(s,1H),7.96(dd,J7.7,1.3,1H),7.91(s,1H),7.84(dt,J7.6,1.5,1H),7.80(t,J7.7,1H),7.47(d,J7.6,1H),4.93(d,J18.2,1H),4.76(d,J18.2,1H),3.48(s,3H),2.15−2.08(m,1H),1.73−1.02(m,10H),1.52(s,9H)。MS(ES) m/z:482[M+H]
【0122】
工程5:13−シクロヘキシル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸
乾燥THF中のtert−ブチル 6−シクロヘキシル−5−(2−ホルミルフェニル)−4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート(1当量、工程4から)の溶液(0.05M)を、2−(アミノエチル)ジメチルアミン(1.5当量)によって、室温で1時間処理した。揮発性物質を真空中で蒸発させ、残渣を乾燥メタノール中に溶解し、シアノホウ水素化ナトリウム(2当量)によって、室温で一晩処理した。残渣をEtOAcで希釈し、飽和NaHCO溶液及び食塩水で洗浄し、次いで硫酸ナトリウムで乾燥し、真空中で蒸発させて、tert−ブチル 13−シクロヘキシル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキシラートを得た。上記の粗製化合物を、トリフルオロ酢酸/CHCl(1:1、0.01M)によって室温で30分間処理した。揮発物質を真空中で蒸発させ、残渣を、RP−HPLC(カラム:ウォーターズXテラ(XTerra)(登録商標)プレプMS C18、10μm;溶媒:A:水+0.1%トリフルオロ酢酸;B:MeCN+0.1%トリフルオロ酢酸;A中25%B3分間アイソクラチック、12分内に直線的にB中20%Aに)によって精製して、凍結乾燥の後、標題化合物を無色粉末(39%)として得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d,300K,δ)9.25(bs,1H)7.77−7.75(m,1H),7.68(s,1H),7.60−7.57(m,2H),7.51−7.49(m,1H),4.84(d,J17.3,1H),4.29(d,J14.6,1H),4.20(d,J17.3,1H),4.15(d,J14.6,1H),3.50−3.30(m,2H,HOシグナルによって不明瞭),3.90−3.85(m,2H),2.86(s,6H),2.58−2.51(m,1H)2.04−1.21(m,10H) MS(ES) m/z:466[M+H]
【実施例2】
【0123】
13−シクロヘキシル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−5,6,7,8−テトラヒドロチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸
乾燥THF中の、tert−ブチル 13−シクロヘキシル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキシラート(1当量、実施例1工程5に記載したようにして製造した)の溶液(0.14M)を、ボラン−ジメチルスルフィド錯体(20当量、THF中の2M溶液)によって、室温で一晩処理した。メタノール中のHClの溶液(40当量、1.25M)を、反応混合物に添加し、次いでこれを還流まで1時間加熱した。全ての揮発物質を真空中で蒸発させ、残留物質を、RP−HPLC精製(カラム:ウォーターズXテラ(登録商標)プレプMS C18、10μm;溶媒:A:水+0.1%トリフルオロ酢酸;B:MeCN+0.1%トリフルオロ酢酸;A中25%B3分間アイソクラチック、12分内に直線的にB中20%Aに)に付して、凍結乾燥の後、標題化合物を無色粉末(33%)として得た。H−NMR(500MHz,DMSO−d6,330K,δ)7.91(s,1H),7.63(d,J7.1,1H),7.52−7.46(m,2H),7.37(d,J.3,1H),4.40(dd,J15.3,4.9,1H),3.86(d,J13.9,1H),3.70−3.10(m,4H,HOシグナルによって不明瞭),3.05(d,J13.9,1H),3.04−2.84(m,2H),2.84(m,6H),2.69−2.60(m,1H)2.55−2.50(m,1H,DMSOシグナルによって部分的に不明瞭),2.02−1.09(m,10H)。MS(ES) m/z:452[M+H]
【実施例3】
【0124】
13−シクロヘキシル−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸
乾燥メタノール中のtert−ブチル 6−シクロヘキシル−5−(2−ホルミルフェニル)−4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート(1当量、実施例1工程4に記載したようにして製造した)の溶液(0.05M)を、メチルアミン(1.5当量、THF中2M溶液)によって、室温で1時間処理した。次いで、ホウ水素化ナトリウム(2当量)を添加し、この混合物を室温で一晩撹拌した。残渣をEtOAcで希釈し、飽和NaHCO溶液及び食塩水で洗浄し、次いで硫酸ナトリウムで乾燥し、真空中で蒸発させた。上記の化合物(1当量)を、乾燥THF中に溶解し(0.14M)、ボラン−ジメチルスルフィド錯体(20当量、THF中の2M溶液)によって、室温で一晩処理した。次いで、この反応混合物を、メタノール中のHCl(40当量、1.25M溶液)によって処理し、還流まで1時間加熱した。揮発物質を真空中で蒸発させ、残渣を、RP−HPLC(カラム:ウォーターズXテラ(登録商標)プレプMS C18、10μm;溶媒:A:水+0.1%トリフルオロ酢酸;B:MeCN+0.1%トリフルオロ酢酸;A中25%B3分間アイソクラチック、12分内に直線的にB中20%Aに)によって精製して、凍結乾燥の後、標題化合物を無色粉末(39%)として得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d,300K,δ)12.83(bs,1H),9.86(bs,1H),8.05(s,1H),7.94−7.90(m,1H),7.65−7.60(m,2H),7.48−7.45(m,1H),4.66(d,J15.3,1H),4.39(d,J12.7,1H),3.70−3.20(m,4H,HOシグナルによって部分的に不明瞭),3.06(s,3H),2.50(m,1H,DMFシグナルによって不明瞭),2.03−1.36(m,10H)。MS(ES) m/z:395[M+H]
【実施例4】
【0125】
13−シクロヘキシル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−3−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸
工程1:tert−ブチル 6−シクロヘキシル−5−(2−ホルミル−4−メトキシフェニル)−4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート
tert−ブチル 5−ブロモ−6−シクロヘキシル−4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート(1当量、実施例1工程3に記載したようにして製造した)及び2−ホルミル−4−メトキシフェニルボロン酸(1.5当量)を、ジオキサン中に溶解し(0.1M)、2M NaCO溶液(2当量)によって処理した。この溶液を、これに通してアルゴンをバブリングさせることによって脱気し、Pd(PPhCl(0.1当量)を添加した。この反応混合物を還流まで20分間加熱した。RTまで冷却した後、この混合物をEtOAcで希釈し、1N塩酸及び食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空中で蒸発させ、残渣をクロマトグラフィー(PE:EtOAc、9:1)によって精製して、純粋な標題化合物(57%)を固体として得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d,300K,δ)9.64(s,1H),7.89(s,1H),7.43(s,1H),7.41−7.38(m,2H),4.92(d,J18.0,1H),4.73(d,J18.0,1H),3.90(s,3H),3.50(s,3H),2.14−2.09(m,1H),1.73−1.19(m,10H),1.54(s,9H)。MS(ES) m/z:534[M+Na]
【0126】
工程2:13−シクロヘキシル−6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−3−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸
乾燥メタノール中のtert−ブチル 6−シクロヘキシル−5−(2−ホルミル−4−メトキシフェニル)−4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート(1当量、工程1から)の溶液(0.05M)を、2−(アミノエチル)ジメチルアミン(1.5当量)によって、室温で1時間処理した。次いで、シアノホウ水素化ナトリウム(2当量)を添加し、この混合物を室温で一晩撹拌した。残渣をEtOAcで希釈し、飽和NaHCO溶液及び食塩水で洗浄し、次いで硫酸ナトリウムで乾燥し、真空中で蒸発させた。上記の化合物(1当量)を乾燥THF中に溶解し(0.14M)、ボラン−ジメチルスルフィド錯体(20当量、THF中の2M溶液)によって、室温で一晩処理した。次いで、この反応混合物を、メタノール中のHClの溶液(40当量、1.25M溶液)によって処理し、還流まで1時間加熱した。揮発物質を真空中で蒸発させ、残留物質を、RP−HPLC(カラム:ウォーターズXテラ(登録商標)プレプMS C18、10μm;溶媒:A:水+0.1%トリフルオロ酢酸;B:MeCN+0.1%トリフルオロ酢酸;A中25%B3分間アイソクラチック、12分内に直線的にB中20%Aに)によって精製して、凍結乾燥の後、標題化合物を無色粉末(39%)として得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d,300K,δ)7.88(s,1H),7.28(d,J8.3,1H),7.16(bs,1H),7.04(d,J8.3,1H),4.36(d,J14.1,1H),3.85(s,3H),3.76(d,J12.4,1H),3.70−3.20(m,7H,HOシグナルによって部分的に不明瞭),3.07−2.94(m,1H),2.84(s,6H),2.50(m,1H,DMSOシグナルによって不明瞭),1.99−1.09(m,10H)。MS(ES) m/z:482[M+H]
【実施例5】
【0127】
13−シクロヘキシル−6−(N,N−ジメチルグリシル)−5,6,7,8−テトラヒドロチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸
工程1:tert−ブチル 13−シクロヘキシル−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキシラート
エタノール中のtert−ブチル 6−シクロヘキシル−5−(2−ホルミルフェニル)−4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート(1当量、実施例1工程4に記載したようにして製造した)の溶液(0.06M)を、ヒドロキシルアミン塩酸塩(2当量、1M水溶液)及び2M NaCO溶液(2当量)によって、室温で1時間処理した。この反応混合物をEtOAc中に抽出し、一緒にした有機層を食塩水で洗浄した。乾燥し、蒸発させて、オキシム(0.94当量)をベージュ色フォームとして得た。上記の化合物を氷酢酸中に溶解し、パル(Parr)装置内で、二酸化白金(1当量)の存在下で48時間水素化した。この反応混合物を濾過し、揮発物質を真空中で蒸発させ、残渣をEtOAcで希釈し、飽和NaHCO溶液及び食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムでの乾燥及び溶媒の蒸発によって、粗製第一級アミンを得、これを、無水メタノール中に溶解し(0.02M)、触媒量のナトリウムメトキシドの存在下で室温で1時間撹拌した。次いで、揮発物質を真空中で蒸発させ、残渣をEtOAc中に溶解し、1M塩酸及び食塩水で洗浄した。クロマトグラフィー(PE:EtOAc、1:1)によって、標題化合物(71%)を薄黄色フォームとして得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d,300K,δ)8.16(bs,1H)7.69(s,1H),7.56−7.49(m,4H),4.70(d,J17.8,1H),4.11(d,J17.1,1H),3.95−3.86(m,1H),3.61−3.50(m,1H),2.50(m,1H,DMSOシグナルによって不明瞭),2.01−1.10(m,10H)1.54(s,9H)。MS(ES) m/z:451[M+H]
【0128】
工程2:13−シクロヘキシル−6−(N,N−ジメチルグリシル)−5,6,7,8−テトラヒドロチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸
乾燥THF中のtert−ブチル 13−シクロヘキシル−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキシラート(1当量、工程1から)の溶液(0.1M)を、ボラン−ジメチルスルフィド錯体(20当量、THF中の2M溶液)によって、室温で一晩処理した。この反応混合物にメタノールを添加し(0.1M)、次いでこれを還流まで1時間加熱した。揮発物質を真空中で蒸発させ、残渣をEtOAc中に溶解し、飽和NaHCO溶液及び食塩水で洗浄した。蒸発させて、アミンがベージュ色フォーム(0.62当量)として得られた。乾燥CHCl中の、上記の化合物(1当量)、N,N−ジメチルグリシン(1.1当量)及びN−エチル−N−イソプロピルプロパン−2−アミン(2当量)の溶液(0.1M)を、N−[(ジメチルアミノ)(3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−3−イルオキシ)メチレン]−N−メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスファート(1.2当量)によって処理し、室温で16時間撹拌した。この反応混合物をEtOAcで希釈し、1N塩酸、飽和NaHCO溶液及び食塩水で洗浄した。この粗製物をトリフルオロ酢酸/CHCl(1:1、0.01M)で30分間処理し、次いで真空中で蒸発させた。RP−HPLC精製(カラム:ウォーターズXテラ(登録商標)プレプMS C18、10μm;溶媒:A:水+0.1%トリフルオロ酢酸;B:MeCN+0.1%トリフルオロ酢酸;A中25%B3分間アイソクラチック、12分内に直線的にB中20%Aに)によって、凍結乾燥の後、標題化合物をグレーがかった粉末(18%)として得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d,330K,δ)12.79(bs,1H),9.55(s,1H),7.94(s,1H),7.81−7.74(m,1H),7.63−7.39(m,3H),5.16(d,J14.2,1H),4.60(bd,J15.1,1H),4.32(d,J16.9,1H),4.11(d,J16.9,1H)。3.80(bd,J15.1H),3.64−3.53(m,1H),3.53−3.35(m,2H,HOシグナルによって部分的に不明瞭),2.86(s,6H),2.50(m,1H,DMFシグナルによって不明瞭),2.08−1.07(m,10H)。MS(ES) m/z:466[M+H]
【実施例6】
【0129】
13−シクロヘキシル−7−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ}−7,8−ジヒドロ−6H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2−e][1,5]ベンゾオキサゾシン−11−カルボン酸
工程1:メチル 6−シクロヘキシル−5−(2−ヒドロキシフェニル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート
4−tert−ブチル 2−メチル 5−ブロモ−6−シクロヘキシル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2,4−ジカルボキシラート(WO2005/023819に記載されているようにして製造した)を、CHCl/トリフルオロ酢酸(2:1)の混合物中に溶解して、0.1N溶液を得た。この溶液を室温で2時間撹拌した。次いで、全ての揮発物質を真空中で蒸発させ、残留物質を真空中で一晩乾燥した。このようにして得られたメチル 5−ブロモ−6−シクロヘキシル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラートを、ジオキサン中に溶解して、0.1N溶液を得た。噴霧乾燥したフッ化カリウム(3当量)、2−ヒドロキシベンゼンボロン酸(1.5当量)及びビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)(0.18当量)を添加し、この混合物を脱気し、窒素でフラッシュした。室温で20分間撹拌した後、全ての不溶解物質を、0.45μm膜フィルターに通して濾別し、生成物を、RP−HPLC(カラム:ウォーターズXテラ(登録商標)プレプMS C18、5μm;溶媒:A:水+0.1%トリフルオロ酢酸;B:MeCN+0.1%トリフルオロ酢酸;A中30%B3分間アイソクラチック、10分内に直線的にB中1%Aに)によって単離した。生成物画分の凍結乾燥後に、ベージュ色残渣を得た(79%)。H−NMR(400MHz,CDCl,300K,δ):8.33(bs,1H),7.70(s,1H),7.36−7.30(m,2H),7.05−7.01(m,2H),3.92(s,3H),2.65−2.59(m,1H),1.83−1.26(m,10H)。MS(ES) m/z:356[M+H]。(ES)m/z:354[M−H]
【0130】
工程2:メチル 6−シクロヘキシル−5−{2−[(2S)−オキシラン−2−イルメトキシ]フェニル}−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート
メチル 6−シクロヘキシル−5−(2−ヒドロキシフェニル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート(工程1から)を、DMF中に溶解して、0.1N溶液を得た。2S−(+)−グリシジル−3−ニトロベンゼンスルホナート(1.1当量)及びフッ化セシウム(1.2当量)を添加し、この混合物を室温で攪拌した。一晩後に、追加の2S−(+)−グリシジル−3−ニトロベンゼンスルホナート(1.1当量)及びフッ化セシウム(1.2当量)を添加し、撹拌を更に8時間続けた。全ての揮発物質を真空中で蒸発させ、残留物質を真空中で一晩乾燥した。生成物を、クロマトグラフィー(PE:EtOAc、8:2)によって単離した。生成物画分を蒸発させた後、生成物を、粘着性の黄色固体(67%)として得た。H−NMR(400MHz,CDCl,300K,δ):9.16(s,1H),7.72(s,1H),7.42−7.39(dd,J1,2 7.67,J1,3 1.54,1H),7.36−7.31(dt,J1,2 7.67,J1,3 1.75,1H),7.12−7.08(m,1H),7.04−7.02(d,J1,2 8.33,1H),4.40−4.36(dd,Jgem 11.18,Jvic 2.20,1H),4.14−4.09(m,1H),3.90(s,3H),3.66−3.33(m,1H),2.89−2.87(t,J4.61,1H),2.82−2.77(m,2H),1.92−1.66(m,6H),1.41−1.24(m,4H)。MS(ES) m/z:412[M+H]。(ES)m/z:410[M−H]
【0131】
工程3:メチル (7S)−13−シクロヘキシル−7−ヒドロキシ−7,8−ジヒドロチエノ−6H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2−e][1,5]ベンゾオキサゾシン−11−カルボキシラート
メチル 6−シクロヘキシル−5−{2−[(2S)−オキシラン−2−イルメトキシ]フェニル}−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート(工程2から)を、DMF中に溶解して、0.09N溶液を得た。水素化ナトリウム(1.1当量鉱油中60%懸濁液)を添加し、この混合物を室温で一晩撹拌した。酢酸を添加してこの混合物をクエンチし、全ての揮発物質を真空中で蒸発させた。残留物質をトルエンと共に一度共蒸発させ、次いで、CHCl/メタノール(1:1)中に溶解して、0.1N溶液を得た。トリメチルシリルジアゾメタン(1当量)を添加し、この溶液を1時間撹拌した。この溶液の中にシリカゲルを添加して、反応をクエンチした。生成物を、クロマトグラフィー(PE:EtOAc、7:3)によって単離した。生成物をガラス状の黄色を帯びた固体(48%)として得た。H−NMR(400MHz,CDCl,300K,δ):7.79(s,1H),7.46−7.39(m,1H),7.33−7.31(m,1H),7.25−7.11(m,2H),4.52−4.31(m,2H),4.10−4.06(m,1H),4.03.−3.95(m,1H),3.91(s,3H),3.88−3.84(m,1H),2.69−2.62(m,1H),1.99−1.17(m,10H)。MS(ES) m/z:412[M+H]。(ES)m/z:410[M−H];456[M+HCOO]
【0132】
工程4:メチル 13−シクロヘキシル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−6H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2−e][1,5]ベンゾオキサゾシン−11−カルボキシラート
メチル (7S)−13−シクロヘキシル−7−ヒドロキシ−7,8−ジヒドロチエノ−6H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2−e][1,5]ベンゾオキサゾシン−11−カルボキシラート(工程3から)を、CHCl中に溶解して、0.04N溶液を得、Dess−Martinペルヨージナン(1.2当量)を添加した。この溶液を室温で一晩撹拌した。次いで、この混合物をCHClで希釈し、飽和NaHCO溶液で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空中で蒸発させた。残留物質を、クロマトグラフィー(PE:EtOAc、7.5:2.5)に付した。生成物画分を蒸発させた後、生成物をガラス状固体(67%)として得た。H−NMR(400MHz,CDCl,300K,δ):7.71(s,1H),7.53−7.49(m,1H),7.44−7.41(m,1H),7.35−7.30(m,2H),4.80−4.76(d,Jgem 16.93,1H),4.66−4.59(2d,Jgem 16.93,16.17,2H),4.52−4.48(d,Jgem 16.42,1H),3.92(s,3H),2.71−2.63(m,1H),2.06−1.69(m,6H),1.54−1.19(m,4H)。MS(ES) m/z:410[M+H]; 428 [M+H+HO]
【0133】
工程5:13−シクロヘキシル−7−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ}−7,8−ジヒドロ−6H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2−e][1,5]ベンゾオキサゾシン−11−カルボン酸
メチル 13−シクロヘキシル−7−オキソ−7,8−ジヒドロ−6H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2−e][1,5]ベンゾオキサゾシン−11−カルボキシラート(工程4から)を、1,2−ジクロロエタン中に溶解して、0.01N溶液を得た。N,N−ジメチルアミノエチルアミン(1.2当量)及びトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(1.2当量)を添加し、この混合物を45℃で3日間撹拌した。この混合物を、1,2−ジクロロエタンで希釈し、酢酸を添加した。10分間撹拌した後、全ての揮発物質を真空中で蒸発させた。残留物質をトルエンと共に一度共蒸発させ、次いで残渣を真空中で乾燥し、このようにして得られたメチル 13−シクロヘキシル−7−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ}−7,8−ジヒドロ−6H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2−e][1,5]ベンゾオキサゾシン−11−カルボキシラートを、ジオキサン中に溶解して、0.01N溶液を得た。この溶液をメタノールで希釈して、0.0075M溶液を得、次いで1N KOH溶液(10当量)を添加した。水を添加して、形成された沈殿を溶解し、得られた溶液を50℃に一晩加温した。この生成物を、RP−HPLC(カラム:ウォーターズXテラ(登録商標)プレプMS C18、5μm;溶媒:A:水+0.1%トリフルオロ酢酸;B:MeCN+0.1%トリフルオロ酢酸;A中10%B3分間アイソクラチック、10分内に直線的にB中1%Aに)によって単離した。生成物画分の凍結乾燥後に、生成物を、無色無定形固体(10%)として得た。H−NMR(500MHz,DMSO−d+TFA,300K,δ):8.00(s,1H),7.51−7.48(m,1H),7.32−7.30(d,J7.4,1H),7.25−7.22(m,2H),4.72−4.69(m,1H),4.24−4.13(m,2H),3.90−3.85(m,1H),3.70(bs,1H),3.47−3.37(m,4H),2.88(s,6H),2.78−2.63(m,1H),2.06−2.00(m,1H),1.85−1.82(m,1H),1.70−1.53(m,5H),1.34−1.15(m,3H)。MS(ES) m/z:468[M+H]。(ES) m/z:466.36[M−H]
【実施例7】
【0134】
12−シクロヘキシル−5−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2−d][1,4]ベンゾジアゼピン−10−カルボン酸
工程1:メチル 5−ブロモ−6−シクロヘキシル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート
CHCl中のメチル 5−ブロモ−4−(tert−ブトキシカルボニル)−6−シクロヘキシル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート(WO2005/023819に記載されているようにして製造した)の溶液(0.1M)を、トリフルオロ酢酸(1:1)によって処理した。この反応混合物を室温で1時間撹拌した。全ての揮発物質を蒸発させて残渣を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(PE:EtOAc、7:3)によって精製して、標題化合物(79%)を固体として得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d,300K,δ)7.60(s,1H),3.80(s,3H),2.66−2.55(m,1H),1.85−1.20(m,10H)。MS(ES) m/z:342,344[M+H]
【0135】
工程2:メチル 5−ブロモ−4−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−6−シクロヘキシル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート
乾燥DMF中のメチル 5−ブロモ−6−シクロヘキシル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート(工程1から)の溶液(0.2M)を、0℃で水素化ナトリウム(2当量鉱油中60%懸濁液)によって処理した。この反応混合物を室温で30分間撹拌し、次いでブロモ酢酸tert−ブチル(3当量)を添加した。反応物を50℃に1時間加熱した。冷却した後、溶液をEtOAcで希釈し、1N塩酸を添加した。有機相を1N塩酸、飽和NaHCO溶液及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空中で蒸発させて、残渣を得、これを、フラッシュクロマトグラフィー(PE:EtOAc、9:1)によって精製して、標題化合物(80%)を固体として得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d,300K,δ)7.99(s,1H),4.99(s,2H),3.82(s,3H),2.66−2.52(m,1H),1.82−1.21(m,10H),1.42(s,9H)。MS(ES) m/z:456,458[M+H]
【0136】
工程3:メチル 5−{2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]フェニル}−4−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−6−シクロヘキシル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート
ジオキサン中のメチル 5−ブロモ−4−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−6−シクロヘキシル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート(工程2から)の溶液(0.15M)を、tert−ブチル−N−[2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]カルバマート(1.5当量)及び2N NaCO溶液(6当量)によって処理し、脱気した。PdCl(PPh(0.2当量)を添加し、この懸濁液を30分間還流させた。冷却した後、EtOAcを添加し、この溶液を、水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空中で蒸発させて残渣を得、これをフラッシュクロマトグラフィー(PE:EtOAc、95:5)によって精製して、標題化合物(89%)を固体として得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d,300K,δ)8.00(s,1H),7.73(m,2H),7.47−7.43(t,J8.6,1H),7.27−7.23(m,2H),4.73−4.49(dd,J20,2H),3.82(s,3H),2.17−2.11(m,1H),1.82−1.21(m,10H),1.37(s,9H),1.28(s,9H)。MS(ES) m/z:569[M+H]
【0137】
工程4:メチル 12−シクロヘキシル−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2−d][1,4]ベンゾジアゼピン−10−カルボキシラート
トリフルオロ酢酸/CHCl(1:1)中の、メチル 5−{2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]フェニル}−4−(2−tert−ブトキシ−2−オキソエチル)−6−シクロヘキシル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート(工程3から)の溶液(0.03M)を、室温で2時間、40℃で30分間撹拌した。溶媒を真空中で除去して、標題化合物を固体として得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d,300K,δ)10.30(s,1H)8.18(s,1H),7.51−7.24(m,4H),5.03−4.93(m,1H),4.57−4.52(m,1H),3.83(s,3H),2.78−2.73(m,1H),1.83−1.21(m,10H)。MS(ES) m/z:395[M+H]
【0138】
工程5:メチル 12−シクロヘキシル−5−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2−d][1,4]ベンゾジアゼピン−10−カルボキシラート
DMF中のメチル 12−シクロヘキシル−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2−d][1,4]ベンゾジアゼピン−10−カルボキシラート(工程4から)の溶液(0.1M)を、水素化ナトリウム(1.5当量鉱油中60%懸濁液)によって0℃で処理し、次いで室温で30分間撹拌した。2−クロロ−N,N−ジメチルエチルアミン(2.0当量)を添加し、この溶液を45℃で2時間撹拌した。RTまで冷却した後、懸濁液をEtOAcで希釈し、水及び食塩水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を真空中で蒸発させて、標題化合物を固体として得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d,300K,δ)8.14(s,1H),7.74−7.45(m,4H),5.04−5.01(d,J12,1H),4.43−4.40(d,J12,1H),4.18−4.15(m,1H),3.83(s,3H),3.65−3.61(m,1H),2.90−2.82(m,1H),2.15−2.06(m,2H),1.81−1.23(m,10H)。MS(ES) m/z:466[M+H]
【0139】
工程6:12−シクロヘキシル−5−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2−d][1,4]ベンゾジアゼピン−10−カルボン酸
メチル 12−シクロヘキシル−5−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2−d][1,4]ベンゾジアゼピン−10−カルボキシラートの製造(工程5参照)に於いて、1回の実験に於いて、メチルエステルの部分的加水分解が観察され、標題化合物を、自動化RP−MS−HPLC精製(カラム:ウォーターズシンメトリー(Waters Symmetry)(登録商標)C18、7μM;溶媒:A:水+0.1%トリフルオロ酢酸;B:MeCN+0.1%トリフルオロ酢酸;A中30%B2分間アイソクラチック、14分内に直線的にB中80%Aに)の後に得た。生成物を、凍結乾燥の後に無色固体(7%)として得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d,300K,δ)9.41(bs,1H),8.05(s,1H),7.68−7.49(m,4H),5.10−5.06(d,J16,1H),4.48−4.44(d,J16,1H),4.32−4.26(m,1H),4.02−3.98(m,1H),3.1(m,2H),2.91−2.79(m,1H),2.65(s,6H),2.10−1.23(m,10H)。MS(ES) m/z:452[M+H]
【実施例8】
【0140】
12−シクロヘキシル−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2−d][1,4]ベンゾジアゼピン−10−カルボン酸
メチル 12−シクロヘキシル−5−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2−d][1,4]ベンゾジアゼピン−10−カルボキシラートの製造(実施例7、工程5参照)に於いて、メチルエステルの部分的加水分解が一度観察され、標題化合物を、自動化RP−MS−HPLC精製(カラム:ウォーターズシンメトリー(登録商標)C18、7μm;溶媒:A:水+0.1%トリフルオロ酢酸;B:MeCN+0.1%トリフルオロ酢酸;A中30%B2分間アイソクラチック、14分内に直線的にB中80%Aに)の後に得た。生成物を、凍結乾燥の後に無色固体(38%)として得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d,300K,δ)12.81(bs,1H),10.29(s,1H),8.03(s,1H),7.51−7.24(m,4H),4.95(m,1H),4.54(m,1H),2.78−2.72(m,1H),2.12−1.23(m,10H)。MS(ES) m/z:381[M+H]
【実施例9】
【0141】
12−シクロヘキシル−5−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−6,7−ジヒドロ−5H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2−d][1,4]ベンゾジアゼピン−10−カルボン酸
工程1:メチル 12−シクロヘキシル−5−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−6,7−ジヒドロ−5H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2−d][1,4]ベンゾジアゼピン−10−カルボキシラート
THF中のメチル 12−シクロヘキシル−5−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−6−オキソ−6,7−ジヒドロ−5H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2−d][1,4]ベンゾジアゼピン−10−カルボキシラート(実施例7、工程5から)の溶液(0.1M)を、ボラン−ジメチルスルフィド錯体(THF中の2M溶液、20当量)によって処理した。この混合物を室温で2時間撹拌し、次いでメタノール中のHClによって処理し(1.25M)、75℃で30分間撹拌した。溶媒を真空中で除去し、残渣をEtOAcの中に溶解し、飽和NaHCO溶液及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空中で濃縮して、標題化合物を固体として得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d,300K,δ)7.99(s,1H),7.40−7.36(t,J8,1H),7.29−7.27(d,J8,1H),7.23−7.21(d,J8,1H),7.14−7.10(t,J8,1H),4.17(m,2H),3.82(s,3H),3.43−3.39(m,2H),3.20−3.17(m,2H),2.70−2.67(m,1H),2.32−2.23(m,2H),2.01(s,6H),1.81−1.23(m,10H)。MS(ES) m/z:452[M+H]
【0142】
工程2:12−シクロヘキシル−5−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−6,7−ジヒドロ−5H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2−d][1,4]ベンゾジアゼピン−10−カルボン酸
ジオキサン中のメチル 12−シクロヘキシル−5−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−6,7−ジヒドロ−5H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2−d][1,4]ベンゾジアゼピン−10−カルボキシラート(工程1から)の溶液(0.05M)を、1N KOH溶液(5当量)によって処理した。この混合物を、60℃で2時間撹拌し、次いで1N塩酸によって処理した。溶媒を真空中で除去し、残渣を、RP−HPLC(カラム:ウォーターズXテラ(登録商標)プレプMS C18、5μm;溶媒:A:水+0.1%トリフルオロ酢酸;B:MeCN+0.1%トリフルオロ酢酸;A中10%B1分間アイソクラチック、4分内に直線的にB中50%Aに、1分内に直線的にB中40%Aに、B中40%A1分間アイソクラチック、1分内に直線的にB中30%Aに)によって精製して、標題化合物(2工程に亘って59%)を、凍結乾燥後に固体として得た。H−NMR(400MHz DMSO−d,300K δ)9.12(bs,1H),7.93(s,1H),7.48−7.23(m,4H),4.18(m,2H),3.46(m,4H),3.13(m,2H),2.67(m,1H),1.78−1.27(m,10H)。MS(ES) m/z:438[M+H]
【実施例10】
【0143】
(2E)−3−(4−{[(1−{[(13−シクロヘキシル−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−イル)カルボニル]アミノ}シクロペンチル)カルボニル]アミノ}フェニル)アクリル酸
工程1:エチル (2E)−3−{4−[({1−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]シクロペンチル}カルボニル)アミノ]フェニル}アクリラート
DMF中のエチル 4−アミノシンナマート(1当量)及びN−tert−ブチルオキシカルボニル−1−アミノシクロペンタンカルボン酸(1当量)の溶液(0.2M)を、HATU(1当量)続いてDIPEA(2当量)によって処理した。この混合物を、50℃に一晩加熱し、次いで全ての溶媒を真空中で蒸発させた。残留物質をEtOAc中に溶解し、この溶液を、1N HCl水溶液、飽和NaHCO水溶液及び食塩水で、逐次的に抽出した。有機相をNaSOで乾燥し、次いでPEによって処理した。沈殿した赤色油を分離し、廃棄した。残留した溶液を真空中で蒸発させた。残留物質をDCM中に溶解し、PEを添加した。次いでこの混合物を、結晶化が観察されるまで、真空中でゆっくり蒸発させた。一晩放置した後、沈殿を集め、PEで洗浄し、乾燥した。ピンク色を帯びた白色固体を得た(18%)。H−NMR(400MHz DMSO−d,300K,δ)9.45(s,1H),7.67−7.55(m,5H),6.78(bs,1H),6.48−6.44(d,J16,1H),4.21−4.18(m,2H),2.16−2.14(m,2H),1.88−1.86(m,2H),1.68−1.65(m,4H),1.35(s,9H),1.29−1.25(m,2H)。
【0144】
工程2:1−[({4−[(1E)−3−エトキシ−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]フェニル}アミノ)カルボニル]シクロペンタンアミニウムクロリド
エチル (2E)−3−{4−[({1−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]シクロペンチル}カルボニル)アミノ]フェニル}アクリラート(工程1から)を、CHCl中に溶解し(0.5M)、ジエチルエーテル中の塩化水素の過剰を添加した(2.0M)。この溶液を、室温で一晩撹拌した。生成した沈殿を濾別し、真空中で乾燥した。無色の固体が得られ(99%)、これを更に特徴づけすることなく使用した。
【0145】
工程3:(2E)−3−(4−{[(1−{[(13−シクロヘキシル−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−イル)カルボニル]アミノ}シクロペンチル)カルボニル]アミノ}フェニル)アクリル酸
無水DMF中の、13−シクロヘキシル−6−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸(1当量、実施例3から)、1−[({4−[(1E)−3−エトキシ−3−オキソプロプ−1−エン−1−イル]フェニル}アミノ)カルボニル]シクロペンタンアミニウムクロリド(1.3当量)及びDIPEA(4当量)の溶液(0.025M)を、HATU(1.3当量)によって処理し、40℃で一晩撹拌した。次いで、この反応混合物をEtOAcで希釈し、HCl水溶液(1M溶液)、NaHCO水溶液(飽和溶液)及び食塩水で洗浄した。上記の化合物(1当量)を、THF/MeOH/HO(4:1:1、0.025M)中に溶解し、LiOH・HO(2当量)によって、室温で3時間処理した。酸性にした(1N HCl)反応混合物を、RP−HPLC(条件:カラム:ウォーターズXテラMS C18、10ミクロン、19×150mm;流量:20ml/min;勾配:A:HO+0.1%TFA;B:MeCN+0.1%TFA;75%A3分間アイソクラチック、12分内に直線的に20%Aに)によって精製して、凍結乾燥後に、標題化合物(0.16eq)を無色粉末として得た。H−NMR(400MHz,DMSO,300K,δ)12.36(bs,1H),10.02(bs,1H),9.68(s,1H),8.31(s,1H),8.06(s,1H),7.92−7.47(m,9H),6.40(d,J15.8,1H),4.47−4.39(m,2H),4.02−3.15(m,4H,HOシグナルによって部分的に不明瞭),3.07(s,3H),2.50(m,1H,DMFシグナルによって不明瞭),2.38−1.05(m,18H);MS(ES)m/z651(M)
【実施例11】
【0146】
12−シクロヘキシル−5−(2−ピロリジン−1−イルエトキシ)−6,7−ジヒドロ−5H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2]ベンゾアゼピン−10−カルボン酸及び12−シクロヘキシル−6−(2−ピロリジン−1−イルエトキシ)−6,7−ジヒドロ−5H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2]ベンゾアゼピン−10−カルボン酸の製造
工程1:メチル 6−シクロヘキシル−5−(2−ビニルフェニル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート
メチル 5−ブロモ−6−シクロヘキシル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート(実施例7、工程1に記載したようにして製造した)及び(2−ビニルフェニル)ボロン酸(1.5当量)を、ジオキサン中に溶解し(0.06M)、2M NaCO水溶液(6当量)を添加した。アルゴンをバブリングすることによってこの溶液を脱気し、Pd(PPhCl(0.2当量)を添加し、この反応混合物を110℃に予熱した油浴中に入れ、1時間撹拌し、全ての揮発物質を除去した後、標題化合物をクロマトグラフィー(PE/EtOAc、10:1)によって単離した。収率:71%。H−NMR(400MHz,CDCl,300K,δ)8.16(bs,1H),7.69(d,1H,J7.9),7.68(s,1H),7.45−7.35(m,3H),6.67(dd,1H,J17.5,11.0),5.74(d,1H,J17.5),5.25(d,1H,J11.0),3.91(s,3H),2.45−2.47(m,1H),1.81−1.23(m,10H);MS(ES)m/z366(M+H)
【0147】
工程2:メチル 4−アリル−6−シクロヘキシル−5−(2−ビニルフェニル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート
乾燥DMF中のメチル 6−シクロヘキシル−5−(2−ビニルフェニル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラートの0.1M溶液に、鉱油中の60%NaH(1.2当量)を添加し、ガス発生が停止したとき、臭化アリル(1.3当量)を添加し、この懸濁液を室温で1時間撹拌した。全ての揮発物質を蒸発させた後、標題化合物をクロマトグラフィー(PE/EtO、20:1)によって単離した。収率:98%。H−NMR(400MHz,CDCl,300K,δ)7.73(d,1H,J7.6),7.70(s,1H),7.47(t,1H,J7.6),7.36(t,1H,J7.6),7.25(d,1H,J7.6),6.48(dd,1H,J17.8,11.4),5.72(d,1H,J17.8),5.80−5.69(m,1H),5.20(d,1H,J11.4),5.09(dd,1H,J10.3,1.1),4.97(dd,1H,J17.1,1.1),4.36(dd,1H,J16.2,5.6),4.23(dd,1H,J16.2,5.6),3.92(s,3H),2.35−2.24(m,1H),1.75−1.16(m,10H)。
【0148】
工程3:メチル 12−シクロヘキシル−7H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2]ベンゾアゼピン−10−カルボキシラート
メチル 4−アリル−6−シクロヘキシル−5−(2−ビニルフェニル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラートを、DCM中に溶解し(0.02M)、ザン(Zhan)触媒(ジクロロ(5−クロロ−2−イソプロポキシベンジリデン)(1,3−ジメシチル−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾール−2−イリデン)ルテニウム;RC−301;0.3当量)によって、35℃で2時間処理した。溶媒を除去した後、残渣をクロマトグラフィー(PE/EtOAc、14:1)によって精製して、標題化合物を83%収率で得た。H−NMR(400MHz,CDCl,300K,δ)7.74(s,1H),7.57−7.56(m,1H),7.45−7.35(m,3H),6.82(d,1H,J10.4),6.30−6.25(m,1H),4.47(bs,2Hs),3.93(s,3H),2.83−2.76(m,1H),1.85.−1.29(m,10H);MS(ES)m/z378(M+H)
【0149】
工程4:12−シクロヘキシル−5−(2−ピロリジン−1−イルエトキシ)−6,7−ジヒドロ−5H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2]ベンゾアゼピン−10−カルボン酸及び12−シクロヘキシル−6−(2−ピロリジン−1−イルエトキシ)−6,7−ジヒドロ−5H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2]ベンゾアゼピン−10−カルボン酸
ボランジメチルスルフィド錯体(1.6当量、THF中2M溶液)を、THF中のメチル 12−シクロヘキシル−7H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2]ベンゾアゼピン−10−カルボキシラートの0.1M溶液に添加し、この混合物を室温で3時間撹拌し、3M NaOH水溶液(3当量)及び35%H(3.5当量)を0℃で添加し、撹拌を室温で一晩続けた。飽和NaHCOで希釈した後、水性相をEtOAcで抽出し、有機相を水及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮して、メチル 12−シクロヘキシル−5−ヒドロキシ−6,7−ジヒドロ−5H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2]ベンゾアゼピン−10−カルボキシラート及びメチル 12−シクロヘキシル−6−ヒドロキシ−6,7−ジヒドロ−5H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2]ベンゾアゼピン−10−カルボキシラートの4:1混合物を得た。上記の粗製物質を、トルエン中に溶解し(0.05M)、40%NaOH水溶液(15当量)及びテトラブチルアンモニウムブロミド(0.25当量)を添加し、この混合物を30分間攪拌した。1−(2−クロロエチル)ピロリジン塩酸塩(3当量)を添加し、得られた混合物を、70℃で2日間加熱し、更に40%NaOH水溶液5当量を2回添加し、乾固まで蒸発させて残渣を得、これから、RP−HPLCによって2種の位置異性体を分離した(一緒にした全体収率26%)。
【0150】
12−シクロヘキシル−5−(2−ピロリジン−1−イルエトキシ)−6,7−ジヒドロ−5H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2]ベンゾアゼピン−10−カルボン酸(多量):H−NMR(400MHz,DMSO−d,300K,δ)9.45,(bs,1H),7.87(s,1H),7.57−7.44(m,4H),4.40−1.22(m,28H);MS(ES)m/z479(M+H)
【0151】
12−シクロヘキシル−6−(2−ピロリジン−1−イルエトキシ)−6,7−ジヒドロ−5H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2]ベンゾアゼピン−10−カルボン酸(少量):H−NMR(400MHz,DMSO−d,300K,水シグナルによって不鮮明になった幾つかのシグナル,δ)7.95(s,1H),7.46−7.35(m,4H),6.56−6.53(m,1H),4.61−4.58(m,1H),4.15−4.06(m,1H),3.93−3.55(m,3H),3.16−3.01(m,2H),2.74−2.67(m,1H),2.21−1.50(m,10H),1.38−1.04(m,3H);MS(ES)m/z479(M+H)
【0152】
工程5:(+)−12−シクロヘキシル−5−(2−ピロリジン−1−イルエトキシ)−6,7−ジヒドロ−5H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2]ベンゾアゼピン−10−カルボン酸及び(−)−12−シクロヘキシル−5−(2−ピロリジン−1−イルエトキシ)−6,7−ジヒドロ−5H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2]ベンゾアゼピン−10−カルボン酸
12−シクロヘキシル−5−(2−ピロリジン−1−イルエトキシ)−6,7−ジヒドロ−5H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2]ベンゾアゼピン−10−カルボン酸を、キラルHPLC(キラルパック(Chiralpak)AD、ヘキサン中0.2%TFA/EtOH+3%MeOH中0.2%TFA、9:1)に付した。エナンチオマーを含有する画分を、真空中で別個に蒸発させて、2種の標題化合物を得た。(+)−エナンチオマー:92%ee;(−)−エナンチオマー:95%ee。
【実施例12】
【0153】
12−シクロヘキシル−5−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−f]チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2−d][1,4]ジアゾシン−10−カルボン酸の製造
工程1:メチル 6−シクロヘキシル−5−(3−ホルミル−2−チエニル)−4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート
メチル 5−ブロモ−6−シクロヘキシル−4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート(ブロモ酢酸tert−ブチルをブロモ酢酸メチルで置き換えて、実施例7、工程2と同様にして製造した)及び(3−ホルミル−2−チエニル)ボロン酸(1.2当量)を、ジオキサン中に溶解し(0.1M)、噴霧乾燥したKF(3.3当量)によって処理した。アルゴンをバブリングすることによってこの溶液を脱気し、Pd(t−BuP)(0.24当量)を添加し、この反応混合物を一晩撹拌し、次いでこの混合物をシリカゲル上に吸収させ、標題化合物をクロマトグラフィー(PE/EtOAc、9:1)によって単離した。収率:65%。H−NMR(400MHz,CDCl,300K,δ)9.62(s,1H),7.63(s,1H),7.61(d,1H,J5.5),7.50(d,1H,J5.5),4.62(s,2H),3.91(s,3H),3.67(s,3H),2.46−2.37(m,1H),1.80−0.80(m,10H);MS(ES)m/z446(M+H)
【0154】
工程2:12−シクロヘキシル−5−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−f]チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2−d][1,4]ジアゾシン−10−カルボン酸
メチル 6−シクロヘキシル−5−(3−ホルミル−2−チエニル)−4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート及びN,N−ジエチルアミノエチルアミン(10当量)を、THF中に溶解し(0.08M)、pHをAcOHによって6に調節し、溶液を4時間撹拌し、次いで全ての揮発物質を真空中で蒸発させた。残留油をMeOH中に溶解し(0.08M)、NaCNBH(4当量)を添加し、この混合物を室温で一晩撹拌して、メチル 6−シクロヘキシル−5−[3−({[2−(ジエチルアミノ)エチル]アミノ}メチル)−2−チエニル]−4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラートを得た。反応条件下で、後者を部分的に閉じて、メチル 12−シクロヘキシル−5−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−6−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−f]チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2−d][1,4]ジアゾシン−10−カルボキシラートを得た。この反応を完結まで駆動するために、NaOMeの触媒量を添加し、撹拌を40℃で4日間続けた。乾燥THF中の上記のアミドの0.05M溶液に、THF中のボラン−ジメチルスルフィド錯体(13当量)の2M溶液を添加し、この混合物を1時間撹拌し、全ての揮発物質を蒸発させた後、(メチル 12−シクロヘキシル−5−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[2,3−f]チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2−d][1,4]ジアゾシン−10−カルボキシラート)を含有する残渣を、MeOH(0.03M)及び水中に懸濁させた。pHを、LiOHによって9に調節した。この溶液を室温で撹拌した。次いで、1N KOH溶液の過剰を添加し、この混合物を50℃に加温し、2時間撹拌し、標題化合物(24%)を分取RP−HPLCによって単離した。H−NMR(400MHz,DMSO−d,330K,δ)7.67(d,1H,J5.1),7.18(d,1H,J5.1),3.15−3.12(m,2H),3.09−3.05(m,5H),2.87−2.81(m,2H),1.79−1.63(m,8H),1.30−1.10(m,14H);MS(ES)m/z486(M+H)
【実施例13】
【0155】
13−シクロヘキシル−6−[(3S)−1−イソプロピルピロリジン−3−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸の製造
工程1:メチル 6−シクロヘキシル−5−(2−ホルミルフェニル)−4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート
メチル 5−ブロモ−6−シクロヘキシル−4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート(ブロモ酢酸tert−ブチルをブロモ酢酸メチルで置き換えて、実施例7、工程2と同様にして製造した)、2−ホルミルベンゼンボロン酸(1.3当量)、KF(3.2当量)及びPd(t−BuP)(0.2当量)を、ジオキサン中で混合した(0.1M)。この混合物を脱気し、窒素でフラッシュし、室温で5時間撹拌した。次いで、全ての揮発物質を真空中で蒸発させ、残留物質をクロマトグラフィー(PE:EtOAc、9:1)によって単離した。生成物が黄色を帯びた固体(80%)として得られた。MS(ES)m/z440(M+H)
【0156】
工程2:メチル 6−シクロヘキシル−5−[2−({[(3S)−1−イソプロピルピロリジン−3−イル]アミノ}メチル)フェニル]−4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート
メチル 6−シクロヘキシル−5−(2−ホルミルフェニル)−4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラートを、MeOH中に溶解し(0.05M)、MeOH中の(3S)−1−イソプロピルピロリジン−3−アミン二塩酸塩(1.2当量;商業的(S)−3−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)ピロリジンから、アセトンでの還元的アミノ化及び保護基の酸性開裂の2工程で製造した)を添加した。このpHを、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム及びNEtによって5に調節した。この混合物を2時間撹拌し、次いでNaCNBH(2当量)を添加し、撹拌を3時間続けた。全ての揮発物質を真空中で蒸発させ、残留物質をクロマトグラフィー(EtOAc+1%NEt、次いでEtOAc+1%NEt+10%MeOH)によって精製した。溶媒を蒸発させた後、ガラス状固体が得られた(84%)。H−NMR(400MHz,CDCl,300K,δ)7.62(s,1H),7.55(dd 1H,J 7.23,J 2.85),7.45(dt,1H,J 7.45,J 0.87),7.33(t,1H,J7.46),7.21(d,1H,J7.45),4.48(2d,2H,J3.95,J2.85),3.90(s,3H),3.67(s,3H),3.53−3.51(m,2H),3.20−3.18(m,1H),2.80−2.76(m,1H),2.57−2.52(m,2H),2.30−2.19(m,2H),2.13−1.10(m,14H),1.05−1.01(m,6H);MS(ES) m/z552(M+H)
【0157】
工程3:13−シクロヘキシル−6−[(3S)−1−イソプロピルピロリジン−3−イル]−5,6,7,8−テトラヒドロチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸
メチル 6−シクロヘキシル−5−[2−({[(3S)−1−イソプロピルピロリジン−3−イル]アミノ}メチル)フェニル]−4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラートをMeOH/THF/水中に溶解し、この溶液に、LiOH一水和物(1.04当量)を添加した。この混合物を室温で5時間撹拌した。全ての揮発物質を真空中で蒸発させ、残留物質を真空中で乾燥した。この粗製物質をDMF中に再溶解し、HATU(1.2当量)及びDIPEA(3.6当量)を添加し、この混合物を一晩撹拌した。全ての揮発物質を真空中で蒸発させ、残留物質を、シリカゲルに通してEtOAc/PE+1%NEtと共に濾過した。溶媒を蒸発させた後、粗製生成物をTHF中に溶解し、THF中の2Mボラン−ジメチルスルフィド錯体(20当量)を添加した。1時間後に、全ての揮発物質を真空中で蒸発させ、残留物質をMeOH中の1.25M HClの過剰中に溶解した。この溶液を70℃に加温し、乾固までゆっくり蒸発させた。この粗製残渣をジオキサン中に溶解し、1N KOH水溶液の過剰を添加した。この混合物を一晩撹拌し、次いで50℃に2時間加温した。次いで、生成物を、分取RP−HPLCによって単離した。生成物画分の凍結乾燥後に、無色固体が得られた(42%)。H−NMR(400MHz,DMSO−d,330K,アトロプ異性体の混合物,δ)7.90−7.88(2s,1H); 7.53−7.47(m,3H),7.39−7.37(2s,1H),4.59−4.48(m,1H),3.91−3.42(m,5H),3.30−3.18(m,1H),3.10−2.67(m,2H),2.60−2.51(m,3H),2.33−2.15(m,2H),2.03−2.00(m,1H),1.85−1.82(m,1H),1.74−1.65(m,3H),1.59−1.43(m,2H),1.36−1.10(m,10H);MS(ES)m/z492(M+H);[α]20−4.8°(c=1.0 in MeCN)。
【実施例14】
【0158】
6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−13−(2−フルオロシクロヘキシル)−5,6,7,8−テトラヒドロチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸の製造
工程1:メチル 5−メチル−4−ニトロチオフェン−2−カルボキシラート
発煙硝酸(3当量)を、AcO(5当量)に−20℃で滴下により添加し、次いで5−メチル−2−チオフェンカルボン酸(1当量)を少しずつ添加し、この混合物を氷浴中に入れた。0℃で1.5時間撹拌した後、この反応混合物を氷の中に注ぎ、氷が溶けたとき、沈殿を濾別した(66%)。MeOH中の後者の1M溶液に、濃HSO(1.4当量)を室温で添加した。この混合物を、還流で一晩撹拌した。全ての揮発物質を真空中で蒸発させ、次いで残留物質を水と混合し、得られた溶液を、EtOAcで抽出した。有機層を飽和NaHCO及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した(98%)。H−NMR(400MHz,CDCl,300K,δ)8.21(1H,s),3.93(s,3H),2.85(s,3H)。
【0159】
工程2:メチル 5−[(E)−2−(ジメチルアミノ)エテニル]−4−ニトロチオフェン−2−カルボキシラート
乾燥DMF中のメチル 5−メチル−4−ニトロチオフェン−2−カルボキシラートの0.3M溶液を、N,N−ジメチルホルムアミドジメトキシアセタール(10当量)によって110℃で一晩処理した。乾固まで蒸発させることによって、残渣を得、これをそのまま使用した。H−NMR(300MHz,CDCl,300K,δ)8.32(s,1H),7.53(d,1H,J13.4),6.77(d,1H,J13.4),4.08(s,3H),3.29(s,6H);MS(ES)m/z257(M+H)
【0160】
工程3:メチル 4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート
10%Pd/C(0.4当量)及びギ酸アンモニウム(6当量)を、MeOH/EtOAc1:1中のメチル 5−[(E)−2−(ジメチルアミノ)エテニル]−4−ニトロチオフェン−2−カルボキシラートの0.1M溶液に添加し、この混合物を還流まで30分間加熱し、RTに冷却した後、フラスコを窒素で数回フラッシュし、次いで反応混合物を濾過し、溶液を真空中で蒸発させた。残渣をEtOAc中に溶解し、水及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、真空中で濃縮した。この粗製生成物(2工程に亘って50%)をそのまま使用した。H−NMR(400MHz,CDCl,300K,δ)8.44(bs,1H),7.72(s,1H),7.21(bs,1H),6.50(bs,1H),3.91(s,3H);MS(ES)m/z182(M+H)
【0161】
工程4:メチル 6−シクロヘキス−1−エン−1−イル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート
NaOMe(3当量)及びシクロヘキサノン(3当量)を、MeOH中のメチル 4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラートの0.2M溶液に、室温で添加し、この混合物を2日間還流させた(それぞれの試薬の1追加当量を2回添加した)。この反応混合物を半分の体積にまで濃縮し、氷を含む6N HClの中に注ぎ、標題化合物及び対応するカルボン酸の混合物を、濾過によって得た。ヘキサン中の2M TMS−ジアゾメタンを、トルエン:MeOH 6:1中の上記の沈殿の0.15M懸濁液に、室温でゆっくり添加し、水浴を使用して、反応混合物の過剰の加温を防止した。10分後に乾固までの蒸発によって、標題化合物を得、これを幾らかのEtOを含有するPE中での沈殿によって精製した。収率:(82%)。1H−NMR(300MHz,CDCl,300K,δ)8.28(bs,1H),7.69(s,1H),7.14(bs,1H),6.03(bs,1H),3.90(s,3H),2.41(bs,2H),2.27(bs,2H),1.84−1.76(m,2H),1.73−1.65(m,2H);MS(ES)m/z262(M+H)
【0162】
工程5:メチル 6−(2−ヒドロキシシクロヘキシル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート
ボランジメチルスルフィド錯体(1.5当量)のTHF中の2M溶液を、乾燥THF中のメチル 6−シクロヘキス−1−エン−1−イル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラートの0.1M溶液に、0℃で添加し、この混合物を室温で7時間撹拌した。0℃に冷却した後、この混合物を3M NaOH水溶液(3当量)及び35%過酸化水素(4当量)によって処理した。この混合物を、RTに一晩加温した。NaHCO水溶液を添加し、この混合物をEtOAcで抽出し、有機層を水及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。クロマトグラフィー(PE/EtOAc)によって、標題化合物(56%)を得た。H−NMR(300MHz,CDCl,300K,δ)8.30(bs,1H),7.68(s,1H),7.08(d,1H,J2.0),3.89(s,3H),3.70−3.65(m,1H),2.58−2.49(m,1H),2.16−2.12(m,1H),1.98−1.65(m,4H),1.47−1.23(m,3H);MS(ES)m/z280(M+H)
【0163】
工程6:メチル 6−(2−フルオロシクロヘキシル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート
ジエチルアミノ硫黄トリフルオリド(1.2当量)を、−60℃で、乾燥EtOAc中の、メチル 6−(2−ヒドロキシシクロヘキシル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラートの0.1M溶液に添加し、この混合物をこの温度で1時間撹拌し、次いでRTまでゆっくり加温した。NaHCO水溶液を添加し、この混合物をEtOAcで抽出し、有機層を水及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。クロマトグラフィー(PE/EtOAc)によって、標題化合物(73%)を得た。H−NMR(300MHz,CDCl,300K,δ)8.31(bs,1H),7.67(s,1H),7.06(s,1H),4.53(dtd,1H,J48.6,10.1,4.5),3.88(s,3H),2.88−2.77(m,1H),2.41−1.17(m,8H);MS(ES)m/z282(M+H)
【0164】
工程7:メチル 6−(2−フルオロシクロヘキシル)−4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート
鉱油中の60%NaH(2当量)を、室温で、乾燥DMF中の、メチル 6−(2−フルオロシクロヘキシル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラートの0.25M溶液に添加し、数分間後に、ブロモ酢酸メチル(3当量)を添加し、この混合物を60℃で1時間撹拌し、室温で一晩放置した。EtOAcによって希釈した後、有機層を、1N HCl、NaHCO飽和水溶液及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。クロマトグラフィー(PE/EtOAc)によって、標題化合物(53%)を得た。H−NMR(400MHz,CDCl,300K,δ)7.60(s,1H),6.92(s,1H),4.74(s,2H),4.50(dtd,1H,J48.9,10.3,4.5),3.88(s,3H),3.77(s,3H),2.85−2.76(m,1H),2.25−2.11(m,2H),1.90−1.74(m,2H),1.68−1.54(m,2H),1.44−1.33(m,2H);MS(ES)m/z354(M+H)
【0165】
工程8:メチル 5−ブロモ−6−(2−フルオロシクロヘキシル)−4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート
N−ブロモスクシンイミド(1.5当量)を、0℃で、乾燥DCM中の、メチル 6−(2−フルオロシクロヘキシル)−4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラートの0.1M溶液に添加し、この混合物を1時間撹拌した。EtOAcによって希釈した後、有機層をNa水溶液及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、真空中で濃縮した。収率:100%。H−NMR(300MHz,CDCl,300K,δ)7.58(s,1H),4.88(d,1H,J17.9),4.79(d,1H,J17.9),4.64(dtd,1H,J49.3,10.6,4.4),3.88(s,3H),3.78(s,3H),2.94−2.83(m,1H),2.28−2.24(m,1H),1.99−1.33(m,7H);MS(ES)m/z432,434(M+H)
【0166】
工程9:メチル 6−(2−フルオロシクロヘキシル)−5−(2−ホルミルフェニル)−4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート
ジオキサン中のメチル 5−ブロモ−6−(2−フルオロシクロヘキシル)−4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラートの溶液(0.1M)を、(2−ホルミルフェニル)ボロン酸(1.5当量)によって処理し、NaCO水溶液(2N、8.5当量)を添加し、この溶液を脱気し、次いで、Pd(PPh(0.1当量)によって処理した。アルゴンを含むバルーンを設置し、この混合物を115℃に予熱した油浴中に入れ、30分間撹拌し、次いで冷却し、EtOAc及び食塩水で希釈した。有機相を分離し、1N HCl及び食塩水で洗浄し、乾燥し、濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(PE/EtOAc)によって精製して、標題化合物(56%)を得た。幾らかの出発物質(21%)が回収された。H−NMR(400MHz,CDCl,300K,δ)9.78&9.85(bs,1H.),8.06(dd,1H,J7.7,1.3),7.67(s,1H),7.73−7.60(m,2H),7.44(bd,1H,J7.5),4.50&4.55(d,1H,J17.8&17.6),4.44&4.48(d,1H,J17.8&17.6),4.73−4.49(m,1H),3.91(s,3H),3.62&3.63(s,3H),2.42−2.34(m,1H),2.18−2.12(m,1H),1.83−1.07(m,7H);MS(ES)m/z458(M+H)
2種の異なった配座異性体を指す。
【0167】
工程10:6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−13−(2−フルオロシクロヘキシル)−5,6,7,8−テトラヒドロチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボン酸
MeOH中の、メチル 6−(2−フルオロシクロヘキシル)−5−(2−ホルミルフェニル)−4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート及びジメチルエチレンジアミン(1.5当量)の溶液(0.1M)を、室温で3時間撹拌し、次いでNaCNBH(過剰)を添加し、この混合物を3日間攪拌し、乾固まで蒸発させて残渣を得、これをEtOAcの中に入れ、NaHCO飽和溶液及び食塩水で洗浄し、乾燥し、真空中で濃縮して、メチル 6−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−13−[(1R,2S)−2−フルオロシクロヘキシル]−7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロチエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[2,1−a][2,5]ベンゾジアゾシン−11−カルボキシラートを得、これを更に精製することなく使用した。後者を、乾燥THF中に溶解し(0.1M)、THF中の2Mボランジメチルスルフィド錯体(過剰)によって処理し、この混合物を室温で一晩撹拌した。MeOH中の1.25M HClを滴下により添加し、フラスコを開き、この混合物を85℃で3時間撹拌した。乾固まで蒸発させて残渣を得、これを、ジオキサン中の1M KOH水溶液(3当量)によって加水分解し(85℃、2時間)、6M HCl水溶液でクエンチし、全ての揮発物質を除去した後、標題化合物をRP−HPLCによって単離した。収率:60%。H−NMR(400MHz,DMSO−d,300K,δ)8.04(d,1H,J2.2)7.85−7.46(m,4H),4.74−4.69(m,1H),4.86−4.45(m,1H),4.40(bt,1H,J12.5),3.74−3.42(m,8H),2.88(s,3H),2.87(s,3H),2.74−2.61(m,1H),2.26−1.03(m,8H);MS(ES)m/z470(M+H)
【実施例15】
【0168】
(7R)−13−シクロヘキシル−7−(ジメチルアミノ)−10−メチル−7,8−ジヒドロ−6H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2−e][1,5]ベンゾオキサゾシン−11−カルボン酸の製造
工程1:メチル 5−ブロモ−6−シクロヘキシル−4−(メトキシメチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート
メチル 5−ブロモ−6−シクロヘキシル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート(実施例7、工程1に於けるようにして製造した)を、DMF中に溶解し、水素化ナトリウム(1.4当量)を添加した。この混合物を、ガスの発生が停止するまで、室温で攪拌し、次いでクロロメチルメチルエーテル(過剰)を添加し、撹拌を続けた。5時間後に、全ての揮発物質を真空中で蒸発させ、残留物質をシリカゲル(PE:EtO、12:1)に通して濾過した。生成物が、無色固体(66%)として得られた。H−NMR(400MHz,CDCl,300K,δ):7.73(s,1H),5.41(s,2H),3.90(s,3H),3.32(s,3H),2.73−2.67(m,1H),1.90−1.76(m,5H),1.65−1.58(m,2H),1.47−1.29(m,3H)。
【0169】
工程2:メチル 5−[2−(ベンジルオキシ)フェニル]−6−シクロヘキシル−3−ホルミル−4−(メトキシメチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート
メチル 5−ブロモ−6−シクロヘキシル−4−(メトキシメチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート、2−ベンジルオキシフェニルボロン酸(1.8当量)及びPd(PPhCl(0.3当量)を、ジオキサン中に溶解した(0.09M)。2M NaCO溶液(8.5当量)を添加し、脱気した後、混合物を110℃に5時間加熱した。全ての揮発物質を真空中で蒸発させ、残留物質をクロマトグラフィー(PE:EtOAc、4:1)に付した。生成物画分を蒸発させ、得られた粘着性の固体を、MeOH/THF(1:1、0.15M)中に溶解し、1M KOH溶液(過剰)を添加した。この混合物を40℃で3日間撹拌した。全ての揮発物質を真空中で蒸発させ、残留物質を水中に溶解した。この溶液を、1N HCl水溶液によって酸性にした。得られた懸濁液を、DCMで抽出した。有機相を食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥した。全ての揮発物質を蒸発させ、残留固体をTHF中に溶解した(0.2M)。この溶液を、−78℃で、THF中のTMEDA(5当量)及び1.6M n−ブチルリチウム(5当量)の混合物に添加し、続いてDMFの過剰を添加した。−78℃で30分間撹拌した後、NHCl飽和水溶液の過剰を添加し、この混合物を−78℃で90分間放置した。次いで、この混合物を、0.2N HCl水溶液の過剰の中に移した。この混合物をDCMで抽出し、有機相を食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、全ての揮発物質を真空中で蒸発させた。残留物質をDMF中に溶解し(0.5M)、KCOの過剰を添加し、続いてヨウ化メチルの過剰を添加した。この混合物を一晩撹拌し、次いで全ての揮発物質を蒸発させた。残留物質をクロマトグラフィー(PE:EtOAc、8.5:1.5)によって精製して、黄色固体(28%)を得た。MS(ES)m/z518(M+H)
【0170】
工程3:メチル 6−シクロヘキシル−5−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(メトキシメチル)−3−メチル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート
メチル 5−[2−(ベンジルオキシ)フェニル]−6−シクロヘキシル−3−ホルミル−4−(メトキシメチル)−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラートを、EtOAc中に溶解し、この溶液を脱気した。Pd/Cを添加し、再び脱気した後、水素雰囲気(60psi)を適用した。2日間水素化した後、触媒を濾別し、全ての揮発物質を真空中で蒸発させた。灰白色固体が得られた(89%)。MS(ES)m/z414(M+H)
【0171】
工程4:メチル 5−{2−[((2R)−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−3−ヒドロキシプロピル)オキシ]フェニル}−6−シクロヘキシル−3−メチル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート
メチル 6−シクロヘキシル−5−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(メトキシメチル)−3−メチル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラートを、ジオキサン中に溶解し(0.036M)、同じ体積の6N HClを添加した。この混合物を、マイクロ波照射(130℃で10分間)に付した。全ての揮発物質を蒸発させ、生成物を分取RP−HPLCによって富化させた。生成物含有画分を凍結乾燥して、緑色ガラス状固体を得た。この物質をDMF中に溶解し(0.16M)、ベンジル (4R)−2,2−ジメチル−4−({[(4−ニトロフェニル)スルホニル]オキシ}メチル)−1,3−オキサゾリジン−3−カルボキシラート(過剰、ベンジル (4S)−4−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチル−1,3−オキサゾリジン−3−カルボキシラートからのベンジル (4R)−2,2−ジメチル−4−({[(4−メチルフェニル)スルホニル]オキシ}メチル)−1,3−オキサゾリジン−3−カルボキシラートと同様にして、トシルクロリドを4−ニトロベンゼンスルホニルクロリドに置き換えて、Synthesis 1996,189に従って製造した)を添加した。この懸濁液を50℃に一晩加熱した。全ての揮発物質を真空中で蒸発させ、残留物質を分取RP−HPLCによって精製した。生成物画分を蒸発させ、残留物質をMeCN/水から凍結乾燥した。ベージュ色固体が得られ、これを乾燥MeOHに溶解し(0.2M)、MeOH中の1.25M HCl(過剰)を添加した。この溶液を室温で攪拌した。3時間後に、全ての揮発物質を蒸発させ、残留物質を、クロマトグラフィー(PE:EtOAc、6:4)による精製に付した。生成物画分を蒸発させた後、生成物が黄色粉末(31%)として得られた。MS(ES)m/z577(M+H)
【0172】
工程5:メチル 5−{2−[((2S)−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−3−ブロモプロピル)オキシ]フェニル}−6−シクロヘキシル−3−メチル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート
メチル 5−{2−[((2R)−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−3−ヒドロキシプロピル)オキシ]フェニル}−6−シクロヘキシル−3−メチル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラート及びトリフェニルホスフィン(2.27当量)を、DCM中に溶解し(0.02M)、KCO(4.31当量)を添加した。この撹拌した混合物に、CBr(2.22当量)を添加し、黄色を帯びた反応混合物を、室温で3時間撹拌した。全ての揮発物質を真空中で蒸発させ、残留物質を、クロマトグラフィー(PE:EtOAc、8.5:1.5)に付した。生成物が黄色を帯びた粘着性固体(86%)として得られた。MS(ES)m/z639,641(M+H)
【0173】
工程6:メチル (7R)−7−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−13−シクロヘキシル−10−メチル−7,8−ジヒドロ−6H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2−e][1,5]ベンゾオキサゾシン−11−カルボキシラート
メチル 5−{2−[((2S)−2−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−3−ブロモプロピル)オキシ]フェニル}−6−シクロヘキシル−3−メチル−4H−チエノ[3,2−b]ピロール−2−カルボキシラートをDMF中に溶解し(0.034M)、NaH(1.1当量、鉱油中60%)を添加した。この混合物を室温で攪拌した。30分間後に、全ての揮発物質を真空中で蒸発させた。残留物質を、クロマトグラフィー(PE:EtOAc、8.5:1.5)によって精製した。生成物が無色固体(45%)として得られた。MS(ES)m/z559(M+H)
【0174】
工程7:(7R)−13−シクロヘキシル−7−(ジメチルアミノ)−10−メチル−7,8−ジヒドロ−6H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2−e][1,5]ベンゾオキサゾシン−11−カルボン酸
メチル (7R)−7−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−13−シクロヘキシル−10−メチル−7,8−ジヒドロ−6H−チエノ[2’,3’:4,5]ピロロ[1,2−e][1,5]ベンゾオキサゾシン−11−カルボキシラートを、EtOAc/MeOHに溶解し、この溶液(0.014M)を脱気した。Pd/Cを添加し、水素雰囲気を適用した。この混合物を水素雰囲気下で4時間攪拌した。この混合物を濾過し、真空中で蒸発させた。残留物質をMeCN/水から凍結乾燥して、無色粉末を得た。この物質をDCM中に溶解し(0.05M)、pHをAcOHによって4に調節した。水中のホルムアルデヒド(16当量)の溶液を添加し、この混合物を室温で10分間撹拌した。次いで、NaCNBH(12当量)を添加し、撹拌を6時間続けた。この混合物をDCMで希釈し、NaHCO飽和水溶液で抽出した。有機相をNaSOで乾燥し、真空中で蒸発させた。この物質をMeOH中に溶解し、THFを添加した(0.02M)。この溶液に、1M KOH水溶液(過剰)を添加し、得られた混合物を40℃に一晩加温した。生成物を分取RP−HPLCによって単離した。凍結乾燥後に、生成物が無色粉末(68%)として得られた。H−NMR(TFA−塩,400MHz,DMSO−d,300K,δ):12.77(bs,1H);10.40(bs,1H),7.46−7.42(m,1H),7.23−7.09(m,3H),5.03−5.00(m,1H),4.44−4.41(m,1H),4.10−4.03(m,1H),3.82−3.58(m,2H),2.97(bs,6H)2.83(s,3H),2.67−2.52(m,1H),1.99−1.55(m,7H),1.38−1.12(m,3H);MS(ES)m/z439(M+H)
【0175】
下記の表には、更なる実施例が含まれる。
【0176】
【表1】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、Arは、少なくとも1個の芳香族環を含有する部分であり、N、O及びSから独立して選択された1個、2個又は3個のヘテロ原子を場合により含有する、5個、6個、9個又は10個の環原子を有し、この環は、基Q及びQによって場合により置換されており、
は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、CONR、(CH0−3NR、O(CH1−3NR、O(CH0−3CONR、O(CH0−3アリール、O(CH0−3ヘテロアリール、OCHRであり、
及びRは、それぞれ独立して、水素、C1−4アルキル及びC(O)C1−4アルキルから選択され又は
、R及びこれらが結合している窒素原子は、4から7個の環原子のヘテロ脂肪族環を形成し、ここで、前記環は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換されており、
及びRは、それぞれ独立して、水素及びC1−4アルコキシから選択され又は
及びRは、N、O及びSから選択されたヘテロ原子によって結合されて、4から7個の環原子のヘテロ脂肪族環を形成し、ここで、前記環は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換されており、
ここで、前記C1−4アルキル、C1−4アルコキシ及びアリール基は、ハロゲン又はヒドロキシによって場合により置換されており、
は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシであり、ここで、前記C1−4アルキル及びC1−4アルコキシ基は、ハロゲン又はヒドロキシによって場合により置換されており又は
及びQは、結合又はN、O及びSから選択されたヘテロ原子によって結合されて、4から7個の原子の環を形成することができ、ここで、前記環は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換されており、
Aは、C3−6アルキル若しくはC2−6アルケニルであり又は
Aは、3から8個の環原子の非芳香族環であり、ここで、前記環は、二重結合を含有していてよく及び/又はO、S、SO、SO若しくはNH部分を含有していてよく又は
Aは、4から8個の環原子の非芳香族二環式部分であり及び
Aは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換されており、
及びDの一方はSであり及び他方はC−(CH0−3であり、
は、水素であり、ヒドロキシ又はハロゲンによって場合により置換された、C1−6アルキル、ヒドロキシ、(CH0−31−6アルコキシ、(CH0−3NR、(CH0−3アリール又は(CH0−3アリールオキシであり、
及びRは、それぞれ独立して、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル及びC3−8シクロアルキルから選択され、
点線は、C−(CH0−3とCRとの間の結合を表し、
は、水素、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、CN、COH、CO1−4アルキル、アリール、ヘテロアリール又はC(O)NRであり、ここで、前記C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、アリール及びヘテロアリール基は、ヒドロキシ又はフッ素によって場合により置換されており、
は、水素又はC1−4アルキルであり、
は、水素、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、(CH0−3(CR0−1又はSOであり、
及びRは、独立して、ハロゲン、C1−6アルキル若しくはC1−6アルコキシから選択され又は
及びRは、これらが結合している炭素原子と一緒に、4から7員の、炭素環若しくはN、O及びSから選択された1個若しくは2個のヘテロ原子を含有する複素環を形成し、
は、NR、OR、C(O)NR、アリール、ヘテロアリール又はHetであり、
及びRは、それぞれ独立して、水素及びC1−4アルキルから選択され、
及びRは、それぞれ独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、(CH0−3COH、(CH0−3CO(C1−6アルキル)、(CH=CH)COH又は(CH=CH)CO(C1−6アルキル)によって場合により置換された、水素、C1−6アルキル及びアリールから選択され、
Hetは、4から7個の環原子のヘテロ脂肪族環であり、この環は、N、O若しくはSから選択された1個、2個若しくは3個のヘテロ原子又は基、S(O)、S(O)、NH若しくはNC1−4アルキルを含有していてよく、
は、C1−4アルキル、C2−4アルケニル又は(CH0−3であり、
は、アリール、ヘテロアリール、C1−4アルキル、C3−8シクロアルキル、CO、Het又はNRであり、ここで、Hetは前記定義された通りであり、R及びRは、それぞれ独立して、水素、C1−4アルキル及びCO(CH0−3アリールから選択され、Rは水素又はC1−4アルキルであり、
ここでRは、ハロゲン、C1−4アルキル又はNRによって場合により置換されており、ここで、R及びRは、それぞれ独立して、水素及びC1−4アルキルから選択され、
ここでRは、ヒドロキシ、フッ素、塩素、C1−4アルキル、オキソ、COH又はCO1−4アルキルによって場合により置換されており又は
、R及びこれらが結合している窒素原子は、4から7個の環原子のヘテロ脂肪族環を形成し、ここで、前記環は、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換されており、
W及びZは、独立して、結合、C=O、O、S、S(O)、S(O)、−(CR1011)−(CR12130−1−及びNR10から選択され、
X及びYは、独立して、結合、C=O、O、−CR1415−及びNR14から選択され、
W、X、Y及びZの0個、1個又は2個は結合であり、
10、R11、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C1−6アルコキシ、C(O)C1−6アルキル、(CH0−3Het、(CH0−3NR1617、C(O)(CH0−3NR1617、NHC(O)(CH0−3NR1617、O(CH0−3NR1617、S(O)0−2(CH0−31617及びC(O)(CH0−3OR16から選択され、ここで、HetはC1−6アルキルによって場合により置換されており、
16及びR17は、独立して、水素、C1−6アルキル、(CH0−4NR1819及び(CH1−4OR18から選択され又は
16、R17及びこれらが結合している窒素原子は、4から7個の環原子のヘテロ脂肪族環を形成し、この環は、O若しくはSから選択された1または2個以上のヘテロ原子又は基S(O)、S(O)、NH若しくはNC1−4アルキルを場合により含有していてよく、この環は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換されていてよく、
18及びR19は、独立して、水素、C1−6アルキル及び(CH0−3フェニルから選択され又は
18、R19及びこれらが結合している窒素原子は、4から7個の環原子のヘテロ脂肪族環を形成し、この環は、O若しくはSから選択された1または2個以上のヘテロ原子又は基S(O)、S(O)、NH若しくはNC1−4アルキルを場合により含有していてよく、この環は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換されていてよい。]
の化合物及びこれらの医薬的に許容される塩。
【請求項2】
式(Io):
【化2】

[式中、Arは、少なくとも1個の芳香族環を含有する部分であり、N、O及びSから独立して選択された1個、2個又は3個のヘテロ原子を場合により含有する、5個、6個、9個又は10個の環原子を有し、この環は、基Q及びQによって場合により置換されており、
は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、CONR、(CH0−3NR、O(CH1−3NR、O(CH0−3CONR、O(CH0−3アリール、O(CH0−3ヘテロアリール、OCHRであり、
及びRは、それぞれ独立して、水素、C1−4アルキル及びC(O)C1−4アルキルから選択され又は
、R及びこれらが結合している窒素原子は、4から7個の環原子のヘテロ脂肪族環を形成し、ここで、前記環は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換されており、
及びRは、それぞれ独立して、水素及びC1−4アルコキシから選択され又は
及びRは、N、O及びSから選択されたヘテロ原子によって結合されて、4から7個の環原子のヘテロ脂肪族環を形成し、ここで、前記環は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換されており、
ここで、前記C1−4アルキル、C1−4アルコキシ及びアリール基は、ハロゲン又はヒドロキシによって場合により置換されており、
は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシであり、ここで、前記C1−4アルキル及びC1−4アルコキシ基は、ハロゲン又はヒドロキシによって場合により置換されており又は
及びQは、結合又はN、O及びSから選択されたヘテロ原子によって結合されて、4から7個の原子の環を形成することができ、ここで、前記環は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換されており、
Aは、C3−6アルキル若しくはC2−6アルケニルであり又は
Aは、3から8個の環原子の非芳香族環であり、ここで、前記環は、二重結合を含有していてよく及び/又はO、S、SO、SO若しくはNH部分を含有していてよく又は
Aは、4から8個の環原子の非芳香族二環式部分であり及び
Aは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換されており、
及びDの一方はSであり及び他方はC−(CH0−3であり、
は、水素であり、ヒドロキシ又はハロゲンによって場合により置換された、C1−6アルキル、ヒドロキシ、(CH0−31−6アルコキシ、(CH0−3NR、(CH0−3アリール又は(CH0−3アリールオキシであり、
及びRは、それぞれ独立して、水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル及びC3−8シクロアルキルから選択され、
点線は、C−(CH0−3とCRとの間の結合を表し、
は、水素、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、CN、COH、CO1−4アルキル、アリール、ヘテロアリール又はC(O)NRであり、ここで、前記C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、アリール及びヘテロアリール基は、ヒドロキシ又はフッ素によって場合により置換されており、
は、水素又はC1−4アルキルであり、
は、水素、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、(CH0−3(CR0−1又はSOであり、
及びRは、独立して、ハロゲン、C1−6アルキル若しくはC1−6アルコキシから選択され又は
及びRは、これらが結合している炭素原子と一緒に、4から7員の、炭素環若しくはN、O及びSから選択された1個若しくは2個のヘテロ原子を含有する複素環を形成し、
は、NR、OR、C(O)NR、アリール、ヘテロアリール又はHetであり、
及びRは、それぞれ独立して、水素及びC1−4アルキルから選択され、
及びRは、水素であり、それぞれ独立して、ヒドロキシ、ハロゲン、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、(CH0−3COH、(CH0−3CO(C1−6アルキル)、(CH=CH)COH又は(CH=CH)CO(C1−6アルキル)によって場合により置換された、C1−6アルキル及びアリールから選択され、
Hetは、4から7個の環原子のヘテロ脂肪族環であり、この環は、N、O若しくはSから選択された1個、2個若しくは3個のヘテロ原子又は基、S(O)、S(O)、NH若しくはNC1−4アルキルを含有していてよく、
は、C1−4アルキル、C2−4アルケニル又は(CH0−3であり、
は、アリール、ヘテロアリール、C1−4アルキル、C3−8シクロアルキル、CO、Het又はNRであり、ここで、Hetは前記定義された通りであり、R及びRは、それぞれ独立して、水素、C1−4アルキル及びCO(CH0−3アリールから選択され、Rは水素又はC1−4アルキルであり、
ここでRは、ハロゲン、C1−4アルキル又はNRによって場合により置換されており、ここで、R及びRは、それぞれ独立して、水素及びC1−4アルキルから選択され、
ここでRは、ヒドロキシ、フッ素、塩素、C1−4アルキル、オキソ、COH又はCO1−4アルキルによって場合により置換されており又は
、R及びこれらが結合している窒素原子は、4から7個の環原子のヘテロ脂肪族環を形成し、ここで、前記環は、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換されており、
W及びZは、独立して、結合、C=O、O、S、S(O)、S(O)、−(CR1011)−(CR12130−1−及びNR10から選択され、
X及びYは、独立して、結合、C=O、O、−CR1415−及びNR14から選択され、
W、X、Y及びZの0個、1個又は2個は結合であり、
10、R11、R12、R13、R14及びR15は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C1−6アルコキシ、C(O)C1−6アルキル、Het、(CH0−3NR1617、C(O)(CH0−3NR1617、NHC(O)(CH0−3NR1617、O(CH0−3NR1617、S(O)0−2(CH0−31617及びC(O)(CH0−3OR16から選択され、
16及びR17は、独立して、水素、C1−6アルキル及び(CH0−4NR1819から選択され又は
16、R17及びこれらが結合している窒素原子は、4から7個の環原子のヘテロ脂肪族環を形成し、この環は、O若しくはSから選択された1または2個以上のヘテロ原子又は基S(O)、S(O)、NH若しくはNC1−4アルキルを場合により含有していてよく、この環は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換されていてよく、
18及びR19は、独立して、水素及びC1−6アルキルから選択され又は
18、R19及びこれらが結合している窒素原子は、4から7個の環原子のヘテロ脂肪族環を形成し、この環は、O若しくはSから選択された1または2個以上のヘテロ原子又は基S(O)、S(O)、NH若しくはNC1−4アルキルを場合により含有していてよく、この環は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換されていてよい。]
の請求項1に記載の化合物及びこれらの医薬的に許容される塩。
【請求項3】
Arが、N、O及びSから独立して選択された1個、2個又は3個のヘテロ原子を場合により含有する、5員又は6員の芳香族環であり、この環が、請求項1に記載の基Q及びQによって場合により置換されている、請求項1又は請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Aが、C3−6アルキル、C2−6アルケニル又はC3−8シクロアルキルであり、ここで、Aが、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシによって場合により置換されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
がSであり、DがC−(CH0−3であり、ここで、Rが請求項1に記載の通りである、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
が、COH、ヘテロアリール又はC(O)NRであり、ここで、前記ヘテロアリール基が、ヒドロキシ又はフッ素によって場合により置換されており、R及びRが請求項1に記載の通りである、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
Wが、結合、C=O、−(CR1011)−(CR12130−1−又はNR10であり、ここで、R10、R11、R12及びR13が請求項1に記載の通りである、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
Zが、結合、C=O、O、−(CR1011)−(CR12130−1−又はNR10であり、ここで、R10、R11、R12及びR13が請求項1に記載の通りである、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
Xが、C=O、−CR1415−又はNR14であり、ここで、R14及びR15が請求項1に記載の通りである、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
Yが、C=O、O、−CR1415−又はNR14であり、ここで、R14及びR15が請求項1に記載の通りである、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
式(Ia):
【化3】

(式中、W、X、Y、Z、R、A及びArは、請求項1に記載の通りである。)
の請求項1に記載の化合物及びこれらの医薬的に許容される塩。
【請求項12】
式(Iaa):
【化4】

(式中、X、Y、Z及びQは、請求項11に記載の通りである。)
の請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
式(Ib):
【化5】

(式中、W、X、Y、Z及びRは、請求項1に記載の通りである。)
の請求項1に記載の化合物及びこれらの医薬的に許容される塩。
【請求項14】
式(Iab):
【化6】

(式中、X、Y及びZは、請求項13に記載の通りである。)
の請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
式(Ic):
【化7】

(式中、W、X、Y及びZは、請求項1に記載の通りであり、RはC1−4アルキルである。)
の請求項1に記載の化合物及びこれらの医薬的に許容される塩。
【請求項16】
実施例及び表中に名称を記載した請求項1に記載の化合物又はこれらの医薬的に許容される塩。
【請求項17】
治療に使用するための、請求項1から16のいずれか一項に記載の化合物又はこれらの医薬的に許容される塩。
【請求項18】
ヒト又は動物に於ける、C型肝炎ウイルスによる感染の治療又は予防のための医薬の製造のための、請求項1から16のいずれか一項に記載の化合物又はこれらの医薬的に許容される塩の使用。
【請求項19】
医薬的に許容される担体を伴う、請求項1から16のいずれか一項に記載の化合物又はこれらの医薬的に許容される塩を含む医薬組成物。
【請求項20】
更に、ウイルス感染の治療のための1種以上の他の医薬、例えば、抗ウイルス薬又は免疫調節薬、例えば、α−、β−若しくはγ−インターフェロンを含む、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
C型肝炎ウイルスポリメラーゼを阻害する方法及び/又はC型肝炎ウイルスに起因する疾病を治療若しくは予防する方法であって、この状態に罹っているヒト又は動物(好ましくは哺乳動物)被検者に、請求項19若しくは請求項20に記載の医薬組成物又は請求項1から16のいずれか一項に記載の化合物若しくはこれらの医薬的に許容される塩の治療的又は予防的有効量を投薬することを含む方法。
【請求項22】
請求項1から16のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化合物又はこれらの医薬的に許容される塩を、1種以上の医薬的に許容される添加剤、希釈剤又は担体と混合することを含む、医薬組成物の製造方法。
【請求項23】
(a)ZがCHであり、XがC=Oであり、YがNR14である場合、
式(II)の化合物と式(III)の化合物:
【化8】


(式中、D、D、W、A、Ar、R及びR14は、請求項1に記載の通りであり、R20及びR21は、独立して、水素、メチル及びエチルから選択され、Pは、適切な保護基である。)
との反応、続く内部閉環による、
(b)ZがOであり、W及びYがCHであり、XがC=Oである場合、式(IV):
【化9】

(式中、D、D、A、Ar、R及びR14は、請求項1に記載の通りである。)
の化合物の内部閉環、続く酸化による、
(c)XがC=Oであり、YがNR14である場合、
式(V):
【化10】

(式中、W、Z、D、D、A、Ar、R及びR14は、請求項1に記載の通りであり、P及びPは、適切な保護基である。)
の化合物の内部閉環による、
(d)ZがCHR10であり、YがCHR14であり、XがCHであり、Wが−(CH(n−1)−である場合、
式(VI):
【化11】

(式中、nは1から3であり、D、D、A、Ar、R、R10及びR14は、請求項1に記載の通りである。)
の化合物の閉環メタセシス、続く新たに生成された二重結合の加工による、
請求項1から16のいずれか一項に記載の化合物の製造方法。

【公表番号】特表2008−540479(P2008−540479A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510487(P2008−510487)
【出願日】平成18年5月3日(2006.5.3)
【国際出願番号】PCT/EP2006/004347
【国際公開番号】WO2006/119975
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(501209427)イステイチユート・デイ・リチエルケ・デイ・ビオロジア・モレコラーレ・ピ・アンジエレツテイ・エツセ・ピー・アー (90)
【Fターム(参考)】