説明

抗バクテリア剤としてのキノリン誘導体

【課題】 抗バクテリア剤としてのキノリン誘導体の使用を提供すること。
【解決手段】 バクテリア感染の処置用の薬剤の製造のための化合物の使用に関し、該化合物は式


の化合物、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体あるいはそのN−オキシド形態であり、但し、バクテリア感染はマイコバクテリア感染以外である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バクテリア感染の処置用の薬剤の製造のためのキノリン誘導体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
最重要の(first−line)抗生剤に対する耐性は、持ち上がりつつある(emerging)問題である。いくつかの重要な例に、ペニシリン−耐性ストレプトコックス・ニューモニアエ(Streptococcus pnuemoniae)、バンコマイシン(vancomycin)−耐性腸球菌(enterococci)、メチシリン(methicillin)−耐性スタフィロコックス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、多剤耐性サルモネラ菌(salmonellae)が含まれる。
【0003】
抗生剤に対する耐性の結果は重大である。耐性の微生物により引き起こされる感染は処置に応答せず、病気の長期化及び死亡のより大きな危険を生ずる。処置の失敗はより長期間の感染能にも導き、それは地域社会で動く感染した人々の数を増加させ、かくして一般の住民を耐性株感染を起こす危険にさらす。世界的に、病院は抗微生物剤耐性の問題の決定的な構成要素である。高度に敏感な患者、集中的且つ長期間の抗微生物剤使用及び交差感染の組み合わせは、高度に耐性のバクテリア病原体による感染を生じてきた。
【0004】
抗微生物剤を用いる自己−投薬(self−medication)は、耐性に寄与する他の大きな因子である。自己−投薬された抗微生物剤は不必要であるかも知れず、多くの場合に不適切に投薬されるか、あるいは適切な量の活性薬剤を含有していないかもしれない。
【0005】
薦められる処置との患者のコンプライアンスは別の大きな問題である。患者が良くなったと感じ始めると、彼らは薬剤摂取を忘れ、それらの処置を中断するか、あるいは全過程をこなすことができず、それにより、微生物のための殺されるのではなくて適応するための理想的な環境を作り得る。
【0006】
出現しつつある複数の抗生物質への耐性のために、医師は有効な治療がない感染に直面する。そのような感染の罹病率、死亡率及び財政的コストは、世界的に健康管理システムにとって増加する負担を負わせる。
【0007】
従って、バクテリア感染の処置のための、特に耐性株により引き起こされる感染の処置のための新規な化合物に対する高い必要性がある。
【0008】
特許文献1は、マイコバクテリアに対して、特にマイコバクテリウム・チュベルクロシス(Mycobacterium tuberculosis)に対して活性を有する置換キノリン誘導体を開示している。これらの置換キノリン誘導体の1つの特定の化合物は、非特許文献1に記載されている。
【0009】
今回、特許文献1に記載されているキノンリ誘導体がマイコバクテリア以外のバクテリアに対しても活性を示すことが見出された。
【特許文献1】国際公開第2004/011436号パンフレット
【非特許文献1】Science,307,2005年,223−227
【発明の開示】
【0010】
従って、本発明は、バクテリア感染の処置用の薬剤の製造のための化合物の使用に関し、該化合物は式
【0011】
【化1】

【0012】
[式中、
1は水素、ハロ、ポリハロC1-6アルキル、C1-6アルキル、Ar又はHetであり;
pは1又は2に等しい整数であり;
2はC1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルオキシC1-6アルキルオキシ又はC1-6アルキルチオであり;
3はAr、Het又はHet1であり;
4及びR5はそれぞれ独立して水素、C1-6アルキル又はベンジルであるか;あるいは
4及びR5は一緒になって且つそれらが結合しているNを含んで、ピロリジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、ピロリル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピペリジニル、ピリジニル、ピペラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、モルホリニル及びチオモルホリニルの群から選ばれる基を形成することができ、該環のそれぞれは場合によりC1-6アルキル、ハロ、ポリハロC1-6アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノ、C1-6アルキルチオ、C1-6アルキルオキシC1-6アルキル、C1-6アルキルチオC1-6アルキル又はピリミジニルで置換されていることができ;
6は水素、ハロ、ポリハロC1-6アルキル、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルチオであるか;あるいは
2個のビシナルR6基は一緒になって式
−CH=CH−CH=CH−
の2価の基を形成することができ;
rは1又は2に等しい整数であり;
7は水素、C1-6アルキル、Ar、Het又はHet1であり;
Arはフェニル、ナフチル、アセナフチル、テトラヒドロナフチルの群から選ばれる同素環であり、各同素環は場合により1、2又は3個の置換基で置換されていることができ、各置換基は独立してヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノ、C1-6アルキル、ポリハロC1-6アルキル、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、ポリハロC1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルオキシC1-6アルキル、カルボキシル、C1-6アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、モルホリニル及びモノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノカルボニルの群から選ばれ;
HetはN−フェノキシピペリジニル、ピペリジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル及びピリダジニルの群から選ばれる単環式複素環であり;各単環式複素環は場合により1、2又は3個の置換基で置換されていることができ、各置換基は独立してハロ、ヒドロキシ、C1-6アルキル、ポリハロC1-6アルキル、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルオキシC1-6アルキル又はAr−C(=O)−の群から選ばれ;
Het1はキノリニル、キノキサリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシニル又はベンゾ[1,3]ジオキソリルの群から選ばれる二環式複素環であり;各二環式複素環は場合により1、2又は3個の置換基で置換されていることができ、各置換基は独立してハロ、ヒドロキシ、C1-6アルキル、ポリハロC1-6アルキル、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルオキシC1-6アルキル又はAr−C(=O)−の群から選ばれる]
の化合物、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体あるいはそのN−オキシド形態であり、
但し、バクテリア感染はマイコバクテリア感染以外である。
【0013】
本発明は、本発明の化合物の有効な量を哺乳類に投与することを含んでなる、哺乳類、特に温血哺乳類、さらに特定的にヒトにおけるバクテリア感染の処置方法にも関する。
【0014】
前記又は後記で用いられる場合、基として又は基の一部としてのC1-6アルキルは、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、2−メチルブチルなどを定義する。
【0015】
前記又は後記で用いられる場合、項(=O)は、炭素原子に結合している場合、カルボニル部分を形成する。
【0016】
ハロなる用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードの総称である。前記又は後記で用いられる場合、基又は基の一部としてのポリハロC1-6アルキルは、モノ−もしくはポリハロ置換C1-6アルキル、例えば1個もしくはそれより多いフルオロ原子を有するメチル、例えばジフルオロメチルもしくはトリフルオロメチル、1,1−ジフルオロ−エチルなどとして定義される。ポリハロC1-6アルキルの定義内で1個より多いハロゲン原子がアルキル基に結合している場合、それらは同一又は異なることができる。
【0017】
Het又はHet1の定義において、あるいはR4及びR5が一緒になる場合、複素環のすべての可能な異性体が含まれるものとし、例えばピロリルは1H−ピロリル及び2H−ピロリルを含んでなる。
【0018】
前記又は後記で言及される式(I)の化合物の置換基の定義において挙げられるAr、Het又はHet1(例えばR3を参照されたい)は、他にことわらなければ、任意の環炭素又は適宜ヘテロ原子を介して式(I)の分子の残りの部分に結合することができる。かくして例えばHetがイミダゾリルの場合、それは1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリルなどであることができる。
【0019】
置換基から環系内に引かれる線は、結合が適した環原子のいずれにも結びつき得ることを示す。
【0020】
2個のビシナルR6基が一緒になって式−CH=CH−CH=CH−の2価の基を形成する場合、これは2個のビシナルR6基が、それらが結合しているフェニル環と一緒になってナフチルを形成することを意味する。
【0021】
治療的使用のために、式(I)の化合物の塩は、対イオンが製薬学的に許容され得るような塩である。しかしながら、製薬学的に許容され得ない酸及び塩基の塩も、例えば製薬学的に許容され得る化合物の製造又は精製において用途を見出すことができる。製薬学的に許容され得ても、許容され得なくても、すべての塩が本発明の範囲内に含まれる。
【0022】
上記又は後記で言及される製薬学的に許容され得る付加塩は、式(I)の化合物が形成することができる治療的に活性な無毒性酸付加塩の形態を含んでなるものとする。後者は、塩基の形態を無機酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸、臭化水素酸など;硫酸;硝酸;リン酸など;あるいは有機酸、例えば酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、2−ヒドロキシプロパン酸、2−オキソプロパン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、2−ヒドロキシ安息香酸、4−アミノ−2−ヒドロキシ安息香酸などのような適した酸で処理することにより簡単に得ることができる。逆にアルカリを用いる処理により、塩の形態を遊離の塩基の形態に転換することができる。
【0023】
酸性プロトンを含有する式(I)の化合物を、適した有機及び無機塩基を用いる処理により、それらの治療的に活性な無毒性金属もしくはアミン付加塩の形態に転換することができる。適した塩基塩の形態は例えばアンモニウム塩、アルカリ及びアルカリ土類金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など、有機塩基、例えば第1級、第2級及び第3級脂肪族及び芳香族アミンとの塩、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、4種のブチルアミン異性体、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、キヌクリジン、ピリジン、キノリン及びイソキノリン、ベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、ヒドラバミン塩、ならびに例えばアルギニン、リシンなどのようなアミノ酸との塩を含んでなる。逆に酸を用いる処理により、塩の形態を遊離の酸の形態に転換することができる。
【0024】
付加塩という用語は、式(I)の化合物が形成することができる水和物及び溶媒付加形態も含んでなる。そのような形態の例は、例えば水和物、アルコラートなどである。
【0025】
本発明の化合物のN−オキシド形態は、1個もしくは数個の第3級窒素原子がいわゆるN−オキシドに酸化されている式(I)の化合物を含んでなるものとする。
【0026】
3価の窒素をそのN−オキシド形態に転換するための当該技術分野において既知の方法に従って、式(I)の化合物を対応するN−オキシド形態に転換することができる。該N−酸化反応は一般に、式(I)の出発材料を適した有機もしくは無機過酸化物と反応させることにより行うことができる。適した無機過酸化物は例えば過酸化水素、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属過酸化物、例えば過酸化ナトリウム、過酸化カリウムを含んでなり;適した有機過酸化物はペルオキシ酸、例えばベンゼンカルボペルオキソ酸又はハロ置換ベンゼンカルボペルオキソ酸、例えば3−クロロベンゼンカルボペルオキソ酸、ペルオキソアルカン酸、例えばペルオキソ酢酸、アルキルヒドロペルオキシド、例えばt.ブチルヒドロ−ペルオキシドを含んでなることができる。適した溶媒は例えば水、低級アルコール類、例えばエタノールなど、炭化水素、例えばトルエン、ケトン類、例えば2−ブタノン、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン及びそのような溶媒の混合物である。
【0027】
式(I)の化合物ならびにそれらのN−オキシド又は付加塩のいくつかは、1個もしくはそれより多いキラリティーの中心を含有し、立体化学的異性体として存在し得ることがわかるであろう。
【0028】
前記又は後記で用いられる「立体化学的異性体」という用語は、式(I)の化合物ならびにそれらのN−オキシド、付加塩又は生理学的に機能性の誘導体(physiologically functional derivatives)が有し得るすべての可能な立体異性体を定義する。他にことわるか又は指示しなければ、化合物の化学的名称は、基となる分子構造のすべてのジアステレオマー及びエナンチオマーを含有するすべての可能な立体化学的異性体の混合物を示す。
【0029】
特にステレオジェン中心はR−もしくはS−立体配置を有することができ;2価環状(部分的)飽和基上の置換基はシス−もしくはトランス−立体配置のいずれかを有することができる。二重結合を含む化合物は、該二重結合においてE(entgegen)又はZ(zusammen)−立体化学を有し得る。シス、トランス、R、S、E及びZという用語は当該技術分野における熟練者に周知である。
【0030】
式(I)の化合物の立体化学的異性体は明らかに本発明の範囲内に包含されることが意図されている。
【0031】
CAS命名法協定に従うと、1個の分子中に2個の既知の絶対立体配置のステレオジェン中心が存在する場合、最低の番号が付けられるキラル中心、参照中心にR又はSの記述字(descriptor)が指定される(Cahn−Ingold−Prelog順位則に基づいて)。第2のステレオジェン中心の立体配置は相対的記述字[R*,R*]又は[R*,S*]を用いて示され、ここでR*は常に参照中心として規定され、[R*,R*]は同じキラリティーを有する中心を示し、[R*,S*]は同じでないキラリティーの中心を示す。例えば分子中の最低の番号が付けられるキラル中心がS立体配置を有し、第2の中心がRである場合、立体記述字はS−[R*,S*]と規定される。「α」及び「β」が用いられる場合:最低の環番号を有する環系中の不斉炭素原子上の最高優先置換基の位置は、随意に常に環系により決定される平均平面の「α」位にある。環系中の他の不斉炭素原子上の最高優先置換基の、参照原子上の最高優先置換基の位置に対する位置は、それが環系により決定される平均平面の同じ側上にある場合には「α」、あるいはそれが環系により決定される平均平面の他の側上にある場合には「β」と呼ばれる。
【0032】
特定の立体異性体が示される場合、これは該形態が実質的に他の異性体を含まない、すなわち50%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満、さらにもっと好ましくは5%未満、もっと好ましくは2%未満そして最も好ましくは1%未満の他の異性体を伴うことを意味する。かくして式(I)の化合物が例えば(αS,βR)と規定される場合、これは化合物が実質的に(αR,βS)異性体を含まないことを意味する。
【0033】
式(I)の化合物は、エナンチオマーのラセミ混合物の形態で合成され得、それは当該技術分野において既知の分割法に従って互いに分離することができる。式(I)のラセミ化合物を、適したキラル酸との反応により対応するジアステレオマー塩の形態に転換することができる。該ジアステレオマー塩の形態を、続いて例えば選択的又は分別結晶化により分離し、アルカリによりそこからエナンチオマーを遊離させる。式(I)の化合物のエナンチオマーの形態を分離する別の方法は、キラル固定相を用いる液体クロマトグラフィーを含む。該純粋な立体化学的異性体を、適した出発材料の対応する純粋な立体化学的異性体から誘導することもでき、但し、反応は立体特異的に起こる。好ましくは、特定の立体異性体が望まれる場合、該化合物は立体特異的製造方法により合成されるであろう。これらの方法は有利にはエナンチオマー的に純粋な出発材料を用いるであろう。
【0034】
本発明は、本発明に従う薬理学的に活性な化合物の誘導化合物(通常「プロドラッグ」と呼ばれる)も含んでなり、それらは生体内で分解して本発明に従う化合物を与える。プロドラッグは通常(しかし必ずではなく)標的受容体において、それらが分解して与える化合物より低い力価のものである。プロドラッグは、所望の化合物がその投与を困難にするか、又は無効にする化学的もしくは物理的性質を有する場合に特に有用である。例えば所望の化合物はわずかにしか可溶性でないかもしれず、それはあまり粘膜上皮を横切って輸送されないかもしれず、あるいはそれは望ましくない短い血漿半減期を有するかもしれない。プロドラッグについてのさらなる議論は、Stella,V.J.et al.著,“Prodrugs”,Drug Delivery Systems,1985年,pp.112−176及びDrugs,29,1985年,pp.455−473に見出すことができる。
【0035】
本発明に従う薬理学的に活性な化合物のプロドラッグ形態は、一般に、エステル化又はアミド化された酸基を有する式(I)に従う化合物、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体、その互変異性体及びそのN−オキシド形態であろう。そのようなエステル化された酸基に含まれるのは式−COORxの基であり、ここでRxはC1-6アルキル、フェニル、ベンジル又は以下の基:
【0036】
【化2】

【0037】
の1つである。アミド化された基には式−CONRyzの基が含まれ、ここでRyはH、C1-6アルキル、フェニル又はベンジルであり、Rzは−OH、H、C1-6アルキル、フェニル又はベンジルである。
【0038】
アミノ基を有する本発明に従う化合物をケトン又はアルデヒド、例えばホルムアルデヒドを用いて誘導体化し、マンニッヒ塩基(Mannich base)を形成することができる。この塩基は水溶液中で一次速度論を以って加水分解されるであろう。
【0039】
本明細書で用いられる場合は、常に、「式(I)の化合物」という用語は、それらのN−オキシド形態、それらの付加塩又はそれらの立体化学的異性体も含むものとする。特に興味深いのは、立体化学的に純粋な式(I)の化合物である。
【0040】
本発明の第1の興味深い態様は、式(I−a)
【0041】
【化3】

【0042】
の化合物、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体又はそのN−オキシド形態に関する。
【0043】
本発明の第2の興味深い態様は、式(I−b)
【0044】
【化4】

【0045】
の化合物、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体又はそのN−オキシド形態に関する。
【0046】
第3の興味深い態様は、R1が水素、ハロ、C1-6アルキル、Ar又はHet;好ましくは水素、ハロ、場合により置換されていることができるフェニル又はHet;より好ましくは水素、ハロ、場合により置換されていることができるフェニル、場合により置換されていることができるフラニル又はピリジニル;さらにもっと好ましくは水素、ハロ又は場合により置換されていることができるフェニル;最も好ましくはハロ、例えばブロモ又はクロロ、特にブロモを示す式(I)の化合物あるいは前記で興味深い態様として挙げたそのいずれかのサブグループである。
【0047】
第4の興味深い態様は、R1がハロ、ポリハロC1-6アルキル、Ar又はHet;好ましくはハロ、Ar又はHet;より好ましくはハロ、場合により置換されていることができるフェニル又はHet;さらにもっと好ましくはハロ、フェニル、場合により置換されていることができるフラニル又はピリジニルである式(I)の化合物あるいは前記で興味深い態様として挙げたそのいずれかのサブグループである。
【0048】
第5の興味深い態様は、R2がC1-6アルキルオキシ又はC1-6アルキルチオ、特にメトキシ又はメチルチオ;好ましくはC1-6アルキルオキシ;より好ましくはメトキシである式(I)の化合物あるいは前記で興味深い態様として挙げたそのいずれかのサブグループである。
【0049】
第6の興味深い態様は、R3がAr又はHetであるか、又はR3がAr又はHet1である;好ましくはR3がAr;より好ましくは場合により置換されていることができるフェニル又は場合により置換されていることができるナフチル;さらにもっと好ましくは場合によりハロもしくはC1-6アルキルオキシで置換されていることができるフェニル又は場合によりハロもしくはC1-6アルキルオキシで置換されていることができるナフチル;最も好ましくは場合により1もしくは2個のハロ、特にフルオロで置換されていることができるフェニル又はナフチル、特に1−ナフチルである式(I)の化合物あるいは前記で興味深い態様として挙げたそのいずれかのサブグループである。
【0050】
第7の興味深い態様は、R4及びR5がそれぞれ独立して水素又はC1-6アルキルであるか;あるいはR4及びR5が一緒になって且つそれらが結合しているNを含んで、ピロリジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、ピロリル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピペリジニル、ピリジニル、ピペラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、モルホリニル及びチオモルホリニルの群から選ばれる基を形成することができ、該環のそれぞれは場合によりC1-6アルキル、ハロ、ポリハロC1-6アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノ、C1-6アルキルチオ、C1-6アルキルオキシC1-6アルキル、C1-6アルキルチオC1-6アルキル又はピリミジニルで置換されていることができる;より好ましくはR4がC1-6アルキルであり、R5が水素又はC1-6アルキルであるか;あるいはR4及びR5が一緒になって且つそれらが結合しているNを含んで、ピロリジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、ピロリル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピペリジニル、ピリジニル、ピペラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、モルホリニル及びチオモルホリニルの群から選ばれる基を形成することができ、該環のそれぞれは場合によりC1-6アルキル、ハロ、ポリハロC1-6アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノ、C1-6アルキルチオ、C1-6アルキルオキシC1-6アルキル、C1-6アルキルチオC1-6アルキル又はピリミジニルで置換されていることができる;さらにもっと好ましくはR4がC1-6アルキルであり、R5が水素又はC1-6アルキルであるか;あるいはR4及びR5が一緒になって且つそれらが結合しているNを含んで、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピペリジニル、ピリジニル、ピペラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、モルホリニル及びチオモルホリニルの群から選ばれる基を形成することができ、該環のそれぞれは場合によりC1-6アルキル、ハロ、ポリハロC1-6アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノ、C1-6アルキルチオ、C1-6アルキルオキシC1-6アルキル、C1-6アルキルチオC1-6アルキル又はピリミジニルで置換されていることができる;最も好ましくはR4がC1-6アルキル、特にメチル又はエチル、さらに特定的にメチルであり、R5が水素又はC1-6アルキル、特にメチル又はエチル、さらに特定的にメチルである式(I)の化合物あるいは前記で興味深い態様として挙げたそのいずれかのサブグループである。
【0051】
第8の興味深い態様は、R4及びR5がそれぞれ独立して水素、C1-6アルキル又はベンジルである;好ましくはR4及びR5がそれぞれ独立して水素又はC1-6アルキルである;より好ましくはR4がC1-6アルキルであり、R5が水素又はC1-6アルキルである;最も好ましくはR4及びR5がC1-6アルキル、特にメチル又はエチル、さらに特定的にメチルである式(I)の化合物あるいは前記で興味深い態様として挙げたそのいずれかのサブグループである。
【0052】
第9の興味深い態様は、R4及びR5が一緒になって且つそれらが結合しているNを含んで、ピロリジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、ピロリル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピペリジニル、ピリジニル、ピペラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、モルホリニル及びチオモルホリニルの群から選ばれる基を形成することができ、該環のそれぞれは場合によりC1-6アルキル、ハロ、ポリハロC1-6アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノ、C1-6アルキルチオ、C1-6アルキルオキシC1-6アルキル、C1-6アルキルチオC1-6アルキル又はピリミジニルで置換されていることができる;好ましくはR4及びR5が一緒になって且つそれらが結合しているNを含んで、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピペリジニル、ピリジニル、ピペラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、モルホリニル及びチオモルホリニルの群から選ばれる基を形成することができ、該環のそれぞれは場合によりC1-6アルキル、ハロ、ポリハロC1-6アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノ、C1-6アルキルチオ、C1-6アルキルオキシC1-6アルキル、C1-6アルキルチオC1-6アルキル又はピリミジニルで置換されていることができる;より好ましくはR4及びR5が一緒になって且つそれらが結合しているNを含んで、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル及びチオモルホリニルの群から選ばれる基を形成することができ、該環のそれぞれは場合によりC1-6アルキル、ハロ、ポリハロC1-6アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノ、C1-6アルキルチオ、C1-6アルキルオキシC1-6アルキル、C1-6アルキルチオC1-6アルキル又はピリミジニルで置換されていることができる;さらにもっと好ましくはR4及びR5が一緒になって且つそれらが結合しているNを含んで、イミダゾリル、トリアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル及びチオモルホリニルの群から選ばれる基を形成することができ、該環のそれぞれは場合によりC1-6アルキル、ハロ、ポリハロC1-6アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノ、C1-6アルキルチオ、C1-6アルキルオキシC1-6アルキル、C1-6アルキルチオC1-6アルキル又はピリミジニルで置換されていることができる;最も好ましくはR4及びR5が一緒になって且つそれらが結合しているNを含んで、イミダゾリルを形成する式(I)の化合物あるいは前記で興味深い態様として挙げたそのいずれかのサブグループである。
【0053】
好ましくは、R4及びR5が一緒になる場合の環系上の置換基は、C1-6アルキル、ハロ、ポリハロC1-6アルキル、ヒドロキシ、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルチオ及びピリミジニルから選ばれ;より好ましくは置換基はC1-6アルキル又はピリミジニルから選ばれる。
【0054】
第10の興味深い態様は、R6が水素、ハロ、ポリハロC1-6アルキル、C1-6アルキルであるか;あるいは2個のビシナルR6基が一緒になって−CH=CH−CH=CH−の2価の基を形成することができる;好ましくはR6が水素、ハロ、ポリハロC1-6アルキル又はC1-6アルキルである;より好ましくはR6が水素、ハロ又はC1-6アルキルである;さらにもっと好ましくはR6が水素又はハロである;最も好ましくはR6が水素である式(I)の化合物あるいは前記で興味深い態様として挙げたそのいずれかのサブグループである。
【0055】
第11の興味深い態様は、R7が水素である式(I)の化合物あるいは前記で興味深い態様として挙げたそのいずれかのサブグループである。
【0056】
第12の興味深い態様は、rが1に等しい整数である式(I)の化合物あるいは前記で興味深い態様として挙げたそのいずれかのサブグループである。
【0057】
第13の興味深い態様は、pが1に等しい整数である式(I)の化合物あるいは前記で興味深い態様として挙げたそのいずれかのサブグループである。
【0058】
第14の興味深い態様は、式(I)の化合物あるいは前記で興味深い態様として挙げたそのいずれかのサブグループであり、但し1個のR1がC1-6アルキルである場合、pは2に等しい整数であり、他のR1置換基はハロ、ポリハロC1-6アルキル、C1-6アルキル、Ar又はHetから選ばれる。
【0059】
第15の興味深い態様は、化合物が(αS,βR)−6−ブロモ−α−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2−メトキシ−α−1−ナフタレニル−β−フェニル−3−キノリンエタノール、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩又はそのN−オキシド形態以外である式(I)の化合物あるいは前記で興味深い態様として挙げたそのいずれかのサブグループである。
【0060】
第16の興味深い態様は、グラム−陽性及び/又はグラム−陰性バクテリアによる感染の処置用の薬剤の製造のための式(I)の化合物あるいは前記で興味深い態様として挙げたそのいずれかのサブグループの使用である。
【0061】
第17の興味深い態様は、グラム−陽性バクテリアによる感染の処置用の薬剤の製造のための式(I)の化合物あるいは前記で興味深い態様として挙げたそのいずれかのサブグループの使用である。
【0062】
第18の興味深い態様は、グラム−陰性バクテリアによる感染の処置用の薬剤の製造のための式(I)の化合物あるいは前記で興味深い態様として挙げたそのいずれかのサブグループの使用である。
【0063】
第20の興味深い態様は、バクテリアによる感染の処置用の薬剤の製造のための式(I)の化合物あるいは前記で興味深い態様として挙げたそのいずれかのサブグループの使用であり、ここで式(I)の化合物は少なくとも1種のバクテリア、特にグラム−陽性バクテリアに対してIC90<15μl/ml、好ましくはIC90<10μl/ml、より好ましくはIC90<5μl/mlを有し;IC90値は下記に記載する通りに決定される。
【0064】
以下の定義の1つもしくはそれより多く、好ましくはすべてがあてはまる式(I)の化合物も本発明の興味深い化合物である:
a)R1は水素;C1-6アルキル;ハロ、特にブロモもしくはクロロ;フェニル;場合によりヒドロキシC1-6アルキルで置換されていることができるフラニル;又はピリジルである;
b)R2はC1-6アルキルオキシ、特にメトキシ又はエトキシ;C1-6アルキルチオ、特にメチルチオ;又はC1-6アルキルオキシC1-6アルキルオキシである;
c)R3は場合により1もしくは2個のハロ、特にフルオロで置換されていることができるフェニル;場合により1もしくは2個のハロもしくはC1-6アルキルオキシで置換されていることができるナフチル;チエニル;Ar−C(=O)で置換されたピペリジニル;2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシニル;ベンゾ[1,3]ジオキソリル;又はアセナフチルである;
d)R4及びR5はそれぞれ独立して水素;C1-6アルキル;ベンジルであるか;あるいはR4及びR5は一緒になって且つそれらが結合しているNを含んで、イミダゾリル;C1-6アルキルで置換されたピラジニル;C1-6アルキルで置換されたピペラジニル;ピリミジニルで置換されたピペラジニル;ピペリジニル;チオモルホリニル;モルホリニル;ピロリジニル;又はトリアゾリルから選ばれる基を形成することができる;
e)R6は水素;ハロ、特にクロロもしくはブロモ;C1-6アルキルであるか;あるいは2個のビシナルR6基が一緒になって式−CH=CH−CH=CH−の2価の基を形成することができる;
f)R7は水素である。
【0065】
本発明の最も好ましい化合物は、化合物50、206、31、26、27、32、33、109、39、44、41、化合物A、E及びF、それらの製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩又はそれらのN−オキシド形態である。
【0066】
本発明は、
【0067】
【表1】

【0068】
から選ばれる化合物、それらの製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩又はそれらのN−オキシド形態にも関する。
【0069】
本発明は、
【0070】
【表2】

【0071】
から選ばれる化合物、それらの製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩又はそれらのN−オキシド形態にも関する。
【0072】
式(I)の化合物は、国際公開第2004/011436号パンフレットに記載されている方法に従って製造することができ、それは引用することによりその記載事項が本明細書の内容となる。
【0073】
一般に本発明に従う化合物は一連続の段階により製造することができ、それらのそれぞれは熟練者に既知である。
【0074】
特に、ジイソプロピルアミン及びテトラヒドロフランの混合物中でBuLiを用い、以下の反応スキーム(1)に従って式(II)の中間化合物を式(III)の中間化合物と反応させることにより、式(I)に従う化合物を製造することができ:
【0075】
【化5】

【0076】
ここですべての変項は式(I)における通りに定義される。攪拌は反応の速度を増すことができる。−20〜−70℃の範囲の温度で反応を簡便に行なうことができる。
【0077】
出発材料ならびに式(II)及び(III)の中間化合物は、商業的に入手可能であるか、又は当該技術分野において一般に既知の通常の反応方法に従って製造することができる化合物である。例えば式(II−a)の中間化合物は以下の反応スキーム(2)に従って製造することができ:
【0078】
【化6】

【0079】
ここですべての変項は式(I)における通りに定義される。反応スキーム(2)は段階(a)を含んでなり、段階(a)において、トリエチルアミンのような適した塩基及び塩化メチレン又はエチレンジクロリドのような反応に不活性な適した溶媒の存在下で、適切に置換されたアニリンを適した塩化アシル、例えば3−フェニルプロピオニルクロリド、3−フルオロベンゼンプロピオニルクロリド又はp−クロロベンゼンプロピオニルクロリドと反応させる。室温〜還流温度の範囲の温度で反応を簡便に行なうことができる。次の段階(b)において、段階(a)で得られる付加物をN,N−ジメチルホルムアミドの存在下で塩化ホスホリル(POCl3)と反応させる(Vilsmeier−Haackホルミル化、続く環化)。室温〜還流温度の範囲の温度で反応を簡便に行なうことができる。次の段階(c)において、段階(b)で得られる中間化合物を、XがS又はOである化合物H−X−C1-6アルキルと反応させることにより、R2が例えばC1-6アルキルオキシ又はC1-6アルキルチオ基である特定のR2−基を導入する。
【0080】
式(II−b)に従う中間化合物は、以下の反応スキーム(3)に従って製造することができ、反応スキームにおいて、第1段階(a)に置換インドール−2,3−ジオンを水酸化ナトリウムのような適した塩基の存在下で置換3−フェニルプロピオンアルデヒドと反応させ(Pfitzinger反応)、その後次の段階(b)にカルボン酸化合物をジフェニルエーテルのような反応に不活性な適した溶媒の存在下に、高温において脱カルボキシル化する。
【0081】
【化7】

【0082】
前記及び後記の反応において、抽出、結晶化及びクロマトグラフィーのような当該技術分野において一般に既知の方法に従って、反応生成物を反応媒体から単離し、必要ならさらに精製できることは明らかである。1つより多いエナンチオマー形態で存在する反応生成物を既知の方法により、特に調製的クロマトグラフィー、例えば調製的HPLCによりそれらの混合物から単離できることはさらに明らかである。典型的には、式(I)の化合物はそれらの異性体に分離され得る。
【0083】
式(III)の中間化合物は、商業的に入手可能であるか、又は当該技術分野において一般に既知の通常の反応方法に従って製造することができる化合物である。例えばR3がs個の置換基R10で置換されたArであり、ここで各R10は独立してヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノ、C1-6アルキル、ポリハロC1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、ポリハロC1-6アルキルオキシ、カルボキシル、C1-6アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、モルホリニル及びモノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノカルボニルの群から選ばれ、sはゼロ、1、2又は3に等しい整数である式(III−a)の中間化合物は、以下の反応スキーム(4)に従って製造することができる:
【0084】
【化8】

【0085】
反応スキーム(4)は段階(a)を含んでなり、段階(a)においては適したルイス酸、例えばAlCl3、FeCl3、SnCl4、TiCl4又はZnCl2及び反応に不活性な適した溶媒、例えば塩化メチレン又はエチレンジクロリドの存在下で、適切に置換されたAr、特に適切に置換されたフェニルをFriedel−Craft反応により適した塩化アシル、例えば3−クロロプロピオニルクロリド又は4−クロロブチリルクロリドと反応させる。室温〜還流温度の範囲の温度で反応を簡便に行なうことができる。次の段階(b)に、段階(a)で得られる中間化合物を第1級もしくは第2級アミンと反応させることにより、アミノ基(−NR45)を導入する。
【0086】
一般にバクテリア性病原体をグラム−陽性又はグラム−陰性病原体として分類することができる。グラム−陽性及びグラム−陰性病原体の両方に対する活性を有する抗生化合物(antibiotic compounds)は一般に広範囲の活性を有するとみなされる。本発明の化合物は、グラム−陽性及び/又はグラム−陰性バクテリア性病原体に対して活性であると思われる。特に本化合物は少なくとも1種のグラム−陽性バクテリアに対して、好ましくは数種のグラム−陽性バクテリアに対して、より好ましくは1種もしくはそれより多いグラム−陽性バクテリア及び/又は1種もしくはそれより多いグラム−陰性バクテリアに対して活性である。
【0087】
本化合物は、殺バクテリア又はバクテリア発育阻止活性を有する。
【0088】
グラム−陽性及びグラム−陰性好気性及び嫌気性バクテリアの例にはブドウ球菌(Staphylococci)、例えばS.アウレウス;腸球菌、例えばE.ファエカリス(E.faecalis);連鎖球菌(Streptococci)、例えばS.ニューモニアエ、S.ムタンス(S.mutans)、S.ピオゲンス(S.pyogens);桿菌(Bacilli)、例えばバシルス・スブチリス(Bacillus subtilis);リステリア(Listeria)、例えばリステリア・モノシトゲネス(Listeria monocytogenes);ヘモフィルス(Haemophilus)、例えばH.インフルエンザ(H.influenza);モラクセラ(Moraxella)、例えばM.カタルハリス(M.catarrhalis);シュードモナス(Pseudomonas)、例えばシュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa);及び大腸菌(Escherichia)、例えばE.コリ(E.coli)が含まれる。グラム−陽性病原体、例えばブドウ球菌、腸球菌及び連鎖球菌は、処置が困難であり且つ確立されると例えば病因環境から根絶させるのが困難な耐性株の発現の故に、特に重要である。そのような株の例はメチシリン耐性スタフィロコックス・アウレウス(MRSA)、メチシリン耐性コアギュラーゼ陰性ブドウ球菌(MRCNS)、ペニシリン耐性ストレプトコックス・ニューモニアエ及び多剤耐性エンテロコックス・ファエカリスである。
【0089】
本発明の化合物は、耐性バクテリア株に対しても活性を示す。
【0090】
本発明の化合物は、耐性スタフィロコックス・アウレウス、例えばメチシリン耐性スタフィロコックス・アウレウス(MRSA)を含むスタフィロコックス・アウレウス及びストレプトコックス・ニューモニアエに対して特に活性である。
【0091】
特に本発明の化合物は、生存能がF1F0 ATPシンターゼの正しい作用に依存するバクテリアに活性である。いずれかの理論に縛られるものではないが、本化合物の活性はF1F0 ATPシンターゼの阻害、特にF1F0 ATPシンターゼのF0錯体の阻害、さらに特定的にF1F0 ATPシンターゼのF0錯体のサブユニットcの阻害にあり、バクテリアの細胞ATPレベルの枯渇によりバクテリアを死亡させると記載されている。
【0092】
前記又は後記で用いられる場合は常に、化合物がバクテリア感染を処置できることは、化合物が1種もしくはそれより多いバクテリア株による感染を処置できることを意味する。
【0093】
前記又は後記で用いられる場合は常に、バクテリア感染がマイコバクテリア感染以外であることは、バクテリア感染が1種もしくはそれより多いマイコバクテリアによる感染以外であることを意味する。
【0094】
本化合物の正確な投薬量及び投与の頻度は、当該技術分野における熟練者に周知の通り、用いられる特定の式(I)の化合物、処置されている特定の状態、処置されている状態の重度、特定の患者の年令、体重、性別、食事、投与の時間及び一般的身体条件、投与の様式ならびに患者が摂取してい得る他の薬剤に依存する。さらに、処置される患者の応答に依存して、及び/又は本発明の化合物を処方する医師の評価に依存して、有効な1日の量を減少させるか又は増加させることができることは明らかである。
【0095】
本発明の化合物を、場合により製薬学的に許容され得る担体中の製薬学的に許容され得る形態で投与することができる。化合物及び化合物を含んでなる組成物を局所的(topically)、局所的(locally)又は全身的のような経路により投与することができる。全身的適用は体の組織中への化合物の導入方法、例えば髄腔内、硬膜外、筋肉内、経皮的、静脈内、腹腔内、皮下、舌下、直腸内及び経口的投与を含む。投与されるべき抗バクテリア剤の特定の投薬量ならびに処置の持続期間を必要通り調整することができる。
【0096】
本化合物により処置されることができるバクテリア感染には、例えば中枢神経系感染、外耳感染、中耳の感染、例えば急性中耳炎、硬膜静脈洞の感染、目の感染、口腔の感染、例えば歯、歯肉(gums)及び粘膜の感染、上気道感染、下気道感染、尿生殖器感染、胃腸感染、婦人科学的感染、敗血症、骨及び関節感染、皮膚及び皮膚構造感染、バクテリア性心内膜炎、火傷、手術の抗バクテリア性予防ならびに免疫抑制患者、例えばガンの化学療法を受けている患者又は組織移植患者における抗バクテリア性予防が含まれる。
【0097】
式(I)の化合物がグラム−陽性及び/又はグラム−陰性バクテリアに対して活性であることを前提とし、バクテリア感染を有効に防除するために、本化合物を他の抗バクテリア剤と組み合わせることができる。
【0098】
従って本発明は、(a)式(I)の化合物及び(b)1種もしくはそれより多い他の抗バクテリア剤の組み合せにも関し、但し、1種もしくはそれより多い他の抗バクテリア剤は抗マイコバクテリア剤以外である。
【0099】
本発明は、薬剤としての使用のための(a)式(I)の化合物及び(b)1種もしくはそれより多い他の抗バクテリア剤の組み合せにも関し、但し、1種もしくはそれより多い他の抗バクテリア剤は抗マイコバクテリア剤以外である。
【0100】
製薬学的に許容され得る担体ならびに活性成分として(a)式(I)の化合物及び(b)1種もしくはそれより多い他の抗バクテリア剤の治療的に有効な量を含んでなり、但し、1種もしくはそれより多い他の抗バクテリア剤は抗マイコバクテリア剤以外である製薬学的組成物も本発明に含まれる。
【0101】
本発明は、バクテリア感染の処置のための上記で定義した組み合せ又は製薬学的組成物の使用にも関する。
【0102】
本製薬学的組成物は、投与目的のための種々の製薬学的形態を有することができる。適した組成物として、全身的に薬剤を投与するために通常用いられるすべての組成物を挙げることができる。本発明の製薬学的組成物の調製のために、場合により付加塩の形態にあることができる特定の化合物の活性成分として有効な量を、製薬学的に許容され得る担体と緊密な混合物において合わせ、その担体は、投与のために望ましい調製物の形態に依存して多様な形態をとることができる。望ましくはこれらの製薬学的組成物は、特に経口的又は非経口的注入による投与に適した単位投薬形態にある。例えば経口的投薬形態における組成物の調製において、通常の製薬学的媒体のいずれか、例えば懸濁剤、シロップ、エリキサー、乳剤及び溶液のような経口用液体調製物の場合、水、グリコール、油、アルコールなど;あるいは粉剤、丸薬、カプセル及び錠剤の場合、澱粉、糖類、カオリン、希釈剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などのような固体担体を用いることができる。それらの投与の容易さのために、錠剤及びカプセルは最も有利な経口的投薬単位形態物を与え、その場合には固体の製薬学的担体が用いられるのは明らかである。非経口用組成物の場合、担体は通常少なくとも大部分において無菌水を含んでなるが、例えば溶解性を助けるための他の成分が含まれることができる。例えば担体が食塩水、グルコース溶液又は食塩水とグルコース溶液の混合物を含んでなる注入可能な溶液を調製することができる。注入可能な懸濁剤も調製することができ、その場合には適した液体担体、懸濁化剤などを用いることができる。使用の直前に液体形態の調製物に転換されることが意図されている固体形態の調製物も含まれる。
【0103】
投与の様式に依存して、製薬学的組成物は、好ましくは0.05〜99重量%、より好ましくは0.1〜70重量%の活性成分及び1〜99.95重量%、より好ましくは30〜99.9重量%の製薬学的に許容され得る担体を含んでなり、すべてのパーセンテージは合計組成物に基づく。
【0104】
組み合わせとして与えられる場合、式(I)の化合物と(b)単数種もしくは複数種の他の抗バクテリア剤の重量対重量の比率は、当該技術分野における熟練者が決定することができる。該比率及び正確な投薬量及び投与の頻度は、当該技術分野における熟練者に周知の通り、用いられる特定の式(I)の化合物及び単数種もしくは複数種の他の抗バクテリア剤、処置されている特定の状態、処置されている状態の重度、特定の患者の年令、体重、性別、食事、投与の時間及び一般的身体条件、投与の様式ならびに患者が摂取してい得る他の薬剤に依存する。さらに、処置される患者の応答に依存して、及び/又は本発明の化合物を処方する医師の評価に依存して、有効な1日の量を減少させるか又は増加させることができることは明らかである。
【0105】
式(I)の化合物及び1種もしくはそれより多い他の抗バクテリア剤を単一の調製物において組み合わせることができるか、あるいはそれらを同時に、個別にもしくは逐次的に投与できるように個別の調製物において調製することができる。かくして本発明は、バクテリア感染の処置における同時、個別又は逐次的使用のための組み合わせ調製物としての、(a)式(I)の化合物及び(b)1種もしくはそれより多い他の抗バクテリア剤を含有する製品であって、但し、1種もしくはそれより多い他の抗バクテリア剤が抗マイコバクテリア剤以外である製品にも関する。
【0106】
製薬学的組成物はさらに当該技術分野において既知の種々の他の成分、例えば滑沢剤、安定剤、緩衝剤、乳化剤、粘度−調整剤、界面活性剤、防腐剤、風味剤又は着色剤を含有することができる。
【0107】
投与の容易さ及び投薬量の均一性のために、前記の製薬学的組成物を投薬単位形態物において調製するのが特に有利である。本明細書で用いられる投薬単位形態物は、1回の投薬量として適した物理的に分離した単位を指し、各単位は所望の治療効果を生むために計算されたあらかじめ決められた量の活性成分を、必要な製薬学的担体と一緒に含有する。そのような単位投薬形態物の例は錠剤(刻み付き又はコーティング錠を含む)、カプセル、丸薬、粉剤小包、ウェハース、座薬、注入可能な溶液又は懸濁剤など、ならびに分離されたそれらの複数である。本発明に従う化合物の一日の投薬量は、もちろん用いられる化合物、投与の様式、所望の処置及び適用されるバクテリア性疾患とともに変化するであろう。
【0108】
式(I)の化合物と組み合わせることができる他の抗バクテリア剤は、当該技術分野において既知の抗バクテリア剤である。他の抗バクテリア剤はβ−ラクタム群の抗生物質、例えば天然のペニシリン、半合成ペニシリン、天然のセファロスポリン、半合成セファロスポリン、セファマイシン(cephamycins)、1−オキサセフェム(1−oxacephems)、クラブラン酸、ペネム(penems)、カルバペネム(carbapenems)、ノカルジシン(nocardicins)、モノバクタム(monobactams);テトラサイクリン、アンヒドロテトラサイクリン、アンスラサイクリン;アミノグリコシド;ヌクレオシド、例えばN−ヌクレオシド、C−ヌクレオシド、炭素環式ヌクレオシド、ブラスチシジン S(blasticidin S);マクロライド、例えば12−員環マクロライド、14−員環マクロライド、16−員環マクロライド;アンサマイシン(ansamycins);ペプチド、例えばブレオマイシン(bleomycins)、グラミシジン(gramicidins)、ポリミクシン(polymyxins)、バシトラシン(bacitracins)、ラクトン結合を含有する大環ペプチド抗生物質、アクチノマイシン(actinomycins)、アンフォマイシン(amphomycin)、カプレオマイシン(capreomycin)、ジスタマイシン(distamycin)、エンデュラシジン(enduracidins)、ミカマイシン(mikamycin)、ネオカルジノスタチン(neocarzinostatin)、ステンドマイシン(stendomycin)、バイオマイシン(viomycin)、バージニアマイシン(virginiamycin);シクロヘキシミド(cycloheximide);シクロセリン(cycloserine);バリオチン(variotin);サルコマイシン A(sarkomycin A);ノボビオシン(novobiocin);グリセオフルビン(griseofulvin);クロラムフェニコール;ミトマイシン;フマギリン(fumagillin);モネンシン(monensins);ピロールニトリン(pyrrolnitrin);フォスフォマイシン(fosfomycin);フシジン酸;D−(p−ヒドロキシフェニル)グリシン;D−フェニルグリシン;エンジイン(enediynes)を含んでなる。
【0109】
本式(I)の化合物と組み合わせることができる特定的な抗生物質は、例えばベンジルペニシリン(カリウム、プロカイン、ベンザチン)、フェノキシメチルペニシリン(カリウム)、フェネチシリンカリウム(phenethicillin potassium)、プロピシリン(propicillin)、カルベニシリン(carbenicillin)(二ナトリウム、フェニルナトリウム、インダニルナトリウム)、スルベニシリン(sulbenicillin)、チカルシリン二ナトリウム(ticarcillin disodium)、メチシリンナトリウム、オキサシリンナトリウム(oxacillin sodium)、クロキサシリンナトリウム(cloxacillin sodium)、ジクロキサシリン(dicloxacillin)、フルクロキサシリン(flucloxacillin)、アンピシリン(ampicillin)、メツロシリン(mezlocillin)、ピペラシリンナトリウム(piperacillin sodium)、アモキシシリン(amoxicillin)、シクラシリン(ciclacillin)、ヘクタシリン(hectacillin)、スルバクタムナトリウム(sulbactam sodium)、塩酸タランピシリン(talampicillin hydrochloride)、塩酸バカンピシリン(bacampicillin hydrochloride)、ピブメシリナム(pivmecillinam)、セファレキシン(cephalexin)、セファクロル(cefaclor)、セファログリシン(cephaloglycin)、セファドロキシル(cefadroxil)、セフラジン(cephradine)、セフロキサジン(cefroxadine)、セファピリンナトリウム(cephapirin sodium)、セファロチンナトリウムcephalothin sodium)、セファセトリルナトリウム(cephacetrile sodium)、セフスロジンナトリウム(cefsulodin sodium)、セファロリジン(cephaloridine)、セファトリジン(cefatrizine)、セフォペラゾンナトリウム(cefoperazone sodium)、セファマンドール(cefamandole)、塩酸ベフォチアム(vefotiam hydrochloride)、セファゾリンナトリウム(cefazolin sodium)、セフチゾキシムナトリウム(ceftizoxime sodium)、セフォタキシムナトリウム(cefotaxime sodium)、塩酸セフメノキシム(cefmenoxime hydrochloride)、セフロキシム(cefuroxime)、セフトリアキソンナトリウム(ceftriaxone sodium)、セフタチジム(ceftazidime)、セフォキシチン(cefoxitin)、セフメタゾール(cefmetazole)、セフォテタン(cefotetan)、ラタモキセフ(latamoxef)、クラブラン酸、イミペネム(imipenem)、アズトレオナム(aztreonam)、テトラサイクリン、塩酸クロルテトラサイクリン、デメチルクロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、メタサイクリン(methacycline)、ドキシサイクリン(doxycycline)、ロリテトラサイクリン(rolitetracycline)、ミノサイクリン(minocycline)、塩酸ダウノルビシン、ドキソルビシン、アクラルビシン(aclarubicin)、硫酸カナマイシン、ベカナマイシン(bekanamycin)、トブラマイシン(tobramycin)、硫酸ゲンタマイシン、ジベカシン(dibekacin)、アミカシン(amikacin)、ミクロノマイシン(micronomicin)、リボスタマイシン(ribostamycin)、硫酸ネオマイシン(neomycin sulfate)、硫酸パロモマイシン(paromomycin sulfate)、硫酸ストレプトマイシン、ジヒドロストレプトマイシン、デストマイシン A(destomycin A)、ハイグロマイシン B(hygromycin B)、アプラマイシン(apramycin)、シソマイシン(sisomicin)、硫酸ネチルマイシン(netilmicin sulfate)、塩酸スペクチノマイシン(spectinomycin hydrochloride)、硫酸アストロマイシン(astromicin sulfate)、バリダマイシン、カスガマイシン、ポリオキシン(polyoxin)、ブラスチシジン S、エリスロマイシン(erythromycin)、エリスロマイシンエストレート(erythromycin estolate)、リン酸オレアンドマイシン(oleandomycin phosphate)、トラセチルオレアンドマイシン(tracetyloleandomycin)、キタサマイシン(kitasamycin)、ジョサマイシン(josamycin)、スピラマイシン(spiramycin)、チロシン(tylosin)、イベルメクチン(ivermectin)、ミデカマイシン(midecamycin)、硫酸ブレオマイシン(bleomycin sulfate)、硫酸ペプロマイシン(peplomycin sulfate)、グラミシジン S(gramicidin S)、ポリミキシン B(polymyxin B)、バシトラシン(bacitracin)、硫酸コリスチン(colistin sulfate)、コリスチンメタンスルホネートナトリウム、エンラマイシン(enramycin)、ミカマイシン、バージニアマイシン、硫酸カプレオマイシン(capreomycin sulfate)、バイオマイシン、エンビオマイシン(enviomycin)、バンコマイシン、アクチノマイシン D、ネオカルチノスタチン(neocarzinostatin)、ベスタチン(bestatin)、ペプスタチン(pepstatin)、モネンシン、ラサロシド(lasalocid)、サリノマイシン(salinomycin)、アンフォテリシン B(amphotericin B)、ニスタチン(nystatin)、ナタマイシン(natamycin)、トリコマイシン(trichomycin)、ミスラマイシン(mithramycin)、リンコマイシン(lincomycin)、クリンダマイシン(clindamycin)、塩酸パルミチン酸クリンダマイシン、フラボホスホリポール(flavophospholipol)、シクロセリン、ペシロシン(pecilocin)、グリセオフルビン(griseofulvin)、クロラムフェニコール、パルミチン酸クロラムフェニコール、ミトマイシン C、ピロールニトリン、フォスフォマイシン、フシジン酸、ビコザマイシン(bicozamycin)、チアムリン(tiamulin)、シッカニン(siccanin)である。
【0110】
表1〜4は、本発明に従う式(I)の化合物を挙げている。
【0111】
いくつかの化合物の、その中の単数もしくは複数のステレオジェン炭素原子の絶対立体化学的配置は実験的に決定されなかった。そのような場合、第一に単離された立体化学的異性体を「A」と称し、第2のものを「B」と称し、実際の立体化学的配置にそれ以上言及しない。しかしながら、例えばX−線回折のような当該技術分野において既知の方法を用い、当該技術分野における熟練者が該「A」及び「B」異性体を明確に特性化することができる。
【0112】
「A」及び「B」が立体異性体混合物の場合、それらをさらに分離することができ、それにより単離されるそれぞれの第1の画分をそれぞれ「A1」及び「B1」と称し、第2のものをそれぞれ「A2」及び「B2」と称し、実際の立体化学的配置にそれ以上言及しない。しかしながら、例えばX−線回折のような当該技術分野において既知の方法を用い、当該技術分野における熟練者が該「A1,A2」及び「B1,B2」異性体を明確に特性化することができる。
【0113】
本化合物は国際公開第2004/011436号パンフレットの化合物に準じて番号付けされ、国際公開第2004/011436号パンフレットに記載されている方法に従って製造することができる。下記の表中の実施例番号は国際公開第2004/011436号パンフレットの実施例番号を指し、その方法に従って化合物を製造できることを示す。
【0114】
追加の化合物を文字で示す。
【実施例】
【0115】
化合物A、B及びCは国際公開第2004/011436号パンフレットに記載されている方法に従って製造された。下記のスキームは化合物A、B及びCの合成経路を示す。実施例番号A8、A9、B12及びB13は国際公開第2004/011436号パンフレットの方法に対応する。
【0116】
【化9】

【0117】
ジアステレオ異性体(B)である化合物Cは、ジアステレオ異性体の混合物から以下の通りに単離された:
B12の方法に従って得られる残留物(5.4g)をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:CH2Cl2/シクロヘキサン:60/40)により精製した。2つの画分を集め、溶媒を蒸発させた。第2の画分をジイソプロピルエーテルから結晶化させ、0.83gの化合物C(ジアステレオ異性体B)を得た(収率:13%)。
【0118】
ジアステレオ異性体(B)である化合物A及びジアステレオ異性体(A)である化合物Bは、ジアステレオ異性体の混合物から以下の通りに単離された:
実施例B13の方法に従って得られる残留物(1.7g)をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:CH2Cl2/CH3OH/NH4OH;98/2/0.1)により精製した。2つの画分を集め、溶媒を蒸発させた。画分をジイソプロピルエーテルから個別に結晶化させ、0.31gの化合物B(ジアステレオ異性体A)(収率:27%)及び0.52gの化合物A(ジアステレオ異性体B)(収率:45%)を得た。
【0119】
化合物Dは国際公開第2004/011436号パンフレットに記載されている方法に従って製造された。下記のスキームは化合物Dの合成経路を示す。実施例番号A9、B12及びB13は国際公開第2004/011436号パンフレットの方法に対応する。
【0120】
【化10】

【0121】
ジアステレオ異性体(B)である化合物Dは、ジアステレオ異性体の混合物から以下の通りに単離された:
実施例B13の方法に従って得られる残留物(1.2g)をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:CH2Cl2/CH3OH/NH4OH;95/5/0.5)により精製した。2つの画分を集め、溶媒を蒸発させた。第2の画分をジイソプロピルエーテルから結晶化させ、0.08gの化合物D(ジアステレオ異性体B)を得た(収率:10%)。
【0122】
化合物E及びFは、国際公開第2004/011436号パンフレットの化合物4(ジアステレオ異性体B)を以下の方法によりそのエナンチオマーに分離することにより製造された:
カラムクロマトグラフィー(溶離剤:ヘキサン/エタノール 99.95/0.05;カラム:CHIRACEL OD)により最終的化合物4(2.5g)をそのエナンチオマーに分離した。2つの純粋な画分を集め、それらの溶媒を蒸発させた。収量:0.5gの化合物E(エナンチオマーB1)(融点180℃)及び0.12gの化合物F(エナンチオマーB2)(融点175℃)。
【0123】
化合物Gは以下の通りに製造された:
ジメトキシエタン(4ml)中の化合物115(国際公開第2004/011436号パンフレットのB15に従って製造)(0.00028モル)、ピリジン−3−ボロン酸1,3−プロパンジオール環状エステル(0.00055モル)、Pd[P(Ph3)]4(0.00003モル)及びNa2CO3 2M(0.0011モル)の混合物を90℃で1.5時間攪拌し、次いでH2O中に注ぎ出し、CH2Cl2で抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:CH2Cl2/CH3OH 95/5;5μm)により精製した。純粋な画分を集め、溶媒を蒸発させた。収量:0.09gの化合物G(60%)(融点201℃)。
【0124】
化合物Hは以下の通りに製造された:
ジメトキシエタン(10ml)中の化合物15(国際公開第2004/011436号パンフレットのB7に従って製造)(0.0009モル)、2−フランボロン酸(0.0018モル)、Pd[P(Ph3)]4(0.00009モル)及びNa2CO3 2M(0.0036モル)の混合物を90℃で6時間攪拌し、次いでH2O中に注ぎ出し、CH2Cl2で抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物(0.57g)をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:CH2Cl2/CH3OH/NH4OH;99/1/0.1;10μm)により精製した。純粋な画分を集め、溶媒を蒸発させ、0.23gの残留物を得た。この画分をジイソプロピルエーテル/アセトニトリルから結晶化させた。沈殿を濾過し、乾燥した。収量:0.071gの化合物H(15%)(融点215℃)。
【0125】
化合物Iは国際公開第2004/011436号パンフレットに記載されている方法に従って製造された。下記のスキームは化合物Jの合成経路を示す。実施例番号A10及びB1は、国際公開第2004/011436号パンフレットの方法に対応する。
【0126】
【化11】

【0127】
パラホルムアルデヒド(水中の37%,4ml)、HCl/iPrOH(1ml)及びエタノール(100ml)中の商業的に入手可能な5−アセチル−1,2−ジヒドロアセナフチレン(0.0407モル)及びジメチルアミン塩酸塩(0.0858モル)の混合物を48時間攪拌し且つ還流させた。溶媒を蒸発させた。残留物をH2O/HCl 3N/CH2Cl2中に取り上げた。水層を塩基性とし、CH2Cl2で抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:CH2Cl2/CH3OH/NH4OH 95/5/0.2;15−40μm)により精製した。純粋な画分を集め、溶媒を蒸発させた。収量:4.9gの中間体J(48%)。
テトラヒドロフラン(15ml)中のジイソプロピルアミン(0.0091モル)の溶液に、N2流下に−20℃においてn−BuLi 1.6M(0.0102モル)を滴下した。混合物を−20℃で20分間攪拌し、次いで−70℃に冷却した。テトラヒドロフラン(10ml)中の中間化合物3(0.0091モル)の溶液を滴下した。混合物を−70℃で2時間攪拌した。テトラヒドロフラン(20ml)中の中間体J(0.01モル)の溶液を滴下した。混合物を−70℃で3時間攪拌し、氷水中に注ぎ出し、EtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物(6.5g)をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:CH2Cl2/CH3OH/NH4OH 99/1/0.2;15−40μm)により精製した。2つの画分を集め、溶媒を蒸発させた。収量:0.96g F1,0.72g F2。F1をジエチルエーテルから結晶化させた。沈殿を濾過し、乾燥した。収量:0.87gの化合物J(17%)。
【0128】
【表3】

【0129】
【表4】

【0130】
【表5】

【0131】
【表6】

【0132】
【表7】

【0133】
【表8】

【0134】
【表9】

【0135】
分析方法
LCMS(液体クロマトグラフイー質量分析)を用いていくつかの化合物の質量を記録した。用いられる方法を下記に記載する。データを下記の表5に集める。
LCMS−法
Kromasil C18カラム(Interchim,Montlucon,FR;5μm,4.6x150mm)上で1ml/分の流量を用いてLCMS分析を行なった(正モード(positive mode)における電子スプレーイオン化,走査モード100から900amu)。2つの移動相(移動相A:30% 6.5mM酢酸アンモニウム+40% アセトニトリル+30% ギ酸(2ml/l);移動相B:100%アセトニトリル)を用い、1分間の100%Aから4分内で100%Bへ、5分間の100%Bから3分内で100%Aへ、そして100%Aを用いて2分間平衡化の勾配条件を実施した。
【0136】
【表10】

【0137】
薬理学的実施例
感受性検査のためのバクテリア懸濁液の調製:
この研究で用いられるバクテリアを、無菌脱イオン水中のMueller−Hinton Broth(Becton Dickinson−カタログ番号275730)の100mlを含有するフラスコ中で、37℃で振盪させながら終夜成長させた。保存菌株(stocks)(0.5ml/管)を使用まで−70℃で保存した。ミクロタイタープレートにおいてバクテリア滴定を行い、TCID50を検出し、ここでTCID50は、接種される培養物の50%においてバクテリア成長を生ずる希釈を示す。
【0138】
一般に約100 TCID50の接種材料レベルを感受性検査に用いた。
抗バクテリア剤感受性検査:IC90決定
ミクロタイタープレートアッセイ
平底無菌96−ウェルプラスチックミクロタイタープレートに、0.25%のBSAが補足された180μlの無菌脱イオン水を満たした。続いて化合物の倍液(7.8x最終的検査濃度)を45μlの容積で列2に加えた。ミクロタイタープレートにおいて直接、列2から列11に達するまで、系列5−倍希釈(180μl中の45μl)を行なった。接種材料を含む(列1)及び含まない(列12)未処理標準試料が各ミクロタイタープレートに含まれた。バクテリアの型に依存して、ウェル当たり約10〜60CFUのバクテリア接種材料(100 TCID50)を、2.8xMueller−Hintonブロス培地中の100μlの容積で、列12を除いて行A〜Hに加えた。接種材料を含まない同じ容積のブロス培地を行A〜Hにおける列12に加えた。培養物を標準雰囲気下に37℃で24時間インキュベーションした(開放バルブ(open air valve)及び連続的換気を有するインキュベーター)。接種から1日後のインキュベーションの最後に、蛍光測定法によりバクテリア成長を定量した。そのために、接種から3時間後にレザズリン(0.6mg/ml)を20μlの容積ですべてのウェルに加え、プレートを終夜再インキュベーションした。青からピンクへの色の変化はバクテリアの成長を示した。コンピューター制御蛍光計(Cytofluor Biosearch)において、530nmの励起波長及び590nmの発光波長で蛍光を読み取った。標準的方法に従って、化合物により達成される%成長阻止を計算した。IC90(μg/mlにおいて表される)をバクテリア成長に関する90%阻止濃度と定義した。結果を表6に示す。
寒天希釈法
用いられる培地がMueller−Hinton寒天を含むNCCLS標準*に従う標準的寒天希釈法を行なうことにより、MIC99値(バクテリア成長の99%阻止を得るための最小濃度)を決定することができる。
*Clinical laboratory standard institute.2005.Methods for dilution Antimicrobial susceptibility tests for bacteria that grows Aerobically:approved standard−sixth edition
タイム・キル・アッセイ(time kill assays)
化合物の殺バクテリア又はバクテリア発育阻止活性を、ブロス微量希釈法(broth microdilution method)*を用いるタイム・キル・アッセイにおいて決定することができる。スタフィロコックス・アウレウス及びメチシリン耐性S.アウレウス(MRSA)へのタイム・キル・アッセイにおいて、S.アウレウス及びMRSAの出発接種材料は、Muller Hintonブロス中の106CFU/mlである。抗バクテリア性化合物は、MIC(すなわちミクロタイタープレートアッセイで決定されるIC90)の0.1〜10倍の濃度で用いられる。抗バクテリア剤を与えられないウェルは、培養成長標準を構成する。微生物及び試験化合物を含有するプレートを37℃でインキュベーションする。0、4、24及び48時間のインキュベーションの後、無菌PBS中における系列希釈(10-1〜10-6)及びMueller Hinton寒天上におけるプレート化(200μl)による生菌数測定値の決定のために試料を取り出す。プレートを37℃で24時間インキュベーションし、コロニーの数を決定する。ml当たりのlog10CFU対時間をプロットすることにより、殺害曲線を構成することができる。殺バクテリア効果は通常、未処理接種材料と比較した場合のml当たりのCFUの数における3−log10減少として定義される。可能な薬剤の繰り返し効果は、系列希釈及びプレート化に用いられる最高希釈におけるコロニーの計数により除去される。
*Zurenko,G.E.et al.著,In vitro activities of U−100592 and U−100766,novel oxazolidinone antibacterial agents.Antimicrob.Agents Chemother.40,1996年,839−845.
細胞ATPレベルの決定
合計細胞ATP濃度における変化を分析するために(ATP bioluminescence Kit,Rocheを用いる)、100mlのMueller Hintonフラスコ中でS.アウレウス(ATCC29213)保存菌株の培養物を成長させ、振盪器−インキュベーター中で37℃において24時間インキュベーション(300rpm)することによりアッセイを行なう。OD405nmを測定し、CFU/mlを計算する。培養物を1x106CFU/mlに希釈し(ATP測定のための最終的濃度:ウェル当たり100μlにつき1x105CFU)、MIC(すなわちミクロタイタープレートアッセイにおいて決定されるIC90)の0.1〜10倍において試験化合物を加える。これらの管を300rpm及び37℃において0、30及び60分間インキュベーションする。スナップ−キャップ管(snap−cap tubes)から0.6mlのバクテリア懸濁液を用い、新しい2mlのエッペンドルフ管に加える。0.6mlの細胞ライシス試薬(Rocheキット)を加え、最大速度で渦動し、室温で5分間インキュベーションする。氷上で冷却する。ルミノメーターを30℃まで温める(インジェクターを有するLuminoskan Ascent Labsystems)。1つの列(=6個のウェル)に100μlの同じ試料を満たす。インジェクターシステムを用いることにより、100μlのルシフェラーゼ試薬を各ウェルに加える。ルミネセンスを1秒間測定する。
【0139】
【表11】

【0140】
【表12】

【0141】
【表13】

【0142】
【表14】

【0143】
BSU 43639はバシルス・スブチリス(ATCC43639)を意味する;ECO 25922はエシェリキア・コリ(ATCC25922)を意味する;EFA 14506はエンテロコックス・ファエカリス(ATCC14506)を意味する;EFA 29212はエンテロコックス・ファエカリス(ATCC29212)を意味する;LMO 49594はリステリア・モノシトゲネス(ATCC49594)を意味する;PAE 27853はシュードモナス・アエルギノサ(ATCC27853)を意味する;SMU 33402はストレプトコックス・ムタンス(ATCC33402)を意味する;SPN 6305はストレプトコックス・ニューモニアエ(ATCC6305)を意味する;SPY 8668はストレプトコックス・ピオゲンス(ATCC8668)を意味する;STA 43300はスタフィロコックス・アウレウス(ATCC43300)を意味する;STA 25923はスタフィロコックス・アウレウス(ATCC25923)を意味する;STA 29213はスタフィロコックス・アウレウス(ATCC29213)を意味する;STA RMETHはメチシリン耐性スタフィロコックス・アウレウス(MRSA)(Antwerpの大学からの臨床的単離物)を意味する。ATCCはAmerican type tissue cultureを意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バクテリア感染の処置用の薬剤の製造のための化合物の使用であって、該化合物が式
【化1】

[式中、
1は水素、ハロ、ポリハロC1-6アルキル、C1-6アルキル、Ar又はHetであり;
pは1又は2に等しい整数であり;
2はC1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルオキシC1-6アルキルオキシ又はC1-6アルキルチオであり;
3はAr、Het又はHet1であり;
4及びR5はそれぞれ独立して水素、C1-6アルキル又はベンジルであるか;あるいは
4及びR5は一緒になって且つそれらが結合しているNを含んで、ピロリジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、ピロリル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピペリジニル、ピリジニル、ピペラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、モルホリニル及びチオモルホリニルの群から選ばれる基を形成することができ、該環のそれぞれは場合によりC1-6アルキル、ハロ、ポリハロC1-6アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノ、C1-6アルキルチオ、C1-6アルキルオキシC1-6アルキル、C1-6アルキルチオC1-6アルキル又はピリミジニルで置換されていることができ;
6は水素、ハロ、ポリハロC1-6アルキル、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルチオであるか;あるいは
2個のビシナルR6基は一緒になって式
−CH=CH−CH=CH−
の2価の基を形成することができ;
rは1又は2に等しい整数であり;
7は水素、C1-6アルキル、Ar、Het又はHet1であり;
Arはフェニル、ナフチル、アセナフチル、テトラヒドロナフチルの群から選ばれる同素環であり、各同素環は場合により1、2又は3個の置換基で置換されていることができ、各置換基は独立してヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノ、C1-6アルキル、ポリハロC1-6アルキル、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、ポリハロC1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルオキシC1-6アルキル、カルボキシル、C1-6アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、モルホリニル及びモノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノカルボニルの群から選ばれ;
HetはN−フェノキシピペリジニル、ピペリジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル及びピリダジニルの群から選ばれる単環式複素環であり;各単環式複素環は場合により1、2又は3個の置換基で置換されていることができ、各置換基は独立してハロ、ヒドロキシ、C1-6アルキル、ポリハロC1-6アルキル、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルオキシC1-6アルキル又はAr−C(=O)−の群から選ばれ;
Het1はキノリニル、キノキサリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシニル又はベンゾ[1,3]ジオキソリルの群から選ばれる二環式複素環であり;各二環式複素環は場合により1、2又は3個の置換基で置換されていることができ、各置換基は独立してハロ、ヒドロキシ、C1-6アルキル、ポリハロC1-6アルキル、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、C1-6アルキルオキシC1-6アルキル又はAr−C(=O)−の群から選ばれる]
の化合物、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体あるいはそのN−オキシド形態であり、
但し、バクテリア感染がマイコバクテリア感染以外である使用。
【請求項2】
化合物が(αS,βR)−6−ブロモ−α−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2−メトキシ−α−1−ナフタレニル−β−フェニル−3−キノリンエタノール、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩又はそのN−オキシド形態以外である請求項1に従う使用。
【請求項3】
式(I)の化合物が次式
【化2】

を有する化合物、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体又はそのN−オキシド形態である請求項1又は2に従う使用。
【請求項4】
式(I)又は(I−a)の化合物が次式
【化3】

を有する化合物、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体又はそのN−オキシド形態である請求項1〜3のいずれか1つに従う使用。
【請求項5】
1が水素、ハロ、場合により置換されていることができるフェニル又はHetである請求項1〜4のいずれか1つに従う使用。
【請求項6】
1が水素、ハロ又は場合により置換されていることができるフェニルである請求項5に従う使用。
【請求項7】
1がハロを示す請求項6に従う使用。
【請求項8】
2がC1-6アルキルオキシ又はC1-6アルキルチオである請求項1〜7のいずれか1つに従う使用。
【請求項9】
3がAr又はHetである請求項1〜8のいずれか1つに従う使用。
【請求項10】
3がAr又はHet1である請求項1〜8のいずれか1つに従う使用。
【請求項11】
3がArである請求項9又は10に従う使用。
【請求項12】
3が場合により置換されていることができるフェニル又は場合により置換されていることができるナフチルである請求項11に従う使用。
【請求項13】
4及びR5がそれぞれ独立して水素、C1-6アルキル又はベンジルである請求項1〜12のいずれか1つに従う使用。
【請求項14】
4及びR5がそれぞれ独立して水素又はC1-6アルキルである請求項13に従う使用。
【請求項15】
4及びR5が一緒になって且つそれらが結合しているNを含んで、ピロリジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、ピロリル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピペリジニル、ピリジニル、ピペラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、モルホリニル及びチオモルホリニルの群から選ばれる基を形成することができ、該環のそれぞれは場合によりC1-6アルキル、ハロ、ポリハロC1-6アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノ、C1-6アルキルチオ、C1-6アルキルオキシC1-6アルキル、C1-6アルキルチオC1-6アルキル又はピリミジニルで置換されていることができる請求項1〜12のいずれか1つに従う使用。
【請求項16】
4及びR5が一緒になって且つそれらが結合しているNを含んで、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピペリジニル、ピリジニル、ピペラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、モルホリニル及びチオモルホリニルの群から選ばれる基を形成することができ、該環のそれぞれは場合によりC1-6アルキル、ハロ、ポリハロC1-6アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1-6アルキル)アミノ、C1-6アルキルチオ、C1-6アルキルオキシC1-6アルキル、C1-6アルキルチオC1-6アルキル又はピリミジニルで置換されていることができる請求項15に従う使用。
【請求項17】
6が水素、ハロ、ポリハロC1-6アルキル、C1-6アルキルであるか;あるいは2個のビシナルR6基が一緒になって式−CH=CH−CH=CH−の2価の基を形成することができる請求項1〜16のいずれか1つに従う使用。
【請求項18】
6が水素又はハロである請求項17に従う使用。
【請求項19】
7が水素である請求項1〜18のいずれか1つに従う使用。
【請求項20】
rが1に等しい整数である請求項1〜19のいずれか1つに従う使用。
【請求項21】
pが1に等しい整数である請求項1〜20のいずれか1つに従う使用。
【請求項22】
請求項1に従う使用であって、但し、1個のR1がC1-6アルキルである場合、pが2に等しい整数であり、他のR1置換基がハロ、ポリハロC1-6アルキル、C1-6アルキル、Ar又はHetから選ばれる使用。
【請求項23】
バクテリア感染がグラム−陽性バクテリアによる感染である請求項1〜22のいずれか1つに従う使用。
【請求項24】
1が水素;C1-6アルキル;ハロ;フェニル;場合によりヒドロキシC1-6アルキルで置換されていることができるフラニル;又はピリジルであり;R2がC1-6アルキルオキシ;C1-6アルキルチオ;又はC1-6アルキルオキシC1-6アルキルオキシであり;R3が場合により1もしくは2個のハロで置換されていることができるフェニル;場合により1もしくは2個のハロもしくはC1-6アルキルオキシで置換されていることができるナフチル;チエニル;Ar−C(=O)−で置換されたピペリジニル;2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシニル;ベンゾ[1,3]ジオキソリル;又はアセナフチルであり;R4及びR5がそれぞれ独立して水素;C1-6アルキル;ベンジルであるか;あるいはR4及びR5が一緒になって且つそれらが結合しているNを含んで、イミダゾリル;C1-6アルキルで置換されたピラジニル;C1-6アルキルで置換されたピペラジニル;ピリミジニルで置換されたピペラジニル;ピペリジニル;チオモルホリニル;モルホリニル;ピロリジニル;又はトリアゾリルから選ばれる基を形成することができ;R6が水素;ハロ;C1-6アルキルであるか;あるいは2個のビシナルR6基が一緒になって式−CH=CH−CH=CH−の2価の基を形成することができ;R7が水素である請求項1に従う使用。
【請求項25】
式(I)の化合物が
【表1】

その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩又はそのN−オキシド形態から選ばれる請求項1に従う使用。
【請求項26】
式(I)の化合物が
【表2】

その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩又はそのN−オキシド形態から選ばれる請求項1に従う使用。
【請求項27】
式(I)の化合物が
【表3】

その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩又はそのN−オキシド形態から選ばれる請求項1に従う使用。
【請求項28】
(a)請求項1〜27のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、及び(b)1種もしくはそれより多い他の抗バクテリア剤の組み合わせであって、但し、1種もしくはそれより多い他の抗バクテリア剤が抗マイコバクテリア剤以外である組み合わせ。
【請求項29】
製薬学的に許容され得る担体ならびに、活性成分として、(a)請求項1〜27のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、及び(b)1種もしくはそれより多い他の抗バクテリア剤の治療的に有効な量を含んでなる製薬学的組成物であって、但し、1種もしくはそれより多い他の抗バクテリア剤が抗マイコバクテリア剤以外である製薬学的組成物。
【請求項30】
バクテリア感染の処置のための請求項28に記載の組み合わせ又は請求項29に記載の製薬学的組成物の使用。
【請求項31】
バクテリア感染の処置における同時、個別又は逐次的使用のための組み合わせ調製物としての、(a)請求項1〜27のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、及び(b)1種もしくはそれより多い他の抗バクテリア剤を含有する製品であって、但し、1種もしくはそれより多い他の抗バクテリア剤が抗マイコバクテリア剤以外である製品。
【請求項32】
【表4】

から選ばれる化合物、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩又はそのN−オキシド形態。
【請求項33】
【表5】

から選ばれる化合物、その製薬学的に許容され得る酸もしくは塩基付加塩又はそのN−オキシド形態。


【公開番号】特開2006−342109(P2006−342109A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−169982(P2005−169982)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】