説明

抗動脈硬化作用を有する医薬組成物

【課題】
本発明は、優れた脂質低下作用、動脈硬化進展抑制効果を有する医薬組成物を提供する。
【解決手段】
N−{1−ブチル−4−[3−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル}−N’−(2,6−ジイソプロピル−4−アミノフェニル)ウレア若しくはN−[1−ブチル−4−(3−ピリジン−3−イルメトキシフェニル)−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル]−N’−(2,6−ジイソプロピルフェニル)ウレアであるジヒドロナフチリジン誘導体、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグと、HMG−CoA還元酵素阻害剤とを含有する医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れたアシルコエンザイム・コレステロール・アシルトランスフェラーゼ(以下、ACATと称する。)阻害作用を有するN−{1−ブチル−4−[3−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル}−N’−(2,6−ジイソプロピル−4−アミノフェニル)ウレア又はN−[1−ブチル−4−(3−ピリジン−3−イルメトキシフェニル)−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル]−N’−(2,6−ジイソプロピルフェニル)ウレアであるジヒドロナフチリジン誘導体、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグと、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoA(以下、HMG−CoAと称する。)還元酵素阻害剤とを有効成分として含有し、アテローム性動脈硬化に関連する疾患の予防又は治療薬として優れる医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
食事の欧米化や人口の高齢化等に伴い、アテローム性動脈硬化症は増加の一途を辿っている。アテローム性動脈硬化症は、心筋梗塞や脳梗塞、脳溢血等の主因となる為、その有効な予防法及び治療法が求められている。アテローム性動脈硬化症をもたらす危険因子として、高脂血症(特に、高コレステロ−ル血症)のほか、高血圧症、インスリン抵抗性に基づく糖代謝異常を挙げることができる。また、これらの危険因子は合併症(シンドロ−ムX)として発病する場合が多く、互いに病因が絡みあっていると考えられている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
アテローム性動脈硬化症を予防又は治療する目的で、高脂血症、高血圧症又はインスリン抵抗性等の各危険因子を抑制する試みがこれまでなされてきた。しかし、プラバスタチンのようなHMG−CoA還元酵素阻害剤は、高脂血症を改善し、その結果、アテローム性動脈硬化の抑制効果を発揮するが、重症の高脂血症又は動脈硬化症患者に対しては、単剤での効果が十分とは言えないことが知られている(例えば、非特許文献2参照)。従って、更に新たな作用の薬剤及び療法が必要とされている。
【0004】
ところで、高脂血症及び動脈硬化症に対して、脂質低下作用のある薬剤を2種以上組み合わせて処方することが有効なことが知られている(例えば、非特許文献3参照)。また、新たな作用機作の脂質低下剤を既存の薬剤と組み合わせて処方する事の有効性も指摘されている(例えば、特許文献1及び非特許文献4参照)。特許文献1には、2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル{[2,4,6−トリス(1−メチルエチル)フェニル]アセチル}スルファメートとアトルバスタチンを組み合わせて処方する医薬組成物が、具体的に開示されている。
【0005】
しかし、どの薬剤とHMG−CoA還元酵素阻害剤の組み合わせが、真に有効かつ安全な脂質低下剤、或いは、動脈硬化症の予防薬又は治療薬になり得るかは、依然として不明なところが多く残されている。また、薬剤によっては毒性が強いものもあり(例えば、非特許文献5参照)、その毒性を回避することが、他剤との併用療法において重要と考えられ、即ち、どのような薬剤を選択するのかが、最も重要とも考えられる。
【非特許文献1】ダイアビーティス,第37巻,第1595(1988年)[Diabetes,37,1595(1988)]
【非特許文献2】バイオケミカ・エト・バイオフィジカ・アクタ,第960巻,第294頁(1988年)[Biochim.Biophys.Acta,960,294(1988)]
【非特許文献3】ザ・ワシントン・マニュアル・オブ・メディカル・セラピューティクス,第29版(1998年)[The Washington Manual of Medical Therapeutics、29th Edition、by Department of Medicine,Washington University School of Medicine(1998)]
【非特許文献4】ダイアビート・アンド・メタボリズム・(パリ),第21巻,第139頁(1995年)[Diabete&Metabolisme(Paris),21,139(1995)]
【非特許文献5】ドラッグズ・オブ・ザ・フューチャー,第25巻,第171頁(2000年)[Drugs of the Future,25,171,(2000)]
【特許文献1】WO97/16184
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
どの薬剤とHMG−CoA還元酵素阻害剤の組み合わせが、真に有効かつ安全な脂質低下剤、或いは、動脈硬化症の予防薬又は治療薬になり得るかは、依然として不明なところが多いこと、また、他剤との併用療法によりその毒性(例えば、非特許文献5参照)を低減する必要があることが認識されている。本発明の課題は、これらの問題点を解決した優れた動脈硬化症の予防又は治療のための医薬組成物を提供することである。
【0007】
本発明者等は、動脈硬化症の予防と治療の重要性に鑑みて種々研究を重ねた結果、ACAT阻害剤であるN−{1−ブチル−4−[3−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル}−N’−(2,6−ジイソプロピル−4−アミノフェニル)ウレア又はN−[1−ブチル−4−(3−ピリジン−3−イルメトキシフェニル)−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル]−N’−(2,6−ジイソプロピルフェニル)ウレアであるジヒドロナフチリジン誘導体、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグと、HMG−CoA還元酵素阻害剤とを組み合わせて使用することにより、脂質低下作用、大動脈における動脈硬化に対する進展抑制効果、四肢関節部に発症する黄色腫に対する発症抑制効果が向上し、且つ毒性も弱いため、動脈硬化症又は黄色腫(特に、動脈硬化症)の予防薬又は治療薬(特に、治療薬)として有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の医薬組成物の有効成分は、ACAT阻害剤であるN−{1−ブチル−4−[3−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル}−N’−(2,6−ジイソプロピル−4−アミノフェニル)ウレア又はN−[1−ブチル−4−(3−ピリジン−3−イルメトキシフェニル)−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル]−N’−(2,6−ジイソプロピルフェニル)ウレアであるジヒドロナフチリジン誘導体、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグと、HMG−CoA還元酵素阻害剤とである。
【0009】
本発明の医薬組成物において、ACAT阻害剤であるN−{1−ブチル−4−[3−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル}−N’−(2,6−ジイソプロピル−4−アミノフェニル)ウレア(WO03/018581(EP1420017)参照)及びN−[1−ブチル−4−(3−ピリジン−3−イルメトキシフェニル)−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル]−N’−(2,6−ジイソプロピルフェニル)ウレア(WO00/09505参照)は、下記構造式(I)及び(II)を有する化合物である。
【0010】
【化1】


【0011】
本発明における医薬組成物の有効成分の一つであるHMG−CoA還元酵素阻害剤は、微生物由来の天然物質、それから誘導される半合成物質、及び全合成化合物のすべてが含まれ、例えば、
(+)−(3R,5R)−3,5−ジヒドロキシ−7−[(1S,2S,6S,8S,8aR)−6−ヒドロキシ−2−メチル−8−[(S)−2−メチルブチリルオキシ]−1,2,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1−ナフチル]ヘプタン酸(プラバスタチン、特開昭57−2240号公報(USP4346227)参照)、
(+)−(1S,3R,7S,8S,8aR)−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロ−3,7−ジメチル−8−[2−[(2R,4R)−テトラヒドロ−4−ヒドロキシ−6−オキソ−2H−ピラン−2−イル]エチル]−1−ナフチル (S)−2−メチルブチレート(ロバスタチン、特開昭57−163374号公報(USP4231938)参照)、
(+)−(1S,3R,7S,8S,8aR)−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロ−3,7−ジメチル−8−[2−[(2R,4R)−テトラヒドロ−4−ヒドロキシ−6−オキソ−2H−ピラン−2−イル]エチル]−1−ナフチル 2,2−ジメチルブチレート(シンバスタチン、特開昭56−122375号公報(USP4444784)参照)、
(±)(3R*,5S*,6E)−7−[3−(4−フルオロフェニル)−1−(1−メチルエチル)−1H−インド−ル−2−イル]−3,5−ジヒドロキシ−6−ヘプテン酸(フルバスタチン、特表昭60−500015号公報(USP4739073)参照)、
(3R,5S)−7−[2−(4−フルオロフェニル)−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−フェニルアミノカルボニル−1H−ピロ−ル−1−イル]−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸(アトルバスタチン、特開平3−58967号公報(USP5273995)参照)、
(+)−(3R,5S)−7−[4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチル−N−メタンスルフォニルアミノ)ピリミジン−5−イル]−3,5−ジヒドロキシ−6(E)−ヘプテン酸(ロスバスタチン、特開平5−178841号公報(USP5260440)参照)又は
(E)−3,5−ジヒドロキシ−7−[4’−(4’’−フルオロフェニル)−2’−シクロプロピルキノリン−3’−イル]−6−ヘプテン酸(ピタバスタチン、特開平1−279866号公報(USP5854259及びUSP5856336)参照)のようなスタチン化合物である。
【0012】
HMG−CoA還元酵素阻害剤として好適には、プラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン又はピタバスタチンであり、更に好適には、プラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン又はピタバスタチンであり、より好適には、プラバスタチン、シンバスタチン又はアトルバスタチンであり、更により好適には、プラバスタチン又はアトルバスタチンであり、特に好適には、アトルバスタチンである。
以下に、HMG−CoA還元酵素阻害剤の代表的なものの平面構造式を示す。
【0013】
【化2】

【0014】
【化3】


【0015】
本発明の医薬組成物の有効成分である化合物(I)又は化合物(II)は、常法に従って酸と処理することにより、それぞれ相当する薬理上許容される塩にすることができる。例えば、溶媒中(例えばエーテル類、エステル類又はアルコール類である)、相当する酸と室温で5分乃至30分間処理し、析出した結晶を濾取するか又は減圧下で溶媒を留去することにより得ることができる。そのような塩としては弗化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、沃化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩又は燐酸塩等の鉱酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩又はp−トルエンスルホン酸塩のようなスルホン酸塩;フマ−ル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、蓚酸塩又はマレイン酸塩等カルボン酸塩;又はグルタミン酸塩若しくはアスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩である。
【0016】
また、本発明の医薬組成物の有効成分である化合物(I)又は化合物(II)は、常法に従って塩基と処理することにより、それぞれ相当する薬理上許容される塩にすることができる。例えば、溶媒中(例えばエーテル類、エステル類又はアルコール類である)、相当する塩基と室温で5分乃至30分間処理し、析出した結晶を濾取するか又は減圧下で溶媒を留去することにより得ることができる。そのような塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩等の金属塩;アンモニウム塩のような無機塩、t−オクチルアミン塩、ジベンジルアミン塩、モルホリン塩、グルコサミン塩、フェニルグリシンアルキルエステル塩、エチレンジアミン塩、N−メチルグルカミン塩、グアニジン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン塩、クロロプロカイン塩、プロカイン塩、ジエタノールアミン塩、N−ベンジルフェネチルアミン塩、ピペラジン塩、テトラメチルアンモニウム塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩のような有機塩等のアミン塩であり、好適にはアルカリ金属塩(特にナトリウム塩又はカルシウム塩)である。
【0017】
尚、本発明の医薬組成物の有効成分であるHMG−CoA還元酵素阻害剤において、プラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン又はピタバスタチンは、そのラクトン閉環体又はその薬理上許容される塩(好適には、ナトリウム塩又はカルシウム塩等)を包含する。
【0018】
本発明の医薬組成物の有効成分である化合物(I)又は化合物(II)における「その薬理上許容されるプロドラッグ」とは、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により化合物(I)又は化合物(II)に変換される化合物、すなわち、酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こして化合物(I)又は化合物(II)に変化される化合物又は胃酸等により加水分解などを起こして化合物(I)又は化合物(II)に変化される化合物である。
【0019】
上記プロドラッグとしては、化合物(I)又は化合物(II)にアミノ基が存在する場合には、そのアミノ基がアシル化、アルキル化、りん酸化された化合物(例えば、そのアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、t−ブチル化された化合物等である);化合物(I)又は化合物(II)に水酸基が存在する場合には、その水酸基がアシル化、アルキル化、りん酸化、ほう酸化された化合物(例えば、その水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物等である);化合物(I)又は化合物(II)にカルボキル基が存在する場合には、そのカルボキシル基がエステル化、アミド化された化合物(例えば、そのカルボキシル基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物等である)などがある。
【0020】
本発明の化合物のプロドラッグは公知の方法によって化合物(I)又は化合物(II)から製造することができる。また、本発明の化合物のプロドラッグは、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような、生理的条件で化合物(I)又は化合物(II)に変化するものも含まれる。
【0021】
本発明の医薬組成物の有効成分である化合物(I)又は化合物(II)であるジヒドロナフチリジン誘導体、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグと、HMG−CoA還元酵素阻害剤は、各々幾何異性体、又は不斉炭素を含む場合には立体異性体が存在するが、その各々或いはそれらの混合物のいずれも本発明に包含される。
【0022】
本発明の医薬組成物の有効成分である化合物(I)又は化合物(II)であるジヒドロナフチリジン誘導体、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグと、HMG−CoA還元酵素阻害剤とは、各々水和物として存在することができるが、その各々或はそれらの混合物のいずれも本発明に包含される。
【0023】
本発明の医薬組成物は、
(1)N−{1−ブチル−4−[3−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル}−N’−(2,6−ジイソプロピル−4−アミノフェニル)ウレア又はN−[1−ブチル−4−(3−ピリジン−3−イルメトキシフェニル)−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル]−N’−(2,6−ジイソプロピルフェニル)ウレアであるジヒドロナフチリジン誘導体、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグと、HMG−CoA還元酵素阻害剤とを含有する医薬組成物であり、好適には、
(2)ジヒドロナフチリジン誘導体が、N−{1−ブチル−4−[3−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル}−N’−(2,6−ジイソプロピル−4−アミノフェニル)ウレアである(1)に記載の医薬組成物、
(3)ジヒドロナフチリジン誘導体が、N−[1−ブチル−4−(3−ピリジン−3−イルメトキシフェニル)−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル]−N’−(2,6−ジイソプロピルフェニル)ウレアである(1)に記載の医薬組成物、
(4)HMG−CoA還元酵素阻害剤が、プラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン又はピタバスタチンである、(1)乃至(3)から選択されるいずれか1項に記載の医薬組成物、
(5)HMG−CoA還元酵素阻害剤が、プラバスタチンである、(1)乃至(3)から選択されるいずれか1項に記載の医薬組成物及び
(6)HMG−CoA還元酵素阻害剤が、アトルバスタチンである、(1)乃至(3)から選択されるいずれか1項に記載の医薬組成物である。
【0024】
更に本発明は、
(7)動脈硬化症の予防又は治療のための、(1)乃至(6)から選択されるいずれか1項に記載の医薬組成物、
(8)哺乳動物に(1)乃至(6)から選択されるいずれか1項に記載された医薬組成物の有効量を投与することを特徴とする、動脈硬化症の予防方法又は治療方法、
(9)動脈硬化治療剤を製造するための、(1)乃至(6)から選択されるいずれか1項に記載の医薬組成物の使用、
(10)N−{1−ブチル−4−[3−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル}−N’−(2,6−ジイソプロピル−4−アミノフェニル)ウレア若しくはN−[1−ブチル−4−(3−ピリジン−3−イルメトキシフェニル)−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル]−N’−(2,6−ジイソプロピルフェニル)ウレアであるジヒドロナフチリジン誘導体、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグと、HMG−CoA還元酵素阻害剤とを同一の医薬組成物中に含有させる(1)乃至(6)から選択されるいずれか1項に記載の医薬組成物の製造方法、
(11)N−{1−ブチル−4−[3−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル}−N’−(2,6−ジイソプロピル−4−アミノフェニル)ウレア若しくはN−[1−ブチル−4−(3−ピリジン−3−イルメトキシフェニル)−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル]−N’−(2,6−ジイソプロピルフェニル)ウレアであるジヒドロナフチリジン誘導体、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグと、HMG−CoA還元酵素阻害剤とを同時に、順次又は別個に投与する方法、
(12)配合剤であることを特徴とする、(1)乃至(6)に記載の医薬組成物からなる動脈硬化治療剤及び
(13)N−{1−ブチル−4−[3−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル}−N’−(2,6−ジイソプロピル−4−アミノフェニル)ウレア若しくはN−[1−ブチル−4−(3−ピリジン−3−イルメトキシフェニル)−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル]−N’−(2,6−ジイソプロピルフェニル)ウレアであるジヒドロナフチリジン誘導体、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグを含有してなる薬剤と、HMG−CoA還元酵素阻害剤を含有してなる薬剤とからなるキットであることを特徴とする、(1)乃至(6)に記載の医薬組成物からなる動脈硬化治療剤を提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明における医薬組成物の有効成分である、化合物(I)又は化合物(II)であるジヒドロナフチリジン誘導体、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグと、HMG−CoA還元酵素阻害剤とからなる医薬組成物は、大動脈における動脈硬化に対して、優れた進展抑制効果を有し、四肢関節部に発症する黄色腫に対して、優れた発症抑制効果を有し、毒性も弱いため、温血動物(特に人)に対する動脈硬化症又は黄色腫(特に、動脈硬化症)の予防薬又は治療薬(特に、治療薬)として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明における医薬組成物の有効成分である、化合物(I)若しくは化合物(II)であるジヒドロナフチリジン誘導体、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグと、HMG−CoA還元酵素阻害剤は、それらが組み合わせられ使用されることより、各々単剤で投与された場合に比べ、優れた効果を示す。
【0027】
本発明における医薬組成物の有効成分である、化合物(I)若しくは化合物(II)であるジヒドロナフチリジン誘導体、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグと、HMG−CoA還元酵素阻害剤は、各々単独で別々の単位投与形態に、又は混合して物理的に1個の単位投与形態に調製することができる。
【0028】
本発明の医薬組成物を、上記疾患の予防薬又は治療薬として使用する場合には、本発明における医薬組成物の有効成分である、化合物(I)若しくは化合物(II)であるジヒドロナフチリジン誘導体、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグと、HMG−CoA還元酵素阻害剤とを、各々それ自体或いは適宜の薬理学的に許容される、賦形剤、希釈剤等と混合し、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤若しくはシロップ剤等による経口的又は注射剤若しくは坐剤等による非経口的に投与することができる。
【0029】
これらの製剤は、賦形剤(例えば、乳糖、白糖、葡萄糖、マンニトール、ソルビトールのような糖誘導体;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、α澱粉、デキストリンのような澱粉誘導体;結晶セルロースのようなセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;プルランのような有機系賦形剤;及び、軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウムのような珪酸塩誘導体;燐酸水素カルシウムのような燐酸塩;炭酸カルシウムのような炭酸塩;硫酸カルシウムのような硫酸塩等の無機系賦形剤である)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムのようなステアリン酸金属塩;タルク;コロイドシリカ;ビーズワックス、ゲイ蝋のようなワックス類;硼酸;アジピン酸;硫酸ナトリウムのような硫酸塩;グリコール;フマル酸;安息香酸ナトリウム;DLロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウムのようなラウリル硫酸塩;無水珪酸、珪酸水和物のような珪酸類;及び、上記澱粉誘導体である)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、及び、前記賦形剤と同様の化合物である)、崩壊剤(例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、内部架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース誘導体;カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドンのような化学修飾されたデンプン・セルロース類である)、乳化剤(例えば、ベントナイト、ビーガムのようなコロイド性粘土;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムのような金属水酸化物;ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウムのような陰イオン界面活性剤;塩化ベンザルコニウムのような陽イオン界面活性剤;及び、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルのような非イオン界面活性剤である)、安定剤(メチルパラベン、プロピルパラベンのようなパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾールのようなフェノール類;チメロサール;デヒドロ酢酸;及び、ソルビン酸である)、矯味矯臭剤(例えば、通常使用される、甘味料、酸味料、香料等である)、希釈剤等の添加剤を用いて周知の方法で製造される。
【0030】
本発明の医薬組成物は、有効成分である、化合物(I)若しくは化合物(II)であるジヒドロナフチリジン誘導体、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグと、HMG−CoA還元酵素阻害剤とを、同時に、順次又は別個に使用することもできるが、臨床上は、同時に投与されることが便宜であり、それゆえ、化合物(I)若しくは化合物(II)であるジヒドロナフチリジン誘導体、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグと、HMG−CoA還元酵素阻害剤とは、配合剤の形態で投与することができる。
【0031】
製剤技術上、両製剤を物理的に同時に混合することが好ましくない場合は、それぞれの単剤をキットとして同時に投与することもできるし、同時に投与しなくても優れた効果を示すので、それぞれの単剤を適当な間隔をおいて相前後して投与することもできる。
【0032】
すなわち、本発明に於いて、同時に投与するとは、ほぼ同じ時間に投与できる投与形態であれば特に限定はないが、単一の組成物として投与するのが好ましい。
【0033】
本発明において、順次又は別個に投与するとは、異なった時間に別々に投与できる投与形態であれば特に限定はなく、例えば、最初に、化合物(I)若しくは化合物(II)であるジヒドロナフチリジン誘導体、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグを投与し、次いで、決められた時間後に、HMG−CoA還元酵素阻害剤を投与したり、或いは、最初にHMG−CoA還元酵素阻害剤を投与し、次いで、決められた時間後に、化合物(I)若しくは化合物(II)であるジヒドロナフチリジン誘導体、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグを投与したりすることをいう。本発明において、化合物(I)若しくは化合物(II)であるジヒドロナフチリジン誘導体、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグと、HMG−CoA還元酵素阻害剤とによりもたらされる優れた効果が達成されるのに許容される最大限の上記2系統の薬剤の投与間隔は、臨床上又は動物実験により確認することができる。
【0034】
本発明における医薬組成物の有効成分である、化合物(I)若しくは化合物(II)であるジヒドロナフチリジン誘導体、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグと、HMG−CoA還元酵素阻害剤の投与量と投与比率は、個々の薬剤の活性、患者の症状、年齢、体重等の種々の条件により変化し得る。
【0035】
その投与量は症状、年齢等により異なるが、経口投与の場合には、各々、1回当たり下限0.1mg(好適には0.5mg)、上限1000mg(好適には500mg)を、非経口的投与の場合には、1回当たり下限0.01mg(好適には0.05mg)、上限100mg(好適には50mg)を、成人に対して1日当たり1乃至6回、症状に応じて、同時に、順次又は別個に投与することができる。
【0036】
HMG−CoA還元酵素阻害剤は、本来的な用途である抗高脂血症剤としての用量よりも、本発明における動脈硬化症の予防又は治療の用途の場合、それらの用量は低めになり、また、本発明における医薬組成物の有効成分である、化合物(I)若しくは化合物(II)であるジヒドロナフチリジン誘導体、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグとの併用による優れた効果により、投与量を更に下げることができる。
【0037】
また、本発明における医薬組成物の有効成分である、化合物(I)若しくは化合物(II)であるジヒドロナフチリジン誘導体、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグと、HMG−CoA還元酵素阻害剤の投与量の比率も、大幅に変わりうるが、例えば、本発明における医薬組成物の有効成分である、化合物(I)若しくは化合物(II)であるジヒドロナフチリジン誘導体、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグと、HMG−CoA還元酵素阻害剤の投与量比率は、重量比で、1:500乃至500:1の範囲内であり得、好適には、1:100乃至100:1であり、更に好適には、1:10乃至10:1であり、最も好適には、1:5乃至5:1である。
【0038】
特に、N−{1−ブチル−4−[3−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル}−N’−(2,6−ジイソプロピル−4−アミノフェニル)ウレア塩酸塩とプラバスタチンとの投与量比率は、重量比で、好適には、1:2.5乃至2.5:1であり、N−{1−ブチル−4−[3−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル}−N’−(2,6−ジイソプロピル−4−アミノフェニル)ウレア塩酸塩とアトルバスタチンとの投与量比率は、重量比で、好適には、1:2.5乃至5:1である。
【実施例】
【0039】
以下に、試験例及び製剤例をあげて、本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0040】
(試験例)
(試験例1)脂質低下作用
11週齢の雄性F1bハムスターを実験に使用する。動物は金属ケージで飼育し、0.05%コレステロール及び10%ココナッツオイルを含む餌、及び水を自由摂取させる。薬剤は5%アラビアゴム溶液中の懸濁液として、一日一回、7日間経口投与する。最終投与後17時間絶食を行い、麻酔下において血液を採取する。血清脂質は酵素法により測定する。尚、VLDLは超低比重リポ蛋白質を示し、LDLは低比重リポ蛋白質を示し、HDLは高比重リポ蛋白質を示す。
【0041】
HMG−CoA還元酵素阻害剤を単独投与の場合、或いはACAT阻害剤であるN−{1−ブチル−4−[3−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル}−N’−(2,6−ジイソプロピル−4−アミノフェニル)ウレア若しくはN−[1−ブチル−4−(3−ピリジン−3−イルメトキシフェニル)−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル]−N’−(2,6−ジイソプロピルフェニル)ウレアの単独投与の場合よりも、両薬剤を併用することによりその効果は高められる。また動脈硬化のなりやすさの指標であるアテロジェニックインデックス(VLDL+LDLコレステロール/HDLコレステロール)に於いても、両薬剤を併用することによりその効果は高められる。
【0042】
(試験例2)高コレステロール食負荷ウサギにおける動脈硬化病変の進展に対する作用
体重1.0〜1.5kgの雄性ニュージーランド白ウサギ (北山ラベス株式会社、日本)を0.5%コレステロール、3%ピーナッツオイル及び3%ココナッツオイルを含有する飼料 (RC-4、オリエンタル酵母工業株式会社、日本)で合計10週間飼育する。与える餌の量を1羽当たり最初の2週間は40g、次の4週間は50g、そして最後の4週間は60gとして摂餌制限する。負荷開始2週間後に、滅菌したナイロン糸を右大腿部の伏在動脈から横隔膜付近まで挿入する外科手術を行い、右大腿動脈から腹部大動脈にかけて慢性的な内皮傷害を惹起させる。ナイロン糸は、試験期間の8週間の間、挿入した位置に固定、保持した状態にする。動物を高コレステロール食負荷2週間後に総コレステロール値を基に群分けする。HMG−CoA還元酵素阻害剤およびACAT阻害剤をそれぞれ単剤あるいは併用で前述の手術後8週間投与する。
【0043】
(i)動脈硬化病変面積
形態学的解析を行うために、手術を施した右大腿動脈をコンピューターに接続したデジタルカメラ (商標名:Coolpix 900、キャノン株式会社)を用いて撮影する。フォトリタッチソフトウエア(商標名:Adobe Photoshop 5.0、アドビシステムズ社)およびNIHイメージングソフトウエア(製品名:Scion image 1.61c MacOs、Scion社)を用いて算出した大動脈内腔の表面積に対する動脈硬化病変面積の比率として、大動脈の動脈硬化症の程度を評価する。
【0044】
(ii)細胞外脂質
ウサギをペントバルビタールナトリウム(25mg/kg)を静脈注射し麻酔し、100 mmHgの一定圧下で生理食塩水を用いて還流する。還流後、大動脈を摘出し、撮影する。右大腿動脈において、大動脈での横断切片の病変解析を行う。右大腿動脈をメタノールカルノア固定液で少なくとも24時間以上固定する。検体をパラフイン包埋後、5mmずつ切片を作製した。1検体につき80mm間隔で4箇所で切断し、それぞれの切断面につき5枚ずつ連続切片を作製する。それぞれの連続切片内の一枚を用いてエラスチカマッソン染色を行う。ライカ製顕微鏡に接続したデジタルカメラ(製品名:フジックス CCDカメラシステムHC-2500、フジ写真フィルム株式会社)を用いて2.5倍率で、それぞれの切片を撮影する。病変部の質的変化を検討するために、Adobe Photoshop 5.0を用いて、それぞれの構成成分の面積を抽出する。エラスチカマッソン染色を行った切片において、淡いグリーンに染色された領域を細胞外マトリックス (ECM)とし、白色領域の細胞外空胞あるいは空隙を細胞外脂質 (ECD)として定義する。Adobe Photoshop 5.0およびScion image 1.61c MacOsを用いて、各切片での病変部内における白色領域の面積を測定し、平均値を算出する。
【0045】
単独投与の場合よりも、両薬剤を併用することによりその効果は高められる。
【0046】
(製剤例1)
錠剤
プラバスタチンナトリウム塩(10.0mg)、N−{1−ブチル−4−[3−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル}−N’−(2,6−ジイソプロピル−4−アミノフェニル)ウレア塩酸塩水和物(30.0mg)、乳糖(408.0mg)、トウモロコシデンプン(50.0mg)及びステアリン酸マグネシウム(2.0mg)を混合し、打錠機により打錠して、1錠500mgの錠剤とした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N−{1−ブチル−4−[3−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル}−N’−(2,6−ジイソプロピル−4−アミノフェニル)ウレア若しくはN−[1−ブチル−4−(3−ピリジン−3−イルメトキシフェニル)−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル]−N’−(2,6−ジイソプロピルフェニル)ウレアであるジヒドロナフチリジン誘導体、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグと、HMG−CoA還元酵素阻害剤とを含有する医薬組成物。
【請求項2】
ジヒドロナフチリジン誘導体が、N−{1−ブチル−4−[3−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル}−N’−(2,6−ジイソプロピル−4−アミノフェニル)ウレアである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
ジヒドロナフチリジン誘導体が、N−[1−ブチル−4−(3−ピリジン−3−イルメトキシフェニル)−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル]−N’−(2,6−ジイソプロピルフェニル)ウレアである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
HMG−CoA還元酵素阻害剤が、プラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン又はピタバスタチンである、請求項1乃至請求項3から選択されるいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
HMG−CoA還元酵素阻害剤が、プラバスタチンである、請求項1乃至請求項3から選択されるいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
HMG−CoA還元酵素阻害剤が、アトルバスタチンである、請求項1乃至請求項3から選択されるいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
動脈硬化症の予防又は治療のための、請求項1乃至請求項6から選択されるいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
哺乳動物に請求項1乃至請求項6から選択されるいずれか1項に記載された医薬組成物の有効量を投与することを特徴とする、動脈硬化症の予防方法又は治療方法。
【請求項9】
動脈硬化治療剤を製造するための、請求項1乃至請求項6から選択されるいずれか1項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項10】
N−{1−ブチル−4−[3−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル}−N’−(2,6−ジイソプロピル−4−アミノフェニル)ウレア若しくはN−[1−ブチル−4−(3−ピリジン−3−イルメトキシフェニル)−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル]−N’−(2,6−ジイソプロピルフェニル)ウレアであるジヒドロナフチリジン誘導体、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグと、HMG−CoA還元酵素阻害剤とを同一の医薬組成物中に含有させる請求項1乃至請求項7から選択されるいずれか1項に記載の医薬組成物の製造方法。
【請求項11】
N−{1−ブチル−4−[3−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル}−N’−(2,6−ジイソプロピル−4−アミノフェニル)ウレア若しくはN−[1−ブチル−4−(3−ピリジン−3−イルメトキシフェニル)−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル]−N’−(2,6−ジイソプロピルフェニル)ウレアであるジヒドロナフチリジン誘導体、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグと、HMG−CoA還元酵素阻害剤とを同時に、順次又は別個に投与する方法。
【請求項12】
配合剤であることを特徴とする、請求項1乃至請求項6に記載の医薬組成物からなる動脈硬化治療剤。
【請求項13】
N−{1−ブチル−4−[3−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル}−N’−(2,6−ジイソプロピル−4−アミノフェニル)ウレア若しくはN−[1−ブチル−4−(3−ピリジン−3−イルメトキシフェニル)−2,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−イル]−N’−(2,6−ジイソプロピルフェニル)ウレアであるジヒドロナフチリジン誘導体、その薬理上許容される塩又はその薬理上許容されるプロドラッグを含有してなる薬剤と、HMG−CoA還元酵素阻害剤を含有してなる薬剤とからなるキットであることを特徴とする、請求項1乃至請求項6に記載の医薬組成物からなる動脈硬化治療剤。

【公開番号】特開2006−63066(P2006−63066A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−216985(P2005−216985)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【出願人】(000001856)三共株式会社 (98)
【Fターム(参考)】