説明

抗増殖活性を有するMDA−7タンパク質変種

本発明は、mda-7遺伝子、前記がコードするタンパク質、及び前記タンパク質のフラグメントに関する。MDA-7タンパク質のこれらフラグメントのいくつかは、抗増殖活性を示し、及び/又は完全なMDA-7の活性を阻害した。したがって、本発明はとりわけ、細胞増殖異常(癌を含む)の治療で使用することができる方法及び組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は米国特許出願60/632,423(2004年12月2日出願、前記出願は参照によりその全体が本明細書に含まれる)に対し優先権を主張する。
本仮特許出願の主題は、少なくとも部分的にはNIH/NCIグラントNo. CA098712の基金を用いて究明され、したがって合衆国政府は本発明において一定の権利を有する。
本出願明細書は著作権保護を受ける資料を含む。本著作権者は、本出願書類又は出願明細書が米国特許商標局の特許ファイル又は記録に存在するとき、前記の何人によるファクシミリ複製も妨げないが、前記以外においては一切の著作権はこれを留保する。
全ての特許、特許出願及び前記に引用された刊行物は、参照によりその全体が本明細書に含まれる。前記の刊行物の全内容は、本発明の当日の当業者に公知の技術状態をより完全に示すために本出願に参照により含まれる。
【背景技術】
【0002】
メラノーマ分化関連遺伝子7(mda-7)は、cDNAライブラリーを用いたサブトラクションハイブリダイゼーション技術によって同定された。前記cDNAライブラリーは、活発に増殖しているメラノーマ細胞から、及び、組換えヒト線維芽細胞インターフェロン(IFN-β)及びタンパク質キナーゼCアクチベーターメゼレインの処理により最終的に分化を誘導したメラノーマ細胞から調製された(米国特許6,720,408(Fisher et al. 2004年4月13日登録);Jiang & Fisher, 1993, Mol Cell Different, 1:285-299;Jiang et al. 1995, Oncogene, 11:2477-2486)。MDA-7はインターロイキン10(IL-10)ファミリーに関連するサイトカインである。MDA-7は、23.8kDaのサイズで配列番号:2に示す配列を有する、206アミノ酸のタンパク質と特徴付けられた(Genbank Acc. No. U16261;Jiang et al. 1995, Oncogene, 11:2477-2486)。その後、MDA-7はインターロイキン24(IL-24)と再命名されたが、本明細書ではMDA-7又はMDA-7/IL-24と称する。
【発明の開示】
【0003】
発明の概要
本発明は、MDA-7タンパク質のフラグメントであるポリペプチド及び細胞増殖の調節における使用を提供する。本発明は、少なくとも部分的には、MDA-7の種々のサブフラグメントが抗増殖活性を示し、及び/又は完全なMDA-7の活性を阻害するという発見に基づいている。したがって、本発明は、とりわけ細胞増殖の異常(癌を含む)の治療で用いることができる方法及び組成物を提供する。
本発明は、MDA-7フラグメントを含む細胞増殖を調節するMDA-7変種を提供する。いくつかは(MDA-7がそうであるように)増殖を阻害する。他のものは穏やかな増殖促進作用を有する。
本発明のある特徴は、MDA-7のN-末端側又はC-末端側の半分に由来する変種は、野生型MDA-7の抗増殖活性のレベルに近い抗増殖活性を示すという驚くべき発見である。
本発明の別の特徴は、MDA-7変種を用いて他のインターロイキン(例えばIL-10、IL-20)又は内在的に発現されるmda-7自体の活性を調節し、それによってある種の症状を治療する方法である。
本発明は、MDA-7タンパク質変種を含む組成物及びそのような変種を、(変種に応じて)細胞増殖及び/又は分化の阻害又は促進のどちらかのために用いる方法を提供する。
野生型ヒトMDA-7タンパク質配列は以下のとおり長さが206アミノ酸である:
Met Asn Phe Gln Gln Arg Leu Gln Ser Leu Trp Thr Leu Ala Arg Pro Phe Cys Pro Pro Leu Leu Ala Thr Ala Ser Gln Met Gln Met Val Val Leu Pro Cys Leu Gly Phe Thr Leu Leu Leu Trp Ser Gln Val Ser Gly Ala Gln Gly Gln Glu Phe His Phe Gly Pro Cys Gln Val Lys Gly Val Val Pro Gln Lys Leu Trp Glu Ala Phe Trp Ala Val Lys Asp Thr Met Gln Ala Gln Asp Asn Ile Thr Ser Ala Arg Leu Leu Gln Gln Glu Val Leu Gln Asn Val Ser Asp Ala Glu Ser Cys Tyr Leu Val His Thr Leu Leu Glu Phe Tyr Leu Lys Thr Val Phe Lys Asn Tyr His Asn Arg Thr Val Glu Val Arg Thr Leu Lys Ser Phe Ser Thr Leu Ala Asn Asn Phe Val Leu Ile Val Ser Gln Leu Gln Pro Ser Gln Glu Asn Glu Met Phe Ser Ile Arg Asp Ser Ala His Arg Arg Phe Leu Leu Phe Arg Arg Ala Phe Lys Gln Leu Asp Val Glu Ala Ala Leu Thr Lys Ala Leu Gly Glu Val Asp Ile Leu Leu Thr Trp Met Gln Lys Phe Tyr Lys Leu(配列番号:2)。
【0004】
本発明は、長さが約145アミノ酸から約175アミノ酸である単離された“MV1”ポリペプチドを提供し、前記MV1ポリペプチドは、配列番号:2のアミノ酸約104からアミノ酸約206の領域と少なくとも約90%同一である。本発明はまた、長さが約130アミノ酸から約155アミノ酸である単離された“MV2”ポリペプチドを提供し、前記MV2ポリペプチドは、配列番号:2のアミノ酸約63からアミノ酸約206の領域と少なくとも約90%同一である。本発明は、長さが約115アミノ酸から約138アミノ酸である単離された“MV3”ポリペプチドを提供し、前記MV3ポリペプチドは、配列番号:2のアミノ酸約80からアミノ酸約206の領域と少なくとも約90%同一である。本発明は、長さが約90アミノ酸から約110アミノ酸である単離された“MV4”ポリペプチドを提供し、前記MV4ポリペプチドは、配列番号:2のアミノ酸約104からアミノ酸約206の領域と少なくとも約90%同一である。本発明は、長さが約70アミノ酸から約80アミノ酸である単離された“MV5”ポリペプチドを提供し、前記MV5ポリペプチドは、配列番号:2のアミノ酸約131からアミノ酸約206の領域と少なくとも約90%同一である。本発明はさらに、長さが約45アミノ酸から約55アミノ酸である単離された“MV6”ポリペプチドを提供し、前記MV6ポリペプチドは、配列番号:2のアミノ酸約159からアミノ酸約206の領域と少なくとも約90%同一である。本発明は、長さが約122アミノ酸から約146アミノ酸である単離された“MV7”ポリペプチドを提供し、前記MV7ポリペプチドは、配列番号:2のアミノ酸約48からアミノ酸約180の領域と少なくとも約90%同一である。本発明は、長さが約100アミノ酸から約120アミノ酸である単離された“MV8”ポリペプチドを提供し、前記MV8ポリペプチドは、配列番号:2のアミノ酸約48からアミノ酸約158の領域と少なくとも約90%同一である。本発明は、長さが約75アミノ酸から約90アミノ酸である単離された“MV9”ポリペプチドを提供し、前記MV9ポリペプチドは、配列番号:2のアミノ酸約48からアミノ酸約130の領域と少なくとも約90%同一である。本発明は、長さが約53アミノ酸から約63アミノ酸である単離された“MV10”ポリペプチドを提供し、前記MV10ポリペプチドは、配列番号:2のアミノ酸約48からアミノ酸約104の領域と少なくとも約90%同一である。本発明は、長さが約32アミノ酸から約59アミノ酸である単離された“MVAB”ポリペプチドを提供し、前記MVABポリペプチドは、配列番号:2のアミノ酸約63からアミノ酸約101の領域と少なくとも約90%同一である。本発明はまた、長さが約35アミノ酸から約60アミノ酸である単離された“MVEF”ポリペプチドを提供し、前記MVEFポリペプチドは、配列番号:2のアミノ酸約159からアミノ酸約201の領域と少なくとも約90%同一である。
【0005】
ある実施態様では、本発明は、配列番号:3のアミノ酸配列を有するMV1ポリペプチドを提供する。ある実施態様では、本発明は、配列番号:4のアミノ酸配列を有するMV2ポリペプチドを提供する。ある実施態様では、本発明は、配列番号:5のアミノ酸配列を有するMV3ポリペプチドを提供する。ある実施態様では、本発明は、配列番号:6のアミノ酸配列を有するMV4ポリペプチドを提供する。ある実施態様では、本発明は、配列番号:7のアミノ酸配列を有するMV5ポリペプチドを提供する。ある実施態様では、本発明は、配列番号:8のアミノ酸配列を有するMV6ポリペプチドを提供する。ある実施態様では、本発明は、配列番号:9のアミノ酸配列を有するMV7ポリペプチドを提供する。ある実施態様では、本発明は、配列番号:10のアミノ酸配列を有するMV8ポリペプチドを提供する。ある実施態様では、本発明は、配列番号:11のアミノ酸配列を有するMV9ポリペプチドを提供する。ある実施態様では、本発明は、配列番号:12のアミノ酸配列を有するMV10ポリペプチドを提供する。ある実施態様では、本発明は、配列番号:13のアミノ酸配列を有するMVABポリペプチドを提供する。ある実施態様では、本発明は、配列番号:14のアミノ酸配列を有するMVEFポリペプチドを提供する。
ある実施態様では、本発明のこれらのポリペプチドは安定化分子に連結することができる。別の実施態様では、前記安定化分子はタンパク質である。さらに別の実施態様では、前記安定化分子はグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)タンパク質である。本発明は、本発明の任意のポリペプチドのペプチド模倣物を提供する。
【0006】
本発明はまた、本発明のポリペプチドのいずれかをコードする単離された核酸を提供する。本発明は、分泌ペプチドをコードする核酸に連結された、本発明のポリペプチドのいずれかをコードする核酸を提供する。本発明はまたプロモーターの制御下にある核酸を提供し、前記核酸は条件によって複製可能なベクターに連結されている。ある実施態様では、前記核酸はMV4ポリペプチドをコードし、前記分泌ポリペプチドは野生型MDA-7の分泌ペプチド、ガンマ-インターフェロンの切断シグナルペプチド、マウス免疫グロブリン軽鎖前駆体のアミノ末端リーダー配列を含む。ある実施態様では、前記核酸は条件的複製可能なウイルスベクターに連結される。別の実施態様では、前記核酸は複製欠損ウイルスベクターに連結される。別の実施態様では、前記核酸はリポソーム内に含まれる。
本発明はまた、本発明のポリペプチドを含む組成物を提供する。本発明はまた、本発明のポリペプチドをコードする核酸を含む組成物を提供する。
本発明は、本発明のポリペプチドのいずれかをコードする核酸分子を含む宿主を提供し、前記核酸はプロモーターに機能的に連結され、前記細胞によって発現される。ある実施態様では、前記宿主細胞は樹状細胞又は幹細胞である。本発明は、分泌ペプチドをコードする第二の核酸に連結されている、本発明のポリペプチドをコードする核酸分子を含む宿主細胞を提供し、前記第一及び第二の核酸はプロモーターに機能的に連結され、さらに第一及び第二の核酸は前記細胞によって発現され、分泌される。ある実施態様では、前記宿主細胞は樹状細胞又は幹細胞である。
【0007】
本発明は、本発明のペプチドの有効量を細胞に投与することを含む、細胞の増殖を調節する方法を提供する。本発明はまた、本発明の核酸を細胞に導入することを含む、細胞の増殖を調節する方法を提供する。本発明はまた、本発明のペプチドの有効量を細胞に導入することを含む、細胞の増殖を阻害する方法を提供する。本発明はまた、本発明のポリペプチドの有効量を投与することを含む、細胞増殖異常に罹患している対象において細胞増殖を阻害する方法を提供する。ある実施態様では、前記異常は癌である。別の実施態様では、前記細胞は腫瘍細胞である。本発明は、本発明のペプチドをコードする核酸の有効量を細胞に導入することを含む、細胞の増殖を阻害する方法を提供する。別の実施態様では、本発明は、本発明のポリペプチドをコードする核酸の有効量を投与することを含む、細胞増殖異常に罹患している対象において細胞増殖を阻害する方法を提供する。ある実施態様では、前記核酸の投与は、核酸ベクター又はリポソームを介する。別の実施態様では、前記核酸の投与は、ウイルス、複製欠損ウイルスベクター、条件複製ウイルスベクター、非組み込みウイルス、アデノウイルス、AAV、VSV、エプスタイン-バールウイルス、麻疹、組み込みウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、プラスミド、合成デリバリー系、リポソーム、陽イオンポリマー、樹状細胞、幹細胞又は前記の任意の組み合わせを介する。別の実施態様では、前記方法はさらに、前記ポリペプチドと組み合わせて化学療法剤、フリーラジカル発生物、放射線療法、抗-ras剤、抗癌抗体、又は抗増殖剤を対象に与えることを含む。
本発明は、本発明のポリペプチドの有効量を対象に投与することを含む、対象の炎症を治療する方法を提供する。本発明はまた、本発明のポリペプチドをコードする核酸の有効量を対象に投与することを含む、対象の炎症を治療する方法を提供する。ある実施態様では、前記方法はさらに抗炎症剤を前記ポリペプチドと組み合わせて前記対象に投与することを含む。
【0008】
本発明は、本発明のポリペプチドと特異的に結合する抗体を提供する。本発明はまた、M4(配列番号:6に示すアミノ酸配列を有するポリペプチド)がBip/GRP78と結合する態様と同じ態様でBip/GRP78と特異的に結合する抗イディオタイプ抗体を提供する。
本発明は、グルタチオン-S-トランスフェラーゼのアミノ酸配列に連結されたM4(配列番号:6に示すアミノ酸配列を有するポリペプチド)を含むポリペプチドを提供する。
本発明は対象の腫瘍を治療する方法を提供する。前記方法は、細胞が本発明のポリペプチド発現し分泌することができるように本発明のポリペプチド及び分泌ペプチドをコードする核酸を対象の細胞に導入することを含み、前記ポリペプチドの発現及び分泌は形質転換細胞特異的アポトーシスを誘導する。ある実施態様では、前記分泌ペプチドは以下から成る群から選択される分泌ペプチドを含む:野生型MDA-7の分泌ペプチド、ガンマ-インターフェロンの切断シグナルペプチド、マウス免疫グロブリン軽鎖前駆体のアミノ末端リーダー配列。
本発明は、細胞からバイスタンダー(傍観者)抗腫瘍活性を誘導する方法を提供する。前記方法は、細胞が本発明のポリペプチド発現し分泌することができるように、本発明のポリペプチド及び分泌ペプチドをプロモーター制御下でコードする核酸を細胞に導入することを含み、前記ポリペプチドの発現及び分泌がバイスタンダー抗腫瘍活性を誘導する。ある実施態様では、前記核酸が導入される細胞は正常細胞である。
【0009】
本発明は対象に抗腫瘍アポトーシスを誘導する方法を提供する。前記方法は、本発明のポリペプチドをコードする核酸を対象の腫瘍細胞に導入することを含み、前記ポリペプチドの発現は対象に抗腫瘍アポトーシスを誘導する。本発明は、本発明のポリペプチドをコードする核酸を腫瘍の1つ以上の細胞に導入することを含む、腫瘍で血管形成を阻害する方法を提供する。本発明は、対象の抗癌治療プログラムの作用を高める方法を提供する。前記方法は、前記抗癌治療プログラムと一緒に本発明のポリペプチドを対象に投与することを含む。ある実施態様では、前記抗癌治療プログラムは、放射線治療、モノクローナル抗体治療、化学療法、又は放射性同位元素治療を含む。
本発明は、細胞内でBip/GRP78と結合することによって、M4(配列番号:6)の代用物として機能することができる化合物を同定する方法を提供する。前記方法は以下の工程を含む:(a)細胞をテスト化合物と接触させる工程であって、前記細胞がBip/GRP78を発現する、前記工程;(b)p38 MAPKが活性化されるか否かを決定する工程であって、p38 MAPKの活性化が前記テスト化合物がM4(配列番号:6)の代用物として機能することを示す、前記工程。
ある実施態様では、p38 MAPKが活性化されたか否かの決定は、p38 MAPKがリン酸化されたか否かの決定を含む。
【0010】
本発明は、対象において抗腫瘍アポトーシスを誘導する方法を提供する。前記方法は、対象の腫瘍細胞に、配列番号:6のポリペプチド又はグルタチオン-S-トランスフェラーゼに連結された配列番号:6のポリペプチドをコードする核酸を導入することを含み、ここで前記ポリペプチド発現は前記対象に抗腫瘍アポトーシスを誘導する。本発明は腫瘍で血管形成を阻害する方法を提供する。前記方法は、腫瘍の1つ以上の細胞に、配列番号:6のポリペプチド又はグルタチオン-S-トランスフェラーゼに連結された配列番号:6のポリペプチドをコードする核酸を導入することを含む。本発明は、対象の抗癌治療プログラムの作用を高める方法を提供する。前記方法は、配列番号:6のポリペプチド又はグルタチオン-S-トランスフェラーゼに連結された配列番号:6のポリペプチドを前記抗癌治療プログラムと組み合わせて対象に投与することを含む。ある実施態様では、前記抗癌治療プログラムは、放射線治療、モノクローナル抗体治療、化学療法、又は放射性同位元素治療を含む。本発明は、細胞からバイスタンダー抗腫瘍活性を誘導する方法を提供する。前記方法は、細胞が本発明のポリペプチドを発現し分泌することができるように、(a)配列番号:6のポリペプチド又はグルタチオン-S-トランスフェラーゼに連結された配列番号:6のポリペプチド、及び(b)分泌ポリペプチドをコードする核酸であって、(a)及び(b)の両者がプロモーターの制御下にある前記核酸を細胞に導入することを含み、前記ポリペプチドの発現及び分泌はバイスタンダー抗腫瘍活性を誘導する。本発明は、免疫系を刺激して追加のサイトカイン(例えばインターフェロンガンマ、TNF-アルファ及びインターロイキン-6)を産生させ、さらにTGF-ベータをダウンレギュレートさせる方法を提供する。前記方法は、その必要がある対象に、配列番号:6のポリペプチド(M4)又はグルタチオン-S-トランスフェラーゼに連結された配列番号:6のポリペプチドの有効量を投与することを含む。ある実施態様では、前記核酸の投与は、ウイルス、複製欠損ウイルスベクター、条件複製ウイルスベクター、非組み込みウイルス、アデノウイルス、AAV、VSV、エプスタイン-バールウイルス、麻疹、組み込みウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、プラスミド、合成デリバリー系、リポソーム、陽イオンポリマー、樹状細胞、幹細胞又は前記の任意の組み合わせを介する投与を含む。
【0011】
発明の詳細な説明
Mda-7遺伝子を広範囲のヒトの癌に導入したとき、癌細胞の増殖が阻害された(米国特許5,710,137(Fisher, 1998年1月20日登録);米国特許6,355,622(Fisher, 2002年3月12日登録);Jiang et al. 1996, Proc Natl Acad Sci USA 93:9160-9165;Su et al. 1998, Proc Natl Acad Sci USA 95:14400-14405;Madireddi et al. 2000, Adv Exptl Med Biol 465:239-261;Saeki et al. 2000, Gene Ther 7:2051-2057;Huang et al. 2001, Oncogene 20:7051-63;Mhashilkar et al. 2001, Mol Med 7:271-282;Cao et al. 2002, Mol Med 8:869-876;Kawabe et al. 2002, Mol Ther 6:637-644;Lebedeva et al. 2002, Oncogene 21:708-718;Pataer et al. 2002, Cancer Res. 62:2239-2243;Saeki et al. 2002, Oncogene 21:4558-4566;Sarkar et al. 2002, Proc Natl Acad Sci USA 99:10054-10059;Su et al. 2001, Proc Natl Acad Sci USA 98:10332-10337;Pataer et al. 2003, J Thorac Cardiovasc Surg 125:1328-1335;Sauane et al. 2003, Cytokine Growth Factor Rev 14:35-51;Sauane et al. 2003, J Cell Physiol 196:334-345;Su et al. 2003, Oncogene 22:1164-1180;Yacoub et al. 2003, Mol Cancer Therapeut 2:623-632)。mda-7は、網膜芽細胞腫“Rb”及びp53腫瘍サプレッサー遺伝子の両遺伝子を発現しないか又はそれらに欠損を含む癌細胞の増殖を抑制することが観察され、mda-7媒介増殖阻害はこれらの要素に依存しないことを示した(Jiang et al. 1996, Proc Natl Acad Sci USA 93:9160-9165)。種々の癌細胞に対する抗増殖作用とは対照的に、この遺伝子を正常なヒト線維芽細胞又は上皮細胞に導入したとき、有意な増殖阻害作用は明らかではなかった(Jiang et al. 1996, Proc Natl Acad Sci USA 93:9160-9165;Madireddi et al. 2000, Adv Exptl Med Biol 465:239-261;Saeki et al. 2000, Gene Ther 7:2051-2057;Mhashilkar et al. 2001, Mol Med 7:271-282)。
【0012】
ほとんどの事例でmda-7の癌選択的活性は、Ad.mda-7による感染後のmda-7の発現、タンパク質生成又は分泌の相違の結果のようには見えない(Mhashilkar et al. 2001, Mol Med 7:271-282;Lebedeva et al. 2002, Oncogene 21:708-718;Su et al. 2003, Oncogene 22:1164-1180)。特定の細胞タイプ(膵臓及び前立腺の癌、メラノーマおよび悪性神経膠腫を含む)では、アポトーシスの誘導は、アポトーシス促進タンパク質(例えばBax及びBak)対抗アポトーシスタンパク質(例えばBcl-2及びBcl-xL)比における変化に相関し、前記変化によって生存からプログラム細胞死へバランスがシフトする(国際出願PCT/US03/21237, Fisher et al. 2004年1月15日にTrustees of Columbia UniversityによってWO04/005481として公開;Saeki et al. 2000, Gene Ther 7:2051-2057;Lebedeva et al. 2002, Oncogene 21:708-718;Su et al. 2003, Oncogene 22:1164-1180)。細胞周期における変化はまた、Ad.mda-7を感染させたいくつかの癌細胞(全てというわけではない)で明白である(Saeki et al. 2000, Gene Ther 7:2051-2057;Lebedeva et al. 2002, Oncogene 21:708-718;Su et al. 2003, Oncogene 22:1164-1180)。Ad.mda-7感染メラノーマ、非小細胞肺癌、前立腺癌及びある種の悪性神経膠腫で観察された細胞周期の変化は、G2/M期の細胞の割合の増加である(Saeki et al. 2000, Gene Ther 7:2051-2057;Lebedeva et al. 2002, Oncogene 21:708-718;Su et al. 2003, Oncogene 22:1164-1180)。アポトーシスの誘導は、特定の腫瘍系におけるカスパーゼカスケードの活性化(カスパーゼ-9及びカスパーゼ-3の活性化を含む)及びPARP(カスパーゼの基質)の切断に付随する(Saeki et al. 2000, Gene Ther 7:2051-2057;Mhashilkar et al. 2001, Mol Med 7:271-282;Pataer et al. 2002, Cancer Res. 62:2239-2243)。
【0013】
より効率的にmda-7を投与し、mda-7が癌細胞の増殖に選択的に影響を及ぼすメカニズムの特定を開始するために、複製不能アデノウイルス(Ad.mda-7)を構築した(国際出願PCT/US02/26454, Fisher et al. 2003年2月27日にTrustees of Columbia UniversityによってWO03/016499として公開;Su et al. 1998, Proc Natl Acad Sci USA 95:14400-14405)。乳癌細胞での研究は、Ad.mda-7は選択的に増殖抑制を誘導し、このプロセスはプログラム細胞死(アポトーシス)の誘導によって生じることを示した(Su et al. 1998, Proc Natl Acad Sci USA 95:14400-14405)。対照的に、トランスフェクションで観察されたように、正常な乳房上皮細胞及びHBL-100細胞のAd.mda-7による感染は増殖に顕著な影響を及ぼさず、生存率を低下させることもなかった。mda-7がアポトーシスを誘導する潜在的メカニズムの解析では、乳癌細胞のp53遺伝子の状態とは無関係に、乳癌細胞でのみアポトーシス促進分子Baxのアップレギュレーションが示された。さらにまた、アポトーシス促進タンパク質Bcl-2のレベルは、Ad.mda-7の感染の後で多数の乳癌細胞で低下した。
さらにまた、mda-7遺伝子又はMDA-7タンパク質の抗癌作用は放射線及び/又は他のフリーラジカル発生物質の同時暴露によって強められ得ることが観察された(国際出願PCT/US03/28512, Fisher et al. 2004年7月22日にTrustees of Columbia University and Virginia Commonwealth UniversityによってWO04/060269として公開)。例えば、Yacoubら(2003, Mol Cancer Ther 2:623-632)は、フリーラジカル発生物質と併用されたMDA-7タンパク質は、腎癌細胞の増殖をその対応する非悪性細胞と比較して選択的に阻害することができることを報告している。
【0014】
上記で述べたように、天然の(野生型)MDA-7タンパク質は206アミノ酸を有する(配列番号:2)。ペプチド療法の実施技術はタンパク質投与技術よりも洗練されているので、治療に用い得るより小さなMDA-7フラグメントを同定することが所望される。本発明は、天然のタンパク質よりも小さい、生物学的に活性なMDA-7変種を提供することによって、この必要性にせまった。
以下の参考文献は参照により本明細書に含まれる:Fisher, Cancer Res 65(22):10128-10138 (2005);Lebedeva et al. Mol Therapy 11(1):4-18 (2005);及びSu et al. Oncogene 24:7552-7566 (2005)。
記述の明確化のために、及び非限定的態様で、本発明の詳細な説明は以下の部分に分割される:
(i)MDA-7変種;
(ii)MDA-7変種の活性を確認するアッセイ;
(iii)遺伝子治療としてのMDA-7変種の使用;
(iv)ペプチド治療としてのMDA-7変種の使用;
(v)MDA-7変種を用いる併用療法;及び
(vi)治療し得る症状。
本明細書で用いられる、mda-7(斜字体及び小文字)は遺伝子又は対応する核酸を指し、MDA-7(全て大文字)はタンパク質を指し、Mda-7(最初の文字のみ大文字)は包括的に核酸、タンパク質及びペプチドを指す。
【0015】
MDA-7タンパク質変種
“ペプチド”、“ポリペプチド”及び“タンパク質”という用語は互換的に用いられ、アミノ酸残基のポリマーを指し、最低の長さに制限されない。したがってペプチド、オリゴペプチド、ダイマー、マルチマーなども前記定義に含まれる。完全長タンパク質及びそのフラグメントの両者が前記定義に包含される。前記用語はまた、ポリペプチドの発現後修飾、例えばグリコシル化、アセチル化、リン酸化などを含む。さらにまた、本発明の目的のためには、“ポリペプチド”は、天然の配列に対する改変、例えば欠失、付加及び置換(一般的には性質として保存的)を含むタンパク質を、前記タンパク質が所望の活性を維持する限り意味する。これらの改変は、意図的であっても(位置特異的変異導入を介する場合)、又は偶発的であってもよい(例えば前記タンパク質を産生する宿主の変異によるか又はPCR増幅によるエラーによる場合)。
本発明のポリヌクレオチド又はポリペプチドについて言及するとき、“単離された”とは、表示の分子が実質的に、例えば前記分子が見出される生物全体から、又は抗体が産生される細胞培養から実質的に分離されているか、又は、同じタイプの他の生物学的な巨大分子が実質的に存在しない状態で存在することを意味する。例えば、ベクターに含まれる組換えDNA分子は、本発明の目的のためには単離されていると考えられる。単離DNA分子の更なる例には、異種宿主内で維持される組換えDNA分子、又は溶液中の(部分的又は実質的)精製DNA分子が含まれる。単離RNA分子には、本発明のDNA分子のin vivo又はin vitro RNA転写物が含まれる。本発明の単離核酸分子にはさらに合成により生成された分子が含まれる。
【0016】
本明細書のポリペプチド又はポリヌクレオチドの“調節因子”若しくは“作用因子”は、そのようなポリペプチド又はポリヌクレオチドの結合若しくは活性に干渉するアゴニスト又はアンタゴニストである。そのような調節因子又は作用因子には例えば以下が含まれる:アゴニストであれアンタゴニストであれ、ポリペプチド変種;アゴニストであれアンタゴニストであれ、抗体;通常はアンタゴニストである可溶性レセプター;アゴニストであれアンタゴニストであれ、小分子薬;通常はアンタゴニストであるRNAi;通常はアンタゴニストであるアンチセンス分子;通常はアンタゴニストであるリボザイム。いくつかの実施態様では、作用因子は主題のポリペプチドであり、この場合、主題のポリペプチドそのものが個体に投与される。いくつかの実施態様では、作用因子は、主題の“標的”ポリペプチドに特異的な抗体である。いくつかの実施態様では、作用因子は、化合物、例えば経口的に利用可能な薬剤として有用であり得る小分子である。そのような調節には、前記調節に直接影響を与える他の分子の補充が含まれる。例えば、細胞表面のレセプターである主題のポリペプチドの活性を調節する抗体は前記レセプターと結合して補体を固定し、補体カスケードを活性化し、細胞溶解をもたらすことができる。主題のポリペプチド又はポリヌクレオチドの生物学的活性を調節する作用因子は、適切なコントロールと比較したとき、その活性又は結合を少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約80%、又は少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、又はそれより強く増加又は低下させる。
特許請求の範囲及び/又は本明細書中の“含む”という用語と一緒に用いられるときの英文中の“a”又は“an”は“1つ”を意味することができるが、また“1つ以上”、“少なくとも1つ”及び“1つ又は2つ以上”と同じである。
【0017】
本明細書で用いられる、“MDA-7”という用語は、本質的に配列番号:2に示すアミノ酸配列を有するタンパク質(Genbank アクセッション番号U16261を有する)を指す。MDA-7をコードする核酸は、配列番号:1に示すコード配列(Genbank Acc. No. U16261)又は、翻訳された場合配列番号:2と本質的に同じアミノ酸配列を有するタンパク質を生成する別の配列を有することができる。配列番号:1として提示される核酸配列のタンパク質コード領域を構成する部分は、ヌクレオチド275からヌクレオチド895に及ぶことは留意されるべきである。Mda-7の定義は、些細な態様で天然の分子から変化した核酸及びタンパク質の機能的等価物を包含する。例えば、前記は、配列番号:1に示す核酸配列とストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする単離核酸とともに、そのようなハイブリダイズ配列によってコードされるタンパク質を含む。前記ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は例えば以下の条件である:0.5MのNaHPO4、7%ドデシル硫酸ナトリウム(“SDS”)、1mMエチレンジアミン四酢酸(“EDTA”)中で65℃でのハイブリダイゼーション、及び0.1xSSC/0.1%SDSによる68℃での洗浄(Ausubel et al. 1989, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. I, Green Publishing Associates, Inc., and John Wiley & Sons, Inc. New York, at p. 2.10.3)。前記核酸分子は、cDNA分子、ゲノムDNA分子、cRNA分子、siRNA分子、RNAi分子、mRNA分子、アンチセンス分子及び/又はリボザイムでもよい。前記核酸分子はまた、これらの相補物でもよい。Mda-7の定義にはまた、配列番号:1及び2にそれぞれ少なくとも80、90又は95%相同な核酸及びタンパク質が含まれ、この場合、相同性は標準的なソフトウェア(下記参照)を用いて決定される。Mda-7の定義にはまた、本質的に配列番号:1に示す配列を有するが特定の発現ベクターへの挿入のために適した制限部位を含むように改変された核酸、及び安定性又は細胞内区画局在性を変化させる残基を含むように改変されたタンパク質又はペプチドが含まれる。
【0018】
本明細書で用いられる、“MDA-7変種”という用語は、その配列が対応する野生型MDA-7の配列(配列番号:2)と少なくとも約80%、又は少なくとも約85、90又は95%の配列同一性を有するポリペプチドを指す。パーセント同一性は、同一のアミノ酸を全アミノ酸で割って比を決定し、続いて前記の比に100を乗じることによって算出される。ある実施態様では、MDA-7タンパク質変種は、約180アミノ酸まで、又は約110アミノ酸まで、又は約40から約70アミノ酸を有するポリペプチドであり得る。天然の(すなわち野生型)MDA-7のアミノ酸配列は配列番号:2に示されている。
配列間のパーセント同一性は手作業で決定するか、又は相同性及び同一性を決定することができるソフトウェア及びコンピュータを用いて決定することができる。例えばそのようなソフトウェアは当業界で公知であり、例えばGCCパッケージ、NCBI BLAST又はMacVectorである。
ある実施態様では、MDA-7タンパク質変種は、配列番号:2のアミノ酸約50からアミノ酸約149に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。前記変種の配列番号:2に対応するアミノ酸配列は、配列番号:2と少なくとも90%同一残基を有する。本発明は、MDA-7タンパク質変種が野生型配列と約90%同一の残基を有するような、野生型MDA-7配列(配列番号:2)に対応するMDA-7タンパク質変種を提供する。別の実施態様では、MDA-7タンパク質変種は、(a)配列番号:2のアミノ酸約50からアミノ酸約149に一致する第一のアミノ酸配列(前記第一のアミノ酸配列は配列番号:2と少なくとも90%同一残基を有する)及び(b)約10から50アミノ酸残基の第二のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。ある実施態様では、前記第二のアミノ酸配列は配列番号:2と同一性を持たない。別の実施態様では、第二のアミノ酸配列は配列番号:2と50パーセントまでの同一性を有する。
【0019】
本発明はまた、配列番号:2のアミノ酸約50からアミノ酸約149と約90%同一性を有するアミノ酸を含むMDA-7ポリペプチドを提供する。ある実施態様では、MDA-7ポリペプチドは以下のポリペプチドではない:Asp Ala Glu Ser Cys Tyr Leu Val His Thr Leu Leu Glu Phe Tyr Leu Lys Thr Val Phe Lys Asn Tyr His Asn Arg Thr Val Glu Val Arg Thr Leu Lys Ser Phe Ser Thr Leu Ala Asn Asn Phe Val Leu Ile Val Ser Gln Leu Gln Pro Ser。別の実施態様では、MDA-7ポリペプチドは以下のポリペプチドではない:Met Gln Met Val Val Leu Pro Cys Leu Gly Phe Thr Leu Leu Leu Trp Ser Gln Val Ser Gly Ala Gln Gly Gln Glu Phe His Phe Gly Pro Cys Gln Val Lys Gly Val Val Pro Gln Lys Leu Trp Glu Ala Phe Trp Ala Val Lys Asp Thr Met Gln Ala Gln Asp Asn Ile Thr Ser Ala Arg Leu Leu Gln Gln Glu Val Leu Gln Asn Val Ser Gln Glu Asn Glu Met Phe Ser Ile Arg Asp Ser Ala His Arg Arg Phe Leu Leu Phe Arg Arg Ala Phe Lys Gln Leu Asp Val Glu Ala Ala Leu Thr Lys Ala Leu Gly Glu Val Asp Ile Leu Leu Thr Trp Met Gln Lys Phe Tyr Lys Leu。
本発明の非限定的な実施態様では、本発明は、以下のMDA-7変種(“MVX”ポリペプチド)を提供する:
MV1(抗増殖活性を有するタンパク質)は、野生型MDA-7のアミノ酸残基48−206に対応する。ある実施態様では、MV1は、長さが約130アミノ酸から約190アミノ酸のアミノ酸配列を有するタンパク質である。別の実施態様では、MV1は、長さが約145アミノ酸から約175アミノ酸のアミノ酸配列を有するタンパク質である。別の実施態様では、MV1は約160アミノ酸を有するタンパク質である。ある実施態様では、MV1タンパク質は、配列番号:2の約48から約206のアミノ酸と少なくとも約80%同一性を有する。別の実施態様では、MV1タンパク質は、配列番号:2の約48から約206のアミノ酸と少なくとも約85%同一性を有する。別の実施態様では、MV1タンパク質は、配列番号:2の約48から約206のアミノ酸と少なくとも約90%同一性を有する。別の実施態様では、MV1タンパク質は、配列番号:2の約48から約206のアミノ酸と少なくとも約95%同一性を有する。別の実施態様では、MV1タンパク質は、配列番号:2の約48から約206のアミノ酸と少なくとも約99%同一性を有する。
【0020】
MV2(微かな増殖活性を有するタンパク質)は、野生型MDA-7のアミノ酸残基63−206に対応する。ある実施態様では、MV2は、長さが約115アミノ酸から約170アミノ酸のアミノ酸配列を有するタンパク質である。別の実施態様では、MV2は、長さが約130アミノ酸から約155アミノ酸のアミノ酸配列を有するタンパク質である。別の実施態様では、MV2は約144アミノ酸を有するタンパク質である。ある実施態様では、MV2タンパク質は、配列番号:2の約63から約206のアミノ酸と少なくとも約80%同一性を有する。別の実施態様では、MV2タンパク質は、配列番号:2の約63から約206のアミノ酸と少なくとも約85%同一性を有する。別の実施態様では、MV2タンパク質は、配列番号:2の約63から約206のアミノ酸と少なくとも約90%同一性を有する。別の実施態様では、MV2タンパク質は、配列番号:2の約63から約206のアミノ酸と少なくとも約95%同一性を有する。別の実施態様では、MV2タンパク質は、配列番号:2の約63から約206のアミノ酸と少なくとも約99%同一性を有する。
MV3(微かな増殖活性を有するタンパク質)は、野生型MDA-7のアミノ酸残基80−206に対応する。ある実施態様では、MV3は、長さが約105アミノ酸から約150アミノ酸のアミノ酸配列を有するタンパク質である。別の実施態様では、MV3は、長さが約115アミノ酸から約138アミノ酸のアミノ酸配列を有するタンパク質である。別の実施態様では、MV3は約127アミノ酸を有するタンパク質である。ある実施態様では、MV3タンパク質は、配列番号:2の約80から約206のアミノ酸と少なくとも約80%同一性を有する。別の実施態様では、MV3タンパク質は、配列番号:2の約80から約206のアミノ酸と少なくとも約85%同一性を有する。別の実施態様では、MV3タンパク質は、配列番号:2の約80から約206のアミノ酸と少なくとも約90%同一性を有する。別の実施態様では、MV1タンパク質は、配列番号:2の約48から約206のアミノ酸と少なくとも約95%同一性を有する。別の実施態様では、MV3タンパク質は、配列番号:2の約80から約206のアミノ酸と少なくとも約99%同一性を有する。
【0021】
MV4(抗増殖活性を有するタンパク質)は、野生型MDA-7のアミノ酸残基104−206に対応する。ある実施態様では、MV4は、長さが約80アミノ酸から約120アミノ酸のアミノ酸配列を有するタンパク質である。別の実施態様では、MV4は、長さが約90アミノ酸から約110アミノ酸のアミノ酸配列を有するタンパク質である。別の実施態様では、MV4は約103アミノ酸を有するタンパク質である。ある実施態様では、MV4タンパク質は、配列番号:2の約104から約206のアミノ酸と少なくとも約80%同一性を有する。別の実施態様では、MV4タンパク質は、配列番号:2の約104から約206のアミノ酸と少なくとも約85%同一性を有する。別の実施態様では、MV4タンパク質は、配列番号:2の約104から約206のアミノ酸と少なくとも約90%同一性を有する。別の実施態様では、MV4タンパク質は、配列番号:2の約104から約206のアミノ酸と少なくとも約95%同一性を有する。別の実施態様では、MV4タンパク質は、配列番号:2の約104から約206のアミノ酸と少なくとも約99%同一性を有する。
MV5(微かな増殖活性を有するタンパク質)は、野生型MDA-7のアミノ酸残基131−206に対応する。ある実施態様では、MV5は、長さが約60アミノ酸から約90アミノ酸のアミノ酸配列を有するタンパク質である。別の実施態様では、MV5は、長さが約70アミノ酸から約80アミノ酸のアミノ酸配列を有するタンパク質である。別の実施態様では、MV5は約77アミノ酸を有するタンパク質である。ある実施態様では、MV5タンパク質は、配列番号:2の約131から約206のアミノ酸と少なくとも約80%同一性を有する。別の実施態様では、MV5タンパク質は、配列番号:2の約131から約206のアミノ酸と少なくとも約85%同一性を有する。別の実施態様では、MV5タンパク質は、配列番号:2の約131から約206のアミノ酸と少なくとも約90%同一性を有する。別の実施態様では、MV5タンパク質は、配列番号:2の約131から約206のアミノ酸と少なくとも約95%同一性を有する。別の実施態様では、MV5タンパク質は、配列番号:2の約131から約206のアミノ酸と少なくとも約99%同一性を有する。
【0022】
MV6(微かな増殖活性を有するタンパク質)は、野生型MDA-7のアミノ酸残基159−206に対応する。ある実施態様では、MV6は、長さが約40アミノ酸から約60アミノ酸のアミノ酸配列を有するタンパク質である。別の実施態様では、MV6は、長さが約45アミノ酸から約55アミノ酸のアミノ酸配列を有するタンパク質である。別の実施態様では、MV6は約48アミノ酸を有するタンパク質である。ある実施態様では、MV6タンパク質は、配列番号:2の約159から約206のアミノ酸と少なくとも約80%同一性を有する。別の実施態様では、MV6タンパク質は、配列番号:2の約159から約206のアミノ酸と少なくとも約85%同一性を有する。別の実施態様では、MV6タンパク質は、配列番号:2の約159から約206のアミノ酸と少なくとも約90%同一性を有する。別の実施態様では、MV6タンパク質は、配列番号:2の約159から約206のアミノ酸と少なくとも約95%同一性を有する。別の実施態様では、MV6タンパク質は、配列番号:2の約159から約206のアミノ酸と少なくとも約99%同一性を有する。
MV7(微かな増殖活性を有するタンパク質)は、野生型MDA-7のアミノ酸残基48−180に対応する。ある実施態様では、MV7は、長さが約110アミノ酸から約160アミノ酸のアミノ酸配列を有するタンパク質である。別の実施態様では、MV7は、長さが約122アミノ酸から約146アミノ酸のアミノ酸配列を有するタンパク質である。別の実施態様では、MV7は約134アミノ酸を有するタンパク質である。ある実施態様では、MV7タンパク質は、配列番号:2の約48から約180のアミノ酸と少なくとも約80%同一性を有する。別の実施態様では、MV7タンパク質は、配列番号:2の約48から約180のアミノ酸と少なくとも約85%同一性を有する。別の実施態様では、MV7タンパク質は、配列番号:2の約48から約180のアミノ酸と少なくとも約90%同一性を有する。別の実施態様では、MV7タンパク質は、配列番号:2の約48から約180のアミノ酸と少なくとも約95%同一性を有する。別の実施態様では、MV7タンパク質は、配列番号:2の約48から約180のアミノ酸と少なくとも約99%同一性を有する。
【0023】
MV8(微かな増殖活性を有するタンパク質)は、野生型MDA-7のアミノ酸残基48−158に対応する。ある実施態様では、MV8は、長さが約90アミノ酸から約130アミノ酸のアミノ酸配列を有するタンパク質である。別の実施態様では、MV8は、長さが約100アミノ酸から約120アミノ酸のアミノ酸配列を有するタンパク質である。別の実施態様では、MV8は約112アミノ酸を有するタンパク質である。ある実施態様では、MV8タンパク質は、配列番号:2の約48から約158のアミノ酸と少なくとも約80%同一性を有する。別の実施態様では、MV8タンパク質は、配列番号:2の約48から約158のアミノ酸と少なくとも約85%同一性を有する。別の実施態様では、MV8タンパク質は、配列番号:2の約48から約158のアミノ酸と少なくとも約90%同一性を有する。別の実施態様では、MV8タンパク質は、配列番号:2の約48から約158のアミノ酸と少なくとも約95%同一性を有する。別の実施態様では、MV8タンパク質は、配列番号:2の約48から約158のアミノ酸と少なくとも約99%同一性を有する。
MV9(微かな増殖活性を有するペプチド)は、野生型MDA-7のアミノ酸残基48−130に対応する。ある実施態様では、MV9は、長さが約70アミノ酸から約100アミノ酸のアミノ酸配列を有するタンパク質である。別の実施態様では、MV9は、長さが約75アミノ酸から約90アミノ酸のアミノ酸配列を有するタンパク質である。別の実施態様では、MV9は約84アミノ酸を有するタンパク質である。ある実施態様では、MV9タンパク質は、配列番号:2の約48から約130のアミノ酸と少なくとも約80%同一性を有する。別の実施態様では、MV9タンパク質は、配列番号:2の約48から約130のアミノ酸と少なくとも約85%同一性を有する。別の実施態様では、MV9タンパク質は、配列番号:2の約48から約130のアミノ酸と少なくとも約90%同一性を有する。別の実施態様では、MV9タンパク質は、配列番号:2の約48から約130のアミノ酸と少なくとも約95%同一性を有する。別の実施態様では、MV9タンパク質は、配列番号:2の約48から約130のアミノ酸と少なくとも約99%同一性を有する。
【0024】
MV10(抗増殖活性を有するペプチド)は、野生型MDA-7のアミノ酸残基48−104に対応する。ある実施態様では、MV10は、長さが約50アミノ酸から約70アミノ酸のアミノ酸配列を有するタンパク質である。別の実施態様では、MV10は、長さが約53アミノ酸から約63アミノ酸のアミノ酸配列を有するタンパク質である。別の実施態様では、MV10は約58アミノ酸を有するタンパク質である。ある実施態様では、MV10タンパク質は、配列番号:2の約48から約104のアミノ酸と少なくとも約80%同一性を有する。別の実施態様では、MV10タンパク質は、配列番号:2の約48から約104のアミノ酸と少なくとも約85%同一性を有する。別の実施態様では、MV10タンパク質は、配列番号:2の約48から約104のアミノ酸と少なくとも約90%同一性を有する。別の実施態様では、MV10タンパク質は、配列番号:2の約48から約104のアミノ酸と少なくとも約95%同一性を有する。別の実施態様では、MV10タンパク質は、配列番号:2の約48から約104のアミノ酸と少なくとも約99%同一性を有する。
MVAB(ABドメイン)(抗増殖活性を有するペプチド)は、野生型MDA-7のアミノ酸残基63−101に対応する。ある実施態様では、MVABは、長さが約32アミノ酸から約59アミノ酸のアミノ酸配列を有するタンパク質である。別の実施態様では、MVABは、長さが約35アミノ酸から約46アミノ酸のアミノ酸配列を有するタンパク質である。別の実施態様では、MVABは約39アミノ酸を有するタンパク質である。ある実施態様では、MVABタンパク質は、配列番号:2の約63から約101のアミノ酸と少なくとも約80%同一性を有する。別の実施態様では、MVABタンパク質は、配列番号:2の約63から約101のアミノ酸と少なくとも約85%同一性を有する。別の実施態様では、MVABタンパク質は、配列番号:2の約63から約101のアミノ酸と少なくとも約90%同一性を有する。別の実施態様では、MVABタンパク質は、配列番号:2の約63から約101のアミノ酸と少なくとも約95%同一性を有する。別の実施態様では、MVABタンパク質は、配列番号:2の約63から約101のアミノ酸と少なくとも約99%同一性を有する。
【0025】
MVCD(CDドメイン)(抗増殖活性を有するペプチド)は、野生型MDA-7のアミノ酸残基105−154に対応する。ある実施態様では、MVCDは、長さが約35アミノ酸から約100アミノ酸のアミノ酸配列を有するタンパク質である。別の実施態様では、MVCDは、長さが約42アミノ酸から約85アミノ酸のアミノ酸配列を有するタンパク質である。別の実施態様では、MVCDは約50アミノ酸を有するタンパク質である。ある実施態様では、MVCDタンパク質は、配列番号:2の約105から約154のアミノ酸と少なくとも約80%同一性を有する。別の実施態様では、MVCDタンパク質は、配列番号:2の約105から約154のアミノ酸と少なくとも約85%同一性を有する。別の実施態様では、MVCDタンパク質は、配列番号:2の約105から約154のアミノ酸と少なくとも約90%同一性を有する。別の実施態様では、MVCDタンパク質は、配列番号:2の約105から約154のアミノ酸と少なくとも約95%同一性を有する。別の実施態様では、MVABタンパク質は、配列番号:2の約105から約154のアミノ酸と少なくとも約99%同一性を有する。
MVEF(EFドメイン)(抗増殖活性を有するペプチド)は、野生型MDA-7のアミノ酸残基159−201に対応する。ある実施態様では、MVEFは、長さが約35アミノ酸から約60アミノ酸のアミノ酸配列を有するタンパク質である。別の実施態様では、MVEFは、長さが約40アミノ酸から約56アミノ酸のアミノ酸配列を有するタンパク質である。別の実施態様では、MVEFは約43アミノ酸を有するタンパク質である。ある実施態様では、MVCDタンパク質は、配列番号:2の約159から約201のアミノ酸と少なくとも約80%同一性を有する。別の実施態様では、MVEFタンパク質は、配列番号:2の約159から約201のアミノ酸と少なくとも約85%同一性を有する。別の実施態様では、MVEFタンパク質は、配列番号:2の約159から約201のアミノ酸と少なくとも約90%同一性を有する。別の実施態様では、MVEFタンパク質は、配列番号:2の約159から約201のアミノ酸と少なくとも約95%同一性を有する。別の実施態様では、MVEFタンパク質は、配列番号:2の約159から約201のアミノ酸と少なくとも約99%同一性を有する。
所望の作用が細胞増殖の阻害である実施態様では、MDA-7変種はM1、M4又はM10である。
【0026】
本発明のいくつかの実施態様は以下のとおりである:
M1は配列番号:3を有するMV1の1つの実施態様であり、配列番号:2の残基48−206に示される配列を有する159アミノ酸ペプチドである。M1のアミノ酸配列は以下のとおりである:Gly Ala Gln Gly Gln Glu Phe His Phe Gly Pro Cys Gln Val Lys Gly Val Val Pro Gln Lys Leu Trp Glu Ala Phe Trp Ala Val Lys Asp Thr Met Gln Ala Gln Asp Asn Ile Thr Ser Ala Arg Leu Leu Gln Gln Glu Val Leu Gln Asn Val Ser Asp Ala Glu Ser Cys Tyr Leu Val His Thr Leu Leu Glu Phe Tyr Leu Lys Thr Val Phe Lys Asn Tyr His Asn Arg Thr Val Glu Val Arg Thr Leu Lys Ser Phe Ser Thr Leu Ala Asn Asn Phe Val Leu Ile Val Ser Gln Leu Gln Pro Ser Gln Glu Asn Glu Met Phe Ser Ile Arg Asp Ser Ala His Arg Arg Phe Leu Leu Phe Arg Arg Ala Phe Lys Gln Leu Asp Val Glu Ala Ala Leu Thr Lys Ala Leu Gly Glu Val Asp Ile Leu Leu Thr Trp Met Gln Lys Phe Tyr Lys Leu(配列番号:3)。
M2は配列番号:4を有するMV2の1つの実施態様であり、配列番号:2の残基63−206に示される配列を有する144アミノ酸ペプチドである。M2のアミノ酸配列は以下のとおりである:Gly Val Val Pro Gln Lys Leu Trp Glu Ala Phe Trp Ala Val Lys Asp Thr Met Gln Ala Gln Asp Asn Ile Thr Ser Ala Arg Leu Leu Gln Gln Glu Val Leu Gln Asn Val Ser Asp Ala Glu Ser Cys Tyr Leu Val His Thr Leu Leu Glu Phe Tyr Leu Lys Thr Val Phe Lys Asn Tyr His Asn Arg Thr Val Glu Val Arg Thr Leu Lys Ser Phe Ser Thr Leu Ala Asn Asn Phe Val Leu Ile Val Ser Gln Leu Gln Pro Ser Gln Glu Asn Glu Met Phe Ser Ile Arg Asp Ser Ala His Arg Arg Phe Leu Leu Phe Arg Arg Ala Phe Lys Gln Leu Asp Val Glu Ala Ala Leu Thr Lys Ala Leu Gly Glu Val Asp Ile Leu Leu Thr Trp Met Gln Lys Phe Tyr Lys Leu(配列番号:4)。
M3は配列番号:5を有するMV3の1つの実施態様であり、配列番号:2の残基80−206に示される配列を有する127アミノ酸ペプチドである。M3のアミノ酸配列は以下のとおりである:Gln Ala Gln Asp Asn Ile Thr Ser Ala Arg Leu Leu Gln Gln Glu ValLeu Gln Asn Val Ser Asp Ala Glu Ser Cys Tyr Leu Val His Thr LeuLeu Glu Phe Tyr Leu Lys Thr Val Phe Lys Asn Tyr His Asn Arg ThrVal Glu Val Arg Thr Leu Lys Ser Phe Ser Thr Leu Ala Asn Asn PheVal Leu Ile Val Ser Gln Leu Gln Pro Ser Gln Glu Asn Glu Met PheSer Ile Arg Asp Ser Ala His Arg Arg Phe Leu Leu Phe Arg Arg Ala Phe Lys Gln Leu Asp Val Glu Ala Ala Leu Thr Lys Ala Leu Gly GluVal Asp Ile Leu Leu Thr Trp Met Gln Lys Phe Tyr Lys Leu(配列番号:5)。
【0027】
M4は配列番号:6を有するMV4の1つの実施態様であり、配列番号:2の残基104−206に示される配列を有する103アミノ酸ペプチドである。M4のアミノ酸配列は以下のとおりである:Glu Ser Cys Tyr Leu Val His Thr Leu Leu Glu Phe Tyr Leu Lys Thr Val Phe Lys Asn Tyr His Asn Arg Thr Val Glu Val Arg Thr Leu Lys Ser Phe Ser Thr Leu Ala Asn Asn Phe Val Leu Ile Val Ser Gln Leu Gln Pro Ser Gln Glu Asn Glu Met Phe Ser Ile Arg Asp Ser Ala His Arg Arg Phe Leu Leu Phe Arg Arg Ala Phe Lys Gln Leu Asp Val Glu Ala Ala Leu Thr Lys Ala Leu Gly Glu Val Asp Ile Leu Leu Thr Trp Met Gln Lys Phe Tyr Lys Leu(配列番号:6)。
M5は配列番号:7を有するMV5の1つの実施態様であり、配列番号:2の残基131−206に示される配列を有する76アミノ酸ペプチドである。M5のアミノ酸配列は以下のとおりである:Arg Thr Leu Lys Ser Phe Ser Thr Leu Ala Asn Asn Phe Val Leu Ile Val Ser Gln Leu Gln Pro Ser Gln Glu Asn Glu Met Phe Ser Ile Arg Asp Ser Ala His Arg Arg Phe Leu Leu Phe Arg Arg Ala Phe Lys Gln Leu Asp Val Glu Ala Ala Leu Thr Lys Ala Leu Gly Glu Val Asp Ile Leu Leu Thr Trp Met Gln Lys Phe Tyr Lys Leu(配列番号:7)。
M6は配列番号:8を有するMV6の1つの実施態様であり、配列番号:2の残基159−206に示される配列を有する48アミノ酸ペプチドである。M6のアミノ酸配列は以下のとおりである:Met Phe Ser Ile Arg Asp Ser Ala His Arg Arg Phe Leu Leu Phe Arg Arg Ala Phe Lys Gln Leu Asp Val Glu Ala Ala Leu Thr Lys Ala Leu Gly Glu Val Asp Ile Leu Leu Thr Trp Met Gln Lys Phe Tyr Lys Leu(配列番号:8)。
M7は配列番号:9を有するMV7の1つの実施態様であり、配列番号:2の残基48−180に示される配列を有する133アミノ酸ペプチドである。M7のアミノ酸配列は以下のとおりである:Gly Ala Gln Gly Gln Glu Phe His Phe Gly Pro Cys Gln Val Lys Gly Val Val Pro Gln Lys Leu Trp Glu Ala Phe Trp Ala Val Lys Asp Thr Met Gln Ala Gln Asp Asn Ile Thr Ser Ala Arg Leu Leu Gln Gln Glu Val Leu Gln Asn Val Ser Asp Ala Glu Ser Cys Tyr Leu Val His Thr Leu Leu Glu Phe Tyr Leu Lys Thr Val Phe Lys Asn Tyr His Asn Arg Thr Val Glu Val Arg Thr Leu Lys Ser Phe Ser Thr Leu Ala Asn Asn Phe Val Leu Ile Val Ser Gln Leu Gln Pro Ser Gln Glu Asn Glu Met Phe Ser Ile Arg Asp Ser Ala His Arg Arg Phe Leu Leu Phe Arg Arg Ala Phe Lys Gln Leu(配列番号:9)。
【0028】
M8は配列番号:10を有するMV8の1つの実施態様であり、配列番号:2の残基48−158に示される配列を有する111アミノ酸ペプチドである。M8のアミノ酸配列は以下のとおりである:Gly Ala Gln Gly Gln Glu Phe His Phe Gly Pro Cys Gln Val Lys Gly Val Val Pro Gln Lys Leu Trp Glu Ala Phe Trp Ala Val Lys Asp Thr Met Gln Ala Gln Asp Asn Ile Thr Ser Ala Arg Leu Leu Gln Gln Glu Val Leu Gln Asn Val Ser Asp Ala Glu Ser Cys Tyr Leu Val His Thr Leu Leu Glu Phe Tyr Leu Lys Thr Val Phe Lys Asn Tyr His Asn Arg Thr Val Glu Val Arg Thr Leu Lys Ser Phe Ser Thr Leu Ala Asn Asn Phe Val Leu Ile Val Ser Gln Leu Gln Pro Ser Gln Glu Asn Glu(配列番号:10)。
M9は配列番号:11を有するMV9の1つの実施態様であり、配列番号:2の残基48−130に示される配列を有する83アミノ酸ペプチドである。M9のアミノ酸配列は以下のとおりである:Gly Ala Gln Gly Gln Glu Phe His Phe Gly Pro Cys Gln Val Lys Gly Val Val Pro Gln Lys Leu Trp Glu Ala Phe Trp Ala Val Lys Asp Thr Met Gln Ala Gln Asp Asn Ile Thr Ser Ala Arg Leu Leu Gln Gln Glu Val Leu Gln Asn Val Ser Asp Ala Glu Ser Cys Tyr Leu Val His Thr Leu Leu Glu Phe Tyr Leu Lys Thr Val Phe Lys Asn Tyr His Asn Arg Thr Val Glu(配列番号:11)。
M10は配列番号:12を有するMV10の1つの実施態様であり、配列番号:2の残基48−104に示される配列を有する57アミノ酸ペプチドである。M10のアミノ酸配列は以下のとおりである:Gly Ala Gln Gly Gln Glu Phe His Phe Gly Pro Cys Gln Val Lys Gly Val Val Pro Gln Lys Leu Trp Glu Ala Phe Trp Ala Val Lys Asp Thr Met Gln Ala Gln Asp Asn Ile Thr Ser Ala Arg Leu Leu Gln Gln Glu Val Leu Gln Asn Val Ser Asp Ala Glu(配列番号:12)。
【0029】
ペプチドMABは配列番号:13を有するMVABの1つの実施態様であり、配列番号:2の残基63−101に示される配列を有する39アミノ酸ペプチドである。MABのアミノ酸配列は以下のとおりである:Gly Val Val Pro Gln Lys Leu Trp Glu Ala Phe Trp Ala Val Lys Asp Thr Met Gln Ala Gln Asp Asn Ile Thr Ser Ala Arg Leu Leu Gln Gln Glu Val Leu Gln Asn Val Ser(配列番号:13)。
ペプチドMCDは配列番号:14を有するMVCDの1つの実施態様であり、配列番号:2の残基105−154に示される配列を有する50アミノ酸ペプチドである。MCDのアミノ酸配列は以下のとおりである:Ser Cys Tyr Leu Val His Thr Leu Leu Glu Phe Tyr Leu Lys Thr Val Phe Lys Asn Tyr His Asn Arg Thr Val Glu Val Arg Thr Leu Lys Ser Phe Ser Thr Leu Ala Asn Asn Phe Val Leu Ile Val Ser Gln Leu Gln Pro Ser(配列番号:14)。
ペプチドEFは配列番号:15を有するMVEFの1つの実施態様であり、配列番号:2の残基159−201に示される配列を有する43アミノ酸ペプチドである。MEFのアミノ酸配列は以下のとおりである:Met Phe Ser Ile Arg Asp Ser Ala His Arg Arg Phe Leu Leu Phe Arg Arg Ala Phe Lys Gln Leu Asp Val Glu Ala Ala Leu Thr Lys Ala Leu Gly Glu Val Asp Ile Leu Leu Thr Trp Met Gln (配列番号:15)。
【0030】
本発明のMDA-7変種は、その生物学的活性を高める分子を含むか、又は前記分子と結合させることができる。第一の例として、そのような分子は分泌シグナルペプチドであり得る。この場合、MDA-7変種をコードする核酸が細胞に導入され、前記分泌ペプチドは、MDA-7変種の分泌を促進し、“バイスタンダー”効果(傍観者効果)を生じよう(Su et al. Proc Natl Acad Sci USA, 2001, 98:10332-10337)。前記分泌ペプチドは、野生型MDA-7の分泌ペプチド(すなわち残基1−48)でも、又は別の天然に存在するか若しくは合成の分泌ペプチド、例えばヒトガンマインターフェロンの切断可能なシグナルペプチド(Colley et al. J Biol Chem, 1989, 264:17619-17622)、又はマウスの免疫グロブリン軽鎖前駆体のNH2-末端リーダー配列(Koren et al. Proc Natl Acad Sci USA, 1983, 80:7205-7209)でもよい。第二の例として、前記分子は、細胞又は組織区画内局在性を促進することができる。例えば、前記分子は、前記変種の小胞体内保持を促進するKDELペプチドであってもよく、又は前記分子は、細胞膜を通過して核内への侵入又は血液脳関門の通過を促進することができる。第三の非限定的な例として、FFATモチーフ(外見的に無関係のいくつかの脂質結合タンパク質で見出される膜ターゲティング決定基(Loewen et al. EMBO J 2003, 22:2025-2035))の利用により細胞膜への誘導を促進することができる。第四の非限定的な例として、cAMP-依存タンパク質キナーゼアンカータンパク質の15残基ターゲティングモチーフ(d-AKAPI)(各細胞内小器官との相互作用に依存しつつER又はミトコンドリアへタンパク質を誘導する(Ma & Taylor, J Biol Chem 2002, 277:27328-27336))をこれらER又はミトコンドリアの両細胞内小器官へ同時に誘導するために用いることができる。
分泌リーダー配列によってERへ標的化されたタンパク質は、細胞外間隙に分泌タンパク質として放出され得る。例えば、分泌タンパク質を含む小胞は、細胞膜と融合してそれらの内容物を細胞外間隙へ放出させることができる(エキソサイトーシスと称されるプロセス)。エキソサイトーシスは構成的に発生し得るが、またトリガーシグナルの受容後にも発生し得る。後者の事例では、タンパク質は、エキソサイトーシスが惹起されるまで分泌小胞(又は分泌顆粒)に貯蔵される。同様に、細胞膜上に存在するタンパク質もまた、前記膜に前記タンパク質を保持する“リンカー”のタンパク質分解切断によって細胞外間隙に分泌され得る。
【0031】
本発明のMDA-7変種は、その安定性又は活性を改善する成分を含むか、又は前記成分に連結することができる。これらの改変には以下が含まれる(ただしこれらに限定されない):N-末端アセチル化若しくはC-末端アミド化;D-アミノ酸若しくは非天然アミノ酸(β-アラニン、オルニチン、ヒドロキシプロリンが含まれるが、ただしこれらに限定されない)の取り込み;又はペプチド末端でのビオチン若しくは長鎖アルカンによる置換;ある種の側鎖改変(セリン、スレオニンまたはチロシンのリン酸化を含むが、ただしこれらに限定されない)の付加;分子内ジスルフィド結合の形成による環状化;及び環式アミド又は放射性結合物の形成。ペプチド又はタンパク質の安定化は、さらに非限定的な例として挙げれば、デリバリーの強化、安定性の増加、又は管理放出の達成を可能にするマトリックス、例えば天然および合成生物ポリマー及び細胞応答性マトリックス(Zisch et al. 2003, Cardiovasc Pathol 12:295-310)又はアルギネートマイクロカプセル(Schneider et al. 2003, J. Microencapsul 20:627-636)の利用によって達成することができる。
本発明のMDA-7変種は、当業界で公知の任意の方法によって生成することができる。そのような方法には化学的合成及び組換えDNA技術が含まれる。
“核酸分子”、“ヌクレオチド”、“ポリヌクレオチド”及び“核酸”という用語は、本明細書では任意の長さのヌクレオチドのポリマー形を指すために互換的に用いられる。前記には二本鎖及び一本鎖の両配列が含まれ、ウイルス、原核細胞及び真核細胞由来のcDNA;mRNA;ウイルス(例えばDNAウイルス及びレトロウイルス)又は原核細胞由来のゲノムDNA配列;RNAi、cRNA、アンチセンス分子、リボザイム及び合成DNA配列が含まれるが、ただしこれらに限定されない。この用語はまた、DNA及びRNAの公知の塩基類似体のいずれかを含む配列を包含する。
【0032】
“機能的に連結されている”とは、記載の成分が所望されたそれらの機能を果たすように配列された、要素の配置を指す。したがって、コード配列と機能的に連結されたあるプロモーターは、適切な転写因子などが存在するときに、前記コード配列の発現を達成することができる。プロモーターは、前記コード配列の発現を誘導するために機能し得るかぎり、前記コード配列と連続的である必要はない。したがって、例えば翻訳されないが転写される介在配列が、翻訳されるイントロンが存在し得るように、プロモーター配列とコード配列の間に存在することが可能であり、前記プロモーターはなおコード配列と“機能的に連結されている”と考えられる。
組換えDNA技術を用いるMDA-7変種の作成に関しては、本発明は前記変種をコードする核酸を提供する。そのような核酸は、変種をコードする前掲のmda-7核酸のフラグメントであるか、又は遺伝暗号を用いてそのような変種をコードするように設計した核酸でもよい。
例えば、非限定的に言えば、M1は配列番号:16を有する核酸によってコードされ、M2は配列番号:17を有する核酸によってコードされ、M3は配列番号:18を有する核酸によってコードされ、M4は配列番号:19を有する核酸によってコードされ、M5は配列番号:20を有する核酸によってコードされ、M6は配列番号:21を有する核酸によってコードされ、M7は配列番号:22を有する核酸によってコードされ、M8は配列番号:23を有する核酸によってコードされ、M9は配列番号:24を有する核酸によってコードされ、M10は配列番号:25を有する核酸によってコードされ、ABドメインは配列番号:26を有する核酸によってコードされ、CDドメインは配列番号:27を有する核酸によってコードされ、EFドメインは配列番号:28を有する核酸によってコードされる。
【0033】
本発明のMDA-7変種をコードする核酸は適切なベクター分子に含まれ得る。さらに前記は、場合によって例えば以下の適切なプロモーター(ただしこれらに限定されない)に機能的に連結され得る:サイトメガロウイルス極初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスロングターミナルリピートプロモーター、ヒト延長因子1αプロモーター、ヒトユビキチンcプロモーターなど。本発明のある種の実施態様では、誘導性プロモーターを用いることもできる。誘導性プロモーターの非限定的な例には、ネズミ乳房腫瘍ウイルスプロモーター(デキサメタゾンで誘導できる);市販のテトラサイクリン応答性又はエクジソン誘導性プロモーターなどが含まれる。本発明の非限定的な実施態様では、前記プロモーターは癌細胞で選択的に活性を有することができる。そのようなプロモーターのある例は、国際出願No. PCT/US99/07199(公開番号WO99/49898(Fisher et al. 1999年10月7日公開))に記載されたPEG-3プロモーターである。他の非限定的な例には以下が含まれる:前立腺特異的抗原遺伝子プロモーター(O'Keefe et al. 2000, Prostate 45:149-157);カリクレイン2遺伝子プロモーター(Xie et al. 2001, Human Gene Ther. 12:549-561);ヒトアルファ-フェトプロテイン遺伝子プロモーター(Ido et al. 1995, Cancer Res. 55:3105-3109);c-erbB-2遺伝子プロモーター(Takakuwa et al. 1997, Jpn J Cancer Res. 88:166-175);ヒト癌胎児性抗原遺伝子プロモーター(Lan et al. 1996, Gastroenterol 111:1241-1251);ガストリン放出ペプチド遺伝子プロモーター(Inase et al. 2000, Int J Cancer 85:716-719);ヒトテロメラーゼ逆転写酵素遺伝子プロモーター(Pan and Koenman, 1999, Med Hypotheses 53:130-135);ヘキソキナーゼII遺伝子プロモーター(Katabi et al. 1999, Human Gene Ther. 10:155-164);L-プラスチン遺伝子プロモーター(Peng et al. 2001, Cancer Res 61:4405-4413)、ニューロン特異的エノラーゼ遺伝子プロモーター(Tanaka et al 2001, Anticancer Res 21:291-294);ミドカイン遺伝子プロモーター(Adachi et al, 2000, Cancer Res 60:4305-4310);ヒトムチン遺伝子MUC1プロモーター(Stackhouse et al. 1999, Cancer Gene Ther. 6:209-219);及びムチン遺伝子MUC4プロモーター(Genbank Acc. No. AF241535)(前記は膵癌細胞で特に活性を有する:Perrais et al. J Biol Chem 2001, 276:30923-30933)。
【0034】
適切な発現ベクターには、ウイルス系ベクター及び非ウイルス系DNA又はRNAデリバリー系が含まれる。適切なウイルス系遺伝子伝達ベクターの例には以下が含まれる(ただしこれらに限定されない):Invitrogen社のpCEP4及びpREP4ベクター、及びより一般的にはレトロウイルスに由来するもの、例えばモロニーネズミ白血病ウイルス系ベクター、例えばLX、LNSX、LNCX又はLXSN(Miller & Rosman, 1989, Biotechniques 7:980-989);レンチウイルス、例えばヒト免疫不全ウイルス(“HIV”)、ネコ白血病ウイルス(“FIV”)又はウマ伝染性貧血ウイルス(“EIAV”)系ベクター(Case et al. 1999, Proc Natl Acad. Sci. USA, 96:22988-2993;Curran et al. 2000, Molecular Ther. 1:31-38;Olsen, 1998, Gene Ther. 5:1481-1487;米国特許6,255,071号及び6,025,192号);アデノウイルス(Zhang, 1999, Cancer Gene Ther 6:113-138;Connelly, 1999, Curr Opin Mol Ther 1:565-572;Stratford-Perricaudet, 1990, Human Gene Ther 1:241-256;Rosenfeld, 1991, Science 252:431-434;Wang et al. 1991, Adv Exp Med Biol 309:61-66;Jaffe et al. 1992, Nat Gen 1:372-378;Quantin et al. 1992, Proc Natl Acad Sci USA 89:2581-2584;Rosenfeld et al. 1992, Cell 68:143-155;Mastrangeli et al 1993, J Clin Invest 91:225-234;Ragot et al. 1993, Nature 361:647-650;Hayaski et al. 1994, J Biol Chem 269:23872-23875;Bett et al. 1994, Proc Natl Acad Sci USA 91:8802-8806)、例えばAd5/CMV系E1-欠失ベクター(Li et al. 1993, Human Gene Ther. 4:403-409);アデノ関連ウイルス、例えばpSu201系AAV2由来ベクター(Walsh et al. 1992, Proc Natl Acad Sci USA, 89:7257-7261);単純ヘルペスウイルス、例えばHSV-1を土台にするベクター(Geller & Freese, 1990, Proc Natl Acad Sci USA, 87:1149-1153);バキュロウイルス、例えばAcMNPV系ベクター(Boyce & Bucher, 1996, Proc Natl Acad Sci USA, 93:2348-2352);SV40、例えばSVluc(Strayer & Milano, 1996, Gene Ther 3:581-587);エプスタイン-バールウイルス、例えばEBV由来レプリコンベクター(Hambor et al. 1988, Proc Natl Acad Sci USA 85:4010-4014);アルファウイルス、例えばセムリキ森林ウイルス又はシンドビスウイルス系ベクター(Polo et al. 1999, Proc Natl Acad Sci USA 96:4598-4603);ワクシニアウイルス、例えば改変ワクシニアウイルス(MVA)系ベクター(Sutter and Moss, 1992, Proc Natl Acad Sci USA, 89:10847-10851)又は他の任意のクラスのウイルスであって、ヒト腫瘍細胞の効率的なトランスダクションが可能でありさらに治療効率に要求される核酸配列の収容が可能なもの。
【0035】
本発明にしたがって用いることができる非ウイルス系デリバリー系の非限定的な例には、いわゆる裸の核酸(Wolff et al. 1990, Science 247:1465-1468)、リポソーム被包化核酸(Nicolau et al. 1987, Methods in Enzymology 198:157-176)、核酸/脂質複合体(Legendre & Szoka, 1992, Pharmaceutical Research 9:1235-1242)、及び核酸/タンパク質複合体(Wu & Wu, 1991, Biother. 3:87-95)が含まれるが、ただしこれらに限定されない。
MDA-7はまた酵母又は細菌発現系によって生成することができる。例えば、細菌発現は、プラスミド、例えばpGEX発現系(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)、pQE His-タグ付加発現系(Qiagen, Valencia, CA)、pET His-タグ付加発現系(EMD Biosciences, Inc., La Jolla, CA)、又はIMPACT発現系(New England Biolabs, Beverly, MA)を用いて達成することができる。
用いる発現系に応じて、核酸は任意の標準的な技術(トランスフェクション、トランスダクション、エレクトロポレーション、バイオバリスティクス(bioballistics)、マイクロインジェクションなどを含む)により導入することができる。
本発明の非限定的実施態様では、発現ベクターは血清型5のE1-欠失ヒトアデノウイルスベクターである。そのようなベクターを調製するために、MDA-7変種コード領域およびポリアデニル化シグナル配列に機能的に連結された転写プロモーターエレメントを含む発現カセットを、アデノウイルスベクターシャトルプラスミド(例えばpXCJL(Berkner, 1988, Biotechniques 6:616-624))のマルチクローニング領域に挿入することができる。このプラスミド環境では、前記発現カセットは、アデノウイルスE1遺伝子領域を破壊した、ヒトアデノウイルス血清型5のゲノムの5’末端と相同なDNA配列に挿入することができる。このシャトルプラスミドをE1-トランス相補性293細胞株(Graham et al. 1977, J. General Virology 36:59-74)又は当業界で公知の別の適切な細胞株に、アデノウイルスベクターヘルパープラスミド(例えばpJM17(Berkner, 1988, Biotechniques 6:616-624;McGrory et al. 1988, Virology 163:614-617)若しくはpBHG10(Bett et al. 1994, Proc Natl Acad Sci USA, 91:8802-8806))又はアデノウイルス5ゲノムから単離されたClaI-消化フラグメントと一緒にトランスフェクトすることによって、アデノウイルスシャトルプラスミドに含まれる相同なアデノウイルス配列とヘルパープラスミド又はアデノウイルスゲノムフラグメントとの間で組換えが発生し得る。この組換え事象は、外来遺伝子の発現カセットが機能的E1遺伝子の代わりに挿入されたアデノウイルスゲノムを生じる。ヒトアデノウイルス5型のE1遺伝子のタンパク質生成物によってトランス相補が達成されるとき(例えば293細胞で発現される場合のように)、これらの組換えアデノウイルスベクターゲノムは複製することができ、完全に感染性を有するアデノウイルス粒子としてパッケージングされ得る。この組換えベクターは続いて1回以上のプラーク精製によって夾雑ウイルス粒子から単離することができ(Berkner, 1988, Biotechniques 6:616-624)、このベクターをさらに精製し密度超遠心により濃縮することができる。
【0036】
本発明の非限定的な実施態様では、発現可能な形態を有するMDA-7変種をコードする核酸は、改変Ad発現ベクターpAd.CMV(Falck-Pedersen et al. 1994, Mol Pharmacol 45:684-689)に挿入することができる。このベクターは、順番に、アデノウイルスゲノムの左端から最初の355塩基対、サイトメガロウイルス極初期プロモーター、スプライスドナー及びアクセプター部位をコードするDNA、mda-7変種遺伝子のためのクローニング部位、グロビン遺伝子由来のポリアデニル化シグナル配列をコードするDNA、及びE1Bコード領域内から伸長する約3000塩基対のアデノウイルス配列を含む。続いて、この構築物を、上記で説明したように相同組換えによってMDA-7変種コード核酸を含む複製欠損アデノウイルスが生成され得るように、プラスミドJM17と一緒に293細胞に導入することができる(Graham et al. 1977, J Gen Virol, 36:59-72)。
本発明は、本発明の単離核酸を提供し、この核酸を発現系で発現させてポリペプチドを生成することによってポリペプチドを生成する方法を提供する。前記方法を実施するために、細胞による発現系及び無細胞発現系の両系を用いることができる。原核細胞発現系及び真核細胞発現系の両系が適切である。例えば、前記発現系は、本発明の単離核酸分子でトランスフェクトした宿主細胞を含み、組換え宿主細胞を形成することができ、前記を培養することができる。前記方法の実施に適した無細胞発現系には、コムギ胚芽溶解物系、ウサギ網状赤血球発現系、リボソームディスプレー及び大腸菌溶解物発現系が含まれる。本発明は、細胞による発現系及び無細胞発現系の両系によって生成されるポリペプチドを提供する。本発明は、哺乳動物、昆虫、植物、酵母又は細菌宿主細胞を用いるこれらの系によって生成されたポリペプチドを提供する。
本発明は、配列番号:3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14のポリペプチドと結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。
本発明はまた、本発明によって提供されるMDA-7変種と構造的に類似するペプチド模倣化合物を提供する。一般的には、化合物Xのペプチド模倣体は、Xの機能的活性に必要なXの化学構造が、Xのコンフォーメーションを模倣する他の化学構造によって置き換えられている化合物を指す。ペプチド模倣体は、現在のところ、それらの親ペプチドに付随する問題を克服するために利用される。ペプチド模倣体によって提供される親ペプチドを越える改善には、選択性の増加、経口投与による生体利用能、及び生物体内での酵素的分解を妨げることによる活性の延長が含まれる。ペプチド模倣体には、親ペプチドの三次元形状を模倣する有機化合物及び改変ペプチドが含まれ得る。ペプチド模倣体の例には、ペプチド骨格が1つ以上のベンゾジアゼピン分子で置き換えられているペプチド部分を含む本発明のMDA-7変種が含まれる(例えば以下を参照されたい:G.L. James et al. 1993, Science 260:1937-1942)。
【0037】
MDA-7変種の活性を確認するためのアッセイ
本発明のMDA-7変種を、細胞増殖及び/又は分化の調節における活性について試験することができる。
“細胞増殖を調節する”とは、特定の条件下および一般的に増殖の促進又は阻害を含む(例えば単層細胞又は軟寒天中でのコロニー形成)。MDA-7変種の増殖に対する作用は、細胞集団が増殖する速度(例えば倍増時間)を測定することによって、又は有糸分裂中の細胞の百分率(例えば分裂中期の細胞数)を測定することによって判定することができる。ある実施態様では、MDA-7変種は、少なくとも約5、10、20、30、40又は50%増殖を調節することができる。本明細書で定義される“微かな”活性は、約5−15%の調節を指す。
MDA-7変種の調節活性は、先行するセクションで示したウイルスベクターを用いて、例えばトランスフェクション又はトランスダクションにより、変種をコードする核酸を発現可能な形態でテスト細胞に導入することによって試験することができる。適切なテスト細胞には、その増殖が天然のMDA-7によって調節される細胞(悪性細胞、例えば下記の作業例で用いられる細胞株を含むが、ただしこれらに限定されない)が含まれる。また別には、テスト細胞を有効濃度の変種ペプチドに暴露することによって、MDA-7変種の調節活性を試験することができる。タンパク質又はペプチドの有効濃度は18−50ng/μLの範囲であり得る。
本発明の1つの実施態様では、MDA-7変種の細胞増殖調節能は以下のようにアッセイすることができる。増殖速度は、MDA-7変種及び対応するコントロールによる処理後2−3週間で、6cmの組織培養皿上でコロニーを形成する細胞の能力によって決定することができる。この場合、増殖阻害又はアポトーシス誘導物質若しくは分子の存在下または非存在下における細胞増殖に対する効果は、細胞が分裂及び増殖して50細胞/コロニーを超えるフォーカスを形成する能力によって測定される。これは細胞生存の間接的手段であり、阻害物質又はいくつかの他の関連する中立的コントロール物質又は分子の存在下で比較に基づいて測定される、同じような数の細胞又は同一細胞タイプによって形成されるコロニー数との関係で決定される。ほぼ5x103から5x104の細胞を撒き、適切な増殖培地中で前記細胞を接着させた後、DNAトランスフェクション又は適切なウイルスベクター若しくは精製タンパク質を用いた感染によるMDA-7変種の処置をすることができる。選択的薬剤の存在下又は非存在下でインキュベートした後で、生存細胞を眼に見えるコロニーとして、例えば2−3週間後に数え記録することができる。得られたコロニー(50細胞/コロニーを超えるフォーカスを構成する)はギムザ色素でプレートを染色することによって可視化することができる(Su et al. 1998, Proc Natl Acad Sci USA, 95:14400-14405)。
【0038】
遺伝子治療としてのMDA-7変種の使用
MDA-7変種を用いて対象において細胞増殖を調節することができる。この場合、発現可能な形態の変種をコードする核酸を対象の細胞に導入することができる。
非限定的な実施態様では、MDA-7変種をコードする核酸をウイルスベクターに収納し、標的細胞で誘導可能であるか又は構成的に活性を示すプロモーターエレメントに機能的に連結することができる。非限定的な実施態様では、前記ウイルスベクターは複製欠損アデノウイルスである。非限定的な実施態様では、前記ウイルスベクターは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ワクシニアウイルス、ヘルペスウイルス及びポリオーマウイルスから成る群から選択される。
本発明の限定的実施態様では、MDA-7変種、例えば適切なプロモーターに機能的に連結されたMVXポリペプチドをコードする核酸を含むウイルスベクターを、標的細胞集団に10−100の感染多重度(MOI)の範囲で投与することができる。
別の非限定的実施態様では、対象に投与されるウイルスベクターの量は1x109 pfuから1x1012 pfuであろう。
非限定的実施態様では、ベクターに含まれるか又は他の態様のMDA-7変種をコードする核酸を細胞にex vivo導入し、続いて前記細胞を対象に導入することができる。例えば、MDA-7変種をコードする核酸を対象の細胞(例えば放射線照射腫瘍細胞、神経膠細胞又は線維芽細胞)にex vivo導入し、続いて前記核酸を含む細胞を場合によって増殖させ、その後(前記細胞の子孫細胞とともに)前記対象に導入することができる。
【0039】
ペプチド療法としてのMDA-7変種の使用
また別には、MDA-7変種は、そのような処置が必要な対象のポリペプチド療法で用いることができる。したがって、本発明のMDA-7変種を化学合成又は組換えDNA技術によって調製し、当業界で公知の方法によって精製し、続いてそのような処置が必要な対象に投与することができる。MDA-7変種は、例えば溶液に、懸濁物に、及び/又は担体粒子(例えば微小粒子、リポソーム又は同業界で公知のタンパク質安定化処方物)中に含有させることができる。非限定的な例では、MDA-7変種ペプチドの処方物は、ある種のタイプのインスリン処方物の場合のように、亜鉛及び/又はプロタミン安定化剤の添加によって安定化させることができる。
本発明は核酸及びポリペプチドの両組成物を提供し、各々は担体を含む。それらは、例えばベクター組成物として、及び/又は宿主細胞組成物として提供することができる。前記担体は、医薬的に許容できる担体又は賦形剤であり得る。非限定的な実施態様では、MDA-7変種は、共有結合によって又は非共有結合によって担体タンパク質に結合させることができる。本発明のある実施態様では、前記担体タンパク質は非免疫原性である。
非限定的な実施態様では、MDA-7変種ポリペプチドは、18から50ng/μLの範囲の局所濃度を達成する濃度で投与される。例えば、対象には50−100mg/kgの範囲を投与することができる。人間のためには、投薬範囲は1000から2500mg/日の間であろう。
【0040】
MDA-7タンパク質変種を用いる併用療法
本発明はさらに、他の治療形態と組み合わせたMDA-7変種の使用を包含する。例えば、本発明は、抗増殖作用を有する他の薬剤(放射線療法及び化学療法剤を含むが、ただしこれらに限定されない)と併用してMDA-7変種を使用することを含む。
第一の非限定的な例として、MDA-7変種は、フリーラジカル発生物質と一緒に投与することができる(国際出願PCT/US03/28512, Fisher et al. 2004年7月22日にTrustees of Columbia University and Virginia Commonwealth UniversityによってWO04/060269として公開)。フリーラジカル発生物質の例には、三酸化砒素、NSC656240、4-HPR及びシスプラチンが含まれるが、ただしこれらに限定されない。ROSの例には、シングレット酸素、過酸化水素、超酸化物陰イオン、ヒドロキシルラジカル、ペルオキシ亜硝酸塩及び酸化体が含まれるが、ただしこれらに限定されない。他の実施態様では、前記フリーラジカル発生物質は三酸化砒素、NSC656240又は4-HPRである。他の実施態様では、ミトコンドリア膜電位の破壊物質はPK11195である。
第二の非限定的な例として、MDA-7変種は、放射線療法のプログラムとともに投与することができる(国際出願PCT/US03/28512, Fisher et al. 2004年7月22日にTrustees of Columbia University and Virginia Commonwealth UniversityによってWO04/060269として公開)。非限定的な実施態様では、MDA-7変種は2から100Gyの間の放射線と一緒に、単回治療又は複数回治療として投与することができる。本発明のある非限定的な実施態様では、2Gyの外部処置を6週間にわたり各々1週につき5日間、合計60Gyを投与することができる。外科的手術中の放射線照射が実施される場合は、投与線量は合計3から15Gyであろう。ある実施態様では、照射放射線量はおよそ6Gyである。
第三の非限定的実施態様として、MDA-7変種は、特にras遺伝子における変異に関連する細胞増殖異常の治療で、抗-ras薬剤とともに投与することができる(国際出願PCT/US02/26454, Fisher et al. 2003年2月27日にTrustees of Columbia UniversityによってWO03/016499として公開)。適切な抗-ras薬剤には、小さな干渉RNA(RNAi)、アンチセンスRNA(ホスホロチオエート残基を有するオリゴヌクレオチドが含まれるが、ただしこれに限定されない)、又はファルネシルトランスフェラーゼ阻害因子が含まれるが、ただしこれらに限定されない。
第四の非限定的実施態様として、MDA-7変種は化学療法剤と一緒に投与することができる。前記化学療法剤には、いくつかを列挙すれば以下が含まれるが、ただしこれらに限定されない:インターフェロンアルファ、タモキシフェン、シスプラチン、ダウノルビシン、カルムスチン、ダカルバジン、エトポシド、フルオロウラシル、イフォスファミド、メトトレキセート、マイトマイシン、ミトキサントロンHCl、ビンクリスチン、ビンブラスチン、及びアドリアマイシンが含まれる。
第五の非限定的実施態様として、MDA-7変種は、抗癌抗体(例えばトラスツズマブ(trastuzumab)(Herceptin)であるが、ただしこれに限定されない)と一緒に投与することができる。
さらにまた、MDA-7変種は、2つ以上の抗増殖剤(例えばフリーラジカル発生物質、放射線、抗-ras薬剤、化学療法剤、抗癌抗体など)と一緒に投与することができる。
MDA-7の投薬に添加される抗増殖療法の量は、そのような療法のために一般的に用いられる投薬量であろう。また別には、MDA-7とは別の形態の抗増殖療法との併用によって、前記抗増殖療法のより低用量の使用が可能になるであろう。
【0041】
治療することができる症状
本発明は、特に非限定的な実施態様で、過剰な細胞増殖を特徴とする異常の治療を提供する。そのような異常には、非悪性症状(乾癬、角化棘細胞腫、赤血球増加症、非新形成性再発性結節性甲状腺腫、声門下嚢腫、毛細血管性血管腫、良性骨腫、子宮平滑筋腫、及び他の非悪性新形成又は再発性嚢腫が含まれるが、ただしこれらに限定されない)及び悪性症状(皮膚の癌(例えば基底細胞癌、扁平上皮癌及びメラノーマ)、神経系の癌(例えば神経膠芽腫、星状細胞腫及び乏突起神経膠腫)、骨の癌(例えば骨肉腫)、白血病、リンパ腫、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、膀胱癌、胃腸系の癌(例えば胃癌、十二指腸癌、結腸及び直腸癌)、肝細胞癌、膵臓の癌、胆嚢の癌、副腎の癌、腎細胞癌、及び肺臓の癌(例えば小細胞及び非小細胞の癌及び中皮腫)が含まれるが、ただしこれらに限定されない)が含まれるが、ただしこれらに限定されない。
本発明は、増殖性疾患(例えば乳腺癌、非小細胞肺癌、乳房腫瘍、肺腫瘍、前立腺腫瘍、胃の腫瘍、膀胱腫瘍、神経膠芽腫及び/又は皮膚癌)の治療を提供する。
別の非限定的実施態様では、本発明は、mda-7及び他の炎症性サイトカイン(例えばIL-10及びIL-20)の活性を阻害することによって炎症性疾患を制限するための手段を提供する。そのような異常には、炎症性腸疾患、慢性喘息及び他の肺の炎症性疾患、炎症性神経変性疾患、皮膚T-細胞リンパ腫、慢性関節リウマチ、乾癬など(ただしこれらに限定されない)であって、その病理が前炎症サイトカインの活性を必要とし、前記活性の阻害が症状の軽減をもたらし得るものが含まれる。
【0042】
実施例
実施例1:mda-7欠失発現ベクターの構築及び細胞におけるmda-7欠失変異体の発現
材料と方法:
ヒト癌細胞株及び細胞培養:ヒト子宮頸癌(HeLa)及び前立腺癌(DU-145)由来細胞株をATCC(Manassas, VA)から入手し、ダルベッコ改変イーグル培養液(10%ウシ胎児血清補充)で増殖させ、5%CO2大気及び100%湿度で37℃にて細胞培養インキュベーター内で維持した。細胞は、適用可能な場合、例えばpREP4ベクター又はpREP4ベクターでクローニングした他の構築物によるトランスフェクション後に、50μg/mLのヒグロマイシンで選別した。遺伝子の発現のためにプラスミドを細胞に導入するトランスフェクションは、リポフェクタミン(Lipofectamine)2000試薬を業者(Invitrogen, Carlsbad, CA)の推奨する条件にしたがって利用して実施した。
単層細胞の増殖及びコロニー形成アッセイ:種々の構築物の作用を調べるために、コントロールとしてpREP4ベクター(Invitrogen, Carlsbad, CA)又はmda-7の特定のドメインがクローニングされたpREP4により、リポフェクタミン2000試薬を用い、これらのトランスフェクションを実施した。およそ5x103から5x104細胞を撒き、接着させた後で、挿入物を含まないか、完全長の野生型又はMDA-7変種を含むpREP4プラスミドDNAをトランスフェクトし、続いて2−3週間インキュベートし、その間に50μg/mLのヒグロマイシンによる選別を適用して非トランスフェクト細胞の増殖を阻害した。コロニー形成後に、プレートをギムザ染色で染色し、コロニー当たり50細胞を超えるコロニーを以前に記載されたように記録した(Su et al. 1998, Proc Natl Acad Sci USA, 95:14400-14405)。トランスフェクションは三つ組で実施し、各トランスフェクションについて統計的に有効なコロニー数を得た。
mda-7欠失発現ベクターの構築:完全長MDA-7の変種型(構築物M1からM10、MAB、MCD及びMEF)を、特異的プライマーによるPCRを利用して構築した(前記プライマーの配列は、上記に記載したMDA-7の特定のアミノ酸座標を包含する領域を規定しその境界を特定するものである)。各オープンリーディングフレームの開始点の開始メチオニンコドン及び末端の翻訳停止コドンの付加を含む必須の調節シグナルもまた、変種の構築のために用いられる前記個々のプライマーに、必要な場合にはPCRを利用して前記シグナルを取り込むことによって導入した。トランスフェクト細胞中でプラスミドの転写を駆動する他の転写調節配列(プロモーター及びポリアデニル化部位を含む)を、PCRによって生成された個々のMDA-7配列のクローニングに利用されるプラスミドのマルチクローニング部位に隣接してpREP4ベクター配列に含ませた。全ての構築物は配列を確認して、発現されるべきオープンリーディングフレームの完全性と同様にコードされる欠失を確認した。
【0043】
結果
PCRによる手法を用いて、以下のそれぞれ別個の10種の欠失構築物を哺乳動物発現ベクターpREP4(Invitrogen, Carlsbad, CA)にクローニングした:アミノ末端欠失セットを構成する、48−206(M1)、63−206(M2)、80−206(M3)、104−206(M4)、131−206(M5)及び159−206(M6)を含むMDA-7タンパク質のアミノ酸座標を包含する欠失構築物、並びにカルボキシ末端欠失セットを構成する、アミノ酸座標48−180(M7)、48−158(M8)、48−130(M9)及び48−104(M10)を包含する欠失構築物。このベクター系は、mda-7遺伝子の増殖抑制作用の解析のために以前に利用されたものである(Jiang et al. 1996, Proc Natl Acad Sci USA 93:9160-9165)。欠失は、N-末端から48−159位の間で、及びC-末端から104−180位の間で、ほぼ20アミノ酸間隔で半ランダムに構築した(図1)。
HeLa(ヒト子宮頸癌)細胞は形質転換効率が高く、さらにmda-7誘導アポトーシスに対する感受性が比較的高いので(Jiang et al. 1996, Proc Natl Acad Sci USA, 93:9160-9165)、個々の変異体構築物を発現させることによる表現型に対する影響を先ず初めにHeLa細胞で解析した。トランスフェクト細胞を培養皿当たり5x103から5x104細胞の濃度で撒き、対応する発現ベクターでトランスフェクトした。コントロールは空のpREP4ベクター又は完全なmda-7読み枠をコードするpREP4含んでいた(図2Aおよび2B、pREP4及びMDA7の棒線)。種々のmda-7欠失変異体に暴露後の細胞生存に対する効果を形成コロニー(コロニー当たり50細胞を超えるものを含む)数の平均として記録した。前記平均数は、各構築物につき3枚のプレートから得たコロニー数の平均値から得られた。陰性コントロール(pREP4)は平均110コロニーを示したが、完全長mda-7発現プレートは平均60コロニー/プレートを示した。対照的に、M2、M3、M5、M7、M8及びM9発現細胞は、pPREP4コントロールと比較してコロニー形成に対する効果は最低から全く効果無しであった。しかしながら、構築物M1、M4及びM10は顕著な増殖阻害作用を示し、平均コロニー数はそれぞれM1で60、M4で50、及びM10で20であった。したがって、M1、M4及びM10は、野生型MDA-7の増殖阻害作用の部分的又は完全な回復能力を示した。試験した残りの構築物は、HeLa細胞で過剰に発現させたとき、細胞増殖及び生存に対し微かな効果を示すか又は明瞭な効果は示さなかった(図2A及び2B)。この実験をDU-145(ヒト前立腺癌)細胞で繰り返したとき、M1、M4及びM10の3つの構築物は全て、阻害活性で完全長MDA-7と統計的に匹敵し、pREP4ベクターと比較して平均50%のコロニー形成阻害を示した(150の平均コロニー数に対し60;図4)。mda-7の欠失変種、特にM1、M4及びM10によるこれら一連の実験は、隔離して発現させたとき、MDA-7に特異的な領域が、完全な天然の分子によってのみ示される癌細胞殺能力を保持し得ることを示した。
【0044】
さらに別の、MDA-7分子の主要ヘリックス領域に類似する3つの内部欠失変種を構築した。IL-10及びMDA-7の両者は4-ヘリックスバンドルファミリーに属するサイトカインであるので(Pestka et al. Annu Rev Immunol 2004, 22:929-979)、AB-、CD-及びEF-ドメイン構築物を、公知のIL-10結晶構造のヘリックスオーバーレイ又はスレッディングを基にして輪郭を作成し、MDA-7の予想される構造を得た。ヘリックス領域が4-ヘリックスバンドルサイトカインのサイトカイン活性に重要であることが示されたので、これらの変種を構築する基礎は、変異の合理的構造に基づく枠組みに少なくとも部分的に従うことであった(Pestka et al. Annu Rev Immunol 2004, 22:929-979)。発現構築物は、PCRにより生成した分子をpREP4ベクターでクローニングすることによって調製し、さらにこれらを先の一連の変種(M1からM10)の場合のようにコロニー形成アッセイで試験した。
AB、CD及びEF-シリーズ変種を利用するトランスフェクション実験では、M1−M10シリーズのみによるトランスフェクションとは対照的に、各構築物は、ベクター(v)、野生型完全長発現構築物(M)とともに、さらにお互いを組み合わせて同時トランスフェクトションを実施したという点で、M1−M10シリーズを用いて実施した実験の変形であった。トランスフェクション当りの投入DNAの合計量は、ベクター、MDA-7及び欠失構築物DNAの濃度を調節することによって維持し、別々の点で阻害の程度を比較することが可能であることを担保した。この実験設計は、野生型分子又は互いに対して変異体の活性が干渉的であるか又は協調的であるかの決定を可能にした。
HeLa細胞では、ABドメイン(“MAB”)は、完全長MDA-7と同時トランスフェクトされたとき、v+M+EF、v+M+AB+CD、v+M+BC+EF、v+M+AB+EF、v+AB+CD+EFがそうであったように、MDA-7の増殖阻害能力を無効にすることができた(図6、v+M+AB、バー)。しかしながら、v+M+CDは、完全長MDA-7の阻害活性に対して何らの影響も示さなかった。
【0045】
同様な実験シリーズをDU-145細胞で実施したとき、同様な阻害パターンが観察された(図7)。これらの結果から、少なくともMDA-7のある部分的ヘリックスドメイン(すなわちAB及びEFドメイン)は、野生型分子と同時発現されるとき、現在のところは不明のメカニズムにより、野生型の増殖阻害特性を反転させることができるようである。これらは、完全長MDA-7、同時発現変種、及び他の細胞性のMDA-7活性媒介物質(これは活性を有する完全長MDA-7含有複合体と不活性な変種会合複合体との間に分布しているかもしれない)間のタンパク質‐タンパク質相互作用が中心的に関与している可能性があろう。
構築物M1、M4及びM10を用いて得られた結果は、MDA-7ポリペプチドの特定領域が形質転換細胞でアポトーシスを誘導することができることを示している。M1は、N-末端シグナル配列の大半を含む最初の46アミノ酸が少ない、MDA-7の完全な活性領域に一致する。この配列の除去は、細胞がMDA-7タンパク質を分泌する能力を障害することが示された。しかしながら、最近の研究によって、この切端分子(前記分泌ペプチドを欠く)は、小胞体内に分布し、以前に野生型分子について間接的に示された(Sauane et al. Cancer Res 2004, 64:2988-2993)ように、おそらく折り畳まれていないタンパク質の応答を介してアポトーシスを誘導することにより、形質転換細胞特異的アポトーシスを誘導する性能をもつことが示された。前記2つの重複しない構築物M4及びM10は、MDA-7ペプチドの切端形であり、この活性の起因となり得る共通の領域を持たないにもかかわらず、なお個々にアポトーシス誘導活性を保持する。
【0046】
実施例2:Bip/GRP78は癌特異的アポトーシスのMDA-7/IL-24による誘導のための細胞内標的である
mda-7/IL-24は、細胞培養、動物モデル及び臨床試験において広範囲のヒト癌において癌選択的増殖抑制及びアポトーシスを誘導するIL-10遺伝子ファミリーの固有のメンバーである。欠失解析を用いて、完全長タンパク質の癌特異的増殖抑制及びアポトーシス誘導特性を保持するMDA-7/IL-24の特定の変異体、M4(アミノ酸104から206から成る)について述べる。MDA-7/IL-24及びM4は、Bip/GRP78と物理的に相互作用し、小胞体中に分布し、さらにp38 MAPK及びGADD遺伝子発現を活性化しアポトーシスをもたらす。これらの実験は、MDA-7/IL-24の作用メカニズムに対する新規な考察を提供し、さらにこの癌特異的アポトーシス誘導サイトカインの改善治療版を開発する機会を提供する。
mda-7/IL-24は、癌の遺伝子治療に対する高い潜在能力を有し、最近患者で有効性が実証された。この癌特異的アポトーシス誘導サイトカイン遺伝子の作用メカニズムに対する新規な考察が提供され、未改変MDA-7/IL-24タンパク質の特性を保持する完全長タンパク質のほぼ50%を含む特定の欠失変異体M4が同定された。合理的に設計された変異解析によって、癌選択的殺細胞特性の媒介において、MDA-7/IL-24のC及びFヘリックスの特定の領域とBiP/GRP78との相互作用が重要であることが示された。これらの発見は、癌の遺伝子治療のためにこの新規なサイトカインの利用の改善を発展させるために用いることができる新たな標的及びアプローチを明らかにする。Mda-7/IL-24は、癌の遺伝子治療として高い潜在能力を示す興味深い多機能性遺伝子産物である(Fisher et al. 2003;Fisher, 2005;Gupta et al. 2005;Lebedeva et al. 2005a)。複製不能アデノウイルス(Ad.mda-7)の手段によって投与したとき、広範囲の腫瘍細胞において増殖抑制及びアポトーシスがin vitro及びin vivo(ヒト腫瘍異種移植)の両方で誘導され、一方、有害な作用は正常細胞では観察されない(Fisher et al. 2003;Fisher, 2005;Gupta et al. 2005;Lebedeva et al. 2005a)。進行癌及びメラノーマの腫瘍内へのmda-7/IL-24のアデノウイルス投与を伴うフェーズI臨床試験では、この新規なサイトカインは安全であることが見出され、さらに強力な腫瘍特異的アポトーシス誘導及び顕著な臨床活性を示した(Fisher et al. 2003;Cunningham et al. 2005;Fisher, 2005;Gupta et al. 2005;Lebedeva et al. 2005a;Tong et al. 2005)。これらの興味をかき立てる発見により、メラノーマ及びヒトの他の癌に対しmda-7/IL-24を用いた臨床試験が進行中である。
【0047】
Ad.mda-7をメラノーマ細胞で用いる実験によって、ウイルスにより発現されたmda-7/IL-24は、アポトーシス促進タンパク質対抗アポトーシスタンパク質比の変化を誘導して、ついにはアポトーシスをもたらし、正常又は不死化ヒトメラニン形成細胞では影響は観察されないことが確認された(Lebedeva et al. 2002)。この弁別的なアポトーシス作用の基礎となるメカニズムを解明する実験によって、Ad.mda-7は、増殖停止及びDNA損傷誘導性(GADD)遺伝子ファミリー(GADD153、GADD45α及びGADD34)の用量依存及び時間依存誘導を、メラノーマではp38マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)を介して誘導するが、正常な不死メラニン形成細胞では誘導しないことが示された(Sarkar et al. 2002b)。Ad.mda-7による感染に続くGADDの活性化はまた、正常な星状細胞、前立腺上皮細胞及び中皮細胞の初代細胞に対して、ヒトの悪性神経膠種並びに前立腺及び卵巣癌で選択的に生じることが示された(Su et al. 2003)。これらの発見は、これら重要な分子の誘導は、特定の癌細胞におけるmda-7/IL-24よる選択的アポトーシス誘導に必須であり得ることを示唆している。
mda-7/IL-24はヒト染色体1q32-33に存在する(Blumberg et al. 2001;Huang et al. 2001)。ほぼ2kbのmda-7/IL-24 mRNAは206アミノ酸のポリペプチドをコードする。配列の解析によって、mda-7/IL-24はクラス2のサイトカインファミリーのメンバーであることが明らかになった(前記ファミリーにはIL-10、IL-19、IL-20、IL-22、IL-26及びIFN-γが含まれる(Pestka et al. 2004))。このような背景では、mda-7/IL-24は、IL-10の結晶構造に類似するαヘリックス構造(A−Fと標識される6つのα-ヘリックス)をとると予想される(Pestka et al. 2004;Walter, 2004;Xu et al. 2004)。mda-7/IL-24のサイトカインとしての分類と一致して、前記タンパク質のN-末端の48アミノ酸はシグナルペプチドを形成する。発現実験によって、mda-7/IL-24は、その3つのN-結合グリコシル化部位の1つ以上で様々にグリコシル化された1578アミノ酸として分泌されることが確認された(Sauane et al. 2003b)。
【0048】
他のクラス2サイトカインのように、mda-7/IL-24は、細胞表面レセプター(IL-20R1/IL-20R2又はIL22R1/IL-20R2ヘテロダイマー)と結合し(Dumoutier & Renauld, 2002;Wang et al. 2002)、JAK/STATシグナル伝達経路を活性化する(Dumoutier et al. 2001;Kotenko et al. 2002;Wang et al. 2002;Pestka et al. 2004)。サイトカインとしてのその役割と一致して、外因的に添加されたMDA-7/IL-24は、癌細胞において同族の細胞表面レセプターの存在に依存するアポトーシスを誘導することが示された(Chada et al. 2005;Su et al. 2005b)。しかしながら、いくつかの特定の細胞タイプに対するほとんどのサイトカインの特異的作用とは対照的に、mda-7/IL-24は、ほぼ普遍的なアポトーシス誘導特性をヒトメラノーマ、骨肉種、線維肉腫、中皮腫、悪性神経膠腫、並びに乳房、子宮頸、結腸、肝、肺、鼻咽頭、卵巣及び前立腺の癌で示す(Shakar et al. 2002a;Fisher et al. 2003;Sauane et al. 2003b;Fisher, 2005;Gupta et al. 2005;Lebedeva et al. 2005a)。対照的に、広範囲の正常細胞(皮膚及び肺の線維芽細胞、メラニン形成細胞、中皮細胞、星状細胞、並びに乳房、前立腺及び卵巣由来の上皮細胞を含む)において有害な作用は観察されなかった(Sarkar et al. 2002a;Fisher et al. 2003;Sauane et al. 2003b;Fisher, 2005;Gupta et al. 2005;Lebedeva et al. 2005a)。
研究は、最初、アポトーシス誘導におけるmda-7/IL-24レセプター媒介JAK/STATシグナル伝達の役割に集中した(Sauane et al. 2003a)。一連のチロシンキナーゼ(TK)阻害剤(ゲニステイン及びAG18)、JAK選択的阻害剤(AG490)、及び特定のJAK/STATシグナル伝達経路に欠損を有する細胞を用いた実験で、TK活性化は、Ad.mda-7誘導アポトーシスに要求されないことが示され、mda-7/IL-24の癌特異的アポトーシス活性はJAK/STAT非依存性であることが示唆された(Sauane et al. 2003a)。このサイトカインのJAK/STAT非依存態様での殺癌細胞能力はまた、外因的に添加した組換えGST-MDA7/IL-24融合タンパク質により証明された。前記融合タンパク質は、ウイルスによりデリバーされたmda-7/IL-24について観察されたように、形質転換細胞ではアポトーシスを誘導したが正常細胞では誘導しなかった(Sauane et al. 2004a)。さらにまた、GST-MDA7/IL-24タンパク質は、JAK/STAT欠損細胞株において、及びIL-20R1/IL-20-R2又はIL-22R1/IL-20R2レセプターを欠く細胞においてアポトーシスを惹起し、このことは、mda-7/IL-24誘導癌特異的死滅活性は実際にJAK/STAT非依存性であり、前記死滅活性は同族レセプターとの結合に依存しないメカニズムにより生じ得ることを示唆している(Sauane et al. 2004a)。癌特異的アポトーシスを誘導する正規のサイトカインメカニズムが欠如することについての更なる支持は、シグナルペプチドを欠くmda-7/IL-24非分泌型、Ad.SP-mda-7を用いた実験からもたらされる(Sauane et al. 2004b)ウイルスにより発現されたSP-mda-7は、完全長Ad.mda-7に匹敵するアポトーシス誘導活性を示した(Sauane et al. 2004b)。これらの発見は、mda-7/IL-24媒介アポトーシスは、分泌によると同様に、未だ特定されていない細胞内の作用態様により、又は前記の両プロセスの組み合わせにより惹起され得ることを示している(Sauane et al. 2004b;Su et al. 2005a;Gupta et al. 2005)。
【0049】
一連のいくつかの証拠により、細胞内mda-7/IL-24媒介アポトーシスは小胞体(ER)シグナル伝達を伴い得ることが示唆される。第一に、Ad.mda-7、Ad.SP-mda-7及びGST-MDA-7/IL-24を用いた局在性実験によって、ER/ゴルジ区画がMDA-7/IL-24の局在の主要部位であることが示された(Sauane et al. 2004a;Sauane et al. 2004b)。第二に、Ad.mda-7は、ERストレス応答と古くから関連付けられているGADD遺伝子発現を誘導する(Sarkar et al. 2002b;Su et al. 2003)。第三に、H1299非小細胞肺癌細胞のAd.mda-7感染はIP3R(イノシトール三リン酸レセプター)のアップレギュレーションをもたらす(Mhashulkar et al. 2003)。IPR3は、アポトーシスに関与する、ER局在細胞内カルシウム放出チャネルである(Fry, 2001;Rao et al. 2002b)。
細胞による研究に加えて、直接的相互作用が、クラス2サイトカインのIFN-γとER存在シャペロンBip/GRP78との間で示された。クラス2サイトカイン間でのアミノ酸配列の相同性によれば、mda-7/IL-24もまた1つ以上の推定的BiP/GRP78結合部位を含み、前記はERシグナリング応答に影響を与えるであろう。BiP/GRP78は折り畳まれていないポリペプチドの結合に中心的に関与して3-D構造への折り畳みを促進するので、野生型mda-7/IL-24と同様な態様でERシグナル伝達を活性化するmda-7/IL-24の欠失変異体を同定することが可能である。これらのデータはER変種タンパク質BiP/GRP78がMDA-7/IL-24のための細胞内標的として作用することを示し、後に続く、癌細胞において選択的にアポトーシスを媒介する下流の標的p38 MAPK及びGADDの活性化と共にこの結合の重要性を明らかにするものである。MDA-7/IL-24の切端型もまた同定され、完全長タンパク質のアミノ酸104−206から成るM4(BiP/GRP78結合を維持する)はERに分布し、腫瘍細胞でのみ増殖抑制及びアポトーシスを促進する生化学的変化をin vitro及びin vivoの両方で誘導する。本実験はまた、IL-10ファミリーメンバーのmda-7/IL-24によるアポトーシス誘導の非標準的な細胞内態様を提示し、癌細胞でアポトーシスを選択的に誘導する、mda-7/IL-24活性をもつ小分子模倣体の開発を示唆する。
【0050】
結果
癌特異的増殖抑制を媒介するmda-7/IL-24の機能領域のマッピング
mda-7/IL-24は、細胞内レセプター非依存性メカニズムによりアポトーシスを誘導するという仮説を試験するために、一連のmda-7/IL-24欠失変異体(M1−M6)を構築した。前記変異体は、アミノ酸配列によって特定されるMDA-7/IL-24の二次構造予想及びIL-10との構造相同性(Walter & Nagabhushan, 1995)を手引きとした。第一の変異体(M1)では、mda-7/IL-24の分泌を誘導するシグナルペプチドを欠失させる(Sauane et al. 2004b)。M2では、シグナルペプチド及びα-ヘリックスAの前の残基を欠失させる。変異体M3−M6は以下を含むペプチドに対応する:仮想MDA-7/IL-24α-ヘリックスB、C、D、E及びF(M3);C、D、E及びF(M4);D、E及びF(M5);並びにE及びF(M6)。この戦術は、たとえそれらが完全に折り畳まれた三次元構造を採ることができなくても、又は細胞表面レセプターに結合するために培養液に分泌されないとしても、生物学的に活性をもち得るMDA-7/IL-24のフラグメントを特定するために採用された。
変異体M1−M6を一過性に癌(HeLa及びDU-145)及び正常(P69)細胞株で発現させ、細胞増殖を抑制するそれらの能力を判定した(図8B、8C及び8D)。M1(シグナルペプチドアミノ酸1−47を欠く)は、HeLa及びDU-145細胞で顕著な増殖抑制特性を示し(図8B及び8C)、SV40-不死化正常ヒト前立腺上皮(P69)細胞では増殖に変化を与えなかった(図8D)。構築物M2及びM3における完全長mda-7/IL-24遺伝子の1−62及び1−79の残基の欠失は、それぞれ、増殖抑制活性を欠く分子を生じさせた(図8)。残基1−103の欠失(M4、α-ヘリックスC、D、E及びFに対応する)は、MDA-7/IL-24遺伝子産物の機能的活性(HeLa及びDU-145細胞における癌特異的増殖抑制を含む)を保持した(図8B及び8C)。さらに別の癌細胞株(LNCaP(前立腺癌)及びT47D(乳癌)を含む)へのM4構築物のトランスフェクションは、コロニー形成を低下させ、一方、P69(図8D)又はFM516-SV(SV-40 T抗原により不死化した正常ヒトメラニン形成細胞株)ではコロニー阻害は観察されなかった。残基1−130(M5)又は1−159(M6)の更なる欠失は、癌特異的細胞増殖抑制活性で分子を不活性にした。
変異体M1−M6の発現レベルの特徴を知るために、M1−M6をpCMV3x Flagベクターでサブクローニングした。Flag M1−M6をHeLa、DU-145及びP69細胞で発現させ、抗Flag抗体を用いてウェスタンブロット分析で定量した。flag-タグ付加構築物由来の欠失変異体の発現は、機能的タンパク質が、完全長MDA-7/IL-24、M1、M2、M3及びM4については合成されることを明らかにした(図8E)。しかしながら、M5又はM6構築物についてflag-タグ付加タンパク質は検出されなかった(図8E)。
【0051】
アデノウイルスによるM4の異所性発現は癌細胞特異的アポトーシスを誘導する
アデノウイルスによる異所性発現は、増殖及び非増殖細胞で遺伝子産物の効率的デリバリーを提供し、野生型及び変異体サプレッサー遺伝子の生物学的機能の評価を可能にする。どのようにM4(文字通り新規なサイトカインMDA-7/IL-24の1/2を含む)が、完全長分子と同様な癌特異的増殖抑制特性を誘引するかについての解明を開始するために、M4を発現する複製不能5型アデノウイルス(Ad.M4)を構築した。HeLa細胞にAd.vec(遺伝子挿入物を欠くAd)、Ad.mad-7(UTRのない完全長mda-7/IL-24を含むAd)、又はAd.M4(M4変異体を含むAd)を50pfu/細胞で感染させ、24時間後にRNAを単離し、ノーザンブロット分析を実施した(図9A)。さらにまた、細胞を溶解し、MDA-7/IL-24及びM4タンパク質のレベルをウェスタンブロット分析によって決定した(図9B)。HeLa細胞のAd.M4による感染は、約15kDaのただ1種のMDA-7/IL-24タンパク質を産生し、一方、Ad.mda-7はグリコシル化のために複数のバンド(約20から約25kDaの範囲)を生じた(図9B)。同様な結果が、正常な初代ヒト胎児星状細胞(PHFA)、FM516-SV又はP69細胞をAd.mda-7又はAd.M4で感染させたときに得られた。
癌細胞及び正常細胞の生存に対するAd.M4及びAd.mda-7ウイルス感染の影響を評価した。HeLa、DU-145及びP69細胞を、100pfu/細胞のAd.vec、又は10、25、50若しくは100pfu/細胞のAd.M4若しくはAd.mda-7で感染させた。細胞の生存率を、1、3及び5日目に実施したMTTアッセイによってモニターした。これらの実験によって、Ad.M4又はAd.mda-7による感染後のDU-145及びHeLa細胞の生存率における用量依存低下が確認された(図9C)。対照的に、P69細胞の生存率に対する識別可能な影響は、100pfu/細胞のAd.M4又はAd.mda-7を感染させた後ですら明白ではなかった(図9C)。癌細胞の生存率における決定的な低下は、わずか10pfu/細胞のAd.M4又はAd.mda-7でもDU-145及びHeLa細胞では明白であった(図9C)。長期の生存率の阻害は、クローンの生存アッセイを用いて証明された(図9D)。これらの実験では、Ad.M4及びAd.mda-7は、細胞を10pfu/細胞のウイルスで感染させたときでも、DU-145及びHeLa細胞の生存で深刻な低下をもたらした。対照的に、MTTアッセイで観察されたように、Ad.vec感染P69に対しては、たとえ100pfu/細胞のAd.M4又はAd.mda-7を感染させたときでさえ、コロニー形成に対する有意な影響は明らかではなかった。これらの実験によって、Ad.mda-7に対して癌細胞におけるAd.M4の同様な限定的抗増殖作用及び抗生存作用が確認され、正常細胞では毒性作用は明白ではなかった。
アネキシンV染色(細胞内の初期アポトーシス性変化をモニターする)は、P69、DU-145、HeLa及びT47D(乳癌)細胞で100pfu/細胞のAd.M4又はAd.mad-7による感染後24時間でFACS解析によって決定された(図9E)。P69細胞のAd.vec、Ad.M4又はAd.mda-7による感染によって、ほぼ5−8%のアネキシンV陽性染色細胞が生じ、一方、DU-145細胞のほぼ35−40%、HeLa細胞のほぼ50−55%、及びT47D細胞のほぼ25−30%が、Ad.M4又はAd.mda-7による感染後にアネキシンVで陽性に染色された(図9E)。これらの結果は、M4及びMDA-7/IL-24の両者は、同様なアポトーシス誘導特性を癌細胞で示し、正常細胞ではアポトーシスを促進しないことを示している。アポトーシス誘導特性の欠如はまた、正常なPHFA及びFM516-SV細胞でも明白であった。これらの結果は、M4変異体(MDA-7/IL−24の6つの仮想α-ヘリックスのうち4つから成る(α-ヘリックスC、D、E及びF))は、完全長分子と同じ癌特異的増殖抑制及びアポトーシス誘導特性を保持することを示している。さらにまた、M4はシグナル配列を含まず、細胞から分泌されない。このデータは、mda-7/IL-24による癌細胞特異的死滅活性の新規な細胞内態様に対する更なる支持を提供する。
【0052】
M4はmda-7/IL-24のように小胞体内に局在する
mda-7/IL-24は、正規のIL-20/IL-22レセプター鎖又はJAK/STATシグナル伝達経路との相互作用に依存しない癌細胞特異的死滅活性を誘導することができる(Sauane et al. 2003a;Su et al. 2005a)。これは、どんな細胞内標的がmda-7/IL-24による癌細胞の選択的細胞内死滅活性を媒介し得るのかという明白な問題を提起する。以前の研究によって、MDA-7/IL-24は正常及び癌細胞の両細胞のERに局在することが明らかにされ、我々は、M4もまたERに局在するか否かを決定することを迫られた。
この疑問に答えるために、M4及びMDA-7/IL-24の細胞内局在性を、Ad.M4又はAd.mda-7による感染後にDU-145及びP69細胞で解析した(図9F及び9G)。DU-145癌細胞においてM4又はMDA-7/IL-24によって誘導されるアポトーシス事象による内部の膜の完全性喪失の結果として生じ得る局在性における不明瞭な変化を避けるため、種々の時点の免疫蛍光検出を標準化した。完全長MDA-7/IL-24タンパク質のように、M4は、癌細胞と正常細胞の両方のER区画内に局在した(図9F及び9G)。
【0053】
M4及びMDA-7/IL-24タンパク質のC及びFヘリックス内の疎水性残基は生物学的活性に必要である
Vandenbroeckら(2002)の研究によって、全てのIL-10ファミリーメンバー(mda-7/IL-24を含む)の保存されたDnaK/BiP/GRP78結合部位(これら分子の折り畳みを促進するために必要であるかもしれない)が同定された(Vandenbroeck et al. 2002)。前記保存されたDnaK/BiP/GRP78結合部位はヘリックスCに位置し、mda-7/IL-24では8残基配列TLLEFYLKから成る。IL-10及びIFN-γの三次元構造では、ヘリックスCのDnaK/BiP/GRP78結合部位は、ヘリックスFに存在する第二の高度に保存されたアミノ酸残基配列(mda-7/IL-24ではKALGEVD)の隣に配置される。ヘリックスCの保存されたセグメントとは対照的に、ヘリックスFの保存された配列は、DnaK/BiP/GRP78と相互作用することは示されなかった。細胞内で発現されると、MDA-7/IL-24及びM4のどちらもERに局在するので、ヘリックスC及びFに位置するこれら保存された残基セグメントの潜在的役割を、M4及びMDA-7/IL-24による殺作用の媒介において究明した。
MDA-7/IL-24のヘリックスC(TLLEFYLK)及びF(KALGEVD)の保存残基の癌細胞特異的死滅活性誘導における役割を解明するために、第二の変異体セット(M4A−M4G)を作成した。MDA-7/IL-24の最後の7残基をM4Aで欠失させ残基104−199を含む変異体を得た。M4B(残基119−206)は、DnaK/BiP/GRP78結合部位を含むヘリックスCの欠失に対応する。M4CはM4(104−206)と同じ長さであるが、ヘリックスC残基TLLEFYLKをAGDATAGAに変異させた。M4Dでは、完全なFヘリックスが欠失し、構築物はMDA-7/IL-24の残基104から187を保持していた。M4Eでは、ヘリックスFの保存残基(KALGEVD)をGAHGAVAに変異させた。M4F(残基119−187)は二重欠失変異体であり、MDA-7/IL-24のヘリックスC及びFの両方を除去した。最後に、M4GはヘリックスC及びFの両保存残基を、変異体M4C及びM4Eについて先に記載したように変異させた二重変異構築物である(図10A)。
【0054】
前記種々の構築物を、HeLa及びDU-145癌細胞並びに正常P69細胞におけるコロニー(クローン)形成アッセイを用いて、機能的活性について評価した。これらの実験は、mda-7/IL-24、M4及びM4Aは、コントロールpREP4トランスフェクト細胞と比較して、ヒグロマイシン耐性コロニー形成をHeLa及びDu-145細胞の両細胞で同程度に低下させ、正常なP69細胞ではコロニー形成に有意な変化を与えなかった(図10B、10C及び10D)。C又はFヘリックスの変異若しくは欠失(M4B、M4C、M4D及びM4E)は、mda-7/IL-24、M4又はM4Aによるトランスフェクションと比較して、HeLa及びDU-145細胞におけるコロニー形成を軽度に低下させた。M4F及びM4G変異体(C及びFヘリックスの両方に変異若しくは欠失を含む)は、コロニー阻害活性を欠くか(HeLa)又は極めてわずか(DU-145)の阻害活性を示した(図10B及び10C)。これらの新たに追加した変異体のいずれもP69細胞でのコロニー形成に影響を与えなかった(図10D)。これらのデータは、mda-7/IL-24のM4欠失変異体の癌特異的活性の媒介におけるMDA-7/IL-24タンパク質のC及びFヘリックスの役割を示している。どちらかの部位を変異させるか又は欠失させたとき活性の破壊があり、両部位を欠失又は変異させたとき機能は本質的に消滅した。
MDA-7/IL-24による死滅活性の媒介におけるヘリックスC及びF残基の役割をさらに調べるために、完全長MDA-7/IL-24のヘリックスC及びFの保存領域内に変異を創出した。MDA7(C)では、MDA-7/IL-24のヘリックスCをTLLEFYLKからTLAGSRLGへ変異させ、MDA7(C/F)では、MDA-7/IL-24のC及びFを変異させた。MDA-7(C/F)では、α-ヘリックスC残基TLLEFYLKを残基TLAGSRLGへ変異させ、α-ヘリックスF残基KALGEVDを残基GAHGAVAに変異させた(図10E)。MDA-7(C)に導入した変異は、構築物作成における困難さのためにM4で作成した他のヘリックスC変異とは異なっているが、ヘリックスFの保存領域における変異は、M4構築物で用いたものと同一であった。
コロニー形成アッセイを用いる癌細胞株及び正常細胞株におけるコロニー形成に対するこれらの変異の影響を評価した(図10F及び10G)。ヘリックスCの変異はMDA-7/IL-24の機能的活性を破壊し、CおよびF(C/F)ヘリックスの両方の変異はMDA-7/IL-24の癌特異的阻害活性を抑制し、pREP4ベクターをトランスフェクトした培養で観察されたコロニー数と同様な数のコロニーが生じた(図10F)。しかしながら、これらのコロニーは、ベクターコントロールをトランスフェクトした細胞で形成されたコロニーよりも形態的に小さく、何らかの増殖調節活性の保持が示唆された。これらMDA-7/IL-24変異体のどちらについてもP69細胞では影響は観察されなかった(図10G)。これらの実験により、MDA-7/IL-24タンパク質のC及びFヘリックスの両方が、最適なmda-7/IL-24癌特異的増殖抑制活性の維持に必須であることが確認された。
【0055】
ER変種BiP/GRP78はMDA-7/IL-24及びM4と相互作用する
これらのデータは、M4及び完全長のMDA-7/IL-24の両者の癌特異的阻害活性の媒介におけるα-ヘリックスC及びFの保存残基の潜在的関与を示す。IFN-γのヘリックスCの保存領域はDnaK及びBiP/GRP78と相互作用することが示されたので、BiP/GRP78及びMDA-7/IL-24が互いに結合するか否かを調べるために実験を行った。MDA-7/IL-24及びM4タンパク質のアデノウイルストランスダクションによる異所性発現とそれに続くBiP/GRP78抗体による免疫沈降(IP)によって、これら分子間の物理的相互作用が確認された(図11A)。
BiP/GRP78とMDA-7/IL-24又はM4との相互作用をさらに解明するために、MDA-7/IL-24又はM4をHeLa細胞で一過性に発現させ、BiP/GRP78との相互作用の特徴を調べた。しかしながら、図11Aで分かるように、BiP/GRP78とMDA-7/IL-24又はM4との相互作用は、細胞をAd.mda-7又はAd.M4に感染させたときのみに明瞭であった。この問題を解決するために、MDA-7/IL-24及びBiP/GRP78を異なるアフィニティータグ(すなわちFlag又はMyc)とともに同時に発現させ、同時IP解析を再度行った(図11B)。Flag-タグ付加MDA-7/IL-24又はM4をmyc-タグ付加BiP/GRP78とともにHeLa細胞に一過性にトランスフェクトし、9E10 Mycモノクローナル抗体を用いてIPを実施した。タンパク質サンプルをエレクトロブロッテイングし、Flag抗体M2でデベロップさせた。図11Bで分かるように、MDA-7/IL-24及びM4のBiP/GRP78との同時IPはこれら2つの分子の物理的相互作用を明示した。MDA-7/IL-24及びM4のBiP/GRP78との同時IPはまた、ポリクローナルBiP/GRP78抗体をIPのために用いたときにも観察された。同様に、HeLa細胞のFlag-タグ付加M1、M2又はMのBiP/GRP78との同時トランスフェクションによって、これらMDA-7/IL-24変異体とBiP/GRP78との相互作用を確認させる9E10myc抗体による同時IPの結果が得られた(図11C)。逆の実験もまた実施した。例えば、Flag抗体を用いてIPを実施し、Myc抗体9E10を用いて膜をプローブした。この実験でもまた、BIP/GRP78とMDA-7/IL-24及びM4との相互作用が、M1、M2及びM3との相互作用と同様に、両分子が同時にHeLa細胞にトランスフェクトされたときにのみ確認された。
【0056】
BiP/GRP78との相互作用の媒介におけるMDA-7/IL-24及びM4のC並びにFヘリックスの推定される役割をさらに究明するために、Cヘリックスと同様にFヘリックスのMDA-7/IL-24及びM4のflag-タグ付加変異体を構築した。図11Dは、flag-タグ付加野生型MDA-7/IL-24及びM4の発現と同様にMDA-7/IL-24及びM4のCプラスF(C/F)変異体の発現を示している。これらの変異体を用いて、これら領域の破壊がHeLa細胞(図11E)及びP69細胞におけるBiP/GRP78との相互作用を変化させるか否かを調べた。BiP/GRP78をBiP/GRP78抗体を用いて免疫沈降させ、さらにFlag抗体を用いて膜をプローブした(図11E)。MDA-7/IL-24及びM4のC/Fヘリックス変異体は、それらのBiP/GRP78結合能力を失った(図11E)。同様な結果が正常なP69細胞を用いて得られ、BiP/GRP78結合は、C及びFヘリックスに存在する保存残基の完全性に依存することが示された。これらの研究によって、BiP/GRP78はMDA-7/IL-24及びM4とヘリックスC及び/又はFの保存残基を介して相互作用し、これらの残基の変異は結合を妨げ、完全長MDA-7/IL-24と同様にM4の癌特異的アポトーシス誘導特性を抑制することが確認された。これらの研究によって、MDA-7/IL-24−BiP/GRP78相互作用は正常細胞及び癌細胞の両方で生じること、及びこの物理的相互作用だけでは(癌細胞でのアポトーシス誘導には必要であるが)、正常細胞でこの新規なサイトカインによって増殖抑制又はアポトーシス誘導を媒介できないことが確認された。
【0057】
M4はp38 MAPKの活性化及びGADD遺伝子ファミリー発現を誘導する
以前の観察によって、MDA-7/IL-24は、多数の標的細胞でp38 MAPKを活性化し(正常細胞では活性化しないが)、それによって癌細胞において選択的にアポトーシスを引き起こす遺伝子のアポトーシス促進性GADDファミリーの誘導をもたらすことが示された(Sarkar et al. 2002b;Su et al. 2003)。薬理学的阻害剤を用いるか又はドミナント-ネガティブ方式によるメラノーマ細胞におけるp38 MAPK活性化の阻止、又はGADD遺伝子発現のアンチセンスブロッキングは、Ad.mda-7によるアポトーシス誘導をそれぞれ阻害又は低下させた(Sarkar et al. 2002b)。これらの発見によって、このシグナル伝達経路は、特定の癌細胞におけるmda-7/IL-24によるアポトーシス誘導に関係があるとの論争が生じている。これらのことを考慮して、種々のMDA-7/IL-24及びM4変異体(M1(シグナルペプチドを欠くアミノ酸1から48)、M2、M3、M4、及びM4の種々の点変異又は欠失を含む)を試験して、それらがp38 MAPKのリン酸化を誘導する能力及びGADD遺伝子発現を誘導する能力を保持しているか否か決定した。図12Bに示されているように、完全長MDA-7/IL-24、M1及びM4タンパク質は、p38 MAPKのリン酸化を促進する最大限の能力を保持している。対照的に、M2、M3、M4及びM5はp38 MAPKリン酸化を誘導しない。p38の下流の標的の解析は、MDA-7/IL-24、M1及びM4によるGADD34及びGADD153 mRNAの両方の最大限の誘導を示した(図12C)。同様に、p38 MAPKのリン酸化並びにGADD34及びGADD153 mRNA誘導の低下は、完全長MDA-7/IL-24のヘリックスC又はヘリックスCプラスF(C/F)の変異体、MDA7(C)及びMDA7(C/F) をコードする変種、並びにM4変種(M4C、M4E、M4F及びMFG)で明瞭であった(図12C)。MDA-7/IL-24及びM4がp38 MAPKリン酸化を誘導するメカニズムは未だ決定されてはいないが、本実験は、BIP/GRP78結合後に活性化され、さらにMDA-7/IL-24及びM4が癌細胞で選択的にアポトーシスを誘導するために必須である、対応する下流の標的遺伝子ファミリーを明らかにする(図12D)。
【0058】
M4はヒト腫瘍ヌードマウス異種移植モデルにおけるin vivo抗腫瘍特性を維持する
Ad.mda-7(完全長mda-7/IL-24遺伝子を発現する)は、ヒト腫瘍の異種移植を含むヌードマウスで強力な抗腫瘍活性を有する(Su et al. 1998;Madireddi et al. 2000;Sarkar et al. 2005)。この考察に基づき、アデノウイルスによって投与されるM4が抗腫瘍活性を示すか否か、及びどのようにしてそれをAd.mda-7と比較し得るかを決定するための実験を設計した。M4はシグナルペプチド及び完全長MDA-7/IL-24の54アミノ酸を欠くので、M1遺伝子構築物を発現するアデノウイルス、Ad.Sp-mda-7(Sauane et al. 2004b)の作用もまた調べた。腫瘍の研究のために当分野で公知の方式(Sarkar et al. 2005)を用いた。前記方式では、腫瘍は動物の両側で樹立され、治療薬剤は動物の片側に適用され、注射腫瘍部位及び非注射腫瘍部位における前記薬剤の作用が一定時間にわたって決定された。このアプローチは、“抗腫瘍バイスタンダー”活性についての洞察を提供する(Su et al. 2001;Su et al. 2005b;Chada et al. 2005)。前記活性は、その治療的有用性を顕著に高めるmda-7/IL-24の固有の特性である(Fisher et al. 2003;Lebedeva et al. 2005b;Tong et al. 2005;Fisher, 2005)。ヌードマウスに樹立したT47Dヒト乳癌異種移植におけるAd.M4及びAd.Sp-mda-7の腫瘍内注射は、コントロール(未処置)又はAd.vec(コントロールの空アデノウイルス)注射動物の腫瘍増殖と比較したとき、左側(注射側)の腫瘍増殖を顕著に抑制した。しかしながら、Ad.M4及びAd.Sp-mda-7は、右側の非注射腫瘍に対しては識別可能な効果を示さなかった。しかしながら、Ad.mda-7の注射は左側の腫瘍を完全に一掃し、右側の腫瘍の増殖を顕著に阻害した。これらの発見は、Ad.M4及びAd.Sp-mda-7は顕著に腫瘍増殖を阻害したが、分泌能力の欠如のために、それらは“抗腫瘍バイスタンダー”活性はまったく示さないことを示した。対照的に、Ad.mda-7は原発腫瘍を根絶し、さらに遠位(右側)腫瘍を顕著に阻害して、Ad.mda-7が強力な“抗腫瘍バイスタンダー”活性を有することを示した。
【0059】
考察
MDA-7/IL-24(IL-10ファミリーのサイトカイン)が、癌細胞の細胞表面レセプター(IL-20R1/IL-20R2、IL-22R1/IL-20R2)と相互作用することなく、さらにJAK/STAT活性化を生じることなく、癌細胞で選択的にアポトーシスを誘導するメカニズムを明らかにするために、一連のMDA-7/IL-24欠失変異体を構築し、癌細胞及び正常細胞で増殖抑制及びアポトーシス誘導活性について評価した。この解析によって、アミノ酸104から206を含むMDA-7/IL-24欠失変異体(M4)は完全長タンパク質と区別不能なアポトーシス誘導活性を示すことが明らかになった。
MDA-7/IL-24欠失変異体M4は、野生型タンパク質のシグナル配列及び6つの推定的α-ヘリックスのうち2つ(α-ヘリックスA及びB)を欠いている。MDA-7/IL-24アミノ酸の50%の欠失にもかかわらず、M4変異体はp38 MAPKを活性化し、さらにGADD34及びGADD153遺伝子発現を促進することによって癌細胞において選択的にアポトーシスを誘導する。MDA-7/IL-24変異体、M1(シグナル配列を欠く)及びM4はまた、動物の両側に樹立させたヒト乳房腫瘍の異種移植を含むヌードマウスでも評価された(Sarkar et al. 2005)。このモデルでは、動物の左大腿部に注射されたAd.mda-7は、左側の腫瘍のサイズ同様にマウスの右側の大腿部の腫瘍サイズも効率的に縮小した。対照的に、Ad.M1及びAd.M4は、ウイルス注射側(左の大腿部)の腫瘍サイズを縮小させたが、動物の右の大腿部に存在する腫瘍に対しては効果を示さなかった。Ad.M1及びAd.M4はシグナル配列を含まないので、このデータは、MDA-7/IL-24の抗腫瘍作用の細胞内メカニズムを支持する。さらにまた、推定的MDA-7/IL-24レセプター結合部位の少なくとも50%がM4変異体では欠失しているので、MDA-7/IL-24レセプター相互作用はそのアポトーシス誘導活性のために必須ではないように思われる。しかしながら、異種移植腫瘍モデルで示したように、分泌されたMDA-7/IL-24は、おそらくはレセプター媒介メカニズムによって遠位に存在する腫瘍にて、パラクリン的態様(例えば“バイスタンダー活性”)で癌細胞アポトーシスを誘導することができる(Chada et al. 2005;Su et al. 2005b)。分泌シグナルのM4への付加がこの切端MDA-7/IL-24タンパク質の“バイスタンダー活性”の誘導を可能にするか否かを決定するためには、更なる研究が必要である。
【0060】
MDA-7/IL-24、M1及びM4媒介癌細胞アポトーシスのための要件は、ERシャペロンBiP/GRP78との相互作用である。ヘリックスC内の保存されたBiP/GRP78結合部位を変異させることによる、MDA-7/IL-24:BiP/GRP78又はM4:BiP/GRP78相互作用の破壊は、癌細胞アポトーシス並びにp38 MAPK及びGADD遺伝子の活性化を妨害する。これらの結果は、癌細胞特異的環境内におけるMDA-7/IL-24とシャペロンBiP/GRP78との結合はERストレスシグナルを誘導し、p38 MAPKを介してGADD遺伝子の活性化によって最終的にはアポトーシスを誘導し得ることを示唆している(図12D)。
MDA-7/IL-24変異体、M2及びM3(前記はアポトーシスを誘導しない)は、ヘリックスC及びFに完全なBiP/GRP78結合部位を有する。したがって、M2及びM3変異体はBiP/GRP78と結合しERに局在するが、これらの変異体は、同様なp38 MAPKリン酸化又はGADD遺伝子発現を誘導しなかった。これらの結果は、BiP/GRP78結合はMDA-7/IL-24媒介癌細胞アポトーシスのために必要であるが、十分ではないことを示唆している。前記結果は、多様な分泌タンパク質(それらの配列に保存されたBiP/GRP78結合部位を含むIL-10ファミリーの他のメンバーを含む)の適切な折り畳みを支援するというBiP/GRP78の主要な役割と一致する(Vanderbrock et al. 2002)。活性のないM2及びM3変異体は両者とも、癌細胞で選択的にアポトーシスを誘導することができるMDA-7/IL-24の残基104−206(M4)を含む。これらの活性を示さない構築物がBiP/GRP78と相互作用するということを考慮すれば、シャペロンによる安定化の他に、明らかにより高レベルの調節がMDA-7/IL-24の活性制御のために機能しているであろう。この調節は、BiP/GRP78の他に、未だ同定されていないタンパク質(タンパク質X)とMDA-7/IL-24との相互作用によって媒介されるかもしれない。前記未同定タンパク質とM1及びM4は相互作用し(M2又はM3は相互作用しない)、それによって下流のシグナル伝達カスケード(例えばp38 MAPKリン酸化及びそれに続くGADD遺伝子誘導)を活性化するのかもしれない(図12D)。
【0061】
MDA-7/IL-24:BiP/GRP78相互作用と癌細胞アポトーシスとの繋がりについての少なくともある程度の洞察が、ERストレス応答の活性化メカニズムに関する最近の研究から得ることができる(Rao et al. 2002a;Rao et al. 2004;Rao et al. 2002b)。特に、膜結合転写因子ATF6(いくつかのERストレス応答遺伝子を誘導する)の活性化は、BiP/GRP78に対するATF6の管腔ドメインとER内の折り畳まれていないタンパク質との間の競合によって制御される(Shen et al. 2002;Shen & Prywes, 2004;Shen et al. 2005)。正常な条件下では、ATF6はBiP/GRP78との相互作用によって遮蔽された不活性な形態で維持されている。しかしながら、AFT6からBiP/GRP78が解離することによって転写因子が活性化され、それがいくつかのERストレス応答遺伝子の誘導をもたらす(Yoshida et al. 1998)。したがって、癌細胞では、MDA-7/IL-24、M1及びM4の発現はBiP/GRP78について競合し、AFT6及びおそらくは他のシグナル伝達分子(癌細胞のアポトーシスを調節する)の活性化をもたらし得る。対照的に、不活性なM2及びM3に見出されるさらに別のMDA-7/IL-24残基は、BiP/GRP78及びおそらくはアポトーシスを調節する他のERタンパク質との高い親和性をもつ相互作用を遮蔽又は阻害するかもしれない(図12D)。これらの実験はまた、ERはBiP/GRP78媒介癌細胞アポトーシスを誘導するために要求されるタンパク質/ペプチドタイプに対して極めて鋭敏であることを示している。
【0062】
その多機能治療特性(Fisher et al. 2005;Fisher et al. 2003;Gupta et al. 2005;Lebedeva et al. 2005a)により、mda-7/IL-24は、癌遺伝子治療のための潜在的な“魔法の弾丸”として熱烈に迎えられ(Fisher, 2005)、M4は、抗腫瘍剤としてさらにその適用を強化する手段を提供する。その小さなサイズゆえに、M4の送達はより効率的で、したがってin vivo活性を増大させると予想される。多数のサイトカイン(IL-2、IL-4及びIL-12を含む)が癌遺伝子治療のために現在評価されつつあり、それらは、もっぱら免疫系を調節することによってその抗腫瘍作用を示す。それらの中で、mda-7/IL-24はアポトーシスを直接誘導し、強力な“バイスタンダー活性”を促進し、血管形成を阻害し、抗腫瘍免疫応答を増大させ、放射能感受性を高める(Fisher et al. 2003;Fisher et al. 2005;Gupta et al. 2005;Lebedeva et al. 2005a)精選されたグループに属する(おそらく唯一インターフェロンに匹敵する)。さらにまた、これらの結果は、MDA-7/IL-24の作用及び特性の新規なメカニズムを説明し、治療薬としてのその潜在能力を増大させるための戦術を開発する機会を提供する(Fisher, 2005)。
要約すれば、MDA-7/IL-24は、癌の遺伝子治療として絶大な潜在能力を有するα-ヘリックスサイトカインである。本研究により、完全長タンパク質の生物学的特性を模倣する、MDA-7/IL-24のペプチド(M4、残基104−206)が同定された。実験的証拠により、ERシャペロンBiP/GRP78との相互作用はMDA-7/IL-24又はM4の癌細胞アポトーシス誘導能力にとって必須であることが確認された。このデータは、ウイルスによって発現されたMDA-7/IL-24が、細胞表面レセプターとの相互作用又はJAK/STATシグナル伝達経路を必要とせずにどのようにしてアポトーシスを誘導するかの説明を提供する(Sauane et al. 2003a)。前記データはまた、なぜMDA-7/IL-24が多様なタイプの癌細胞を殺すことができるかについての可能な説明を提供する。最後に、正常細胞ではなく癌細胞における選択的アポトーシスの誘導におけるMDA-7/IL-24の有効性は、すでに顕著な代謝ストレス下にある癌細胞にとって矛盾しない。したがって、MDA-7/IL-24ペプチドは、正常細胞と比較してストレスレベルが増加していることに基づいて癌細胞を選択的に標的とし、これを殺す新規な治療薬をもたらすことができる。
【0063】
材料と方法
細胞培養及びトランスフェクションアッセイ
HeLa(ヒト子宮頸癌)、DU-145(ヒト前立腺癌)、T47D(ヒト乳癌)、及びFM516-SV(SV40 T抗原不死化正常ヒトメラニン形成細胞)細胞株は、ダルベッコ改変イーグル培養液(DMEM)(10%ウシ胎児血清補充)で、37℃にて5%CO2インキュベーターで増殖させた。SV40 T抗原不死化正常ヒト前立腺上皮細胞P69は、EGF補充無血清培養液で増殖させた(Bae et al. 1994)。初代ヒト胎児星状細胞は、10%ウシ胎児血清を含むDMEMで増殖させた。リポフェクタミン(Lipofectamine, Invitrogen)2000又はスーパーフェクト(Superfect, Qiagen)を製造業者の指示に従って用いて種々の細胞タイプにトランスフェクトし、24から48時間インキュベートした後、個々の図の説明文に概略したように更なる実験操作を行った。
MDA-7/IL-24変異体の構築
MDA-7/IL-24のN-末端連続欠失変異体(M1からM6)を共通のアンチセンスプライマー及び対応するセンスプライマー(表1;補足データ)を用いPCRによって作成した。M1(アミノ酸48−206)はシグナルペプチドを欠いていた。M2(アミノ酸63−206)では、α-ヘリックスドメインAは中央で破壊されていた。M3(アミノ酸80−206)では、α-ヘリックスドメインBは中央で破壊されていた。M4(アミノ酸104−206)はC、D、E及びFα-ヘリックスドメインを含んでいた。M5(アミノ酸131−206)は、D、E及びFα-ヘリックスドメインのみを含み、一方、M6(アミノ酸159−206)はE及びFα-ヘリックスドメインを含んでいた。より良好な発現のために、開始コドン(GCCACCATG)を含むKozak配列を変異体の前部に付加した。変異体をベクターpREP4(Invitrogen)のHindIII及びBamHI部位にクローニングした(前記ベクターはヒグロマイシン耐性遺伝子選別マーカーを含んでいる)。同様な欠失変異体を、N-末端に3つのflagタグを含むベクターpCMV3X Flag(Sigma)のHindIII及びBamHI部位でクローニングした。さらに追加の変異を、表1に記載したプライマーを用いPCRによって欠失変異体M4内に作成した(図3A)(M4AからM4G)。これらの変異体は欠失又はスキャンニング変異を有する。M4A(アミノ酸104−199)は、C-末端に制限部位が欠如しているためにコントロールとして維持した。M4B(アミノ酸119-206)ではα-ヘリックスCが欠失し、M4D(アミノ酸104−187)ではα-ヘリックスFが欠失し、M4F(アミノ酸119−187)ではC及びFα-ヘリックスが欠失している。M4C(アミノ酸104−206)では、α-ヘリックスC中のTLLEFYLK残基がAGDATAGA残基に変異し、一方、M4Eではα-ヘリックスF中のKALGEVD残基がGAHGAVA残基に変異している。二重変異体M4GはC及びFα-ヘリックスに同じ変異を有している。同様なアプローチを用いて、完全長MDA-7/IL-24のヘリックスC及びFに変異を創出した。変異体MDA7(C)では、α-ヘリックスCのTLLEFYLK残基を残基TLAGSRLGに変異させた。中央にXbaI制限部位を付加することによって構築物を作成し、PCRによって5'及び3'DNAフラグメントを増幅させ、両フラグメントをpREP4(詳細については表1参照)のHindIII及びBamHI部位に連結した。変異体MDA7(C/F)では、同じ変異をα-ヘリックスCに創出し、さらにα-ヘリックスFのKALGEVD残基をGAHGAVA残基に変異させた。変異体MDA7(C/F)を作成するために、変異体MDA7(C)を鋳型として用いた。しかしながら、MDA7(C/F)は、その末端に制限エンドヌクレアーゼ部位が存在しないために、完全長の野生型MDA-7/IL-24の1−199残基を含んでいた。最後の7残基の除去がM4の活性に対して影響をもたなかったので(図3E)、構築物M4AをMDA7(C/F)のためのコントロールとして用いた。全ての変異体をpREP4のHindIII及びBamHI部位でクローニングした。MDA7(C)及びMDA7(C/F)の両変異体もベクターpCMV3Xflagベクターでクローニングし、これらタンパク質のflagタグ付加型をベクターのHindIII及びBamHI部位で作成した。全ての構築物の正しさは配列分析で確認した。
【0064】
組換えアデノウイルスの構築
Ad.mda-7(mda-7/IL-24を発現する複製不能アデノウイルス)の構築は以前に記載されている。同様なアプローチを用いて、Ad.M4(変異体M4を発現する複製不能アデノウイルス)を構築し精製した(Holmes et al. 2003;Leszczyniecka et al. 2002)。M4はシャトルベクター(p0tg-CMV)にクローニングし、以前に記載されたように(Holmes et al. 2003)、大腸菌におけるE1及びE3領域欠失親アデノウイルスベクターによる相同組換えによって複製欠損アデノウイルスを調製した。ストックウイルス調製物を1%ウシ胎児血清含有DMEMで希釈し、単層細胞に表示のプラーク形成ユニット(pfu)で接種した。プレートの規則的な回転による37℃でのウイルス吸着の2時間後に、ウイルス接種物を除去し、10%ウシ胎児血清含有DMEMを感染単層細胞に添加し、細胞を37℃で表示の時間インキュベートした。空のアデノウイルスベクター(Ad.vec)をコントロールとして用いた。
【0065】
MTTアッセイ
細胞を96ウェルの組織培養プレートに播種し(1.5x103細胞/ウェル)、結果に記載したように次の日、種々の時点でAd.vec、Ad.mda-7及びAd.M4を多数のpfuで感染させた。特定の時間インキュベートした後で培養液を除去し、0.5mg/mLの3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)溶液を含む新しい培養液10μLを各ウェルに添加し、5%CO2インキュベーターで37℃、4時間インキュベートした。沈殿物を等体積の可溶化溶液(10%SDS中の0.01NのHCl)中で可溶化させた。完全に混合した後、プレートをバイオラド(BioRad)マルチプレートリーダーモデル550で595nmで読み取った(Lebedeva et al. 2000)。細胞の生存率を、Ad.vec感染細胞に対する処理細胞の光学濃度の比として判定した。結果の統計解析は、マイクロソフトエクセルによって提供されるアナリシス・ツールパックを用いて実施した。変数は不均等であると仮定して、2サンプルスチューデントt検定を用いて、2つのサンプルの平均値の均等性を決定した。信頼水準αは0.05とした。
【0066】
コロニー形成アッセイ
癌細胞(HeLa、DU-145及びT47D)及び正常細胞(P69、FM516-SV及びPHFA)に20μgのDNAをリポフェクタミン2000(Invitrogen)又はスーパーフェクト(Qiagen)のどちらかを用いてトランスフェクトした。次の日、60mmの培養皿にHeLa、DU-145及びT47Dについては1x105細胞で、P69、FM515-SV又はPHFAについては2x105細胞で細胞を継代し、種々の濃度のヒグロマイシンの存在下で(HeLaについては400μg/mL、DU-145については300μg/mL、及び他の細胞株については200μg/mL)、コロニー形成能のために選別した。ヒグロマイシンの量は種々の細胞タイプを用いて実験を行う前に標準化した。ヒグロマイシンを含む培養液を4日毎に交換した。2週間インキュベートした後、コロニーを4%のホルムアルデヒドで固定し、ギムザで染色した。50細胞以上のコロニーを解剖顕微鏡下で数え上げた。アデノウイルストランスダクションの影響を決定するために、細胞にAd.vec、Ad.mda-7、Ad.M4及びAd.mda-7-SP-(分泌ペプチド領域を欠くmda-7/IL-24の変異体を含むアデノウイルス)を細胞当たり10、50、又は100pfuで感染させた。次の日、200−500細胞を播種して、コロニー形成能を決定した。2週間後にコロニーを固定し染色し、50以上の細胞のコロニーを数え上げた。
【0067】
RNA単離及びノーザンブロット分析
Qiagen RNeasyキットを製造業者のプロトコルにしたがって用いて全RNAを抽出し、以前に記載されたように(Lebedeva et al. 2002;Leszczyniecka et al. 2002;Su et al. 1998)ノーザンブロット分析を実施した。15μgのRNAを変性させ、3%のホルムアルデヒドを用い1.2%のアガロースゲル中で電気泳動し、ナイロン膜に移し、以前に記載されたように(Su et al. 1998)、32P標識cDNAプローブを用いて連続的にハイブリダイズさせた。cDNAプローブは、完全長のmda-7/IL-24、並びにヒトgadd34、gadd153及びgapdhとした。
ウェスタンブロット分析
細胞を、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma, St. Louis, MO)を含む放射性免疫沈降アッセイ(RIPA)緩衝液中に採集した(RIPA緩衝液:1xリン酸緩衝食塩水(PBS)、1%NP-40、0.5%デオキシコレール酸ナトリウム、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS))。タンパク質はBioRadタンパク質アッセイミックスを用いて定量し、各レーンにつき25−100μgのタンパク質を12%のドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)で解析した。分離したサンプルをニトロセルロース膜に移し、この膜を5%のミルクでブロッキングした。種々の希釈の一次抗体(抗MDA-7/IL-24(5%BSA中で1:5000);抗ホスホp38(5%BSA中で1:1000))を含むトリス緩衝食塩水-トゥイーン(TBS-T)中で4℃にて一晩、膜をインキュベートした。続いて前記膜をTBS-T中で厳密に3回洗浄し、続いて1:5000倍希釈のセイヨウワサビペルオキシダーゼ標識抗マウス又は抗ウサギ二次抗体で1時間インキュベートした。TBS-Tで3回洗浄した後、バンドをECLウェスタンブロッティングキット(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)を用いて可視化した。
【0068】
アネキシンV結合アッセイ
細胞を6ウェルプレートに播種し(5x105細胞/ウェル)。次の日100pfu/細胞で表示のウイルスを細胞に感染させた。24時間後に、細胞をトリプシン処理し、完全培養液及びPBSで洗浄し、2.5mMのCaCl2を含む500μLの結合緩衝液に再懸濁し、FITC標識アネキシン-V(BD Biosciences, Palao-Alto, CA)で染色し、さらに室温で15分PIを実施した。フローサイトメトリーを染色後直ちに実施した(Lebedeva et al. 2003)。
MDA-7/IL-24及びその変異体によるBiP/GRP78の同時免疫沈降
100mm培養皿で、細胞にAd.vec、Ad.M4又はAd.mda-7を感染させるか、又は種々のプラスミド(Flagタグ付加MDA-7又はM4及びMycタグ付加BiP)構築物をトランスフェクトし、48時間後に細胞を氷冷リン酸緩衝食塩水(PBS)でリンスした。細胞を1mLの免疫沈降緩衝液(25mMトリス-Cl(pH8.0)、137mMのNaCl、2.5mMのKCl、1%トリトンX-100及びプロテアーゼ阻害剤ミックスを含む)中で溶解した。細胞をプレートからこすり落とし、微量遠心管に移し4℃で30分回転させた。遠心管を13,000rpmで10分遠心し、10μLの上清を50%のプロテインAアガロースとともにインキュベートし、4℃で1時間回転させて非特異的相互作用を排除した。サンプルを遠心し、抗BiP/Grp78又は9E10mycモノクローナル抗体(1:200)希釈物と混合し、一晩4℃で回転させた。免疫複合体を25μLの50%プロテインAアガロースで2時間沈殿させた。同時免疫沈降分子が失われず、さらに同時に非特異的反応が阻害されるように、前記免疫沈降物を非常に穏やかにIP緩衝液で3回洗浄した。この免疫沈降物を50μLの10mMトリス-HCl(pH8.0)及び1mMのEDTAに再懸濁し、SDS-PAGEで分離させた。続いてタンパク質をニトロセルロース膜に移し、一晩、一次抗体(抗MDA-7/IL-24又は抗M2抗体)でプローブし、続いてIgGの重鎖に特異的なセイヨウワサビペルオキシダーゼ結合抗体でプローブした。重鎖に特異的な二次抗体を用いたのは、MDA-7/IL-24のサイズがIgGの軽鎖のサイズと一致し、さらに軽鎖がMDA-7/IL-24の検出に干渉するからである。膜はまた抗BiP/GRP78又は9E10抗体のどちらかでプローブし、免疫沈降物の量を決定した。免疫ブロッティングに用いた一次抗体の希釈は、抗FLAG M2と同様にMDA-7/IL-24、9E10、BiP/GRP78については1:1000であり、二次抗体の希釈は1:10,000であった。ブロットはECL試薬(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)で可視化した。
【0069】
免疫蛍光
DU-145及びP69細胞(1x105)を2枚のチャンバースライド(BD Falcon Biosciences, Bedford, MA)で増殖させた。次の日、細胞を50pfu/細胞のAd.mda-7又はAd.M4に感染させ、24時間後にPBS中の4%パラホルムアルデヒドで30分固定し、PBS中の0.1%トリトンX-100によって10分間透過性にした。細胞をPBSで洗浄し、PBS中の5%BSAで2時間ブロッキングし、続いて抗MDA-7/IL-24抗体及び抗ERタンパク質カルレグリンとともに一晩インキュベートした(両抗体の1:500希釈)。細胞をPBSにて3回、各回5分洗浄し、さらにFITC結合抗ウサギローダミン(グリーンチャネル検出用)及び抗マウスローダミン(レッドチャネル検出用)二次抗体(Molecular Probes)とともに2時間室温でインキュベートした。細胞を室温でPBSにて3回、各回5分間洗浄した。スライドをマウントし、細胞をツァイスLSM510フルオレセンス及び100倍対物レンズを用いて可視化した。MDA-7/IL-24欠失変異体タンパク質の分布を明らかにするために、HeLa、DU-145又はP69細胞にFlag-タグ付加DNA構築物をトランスフェクトし、24時間後に以前に記載したように免疫染色を実施した。細胞をマウス抗Flag M2(Sigma, St. Louis, MO)及びウサギ抗BiP/GRP78一次抗体とともに一晩インキュベートした。FITC結合抗マウス及びローダミン結合抗ウサギ二次抗体を用いて、flagタグ付加MDA-7/IL-24欠失タンパク質及びBiP/GRP78をそれぞれ検出した。
腫瘍形成動物実験
100μLのPBS中のT47Dヒト乳癌細胞(2x106)を、オスの無胸腺ヌードマウス(NCRnu/nu、4週齢;体重ほぼ20g)の左右の大腿の皮下に注射した。ほぼ75mm3の眼に見える腫瘍が形成された後(ほぼ4から5日を要する)、種々のAdを左側の腫瘍にのみ100μL中に1x108pfu/細胞の用量で腫瘍内注射した。注射は最初の週には1週間に3回、次の2週間には1週につき2回実施し、合計7回注射した。少なくとも5匹の動物を各実験ポイントで用いた。腫瘍の体積を毎週2回カリパーで測定し、π6 x 大きいほうの直径 x (小さいほうの直径)2の式を用いて算出した。実験終了時に動物を犠牲にし、腫瘍を取り出し重量を測定した。
【0070】
実施例3:mda-7/IL-24及びM4のバイスタンダー抗腫瘍活性
実験の設計:Suらによる以前の実験(Oncogene, 2005, 24:7552-7566)は、Ad.mda-7による正常細胞の感染は、腫瘍細胞の増殖及び放射線に対する応答に影響するMDA-7/IL-24タンパク質の分泌(すなわち“バイスタンダー抗腫瘍”活性)をもたらすことを示した。示した実験では、初代ヒト胎児星状細胞(PHFA)の初期継代細胞を完全増殖培養液(10%ウシ胎児血清補充ダルベッコ改変イーグル培養液)に2x105細胞/60mm組織培養プレートで播種した。次の日、細胞に表示の発現構築物、ベクター、mda-7(mda-7/IL-24を発現する発現構築物)、mda-D-74(分泌されないコントロール遺伝子を発現する発現ベクター)、又はIL10M4(IL-10分泌シグナル配列がM4遺伝子構築物に連結された発現構築物)を、リポフェクタミンを製造業者(Invitrogen)の指示にしたがって用いトランスフェクトした。24時間のインキュベーションの後で、トランスフェクトした細胞に5x104(HeLa)細胞又は1x105(DU-145又はA549)細胞を0.4%寒天/培養液中で重層した。48時間後に、前記培養物に2Gyのγ線を照射するか、又は擬似照射した。2日毎に寒天を重層しながら10日間のインキュベーションの後、サイズが2mm以上のコロニーを数えた。図14に提示したデータは、S.D.とともに示した、3枚のそれぞれ別個のプレートの平均である。
結果
分泌mda-7/IL-24及びM4は両者とも、HeLa及びDU-145細胞において同程度に寒天内増殖を抑制する(図14)。対照的に、mda-7/IL-24もM4も寒天内のA549細胞(MDA-7/IL-24のための正規のIL-20/IL-22レセプターを欠き、バイスタンダー作用を有する分泌MDA-7/IL-24に応答しない)の増殖を抑制しない。さらにまた、2Gyの放射線で処置したとき、HeLa及びDU-145における(A549細胞では起こらない)癌増殖抑制の強化は、MDA-7/IL-24又はM4が産生され分泌される環境下では明瞭であった。さらに、コロニーサイズは、mda-7/IL-24又はIL10M4をトランスフェクトしたPHFA細胞を含む培養で概ね小さかった。
mda-7/IL-24及びM4の両者は同等な癌増殖抑制特性を示し、前記特性は、MDA-7/IL-24のための正規のIL-20/IL-22レセプターの存在に依存する。さらにまた、MDA-7/IL-24について以前に証明されたように、M4の分泌もまた、放射線照射後の癌細胞増殖抑制の強化をもたらす。これらの結果は、分泌されたM4は、分泌MDA-7/IL-24と同様な“バイスタンダー抗腫瘍”活性を提示することを示している。
【0071】
種々の刊行物、特許及び特許出願が本明細書に引用され、前記の内容は参照により本明細書にその全体が含まれる。
前述の発明は明確さと理解を目的としてある程度詳細に記載したが、これらの具体的な実施態様及び実施例は例示であり制限と考えられるべきではない。本明細書を一読することにより、多様な変更が本発明の範囲を逸脱することなく実施され得ることは当業者には明白であろう。
【0072】
参考文献
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【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】MDA-7変種M1−M10の模式図を示す。以下の各々は本発明の1つの実施態様である。この例では、M1はアミノ酸48から206、M2はアミノ酸63から206、M3はアミノ酸80から206、M4はアミノ酸104から206、M5はアミノ酸131から206、M6はアミノ酸159から206、M7はアミノ酸48から180、M8はアミノ酸48から158、M9はアミノ酸48から130、M10はアミノ酸48から104である。
【図2A−B】腫瘍増殖(コロニー形成アッセイによる)及び細胞死滅(HeLa細胞アッセイによる)に対する本発明のポリペプチドの影響を示す棒グラフである。図2Aはコロニー形成アッセイに対する本発明のポリペプチドの効果を示す。図2Bは、ポリペプチド誘導HeLa細胞死滅を示す。
【図3】単層コロニー形成におけるHeLa細胞のコロニー形成に対するMDA-7変種の効果を示す。
【図4】前立腺癌細胞株DU145のコロニー形成に対するMDA-7変種の効果を示す。
【図5】MDA-7のドメインクローンの模式図を示す。ABドメインは野生型MDA-7のアミノ酸63−101を含み、CDドメインはアミノ酸105−154を含み、EFドメインはアミノ酸159−201を含む。
【図6】HeLa細胞の死滅活性に対する種々のドメインの効果を示す。
【図7】DU145細胞に対するMDA-7の死滅作用に対するMDA-7ドメインの効果を示す。
【図8A−E】MDA-7/IL-24の機能活性領域の同定を示す。図8A:MDA-7/IL-24遺伝子中に作成したN-末端欠失変異の模式図である。フラグメントを発現ベクターpREP4でクローニングした。図8B、8C及び8D:癌及び正常細胞でのコロニー形成に対する種々の欠失変異体の効果を示す。HeLa、DU-145及びP69細胞にMDA-7/IL-24の種々の欠失構築物をトランスフェクトし、次の日に細胞を継代培養し、ヒグロマイシンの存在下でコロニーを形成する能力について2週間選別した。50細胞を超えるコロニーを数え、プロットした。図8E: HeLa細胞へのトランスフェクション後の3X Flag-付加MDA-7/IL-24欠失構築物の発現を示す。
【図9A−G】M4は、完全長のMDA-7/IL-24と類似の生物学的特性及び活性を示す。図9A及び9B:アデノウイルスによるトランスダクションに続くMDA-7/IL-24及びM4の発現を示す。完全長MDA-7/IL-24又はM4構築物を発現するアデノウイルスを、mRNA発現についてはノーザンブロットにより(図9A)、タンパク質発現についてはウェスタンブロット(図9B)によって解析した。Ad.vec(一切の遺伝子挿入物を欠く)、Ad.mda-7(完全長mda-7/IL-24遺伝子を含む)、又はAd.M4(M4欠失構築物を含む)を100pfu/細胞でHeLa細胞に感染させ、mRNA及びタンパク質発現を感染後48時間で決定した。図9C:Ad.M4は癌細胞で選択的に細胞の生存活性を低下させる。表示の細胞タイプを96ウェルプレートに播種し、種々のpfuでAd.vec、Ad.mda-7又はAd.M4を感染させた。5日後に生存率をMTTアッセイで判定し、Ad.vec処置に対する比としてプロットした。図9D:Ad.M4の癌特異的コロニー形成阻害活性を示す。DU145、HeLa、T47D及びP69細胞を種々のpfuのウイルスに感染させ、次の日、細胞を60mm培養皿にてクローニング濃度で継代培養し、2週間コロニーを形成させた。2週間後に、50細胞を超えるコロニーを数え、形成されたコロニー数を最初に播種した細胞数で割ってクローニング効率を算出した。図9E:Ad.M4は種々の癌でアポトーシス細胞死を誘導するが、正常な不死化前立腺細胞では誘導しないことを示す。DU-145、HeLa、T47D及びP69細胞を2x105/ウェルの濃度で6ウェルプレートに播種し、次の日、100pfu/細胞でAd.vec、Ad.mda-7、又はAd.M4を感染させた。20時間後に、前記細胞をトリプシン処理し、PBSで2回洗浄し、アロフィコシアニン(APC)標識アネキシン(BD Biosciences Pharmigen, San Diego, CA)で染色し、フローサイトメトリーで解析した。アポトーシス細胞の量をFlowJo 6.3.1プログラムを用いて定量した。図9F及び9G:完全長MDA-7/IL-24及びM4はERに局在する。DU-145(図9F)及びP69(図9G)細胞を100pfu/細胞のAd.M4又はAd.mda-7で感染させた。感染後24時間で細胞を固定し、MDA-7/IL-24及びM4タンパク質を抗mda-7/IL-24ウサギポリクローナル抗体を用い間接免疫蛍光によって検出した。同時局在は、ERマーカータンパク質、カルレグリンに対する抗体を用いて決定した。MDA-7/IL-24の像及びカルレグリンの像は重なった。
【図10A−G】M4及びMDA-7/IL-24のヘリックスC及びヘリックスFの変異解析によって、癌選択的増殖阻害活性の媒介におけるこれら領域の重要性が確認された。図10A:C及びFヘリックスを標的としてM4で発生させた変異の模式図である。領域を欠失させるか又は変異させ、得られた構築物をベクターpREP4にクローニングした。図10B、10C及び10D:最適な癌選択的増殖阻害活性はM4の完全なヘリックスC及びFに依存することを示す。HeLa(図10B)、DU-145(図10C)及びP69(図10D)をM4の種々の欠失構築物でトランスフェクトし、次の日、細胞を継代培養し、ヒグロマイシンの存在下におけるコロニー形成能力について2週間選別した。50細胞を超えるコロニーを数え、プロットした。図10E:完全長MDA-7/IL-24のヘリックスC及びFにおける変異の模式図を示す。図10F及び10G:癌細胞で最大の増殖阻害活性を引き出すためにMDA-7/IL-24のC及びFヘリックスが重要であることを示す。HeLa及びP69細胞をMDA-7/IL-24の変異構築物でトランスフェクトした。次の日、細胞を継代培養し、ヒグロマイシンの存在下におけるコロニー形成能力について2週間選別した。50細胞を超えるコロニーを数え、プロットした。完全長MDA-7/IL-24及びM4をコントロールとして用いた。
【図11A−E】完全長MDA-7/IL-24及びM4はBiP/GRP78と結合する。図11A:内在性BiP/GRP78によるMDA-7/IL-24及びM4の同時免疫沈降を示す。HeLa細胞に100pfu/細胞のAd.mda-7、Ad.M4又はAd.vecを感染させ、48時間後にBiP/GRP78抗体を用いて免疫沈降解析を実施した。図11B:Flag-付加MDA-7/IL-24又はM4のBiP/GRP78による同時免疫沈降を示す。Flag-付加MDA-7/IL-24又はM4及びMyc-付加BiP/GRP78をHela細胞に同時トランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後に、BiP/GRP78をBiP/GRP78ポリクローナル抗体を用いて免疫沈降させた。サンプルを穏やかに洗浄し、12%SDS-PAGEで分離し、Flag-M2抗体で検査した。図11Bによって、BiP/GRP78によるMDA-7/IL-24及びM4の同時免疫沈降が確認され、myc抗体を用いたMyc-付加BiP/GRP78の発現及び免疫沈降プロフィルが示される。図11C:MDA-7/IL-24欠失変異体M1、M2及びM3はBiP/GRP78と結合する。図11Bに示したように、BiP/GRP78ポリクローナル抗体を用いてサンプルの免疫沈降を実施し、さらにFlag-M2モノクローナル抗体を用いて同時免疫沈降を実施した。図11D:MDA-7/IL-24及びM4のFlag付加CプラスFヘリックス変異体の発現の確認である。ヘリックスC及びFに変異を有する表示のMDA-7/IL-24及びM4のFlag付加変異体、完全長MDA-7/IL-24並びにM4の発現をFlag-M2モノクローナル抗体により確認した。図11E:ヘリックスC及びFに変異を有するMDA-7/IL-24及びM4変異体はBiP/GRP78と結合しない。同時免疫沈降実験を図11Dに記載した変異体を用いて実施し、Flag-M2モノクローナル抗体で検査した。
【図12A−D】完全長MDA-7/IL-24タンパク質並びに変異体M1、M2、M3及びM4によってコードされるタンパク質はER中でBiP/GRP78と共局在化する。図12A:HeLa細胞を一過性にFlag付加完全長MDA-7/IL-24又は表示のMDA-7/IL-24欠失変異体でトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後に、細胞を固定し、FlagM2抗体を用い間接免疫蛍光によってMDA-7/IL-24タンパク質を検出した。同時局在化は、BiP/GRP78に対する抗体を用いることによって決定した。Bip/GRP78の画像及びMDA-7/IL-24の画像は重なった。図12B:MDA-7/IL-24、M1及びM4はP38 MAPKのリン酸化を誘導し、一方、不活性な変異体M2及びM3はその活性を欠いている。完全長MDA-7/IL-24、MDA-7/IL-24の特定の欠失変異体、M4又はMDA-7/IL-24若しくはM4の特定の配列変異を発現する構築物をHeLa細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後に、細胞を溶解し、P38のリン酸化状態をホスホ-p38抗体を用いて確認した。全p38タンパク質もまた測定した。図12C:完全長MDA-7/IL-24、M1及びM4によるGadd34及びGadd153の活性化を示す。HeLa細胞を表示の構築物でトランスフェクトし、24時間後に細胞を溶解し、RNAを単離し、Gadd34及びGadd153に特異的なプローブを用いてノーザンブロット検査を実施した。完全長のmda-7/IL-24及び活性な変異体M1及びM4は、ノーザンブロット検査で確認されたとおりGadd34及びGadd153遺伝子発現を誘導し、一方、不活性な変異体はGadd153発現と同様にGadd34発現の低下を誘導した。サンプルの等量ローディングはハウスキーピング遺伝子gapdhを用いて確認した。図12D:mda-7/IL-24誘導アポトーシスの分子メカニズムの提唱モデルである。Ad.mda-7によってデリバーされるMDA-7/IL-24タンパク質(灰色のひし形)は小胞体(ER)に局在し、MDA-7/IL-24タンパク質はBIP/GRP78と相互作用し、このことは、未だ同定されていない分子(X)の活性化及び“ER”のストレスを生じ、アポトーシスをもたらすp38 MAPKの活性化及びGADDファミリー遺伝子の活性化を伴うかもしれない。分泌されたMAD-7/IL-24は同族レセプターと細胞表面で相互作用し、アポトーシスをもたらすシグナル伝達カスケードを活性化する。しかしながら、このシグナル伝達カスケードもまた“ERストレス”を必要とするか否かは未だ決定されてはいない。
【図13A−B】Ad.M4は、ヌードマウスへのヒト乳房腫瘍の実験的異種移植において強力な抗腫瘍活性をin vivoで示す。T47Dヒト乳癌細胞を、オスの無胸腺ヌードマウスの左右のわき腹の皮下に注射した。腫瘍が形成された後、左側の腫瘍のみに1x108pfuの投与量で種々のAdを腫瘍内に注射した。注射は、最初の週に1週につき3回、続いて、次の2週には2回注射した。実験の終了時に動物を犠牲にし、腫瘍を取り出して重さを測定した。図13Aは左側の腫瘍体積を示し、図13Bは右側の腫瘍体積を示す。
【図14】HeLa細胞、DU-145細胞及びA549細胞で測定した、mda-7/IL-24及びM4の等価のバイスタンダー活性である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さが約145アミノ酸から約175アミノ酸の単離MV1ポリペプチドであって、配列番号:2のアミノ酸約104からアミノ酸約206の領域と少なくとも約90%同一である、前記単離MV1ポリペプチド。
【請求項2】
長さが約130アミノ酸から約155アミノ酸の単離MV2ポリペプチドあって、配列番号:2のアミノ酸約63からアミノ酸約206の領域と少なくとも約90%同一である、前記単離MV2ポリペプチド。
【請求項3】
長さが約115アミノ酸から約138アミノ酸の単離MV3ポリペプチドであって、配列番号:2のアミノ酸約80からアミノ酸約206の領域と少なくとも約90%同一である、前記単離MV3ポリペプチド。
【請求項4】
長さが約90アミノ酸から約110アミノ酸の単離MV4ポリペプチドであって、配列番号:2のアミノ酸約104からアミノ酸約206の領域と少なくとも約90%同一である、前記単離MV4ポリペプチド。
【請求項5】
長さが約70アミノ酸から約80アミノ酸の単離MV5ポリペプチドであって、配列番号:2のアミノ酸約131からアミノ酸約206の領域と少なくとも約90%同一である、前記単離MV5ポリペプチド。
【請求項6】
長さが約45アミノ酸から約55アミノ酸の単離MV6ポリペプチドであって、配列番号:2のアミノ酸約159からアミノ酸約206の領域と少なくとも約90%同一である、前記単離MV6ポリペプチド。
【請求項7】
長さが約122アミノ酸から約146アミノ酸の単離MV7ポリペプチドであって、配列番号:2のアミノ酸約48からアミノ酸約180の領域と少なくとも約90%同一である、前記単離MV7ポリペプチド。
【請求項8】
長さが約100アミノ酸から約120アミノ酸の単離MV8ポリペプチドであって、配列番号:2のアミノ酸約48からアミノ酸約158の領域と少なくとも約90%同一である、前記単離MV8ポリペプチド。
【請求項9】
長さが約75アミノ酸から約90アミノ酸の単離MV9ポリペプチであって、配列番号:2のアミノ酸約48からアミノ酸約130の領域と少なくとも約90%同一である、前記単離MV9ポリペプチド。
【請求項10】
長さが約53アミノ酸から約63アミノ酸の単離MV10ポリペプチドであって、配列番号:2のアミノ酸約48からアミノ酸約104の領域と少なくとも約90%同一である、前記単離MV10ポリペプチド。
【請求項11】
長さが約32アミノ酸から約59アミノ酸のMVABポリペプチドであって、配列番号:2のアミノ酸約63からアミノ酸約101の領域と少なくとも約90%同一である、前記MVABポリペプチド。
【請求項12】
長さが約35アミノ酸から約60アミノ酸のMVEFポリペプチドであって、配列番号:2のアミノ酸約159からアミノ酸約201の領域と少なくとも約90%同一である、前記MVEFポリペプチド。
【請求項13】
安定化分子に連結された請求項1から12のいずれか1項記載のペプチド。
【請求項14】
安定化分子がタンパク質である、請求項13に記載のペプチド。
【請求項15】
安定化分子がグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)である、請求項14に記載のペプチド。
【請求項16】
請求項1から12のいずれか1項記載のポリペプチドをコードする核酸。
【請求項17】
請求項1から12のいずれか1項記載のペプチドの有効量を細胞に投与することを含む、細胞の増殖を調節する方法。
【請求項18】
請求項16に記載の核酸を細胞に導入することを含む、細胞の増殖を調節する方法。
【請求項19】
請求項3、4、7又は10に記載のペプチドの有効量を細胞に導入することを含む、細胞の増殖を阻害する方法。
【請求項20】
請求項3、4、7又は10のいずれか1項記載のポリペプチドの有効量を投与することを含む、細胞増殖異常に罹患している対象において細胞増殖を阻害する方法。
【請求項21】
異常が癌である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
細胞が腫瘍細胞である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
請求項項3、4、7又は10に記載のペプチドをコードする核酸の有効量を細胞に導入することを含む、細胞の増殖を阻害する方法。
【請求項24】
請求項項3、4、7又は10のいずれか1項記載のポリペプチドをコードする核酸の有効量を対象に投与することを含む、細胞増殖異常に罹患している対象において細胞増殖を阻害する方法。
【請求項25】
核酸の投与が核酸ベクター又はリポソームを介する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
核酸の投与が、ウイルス、複製欠損ウイルスベクター、条件複製ウイルスベクター、非組み込みウイルス、アデノウイルス、AAV、VSV、エプスタイン-バールウイルス、麻疹、組み込みウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、プラスミド、合成デリバリー系、リポソーム、陽イオンポリマー、樹状細胞、幹細胞又は前記の任意の組み合わせによる、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
さらに、ポリペプチドと一緒に化学療法剤、フリーラジカル発生物質、放射線療法、抗-ras剤、抗癌抗体、又は抗増殖剤を前記対象に投与することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
請求項2、3、5、6、7、8、9、11又は12のいずれか1項記載のポリペプチドの有効量を対象に投与することを含む、対象の炎症を治療する方法。
【請求項29】
請求項2、3、5、6、7、8、9、11又は12に記載のポリペプチドをコードする核酸の有効量を対象に投与することを含む、対象の炎症を治療する方法。
【請求項30】
ポリペプチドと一緒に抗炎症剤を前記対象に投与することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
請求項1から13のいずれか1項記載のポリペプチドと特異的に結合する抗体。
【請求項32】
配列番号:3のアミノ酸配列を有する、請求項1に記載のMV1ポリペプチド。
【請求項33】
配列番号:4のアミノ酸配列を有する、請求項2に記載のMV2ポリペプチド。
【請求項34】
配列番号:5のアミノ酸配列を有する、請求項3に記載のMV3ポリペプチド。
【請求項35】
配列番号:6のアミノ酸配列を有する、請求項4に記載のMV4ポリペプチド。
【請求項36】
配列番号:7のアミノ酸配列を有する、請求項5に記載のMV5ポリペプチド。
【請求項37】
配列番号:8のアミノ酸配列を有する、請求項6に記載のMV6ポリペプチド。
【請求項38】
配列番号:9のアミノ酸配列を有する、請求項7に記載のMV7ポリペプチド。
【請求項39】
配列番号:10のアミノ酸配列を有する、請求項8に記載のMV8ポリペプチド。
【請求項40】
配列番号:11のアミノ酸配列を有する、請求項9に記載のMV9ポリペプチド。
【請求項41】
配列番号:12のアミノ酸配列を有する、請求項10に記載のMV10ポリペプチド。
【請求項42】
配列番号:13のアミノ酸配列を有する、請求項11に記載のMVABポリペプチド。
【請求項43】
配列番号:14のアミノ酸配列を有する、請求項12に記載のMVEFポリペプチド。
【請求項44】
請求項1から12のいずれか1項記載のポリペプチドのペプチド模倣物。
【請求項45】
分泌ペプチドをコードする核酸に連結された、請求項1から12のいずれか1項記載のポリペプチドをコードする核酸。
【請求項46】
プロモーターの制御下にあり、さらに条件的複製可能ベクターに連結されている、請求項45に記載の核酸。
【請求項47】
MV4ポリペプチドをコードし、さらに分泌ペプチドが、野生型MDA-7の分泌ペプチド、ガンマ-インターフェロンの切断シグナルペプチド、マウス免疫グロブリン軽鎖前駆体のアミノ末端リーダー配列を含む、請求項45に記載の核酸。
【請求項48】
条件的複製するウイルスベクターに連結されている、請求項44に記載の核酸。
【請求項49】
複製欠損ウイルスベクターに連結されている、請求項44に記載の核酸。
【請求項50】
リポソーム内に含まれる、請求項44に記載の核酸。
【請求項51】
請求項1から12のいずれか1項記載のポリペプチドを含む組成物。
【請求項52】
請求項1から12及び32から43のいずれか1項記載のポリペプチドをコードする核酸を含む組成物。
【請求項53】
請求項1から12及び32から43のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードする核酸分子を含む宿主細胞であって、前記核酸がプロモーターに機能的に連結され、前記細胞によって発現される、前記宿主細胞。
【請求項54】
宿主細胞が樹状細胞又は幹細胞である、請求項53に記載の宿主細胞。
【請求項55】
分泌ペプチドをコードする第二の核酸に連結された、請求項1から12又は32から43のいずれか1項記載のポリペプチドをコードする核酸分子を含む宿主細胞であって、前記第一及び第二の核酸がプロモーターに機能的に連結され、さらに前記第一及び第二の核酸が前記細胞によって発現され、分泌される、前記宿主細胞。
【請求項56】
宿主細胞が樹状細胞又は幹細胞である、請求項53に記載の宿主細胞。
【請求項57】
請求項3、4、7、10又は32から43のいずれか1項記載のポリペプチド及び分泌ペプチドをコードする核酸を対象の細胞に導入することを含む、対象の腫瘍を治療する方法であって、前記細胞が請求項3、4、7、10又は32から43のいずれか1項記載のポリペプチドを発現及び分泌し、前記ポリペプチドの発現及び分泌が形質転換細胞特異的アポトーシスを誘導する、前記方法。
【請求項58】
分泌ペプチドが、野生型MDA-7の分泌ペプチド、ガンマ-インターフェロンの切断シグナルペプチド及びマウス免疫グロブリン軽鎖前駆体のアミノ末端リーダー配列から成る群から選択される分泌ペプチドを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項59】
請求項3、4、7、10又は32から43のいずれか1項記載のポリペプチド及び分泌ペプチドをプロモーター制御下でコードする核酸を細胞に導入することを含む、細胞にバイスタンダー抗腫瘍活性を誘導する方法であって、前記細胞が請求項3、4、7、10又は32から43のポリペプチド発現し、前記ポリペプチドの発現及び分泌がバイスタンダー抗腫瘍活性を誘導する、前記方法。
【請求項60】
核酸が導入される細胞が正常細胞である、請求項57に記載の方法。
【請求項61】
請求項3、4、7、10又は32から43のいずれか1項記載のポリペプチドをコードする核酸を対象の腫瘍細胞に導入することを含む、対象において抗腫瘍アポトーシスを誘導する方法であって、前記ポリペプチドの発現が対象において抗腫瘍アポトーシスを誘導する、前記方法。
【請求項62】
請求項3、4、7、10又は32から43のいずれか1項記載のポリペプチドをコードする核酸を腫瘍の1つ以上の細胞に導入することを含む、腫瘍における血管形成を阻害する方法。
【請求項63】
対象の抗癌治療プログラムの作用を高める方法であって、請求項3、4、7、10又は32から43のいずれか1項記載のポリペプチドを前記抗癌治療プログラムと一緒に対象に投与することを含む、前記抗癌治療プログラムの作用を高める方法。
【請求項64】
抗癌治療プログラムが、放射線治療、モノクローナル抗体治療、化学療法、又は放射性同位元素治療を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項65】
配列番号:6に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドであるM4がBip/GRP78と結合する態様と同じ態様でBip/GRP78と特異的に結合する、抗イディオタイプ抗体。
【請求項66】
グルタチオン-S-トランスフェラーゼのアミノ酸配列に連結された配列番号:6に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドであるM4を含むポリペプチド。
【請求項67】
以下の工程を含む、細胞内でBip/GRP78と結合することによって、M4(配列番号:6)の代用物として機能することができる化合物を同定する方法:
(a)Bip/GRP78を発現する細胞をテスト化合物と接触させる工程;
(b)p38 MAPKが活性化されるか否かを決定する工程であって、p38 MAPKの活性化が前記テスト化合物がM4(配列番号:6)の代用物として機能することを示す、前記工程。
【請求項68】
p38 MAPKが活性化されたか否かの決定が、p38 MAPKがリン酸化されたか否かの決定を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項69】
対象に抗腫瘍アポトーシスを誘導する方法であって、対象の腫瘍細胞に、配列番号:6のポリペプチド又はグルタチオン-S-トランスフェラーゼに連結された配列番号:6のポリペプチドをコードする核酸を導入することを含み、前記ポリペプチド発現が前記対象に抗腫瘍アポトーシスを誘導する、前記誘導方法。
【請求項70】
腫瘍における血管形成を阻害する方法であって、腫瘍の1つ以上の細胞に、配列番号:6のポリペプチド又はグルタチオン-S-トランスフェラーゼに連結された配列番号:6のポリペプチドをコードする核酸を導入することを含む、前記方法。
【請求項71】
対象において抗癌治療プログラムの作用を高める方法であって、配列番号:6のポリペプチド又はグルタチオン-S-トランスフェラーゼに連結された配列番号:6のポリペプチドを前記抗癌治療プログラムと一緒に対象に投与することを含む、前記抗癌治療プログラムの作用を高める方法。
【請求項72】
抗癌治療プログラムが、放射線治療、モノクローナル抗体治療、化学療法、又は放射性同位元素治療を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項73】
(a)配列番号:6のポリペプチド又はグルタチオン-S-トランスフェラーゼに連結された配列番号:6のポリペプチド及び(b)分泌ポリペプチドをコードする核酸であって、(a)及び(b)の両者がプロモーターの制御下にある前記核酸を細胞に導入することを含む、細胞にバイスタンダー抗腫瘍活性を誘導する方法であって、前記細胞が本発明のポリペプチドを発現及び分泌し、前記ポリペプチドの発現及び分泌がバイスタンダー抗腫瘍活性を誘導する、前記方法。
【請求項74】
免疫系を刺激してインターフェロンガンマ、TNF-アルファ及びインターロイキン-6のようなサイトカインを更に産生させ、TGF-ベータをダウンレギュレートさせる方法であって、その必要がある対象に、配列番号:6のポリペプチド(M4)又はグルタチオン-S-トランスフェラーゼに連結された配列番号:6のポリペプチドの有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項75】
核酸の投与が、ウイルス、複製欠損ウイルスベクター、条件複製ウイルスベクター、非組み込みウイルス、アデノウイルス、AAV、VSV、エプスタイン-バールウイルス、麻疹、組み込みウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、プラスミド、合成デリバリー系、リポソーム、陽イオンポリマー、樹状細胞、幹細胞又はそれらの任意の組み合わせによる投与を含む、請求項69から74のいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A−B】
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【図8C−D】
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【図8E】
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【図9A−9B】
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【図9C−D】
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【図9E】
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【図9F−G】
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【図10A−B】
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【図10C−D】
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【図10E−G】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C−D】
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【図11E】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図13A−B】
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【図14】
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【公表番号】特表2008−521444(P2008−521444A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−544547(P2007−544547)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/043673
【国際公開番号】WO2006/060680
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(505346702)ザ トラスティーズ オブ コロンビア ユニヴァーシティ イン ザ シティ オブ ニューヨーク (12)
【Fターム(参考)】