説明

抗炎症組成物の制御的かつ特異的な局所送達

本発明は、1または2以上の生物学的応答調節物質の制御的かつ特異的な送達によって、神経筋もしくは骨格の傷害または炎症に伴う痛みを緩和して、急性もしくは慢性痛みを最終的に引き起こす炎症応答を阻害するための方法を、提供する。制御的かつ特異的な送達を、埋め込み型もしくはインフュージョンポンプ、埋め込み型制御出装置によって、あるいは生物学的応答調節物質を含んでなる持続放出型組成物によって、提供することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
発明の分野
本発明は、特に筋骨格疾患、傷害または外科手術に伴う場合の痛みを減少させるかまたは除くためのシステム及び方法に関する。より具体的には、本発明は、急性もしくは慢性痛みをもたらす可能性のある炎症応答を阻害するかまたは除くための生物学的応答調節物質を投与するための方法に、関する。
【0002】
発明の背景
腫瘍壊死因子α(TNF−α)は、感染または傷害に続く炎症カスケードの初期に出現する。これは、単球、マクロファージ及びTリンパ球によって産生される。TNF−αは、単球、滑膜マクロファージ、線維芽細胞、軟骨細胞及び内皮細胞に対して最初の効果を及ぼし、そして炎症誘発性サイトカイン及びケモカイン合成を刺激する。これは、顆粒球を活性化し、そしてMHCクラスII発現を増加させる。これは、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)の分泌を促進し、軟骨マトリックスの分解をもたらす。これは、炎症カスケードを開始させ、そして炎症を起こしたかまたは損傷した組織の近位で増加することが見いだされているため、TNF−αの阻害は、疼痛療法の標的である。TNF−α前駆体は、原形質膜上に発現し、次いで、細胞外ドメインにて切断される。三量体形成が、生物学的活性に必要とされる。TNF−αは、二つの受容体(TNFR)を介して発現する。すなわち、I型受容体(p60、p55、CD120a)はほとんどの細胞型上に構成的に発現し、そして、II型受容体(p80、p75、CD120b)は誘導性である。一般的なTNF−α阻害剤は、TNF−αのその受容体への結合を阻害するように、主に作用する。現在、TNF阻害剤には、二つの主な種類がある。すなわち、1)TNF−αがその二つの細胞会合型シグナル伝達受容体(p55及びp75)に結合するのを防ぐ、TNF−αに対するモノクローナル抗体、及び、2)免疫グロブリン(Ig)Fcフラグメントで連結することによって二量体となる、単量体可溶型のp55もしくはp75 TNFR、である。これらのIgは、高親和性にてTNF−αに結合し、そしてその細胞会合型受容体にそれが結合するのを防ぐ。
【0003】
したがって、TNF阻害剤は、関節リウマチなどの、痛みを引き起こす可能性のある整形外科及び神経筋の疾患または傷害に対する治療使用のために、開発された。現在使用されているTNF阻害剤は、一般に、静注または皮下注射を介して全身投与されるが、しかし、より高用量及び全身投与に伴う抗TNF療法の副作用があり、これらの療法に共通している。直接注射の場合、医薬品は、針の留置が可能となる標的部位のできるだけ近くに、ボーラス注射される。残念なことに、これでは、組織を介して標的部位へ移動しなければならず、限られた量の剤しか供給されない。この方法は、患者の必要性に応えるには不十分である。抗TNF療法は、一般に、長期間にわたって必要とされ、したがって、おそらく反復注射が必要である。注射部位の痛み及び反応が、抗TNF剤により現れることもある。
【0004】
必要とされるのは、炎症及び痛みの治療及び予防のための、TNF阻害剤などの生物学的応答調節物質の制御的かつ特異的な送達のためのシステム及び方法であって、外傷もしくは炎症部位などの標的部位、またはその近位に長期間送達可能な、上記システム及び方法である。
【0005】
発明の概要
本発明は、痛み及び/または炎症を低減するための方法及びシステム、すなわち、痛みを低減するための方法であって、治療を必要とする対象の標的部位に、1または2以上の生物学的応答調節物質(BRM)を含んでなる有効量の医薬組成物を投与することを含んでなり、1または2以上の生物学的応答調節物質を制御投与システムによって投与する、上記方法に関する。本発明の実施に際して、投与は、限局性かつ持続性である。例えば、投与を、少なくとも1日〜約3ヶ月の期間にわたって行う。一実施態様において、投与は、連続的である。投与はまた、定期的であってもよい。
【0006】
本発明において使用される医薬組成物は、標的とする放出速度を有する。例えば、標的とする放出速度は、約24時間〜約31日間である。別の実施態様において、標的とする放出速度は、少なくとも約1日間〜約3ヶ月間である。
【0007】
本発明の実施に際して、制御投与システムを、対象の標的部位またはその近傍に埋め込む。このような部位の非限定的な例としては、これに限定されないが、炎症を起こした神経または脊髄部位、特に脊椎板部位が挙げられる。一実施態様において、制御投与システムは、慣用的にデポーである。別の実施態様において、制御投与システムは、インフュージョンポンプ、浸透圧ポンプ及び/または体内ポンプである。本発明の実施に際して、デポーは、上記のポンプのいずれかの中に含有される。
【0008】
本発明の一方法において、制御投与システムは、標的部位またはその近傍へのカテーテル挿入によって局所的に投与されるシステムであって、カテーテルが近位端及び遠位端を有し、近位端は医薬品をin situで送達するための開口部を有し、遠位端は医薬品送達ポンプに流体的に連通している上記システムを、含んでなる。例えば、カテーテルの近位端は、標的部位の10cm以内、より具体的には標的部位の5cm以内に、生物学的応答調節物質を送達する。
【0009】
ある実施態様において、本発明の生物学的応答調節物質は、例えば生物学的応答調節物質がTNF−α受容体阻害剤である場合、TNF−αにより媒介される炎症を阻害する。適切な生物学的応答調節物質としては、これに限定されないが、可溶性腫瘍壊死因子α受容体、ペグ化した可溶性腫瘍壊死因子α受容体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体フラグメント、COX−2阻害剤、メタロプロテアーゼ阻害剤、グルタミン酸アンタゴニスト、グリア細胞由来神経栄養因子、B2受容体アンタゴニスト、サブスタンスP受容体(NK1)アンタゴニスト、ダウンストリーム調節要素拮抗モジュレータ(Downstream regulatory element antagonistic modulator:DREAM)、iNOS、テトロドトキシン(TTX)抵抗性Na+チャネル受容体サブタイプPN3及びSNS2の阻害剤、インターロイキンの阻害剤、TNF結合タンパク質、ドミナントネガティブのTNFバリアント、ナノバディーズ(Nanobodies、商標)、キナーゼ阻害剤、ならびにその組み合わせが挙げられる。他の適切な生物学的応答調節物質としては、これに限定されないが、アダリムマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト、ペグスネルセプト(Pegsunercept、PEG sTNF-R1)、オネルセプト(Onercept)、キネレット(登録商標)、sTNF-R1、CDP-870、CDP-571、CNI-1493、RDP58、ISIS 104838、1→3-β-D-グルカン、レネルセプト(Lenercept)、PEG-sTNFRII Fcムテイン、D2E7、アフェリモマブ(Afelimomab)、AMG 108、6−メトキシ−2−ナフチル酢酸またはベタメタゾン、カプサイシン、シバニド(civanide)、TNFRc、ISIS2302及びGI 129471、インテグリンアンタゴニスト、α4β7インテグリンアンタゴニスト、細胞接着阻害剤、インターフェロンγアンタゴニスト、CTLA4-Igアゴニスト/アンタゴニスト(BMS-188667)、CD40リガンドアンタゴニスト、ヒト化抗IL−6 mAb(MRA、トシリズマブ、中外)、HMGB-1 mAb(Critical Therapeutics社)、抗IL2R抗体(ダクリズマブ、バシリシマブ(basilicimab))、ABX(抗IL−8抗体)、組換えヒトIL−10、HuMax IL−15(抗IL−15抗体)、ならびにその組み合わせが挙げられる。
【0010】
ある実施態様では、生物学的応答調節物質を、骨誘導因子と併せて投与する。適切な骨誘導因子としては、これに限定されないが、骨形成タンパク質、またはその生物学的に活性なフラグメントもしくはバリアント、LIM石灰化タンパク質、またはその生物学的に活性なフラグメントもしくはバリアント、あるいはその組み合わせが挙げられる。
【0011】
本発明はまた、1または2以上の生体高分子及び少なくとも一つの生物学的応答調節物質を含んでなる医薬組成物を含んでなるインプラントも含む。例えば、生体高分子としては、これに限定されないが、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PG)、ポリ(α−ヒドロキシ酸)のポリエチレングリコール(PEG)抱合体、ポリオルトエステル、ポリアスピリン、ポリホスファゲン、コラーゲン、スターチ、キトサン、ゼラチン、アルギナート、デキストラン、ビニルピロリドン、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA−g−PLGA、PEGT−PBT共重合体(ポリアクティブ)、メタクリレート、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、PEO−PPO−PEO(プルロニック(pluronics))、PEO−PPO−PAA共重合体、PLGA−PEO−PLGA、ポリホスホエステル、ポリ無水物、ポリエステル−無水物、ポリアミノ酸、ポリウレタン−エステル、ポリホスファジン、ポリカプロラクトン、ポリトリメチレンカーボネート、ポリジオキサノン、ポリアミド−エステル、ポリケタル、ポリアセタル、グリコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸エステル、ポリエチレン−ビニルアセテート、シリコ−ン、ポリウレタン、ポリプロピレンフマレート、ポリデスアミノチロシンカーボネート、ポリデスアミノチロシンアリール酸塩(arylates)、ポリデスアミノチロシンエステルカーボネート、ポリデスアミノチロシンエステルアリール酸塩、ポリエチレンオキシド、ポリオルトカーボネート、ポリカーボネート、またはその共重合体もしくは物理的混和物、あるいはその組み合わせが挙げられる。一実施態様において、生物学的応答調節物質は、可溶性腫瘍壊死因子α受容体、ペグ化した可溶性腫瘍壊死因子α受容体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体フラグメント及びその組み合わせからなる群より選択される。
【0012】
本発明のインプラントの使用において、生物学的応答調節物質としては、これに限定されないが、アダリムマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト、ペグスネルセプト(Pegsunercept、PEG sTNF-R1)、sTNF-R1、CDP-870、CDP-571、CNI-1493、RDP58、ISIS 104838、1→3-β-D-グルカン、レミケード、レネルセプト(Lenercept)、PEG-sTNFRII Fcムテイン、D2E7、アフェリモマブ(Afelimomab)、及びその組み合わせが挙げられる。
【0013】
さらに、1または2以上の生物学的応答調節物質を、持続放出型医薬組成物内に組み込むことが、開示される。一実施態様において、2または3以上の生物学的応答調節物質を、持続放出型医薬組成物内に組み込む。例えば、一実施態様において、2または3以上の生物学的応答調節物質を、別々の生体適合性高分子内に別々に組み込む。
【0014】
本発明はまた、骨溶解及び/または骨吸収を治療するための方法であって、治療を必要とする対象の骨溶解部位に、1または2以上の生物学的応答調節物質を含んでなる有効量の医薬組成物を投与することを含んでなり、該医薬組成物の投与が限局性かつ持続性である、上記方法も含む。
【0015】
一実施態様において、1または2以上の生物学的応答調節物質を、少なくとも一つの骨誘導因子と併せて投与する。適切な骨誘導因子の例としては、骨形成タンパク質またはその生物学的に活性なフラグメント、LIM石灰化タンパク質またはその生物学的に活性なフラグメント、あるいはその組み合わせが挙げられる。
【0016】
さらに別の実施態様において、骨腫瘍に伴う痛みを緩和するための方法であって、治療を必要とする対象の腫瘍部位に、1または2以上の生物学的応答調節物質を含んでなる有効量の組成物を投与することを含んでなり、該医薬組成物の投与が限局性かつ持続性である、上記方法。この方法では、1または2以上の生物学的応答調節物質を、少なくとも一つの骨誘導因子と併せて投与する。適切な例としては、これに限定されないが、骨形成タンパク質、またはその生物学的に活性なフラグメントもしくはバリアント、LIM石灰化タンパク質、またはその生物学的に活性なフラグメントもしくはバリアント、あるいはその組み合わせが挙げられる。
【0017】
さらに供されるのは、哺乳動物対象において痛みを軽減する薬物療法を供するためのシステムであって、それを必要とする対象の標的部位に、少なくとも一つの生物学的応答調節物質の制御的かつ特異的な送達を供するための、標的部位における炎症を減少させる少なくとも一つの生物学的応答調節物質を含んでなる有効量の医薬組成物を含んでなる、上記システムである。別の実施態様において、生物学的応答調節物質は、放出調節型医薬組成物をさらに含んでなる。さらに別の実施態様において、制御投与システムは、デポーである。該システムは、2または3以上の生物学的応答調節物質をさらに含んでなることが可能である。一部のシステムにおいて、制御投与システムは、浸透圧ポンプまたは体内ポンプである。さらに別の実施態様において、制御投与システムは、近位端及び遠位端を有し、近位端は医薬品をin situで送達するための開口部を有し、遠位端は医薬品送達ポンプに流体的に連通している、カテーテルを含んでなる。別の実施態様において、カテーテルの近位端は、標的部位の約10cm以内またはそれよりも近くに、生物学的応答調節物質を送達する。別の実施態様において、カテーテルは、標的部位の約5cm以内またはそれよりも近くに、生物学的応答調節物質を送達する。このシステムでは、少なくとも一つの生物学的応答調節物質が、TNF−αにより媒介される炎症を阻害する。生物学的応答調節物質の適切な例は、TNF−α受容体阻害剤、例えば、ペグ化した可溶性TNF−α受容体である。他の適切な生物学的応答調節物質を、本明細書に記載する。該システムは、治療有効量の少なくとも一つの骨誘導因子をさらに含んでなる。適切な骨誘導因子としては、これに限定されないが、骨形成タンパク質、またはその生物学的に活性なフラグメントもしくはバリアント、LIM石灰化タンパク質、またはその生物学的に活性なフラグメントもしくはバリアント、あるいはその組み合わせが挙げられる。一実施態様において、本発明のシステムは、放出調節型医薬キャリアーを含んでなるデポーを使用する。
【0018】
本発明はまた、標的部位における炎症を減少させる1または2以上の生物学的応答調節物質を含んでなる組成物の、痛みを低減するための医薬品の製造のための使用であって、治療を必要とする対象の標的部位への有効量の該組成物の投与が限局性かつ制御的である、上記使用も含む。本発明の実施に際して、治療を必要とする対象の標的部位への該組成物の投与は、限局性かつ制御的である。
【0019】
一実施態様において、本発明は、痛みを緩和し、そして骨溶解に伴う骨減少を制限するための制御投与システムであって、治療を必要とする対象の骨溶解部位への組成物の投与が限局性かつ制御的である、上記システムである。
【0020】
別の実施態様において、本発明は、標的部位における炎症を減少させる1または2以上の生物学的応答調節物質を含んでなる組成物の、骨腫瘍に伴う痛みを緩和するための医薬品の製造のための使用であって、治療を必要とする対象の腫瘍部位への該組成物の投与が限局性かつ制御的である、上記使用を含む。
【0021】
上記に記載した使用のいずれにおいても、組成物は、持続放出型医薬組成物である。
【0022】
さらなる生物学的応答調節物質は、本明細書に記載される方法、組成物及び使用に適している。このような生物学的応答調節物質としては、これに限定されないが、6−メトキシ−2−ナフチル酢酸などのCOX−2阻害剤、またはベタメタゾン、またはTAPIなどのメタロプロテアーゼ阻害剤が挙げられる。他の生物学的応答調節物質は、グルタミン酸アンタゴニスト、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、B2受容体アンタゴニスト、サブスタンスP受容体(NK1)アンタゴニスト、ダウンストリーム調節要素拮抗モジュレータ(DREAM)、iNOS、テトロドトキシン(TTX)抵抗性Na+チャネル受容体サブタイプPN3及びSNS2の阻害剤、インターロイキンの阻害剤からなる群より選択される。一実施態様において、サブスタンスP受容体(NK1)アンタゴニストは、カプサイシンまたはシバニド(civanide)である。別の実施態様において、インターロイキンの阻害剤は、IL−1、IL−6、IL−8及びIL−10からなる群より選択される。適切な生物学的応答調節物質としては、さらに、TNF結合タンパク質、例えばオネルセプト(Onercept)が挙げられる。さらに別の適切な生物学的応答調節物質としては、これに限定されないが、グリベック、ハーセプチン、イレッサ、イマチニブ(STI571)、ハービマイシンA、チロフォスチン47、アーブスタチン(erbstatin)、ゲニステイン、スタウロスポリン、PD98059、SB203580、CNI-1493、VX-50/702、SB203580、BIRB 796、グラクソP38 MAPキナーゼ阻害剤、RWJ67657、UO126、Gd、SCIO-469、RO3201195及びセミピモド(Semipimod)が挙げられる。さらに他の適切な生物学的応答調節物質としては、ISIS2302、GI 129471、インテグリンアンタゴニスト、α4β7インテグリンアンタゴニスト、細胞接着阻害剤、インターフェロンγアンタゴニスト、CTLA4-Igアゴニスト/アンタゴニスト(BMS-188667)、CD40リガンドアンタゴニスト、ヒト化抗IL−6 mAb(MRA、トシリズマブ、中外)、HMGB-1 mAb(Critical Therapeutics社)、抗IL2R抗体(ダクリズマブ、バシリシマブ(basilicimab))、ABX(抗IL−8抗体)、組換えヒトIL−10、HuMax IL−15(抗IL−15抗体)が挙げられる。
【0023】
組織の壊死及び/または損傷を遅らせるための方法においてさらに開示されるのは、治療を必要とする対象の標的部位に、1または2以上の生物学的応答調節物質を含んでなる有効量の医薬組成物を投与することを含んでなり、1または2以上の生物学的応答調節物質を限局性及び持続性である制御投与システムによって投与する、上記方法である。一実施態様において、制御投与システムを、これに限定されないが、炎症を起こした神経または脊髄部位、例えば脊椎板または椎間板腔などの、対象における標的部位またはその近傍に埋め込む。
【0024】
詳細な説明
本発明者は、少なくとも一つの生物学的応答調節物質の直接的かつ制御的な送達を、1または2以上の炎症部位及び痛みの発生源に供することによって、痛み、特に神経筋及び骨格を源とする痛みを減少、除去または管理するためのシステム及び方法を、提供する。生物学的応答調節物質自体は、急速作用から長期作用に至るまでの連続的な範囲上にあってもよい。一般に、生物学的応答調節物質は、急速放出から持続放出に至るまでの連続的な範囲にあることが可能な医薬組成物の成分である。さらに、本発明の制御投与システムを介したその医薬組成物の送達は、例えば、急速かつ反復性の、間隔を置いた送達または連続的な送達を含むことが可能である。該送達は、「局所的」、「直接的」及び「制御的」であることが可能である。
【0025】
本明細書で用いられるように、生物学的応答調節物質(BRM)は、これに限定されないが、例えば可溶性腫瘍壊死因子α受容体、任意のペグ化した可溶性腫瘍壊死因子α受容体、モノクローナルもしくはポリクローナル抗体または抗体フラグメント、あるいはその組み合わせなどの、直接的かつ局所的に作用する、TNF−αの炎症誘発効果の修飾物質である物質である。適切な例としては、これに限定されないが、アダリムマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト、ペグスネルセプト(Pegsunercept、PEG sTNF-R1)、sTNF-R1、CDP-870、CDP-571、CNI-1493、RDP58、ISIS 104838、1→3-β-D-グルカン、レネルセプト(Lenercept)、PEG-sTNFRII Fcムテイン、D2E7、アフェリモマブ(Afelimomab)、及びその組み合わせが挙げられる。これらは、炎症誘発分子放出の阻害剤またはアゴニストとしてのその作用を介して、痛みを減少させることが可能である。例えば、これらの物質は、多くの場合、プロスタグランジン及びロイコトリエンの放出を下流にてもたらす、初期の炎症カスケードに作用するサイトカインもしくは他の分子の発現または結合を、阻害またはアンタゴナイズすることによって作用することが可能である。これらの物質はまた、例えば、興奮性分子の神経系または神経筋系の侵害受容体への結合をブロックまたはアンタゴナイズすることによっても、作用することも可能であり、これは、多くの場合、これらの受容体が、神経もしくは周辺組織の炎症または傷害に対する炎症性応答を、一酸化窒素を介したメカニズムによって引き起こすためである。これらの生物学的応答調節物質としては、例えば、腫瘍壊死因子α(TNF−α)の阻害剤が挙げられる。試験により、慢性関節疾患において、例えば、軟骨の分解は、炎症が抑制されている場合においても続くことが実証された。抗TNF剤などの生物学的応答調節物質は、例えば関節痛に対して、特に有効であり、これは、それらが痛みの源となる炎症を減少させるだけでなく、炎症応答を伴う可能性のある関節破壊の進行を遅らせるためである。したがって、本発明による局所を標的とするBRMの送達は、組織の壊死及び損傷を低減する。
【0026】
炎症は、外傷に対しては急性応答であることが可能であり、あるいは、炎症因子の存在に対しては慢性応答であることが可能である。組織が損傷を受けるとき、TNF−αは細胞に付着して、それらに炎症を引き起こす他のサイトカインを放出させる。炎症カスケードの目的は、損傷を受けた組織の治癒を促進することであるが、しかし、組織が治癒しても、炎症過程は必ずしも終わらない。野放しのまま、これは、周辺組織の分解及びそれに伴う慢性痛をもたらす可能性がある。このように、痛みは、それ自体が疾患状態となり得る。すなわち、この経路が活性化されると、炎症及び痛みが続いて起こる。多くの場合、侵襲、炎症及び痛みの不完全かつ無限と思われるような周期が、始まる。この周期がある状態の例としては、これに限定されないが、関節リウマチ、変形性関節症、手根管症候群、腰痛、下肢痛、上肢、組織痛、ならびに、頸椎、胸椎及び/もしくは腰椎、または椎間板、腱板、関節、TMJ、腱、靭帯及び筋肉の傷害あるいは修復が挙げられる。
【0027】
TNFが、その産生を調節する上流の事象によって影響を受け、そして次に、下流の事象にも影響を及ぼすことが、理解される。該状態の治療に対する別のアプローチとしては、この公知の事実を活用し、そしてBRMを、TNF、ならびに上流、下流及び/またはその組み合わせの分子を特異的に標的とするよう設計する。このようなアプローチとしては、これに限定されないが、TNFを直接的に調節すること、キナーゼを調節すること、細胞シグナル伝達を阻害すること、セカンドメッセンジャー系を操作すること、キナーゼ活性化シグナルを調節すること、炎症細胞上のクラスター識別子を調節すること、経路においてTNFもしくは他の標的の転写または翻訳をブロックすること、TNF−αの翻訳後効果を調節すること、遺伝子のサイレンシングを使用すること、例えばIL−1、IL−6及びIL−8などのインターロイキンを調節することが挙げられる。本明細書で用いられるように、「調節すること」とは、開始から停止までの範囲であり、そしてその範囲には、有意もしくはわずかに増強することから有意もしくはわずかに阻害することまでが含まれる。「阻害すること」の語は、タンパク質の産生またはオリゴヌクレオチド配列の翻訳などの標的とする機能を、低減または除いてもよい下方制御を、含む。例えば、所与の患者の状態は、TNFなどの単一分子の阻害のみ、あるいは経路中の上流及び/または下流の事象のカスケードにおける1または2以上の分子を調節することを、必要としてもよい。
【0028】
ある実施態様において、TNF−α阻害剤は、脊髄周囲への投与により送達される場合に、椎間板に起因する慢性の背痛及び下肢痛を低減する。
【0029】
他の実施態様において、BRMは、COX2阻害剤である。シクロオキシゲナーゼ阻害剤は、プロスタグランジンE2(PGE2)の合成を制御すると考えられる酵素群である。PGE2は、神経根障害を誘導することによって、椎間板に起因する背痛を増加させる可能性がある。COX酵素の阻害は、腰痛を低減する働きをする。一つの理論に縛られる意図はないものの、それらがPGE2のレギュレーターであることから、それらはPGE2産生を減少させることによって腰痛を低減すると考えられる。Melarangeら(1992a)、Anti-inflammatory and gastroinstestinal effects of nabumetone or its active metabolite, 6MNA (6-methoxy-2-na[hthylacetic acid): comparison with indomethacin、Agents Actions、Spec No:C82-83;及び、(1992b)Antiinflammatory and gastrointestinal effects of nabumetone or its active metabolite, 6- methoxy-2-naphthylacetic acid (6MNA)、Comparative studies with indomethacin、Dig Dis Sci. 37(12):1847-1852に記載のように、ある適切なCOX2阻害剤(6−メトキシ−2−ナフチル酢酸)が、細胞培養においてPGE2産生及び局所的な炎症を抑制することが、示された。別のPGE2阻害剤としては、ベタメタゾンが挙げられる。
【0030】
別の適切なBRMは、メタロプロテアーゼ阻害剤である。例えば、TAPIは、TNF−αの切断をブロックすることが可能であり、次いでTNF−αの産生を低減するであろう、メタロプロテアーゼ阻害剤である。
【0031】
さらに他の適切なBRMとしては、グルタミン酸アンタゴニスト、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、B受容体アンタゴニスト、カプサイシン及びシバニド(civanide)などのサブスタンスP受容体(NK1)アンタゴニスト、ダウンストリーム調節要素拮抗モジュレータ(DREAM)、iNOS、テトロドトキシン(TTX)抵抗性Na+チャネル受容体サブタイプPN3及びSNS2の阻害剤、IL−1、IL−6及びIL−8などのインターロイキンの阻害剤、ならびにIL−10などの抗炎症サイトカインが挙げられる。
【0032】
別のアプローチの一実施例において、BRMは、TNF結合タンパク質である。一つの適切なこのようなBRMは、現在、オネルセプト(Onercept)と称されている。オネルセプト、オネルセプト様剤及び誘導体を含む処方物は、すべて許容可能であると考えられる。さらに他の適切なBRMとしては、ドミナントネガティブのTNFバリアントが挙げられる。適切なドミナントネガティブのTNFバリアントとしては、これに限定されないが、DN−TNFが挙げられ、そして、Steedら(2003年)「Inactivation of TNF signaling by rationally designed dominant-negative TNF variants」、Science 301(5641):1895-1898により記載されるものが挙げられる。さらなる実施態様は、オリゴヌクレオチドをコードする阻害剤、エンハンサー、増強剤、中和剤または他の修飾物質を送達するための、組換えアデノ関連ウイルス(rAAV)ベクター技術基盤の使用を含む。例えば、一実施態様において、DNA配列を送達するための(rAAV)ベクター技術基盤は、腫瘍壊死因子(TNF−α)の強力な阻害剤である。一つの適切な阻害剤は、TNFR:Fcである。他のBRMとしては、抗体が挙げられ、これは、自然発生もしくは合成の、二本鎖、一本鎖、またはそのフラグメントを非限定的に含む。例えば、適切なBRMとしては、自然発生の単一ドメイン抗体の最小機能フラグメントとして定義される、ナノバディーズ(Nanobodies、商標)(アブリンクス社、ゲント、ベルギー)と称される一本鎖抗体に基づく分子が挙げられる。
【0033】
あるいは、キナーゼを阻害し、かつ/または細胞シグナル伝達を阻害する療法を、用いる。この分類に入る療法は、セカンドメッセンジャー系を操作することが可能である。キナーゼ活性化シグナルは、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ及びマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)、P38 MAPK、Src及びタンパク質チロシンキナーゼ(PTK)を伴うものを始めとする下流のエフェクターを、増加させる。一実施例には、TNFα効果のシグナル伝達がMPAKの下流活性化であることが、含まれる。
【0034】
キナーゼ阻害剤の例は、グリベック、ハーセプチン、イレッサ、イマチニブ(STI571)、ハービマイシンA、チロフォスチン47、アーブスタチン(erbstatin)、ゲニステイン、スタウロスポリン、PD98059、SB203580、CNI-1493、VX-50/702(Vertex社/キッセイ社)、SB203580、BIRB 796(ベーリンガー・インゲルハイム社)、グラクソP38 MAPキナーゼ阻害剤、RWJ67657(J&J社)、UO126、Gd、SCIO-469(Scios社)、RO3201195(ロシュ社)、セミピモド(Semipimod)(Cytokine PharmaSciences社)、または上記剤の誘導体が挙げられる。さらに別の本発明の実施態様は、TNF−αもしくは急性痛の炎症カスケードにおける他のタンパク質の転写または翻訳をブロックするBRMの使用を、提供する。
【0035】
TNF−αの翻訳後効果を阻害するBRMは、本発明において有用である。例えば、TNF−αのシグナル伝達カスケードの開始は、これに続いて、パラクリン及びオートクリン的に作用して、TNF−αならびに他の炎症誘発因子(IL−1、IL−6、IL−8、HMG−B1)のさらなる産生を誘発する多数の因子の産生の増強をもたらす。TNF−αの下流のシグナルに作用する、細胞外のTNF−αを調節するBRMは、全身性炎症疾患の治療において有用である。これらのBRMには、他のエフェクター分子をブロックするよう設計されているものもあれば、例えばインテグリン及び細胞接着分子などの、その産生をさらに誘導するのに必要とされる細胞相互作用をブロックするものもある。
【0036】
適切なBRMとしては、インテグリンアンタゴニスト、α4β7インテグリンアンタゴニスト、細胞接着阻害剤、インターフェロンγアンタゴニスト、CTLA4-Igアゴニスト/アンタゴニスト(BMS-188667)、CD40リガンドアンタゴニスト、ヒト化抗IL−6 mAb(MRA、トシリズマブ、中外)、HMGB-1 mAb(Critical Therapeutics社)、抗IL2R抗体(ダクリズマブ、バシリシマブ(basilicimab))、ABX(抗IL−8抗体)、組換えヒトIL−10、HuMax IL−15(抗IL−15抗体)が挙げられる。
【0037】
他の適切なBRMとしては、IL−1阻害剤が挙げられる。インターロイキン−1は、TNF−αと作用が類似する炎症誘発サイトカインである。例えば、このタンパク質のある阻害剤は、TNF−αを阻害するよう開発されたものと類似する。一つのこのような例は、キネレット(登録商標)(アナキンラ)であり、これは、ヒトインターロイキン−1受容体アンタゴニスト(IL−1Ra)の組換え非グリコシル化型である。別の適切なBRMは、IL−1の作用をブロックするモノクローナル抗体である、AMG 108である。
【0038】
上記のように、痛みは、それ自体が疾患状態となり得る。これが特に当てはまる一つの特定領域は、腰及び下肢にある。例えば、椎間板ヘルニアは、背痛及び坐骨神経痛の主な原因である。坐骨神経痛または神経根障害は、一般に、下腿後部に下に向けて放散する痛みであり、かつ、坐骨神経根の刺激に起因すると考えられている。背痛はまた、隣接する神経への圧を伴う、脊柱管の骨組織または軟組織の異常増殖により特徴付けられる、脊髄狭窄にも起因する可能性がある。椎骨間の面関節の変性、腫瘍、感染、骨折、及び周辺軟組織の炎症もまた、背痛を引き起こす可能性がある。
【0039】
椎骨を損傷する力は、伸張、裂傷、虚血、圧迫によって脊髄を傷害することが可能である。癌は、脊椎に転移して、骨破壊及び脊髄圧迫をもたらす可能性がある。四肢への長期にわたる連続的な圧は、挫滅外傷をもたらす可能性がある。脊髄金属器の存在を伴う、以前の脊椎外科手術は、脊椎を硬くし、そしてさらなる傷害を受けやすくする。すべてのこれらの状況において、傷害に対する炎症応答がある。この応答は、有意かつ多くの場合慢性の痛みの原因となり得る。本発明が、少なくとも一つの応答活性化因子の阻害剤を供することによって取り組むのが、この応答である。該阻害剤または阻害剤の組み合わせを、炎症源またはその近位に供し、かつ、一定の間隔で、連続的に、または炎症応答を管理する必要に応じて、送達が容易に可能な持続投与量にて供する。この投与量を、例えば、制御投与システムを用いて供することが可能である。
【0040】
本明細書で用いられるように、「制御投与システム」は、生物学的応答調節物質を送達するための直接的かつ局所的な投与システムであり、そしてこれに限定されないが、デポー、浸透圧ポンプ、体内ポンプ、インフュージョンポンプ、埋め込み型ミニポンプ、蠕動ポンプ、他の医薬ポンプ、あるいは、送達用医薬ポンプと機能可能なように連結されているカテーテルを標的部位またはその近傍に局所的に挿入することによって投与されるシステムが挙げられる。ポンプは、必要に応じて、内部または外部にあることが可能であることが理解される。「デポー」としては、これに限定されないが、カプセル、微小球体、粒子、ゲル、コーティング、マトリックス、ウェーハ、丸剤または他の送達用医薬組成物が挙げられる。デポーは、生体高分子を含んでなってもよい。生体高分子は、急速でない放出を供してもよい。適切な持続放出型生体高分子の例としては、これに限定されないが、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PG)、ポリ(α−ヒドロキシ酸)のポリエチレングリコール(PEG)抱合体、ポリオルトエステル、ポリアスピリン、ポリホスファゲン、コラーゲン、スターチ、キトサン、ゼラチン、アルギナート、デキストラン、ビニルピロリドン、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA−g−PLGA、PEGT−PBT共重合体(ポリアクティブ)、メタクリレート、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、PEO−PPO−PEO(プルロニック(pluronics))、PEO−PPO−PAA共重合体、PLGA−PEO−PLGA、またはその組み合わせが挙げられる。
【0041】
ある実施態様において、投与量は、デポー、医薬ポンプを用いて、または、炎症部位またはその近位に該投与量を供するために埋め込まれた持続性送達装置を介して、供される。
【0042】
有効量の生物学的応答調節物質を含んでなる医薬組成物を、外傷部位及び/または炎症部位に直接的に送達する能力は、ある点においては問題がある。本明細書で用いられるように、医薬組成物は、少なくとも一つの生物学的応答調節物質を、単独で、あるいは、デポー、ならびに所望により希釈剤、賦形剤、及び安定性、製造、有効性等を向上させるのに望ましい医薬的に許容可能な他の剤の一部として、その表面上に、それと併せて、その内部に、またはそれと複合体化して、含んでなる。
【0043】
制御投与システムが、目的とする薬物量を目的とする期間、正確に、精密に、かつ確実に送達可能であることが、望ましい。多くのBRM、特に、安定性及び有効性を長期間保持するように処方物化されたものは、非常に高価である。このように、薬物の安定性及び有効性の消失を最小限に、制御投与システムを介して送達されるBRMを、効率的に処方物化し、加工し、包装し、そして送達する能力が、望ましい。本発明の制御投与システムに適した医薬組成物は、制御的、局所的及び直接的に炎症を望ましく調節するために、入念に処方物化されることが、望ましい。本発明の特徴の一つには、制御投与システムと医薬組成物とのユニークな組み合わせによって可能となる、フレキシブルな投与オプションがある。薬物自体は、急速作用から長期作用に至るまでの連続的な範囲上にあってもよい。さらに、医薬組成物自体は、急速放出から持続放出に至るまでの連続的な範囲にあることが可能である。なおさらに、その医薬組成物の送達に対するオプションは、連続的な範囲上にあり、そしてこれに限定されないが、連続的送達までの範囲の、間隔を置いた急速かつ反復的な送達が挙げられる。送達を、患者における十分な分布及び吸収のために、所望の期間、所望の部位に行ってもよい。有利には、制御投与システムを埋め込む場合、慣用の手段により到達するには深部にあるか、複雑であるか、痛みを伴うかまたは危険であり、かつ/あるいはこれを行わなければ到達不可能な部位に対して、送達を行うことが可能である。本明細書全体において、「a(不定冠詞)」の語は、単数形ならびに複数形を含むことを意図する。
【0044】
一実施態様において、本発明は、本発明の制御投与システムにより供されるものなどの、制御的な限局性送達を提供する。このような実施態様では、患者における生物学的応答調節物質のレベルが上昇と下降を繰り返し続けるのを避け、体を生物学的応答調節物質のレベルにより容易に適応させることが可能である。したがって、副作用を最小限にすることが可能である。
【0045】
本発明の制御投与システムとしては、例えば、脊椎または1もしくは2以上の炎症を起こした関節の近傍に、カテーテルを介して医薬組成物を投与するインフュージョンポンプ、炎症部位または傷害部位もしくは外科手術部位に挿入することが可能な埋め込み型ミニポンプ、埋め込み型制御放出装置(例えば、米国特許第6,001,386に記載される装置など)、及び持続放出型送達システム(米国特許第6,007,843に記載されるシステムなど)が挙げられる。
【0046】
医薬組成物はまた、時間をかけて組織内で分解する高分子マトリックスなどのデポー内に分散させたか、あるいは1または2以上の生物学的応答調節物質の放出の遅延を供する保護コーティングの内側に組み入れた、所望の1または2以上の生物学的応答調節物質を埋め込むことによって、制御的かつ持続的に投与することが可能である。
【0047】
適切なポンプの一例は、SynchroMed(登録商標)(Medtronic社、ミネアポリス、ミネソタ州)ポンプである。このポンプは、三つの密封されたチャンバーを有する。一つは、電子モジュール及びバッテリーを含有する。第二のものは、蠕動ポンプ及び薬物リザーバーを含有する。第三のものは、希ガスを含有し、これは、医薬組成物を蠕動ポンプへと押し進めるのに必要な圧を供する。ポンプを満たすために、医薬組成物を、リザーバー注入口を介して、拡張可能なリザーバーに注入する。希ガスはリザーバー上で圧を作り出し、そして圧はフィルターを介し、そしてポンプのチャンバーへと、医薬組成物を押し進める。次いで、医薬組成物をポンプのチャンバーから装置の外へ、そしてカテーテルへと排出し、これを標的部位に蓄積させることになるであろう。医薬組成物の送達速度は、マイクロプロセッサにより制御される。これは、ポンプを、連続的に、特定の時間に、または設定した送達間隔で、類似するかまたは異なる量の医薬組成物を送達するのに用いることを可能にする。
【0048】
本発明の方法への適応に適した、可能な薬物送達装置としては、これに限定されないが、例えば、標的特異的な薬物送達のための医療用カテーテルについて記載している、米国特許第6,551,290(Elsberryら);生物学的活性剤を制御可能なように放出するための埋め込み型医療用装置について記載している、米国特許第6,571,125(Thompson);治療剤を生物体の選択される部位に送達するための実質内インフュージョンカテーテルシステムについて記載している、米国特許第6,594,880(Elsberry);ならびに、等容量の剤を間隙部位に注入するための埋め込み型カテーテルについて記載している、米国特許第5,752,930(Riseら)が挙げられる。
【0049】
本発明の方法において用いるためになされてもよいさらなる設計は、例えば、US 2002/0082583(フィードバック調節される送達方法による、予めプログラム可能な埋め込み型機器)、US 2004/0106914(化学物質を制御放出するための、マイクロリザーバー浸透圧放出システム)、US 2004/0064088(液体薬剤を送達するための、軽重量小型装置)、US 2004/0082908(埋め込み型超小型インフュージョン装置)、US 2004/0098113(埋め込み型セラミックバルブポンプアセンブリ)、及びUS 2004/0065615(折り畳み式液体チャンバーを有する、埋め込み型インフュージョンポンプ)などの米国特許出願において、提供されている。Alzet(登録商標)浸透圧ポンプ(Durectコーポレーション、Cupertino、カリフォルニア州)もまた、本発明の方法における使用に適した多様なサイズ、ポンプ速度及び期間にて、利用可能である。
【0050】
本発明の方法における使用に適した高分子は、例えば、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PG)などのポリ(α−ヒドロキシ酸)、ならびにそのポリエチレングリコール(PEG)抱合体を含んでなることが可能である。ポリオルトエステル、ポリアスピリン、ポリホスファゲン、ならびに、コラーゲン、スターチ、キトサン、ゼラチン、アルギナート、デキストラン、ビニルピロリドン、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA−g−PLGA、PEGT−PBT共重合体(ポリアクティブ)、メタクリレート、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、PEO−PPO−PEO(プルロニック(pluronics))、PEO−PPO−PAA共重合体及びPLGA−PEO−PLGAなどのヒドロゲル材料もまた、適している。該高分子を、本発明の方法における使用のための、長期放出型または持続放出型組成物の調製において、使用してもよい。
【0051】
一実施態様においては、さらなる賦形剤を使用する。本発明の組成物において有用な賦形剤の量は、それを必要とする対象に送達されるときに均一に分散することが可能なように、組成物全体に活性剤を均一に分配する働きをする量である。これは、BRMが苦痛を緩和するかまたは治癒する所望の有益な結果を供することが可能な濃度に、生物学的応答調節物質を希釈し、一方で、それと同時に、あまりに高濃度のため生じる可能性のある任意の副作用を最小限にする働きをしてもよい。これはまた、保存剤の効果を有してもよい。このように、高生理活性を有するBRMに対しては、いっそう多くの賦形剤が使用されるであろう。他方で、低生理活性を示すBRMに対しては、より少量の賦形剤が使用されるであろう。一般に、組成物中の賦形剤の量は、全組成物の約50重量%〜99.9重量%であろう。特に高生理活性を有するBRMに対しては、その量は、約98.0重量%〜約99.9重量%であろう。
【0052】
適切な生物学的応答調節物質の例としては、受容体アンタゴニスト、標的分子への結合に対して受容体と競合する分子、アンチセンスポリヌクレオチド、及び標的タンパク質をコードするDNAの転写阻害剤が挙げられる。TNF−αアンタゴニストとしては、例えば、アダリムマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト、CNI-1493(マクロファージ活性化及びTNF−α放出の阻害剤)、RDP58(サングスタット・メディカル社(ジェンザイム社、ケンブリッジ、マサチューセッツ州)によって開発された、TNF−α mRNAの翻訳を妨げることによりTNF−α合成を阻害する小分子である、合理的に設計されたペプチド)、及びISIS 104838(アンチセンスTNF−α阻害剤)が挙げられてもよい。他の適切なBRMとしては、さらに、sTNF-R1、CDP-870、CDP-571、1→3-β-D-グルカン、レネルセプト(Lenercept)、PEG-sTNFRII Fcムテイン、D2E7、アフェリモマブ(Afelimomab)、ペグスネルセプト(Pegsunercept)、他のモノクローナルもしくはポリクローナル抗体、またはその抗体フラグメントもしくは混合物が挙げられる。
【0053】
天然化合物もまた、TNF−α mRNAの発現を減少させてもよく、そしてこれを制御放出型、または埋め込み型もしくは外部の制御投与システムにて送達し、TNF−αの発現を阻害して、痛み、例えばTNF−αによって開始する炎症カスケードに起因する痛みを減少させるかまたは阻害することが可能である。TNF−α阻害剤は、例えば、TNF−αの転写、翻訳、または受容体の結合もしくは活性化を阻害することによって作用することが可能である。
【0054】
グルタミン酸及びアスパラギン酸などの興奮性アミノ酸は、神経に由来する痛みの出現において役割を果たすことが示されている。例えば、グルタミン酸受容体をブロックされたマウスは、痛みへのその応答が低減することが示されている。グルタミン酸は、二つの主な種類の受容体:イオンチャネル型グルタミン酸受容体(リガンド依存性イオンチャネル)及び代謝調節型受容体(Gタンパク質共役受容体)に、結合する。脊髄におけるイオンチャネル型受容体としては、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体、α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソキサゾールプロピオン酸(AMPA)受容体、及びカイニン酸受容体が挙げられる。本発明の方法において、1または2以上の生物学的応答調節物質としては、例えば、NMDA受容体、AMPA受容体及び/またはカイニン酸受容体と結合するグルタミン酸のアンタゴニストまたは阻害剤が挙げられてもよい。例えば、インターロイキン−1受容体アンタゴニスト、サリドマイド(TNF−α放出阻害剤)、(マクロファージによるTNF−α産生を低減する)サリドマイド類似体、2型骨形成タンパク質(BMP)及びBMP−4(カスパーゼ8、TNF−α活性化因子の阻害剤)、キナプリル(TNF−αを増加させるアンギオテンシンIIの阻害剤)、IL−11などのインターフェロン(TNF−α受容体の発現を調節する)、ならびにアウリントリカルボン酸(TNF−αを阻害する)もまた、本発明の方法において供される際に、炎症に伴う痛みを低減するのに有用である可能性がある。所望の場合には、上記のもののペグ化型を用いてもよいと考えられる。
【0055】
ヒトもしくは動物対象における痛みを本発明の方法によって減少させるかまたは除くための、生物学的応答調節物質の送達は、特定の対象に投与する任意の1または2以上の生物学的応答調節物質の量が、全身注入もしくは注射を受ける個体に供されるTNF−α阻害剤もしくはアンタゴニストなどの生物学的応答調節物質の量より少なくとも一桁少なくても、痛みを緩和するのに有効である可能性がある。特に、これらの生物学的応答調節物質を制御放出により供する場合に、炎症部位もしくは神経損傷部位、またはその近位に1または2以上の生物学的応答調節物質を供することによって、経口または注射などの慣用の投与方法に比べて、投与されなければならないこれらの生物学的応答調節物質の量は、減少する。このことは、BRMの医薬効率を増加させるが、それは、神経根または脳の領域などの、その作用が最大効果を供するであろう組織に向けられているためである。全身送達または注射による送達によって、所望の結果をもたらすのに十分なレベルの治療用BRMを供してもよいが、それはまた、抗TNF−α組成物を反復投与する際に、感染のリスクなどの望ましくない副作用のリスクを増加させ、したがって、患者に対して費用、不便性及び不快感を増加させる結果となる。
【0056】
本明細書内の教示を用いて、本発明の方法における使用のための有効投与量を、特に有効全身投与量が特定のBRMに関して公知の場合に、当業者が決定することが可能である。BRMが本発明の方法にあるように供されるならば、投与量は、典型的には、通常の全身用量の少なくとも90%減少してもよい。他の実施態様において、投与量は、所与の状態及び患者集団に対する通常の全身用量の少なくとも75%、少なくとも80%または少なくとも85%である。投与量は、毎日の投与が必要でなくても、通常は、1または2以上のBRMの1日当たりの最少量が送達されるよう算出する。1より多くの医薬組成物を投与する場合には、それらの相互作用を考慮し、そして投与量を算出する。例えば、髄腔内投与量は、標準的な経口投与量のおよそ10%を含んでなることが可能である。あるいは、髄腔内投与量は、標準的な経口投与量の約10%〜約25%の範囲である。本明細書において、新規に同定されたBRM(特に、TNF−α阻害剤)の、公知の化合物と比較した場合の相対的な有効性及び必要投与量を評価するためのプロトコールを、提供する。
【0057】
本発明の制御投与システムを、外科手術部位などの、炎症を引き起こすかまたは引き起こすであろう傷害部位に、あるいは、傷害部位もしくは炎症部位から、例えば、約0.5〜10cm以内、または好ましくは5cm未満以内に送達されるように、配置することが可能である。この部位は、頸椎、胸椎または腰椎の間などの脊椎における1または複数の部位を含んでなることが可能であり、あるいは、炎症を起こしたか損傷した関節のすぐ近くに位置する、肩、腰または他の関節などの1または複数の部位を含んでなることが可能である。一実施態様において、制御投与システムは、体内の他の部分または体外に配置することが可能であって、かつ、BRMを送達するための1または2以上のカテーテルを体内の適切な部位に供することが可能な、埋め込み型インフュージョンポンプである。埋め込みは、骨折の修復、腫瘍の除去等のための外科手術と同時に行うことが可能であり、あるいは、初期外傷、傷害、外科手術または他の炎症開始の結果として生じる痛み、特に慢性痛を経験する個体に行うことが可能である。
【0058】
「限局性」送達は、本明細書で用いられるように、1または2以上のBRMを、例えば神経系の神経根もしくは脳の領域、またはその近位(例えば、約10cm以内、または好ましくは約5cm以内)などの組織内に蓄積させる、非全身性送達として、定義される。「制御投与システム」は、痛みに対して必要とされる、標的部位に蓄積させることが可能な医薬組成物の量の、1または2以上のBRMの送達を、連続的に、または間欠的速度で供する。
【0059】
一実施態様において、制御投与システムは、体内ポンプ及びカテーテルを含んでなり、ここで、カテーテルは近位端及び遠位端を有し、近位端は医薬品をin situで送達するための開口部を有し、そして遠位端は体内送達ポンプに流体的に連通している。
【0060】
投与のタイミングもまた、医師または他の適切な医療専門家が、例えば、痛みの重症度及び期間などの状態に基づいて、決定することが可能である。BRMの投与期間、投与間隔、用量サイズ、投与の連続性または自発性は、個体の医師によって、すべて適切に決定される。投与のタイミングを決定する際に、医療専門家は、1または2以上の生物学的応答調節物質を含んでなる有効量の医薬組成物を患者の標的部位に投与すること、ここで、1または2以上の生物学的応答調節物質を制御投与システムにより投与する、などの選択肢を、有する。投与は、(1)限局性かつ持続性で、(2)少なくとも1日〜約3ヶ月の期間にわたって行われ、(3)連続的または定期的であることが可能である。さらに、医療提供者には、標的とする放出速度を有する医薬組成物を選択する選択権がある。例えば、標的とする放出速度は、約24時間〜約31日間である。医療提供者は、患者が治療コースにわたって供するフィードバックに応じて、その組み合わせを変えてもよい。したがって、医療提供者は、特に、痛み、具体的には慢性痛の治療において、以前には利用可能でなかった多くの選択肢を有する。
【0061】
本発明の方法及びシステムは、ヒト医療用途と獣医学的用途の双方を有し、ヒトの子供及び大人における使用に適するだけでなく、他の哺乳動物における使用にも適する。本明細書に記載のBRMを含有する、埋め込み型の制御送達装置または組成物を、整形外科手術中に、炎症及びそれに伴う痛みを最小限にし、そして多くの場合において慢性痛を生じる刺激を減少させるために、設置することが可能である。
【0062】
獣医学的用途において、本発明の制御投与システム及び方法は、整形外科手術または傷害に伴う痛み、あるいは感染または炎症に伴う整形外科的または神経学的な損傷を減少させるのに有用であることが可能である。該方法は、ウマなどの大動物、またはネコ及びイヌなどの家庭用小動物に対して、特に有益であってもよい。
【0063】
ヒト医療用途に関しては、本発明の制御投与システム及び方法を用いて、例えば、腱板の傷害もしくは修復に伴う痛み、関節の痛みもしくは修復、顎関節症、腱炎、関節リウマチ及び変形性関節症、手根管症候群、靭帯の痛みもしくは修復に伴う痛みを緩和することが可能であり、あるいは、標的とする筋肉痛を軽減することが可能である。本発明が適している臨床適応の例としては、任意の原因による急性及び慢性の背痛及び下肢痛が挙げられる。一実施態様において、BRMを、現在の薬物よりも低い用量で、刺激された神経根の付近に送達する。BRMを、臨床適応に応じ、数日間〜数ヶ月間にわたって送達することが可能である。この特異的かつ制御的な送達は、例えばTNF阻害剤などの特定の薬物が、感染と戦う免疫系の能を低減するよう作用し、そしてそれ故に、感染及び他の有害事象をもたらす可能性がある場合に、有益である。薬物(この場合、BRM)量を最小限にし、そして送達部位を標的とすることで、現在利用可能なものよりも有意に改善される。さらに、例えば、用量及び送達を任意に調節するなど、治療選択肢が幅広いことは、ユニークである。医療提供者は、患者のフィードバックまたは臨床徴候の変化に、より対応することが可能である。他の炎症疾患もまた、本発明を使用して治療してもよい。生物学的応答調節物質を、単独で、組み合わせて、順次、または同時に、送達することが可能である。頸部、胸部、腰部または標的としている複数の領域の、1または複数の椎間板レベルを、同時に治療してもよい。生物学的応答調節物質を、椎間板内に、椎間板の近傍に、または筋肉内に適用してもよい。生物学的応答調節物質を、例えば、TNF−α、シクロオキシゲナーゼ2、プロスタグランジンE2、グルタミン酸などの炎症メディエーター、ブラジキニンなどのキニン、及びサブスタンスPの効果を阻害するように、方向づけてもよい。
【0064】
本発明は、骨粗しょう症、変形性関節症及び関節リウマチの予防及び治療に有用である。例えば、特に関節リウマチは、炎症が原因であることが知られ、そしてTNF−α作用の阻害剤などの生物学的応答調節物質は、特に、本発明のインプラント及び方法により送達される場合に、これらの状態に伴う痛みを緩和するのに有用である可能性がある。
【0065】
人工関節周囲の骨溶解は、関節全置換後の主な合併症である。人工関節表面とポリメチルメタクリレート(PMMA)セメントとの連接によって、慢性炎症応答及び破骨細胞骨吸収(摩耗細片により誘導される骨溶解)を引き起こす摩耗粒子を生じ、結果としてインプラントの機械的故障を生じる可能性がある。TNFは、摩耗細片により誘導されるか、または摩耗粒子により誘導される骨溶解を、媒介することが示されている。本発明の制御投与システム及び方法によるTNF阻害剤の、埋め込み部位における制御的かつ特異的な送達は、インプラントに伴う骨溶解を予防するための方法を提供する。骨溶解は、一般には、摩耗により誘導されようと、または他の要因により引き起こされようと、関節置換手術部位などの個体の部位に生じることが多いため、本発明の制御投与システム及び方法を用いた療法のための適切な標的である。さらに、TNF−αは破骨細胞様細胞を誘導することが見いだされており、そして破骨細胞は骨を再吸収する細胞であるため、TNF−α阻害剤の持続的かつ特異的(限局性)な投与は、特に、BMP,LMPまたはその双方の組み合わせなどの骨誘導因子の投与と組み合わせる場合に、痛みの軽減と骨再吸収の阻害の双方を供することが可能である。
【0066】
同様に、骨の悪性もしくは良性腫瘍は、多くの場合、骨再吸収を伴う。腫瘍を除去、部分除去する場合、または腫瘍が残る場合、かなりの痛みがあり得る。本発明の方法及びシステムは、このような痛みを緩和し、そして癌患者をより快適にさせる他に、該部位にて骨再吸収を阻害するかまたは骨成長を刺激するための手段を、提供する。
【0067】
一実施態様において、本発明の方法は、体内ポンプまたは同様の医薬ポンプ、少なくとも一つの医薬組成物をポンプから標的部位へと輸送するためのチャネルを提供する、ポンプに流体的に連通しているカテーテル(所望による)、及び、例えばTNF阻害剤などの、治療量の少なくとも一つの生物学的応答調節物質を含んでなる、制御投与システムによって、提供されることが可能である。一実施態様において、このようなシステムはまた、少なくとも一つの生物学的応答調節物質のための少なくとも一つの放出調節型医薬キャリアーも含んでなってよい。
【0068】
別の実施態様において、デポーは、少なくとも一つの生物学的応答調節物質のための少なくとも一つの放出調節型医薬キャリアー、ならびに、例えばTNF阻害剤などの、治療有効量の少なくとも一つの生物学的応答調節物質を含んでなることが可能である。制御投与システムを、無菌包装にて供される少なくとも一つのデポー、ならびに、生物学的応答調節物質が体内に導入されるときに無菌形態で供されるような包装に含まれる、少なくとも一つのアリコットの少なくとも一つの生物学的応答調節物質を含んでなるキットとして、提供することが可能である。このようなキットはまた、少なくとも一つのアリコットの少なくとも一つの生物学的応答調節物質を、1または2以上の放出調節型医薬キャリアーと組み合わせて含有する、少なくとも一つの包装を含んでなることが可能である。キットはまた、その中に生物学的応答調節物質を含有する放出調節型キャリアーであって、該放出調節型キャリアーが、放出調節型キャリアーを完全または部分的に封じ込めるためのマトリックスまたは封じ込め装置内に封入されているかもしくは部分的に封入されており、マトリックスまたは封じ込め容器装置が無菌包装にて供されており、かつ、少なくとも一つの生物学的応答調節物質を利用した療法を必要とする対象の体内の標的部位への埋め込みに適している、上記放出調節型キャリアーも、提供することが可能である。
【0069】
本発明の方法における使用に特に有効な医薬組成物及び生物学的応答調節物質を、以下の非限定的な実施例に示すように、同定することが可能である。
【実施例】
【0070】
(実施例1)
慢性痛及び急性痛症候群の検討モデルである、ラットにおける坐骨神経狭窄(CCI)により誘導される機械的傷害に対する、TNF−α機能のタンパク質に基づく阻害剤の有効性の評価を行い、有意な痛み阻害効果を有する化合物を同定し、そしてこれらの化合物の至適な局所用量レベルを確立する。
【0071】
【表1】

【0072】
CCI「神経因性痛」を伴う動物を、1群あたり4例、無作為に割り付けた。試験化合物を、全身注射により投与するか、またはAlzet(登録商標)浸透圧ポンプにより局所送達した後、CCI動物に、一連の行動試験(すなわち、機械的接触性アロディニア及び温熱性侵害受容試験)を行う。最初の用量を試験前に与え、それに続く用量を、各化合物の半減期に供する。
【0073】
行動試験:Von Frey試験;温熱性プレート試験
標的化合物を、浸透圧ポンプを介した局所送達によって送達し、行動試験を、ベースラインを含めて8回(各タイプの行動につき4回)まで行う。試験の長さは、22日またはそれより短い。全身投与及び局所投与に続く、以下に記載するような行動試験を用いて、本発明の方法において有効である可能性のある提唱される任意の標的化合物に用いる至適な投与レジメンを、決定する。
【0074】
化合物の活性を、in vivo慢性狭窄傷害モデルを用いて評価する。合計56例のウィスター系(4例/群)が、推奨される。体重〜300gのCCI雄ラットを、治療群に無作為に分けるべきである。
【0075】
温熱性肢引っ込め潜時試験(PWL)(温熱性「侵害受容」試験)を、温熱性鎮痛器具を用いて第7、14及び21日に評価し、機械的接触性アロディニア(Von Freyフィラメント試験)を、第8、15及び22日に評価する。好ましくは、各試験を、ベースラインを含む投与コースの間にそれぞれ最大4回、評価する。
【0076】
慢性狭窄傷害(CCI)手術により誘導される慢性神経因性痛の評価
慢性狭窄傷害を、雄ラットに作出する。2%イソフルラン麻酔の下、動物の右総坐骨神経を露出し、そしてBennet及びXie(1988年)により記載されるものに類似する方法を用いて、三つの緩い結紮を設置することにより結紮する。したがって、総坐骨神経を、露出し、そして筋肉(大腿二頭筋)を鈍的切開により分離することによって、大腿中部の接着組織から離す。緩い結紮を、クロミックガット(4−0吸収性縫合糸)を用いて、1mm離して設置する。この時点で、Alzet(登録商標)浸透圧ポンプを、限局性送達群に割り付けられた動物に埋め込む。満たしたポンプリザーバーを動物の背部皮下に埋め込み、ポンプのカテーテルチップを傷害部位に直接的に設置する。TNF阻害剤で満たしたポンプリザーバーを交換するために、第二の手術を第10日に行う。
【0077】
行動試験:機械的接触性アロディニア:Von Freyフィラメント試験
接触性アロディニアを、(Chaplanら、J. Neurosci Methods 53:55-63、1994年)に記載のようなCCI結紮部位にて行う。簡潔には、動物を、底が金網の透明プラスティックチャンバーに入れる。各動物を、試験前に15分間、馴化させる。Von Freyフィラメント(Stoelting社、Wood Dale、イリノイ州)を用いて、Dixon(Dixon, Annu. Rev. Pharmacol. Toxicol 20:441-462、1980年)の上下法の使用により、足引っ込めの機械的閾値(すなわち、CCI部位)を測定する。フィラメントを、座屈加重2.0gのものにより開始し、そして座屈加重15gのものまで進め、右後肢足底表面に、フィラメントを曲げさせる圧によって順々に適用する。肢上げ/引っ込め応答が8秒後にないと、次のより高重量のフィラメントの使用が促される。最初の足引っ込め応答の後に、次のより大きなフィラメントを試験し、そして応答を書き留める。四つのさらなる測定を、先の測定結果に応じて、より大きいかまたは小さいフィラメントを用いて行う。最終的な五つの測定を用いて、足引っ込め応答スコアを決定する。
【0078】
温熱性肢引っ込め潜時(PWL):温熱性痛覚過敏試験
温熱性肢引っ込め潜時(PWL)を、足底鎮痛器具(Stoelting Co、Wood Dale、米国)を用いた温熱性「侵害受容」刺激応答(痛覚過敏)によって、測定する。動物を、足底試験装置の透明プラスチックチャンバーに載せ、そして試験前におよそ15分間(動物が安静となるまで)馴化させる。放射熱光刺激を、各動物のCCI後肢(右側)に適用する。放射熱源は、熱源の自動制御タイマーを有しており、そして、肢引っ込めによって熱源とタイマーの双方が停止する。熱源装置を、好ましくは強度3に設定することにし、そして20秒の最大カットオフを、組織損傷を防ぐために設定すべきである。
【0079】
(実施例2)
慢性狭窄傷害(CCI)ラットモデルにおける、TNF−α機能のタンパク質に基づく阻害剤の比較及び順位付け:全身送達と局所送達の比較
化合物の全身用量を、手術日に開始して、その後、化合物の半減期により決定されるように定期的に、皮下注射により投与する。化合物の反復注射は、元の用量レベルにて供するべきである。化合物の局所投与は、埋め込み型浸透圧ポンプによる一定の局所注入により成し遂げることが可能である。
【0080】
行動試験:Von Freyフィラメント試験(第7、14及び21日)、温熱性痛覚過敏試験(第8、16及び22日)
推奨される実験動物及び対照動物の使用数:
【0081】
【表2】

【0082】
血液を、第14日及び試験終了時に採取する(そして、後眼窩神経叢から取ることが可能である)。血液をEDTAチューブに回収し、そして−20℃にて保管する。全動物から得た試料を、臨床病理判定のために回収する。
【0083】
比較試験終了時(第22日)に、坐骨神経組織を、実験群及び陽性対照群それぞれの全動物から回収する。動物を、好ましくはペントバルビタールの過剰摂取により屠殺し、そしてOCT化合物に包理する十分な量の坐骨神経を直ちに取り出し、そして病理染色/スコア付けのために−70℃でフリーザーに保管すべきである。
【0084】
標的化合物を全身投与量と同等、または好ましくはその10−1〜10−3倍の投与量で送達する場合の、痛みの阻害を示すこれらの化合物のスコアが、全身送達に用いられる公知の化合物のスコアと同等であるか、またはそれよりも良いならば、標的化合物は、本発明の方法における限局性送達に有効である。
【0085】
(実施例3)
PLGA 50:50/rhBMP−2微小球体の処方物化
塩化メチレン(アルドリッチMO 02249E0、D=1.325)を、溶媒として用いた。PLGA 50/50を、シグマ社から得た(Lactel BP-OlOO、ロット56H1176)。組換えヒト骨形成タンパク質(rhBMP)(7.31mg/バイアル)を、先に記載され、かつ当業者に公知のプロトコールにしたがって、実験室内で作製した。rhBMP 1バイアルの含量を1mlの滅菌水(好ましくはフィルター滅菌)に溶解した。PLGA(513.4mg)を、8mlの塩化メチレンに溶解した。
【0086】
rhBMPを、まず滅菌水に溶解し、次いで、BMP水溶液をPLGA高分子溶液中に乳化させた。簡潔には、0.5mlのBMP溶液と4mlのPLGA/MeClとを合わせ、そしてホモジナイザー(中位に設定)を用いて45秒間乳化させた。乳化混合物を、18ゲージ針を有するシリンジに移した。60mlの3%PVAを、150mlガラスビーカーに加えた。3%PVA溶液を、設定3のホモジナイザーを用いて攪拌し、そして乳化高分子/BMP溶液を、18ゲージ針を用いて1滴ずつ加えた。すべての高分子/タンパク質を加えた後、攪拌を、同じスピードでさらに3〜4分間続けた。次いで、攪拌した溶液を、250〜300mlの滅菌水を含有するビーカーに流し入れ、そしてこの溶液を、磁気撹拌子を用いて、中等度の速度(一般に、5〜6)に設定して2〜3時間攪拌した。次いで、溶液を、0.22ミクロンのフィルターで真空ろ過した。2mlの滅菌水を加え、そして球体を水中で攪拌した。水中の球体を滅菌ポリプロピレン試験チューブに移し、次いで、一晩凍結乾燥する前に、−15℃にて少なくとも3時間凍結させた。
【0087】
凍結乾燥BMPを用いた、PLGA 50:50/rhBMP−2微小球体の処方物化
塩化メチレン(アルドリッチMO 02249E0、D=1325)を、溶媒として用いた。PLGA 50/50を、シグマ社から得た(Lactel BP-OlOO、ロット56H1176)。組換えヒト骨形成タンパク質(rhBMP)(7.6mg/バイアル)を、先に記載され、かつ当業者に公知のプロトコールにしたがって、実験室内で作製した。簡潔には、30.131mgの凍結乾燥BMP−2粉末を、4mlのPLGA/MeClに加え、そして中位またはまたは中域に設定したホモジナイザーを用いて45秒間乳化させた。乳化混合物を、18ゲージ針を取り付けたシリンジに移した。60mlの3%PVAを、150mlガラスビーカーに流し入れた。このPVA溶液をホモジナイザー(設定3)により攪拌し、そして、乳化高分子/BMP溶液を、シリンジ及び18ゲージ針を用いて1滴ずつ加えた。すべての高分子/タンパク質を加えた後、攪拌を、同じスピードでさらに3〜4分間続けた。溶液を、250〜300mlの滅菌水を含有するビーカーに流し入れ、そして、磁気撹拌子(中等度に設定)を用いて2〜3時間攪拌し続けた。次いで、全溶液を、0.22ミクロンのフィルターで真空ろ過した。捕捉された微小球体を、各すすぎにつき4〜5mlの滅菌水で3回、すすいだ。水を、0.22ミクロンのフィルターで真空ろ過することによって除去し、そして、およそ2mlの滅菌水を微小球体に加えた。微小球体を水中で撹拌し、次いで、滅菌ポリプロピレン試験チューブに移した。微小球体溶液を、一晩凍結乾燥する前に、−15℃にて少なくとも3時間凍結させた。
【0088】
(実施例4:PLGA−エンブレル(登録商標)微小球体の調製)
記載される手順を用いて、微小球体を調製した。以下に詳述する手順を用いて、タンパク質(本実施例ではエタネルセプトを用いるが、しかしながら他のタンパク質も適切である)を10%分含有するPLGA微小球体を作製する。カプセル化効率に応じて、実際の蛋白質量は変わるであろう。
【0089】
材料には、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド);50/50 ラクチド/グリコリド、酢酸エチル(試薬グレード);ポリビニルアルコール(分子量40〜70k);塩化ナトリウム(試薬グレード);エンブレル(登録商標)−エタネルセプト(ロットD040637);5ccポリプロピレンシリンジ(シリコ−ン非含有);及び、滅菌水が含まれる。
【0090】
手順
出願人は、滅菌水を用いて、1Lの1%(w/v)ポリビニルアルコール(PVA)、0.9%(w/v)NaCl溶液を調製する。10mgのPVA及び0.9gのNaClを計量し、そして1Lガラスビーカーに移し、次いで1Lの滅菌水を加え、次いで溶液を滅菌ろ過した。
【0091】
次いで、出願人は、酢酸エチルに溶解した6.5%(w/w)のPLGA溶液を調製した。エンブレル(登録商標)処方物を含有するバイアルを開け、そして凍結乾燥ケークを0.3mlの滅菌水で再構成した。出願人は、3.6mLのPLGA/酢酸エチル溶液を8mLバイアル中に移し、次いで、再構成したエンブレル(登録商標)の全容量(0.3mL)を、PLGA/酢酸エチル(1:12、水溶性:有機性)を含有するバイアルに移した。出願人は、この水溶性/有機性混合物を、手持ち式ホモジナイザーを用いて45秒間乳化させ、次いで、5ccシリンジに18ゲージ針を取り付け、そしてホモジナイズされた乳剤をシリンジに採取した。出願人は、8mLの1%PVA溶液をビーカーに移し、次いで、シリンジの内容物をPVA溶液に1滴ずつ、着実に加えた。出願人は、シリンジの全内容物をPVA溶液中に排出した後、40秒間ホモジナイズし続けた。8mLの1%PVA;0.9%NaCl溶液をホモジナイズされた混合物にさらに加え、そして40秒間混合し続けた。混合物を、100mLの1%PVA;0.9%NaCl溶液を含有するビーカーにデカントし、そして中位に設定した磁気攪拌プレート上で4分間攪拌した。使い捨てのピペットを用いて、得られた懸濁液10mLを二つの15mLポリプロピレン遠心チューブのそれぞれに移し、そのそれぞれを5分間遠心分離した。ピペットを用いて、上清をチューブから除去し、次いで、ビーカーから得た懸濁微小球体をさらに多く加え、そして再び遠心分離した。これを、ビーカー中の全容量を遠心分離するまで繰り返した。その後、遠心分離された微小球体を5mLの滅菌水(3X)中で洗浄し、そして全洗浄溶液をプールした。その後、これらを再懸濁し、そして、二つのチューブから得た微小球体を合わせた。最後に、チューブを凍結し、そして微小球体を凍結乾燥させた。
【0092】
(実施例5:エンブレル(登録商標)処方物のin vitro溶出)
以下の方法を用いて、エンブレル(登録商標)処方物のin vitro放出プロファイルを確立した。
【0093】
材料(ロッドまたは微小球体)の正確な量を、分析天秤上で計量した。出願人は、該材料を4mLガラスバイアルに移し、そして、生理学的pH(7.4)の適切なバッファー2mL中に該材料を懸濁させた。バイアルにキャップをし、そして37℃のオービタルインキュベーターに入れた。選択した時点に、バッファーを新鮮バッファーと交換した。微小球体を含有する試料に関しては、チューブをまず遠心分離して、固体をチューブの底部に引き下ろし、次いでバッファーを除去し、そして等容量の新鮮バッファーと交換した。バイアルにキャップをし、ラベルを付け、そして分析を行うまで4℃にて保管した。(ロッドを含有する試料は、バッファーを交換する前に遠心分離しなかった。)交換したバッファーの分析を、HPLC及びSDS−PAGEにより行った。図3は、溶出結果を示すグラフである。
【0094】
(実施例6:PLGA−エンブレル(登録商標)ミリシリンダーの調製)
材料には、ポリ(DL−ラクチド−co−グリコリド);50/50 ラクチド/グリコリド;アセトン(試薬グレード);エンブレル(登録商標)−エタネルセプト(ロットD040637);3ccLuer-Lok式シリンジ(シリコ−ン非含有);18ゲージのステンレス製ブラントチップのディスペンサー;シリコンチューブ(内径0.045、壁0.003);及び、バインダークリップが含まれる。
【0095】
以下に詳述する手順を用いて、5%(w/w)分のエタネルセプトを含有する固形の重合(PLGA)ロッドを作製する。合計の処方物量(賦形剤を含む)は、およそ15%である。
【0096】
出願人は、アセトンに溶解した40%(w/w)PLGAストック溶液を、2gのPLGAを小バイアルに移し、そして総重量5gまでアセトンを加えることによって、作製した。次に、高分子が完全に溶解するまで、混合物をオービタルシェイカー上に置いた。シリコンチューブを、およそ4インチの長さのいくつかのセグメントにカットした。緩い結び目を、各セグメントの一方の端に結んだ。18ゲージの分注チップを、各セグメントのもう一方の端に取り付け、チューブが分注チップの端から少なくとも5mmスライドすることを確認した。エンブレル(登録商標)処方物を含有するバイアルを開け、そして、小さな乾燥スパチュラを用いて凍結乾燥ケークを砕き、バイアルの内容物が大きな塊のない高流動性粉末として存在することを確認した。3ccシリンジのチップを、高分子/アセトン溶液中に入れ、そしておよそ1.5ccの材料を、シリンジ外筒内に採取した。微粉末化したエンブレル(登録商標)を含有するバイアルを、分析天秤上に置き、そして風袋を差し引いた。出願人は、およそ1060mgのPLGA/アセトンを、シリンジからエンブレル(登録商標)粉末を含有するバイアルへと分注した。その後直ちに、粘性ペーストを、混合物が均一に見えるようになるまで小スパチュラで混合し、次いで、溶媒の蒸発を防ぐため、バイアルにキャップをした。次いで、出願人は、新たな3ccシリンジのプランジャーを引き、そして混合された処方物を、スパチュラを用いてバイアルからシリンジの後端へ移した。たいていの場合において、混合物の高粘度のため、完全な移行は可能でない。プランジャーを充填したシリンジに戻し、そして全空気をシリンジから除去するまで押し進めた。シリンジを、先に調製した分注チップの一つに取り付け、Luerの取り付けがシリンジと分注チップとの間で確実であることを、確認した。一方の手を分注チップ上にチューブを保つために用いて、処方物をシリンジからチューブ内に押し込んだ。処方物が、反対端の緩く結んだ結び目に到達したとき、結び目は確実にしっかりと締められていなければならない。出願人は、チューブ内の分注チップの近傍に隆起が現れるまで、処方物を押し込み続けた。チューブを分注チップから引き抜き、チューブの隆起部分がなお存在することを確認した。一方の手でチューブの端を握りながら、もう一方の手で、バインダークリップをチューブの端に固定した。チューブの隆起区域を、本手順の間中、維持すべきであり、これは、チューブ内に十分な圧を保ち、チューブの崩壊を防ぐために必要なためである。上記工程を、全処方物がシリンジからシリコンチューブの区域へ分配されるまで、繰り返す。チューブの区域を、室温にて24時間放置し、室温にてさらに24時間、真空下で乾燥させた。真空乾燥後に、シリコンチューブを、メスを用いて各ロッドに沿ってそっと縦にスライスすることによって、硬化したロッドから取り除いた。チューブを、ピンセットを用いてロッドから剥がした。出願人は、各ロッドの重量を記録し、そしてそれを室温にてさらに24時間、真空下に置いた。ロッドの重量を再び測定し、すべての溶媒が除去されていることを確認した。ロッドを、堅く密封したバイアルに入れ、そして1枚のパラフィルムをキャップの周りに巻いた。ロッドを、必要となるまで4℃にて保管する。図4は、溶出結果のグラフである。
【0097】
(実施例7:TNF阻害剤のインプラント)
出願人は、選択した炎症性サイトカイン阻害剤を用いて、坐骨神経狭窄傷害(CCI)ラットモデル試験を行い、サイトカイン阻害剤を比較した。CCIラットモデルで、局所効果と全身効果の比較を確立するための試験を行う(3化合物)。手術を、全身注射と埋め込み型ポンプによる局所送達とを比較する、6週間試験により追跡する4週間投与試験のために行った。図5及び図6は、痛覚過敏を測定する肢引っ込め潜時試験(図5)、ならびに接触性アロディニアを測定するVon Frey試験(図6)の結果をグラフに表したものである。
【0098】
このCCIラットモデル比較試験では、三つの緩い結紮を、右総坐骨神経周囲に設置した。第7、14及び21日に、von Vreyフィラメント試験を行った。第8、15及び22日に、温熱性肢引っ込め潜時試験を行った(第8、15、22日)。第22日に、被験動物を屠殺した。以下は、用いた化合物、投与経路、投与頻度、用量及び関連する任意のコメントを開示した表である。
【0099】
【表3】

【0100】
(実施例8)
選択したタンパク質に基づくTNF−α阻害剤の局所送達、及び坐骨神経狭窄傷害へのIL−1βの機能の評価:慢性神経因性痛モデル
本実施例では、出願人は、坐骨神経狭窄傷害により誘導される機械的傷害に対する二つの化合物の低用量、局所適用の有効性を、確立する。坐骨神経慢性狭窄傷害(CCI)のラットを、これらの試験において用いる。本実施例において、出願人は、先のデータに基づいて、その群を反復するために低いIP用量を選択した。Alzetポンプによる用量1は、IP用量と同等であり;用量2は、10倍減少させたものである。
【0101】
【表4】

【0102】
行動試験を行う:行動試験は、第7、14及び21日のvon Freyフィラメント試験(機械的接触性アロディニア)、ならびに、第8、15及び22日の温熱性肢引っ込め試験(温熱性鎮痛器具を用いた、温熱性侵害受容試験)である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1a】図1aは、医薬組成物2を、炎症部位(番号4として表示)の近傍のin situ位置に、カテーテル3を介してin vivoで投薬するための体内ポンプ1を含んでなる、本発明の一実施態様の図解である。
【図1b】図1bは、医薬組成物2を、炎症部位4自体の中に、カテーテル3を介してin vivoで投薬するための体内ポンプ1を含んでなる、本発明の別の実施態様の図解である。
【図2a】図2aは、炎症部位4の中に設置された、医薬組成物6を含有するインプラント5を含んでなる、本発明の別の実施態様の図解である。
【図2b】図2bは、炎症部位4の近傍のin situ位置に設置された、医薬組成物6を含有するインプラント5を含んでなる、本発明の別の実施態様の図解である。
【図3】図3は、PGLA微小球体からのエタネルセプト(エンブレル(登録商標)の経時的(日数)な累積溶出を、グラフに示したものである。
【図4】図4は、PGLAミリシリンダー(三つの異なるロッド)からのエタネルセプト(エンブレル(登録商標))の経時的(日数)な累積溶出を、グラフに示したものである。
【図5】図5は、実施例に記載のように痛覚過敏を測定する、肢引っ込め潜時試験によるデータを表した棒グラフである。
【図6】図6は、実施例に記載のように機械的接触性アロディニアを測定する、Von Frey試験によるデータを表した棒グラフである。
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
痛みを低減するための方法であって、治療を必要とする対象の標的部位に、1または2以上の生物学的応答調節物質を含んでなる有効量の医薬組成物を投与することを含み、1または2以上の生物学的応答調節物質が制御投与システムによって投与される、上記方法。
【請求項2】
投与が限局性かつ持続性である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも約1日間〜約3ヶ月間にわたって投与を行う、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
投与が連続的である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
投与が定期的である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
医薬組成物が、標的とする放出速度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
標的とする放出速度が、約24時間〜約31日間である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
標的とする放出速度が、少なくとも約1日間〜約3ヶ月間である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
制御投与システムが、対象の標的部位またはその近傍に埋め込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
標的部位が、炎症を起こした神経である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
標的部位が、脊髄部位である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
脊髄部位が、脊椎椎間板または椎間板腔である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
制御投与システムがデポーである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
制御投与システムがインフュージョンポンプである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
制御投与システムが浸透圧ポンプである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
制御投与システムが体内ポンプである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
デポーが前記体内ポンプ内に含有される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記制御投与システムが、標的部位またはその近傍へのカテーテル挿入により局所的に投与されるシステムを含んでなり、カテーテルが近位端及び遠位端を有し、近位端は医薬品をin situで送達するための開口部を有し、遠位端は医薬送達ポンプに流体的に連通している、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
カテーテルの近位端が、標的部位の約10cm以内に生物学的応答調節物質を送達する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
カテーテルの近位端が、標的部位の約5cm以内に生物学的応答調節物質を送達する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
生物学的応答調節物質が、TNF−αにより媒介される炎症を阻害する、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
生物学的応答調節物質がTNF−α受容体阻害剤である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
生物学的応答調節物質が、可溶性腫瘍壊死因子α受容体、ペグ化した可溶性腫瘍壊死因子α受容体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体フラグメント、COX−2阻害剤、メタロプロテアーゼ阻害剤、グルタミン酸アンタゴニスト、グリア細胞由来神経栄養因子、B受容体アンタゴニスト、サブスタンスP受容体(NK1)アンタゴニスト、ダウンストリーム調節要素拮抗モジュレータ(Downstream regulatory element antagonistic modulator:DREAM)、iNOS、テトロドトキシン(TTX)抵抗性Naチャネル受容体サブタイプPN3及びSNS2の阻害剤、インターロイキンの阻害剤、TNF結合タンパク質、ドミナントネガティブのTNFバリアント、ナノバディーズ(Nanobodies、商標)、キナーゼ阻害剤、ならびにその組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
生物学的応答調節物質が、アダリムマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト、ペグスネルセプト(Pegsunercept、PEG sTNF-R1)、オネルセプト(Onercept)、キネレット(登録商標)、sTNF-R1、CDP-870、CDP-571、CNI-1493、RDP58、ISIS 104838、1→3-β-D-グルカン、レネルセプト(Lenercept)、PEG-sTNFRII Fcムテイン、D2E7、アフェリモマブ(Afelimomab)、AMG 108、6−メトキシ−2−ナフチル酢酸またはベタメタゾン、カプサイシン、シバニド(civanide)、TNFRc、ISIS2302及びGI 129471、インテグリンアンタゴニスト、α4β7インテグリンアンタゴニスト、細胞接着阻害剤、インターフェロンγアンタゴニスト、CTLA4-Igアゴニスト/アンタゴニスト(BMS-188667)、CD40リガンドアンタゴニスト、ヒト化抗IL−6 mAb(MRA、トシリズマブ、中外)、HMGB-1 mAb(Critical Therapeutics社)、抗IL2R抗体(ダクリズマブ、バシリシマブ(basilicimab))、ABX(抗IL−8抗体)、組換えヒトIL−10、HuMax IL−15(抗IL15抗体)、ならびにその組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
生物学的応答調節物質が、骨誘導因子と併せて投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
骨誘導因子が、骨形成タンパク質、LIM石灰化タンパク質またはその組み合わせを含んでなる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
1または2以上の生体高分子と少なくとも一つの生物学的応答調節物質とを含んでなる医薬組成物を含んでなる、インプラント。
【請求項28】
生体高分子が、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PG)、ポリ(α−ヒドロキシ酸)のポリエチレングリコール(PEG)抱合体、ポリオルトエステル、ポリアスピリン、ポリホスファゲン、コラーゲン、スターチ、キトサン、ゼラチン、アルギナート、デキストラン、ビニルピロリドン、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA−g−PLGA、PEGT−PBT共重合体(ポリアクティブ)、メタクリレート、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、PEO−PPO−PEO(プルロニック(pluronics))、PEO−PPO−PAA共重合体、PLGA−PEO−PLGA、ポリホスホエステル、ポリ無水物、ポリエステル−無水物、ポリアミノ酸、ポリウレタン−エステル、ポリホスファジン、ポリカプロラクトン、ポリトリメチレンカーボネート、ポリジオキサノン、ポリアミド−エステル、ポリケタル、ポリアセタル、グリコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸エステル、ポリエチレン−ビニルアセテート、シリコ−ン、ポリウレタン、ポリプロピレンフマレート、ポリデスアミノチロシンカーボネート、ポリデスアミノチロシンアリール酸塩、ポリデスアミノチロシンエステルカーボネート、ポリデスアミノチロシンエステルアリール酸塩、ポリエチレンオキシド、ポリオルトカーボネート、ポリカーボネート、またはその共重合体もしくは物理的混和物、あるいはその組み合わせからなる群より選択される、請求項27に記載のインプラント。
【請求項29】
生物学的応答調節物質が、可溶性腫瘍壊死因子α受容体、ペグ化した可溶性腫瘍壊死因子α受容体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体フラグメント、及びその組み合わせからなる群より選択される、請求項27に記載のインプラント。
【請求項30】
生物学的応答調節物質が、アダリムマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト、ペグスネルセプト(Pegsunercept、PEG sTNF-R1)、sTNF-R1、CDP-870、CDP-571、CNI-1493、RDP58、ISIS 104838、1→3-β-D-グルカン、レミケード、レネルセプト(Lenercept)、PEG-sTNFRII Fcムテイン、D2E7、アフェリモマブ(Afelimomab)、及びその組み合わせからなる群より選択される、請求項27に記載のインプラント。
【請求項31】
1または2以上の生物学的応答調節物質が、持続放出型医薬組成物内に組み込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
2または3以上の生物学的応答調節物質が、持続放出型医薬組成物内に組み込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
2または3以上の生物学的応答調節物質が、別々の生体適合性高分子内に別々に組み込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
骨溶解及び/または骨再吸収を治療するための方法であって、治療を必要とする対象の骨溶解部位に、1または2以上の生物学的応答調節物質を含んでなる有効量の医薬組成物を投与することを含んでなり、該医薬組成物の投与が限局性かつ持続性である、上記方法。
【請求項35】
1または2以上の生物学的応答調節物質を、少なくとも一つの骨誘導因子と併せて投与する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
骨誘導因子が、骨形成タンパク質、生物学的に活性な骨形成タンパク質のフラグメントまたはバリアント、LIM石灰化タンパク質、生物学的に活性なLIM石灰化タンパク質のフラグメントまたはバリアント、あるいはその組み合わせである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
骨腫瘍に伴う痛みを緩和するための方法であって、治療を必要とする対象の腫瘍部位に、1または2以上の生物学的応答調節物質を含んでなる有効量の組成物を投与することを含んでなり、該組成物の投与が限局性かつ持続性である、上記方法。
【請求項38】
1または2以上の生物学的応答調節物質を、少なくとも一つの骨誘導因子と併せて投与する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
骨誘導因子が、骨形成タンパク質、生物学的に活性な骨形成タンパク質のフラグメントまたはバリアント、LIM石灰化タンパク質、生物学的に活性なLIM石灰化タンパク質のフラグメントまたはバリアント、あるいはその組み合わせである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
哺乳動物対象において痛みを軽減する薬物療法を供するためのシステムであって、それを必要とする対象の標的部位に、少なくとも一つの生物学的応答調節物質の制御的かつ特異的な送達を供するための制御投与システムを含んでなり、標的部位における炎症を減少させる少なくとも一つの生物学的応答調節物質を含んでなる有効量の組成物を含む、上記システム。
【請求項41】
生物学的応答調節物質が、放出制御性医薬組成物をさらに含んでなる、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
制御投与システムがデポーである、請求項40に記載のシステム。
【請求項43】
2または3以上の生物学的応答調節物質をさらに含んでなる、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
制御投与システムが浸透圧ポンプである、請求項40に記載のシステム。
【請求項45】
制御投与システムが体内ポンプである、請求項40に記載のシステム。
【請求項46】
制御投与システムが、近位端及び遠位端を有するカテーテルを含んでなり、近位端は医薬品をin situで送達するための開口部を有し、遠位端は医薬ポンプに流体的に連通している、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
カテーテルの近位端が、標的部位から約1mm〜約10cm以内に生物学的応答調節物質を送達する、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
カテーテルの近位端が、標的部位から約1cm〜約5cm以内に生物学的応答調節物質を送達する、請求項46に記載のシステム。
【請求項49】
前記の少なくとも一つの生物学的応答調節物質が、TNF−αにより媒介される炎症を阻害する、請求項40に記載のシステム。
【請求項50】
前記の少なくとも一つの生物学的応答調節物質が、TNF−α受容体阻害剤である、請求項40に記載のシステム。
【請求項51】
前記の少なくとも一つの生物学的応答調節物質が、ペグ化した可溶性TNF−α受容体である、請求項40に記載のシステム。
【請求項52】
治療有効量の少なくとも一つの骨誘導因子をさらに含んでなる、請求項40に記載のシステム。
【請求項53】
骨誘導因子が、骨形成タンパク質、生物学的に活性な骨形成タンパク質のフラグメントまたはバリアント、LIM石灰化タンパク質、生物学的に活性なLIM石灰化タンパク質のフラグメントまたはバリアント、あるいはその組み合わせを含んでなる、請求項52に記載のシステム。
【請求項54】
デポーが、放出調節型医薬キャリアーを含んでなる、請求項42に記載のシステム。
【請求項55】
標的部位における炎症を減少させる1または2以上の生物学的応答調節物質を含んでなる組成物の、痛みを低減するための医薬品の製造のための使用であって、治療を必要とする対象の標的部位への有効量の該組成物の投与が限局性かつ制御的である、上記使用。
【請求項56】
1または2以上の生物学的応答調節物質を含んでなる組成物の、痛みを低減するための医薬品の製造のための使用であって、治療を必要とする対象の標的部位への該組成物の投与が限局性かつ制御的である、上記使用。
【請求項57】
標的部位における炎症を減少させる1または2以上の生物学的応答調節物質を含んでなる組成物の、痛みを緩和し、かつ骨溶解に伴う骨減少を制限するための制御投与システムの製造のための使用であって、治療を必要とする対象の骨溶解部位への該組成物の投与が限局性かつ制御的である、上記使用。
【請求項58】
標的部位における炎症を減少させる1または2以上の生物学的応答調節物質を含んでなる組成物の、骨腫瘍に伴う痛みを緩和するための医薬品の製造のための使用であって、治療を必要とする対象の腫瘍部位への該組成物の投与が限局性かつ制御的である、上記使用。
【請求項59】
さらに、医薬組成物が持続放出型医薬組成物である、請求項55に記載の使用。
【請求項60】
さらに、医薬組成物が持続放出型医薬組成物である、請求項56に記載の使用。
【請求項61】
さらに、医薬組成物が持続放出型医薬組成物である、請求項57に記載の使用。
【請求項62】
さらに、医薬組成物が持続放出型医薬組成物である、請求項58に記載の使用。
【請求項63】
生物学的応答調節物質(BRM)がCOX−2阻害剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項64】
生物学的応答調節物質(BRM)が、6−メトキシ−2−ナフチル酢酸またはベタメタゾンである、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
生物学的応答調節物質(BRM)がメタロプロテアーゼ阻害剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項66】
メタロプロテアーゼ阻害剤がTAPIである、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
生物学的応答調節物質(BRM)が、グルタミン酸アンタゴニスト、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、B受容体アンタゴニスト、サブスタンスP受容体(NK1)アンタゴニスト、ダウンストリーム調節要素拮抗モジュレータ(DREAM)、iNOS、テトロドトキシン(TTX)抵抗性Naチャネル受容体サブタイプPN3及びSNS2の阻害剤、インターロイキンの阻害剤からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項68】
サブスタンスP受容体(NK1)アンタゴニストが、カプサイシンまたはシバニド(civanide)である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
インターロイキンの阻害剤が、IL−1、IL−6、IL−8及びIL−10からなる群より選択される、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
生物学的応答調節物質(BRM)がTNF結合タンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項71】
TNF結合タンパク質がオネルセプト(Onercept)である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
生物学的応答調節物質(BRM)がインターロイキンの阻害剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項73】
インターロイキンが、IL−1、IL−6、IL−8またはIL−10である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
生物学的応答調節物質(BRM)がキナーゼ阻害剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項75】
キナーゼ阻害剤が、グリベック、ハーセプチン、イレッサ、イマチニブ(STI571)、ハービマイシンA、チロフォスチン47、アーブスタチン(erbstatin)、ゲニステイン、スタウロスポリン、PD98059、SB203580、CNI-1493、VX-50/702、SB203580、BIRB 796、グラクソP38 MAPキナーゼ阻害剤、RWJ67657、UO126、Gd、SCIO-469、RO3201195及びセミピモド(Semipimod)からなる群より選択される、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
生物学的応答調節物質(BRM)が、ISIS2302及びGI 129471である、請求項1に記載の方法。
【請求項77】
生物学的応答調節物質(BRM)が、インテグリンアンタゴニスト、α4β7インテグリンアンタゴニスト、細胞接着阻害剤、インターフェロンγアンタゴニスト、CTLA4-Igアゴニスト/アンタゴニスト(BMS-188667)、CD40リガンドアンタゴニスト、ヒト化抗IL−6 mAb(MRA、トシリズマブ、中外)、HMGB-1 mAb(Critical Therapeutics社)、抗IL2R抗体(ダクリズマブ、バシリシマブ(basilicimab))、ABX(抗IL−8抗体)、組換えヒトIL−10、HuMax IL−15(抗IL−15抗体)からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項78】
組織の壊死及び/または損傷を遅らせるための方法であって、治療を必要とする対象の標的部位に、1または2以上の生物学的応答調節物質を含んでなる有効量の医薬組成物を投与することを含んでなり、1または2以上の生物学的応答調節物質が制御投与システムにより投与される、上記方法。
【請求項79】
投与が、限局性かつ持続性である、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
制御投与システムが、対象の標的部位またはその近傍に埋め込まれている、請求項78に記載の方法。
【請求項81】
標的部位が炎症を起こした神経である、請求項78に記載の方法。
【請求項82】
標的部位が脊髄部位である、請求項78に記載の方法。
【請求項83】
脊髄部位が、脊椎椎間板または椎間板腔である、請求項78に記載の方法。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−511673(P2008−511673A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530375(P2007−530375)
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/031234
【国際公開番号】WO2006/028939
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【Fターム(参考)】