説明

抗真菌薬及び抗ウイルス薬を含む局所併用

関連の感染症及び/又は疾患の予防及び/又は治療に有用な、抗真菌薬及び抗ウイルス薬を含む医薬組成物、及びその製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗真菌薬及び抗ウイルス薬を含む医薬組成物、具体的には、関連の感染症及び/又は疾患の予防及び/又は治療用の医薬組成物、並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景及び先行技術)
性感染症(STI)は、ほとんどの場合、直接的な性的接触によって伝染する感染症を意味し、依然として一層深刻さを増す世界的な公衆衛生問題である。これらのSTI、特にウイルス感染症は、公衆衛生の危機を提示する。
女性はより感染しやすいため、特に危険である。多くのSTIは無症候性であり、未処置の感染症と関連して罹患率が高い。
【0003】
1981年のその認知以来、後天性免疫不全症候群(AIDS)は破滅的な世界的流行病となった。AIDSの世界的流行は、主要な公衆衛生懸案である。HIV/AIDS感染の危険が高い個人はまた、他の性感染性病原体による感染症の危険もある。同様に、非HIV/AIDSの性感染性病原体に対する危険がある個人もまた、HIV/AIDS感染の危険がある。
【0004】
加えて、AIDS禍人口の最も急速な増加は女性に含まれることに注意することが重要である。女性におけるHIV/AIDSの性的感染は、膣、直腸又は他の開口部に留置された感染精液によって生じる。現在のところ、HIV/AIDS予防に有用な唯一の予防方法は、コンドームを使用すること、又は性交を控えることである。
【0005】
STIに起因する臨床病理は深遠である。STIは、急性及び慢性の感染症、不妊症、並びに場合によっては癌を引き起こす。開発に費用及び時間がかかるワクチンは、HIV/AIDSなどの特定のSTI予防に対して有用ではない。HIV/AIDSには、ウイルス負荷を低下させるために、レトロウイルストリプル療法(triple therapy)(例えば、AZT、DDI等)などの治療計画が用いられる。しかし、高額な治療が、HIV/AIDSが最も蔓延している途上国の人々には、この治療法の選択肢を実際には利用できないものにする。事実、利用可能なSTI/AIDS治療法の全ては、限られた数の感受性病原体にのみ有効である。更に、この限られた治療上の兵器は、大部分が、罹患者が手に入れるのに費用のかかる専売の製剤に限られる。
【0006】
また、一般的な膣感染症もますます深刻な世界的公衆衛生問題となっており、HIV/AIDS及び他のSTIに罹患する危険が増大するおそれがある。腟カンジダ症は、最も一般的な形態の膣炎であり、白癬菌、クラミジア、淋病又は他の細菌感染症よりもより頻繁に起こる。女性の75%が生涯に少なくとも1回の外陰部腟カンジダ症の発症を経験し、40〜50%が、生涯に2回の発症を経験すると推定されている。非常に少数(おそらくは5%未満)ではあるが、いまだ相当数の女性が反復性、多くの場合、難治性の発症に苦しんでいる。カンジダ症は、HIV/AIDS罹患の危険性が増大することが知られている。以前は非特異性膣炎として知られていた細菌性膣炎(BV)又はガードネレラ菌性腟炎は、帯下の最も一般的な原因である。それは、全ての女性の膣炎の原因の最大50%、及び妊婦の10〜30%の原因となっている可能性がある。BVは性感染症ではないが、そのように記載されることがある。しかし、該疾患に罹患する危険性は、性交渉の相手が多くなるとともに増大する。これらの疾患には治療が有用であるが、それらの予防方法及び改善された治療方法が今なお必要とされている。
【0007】
現在、多くの場合、ノノキシノール-9を有効成分として含んでいる市販の膣用避妊組成物が、当該分野で一般に公知である。現在市販の膣用避妊製剤は妊娠を阻止することに役立つが、STI、特にHIV/AIDS、並びに口腔、直腸及び膣感染症を有効に予防するそれらの能力は、大きく制限されている。ノノキシノール-9及び他の界面活性剤、並びにそれらの組成物は、ラクトバチルス属細菌を失活させるなどによって、自然でかつ安全な膣の環境を破壊し得る。更に、殺精子薬は、特に頻繁な曝露又は大量の投与量によって、膣の刺激を引き起こす場合がある。最近の分析から、ノノキシノール-9は、危険性が高い女性によって頻繁に使用される場合に、HIV感染の危険を増加し得ることが示されている(WHO2002、WHO/CONRAD ノノキシノール-9の技術調査(technical consultation on nonoxynol-9)、ジュネーブ)。
【0008】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の患者を治療するために、多くの抗ウイルス薬が開発されている。しかし、抗レトロウイルス薬のいずれか又はそれらの組合せを用いて治療したHIV感染患者においては、一時的かつ限定的な利益のみが認められる。ウイルス負荷、急速な耐性発現、及び大部分の薬剤の中毒性副作用を低減させるこれら薬剤の限定的能力が、それらの長期有効性を制限している。患者への抗ウイルス薬投与に関連した1つの大きな問題は、感染細胞を透過し、標的とする能力が乏しいことである。急速な薬剤クリアランス、及び親化合物又は代謝物の毒性もまた、多くの抗ウイルス薬の開発及び使用を鈍化させ得る主要な欠点の一部である。AIDS及び他のウイルス性疾患を治療するのに実際に有用な抗ウイルス薬の重度の毒性及びそれらの感染細胞を標的とするのに限定的な能力を考慮すると、治療レベルの薬剤を感染細胞に届けること、及び毒性を低下させることを目的とした戦略を探索すべきである。
【0009】
US20050037033は、性感染症及び/又は一般的な膣感染症の伝染予防又は治療のためのシクロピロクスオラミンを含有する殺菌性組成物を開示している。
WO9602226は、シクロピロクス又はオクトピロクスなどの1-ヒドロキシ-2-ピリドンと、抗真菌薬活性促進剤としてクロタミトンとの組合せを含む医薬組成物を開示している。
【0010】
WO9717075は、卵形ピチロスポルムによって誘発された皮膚疾患を治療するためのシクロピロクス又はシクロピロクスオラミン及び界面活性剤の局所用発泡性医薬組成物を開示している。
US20050196418は、アルカリ性医薬と、ヒドロキシ酸、ポリヒドロキシ酸、関連の酸、ラクトン、又はそれらの組合せから選択された少なくとも1つのものとの間で形成された分子複合体を含む組成物を開示している。
【0011】
US20050276836は、医薬及び/又は健康促進剤を送達するための膣用器具を開示しており、前記膣用器具は、膣用タンポン、膣用タンポン様器具、膣リング及びその他である。
米国特許第4,108,309号;第4,360,013号;及び第4,589,880号は、組成物を膣に適用するのに適した器具を開示している。
米国特許第5,292,516号は、医療機器によって投与されたポロキサマーを含む、原位置(in-situ)でのゲル形成の適用を用いる、状態の治療方法を開示している。
【0012】
しかし、組成物を膣に適用するそのような送達器具の使用は、内部の損傷、例えば:発疹又は出血を引き起こし得る。
酵素的分解に対して薬剤を保護でき、それらの薬物動態及び組織分布を改善でき、一方で膣の環境及び上皮の破壊を最小限に抑えた、多数の耐性菌に対抗する医薬及び/又は製剤を開発する必要性が残されている。
【0013】
(発明の目的)
本発明の目的は、新規医薬組成物、具体的には、耐性菌に対抗する、HIV/AIDS及び/又は一般的な膣感染症を含む性感染症の予防及び/又は治療のための新規医薬組成物を提供することである。
本発明の別の目的は、新規組成物、具体的には、HIV/AIDS及び/又は一般的な膣感染症を含む性感染症を予防及び/又は治療し、一方で製剤の安定性及び有効性を損なうことなく膣の環境及び上皮の破壊を最小限に抑えた新規組成物を提供することである。
【0014】
本発明の更に別の目的は、HIV/AIDS及び/又は関連の膣感染症を含む性感染症の治療用薬剤の局所用リポソーム製剤を提供することであり、これはHIV及び/又は関連の膣感染症を含む性感染症に罹患したヒトにおける抗ウイルス剤の有効性の増大及び毒性の低減をもたらす。
本発明の更に別の目的は、製造が容易な新規医薬組成物及び/又は医薬を提供することである。
【発明の概要】
【0015】
一態様により、1つ以上の抗真菌薬又はその医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形又はそれらの医薬として許容し得るプロドラッグ、及び1つ以上の抗ウイルス薬又はその医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形又はそれらの医薬として許容し得るプロドラッグ、及び1つ以上の医薬として許容し得る賦形剤を含む、局所投与用の新規医薬組成物を提供する。
【0016】
第2の態様により、シクロピロクス又はその医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形又はそれらの医薬として許容し得るプロドラッグ、及びテノホビル又はその医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形又はそれらの医薬として許容し得るプロドラッグ、及び1つ以上の医薬として許容し得る賦形剤を含む、局所投与用の新規医薬組成物を提供する。
【0017】
第3の態様により、リポソーム被包性テノホビル又はその医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形又はそれらの医薬として許容し得るプロドラッグを含む、局所投与用の新規医薬組成物を提供する。前記リポソームは、高度な細胞透過、HIVに対する良好なインビトロ抗ウイルス活性を可能とし、それは薬剤の薬物動態の著しい改善を提供する。
【0018】
第4の態様により、シクロピロクス又はその医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形又はそれらの医薬として許容し得るプロドラッグ;1つ以上の抗ウイルス薬又はその医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形又はそれらの医薬として許容し得るプロドラッグ、及び1つ以上の医薬として許容し得る賦形剤を含む、局所投与用の前記新規医薬組成物の製造方法を提供する。
【0019】
第5の態様により、リポソーム被包性テノホビル又はその医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形又はそれらの医薬として許容し得るプロドラッグを含む、局所投与用の前記新規医薬組成物の製造方法を提供する。
【0020】
更なる態様により、HIV/AIDS及び/又は関連の膣感染症を含む性感染症の予防及び/又は治療用の局所投与用新規医薬組成物を提供する。
【0021】
本明細書に記載及び請求したいずれの活性物質も、遊離した物質又はその医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形又はそれらの医薬として許容し得るプロドラッグの形態で提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(詳細な説明)
驚くべきことに、本発明者らは、適当な局所用製剤(例えば、ゲル組成物又はスプレー泡沫(spray foam))におけるリポソーム被包性テノホビルの組込みが、物理的かつ薬理学的障壁によって粘膜を介する感染性病原体の伝染及びその透過を防止し、それによって宿主細胞の感染を防止することを見出した。
【0023】
更に、シクロピロクス及び/又はテノホビルのような抗感染薬の組合せの局所適用が真菌感染症及び膣感染症において良好な透過をもたらし、それにより細胞膜を破壊して、真菌及び/又はウイルス又はそのキャリア細胞と上皮との接触を防止する若しくは制限するか、又は物理的かつ薬理学的障壁を形成することによって開口部へのその侵入を防止する若しくは制限し、こうして相当な期間にわたって感染症の再発を防止することが見出された。
【0024】
リポソームは、種々の薬剤を組込むことができる微視的な小胞であり、リポソームの主成分と天然の膜との類似のために、無毒性かつ生分解性の製剤が形成される。それは、高度な細胞透過、マクロファージリッチな組織の効率的な標的化、及び薬剤の薬物動態の著しい改善を可能にする。
【0025】
本発明のリポソームの局所用製剤は、感染細胞への活性薬剤の改善された送達を提供し、またそれらの投与に関する毒性作用を低減し、それはHIV/AIDS及び/又は関連の膣感染症を含む性感染症の治療に使用する薬剤の有効性及び安全性の改善をもたらす。
【0026】
粘膜又は皮膚に局所的に適用する場合、リポソームは通常、HIVを捕獲し取り込むことができる単球及びマクロファージによって、並びにランゲルハンス細胞によっても取り込まれる。その結果、粘膜を急速に拡散し循環に達する傾向のある遊離の薬剤と比べて、リポソーム内の、かつ局所用製剤(例えば、ゲル製剤又はスプレー泡沫)に組込まれた薬剤の使用は、感染細胞内並びにHIV感染に感受性の細胞内に活性薬剤を濃縮する。
局所的に適用する場合に、抗真菌薬(例えば、シクロピロクス)とリポソーム被包性テノホビルとを組合せることは、当業者には周知のことであり、上記と同様の利益を達成することができる。
【0027】
好ましい実施態様により、シクロピロクス及びテノホビル(又はリポソーム被包性テノホビル)を含む局所的組合せは、製剤の安定性を損なうことなく、膣感染症などのSTI及び/又はAIDSにおいて直面する日和見感染に対して優れた抗感染活性を示した。
【0028】
本発明により、新規の医薬組成物を膣、直腸又は他の開口部に適用することによって、HIV/AIDSなどの性感染症、並びに細菌性膣炎及び腟カンジダ症などの一般的な膣感染症からの保護を得ることができる。
【0029】
本発明により、医薬組成物は単独で、又は送達及び/又は避妊器具若しくは方法、例えば、機械的なバリア型器具などと組合せて使用することができる。本発明の医薬組成物は、泡沫、クリーム、洗浄液(wash)、ゲル、坐薬、オーバル(ovule)、ローション、軟膏、フィルム、発泡錠、タンポン、膣スプレー又はエアロゾルなどの基剤又は担体を含む様々な剤形で製剤することができる。
【0030】
本発明により、局所投与用の新規医薬組成物は、限定はされないが、抗真菌薬、抗マイコバクテリア薬、抗菌薬、抗ウイルス薬又はその医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形又はそれらの医薬として許容し得るプロドラッグのクラスから選択される1つ以上の抗感染薬を包含することができる。
【0031】
したがって、好ましい実施態様として、局所投与用の新規医薬組成物は、抗真菌薬(例えば、シクロピロクス)又はその医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形又はそれらの医薬として許容し得るプロドラッグ、及びテノホビル(又はリポソーム被包性テノホビル)又はその医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形又はそれらの医薬として許容し得るプロドラッグ、並びにHIV/AIDS及び関連のウイルス感染症を含むSTIの予防及び/又は治療用の1つ以上の医薬として許容し得る賦形剤を含むことができる。
【0032】
あるいは、局所投与用の新規医薬組成物は、限定はされないが、ケトコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、ラブコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾール(voricnazole)、カスポファンギン、ヒドロキシピリドン誘導体、例えばシクロピロクス、ミモシン、デフェリポン(deferipone)又はその医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形又はそれらの医薬として許容し得るプロドラッグのクラスから選択される1つ以上の抗真菌薬を、限定はされないが、テノホビル、アシクロビル、及びガンシクロビル又はその医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形又はそれらの医薬として許容し得るプロドラッグのクラスから選択される1つ以上の抗ウイルス薬、及び1つ以上の医薬として許容し得る賦形剤とともに含むことができる。
【0033】
好ましい実施態様として、局所投与用の医薬組成物は、リポソーム被包性テノホビルを1つ以上の医薬として許容し得る賦形剤とともに含むか、又はシクロピロクス[若しくはリポソーム被包性シクロピロクス]若しくはその医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形若しくはそれらの医薬として許容し得るプロドラッグと、テノホビル(若しくはリポソーム被包性テノホビル)若しくはその医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形若しくはそれらの医薬として許容し得るプロドラッグとの組合せ、及び1つ以上の医薬として許容し得る賦形剤を含むことができる。
【0034】
本発明により、該医薬製剤は膣及び直腸などの体腔に適用することができる。該製剤はまた、皮膚及び他の粘膜に適用し得ることが、当業者には容易に認められるであろう。好ましくは、前記新規の医薬製剤は、細菌、真菌及び/又はウイルスを不活性化し、周囲温度で安定であり、美容上許容し得る製剤との混合後も適合性および活性があり、外陰部、腟、子宮頸部、陰茎又は他の上皮に対して無毒性かつ非損傷性である。
【0035】
本発明の医薬組成物は、性感染症及び/又は一般の膣感染症の伝染を予防する又は治療する。性感染症は、限定はされないが、HIV/AIDS、ヘルペス(単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)又は単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)に起因する)、淋病、クラミジア、梅毒及びトリコモナス症を含む。一般的な膣感染症は、限定はされないが、細菌性膣炎(BV)及び腟カンジダ症を含む。本明細書中に記載のように、類似の組成物及びそのような組成物の適用方法は、性感染症及び/又は一般的な膣感染症の治療、及び性感染症及び/又は一般的な膣感染症の伝染の予防に使用できる。
【0036】
好ましくは、本発明は該製剤の局所的適用を含む。本発明の文脈において、局所的適用という用語は、体腔並びに皮膚への適用を含むことが理解されよう。したがって、好ましい実施態様において、該製剤は、膣、肛門、直腸又は口などの体腔に適用される。特に好ましい実施態様において、該組成物は膣に適用される。
好ましい実施態様において、局所的適用は、膣性交の開始の好ましくは0〜8時間、より好ましくは0〜60分間前に行われる。該組合せを含む組成物は、性交から独立して使用することができる。
【0037】
好ましい実施態様により、医薬として許容し得る賦形剤は、限定はされないが、1つ以上の界面活性剤、軟化剤若しくは湿潤剤、pH調整剤、脂肪アルコール、保存剤、脂質コア成分(例えば、リン脂質)、有機溶媒、ゲル化剤、キレート剤、フィルム形成ポリマー、抗酸化剤、噴射剤、又は該製剤の投与の様式/経路に基づいたそれらの組合せを含むことができる。
【0038】
界面活性剤は、限定はされないが、ポリオキシエチレンアルコール、アルキルフェノールエトキシラート、ポリソルベート80、ポリソルベート60、ポリメチルシロキサン、アルキルフェノールエトキシラート、ポロキソマー407、ソルビタンモノステアラート、ソルビタンモノラウラート、ソルビタンモノパルミタート、ソルビタンモノオレアート、ポリエチレングリコール(PEG)ステアリン酸エステル(例えば、ポリエチレングリコール100ステアラート)から選択することができる。
【0039】
適当な湿潤剤及び/又は軟化剤は、平滑性及び潤滑性を与え、それは製剤の導入及び調剤を促進する。軟化剤及び/又は湿潤剤は、限定はされないが、グリコールなどの多価アルコール及び多糖、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、マルビトール(malvitol)、トレハロース、ラフィノース、キシリトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリグリセリン、コレステロール、スクアリン(squaline)、脂肪酸、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、尿素、ラノリン、乳酸、例えばイソプロピルステアラート、イソプロピルミリスタート、イソプロピルパルミタート及びイソプロピルラウラートなどのエステルから選択することができる。
【0040】
pH調整剤は、限定はされないが、乳酸、水酸化ナトリウム、酢酸、クエン酸、酒石酸、プロピオン酸、リン酸ナトリウム、アンモニア溶液、トリエタノールアミン、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウムなどから選択することができる。
【0041】
脂肪アルコールは、限定はされないが、ステアリルアルコール、セチルアルコール、カプリルアルコール、ミリスチルアルコール、1-ドデカノール、パリトレイルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、イソステアリルアルコールなど、好ましくは、ステアリルアルコール及びセチルアルコールから選択することができる。
【0042】
保存剤は、限定はされないが、ベンジルアルコール、ヒドロキシ安息香酸(パラベン)、安息香酸、クロルフェネシン、ソルビン酸、フェノキシエタノールなどから選択することができる。
【0043】
脂質コア成分は、限定はされないが、天然リン脂質、例えば、卵黄レシチン(ホスファチジルコリン)、ダイズレシチン、リゾレシチン、スフィンゴミエリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ジホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、プラスマロゲン等、又は従来技術によって前記リン脂質から得ることができる水素化生成物(水素化ダイズホスファチジルコリン)、及び合成リン脂質、例えば、ジセチルホスファート、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、ジラウリルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルセリン、エレオステアロイルホスファチジルコリン、エレオステアロイルホスファチジルエタノールアミン、エレオステアロイルホスファチジルセリン、ジパルミトイルホスファチジル酸、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、それらの塩、並びに対応するジステアロイル-及びジミリスチル-対応物及び/又はそれらの混合物から選択することができる。
【0044】
これらの脂質又はそれらの混合物は、ジセチルホスファート、コレステロール、コプロスタノール、コレスタノール、コレスタン、エルゴステロール、フィトステロール、シトステロール、ラノステロール、該脂質を強化するタンパク質(例えば、アルブミン、免疫グロブリン、カゼイン、インスリン、ヘモグロビン、リゾチーム、免疫グロブリン、[アルファ]-2-マクログロブリン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、フィブリノーゲン、リパーゼ、又は酵素)、及びα-トコフェロール、ステアリン酸、抗酸化剤、BHT(ブチルヒドロキシトルエン)、アスコルビン酸、デフェロキシムメシラート(deferoxime mesylate)、ステアリルアミン及び/又はそれらの混合物のような他の添加物から選択される物質を更に含むことができる。
【0045】
あるいは、ゲル化剤、例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、カンテン、カラゲナン、ペクチン、ゼラチン、アルギン酸カルシウム、カルボマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び他のセルロース誘導体、カルボポール、ベントナイト(好ましくは、カルボマー)などを、限定はされないが、ゼラチン、カルボポール934、ポリカルボフィル、架橋ポリメタクリル酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、好ましくは、カルボポール及びエチルセルロースを含む生物接着剤(bioadhesive)と組合せて使用することができる。
キレート剤は、限定はされないが、エデト酸二ナトリウム、クエン酸ナトリウム、縮合リン酸ナトリウム、ジエチレントリアミン5酢酸などから選択することができる。
【0046】
フィルム形成ポリマーは、限定はされないが、アクリル酸ポリマーを含むカルボキシメチレンポリマー及びアクリル酸コポリマーなどのカルボマー、アクリル酸アルキルエステルモノマー、マレイン酸アルキルエステル、クロトン酸アルキルエステルモノマー、ビニルエステルモノマー、セルロース誘導体、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、好ましくは、カルボポール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマーから選択することができる。
【0047】
抗酸化剤は、限定はされないが、アスコルバート、BHT、BHA、メタ重亜硫酸ナトリウム、アルファ-トコフェロール又はその合成誘導体、EDTAなどから選択することができる。
噴霧剤は、例えば、ブタン、プロパン、イソブタン、及びフッ化炭素ガス、又はそれらの混合物などの揮発性炭化水素、フッ化炭化水素(HFC)噴霧剤、例えば、1,1,1,2-テトラフルオロエタン及び1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン、1,1-ジフルオロエタン、及び1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、好ましくは、HFC134a又はHFA227から選択することができる。
【0048】
本発明の第1の好ましい実施態様により、局所用医薬品ゲル製剤はシクロピロクス(又はリポソーム被包性シクロピロクス)又はその医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形又はそれらの医薬として許容し得るプロドラッグ、及びテノホビル(又はリポソーム被包性テノホビル)又はその医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形又はそれらの医薬として許容し得るプロドラッグ、及び1つ以上の医薬として許容し得る賦形剤、例えば、ゲル化剤、好ましくはカルボポール及び/又はセルロース誘導体;脂質コア、好ましくは卵レシチン又はダイズレシチン;有機溶媒、好ましくはエタノール;保存剤及びpH調整剤を含む。
【0049】
本発明の第2の好ましい実施態様により、スプレー泡沫形態の局所用医薬製剤は、シクロピロクス又はその医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形又はそれらの医薬として許容し得るプロドラッグ、及びテノホビル(又はリポソーム被包性テノホビル)又はその医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形又はそれらの医薬として許容し得るプロドラッグ、及び1つ以上の医薬として許容し得る賦形剤、例えば、脂肪アルコール、好ましくはセチルアルコール及びステアリルアルコール;湿潤剤、好ましくはグリセリン;界面活性剤、好ましくはポリエチレングリコール;軟化剤、例えば、プロピレングリコール、及び噴射剤、好ましくはヒドロフルオロカーボン[HFC-134]を含む。
【0050】
本発明の第3の好ましい実施態様により、局所用医薬ゲル製剤は、リポソーム被包性テノホビル又はその医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形又はそれらの医薬として許容し得るプロドラッグ、及び1つ以上の医薬として許容し得る賦形剤、及び1つ以上の医薬として許容し得る賦形剤、例えば、ゲル化剤、好ましくはカルボポール又はセルロース誘導体;脂質コア、好ましくは卵レシチン又はダイズレシチン;有機溶媒、好ましくはエタノール;保存剤及びpH調整剤を含む。
【0051】
本発明の第4の好ましい実施態様により、スプレー泡沫形態の局所用医薬製剤は、リポソーム被包性テノホビル又はその医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形又はそれらの医薬として許容し得るプロドラッグ、及びシクロピロクス[又はリポソーム被包性シクロピロクス]又はその医薬として許容し得る塩、医薬として許容し得る溶媒和物、医薬として許容し得る鏡像異性体、医薬として許容し得る誘導体、医薬として許容し得る多形又はそれらの医薬として許容し得るプロドラッグ、及び1つ以上の医薬として許容し得る賦形剤、及び1つ以上の医薬として許容し得る賦形剤、例えば、脂質コア、好ましくは卵レシチン又はダイズレシチン;フィルム形成ポリマー、好ましくはコリドン(Kollidon)VA64及びエタノールなどの有機溶媒を含む。
【0052】
本発明により、更に前記医薬組成物の製造プロセス/方法を提供する。
上記実施態様により、下記を含む前記局所用医薬リポソームゲルの製造方法を提供する:
(a) 抗ウイルス薬を適当な有機溶媒を用いて脂質コア成分に溶解させて溶液を得ること;
(b) 工程(a)溶液の溶液を水でホモジナイズすること;
(c) 抗真菌薬、フィルム形成ポリマー及び保存剤を水に導入し、続いてpHを調整してスラリーを形成すること;及び
(d) 該ホモジナイズした溶液を該スラリーとともに添加し、撹拌することによってリポソームゲルを形成すること。
【0053】
第2の実施態様により、下記を含む前記局所用医薬泡沫の製造方法を提供する:
a. 脂肪アルコール及び界面活性剤を適当な有機溶媒に溶解させて溶液を形成すること;
b. 該溶液に抗真菌薬、抗ウイルス薬、及び軟化剤/湿潤剤を添加すること;
c. アルミニウムキャニスタにエアロゾル泡沫を充填すること、及び噴射剤で加圧すること。
【0054】
第3の実施態様により、下記を含む前記局所用リポソームスプレーの製造方法を提供する:
(a) 有効成分を適当な有機溶媒中のダイズレシチン及びコリドンVA64とともに脂質成分に溶解させること;
(b) 上記溶液をアルミニウムキャニスタに充填すること、及び噴射剤で加圧すること。
【0055】
第4の実施態様により、有効成分及び脂質成分が他の賦形剤とともに適当な有機溶媒に溶解した、前記局所用リポソーム泡沫の製造方法を提供する。
意図する治療目的により、本発明の組成物は、ゲル;スプレー;泡沫;クリーム;洗浄液;ペッサリー;オーバル;ローション;軟膏;フィルム;発泡錠;タンポン;膣スプレー;液剤;入浴剤(bath);リニメント剤;パッチ;パッド;包帯を含む、製剤分野で一般的な医薬製剤に製剤することができる。
本発明により、上記剤形の形成に必要な適当な賦形剤を使用することができる。
【0056】
あるいは、軟膏製剤について、皮膚表面の温度、皮膚のpH、経皮的な水分損失レベル、及び表皮の総脂質レベルを含む様々な因子を考慮して、本組成物は、油性基剤と混合することができ、該油性基剤は、ワセリン、流動パラフィン、パラフィン、プラスチベース、シリコン、ラード、植物油、ワックス及び精製ラノリン、水溶性基剤、乳剤性基剤、懸濁性基剤などによって例示される。該軟膏剤には、抗酸化剤(例えば、トコフェロール(tocoperol)、BHA、BHT、NDGA等)、防腐剤(例えば、フェノール化合物、クロロブタノール、ベンジルアルコール、パラベン、安息香酸等)、湿潤剤(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール等)、溶解補助剤(例えば、エタノール、プロピレングリコール等)、軟化補助剤(例えば、流動パラフィン、グリセリン、プロピレングリコール、界面活性物質等)及び他の添加物が補充され得る。
【0057】
あるいは、スプレー製剤について、添加物を噴射剤と混合して水分散性濃縮物又は加湿粉末を分散することができる。パッチ製剤については、透過促進剤(permeation stimulator)を使用して皮膚を通過する化合物の透過を増大させる。
本発明の組成物のpHは、生理学的に適合し得る、及び/又は該組成物の安定性を十分に維持し得るものである。好ましい実施態様により、本発明の組成物は4.0〜6.0のpH範囲を有する。
【0058】
更に本発明は、治療上有効な量の適当な本発明の医薬組成物の組合せを、それを必要とする哺乳類に適用及び/又は使用することによる、HIV/AIDS及び/又は一般的な膣感染症を含む性感染症の予防及び/又は治療方法を提供する。
下記の実施例は、本発明の例示のみを目的とするものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0059】
(シクロピロクス及びテノホビル膣用リポソームゲル)
(配合)
【表1】

(方法)
(a) 抗ウイルス薬を適当な有機溶媒で脂質成分に溶解させ、ホモジナイズした;
(b) 抗真菌薬を適当な有機溶媒で脂質成分に溶解させ、ホモジナイズした;
(b) フィルム形成ポリマー及び保存剤のスラリーを水中で作製し、続いてpHを調整した;
(c) 最後に、工程[a]及び[b]のホモジナイズした溶液をスラリーとともに加え、撹拌することによってリポソームゲルを形成した。
【0060】
(シクロピロクス及びテノホビル膣用リポソームゲル)
(配合)
【表2】

(方法)
(c) 抗ウイルス薬を適当な有機溶媒で脂質成分に溶解させた。
(d) 次いで、上記溶液を水中でホモジナイズした。
(e) 抗真菌薬、フィルム形成ポリマー及び保存剤のスラリーを水中で作製し、続いてpHを調整した。
(f) 最後に、ホモジナイズした溶液をスラリーとともに加え、撹拌することによってリポソームゲルを形成した。
【0061】
(シクロピロクス及びテノホビル膣用泡沫)
【表3】

(方法)
(1) セチルアルコール、ステアリルアルコール及びポリエチレングリコール-100ステアラートをエタノールに溶解させた。
(2) 上記溶液にシクロピロクス及びテノホビルを添加した。
(3) 次いで、プロピレングリコール及びグリセリンを工程(2)で得られた溶液に添加し、混合した。
(4) 最後に、上記溶液をアルミニウムキャニスタに充填し、噴射剤で加圧した。
【0062】
(テノホビルリポソームゲル)
【表4】

(方法)
(1) テノホビルジソプロキシルフマラート及びレシチンをエタノールに溶解させた。
(2) 上記溶液をウルトラタラックス(ultraturrax)下で水に加え、20分間ホモジナイズした。
(3) 水中カルボポール又はメチルセルロースのスラリーを、溶解したメチル及びプロピルパラベンを含むように作製した。
(4) 必要に応じて、トリエタノールアミンでpHを調整した。
(5) ホモジナイズ配合物をカルボポール又はメチルセルローススラリーに添加した。最後に、それを30分間撹拌してリポソームゲルを形成した。
【0063】
(テノホビルリポソームスプレー)
【表5】

(方法)
(1) テノホビルジソプロキシルフマラート、N-ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマーをエタノールに溶解させた。
(2) シクロピロクスオラミン、N-ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマーをエタノールに溶解させた。
(3) 上記溶液を合わせて、アルミニウムキャニスタに充填し、噴射剤で加圧した。
【0064】
(テノホビルリポソームスプレー)
【表6】

(方法)
(1) テノホビルジソプロキシルフマラート、N-ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマーをエタノールに溶解させ、次いでシクロピロクスオラミンを加えた。
(3) 上記溶液をアルミニウムキャニスタに充填し、噴射剤で加圧した。
【0065】
本発明の精神を逸脱することなく、本明細書中に開示された発明に代替及び修正の変更がなされ得ることは、当業者には容易に明らかとなるであろう。したがって、本発明は好ましい実施態様及び任意の特徴によって具体的に開示されてはいるが、当業者によって開示された明細書中の概念の修正及び変化がなされる場合があり、そのような修正及び変更が本発明の範囲内にあると考えられることを理解すべきである。
【0066】
本明細書中で使用した用語及び専門用語は、説明を目的とするものであり、限定するものとみなされるべきではないことが理解されよう。「含む(including)」、「含む(comprising)」又は「有する」及び本明細書中のそれらの変形の使用は、その後に記載の項目及びそれらの等価物並びに追加的な項目を包含することを意図している。
本明細書及び添付の特許請求の範囲に使用されるように、単数形「a」「an」及び「該(the)」は、本文で明らかに別の指示がない限り複数形の意味を含むことには注意しなければならない。したがって、例えば、「希釈剤(a diluent)」の言及は、単一の希釈剤並びに2つ以上の異なった希釈剤を含み、「崩壊剤(disintegrant)」という言及は、単一の崩壊剤又は2つ以上の崩壊剤の組合せなどを意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗真菌薬及び抗ウイルス薬を、任意に1つ以上の医薬として許容し得る賦形剤と組合せて含む、医薬組成物。
【請求項2】
前記抗真菌薬が、ケトコナゾール;イトラコナゾール;フルコナゾール;ラブコナゾール;ポサコナゾール;ボリコナゾール;カスポファンギン;又はシクロピロクス、ミモシン若しくはデフェリポンなどのヒドロキシピリドン誘導体であり、かつ前記抗ウイルス薬が、テノホビル、アシクロビル及び/又はガンシクロビルである、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記好ましい抗真菌薬が、シクロピロクスであり、かつ前記好ましい抗ウイルス薬が、テノホビルである、請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項4】
ゲル;スプレー;泡沫;クリーム;洗浄液;ペッサリー;オーバル;ローション;軟膏;フィルム;発泡錠;タンポン;膣スプレー;液剤;入浴剤;リニメント剤;パッチ;パッド;包帯の形態である、請求項1〜3のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記組成物が、ゲル又はスプレーの形態である、請求項4記載の医薬組成物。
【請求項6】
リポソームを含み、前記抗ウイルス薬及び/又は前記抗真菌薬が、該リポソーム中に被包されている、請求項5記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記リポソームが、卵黄レシチン(ホスファチジルコリン)、ダイズレシチン、リゾレシチン、スフィンゴミエリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ジホスファチジルグリセロール、カルジオリピン、プラスマロゲンなどの天然リン脂質;水素化ダイズホスファチジルコリンなどの天然リン脂質から得ることができる水素化生成物;ジセチルホスファート、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、ジラウリルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルセリン、エレオステアロイルホスファチジルコリン、エレオステアロイルホスファチジルエタノールアミン、エレオステアロイルホスファチジルセリン、ジパルミトイルホスファチジル酸、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンなどの合成リン脂質;それらの塩及び/又は対応するジステアロイル-及びジミリスチル-対応物;並びに任意のそれらの組合せを含む、請求項6記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記リポソームが、ジセチルホスファート;コレステロール;コプロスタノール;コレスタノール;コレスタン;エルゴステロール;フィトステロール;シトステロール;ラノステロール;アルブミン、免疫グロブリン、カゼイン、インスリン、ヘモグロビン、リゾチーム、免疫グロブリン、[アルファ]-2-マクログロブリン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、フィブリノーゲン、リパーゼ、又は酵素などのタンパク質;α-トコフェロール;ステアリン酸;BHT(ブチルヒドロキシトルエン);アスコルビン酸;デフェロキシムメシラート;ステアリルアミン;及び任意のそれらの組合せを更に含む、請求項6記載の医薬組成物。
【請求項9】
ポリマーマトリックスを含み、前記抗真菌薬が、該ポリマーマトリックスに分散される、請求項5及び8記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記ポリマーマトリックスが、ゲル化剤を含む、請求項1〜9のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記ポリマーマトリックスが、フィルム形成ポリマーを含む、請求項1〜10のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項12】
4.0〜6.0の範囲のpHを有する、請求項1〜11のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項13】
リポソーム及びポリマーマトリックスを含み、テノホビルが該リポソームに被包されており、かつシクロピロクスが該ポリマーマトリックスに分散されているゲル製剤の形態である、請求項1〜12のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項14】
リポソーム及びポリマーマトリックスを含み、テノホビルが該リポソームに被包されており、かつシクロピロクスが該ポリマーマトリックスに分散されているスプレー製剤の形態である、請求項1〜13のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記テノホビル及び/又はシクロピロクスが、リポソームに被包されている、請求項9、14及び15記載の医薬組成物。
【請求項16】
任意に、ブタン、プロパン、イソブテンなどの揮発性炭化水素;又は1,1,1,2-テトラフルオロエタン及び1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン、1,1-ジフルオロエタン、及び1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、及びHFC134aなどのフッ化炭化水素(HFC)噴射剤、任意のそれらの組合せから選択された噴射剤を更に含む、請求項4記載の医薬組成物。
【請求項17】
局所用医薬ゲル組成物の製造方法であって:
(a) 抗ウイルス薬を適当な有機溶媒で脂質コア成分に溶解させて溶液を得ること;
(b) 工程(a)溶液の溶液を水とともにホモジナイズすること;
(c) 抗真菌薬、フィルム形成ポリマー及び保存剤を水に導入し、続いてpHを調整してスラリーを形成すること;及び
(d) 該ホモジナイズした溶液を該スラリーとともに加え、撹拌することによってゲルを形成すること;の工程を含む、前記製造方法。
【請求項18】
局所用医薬ゲル組成物の製造方法であって:
(a) 抗ウイルス薬を適当な有機溶媒で脂質コア成分に溶解させて溶液を得ること、及び更に該溶液を水とともにホモジナイズすること;
(b) 抗真菌薬を適当な有機溶媒で脂質コア成分に溶解させて溶液を得ること、及び更に該溶液を水とともにホモジナイズすること;
(c) フィルム形成ポリマー及び保存剤を水に導入し、続いてpHを調整してスラリーを形成すること;及び
(d) 該ホモジナイズした工程[a]及び[b]の溶液を該スラリーとともに加え、撹拌することによってゲルを形成すること;の工程を含む、前記製造方法。
【請求項19】
局所用医薬泡沫組成物の製造方法であって:
(a) 脂肪アルコール及び界面活性剤を適当な有機溶媒に溶解させて溶液を形成すること;
(b) 該溶液に抗真菌薬、抗ウイルス薬及び軟化剤/湿潤剤を添加すること;
(c) 溶液をキャニスタに充填すること、及び該キャニスタを噴射剤で加圧すること;の工程を含む、前記製造方法。
【請求項20】
局所用医薬スプレー組成物の製造方法であって:
(a) 抗ウイルス薬、ダイズレシチン、及びN-ビニルピロリドン-酢酸ビニルのコポリマーをエタノールに溶解させること、次いでシクロピロクスをそれに添加すること;
(b) 上記溶液をアルミニウムキャニスタに充填すること、及び噴射剤で加圧すること;の工程を含む、前記製造方法。
【請求項21】
局所用医薬スプレー組成物の製造方法であって:
(a) 抗ウイルス薬、ダイズレシチン、及びN-ビニルピロリドン-酢酸ビニルのコポリマーをエタノールに溶解させること;
(b) 真菌剤、ダイズレシチン、及びN-ビニルピロリドン-酢酸ビニルのコポリマーをエタノールに溶解すること;
(c) 上記工程[a]及び[b]の溶液をアルミニウムキャニスタに組合せて充填すること、及び噴射剤で加圧すること;の工程を含む、前記製造方法。

【公表番号】特表2011−518140(P2011−518140A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504526(P2011−504526)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際出願番号】PCT/GB2009/000975
【国際公開番号】WO2009/127825
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(501312451)シプラ・リミテッド (56)
【Fターム(参考)】