説明

抗菌性組成物及びその用途

【課題】広範な抗細菌及び真菌活性を有し、紫外線等による変色、着色を抑制した水溶性の抗菌性組成物を提供する。
【解決手段】酸化銀、銀塩、又は銀錯体(ただし、2H−ピラン−2−オン−4,6−ジカルボン酸及びその誘導体の銀塩及び銀錯体を含まない)のいずれか1種以上の化合物とクレアチニンとを配合してなる抗菌性組成物であって、前記化合物中の銀(A)とクレアチニン(B)とのモル比(B)/(A)が、2〜80である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌性組成物とその用途に関し、より詳細には、広範な抗細菌と抗真菌活性を有するとともに、紫外線照射による変色や着色を抑制可能な抗菌性組成物及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、銀イオンを利用した殺菌剤、抗菌剤、防腐剤等が開発され、生活用品に幅広く普及している。しかし、銀イオンを利用したものの中には、実際の効果が疑われるものや、水溶性が低いために所望の効果を得る濃度で使用できないものがある。そして、銀イオンは、一般に、紫外線により還元され、変質等が起こることが知られている。特に、銀イオンを配合した殺菌剤や抗菌剤を対象物に塗布して乾燥固形化すると、変色、着色、金属銀析出等により対象物が汚染されることが少なくない。
【0003】
高い抗菌活性を維持し、かつ毒性、皮膚剌激性及び粘膜剌激性を低くした殺菌・抗菌剤成分として、銀とイミダゾール類との錯体が知られている(特許文献1〜4)。これらの錯体には、水に難溶で光安定性が低いという問題点がある。
【0004】
銀とピロリドンカルボン酸、ヒスチジン等との錯体が、水溶性かつ安定であることが見出された(特許文献5〜8、並びに非特許文献1)。これらの錯体も、水に溶かした状態で長期間安定に存在できずに、金属銀の析出や、激しい変色を引き起こす。銀錯体そのものの変色が添加対象物の変色も引き起こし、適用可能な対象が限定されていた。
【0005】
無機担持型の銀系抗菌剤と、プリン、ピリミジン塩基類、チアベンダゾール等とを含む組成物(特許文献9及び10)が提案された。これらの組成物は、水溶性に乏しく、銀イオンを有効に使用することが困難であった。
【0006】
5,5−二置換型ヒダントイン、バルビツール酸等を配位子とする銀錯体(特許文献11)も考案された。銀イオンを水溶液として利用するためには、配位子を銀に対して1モル当量追加し、さらに高塩基性に調整する必要がある。それでも、十分な変色抑制効果は得られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO95/007913
【特許文献2】特開平11−077912
【特許文献3】特開2005−145923
【特許文献4】特開2009−001636
【特許文献5】特開2000−256365
【特許文献6】特開2000−016905
【特許文献7】特開2001−335405
【特許文献8】特開2008−285543
【特許文献9】特開2003−176220
【特許文献10】特開2003−192918
【特許文献11】WO2002/026039
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Molecular design and synthesis of water−soluble silver(I) complexes exhibiting a wide spectrum of effective antimicrobial activities. Kenji N., Isao A., Noriko C. K., Takako K. 2008, Current Topics in Biochemical Research., 10, 1, p1−11.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、広範な抗細菌と抗真菌活性を有するとともに、紫外線等による変色や着色を抑制する耐光性に優れた抗菌性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、酸化銀、銀塩、又は銀錯体のいずれか1種以上の化合物にクレアチニンを一定割合で配合することにより、水溶性が良好で、広範な抗細菌抗真菌スペクトルを有し、紫外線等による変色、着色や析出物の発生を抑制する抗菌性組成物を見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、酸化銀、銀塩、又は銀錯体(ただし、2H−ピラン−2−オン−4,6−ジカルボン酸及びその誘導体の銀塩及び銀錯体を含まない)のいずれか1種以上の化合物とクレアチニンとを配合してなる抗菌性組成物であって、前記化合物中の銀(A)とクレアチニン(B)とのモル比(B)/(A)が、2〜80であることを特徴とする、前記抗菌性組成物を提供する。本明細書において、「2H−ピラン−2−オン−4,6−ジカルボン酸の誘導体」は2H−ピラン−2−オン−4,6−ジカルボン酸のモノエステル体、若しくはモノアミド体などを意味する。
【0011】
前記銀塩又は銀錯体は、カルボン酸の銀塩又は銀錯体であることが好ましい。
【0012】
前記カルボン酸は、特に化学式(1):
【化1】

[式中、置換又は未置換の炭素数1〜18個の1価の炭化水素基(ただし、カルボキシル基を除く)を示し、XはOまたはNHを示す。]
で表されるモノカルボン酸である。
【0013】
前記カルボン酸は、また、化学式(2):
【化2】

[式中、Rは置換又は未置換の炭素数1〜18個の2価の炭化水素基を示し、RはH、ヒドロキシ基、若しくは置換又は未置換の炭素数1〜18個の1価の炭化水素基を示す。]
で表されるものでもよい。
【0014】
化学式(2)のカルボン酸は、特に化学式(3):
【化3】

[式中、Rは置換又は未置換の炭素数1〜18個の2価の脂肪族炭化水素基を示す。]
で表されるカルボン酸であることが好ましい。
【0015】
化学式(2)のカルボン酸は、また、2〜4個のカルボキシル基を有する芳香族カルボン酸又は芳香族複素環カルボン酸であることが好ましい。
【0016】
前記カルボン酸は、また、ピルビン酸、グリコール酸、酢酸、酪酸及びサリチル酸からなる群から選ばれる少なくとも一種であってもよい。
【0017】
本発明の抗菌性組成物は、前記酸化銀と酸とを含み、酸/銀のモル当量が
0.2〜4であることが好ましい。
【0018】
本発明は、また、上記抗菌性組成物を含有する除菌剤又は消臭剤を提供する。
【0019】
本発明は、また、上記抗菌性組成物を含有する洗浄剤を提供する。
【0020】
本発明は、また、上記抗菌性組成物を含有する塗料を提供する。
【0021】
本発明は、また、上記抗菌性組成物を含有する接着又は粘着剤を提供する。
【0022】
本発明は、また、上記抗菌性組成物を含有する繊維抗菌加工処理剤を提供する。
【発明の効果】
【0023】
酸化銀、銀塩、又は酸錯体のいずれか1種以上の化合物とクレアチニンとを一定割合で配合した本発明の組成物によれば、良好な水溶性と紫外線等への耐光性が得られる。この特性を利用して、本発明の組成物は、除菌剤や消臭剤、洗浄剤、香粧品、塗料、接着又は粘着剤、繊維抗菌加工処理剤、医薬品や医薬部外品、食品等への使用が期待される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の実施の形態をより詳細に説明する。本発明の組成物は、酸化銀、銀塩、又は酸錯体のいずれか1種を必須の成分とする。
【0025】
銀塩又は銀錯体には、カルボン酸銀、硝酸銀、炭酸銀、硫酸銀、酢酸銀、過塩素酸銀、フッ化銀、塩化銀、塩素酸銀、クロム酸銀、シアン化銀、臭化銀、臭素酸銀、ヨウ化銀、ヨウ素酸銀等が挙げられる。本明細書で、銀塩又は銀錯体を一銀と称する場合は銀イオンが1個結合し、二銀と称する場合は銀イオンが2個結合している。好ましくは、構造によっては銀の変色を著しく抑制可能であるという点で、カルボン酸の銀塩又は銀錯体である。これらは一種単独でも、二種以上併用してもよい。
【0026】
上記カルボン酸の銀塩又は銀錯体を構成するカルボン酸は、特に化学式(1):
【0027】
【化4】

【0028】
[式中、Rは置換又は未置換の炭素数1〜18個の1価の炭化水素基(ただし、カルボキシル基を除く)を示し、XはOまたはNHを示す。]
で表されるモノカルボン酸(以下、グループIという)である。
【0029】
は、例えば置換又は未置換の炭素数1〜18個、好ましくは1〜4個の1価の脂肪族炭化水素基、置換又は未置換の炭素数6〜18個、好ましくは6〜12個の1価の芳香族炭化水素基、若しくは、置換又は未置換の炭素数2〜18個、好ましくは2〜11個の1価の芳香族複素環基である。脂肪族炭化水素基は、直鎖でも分岐鎖でもよい。
【0030】
前記脂肪族炭化水素基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;ビニル基、プロペニル基等のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基等のアルキニル基;並びにシクロプロピル基、シクロブチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
【0031】
前記芳香族炭化水素基の例としては、フェニル基等の単環芳香族炭化水素基;ナフチル基等の縮合環炭化水素基;並びにビフェニリル基等の環集合炭化水素基が挙げられる。
【0032】
前記芳香族複素環基の例としては、トリアゾリル基、フラニル基、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、ピラジル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、チオフェニル基、ビピリジル基及びオキサジアゾリル基が挙げられる。
【0033】
1における、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基の水素原子は、他の置換基で置換されてもよい。置換基の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、オキソ基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、置換アミノ基、イミノ基、ニトロ基、シアノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アリールチオ基、アリールスルホニル基等が挙げられる。
【0034】
は、さらに好ましくは、置換又は未置換の主鎖炭素数1〜3個の飽和脂肪族炭化水素基、未置換の主鎖炭素数1〜2個の炭化水素基、若しくは、カルボニル基で置換された主鎖炭素数1〜3個の炭化水素基である。
【0035】
は、特に好ましくは、メチル基及びアセチル基である。
【0036】
グループIのカルボン酸の具体例としては、化学式:
【化5】

で示されるアセチルグリシン、化学式:
【化6】

で示されるアセトキシ酢酸、及び、化学式:
【化7】

で示されるメトキシ酢酸が挙げられる。
【0037】
アセチルグリシン及びアセトキシ酢酸は、これらの銀塩又は銀錯体とクレアチニンとを含む水溶液を乾燥させた時に光安定性に優れ、透明な固形物が得られる点で特に好ましい。
【0038】
上記カルボン酸の銀塩又は銀錯体を構成するカルボン酸は、また、化学式(2):
【化8】

[式中、Rは置換又は未置換の炭素数1〜18個の2価の炭化水素基を示し、RはH、ヒドロキシ基、若しくは置換又は未置換の炭素数1〜18個の1価の炭化水素基を示す。]
で表され、分子内に特性基として2つのオキソ基を有し、少なくとも1つがカルボキシル基を構成しているカルボン酸でもよい。
【0039】
は、例えば置換又は未置換の炭素数1〜18個、好ましくは1〜5個の2価の脂肪族炭化水素基、置換又は未置換の炭素数6〜18個、好ましくは6〜12個の2価の芳香族炭化水素基、若しくは、置換又は未置換の炭素数2〜18個、好ましくは2〜11個の2価の芳香族複素環基である。脂肪族炭化水素基は、直鎖でも分岐鎖でもよい。
【0040】
前記脂肪族炭化水素基の例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等のアルキレン基;ビニレン基、プロペニレン基等のアルケニレン基;並びにシクロプロピレン基、シクロブチレン基等のシクロアルキレン基が挙げられる。
【0041】
前記芳香族炭化水素基の例としては、フェニレン基等の単環芳香族炭化水素基;ナフチレン基等の縮合環炭化水素基;並びにビフェニレン基等の環集合炭化水素基が挙げられる。
【0042】
前記芳香族複素環基の例としては、トリアゾリレン基、フラニレン基、フリレン基、チエニレン基、ピロリレン基、ピリジレン基、ピラジレン基、オキサゾリレン基、イソオキサゾリレン基、チアゾリレン基、イソチアゾリレン基、イミダゾリレン基、ピラゾリレン基、キノリレン基、イソキノリレン基、キノキサリニレン基、ベンゾフリレン基、ベンゾチエニレン基、インドリレン基、カルバゾリレン基、アクリジニレン基、チオフェニレン基、ビピリジレン基、オキサジアゾリレン基等が挙げられる。
【0043】
における、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基の水素原子は、他の置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、オキソ基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、置換アミノ基、イミノ基、ニトロ基、シアノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アリールチオ基、アリールスルホニル基等が挙げられる。
【0044】
は、さらに好ましくは、置換又は未置換の主鎖炭素数1〜4個の飽和脂肪族炭化水素基、置換又は未置換の主鎖炭素数2〜4個の不飽和脂肪族炭化水素基、置換又は未置換の環炭素数6〜10個の芳香族炭化水素基、若しくは置換又は未置換の環炭素数3〜9個の芳香族複素環基である。
【0045】
は、特に好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヒドロキシエチレン基、ビニレン基、ビスヒドロキシエチレン基、フェニレン基、ナフチレン基、カルボキシフェニレン基、ジカルボキシフェニレン基、及びピリジレン基が挙げられる。
【0046】
は、例えば置換又は未置換の炭素数1〜18個、好ましくは1〜5個の1価の脂肪族炭化水素基、置換又は未置換の炭素数6〜18個、好ましくは6〜12個の1価の芳香族炭化水素基、若しくは、置換又は未置換の炭素数2〜18個、好ましくは2〜11個の1価の芳香族複素環基である。脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、又は芳香族複素環基の例は、Rで挙げたものと同様である。脂肪族炭化水素基は、直鎖でも分岐鎖でもよい。
【0047】
における、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基の水素原子は、他の置換基によって置換されていてもよい。置換基の例は、Rで挙げたものと同様である。
【0048】
は、さらに好ましくは、置換又は未置換の主鎖炭素数1〜3個の飽和脂肪族基、若しくは置換又は未置換の主鎖炭素数2〜4個の不飽和脂肪族基である。
【0049】
は、特に好ましくはヒドロキシ基又はメチル基である。
【0050】
化学式(2)のカルボン酸の好ましい例として、化学式(3):
【化9】

[式中、Rは置換又は未置換の炭素数1〜18個、好ましくは1〜5個の2価の脂肪族炭化水素基を示す。]
で表されるカルボン酸(以下、グループIIという)である。
【0051】
前記脂肪族炭化水素基の例は、R2で挙げたものと同様である。脂肪族炭化水素基は、直鎖でも分岐鎖でもよい。Rにおける、脂肪族炭化水素基の水素原子は、他の置換基で置換されていてもよい。置換基の例は、Rに挙げたものと同様である。
【0052】
は、さらに好ましくは、主鎖炭素数1〜4個の脂肪族炭化水素基である。
【0053】
は、特に好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヒドロキシエチレン基、ビスヒドロキシエチレン基及びビニレン基である。
【0054】
グループIIのカルボン酸の具体例には、化学式:
【化10】

で示されるアジピン酸、化学式:
【化11】

で示されるフマル酸、化学式:
【化12】

で示されるコハク酸、化学式:
【化13】

で示されるリンゴ酸、化学式:
【化14】

で示されるグルタル酸、化学式:
【化15】

で示されるマロン酸、化学式:
【化16】

で示されるマレイン酸、化学式:
【化17】

で示される酒石酸等が挙げられる。
【0055】
特に、アジピン酸、フマル酸、コハク酸及び酒石酸は、これらの銀塩又は銀錯体とクレアチニンとを含む水溶液を乾燥させた時に光安定性に優れた点で好ましい。
【0056】
化学式(2)で表されるカルボン酸の別の好ましい例として、2個以上のカルボシキル基を有する芳香族カルボン酸又は芳香族複素環カルボン酸(以下、グループIIIという)がある。
【0057】
グループIIIのカルボン酸の具体例には、化学式:
【化18】

で示されるフタル酸、化学式:
【化19】

で示されるトリメリット酸、化学式:
【化20】

で示されるルチジン酸、化学式:
【化21】

で示されるピロメリット酸、化学式:
【化22】

で示されるイソフタル酸、化学式:
【化23】

で示されるテレフタル酸が挙げられる。
【0058】
特に、フタル酸、トリメリット酸、ルチジン酸及びピロメリット酸は、これらの銀塩又は銀錯体とクレアチニンとを含む水溶液が優れた光安定性を有する点で好ましい。
【0059】
また、化学式(1)や化学式(2)で表されないカルボン酸(以下、グループIVという)として、化学式:
【化24】

で示されるピルビン酸、化学式:
【化25】

で示されるグリコール酸、化学式:
【化26】

で示される酢酸、化学式:
【化27】

で示される酪酸、化学式:
【化28】

で示されるサリチル酸等が挙げられる。
【0060】
本発明の組成物のもう一つの必須成分であるクレアチニンは、以下の化学式:
【化29】

で示される分子量113.12の水溶性化合物である。
【0061】
本発明の組成物は、酸化銀、銀塩、又は銀錯体のいずれか1種以上の化合物中の銀(A)とクレアチニン(B)とのモル比(B)/(A)が、2〜80であり、好ましくは3〜80であり、特に好ましくは3〜4である。上記モル比が2未満であると、抗菌性組成物の溶解状態及び/又は乾固状態での耐光性が改善されない、溶解性が低下するために抗菌性組成物を高濃度に調製できない等の問題がある。上記モル比が高すぎるとクレアチニン濃度増加によるコストアップやクレアチニンの溶解度が問題になる。よって、モル比80を上限とする。
【0062】
本発明の組成物は、酸化銀、銀塩、又は銀錯体のいずれか1種以上の化合物とクレアチニンとを水性媒体に添加することにより得られる。別法として、無機酸、カルボン酸等の酸及びクレアチニンを水性媒体に添加し、次いで、硝酸銀、酸化銀等の銀化合物又はその溶液を添加してもよい。また、前記銀化合物及びクレアチニンを水性媒体に溶かした後、前記酸を添加してもよい。水性媒体の例には、水、水とアルコール等の有機媒体との混合物があり、好ましくは水である。
【0063】
前記酸化銀を使用する場合、無機酸、カルボン酸等の酸を添加することが溶液状態の耐光性をさらに改善する点で好ましい。酸/銀のモル当量は、好ましくは0.2〜4、より好ましくは1〜4である。
【0064】
本発明の組成物のpHは、通常、1〜12であり、好ましくは3〜9である。
【0065】
本発明の組成物は、広範な抗細菌及び真菌活性を有する。具体的には、ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、レンサ球菌のようなグラム陽性球菌、バシラス属、クロストリジウム属、コリネバクテリウム属、リステリア属、プロピオニバクテリウム属又はアクチノミセス属のようなグラム陽性桿菌等のグラム陽性菌;ナイセリア属又はブランハメラ属のようなグラム陰性球菌、シュードモナス属、大腸菌、腸管出血性大腸菌、サルモネラ菌、赤痢菌、ペスト菌、ヘモフィルス属、ブルセラ属又はボルデテラ属のようなグラム陰性桿菌等のグラム陰性菌:ビブリオ属等のらせん状桿菌;リケッチア:クラミジア;マイコプラズマ等が挙げられる。真菌類としては、カンジタ等の酵母;アスペルギルス、クラドスポリウム、トリコフィトン等のカビ等が挙げられる。特に、スタフィロコッカス・アウレウス亜種アウレウス、エシェリキア・コリ、シュードーモナス・アエルギノサ、サルモネラ・エンテリティディス、ビブリオ・パラハエモリティカス、アスペルギルス・ニゲル、カンジダ・アルビカンス、クラドスポリウム・クラドスポリオイデス、トリコフィトン・ルブルム等に有効である。
【0066】
本発明の組成物が抗菌・殺菌性を発揮するためには、菌種にもよるが、銀の含有量の下限は、通常、0.005mM以上であり、好ましくは0.01mM以上、特に好ましくは0.04mM以上である。含有量が低すぎると充分な抗菌・殺菌性が得られない。また、銀の含有量の上限は、通常、150mM以下、好ましくは50mM以下、特に好ましくは20mM以下である。含有量が高すぎると不溶物が生じる場合がある。
【0067】
本発明の組成物には、上記必須成分の他に、抗菌剤・殺菌剤分野で汎用されている助剤を、本発明の効果を阻害しない範囲で使用することができる。このような助剤の例には、公知の抗菌剤・防かび剤、キレート剤、pH調整剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、乳化剤、香料、着色料、水溶性高分子、アルコール類、蛍光増白剤、粘度調整剤、発泡剤等が挙げられる。
【0068】
本発明の組成物は、溶液、スプレー、クリーム、ペースト、ゲル、ジェル、粉末、顆粒等の形態で使用することができる。本発明の組成物は、水溶性であることから、水溶液やスプレーとして使用することが特に有利である。
【0069】
本発明の組成物は、除菌剤や消臭剤、洗浄剤、香粧品、塗料、接着又は粘着剤、繊維抗菌加工処理剤、医薬品や医薬部外品、食品、飼料、農薬等への抗菌殺菌活性成分として添加することができる。本発明の組成物は、上記用途に用いても優れた耐光性を発揮する。上記用途における組成物の配合量は、銀含有量として、通常、0.005〜100mMでよく、好ましくは0.01〜10mM、特に好ましくは0.04〜4mMである。
【実施例】
【0070】
以下に、本発明の実施例及び比較例を示して、本発明をより詳細に説明する。しかし、本発明は、実施例に限定されるものではない。
〔調製例1〕カルボン酸の銀塩又は銀錯体の調製(その1)
アセチルグリシン0.472g(4.0mmol、和光純薬工業株式会社製)の20ml水溶液に、酸化銀0.459g(2.0mmol、シグマアルドリッチジャパン株式会社製)を添加し、10倍容のアセトン中に滴下し、アセチルグリシン銀の白色沈殿を得た。この沈殿を濾過して回収して乾燥させた。
【0071】
上記アセチルグリシン銀の銀とカルボン酸のモル比を、示差熱−熱重量同時測定装置(ブルカー・エイエックスエス株式会社製TG−DTA2010SA)により測定した。具体的には、空気導入下にて室温から10℃/分の条件で550℃まで加熱し、重量残存分と減少分から銀とカルボン酸のモル比を計算した。結果を表1に示す。
【0072】
〔調製例2〜22〕カルボン酸の銀塩又は銀錯体の調製(その2)
調製例1のカルボン酸及び銀化合物を、表1の化合物又はその溶液に替えた以外は、調製例1と同様の手順で、カルボン酸の銀塩又は銀錯体を調製した。ここで、酸化銀、硝酸銀及びアセトキシ酢酸は、シグマアルドリッチジャパン株式会社製の試薬、アジピン酸は、関東化学株式会社製の試薬、トリメシン酸、ピロメリット酸、ルチジン酸、及びメトキシ酢酸は、東京化成工業株式会社製の試薬を使用した。それ以外の化合物は、和光純薬工業株式会社製の試薬を使用した。得られた銀塩又は銀錯体の銀とカルボン酸のモル比を、調製例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
【0073】
【表1】

【0074】
〔実施例1〜4〕酸化銀、銀塩又は銀錯体とクレアチニンとを含む抗菌性組成物
1.抗菌性組成物の調製
硝酸銀0.022g(0.13mmol)及びクレアチニン0.057g(0.52mmol、和光純薬工業株式会社)を水40mlに溶解し、銀濃度が3.2mMであり、そしてクレアチニン/銀のモル比が4の組成物を得た(実施例1)。また、実施例1において、硝酸銀を、硫酸銀0.020g(0.065mmol)、炭酸銀0.018g(0.065mmol)あるいは酸化銀0.015g(0.065mmol)とする以外は実施例1と同様の方法で実施例2〜4の組成物(それぞれ銀濃度:3.2mM)を調製した。これらの組成物の水溶性は良好であった。
【0075】
2.組成物の抗菌性試験
・抗菌性試験
上記4種類の銀塩とクレアチニンとを含む組成物の抗菌性を確認するため、クロカワカビ(Cladosporium cladosporioides、JCM 3899)に対するMIC(菌の発育を阻害する最小銀濃度)を測定した。
【0076】
対照として、水(40ml)に硝酸銀0.022g(0.13mmol)、又は硫酸銀0.020g(0.065mmol)、炭酸銀0.018g(0.065mmol)、又は酸化銀0.015g(0.065mmol)を添加した比較例1、2、3及び4(銀濃度:0.32mM)の抗菌性試験も行った。なお、炭酸銀(比較例3)及び酸化銀(比較例4)は水に溶解しないため、試験を実施しなかった。
【0077】
表2の組成物を、それぞれ、孔径0.45μmのメンブレンフィルター(製品名マイレクスHV、日本ミリポア株式会社製)を通して滅菌した。
【0078】
約45℃に保った感受性測定用培地(PDA寒天培地)を用いて最高濃度10%として2倍希釈の薬剤系列を各2枚ずつ作製し、滅菌シャーレに固化したものを被検物質含有感受性培地とした。対照として、薬剤原液の代わりに滅菌精製水を使用したものについて、同様に各濃度1枚作製し、薬剤不含培地とした。
【0079】
被検物質含有感受性培地及び薬剤不含培地の寒天培地表面に、接種用菌液を白金耳で2cm程度、画線塗抹した(n=2)。25±3℃で3〜5日間、それぞれ好気培養を行った。培養後、各被検物質含有感受性培地及び薬剤不含培地について菌の発育の有無を判定し、MICを求めた。結果を表2に示す。
【0080】
【表2】

【0081】
表2から、本発明の組成物には、硝酸銀や硫酸銀と同様に、抗菌効果を有することが確認された。
【0082】
3.耐光性試験
実施例1〜4の組成物の耐光性試験を行った。比較のため、比較例1〜4も同様に試験を行った。
【0083】
(1)溶液状態での耐光性試験
表2の組成物を、孔径0.20μmのメンブレンフィルター(製品名:マイレクスLG、日本ミリポア株式会社製)を通して不溶物を除去した。各被検物質10mlを20mlのガラス製バイアル瓶に入れ、蓋をせずに高エネルギー紫外光源(東芝ライテック株式会社製殺菌ランプGL−15、殺菌線出力4.9W、紫外線放射強度51μW/cm)の下に設置した。光源と液面との距離を4cmとした。12時間毎に、各溶液に変色又は析出物の発生が起こるかを、以下の基準で観察した。結果を表3に示す。
○:変色又は析出物の発生が認められなかった。
×:変色又は析出物の発生が認められた。
【0084】
(2)乾固状態での耐光性試験
各組成物0.05mlをスライドグラス上に滴下し、50℃、減圧下で揮発分を除去して乾燥した試験体を得た。各試験体を前記紫外光源の下に設置した。光源と試験体との距離は6cmに調節した。
【0085】
60分まで変色を、以下の基準で観察した。結果を表3に示す。
☆:透明
◎:半透明
○:白色
×:黄色、褐色、灰色、黒色等に着色
【0086】
【表3】

【0087】
比較例1及び2の組成物は、主に乾固状態での耐光性に劣ったが、それにクレアチニンを配合した実施例1及び2の組成物では、溶液及び乾固状態のいずれも耐光性が良好であった。比較例3の組成物は、溶解性が悪く、耐光性試験に供し得なかったが、それにクレアチニンを配合した実施例3の組成物では、溶解性に優れ、溶液及び乾固状態の早期では良好な耐光性を示した。比較例4の組成物は、溶解性が悪く、耐光性試験に供し得なかったが、それにクレアチニンを配合した実施例4の組成物では、溶解性に優れ、乾固状態の早期では良好な耐光性を示した。
【0088】
〔実施例5〜8〕クレアチニンの配合量
実施例1において、銀濃度3.2mMを一定としたまま、クレアチニンの濃度を表4に示すように変えた以外は実施例1と同様の手順で組成物を調製した。これらの組成物の耐光性試験を、実施例1と同様の手順で行った。結果を表4に示す。
【0089】
【表4】

【0090】
表4より、クレアチニンの配合量は、銀に対して2モル当量以上で耐光性を示すことが判明した。
【0091】
〔実施例9〜15〕酸化銀、クレアチニン及び酸を含む抗菌性組成物
1.抗菌性組成物の調製
実施例4を調製する際に、表5の組成となるよう、さらにアセチルグリシンあるいは硝酸を加え、水で合計40mlとなるよう調製して組成物を得た。
【0092】
2.組成物の耐光性試験
各抗菌性組成物の溶液状態での耐光性試験を行った。測定結果を表5に示す。
【0093】
【表5】

【0094】
表5に示すように、銀化合物にクレアチニンを添加した組成物に、酸を銀に対して0.4〜4モル当量を添加することで、耐光性がより増すことが分かった。
【0095】
3.組成物の抗菌性試験
上記組成物の抗菌性を確認するため、クロカワカビ(Cladosporium cladosporioides、JCM 3899)に対するMICを測定した。結果を表6に示す。
【0096】
【表6】

【0097】
表6から、酸化銀、クレアチニン及び酸からなる本発明の組成物もまた、酸化銀及びクレアチニンから組成物と同様の抗菌活性があることが確認された。
【0098】
〔実施例16〜18〕グループIのカルボン酸の銀塩又は銀錯体とクレアチニンとを含む抗菌性組成物
1.抗菌性組成物の調製
調製例1で得たアセチルグリシン銀0.072g(0.32mmol)を、クレアチニン0.146g(1.3mmol)とともに水100mlに溶解させることにより、アセチルグリシン銀3.2mM及びクレアチニン13mMを含み、クレアチニン/銀のモル比が4の組成物(実施例16)を得た。この組成物の水溶性は良好であった。
【0099】
実施例16のアセチルグリシン銀に代えて、グループIのアセトキシ酢酸銀又はメトキシ酢酸銀を使用した以外は、実施例16と同様の手順で実施例17、18を得た。
【0100】
2.組成物の抗菌性試験
・抗菌性試験(1)
実施例16の組成物の抗菌性を確認するため、以下の4種の菌種:
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus subsp. Aureus、NBRC13276)、
大腸菌(Escherichia coli、NBRC3972)、
クロコウジカビ(Aspergillus niger、NBRC9455)、及び
クロカワカビ(Cladosporium cladosporioides、NBRC 6348)
に対するMICを測定した。対照として、比較例1の硝酸銀を用いた。
【0101】
発育阻止濃度の測定試験は、日本化学療法学会によるMIC(最小発育阻止濃度)寒天平板希釈法に準じて、以下の手順で行った。ミュラーヒントンII寒天培地(ベクトン・ディッキンソン社製)にて、上記細菌をそれぞれ37±3℃で一夜培養した。また、上記真菌は、それぞれ、サブロー・ブドウ糖寒天倍地(日水製薬株式会社製)にて、25±3℃で5〜10日間培養した。寒天平板上の被検菌体を滅菌生理食塩水でMacFarland No.1(細菌は約10cfu/mL、真菌は約10cfu/mL)相当の濁度に懸濁し、接種用菌液とした。
【0102】
実施例16の組成物及び比較例1の組成物を、それぞれ、孔径0.45μmのメンブレンフィルター(製品名マイレクスHV、日本ミリポア株式会社製)を通して滅菌した。
【0103】
約45℃に保った感受性測定用培地(細菌はミュラーヒントンII寒天培地、真菌はサブロー・ブドウ糖寒天培地)を用いて最高濃度を10%として2倍希釈の薬剤系列を各2枚ずつ作製し、滅菌シャーレに固化したものを被検物質含有感受性培地とした。対照として、薬剤原液の代わりに滅菌精製水を使用したものについて、同様に各濃度1枚作製し、薬剤不含培地とした。
【0104】
被検物質含有感受性培地及び薬剤不含培地の寒天培地表面に、接種用菌液を白金耳で2cm程度画線塗抹した(被検物質含有感受性培地はn=2、薬剤不含培地はn=1)。細菌は37±3℃で18〜20時間、真菌は25±3℃で3〜5日間、それぞれ好気培養を行った。培養後、各被検物質含有感受性培地及び薬剤不含培地について菌の発育の有無を判定し、MIC値を決定した。これらの測定結果から、菌の発育を阻害する銀濃度を算出した結果を表7に示す。
【0105】
【表7】

【0106】
表7から、アセチルグリシン銀及びクレアチニンからなる組成物には、硝酸銀と同様に、細菌及び真菌に対して優れた抗菌効果があることを確認できた。
【0107】
・抗菌性試験(2)
グループIに属するカルボン酸の銀塩又は銀錯体とクレアチニンとを含む組成物の抗菌性を確認するため、クロカワカビ(Cladosporium cladosporioides、JCM 3899)に対するMICを、実施例16に示したのと同様の手順で測定した。対照として、比較例1の硝酸銀を用いた。結果を表8に示す。
【0108】
【表8】

【0109】
表8から、グループIに属するカルボン酸の銀塩又は銀錯体とクレアチニンとからなる組成物には、硝酸銀と同様に、真菌に対して優れた抗菌効果があることを確認できた。また、実施例16を減圧乾固することで得た、固形状態の組成物を用いた抗菌性試験においても、抗菌効果に違いがなかった。
【0110】
3.耐光性試験
実施例16〜18の抗菌性組成物の光安定性を確認する耐光性試験を、実施例1と同様の手順で行った。また、比較のため、水に溶解したアセチルグリシン銀、アセトキシ酢酸銀、メトキシ酢酸銀単独の耐光性試験も行った。結果を表9に示す。
【0111】
【表9】

【0112】
表9に示すとおり、アセチルグリシン銀のみからなる比較例6では、溶液及び乾固状態ともに、時間がたつと耐光性が悪化した。アセトキシ酢酸銀のみからなる比較例7では、乾固状態での耐光性が悪化した。メトキシ酢酸銀のみからなる比較例8では、溶液、乾固状態ともに耐光性に劣った。それに対して、グループIのカルボン酸の銀塩とクレアチニンとからなる組成物は、溶解性に優れるとともに、溶液及び乾固状態での耐光性に優れることが判明した。
【0113】
実施例17において、クレアチニンに代えて、化学式:
【化33】

で示されるグアニン、化学式:
【化34】

で示されるアセチルアセトングアニジン、化学式:
【化35】

で示される5−アザシトシン、化学式:
【化36】

で示されるヒダントイン、化学式:
【化37】

で示される5,5−ジメチルヒダントインをそれぞれ添加した以外は、実施例17と同様の手順で比較例9〜13を得た。ここで、アセトキシ酢酸銀中の銀と上記化合物とのモル比は、実施例17と同じく4とした。5−アザシトシンは東京化成工業株式会社製の試薬を使用した。それ以外の化合物は、和光純薬工業株式会社製の試薬を使用した。水溶性及び耐光性試験の結果を表10に示す。
【0114】
【表10】

【0115】
表10に示すとおり、クレアチニンをグアニン、5−アザシトシン又はヒダントインに変更した比較例では溶解性が劣り、耐光性試験に供せなかった。また、クレアチニンをアセチルアセトングアニジン又は5,5−ジメチルヒダントインに変更した比較例では、溶解性は確保されるものの、溶液状態及び乾固状態での耐光性に劣った。
【0116】
〔実施例19〜25〕グループIのカルボン酸の銀塩又は銀錯体とクレアチニンとの配合量
実施例16において、アセチルグリシン銀の銀濃度3.2mMを一定としたまま、クレアチニンの濃度を表11に示すように変えた以外は実施例16と同様の手順で本発明の組成物を調製した。組成物の水溶性は、いずれの濃度においても良好であった。
【0117】
上記組成物の溶液及び乾固状態での耐光性試験を、実施例1と同様の手順で行った。結果を表11に示す。
【0118】
【表11】

【0119】
表11から、グループIのアセチルグリシン銀とクレアチニンとの配合量は、銀に対してクレアチニン2〜80モル当量で変色抑制効果を示し、3〜80モル当量が適当であり、3〜4モル当量が最適であった。
【0120】
〔実施例26〜33〕グループIIのカルボン酸の銀塩又は銀錯体とクレアチニンとを含む抗菌性組成物
1.抗菌性組成物の調製
調製例2で得たアジピン酸二銀0.058g(0.16mmol)とクレアチニン0.146g(1.3mmol)とを、水100mlに溶解させた。組成物の水溶性は良好であった。アジピン酸二銀1.6mM及びクレアチニン13mMを含み、クレアチニン/銀のモル比が4の組成物(実施例26)を得た。
【0121】
実施例26のアジピン酸二銀に代えて、グループIIの表13のカルボン酸の銀塩又は銀錯体を使用した以外は、実施例26と同様の手順で実施例27〜33を得た。カルボン酸の銀塩又は銀錯体中の銀とクレアチニンとのモル比は、実施例26と同じく4とした。
【0122】
2.抗菌性試験
・抗菌性試験(1)
アジピン酸二銀とクレアチニンとからなる組成物の抗菌性試験を、実施例16と同様の手順で行った。結果を表12に示す。
【0123】
【表12】

【0124】
表12から、グループIIのアジピン酸二銀及びクレアチニンからなる本発明の組成物には、硝酸銀と同様に、細菌及び真菌に対して優れた抗菌効果があることを確認できた。
【0125】
・抗菌性試験(2)
グループIIに属するカルボン酸の銀塩又は銀錯体とクレアチニンとを含む組成物(表13)の抗菌性を確認するため、クロカワカビ(Cladosporium cladosporioides、JCM 3899)に対するMICを測定した。結果を表13に示す。
【0126】
【表13】

【0127】
表13から、グループIIに属するカルボン酸の銀塩又は銀錯体とクレアチニンとからなる組成物には、硝酸銀と同様に、真菌に対して優れた抗菌効果があることを確認できた。
【0128】
3.耐光性試験
グループIIに属するカルボン酸の銀塩又は銀錯体及びクレアチニンからなる組成物の耐光性試験を実施例1に記載と同様の手順で行った。また、比較のため、水に溶かしたアジピン酸二銀、フマル酸二銀、リンゴ酸二銀、コハク酸二銀、及び酒石酸二銀単独の耐光性試験も行った。結果を表14に示す。
【0129】
【表14】

【0130】
表14に示すとおり、アジピン酸二銀、フマル酸二銀やコハク酸二銀を単独に用いた比較組成物は、水に溶けにくく耐光性試験に供し得なかった。また、リンゴ酸二銀や酒石酸二銀を単独に用いた組成物は、水溶性であるものの、耐光性に劣った。それに対して、グループIIのカルボン酸の銀塩又は銀錯体とクレアチニンとを含む組成物は、水溶性があり耐光性試験に供し得、溶液状態での耐光性に優れた。
【0131】
〔実施例34〜39〕グループIIIのカルボン酸の銀塩又は銀錯体とクレアチニンとを含む抗菌性組成物
1.抗菌性組成物の調製
調製例3で得たフタル酸二銀0.061g(0.16mmol)とクレアチニン0.146g(1.3mmol)とを水100mlに溶解させた。組成物の水溶性は良好であった。こうして、フタル酸二銀1.6mM及びクレアチニン13mMを含み、クレアチニン/銀のモル比が4の組成物(実施例34)を得た。
【0132】
実施例34のフタル酸二銀に代えて、グループIIIの表16のカルボン酸の銀塩又は銀錯体を使用した以外は、実施例34と同様の手順で実施例35〜39を得た。カルボン酸の銀塩又は銀錯体中の銀とクレアチニンとのモル比は、実施例34と同じく4とした。
【0133】
2.抗菌性試験
・抗菌性試験(1)
実施例34の組成物の抗菌性試験を、実施例16と同様の手順で行った。結果を表15に示す。
【0134】
【表15】

【0135】
表15から、グループIIIのフタル酸二銀及びクレアチニンからなる本発明の組成物には、硝酸銀と同様、細菌及び真菌に対して優れた抗菌効果があることを確認した。
【0136】
・抗菌性試験(2)
グループIIIに属するカルボン酸の銀塩又は銀錯体とクレアチニンとを含む組成物(表16)の抗菌性を確認するため、クロカワカビ(Cladosporium cladosporioides、JCM 3899)に対するMICを測定した。結果を表16に示す。
【0137】
【表16】

【0138】
表16から、グループIIIに属するカルボン酸の銀塩又は銀錯体とクレアチニンとからなる組成物には、硝酸銀と同様に、真菌に対して優れた抗菌効果があることを確認できた。
【0139】
3.耐光性試験
グループIIIのカルボン酸の銀塩又は銀錯体及びクレアチニンからなる抗菌性組成物の耐光性試験を実施例1に記載と同様の手順で行った。比較のため、フタル酸二銀、イソフタル酸二銀、テレフタル酸二銀、トリメリット酸三銀、ピロメリット酸四銀、及びルチジン酸二銀単独の耐光性試験も行った。結果を表17に示す。
【0140】
【表17】

【0141】
表17に示すとおり、フタル酸二銀を単独に用いた組成物は、時間が経過すると、耐光性が悪化した。イソフタル酸二銀、テレフタル酸二銀、ピロメリット酸四銀、あるいはルチジン酸二銀を単独に用いた組成物は、水に溶けにくく、耐光性試験に供し得なかった。また、トリメリット酸三銀を単独に用いた組成物は、水溶性であったものの、溶液状態での耐光性が悪化した。一方、グループIIIのカルボン酸の銀塩又は銀錯体とクレアチニンとを含む本発明の組成物は、溶解性に優れるとともに、溶液及び乾固状態での耐光性に優れた。
【0142】
〔実施例40〜46〕グループIIIのカルボン酸の銀塩又は銀錯体とクレアチニンとの配合量
実施例34において、フタル酸二銀の銀濃度を1.6mMに一定しにしたまま、クレアチニンの濃度を表に示すように変えた以外は実施例34と同様の手順で抗菌性組成物を調製した。各抗菌性組成物の溶液及び乾固状態での耐光性試験を行った。結果を表18に示す。
【0143】
【表18】

【0144】
表18から、グループIIIのフタル酸二銀に対するクレアチニン添加量は、銀に対して2〜80モル当量で変色抑制効果を示し、3〜80モル当量が適当であり、3〜4モル当量が最適であった。
【0145】
〔実施例47〜51〕グループIVのカルボン酸の銀塩又は銀錯体とクレアチニンとを含む抗菌性組成物
1.抗菌性組成物の調製
上記調製例18〜22で得たカルボン酸の銀塩又は銀錯体とクレアチニンとを、カルボン酸の銀塩又は銀錯体3.2mM及びクレアチニン13mM(クレアチニン/銀のモル比:4)となるように水に溶解させた(表19)。いずれの組成物ともに、良好な水溶性を示した。
【0146】
2.抗菌性試験
グループIVに属するカルボン酸の銀塩又は銀錯体とクレアチニンとを含む組成物の抗菌性を確認するため、クロカワカビ(Cladosporium cladosporioides、JCM 3899)に対するMICを測定した。結果を表19に示す。
【0147】
【表19】

【0148】
表19から、グループIVに属するカルボン酸の銀塩又は銀錯体とクレアチニンとからなる組成物には、硝酸銀と同様に、真菌に対して優れた抗菌効果があることを確認できた。
【0149】
3.耐光性試験
上記組成物の耐光性試験を、実施例1と同様の手順で行った。また、比較のため、ピルビン酸銀、酢酸銀、酪酸銀、グリコール酸銀、サリチル酸銀単独の耐光性試験も行った。結果を表20に示す。
【0150】
【表20】

【0151】
表20に示すとおり、ピルビン酸銀、酢酸銀、酪酸銀、グリコール酸銀を単独に用いた組成物は、溶液状態での耐光性に劣った。サリチル酸銀を単独に用いた組成物は、時間が経過すると、乾固状態での耐光性が低下した。一方、グループIVのサリチル酸以外のカルボン酸の銀塩又は銀錯体とクレアチニンとを含む本発明の組成物は、溶液状態での耐光性に優れた。また、サリチル酸銀とクレアチニンとを含む本発明の組成物は乾固状態での耐光性に優れた。
【0152】
〔実施例53〕抗菌性組成物を用いた除菌剤
実施例17において、アセトキシ酢酸銀及びクレアチニンの濃度を5倍とする以外は、実施例17と同様の手順で組成物を調製し、アセトキシ酢酸銀濃度16mM、そしてクレアチニン/銀のモル比4の組成物(実施例52)を得た。同様に、比較例7においてアセトキシ酢酸銀の濃度を5倍とする以外は、比較例7と同様の手順で組成物を調製し、アセトキシ酢酸銀濃度16mMでクレアチニンを含まない組成物(比較例32)を得た。
【0153】
除菌・消臭剤として汎用の99.5%エタノール80mlに、実施例52の組成物を20ml添加することにより、アセトキシ酢酸銀濃度3.2mMの除菌剤(実施例53)を調製した。同様に、99.5%エタノール80mlに比較例32の組成物を20ml添加することにより、アセトキシ酢酸銀濃度3.2mMの除菌剤(比較例33)を調製した。
【0154】
実施例53の除菌剤を透明ガラス容器内で密栓した状態で室温に放置し、外観を観察した。7日後、除菌剤に変色や析出物の発生は認められなかった。よって、除菌剤の安定性が確認された。
【0155】
(溶液状態での耐光性試験)
実施例53及び比較例33の除菌剤10mlを、それぞれ、20mlのガラス製バイアル瓶に入れ、蓋をせずに前記紫外光源下(光源と液面との距離:4cm)に設置した。10分後に変色又は析出物の発生が起こるかを、以下の基準で観察した。結果を表21に示す。
○:変化なし
×:変色又は析出あり
××:著しい変色又は析出あり
【0156】
(乾燥後の安定性試験)
実施例53及び比較例33の除菌剤0.05mlを、それぞれ、スライドグラス上に滴下し、室温で1日間放置して、揮発分を除去した乾燥試験体を得た。この試験体を室温下で更に3日間放置し、変色を以下の基準で観察した。結果を表21に示す。
○:変色なし
×:変色あり
【0157】
【表21】

【0158】
表21から、本発明の組成物を含有する除菌剤が優れた耐光性を有することが確認された。
【0159】
(除菌性能試験)
実施例53の除菌剤を、塗装鋼板上に0.1g/25cm噴霧をした。室温で、噴霧1時間後及び7日後に、塗装鋼板上の生菌数を環境微生物検査用試薬(製品名:ぺたんチェック(登録商標)10、栄研科学株式会社製)を用いてカウントした。比較として、99.5%エタノールを実施例53と同様の操作で評価した(比較例34)。結果を表22に示す。
【0160】
【表22】

【0161】
表22から、7日後の生菌数が未噴霧及びエタノールのみ噴霧した条件より少なかった。よって、エタノールのみ(比較例34)よりも、除菌剤の除菌性能の持続性があることが確認された。
【0162】
〔実施例55〕抗菌性組成物を用いた洗浄剤
実施例52において、銀塩をアセチルグリシン銀とする以外は、実施例52と同様の手順で組成物を調製し、アセチルグリシン銀濃度16mM、そしてクレアチニン/銀のモル比4の組成物(実施例54)を得た。同様に、比較例32において銀塩をアセチルグリシン銀とする以外は、比較例32と同様の手順で組成物を調製し、アセチルグリシン銀濃度16mMでクレアチニンを含まない組成物(比較例35)を得た。市販の液体合成洗剤(製品名:トップ NANOX(ナノックス)、ライオン株式会社製)80mlに、実施例54の組成物を20ml添加することにより、銀濃度3.2mMの洗浄剤を調製した(実施例55)。同様に、前記液体合成洗剤80mlに比較例35の組成物20ml添加することにより、銀濃度3.2mMの洗浄剤を調製した(比較例36)。
【0163】
実施例55の洗浄剤を透明ガラス容器で密栓した状態で室温に放置し、外観を観察した。7日後、洗浄剤に変色や析出物の発生は認められなかったことから、洗浄剤の安定性が確認された。
【0164】
実施例55及び比較例36の洗浄剤について、実施例53と同様の方法で、耐光性試験と安定性試験を行った。結果を表23に示す。
【0165】
【表23】

【0166】
表23から、本発明の組成物を含有する洗浄剤は、優れた耐光性を有することが確認された。
【0167】
実施例55の洗浄剤を水で3,000倍に希釈して洗濯液とした。この洗濯液300mlを8cm×8cmの綿布とともに1000ml三角フラスコに入れた。フラスコを回転させて攪拌し、5分間の洗濯に続き、2分間の濯ぎを2回行った。取り出した綿布を室温下で自然乾燥した。乾燥後、綿布に着色が認められるかを観察した。洗濯した綿布に、着色は認められなかった。
【0168】
〔実施例56〕抗菌性組成物を用いた塗料
市販の合成樹脂塗料(製品名:水性多用途、株式会社アサヒペン製)80mlに、実施例54の組成物を20ml添加することにより、銀濃度3.2mMの塗料を調製した(実施例56)。同様に、前記合成樹脂塗料80mlに比較例35の組成物20mlを添加することにより、銀濃度3.2mMの塗料を調製した(比較例37)。
【0169】
実施例56及び比較例37の塗料を、透明ガラス容器で密栓した状態で室温に5日間放置して、外観を観察した。比較例37の塗料は褐変したが、実施例56の塗料では、変色や析出物の発生は認められなかった。
【0170】
実施例56の塗料をMDF(中質繊維板)上に0.014ml/cm塗布し、20℃で2時間放置し、塗料を硬化させた。塗装後の塗膜に、色合いの変化は認められなかった。
【0171】
〔実施例57〕抗菌性組成物を用いた接着剤
市販の特殊変性酢酸ビニル・アクリル共重合樹脂エマルジョン系接着剤(製品名:VW−H−135、株式会社J−ケミカル製)80mlに、実施例54の組成物を20ml添加することにより、銀濃度3.2mMの接着剤を調製した(実施例57)。同様に、上記エマルジョン系接着剤80mlに比較例35の組成物を20ml添加することにより、銀濃度3.2mMの接着剤を調製した(比較例38)。
【0172】
実施例57の接着剤を透明ガラス容器で密栓した状態で室温に放置し、外観を観察した。7日後、接着剤に変色や析出物の発生は認められなかったことから、安定性が確認された。
【0173】
実施例57及び比較例38の接着剤について、実施例53と同様の方法で、耐光性試験と安定性試験を行った。結果を表24に示す。
【0174】
【表24】

【0175】
表24の結果より、本発明の組成物を含有した接着剤は、優れた耐光性を有することを確認した。
【0176】
実施例57の接着剤にその架橋剤(製品名:K−132D、株式会社J−ケミカル製)を3重量%加えて混合し、混合物をMDFに65g/m塗布した。その塗面にオレフィンフィルムを20℃で4kgf/cm×20分の圧力条件で接着させた。その後、浸漬剥離試験を実施した。その結果、抗菌性組成物の代わりに水を添加したものと同様の接着力を示した。
【0177】
〔実施例58〕抗菌性組成物を用いた繊維抗菌加工処理剤
実施例54の組成物を水で20倍に希釈して抗菌加工処理剤を調製した(実施例58)。同様に、比較例35の組成物を水で20倍に希釈して抗菌加工処理剤を調製した(比較例39)。実施例58又は比較例39の処理剤を入れたビーカーに8cm×8cmの綿布を浸漬して抗菌加工処理剤を約0.8g付着させ、105℃の乾燥機内で乾燥させた。
【0178】
上記の抗菌加工処理した綿布を、前記紫外光源の下(光源と試験体との距離:6cm)に設置した。30分後の変色を以下の基準で観察した。結果を表25に示す。
○:変色なし
×:変色あり
【0179】
【表25】

【0180】
表25から、本発明の組成物を含有する繊維加工処理剤で抗菌加工処理を施した綿布は、優れた耐光性を有することが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化銀、銀塩、又は銀錯体(ただし、2H−ピラン−2−オン−4,6−ジカルボン酸及びその誘導体の銀塩及び銀錯体を含まない)のいずれか1種以上の化合物とクレアチニンとを配合してなる抗菌性組成物であって、前記化合物中の銀(A)とクレアチニン(B)とのモル比(B)/(A)が、2〜80であることを特徴とする、前記抗菌性組成物。
【請求項2】
前記銀塩又は銀錯体が、カルボン酸の銀塩又は銀錯体であることを特徴とする、請求項1に記載の抗菌性組成物。
【請求項3】
前記カルボン酸が、化学式(1):
【化38】

[式中、Rは置換又は未置換の炭素数1〜18個の1価の炭化水素基(ただし、カルボキシル基を除く)を示し、XはOまたはNHを示す。]
で表されるモノカルボン酸であることを特徴とする、請求項2に記載の抗菌性組成物。
【請求項4】
前記カルボン酸が、化学式(2):
【化39】

[式中、Rは置換又は未置換の炭素数1〜18個の2価の炭化水素基を示し、RはH、ヒドロキシ基、若しくは置換又は未置換の炭素数1〜18個の1価の炭化水素基を示す。]
で表される、請求項1に記載の抗菌性組成物。
【請求項5】
前記カルボン酸が、化学式(3):
【化40】

[式中、Rは置換又は未置換の炭素数1〜18個の2価の脂肪族炭化水素基を示す。]
で表されるカルボン酸である、請求項4に記載の抗菌性組成物。
【請求項6】
前記カルボン酸が、2〜4個のカルボキシル基を有する芳香族カルボン酸又は芳香族複素環カルボン酸である、請求項4に記載の抗菌性組成物。
【請求項7】
前記カルボン酸が、ピルビン酸、グリコール酸、酢酸、酪酸及びサリチル酸からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項2に記載の抗菌性組成物。
【請求項8】
前記酸化銀と酸とを含み、酸/銀のモル当量が0.2〜4である、請求項1に記載の抗菌性組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の抗菌性組成物を含有する除菌剤又は消臭剤。
【請求項10】
請求項1に記載の抗菌性組成物を含有する洗浄剤。
【請求項11】
請求項1に記載の抗菌性組成物を含有する塗料。
【請求項12】
請求項1に記載の抗菌性組成物を含有する接着又は粘着剤。
【請求項13】
請求項1に記載の抗菌性組成物を含有する繊維抗菌加工処理剤。

【公開番号】特開2012−31118(P2012−31118A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173444(P2010−173444)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(504284009)株式会社J−ケミカル (12)
【Fターム(参考)】