説明

抗血栓化合物

本発明は下記の式Aの化合物またはこの医薬的に許容される塩またはこのプロドラッグもしくは溶媒和物に関連する:オリゴ糖−スペーサー−GpIIb/IIIaアンタゴニスト(A)(式中、オリゴ糖は、4個から25個の単糖ユニットを含む負荷電のオリゴ糖残基であり、荷電は正荷電の対イオンによって補われ、また、該オリゴ糖残基は、これ自体が(AT−III媒介の)抗Xa活性を有するオリゴ糖に由来する;スペーサーは結合または本質的に薬理学的に不活性な結合残基である;GpIIb/IIIaアンタゴニストは、互いに10Åから20Åの距離で残基内に位置する場合によりエステル化されたカルボキシラート部分および塩基性部分を典型的には含む、フィブリノーゲンのRGDフラグメントおよび/またはK(QA)GDフラグメントを模倣する残基である)。本発明の化合物は抗血栓活性を有しており、血栓性疾患を処置または予防することにおいて使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な抗血栓化合物、該化合物を有効部分として含有する医薬組成物、ならびに、医薬品を製造するための該化合物の使用に関連する。
【背景技術】
【0002】
急性心筋梗塞、虚血および卒中は、アテローム硬化性冠状動脈における閉塞性血栓の形成によって引き起こされる。動脈血栓は、血小板(栓球)が(増大したレベルの)フィブリノーゲンと凝集することによって形成される。このプロセスは、フィブリノーゲンがフィブリン塊に切断される凝固系の刺激された状態および不均衡に関連する。これらの一次的および二次的な止血経路の1つにおける介入は(動脈)血栓症の処置において不可欠である。
【0003】
セリンプロテアーゼは、血液凝固カスケードにおいて重要な役割を果たしている酵素である。このプロテアーゼ群のメンバーは、例えば、トロンビン、トリプシン、第VIIa因子、第IXa因子、第Xa因子、第XIa因子、第XIIa因子およびプロテインCである。トロンビンが凝固カスケードにおける最後のプロテアーゼ酵素である。トロンビンの主な機能は、フィブリンモノマーを生じさせるためのフィブリノーゲンの切断であり、この後、フィブリンモノマーは架橋され、不溶性ゲルを形成する。加えて、トロンビンは、このカスケードにおいてより上流での第V因子および第VIII因子の活性化によってこれ自身の産生を調節する。トロンビンはまた、細胞レベルでも重要な作用を有しており、この場合、トロンビンは特異的な受容体に対して作用して、血小板凝集、内皮細胞の活性化および繊維芽細胞の増殖を引き起こす。このように、トロンビンは止血および血栓形成において中心的な調節的役割を有している。第Xa因子はプロトンビンのトロンビンへの変換を触媒する。第Xa因子の阻害は血液凝固の阻害を効果的にもたらす。
【0004】
血小板凝集は、いくつかの活性化因子によって、すなわち、トロンビンによってだけでなく、ADP、コラーゲンおよびエピネフリンによっても開始される。すべての場合において、血小板凝集に至る最後の共通する経路は、フィブリノーゲンがこの受容体(重要な膜糖タンパク質複合体GPIIb/IIIa)に結合することである。従って、このタンパク質に対するフィブリノーゲン結合の阻害は、(動脈)血栓形成の防止および血栓性疾患の処置のために血小板凝集を阻害する非常に効果的な方法であると考えられる。
【0005】
GPIIb/IIIa(αIIbβ)は、インテグリンファミリーに属する表面受容体である。インテグリンは2つの鎖(αサブユニットおよびβサブニット)から構成され、この場合、2つの鎖はカルシウム依存的に非共有結合性の結合によってつながれる。GPIIbは、二価カチオン結合ドメインを有するαサブユニット(αIIb)を構成し、これに対して、GPIIIaはプロタイプ(protypical)βサブニット(β)である。様々なインテグリンが身体中の細胞から単離されており、これらは細胞−細胞接着および細胞−基質接着ならびにシグナル伝達の媒介因子である。3つの結合部位がGPIIb/IIIa上に存在する:アミノ酸配列Arg−Gly−Aspを認識する結合部位(RGD結合部位)、Lys−Gln−Ala−Gly−Aspを認識する別の結合部位(KQAGD結合部位)、および、Lys−Gly−Aspを認識する結合部位(KGD結合部位)。
【0006】
循環している各々の血小板には、35,000個から100,000個のGPIIb/IIIa複合体が存在しており、ほとんどが血小板表面に分布し、より小さいプールが内部リザーバーに存在する。GPIIb/IIIa複合体は、血小板が外因性アゴニスト(例えば、ADPまたはトロンビンなど)によって活性化されるまではこの血漿リガンドと相互作用しない。このことが生じるとき、インサイドアウト(inside−out)シグナルが生じ、この結果、複合体分子がフィブリノーゲンおよび他のリガントと結合することを可能にさせる、複合体の細胞外部分での配座変化がもたらされる。
【0007】
フィブリノーゲンのα鎖(RGD)フラグメントおよびγ鎖(KQAGDV)フラグメントを模倣する化合物はアンタゴニストとして作用する場合がある。ペプチドミメティック構造に基づく数多くの強力なGPIIb/IIIaアンタゴニストが以前から記載されている。
【0008】
いくつかの(非常に)強力な例が、Ro435054、キセミロフィバン、RWJ50042、チロフィバンおよびラミフィバンである。しかしながら、優れた効能および薬理学的プロフィールをインビトロで示す非常に多数のGPIIb/IIIaアンタゴニストがさらに開発されていないか、または、血小板凝集の一貫した抑制がないこと、および、(部分的には)化合物の短い半減期により引き起こされ不明瞭な薬理学的挙動のために、後期段階の臨床試験に達した後で保留されている。短い半減期は遊離薬物の血漿中レベルにおける大きな変動をもたらし、用量応答における個体間の変動性の一因になり得る(治療をモニターすることが要求される)。
【0009】
様々なGPIIb/IIIaアンタゴニストによるすべての大規模な臨床試験において、治療効果が軽微にすぎず、また、さらに糖タンパク質IIb/IIIa受容体アンタゴニスト処置群の患者(経口処置)において死亡率の増大さえも観測されたことが、H.Dariusによって、Thromb Res.、2001、103、S117からS124においてさらに報告されていた。これらの薬物の狭い治療域および限られた生物学的利用率が、血小板のフィブリノーゲン受容体の調節についての依然として非常に限られた知識とともに、この治療失敗の原因であると考えられた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
まとめると、(血小板凝集阻害の一貫したレベルを達成するために)好ましくはより長い半減期とともに予測可能な抗血栓作用を有するGPIIb/IIIaアンタゴニストが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、今回、凝固カスケード経路および血小板凝集経路の両方において2つの重要な標的(各々、第Xa因子およびGpIIb/IIIa)を阻害することによって混合型の薬理学的プロフィールを好ましくは有する阻害剤である新規な化合物が見出されている。
【0012】
本発明の化合物は、下記の式A:
オリゴ糖−スペーサー−GpIIb/IIIaアンタゴニスト (A)
(式中、
オリゴ糖は、4個から25個の単糖ユニットを含む負荷電のオリゴ糖残基であり、この場合、荷電は正荷電の対イオンによって補われ、また、該オリゴ糖残基は、これ自体が(AT−III媒介の)抗Xa活性を有するオリゴ糖に由来する;
スペーサーは結合または本質的に薬理学的に不活性な結合残基である;
GpIIb/IIIaアンタゴニストは、互いに10Åから20Åの距離で残基内に位置する場合によりエステル化されたカルボキシラート部分および塩基性部分を典型的には含む、フィブリノーゲンのRGDフラグメントおよび/またはK(QA)GDフラグメントを模倣する残基である)
を有し、
またはこの医薬的に許容される塩またはこのプロドラッグもしくは溶媒和物である。
【0013】
本発明の化合物は、凝固因子XaのATIII媒介による阻害と、フィブリノーゲンがこの受容体に結合することに拮抗することによる血小板凝集の阻害との両方によって効果的な抗血栓剤である。GpIIb/IIIa阻害剤が抗凝固治療と組み合わされる当分野で公知の混合治療(例えば、Expert Opin.Investg.Drugs(2003)、12(9)、1567、および、米国特許出願公開第2003/0199457号A1に記載される治療など)と比較したとき、本発明の化合物の薬物動態学的プロフィールおよび薬力学的プロフィールは、血小板凝集のより一貫した抑制、および、用量応答におけるより小さい個体間の変動性をもたらしている。本発明の化合物のさらなる利点は、薬理学的プロフィールを調整することができることである:例えば、(a)オリゴ糖のタイプを変えることによって、ATIIIに対する結合が影響を受け、これにより、Xa阻害活性の増大または低下がもたらされ、従って、各々、より長い半減期またはより短い半減期がもたらされ、また、(b)GpIIb/IIIaアンタゴニストのタイプを変えることによって、血小板凝集の阻害を増大または低下させることができ、また、(c)スペーサーの長さを変えることによって、各化合物の個々の薬理学的活性のさらなる調整が可能である。
【0014】
オリゴ糖を含む他のコンジュゲートが報告されており、これらは、五単糖および直接的なトロンビン阻害剤の合成コンジュゲート(Bioorg.Med.Chem.Lett.、1999、9(14)、2013から8;WO 99/65934;WO 01/42262)、または、2つのオリゴ糖(この場合、オリゴ糖の一方が、もう一方のオリゴ糖のAT−III媒介による抗Xa活性に加えて、間接的なAT−III媒介の抗トロンビン活性を示す)のコンジュゲート(欧州特許第0,649,854号)である。このような化合物は、抗血栓化合物でもあるが、凝固カスケードの因子に対して作用するだけである。一方で、本発明の化合物はまた、循環している血小板の表面に存在するGPIIb/IIIa受容体に対しても作用する。従って、作用機構は他のタイプの抗血栓コンジュゲートの各々とは大きく異なる。本発明の化合物に関しては、2つの相補的な抗血栓治療が1つだけの薬物物質において利用可能である。
【0015】
本発明の化合物は、血栓性疾患を処置し、(可能であれば)予防するために有用である。これには、凝固カスケードが活性化される数多くの血栓状態および前血栓状態が含まれ、これらには、深部静脈血栓症、肺塞栓症、血栓性静脈炎、血栓症または塞栓症からの動脈閉塞、血管形成術中または血管形成術後の動脈再閉塞、動脈傷害または浸襲的心臓学的手法の後での再狭窄、術後の静脈の血栓症または塞栓症、卒中および心筋梗塞が含まれるが、これらに限定されない。
【0016】
単糖ユニットが4個から25個である任意の負荷電のオリゴ糖残基が本発明の化合物において使用可能である。本発明の好適な化合物は、オリゴ糖が硫酸化オリゴ糖残基またはリン酸化オリゴ糖残基である化合物である。好ましくは、オリゴ糖残基は、これ自体が(AT−III媒介の)抗Xa活性を有するオリゴ糖に由来し、例えば、欧州特許第0.454,220号、欧州特許第0,529,715号、WO 97/47659、WO 98/03554およびWO 99/36443に開示されるオリゴ糖などに由来する。本発明による好ましい化合物は、オリゴ糖残基が4個から16個の単糖ユニットを有する化合物であり、最も好ましくは、オリゴ糖残基が硫酸化五単糖残基である化合物である。好ましい五単糖残基は下記の構造Bを有する:
【0017】
【化5】

(式中、R1は独立してOSOまたは(1−8C)アルコキシであり、この場合、荷電は正荷電の対イオンによって補われる)。
【0018】
特に好ましい五単糖は下記の構造Cを有する:
【0019】
【化6】

(式中、R1はOCHまたはOSOであり、
この場合、荷電は正荷電の対イオンによって補われる)。構造Cの最も好ましい五単糖において、R1はOCHである。
【0020】
スペーサーは結合または本質的に薬理学的に不活性な連結残基である。好ましい実施形態において、スペーサーは、好ましくは1個から50個の原子(オリゴ糖残基の酸素原子は含まれない)を有する本質的に薬理学的に不活性な連結残基である。スペーサーの化学的性質は、本発明の化合物の抗血栓活性のために大きな重要性を有していない。しかしながら、本発明の化合物のスペーサーは好ましくは柔軟である。好適なスペーサーを当業者によって容易に設計することができる。スペーサーのより好ましい長さは10原子から35原子であり、特に10原子から28原子である。合成上の理由のために、より長いスペーサーはあまり好適でないと見なされ、しかしながら、より長いスペーサーを問題なく本発明の化合物において適用することができる。好ましいスペーサーは少なくとも1つの−(CHCHO)−部分を含有する。より好ましいスペーサーはより多くの−(CHCHO)−部分を含有し、好ましくは、6個の−(CHCHO)−部分を含有する。最も好ましいスペーサーは−(CHCHO)−(CH−NH−C(O)−CHO−(CHCHO)−(CH−であり、この場合、*により示される末端がオリゴ糖残基の酸素に結合する。
【0021】
GpIIb/IIIaアンタゴニスト残基に対するスペーサーの結合部位は、GpIIb/IIIaアンタゴニスト活性が損なわれないならば、本質的には自由に選ぶことができる。従って、典型的に存在するカルボキシラート部分(場合によりエステル化される)および塩基性部分は影響を受けないままにしておかなければならない。
【0022】
本発明による好ましい化合物において、GpIIb/IIIaアンタゴニスト残基は、Ro435054、SC54701(キセミロフィバン)、RWJ50042、シブラフィバン(Ro443888)、ラミフィバン(Ro449883)、GPI562、FK633、チロフィバン(MK383)、オルボフィバン(SC57101)、エプチフィバチド(C6822)、ロキシフィバン(XV459)、エラロフィバン(RWJ53308)、SR121787、レフラダフィバン(BIBU52)、ロトラフィバン(SB214857)、ガントフィバン(YM028)、T−250、EF5077、ZD2486、TAK029、TP9201、L703014、SR121566(SR121787の活性形態)に由来する残基から選択される。前記残基の誘導体はまた、化学修飾された残基を含み、この場合、(場合によりエステル化された)カルボキシラート部分および塩基性部分(または保護された塩基部分)を含む部分は保持される。
【0023】
好ましいGpIIb/IIIaアンタゴニスト残基は下記の構造Dを有する:
Y−N(H)−C(O)−X (D)
(式中、Yは、N(H)−C(O)−C(R2)(C(R2)COOH)またはN(H)−C(O)−C(R2)(CHアリール)−N(H)−C(O)−:C(R2)(C(R2)COOH)、O−フェニレン−C(R2)−C(R2)(COOH)−N(H)−C(O)−C(R2)(C(R2)COOH)、O−フェニレン−C(R2)−C(R2)(C(O)−R3−O−C(R2)COOH)であり、
ただし、R2は独立してHまたは(1−4C)アルキルである;アリールは、フェニル、ヒドロキシフェニル、チオフェニルまたはピリジニルであり、R3はピペリジニルである;
Xは、ベンズアミジン、(CH−N(H)−C(O)−ベンズアミジン、(CH−C(O)−N(H)−ベンズアミジン、または
【0024】
【化7】

(式中、nは0、1、2または3である)。
【0025】
本発明の最も好ましい化合物は、実施例に記載されるような化合物II、化合物V、化合物VIII、化合物X、化合物XI、化合物XII、化合物XIII、化合物XIV、化合物XVおよび化合物XVIであり、このなかでも、化合物XIIIが最も好ましい。
【0026】
正荷電の対イオンは、H、Na、KおよびCa2+などを意味する。好ましくは、式(A)の化合物はこのナトリウム塩の形態である。
【0027】
塩基性部分という用語は、任意の周知の塩基性部分(例えば、アミン、アミジン、グアニジンおよびピペリジンなど)を意味する。
【0028】
表現「互いに10Åから20Åの距離で」により、結合に沿って測定されるだけでなく、別の基に関して2つの基の空間的配向が意味される。周知のモデル化技術が、距離を決定するために当業者には利用可能である(例えば、J.Med.Chem.、1994、37、2537から2551を参照のこと)。
【0029】
(1−8C)アルキルという用語は、1個から8個の炭素原子を有する分枝状アルキル基または非分枝状アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ヘキシルおよびオクチルなどを意味する。メチルおよびエチルが好ましいアルキル基である。
【0030】
用語「プロドラッグ」は、活性な化合物に体内で代謝される化合物(例えば、式Aの化合物のGpIIb/IIIaアンタゴニスト残基における塩基性部分(例えば、アミノ基またはベンズアミジノ基など)が、例えば、ヒドロキシ基、(1−6C)アルコキシ基または(1−6C)アルコキシカルボニル基により保護されている化合物)を意味する。
本発明による溶媒和物には、水和物が含まれる。
【0031】
本発明の化合物は、例えば、Ro435054、RWJ50042またはSC54701(キセミロフィバンの薬理学的活性形態)、チロフィバン、ラミフィバン、もしくはこれらのアナログに由来する、より初期に記載されたGPIIb/IIIaアンタゴニストを、当分野で一般に公知の様々な方法を使用して、アミノ酸、ペプチドミメティクスまたはさらなる官能基(例えば、−COOH、−NH、−SHまたは−OHなど)で場合により修飾することによって調製することができる。このような修飾されたRGDアナログを合成する一例が、Bioorganic Chemistry、29、357から379(2001)に記載され、この場合、化合物は、標的化された薬物送達のための潜在的なベクターとして示唆されている。本発明によれば、場合により修飾されたGPIIb/IIIaアンタゴニスト部分はオリゴ糖に直接カップリングされる(a)か、または、場合により修飾されたGpIIb/IIIaアンタゴニスト部分はオリゴ糖−スペーサー残基にカップリングされる(b)か、または、場合により修飾されたGpIIb/IIIaアンタゴニスト部分はスペーサーにカップリングされ(c)、続いて、オリゴ糖−スペーサー残基にカップリングされる(これらは、例えば、WO 99/65934、WO 01/42262から知られている方法によって行われる)。任意の好適なオリゴ糖をこの目的のために使用することができ、例えば、文献において知られているオリゴ糖(例えば、欧州特許第0,454,220号および欧州特許第0,529,715号から知られているオリゴ糖、しかし、これらの供給源に限定されない)または市販のオリゴ糖をこの目的のために使用することができる。オリゴ糖は、当分野で公知の様々な方法によって、例えば、Buijsman,R.ら(Bioorg.Med.Chem.Lett.、1999、9、2013から2018)により記載されるような方法によって適切な時点でリン酸することができる。オリゴ糖に対するスペーサーのカップリングを、例えば、欧州特許第0,649,854号に記載される方法を使用することによって行うことができる。
【0032】
本発明の化合物のGpIIb/IIIaアンタゴニスト部分(のための基礎)として役立ち得る公知のGpIIb/IIIaアンタゴニストの他の例(しかし、これらの例に限定されない):化合物Ro438857(J.Med.Chem.35、4393(1992))、Ro483657、BIBL12、FK633、GR144053、EMD76334、SR121566、SB208651、SC54684、SC52012、DMP754、FR158999、GR200976、XV788、MK383(チロフィバン)、RWJ53308、ZD2486、L709780、RGD891、T250、C6822、BIBU104、SB214857、SC57101、G7453、TAK029、XV454、XV459、L734217、DMP802、SR121787、TP9201、DMP757、SC52012、RPR109891、YM68128、ME3229、ME3230、CT50352、MK852、S1197、DMP728、SC57345、L738167、GR233548、RO438857、TA993、YM337、BIBW194、BIBU129、BIBW98、テトラフィブリシン、L703014、BIBU251、GR91669、RG13965、G7446、PS028、XR300、NSL9403、L756568、S1762、L746223、L767685、NSL95301、G4120、SB207043、GR83895、P246、L739758、XR299、SV873、RWJ50228、XQ870、EF5154、AR0510、G7570、G7442、G7464、RWJ52656、TAK024、MS180、MS28168、XU063、XU065、L734115、SM20302、TS943、NSL96184、UR12947、XU057、L750034、UR3216、UR2922、CP4632、AR0598、SC79992、SC4992、RGD039、ME3277、T250、SC57099B、SKF106760、SKF107260、RWJ52654、PSA0613、CGH400、NSL95317、XT111、RWJ27755、L736622、SC46749、SM20302、YM570029、CY311176および、欧州特許第0,529,858号、WO 96/20172、欧州特許第0,496,378号、欧州特許第0,530,505号、Bioorg.& Med.Chem.、539(1995)、WO 93/08174、J.Am.Chem.Soc.115、8861(1993)、J.Med.Chem.43、3453(2000)、Bioorg.Med.Chem.、337(1995)、米国特許第5,239,113号、米国特許第5,344,957号、米国特許第5,973,003号、米国特許第5,703,125号、WO 96/37464、WO 93/07867、米国特許第5,378,712号、欧州特許第445,796号、米国特許第5,273,982号、米国特許第5,770,575号、WO 01/602813、欧州特許第656,348号、米国特許第5,726,185号、欧州特許第505,868号、欧州特許第560,730号、米国特許第5,561,112号、欧州特許第513,675号、米国特許第5,574,016号、WO 94/09030、欧州特許第478,363号、米国特許第5,292,756号、米国特許第5,206,373号、WO 93/16994、米国特許第5,312,923号、欧州特許第743,302号、米国特許第5,658,929号、米国特許第5,880,136号、米国特許第5,814,643号および米国特許第6,040,317号に記載される化合物。
【0033】
また、フィブリノーゲンのRGDフラグメントおよび/またはK(QA)GDフラグメントを模倣し、典型的には、互いに10Åから20Åの距離で残基内に位置する場合によりエステル化されたカルボキシラート部分および塩基性部分を含む新たに設計されたGpIIb/IIIaアンタゴニスト残基を含む化合物も本発明に含まれる。
【0034】
ペプチドカップリング、すなわち、本発明の化合物を調製するための上記方法における手順工程を、ペプチドフラグメントをカップリング(または縮合)するための当分野で一般に公知の方法によって行うことができ、例えば、アジド法、混合無水物法、活性化エステル法、カルボジイミド法などによって、または、好ましくは、TBTUのようなアンモニウム/ウロニウム塩の影響のもと、特に、触媒作用のラセミ化抑制化合物(例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドおよびN−ヒドロキシベンゾトリアゾールのような化合物)の添加とともに行うことができる。概略が、The Peptides,Analysis,Syntheisi,Biology、第3巻、E.GrossおよびJ.Meienhofer編、(Academic Press、New York、1981年)に示される。
【0035】
化合物に存在するアミン官能基は、α−アミノ基を保護するためにペプチド化学において一般に使用される基を意味するN−保護基(例えば、tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)基、ベンジルオキシカルボニル(Z)基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基またはフタロイル(Phth)基のようなN−保護基)によって合成手順時に保護することができ、もしくは、アジド部分の脱マスク化によって導入することができる。アミノ保護基およびこの除去方法の概略が上述のThe Peptides,Analysis,Syntheisi,Biology(第3巻)に示される。
【0036】
アミジン官能基は、存在する場合には、カップリング工程においては非保護のままにしておくことができ、または、カルバマート(例えば、アリルオキシカルボニルまたはベンジルオキシカルボニルなど)を使用して保護することができる。アミジン官能基は、好ましくは、1,2,4−オキサジアゾリン−5−オン部分を前駆体として使用することによって穏和な条件のもとで導入される。
【0037】
カルボン酸基を、α−カルボン酸基を保護するためにペプチド化学において一般に使用される基(例えば、tert−ブチルエステルなど)によって保護することができる。修飾されたGPIIb/IIIaアンタゴニストのカルボン酸基は、好ましくは、ベンジルエステルとして保護される。保護基の除去を、このような保護基の性質に依存して種々の方法で行うことができる。通常、脱保護は、酸性条件下、スカベンジャーの存在下で行われるか、または還元性条件(例えば、接触水素化など)で行われる。
【0038】
GPIIb/IIIaアンタゴニストをオリゴ糖にコンジュゲート化するための必要条件は、オリゴ糖残基またはオリゴ糖−スペーサー誘導体に直接カップリングすることができるか、もしくは、スペーサーを介してオリゴ糖−スペーサー誘導体にカップリングすることができる直交性の反応性アンカー基(例えば、カルボキシラート基など)の存在である。このようなコンジュゲート化を可能にするために、ほとんどの場合において、GPIIb/IIIaアンタゴニストのさらなる修飾が必要である。
【0039】
式Iの化合物への途中でのスペーサー由来の構築用ブロックの構築を、アミノ酸、この誘導体またはペプチドミメティクスの段階的な導入による線形様式、もしくは、中間構築物のブロックカップリングによる収束様式のいずれかで、当分野で周知の方法を使用して様々な方式で達成することができる。
【0040】
本発明の化合物は、遊離塩基の形態で存在し得るが、医薬的に許容される塩の形態で反応混合物から単離することができる。医薬的に許容される塩はまた、式(I)の遊離塩基を有機酸または無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、メタンスルホン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸およびアスコルビン酸など)により処理することによって得ることができる。
【0041】
本発明の化合物はキラルな炭素原子を有する場合があり、従って、純粋なエナンチオマーとして、または、エナンチオマーの混合物として、または、ジアステレオマーを含有する混合物として得ることができる。純粋なエナンチオマーを得るための様々な方法が当分野で周知である(例えば、光学活性な酸およびラセミ混合物から得られる塩の結晶化、または、キラルなカラムを使用するクロマトグラフィー)。ジアステレオマーについては、順相カラムまたは逆相カラムを使用することができる。
【0042】
本発明の化合物は腸管経路または非経口経路によって投与することができる。本発明の化合物およびこの組成物の正確な用量および治療法は、必然的に、医薬品が投与されている個々の対象の必要性、病気または必要性の程度、および、医師の判断に依存する。一般には、非経口投与は、より大きく吸収に依存する他の投与方法よりも低い投薬量を必要とする。しかしながら、1日投薬量は、ヒトについては、好ましくは0.0001mg/kg体重から10mg/kg体重であり、より好ましくは0.001mg/kg体重から1mg/kg体重である。
【0043】
本発明の化合物を用いて製造される医薬品はまた、(急性)抗血栓治療において佐剤として使用することができる。このような場合において、医薬品は、このような疾患状態を処置することにおいて有用な他の化合物(例えば、アスピリン、クロピドグレルまたはスタチン類など)とともに投与される。
【0044】
医薬的に好適な補助剤、例えば、標準的な参考書、Gennaroら、Remington’s Pharmaceutical Sciences(第18版、Mack Publishing Company、1990;特に、第8部:医薬調製物およびこの製造を参照のこと)に記載されるような補助物と混合される場合、本発明の化合物は、固体の投薬単位物(例えば、ピル、錠剤など)に圧縮成形することができ、もしくは、カプセルまたは坐薬に加工することができる。医薬的に許容される液体によって、化合物は、例えば、注射調製物として使用するための溶液、懸濁物、エマルションの形態で、または、鼻腔スプレー剤として使用するためのスプレー剤として適用することができる。
【0045】
投薬単位物(例えば、錠剤)を作製するために、従来の添加剤(例えば、賦形剤、着色剤およびポリマー結合剤など)の使用が意図される。一般には、活性な化合物の機能を妨害しない任意の医薬的に許容される添加剤を使用することができる。
【0046】
組成物が一緒に投与され得る好適なキャリアには、好適な量で使用されるラクトース、デンプンおよびセルロース誘導体など、またはこれら混合物が含まれる。
【0047】
本発明は下記の実施例によってさらに例示される。
【実施例】
【0048】
使用される略号。
Aq.=水性
Ala=アラニン
Alloc=アリルオキシカルボニル
Asp=(L)−アスパラギン酸
ATIII=アンチトロンビンIII
Bn=ベンジル
Boc=tert−ブチルオキシカルボニル
Bt=ベンゾトリアゾール
t−Bu=tert−ブチル
DCM=ジクロロメタン
DiPEA=N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMAP=N,N−ジメチルアミノピリジン
DMF=N,N−ジメチルホルアミド
EDC=1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩
Et=エチル
ESI=エレクトロスプレーイオン化
HPLC=高速液体クロマトグラフィー
HOBt=N−ヒドロキシベンゾトリアゾール
NMM=N−メチルモルフォリン
Me=メチル
MS=質量分析
Phe=(L)−フェニルアラニル
sat.=飽和
RT=室温
TBTU=2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート
TEA=トリエチルアミン
TFA=トリフルオロ酢酸
THF=テトラヒドロフラン
Tos=トルエン−4−スルホニル
TRAP=トロンビン受容体アゴニストペプチド
Tyr=L−チロシン
Z=ベンジルオキシカルボニル
【0049】
(スキーム 1)
エチル=N−(4−(シアノ−ベンゾイル)−β−アラニン(2)
エチル=β−アラニン.HCl(2.81g、18.3mmol)および4−シアノベンゾイルクロリド(3.03g、18.0mmol)をDCM(30mL)中に含む懸濁物をRTで一晩撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、aq.クエン酸(3%)、aq.NaHCOおよびHOにより洗浄した。乾燥(MgSO)および溶媒のエバポレーションにより、化合物2を得た(2.52g、56%)。
【0050】
N−(4−[1,2,4−オキサジアゾール−5−オニル]ベンゾイル)−β−アラニンエチルエステル(3)
化合物2(2.50g、10.2mmol)をEtOH(70mL)に溶解した。ヒドロキシルアミン.HCl(0.99g、14.3mmol)およびEtN(2.49mL、17.3mmol)を加え、混合物をRTで一晩撹拌した。1.5時間の還流を行った後、反応は完了していた。生成物が冷却および濃縮(約10mL以下)によって析出し、生成物をろ過し、EtOHにより洗浄し、真空下で乾燥した。
【0051】
微量のHOをピリジンとの共エバポレーション(15mLで3回)によって粗ヒドロキシベンズアミジン(2.8g、10mmol)から除き、この後、粗ヒドロキシベンズアミジンをピリジン(100mL)に溶解した。クロロギ酸エチル(1.43mL、15.0mmol)を加え、混合物を還流温度で18時間撹拌した。反応を、HO(200mL)に注ぐことによって停止させ、この後、EtOAcによる抽出(75mLで3回)を行った。有機層を乾燥(MgSO)し、濃縮した。残留ピリジンをトルエンとのエバポレーションによって除いた。再結晶(EtOAc/ヘキサン)により、生成物をわずかにピンク色の固体として得た(2.48g、81%)。
【0052】
N−(4−[1,2,4−オキサジアゾール−5−オニル]ベンゾイル)−β−アラニン(4)
化合物3(0.60g、2.0mmol)を1,4−ジオキサン/HOの混合物(10mL、1/1、v/v)に溶解した。aq.NaOH(2.0mL、2N)を加え、混合物をRTで3時間撹拌した。反応混合物をDowexHにより中和し、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、得られた白色の固体を真空下で乾燥した。収量:0.51g(93%)。
【0053】
1−アジド−1−デオキシ−テトラエチレングリコール(5)
テトラエチレングリコール(90g、0.46mol)を0℃に冷却し、水酸化ナトリウム(3.0g、75mmol)を10mLのHO中に含む溶液を加え、続いて、100mLのTHFを加えた。混合物を30分間激しく撹拌した。50mLのTHFに溶解したp−トルエンスルホニルクロリド(8.8g、46mmol)を、均一な混合物を保つために激しく撹拌しながら、0℃でゆっくり加えた。5時間撹拌した後、混合物を400mLのHOに注いだ。溶液をDCMにより抽出した(20mLで4回)。有機層を一緒にして、HO(20mL)およびブライン(20mL)により洗浄し、乾燥(MgSO)した。ろ過後、溶媒を減圧下で除いて、モノトシラートをオイルとして得た。
【0054】
この粗化合物をEtOH(120mL)およびHO(18mL)の混合物に溶解した。アジ化ナトリウム(3.25g、50mmol)を加え、混合物を60℃で一晩撹拌した。EtOHを真空(50mbar、50℃)下でエバポレーションし、150mLのEtOAcを加えた。溶液をブライン(20mL)により洗浄し、MgSOで乾燥した。ろ過後、溶媒を減圧(50mbar、50℃)下で除いて、アジド5をオイルとして得た(6.25g、2工程で62%の収率)。
【0055】
15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカン酸tert−ブチル(6)
化合物5(1.15g、5.25mmol)をトルエン(10mL)に溶解した。この溶液に、水酸化ナトリウムの50%aq.溶液(12.5N、5mL)、硫酸水素テトラブチルアンモニウム(0.34g、1.05mmol)およびブロモ酢酸tert−ブチル(4.27mL、26.3mmol)を加えた。懸濁物をRTで激しく撹拌した。3時間後、混合物をEtOAc(10mL)で希釈し、ブライン(10mL)、塩酸(2N、5mL)およびHO(5mL)により洗浄した。aq.層をEtOAcで抽出し、この後、有機層を一緒にして乾燥(MgSO)した。濃縮後、粗生成物をシリカゲル(20g)カラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘプタン→EtOAc、1/0→0/1)によって精製した。適切な画分の濃縮により、アジドを淡黄色のオイルとして得た(1.25g、71%)。Rf:0.8(EtOAc/MeOH、95/5、v/v)。
【0056】
アジドの還元を、酢酸(0.2mL)を含有するEtOH(30mL)において10%Pd/C(100mg)での水素化によって行った。4時間後、触媒を2層のWhatmanGF/Aフィルターでのろ過によって除いた。ろ液を濃縮し、DCM(25mL)に溶解し、Argonaut MP炭酸塩型樹脂で処理して、酢酸を除いた。樹脂をろ過によって除き、溶媒のエバポレーションにより、化合物6を1.17gの収量(100%)で得た。
【0057】
(N−ベンジルオキシカルボニル−L−フェニルアラニル)−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカン酸tert−ブチル(7)
化合物6(3.60g、11.7mmol)およびZ−Phe−OH(3.51g、11.7mmol)をDCM(30mL)に溶解した。HOBt(1.39g、11.7mmol)、EDC(2.83g、14.0mmol)およびTEA(3.38mL、23.4mmol)を続けて加え、溶液を一晩撹拌した。反応混合物をEtOAc(30mL)で希釈し、sat.aq.NaHCO(10mLで2回)、5%aq.クエン酸(10mL)およびHO(10mL)により洗浄した。有機相を乾燥(MgSO)し、減圧下で濃縮した。精製をシリカゲル(75g)カラムクロマトグラフィー(溶出液:EtOAc→EtOAc/MeOH、95/5、v/v)によって行い、化合物7を無色のオイルとして得た(4.95g、72%)。Rf:0.5(EtOAc/MeOH、95/5、v/v)。
【0058】
(L−フェニルアラニル)−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカン酸tert−ブチル(8)
化合物7(2.42g、4.11mmol)を、酢酸(0.4mL)を含有するEtOH(100mL)に溶解し、10%Pd/C(0.1g)の存在下、H雰囲気のもとで撹拌した。16時間後、混合物をろ過し、濃縮した。酢酸を、トルエンにおける生成物の濃縮およびDCM(20mL)におけるArgonaut MP炭酸塩型樹脂(1.3g)による処理を繰り返すことによって除いた。樹脂をろ過し、溶媒をエバポレーションして、化合物8を無色のオイルとして得た(1.69g、90%)。Rf:0.05(EtOAc/MeOH、95/5、v/v)。
【0059】
(N−tert−ブチルオキシカルボニル−O−ベンジル−L−アスパルチル−L−フェニルアラニル)−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカン酸tert−ブチル(9)
化合物8(1.69g、3.71mmol)を、TEAの代わりにNMM(0.84mL、7.4mmol、pH8.3にて)を使用して、化合物7の合成について以前に記載されたように、Boc−AspBn−OH(1.20g、3.71mmol)にカップリングした。処理後、黄色のオイルが得られ、これをシリカゲル(50g)カラムクロマトグラフィー(溶出液:EtOAc/ヘプタン(2/1)→EtOAc/MeOH(95/5、v/v))によって精製して、化合物9を無色のオイルとして得た(2.30g、82%)。Rf:0.6(DCM/MeOH、9/1、v/v)。
【0060】
(O−ベンジル−L−アスパルチル−L−フェニルアラニル)−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカン酸tert−ブチル(10)
Boc保護の化合物9(1.09g、1.43mmol)をEtOAcにおける塩酸の1.5N溶液(10mL)により処理した。RTで100分間撹拌した後、反応混合物を冷却し(0℃)、sat.aq.NaHCOの冷却された溶液(15mL)に注ぐことによって中和した。aq.層をEtOAcで抽出し(10mLで2回)、有機層を一緒にして、HO(10mL)により洗浄し、乾燥(MgSO)した。濃縮により、粗化合物10が得られ、これを、精製することなく、次の反応において使用した。Rf:0.2(EtOAc/MeOH、95/5、v/v)。
【0061】
({N−(4−[1,2,4−オキサジアゾール−5−オニル]ベンゾイル)−β−アラニル}−O−ベンジル−L−アスパルチル−L−フェニルアラニル)−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカン酸tert−ブチル(11)
カルボン酸4(0.12g、0.42mmol)およびアミン10(粗化合物、最大で0.40mmol)をDMF(5mL)に溶解した。HOBt(50mg、0.42mmol)、EDC(94mg、0.50mmol)およびNMM(88μL、0.61mmol)を続けて加え、溶液を一晩撹拌した。褐色の溶液をEtOAcおよび2−ブタノールの混合物(10mL、1/1、v/v)で希釈し、3%クエン酸(5mL)、sat.NaHCO(5mL)およびブライン(5mL)により抽出した。aq.相をEtOAcで連続して抽出し、有機層を一緒にして、MgSOで乾燥した。溶媒を除いて、粗化合物11を得た(0.27g、78%)。これを、精製することなく、次の反応において使用した。Rf:0.2(DCM/MeOH、9/1、v/v)。
【0062】
({N−(4−[1,2,4−オキサジアゾール−5−オニル]ベンゾイル)−β−アラニル}−O−ベンジル−L−アスパルチル−L−フェニルアラニル)−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカン酸(12)
化合物11(0.2g、粗化合物、最大で0.22mmol)をDCM(5mL)およびTFA(3mL)の混合物において撹拌した。2時間後、溶液を濃縮し、残留するTFAを、トルエンにおける反復した濃縮(5mLで3回)によって除いた。生成物を調製用HPLC−MSによって精製して、化合物12を純粋な形態で得た(0.11g、9から3工程で56%)。
【0063】
({N−(4−アミジノベンゾイル)−β−アラニル}−L−アスパルチル−L−フェニルアラニル)−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカン酸tert−ブチル(I)
【0064】
【化8】

【0065】
化合物11(65mg、粗化合物、最大で71μmol)を、EtOH(10mL)、HO(2mL)および酢酸(0.1mL)の混合物に溶解した。10%Pd/C(50mg)を加え、混合物をHガスの雰囲気のもとで一晩撹拌した。触媒を2層のWhatmanGF/Aフィルターでのろ過によって除き、ろ液を濃縮した。生成物を、調製用HPLC−MSおよび凍結乾燥を適用することによって純粋な形態で得た。収量:7.7mg(14%、ESI−MS:787[M+H])。
【0066】
スペーサー由来のGPIIb/IIIaアンタゴニスト(12、23、31、33、43、50、52、54、62)を五単糖63にコンジュゲート化するための一般的手順(スキーム8およびスキーム9を参照のこと)
スペーサー由来のカルボン酸(33μmol)(すなわち、化合物12、化合物23、化合物31、化合物33、化合物43、化合物50、化合物52、化合物54または化合物62)を、DMFとの共エバポレーション(2mLで2回)によって乾燥し、DMF(1mL)に溶解して、TBTU(10.5mg、33μmol)およびDiPEA(5.7μL、33μmol)の存在下、N雰囲気のもとで撹拌した。1時間後、アミノスペーサー含有五単糖63(56mg、31μmol)を加えた。反応混合物をRTで一晩撹拌し、イオン交換クロマトグラフィー(Mono−Q)および逆相クロマトグラフィー(Luna C18)によって分析した。五単糖が完全に消費された後、反応混合物を濃縮した(50℃未満、15mmHg)。
【0067】
(粗)生成物(HOにおいて10mg/mL)を、10%Pd/C(粗生成物に関して重量で等量を加えた)での水素化(H)によって脱保護した。16時間後、溶液を脱ガスし、0.45μMのHPLC用フィルターでろ過し、減圧下で濃縮した(50℃未満、15mmHg)。コンジュゲートを、イオン交換クロマトグラフィー(Q−セファロース、緩衝液:HO→2M NaCl)、これに続く、Sephadex G−25カラムによる脱塩(HO)および凍結乾燥によって精製した。
【0068】
メチル=O−2,3−ジ−O−メチル−4−O−{({N−(4−アミジノベンゾイル)−β−アラニル}−L−アスパルチル−L−フェニルアラニル)−(15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカノイル)−(1−アザ−4,7,10−トリオキサドデシル)−6−O−スルホ−α−D−グルコピラノシル−(1−>4)−O−2,3−ジ−O−メチル−β−D−グルコピラヌロノシル−(1−>4)−O−2,3,6−トリ−O−スルホ−α−D−グルコピラノシル−(1−>4)−O−2,3−ジ−O−メチル−α−L−イドピラヌロノシル−(1−>4)−3−O−メチル−2,6−ジ−O−スルホ−α−D−グルコピラノシド八ナトリウム塩(II)
【0069】
【化9】

【0070】
生成物を、一般的手順に従った、12(21.4mg、24.8μmol)と五単糖63(42.4mg、23.6μmol)とのコンジュゲート化、精製および脱保護によって得た。白色の固体、収量:34mg(42%、2工程)。H−NMR(DO,600MHz,HH−COSY):δ3.38−3.32(8x s,34H,8x OMe);環D:5.36(d,1H,H1)、4.18(m,1H,H6a)、4.04(d,1H,H6b)、3.80(m,1H,H5)、3.47(m,1H,H3)、3.27(dd,1H,H2);環E:4.59(d,1H,H1)、3.82(m,1H,H4)、3.62(m,1H,H5)、3.45(m,1H,H3)、3.15(m,1H,H2);環F:5.27(d,1H,H1)、4.49(t,1H,H3)、4.33(d,1H,H6a)、4.20(m,1H,H2)、4.08(m,1H,H6b)、3.86(t,1H,H4);環G:4.92(bs,1H,H1)、4.54(d,1H,H5)、4.07(m,1H,H4)、3.74(1H,dd,H3)、3.37(m,1H,H2);環H:4.99(d,1H,H1)、4.25(m,1H,H2)、4.22(m,1H,H6a)、4.17(dd,1H,H6b)、3.92(ddd,1H,H5)、3.66(t,1H,H4)、3.58(m,1H,H3);スペーサー:3.96(s,2H,C(O)CHO)、3.62−3.51(m,26H,13x CHO)、3.33−3.30(m,4H,OCHCHNHCH(O)CH,OCHCHNHC(O)−Phe)、3.25(m,1H,OCH2aCHNHC(O)−Phe)、3.17(m,1H,OCH2bCHNHC(O)−Phe);ペプチド:7.84(d,2H,Haromベンズアミジン)、7.79(d,2H,Haromベンズアミジン)、7.25(t,2H,Harom Phe)、7.20(t,1H,Harom Phe)、7.09(d,2H,Harom Phe)、4.51(dd,1H,CH Asp)、4.38(t,1H,CH Phe)、3.60(m,2H,CHNβ−Ala)、2.83(dAB,2H,CHPhe)、2.52(t,2H,C(O)CHβ−Ala)、2.44(dAB,2H,CH Asp)。ESI−MS:計算値:2511.4;実測値:m/z1267.9[M+H+Na]2+、1256.9[M+2H]2+、1245.9[M+2H−Na]2+、852.9[M+H+2Na]3+、845.5[M+2H+Na]3+、838.3[M+3H]3+、639.9[M+2H+2Na]4+、1232.8[M−2Na]2−、1221.7[M−3Na+H]2−、1210.8[M−4Na+2H]2−、1199.8[M−5Na+3H]2−、814.1[M−3Na]3−
【0071】
【化10】

【0072】
(スキーム 2)
4−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)ベンゾニトリル(14)
4−アミノベンゾニトリル(13、2.95g、25mmol)およびジ−tert−ブチルジカルボナート(8.0mL、35mmol)をTHF(50mL)およびピリジン(4mL)の混合物において75℃で撹拌した。16時間後、赤色の反応混合物を冷却し、EtOAc(30mL)で希釈し、塩酸(1N、15mL)、sat.aq.NaHCO(15mL)およびブライン(15mL)により洗浄した。有機層を乾燥(MgSO)し、濃縮した。暗褐色のオイルをシリカゲル(75g)カラムクロマトグラフィー(溶出液:EtOAc/ヘプタン、1/5→1/2、v/v)によって精製し、これにより、化合物14を、30%以下のビス−Boc保護生成物を含有するオレンジ色のオイルとして得た(3.25g、60%)。後者の混合物を、さらに精製することなく、次の反応において使用した。
【0073】
4−(1,2,4−オキサジアゾール−5−オニル)アニリン(16)
化合物14(3.25g、14.9mmol)を、化合物3の調製について以前に記載されたように、オキサジアゾロン15に変換した。得られた明るいオレンジ色の粗固体をDCM(15mL)およびTFA(8mL)の混合物において5時間撹拌した。減圧下での濃縮およびトルエンとのエバポレーション(10mLで2回)により、褐色の固体を得た。これをシリカゲル(40g)カラムクロマトグラフィー(溶出液:EtOAc)によって精製して、化合物16を得た(1.81g、3工程で69%)。Rf:0.5(EtOAc)。
【0074】
N−[4−(1,2,4−オキサジアゾール−5−オニル)フェニル]スクシンアミド酸(17)
アニリン誘導体16(0.89g、5.0mmol)をピリジン(25mL)に溶解した。無水コハク酸(0.75g、7.5mmol)を4−N,N−ジメチルアミノピリジン(63mg、0.5mmol)と一緒に加え、混合物を100℃で一晩撹拌した。溶液を減圧下で濃縮し、薄い褐色の固体をEtOAc/MeOH/HOの混合物(60mL、5/35/1、v/v/v)から再結晶した。ろ過後、母液を10mL以下に濃縮して、カルボン酸17を固体として得た。これを真空下において50℃で16時間乾燥した。収量:1.28g(92%)。Rf0.3(DCM/MeOH/AcOH、100/10/1、v/v/v)。
【0075】
(N−tert−ブチルオキシカルボニル−O−ベンジル−L−アスパルチル)−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカン酸tert−ブチル(18)
化合物6(0.94g、3.1mmol)およびBoc−AspBn−OH(0.99g、3.1mmol)をDCM(8mL)に溶解した。HOBt(0.36g、3.1mmol)、EDC(0.74g、3.8mmol)およびNMM(0.34mL、6.2mmol)を続けて加え、溶液を一晩撹拌した。反応混合物をEtOAc(10mL)で希釈し、sat.aq.NaHCO(5mLで2回)、5%aq.クエン酸(5mL)およびHO(5mL)により洗浄した。有機相を乾燥(MgSO)し、減圧下で濃縮した。精製をシリカゲル(20g)カラムクロマトグラフィー(溶出液:EtOAc/ヘプタン、3/1→1/0、v/v)によって確立して、化合物18を無色のオイルとして得た(1.15g、61%)。Rf0.7(EtOAc/MeOH、95/5、v/v)。
【0076】
(O−ベンジル−L−アスパルチル)−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカン酸tert−ブチル(19)
化合物18(0.51g、0.83mmol)を、化合物10の合成について以前に記載されたのと同じ反応条件および処理手順に従って45分間処理した。生成物19を、さらに精製することなく、次の反応において使用した。
【0077】
N−{[4−(1,2,4−オキサジアゾール5−オニル)フェニル]スクシンアミル−(O−ベンジル−L−アスパルチル)}−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカン酸tert−ブチル(20)
化合物17(0.30mmol)および化合物19(0.30mmol)を、11の合成について以前に記載されたようにカップリングした。粗化合物20(0.17g、75%)を、さらに精製することなく、次の反応において使用した。Rf0.3(DCM/MeOH、9/1、v/v)。
【0078】
N−{(4−ベンズアミジノ)スクシンアミル}−L−アスパルチル−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカン酸tert−ブチル(III)
【0079】
【化11】

【0080】
20(32mg、41μmol)の接触水素化をEtOH/HO/AcOHの混合物において行った。ろ過、濃縮、および、調製用HPLC−MSによる精製により、スペーサー誘導体IIIを白色の固体として得た。収量:20mg(77%)。ESI−MS:640[M+H]
【0081】
N−[4−(1,2,4−オキサジアゾール−5−オニル)フェニル]スクシンアミル}−(O−ベンジル−L−アスパルチル−L−フェニルアラニル)−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカン酸tert−ブチル(22)
オキサジアゾロン17(24mg、88μmol)および粗アミン10(最大で58mg、88μmol)を、化合物11の合成について以前に記載されたようにカップリングした。粗生成物22を、さらに精製することなく、次の反応において使用した。Rf0.6(DCM/MeOH、9/1、v/v)。
【0082】
N−[4−(1,2,4−オキサジアゾール5−オニル)フェニル]スクシンアミル}−(O−ベンジル−L−アスパルチル−L−フェニルアラニル)−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカン酸(23)
粗化合物22(最大で88μmol)をDCM(1.0mL)およびTFA(1.0mL)の混合物において撹拌した。2時間後、溶液を濃縮し、生成物を調製用HPLCによって精製した。適切な画分の濃縮により、化合物23を31mgの収量で得た(最後の3工程で41%)。
【0083】
N−{(4−ベンズアミジノ)スクシンアミル}−L−アスパルチル−L−フェニルアラニル−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカン酸tert−ブチル(IV)
【0084】
【化12】

【0085】
粗化合物22(最大で80mg、87μmol)を、EtOH(7mL)およびHO(1mL)の混合物において10%Pd/C(50mg)での接触水素化によって脱保護した。24時間後、混合物をろ過し、濃縮し、粗生成物を調製用HPLCによって精製した。化合物IVを、凍結乾燥後、10.5mgの収量(15%)で白色の泡状物として単離した。ESI−MS:787[M+H]
【0086】
メチル=O−2,3−ジ−O−メチル−4−O−{[N−(4−ベンズアミジル)スクシンアミル]−L−アスパルチル−L−フェニルアラニル)−(15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカノイル)−(1−アミノ−4,7,10−トリオキサドデシル)}−6−O−スルホ−α−D−グルコピラノシル−(1−>4)−O−2,3−ジ−O−メチル−β−D−グルコピラヌロノシル−(1−>4)−O−2,3,6−トリ−O−スルホ−α−D−グルコピラノシル−(1−>4)−O−2,3−ジ−O−メチル−α−L−イドピラヌロノシル−(1−>4)−3−O−メチル−2,6−ジ−O−スルホ−α−D−グルコピラノシド八ナトリウム塩(V)
【0087】
【化13】

【0088】
カルボン酸23(30.0mg、34.8μmol)の五単糖63(59.4mg、56.4μmol)へのコンジュゲート化、これに続く精製および脱保護を一般的手順に従って行った。コンジュゲートVを白色の固体として得た。収量:37.5mg(48%、2工程)。
【0089】
H−NMR(DO,600MHz,HH−COSY):δ3.43−3.32(8x s,34H,8x OMe);環D:5.36(d,1H,H1)、4.21(m,1H,H6a)、4.05(d,1H,H6b)、3.79(m,1H,H5)、3.48(m,1H,H3)、3.33(m,1H,H4)、3.20(dd,1H,H2);環E:4.58(d,1H,H1)、3.79(m,1H,H4)、3.65(m,1H,H5)、3.48(m,1H,H3)、3.15(m,1H,H2);環F:5.26(d,1H,H1)、4.48(t,1H,H3)、4.32(d,1H,H6a)、4.22(m,1H,H6b)、4.15(dd,1H,H2)、4.08(m,1H,H5)、3.84(t,1H,H4);環G:4.98(bs,1H,H1)、4.55(d,1H,H5)、4.07(m,1H,H4)、3.73(1H,dd,H3)、3.37(m,1H,H2);環H:4.98(d,1H,H1)、4.25(dd,1H,H2)、4.21(m,1H,H6a)、4.17(m,1H,H6b)、3.92(ddd,1H,H5)、3.66(t,1H,H4)、3.58(m,1H,H3);スペーサー:3.96(s,2H,C(O)CHO)、3.61−3.51(m,26H,13x CHO)、3.38−3.30(m,4H,OCHCHNHCH(O)CH,OCHCHNHC(O)−Phe)、3.19(m,1H,OCH2aCHNHC(O)−Phe)、3.12(m,1H,OCH2bCHNHC(O)−Phe);ペプチド:7.69(d,2H,Haromベンズアミジン)、7.63(d,2H,Haromベンズアミジン)、7.25(t,2H,Harom Phe)、7.20(t,1H,Harom Phe)、7.09(d,2H,Harom Phe)、4.44(dd,1H,CH Asp)、4.38(t,1H,CH Phe)、2.90(dAB,2H,CHPhe)、2.75(m,2H,CHスクシニル)、2.55(m,2H,CHスクシニル)、2.43(dAB,2H,CH Asp)。ESI−MS:計算値:2511.4;実測値:m/z1267.8[M+H+Na]2+、1256.8[M+2H]2+、1245.8[M+2H−Na]2+、852.8[M+H+2Na]3+、845.5[M+2H+Na]3+、838.2[M+3H]3+、639.9[M+2H+2Na]4+、1232.7[M−2Na]2−、1221.7[M−3Na+H]2−、1210.7[M−4Na+2H]2−、1199.7[M−5Na+3H]2−、814.1[M−3Na]3−
【0090】
【化14】

【0091】
(スキーム 3)
N−3−[4−(N−tert−ブチルオキシカルボニル)ピペリジンプロピオニル]−(R)−(−)−ニペコチン酸エチル(26)
3−(N−Boc−ピペリジル)プロピオン酸(24、1.00g、3.89mmol)、TBTU(1.38g、4.28mmol)およびDiPEA(2.70mL、15.6mmol)のDCM(20mL)における混合物を5分間撹拌した。次いで、(R)−ニペコチン酸エチルの(L)−酒石酸塩(25、0.61g、3.89mmol)を加え、溶液を2時間撹拌した。反応を5%aq.NaHCO(20mL)により停止させ、3%クエン酸水溶液(20mL)およびHO(20mL)により洗浄した。aq.相をDCMで抽出し(10mLで3回)、有機層を一緒にして乾燥(MgSO)した。化合物26(2.34g)を茶黄色がかったオイルとして得た。これを、さらに精製することなく、次の反応において使用した。Rf0.7(EtOAc/MeOH、93/7、v/v)。
【0092】
N−3−[4−(N−ベンジルオキシカルボニル)ピペリジンプロピオニル]−(R)−(−)−ニペコチン酸エチル(28)
粗化合物26(最大で3.89mmol)をDCM(10mL)およびTFA(10mL)の混合物において撹拌した。1時間後、溶液を減圧下で濃縮した。微量のTFAを、トルエンにおける反復した濃縮(10mLで3回)によって除いた。続いて、粗ピペリジン誘導体27をDCM(10mL)に溶解し、この後、DiPEA(2.02mL、11.7mmol)および(N)−ベンジルオキシカルボニルオキシスクシンイミド(1.94g、7.79mmol)を加えた。一晩撹拌した後、反応混合物をEtOAc(20mL)で希釈し、sat.aq.NaHCO(10mL)、3%aq.クエン酸およびHO(10mL)により洗浄した。有機相をMgSOで乾燥し、濃縮し、これにより、Z保護の化合物28を無色のオイルとして得た(1.37g、3工程で82%)。Rf:0.5(EtOAc)。
【0093】
N−3−[4−(N−ベンジルオキシカルボニル)ピペリジンプロピオニル]−(R)−(−)−ニペコチン酸(29)
化合物28(0.35g、3.14mmol)を含む、1,4−ジオキサン(20mL)の溶液および0.5M NaOH(20mL)の溶液を1時間撹拌した。Dowex50WX4−Hイオン交換樹脂による中和、ろ過、および濃縮により、カルボン酸誘導体29をわずかに黄色がかったオイルとして得た(1.27g、100%)。Rf:0.05(EtOAc)。
【0094】
{N−3−[4−(N−ベンジルオキシカルボニル)ピペリジンプロピオニル]−(R)−(−)−ニペコチル}−(O−ベンジル−L−アスパルチル)−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカン酸tert−ブチル(30)
化合物29(0.24g、0.60mmol)および粗化合物19(最大で0.60mmol)の混合物を、DCM(5mL)におけるEDC(0.14g、0.72mmol)およびNMM(90μL、078mmol)と一緒に、5時間撹拌した。溶液をDCM(10mL)で希釈し、sat.aq.NaHCO(10mL)、3%aq.クエン酸およびHO(10mL)により洗浄した。有機相をMgSOで乾燥し、濃縮した。粗生成物30をシリカゲル(5g)カラムクロマトグラフィー(溶出液:EtOAc/ヘプタン/MeOH、2/1/0→9/0/1、v/v/v)によって精製した。収量:0.29g(53%)。Rf0.6(EtOAc/MeOH、7/1、v/v)。
【0095】
{N−3−[4−(N−ベンジルオキシカルボニル)ピペリジンプロピオニル]−(R)−(−)−ニペコチル}−(O−ベンジル−L−アスパルチル)−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカン酸(31)
化合物30(0.29g、0.32mmol)をDCM(5mL)およびTFA(5mL)の混合物において撹拌した。3時間後、混合物を濃縮し、トルエンで繰り返しエバポレーションした(10mLで3回)。生成物を調製用HPLCによって精製して、31を0.23gの収量(86%)で得た。
【0096】
{N−3−[4−(N−ベンジルオキシカルボニル)ピペリジンプロピオニル]−(R)−(−)−ニペコチル}−(O−ベンジル−L−アスパルチル)−L−フェニルアラニル−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカン酸tert−ブチル(32)
化合物29(0.17g、0.42mmol)および粗化合物10(0.25g、最大で0.38mmol)をDCM(5mL)に溶解した。HOBt(59mg、0.46mmol)、EDC(94mg、0.49mmol)およびNMM(88μL、0.63mmol)を続けて加え、溶液を一晩撹拌した。反応混合物をEtOAc(10mL)で希釈し、sat.aq.NaHCO(5mLで2回)、5%aq.クエン酸(5mL)およびHO(5mL)により洗浄した。有機相を乾燥(MgSO)し、減圧下で濃縮した。精製をシリカゲル(5g)カラムクロマトグラフィー(溶出液:DCM/MeOH、1/0→95/5、v/v)によって行い、化合物32を無色のオイルとして得た(0.24g、60%)。Rf0.3(DCM/MeOH、95/5、v/v)。
【0097】
{N−3−[4−(N−ベンジルオキシカルボニル)ピペリジンプロピオニル]−(R)−(−)−ニペコチル}−(O−ベンジル−L−アスパルチル)−L−フェニルアラニル−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカン酸(33)
化合物32(0.20g、0.19mmol)を、化合物31の合成について以前に記載されたように脱保護および精製した。収量:50mg(30%)。
【0098】
{N−3−[4−(N−ベンジルオキシカルボニル)ピペリジンプロピオニル]−(R)−(−)−ニペコチル}−(O−ベンジル−L−アスパラギン酸tert−ブチル(34)
化合物29(0.69g、1.72mmol)およびAspBn−O−t−Buエステル(0.54g、1.72mmol)のDCM(5mL)における撹拌された混合物に、TBTU(0.58g、1.80mmol)およびDiPEA(0.90mL、5.4mmol)を加えた。2時間後、反応混合物をEtOAc(10mL)で希釈し、sat.aq.NaHCO(5mLで2回)、5%aq.クエン酸(5mL)およびHO(5mL)により洗浄した。有機相をMgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。シリカゲル(25g)カラムクロマトグラフィー(溶出液:EtOAc/ヘプタン、1/2→1/0、v/v)により、純粋な化合物34を明黄色のオイルとして得た(0.84g、73%)。Rf:0.6(EtOAc)。
【0099】
N−{[N−3−(4−ピペリジンプロピオニル)−(R)−(−)−ニペコチル]−L−アスパルチル}−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカン酸tert−ブチル(VII)
【0100】
【化15】

【0101】
化合物31(35mg、39μmol)を、EtOAc(5mL)およびHO(1mL)の混合物において10%Pd/C(30mg)での接触水素化によって脱保護した。16時間後、混合物を2層のWhatmanGF/Cフィルターでろ過し、濃縮した。化合物VIIを白色の泡状物として凍結乾燥後に24mgの収量(92%)で得た。ESI−MS:673[M+H]
【0102】
N−{[N−3−(4−ピペリジンプロピオニル)−(R)−(−)−ニペコチル]−L−アスパルチル−L−フェニルアラニル}−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカン酸tert−ブチル(IX)
【0103】
【化16】

【0104】
化合物32(45mg、43μmol)を、化合物VIIの合成について以前に記載されたように脱保護した。調製用HPLCおよび凍結乾燥により、純粋なIXを8.8mgの収量(26%)で得た。ESI−MS:820[M+H]
【0105】
1{N−3−[4−ピペリジンプロピオニル]−(R)−(−)−ニペコチル}−L−アスパルタート(VI)
【0106】
【化17】

【0107】
化合物34(47mg、71μmol)を、DCM(5mL)およびTFA(5mL)の混合物において撹拌することによって脱保護した。5時間後、混合物を濃縮し、トルエンで繰り返しエバポレーションした(5mLで3回)。粗中間体を、1,4−ジオキサン(5mL)およびHO(5mL)の混合物において10%Pd/C(30mg)での接触水素化に供した。3時間後、混合物を2層のWhatmanGF/Cフィルターでろ過し、続いてフィルターをMeOHにより洗浄した。ろ液を濃縮し、調製用HPLCによって精製して、化合物IVを白色の泡状物として凍結乾燥後に9.8mgの総収量(39%)で得た。ESI−MS:384[M+H]
【0108】
メチル=O−2,3−ジ−O−メチル−4−O−{[N−3−(4−ピペリジンプロピオニル)−(R)−(−)−ニペコチル−(L)−アスパルチル]−(15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカノイル)−(1−アザ−4,7,10−トリオキサドデシル)}−6−O−スルホ−α−D−グルコピラノシル−(1−>4)−O−2,3−ジ−O−メチル−β−グルコピラヌロノシル−(1−>4)−O−2,3,6−トリ−O−スルホ−α−D−グルコピラノシル−(1−>4)−O−2,3−ジ−O−メチル−α−L−イドピラヌロノシル−(1−>4)−3−O−メチル−2,6−ジ−O−スルホ−α−D−グルコピラノシド八ナトリウム塩(VIII)
【0109】
【化18】

【0110】
カルボン酸誘導体31(51mg、59μmol)の五単糖誘導体63(105mg、56μmol)へのコンジュゲート化、これに続く、粗生成物の脱保護、および精製を一般的手順に従って行った。化合物VIIIを純粋な形態で凍結乾燥後に得た。収量:101mg(2工程で76%)。H−NMR(DO、600MHz、HH−COSY、回転異性体の混合物):δ5.39(d,1H,H−1環D)、5.31(bs,1H,H−1環F)、5.00(d,1H)、4.95(bs,1H)、4.61(bs,1H)、4.59(d,1H)、4.50(m,1H)、4.34(d,1H)、4.27−4.20(m,7H)、4.19−4.15(m,2H)、4.10−4.03(m,3H)、4.02(s,2HCH Ac スペーサー)、3.92(ddd,1H)、3.88(ddd,1H)、3.86−3.75(m,7H)、3.71(dd,1H)、3.69−3.52(m,38H)、3.49−3.43(m,14H)、3.40−3.30(m,12H)、3.26−3.11(m,4H)、2.96−2.89(m,3H)、2.77(m,1H)、2.68(m,1H)。ESI−MS:計算値:2397.4;実測値:m/z1221.6[M+2Na]2+、1210.6[M+H+Na]2+、1199.6[M+2H]2+、822.1[M+3Na]3+、814.8[M+2H+Na]3+、807.4[M+H+2Na]3+、1175.7[M−2Na]2−、1164.7[M−3Na+H]2−、1153.8[M−4Na+2H]2−、776.2[M−3Na]3−、768.9[M−4Na+H]3−、761.5[M−3Na+H]3−、570.9[M−5Na+H]4−、576.4[M−4Na]2−、456.5[M−5Na]5−
【0111】
メチル=O−2,3−ジ−O−メチル−4−O−{[N−3−(4−ピペリジンプロピオニル)−(R)−(−)−ニペコチル−(L)−アスパルチル−(L)−フェニルアラニル]−(15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカノイル)−(1−アザ−4,7,10−トリオキサドデシル)}−6−O−スルホ−α−D−グルコピラノシル−(1−>4)−O−2,3−ジ−O−メチル−β−D−グルコピラヌロノシル−(1−>4)−O−2,3,6−トリ−O−スルホ−α−D−グルコピラノシル−(1−>4)−O−2,3−ジ−O−メチル−α−L−イドピラヌロノシル−(1−>4)−3−O−メチル−2,6−ジ−O−スルホ−α−D−グルコピラノシド八ナトリウム塩(X)
【0112】
【化19】

【0113】
化合物33(32.4mg、32.8μmol)を、一般的手順に従って、五単糖63(56.0mg、31.2μmol)にコンジュゲート化し、脱保護し、精製して、生成物Xを白色の粉末として得た。収量:49mg(2工程で62%)。
【0114】
H−NMR(DO,600MHz,HH−COSY,回転異性体の1:1混合物):δ7.32−7.19(m,5H,H−arom Phe)、5.39(d,1H,H−1環D)、5.29(d,1H,H−1環F)、4.99(d,1H)、4.93(bs,1H)、4.59(d,1H)、4.53(s,1H)、4.50−4.43(m,3H)、4.33(d,1H)、4.26−4.15(m,8H)、4.13−4.08(m,3H)、4.06−4.02(d,1H)、3.98(d,1H CH Ac スペーサー)、3.94−3.78(m,9H)、3.74(bs,1H)、3.68−3.52(m,38H)、3.50−3.42(m,14H)、3.38−3.30(m,12H)、3.27−2.85(m,6H)、2.80−2.70(m,2H)。ESI−MS:計算値:2546.4;実測値:m/z1273.2[M+2H]2+、1284.2[M+H+Na]2+、1295.2[M+2Na]2+、856.5[M+2H+Na]3+、863.8[M+H+2Na]3+、871.1[M+3Na]3+、1238.3[M+H−3Na]2−、1227.3[M+2H−4Na]2−、1216.3[M+3H−5Na]2−、825.2[M−3Na]3−、817.9[M−4Na+H]3−、810.5[M−5Na+2H]3−、803.2[M−6Na+3H]3−、613.1[M−4Na]4−、607.7[M−5Na+H]4−、485.9[M−5Na]5−、401.1[M−6Na]6−
【0115】
【化20】

【0116】
(スキーム 4)
N−(4−[1,2,4−オキサジアゾール−5−オニル]フェニルスクシンアミル−O−ベンジル−L−アスパルタート(36)
化合物17(1.0g)をDMF(35mL)中に含む撹拌された溶液に、N雰囲気下、NMM(351μL)を加え、続いて、クロロギ酸イソブチル(440μL)を加えた。5分後、Asp(Bn)(t−Bu)(1.12g)を加え、続いて、DiPEA(586μL)およびDMAP(7.8mg)を加えた。1時間後、HOを加え、混合物をEtOAcで抽出した(2回)。有機層をsat.NaCl溶液により洗浄し、MgSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。トルエンを加え、この後、生成物35が沈殿した。ヘプタンを加え、生成物を55%の収率でろ過した。Rf=0.5(DCM/MeOH/AcOH9:1:0.1)。
【0117】
35(843mg)に、DCMおよびTFAの混合物(40mL、1:1、v/v)を加え、3時間撹拌した。この後、混合物をトルエンの添加後に濃縮して、36を定量的収率で得た。Rf:0.2(Tol/EtOAc、8:2、v/v)。
【0118】
N−アリルオキシカルボニル−L−チロシン(38)
チロシン(10g)を4N aq.水酸化ナトリウム(30mL)中に含む、氷浴で冷却されている撹拌溶液に、クロロギ酸アリル(6.4mL)を20分かけてゆっくり加えた。添加が完了した後10分して、氷浴を除き、4N aq.水酸化ナトリウム(30mL)およびHO(5mL)を加えた。RTで2時間後、MeOH(60mL)を加えた。さらに2時間後、反応混合物をEtOで抽出した。aq.混合物を氷浴で冷却し、36%から38%塩酸を使用してpH2から3に酸性化し、EtOAcで抽出した。有機抽出液を乾燥(NaSO)し、減圧下で濃縮して、Alloc−Tyr−OH(38)をオイルとして得た(14.5g、88%)。Rf0.35(DCM/MeOH/AcOH、89/10/1、v/v/v)。
【0119】
N−アリルオキシカルボニル−4−O−ベンジル−L−チロシン(39)
Alloc−Tyr−OH(38、5.5g)をDMF(40mL)に溶解し、DMFの体積の半分を減圧下で除いた。残渣をN雰囲気下で0℃に冷却し、水素化ナトリウム(60%分散物、1.9g)を少量ずつ加えた。懸濁物を0℃で1時間撹拌した。この後、DMF(5mL)に溶解した臭化ベンジル(1.88mL)を加えた。RTで1時間後、2N塩酸(7mL)を加え、混合物を減圧下で濃縮した。残渣にHO(5mL)を加え、pHを、2N aq.水酸化ナトリウムを使用して9に調節し、トルエンおよびEtOAcの混合物により洗浄した。EtOAcを加え、混合物を、2N塩酸を使用してpH3に酸性化した。有機層を分離し、乾燥(NaSO)し、濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH/AcOH、89/10/1、v/v/v)を使用して精製した。カラムからの生成物をEtOAcに溶解し、HOにより洗浄し、乾燥(NaSO)し、濃縮して、化合物39を得た(4.66g、77%)。Rf0.5(DCM/MeOH/AcOH、89/10/1、v/v/v)。
【0120】
(N−アリルオキシカルボニル−4−O−ベンジル−L−チロシル)−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカン酸tert−ブチル(40)
alloc−Tyr(Bn)−OH(39、0.61g)および15−アミノ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカン酸tert−ブチル(6)(0.54g)をTHF(2mL)中に含む撹拌された溶液に、TBTU(0.7g)およびNMM(0.38mL)を加えた。16時間後、15−アミノ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカン酸tert−ブチル(6)(0.18g)、TBTU(0.1g)を加え、pHを、NMMを使用して7に調節した(湿ったpH試験紙)。3日後、反応混合物をろ過し、ろ液を減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘプタン/EtOH、65/33/2から50/0/1に、v/v/v)を使用して精製して、表題化合物40を得た(0.7g、67%)。Rf0.25(EtOAc/ヘプタン/EtOH、66/33/1、v/v/v)。
【0121】
15−N−(4−O−ベンジル−L−チロシル)−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカン酸tert−ブチル(41)
化合物40(0.43g)をDCM(15mL)中に含む撹拌された溶液に、HO(75μL)、水素化トリブチルスズ(0.4mL)およびPdCl(PPh(12mg)を加えた。反応をTLC(EtOAc/エタノール、25/1、v/v)によってモニターした。反応が完了した後、反応混合物を0℃で冷却し、HO(10mL)を加え、2N塩酸を使用してpH4に酸性化した。有機層を分離し、乾燥(NaSO)し、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH(95/5)からDCM/MeOH/N−メチルモルホリン(450/50/3)へのグラジエント)を使用して精製して、表題化合物41を得た(0.36g、78%)。Rf0.4(DCM/MeOH、10/1、v/v)。
【0122】
15−N−{4−[1,2,4−オキサジアゾール−5−オニル]フェニルスクシンアミル−(O−ベンジル−L−アスパルチル)−(4−O−ベンジル−L−チロシル)}−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカン酸(43)
化合物41(360mg、0.49mmol)および化合物36(241mg、0.5mmol)をTHF(5mL)に溶解した。この混合物にNMM(108μL、0.98mmol)を加え、続いて、TBTUを加えた。混合物を一晩撹拌した。溶液をPVDF(0.45μm)フィルターでろ過した。精製をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:DCM→DCM/MeOH、95/5、v/v)によって行い、化合物42をオイルとして得た(560mg、100%)。Rf:0.5(DCM/MeOH、9/1、v/v)。この化合物の加水分解を、化合物12の調製について記載されたように行った。精製をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH/AcOH、90/10/3、v/v/v)によって行い、化合物43を得た(185mg、39%)。H−NMR(MeOD,400MHz):7.70(AB,4H,Haromベンズアミジン)、7.32(m,10H,Bn)、7.12(d,2H,Tyr)、6.88(d,2H,Tyr)、5.10(d,2H,CHBn)、5.00(s,2H,CHベンジル)、4.67(m,1H)、4.48(m,1H)、4.06(s,2H)、3.61(m,10H)、3.52(m,2H)、3.41(m,2H)、3.32(m,2H)、3.10−2.40(m,8H)。
【0123】
メチル=O−2,3−ジ−O−メチルー4−O−<12−[15−{N−(4−ベンズアミジニル)スクシンアミル−L−アスパルチル−L−チロシル)−15−アザ−3,6,9,12−テトラオキサ−ペンタデカノイル}]−12−アザ−3,6,9−トリオキサドデシル>−6−O−スルホ−α−D−グルコピラノシル−(1−>4)−O−2,3−ジ−O−メチル−β−D−グルコピラヌロノシル−(1−>4)−O−2,3,6−トリ−O−スルホ−α−D−グルコピラノシル−(1−>4)−O−2,3−ジ−O−メチル−α−L−イドピラヌロノシル−(1−>4)−3−O−メチル−2,6−ジ−O−スルホ−α−D−グルコピラノシド八ナトリウム塩(XI)
化合物43(62.2mg)と五単糖63(110mg)とのコンジュゲート化、これに続く脱保護および精製を一般的手順に概略されるように行った。収量:22mg(2工程で14%)。H−NMR(DO,600MHz,HH−COSY):δ3.54−3.30(8x s,34H,8x OMe);環D:5.28(d,1H,H1)、4.14(m,1H,H6a)、3.97(m,1H,H6b)、3.72(m,1H,H5)、3.37(m,1H,H3)、3.24(m,1H,H4)、3.12(m,1H,H2);環E:4.50(d,1H,H1)、3.73(m,3H,H3,4,5)、3.16(m,1H,H2);環F:5.16(d,1H,H1)、4.39(m,2H,H3.4)、4.24(d,1H,H6a)、4.14(m,1H,H6b)、4.00(m,1H,H2)、3.97(m,1H,H5);環G:4.84(bs,1H,H1)、3.97(m,1H,H4)、3.66(m,2H,H2.3);環H:4.91(d,1H,H1)、4.14(m,2H,H2.6a)、4.08(m,1H,H6b)、3.84(m,1H,H5)、3.51(m,1H,H3);スペーサー:3.88(s,2H,C(O)CHO)、3.54−3.24(m,32H)ペプチド:7.59(d,2H,Haromベンズアミジン)、7.53(d,2H,Haromベンズアミジン)、6.84(d,2H,Harom Tyr)、6.63(d,2H,Harom Tyr)、4.38(dd,1H,CH Asp)、4.21(t,1H,CH Tyr)、2.70(m,2H,CH Tyr)、2.47(m,1H,CH Asp)、2.30(dd,1H,CH Asp)、2.74−2.40(m,4H,スクシニル)。
【0124】
【化21】

【0125】
(スキーム 5)
15−ヒドロキシ−3,6,9,12−テトラオキサ−テトラデカン酸tert−ブチル(44)
テトラエチレングリコール(40mL)およびTHF(15mL)の撹拌された混合物に、カリウムtert−ブトキシド(2.8g)を加えた。反応混合物を、透明な溶液が得られるまで40℃から50℃で加熱した。この溶液を0℃に冷却し、ブロモ酢酸tert−ブチル(4mL、246mmol)を一度に加えた。冷却浴を除き、反応混合物をRTで2時間撹拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、ブラインにより2回洗浄した。2つのブライン層をEtOAcで4回抽出した。有機層を一緒にして、乾燥(NaSO)し、減圧下で濃縮して、化合物44を得た(4.66g)。H−NMR(CDCl,400MHz):δ4.03(s,2H)、3.60−3.76(m,16H)、1.47(s,9H)。
【0126】
14−(トルエン−4−スルホニルオキシ)−3,6,9,12−テトラオキサ−テトラデカン酸tert−ブチル(45)
化合物44(4.66g)をDCM(30mL)中に含む撹拌された混合物に、0℃で、NMM(2mL)およびp−トルエンスルホニルクロリド(3.2g)を加えた。冷却を除き、反応混合物をRTで18時間撹拌した。ブラインを加え、混合物をDCMで3回抽出した。有機層を一緒にして、乾燥(NaSO)し、減圧下で濃縮して、出発物質を依然として含有するオイルを得た(7.4g)。このオイルをDCM(30mL)およびNMM(2mL)に再び溶解し、p−トルエンスルホニルクロリド(3.2g)を撹拌溶液に0℃で加えた。RTで2日後、ブラインを加え、混合物をDCMで3回抽出した。有機層を一緒にして、乾燥(NaSO)し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘプタン(heptanes)、1/1、v/v)を使用して精製して、化合物45を得た(4.6g、66%)。Rf0.15(EtOAc/ヘプタン(heptanes)1/1、v/v)。
【0127】
14−[4−O−(N−tert−ブチルオキシカルボニル−L−チロシンベンジルエステル)]−3,6,9,12−テトラオキサ−テトラデカン酸tert−ブチル(47)
Boc−Tyr−OBn(46、0.6g)、化合物45(1.0g)、炭酸セシウム(0.82g)およびヨウ化ナトリウム(0.12g)をDMF(30mL)中に含む撹拌された溶液を、N雰囲気下、70℃で加熱した。20時間後、反応混合物をRTに冷却し、ブラインを加えた。混合物をEtOAcで抽出した(4回)。有機層を一緒にして、乾燥(NaSO)し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/トルエン、1/2から1/1(v/v)へのグラジエント)を使用して精製して、化合物47を得た(0.92g、80%)。Rf:0.15(EtOAc/ヘプタン(heptanes)、1/1、v/v)。
【0128】
14−<4−O−{4−[1,2,4−オキサジアゾール−5−オニル]フェニルスクシンアミル−(O−ベンジル−L−アスパルチル)−L−チロシンベンジルエステル}]>−3,6,9,12−テトラオキサ−テトラデカン酸tert−ブチル(49)
化合物47(0.42g)を酢酸tert−ブチル(4mL)中に含む撹拌された溶液に、0℃で、ジオキサン中に4N塩化水素を含む溶液(2mL)を加えた。2時間後、硫酸(0.04mL)を加え、30分後、さらなる量の硫酸(0.04mL)を加えた。さらに30分後、炭酸水素ナトリウムのsat.aq.溶液を加え、混合物をEtOAcで4回抽出した。有機層を一緒にして、乾燥(NaSO)し、減圧下で濃縮して、化合物48を得た(0.14g)。この化合物をTHF(2mL)に溶解し、この撹拌された溶液に、化合物36(0.11g)、TBTU(84mg)および30μLのNMMを加えた。2時間後、反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/EtOH、1/0から9/1(v/v)へのグラジエント)を使用して精製し、化合物49を得た(90mg、36%)。Rf0.5(EtOAc/EtOH9/1、v/v)。
【0129】
14−<4−O−{4−[1,2,4−オキサジアゾール−5−オニル]フェニルスクシンアミル−(O−ベンジル−L−アスパルチル)−O−ベンジル−L−チロシル}−3,6,9,12−テトラオキサ−テトラデカノアート(50)
化合物49(90mg)をジオキサンに溶解し、減圧下で濃縮した。残渣をDCM(1mL)に溶解し、TFA(1mL)を加えた。2時間後、ジオキサン(5mL)を加え、混合物を減圧下で濃縮した。残渣をアセトニトリルに溶解し、減圧下で濃縮した。残渣を、HPLC(カラム、LUNA 10u C18(2)、250x50mm;流速、50mL/分;グラジエント、3%の0.1N TFA/HO、47%のアセトニトリルおよび50%のHO/アセトニトリル(10/1、v/v)から、3%の0.1N TFA/HO、90%のアセトニトリルおよび7%のHO/アセトニトリル(10/1、v/v)へ、30分で)を使用して精製し、化合物50を得た(73mg、85%)。MS(EI):m/z 970[M+H]
【0130】
メチル=O−2,3−ジ−O−メチル−4−O−<12−N−[14−{N−(4−ベンズアミジニル)スクシンアミル−L−アスパルチル−4−O−L−チロシル)]−3,6,9,12−テトラオキサ−テトラデカノイル}−12−アザ−3,6,9−トリオキサドデシル>−6−O−スルホ−α−D−グルコピラノシル−(1−>4)−O−2,3−ジ−O−メチル−β−D−グルコピラヌロノシル−(1−>4)−O−2,3,6−トリ−O−スルホ−α−D−グルコピラノシル−(1−>4)−O−2,3−ジ−O−メチル−α−L−イドピラヌロノシル−(1−>4)−3−O−メチル−2,6−ジ−O−スルホ−α−D−グルコピラノシド八ナトリウム塩(XII)
生成物を、一般的手順に従って、化合物50(40.3mg、41.5μmol)の五単糖63(71.1mg、39.5μmol)へのコンジュゲート化、これに続く精製および脱保護によって得た。生成物を白色の綿毛状固体として得た。収量:63.5mg(60%、2工程)。H−NMR(DO,600MHz,HH−COSY):δ3.43−3.32(8x s,34H,8x OMe);環D:5.36(d,1H,H1)、4.21(m,1H,H6a)、4.05(d,1H,H6b)、3.77(m,1H,H5)、3.44(m,1H,H3)、3.31(m,1H,H4)、3.19(dd,1H,H2);環E:4.58(d,1H,H1)、3.79(m,1H,H4)、3.67(m,1H,H5)、3.44(m,1H,H3)、3.16(m,1H,H2);環F:5.28(d,1H,H1)、4.48(m,1H,H3)、4.32(d,1H,H6a)、4.18(m,1H,H2)、4.15(m,1H,H6b)、4.07(m,1H,H5)、3.86(t,1H,H4);環G:4.92(bs,−1H,H1)、4.07(m,1H,H4)、3.91(dd,1H,H3)、3.31(m,1H,H2)、3.18(m,1H,H5);環H:4.98(d,1H,H1)、4.23(dd,1H,H2)、4.22(m,1H,H6a)、4.17(m,1H,H6b)、3.93(ddd,1H,H5)、3.59(m,1H,H4)、3.57(m,1H,H3);スペーサー:3.96(s,2H,C(O)CHO)、3.61−3.51(m,26H,13x CHO)、3.38−3.30(m,4H,OCHCHNHCH(O)CH,OCHCHNHC(O)−Phe)、3.19(m,1H,OCH2aCHNHC(O)−Phe)、3.12(m,1H,OCH2bCHNHC(O)−Phe);ペプチド:7.70(d,2H,Haromベンズアミジン)、7.62(d,2H,Haromベンズアミジン)、7.01(d,2H,Harom Tyr)、6.77(d,2H,Harom Tyr)、4.57(dd,1H,CH Asp)、4.28(dd,1H,CH Tyr)、2.87(dAB,2H,CH Tyr)、2.50(t,2H,CHスクシニル)、2.48(t,2H,CHスクシニル)、2.48(dAB,2H,CH Asp)。
【0131】
【化22】

【0132】
(スキーム 6)
ベンジル=N−(3−カルボキシベンゼンスルホニル)−4−O−{4−(N−ベンジルオキシカルボニル−4−ピペリジニル)ブチル−L−チロシン(52)
化合物51(123mg、これは、Bioorg.Med.Chem.、2001、29、357から379に記載されるように調製される)をアセトニトリルおよびHOの混合物(10mL、6/4、v/v)に溶解した。炭酸カリウム(381mg)を加え、溶液を0℃に冷却した。3−カルボキシベンゼンスルホニルクロリドを15分かけて少量ずつ加え、混合物を0℃で30分間撹拌し、次いでRTで1時間撹拌した。溶液を再び0℃に冷却し、さらなる量の3−カルボキシベンゼンスルホニルクロリド(102mg)を加えた。30分後、反応混合物をRTに加温し、一晩撹拌した。混合物を1N塩酸によりpH1に酸性化し、減圧下で濃縮し、粗生成物をEtOAcに溶解した。有機層を1N塩酸により洗浄し、次いでNaClのsat.溶液により洗浄し、乾燥(MgSO)し、濃縮して、化合物52を得た(0.11g、73%)。Rf0.5(DCM/MeOH、9/1、v/v)。MS(ESI)M=729。
【0133】
ベンジル=N−<3−{[14−N−(14−アザ−1−カルボキシ−2,5,8,11−テトラオキサ−テトラデシル)]ケト}ベンゼンスルホニル>−4−O−{4−(N−ベンジルオキシカルボニル−4−ピペリジニル)ブチル}−L−チロシン(54)
粗化合物52(216mg)および化合物6(49mg)をDCM(5mL)に溶解した。TBTU(145mg)およびNMM(82uL)を加え、混合物をRTで一晩撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、sat.NaHCO、クエン酸およびsat.NaClにより洗浄した。aq.相を一緒にして、酢酸エチルで抽出し、この後、有機層を一緒にして、MgSOで乾燥し、濃縮して、0.31gの68を褐色のオイルとして得た。次いで、粗化合物53をDCM(5mL)およびTFA(2.5mL)の混合物において撹拌した。4時間後、混合物を濃縮した。生成物を調製用LC/MS(C18、アセトニトリル/HO、0.01%TFA)によって精製し、84mgの化合物54を得た。
【0134】
メチル=O−2,3−ジ−O−メチル−4−O−<<12−N−<3−{[14−N−(14−アザ−1−カルボニル−2,5,8,11−テトラオキサ−テトラデシル)]ケト}ベンゼンスルホニル>−4−O−{4−(4−ピペリジニル)ブチル}−L−チロシン>−12−アザ−3,6,9−トリオキサドデシル>>−6−O−スルホ−α−D−グルコピラノシル−(1−>4)−O−2,3−ジ−O−メチル−β−D−グルコピラヌロノシル−(1−>4)−O−2,3,6−トリ−O−スルホ−α−D−グルコピラノシル−(1−>4)−O−2,3−ジ−O−メチル−α−L−イドピラヌロノシル−(1−>4)−3−O−メチル−2,6−ジ−O−スルホ−α−D−グルコピラノシド八ナトリウム塩(XIII)
カルボン酸54(53mg)の五単糖63(95mg)へのコンジュゲート化、これに続く精製および脱保護を一般的手順に従って行った。コンジュゲートXIIIを白色の泡状物として得た。収量:77mg(2工程で58%)。
【0135】
H−NMR(DO,600MHz,HH−COSY):δ3.43−3.32(8x s,34H,8x OMe);環D:5.39(d,1H,H1)、4.22(m,1H,H6a)、4.04(d,1H,H6b)、3.79(m,1H,H5)、3.46(m,1H,H3)、3.34(m,1H,H4)、3.24(dd,1H,H2);環E:4.59(d,1H,H1)、3.82(m,1H,H4)、3.66(m,1H,H5)、3.52(m,1H,H3)、3.20(m,1H,H2);環F:5.28(d,1H,H1)、4.48(t,1H,H3)、4.34(d,1H,H6a)、4.22(m,1H,H2)、4.09(m,1H,H5)、3.85(m,1H,H4);環G:4.92(bs,1H,H1)、4.52(bs,1H,H5)、4.09(m,1H,H4)、3.75(1H,m,H3)、3.35(dd,1H,H2);環H:4.99(d,1H,H1)、4.22(m,2H,H2,H6a)、4.16(m,1H,H6b)、3.91(ddd,1H,H5)、3.68(m,1H,H4)、3.60(m,1H,H3);スペーサー:3.91(s,2H,C(O)CHO)、3.66−3.32(m,32H,16x CH)。ペプチド:7.85(dt,1H,Harom)、7.75(t,1H,Harom)、7.62(dt,1H,Harom)、7.43(t,1H,Harom)、6.83(d,2H,Harom Tyr)、6.48(d,2H,HaromTyr)、3.86(m,2H,CHO)、3.65(m,1H,H−1 Tyr)、3.36(m,2H,CHN)、2.91(m,2H,CHN)、1.91(m,2H,CHピペリジル)、1.72(m,2H,CHブチル)、1.59(m,1H,CHピペリジル)、1.44(m,2H,CHブチル)、1.36(m,4H)。ESI−MS:m/z1272.3[M+2TEA−2H]2−、814.5[M+TEA−3H]3−、799.1[M−3H]3−、585.0[M−4H]4−
【0136】
メチル=O−2,3−ジ−O−メチル−4−O−<<12−N−<N−(3−ケト−ベンゼンスルホニル)−4−O−{4−(4−ピペリジニル)ブチル}−L−チロシン>−12−アザ−3,6,9−トリオキサドデシル>>−6−O−スルホ−α−D−グルコピラノシル−(1−>4)−O−2,3−ジ−O−メチル−β−D−グルコピラヌロノシル−(1−>4)−O−2,3,6−トリ−O−スルホ−α−D−グルコピラノシル−(1−>4)−O−2,3−ジ−O−メチル−α−L−イドピラヌロノシル−(1−>4)−3−O−メチル−2,6−ジ−O−スルホ−α−D−グルコピラノシド八ナトリウム塩(XIV)
カルボン酸52(22.5mg)の五単糖63(52.6mg)へのコンジュゲート化、これに続く精製および脱保護を一般的手順に従って行った。コンジュゲートXIVを白色の泡状物として得た。収量:38.4mg(2工程で58%)。
【0137】
H−NMR(DO,600MHz,HH−COSY):δ3.43−3.32(8x s,34H,8x OMe);環D:5.39(d,1H,H1)、4.22(m,1H,H6a)、4.04(d,1H,H6b)、3.79(m,1H,H5)、3.46(m,1H,H3)、3.34(m,1H,H4)、3.20(dd,1H,H2);環E:4.58(d,1H,H1)、3.82(m,1H,H4)、3.66(m,1H,H5)、3.52(m,1H,H3)、3.18(m,1H,H2);環F:5.28(d,1H,H1)、4.49(t,1H,H3)、4.34(d,1H,H6a)、4.20(m,1H,H2)、4.08(m,1H,H5)、3.85(m,1H,H4);環G:4.94(bs,1H,H1)、4.54(bs,1H,H5)、4.08(m,1H,H4)、3.75(1H,m,H3)、3.35(dd,1H,H2);環H:4.98(d,1H,H1)、4.22(m,2H,H2,H6a)、4.17(m,1H,H6b)、3.92(ddd,1H,H5)、3.68(m,1H,H4)、3.60(m,1H,H3);スペーサー:3.62−3.38(m,16H,8x CH)。ペプチド:7.83(dt,1H,Harom)、7.71(t,1H,Harom)、7.62(dt,1H,Harom)、7.42(t,1H,Harom)、6.81(d,2H,HaromTyr)、6.46(d,2H,Harom Tyr)、3.84(m,2H,CHO)、3.66(m,1H,H−1 Tyr)、3.33(m,2H,CHN)、2.90(m,2H,CHN)、1.93(m,2H,CHピペリジル)、1.72(m,2H,CHブチル)、1.59(m,1H,CHピペリジル)、1.44(m,2H,CHブチル)、1.34(m,4H)。ESI−MS:m/z1155.2[M+2TEA−2H]2−、736.3[M+TEA−3H]3−、702.6[M−3H]3−
【0138】
【化23】

【0139】
(スキーム 7)
14−[4−O−(N−アリルオキシカルボニル−L−チロシル)]−3,6,9、12−テトラオキサ−テトラデカン酸tert−ブチル(55)
化合物38(1.0g)をDMF(50mL)に溶解し、10mLのDMFを減圧下で除いた。残渣をN雰囲気下において0℃で冷却し、水素化ナトリウム(60%分散物、0.34g)を少量ずつ加えた。懸濁物を0℃で1時間撹拌した。この後、DMF(4mL)に溶解した化合物45(1.3g)を加えた。RTで24時間後、反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣にHO(50mL)を加え、混合物をEtOAcにより洗浄した。EtOAcおよび固体の塩化ナトリウムを加え、混合物を、2N aq.塩酸を使用してpH3に酸性化した。有機層を分離し、乾燥(NaSO)し、濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH/AcOH、949/50/1、v/v/v)を使用して精製した。カラムからの生成物をEtOAcに溶解し、HOにより洗浄し、乾燥(NaSO)し、濃縮して、化合物55を得た(0.6g、37%)。Rf0.4(EtOAc/ピリジン/AcOH/HO 270/16/9/4、v/v/v/v)。
【0140】
2−[(4−ピペリジニル)オキシ]酢酸ベンジル(57)
2−[(4−ピペリジニル)オキシ]酢酸tert−ブチル(56)を、J.Med.Chem.、1992、35、4393から4407において以前に記載されたように調製した。化合物56(4.3g、20mmol)に50mLのDCM/TFA(1:1)を加え、溶液を約30分間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮した。粗生成物をEtOH(40mL)およびNMM(7mL)の混合物に溶解し、これにジ−tert−ブチルジカルボナート(4.8g、22mmol)を加えた。混合物を約55時間撹拌した。次いで、反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣に4M NaOH(250mL)およびEtOを加え、層を抽出後に分離した。HO層を、2N塩酸を使用してpH3に酸性化し、続いて、EtOAcで3回抽出した。有機層を一緒にして、乾燥し(硫酸マグネシウム)、濃縮して、2−[4−(N−Boc−ピペリジニル)オキシ]アセタートを得た(2.1g、40%)。後者の粗生成物をアセトン(25mL)およびトリエチルアミン(3.4mL)に溶解した。臭化ベンジル(965μL、8.1mmol)を加え、反応混合物を一晩撹拌した。氷水(200mL)およびEtOAcを加えた。混合物を2N塩酸によりpH3に酸性化した。有機層をsat.NaHCOおよびブラインにより洗浄し、乾燥(NaSO)し、濃縮して、760mgの粗生成物を得た。生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/EtOAc、1/1、v/v)を使用して精製し、418mg(15%)の純粋な生成物を得た。Rf:0.47(ヘプタン/EtOAc、1/1、v/v)。後者の生成物をDCM/TFA(10mL、1/1、v/v)に溶解し、1時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、トルエン(5mL)を加えた。EtOAc(50mL)に溶解し、sat.NaHCOにより洗浄した。aq.層をEtOAcで2回抽出した。有機層を一緒にして、乾燥(NaSO)し、濃縮して、331mg(100%)の表題化合物57を得た。H−NMR(MeOD,400MHz,HH):δ7.37(m,5H,Ar)、6.00(s,2H)、4.17(s,2H)、3.56(m,1H)、3.16(m,1H)、2.76(m,1H)、1.98(m,1H)1.63(m,1H)。
【0141】
14−{[4−O−(N−アリルオキシカルボニル−L−チロシル)]−2−[(4−ピペリジニル)オキシ]アセタートベンジルエステル}−3,6,9,12−テトラオキサ−テトラデカン酸tert−ブチル(58)
化合物(55)(400mg、0.72mmol)および化合物(57)(215mg、0.86mmol)のカップリングを、化合物64について以前に記載されたように行った。生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM→DCM/MeOH、95/5、v/v)を使用して精製し、587mg(91%)の表題化合物58を得た。Rf0.65(DCM/MeOH/AcOH、95/5/0.3、v/v/v)。
【0142】
14−{4−O−L−チロシル−2−[(4−ピペリジニル)オキシ]アセタートベンジルエステル}−3,6,9,12−テトラオキサ−テトラデカン酸tert−ブチル(59)
化合物58(587mg、0.66mmol)をDCM(15mL)中に含む溶液に、HO(75μL)、モルホリン(115μL、1.32mmol)およびPdCl(PPhを続けて加えた。3時間後、反応混合物をHO/ブライン(1/1、v/v)混合物に注ぎ、これをDCMで抽出した。有機層を乾燥(NaSO)し、濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH、9/1、v/v)を使用して精製し、433mg(89%)の表題化合物59を得た。Rf0.66(DCM/MeOH、9/1、v/v)。
【0143】
N−(4−[1,2,4−オキサジアゾール−5−オニル]安息香酸(60)
p−シアノ安息香酸メチルエステル(5.0g、31mmol)を、化合物3の合成について記載されるように、対応するオキサジアゾリノンに変換した。粗生成物(4.6g、20.9mmol)をTHF(50mL)およびMeOH(50mL)の混合物に溶解した。HO(50mL)を加え、これにより、懸濁物が得られ、続いて、4N aq.NaOH(10mL)を加えた。6時間後、有機溶媒を減圧下での蒸留によって除いた。aq.層をEtOAc/トルエン(1/2、v/v)で抽出し、2N塩酸により酸性化し、沈殿物をろ過した。粗生成物を減圧下において40℃で乾燥して、4.2g(97%)の化合物60を得た。ESI−MS:207[M+H]
【0144】
14−{{N−(4−[1,2,4−オキサジアゾール−5−オニル]ベンゾイル)−{4−O−L−チロシル−2−[(4−ピペリジニル)オキシ]アセタートベンジルエステル}}−3,6,9,12−テトラオキサ−テトラデカン酸tert−ブチル(61)
化合物59(433mg、0.59mmol)および化合物60(134mg、0.65mmol)をDMF(6mL)中に含む溶液に、TBTU(227mg、0.71mmol)およびNMM(130μL、1.18mmol)を加えた。RTでの16時間の撹拌の後、反応混合物を減圧下で濃縮した。EtOAcを加え、有機層をブラインにより洗浄し、乾燥(NaSO)し、濃縮した。生成物をHPLC(C18、ACN/HO)によって精製して、337mg(64%)の化合物61を得た。ESI−MS:891[M+H]、913[M+Na]、835[M−tBu+H]
【0145】
14−{{N−(4−[1,2,4−オキサジアゾール−5−オニル]ベンゾイル}−{4−O−L−チロシル−2−[(4−ピペリジニル)オキシ]アセタートベンジルエステル}}−3,6,9,12−テトラオキサ−テトラデカノアート(62)
t−Buエステルの加水分解を、化合物12の調製について以前に記載されたように行った。生成物をHPLC(C18、ACN/HO/3% 0.1N TFA(aq))によって精製して、181mg(57%)の所望する化合物62を得た。H−NMR(MeOD,400MHz):7.91(AB,4H,Haromベンズアミジン)、7.35(m,5H,Bn)、7.19(d,2H,Tyr)、6.88(dd,2H,Tyr)、5.24(m,1H,CH Tyr)、5.18(d,2H,CHBn)、4.17(d,2H)、4.10(s,2H)、4.08(m,2H)、3.80(m,2H)、3.65(m,14H)、3.58(m,1H)、3.32(m,2H)、3.07(m,2H)、1.82−1.01(m,4H)。ESI−MS:835[M+H]
【0146】
メチル=O−2,3−ジ−O−メチル−4−O−<[1−アミノ−4,7,10−トリオキサドデシル]−14−{{N−(4−[1,2,4−オキサジアゾール−5−オニル]ベンゾイル}−{4−O−L−チロシル−2−[(4−ピペリジニル)オキシ]アセタートベンジルエステル}}−3,6,9,12−テトラオキサ−テトラデカノイル>−6−O−スルホ−α−D−グルコピラノシル−(1−>4)−O−2,3−ジ−O−メチル−β−D−グルコピラヌロノシル−(1−>4)−O−2,3,6−トリ−O−スルホ−α−D−グルコピラノシル−(1−>4)−O−2,3−ジ−O−メチル−α−L−イドピラヌロノシル−(1−>4)−3−O−メチル−2,6−ジ−O−スルホ−α−D−グルコピラノシド八ナトリウム塩(XV)
化合物62(51.7mg)と五単糖63(106mg)とのコンジュゲート化、これに続く脱保護および精製を一般的手順に従って行った。収量:127mg(2工程で87%)。
【0147】
【化24】

【0148】
【化25】


【0149】
【化26】

【0150】
【化27】

【0151】
薬理学的データ
I.a.ADPにより誘導されるヒト血小板凝集の阻害についてのインビトロ試験
序論
アデノシン二リン酸(ADP)をヒト多血小板血漿(PRP)にインビトロで加えることにより、血小板凝集が誘導される。この凝集は、PRPの光学的濃度(OD)を測定することによって評価することができる。本実施例において記載されるインビトロ試験が、ヒト血小板のADP誘導による凝集に対する試験化合物の阻害活性を明らかにするために使用された。マイクロプレート読み取り装置が、数個の化合物の活性を同時に測定するために使用される。
【0152】
試験媒体:10日前の期間から薬物を何ら服用していない健康な志願者から得られた血小板。
【0153】
参照化合物:このアッセイでは、チロフィバン(i.v.注入用の0.25mg/mLの濃度として購入されたAGGRASTAT(登録商標)(MSD))が、5μMのADPにより誘導されるヒト血小板凝集を30nMから60nM(IC50)の濃度で50%阻害する。
【0154】
ビヒクル:試験化合物は、好ましくは、MQ HOに1mMの濃度で溶解されなければならない。代わりのビヒクルは、MQ HOにおける0.9%NaClである。化合物溶液(MQ HOまたはMQ HOにおける0.9%NaClのいずれかでの溶液)は、MQ HOにおける0.9%NaClでさらに希釈される。
【0155】
技術
試薬
1.多血小板血漿(PRP):
自由放出血(少なくとも100mL)を健康な志願者から採取し、蒸留HOにおける0.1体積の3.8%クエン酸ナトリウム.2HO(w/v)に集める。最終濃度は0.38%クエン酸ナトリウムである。
【0156】
クエン酸塩添加血液をRTにおいて1,600N/kg(160g)で遠心分離する。15分後、ブレーキをオフにして、遠心分離を中断し、上清(=PRP)を集める。
2.ADP(Kordia/Chrono−par#384)。使用前に、0.9%NaClにおける50μMの溶液を調製する。
【0157】
装置
1.Sysmex血球計数装置モデルKX−21。
2.620nmのフィルター、1,000rpmおよび37℃の一定温度で設定された旋回振とう機を有するLabsystems iEMS読み取り装置MF。吸収がLabsystems iEMSプログラムにより測定される。
3.ニードルを伴う血液採取システム600mL、art P4203(NPBI)。
4.96ウエル平底マイクロプレート(Greiner Labortechnik)。
【0158】
手順
上清(PRP)中の血小板を、Sysmex血球計数装置を使用して計数し、上清をPPPにより希釈して、400,000±50,000個/μLの血小板を含有するPRPを得る。PRPは、少なくとも20分間、但し3時間を超えることなく、RTで安定化させなければならない。
【0159】
ADP誘導による凝集
150μLのPRPをピペットでマイクロプレートのウエルに入れる。様々な濃度(化合物あたり7つの濃度)またはビヒクルにおける30μLの試験化合物を加え、マイクロプレートをLabsystems iEMS読み取り装置MFに入れて37℃で置く。この後、光学的濃度(OD620)を620nmで測定する。読み取り装置内で2分間振とう(1,000rpm)した後、ODは二度測定する。これは、血小板の安定性(自発的な血小板凝集の非存在)を確認するためである。この後、200μLの50μM ADP溶液を加え、ODを14分間にわたって620nmで1分毎に速度論的に測定する(図1)。2つの測定の間で、プレートを1,000rpmで40秒間振とうする。各試験化合物を、異なる志願者から得られたPRPを使用して少なくとも2回の実験で調べる。通常、試験化合物の最大最終濃度は1E−6Mから1E−7Mの間であり、化合物の濃度は、25%未満の血小板凝集阻害が得られるまで、1/2ずつ低下する。
【0160】
ADP誘導による凝集の応答の評価
各化合物濃度における平均OD(ビヒクルを含む)をt=0分およびt=10分において計算する。各濃度におけるパーセント阻害を、下記の式を使用して計算する:
100%−{(OD化合物(t=0分)−OD化合物(t=10分)/(ODビヒクル(t=0分)−ODビヒクル(t=10分))}x100
試験化合物のIC50は、ADP誘導による血小板凝集が50%低下する試験化合物の濃度である。このために、パーセント阻害の値が化合物の濃度に対してプロットされる。この後、試験化合物のIC50、nH(Hill勾配)および効力を、Graphpad Prism3.0を(可変勾配とともに)使用して計算する。
【0161】
必要量:2mg。
【0162】
参考文献:Salmon,D.M.(1996)、Thrombosis Research、84、213から216。
【0163】
【表1】

【0164】
I.b.TRAPにより誘導されるヒト血小板凝集の阻害についてのインビトロ試験
序論:トロンビン受容体アゴニストペプチド(TRAP)を洗浄ヒト血小板(WPL)にインビトロで加えることにより、血小板凝集が誘導される。この凝集は、WPLの光学的濃度を測定することによって明らかにすることができる。本実施例において記載されるインビトロ試験が、ヒト血小板のTRAP誘導による凝集を阻害する試験化合物の活性を分析するために使用される。マイクロプレート読み取り装置が、数個の化合物の活性を同時に測定するために使用される。
【0165】
試験媒体:10日前の期間から薬物を何ら服用していない健康な志願者から得られた血小板。
【0166】
参照化合物:このアッセイでは、チロフィバン(i.v.注入用の0.25mg/mLの濃度として購入されたAGGRASTAT(登録商標)(MSD))が、5μMのTRAPにより誘導されるヒト血小板凝集を30nMから60nM(IC50)の最終濃度で50%阻害する。
【0167】
ビヒクル:試験化合物は、好ましくは、MQ HOに1mMの濃度で溶解されなければならない。代わりのビヒクルは、MQ HOにおける0.9%NaClである。化合物溶液(MQ HOまたはMQ HOにおける0.9%NaClのいずれかでの溶液)は、MQ HOにおける0.9%NaClでさらに希釈される。
【0168】
技術
試薬
1.多血小板血漿(PRP):
自由放出血(少なくとも100mL)を健康な志願者から採取し、MQ HOにおける0.1体積の3.8%クエン酸ナトリウム.2HO(w/v)に集める。最終濃度は0.38%クエン酸ナトリウムである。クエン酸塩添加血液を、RTで、Hettich Rotanta/AP遠心分離機において1,600N/kg(160g)(750rpm)で遠心分離する。15分後、ブレーキをオフにして、遠心分離を中断し、上清(=PRP)を集める。
2.洗浄血小板(WPL):
1mlのPRPあたり1μLの、新しく作製されたPGI溶液を加えた後、懸濁物を、RTで、Hettich Rotanta/AP遠心分離機において13,500N/kg(1,350g)(すなわち、2,800rpm)で10分間遠心分離する。ペレットを、5ng/mLのPGIを含有する同じ体積の新鮮なWatson緩衝液に穏やかに再懸濁した後、懸濁物を再びRTで1,350g(2,800rpm)において10分間遠心分離する。最終的な血小板ペレットをWatson緩衝液に再懸濁して、約400,000±50,000個/mLの血小板を得る。
3.Watson緩衝液:
MQ HOにおいて、134mMのNaCl、2.9mMのKCl、12mMのNaHCO、0.34mMのNaHPO.2HO、1mMのMgCl.6HO、5mMのグルコースおよび5mMのHEPES。pHを1MのNaOHにより7.4に調節する。
4.プロスタグランジンI(Sigma、P6188、粉末):
1MのKOHにおける1mg/mLのPGI2ストック溶液を100μLの小分け物にして−20℃で貯蔵する。使用直前に、MQ HOにおける氷冷0.9%NaClでの5μg/mLの溶液を調製する。
5.ヒトフィブリノーゲン(Kordia/ERL、art nr:FIB2、粉末):
0.5gのフィブリノーゲン粉末を真空下で50mLのMQ HOに溶解する。このストック溶液を1mLの小分け物にして−20℃で貯蔵する。使用直前に、生理的食塩水における0.5mg/mLの溶液を調製する。
6.TRAP
使用前に、MQ HOにおける0.9%NaClでの50μM TRAPの溶液を調製する。各試験のために、新鮮な溶液を作製する。
【0169】
装置
1.Sysmex血球計数装置モデルKX−21
2.405nmのフィルター、1,000rpmおよび37℃の一定温度で設定された旋回振とう機を有するLabsystems iEMS読み取り装置MF。吸収がLabsystems iEMSプログラムにより測定される。
3.ニードルを伴う血液採取システム600mL、art nr:P4203(NPBI)。
4.96ウエルマイクロプレート(Greiner Labortechnik)平底。
【0170】
手順:WPLの濃度を、Sysmex血球計数装置を使用して計数し、懸濁物をWatson緩衝液で希釈して、400,000±50,000個/μLの血小板の濃度を得る。使用前に、WPLは、少なくとも20分間、但し3時間から4時間を超えることなく、室温で安定化させられる。
【0171】
TRAP誘導による凝集:150μLのWPLをピペットでマイクロプレートのウエルに入れる。15μLの試験化合物またはビヒクルおよび15μLのフィブリノーゲン溶液を加え、マイクロプレートをマイクロプレート読み取り装置に入れて37℃で置く。この後、光学的濃度(OD)を405nmで測定し、読み取り装置内で2分間振とうした後、OD405を、血小板の安定性(自発的な血小板凝集の非存在)を確認するために再び測定する。20μLの50μM TRAP溶液を加え、OD405を14分間にわたって405nmで1分毎に速度論的に測定する。2つの測定の間で、プレートを1,000rpmで40秒間振とうする(図1)。試験化合物のIC50を決定するために、各試験化合物を、異なる志願者から得られたWPLを使用して少なくとも2回の実験で調べる。化合物の通常の開始濃度はインキュベーション媒体において1E−6Mから1E−7Mの間であり、化合物の濃度は、25%未満の血小板凝集阻害が得られるまで、1/2ずつ低下する。
【0172】
応答の評価:各化合物の平均OD(ビヒクルを含む)をt=0分およびt=10分において計算する。各濃度におけるパーセント阻害を、下記の式を使用して計算する:
100%−{(OD化合物(t=0分)−OD化合物(t=10分)/(ODビヒクル(t=0分)−ODビヒクル(t=10分))}x100
化合物の濃度をパーセント阻害の値に対してプロットする。試験化合物のIC50、nH(Hill勾配)および効力を、Graphpad Prism3.0を(可変勾配とともに)使用して計算する。試験化合物のIC50は、TRAP誘導による血小板凝集が50%低下する試験化合物の濃度である。
【0173】
必要量:2mg。
【0174】
参考文献:Salmon,D.M.(1996)、Thrombosis Research、84、213から216。
【0175】
【表2】

【0176】
II.緩衝液における抗第Xa因子活性の測定
(マイクロタイタープレート法)
序論
活性化された第X(X)因子は凝固カスケードにおける因子であり、この活性はアンチトロンビンIII(AT−III)によってわずかに阻害される。抗凝固剤はXを直接的に阻害することができるか、または、ヘパリンのように、AT−IIIの阻害活性を強めることによってXを阻害することができる。抗X活性を、AT−IIIの存在下での発色性基質S−2222の加水分解速度を測定することによって評価することができる。このアッセイが、Kabi緩衝液におけるヘパリノイド調製物の抗X活性を明らかにするために使用される。
【0177】
試験媒体:Kabi緩衝液
参照化合物:国際標準ヘパリン(11.4抗XU/mg)。
【0178】
技術
試薬
1.Kabi緩衝液
緩衝液の組成:NaCl、10.17g(174mmol);エデト酸二ナトリウム二水和物、3.26g(9.6mmol);トロメタミン(Tris)、6.11g(50.4mmol);超純粋Hで1Lにする。溶液のpHを塩酸(0.10mol/L)により7.4に調節する。
すべてのaq.溶液について、超純粋HO(Milli−Q規格)が使用される。
2.X溶液
ウシの第X因子(Kabi Diagnostica、Stockholm、スウェーデン)をKabi緩衝液に溶解して、1.5U/mL(0.75nKat/mL)を含有する溶液を得る。
3.S−2222溶液
S−2222(Kabi Diagnostica)を超純粋HOに溶解して、0.375mg/mL(0.5mmol/L)を含有する溶液を得る。
4.AT−III溶液
ヒトAT−III(Kabi Diagnostica)をKabi緩衝液に溶解して、0.25U/mLを含有する溶液を得る。新鮮な溶液を毎日調製しなければならない。
5.較正サンプルの標準溶液
標準ヘパリンをKabi緩衝液に溶解して、約0.25抗XU/mLを含有する標準溶液を得る。
【0179】
手順
試験サンプルの調製
各調製物を超純粋HOに溶解し、Kabi緩衝液により希釈して、0.02抗XU/mLから0.2抗XU/mLの範囲での必要とされる濃度にした。
【0180】
活性の測定
各試験サンプル(0.05mL)をRTでピペットによりマイクロタイタープレートのウエルに入れた。AT−III溶液(0.05mL)を各サンプルに加え、プレートを、Vari振とう機を使用して振とうする。
【0181】
溶液のアリコート(0.05mL)を、AT−III溶液を加えた後10分して各ウエルにピペットで加え、プレートを再び振とうする。X溶液を加えた後、正確に2分して、0.1mLのS−2222溶液をピペットで各ウエルに加え、プレートを再び振とうする。すべての添加について、12チャンネルピペットが使用される。
【0182】
残存する量のXにより、S−2222の加水分解が触媒され、この速度がRTで2分および22分のインキュベーション期間の後で吸光光度法により各々測定される。各サンプルの吸光度を、Reader Microelisa(モデル310C(Organon Teknika、Oss、オランダ))を使用して405nmで測定し、吸光度の増大(ΔOD)を計算する。各試験サンプルを二回測定する。10サンプル毎、ブランク(0.05mLのKabi緩衝液)が含められる。
【0183】
較正曲線
較正サンプルの標準溶液のアリコートから、一連の希釈度を作製する(希釈係数:1、ヘパリンサンプルについては3つ)。得られた標準サンプル(約15サンプル)は0.01抗XU/mLから0.25抗XU/mLの間を含有しなければならない。各処理において、各標準サンプルの0.05mLを、X活性の測定のところで記載されたように、少なくとも3回試験する。較正曲線を、直線を、log(抗XU/mLの値)に対する
log{(平均ΔOD(ブランク)−平均ΔOD(標準サンプル))/平均ΔOD(標準サンプル)}
に、最小二乗法を使用して近似することによって得る。
【0184】
応答の評価
各サンプルについて、平均抗X活性(U/mL単位で)を、較正曲線を使用して求める。
【0185】
比較のために、フリーの五単糖XXII(コンジュゲートのオリゴ糖部分の「母体化合物」)の抗X活性データもまた示される。
【0186】
【表3】

【0187】
薬物動態学
モルモット(DH)に0.5μmol/kg(i.v.)の抗凝固剤を投与した。五単糖XXII(コンジュゲートのオリゴ糖部分の「母体化合物」)およびコンジュゲートVIIIの半減期を、血漿の抗Xa活性を上記のように特定の時間間隔でエクスビボ測定することによって間接的に求めた。参照用のGPIIb/IIIaアンタゴニスト(XVII、XIXおよびXX;スキーム10を参照のこと)の半減期を、LC−MS/MSを使用して、血漿中濃度を特定の時間間隔で測定することによって求めた。
【0188】
【化28】

【0189】
結論:
本発明のコンジュゲート化合物VIIIの半減期は、参照用のGpIIb/IIIaアンタゴニストと比較したとき、著しく長くなっている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式Aの化合物:
オリゴ糖−スペーサー−GpIIb/IIIaアンタゴニスト (A)
(式中、
オリゴ糖は、4個から25個の単糖ユニットを含む負荷電のオリゴ糖残基であり、該荷電は正荷電の対イオンによって補われており、及び該オリゴ糖残基は、これ自体が(AT−III媒介の)抗Xa活性を有するオリゴ糖に由来しており;
スペーサーは結合または本質的に薬理学的に不活性な結合残基であり;
GpIIb/IIIaアンタゴニストは、互いに10から20Åの距離で残基内に位置する場合によりエステル化されたカルボキシラート部分および塩基性部分を典型的には含む、フィブリノーゲンのRGDフラグメントおよび/またはK(QA)GDフラグメントを模倣する残基である)
またはこの医薬的に許容される塩またはこのプロドラッグもしくは溶媒和物。
【請求項2】
スペーサーが本質的に薬理学的に不活性な結合残基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
スペーサーが1原子から50原子の長さを有する、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
スペーサーが少なくとも1つの−(CHCHO)−部分を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
オリゴ糖が4個から16個の単糖ユニットを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
オリゴ糖が硫酸化五単糖残基である、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
五単糖残基が、下記の構造B:
【化1】

(式中、R1は独立してOSOまたは(1−8C)アルコキシであり、荷電は正荷電の対イオンによって補われる)
を有する、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
五単糖残基が、下記の構造C:
【化2】

(式中、R1はOCHまたはOSOであり、荷電は正荷電の対イオンによって補われる)
を有する、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
GpIIb/IIIaアンタゴニスト残基が、Ro435054、SC54701(キセミロフィバン)、RWJ50042、シブラフィバン(Ro443888)、ラミフィバン(Ro449883)、GPI562、FK633、チロフィバン(MK383)、オルボフィバン(SC57101)、エプチフィバチド(C6822)、ロキシフィバン(XV459)、エラロフィバン(RWJ53308)、SR121566(SR121787の活性形態)、レフラダフィバン(BIBU52)、ロトラフィバン(SB214857)、ガントフィバン(YM028)、T−250、EF5077、ZD2486、TAK029、TP9201またはL703014に由来する残基から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
GpIIb/IIIaアンタゴニスト残基が、下記の構造D:
−Y−N(H)−C(O)−X (D)
(式中、Yは、N(H)−C(O)−C(R2)(C(R2)COOH)またはN(H)−C(O)−C(R2)(CHアリール)−N(H)−C(O)−C(R2)(C(R2)COOH)、O−フェニレン−C(R2)−C(R2)(COOH)−N(H)−C(O)−C(R2)(C(R2)COOH)、O−フェニレン−C(R2)−C(R2)(C(O)−R3−O−C(R2)COOH)であり、
R2は独立してHまたは(1−4C)アルキルであり;及びアリールは、フェニル、ヒドロキシフェニル、チオフェニルまたはピリジニルであり、及びR3はピペリジニルである;
Xは、ベンズアミジン、(CH−N(H)−C(O)−ベンズアミジン、(CH−C(O)−N(H)−ベンズアミジン、または
【化3】

(式中、nは0、1、2または3である)
である)
を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
下記の化合物:
【化4】



から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
場合により修飾されたGPIIb/IIIaアンタゴニスト残基を、(a)オリゴ糖に直接カップリングする工程、または、(b)オリゴ糖−スペーサー残基にカップリングする工程、または、(c)スペーサーにカップリングし、続いて、オリゴ糖−スペーサー残基にカップリングする工程を含む、式Aの化合物を調製するための方法。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか一項に記載される化合物と、医薬的に好適な補助剤とを含む、医薬組成物。
【請求項14】
治療において使用される、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
血栓性疾患を処置または予防するための医薬品を製造するための、請求項1から11のいずれか一項に記載される化合物の使用。

【公表番号】特表2008−500960(P2008−500960A)
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501247(P2007−501247)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002881
【国際公開番号】WO2005/090382
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】