説明

押しボタンスイッチ、押しボタンスイッチの組付け方法

【課題】本発明は、プレイヤーによる悪戯行為に対してより堅固な十字ボタンスイッチ20、及び十字ボタンスイッチ20の組付け方法を提供することを目的とする。
【解決手段】プレイヤーの押下を許容する十字ボタン40と、十字ボタン40の押下に対する信号を出力する基板70と、基板70に載置して十字ボタン40を出没可能に弾性支持する押下部材60と、前記各部材を収容するスイッチケース50とで構成した十字ボタンスイッチ20であって、基板70を収容して保持するとともに、スイッチケース50に嵌合する嵌合爪部83を有する基板取付部材80を備え、スイッチケース50に、押下部材60及び十字ボタン40の出没をガイドするガイド筒部54を備えるとともに、基板取付部材80の嵌合爪部83と嵌合する嵌合部58を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば遊技機においてプレイヤーの各種選択入力を受け付ける十字ボタンスイッチのような押しボタンスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種遊技機において、娯楽性を高めるため様々な演出が施されているが、これら演出は、遊技の進行に応じて自動的に発生していた。昨今では、これら演出にもプレイヤーの選択操作や決定操作を受け付けることで、各種遊技機の娯楽性をより向上させている。
【0003】
このようなプレイヤーの各種選択入力を受け付ける手段の一つとして、様々な形状の押しボタンスイッチがある。プレイヤーは、これら押しボタンスイッチの押しボタンを押下することで、演出の選択や決定などを行うことができる。このような押しボタンスイッチとして、特許文献1のような構造が提案されている。
【0004】
特許文献1に記載の押しボタンスイッチでは、スイッチケース(特許文献1におけるケース)に押しボタンや基板を収容して、スイッチケースの底面からネジにて固定して組付けている。
【0005】
ところで、このような押しボタンスイッチに対して、誤作動などを狙ったプレイヤーによる操作、あるいは工具などを用いた悪戯行為が少なからず問題となっている。例えば、特許文献1のような押しボタンスイッチでは、各部材の組付けに用いるネジに螺合する部材が樹脂部材であることが多い。さらに、ネジが非常に小さくネジ山のピッチが狭いので、押しボタンに大きな荷重が加わるとネジ山や樹脂部材が破損し易い構造である。
【0006】
このため、悪意を持ったプレイヤーが押しボタンを必要以上の荷重で押下すると、その荷重にネジ山が耐え切れず樹脂部材が破損し、最終的に押しボタンスイッチが分解することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−166937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑み、プレイヤーによる悪戯行為に対してより堅固な押しボタンスイッチ、及び押しボタンスイッチの組付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、プレイヤーの押下を許容する少なくとも1つの押しボタンと、該押しボタンの押下に対する信号を出力する基板と、該基板に載置して前記押しボタンを出没可能に弾性支持する押下部材と、前記各部材を収容するスイッチケースとで構成した押しボタンスイッチであって、前記基板を収容して保持するとともに、前記スイッチケースに嵌合する嵌合爪部を有する基板取付部材を備え、前記スイッチケースに、前記押下部材及び前記押しボタンの出没をガイドする出没ガイド部を備えるとともに、前記基板取付部材の嵌合爪部と嵌合する嵌合部を備えたことを特徴とする。
上記押下部材は、絶縁性を有するゴム系素材、あるいは絶縁性を有する軟質樹脂素材などとすることができる。
【0010】
この発明により、プレイヤーによる悪戯行為に対してより堅固な押しボタンスイッチを構成することができる。
【0011】
具体的には、基板取付部材に嵌合爪部を備え、スイッチケースに嵌合部を備えたことにより、スイッチケースに基板取付部材を挿入して嵌合固定することができる。これにより、押しボタンの押下方向に加わる押下荷重に対して、嵌合爪部が嵌合部にしっかりと噛合って嵌合を維持することができる。つまり、押下荷重によって、基板取付部材がスイッチケースから容易に抜け落ちることを防止できる。
【0012】
すなわち、基板取付部材とスイッチケースとを嵌合固定することにより、押しボタンの押下方向にかかる押下荷重に対して、押しボタンスイッチは、小さいネジで組付ける場合に比べて、より破損あるいは分解し難い堅固な構造とすることができる。
【0013】
また、基板は、基板取付部材の所定の位置に組付けることができる。そして、基板に載置した押下部材をスイッチケースの出没ガイド部に挿入することで、押下部材は、スイッチケースに対して適切な位置及び向きで組付けることができる。さらに、基板取付部材とスイッチケースとが嵌合することで、押下部材と基板とを適切な位置及び向きで組付けることができる。
【0014】
すなわち、押しボタンスイッチに押下部材や基板を組付ける際、それぞれの取付け位置を決める位置決め孔のような特別な開口を設けることなく、適切な位置及び向きで組付けることができる。これにより、プレイヤーによる電気的な悪戯によって、押しボタンスイッチ内に侵入した電気が、位置決め孔のような開口を介して直線的に基板に到達することを防止することができる。さらに、押下部材は、位置決め孔のような開口を設けていないので、押下に対する耐久性を向上させることができる。
【0015】
従って、スイッチケースと基板取付部材とを嵌合固定するとともに、位置決め孔のような特別な開口を不要にしたことにより、押しボタンスイッチは、プレイヤーによる悪戯行為に対してより堅固な構造とすることができる。
【0016】
この発明の態様として、前記押しボタンの出没可能な開口部を有するとともに、前記スイッチケースに嵌合固定するボタンカバーを備え、前記押しボタンの基板側外周縁に、外側に向けて前記開口部より大きい鍔部を形成することができる。
【0017】
この発明により、押しボタンとボタンカバーとの隙間に細い工具などを差し込まれた際、押しボタンの鍔部によって、工具の侵入を阻止することができる。これにより、押しボタンに工具などを引っ掛けて押しボタンスイッチを破損させる、あるいは基板にアクセスして電気的な悪戯行為を行うことを防止できる。
【0018】
また、押しボタンに鍔部を設けたことにより、押しボタンは、スイッチケースのプレイヤーと対面する側から出没ガイド部に挿入することとなる。すなわち、押しボタンが押下されると、スイッチケースの出没ガイド部に鍔部が当接することで、押しボタンが必要以上に押し込まれることを防止できる。
【0019】
これにより、プレイヤーが押しボタンに必要以上の押下荷重を加えても、押下荷重を押しボタンから出没ガイド部を介してスイッチケースに伝達、分散させることができる。
【0020】
つまり、基板取付部材には押下荷重が加わり難くなるため、押下荷重による押しボタンスイッチの破損、分解を防止することができる。さらに、押下部材を介して基板に必要以上の押下荷重が加わることを阻止して、基板の破損などを防止することができる。
【0021】
従って、押しボタンに鍔部を形成したことにより、工具などの侵入を阻止するとともに、押下荷重をスイッチケースに伝達、分散することできるので、押しボタンスイッチは、プレイヤーによる悪戯行為に対してより堅固な構造とすることができる。
【0022】
また、この発明の態様として、前記スイッチケースの外周面に、外側に向けて形成するとともに、前記ボタンカバーと嵌合するカバー嵌合爪部を備え、前記ボタンカバーを、プレイヤーと対面する対表面部、及び該対表面部から延設するとともに、前記カバー嵌合爪部に外側から嵌合する嵌合脚部で構成することができる。
【0023】
この発明により、対表面部側からボタンカバーの取外しを困難にすることができる。
具体的には、対表面部側からボタンカバーを取外す場合、押しボタンスイッチを組付けた筐体、あるいはスイッチケースのプレイヤーと対面する部分とボタンカバーとの隙間から工具を挿入して嵌合を解除しながら、ボタンカバーを引抜くこととなる。
【0024】
ところが、スイッチケースの外側に向けて形成したカバー嵌合爪部に、ボタンカバーの嵌合脚部を付勢力によって外側から嵌合したことにより、筐体あるいはスイッチケースとボタンカバーとの限られた隙間から、嵌合脚部を外側に開いて嵌合を解除しながら引抜くことを困難にすることができる。
【0025】
従って、スイッチケースのカバー嵌合爪部に、ボタンカバーの嵌合脚部を付勢力によって外側から嵌合することにより、対表面部側からボタンカバーの取外しを困難にすることができ、押しボタンスイッチは、プレイヤーによる悪戯行為に対してより堅固な構造とすることができる。
【0026】
また、この発明の態様として、前記対表面部を、平面視において外周縁に曲線部を有する形状に形成し、前記嵌合脚部を、前記曲線部に形成することができる。
上記曲線部を有する対表面部は、平面視において略円状の形状、略楕円状の形状、あるいは略俵状の形状などとすることができる。
【0027】
この発明により、対表面部側からボタンカバーの取外しをより困難にすることができる。
具体的には、嵌合脚部をボタンカバーの曲線部に形成したことにより、ボタンカバーの直線的な外周縁に嵌合脚部を形成した場合に比べて、嵌合脚部に対して工具などの引掛け代を小さく、かつ力を加え難くすることができる。すなわち、曲線部に形成したボタンカバーの嵌合脚部にアクセスして嵌合を解除することを困難にできる。
【0028】
従って、嵌合脚部を対表面部の曲線部に形成することにより、嵌合脚部へのアクセスを困難にすることができ、押しボタンスイッチは、プレイヤーによる悪戯行為に対してより堅固な構造とすることができる。
【0029】
また、この発明の態様として、前記スイッチケースの外周面に、前記押しボタンの押下方向で前記スイッチケースと螺合するナット部材を備えることができる。
【0030】
この発明により、押しボタンスイッチを取付ける筐体に対して、スイッチケースをナット部材で固定することができる。さらに、スイッチケース及びナット部材のネジ山ピッチを広く確保して形成することができるので、押しボタンスイッチ全体に押下荷重を加えても容易に破損することなく、押しボタンスイッチが筐体から容易に抜け落ちることを防止できる。
【0031】
従って、ナット部材を備えたことにより、押下荷重に対して、筐体への取付け強度の向上を図ることができ、押しボタンスイッチは、プレイヤーによる悪戯行為に対してより堅固な構造とすることができる。
【0032】
また、この発明は、プレイヤーの押下を許容する少なくとも1つの押しボタンと、該押しボタンの押下に対する信号を出力する基板と、該基板に載置して前記押しボタンを出没可能に弾性支持する押下部材とをスイッチケースに収容して組付けた押しボタンスイッチの組付け方法であって、前記基板を収容して保持するとともに、前記スイッチケースに嵌合する嵌合爪部を有する基板取付部材を備え、前記押しボタンの出没をガイドする前記スイッチケースの出没ガイド部に、前記押下部材及び前記押しボタンを挿入するとともに、前記スイッチケースに形成した嵌合部に、前記基板取付部材の嵌合爪部を嵌合して組付けることを特徴とする。
【0033】
この発明により、プレイヤーによる悪戯行為に対してより堅固な押しボタンスイッチの組付け方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明により、プレイヤーによる悪戯行為に対してより堅固な押しボタンスイッチ、及び押しボタンスイッチの組付け方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】パチンコ遊技機の盤面表側の外観を示す外観斜視図。
【図2】十字ボタンスイッチの外観を示す外観斜視図。
【図3】十字ボタンスイッチの正面を示す正面図。
【図4】十字ボタンスイッチの構成を示す上面側からの分解斜視図。
【図5】十字ボタンスイッチの構成を示す底面側からの分解斜視図。
【図6】十字ボタンスイッチの平面を示す平面図。
【図7】図2中のA−A矢視断面図。
【図8】図6中のB−B矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
本実施形態では、一例として遊技ホールに設置されるパチンコ遊技機10を用いて説明する。
なお、図1は、パチンコ遊技機10の盤面表側の外観斜視図を示している。
また、本明細書において上面側とは、プレイヤーと対向する方向を示し、底面側もしくは底面方向とは、上面側を示す方向と逆向きの方向を示している。
【0037】
パチンコ遊技機10の盤面表側には、図1に示すように、上部に遊技面1が設けられ、その下部に、遊技球を打ち出し用に貯留させる上皿4と、払い出し用に遊技球を貯留させる下皿5とを上下に配設している。下皿5の左部上面には、十字ボタンスイッチ20を設けている。さらに、パチンコ遊技機10の右下側には、プレイヤーの回転操作によって遊技球の打撃力を調整させる遊技球発射用の発射ハンドル6を備えている。
【0038】
また、遊技面1には、発射された遊技球を搬送する搬送レール2と、遊技進行に応じて各種演出画面を表示する演出画面表示部3が設けられている。
【0039】
このような構成のパチンコ遊技機10をプレイヤーが遊技利用する際、プレイヤーは、発射ハンドル6を回転操作して遊技球を発射する。この際、パチンコ遊技機10は、発射ハンドル6の回転量に応じて、盤面裏側の発射装置(図示省略)より遊技球を1球ずつ発射させる。発射された遊技球は、搬送レール2に沿って遊技面1へと供給されて遊技が開始される。
【0040】
そして、演出画面表示部3には、遊技の進行に応じて各種演出画面が表示される。そして、演出画面表示部3にプレイヤーの選択操作を要求する演出画面が表示されると、遊技利用中のプレイヤーは、十字ボタンスイッチ20にて選択操作を行う。
【0041】
このような十字ボタンスイッチ20について、図2から図8を用いて詳しく説明する。
なお、図2は十字ボタンスイッチ20の外観斜視図を示し、図3は十字ボタンスイッチ20の正面図を示し、図4は十字ボタンスイッチ20の上面側からの分解斜視図を示し、図5は底面側からの分解斜視図を示し、図6は十字ボタンスイッチ20の平面図を示し、図7は図2中のA−A矢視断面図を示し、図8は図6中のB−B矢視断面図を示している。また、図7及び図8において、パチンコ遊技機10の下皿5における上面の断面を二点鎖線にて図示している。
【0042】
十字ボタンスイッチ20は、図2及び図3に示すように、プレイヤーの操作を受け付けるスイッチ本体21と、スイッチ本体21を下皿5に固定するナット90とで構成している。
【0043】
具体的には、スイッチ本体21は、図4及び図5に示すように、ボタンカバー30、十字ボタン40、及びスイッチケース50で構成している。さらに、スイッチケース50の内部には、押下部材60、基板70、及び基板取付部材80を収容して構成している。
【0044】
ボタンカバー30は、プレイヤーと対面する対表面部31、及びスイッチケース50に嵌合する4つの嵌合脚部32で一体に構成している。
【0045】
対表面部31は、図6に示すように、平面視において直線部31aと曲線部31bとで構成した外周縁を有する略俵状の平板で形成している。さらに、対表面部31には、図4から図6に示すように、後述する十字ボタン40に対応する平面視略三角形状に開口した開口部Xを四方に配置している。
【0046】
嵌合脚部32は、略平板状であって、対表面部31の曲線部31bから底面方向に向けて形成している。さらに、嵌合脚部32の底面側端部近傍には、スイッチケース50(後述するスイッチケース50のカバー嵌合爪部56)と嵌合するカバー嵌合開口部32aを設けている。
【0047】
また、十字ボタン40は、上下左右に独立した4方向ボタンであって、略三角柱状に形成した上ボタン41、下ボタン42、左ボタン43、及び右ボタン44の4つのボタンで構成している。さらに、各ボタンには、それぞれの底面側外周縁において外側に向けて突設した鍔部41a、42a、43a、及び44aを形成している。加えて、各ボタンの底面には、底面方向に延びる略円筒状のボタン軸部41b、42b、43b、及び44bを備えている。
【0048】
また、スイッチケース50は、図3から図7に示すように、プレイヤーと対面するケース平面部51、ケース平面部51から底面方向に延設したケース胴部53、及びケースネジ山部57で一体に構成している。
【0049】
ケース平面部51は、平面視略円状の平板であって、略中央にボタンカバー30の対表面部31を載置可能な略俵状の開口を有する形状に形成している。さらに、ケース平面部51の開口縁において、ボタンカバー30の曲線部31bに対応する位置に、嵌合脚部32を挿入可能に開口した挿入開口部52を設けている。
【0050】
ケース胴部53は、挿入開口部52が外周面の外側に位置する大きさの平面視略俵状の筒形状であって、ケース平面部51の開口縁から底面方向に延設している。さらに、ケース胴部53の内部には、十字ボタン40のボタン軸部41b、42b、43b、及び44bが挿入可能な内周径を有する略円筒状のガイド筒部54を平面視において四方に配置している。
【0051】
そして、ケース胴部53の内部には、ボタンカバー30の対表面部31と対面して、4つのガイド筒部54の外周面とケース胴部53の内周面とを繋ぐように略平板状の内平面部55を形成している。さらに、内平面部55の略中央には、図7に示すように、底面方向に向けて形成した略円筒状の形状であって、後述する押下部材60の支持突部64の挿入を許容する突部挿入部59を設けている。
【0052】
加えて、ケース胴部53の外周面には、挿入開口部52から底面側の離間した位置に、ボタンカバー30の嵌合脚部32と嵌合する4つのカバー嵌合爪部56を外側に向けて形成している。
【0053】
ケースネジ山部57は、ケース胴部53から底面方向に延設した略円筒状の形状であって、外周面にナット90と螺合するネジ山を形成している。さらに、ケースネジ山部57の外周面における底面側端部近傍には、基板取付部材80(後述する基板取付部材80の嵌合爪部83)と嵌合する2つの嵌合部58を、径方向において対向する位置に開口している。
【0054】
また、押下部材60は、平面対面部61、側面対面部62、4つの弾性支持部63、及び支持突部64で一体に構成している。なお、押下部材60は、弾性を有するとともに、絶縁性を有するゴム系素材で形成されているものとする。さらに、押下部材60は、弾性の反発力により十字ボタン40をガイド筒部54に沿って出没させるとともに、後述する基板70と後述する押下部材60の接触端子部63aが接触することで通電を確立させる機能を有している。
【0055】
平面対面部61は、スイッチケース50の内平面部55と対面するとともに、基板70(後述する基板70の基板本体71)を覆う大きさの平面視略円状に形成している。
側面対面部62は、平面対面部61の外周縁から底面方向に向けて形成した略円筒状の形状に形成している。
【0056】
弾性支持部63は、略円柱状の形状であって、平面対面部61上においてスイッチケース50のガイド筒部54と対応するように四方に配置している。さらに、各弾性支持部63の底面側底部には、導電性を有する接触端子部63aを備えている。
【0057】
なお、弾性支持部63は、図7に示すように、断面視において、接触端子部63aと基板70とが離間するように配置するとともに、断面ハの字状の傾斜面65を介して平面対面部61と一体に形成している。この傾斜面65は、十字ボタン40を押下した際のクリック感をだすとともに、弾性による反発力により十字ボタン40を出没可能にする機能を有している。
【0058】
支持突部64は、平面対面部61上の略中央において、スイッチケース50の突部挿入部59に挿入可能な外周径を有する略円柱状に形成している。
【0059】
また、基板70は、各種電子部品を載置した基板本体71、及び基板本体71の底面側に備えたコネクタ72で構成している。
【0060】
基板本体71は、平面視略円状の電子基板であって、押下部材60の4つの接触端子部63aと対面する位置に、接触端子部63aが接触することで通電する被接触端子部71aを備えている。
コネクタ72は、略箱状の形状であって、パチンコ遊技機10内部の制御機器などから引き出された配線(図示省略)と接続している。
【0061】
また、基板取付部材80は、図4及び図5に示すように、取付部材筒部81、及び取付部材筒部81の内部に形成した基板取付部82で一体に構成している。
【0062】
取付部材筒部81は、図7に示すように、スイッチケース50のケースネジ山部57の内周径より小さく、かつ基板70の基板本体71を載置可能な外周径を有する略円筒状の形状に形成している。さらに、取付部材筒部81の外周面には、スイッチケース50の嵌合部58と嵌合する2つの嵌合爪部83を、径方向で対向する位置において外側に向けて形成している。
【0063】
基板取付部82は、取付部材筒部81の軸方向に延びる平板で、基板70のコネクタ72の挿入を許容する平面視略矩形の開口を有する略井桁状の形状に形成している。
【0064】
また、ナット90は、スイッチケース50のケースネジ山部57と螺合可能な内周径を有する形状に形成している。なお、ナット90の上面側平面には、略半円柱状の回り止めリブ91を放射状に複数配置している。
【0065】
このような構成のボタンカバー30、十字ボタン40、スイッチケース50、押下部材60、基板70、及び基板取付部材80をそれぞれ挿入あるいは嵌合して組付けることでスイッチ本体21を構成している。そして、スイッチ本体21は、下皿5の取付け孔に挿入して底面側からナット90にて係止して下皿5に固定する。
【0066】
具体的には、基板取付部材80の基板取付部82に、上面側から基板70のコネクタ72を挿入して組付ける。このとき、基板本体71を、図7に示すように、取付部材筒部81の上面側端部に載置するように組付ける。さらに、押下部材60を、基板70に上面側から被覆するように載置して組付ける。
【0067】
そして、押下部材60及び基板70を組付けた基板取付部材80をスイッチケース50の底面側から挿入して組付ける。このとき、押下部材60を、図7に示すように、弾性支持部63がスイッチケース50のガイド筒部54に挿入できるように回転させて位置を合わせる。その後、基板取付部材80の嵌合爪部83が、付勢力によってスイッチケース50の嵌合部58にしっかりと嵌合するまで、基板取付部材80をスイッチケース50に挿入して組付ける。
【0068】
また、十字ボタン40を、図4に示すように、スイッチケース50の上面側からガイド筒部54に挿入して組付ける。この際、上ボタン41、下ボタン42、左ボタン43、及び右ボタン44の各ボタンを、それぞれの方向に応じた位置に合わせるとともに、ボタン軸部41b、42b、43b、及び44bをガイド筒部54に挿入して組付ける。
【0069】
その後、ボタンカバー30を、図4に示すように、スイッチケース50の上面側から組付ける。この際、ボタンカバー30の嵌合脚部32を、図8に示すように、スイッチケース50の挿入開口部52に挿入して組付ける。そして、嵌合脚部32のカバー嵌合開口部32aを、カバー嵌合爪部56に外側から嵌め合わせるとともに、付勢力によってしっかりと嵌合させて組付ける。
【0070】
このように各部材を組付けて構成したスイッチ本体21を、図7に示すように、パチンコ遊技機10の下皿5の取付け孔に上面側から挿入する。そして、スイッチ本体21の底面側からスイッチケース50のケースネジ山部57にナット90を螺合して、下皿5にスイッチ本体21を固定する。
【0071】
以上のような構成により、十字ボタンスイッチ20は、プレイヤーによる悪戯行為に対してより堅固な構成とすることができる。
【0072】
具体的には、基板取付部材80に嵌合爪部83を備え、スイッチケース50に嵌合部58を備えたことにより、スイッチケース50に基板取付部材80を挿入して嵌合固定することができる。これにより、十字ボタン40の押下方向に加わる押下荷重に対して、嵌合爪部83が嵌合部58にしっかりと噛合って嵌合を維持することができる。つまり、押下荷重によって、基板取付部材80がスイッチケース50から容易に抜け落ちることを防止できる。
【0073】
すなわち、基板取付部材80とスイッチケース50とを嵌合固定することにより、十字ボタン40の押下方向にかかる押下荷重に対して、十字ボタンスイッチ20は、ネジで組付けた場合に比べて、より破損あるいは分解し難い堅固な構造とすることができる。
【0074】
また、基板70は、基板取付部材80の基板取付部82に組付けることができる。そして、基板70に載置した押下部材60の弾性支持部63をスイッチケース50のガイド筒部54に挿入することで、押下部材60は、スイッチケース50に対して適切な位置及び向きで組付けることができる。さらに、基板取付部材80とスイッチケース50とが嵌合することで、押下部材60と基板70とを適切な位置及び向きで組付けることができる。
【0075】
すなわち、十字ボタンスイッチ20に押下部材60や基板70を組付ける際、それぞれの取付け位置を決める位置決め孔のような特別な開口を設けることなく、適切な位置及び向きで組付けることができる。これにより、プレイヤーによる電気的な悪戯によって、十字ボタンスイッチ20内に侵入した電気が、位置決め孔のような開口を介して直線的に基板に到達することを防止することができる。さらに、押下部材60は、位置決め孔のような開口を設けていないので、押下に対する耐久性を向上させることができる。
【0076】
従って、スイッチケース50と基板取付部材80とを嵌合固定するとともに、位置決め孔のような特別な開口を不要にしたことにより、十字ボタンスイッチ20は、プレイヤーによる悪戯行為に対してより堅固な構造とすることができる。
【0077】
また、十字ボタン40及び押下部材60の弾性支持部63をガイド筒部54に挿入したことにより、プレイヤーが十字ボタン40を押下した際、十字ボタン40は、スムーズに出没することができる。
【0078】
さらに、押下部材60の支持突部64をスイッチケース50の突部挿入部59に挿入することにより、押下部材60を支持することができる。これにより、プレイヤーが十字ボタン40を押下した際、バランス変化によって押下部材60の弾性支持部63が倒れることを抑制できる。
【0079】
加えて、基板取付部材80をスイッチケース50の内部に収容するように挿入して嵌合固定することにより、プレイヤーによる悪戯行為に対してより堅固な構造とするとともに、十字ボタンスイッチ20の全長を抑えて薄型化することができる。
【0080】
また、十字ボタン40とボタンカバー30との隙間に細い工具などを差し込まれた際、十字ボタン40の鍔部41aから44aにより、工具の侵入を阻止することができる。これにより、十字ボタン40に工具などを引っ掛けて十字ボタンスイッチ20を破損させる、あるいは基板70にアクセスして電気的な悪戯行為を行うことを防止できる。
【0081】
また、十字ボタン40に鍔部41aから44aを設けたことにより、十字ボタン40は、スイッチケース50の上面側からガイド筒部54に挿入することとなる。すなわち、十字ボタン40が押下されると、スイッチケース50のガイド筒部54に鍔部41aから44aが当接することで、十字ボタン40が必要以上に押し込まれることを防止できる。
【0082】
これにより、プレイヤーが十字ボタン40に必要以上の押下荷重を加えても、押下荷重を十字ボタン40からガイド筒部54を介してスイッチケース50に伝達、分散させることができる。
【0083】
つまり、基板取付部材80には押下荷重が加わり難くなるため、押下荷重による十字ボタンスイッチ20の破損、分解を防止することができる。さらに、押下部材を介して基板70に必要以上の押下荷重が加わることを阻止して、基板70の破損などを防止することができる。
【0084】
従って、十字ボタン40に鍔部41aから44aを形成したことにより、工具などの侵入を阻止するとともに、押下荷重をスイッチケース50に伝達、分散することできるので、十字ボタンスイッチ20は、プレイヤーによる悪戯行為に対してより堅固な構造とすることができる。
【0085】
また、スイッチケース50のカバー嵌合爪部56、及びカバー嵌合爪部56に外側から嵌合するボタンカバー30の嵌合脚部32により、上面側からボタンカバー30の取外しを困難にすることができる。
【0086】
具体的には、上面側からボタンカバー30を取外す場合、スイッチケース50のケース平面部51とボタンカバー30との隙間から工具を挿入して嵌合を解除しながら、ボタンカバー30を引抜くこととなる。
【0087】
ところが、スイッチケース50の外側に向けて形成したカバー嵌合爪部56に、ボタンカバー30の嵌合脚部32を付勢力によって外側から嵌合したことにより、スイッチケース50とボタンカバー30との限られた隙間から、嵌合脚部32を外側に開いて嵌合を解除しながら引抜くことを困難にすることができる。
【0088】
従って、スイッチケース50のカバー嵌合爪部56に、ボタンカバー30の嵌合脚部32を付勢力によって外側から嵌合することにより、上面側からボタンカバー30の取外しを困難にすることができ、十字ボタンスイッチ20は、プレイヤーによる悪戯行為に対してより堅固な構造とすることができる。
【0089】
また、対表面部31を、平面視において外周縁に曲線部31bを有する形状に形成し、嵌合脚部32を、曲線部31bに形成したことにより、上面側からボタンカバー30の取外しをより困難にすることができる。
【0090】
具体的には、嵌合脚部32をボタンカバー30の曲線部31bに形成したことにより、ボタンカバー30の直線部31aに嵌合脚部を形成した場合に比べて、嵌合脚部32に対して工具などの引掛け代を小さく、かつ力を加え難くすることができる。すなわち、曲線部31bに形成したボタンカバー30の嵌合脚部32にアクセスして嵌合を解除することを困難にできる。
【0091】
従って、嵌合脚部32を対表面部31の曲線部31bに形成することにより、嵌合脚部32へのアクセスを困難にすることができ、十字ボタンスイッチ20は、プレイヤーによる悪戯行為に対してより堅固な構造とすることができる。
【0092】
また、スイッチケース50と螺合するナット90を備えたことにより、十字ボタンスイッチ20を取付ける下皿5に対して、スイッチ本体21をナット90で固定することができる。さらに、スイッチケース50及びナット90のネジ山ピッチを広く確保して形成することができるので、十字ボタンスイッチ20全体に押下荷重を加えても容易に破損することなく、十字ボタンスイッチ20が筐体から容易に抜け落ちることを防止できる。
【0093】
従って、ナット90を備えたことにより、押下荷重に対して、下皿5への取付け強度の向上を図ることができ、十字ボタンスイッチ20は、プレイヤーによる悪戯行為に対してより堅固な構造とすることができる。
【0094】
また、十字ボタン40と、基板70と、押下部材60とをスイッチケース50に収容して組付けた十字ボタンスイッチ20の組付け方法であって、基板70を収容して保持するとともに、スイッチケース50に嵌合する嵌合爪部83を有する基板取付部材80を備え、十字ボタン40の出没をガイドするスイッチケース50のガイド筒部54に、押下部材60及び十字ボタン40を挿入するとともに、スイッチケース50に形成した嵌合部58に、基板取付部材80の嵌合爪部83を嵌合して組付けることにより、プレイヤーによる悪戯行為に対してより堅固な十字ボタンスイッチ20の組付け方法とすることができる。
【0095】
なお、本実施形態では、4方向の十字ボタン40としたが、これに限定せず、用途に応じた適宜の数のボタンとしてもよい。例えば、上下もしくは左右の2方向ボタン、1つのボタン、あるいは2方向もしくは4方向ボタンと1つのボタンとを組み合わせた構成であってもよい。
【0096】
また、押下部材60は、弾性を有するとともに絶縁性を有するゴム系素材としたが、これに限定せず、弾性を有するとともに絶縁性を有する軟質樹脂素材などとしてもよい。
【0097】
また、対表面部31は、平面視略俵状に形成したが、これに限定せず、平面視において外周縁に曲線部31bを有する形状であればよい。例えば、平面視において略円状の形状、あるいは略楕円状の形状などとしてもよい。
【0098】
また、押下部材60の接触端子部63aが基板70の被接触端子部71aに接触することで通電する構成としたが、これに限定せず、押下部材60と基板70との接触構造は、適宜の構成としてもよい。
【0099】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の押しボタンスイッチは、実施形態の十字ボタンスイッチ20に対応し、
以下同様に、
押しボタンは、十字ボタン40に対応し、
出没ガイド部は、ガイド筒部54に対応し、
ナット部材は、ナット90に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、遊技機だけでなく、選択あるいは決定操作を利用者に要求する様々な機器に対して利用することができる。
【符号の説明】
【0101】
20…十字ボタンスイッチ
30…ボタンカバー
31…対表面部
32…嵌合脚部
31b…曲線部
40…十字ボタン40
41a,42a,43a,44a…鍔部
50…スイッチケース
54…ガイド筒部
56…カバー嵌合爪部
58…嵌合部
60…押下部材
70…基板
80…基板取付部材
83…嵌合爪部
90…ナット
X…開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤーの押下を許容する少なくとも1つの押しボタンと、
該押しボタンの押下に対する信号を出力する基板と、
該基板に載置して前記押しボタンを出没可能に弾性支持する押下部材と、
前記各部材を収容するスイッチケースとで構成した押しボタンスイッチであって、
前記基板を収容して保持するとともに、前記スイッチケースに嵌合する嵌合爪部を有する基板取付部材を備え、
前記スイッチケースに、
前記押下部材及び前記押しボタンの出没をガイドする出没ガイド部を備えるとともに、前記基板取付部材の嵌合爪部と嵌合する嵌合部を備えた
押しボタンスイッチ。
【請求項2】
前記押しボタンの出没可能な開口部を有するとともに、前記スイッチケースに嵌合固定するボタンカバーを備え、
前記押しボタンの基板側外周縁に、
外側に向けて前記開口部より大きい鍔部を形成した
請求項1に記載の押しボタンスイッチ。
【請求項3】
前記スイッチケースの外周面に、
外側に向けて形成するとともに、前記ボタンカバーと嵌合するカバー嵌合爪部を備え、
前記ボタンカバーを、
プレイヤーと対面する対表面部、及び該対表面部から延設するとともに、前記カバー嵌合爪部に外側から嵌合する嵌合脚部で構成した
請求項1または2に記載の押しボタンスイッチ。
【請求項4】
前記対表面部を、
平面視において外周縁に曲線部を有する形状に形成し、
前記嵌合脚部を、前記曲線部に形成した
請求項1から3のいずれか1つに記載の押しボタンスイッチ。
【請求項5】
前記スイッチケースの外周面に、
前記押しボタンの押下方向で前記スイッチケースと螺合するナット部材を備えた
請求項1から4のいずれか1つに記載の押しボタンスイッチ。
【請求項6】
プレイヤーの押下を許容する少なくとも1つの押しボタンと、該押しボタンの押下に対する信号を出力する基板と、該基板に載置して前記押しボタンを出没可能に弾性支持する押下部材とをスイッチケースに収容して組付けた押しボタンスイッチの組付け方法であって、
前記基板を収容して保持するとともに、前記スイッチケースに嵌合する嵌合爪部を有する基板取付部材を備え、
前記押しボタンの出没をガイドする前記スイッチケースの出没ガイド部に、
前記押下部材及び前記押しボタンを挿入するとともに、
前記スイッチケースに形成した嵌合部に、
前記基板取付部材の嵌合爪部を嵌合して組付ける
押しボタンスイッチの組付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−226976(P2012−226976A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93614(P2011−93614)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】