説明

押圧力調整装置及び画像形成装置。

【課題】互いに対向するように配置された2つの部材を構成する一方の部材を他方の部材に対して十分な押圧力で押圧させることができる。
【解決手段】複合機1に用いられ、駆動ローラ711に対向して配置された加圧ローラ72の駆動ローラ711に対する押圧力を調整する押圧力調整装置9であって、第1押圧力検出部92と、第1押圧力調整部94とを備えている。第1押圧力検出部92は、加圧ローラ72の駆動ローラ711に対する押圧力を検出する手段である。第1押圧力調整部94は第1押圧力検出部92の検出結果に基づいて加圧ローラ72の駆動ローラ711に対する押圧力を調整する手段である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押圧力調整装置及び画像形成装置、特に、画像形成装置に用いられ、第1部材に対向して配置され第1部材を押圧する第2部材の第1部材に対する押圧力を調整する押圧力調整装置及びその押圧力調整装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタなどの電子写真方式の画像形成装置は、画像情報に基づいて画像を形成可能な画像形成部と、画像形成部などの各機能部に用紙を搬送可能な用紙搬送部と、画像形成部で用紙上に形成された画像を用紙に定着させるための定着部とを備えている。
【0003】
この画像形成装置では、用紙搬送部によって画像形成部に用紙が搬送される。そして、画像情報に基づいて画像形成部で用紙上に画像が形成される。表面に画像が形成された用紙は用紙搬送部によって定着部に搬送される。そして定着部で用紙に画像が定着させられる。画像が定着させられた用紙は装置の外部に排出される。
【0004】
このような画像形成装置には、2つの部材を互いに対向するように配置し、一方の部材が他方の部材を押圧するようにしている構成が設けられているものがある。例えば2つのローラの間をシートが通るような構成が設けられている定着部がある。この定着部では加圧ローラと加熱ローラとが対向するように配置され、加圧ローラと加熱ローラの間をシートが通過することで画像がシートに定着させられる。また、用紙搬送部では2つのローラによって用紙を搬送する。
【0005】
そして、定着部には、用紙の厚さに応じて2つのローラの位置を変えるようにしたものがある。この定着部では、用紙の厚さを検出する厚さ検出センサを有しており、用紙の厚さに応じて加圧ローラの加熱ローラに対する位置が調整される(特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平5−289569号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
画像形成装置に設けられた部材は、磨耗や熱の影響によって変形する場合がある。各部材が変形すると、一方の部材が他方の部材に対して十分に押圧できなくなる可能性がある。
例えば、定着部の加熱ローラや加圧ローラが変形すると、用紙に画像を定着させる際に加圧ローラの加熱ローラに対する押圧力が減少する。この場合には、十分な圧力を用紙上の画像に作用させることができない。特許文献1に記載の装置では、用紙の厚さに応じて加圧ローラの加熱ローラに対する位置を調整するが、加圧ローラや加熱ローラが変形している場合には、用紙の画像に作用させる押圧力が十分ではなく、十分に画像を用紙に定着させることができない。このため、画像ムラが生じる恐れがある。
また、用紙搬送部のローラが変形すると、一方のローラが他方のローラに対して十分な力で押圧できなくなる。このため、用紙搬送の際に用紙を十分な力で搬送することができない。
【0008】
本発明の課題は、互いに対向するように配置された2つの部材を構成する一方の部材を他方の部材に対して十分な押圧力で押圧させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明1に係る押圧力調整装置は、画像形成装置に用いられ、第1部材に対向して配置され第1部材を押圧する第2部材の第1部材に対する押圧力を調整する押圧力調整装置であって、押圧力検出手段と、押圧力調整手段とを備えている。押圧力検出手段は、第2部材の第1部材に対する押圧力を検出する手段である。押圧力調整手段は押圧力検出手段の検出結果に基づいて第2部材の第1部材に対する押圧力を調整する手段である。
【0010】
この押圧力調整装置では、押圧力検出手段によって第2部材の第1部材に対する押圧力が検出される。そして、押圧力検出手段の検出結果に基づいて第2部材の第1部材に対する押圧力が調整される。
【0011】
ここでは、第2部材の第1部材に対する押圧力を検出し、検出結果に基づいて第2部材の第1部材に対する押圧力を調整している。このため、例えば、第1部材又は第2部材が磨耗などによって変形した場合であっても、第2部材の第1部材に対する押圧力を十分に確保することができる。例えば、この構成を定着部に適用することで、十分な圧力を用紙上の画像に作用させることができ、画像ムラが生じるのを防止できる。また、例えばこの構成を用紙搬送部に適用することで用紙を十分な力で用紙を搬送することができる。
【0012】
発明2に係る押圧力調整装置は、発明1に記載の押圧力調整装置であって、画像形成装置は、伸縮することで第1部材に対する第2部材の押圧力を変える接続部材と、接続部材の伸縮に伴って伸縮し、伸縮する際に起電力を生じる起電力発生部材とを有している。起電力発生部材が発生した起電力を検出する起電力検出手段をさらに備えている。押圧力検出手段は、起電力検出手段によって検出された起電力から第2部材の第1部材に対する押圧力を検出する。
【0013】
この押圧力調整装置では、接続部材が伸縮することで第1部材に対する第2部材の押圧力が変えられるとともに起電力発生部材が伸縮させられる。このとき、起電力発生部材から起電力が発生させられる。起電力発生部材の起電力は起電力検出手段によって検出される。そして検出された起電力から第2部材の第1部材に対する押圧力が検出される。
【0014】
ここでは、接続部材の伸縮に伴って生じる起電力発生部材の起電力から第2部材の第1部材に対する押圧力を検出することができる。
【0015】
発明3に係る押圧力調整装置は、発明1に記載の押圧力調整装置であって、電圧が印加されると伸縮する伸縮層が第2部材の表面に設けられている。押圧力調整手段は、伸縮層に印加される電圧を調整することで、第2部材の第1部材に対する押圧力を調整する。
【0016】
ここでは、伸縮層が第2部材の表面に設けられているため、伸縮層を伸縮させることで第1部材を押圧することができる。
【0017】
発明4に係る押圧力調整装置は、発明3に記載の押圧力調整装置であって、画像形成装置は、伸縮層の伸縮に伴って伸縮し、伸縮する際に起電力を生じる起電力発生部材を有している。起電力発生部材の発生した起電力を検出する起電力検出手段を有している。押圧力検出手段は、起電力検出手段によって検出された起電力から第2部材の第1部材に対する押圧力を検出する。
【0018】
ここでは、伸縮層の伸縮に伴って起電力発生部材が生じる起電力から第2部材の第1部材に対する押圧力を検出できる。
【0019】
発明5に係る押圧力調整装置は、発明2または4に記載の押圧力調整装置であって、第2部材の第1部材に対する押圧力と起電力発生部材によって発生させられる起電力との関係を示す関係情報を記憶可能な記憶手段をさらに備えている。押圧力検出手段は、記憶手段に記憶された関係情報に基づいて起電力発生部材の起電力から第2部材の第1部材に対する押圧力を検出する。
【0020】
この押圧力調整装置では、第2部材の第1部材に対する押圧力と起電力発生部材によって発生させられる起電力との関係を示す関係情報から第2部材の第1部材に対する押圧力を検出する。このため、起電力発生部材の起電力から容易に第2部材の第1部材に対する押圧力を検出できる。
【0021】
発明6に係る押圧力調整装置は、発明5に記載の押圧力調整装置であって、記憶手段は、シートの種類毎に設定された第2部材の第1部材に対する押圧力の目標値をさらに記憶している。押圧力調整手段は、目標値と押圧力検出手段の検出結果とが同じか否かを判断する押圧力判断手段と、押圧力検出手段の検出結果が目標値と同じではないと押圧力判断手段が判断した場合に、押圧力検出手段の検出結果が目標値と同じ値になるように電圧印加装置を制御する調整制御手段とを有している。
【0022】
ここでは、第2部材の第1部材に対する押圧力を容易に目標値と同じ値にすることができる。このため、十分な押圧力で第2部材が第1部材を押圧する。本発明を定着部に適用した場合には、画像ムラなどが生じるのを防止できる。ここで、目標値とは、例えば定着部に本発明を適用した際に、画像ムラが生じない程度に十分な第2部材としての加圧ローラの第1部材としての加熱ローラに対する押圧力の値を言う。また、例えば用紙搬送部などに本発明を適用した場合には、目標値は用紙搬送ローラ対の第1ローラに対する第2ローラの用紙搬送に十分な押圧力の値を言う。
【0023】
発明7に係る画像形成装置は、画像情報に基づいて画像をシートに形成可能な画像形成部と、画像形成部で形成された画像をシートに定着する定着装置と、請求項1から6のいずれかに記載の押圧力調整装置とを備えている。
【0024】
発明8に係る画像形成装置は、発明7に係る画像形成装置であって、定着装置は、画像形成部でシートに形成された画像を加熱するための第1部材と、第1部材に対向するように設けられ、シートに形成された画像を加圧するための第2部材と、第2部材に取り付けられ、第2部材の第1部材に対する押圧力を変えるための複数の接続部材とを有している。
【0025】
発明9に係る画像形成装置は、発明8に係る画像形成装置であって、接続部材は、印加される電圧に応じて伸縮可能な部材である。接続部材の伸縮に伴って伸縮し、伸縮する際に起電力を生じる起電力発生部材をさらに備えている。
【0026】
ここでは、接続部材の伸縮に応じて生じる起電力を検出することで第1部材に対する第2部材の押圧力を検出することができる。
【0027】
発明10に係る画像形成装置は、発明8又は9に係る画像形成装置であって、定着装置は接続部材に電圧を印加可能な電圧印加装置をさらに有している。接続部材は、第2部材と第1部材とを接続し、電圧が印加されると縮小する部材である。
【0028】
ここでは、電源が遮断されると接続部材に電圧が印加されなくなり、接続部材が膨張する。第1部材と第2部材とは接続部材に接続されているため、接続部材が膨張すると第2部材と第1部材とが互いに離れる方向に移動する。このため、第1部材と第2部材とが接触した状態で装置の動作が停止し、第1部材又は第2部材が弾性変形させられた状態で長時間放置されるのを防止できる。従って、第1部材又は第2部材が弾性変形させられた状態で長時間放置されることに伴う第1部材又は第2部材の塑性変形を防止することができる。
【0029】
発明11に係る画像形成装置は、発明10に記載の画像形成装置であって、第1部材及び第2部材はローラ状の部材である。接続部材は、第1部材の軸及び第2部材の軸の両端部に取り付けられている。押圧力調整手段は、それぞれの接続部材に電圧印加装置から印加される電圧を調整することで第2部材の第1部材への押圧力を調整する。
【0030】
ここでは、2つの接続部材をそれぞれ異なるように伸縮させることができる。このため、第2部材を第1部材の姿勢にあわせて押圧させやすくなる。例えば第2部材を第1部材の回転軸に対して斜めに傾けて、第2部材を第1部材に接触させることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明では、互いに対向するように配置された2つの部材を構成する一方の部材を他方の部材に対して十分な押圧力で押圧させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
〔第1実施形態〕
[全体構成]
以下に本発明の第1実施形態に係る画像形成装置としての複合機1について図1を参照して説明する。ここで、図1は本発明に係る複合機1の全体概略を示すものである。この複合機1は、外部のコンピュータなどに接続され、原稿から読み取られた画像情報又はコンピュータから送られる画像情報に基づいて用紙(シート)上に画像を形成することができる。
【0033】
複合機1は原稿を複写する機能や原稿の画像情報を送信する機能等の様々な機能を有している。複合機1は、図1に示すように、原稿読み取り部2と、画像形成部3と、転写部4と、用紙収納部5と、用紙搬送部6と、第1定着部7(定着装置)と、排出部8と、図6に示す第1押圧力調整装置9とを備えている。以下に各機能部の構成について説明する。
【0034】
{原稿読み取り部}
原稿読み取り部2は原稿の画像情報を読み取るための部分である。また、原稿読み取り部2は複合機1の上部に配置されている。
【0035】
{画像形成部}
画像形成部3は画像情報に基づいて用紙上に画像を形成するための部分である。また画像形成部3は用紙収納部5と原稿読み取り部2との間に配置されている。さらに画像形成部3は、4つの画像形成ユニット30を有している。4つの画像形成ユニット30は1列に並べて配置されている。また4つの画像形成ユニット30は、それぞれ、感光体ドラム31と、帯電装置32と、レーザユニット33と、現像装置34と、トナー収納部35と、除電装置36と、ドラムクリーニング装置37とを有している。そして、4つの画像形成ユニット30は、図1の左側から順にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を形成可能である。なお、各画像形成ユニット30は互いに同様の構成である。なお、以下にイエローの画像形成ユニット30について説明する。
【0036】
感光体ドラム31は表面に静電潜像を担持可能な部材である。また、感光体ドラム31は図1の紙面に垂直に伸びる回転軸周りに回転可能である。そして、感光体ドラム31は転写ベルト41に接触するように配置されている。
【0037】
帯電装置32は感光体ドラム31の表面を一様に帯電させるための装置である。また、帯電装置32は感光体ドラム31の下側に配置されている。
【0038】
レーザユニット33は画像情報に基づいてレーザ光を感光体ドラム31の表面に照射するための装置である。またレーザユニット33は感光体ドラム31の下側に配置されている。
【0039】
現像装置34は感光体ドラム31に担持された静電潜像に現像剤を供給可能な装置である。また、各現像装置34はレーザユニット33の上側に配置されている。さらに現像装置34は、内部に各感光体ドラム31に対応する色の現像剤を収納可能な現像容器341と、現像容器341に取り付けられた現像ローラ342とを有している。現像ローラ342は感光体ドラム31に対向するように配置されている。
【0040】
トナー収納部35は現像装置34に供給可能なトナーを収納する部分である。トナー収納部35は各現像装置34の色に対応するトナーを収納可能なトナーコンテナ351を有している。トナーコンテナ351は図示しない供給路によって現像装置34に接続されている。
【0041】
除電装置36は感光体ドラム31の表面の電荷を除去するための装置である。また、除電装置36は感光体ドラム31の下側に配置されている。
【0042】
ドラムクリーニング装置37は現像動作に使用されずに感光体ドラム31上に残留した現像剤をクリーニングするための装置である。ドラムクリーニング装置37は、感光体ドラム31の表面に接触するブレード部材371と、ブレード部材371によって掻き取ったトナーを収納可能な排現像剤収納容器372とを有している。
【0043】
{転写部}
転写部4は、転写ベルト41と、4つの1次転写ローラ42と、2次転写ローラ43と、ベルトクリーニング装置44とを備えている。
【0044】
転写ベルト41は画像形成部3で形成された画像を用紙に転写するための部材である。また、転写ベルト41は感光体ドラム31から画像が1次転写される部材である。さらに転写ベルト41は感光体ドラム31の上側に配置されている。
【0045】
1次転写ローラ42は感光体ドラム31上の画像を転写ベルト41上に転写するための部材である。また1次転写ローラ42は転写ベルト41を挟んで感光体ドラム31に対向するように配置されている。さらに1次転写ローラ42はそれぞれ図示しない電圧印加装置に接続されている。各1次転写ローラ42は感光体ドラム31が並べられた方向と平行に並べて配置されている。
【0046】
2次転写ローラ43は感光体ドラム31から転写ベルト41に1次転写された画像を用紙に転写するための部材である。また2次転写ローラ43は第1用紙搬送部6の用紙搬送経路を挟んで転写ベルト41に対向するように配置されている。
【0047】
ベルトクリーニング装置44は転写ベルト41上のトナーや紙粉および埃などをクリーニングするための装置である。またベルトクリーニング装置44は転写ベルト部材41の図1における左側に配置されている。
【0048】
{用紙収納部}
用紙収納部5は用紙を収納するための部分である。また、用紙収納部5は複合機1の下部に配置されている。さらに用紙収納部5は複数の給紙カセット51を有している。各給紙カセット51にはそれぞれ異なる種類(サイズなど)の用紙が収納されている。また、複数の給紙カセット51は積み重ねて配置されている。
【0049】
{用紙搬送部}
用紙搬送部6は各機能部に用紙を搬送するための部分である。用紙搬送部6は、用紙収納部5、画像形成部4、定着部7、排出部8の順に用紙を搬送する用紙搬送経路を有している。また用紙搬送部6は、用紙搬送ガイド対61と、複数の用紙搬送ローラ対62とを有している。
【0050】
用紙搬送ガイド対61は用紙の搬送方向をガイドするための部材である。用紙搬送ガイド対61は、互いに対向するように配置された板状の部材を有している。そして、これらの板状の部材の間を用紙が通過可能になっている。
【0051】
用紙搬送ローラ対62は用紙搬送方向に用紙を搬送するための部材である。また、用紙搬送ローラ対62はそれぞれ対向するように配置された2つのローラを有している。この2つのローラの間を用紙は通過可能になっている。
【0052】
{定着部}
第1定着部7は用紙上に形成された画像を用紙に定着させるための部分である。また第1定着部7は画像形成部4の用紙搬送方向下流側に配置された部分である。図2から図4は定着部7を示す図である。これらの図を参照して定着部7について説明する。なお、図2は定着部7の第1加圧ローラ72及び第1加熱機構71を示す図である。図3は第1加圧ローラ72と第1駆動ローラ711との平面図である。なお、図3は定着ベルト713や従動ローラ712は省略している。図4は第1加圧ローラ72と第1加熱機構71との側面図である。第1定着部7は、第1加熱機構71と、第1加圧ローラ72(第2部材)と、接続部材73と、第1起電力発生部材74と、第1電圧印加装置75とを有している。
【0053】
第1加熱機構71は用紙上の画像を加熱するための機構である。より詳しくは、第1加熱機構71は用紙上のトナーを融解させるための機構である。第1加熱機構71は、図2に示すように、第1駆動ローラ711(第1部材)と、第1従動ローラ712と、第1定着ベルト713とを有している。なお、第1加熱機構71は複合機1のフレームに取り付けられている。
【0054】
第1駆動ローラ711は第1加圧ローラ72に対向するように配置されている。また第1駆動ローラ711は図1の紙面に直交する方向に伸びる第1駆動回転軸711aを有している。この第1駆動ローラ711には図示しないモータが接続されている。この図示しないモータの動力によって第1駆動ローラ711は回転させられる。
【0055】
第1従動ローラ712は第1駆動ローラ711の回転に伴って回転させられるローラである。また第1従動ローラ712は第1駆動ローラ711と対向するように配置されている。さらに第1従動ローラ712は第1駆動回転軸711aと平行に設けられた第1従動回転軸712aを有している。そして、第1従動ローラ712は図示しない熱源ヒータを内部に有している。
【0056】
第1定着ベルト713は第1加圧ローラ72と接触可能な部材である。第1定着ベルト713は第1駆動ローラ711と第1従動ローラ712とに掛け渡されている。第1定着ベルト713は環状の帯状部材である。また、第1定着ベルト713は弾性部材によって形成されている。そして、第1定着ベルト713は第1駆動ローラ711の駆動力を第1従動ローラ712に伝達する部材である。この第1定着ベルト713は第1加圧ローラ72との間に十分なニップ量、すなわち接触面積を確保するための部材である。
【0057】
第1加圧ローラ72は第1駆動ローラ711との間を通過する用紙に形成された画像を用紙に圧着させるためのローラである。第1加圧ローラ72は第1駆動ローラ711と対向するように配置されている。第1加圧ローラ72は第1駆動ローラ711を押圧するように配置されている。また、第1加圧ローラ72は第1駆動ローラ711とほぼ同じ径の円柱状の部材である。さらに第1加圧ローラ72は第1加圧回転軸72aを有している。
【0058】
接続部材73は、図2及び図3に示すように、第1駆動ローラ711と第1加圧ローラ72とを支持している部材である。具体的には接続部材73は第1駆動回転軸711a及び第1加圧回転軸72aを回転自在に支持している。そして、接続部材73は電圧の印加に伴って伸縮する部材である。接続部材73は伸縮することで第1加圧ローラ72の第1加熱機構71に対する位置を変える部材である。2つの接続部材73は第1駆動回転軸711a及び第1加圧回転軸72aの両端部にそれぞれ配置されている。接続部材73は第1電圧印加装置75に接続されている。接続部材73は第1電圧印加装置75から電圧が印加される部材である。接続部材73は電歪高分子材料(EPAM(Electroactive Polymer Artificial Muscle))731a(図5参照)によって形成されている。さらに接続部材73は、電圧が印加されると縮小し、縮小した状態で電圧の印加が遮断されると膨張する。接続部材73は帯状の部分である。
【0059】
第1起電力発生部材74は接続部材73の伸縮にともなって伸縮する部分である。また、第1起電力発生部材74は電歪高分子材料(EPAM)731aによって形成されている。そして、第1起電力発生部材74は伸縮に伴って起電力を発生する。さらに第1起電力発生部材74は接続部材73と同様の略長方形状の部材である。そして、第1起電力発生部材74には第1起電力発生部材74の起電力を検出するための第1電圧検出装置741が接続されている。
【0060】
なお、ここで電歪高分子材料(EPAM)731aとは、図5(a)及び図5(b)に示すように、伸縮可能な第1電極731bと、第1電極731bに接触するように配置された高分子膜(エラストマー)731cと、第1電極731bに対向するように配置され高分子膜731cに接触する第2電極731dとによって構成されている。そして、電歪高分子材料731aは、電圧を印加することで各電極731b、731dが互いに引き寄せられ、第1電極731bと第2電極731dとの間の距離が縮む。すなわち、図5の(a)の状態から図5の(b)の状態に変形する。このとき、第1電極731b及び第2電極731d、高分子膜731cは面積が大きくなるように広がる。また、電歪高分子材料731aは各電極731b、731dが互いに近づく方向に加圧されると起電力を生じる材料である。
【0061】
第1電圧印加装置75は接続部材73のそれぞれに電圧を印加するための装置である。また第1電圧印加装置75は接続部材73に接続されている。
【0062】
{排出部}
排出部8は用紙を複合機1の外部に排出するための部分である。また、図1に示すように、排出部8は定着部7の用紙搬送方向下流側に配置されている。そして、排出部8は、排出ローラ81を有している。排出部8は原稿読み取り部3の下側に配置されている。排出部8は複合機1の図1における左側の側面から右方に向かって窪む凹部82をさらに有している。そして、凹部82に用紙が排出される。
【0063】
{押圧力調整装置}
第1押圧力調整装置9は第1加圧ローラ72の第1加熱機構71に対する押圧力を調整するための装置である。図6に第1押圧力調整装置9のブロック図を示す。以下、図6のブロック図を参照して第1押圧力調整装置9を説明する。
第1押圧力調整装置9は第1記憶部91(記憶手段)とCPU等とを有している。第1押圧力調整装置9は、第1押圧力検出部92(押圧力検出手段)と、第1起電力検出部93(起電力検出手段)と、第1押圧力調整部94(押圧力調整手段)とを備えている。さらに第1押圧力調整装置9は第1記憶部91に記憶されたプログラムを実行することで各機能部を制御する装置である。第1押圧力調整装置9は第1排出部8や画像形成部2などの様々な機能部に接続されている。
【0064】
第1記憶部91は様々なプログラムやデータを記憶可能な部分である。第1記憶部91はRAM及びROMを有している。また第1記憶部91のRAMには一時的にデータなどを記憶可能である。第1記憶部91には第1定着ベルト713に対する第1加圧ローラ72の押圧力の目標値が記憶されている。ここで、目標値とは用紙の種類毎に予め定められた画像ムラが生じない程度に十分な第1加圧ローラ72の定着ベルト713に対する押圧力を言う。
【0065】
また、第1記憶部91には第1加圧ローラ72の第1定着ベルト713に対する実質的な押圧力と第1起電力発生部材74の起電力との関係を示す第1関係情報(関係情報)が記憶されている。この第1関係情報は、具体的には図7に示すような関係の情報である。この第1関係情報から、例えば100N・mの押圧力を第1起電力発生部材74に作用させると、第1起電力発生部材74に5mVの起電力が発生することが読み取れる。そして、62N・mの押圧力を第1起電力発生部材74に作用させると、第1起電力発生部材74に4mVの起電力が発生することが読み取れる。ここで、図7のグラフの横軸は第1起電力発生部材74が生じる起電力を示し、図7のグラフの縦軸は第1起電力発生部材74に作用する押圧力を示している。
【0066】
そして、この第1記憶部91には第1加圧ローラ72の用紙上の画像に対する理論的な押圧力と接続部材73に印加される電圧との関係を示す第2関係情報が記憶されている。具体的には、第2関係情報は図8に示すような関係の情報である。この第2関係情報から、例えば0.4Vの電圧を接続部材73に印加すると、第1加圧ローラ72が第1定着ベルト713に対して約62N・mの押圧力で押圧することが読み取れる。そして、0.5Vの電圧を接続部材73に印加すると、第1加圧ローラ72が第1定着ベルト713に対して約100N・mの押圧力で押圧することが読み取れる。ここで、図8のグラフの横軸は接続部材73に印加される電圧の値を示し、図8のグラフの縦軸は接続部材73に電圧を印加した際に第1加圧ローラ72の第1定着ベルト713に対する押圧力を示している。
【0067】
なおここで、理論的な押圧力とは、接続部材73に印加した電圧によって接続部材73が縮んだ量から予測される第1加圧ローラ72の第1定着ベルト713への押圧力を言う。また、実質的な押圧力とは、伸縮部732の伸縮量から算出される第1加圧ローラ72の第1定着ベルト713への押圧力のことを言う。ここで、第1加圧ローラ72が第1定着ベルト713を押圧している場合などには、接続部材73は印加した電圧から算出できる量よりも縮む量が小さい場合がある。この場合には理論的な押圧力と実質的な押圧力とが異なる。
【0068】
第1押圧力検出部92は第1加圧ローラ72の第1加熱機構71、具体的には第1定着ベルト713に対する押圧力を検出する部分である。第1押圧力検出部92は、第1記憶部91に記憶されている第1関係情報に基づいて、第1起電力発生部材74の起電力から第1加圧ローラ72に対する第1定着ベルト713への押圧力を検出する部分である。
【0069】
第1起電力検出部93は第1起電力発生部材74で生じた起電力を検出するための部分である。また、第1起電力検出部93は第1電圧検出装置741に接続されている。
【0070】
第1押圧力調整部94は第1押圧力検出部92の検出結果に基づいて第1加圧ローラ72の第1定着ベルト713に対する押圧力を調整する部分である。第1押圧力調整部94は、第1押圧力判断部941と、第1調整制御部942とを有している。
【0071】
第1押圧力判断部941は第1押圧力検出部92の検出結果と第1記憶部91に記憶されている目標値とが同じ値か否かを判断する部分である。
【0072】
第1調整制御部942は、第1押圧力検出部92の検出結果が目標値と同じではない場合に、第1押圧力検出部92の検出結果が目標値と同じ値になるように第1電圧印加装置74を制御する部分である。
【0073】
なお、ここで用紙の種類は例えば図示しない操作パネルに入力された情報に基づいて判断される。
【0074】
[動作]
次に複合機1の動作について説明する。
【0075】
原稿読み取り部2によって原稿の画像情報が読み取られる又は複合機1の外部に接続されたコンピュータから画像情報が送られると、画像情報に基づいて感光体ドラム31上に静電潜像が形成される。具体的には、帯電装置32によって感光体ドラム31の表面が帯電させられ、画像情報に基づいてレーザユニット33から感光体ドラム31にレーザ光が照射される。このようにして感光体ドラム31上に静電潜像が形成されると、現像装置34の現像ローラ342から現像剤が静電潜像に供給される。現像装置34から現像剤が供給されると感光体ドラム31上にトナー像が形成される。
【0076】
そして、各感光体ドラム31上のトナー像が転写ベルト41に転写される。そして転写ベルト41上のトナー像が用紙に転写される。トナー像が表面に転写された用紙は用紙搬送部6によって定着部7まで搬送される。定着部7でトナー像が用紙に定着された後、排出部8に搬送される。排出部8に搬送された用紙は複合機1外に排出される。なお、定着部7の第1加圧ローラ72の第1加熱機構71、より具体的には第1定着ベルト713に対する押圧力を調整する動作については以下に詳述する。
【0077】
[押圧力調整動作]
この複合機1では定着動作が行われる毎に押圧力を調整する動作が行われる。具体的には以下に説明する。図9に押圧力調整動作のフローチャートを示す。以下にこのフローチャートを参照して押圧力調整動作を説明する。
【0078】
図示しない操作パネルに入力された用紙の種類から第1記憶部91に記憶されている目標値が定められる(S1)。そして、第1加圧ローラ72の第1駆動ローラ711に対する押圧力が目標値になるように第1電圧印加装置74から接続部材73に電圧が印加される。具体的には、第1記憶部91に記憶されている第2関係情報に基づいて目標値から接続部材73に印加すべき電圧の値が求められる。そして、第2関係情報に基づいて求められた電圧が接続部材73に印加される(S2)。
【0079】
第2関係情報に基づいて求められた電圧が接続部材73に印加されると、第1接続部材71が縮小する。接続部材73の縮小に伴って、第1起電力発生部材74が縮小させられる(S3)。第1起電力発生部材74は縮小すると起電力を生じる。第1起電力発生部材74で生じた起電力は第1電圧検出装置741によって検出される。
【0080】
そして、第1電圧検出装置741によって検出された起電力から第1加圧ローラ72の第1定着ベルト713に対する押圧力が検出される。具体的には、第1記憶部91に記憶されている第1関係情報に基づいて第1起電力発生部材74の起電力から第1加圧ローラ72の第1定着ベルト713に対する押圧力が検出される。そして、検出された押圧力が目標値よりも大きいか否かが判断される(S4)。検出された押圧力が目標値よりも大きい場合(S4のYES)には、接続部材73に印加される電圧が小さくなるように第1電圧印加装置75が制御される(S5)。また、検出された押圧力が目標値よりも大きくない場合(S4のNO)には、次に検出された押圧力が目標値よりも小さいか否かが判断される(S6)。目標値よりも検出された押圧力が小さい場合(S6のYES)には、接続部材73に印加される電圧が大きくなるように第1電圧印加装置75が制御される(S7)。そして、S4以降の動作が繰り返される。一方、検出された押圧力が目標値の押圧力よりも小さくない場合(S6のNO)には、目標値の押圧力で第1加圧ローラ72が第1定着ベルト713を押圧していると考えられるため押圧力調整動作を終了する。そして、その状態で定着動作が行われる。
【0081】
例えば、用紙の種類から目標値として62N・mの押圧力が定められた場合に第2関係情報から0.4Vの電圧を接続部材73に印加すべきことが求められる。そして、0.4Vの電圧が接続部材73に印加される。このとき、例えば、第1起電力発生部材74から4.5mVの起電力が検出されると、第1関係情報から押圧力が80N・mであることが読み取れる。この押圧力は目標値よりも大きいため、接続部材73に印加される電圧が下げられる。そして、例えば、接続部材73に0.35Vの電圧を印加した場合に62N・mの押圧力が検出されたとすると、目標値の押圧力で第1加圧ローラ72が第1駆動ローラ711を押圧しているため、押圧力調整動作を終了する。
【0082】
ここで、このような押圧力調整動作は画像形成動作毎に行われる。すなわち、定着動作が行われる毎に第1加圧ローラ72の第1駆動ローラ711に対する押圧力が検出され、その押圧力が調整される。
【0083】
なお、ここで第1駆動回転軸711a及び第1加圧回転軸72aの両端部にそれぞれ接続部材73が配置されており、各接続部材73についてそれぞれ上記の押圧力調整動作が行われる。従って、例えば図10に示すように、第1駆動ローラ711が軸方向一端に向かって徐々に半径が小さくなるような形状に変形している場合には、第1加圧ローラ72を第1駆動回転軸711aに対して傾けるように各接続部材73に電圧が印加される。具体的には、接続部材73の一方が接続部材73の他方よりもさらに縮んだ形状となるように接続部材73に電圧が印加される。
【0084】
[効果]
ここでは、第1ローラ72又は第1駆動ローラ711が磨耗などにより変形した場合であっても、第1加圧ローラ72の第1駆動ローラ711に対する押圧力を検出し、検出した押圧力に基づいて第1加圧ローラ72の第1駆動ローラ711に対する押圧力を調整するため、画像定着に必要な押圧力を確保することができる。このため、画像ムラが生じるのを防止できる。
【0085】
また、第1加圧ローラ72の第1駆動ローラ711に対する押圧力を接続部材73へ印加する電圧の値によって制御できるため、精度よく制御できる。
そして、第1駆動ローラ711の形状に合わせて第1加圧ローラ72の姿勢を変化させることができるため、第1定着ベルト713に対して第1加圧ローラ72から均一に押圧力を作用させやすくなる。
【0086】
接続部材73は電圧が印加されると縮小し、電圧の印加が遮断されると電圧が印加されている状態から膨張する部分である。このため、第1加圧ローラ72と第1定着ベルト713とが接触した状態で電源が遮断された場合には、接続部材73が膨張し、第1加圧ローラ72が第1定着ベルト713から離れる。従って、第1加圧ローラ72と第1定着ベルト713とが接触した状態で電源遮断されることに伴う、第1加圧ローラ72又は第1駆動ローラ711の変形を防止できる。
【0087】
なお、上記実施形態は、本発明を説明するために用いたものであり、発明の範囲を逸脱しない限り、いかなる設計の変更や材料の変更なども許容するものとする。
〔第2実施形態〕
第2実施形態に係る複合機は、定着部及び押圧力調整装置以外の構造が第1実施形態に係る複合機と同じであるため、定着部及び押圧力調整装置以外の構造の説明を省略する。
【0088】
図11に第2定着部27の側面図を示している。図11を参照して第2定着部27を説明する。第2定着部27(定着装置)は用紙上の画像を用紙に定着させるための部分である。また第2定着部27は画像形成部の用紙搬送方向下流側に配置された部分である。そして、第2定着部27は、第2加熱機構271と、第2加圧ローラ272(第2部材)と、第2起電力発生部材273と、第2電圧印加装置274とを有している。
【0089】
第2加熱機構271は用紙上の画像を加熱するための機構である。より詳しくは、第2加熱機構271は用紙上のトナーを融解するための機構である。また、第2加熱機構271は複合機のフレームに取り付けられている。第2加熱機構271は、第2駆動ローラ271a(第1部材)と、第2従動ローラ271bと、第2定着ベルト271cとを有している。
【0090】
第2駆動ローラ271aは第2加圧ローラ272に対向するように配置されている。また第2駆動ローラ271aは図11の紙面に直交する方向に伸びる第2駆動回転軸271dを有している。この第2駆動回転軸271dには図示しないモータが接続されている。このモータの動力によって第2駆動回転軸271dが回転させられる。
【0091】
第2従動ローラ271bは第2駆動ローラ271aの回転に伴って回転させられるローラである。また第2従動ローラ271bは第2駆動ローラ271aと対向するように配置されている。さらに第2従動ローラ271bは第2駆動回転軸271dと平行に設けられた第2従動回転軸271eを有している。そして、第2従動ローラ271bは内部に図示しない熱源ヒータを有している。
【0092】
第2定着ベルト271cは第2駆動ローラ271aと第2従動ローラ271bとに掛け渡されている。第2定着ベルト271cは環状の帯状部材である。そして、第2定着ベルト271cは第2駆動ローラ271aの駆動力を第2従動ローラ271bに伝達する部材である。この第2定着ベルト271cは第2加圧ローラ272との間に十分なニップ量、すなわち接触面積を確保するための部材である。
【0093】
第2加圧ローラ272は第2駆動ローラ271aとの間を通過する用紙上の画像を加圧するためのローラである。第2加圧ローラ272は第2駆動ローラ271aと対向するように配置されている。第2加圧ローラ272は第2駆動ローラ271aを押圧するように配置されている。第2加圧ローラ272は第2加圧回転軸272aを有している。第2加圧ローラ272は表面に電歪高分子材料(EPAM)によって形成された伸縮層272bを有している。伸縮層272bには電圧を印加可能である。伸縮層272bは電圧が印加されると層厚が厚くなるようになっている。そして、伸縮層272bは、電圧の印加が遮断されると縮小し、第2加熱機構271に接触しない状態になる。
【0094】
第2起電力発生部材273は第2駆動ローラ271aと第2加圧ローラ272とに接続された部材である。具体的には第2起電力発生部材273は第2駆動回転軸271dと第2加圧回転軸272aとを接続するように配置されている。第2起電力発生部材273は電歪高分子材料(EPAM)によって形成されている。2つの第2起電力発生部材273は、第2加圧回転軸272a及び第2駆動回転軸271dの両端部にそれぞれ配置されている。この第2起電力発生部材273は略長方形状の板状部材である。第2起電力発生部材273は伸縮によって起電力を生じる部材である。そして、第2起電力発生部材273には第2起電力発生部材273で生じた起電力を検出するための第2電圧検出装置273aが接続されている。
【0095】
第2電圧印加装置274は第2加圧ローラ272の伸縮層272bに電圧を印加するための装置である。また第2電圧印加装置274は伸縮層272bに接続されている。
【0096】
第2押圧力調整装置29は第2加圧ローラ272の第2定着ベルト271cに対する押圧力を調整するための装置である。第2押圧力調整装置29のブロック図を図12に示す。以下、図12を参照して第2押圧力調整装置29について説明する。
【0097】
第2押圧力調整装置29は第2記憶部291とCPU等とを有している。第2押圧力調整装置29は、第2押圧力検出部292(押圧力検出手段)と、第2起電力検出部293(起電力検出手段)と、第2押圧力調整部294(押圧力調整手段)とを備えている。さらに第2押圧力調整装置29は第2記憶部291に記憶されたプログラムを実行することで各機能部を制御する部分である。第2押圧力調整装置29は第2定着部27や画像形成部3などの様々な部分に接続されている。
【0098】
第2記憶部291は様々なプログラムやデータを記憶可能な部分である。第2記憶部291はRAM及びROMを有している。また第2記憶部291のRAMには一時的にデータなどを記憶可能である。第2記憶部291には用紙の種類に応じた第2駆動ローラ271aに対する第2加圧ローラ272の押圧力の目標値が記憶されている。ここで、目標値とは用紙の種類毎に予め定められた画像ムラが生じない程度に十分な第2加圧ローラ272の第2駆動ローラ271a、具体的には第2定着ベルト271cに対する押圧力を言う。
【0099】
第2記憶部291には第2加圧ローラ272の第2定着ベルト271cに対する押圧力と第2起電力発生部材273の起電力との関係を示す第3関係情報(関係情報)が記憶されている。この第3関係情報は、具体的には図13に示すような関係を示す情報である。ここで、図13に示すグラフの縦軸は伸縮層272bに作用する押圧力を示しており、図13に示すグラフの横軸は伸縮層272bに押圧力が作用した際に第2起電力発生部材273が生じる起電力を示している。第3関係情報から、例えば100N・mの押圧力を第2起電力発生部材273に作用させると、第2起電力発生部材に5mVの起電力が発生することが読み取れる。また、62N・mの押圧力を第2起電力発生部材273に作用させると、第2起電力発生部材に4mVの起電力が発生することが読み取れる。
【0100】
そして、この第2記憶部291には第2加圧ローラ272の第2定着ベルト271cに対する理論的な押圧力と伸縮層272bに印加される電圧との関係を示す第4関係情報が記載されている。具体的には第4関係情報は、図14に示すような関係を示す情報である。ここで、図14のグラフの縦軸は伸縮層272bに電圧を印加した際に第2加圧ローラ272が第2駆動ローラ271aを押圧する力を示し、図14のグラフの横軸は伸縮層272bに印加される電圧を示している。第4関係情報から、例えば0.5Vの電圧を伸縮層272bに印加すると、第2加圧ローラ272が第2定着ベルト271cに対して約100N・mの押圧力で押圧することが読み取れる。また、0.4Vの電圧を伸縮層272bに印加すると、第2加圧ローラ272が第2定着ベルト271cに対して約62N・mの押圧力で押圧することが読み取れる。
【0101】
第2押圧力検出部292は第2加圧ローラ272の第2定着ベルト271cに対する押圧力を検出する部分である。具体的には、第2押圧力検出部292は、第2記憶部291に記憶されている第3関係情報に基づいて、第2起電力発生部材273の起電力から第2加圧ローラ272に対する第2定着ベルト271cへの押圧力を検出する部分である。
【0102】
第2起電力検出部293は第2起電力発生部材273で生じた起電力を検出するための部分である。また、第2起電力検出部293は第2電圧検出装置273aに接続されている。
【0103】
第2押圧力調整部294は第2押圧力検出部292の検出結果に基づいて第2加圧ローラ272の第2定着ベルト271cに対する押圧力を調整する部分である。第2押圧力調整部294は、第2押圧力判断部294a(押圧力判断手段)と、第2調整制御部294b(調整制御手段)とを有している。
【0104】
第2押圧力判断部294aは第2押圧力検出部292の検出結果と第2記憶部291に記憶されている目標値とが同じ値か否かを検出する部分である。
【0105】
第2調整制御部294bは、第2押圧力検出部292の検出結果が目標値と同じではない場合に、第2押圧力検出部292の検出結果が目標値と同じ値になるように第2電圧印加装置274を制御する部分である。
【0106】
なお、ここで用紙の種類は例えば図示しない操作パネルに入力された情報に基づいて判断される。
[動作]
押圧力調整動作以外の動作については複合機1の動作と同じであるため、説明を省略する。以下に押圧力調整動作について説明する。ここで、図15に押圧力調整動作のフローチャートを示す。図15を参照して以下に押圧力調整動作を説明する。
【0107】
図示しない操作パネルに入力された用紙の種類から第2記憶部291に記憶されているデータに基づいて目標値が定められる(S11)。そして、目標値の押圧力で第2加圧ローラ272が第2駆動ローラ271aを押圧するように第2電圧印加装置274から伸縮層272bに電圧が印加される(S12)。具体的には、第2記憶部291に記憶されている第4関係情報に基づいて、目標値の押圧力で第2加圧ローラ272が第2駆動ローラ271aを押圧するために必要な伸縮層272bに印加する電圧の値が求められる。そして、第4関係情報に基づいて求められた電圧が第2電圧印加装置274から伸縮層272bに印加される。
【0108】
伸縮層272bに電圧が印加されると伸縮層272bが膨張する。伸縮層272bの膨張に伴って第2加圧ローラ272が第2駆動ローラ271a、具体的には第2定着ベルト271cを押圧する。このとき、第2加圧回転軸272aと第2駆動回転軸271dとの間の距離が大きくなり、第2起電力発生部材273を引き伸ばす方向の圧力が第2起電力発生部材273に作用する(S13)。この圧力によって第2起電力発生部材273に起電力が発生する。
【0109】
第2起電力発生部材273で生じた起電力は第2電圧検出装置273aによって検出される。この起電力から第2加圧ローラ272の第2定着ベルト271cに対する押圧力が検出される。具体的には、第2記憶部291に記憶されている第3関係情報に基づいて第2起電力発生部材273の起電力から第2加圧ローラ272の第2駆動ローラ271aに対する押圧力が検出される。そして、検出された押圧力が目標値の押圧力よりも大きいか否かが判断される(S14)。検出された押圧力が目標値の押圧力よりも大きい場合(S14のYES)には、伸縮層272bに印加される電圧が小さくなるように第2電圧印加装置274が制御される(S15)。また、検出された押圧力が目標値の押圧力よりも大きくない場合(S14のNO)には、次に検出された押圧力が目標値の押圧力よりも小さいか否かが判断される(S16)。目標値の押圧力よりも検出された押圧力が小さい場合(S16のYES)には、伸縮層272bに印加される電圧が大きくなるように第2電圧印加装置274が制御される(S17)。そして、S14以降の動作が繰り返される。一方、検出された押圧力が目標値の押圧力よりも小さくない場合(S16のNO)には、第2加圧ローラ272が第2駆動ローラ271aを目標値の押圧力で押圧しているため、押圧力調整動作を終了する。そして、その状態で定着動作が行われる。
【0110】
例えば、用紙の種類から目標値として62N・mの押圧力が定められた場合に第4関係情報から0.4Vの電圧を伸縮層272bに印加すべきことが求められる。そして、0.4Vの電圧が伸縮層272bに印加される。このとき、例えば、第2起電力発生部材273から3mVの起電力が検出されると、第3関係情報から押圧力が33N・mであることが読み取れる。この押圧力は目標値よりも小さいため、接続部材73に印加される電圧が上げられる。そして、例えば、伸縮層272bに0.5Vの電圧を印加した場合に62N・mの押圧力が検出されたとすると、目標値の押圧力で第2加圧ローラ272が第2駆動ローラ271aを押圧しているため、押圧力調整動作を終了する。
【0111】
[効果]
ここでは、第2ローラ272又は第2駆動ローラ271aが磨耗などにより変形した場合であっても、第2加圧ローラ272の第2駆動ローラ271aに対する押圧力を検出し、検出した押圧力に基づいて第2加圧ローラ272の第2駆動ローラ271aに対する押圧力を調整するため、画像定着に必要な押圧力を確保することができる。このため、画像ムラが生じるのを防止できる。
【0112】
また、第2加圧ローラ272の第2定着ベルト271cに対する押圧力を伸縮層272bへ印加する電圧の値によって制御できるため、精度よく制御できる。
【0113】
伸縮部272bは電圧が印加されると膨張し、電圧の印加が遮断されると縮小する部分である。このため、第2加圧ローラ272と第2定着ベルト271cとが接触した状態で電源が遮断された場合には、伸縮部272bが縮小し、第2加圧ローラ272が第2定着ベルト271cから離れる。従って、第2加圧ローラ272と第2定着ベルト271cとが接触した状態で電源遮断されることに伴う、第2加圧ローラ272又は第2駆動ローラ271aの変形を防止できる。
〔他の実施形態〕
(A)上記実施形態では、加圧ローラが加熱ローラに対して押圧するように、接触部材を縮小又は伸縮層を膨張させたが、本発明はこれに限らずに、加熱ローラが加圧ローラに対して押圧するように接触部材を膨張させる又は加熱ローラの表面に伸縮層を設けても良い。
【0114】
(B)また、上記実施形態では、複合機1について説明したが、本発明はこれに限らずに、画像の転写が行われる機器、例えばファクシミリや複写機、プリンタなどであってもよい。
【0115】
(C)さらに、上記実施形態では、定着部の加圧ローラ及び加熱ローラについて説明したが、本発明はこれに限らずに、例えば用紙搬送に用いられる用紙搬送ローラや、給紙、排出に用いられるローラなどに本発明の構成を適用しても良い。この場合には、用紙の搬送力を十分に確保することができる。
【0116】
(D)上記実施形態では、用紙の種類を操作パネルに入力された情報から判断したが、本発明はこれに限らずに、用紙の種類を例えば用紙の厚さ検出センサなどで読み取った用紙の厚さから判断しても良い。
【0117】
(E)上記実施形態では、接続部材又は伸縮層として電圧が印加されることで伸縮する部材を用いたが、本発明はこれに限らずに、例えば液体又は気体を注入することで伸縮するような部材を接続部材又は伸縮層として用いても良い。
【0118】
(F)上記実施形態では、ローラ状の部材を第1部材及び第2部材として用いたが、本発明はこれに限らず、例えば駆動ローラを加圧ローラの押圧によって弾性変形可能なパッドなどであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる複合機の全体概略断面図。
【図2】定着部を示す図。
【図3】加圧ローラと加熱ローラの平面図。
【図4】定着部の側面図。
【図5】高分子部材を示す図。
【図6】押圧力調整装置を示すブロック図。
【図7】第1起電力発生部材に作用する押圧力と第1起電力が生じる起電力との関係を示す図。
【図8】接続部材に印加された電圧と第1加圧ローラが第1加熱ローラを押圧する押圧力との関係を示す図。
【図9】押圧力調整動作を示すフローチャート。
【図10】第1加圧ローラを第1加熱ローラに対して傾けるように各接続部材に印加する電圧を制御している状態を示す図。
【図11】第2実施形態の定着部の側面図。
【図12】第2押圧力調整装置を示すブロック図。
【図13】第2起電力印加部材に作用する押圧力と第2起電力発生部材に生じる起電力との関係を示す図。
【図14】伸縮層に印加された電圧と第1加圧ローラが第1加熱ローラを押圧する押圧力との関係を示す図。
【図15】第2実施形態の押圧力調整動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0120】
1 複合機(画像形成装置)
3 画像形成部
7 第1定着部(定着装置)
9 第1押圧力調整部(押圧力調整装置)
27 第2定着部(定着装置)
29 第2押圧力調整装置
71 第1加熱機構
72 第1加圧ローラ(第2部材)
73 接触部材
74 第1起電力発生部材
75 第1電圧印加装置
91 第1記憶部(記憶手段)
92 第1押圧力検出部(押圧力検出手段)
93 第1起電力検出部(起電力検出手段)
94 第1押圧力調整部(押圧力調整手段)
271 第2加熱機構
271a 第2駆動ローラ(第1部材)
272 第2加圧ローラ(第2部材)
272a 伸縮層
273 第2起電力発生部材
274 第2電圧印加装置
292 第2押圧力検出部(押圧力検出手段)
293 第2起電力検出部(起電力検出手段)
294 第2押圧力調整部(押圧力調整装置)
294a 第2押圧力判断部(押圧力判断手段)
294b 第2調整制御部(調整制御手段)
711 第1駆動ローラ(第1部材)
941 第1押圧力判断部(押圧力判断手段)
942 第1調整制御部(調整制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に用いられ、第1部材に対向して配置され前記第1部材を押圧する第2部材の前記第1部材に対する押圧力を調整する押圧力調整装置であって、
前記第2部材の前記第1部材に対する押圧力を検出する押圧力検出手段と、
前記押圧力検出手段の検出結果に基づいて前記第2部材の前記第1部材に対する押圧力を調整する押圧力調整手段と、
を備えた押圧力調整装置。
【請求項2】
前記画像形成装置は、伸縮することで前記第1部材に対する前記第2部材の押圧力を変える接続部材と、前記接続部材の伸縮に伴って伸縮し、伸縮する際に起電力を生じる起電力発生部材とを有し、
前記起電力発生部材が発生した起電力を検出する起電力検出手段をさらに備え、
前記押圧力検出手段は、前記起電力検出手段によって検出された起電力から前記第2部材の前記第1部材に対する押圧力を検出する、
請求項1に記載の押圧力調整装置。
【請求項3】
電圧が印加されると伸縮する伸縮層が前記第2部材の表面に設けられており、
前記押圧力調整手段は、前記伸縮層に印加される電圧を調整することで、前記第2部材の前記第1部材に対する押圧力を調整する、
請求項1に記載の押圧力調整装置。
【請求項4】
前記画像形成装置は、前記伸縮層の伸縮に伴って伸縮し、伸縮する際に起電力を生じる起電力発生部材をさらに有しており、
前記起電力発生部材で発生した起電力を検出する起電力検出手段をさらに備え、
前記押圧力検出手段は、前記起電力検出手段によって検出された起電力から前記第2部材の前記第1部材に対する押圧力を検出する、
請求項3に記載の押圧力調整装置。
【請求項5】
前記第2部材の前記第1部材に対する押圧力と前記起電力発生部材によって発生させられる起電力との関係を示す関係情報を記憶可能な記憶手段をさらに備え、
前記押圧力検出手段は、前記記憶手段に記憶された前記関係情報に基づいて前記起電力発生部材の起電力から前記第2部材の前記第1に対する押圧力を検出する、
請求項2又は4に記載の押圧力調整装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、シートの種類毎に設定された前記第2部材の前記第1部材に対する押圧力の目標値をさらに記憶しており、
前記押圧力調整手段は、
前記目標値と前記押圧力検出手段の検出結果とが同じか否かを判断する押圧力判断手段と、
前記押圧力検出手段の検出結果が前記目標値と同じではないと前記押圧力判断手段が判断した場合に、前記押圧力検出手段の検出結果が前記目標値と同じ値になるように前記電圧印加装置を制御する調整制御手段とを有している、
請求項5に記載の押圧力調整装置。
【請求項7】
画像情報に基づいて画像をシートに形成可能な画像形成部と、
前記画像形成部で形成された画像をシートに定着する定着装置と、
請求項1から6のいずれかに記載の押圧力調整装置と、
を備えた画像形成装置。
【請求項8】
前記定着装置は、
前記画像形成部でシートに形成された画像を加熱するための第1部材と、
前記第1部材に対向するように設けられ、シートに形成された画像を加圧するための第2部材と、
前記第2部材に取り付けられ、前記第2部材の前記第1部材に対する押圧力を変えるための複数の接続部材と、を有する、
請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記接続部材は、印加される電圧に応じて伸縮可能な部材であり、
前記接続部材の伸縮に伴って伸縮し、伸縮する際に起電力を生じる起電力発生部材をさらに備えた、
請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記定着装置は前記接続部材に電圧を印加可能な電圧印加装置をさらに有し、
前記接続部材は、前記第2部材と前記第1部材とを接続し、電圧が印加されると縮小する部材である、
請求項8又は9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第1部材と第2部材とはローラ状の部材であって、
前記接続部材は、前記第2部材の軸及び前記第1部材の軸の両端部に取り付けられており、
前記押圧力調整手段は、それぞれの前記接続部材に前記電圧印加装置から印加される電圧を調整することで前記第2部材の前記第1部材への押圧力を調整する、
請求項10に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−276383(P2009−276383A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124789(P2008−124789)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】