説明

押釦スイッチおよびこの押釦スイッチの作製に用いられる接点ばね付きシート

【課題】接点ばねの頂部のめっきが剥がれにくい押釦スイッチの提供。
【解決手段】操作部材4と、この操作部材4に対向する基板7上に設けられた固定接点9と、頂部11の凹曲面側に固定接点9に対応する可動接点12が設けられた接点ばね10と、この接点ばね10の凸曲面側と基板7とに粘着されていて基板7に対して接点ばね10を反転および復元可能に固定するシート部材13とを備えている。可動接点12は頂部11の凹曲面側で突起している。シート部材13を挟んで接点ばね10の頂部11に対向する位置には、操作部材4に与えられた押圧力を接点ばね10に伝達するための伝達部材16が配置されていてシート部材13に接着されている。この伝達部材16は、可動接点12を含む接点ばね10の頂部の所定範囲の投影面よりも広い範囲を覆う大きさに設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断面形状がアーチ状に形成された導電性を有する接点ばねが反転および復元することでオンまたはオフする押釦スイッチ、および、この押釦スイッチの作製に用いる接点ばね付きシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の押釦スイッチとしては特許文献1に示されたものがある。この従来の押釦スイッチは、押圧操作されるシート状の操作部材と、この操作部材に対向する位置に設けられている固定接点と、断面の基本形状がアーチ状に形成された弾性体であって、操作部材と固定接点との間に配置されていて、固定接点に対応する可動接点が頂部の凹曲面側に設けられている接点ばねとを備えている。可動接点は、接点ばねの頂部の凹曲面側で突起している。
【特許文献1】特開2005−209616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述した従来技術に備えられる接点ばねには、固定接点との接離による安定した導通を得るために導電性の高い銀などの金属がめっきされた金属製板材を、絞り加工して作製されたものがある。絞り加工により作製された接点ばねでは、可動接点を形成する突起や突起の近傍に応力が集中しているため、操作部材から伝達される押圧力が頂部の一部に集中するということが繰り返されると、突起や突起の近傍からめっきが剥がれる可能性がある。
【0004】
本発明は、前述した実状を考慮してなされたものであり、その目的は、接点ばねの頂部のめっきが剥がれにくい押釦スイッチ、および、この押釦スイッチの作製に用いられる接点ばね付きシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔1〕本発明の押釦スイッチは、押圧操作される操作部材と、この操作部材に対向する基板上に設けられた固定接点と、断面の基本形状がアーチ状に形成された弾性体であって、前記操作部材と前記固定接点との間に配置され、前記固定接点に対応する可動接点が頂部の凹曲面側に設けられた接点ばねと、この接点ばねの凸曲面側と前記基板とに粘着されていて前記基板に対して前記接点ばねを反転および復元可能に固定するシート部材とを備えていて、前記可動接点が前記接点ばねの頂部の凹曲面側で突起している押釦スイッチであって、前記シート部材を挟んで前記接点ばねの頂部に対向する位置で前記シート部材に一体に設けられていて、前記操作部材に与えられる押圧力を前記接点ばねに伝達するための伝達部材を備えていて、この伝達部材が、前記可動接点を含む前記接点ばねの頂部の所定範囲の投影面よりも広い範囲を覆う大きさに設定されていることを特徴とする。
【0006】
このように構成された本発明の押釦スイッチでは、伝達部材が可動接点を含む接点ばねの頂部の所定範囲の投影面よりも広い範囲を覆う大きさに設定されているので、操作部材から接点ばねに伝達される押圧力が、可動接点を含む接点ばねの頂部の所定範囲全体に分散する。つまり、接点ばねの頂部の一部に押圧力が集中するのを防止できる。これにより、接点ばねのめっきが剥がれにくくすることができる。
【0007】
〔2〕本発明の押釦スイッチは、「〔1〕」に記載の押釦スイッチにおいて、前記可動接点が前記接点ばねの頂部の中心を囲むように点在していることを特徴とする。
【0008】
このように構成された本発明の押釦スイッチでは、接点ばねの反転時に接点ばねの頂部が固定接点に対して傾いていたり、固定接点と可動接点の間に異物が噛み込まれていたりしていても、接点ばねの頂部の中心を囲むように点在する可動接点のいずれかを、固定接点に接触させることができる。これにより、操作部材を押圧操作したときの可動接点と固定接点との接触の確実性を向上させることができる。
【0009】
〔3〕本発明の押釦スイッチは、「〔2〕」に記載の押釦スイッチにおいて、前記可動接点が3つ設けられていて、各可動接点から前記頂部の中心までの各距離が互いに等しく、可動接点同士の各間隔が互いに等しく設定されていることを特徴とする。
【0010】
このように構成された本発明の押釦スイッチでは、操作部材を押圧操作したときの可動接点と固定接点との接触の確実性を、成形の容易な形状で効果的に向上させることができる。
【0011】
〔4〕本発明の接点ばね付きシートは、「〔1〕」〜「〔3〕」のいずれか1に記載の押釦スイッチの作製に用いられる接点ばね付きシートであって、前記接点ばねと、前記伝達部材と、前記シート部材とを備えていて、前記接点ばねの凸曲面側と前記シート部材とが粘着されていて、前記シート部材を挟んで前記接点ばねの頂部に対向して前記伝達部材が配置されていて前記伝達部材と前記シート部材とが接着されていることを特徴とする。
【0012】
このように構成された本発明の接点ばね付きシートは、接点ばね、伝達部材およびシート部材をまとめて1部品として扱うことができるので、「〔1〕」〜「〔3〕」のいずれか1に記載の押釦スイッチの作製の効率を向上させることに貢献できる。
【0013】
〔5〕本発明の接点ばね付きシートは、「〔4〕」に記載の接点ばね付きシートにおいて、前記シート部材に対して、前記接点ばねと前記伝達部材との組合せが複数、所定の配列に並べられていることを特徴とする。
【0014】
このように構成された本発明の接点ばね付きシートでは、複数の押釦スイッチが配列される操作盤を作製する際に、接点ばねと伝達部材の組合せを複数まとめて1部品として扱うことができる。所定の配列とは、操作盤に備えられる押釦スイッチの配列に対応して設定される配列のことである。
【0015】
〔6〕本発明の接点ばね付きシートは、「〔4〕」に記載の接点ばね付きシートにおいて、前記シート部材が発光可能なものからなり、前記伝達部材が光透過性を有するものからなることを特徴とする。
【0016】
このように構成された本発明の接点ばね付きシートを用いて押釦スイッチを作製することによって、接点ばねおよび伝達部材の組付けと、押釦スイッチの照光手段の組付けとを同時に行うことができる。また、シート部材が照光の光源を兼ねるので、押釦スイッチの照光のための部品を削減することができる。
【0017】
〔7〕本発明の接点ばね付きシートは、「〔4〕」に記載の接点ばね付きシートにおいて、前記接点ばねが粘着保持された前記シート部材の面と前記接点ばねとを覆った状態で、前記シート部材に剥離可能に粘着される剥離部と、この剥離部と一体に形成されていて、前記伝達部材が接着された前記シート部材の面と前記伝達部材とを覆うカバー部とを有する剥離シートを備えていることを特徴とする。
【0018】
このように構成された本発明では、搬送時や保管時に、接点ばねが粘着保持されたシート部材の面と接点ばねとを剥離部によって保護することができ、伝達部材が接着されたシート部材の面と伝達部材とをカバー部によって保護することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、接点ばねの頂部のめっきが剥がれにくい押釦スイッチを提供できるので、押釦スイッチの製品としての信頼性を向上させることができる。また、接点ばねの頂部のめっきが剥がれにくい押釦スイッチの作製の効率の向上に貢献できる接点ばね付きシートを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の押釦スイッチおよびこの押釦スイッチの作製に用いられる接点ばね付きシートの一実施形態について説明する。
【0021】
<押釦スイッチ>
本発明の押釦スイッチの一実施形態を図1〜3を用いて説明する。図1は本発明の押釦スイッチの一実施形態を複数備えた操作盤を示す断面図、図2は図1に示す操作盤から操作部材とケースを取り除いた状態を示す断面図、図3は図2のIII−III矢視図である。
【0022】
本実施形態は、図1に示す操作盤1に配列される複数の押釦スイッチ3である。操作盤1が備えられる電気製品は、例えば携帯電話である。
【0023】
図1に示すように、押釦スイッチ3は、押圧操作されるシート状の操作部材4を備えている。この操作部材4はシート5,6が貼り合わされてなる。シート5には、操作盤1のケース2から突出する押釦を構成する突出部5aが形成されている。シート6には、シート5の突出部5aに対応する位置で突出部5aと相反する方向に突起する突起部6aが形成されている。複数の押釦スイッチ3のそれぞれの操作部材4は、一体に形成されている。
【0024】
操作部材4に対向する位置には基板7が配置されている。この基板7上には、円環状固定接点8と、この円環状固定接点8が描く円の中央に位置する中央固定接点9とが設けられている。
【0025】
操作部材4と中央固定接点9との間には、接点ばね10が配置されている。この接点ばね10は、導電性の高い銀などの金属がめっきされた金属製板材を、絞り加工して作製された弾性体である。接点ばね10の断面形状がアーチ状、例えばドーム状に形成されている。接点ばね10の頂部11の凹曲面側には、中央固定接点9に対応する可動接点12が設けられている。接点ばね10の縁部は、円環状固定接点8に常時接触している。
【0026】
図2,3に示すように、可動接点12は、接点ばね10の頂部11の凹曲面側で突出している。可動接点12は、接点ばね10の頂部11の中心11aを囲むように点在している。可動接点12は、例えば3つ設けられていて、各可動接点12から頂部11の中心11aまでの各距離が互いに等しく、可動接点12同士の各間隔が互いに等しく設定されている。
【0027】
接点ばね10の凸曲面側にはシート部材13が粘着されている。このシート部材13は、接点ばね10の外周側で基板7に粘着保持されている。つまり、接点ばね10はシート部材13を介して基板7に対して反転および復元可能に固定されている。
【0028】
図2に示すように、シート部材13を挟んで接点ばね10の頂部11に対向する位置には、操作部材4に与えられる押圧力を接点ばね10に伝達するための伝達部材16が配置されていて、シート部材13に接着されている。この伝達部材16は、可動接点12を含む接点ばね10の頂部11の所定範囲の投影面よりも広い範囲を覆う大きさに設定されている。
【0029】
接点ばね10と伝達部材16の組み合わせは、1のシート部材13に対して複数設けられている。これらの接点ばね10と伝達部材16の組合せは、操作盤1における操作部材4の配列に対応して配列されている。
【0030】
シート部材13は、シート部材本体14の下面に形成された粘着剤にスペーサシート15の上面が貼り合わされてなる。シート部材本体14は下面の粘着剤によって接点ばね10を粘着保持するとともに上面に伝達部材16を一体に保持している。スペーサシート15は、各接点ばね10を囲む複数の枠部15aを有していて、シート部材本体14下面の粘着剤によって保持されるとともに、基板7に粘着剤で固定されている。つまり、シート部材本体14がスペーサシート15により基板7から浮かされていることによって、接点ばね10の縁部近傍においてシート部材13が基板7から剥離することが、防止されている。
【0031】
なお、伝達部材14は例えば紫外線硬化型の樹脂材をディスペンサーや印刷によってシート部材本体14の上面に塗布した後に、紫外線を照射することで硬化させて接着することで一体形成することができる。また、この他、伝達部材14を樹脂製の薄板で形成し、接着剤によってシート部材本体14に接着させることや、樹脂板をレーザや熱によって溶着させることにより、一体化させることも可能である。
【0032】
このように構成された押釦スイッチ3では、操作部材4が押圧されて伝達部材16の位置まで撓むと、操作部材4に与えられた押圧力が伝達部材16とシート部材13のシート部材本体14とを介して接点ばね10の頂部11に伝達される。
【0033】
操作部材4から接点ばね10の頂部11に伝達される押圧力は、3つの可動接点12を含む接点ばね10の頂部11の所定範囲全体に分散する。これは、3つの可動接点12を含む接点ばね10の頂部11の所定範囲の投影面よりも広い範囲を覆う大きさに、伝達部材16が設定されていることによる。
【0034】
また、接点ばね10は、押圧により反転することでクリック感触が生起されるが、接点ばねの頂部から周縁に向かって離れるに従いクリック感触が悪くなる。そのため、スイートスポットと称する可動接点12を含む所定の範囲内に、操作部材4の押圧力が加えられるよう伝達部材16の外縁が設定されている。
【0035】
このようにして接点ばね10の頂部11に押圧力が与えられると、頂部11が没して、すなわち接点ばね10が反転して、3つの可動接点12のいずれか、またはすべてが、中央固定接点9に接触する。これにより、中央固定接点6と円環状固定接点7が接点ばね3を介して導通する、すなわち、押釦スイッチ3がオンするとともに良好なクリック感触が得られる。
【0036】
操作部材4に与えられていた押圧力がなくなると、接点ばね10は自己のばね性によって初期状態に復帰するため、操作部材4、シート部材13および接点ばね10はそれぞれ復元して、図1に示す状態に戻る。これに伴い、可動接点12が中央固定接点9から離隔するので、押釦スイッチ3がオフする。
【0037】
押釦スイッチ3によれば次の効果を得られる。
【0038】
押釦スイッチ3では、可動接点12を含む接点ばね10の頂部11の所定範囲の投影面よりも広い範囲を覆う大きさに伝達部材16が設定されている。これにより、操作部材4から接点ばね10に伝達される押圧力が、可動接点12を含む接点ばね10の頂部11の所定範囲全体に分散する。つまり、接点ばね10の頂部11の一部に押圧力が集中するのを防止できる。これにより、接点ばね10の頂部11のめっきが剥がれにくくすることができる。したがって、押釦スイッチの製品としての信頼性を向上させることができる。また、操作部材4と基板7との相対位置に組立て上の多少のずれがあっても、両者に対向する接点ばねには、伝達部材16を介して操作部材4の押圧力が伝達されるので、良好なクリック感触を得ることができる。
【0039】
また、押釦スイッチ3では、接点ばね10の反転時に接点ばね10の頂部11が中央固定接点9に対して傾いていたり、中央固定接点9と可動接点12との間に異物が噛み込まれていたりしていても、接点ばね10の頂部11の中心11aを囲むように点在する可動接点12のいずれかと中央固定接点9とを接触させることができる。これにより、操作部材4を押圧操作したときの可動接点12と中央固定接点9との接触の確実性を向上させることができる。
【0040】
また、押釦スイッチ3では、可動接点12が3つ設けられていて、各可動接点12から頂部11の中心11aまでの各距離が互いに等しく、可動接点12同士の各間隔が互いに等しく設定されている。これにより、操作部材4を押圧操作したときの可動接点12と中央固定接点9との接触の確実性を、絞り加工による成形の容易な接点ばね10の形状で効果的に向上させることができる。
【0041】
なお、押釦スイッチ3は、接点ばね10に3つの可動接点12が設けられた例であるが、本発明の押釦スイッチに備えられる可動接点はこれに限るものではなく、図6,7に示す可動接点30でもよい。この可動接点30は、接点ばね10の頂部11の凹曲面側において円環状に突起している。
【0042】
さらに、押釦スイッチ3に備えられた接点ばね10は平面視円形状に形成された例であったが、本発明の接点ばねの形状はこれに限らず、例えば平面視略矩形状や、平面視楕円状でも良い。
【0043】
<接点ばね付きシート>
本発明の接点ばね付きシートの一実施形態について図4,5を用いて説明する。図4は図1に示す操作盤の作製に用いられる接点付きシートの一実施形態を示す断面図、図5は図4に示す接点付きシートの搬送時や保管時の状態を示す斜視図である。
【0044】
本実施形態は、図4に示す接点ばね付きシート20である。この接点ばね付きシート20は、前述した押釦スイッチ3の作製に用いられるものである。
【0045】
接点ばね付きシート20は、接点ばね10と、伝達部材16と、シート部材13とを備えていて、接点ばね10の凸曲面側にシート部材13が粘着されていて、シート部材13を挟んで接点ばね10の頂部に対向する位置で伝達部材16がシート部材13に接着等によって一体化されている。シート部材13の本体は発光可能なもの、例えばEL素子からなり、伝達部材16は光透過性を有する樹脂からなる。
【0046】
接点ばね10と伝達部材16の組合せは、1のシート部材13に対して複数設けられている。これらの接点ばね10と伝達部材16の組合せは、操作盤1に複数備えられる押釦スイッチ3(操作部材4)の配列に対応するように、所定の配列に並べられている。
【0047】
また、接点ばね付きシート20は、剥離シート21を備えている。この剥離シート21は、枠状シート22と保護シート23とを貼り合わせてなる。枠状シート22は、接点ばね付きシート20の作製時において接点ばね10とシート部材13を粘着する際に、接点ばね10を挿通する開口部22aが形成されているために、枠状に形成されている。保護シート23は、各接点ばね10とシート部材13とが粘着された後に枠状シート22に貼り付けられて、枠状シート22の開口部22aを塞いでいる。
【0048】
剥離シート21は、接点ばね10が粘着保持されたシート部材13のシート部材本体14の面と、接点ばね10と、スペーサシート15とを覆った状態で、スペーサシート15に対して剥離可能に粘着されている。剥離シート21に対向するスペーサシート15の粘着面には粘着層が設けられていて、剥離シート21が剥がされた状態のスペーサシート15は、その粘着層によりシート部材13を基板7に粘着保持させることができるようになっている。
【0049】
また、図5に示すように、剥離シート21は例えば帯状に形成されていて、接点ばね10と伝達部材16の組合せが複数設けられたシート部材13の複数と、剥離可能に粘着されている。この状態の剥離シート21はロール26にすることが可能である。剥離シート21は、剥離部24とカバー部25とを有している。剥離部24は、図4に示すように、接点ばね10が粘着保持されたシート部材13のシート部材本体14の面と、接点ばね10と、スペーサシート15とを覆った状態で、スペーサシート15に対して剥離可能に粘着されている。カバー部25は剥離部24と一体に形成されたものであり、例えば剥離シート21の保護シート23が枠状シート22よりも長く形成されたものであり、ロール26の外周面に巻きつけられることによって、伝達部材16が一体化されている側のシート部材13の面と、伝達部材16とを覆った状態となる。ロール26の外周面に巻きつけられた状態のカバー部25の終端部は、粘着テープ27によりロール26に固定される。
【0050】
接点ばね付きシート20によれば次の効果を得られる。
【0051】
接点ばね付きシート20によれば、接点ばね10、伝達部材16およびシート部材13をまとめて1部品として扱うことができるので、接点ばね10の頂部11のめっきが剥がれにくい押釦スイッチ3の作製の効率の向上に貢献できる。
【0052】
また、接点ばね付きシート20では、シート部材13に対して、接点ばね10と伝達部材16との組合せが複数、所定の配列で設けられている。これにより、複数の押釦スイッチ3が配列される操作盤1を作製する際に、複数の接点ばね10と伝達部材16との組合せを、1部品としてまとめて扱うことができ、操作盤1の作製の効率の向上に貢献できる。
【0053】
また、接点ばね付きシート20では、シート部材13が発光可能なものからなり、伝達部材16が光透過性を有するものからなる。これにより、接点ばね10および伝達部材16の組付けと、押釦スイッチ3の照光手段の組付けとを同時に行うことができる。また、シート部材13が照光の光源を兼ねるので、押釦スイッチ3の照光のための部品を削減することができる。
【0054】
また、接点ばね付きシート20では、搬送時や保管時に、搬送時や保管時に、接点ばね10が接着されたシート部材13の面と接点ばね10とを剥離シート21の剥離部24によって保護することができ、伝達部材16が接着されたシート部材13の面と伝達部材16とを剥離シート21のカバー部25によって保護することができる。
【0055】
なお、接点ばね付きシート20は、照光手段の組付け性の向上や部品点数の削減のために、シート部材13が発光可能なものからなり、伝達部材16が光透過性を有するものからなっているが、本発明はこれに限るものではなく、照光手段の組付け性の向上や部品点数の削減の必要がなければ、シート部材が発光可能なものでなくてもよいし、伝達部材が光透過性を有しているものでなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の押釦スイッチの一実施形態を複数備えた操作盤を示す断面図である。
【図2】図1に示す操作盤から操作部材とケースを取り除いた状態を示す断面図である。
【図3】図2のIII−III矢視図である。
【図4】図1に示す操作盤の作製に用いられる接点付きシートの一実施形態を示す断面図である。
【図5】図4に示す接点付きシートの搬送時や保管時の状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の可動接点の別の例を示す図2に対応する断面図である。
【図7】図6のVII−VII矢視図である。
【符号の説明】
【0057】
1 操作盤
2 ケース
3 押釦スイッチ
4 操作部材
5 シート
5a 突出部
6 シート
6a 突起部
7 基板
8 円環状固定接点
9 中央固定接点
10 接点ばね
11 頂部
11a 中心
12 可動接点
13 シート部材
14 シート部材本体
15 スペーサシート
15a 枠部
16 伝達部材
20 接点ばね付きシート
21 剥離シート
22 枠状シート
22a 開口部
23 保護シート
24 剥離部
25 カバー部
26 ロール
27 粘着テープ
30 可動接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧操作される操作部材と、
この操作部材に対向する基板上に設けられた固定接点と、
断面の基本形状がアーチ状に形成された弾性体であって、前記操作部材と前記固定接点との間に配置され、前記固定接点に対応する可動接点が頂部の凹曲面側に設けられた接点ばねと、
この接点ばねの凸曲面側と前記基板とに粘着されていて前記基板に対して前記接点ばねを反転および復元可能に固定するシート部材とを備えていて、
前記可動接点が前記接点ばねの頂部の凹曲面側で突起している押釦スイッチであって、
前記シート部材を挟んで前記接点ばねの頂部に対向する位置で前記シート部材に一体に設けられていて、前記操作部材に与えられる押圧力を前記接点ばねに伝達するための伝達部材を備えていて、
この伝達部材が、前記可動接点を含む前記接点ばねの頂部の所定範囲の投影面よりも広い範囲を覆う大きさに設定されていることを特徴とする押釦スイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載の発明において、前記可動接点が前記接点ばねの頂部の中心を囲むように点在していることを特徴とする押釦スイッチ。
【請求項3】
請求項2記載の発明において、前記可動接点が3つ設けられていて、各可動接点から前記頂部の中心までの各距離が互いに等しく、可動接点同士の各間隔が互いに等しく設定されていることを特徴とする押釦スイッチ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の押釦スイッチの作製に用いられる接点ばね付きシートであって、
前記接点ばねと、前記伝達部材と、前記シート部材とを備えていて、
前記接点ばねの凸曲面側と前記シート部材とが粘着されていて、前記シート部材を挟んで前記接点ばねの頂部に対向して前記伝達部材が配置されていて前記伝達部材と前記シート部材とが接着されていることを特徴とする接点ばね付きシート。
【請求項5】
請求項4記載の発明おいて、前記シート部材に対して、前記接点ばねと前記伝達部材との組合せが複数、所定の配列に並べられていることを特徴とする接点ばね付きシート。
【請求項6】
請求項4記載の発明において、前記シート部材が発光可能なものからなり、前記伝達部材が光透過性を有するものからなることを特徴とする接点ばね付きシート。
【請求項7】
請求項4記載の発明において、前記接点ばねが粘着保持された前記シート部材の面と前記接点ばねとを覆った状態で、前記シート部材に剥離可能に粘着される剥離部と、この剥離部と一体に形成されていて、前記伝達部材が接着された前記シート部材の面と前記伝達部材とを覆うカバー部とを有する剥離シートを備えていることを特徴とする接点ばね付きシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−299588(P2007−299588A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−125626(P2006−125626)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】