説明

拡大観察装置、拡大観察装置の操作方法、拡大観察装置操作プログラムおよびコンピュータで読み取り可能な記録媒体並びに記録した機器

【課題】照明条件などの観察条件の設定を容易にして使い勝手を改善する。
【解決手段】観察対象を照明するための照明部と、照明部により観察対象を照明する照明方向、明るさ、角度の少なくともいずれかを変化させた複数の異なる照明条件を設定するための簡易観察条件設定手段と、簡易観察条件設定手段で設定された複数の照明条件毎に簡易的に取得された複数の簡易観察画像を表示手段の画面上に一覧表示する簡易観察画像表示手段と、簡易観察画像表示手段に表示された複数の簡易観察画像の内から所望の一の簡易観察画像を選択する選択手段と、選択手段で選択された簡易観察画像に設定されている照明条件に基づき、必要に応じてさらに照明条件を設定可能な観察条件設定手段と、観察条件設定手段で設定された照明条件に基づいて、撮像手段で取得された観察画像を表示する観察画像表示手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡大した画像を撮像して表示するマイクロスコープのような拡大観察装置、拡大観察装置の操作方法、拡大観察装置操作プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録媒体並びに記録した機器に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、微小物体などを拡大して表示する拡大観察装置として、光学レンズを使った光学顕微鏡やデジタルマイクロスコープなどが利用されている。マイクロスコープは、光学系を介して入射する観察対象固定部に固定された観察対象からの反射光または透過光を、2次元状に配置された画素毎に電気的に読み取るCCDなどの受光素子を備える。CCDを用いて電気的に読み取られた画像をディスプレイ等の表示部に表示する(例えば特許文献1)。
【0003】
マイクロスコープを操作して観察対象などの対象物(ワーク)を観察する場合、所望の画像を取得するために観察条件を最適に調整する必要がある。観察条件の設定項目としては、照明方法や明るさ、角度などがある。通常はマイクロスコープを操作するユーザが手動でレンズの照明パーツを交換したり、照明の明るさを調整したり、照明の仕方を切り替えたりといった手段で、実際に観察像をモニタに表示して調整の効果を確認しながら、試行錯誤を繰り返してワークに最適と思われる観察条件を探していた。
【特許文献1】特開2000−214790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、試行錯誤しながら最適な観察条件を模索する方法では、極めて手間がかかり時間を要する作業であった。通常、モニタには一の画像しか表示できないため、ある観察条件を設定して観察画像を表示させ、これを評価した上でさらに最適な観察条件に設定し直し、再度観察画像を表示させる必要がある。この場合、前回の観察画像を記憶していないため、ユーザは記憶に頼って前回の観察画像から現在の観察画像に変化した状態から、さらに最適となる観察条件を推測しなければならない。この作業を繰り返し行うため、前回、前々回の観察条件のパラメータと画像との関係および変化の状態を記憶しつつ、さらに最適な条件を予測することになるため、作業は極めて困難となる。加えて、ユーザ自身が観察条件を設定するためには、装置の性能や撮影方法、各設定項目のパラメータの意味などに関する専門知識が必要となるため、特に初心者には敷居が高い作業となっていた。その結果、ある程度の知識と経験を有するユーザでなければ最適な観察結果を得ることが困難であったた。また、マイクロスコープが高い性能を備えていても、観察条件の設定が不十分では十分な結果を得ることができず、現状ではマイクロスコープが本来備えている性能を十分に発揮できない状態で使用されていることが殆どであった。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、観察条件の設定を容易にして使い勝手を改善した拡大観察装置、拡大観察装置の操作方法、拡大観察装置操作プログラムおよびコンピュータで読み取り可能な記録媒体並びに記録した機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面に係る拡大観察装置は、観察対象の観察画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段で取得された信号に基づいて観察画像を表示する表示手段とを備えた拡大観察装置であって、観察対象を照明するための照明部と、前記照明部により観察対象を照明する照明方向、明るさ、角度の少なくともいずれかを変化させた複数の異なる照明条件を設定するための簡易観察条件設定手段と、前記簡易観察条件設定手段で設定された複数の照明条件毎に簡易的に取得された複数の簡易観察画像を前記表示手段の画面上に一覧表示する簡易観察画像表示手段と、前記簡易観察画像表示手段に表示された複数の簡易観察画像の内から所望の一の簡易観察画像を選択する選択手段と、前記選択手段で選択された簡易観察画像に設定されている照明条件に基づき、必要に応じてさらに照明条件を設定可能な観察条件設定手段と、前記観察条件設定手段で設定された照明条件に基づいて、前記撮像手段で取得された観察画像を表示する観察画像表示手段とを備える。
【0007】
また本発明の第2の側面に係る拡大観察装置は、観察対象の観察画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段で取得された信号に基づいて観察画像を表示する表示手段とを備えた拡大観察装置であって、観察対象を照明するための照明部と、前記照明部により観察対象を照明する照明方向、明るさ、角度の少なくともいずれかを変化させた複数の異なる照明条件を含む簡易観察条件を設定するための簡易観察条件設定手段と、前記簡易観察条件設定手段で設定された複数の簡易観察条件毎に簡易的に取得された複数の簡易観察画像を前記表示手段の画面上に一覧表示する簡易観察画像表示手段と、前記簡易観察画像表示手段に表示された複数の簡易観察画像の内から所望の一の簡易観察画像を選択する選択手段と、前記選択手段で選択された簡易観察画像に設定されている簡易観察条件に基づき、必要に応じてさらに簡易観察条件を設定可能な観察条件設定手段と、前記観察条件設定手段で設定された簡易観察条件に基づいて、前記撮像手段で取得された観察画像を表示する観察画像表示手段とを備える。
【0008】
これらの観察条件設定手段は、簡易観察条件設定手段で設定された照明条件あるいは簡易観察条件をさらに調整可能な設定手段とすることができる。また、簡易観察条件設定手段と観察条件設定手段を同一のユーザインターフェース画面とすることもできる。
【0009】
さらにまた本発明の第3の側面に係る拡大観察装置はさらに、前記照明部により観察対象を照明する照明方法を変化させる照明変化手段を備える。
【0010】
さらにまた本発明の第4の側面に係る拡大観察装置は、簡易観察条件設定手段で設定される複数の照明条件として、少なくとも照明部のすべての部分から照明を行う条件と、照明部の一部のみから照明を行う条件とを含む。
【0011】
さらにまた本発明の第5の側面に係る拡大観察装置は、照明部が、リング状照明を含んでおり、照明変化手段が、照明方向をリング状照明の全周から照明する全周照明と、リング状照明の一部のみで側面から照明する側射照明とに切替可能であり、簡易観察条件設定手段は、簡易観察条件の照明条件として少なくとも全周照明と側射照明とを含む。
【0012】
さらにまた本発明の第6の側面に係る拡大観察装置は、照明変化手段が照明方法を調整する手段として、照明方向を落射照明または透過照明のいずれかより選択可能に構成される。
【0013】
さらにまた本発明の第7の側面に係る拡大観察装置は、照明変化手段が照明方法を調整する手段として、照明光のフィルタとして拡散手段、偏光手段、フィルタを使用しないのいずれかより選択可能に構成している。
【0014】
さらにまた本発明の第8の側面に係る拡大観察装置は、簡易観察条件設定手段が、簡易観察条件として、ランプの光量の調整、撮像手段の角度調整、撮像手段のゲイン調整、画像処理の少なくともいずれかを含む。
【0015】
さらにまた本発明の第9の側面に係る拡大観察装置は、簡易観察画像表示手段が、簡易観察条件を自動的に設定可能に構成している。
【0016】
さらにまた本発明の第10の側面に係る拡大観察装置は、簡易観察画像表示手段が、簡易観察条件を任意に指定可能に構成している。
【0017】
さらにまた本発明の第11の側面に係る拡大観察装置は、簡易観察画像表示手段が、簡易観察画像を通常の観察画像よりも小さく表示して、複数の簡易観察画像を並べて一覧表示する。
【0018】
さらにまた本発明の第12の側面に係る拡大観察装置はさらに、簡易観察条件設定手段で設定された複数の簡易観察条件毎に簡易観察画像を取得する簡易観察画像取得手段を備える。簡易観察画像取得手段は、簡易的に観察画像を取得するための手段であって、例えば通常の画像観察よりもフレームのスキャン速度を高速にする等して観察画像を取得する。なお、簡易観察画像取得手段を観察画像取得手段と同じとして、簡易観察画像の取得も通常の観察画像の取得と同様とすることもできる。
【0019】
さらにまた本発明の第13の側面に係る拡大観察装置の操作方法は、観察対象の観察画像を撮像し表示する拡大観察装置の操作方法であって、表示された任意の観察画像につき少なくとも位置決め調整とピント調整を行うステップと、調整された観察画像に対し、異なる条件で簡易的に複数の簡易観察画像を取得するための簡易観察条件として、観察対象を照明する照明部により観察対象を照明する照明方向、明るさ、角度の少なくともいずれかを変化させた複数の異なる照明条件を設定するステップと、設定された複数の簡易観察条件毎に簡易観察画像を簡易的に取得するステップと、取得された複数の簡易観察画像を複数並べて簡易観察画像表示手段に一覧表示するステップと、簡易観察画像表示手段に表示された複数の簡易観察画像の内から所望の一の簡易観察画像を選択するステップと、選択手段で選択された簡易観察画像に設定されている簡易観察条件に基づき、必要に応じてさらに観察条件を設定するステップと、観察条件に基づいて観察画像を取得するステップと、取得された観察画像を表示するステップとを有する。
【0020】
さらにまた本発明の第14の側面に係る拡大観察装置操作プログラムは、観察対象の観察画像を撮像し表示する拡大観察装置の操作プログラムであって、コンピュータに、表示された任意の観察画像につき少なくとも位置決め調整とピント調整を行う手段と、調整された観察画像に対し、異なる条件で簡易的に複数の簡易観察画像を取得するための簡易観察条件として、観察対象を照明する照明部により観察対象を照明する照明方向、明るさ、角度の少なくともいずれかを変化させた複数の異なる照明条件を設定する手段と、設定された複数の簡易観察条件毎に簡易観察画像を簡易的に取得するステップと、取得された複数の簡易観察画像を複数並べて簡易観察画像表示手段に一覧表示する手段と、簡易観察画像表示手段に表示された複数の簡易観察画像の内から所望の一の簡易観察画像を選択する手段と、選択手段で選択された簡易観察画像に設定されている簡易観察条件に基づき、必要に応じてさらに観察条件を設定する手段と、観察条件に基づいて観察画像を取得する手段と、取得された観察画像を表示する手段として機能させるためのプログラムである。
【0021】
さらにまた本発明の第15の側面に係るコンピュータで読み取り可能な記録媒体又は記録した機器は、上記プログラムを格納するものである。記録媒体には、CD−ROM、CD−R、CD−RWやフレキシブルディスク、磁気テープ、MO、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−R、DVD+R、DVD−RW、DVD+RW、Blu−ray(登録商標)、HD DVD(AOD)等の磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリその他のプログラムを格納可能な媒体が含まれる。またプログラムには、上記記録媒体に格納されて配布されるものの他、インターネット等のネットワーク回線を通じてダウンロードによって配布される形態のものも含まれる。さらに記録した機器には、上記プログラムがソフトウェアやファームウェア等の形態で実行可能な状態に実装された汎用もしくは専用機器を含む。さらにまたプログラムに含まれる各処理や機能は、コンピュータで実行可能なプログラムソフトウエアにより実行してもよいし、各部の処理を所定のゲートアレイ(FPGA、ASIC)等のハードウエア、又はプログラムソフトウエアとハードウェアの一部の要素を実現する部分的ハードウエアモジュールとが混在する形式で実現してもよい。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明の拡大観察装置、拡大観察装置の操作方法、拡大観察装置操作プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録媒体並びに記録した機器によれば、拡大観察装置に関する専門的知識がなくても、容易に所望の画像を得ることのできる使い勝手のよい操作環境を提供する。それは、本発明の拡大観察装置、拡大観察装置の操作方法、拡大観察装置操作プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録媒体並びに記録した機器が、複数の観察条件で自動的に画像を簡易的に複数取得して、ユーザに所望の画像を選択させ、選択された条件で観察することができるよう構成されているからである。一般に観察条件の設定は初心者には容易でないが、複数の簡易的な観察画像を一覧表示させて所望の画像を選択させるという構成によって、ユーザは視覚的に判断できるため、適切な設定条件に容易に切り替えることが可能となり、拡大観察装置の操作に詳しくない初心者でも感覚的に使用できるというメリットがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための拡大観察装置、拡大観察装置の操作方法、拡大観察装置操作プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録媒体並びに記録した機器を例示するものであって、本発明は拡大観察装置、拡大観察装置の操作方法、拡大観察装置操作プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録媒体並びに記録した機器を以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
【0024】
本発明の実施例において使用される拡大観察装置とこれに接続される操作、制御、表示、その他の処理等のためのコンピュータ、プリンタ、外部記憶装置その他の周辺機器との接続は、例えばIEEE1394、RS−232xやRS−422、USB等のシリアル接続、パラレル接続、あるいは10BASE−T、100BASE−TX、1000BASE−T等のネットワークを介して電気的、あるいは磁気的、光学的に接続して通信を行う。接続は有線を使った物理的な接続に限られず、IEEE802.1x、OFDM方式等の無線LANやBluetooth(登録商標)等の電波、赤外線、光通信等を利用した無線接続等でもよい。さらにデータの交換や設定の保存等を行うための記録媒体には、メモリカードや磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等が利用できる。なお本明細書において拡大観察装置とは、拡大観察装置本体のみならず、これにコンピュータ、外部記憶装置等の周辺機器を組み合わせた撮像システムも含む意味で使用する。
【0025】
以下、図1から図11を用いて本発明の実施の形態に係る拡大観察装置を説明する。拡大観察装置は、観察対象を照明するための照明部60と、照明部60により照明された観察対象を撮像する撮像部10と、撮像部10で撮像された拡大画像を表示する表示部52を備える。
【0026】
より詳細には、図2に示すように撮像装置は観察対象を固定する観察対象固定部(観察対象Sを載置するステージ30)と、光学系を介して入射する観察対象固定部に固定された観察対象からの反射光または透過光を2次元状に配置された画素毎に電気的に読み取る受光素子(CCD12)とから構成される。さらに、撮像装置には情報処理装置50(拡大観察装置本体)が接続される。情報処理装置50は、受光素子によって電気的に読み取られた画像データを記憶する画像データ記憶部(メモリ53)と、受光素子によって電気的に読み取られた画像データに基づいて画像を表示する表示部52と、表示部52上に表示される画面に基づいて入力を行う入力部(操作部55、ポインティングデバイス55a)と、入力部によって入力された情報に基づいて画像処理その他各種の処理を行う制御部51とを備える。
【0027】
図1に本発明の実施の形態にかかる拡大観察装置の外観図を示す。光学系および受光素子を有するカメラ10は、スタンド台41から鉛直方向に延びる支柱42に固定されたカメラ取り付け部43に取り付けられる。スタンド台41には、観察対象Sを載置するステージ30が上部に取り付けられたステージ昇降器20が配置される。カメラ10およびステージ昇降器20は情報処理装置50に接続されて制御される。情報処理装置50は、表示部52、およびポインティングデバイス55a等の操作部を備える。表示部52には、観察画像表示部52A、簡易観察画像表示部52Bが、互いに切り替えて、あるいは同時に表示される。
【0028】
図2に本発明の実施の形態に係る拡大観察装置のブロック図を示す。情報処理装置50は、表示部52と、制御プログラム、焦点距離情報、受光データ、2次元情報等を記憶するメモリ53と、カメラ10およびステージ昇降器20とデータを通信するためのインターフェイス54と、操作者が拡大観察装置に関する操作を行う操作部55とから構成される。ステージ昇降器20は、たとえばステッピングモータ21と、ステッピングモータ21の昇降を制御するモータ制御部22とから構成される。カメラ10は、たとえばCCD12から構成される受光素子と、CCD12を駆動制御するCCD制御回路13と、ステージ30上に載置された観察対象Sに対して照射された照明部60からの光の反射光を入射しCCD12上に結像させる光学系11とを備える。
【0029】
情報処理装置50は、モータ制御回路22に対してステッピングモータ21の制御に関する制御データを入力することによって、観察対象固定部であるステージ30と、光学系11および受光素子であるCCD12を有するカメラ10との光軸方向における相対距離、ここではz方向における高さを変化させる。具体的には、情報処理装置50は、ステージ昇降器20の制御に必要な制御データをモータ制御回路22に入力することによってステッピングモータ21の回転を制御し、ステージ30の高さz(z方向の位置)を昇降させる。ステッピングモータ21は回転に応じた回転信号を生成する。情報処理装置50は、モータ制御回路22を介して入力される回転信号に基づいて、観察対象固定部30と光学系11の光軸方向における相対距離に関する情報としてのステージ30の高さzを記憶する。この実施の形態においては、ステージ30の高さを変化させることによって観察対象固定部と光学系の光軸方向における相対距離を変化させる例を示したが、ステージ30を固定して光学系11の高さ、ここではカメラ10の高さを変化させてもよい。
【0030】
CCD12は、x方向およびy方向に2次元状に配置された画素ごとに受光量を電気的に読み取ることができる。CCD12上に結像された観察対象Sの像は、CCD12の各画素において受光量に応じて電気信号に変換され、CCD制御回路13においてさらにデジタルデータに変換される。情報処理装置50は、CCD制御回路13において変換されたデジタルデータを受光データDとして、光軸方向(図2中のz方向)とほぼ垂直な面内(図2中のx、y方向)における観察対象の2次元位置情報としての画素の配置情報(x、y)とともにメモリ53に記憶する。ここで、光軸方向とほぼ垂直な面内とは、厳密に光軸に対して90°をなす面である必要はなく、その光学系および受光素子における解像度において観察対象の形状を認識できる程度の傾きの範囲内にある観察面であればよい。
【0031】
また、以上の説明では、観察対象固定部の一例として、観察対象がステージに載置される例を示したが、たとえばステージの代わりにアームを取り付けその先端に観察対象を固定する構成とすることもできる。
【0032】
図1に示す照明部60は、観察対象に落射光を照射するための落射照明60Aと、透過光を照射するための透過照明60Bを備える。これらの照明は、光ファイバー61を介して情報処理装置50と接続される。情報処理装置50は光ファイバー61を接続するコネクタ62を備えると共に、コネクタ62を介して光ファイバー61に光を送出するための光源(図示せず)を内蔵する。光源にはハロゲンランプなどが用いられる。
【0033】
図3に、照明部60と接続される光ファイバー61を情報処理装置50に接続する側の端子と、端子と光源との間で照明部60に送出される照明光を部分的にマスクするマスク板63の概略を示す。図3(a)にはマスク板63の平面図を、図3(b)は断面図をそれぞれ示している。マスク板63は情報処理装置50に内蔵されており、光ファイバー61の端子の内情報処理装置50に接続される側の端子と、光源との間に配置されている。図3(a)に示すようにマスク板63は2枚の大小の略扇形を接続したような形状で、接続部分に回動軸64を設けている。大きな扇形部分には、開口窓65が設けられ、略円形の全周照明用開口窓65Aと、略扇形の側射照明用開口窓65Bが、それぞれ開口されている。また小さい扇形には、その円周側面部分にギア溝が形成されている。このマスク板63は回動軸64を中心に回動自在に連結されており、モータ66によって回動される。モータ66は回転軸にウォームギアを固定しており、ウォームギアのギア部分が、マスク板63の小さい扇形の円弧部分に設けれらたギア溝と噛み合うように配置される。モータ66を回転させてマスク板63を回動させると、全周照明用開口窓65Aおよび側射照明用開口窓65Bのいずれかが、2つの光ファイバー61の端子のいずれかと一致する。これによって、いずれかの光ファイバー61を光源と接続し、照明部60から光を照射可能とする。
【0034】
なおマスク板63を回動させる機構は、上記のウォームギアを用いた構成に限られず、ピニオンギアと板状ギアの組み合わせやカム、クランクなどを使用した構成、あるいはステッピングモータやサーボモータで直接回動させる方式などを利用してもよいことはいうまでもない。
【0035】
開口窓65はいずれか一方の光ファイバー61のみを全部又は部分的に開口し、一方の光ファイバー61にいずれかの開口窓が一致すると、他方の光ファイバー61は完全にマスク板63で閉塞される。これによって、落射用照明と側射用照明のいずれかが光源と接続されて、いずれか一方の照明のみが排他的に機能することとなる。
【0036】
図4に全周照明と側射照明の違いを説明する概念図を示す。照明部60は発光部がリング状に配置されており、光ファイバー61の断面に応じた光が照射されるよう構成されている。リング状の照明部60から観測対象に向かって照射される光は、図に示すようにリングの中心軸に向かって収束するように照射される。
【0037】
全周照明用開口窓65Aを光ファイバー61の端子に一致させれば、光ファイバー61の断面積すべてに光が供給されるため、図4(a)に示すようにリング状の照明部60すべての部分から光が照射され、その結果観測対象に対し全周から照明される全周照明が実現される。一方、側射照明用開口部が光ファイバー61の端子と一致されると、光ファイバー61の断面積の一部分のみに光源の光が供給され、他の部分はマスクされるため、図4(b)に示すように部分的に光が照射される側射照明が実現される。この例では、側射照明用開口部の扇形の中心角を略90°としているため、リング状照明部60の約1/4の領域のみが発光され、側面部分のみを照射する形となる。
【0038】
一方、図4(c)に示すように、図4(a)の全周照明に拡散板67や偏光板68などのフィルタを通過させることができる。拡散板67は、光を拡散させることによって光の強度を抑え、柔らかい光を照射する。また偏光板68は、反射光のぎらつきを抑える効果がある。これらのフィルタを透過させて光を照射させると、それぞれのフィルタに応じた光の効果が得られる。フィルタの挿入や切り替えには、上述したマスク板に類似したターレットに複数のフィルタを備え、ターレットを回動させることによってそれぞれのフィルタを切り替えるなどの方法が利用できる。さらに図4(d)は、図4(b)の側射照明に拡散板67や偏光板68などのフィルタを適用した例を示している。
【0039】
このように、上記実施の形態のリング状照明からの出射光に適用可能な照明方法としては、落射照明、透過照明の選択肢があり、それぞれに対して全周照明、側射照明いずれかが適用でき、さらにフィルタとして拡散、偏光またはフィルタなしの通過光(スルー)を適用でき、これらの組み合わせによって照明方法を様々に変化させることができる。これらの設定は、観察条件設定手段である観察条件設定画面から行う。
【0040】
図5に観察条件設定画面の一例として、照明条件選択画面を示す。この図は拡大観察装置を操作するための拡大観察装置操作プログラムのユーザインターフェース画面であり、拡大観察装置の表示部52に表示される。拡大観察装置操作プログラムは、拡大観察装置の制御部である情報処理装置50に組み込まれている。この画面上から、ユーザは入力手段であるマウスなどのポインティングデバイスを操作して、各ラジオボタンを選択し、照明条件を指定する。
【0041】
[入力手段]
図5〜図8、図10に示す画面は、簡易観察画像取得機能を実現するための設定画面である。簡易観察画像取得機能を実現する手順については、図11のフローチャートの説明において後述する。なお、これらの画面において各入力欄や各ボタンなどの配置、形状、表示の仕方、サイズ、配色、模様などは適宜変更できることはいうまでもない。デザインの変更によってより見やすく、評価や判断が容易な表示としたり操作しやすいレイアウトとすることもできる。例えば各項目をウィザード形式で入力させるようにして、ユーザは質問に答えていくだけで必要な設定ができるようにしても良い。また、以下の説明では詳細設定画面を別ウィンドウで表示させている場合や同一ウィンドウ内に詳細設定欄を設けている場合があるが、いずれか一方に変更したり両者を併用させても利用できることはいうまでもない。
【0042】
これらのプログラムのユーザインターフェース画面において、仮想的に設けられたボタン類や入力欄に対するON/OFF操作、数値や命令入力などの指定は、拡大観察装置操作プログラムを組み込んだ情報処理装置あるいはプログラムをインストールしたコンピュータに接続された入力部で行う。本明細書において「押下する」とは、ボタン類に物理的に触れて操作する他、入力部によりクリックあるいは選択して擬似的に押下することを含む。入出力デバイスはコンピュータと有線もしくは無線で接続され、あるいはコンピュータ等に固定されている。一般的な入力部としては、例えばマウスやキーボード、スライドパッド、トラックポイント、タブレット、ジョイスティック、コンソール、ジョグダイヤル、デジタイザ、ライトペン、テンキー、タッチパッド、アキュポイントなどの各種ポインティングデバイスが挙げられる。またこれらの入出力デバイスは、プログラムの操作のみに限られず、拡大観察装置などのハードウェアの操作にも利用できる。さらに、インターフェース画面を表示するディスプレイ自体にタッチスクリーンやタッチパネルを利用して、画面上をユーザが手で直接触れることにより入力や操作を可能としたり、または音声入力その他の既存の入力手段を利用、あるいはこれらを併用することもできる。
【0043】
また、拡大観察装置にはコンピュータ70を接続可能であり、コンピュータ70に別途拡大観察装置操作プログラムをインストールして、コンピュータ70側からも拡大観察装置を操作することもできる。本明細書において、コンピュータを使って拡大観察装置を操作する拡大観察装置操作プログラムとは、拡大観察装置に外部接続された汎用もしくは専用コンピュータにインストールされる操作プログラムの他、上述した拡大観察装置の制御部である情報処理装置50に内蔵された操作プログラムも含む。拡大観察装置には、予め拡大観察装置を操作する操作機能あるいは操作プログラムが内蔵されている。この操作プログラムは、書き換え可能なソフトウェア、ファームウェアなどの形態で拡大観察装置に対してインストール、あるいはアップデートすることも可能である。従って、本明細書において拡大観察装置操作プログラムを実行させるコンピュータには、拡大観察装置自体も含まれる。
【0044】
[照明条件]
拡大観察装置の観察条件としては、照明条件が大きく作用する。照明条件は、図5の観察条件設定画面から行う。さらに照明条件には、図6に示すように光源であるランプの光量を調整することも含まれる。ランプ光量はスライダを左右に移動させることで調整される。さらにまた、図7に示すようにカメラのゲインを調整したり、図8に示すように取得した観察画像に対してフィルタ演算などの画像処理を加えることもできる。これらの例では、カメラゲインとして自動設定(オート)か手動設定(マニュアル)かの別を指定し、フィルタ演算をオン、オフいずれかを選択する。
【0045】
このような照明条件以外にも、撮像手段であるカメラ10の角度を変更して撮影することもできる。図9に示すように、アクチュエータ71を使ってカメラ10の向きや角度を調整可能とし、これによって異なる角度から観察対象を捉えることが可能となる。
【0046】
このように、本発明の実施の形態では、観察対象を撮影するパラメータとして、照明条件やカメラの角度などさまざまな要素があり、これらを調整することによってユーザが好みの画像を取得する。その調整は、ユーザが手動で行うが、初心者にとっては各パラメータの調整によってどのような画像が得られるか、また所望の画像を得るにはどのパラメータを調整すべきなのか、ある程度の熟練や知識が必要となり、容易でない。このため本実施の形態に係る拡大観察装置は、実際に様々な観察条件を設定して自動的に複数の画像を簡易的に取得し、ユーザに選択させる簡易観察画像取得機能を備えている。簡易観察画像取得機能は、様々にパラメータを調整した観察条件を自動的に複数設定し、それぞれの条件で拡大画像を簡易的あるいは予備的に取得し、複数の観察結果を一覧表示して所望のイメージをユーザに選択させるものである。
【0047】
簡易観察画像取得機能を実行した結果を表示する簡易観察画像表示部52Bの一例を図10に示す。図10(a)では取得した簡易観察画像52bを並べて一覧表示する方法を、図10(b)では切り替えて表示する方法を示している。いずれの方法も、取得した観察画像52aを表示するメイン画面である観察画像表示部52Aと並べて表示することもできる。あるいは、観察画像表示部52Aと簡易観察画像表示部52Bを別ウィンドウで表示させることもできる。
【0048】
図10(a)においては、簡易観察画像52bを通常の観察画像52aよりも小さく表示することで複数を一覧表示している。図示しないが、一覧表示ではサムネイル表示の簡易観察画像52bを並べ、選択された画像をプレビュー表示欄で拡大させる形式としても良い。簡易観察画像52bを小さく表示することで、複数の簡易観察画像52bを並べて一覧表示することが可能となり、それぞれの画像の特徴を対比観察し易くできる。図10の例では6枚の簡易観察画像52bを取得する例を示しているが、この枚数に限定するものでなく、5枚以下、例えば4枚、あるいは7枚以上、例えば8枚以上とすることもできる。より多くの簡易観察画像52bを表示させるには、画像を一時保存する画像メモリや画面表示用のビデオメモリ等を大容量のものとする。
【0049】
また図10(b)のように簡易観察画像52bを一枚ずつ切り替えて表示させてもよい。切り替えにはマウスクリックやボタン操作でトグル状に切り替える他、一定時間毎に自動的に表示を切り替えるスライドショーのような形態も利用できる。一枚ずつ表示することによって各簡易観察画像52bをより大きく、通常の観察画像52aとほぼ同じ大きさで表示することができ、詳細な観察が可能となる。また、図10(a)の一覧表示と図10(b)の個別表示をユーザの所望により切り替えて利用することもできる。
【0050】
このように、様々な方法で取得された画像を表示することで、各画像を比較しながら所望のイメージに近い画像を選択することができる。この機能を利用すれば、ユーザは観察条件の各設定項目やパラメータの意味を知らなくてもよく、実際の画像を対比して視覚的に所望の画像を選択することで、選択した簡易観察画像に設定された簡易観察条件から、適切な観察条件を知ることができる。さらに必要であれば観察条件をさらに調整して、改めて観察画像を取得できる。これによって初心者でも容易に所望の画像を得ることができる。
【0051】
次に、簡易観察画像取得機能により観察条件を様々に変えて複数の簡易観察画像を取得する手順を、図11のフローチャートに基づいて説明する。図11の例では、6枚の簡易観察画像1〜6を取得し、それぞれ画像メモリ1〜6に保存している。画像メモリは簡易観察画像記憶手段の一実施態様であり、画像データ記憶部を利用できる。画像データ記憶部に複数の画像メモリを設ける他、記憶領域を複数に分割して使用しても良い。
【0052】
各簡易観察画像を取得する簡易観察条件としては、図5の照明条件選択画面において選択可能な組み合わせとしている。簡易観察条件は拡大観察装置側で自動的に設定する他、ユーザが任意に指定することもできる。
【0053】
まずステップS1で画像メモリ、照明などを初期化する。この時点では光源は光ファイバと光学的に接続されておらず、拡散板67等のフィルタがすべて挿入された状態となる。なおこの時点でユーザは、観察対象に対して観察画像表示部52A上で位置決めとピント調整を済ませておく。
【0054】
次にステップS2〜S5で画像メモリ1に記録する簡易観察画像1を取得する。ステップS2では落射照明を設定し、ステップS3ではマスク板63を回動して全周照明用の開口窓を落射照明用光ファイバー61の端子に一致させる。次にステップS4でリング状照明から拡散板67と偏光板68を抜き、光をスルーとする。以上の簡易観察条件、落射、全周、スルーにおいて、ステップS5で簡易観察画像1を取得し、画像メモリ1に記録する。
【0055】
次に簡易観察画像2を取得する。まずステップ4までで設定された簡易観察条件、すなわち落射、全周、スルーに設定された状態から、ステップS6で側射照明に切り替えるべくマスク板63を回動させる。そして落射、側射、スルーの簡易観察条件において、ステップS7で簡易観察画像2を取得し、画像メモリ2に記録する。
【0056】
以下同様にして簡易観察条件を変更しながら簡易観察画像3〜6を順次取得していく。ステップS8においては、拡散板67を挿入し、簡易観察条件を落射、側射、拡散板67とする。そしてこの条件で簡易観察画像3を取得し、ステップS9で画像メモリ3に記録する。次にステップS10で再び全周照明となるようマスク板63を回動させ、簡易観察条件を落射、全周、拡散板67とし、簡易観察画像4を取得し、ステップS11で画像メモリ4に記録する。さらにステップS12で偏光板68を挿入すると共に拡散板67を抜き、落射、全周、偏光板68とした簡易観察条件で簡易観察画像5を取得し、ステップS13で画像メモリ5に記録する。最後にステップS14で側射照明に切り替えるようマスク板63を回動し、落射、側射、偏光板68とした簡易観察条件で簡易観察画像6を取得し、ステップS15で画像メモリ6に保存する。
【0057】
以上のようにして取得された簡易観察画像1〜6は、図10に示すように簡易観察画像表示部52Bで表示される。図に示すように簡易観察画像のみを表示させる他、それぞれの簡易観察条件を文字情報などで表示してもよい。例えば、画面の一部に情報表示欄を設けて選択された簡易観察画像に関する簡易観察条件等の情報を表示させたり、あるいは図10(a)に示す簡易観察画像が一覧表示された状態において、マウスカーソルを各簡易観察画像に重ねると、その簡易観察画像を取得した際の簡易観察条件がチップ表示やバルーン表示などで表示されるようにしてもよい。
【0058】
また、以上の実施の形態においては、落射照明を使って観察対象固定部に固定された観察対象からの反射光を電気的に読み取る簡易観察条件を説明したが、透過照明を使って観察対象の背面から光を照射してその透過光を電気的に読み取る簡易観察条件を使用してもよいことはいうまでもない。また同様に、図6に示すように照明の明るさを調整するパラメータをさらに付加したり、図7に示すようにカメラゲインをオート/マニュアルに切り替えるパラメータ、図8に示すようにフィルタ演算をオン/オフに切り替えるパラメータを付加した簡易観察条件を設定することもできる。さらに図9に示すようにカメラの角度を調整するパラメータも付加できる。さらにまた、観察対象の種別を指定することで、これに応じた適切な観察条件を設定することも可能である。
【0059】
[照明の明るさの調整]
照明の明るさの調整は、情報処理装置50やコンピュータ70より調光回路を制御することによって実現する。画像の明るさを調整する手段としては、カメラのシャッタースピードの調整、ゲインの調整、ランプ光量の調整などがあるが、ハレーションを起こし易いワークを観察するには、ランプ光量を落とした方が良好な画像を得られる場合がある。
【0060】
ランプ光量、カメラのシャッタースピード調整では画像の明るさを調整しきれない場合、カメラゲインを上げて画像を明るくする。通常の観察では画像の明るさはカメラのシャッタースピードを調整することによって実現する。また、観察対象、条件によって最適な色表現を求める場合は、ホワイトバランスの調整も必要になる。
【0061】
[フィルタ演算]
求める画像の条件に合わせて、画像にフィルタ演算を実行する。例えば、画像を鮮明にするために、エッジ強調フィルタ演算を実行したりする。
【0062】
[カメラの角度]
図9に示すように、アクチュエータ71を制御することによってカメラヘッドの角度を変化させ、異なる角度から観察対象を撮像することができる。角度を変えて撮像することによって、照明の当たり具合の異なる画像を得ることができる。
【0063】
[観察対象の種別]
観察対象の種別に応じて、それぞれ適切な観察条件又は簡易観察条件を予め設定しておき、ユーザに観察対象を選択させることによって最適な観察条件を呼び出すことができる。例えば、金属を観察する場合はハレーションが生じ易いが、シャッタースピードが異なる2枚の画像を用いて合成演算処理を行うことで、ハレーションを抑えることができる。合成演算処理とは、ハレーションを起こしている部分の画像を、ハレーションを起こしていない画像に入れ替えるものである。シャッタースピードを速くして撮像するとハレーションを生じ難いので、シャッタースピードの異なる写真を複数組み合わせればハレーションのない画像とできる。2枚の画像をそのまま合成すると合成部分の継ぎ目が目立つので、継ぎ目が目立たないように画像の明るさを前処理することが望ましい。
【0064】
また観察対象が生物の場合は、エッジ強調フィルタ処理を行う。あるいは、鉱物を観察する場合はモノクロモードで撮影することが好まれる。さらに偏光板68を挿入して観察する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施の形態に係る拡大観察装置を示す概要図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る拡大観察装置のブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る拡大観察装置のマスク板を示す概略図である。
【図4】様々な照明方法の一例を示す概念図である。
【図5】拡大観察装置操作プログラムにおいて、照明条件選択画面のユーザインターフェース画面の一例を表示するイメージ図である。
【図6】拡大観察装置操作プログラムにおいて、照明条件選択画面のユーザインターフェース画面の他の例を表示するイメージ図である。
【図7】拡大観察装置操作プログラムにおいて、照明条件選択画面のユーザインターフェース画面の他の例を表示するイメージ図である。
【図8】拡大観察装置操作プログラムにおいて、照明条件選択画面のユーザインターフェース画面の他の例を表示するイメージ図である。
【図9】カメラの角度を調整するアクチュエータを示す概略図である。
【図10】簡易観察画像表示部の一例を示すイメージ図である。
【図11】簡易観察画像取得機能により簡易観察画像を取得する手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
10 ・・・ カメラ
11 ・・・ 光学系
12 ・・・ CCD
13 ・・・ CCD制御回路
20 ・・・ ステージ昇降器
21 ・・・ ステッピングモータ
22 ・・・ モータ制御回路
30 ・・・ ステージ
41 ・・・ スタンド台
42 ・・・ 支柱
43 ・・・ カメラ取り付け部
50 ・・・ 情報処理装置
51 ・・・ 制御部
52 ・・・ 表示部
52A・・・ 観察画像表示部
52B・・・ 簡易観察画像表示部
52a・・・ 観察画像
52b・・・ 簡易観察画像
53 ・・・ メモリ
54 ・・・ インターフェイス
55 ・・・ 操作部
55a・・・ ポインティングデバイス
60 ・・・ 照明部
60A・・・ 落射照明
60B・・・ 透過照明
61 ・・・ 光ファイバー
62 ・・・ コネクタ
63 ・・・ マスク板
64 ・・・ 回動軸
65 ・・・ 開口窓
65A・・・ 全周照明用開口窓
65B・・・ 側射照明用開口窓
66 ・・・ モータ
67 ・・・ 拡散板
68 ・・・ 偏光板
70 ・・・ コンピュータ
71 ・・・ アクチュエータ
S ・・・ 試料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象の観察画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段で取得された信号に基づいて観察画像を表示する表示手段と
を備えた拡大観察装置であって、
観察対象を照明するための照明部と、
前記照明部により観察対象を照明する照明方向、明るさ、角度の少なくともいずれかを変化させた複数の異なる照明条件を設定するための簡易観察条件設定手段と、
前記簡易観察条件設定手段で設定された複数の照明条件毎に簡易的に取得された複数の簡易観察画像を前記表示手段の画面上に一覧表示する簡易観察画像表示手段と、
前記簡易観察画像表示手段に表示された複数の簡易観察画像の内から所望の一の簡易観察画像を選択する選択手段と、
前記選択手段で選択された簡易観察画像に設定されている照明条件に基づき、必要に応じてさらに照明条件を設定可能な観察条件設定手段と、
前記観察条件設定手段で設定された照明条件に基づいて、前記撮像手段で取得された観察画像を表示する観察画像表示手段と、
を備えてなる拡大観察装置。
【請求項2】
観察対象の観察画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段で取得された信号に基づいて観察画像を表示する表示手段と
を備えた拡大観察装置であって、
観察対象を照明するための照明部と、
前記照明部により観察対象を照明する照明方向、明るさ、角度の少なくともいずれかを変化させた複数の異なる照明条件を含む簡易観察条件を設定するための簡易観察条件設定手段と、
前記簡易観察条件設定手段で設定された複数の簡易観察条件毎に簡易的に取得された複数の簡易観察画像を前記表示手段の画面上に一覧表示する簡易観察画像表示手段と、
前記簡易観察画像表示手段に表示された複数の簡易観察画像の内から所望の一の簡易観察画像を選択する選択手段と、
前記選択手段で選択された簡易観察画像に設定されている簡易観察条件に基づき、必要に応じてさらに簡易観察条件を設定可能な観察条件設定手段と、
前記観察条件設定手段で設定された簡易観察条件に基づいて、前記撮像手段で取得された観察画像を表示する観察画像表示手段と、
を備えてなる拡大観察装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の拡大観察装置であって、さらに、
前記照明部により観察対象を照明する照明方法を変化させる照明変化手段を備えることを特徴とする拡大観察装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の拡大観察装置であって、
前記簡易観察条件設定手段で設定される複数の照明条件として、少なくとも前記照明部のすべての部分から照明を行う条件と、前記照明部の一部のみから照明を行う条件とを含んでいることを特徴とする拡大観察装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の拡大観察装置であって、
前記照明部は、リング状照明を含んでおり、
前記照明変化手段は、照明方向をリング状照明の全周から照明する全周照明と、リング状照明の一部のみで側面から照明する側射照明とに切替可能であり、
前記簡易観察条件設定手段は、簡易観察条件の照明条件として少なくとも全周照明と側射照明とを含むことを特徴とする拡大観察装置。
【請求項6】
請求項3から5のいずれかに記載の拡大観察装置であって、
前記照明変化手段が照明方法を調整する手段として、照明方向を落射照明または透過照明のいずれかより選択可能に構成してなることを特徴とする拡大観察装置。
【請求項7】
請求項3から6のいずれかに記載の拡大観察装置であって、
前記照明変化手段が照明方法を調整する手段として、照明光のフィルタとして拡散手段、偏光手段、フィルタを使用しないのいずれかより選択可能に構成してなることを特徴とする拡大観察装置。
【請求項8】
請求項2から7のいずれかに記載の拡大観察装置であって、
前記簡易観察条件設定手段は、簡易観察条件として、ランプの光量の調整、撮像手段の角度調整、撮像手段のゲイン調整、画像処理の少なくともいずれかを含むことを特徴とする拡大観察装置。
【請求項9】
請求項2から8のいずれかに記載の拡大観察装置であって、
前記簡易観察画像表示手段は、簡易観察条件を自動的に設定可能に構成してなることを特徴とする拡大観察装置。
【請求項10】
請求項2から9のいずれかに記載の拡大観察装置であって、
前記簡易観察画像表示手段は、簡易観察条件を任意に指定可能に構成してなることを特徴とする拡大観察装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の拡大観察装置であって、
前記簡易観察画像表示手段は、簡易観察画像を通常の観察画像よりも小さく表示して、複数の簡易観察画像を並べて一覧表示することを特徴とする拡大観察装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の拡大観察装置であって、さらに、
前記簡易観察条件設定手段で設定された複数の簡易観察条件毎に簡易観察画像を取得する簡易観察画像取得手段を備えることを特徴とする拡大観察装置。
【請求項13】
観察対象の観察画像を撮像し表示する拡大観察装置の操作方法であって、
表示された任意の観察画像につき少なくとも位置決め調整とピント調整を行うステップと、
調整された観察画像に対し、異なる条件で簡易的に複数の簡易観察画像を取得するための簡易観察条件として、観察対象を照明する照明部により観察対象を照明する照明方向、明るさ、角度の少なくともいずれかを変化させた複数の異なる照明条件を設定するステップと、
設定された複数の簡易観察条件毎に簡易観察画像を簡易的に取得するステップと、
取得された複数の簡易観察画像を複数並べて簡易観察画像表示手段に一覧表示するステップと、
前記簡易観察画像表示手段に表示された複数の簡易観察画像の内から所望の一の簡易観察画像を選択するステップと、
前記選択手段で選択された簡易観察画像に設定されている簡易観察条件に基づき、必要に応じてさらに観察条件を設定するステップと、
観察条件に基づいて観察画像を取得するステップと、
取得された観察画像を表示するステップと、
を有することを特徴とする拡大観察装置の操作方法。
【請求項14】
観察対象の観察画像を撮像し表示する拡大観察装置の操作プログラムであって、コンピュータに、
表示された任意の観察画像につき少なくとも位置決め調整とピント調整を行う手段と、
調整された観察画像に対し、異なる条件で簡易的に複数の簡易観察画像を取得するための簡易観察条件として、観察対象を照明する照明部により観察対象を照明する照明方向、明るさ、角度の少なくともいずれかを変化させた複数の異なる照明条件を設定する手段と、
設定された複数の簡易観察条件毎に簡易観察画像を簡易的に取得するステップと、
取得された複数の簡易観察画像を複数並べて簡易観察画像表示手段に一覧表示する手段と、
前記簡易観察画像表示手段に表示された複数の簡易観察画像の内から所望の一の簡易観察画像を選択する手段と、
前記選択手段で選択された簡易観察画像に設定されている簡易観察条件に基づき、必要に応じてさらに観察条件を設定する手段と、
観察条件に基づいて観察画像を取得する手段と、
取得された観察画像を表示する手段と、
して機能させるための拡大観察装置操作プログラム。
【請求項15】
請求項14に記載される拡大観察装置操作プログラムを格納したコンピュータで読み取り可能な記録媒体又は記録した機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−30969(P2006−30969A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−167315(P2005−167315)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【分割の表示】特願2002−314904(P2002−314904)の分割
【原出願日】平成14年10月29日(2002.10.29)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】