説明

拡張期心不全を治療するための方法と組成物

エンドセリン拮抗薬(例えば、シタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩)の投与による、拡張期心不全(DHF)の治療法を本明細書で提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、シタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩を投与することによる、拡張期心不全(DHP)の治療方法を提供する。
【0002】
背景
時には正常な左室駆出分画(LVEF)を有する心不全(HF)と呼ばれる拡張期心不全は、慢性HFの症状(即ち、組織及び/又は器官の水分増加と、組織及び/又は器官の潅流減少)、≧50%の正常(保存)LVEF、異常な拡張期性機能、心電図(ECHO)上で臨床的に有意な弁膜性心疾患見られず、及び/又は慢性HFの徴候及び/又は症状の心血管系根拠なしを特徴とする疾患である。
【0003】
拡張期心不全は、特に全身性高血圧の病歴を有する患者においては、加齢と共に増加する。疫学的研究は、慢性HFを有する65歳以上の患者のほぼ50%が正常なLVEFを有することを示している。これらの患者は呼吸困難と疲労感にかなり苦しんでおり、それがかれらの運動耐性やクオリティオブライフ(QOL)を制限する可能性があり、これらの患者はしばしばHFの悪化のために入院する。DHF患者は、左室収縮期機能不全によるHF患者と同様な、致死率、反復入院、及びケア費用を有する。DHFの長期間致死率は、収縮期HFよりも低いが、年齢対応一般人口に比べて、DHFに関連した致死率は有意に増加する。合衆国では、DHFは現在、慢性HFの総費用の>25%を占め、これは1年間に150億〜400億弗であると推定される。
【0004】
拡張期心不全の幾つかの原因は知られている。これらの原因を下記に挙げる:
1.虚血:これは冠状動脈疾患によって又は慢性的な速すぎる心拍数によって惹起される可能性がある。虚血は心筋が完全に弛緩するのを抑制し、心臓硬直を高める。慢性虚血は結果としてDHFを招く。
【0005】
2.慢性高血圧又は大動脈弁問題によって惹起される圧過負荷
3.収縮性心筋症とも呼ばれる浸潤性心筋症
4.心膜炎:心臓の外側周囲のサックの炎症
5.一部のDHFは通常の加齢が惹起する可能性がある。
【0006】
6.癌のような疾患のための化学療法
7.遺伝的原因
DHFを有する対象の高い罹患率、不利な予後及び高い死亡率から考えて、この状態を効果的に治療できることが重要である。それ故、DHFのより大きく効果的な治療法の開発が絶えず切望されている。
【0007】
概要
1実施態様では、例えばエンドセリンA拮抗薬のような、エンドセリン拮抗薬としての活性を有する化合物を投与することによる、拡張期心不全の治療法を本明細書において提供する。或る一定の実施態様では、該方法は、シタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩を投与することを含む。或る一定の実施態様では、該方法は、シタクスセンタン・ナトリウムを投与することを含む。
【0008】
さらに、パッケージング物質、エンドセリン拮抗薬化合物(例えば、シタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩)及び、該化合物(例えば、シタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩)が拡張期心不全の治療に用いられることを表示するラベルを含有する製造品も提供する。
【0009】
詳細な説明
定義
本明細書で用いられる技術用語及び科学用語の全ては、特に定義しない限り、当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。全ての特許、出願、公開出願及びその他の刊行物は、それらの全体で、本明細書に援用される。或る1つの用語に複数の定義が存在する場合には、特に指定しない限り、このセクションにおける定義が優先する。
【0010】
本明細書で用いる限り、“拡張期心不全”は、身体の代謝要求を満たすには障害ある心臓弛緩と異常な心室充満が存在する状態を意味する。拡張期心不全を診断する基準は、非限定的に、心不全の症状若しくは徴候、正常な若しくはごく軽度に異常な左室(LV)収縮期機能、並びに異常なLV弛緩、充満、拡張期膨張若しくは拡張期硬直を包含する。心不全の症状若しくは徴候は、非限定的に、息切れ(呼吸困難とも呼ばれる)、持続性咳若しくは喘鳴、体組織中の過剰流体の蓄積(浮腫)、疲労感、倦怠感、食欲減退、吐き気、意識混濁、運動耐性低下、思考障害、又は心拍数増加を包含する。
【0011】
本明細書で用いる限り、エンドセリン拮抗薬は、エンドセリン・ペプチドに関連した生物学的活性又はエンドセリン・ペプチドが有する生物学的活性を増強する又は示す化合物である。
【0012】
本明細書で用いる限り、“シタクスセンタン”は、N−(4−クロロ−3−メチル−5−イソオキサゾリル)−2−[2−メチル−4,5−(メチレンジオキシ)フェニルアセチル]−チオフェン−3−スルホンアミドを意味する。シタクスセンタンはTBC11251としても知られる。シタクスセンタンの他の化学名には、4−クロロ−3−メチル−5−(2−(2−(6−メチルベンゾ[d][1,3]ジオキソル−5−イル)アセチル)−3−チエニルスルホンアミド)イソオキサゾールと、N−(4−クロロ−3−メチル−5−イソオキサゾリル)−2−[3,4−(メチレンジオキシ)−6−メチルフェニルアセチル]−チオフェン−3−スルホンアミドがある。シタクスセンタンとシタクスセンタン・ナトリウムの化学構造は、本明細書の他の箇所に記載する。
【0013】
本明細書で用いる限り、“対象(subject)”は、例えば、ヒト(例えば、患者)を含めた哺乳動物のような動物である。
【0014】
本明細書で用いる限り、そして特に指定しない限り、“治療する(treat)”、“治療すること(treating)”、及び“治療(treatment)”なる用語は、患者が特定の疾患若しくは障害に罹患している間に生じて、該疾患若しくは障害の重症度を低下させ、該疾患若しくは障害の進行を遅らせる若しくは遅くする作用(action)である。治療はさらに、本明細書の組成物の如何なる製薬的使用(例えば、DHFを治療するための使用)をも包含する。
【0015】
本明細書で用いる限り、特定の医薬組成物の投与による、特定疾患の症状の改善は、該組成物の投与に帰する若しくは関連付けることができる、永久的か一時的かに又は持続性か一過性かに拘わらず、症状の如何なる軽減をも意味する。
【0016】
本明細書で用いる限り、そして特に指定しない限り、“予防する(prevent)”、“予防すること(preventing)”、及び“予防(prevention)”なる用語は、患者が特定の疾患若しくは障害に罹患し始める前に生じて、該疾患若しくは障害の重症度を抑制する又は軽減する作用を意味する。
【0017】
本明細書で用いる限り、そして特に指定しない限り、“管理する(manage)”、“管理すること(managing)”、及び“管理(management)”なる用語は、特定の疾患若しくは障害に既に罹患したことがある患者における該疾患若しくは障害の再発を予防すること、及び/又は該疾患若しくは障害に罹患している患者が緩解期に留まる時間を長くすることを包含する。これらの用語は、該疾患若しくは障害の閾値、発生及び/又は持続期間を調節すること、又は該疾患若しくは障害に応答する患者の状態(way)を変えることを包含する。
【0018】
本明細書で用いる限り、そして特に指定しない限り、化合物の“治療有効量(therapeutically effective amount)”及び“有効量(effective amount)”なる用語は、疾患の治療、予防及び/又は管理に治療的利益を与え、治療すべき疾患又は障害に関連した1つ以上の症状を遅らせる若しくは最小にするに足る量を意味する。“治療有効量”及び“有効量”なる用語は、治療法全体を改良する量、疾患若しくは障害の症状若しくは病因を軽減若しくは回避する量、又は別の治療剤の治療効力を増強する量を包含することができる。
【0019】
本明細書で用いる限り、そして特に指定しない限り、化合物の“予防的有効量(prophylactically effective amount)”なる用語は、疾患若しくは障害を予防する、又は疾患若しくは障害に関連した1つ以上の症状を予防する、又はその再発を予防するに足る量を意味する。“予防的有効量”なる用語は、予防全体を改良する又は別の予防剤の予防的効力を増強する量を包含することができる。
【0020】
“同時投与(co-administration)”及び“組み合わせ(in combination with)”なる用語は、2種類の治療剤を同時に、共に又は特定の時間的制限なしに連続的に投与することを包含する。1実施態様では、両方の薬剤が細胞中に若しくは患者の体内に同時に存在する又はそれらの生物学的若しくは治療的効果を同時に及ぼす。1実施態様では、2種類の治療剤が同じ組成物中に又は同じ単位投与形中に存在する。別の実施態様では、2種類の治療剤が別々の組成物中に又は別々の単位投与形中に存在する。
【0021】
治療方法
1実施態様では、本明細書において、エンドセリン拮抗薬を投与することによる拡張期心不全の治療方法を提供する。本明細書における方法に用いるためのエンドセリン拮抗薬は当該技術分野において知られており、エンドセリン拮抗薬には、非限定的に、ストレプトマイセス・ミサキエンシス(Streptomyces misakiensis)の発酵産物(環状ペンタペプチド、シクロ(D−Glu−L−Ala−アロ−D−Ile−L−Leu−D−Trp)であり、BE−18257Bと呼ばれる)と;BE−18257Bに関連した環状ペンタペプチド(例えば、シクロ(D−Asp−Pro−D−Val−Leu−D−Trp)(BQ−123)、Ishikawa et al.への米国特許No.5,114,918参照、さらにBanyu Pharmaceutical Co., Ltd.(Oct.7, 1991)へのEP A10436189も参照)が包含され;その他のペプチド性及び非ペプチド性ETA拮抗薬は、例えば、米国特許 Nos. 6,432,994; 6,683,103; 6,686,382; 6,248,767; 6,852,745; 5,783,705; 5,962,490; 5,594,021; 5,571821; 5,591,761; 5,514,691. 5,352,800, 5,334,598, 5,352,659, 5,248,807, 5,240,910, 5,198,548, 5,187,195, 5,082,838, 6,953,780, 6,946,481, 6,852,745, 6,835,741, 6,673,824, 6,670,367, 6,670,362, )において同定されている。これらには、他の環状ペンタペプチド、アシルトリペプチド、ヘキサペプチド類似体、或る一定のアントラキノン誘導体、インダンカルボン酸、或る一定のN−ピリミニルベンゼンスルホンアミド、或る一定のベンゼンスルホンアミド、及び或る一定のナフタレンスルホンアミドが包含される(Nakajima et al. (1991) J. Antibiot. 44:1348-1356; Miyata et al.(\992) J. Antibiot. 45:74-8; Ishikawa et al. (1992) J. Med. Chem. 35:2139-2142; U.S. Pat. No. 5,114,918 to Ishikawa et al; EP Al 0 569 193; EP Al 0 558 258; EP Al 0 436 189 to Banyu Pharmaceutical Co., LtD (Oct. 7, 1991);カナダ特許出願2,067,288;カナダ特許出願 2,071,193;米国特許No. 5,208,243;米国特許 No. 5,270,313;米国特許 No. 5,612,359;米国特許 No. 5,514,696;米国特許No. 5,378,715;Cody et al (1993) Med. Chem. Res. 3: 154-162;Miyata et al. (1992) J. Antibiot 45: 1041-1046;Miyata et al. (1992) J. A ntibiot 45: 1029- 1040;Fujimoto et al. (1992) FEBS Lett. 305:41-44;Oshashi et al. (1002) J. Antibiot 45:1684-1685; EP Al 0 496 452; Clozel et al. (1993) Nature 365:759-761;国際特許出願WO93/08799;Nishikibe et al. (1993) Life Sci. 52:717-724;及びBenigni et al. (1993) Kidney Int. 44:440-444)。エンドセリン・ペプチド拮抗薬である、非常に多くのスルホンアミドが、米国特許Nos. 5,464,853、 5,594,021、5,591,761、5,571,821、5,514,691、5,464,853, 国際PCT出願No.96/31492 、及び国際 PCT 出願No. WO 97/27979にも記載されている。
【0022】
下記資料(それらの全体で本明細書に援用される)に記載された、他のエンドセリン拮抗薬:米国特許No. 5,420,123;米国特許No. 5,965,732;米国特許No. 6,080,774;米国特許No. 5,780,473;米国特許No. 5,543,521;WO 96/06095;WO 95/08550;WO 95/26716;WO 96/11914;WO 95/26360;EP 601386;EP 633259;米国特許No. 5,292,740;EP 510526; EP 526708;WO 93/25580;WO 93/23404;WO 96/04905;WO 94/21259;GB 2276383;WO 95/03044;EP 617001;WO 95/03295;GB 2275926;WO 95/08989;GB 2266890;EP 496452;WO 94/21590;WO 94/21259;GB 2277446;WO 95/13262;WO 96/12706;WO 94/24084;WO 94/25013;米国特許No. 5,571,821;WO 95/04534;WO 95/04530;WO 94/02474;WO 94/14434;WO 96/07653;WO 93/08799;WO 95/05376;WO 95/12611;DE 4341663;WO 95/15963;WO 95/15944;EP 658548;EP 555537;WO 95/05374;WO 95/05372;米国特許No. 5,389,620;EP 628569;JP 6256261;WO 94/03483;EP 552417;WO 93/21219;EP 436189;WO 96/11927;JP 6122625;JP 7330622;WO 96/23773;WO 96/33170;WO 96/15109;WO 96/33190;米国特許No. 5,541,186;WO 96/19459; WO 96/19455; EP 713875; WO 95/26360;WO 96/20177;JP 7133254;WO 96/08486;WO 96/09818;WO 96/08487; WO 96/04905; EP 733626;WO 96/22978; WO 96/08483; JP 8059635;JP 7316188;WO 95/33748;WO 96/30358;米国特許No. 5,559,105;WO 95/35107;JP 7258098;米国特許No. 5,482,960; EP 682016;GB 2295616;WO 95/26957;WO 95/33752;EP 743307;及びWO 96/31492; 例えば以下に挙げる資料に記載された化合物:BQ-123 (Ihara, M., et al., "Biological Profiles of Highly Potent Novel Endothelin Antagonists Selective for the ETA Receptor", Life Sciences, Vol. 50(4), pp. 247-255 (1992));PD 156707 (Reynolds, E., et al, "Pharmacological Characterization of PD 156707, an Orally Active ETA Receptor Antagonist", The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, Vol. 273(3), pp. 1410-1417 (1995)); L-754,142 (Williams, D. L., et al., "Pharmacology of L-754,142, a Highly Potent, Orally Active, Nonpeptidyl Endothelin Antagonist", The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, Vol. 275(3), pp. 1518-1526 (1995));SB 209670 (Ohlstein, E. H., et al., "SB 209670, a rationally designed potent nonpeptide endothelin receptor antagonist", Proc. Natl. Acad. ScL USA, Vol. 91, pp. 8052-8056 (1994));SB 217242 (Ohlstein, E. H., et al, "Nonpeptide Endothelin Receptor Antagonists. VI:Pharmacological Characterization of SB 217242, A Potent and Highly Bioavailable Endothelin Receptor Antagonist", The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, Vol. 276(2), pp. 609-615 (1996));A- 127722 (Opgenorth, T. J., et ah, "Pharmacological Characterization of A-127722: An Orally Active and Highly Potent E.sub.TA -Selective Receptor Antagonist", The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, Vol. 276(2), pp.473-481 (1996));TAK-044 (Masuda, Y., et al, "Receptor Binding and Antagonist Properties of a Novel Endothelin Receptor Antagonist, TAK-044 {Cyclo [D-[alpha]-Aspartyl-3-[(4-Phenylpiperazin-l-yl)Carbonyl]-L- Alanyl-L- [alpha] -Aspartyl-D-2-(2-Thienyl)Glycyl-L-Leucyl-D-Tryptophyl]Disodium Salt}, in Human EndothelinA and Endothelin[beta] Receptors", The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, Vol. 279(2), pp. 675-685 (1996));ボセンタン (Ro 47-0203, Clozel, M.. et ah, "Pharmacological Characterization of Bosentan, A New Potent Orally Active Nonpeptide Endothelin Receptor Antagonist", The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, Vol. 270(1), pp. 228-235 (1994)).が、本明細書で提供する方法に用いるために考えられる化合物の典型的なものである。
【0023】
或る一定の実施態様では、本明細書で提供する方法に用いるためのエンドセリン拮抗薬は、BE-18257B;BQ-123;PD 156707;L-754,142;T-0201;K-8794;PD-156123;PD-156707;PD-160874;PD-180988;S-0139;ZD-1611;BMS- 193884;SB 209670;SB 217242;A-127722;TAK-044;テゾセンタン;ボセンタン;エンラセンタン;シタクスセンタン及びその製薬的に受容される誘導体から選択される。1実施態様では、本明細書において、シタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩を投与することによる、拡張期心不全の1つ以上の症状の治療方法又は改善方法を提供する。シタクスセンタンの化学名は、N−(4−クロロ−3−メチル−5−イソオキサゾリル)−2−[2−メチル−4,5−(メチレンジオキシ)フェニルアセチル]−チオフェン−3−スルホンアミドであり、その構造式は下記のとおりである:
【0024】
【化1】

【0025】
或る一定の実施態様では、本明細書で提供する方法に用いるための化合物は、シタクスセンタンのアルカリ金属塩である。1実施態様では、該化合物はシタクスセンタン・ナトリウムである。
【0026】
【化2】

【0027】
シタクスセンタン・ナトリウムは、強力なエンドセリン受容体拮抗薬であり、幾つかの種における経口バイオアベイラビリティ、長い作用持続期間、及びETA受容体に対する高度な特異性を有する。
【0028】
或る一定の実施態様では、心不全の徴候及び症状は、非限定的に、息切れ(呼吸困難とも呼ばれる)、持続性咳若しくは喘鳴、体組織中の過剰流体の蓄積(浮腫)、疲労感、倦怠感、食欲減退、吐き気、意識混濁、運動耐性低下、思考障害、又は心拍数増加を包含する。或る一定の実施態様では、拡張期心不全は運動耐性低下を特徴とする。
【0029】
或る一定の実施態様では、本明細書で提供する方法はさらに、他の治療剤を投与することを包含する。このような薬剤は、他のエンドセリン拮抗薬(当該技術分野で知られている、上記に挙げたもの)、ループ利尿薬、例えば、Bumex(登録商標)(ブメタニド)、Lasix(登録商標)(フロセミド)、Demadex(登録商標)(トルセミド);チアジド系利尿薬、例えば、Hygroton(登録商標)(クロルタリドン)、 Hydrodiuril(登録商標)、Esidrix(登録商標)(HCTZ、ヒドロクロロチアジド)、Amiloride、Aldactone(登録商標)(スピロノラクトン);長時間作用性ニトレート、例えば、Isordil(登録商標)、Sorbitrate(登録商標)(イソソルビド・ジニトレート)、Imdur(登録商標)(イソソルビド・モノニトレート);β遮断薬、例えば、フマル酸ビソプロロール、プロプラノロール、アテノロール、ラベタロール、ソタロール、カルベジロール;カルシウム・チャンネル遮断薬、例えば、Norvasc(登録商標)(アムロジピン)、Cardizem(登録商標)(ジルチアゼム)、Isoptin(登録商標)(ベラパミル)、Procardia(登録商標)(ニフェジピン); 腎動脈狭窄症(RAS)抑制剤及びアンギオテンシン転換酵素(ACE) 阻害剤、例えば、カプトプリル、ホシノプリル、ベナゼプリル、エナラプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、スピラプリル、トランドラプリル;アンギオテンシン受容体遮断薬 (ARBs)、例えば、ロサルタン、バルサルタン、イルベサルタン、テルメサルタン及びアルドステロン拮抗薬を、非限定的に、包含する。
【0030】
或る一定の実施態様では、シタクスセンタン・ナトリウムを約20mg/日から約300mg/日まで又は約50mg/日から約300mg/日までの範囲の量で投与する。1実施態様では、シタクスセンタン・ナトリウムの投与量は、1日当たり約25mg、50mg、60mg、約70mg、75mg、約80mg、90mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg又は約300mgである。1実施態様では、シタクスセンタン・ナトリウムの投与量は、1日当たり50mg、約90mg、約100mg又は約150mgである。1実施態様では、シタクスセンタン・ナトリウムの投与量は、1日当たり約100mgである。
【0031】
製造方法
シタクスセンタンとそのナトリウム塩は、当該技術分野で知られた方法で製造することができる。典型的な製造方法は実施例1に記載する(さらに、米国特許Nos. 5,783,705、5,962,490及び6,248,767も参照のこと)。
【0032】
医薬組成物と投与形
本明細書で提供する方法に用いるための医薬組成物と投与形はシタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩を、製薬的に受容されるキャリヤー中に、本明細書で提供する方法に有用である量で含有する。このような方法は、拡張期心不全の治療法を包含する。
【0033】
本発明に用いるためのシタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩は適当な薬剤製剤に処方され、例えば、経口投与のためには溶液、懸濁液、錠剤、分散性錠剤、ピル、カプセル剤、散剤、持続放出性製剤若しくはエリキシル剤に処方され、非経口投与のためには無菌の溶液若しくは懸濁液中に、並びに経皮パッチ製剤及び乾燥粉末吸入器中に処方される。これらの製剤は、当該技術分野で周知の手法及び手段を用いて製造される(例えば、Ansel Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms, Seventh Edition 1999を参照のこと)。
【0034】
組成物では、 シタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩の有効濃度が適当な製薬的キャリヤー又はビヒクル(vehicle)と混合される。組成物中のシタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩の濃度は、投与したときに、拡張期心不全の1つ以上の症状を治療し、予防し、又は改善する量をデリバリーするために有効な濃度である。
【0035】
1実施態様では、単回投与量又は多回投与量の投与のために組成物を処方する。組成物を処方するためには、シタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩の重量割合(weight fraction)を、選択したビヒクル中に、治療される状態が緩解又は改善されるような有効濃度で溶解、懸濁、分散させる又は他のやり方で混合する。本明細書で提供するコンジュゲートの投与のために適当な製薬的キャリヤー又はビヒクルは、特定の投与形式のために適当であると、当業者に知られているような、如何なるキャリヤーも包含する。
【0036】
さらに、シタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩は、該組成物中の唯一の製薬的有効成分として処方することができる、或いは他の有効成分と組み合わせることができる。組織標的化リポソームを含むリポソーム懸濁液も、製薬的に受容されるキャリヤーとして適切である可能性がある。これらは当業者に知られた方法によって調製することができる。例えば、リポソーム製剤は、米国特許Nos.4,522,811;5,571,534に記載されているように調製することができる。簡単には、例えば多層状小嚢(multillamellar vesicles)(MLV‘s)のようなリポソームは、フラスコの内側で卵ホスファチジルコリンと脳ホスファチジルセリン(7:3モル比)を乾燥させることによって形成することができる。二価カチオンを有さないリン酸塩緩衝化生理的食塩水(PBS)中の本明細書で提供するコンジュゲートの溶液を加えて、脂質フィルムが分散するまでフラスコを振とうする。得られた小嚢を洗浄して、封入されない化合物を除去して、遠心分離によってペレット化し、次にPBS中に再懸濁する。
【0037】
シタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩は、製薬的に受容されるキャリヤー中に、治療される患者において所望の効果を発揮するのに足る量で含める。該治療的有効濃度は、当業者に知られたin vitro及びin vivo系でシタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩を試験して、次にヒトに対する投与量に関してそれから補外することによって実験に基づいて決定することができる。
【0038】
医薬組成物中のシタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩の濃度は、シタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩の吸収速度、不活性化速度及び排出速度、投与スケジュールと投与量、並びに当業者に知られた他の要因に依存するであろう。本明細書で提供する投与形の組成、形状及び種類は、該投与形の使用に依存して変化するであろう。例えば、疾患の急性治療に用いる投与形は、同じ疾患の慢性治療に用いる投与形よりも、それが含有する1種類以上の有効成分のより多量を含有する可能性がある。同様に、非経口投与形は、同じ疾患の経口治療に用いる投与形よりも、それが含有する1種類以上の有効成分のより少量を含有する可能性がある。本明細書で提供する特定の投与形が相互から異なる、これら及びその他の点(these and other ways)は、当業者に容易に明らかであろう。例えば、Remington 's Pharmaceutical Sciences, 20th ed., Mack Publishing, Easton PA (2000)を参照のこと。
【0039】
或る一定の実施態様では、該治療有効な投与量は、約0.1ng/ml〜約50〜100μg/mlの血清濃度を生じる。医薬的投与単位形は、単位投与形当たり必須有効成分又は必須成分組み合わせ約20mg〜約300mg及び約25mg〜約200mg、又は約25mgから約100mgまでを供給するように製造される。
【0040】
有効成分は一度に投与することができる、又は幾つかの小投与量に分割して、時間間隔を置いて投与することができる。正確な投与量と治療持続期間が治療される疾患の関数であり、既知試験プロトコールの使用によって又はin vitro若しくはin vivo試験データから補外によって実験に基づいて決定することができる。濃度と投与量値も緩和すべき状態の重症度によって変化しうることに注目すべきである。さらに、如何なる特定の対象に対しても、特定の投与計画を個々の必要性及び組成物を投与する又は組成物の投与を管理する人物の専門的な判定に応じて長期間にわたって調整すべきであること、並びに本明細書に記載する濃度範囲が例示に過ぎず、本明細書で提供する組成物の範囲又は実施を制限するように意図されないことを理解すべきである。
【0041】
したがって、シタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩の有効濃度又は有効量を、全身投与、局所投与又は局部投与のために適当な製薬的キャリヤー若しくはビヒクルと混合して、医薬組成物を形成する。シタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩を拡張期心不全を治療又は予防するために効果的な量で含める。
【0042】
該組成物は、経口、非経口、直腸、局所及び局部経路を含めた、適当な経路で投与されるように意図される。シタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩は、例えば、錠剤、カプセル剤、ピル、散剤、顆粒、無菌非経口溶液若しくは懸濁液、及び経口溶液若しくは懸濁液、及び適当量の有効成分を含有する油−水エマルジョンのような単位投与形、又は多回投与形で処方され、投与される。本明細書で用いる限り単位投与形は、当該技術分野で知られているように、ヒト及び動物対象に適した、個別にパッケージされた物理的個別単位を意味する。各単位投与量は、所望の治療効果を生じるに足る、治療有効なコンジュゲートの所定量を、必要な製薬的キャリヤー、ビヒクル又は希釈剤と共に含有する。単位投与形の例はアンプルと注射器、及び個別にパッケージされた錠剤又はカプセル剤を包含する。単位投与形は、その画分として(in fractions)又はその複数個で投与することができる。多回投与形は、別々の単位投与形として投与されるのと同じ単位投与形の複数個を単一容器内にパッケージしたものである。多回投与形の例はバイアル、又は複数個の錠剤若しくはカプセル剤入りのボトル、又は数パイント若しくは数ガロン入りのボトルを包含する。したがって、多回投与形は、パッケージされていて、分離していない、多数個の単位投与形である。
【0043】
本明細書で提供するラクトース・フリー組成物(lactose-free composition)は、当該技術分野で周知であって、例えば、U.S. Pharmacopeia (USP) 25-NF20 (2002)に列挙されている賦形剤を含有することができる。一般に、ラクトース・フリー組成物は、有効成分、結合剤/充填剤、及び滑沢剤(lubricant)を製薬的に適合する、そして製薬的に受容される量で含有する。特定のラクトース・フリー投与形は、有効成分、微結晶性セルロース、プレゼラチン化澱粉、及びステアリン酸マグネシウムを含有する。
【0044】
さらに、水分は幾つかの化合物の分解を促進する可能性があるので、有効成分を含む、無水の医薬組成物と投与形を提供する。例えば、長期間にわたる製剤の保管期間若しくは安定性のような特性を決定するために、長期間保存をシュミレートする手段として、水の添加(例えば、5%)が製薬技術分野で広く受け入れられている。例えば、Jens T. Carstensen, Drug Stability: Principles & Practice, 2d. Ed., Marcel Dekker, NY, NY, 1995, pp. 379-80を参照のこと。実際に、水分と熱は、幾つかの化合物の分解を促進する。したがって、製剤に及ぼす水分の影響は、水分及び/又は湿度は一般に、製剤の製造、取り扱い、パッケージング、貯蔵、輸送及び使用中に遭遇されるので、非常に重要でありうる。
【0045】
本明細書で提供する、無水の医薬組成物と投与形は、無水の若しくは低水分含有の成分と、低水分若しくは低湿度条件を用いて製造することができる。
【0046】
無水の医薬組成物は製造してから、その無水性質が維持されるように保存すべきである。したがって、無水組成物は、適当な処方キット(formulary kit)に含めることができるような、水分への暴露を防止すると知られている物質を用いて、一般にパッケージされる。適当なパッケージングの例は、非限定的に、密封ホイル、プラスチック、単位投与量容器(例えば、バイアル)、ブリスター・パック及びストリップ・パックを包含する。
a.経口投与用組成物
経口薬剤投与形(oral pharmaceutical dosage forms)は、固体、ゲル又は液体のいずれかである。固体投与形は、錠剤、カプセル剤、顆粒及び原末(bulk powder)である。経口錠剤の種類には、圧縮成形されたチュワブル菱形剤と錠剤があり、これらは腸溶性被覆される、糖衣被覆される又はフィルム被覆されることができる。カプセル剤は、硬質若しくは軟質ゼラチンカプセル剤であることができ、他方では、顆粒と散剤は、当業者に知られた他の成分と組み合わせて、非発泡形又は発泡形で提供することができる。このような投与形は所定量の有効成分を含有し、当業者に周知の製薬方法によって製造することができる。一般的には、Remington 's Pharmaceutical Sciences, 20th ed., Mack Publishing, Easton PA (2000)を参照のこと。
【0047】
或る一定の実施態様では、該製剤は固体投与形(例えば、カプセル剤又は錠剤)である。錠剤、ピル、カプセル剤、トローチ剤等は、下記成分又は同様な性質のコンジュゲート:結合剤;充填剤、希釈剤;崩壊剤;滑沢剤;グライダント;甘味剤;及びフレーバー剤(flavoring agent);のいずれかを含有することができる。本明細書で提供する経口投与形に用いることができる賦形剤の例は、非限定的に、結合剤、充填剤、崩壊剤及び滑沢剤を包含する。医薬組成物及び医薬投与形への使用に適した結合剤は、非限定的に、コーンスターチ、ジャガイモ澱粉若しくはその他の澱粉、ゼラチン、天然ゴムと合成ゴム(例えば、アラビアゴム)、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、その他のアルギン酸塩(alginates)、粉末トラガカント、グアールガム、セルロースとその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロース・カルシウム、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、プレゼラチン化澱粉、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、Nos.2208、2906、2910)、微結晶性セルロース、及びこれらの混合物を包含する。
【0048】
適当な形態の微結晶性セルロースは、非限定的に、例えば、AVICEL-PH-101、 AVICEL-PH- 103、AVICEL RC-581、AVICEL-PH- 105 (FMC Corporation, American Viscose Division, Avicel Sales, Marcus Hook, PAから入手可能)、及びこれらの混合物のような物質を包含する。特定の結合剤は、AVICEL RC-581として販売されている、微結晶性セルロースとカルボキシメチルセルロース・ナトリウムとの混合物である。適当な無水若しくは低水分の賦形剤又は添加剤には、AVICEL-PH- 103とStarch 1500 LMが包含される。
【0049】
本明細書で開示する医薬組成物及び医薬投与形への使用に適した充填剤の例は、非限定的に、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒又は粉末)、微結晶性セルロース、粉末セルロース、デキストレート(dextrates)、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、澱粉、プレゼラチン化澱粉、及びこれらの混合物を包含する。本明細書の医薬組成物中の結合剤又は充填剤は、該医薬組成物又は投与形の約50〜約99重量%で存在する。
【0050】
水性環境に暴露されたときに崩壊する錠剤を提供するために、本明細書で提供する組成物には崩壊剤を用いる。多すぎる崩壊剤を含有する錠剤は、貯蔵中に崩壊する可能性があり、他方では、少なすぎる崩壊剤を含有する錠剤は所望の速度で又は所望の条件下で崩壊しない可能性がある。したがって、本明細書で提供する、固体の経口投与形を形成するには、有効成分の放出を不利に変化させないように多すぎず、少なすぎない、充分な量の崩壊剤を用いるべきである。崩壊剤の使用量は、製剤の種類に基づいて変化し、当業者には容易に判断可能である。典型的な医薬組成物は、約0.5〜約15重量%の崩壊剤、又は約1〜約5重量%の崩壊剤を含有する。
【0051】
本明細書で提供する医薬組成物及び投与形に使用可能である崩壊剤は、非限定的に、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、クロスカルメロース・ナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリン・カリウム、澱粉グリコール酸ナトリウム、ジャガイモ澱粉若しくはタピオカ澱粉、その他の澱粉、プレゼラチン化澱粉、その他の澱粉、粘土、その他のアルギン、その他のセルロース、ガム、及びこれらの混合物を包含する。
【0052】
本明細書で提供する医薬組成物及び投与形に使用可能である滑沢剤は、非限定的に、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽質鉱油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、その他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素化植物油(例えば、落花生油、綿実油、ヒマワリ油、胡麻油、オリーブ油、コーンオイル及び大豆油)、ステアリン酸亜鉛、エチル・オレエート、エチル・ラウレート、寒天及びこれらの混合物を包含する。追加の滑沢剤は、例えば、Syloidシリカゲル(AEROSIL(登録商標)200、W.R. Grace Co. of Baltimore, MDによって製造)、合成シリカの凝集エーロゾル(Degussa Co., Piano, TXによって市販)、CAB-O-SIL ( Cabot Co., Boston, MAによって販売される発熱性二酸化ケイ素製品)、及びこれらの混合物を包含する。滑沢剤は、多少なりとも用いる場合には、滑沢剤を組み込む医薬組成物若しくは投与形の約1重量%未満の量で用いられる。
【0053】
経口投与が望ましい場合には、シタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩は、腸溶性被覆錠剤、糖衣錠剤、フィルム被覆錠剤又は多重圧縮錠剤として製剤化される組成物中で供給することができる。腸溶性被覆錠剤は有効成分を胃の酸性環境から保護する。糖衣錠剤は、製薬的に受容される物質の異なる層(different layers)が加えられている圧縮錠剤である。フィルム被覆錠剤は、ポリマーコーティング又は他の適当なコーティングで塗装されている圧縮錠剤である。多重圧縮錠剤は、前述した製薬的に受容される物質を用いて2回以上の圧縮サイクルによって作製される圧縮錠剤である。上記投与形に着色剤も使用可能である。圧縮錠剤、糖衣錠剤、多重圧縮錠剤及びチュワブル錠剤にフレーバー剤と甘味剤も用いられる。フレーバー剤と甘味剤は、チュワブル錠剤とチュワブル菱形剤の形成に特に有用である。該組成物は制酸剤又は他のこのような成分と組み合わせて製剤化することもできる。
【0054】
該投与単位形がカプセル剤である場合には、該投与単位形は上記種類の物質の他に、例えば脂肪油のような液体キャリヤーを含有することができる。ゼラチンカプセル剤では、例えばプロピレン・カーボネート、植物油又はトリグリセリド中にシタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩を含有する溶液又は懸濁液を該カプセル中に封入することができる。このような溶液と、その製造及びカプセル封入は、米国特許Nos. 4,328,245; 4,409,239;及び4,410,545に開示されている。
【0055】
上記成分を、その所望の作用を損なわない他の活性物質と、又は該.所望の作用を補助するような物質(例えば、制酸剤、H2遮断薬及び利尿薬)と混合することも可能である。約98重量%までの高濃度の有効成分を含めることができる。
【0056】
液体経口投与形は、水溶液、エマルジョン、懸濁液、非発泡性顆粒から再構成した溶液及び/又は懸濁液、並びに発泡性顆粒から再構成した発泡性製剤を包含する。水溶液は、例えば、エリキシル剤とシロップ剤を包含する。エリキシル剤は、透明で、甘味のある水性アルコール製剤である。エリキシル剤に用いる、製薬的に受容されるキャリヤーは溶媒を包含する。シロップ剤は、砂糖(例えば、スクロース)の濃縮水溶液であり、保存剤を含有することができる。
【0057】
エマルジョンは二相系であり、この二相系では一方の液体が他方の液体の全体にわたって小球の形態で分散している。エマルジョンに用いる、製薬的に受容されるキャリヤーは、非水性液体、乳化剤及び保存剤である。懸濁液は、製薬的に受容される懸濁化剤と保存剤を用いる。液体経口投与形に再構成される予定の非発泡性顆粒に用いる、製薬的に受容される物質は、希釈剤、甘味剤及び湿潤剤を包含する。液体経口投与形に再構成される予定の発泡性顆粒に用いる、製薬的に受容される物質は、有機酸と二酸化炭素発生源(source of carbon dioxide)を包含する。着色剤とフレーバー剤は、上記投与形の全てに用いられる。
【0058】
溶媒には、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコール及びシロップが包含される。保存剤の例は、グリセリン、メチルパラベンとプロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム、及びアルコールを包含する。エマルジョンに用いる非水性液体の例は、鉱油と綿実油を包含する。乳化剤の例は、ゼラチン、アラビアゴム、トラガカント、ベントナイト、及び界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレン・ソルビタン・モノオレエート)を包含する。懸濁化剤には、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、ペクチン、トラガカント、Veegum及びアラビアゴムが包含される。
【0059】
希釈剤には、ラクトースとスクロースが包含される。甘味剤には、スクロース、シロップ、グリセリン、及び例えばサッカリンのような人工甘味剤が包含される。湿潤剤には、プロピレングリコール・モノステアレート、ソルビタン・モノオレエート、ジエチレングリコール・モノラウレ−ト、及びポリオキシエチレン・ラウリルエーテルが包含される。有機酸には、クエン酸と酒石酸が包含される。二酸化炭素の発生源には、炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムが包含される。着色剤には、認可された公認水溶性のFD染料及びC染料と、これらの混合物が包含される。フレーバー剤には、植物(例えば、果物)から抽出された天然フレーバーと、好ましい味覚を生じる化合物の合成ブレンドが包含される。
【0060】
ミセル形で有効成分を含有する医薬組成物は、米国特許No.6,350,458に記載されているように調製することができる。このような医薬組成物は、経口、鼻腔及び口腔内用途に特に有効である。
【0061】
或る一定の実施態様では、製剤は、シタクスセンタン若しくはその製薬的に受容される塩、ジアルキル化モノ−若しくはポリ−アルキレングリコール[非限定的に、1,2−ジメトキシメタン、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、ポリエチレングリコール−350−ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール−550−ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール−750−ジメチルエーテル(この場合、350、550及び750はポリエチレングリコールのおおよその分子量を意味する)を包含する]、及び1種類以上のアンチオキシダント[例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、プロピル・ガレート、ビタミンE、ヒドロキノン、ヒドロキシクマリン、エタノールアミン、レシチン、セファリン、アスコルビン酸、リンゴ酸、ソルビトール、リン酸、チオジプロピオン酸とそのエステル、及びジチオカルバメート]を含有する製剤を包含するが、これらに限定される訳ではない。
【0062】
他の製剤には、非限定的に、製薬的に受容されるアセタールを包含する水性アルコール溶液が包含される。これらの製剤に用いられるアルコールは、1つ以上のヒドロキシル基を有する製薬的に受容される、任意の水混和性溶媒(非限定的に、プロピレングリコールとエタノールを包含する)である。アセタールは、非限定的に、低級アルキルアルデヒドのジ(低級アルキル)アセタール(例えば、アセトアルデヒド・ジエチルアセタール)を包含する。
【0063】
或る一定の実施態様では、シタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩を、有効成分約50mg、約75mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mgを含有する経口錠剤として製剤化する。カプセル剤は、例えば、ポリエチレングリコール400、ポリソルベート20、ポビドン、及びブチル化ヒドロキシアニソールのような、不活性成分を含有することができる。カプセル・シェルは、ゼラチン、ソルビトール特定グリセリン・ブレンド及び二酸化チタンを含有することができる。
【0064】
典型的な経口錠剤製剤
或る一定の実施態様では、本明細書で提供する方法は、シタクスセンタン・ナトリウムを含有する経口錠剤の投与を必要とする。1実施態様では、該経口錠剤はさらに、緩衝剤を含有する。1実施態様では、該経口錠剤はさらに、アンチオキシダントを含有する。1実施態様では、該経口錠剤はさらに、防湿性被膜(moisture barrier coating)を含有する。
【0065】
幾つかの実施態様では、錠剤は賦形剤[非限定的に、アンチオキシダント、例えば、アスコルビン酸ナトリウム、グリシン、メタ亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビル・パルミテート、エデト酸二ナトリウム(EDTA)若しくはこれらの組み合わせ;結合剤、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース;希釈剤、例えば、ラクトース一水和物(ラクトース一水和物ファストフロ(fast flo)(顆粒内)とラクトース一水和物ファストフロ(顆粒外)及び微結晶性セルロースを包含する);及び緩衝剤、例えばリン酸塩緩衝剤を包含する]を含有する。該錠剤はさらに、滑沢剤、崩壊剤及びバルキング剤(bulking agent)から選択される1種類以上の賦形剤を含有することができる。
【0066】
或る一定の実施態様では、経口錠剤中のシタクスセンタン・ナトリウムの量は、該組成物の総重量の約5%〜約40%である。或る一定の実施態様では、シタクスセンタン・ナトリウムの量は、該組成物の総重量の約7%〜約35%、10%〜約30%、12%〜約32%、15%〜約30%、17%〜約27%、15%〜約25%である。或る一定の実施態様では、シタクスセンタン・ナトリウムの量は、該組成物の総重量の約5%、7%、9%、10%、12%、15%、17%、20%、22%、25%、27%、30%、35%又は40%である。或る一定の実施態様では、シタクスセンタン・ナトリウムの量は約20%である。
【0067】
或る一定の実施態様では、経口錠剤は、シタクスセンタン・ナトリウム約10mg、20mg、25mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、280mg、300mg又は350mgを含有する。
【0068】
或る一定の実施態様では、該錠剤は、2種類のアンチオキシダント(例えば、アスコルビル・パルミテートとEDTA二ナトリウム)の組み合わせを含有する。或る一定の実施態様では、製剤中のアスコルビル・パルミテートの量は、錠剤の総重量の約0.05%〜約3%の範囲内である。他の実施態様では、アスコルビル・パルミテートの量は、錠剤の総重量の約0.07%〜約1.5%、0.1%〜約1%、0.15%〜約0.5%の範囲内である。或る一定の実施態様では、製剤中のアスコルビル・パルミテートの量は、約0.05%、0.07%、0.09%、0.1%、0.12%、0.15%、0.17%、0.18%、0.2%、0.23%、0.25%、0.27%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、0.5%、0.7%又は1%である。或る一定の実施態様では、製剤中のアスコルビル・パルミテートの量は、錠剤の総重量の約0.2%である。
【0069】
或る一定の実施態様では、経口錠剤中のアスコルビル・パルミテートの量は、約0.1mg〜約5mg、約0.5mg〜約4mg、約0.7mg〜約3mg又は約1mg〜約2mgである。或る一定の実施態様では、経口錠剤中のアスコルビル・パルミテートの量は、約0.1mg、0.5mg、0.7mg、1mg、1.3mg、1.5mg、1.7mg、2mg、2.5mg又は約3mgである。或る一定の実施態様では、製剤中のアスコルビル・パルミテートの量は約1mgである。
【0070】
或る一定の実施態様では、製剤中のEDTA二ナトリウムの量は、錠剤の総重量の約0.05〜約3重量%の範囲内である。他の実施態様では、EDTA二ナトリウムの量は、錠剤の総重量の約0.07%〜約1.5%、0.1%〜約1%、0.15%〜約0.5%の範囲内である。或る一定の実施態様では、製剤中のEDTA二ナトリウムの量は、約0.05%、0.07%、0.09%、0.1%、0.12%、0.15%、0.17%、0.18%、0.2%、0.23%、0.25%、0.27%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、0.5%、0.7%又は1%である。或る一定の実施態様では、製剤中のEDTA二ナトリウムの量は、錠剤の総重量の約0.2%である。
【0071】
或る一定の実施態様では、経口錠剤中のEDTA二ナトリウムの量は、約0.1mg〜約5mg、約0.5mg〜約4mg、約0.7mg〜約3mg又は約1mg〜約2mgである。或る一定の実施態様では、経口錠剤中のEDTA二ナトリウムの量は、約0.1mg、0.5mg、0.7mg、1mg、1.3mg、1.5mg、1.7mg、2mg、2.5mg又は約3mgである。或る一定の実施態様では、経口錠剤中のEDTA二ナトリウムの量は、約1mgである。
【0072】
或る一定の実施態様では、該錠剤は、例えば、微結晶性セルロース(AVICEL PH102)、ラクトース一水和物ファストフロ(顆粒内)とラクトース一水和物ファストフロ(顆粒外)のような、希釈剤の組み合わせを含有する。或る一定の実施態様では、経口錠剤中のラクトース一水和物ファストフロ(顆粒内)の量は、組成物の総重量の約5%〜約30%である。或る一定の実施態様では、ラクトース一水和物ファストフロ(顆粒内)の量は、錠剤の総重量の約7%〜約25%、約10%〜約20%、約13%〜約20%である。或る一定の実施態様では、ラクトース一水和物ファストフロ(顆粒内)の量は、錠剤の総重量の約5%、7%、10%、13%、14%、15%、15.5%、16%、16.1%、16.2%、16.3%、16.4%、16.5%、16.6%、16.7%、16.8%、16.9%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、20%、25%又は30%である。或る一定の実施態様では、ラクトース一水和物ファストフロ(顆粒内)の量は、錠剤の総重量の約16.9%である。
【0073】
或る一定の実施態様では、ラクトース一水和物ファストフロ(顆粒内)の量は、約40mg〜約100mg、約45mg〜約95mg、約50mg〜約90mgである。或る一定の実施態様では、ラクトース一水和物ファストフロ(顆粒内)の量は、約40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、81mg、82mg、83mg、83.5mg、84mg、84.1mg、84.2mg、84.3mg、84.4mg、84.5mg、84.6mg、84.7mg、85mg、85.5mg、90mg、90.5mg又は100mgである。或る一定の実施態様では、ラクトース一水和物ファストフロ(顆粒内)の量は、約84.3mgである。
【0074】
或る一定の実施態様では、ラクトース一水和物ファストフロ(顆粒外)の量は、錠剤の総重量の約7%〜約25%、約10%〜約20%、約13%〜約20%である。或る一定の実施態様では、ラクトース一水和物ファストフロ(顆粒外)の量は、錠剤の総重量の約5%、7%、10%、13%、14%、15%、15.5%、16%、16.1%、16.2%、16.3%、16.4%、16.5%、16.6%、16.7%、16.8%、16.9%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、20%、25%又は30%である。或る一定の実施態様では、ラクトース一水和物ファストフロ(顆粒外)の量は、錠剤の総重量の約16.4%である。或る一定の実施態様では、経口錠剤中のラクトース一水和物ファストフロ(顆粒外)の量は、約40mg〜約100mg、約45mg〜約95mg、約50mg〜約90mgである。或る一定の実施態様では、ラクトース一水和物ファストフロ(顆粒外)の量は、約40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、81mg、81.3mg、81.5mg、81.8mg、82mg、82.3mg、82.5mg、82.7mg、83mg、83.5mg、84mg、85mg、85.5mg、90mg、90.5mg又は100mgである。或る一定の実施態様では、ラクトース一水和物ファストフロ(顆粒内)の量は、約82mgである。
【0075】
或る一定の実施態様では、経口錠剤中の微結晶性セルロース(Avicel PH102)の量は、組成物の総重量の約10%〜約50%である。或る一定の実施態様では、微結晶性セルロース(Avicel PH102)の量は、錠剤の総重量の約15%〜約45%、約20%〜約43%、約25%〜約40%である。或る一定の実施態様では、微結晶性セルロース(Avicel PH102)の量は、錠剤の総重量の約15%、17%、20%、23%、25%、27%、30%、32%、34%、35%、37%、40%、42%、45%又は50%である。或る一定の実施態様では、微結晶性セルロース(Avicel PH102)の量は、錠剤の総重量の約35%である。
【0076】
或る一定の実施態様では、経口錠剤中の微結晶性セルロース(Avicel PH102)の量は、約130mg〜約300mgである。或る一定の実施態様では、微結晶性セルロース(Avicel PH102)の量は、約140mg〜約275mg又は約150mg〜約250mgである。或る一定の実施態様では、微結晶性セルロース(Avicel PH102)の量は、約150mg、160mg、165mg、170mg、175mg、180mg、185mg、190mg又は200mgである。或る一定の実施態様では、経口錠剤中の微結晶性セルロース(Avicel PH102)の量は、約175mgである。
【0077】
或る一定の実施態様では、結合剤はヒドロキシプロピルメチルセルロース(E−5P)である。或る一定の実施態様では、錠剤中のヒドロキシプロピルメチルセルロース(E−5P)の量は、組成物の総重量の約0.5%〜約20%である。或る一定の実施態様では、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(E−5P)の量は、錠剤の総重量の約1%〜約15%、約2%〜約10%、約3%〜約8%である。或る一定の実施態様では、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(E−5P)の量は、錠剤の総重量の約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%又は10%である。或る一定の実施態様では、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(E−5P)の量は、錠剤の総重量の約5%である。
【0078】
或る一定の実施態様では、錠剤中のヒドロキシプロピルメチルセルロース(E−5P)の量は、約5mg〜約50mg、約10mg〜約40mg又は約15mg〜約30mgである。或る一定の実施態様では、錠剤中のヒドロキシプロピルメチルセルロース(E−5P)の量は、約10mg、15mg、20mg、22mg、25mg、27mg、30mg、35mg又は約40mgである。或る一定の実施態様では、錠剤中のヒドロキシプロピルメチルセルロース(E−5P)の量は、約25mgである。
【0079】
本明細書で提供するシタクスセンタン・ナトリウムの製剤は、中性pHにおいて安定である。或る一定の実施態様では、緩衝剤混合物(例えば、一塩基性リン酸ナトリウム一水和物と無水二塩基性リン酸ナトリウム)が、錠剤中の薬物安定性を改良するために用いられる。或る一定の実施態様では、一塩基性リン酸ナトリウム一水和物の量は、錠剤の総重量の約0.05重量%〜約3重量%の範囲である。他の実施態様では、一塩基性リン酸ナトリウム一水和物の量は、錠剤の総重量の約0.07%〜約1.5%、0.1%〜約1%、0.15%〜約0.5%である。或る一定の実施態様では、製剤中の一塩基性リン酸ナトリウム一水和物の量は、約0.05%、0.07%、0.09%、0.1%、0.12%、0.15%、0.17%、0.18%、0.2%、0.23%、0.25%、0.27%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、0.5%、0.7%又は1%である。或る一定の実施態様では、製剤中の一塩基性リン酸ナトリウム一水和物の量は、錠剤の総重量の約0.1%である。
【0080】
或る一定の実施態様では、経口錠剤中の一塩基性リン酸ナトリウム一水和物の量は、約0.1mg〜約3mg、約0.2mg〜約2.5mg、約0.5mg〜約2mg又は約0.6mg〜約1mgである。或る一定の実施態様では、経口錠剤中の一塩基性リン酸ナトリウム一水和物の量は、約0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.7mg、0.8mg、0.9mg又は約1mgである。或る一定の実施態様では、経口錠剤中の一塩基性リン酸ナトリウム一水和物の量は約0.6mgである。
【0081】
或る一定の実施態様では、無水二塩基性リン酸ナトリウムの量は、錠剤の総重量の約0.05重量%〜約3重量%の範囲である。他の実施態様では、二塩基性リン酸ナトリウムの量は、錠剤の総重量の約0.07%〜約1.5%、0.1%〜約1%、0.15%〜約0.5%の範囲内である。或る一定の実施態様では、製剤中の二塩基性リン酸ナトリウムの量は、約0.05%、0.07%、0.09%、0.1%、0.12%、0.15%、0.17%、0.18%、0.2%、0.23%、0.25%、0.27%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、0.5%、0.7%又は1%である。或る一定の実施態様では、製剤中の二塩基性リン酸ナトリウムの量は、錠剤の総重量の約0.2%である。
【0082】
或る一定の実施態様では、経口錠剤中の無水二塩基性リン酸ナトリウムの量は、約0.1mg〜約3.5mg、約0.5mg〜約2.5mg、又は約0.7mg〜約2mgである。或る一定の実施態様では、経口錠剤中の無水二塩基性リン酸ナトリウムの量は、約0.1mg、0.3mg、0.5mg、0.7mg、0.9mg、1mg、1.1mg、1.3mg、1.5mg、1.7mg又は2mgである。或る一定の実施態様では、経口錠剤中の無水二塩基性リン酸ナトリウムの量は、約1.1mgである。
【0083】
或る一定の実施態様では、錠剤は、崩壊剤[例えば、澱粉グリコール酸ナトリウム(顆粒内)と澱粉グリコール酸ナトリウム(顆粒外)]を含有する。或る一定の実施態様では、錠剤中の澱粉グリコール酸ナトリウム(顆粒内)の量は、組成物の総重量の約0.1%〜約10%である。或る一定の実施態様では、澱粉グリコール酸ナトリウム(顆粒内)の量は、錠剤の総重量の約0.5%〜約8%、約1%〜約5%、約2%〜約4%である。或る一定の実施態様では、澱粉グリコール酸ナトリウム(顆粒内)の量は、錠剤の総重量の約0.5%、1%、1.5%、1.7%、2%、2.3%、2.5%、2.7%、3%、3.5%、4%又は5%である。或る一定の実施態様では、澱粉グリコール酸ナトリウム(顆粒内)の量は、錠剤の総重量の約2.5%である。或る一定の実施態様では、澱粉グリコール酸ナトリウム(顆粒内)の量は、約30mg〜約5mg、約20mg〜約10mg、約15mg〜約10mgである。或る一定の実施態様では、澱粉グリコール酸ナトリウム(顆粒内)の量は、約5mg、7mg、10mg、11mg、11.5mg、12mg、12.5mg、13mg、15mg又は20mgである。或る一定の実施態様では、澱粉グリコール酸ナトリウム(顆粒内)の量は、約12.5mgである。
【0084】
或る一定の実施態様では、錠剤中の澱粉グリコール酸ナトリウム(顆粒外)の量は、組成物の総重量の約0.1%〜約10%である。或る一定の実施態様では、錠剤中の澱粉グリコール酸ナトリウム(顆粒外)の量は、錠剤の総重量の約0.5%〜約8%、約1%〜約5%、約2%〜約4%である。或る一定の実施態様では、澱粉グリコール酸ナトリウム(顆粒外)の量は、錠剤の総重量の約0.5%、1%、1.5%、1.7%、2%、2.3%、2.5%、2.7%、3%、3.5%、4%又は5%である。或る一定の実施態様では、澱粉グリコール酸ナトリウム(顆粒外)の量は、錠剤の総重量の約2.5%である。或る一定の実施態様では、澱粉グリコール酸ナトリウム(顆粒外)の量は、約30mg〜約5mg、約20mg〜約10mg、約15mg〜約10mgである。或る一定の実施態様では、澱粉グリコール酸ナトリウム(顆粒外)の量は、約5mg、7mg、10mg、11mg、11.5mg、12mg、12.5mg、13mg、15mg又は20mgである。或る一定の実施態様では、澱粉グリコール酸ナトリウム(顆粒外)の量は、約12.5mgである。
【0085】
或る一定の実施態様では、錠剤は滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)を含有する。或る一定の実施態様では、錠剤中のステアリン酸マグネシウムの量は、組成物の総重量の約0.1%〜約8%である。或る一定の実施態様では、ステアリン酸マグネシウムの量は、錠剤の総重量の約0.5%〜約6%、約0.7%〜約5%、約1%〜約4%である。或る一定の実施態様では、ステアリン酸マグネシウムの量は、錠剤の総重量の約0.5%、0.7%、1%、1.2%、1.5%、1.7%、2%、2.5%、又は3%である。或る一定の実施態様では、ステアリン酸マグネシウムの量は、錠剤の総重量の約2.5%である。或る一定の実施態様では、錠剤中のステアリン酸マグネシウムの量は、約15mg〜約1mgである。或る一定の実施態様では、ステアリン酸マグネシウムの量は、約10mg〜約3mg又は約7mg〜約5mgである。或る一定の実施態様では、ステアリン酸マグネシウムの量は、約3mg、4mg、4.5mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg又は10mgである。或る一定の実施態様では、ステアリン酸マグネシウムの量は、約5mgである。
【0086】
本明細書で提供する錠剤製剤は、防湿性被膜を含有する。適当なコーティング物質は当該技術分野で知られており、非限定的に、例えばフタル酸セルロース(Sepifilm, Pharmacoat)のようなセルロース由来の、又はSepicifilm ECL型のポリビニル由来の、又は例えばSepisperse DR, AS, AP OR K (着色)型(例えば、Sepisperse Dry 3202 Yellow, Blue Opadry, Eudragit EPO 及び Opadry AMB)の糖衣用砂糖のようなサッカロース由来のコーティング物質を包含する。該被膜は、シタクスセンタン・ナトリウムの酸化を阻止するための防湿層(moisture barrier)として役立つ。或る一定の実施態様では、コーティング物質は、約1〜約7%又は約4%の錠剤重量増加でのSepifilm LP014/Sepisperse Dry 3202 Yellow (Sepifilm/Sepisperse)(3/2 wt/wt)である。或る一定の実施態様では、コーティング物質は、Sepifilm LP014/Sepisperse Dry 3202 Yellow (Sepifilm/Sepisperse)である。或る一定の実施態様では、Sepifilm/Sepisperse比は1:2、1:1又は3:2wt/wtである。或る一定の実施態様では、Sepifilm/Sepisperse被膜は、約1%、2%、3%、4%、5%、6%又は7%の錠剤重量増加である。或る一定の実施態様では、Sepifilm/Sepisperse被膜は約1.6%の錠剤重量増加である。或る一定の実施態様では、Sepisperse Dry 3202 (Yellow)は、約0.5%、0.8%、1%、1.3%、1.6%、2%、2.4%、2.5%、3%又は4%の錠剤重量増加である。或る一定の実施態様では、Sepisperse Dry 3202 (Yellow)は、約2.4%の錠剤重量増加である。或る一定の実施態様では、Sepisperse Dry 3202 (Yellow)は、錠剤当たり約1mg、3mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、13mg、15mg又は20mgである。或る一定の実施態様では、Sepisperse Dry 3202 (Yellow)は、錠剤当たり約8mgである。或る一定の実施態様では、Sepifilm LP 014は、約0.5%、1%、1.5%、2%、2.2%、2.4%、2.6%、3%、3.5%又は4%の錠剤重量増加である。或る一定の実施態様では、Sepifilm LP 014は、約2.4%の錠剤重量増加である。或る一定の実施態様では、Sepifilm LP 014は、錠剤当たり約5mg、7mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、15mg、17mg又は20mgである。或る一定の実施態様では、Sepifilm LP 014被膜は、錠剤当たり約12mgである。
【0087】
或る一定の実施態様では、該錠剤は、シタクスセンタン・ナトリウム、微結晶性セルロース、ラクトース一水和物ファストフロ(顆粒内)、ラクトース一水和物ファストフロ(顆粒外)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースE−5P、アスコルビル・パルミテート、EDTA二ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム一水和物、無水二塩基性リン酸ナトリウム、澱粉グリコール酸ナトリウム(顆粒内)、澱粉グリコール酸ナトリウム(顆粒外)、ステアリン酸マグネシウム及びSepifilm LP 014/Sepisperse Dry 3202 Yellowの被膜を含有する。
【0088】
或る一定の実施態様では、該錠剤は、約20%のシタクスセンタン・ナトリウム、約35%の微結晶性セルロース、約16.9%のラクトース一水和物ファストフロ(顆粒内)、約16.4%のラクトース一水和物ファストフロ(顆粒外)、約5.0%のヒドロキシプロピルメチルセルロースE−5P、約0.2%のアスコルビル・パルミテート、約0.2%の二ナトリウム(EDTA)、約0.1%の一塩基性リン酸ナトリウム一水和物、約0.2%の無水二塩基性リン酸ナトリウム、約2.5%の澱粉グリコール酸ナトリウム(顆粒外)、約2.5%の澱粉グリコール酸ナトリウム(顆粒内)及び約1%のステアリン酸マグネシウムを含有する。該錠剤は、約2.4%の重量増加でのSepifilm LP 014と約1.6%の重量増加でのSepisperse Dry 3202 Yellowとの被膜を含有する。
【0089】
或る一定の実施態様では、本明細書で提供する経口錠剤は、シタクスセンタン・ナトリウム約100mg、アスコルビル・パルミテート約1.0mg、エデト酸二ナトリウム(EDTA)約1.0mg、ヒドロキシプロピルメチルセルロースE−5P約25mg、ラクトース一水和物ファストフロ(顆粒内)約84.3mg、ラクトース一水和物ファストフロ(顆粒外)約82mg、微結晶性セルロース約175mg、一塩基性リン酸ナトリウム一水和物約0.6mg、無水二塩基性リン酸ナトリウム約1.1mg、澱粉グリコール酸ナトリウム(顆粒外)約12.5mg、澱粉グリコール酸ナトリウム(顆粒内)約12.5mg、ステアリン酸マグネシウム(非ウシ(non-bovine))約5mg、及び精製水約192.5mgを含有する。該錠剤はさらに、約12mgでのSepifilm LP 014と約8mgでのSepisperse Dry 3202 Yellowとの被膜を含有する。
【0090】
b.持続放出投与形
本明細書で提供する有効成分は、制御放出手段によって又は当業者に周知であるデリバリー・デバイスによって投与することができる。例は、米国特許Nos. 3,845,770; 3,916,899; 3,536,809; 3,598,123;及び4,008,719; 5,674,533; 5,059,595; 5,591,767; 5,120,548; 5,073,543; 5,639,476; 5,354,556; 5,639,480; 5,733,566; 5,739,108; 5,891,474; 5,922,356; 5,972,891 ; 5,980,945; 5,993,855; 6,045,830; 6,087,324; 6.1 13,943; 6,197,350; 6,248,363; 6,264,970; 6,267,981 ; 6,376,461; 6,419,961 ; 6,589,548; 6,613,358; 6,699,500(これらの各々は本明細書に援用される)に記載されている投与手段を包含するが、これらに限定される訳ではない。 このような投与形を使用すると、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、その他のポリマーマトリックス、ゲル、透過膜、浸透圧系、多層状被膜、ミクロ粒子、リポソーム、微小球、又は所望の放出プロフィルを生ずるような、可変な割合でのこれらの組み合わせを用いて、1種類以上の有効成分を緩慢放出又は制御放出させることができる。本明細書に記載した製剤を含めて、当業者に知られた、適当な制御放出製剤を、本明細書で提供する有効成分と共に用いるために容易に選択することができる。
【0091】
全ての制御放出医薬製品は、それらの非制御対応物によって達成される薬物療法を越えて、薬物療法を改良するという共通した目的を有する。理想的には、最適に設計された制御放出製剤を医療に用いることは、最少量の薬物物質を状態の治療又は管理に最小の時間量で用いることを特徴とする。制御放出製剤の利益は、薬物活性の延長、投与頻度の減少、及び患者コンプライアンスの向上を包含する。さらに、制御放出製剤を用いて、作用開始時間又はその他の特性(例えば、薬物の血中レベル)に影響を与えることができ、したがって、副作用(例えば、不利な作用)の発生に影響を与えることができる。
【0092】
大抵の制御放出製剤は、初期に、所望の治療効果を迅速に生ずる薬物(有効成分)量を放出し、このレベルの治療又は予防効果を長時間にわたって維持するための他の薬物量を徐々に及び連続的に放出するように設計される。体内にこの一定レベルの薬物を維持するために、代謝されて、体から排泄される薬物量を補充する速度で、薬物が投与形から放出されなければならない。非限定的に、pH、温度、酵素、水分若しくは他の生理的条件、又は化合物を包含する、種々な条件によって、有効成分の制御放出は刺激される可能性がある。
【0093】
或る一定の実施態様では、静脈内注入、移植可能な浸透圧ポンプ、経皮パッチ、リポソーム又は他の投与モードを用いて、該作用剤(the agent)を投与することができる。1実施態様では、ポンプを用いることができる(例えば、Sefton, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201 (1987); Buchwald et al., Surgery 88:507 (1980); Saudek et al., N. Engl. J. Med. 321 :574 (1989)を参照のこと)。他の実施態様では、ポリマー物質を用いることができる。さらに他の実施態様では、制御放出系を、治療ターゲットに近接して、配置することができる、即ち、このようにすると、全身投与量の一部のみが必要であるにすぎない(例えば、, Goodson, Medical Applications of Controlled Release, vol. 2, pp. 115-138 (1984)を参照のこと)。
【0094】
幾つかの実施態様では、制御放出デバイスを、不適切な免疫活性化部位又は腫瘍に近接して、対象に導入する。その他の制御放出系は、Langerによるレビューに考察されている(Science 249: 1527-1533 (1990))。有効成分は、固体内部マトリックス(例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化若しくは非可塑化ポリビニルクロリド、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコンカーボネートコポリマー、例えばアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルのヒドロゲルのような親水性ポリマー、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコール及び架橋した部分的加水分解ポリ酢酸ビニル)中に分散することができ、該内部マトリックスは、外部ポリマー膜(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン・コポリマー、エチレン/エチルアクリレート・コポリマー、エチレン/ビニルアセテート・コポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、エチレン及びプロピレンとの塩化ビニルコポリマー、アイオノマー・ポリエチレンテレフタレート、ブチルゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコール・ターポリマー、及びエチレン/ビニルオキシエタノール・コポリマー)によって囲繞されており、該外部ポリマー膜は体液に不溶性である。その後、該有効成分は、放出速度制御段階で、該外部ポリマー膜を通って拡散する。このような非経口組成物中に含有される有効成分の割合は、その特定の性質並びに対象の必要度(needs)に高度に依存する。
【0095】
c.非経口投与
一般に皮下注射、筋肉内注射又は静脈内注射のいずれかを特徴とする非経口投与も、本発明で考慮される。注射可能物質は慣用的な形で、液体溶液若しくは懸濁液、注射前に液体中に溶解若しくは懸濁させるのに適した固体形として、又はエマルジョンとして調製することができる。適当な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール又はエタノールである。さらに、投与される医薬組成物は、必要に応じて、少量の非毒性の補助物質、例えば、湿潤剤、乳化剤、pH緩衝剤、安定剤、溶解促進剤、及びその他のこのような作用剤(例えば、酢酸ナトリウム、ソルビタン・モノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミン及びシクロデキストリン)を含有することもできる。
【0096】
該組成物の非経口投与は、静脈内投与、皮下投与、及び筋肉内投与を包含する。非経口投与のための製剤は、注射用の無菌溶液、無菌の乾燥溶解性製品(例えば、使用直前に溶媒と一緒にすることができる凍結乾燥粉末、皮下注射用錠剤(hypodermic tablets)を含む)、注射用無菌懸濁液、使用直前にビヒクルと一緒にすることができる無菌の乾燥した不溶性製品、及び無菌エマルジョンを包含する。溶液は水性であることも非水性であることも可能である。
【0097】
静脈内投与する場合には、適当なキャリヤーは、生理食塩水又はリン酸塩緩衝化食塩水(PBS)、並びに増粘剤及び可溶化剤、例えば、グルコース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びこれらの混合物を含有する溶液を包含する。
【0098】
非経口製剤に用いる、製薬的に受容されるキャリヤーは、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗菌剤、等張化剤(isotonic agents)、緩衝剤、アンチオキシダント、局部麻酔薬、懸濁化剤と分散剤、乳化剤、金属イオン封鎖剤若しくはキレート剤、及びその他の製薬的に受容される物質を包含する。
【0099】
水性ビヒクルの例は、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、等張性デキストロース注射液、生理食塩水注射液、デキストロース及び乳酸化リンゲル注射液を包含する。非水性非経口ビヒクルは、植物由来の不揮発性油、綿実油、トウモロコシ油、胡麻油及び落花生油を包含する。多回投与量容器にパッケージされた非経口製剤には、静菌性又は静真菌性濃度での抗菌剤を加えなければならず、このような抗菌剤は、フェノール若しくはクレゾール、水銀剤(mercurials)、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチル及びプロピルp−ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム、及び塩化ベンゼトニウムを包含する。等張化剤は塩化ナトリウム及びデキストロースを包含する。緩衝剤はリン酸塩及びクエン酸塩を包含する。アンチオキシダントは硫酸水素ナトリウムを包含する。局部麻酔薬は、塩酸プロカインを包含する。懸濁化剤と分散剤は、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドンを包含する。乳化剤は、Polysorbate 80 (TWEEN(登録商標)80)を包含する。金属イオン封鎖剤と金属イオンのキレート剤は、EDTAを包含する。製薬的キャリヤーは、水混和性ビヒクルとしてエチルアルコール、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコールと、pH調節のために水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸又は乳酸も包含する。
【0100】
シタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩の濃度は、注射が所望の薬理学的効果を生ずるための有効量を与えるように調節される。正確な投与量は、当該技術分野で知られているように、患者又は動物の年齢、体重及び状態に依存する。
【0101】
単位投与量の非経口製剤は、アンプル、バイアル又は針付き注射器にパッケージされる。非経口投与用の全ての製剤は、当該技術分野で知られ、行われているように、無菌でなければならない。
【0102】
具体的に、有効成分を含有する無菌水溶液の静脈内又は動脈内注入は、効果的な投与形式である。他の実施態様は、所望の薬理学的効果を生ずるために必要に応じて注射される、有効物質を含有する、無菌の水性又は油性の溶液又は懸濁液である。
【0103】
注射薬は、局部投与及び全身投与のために設計される。1実施態様では、治療される組織(単数又は複数)に対して、少なくとも約0.1重量%〜約90重量%以上まで、又は1重量%より高い濃度のシタクスセンタンを含有するように、治療的に有効な投与量が処方される。有効成分は一度に投与することも、又は数個の小投与量に分割して、時間間隔をおいて投与することも可能である。正確な投与量と治療期間は、治療される組織の関数であり、既知の試験プロトコルを用いて、又はin vivo若しくはin vitro試験データからの補外によって実験的に決定することができることは、理解される。濃度と投与量の値も、治療される個人の年齢によって変化しうることも、注目すべきである。さらに、如何なる特定の対象に対しても、該個人のニーズと、該製剤の投与を管理する(administering)又は指導する人の専門的判断とに従って、特定の投与計画(dosage regimens)をある期間にわたって調節するべきであること、及び本明細書に記載した濃度範囲が例示に過ぎず、特許請求する製剤(formulations)の範囲又は実施を限定することを意図しないことを、理解すべきである。
【0104】
シタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩は、微粉状又はその他の適当な形で懸濁させることができる、或いはより溶解性の大きい活性生成物を生じるように又はプロドラッグを生成するように誘導体化することができる。得られる混合物の形態は、予定の投与形式と、選択したキャリヤー若しくはビヒクル中でのシタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩の溶解性とを含めた、幾つかの要素に依存する。有効な濃度は、状態の症状を改善するために充分な濃度であり、実験によって決定することができる。
【0105】
d.凍結乾燥粉末
本明細書において、投与のために溶液、エマルジョン及びその他の混合物として再構成することができる凍結乾燥粉末も重要である。これらは、再構成して、固体若しくはゲルとして処方することもできる。
【0106】
無菌の凍結乾燥粉末は、有効成分又はその製薬的に受容される塩を適当な溶媒中に溶解することによって、作製される。該溶媒は、安定性を改良する賦形剤、又は該粉末若しくは該粉末から調製される再構成溶液の他の薬理学的成分を含有することができる。使用可能な賦形剤は、デキストロース、ソルビタール、フルクトース、コーン・シロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロース又は他の適当な作用剤を包含するが、これらに限定される訳ではない。該溶媒はさらに、緩衝剤(例えば、クエン酸塩、リン酸ナトリウム若しくはリン酸カリウム、又は当業者に知られた、他のこのような緩衝剤)をほぼ中性のpHで含有することができる。その後に該溶液を無菌濾過し、続いて、当業者に知られた標準条件下で凍結乾燥することによって、所望の製剤が得られる。一般に、得られた溶液を、凍結乾燥のために、バイアル中に分配する。各バイアルは、シタクスセンタン若しくはその製薬的に受容される塩の単回投与量(10〜350mg、若しくは100〜300mg)又は多回投与量を含有する。凍結乾燥粉末は、適当な条件下(例えば、約4℃〜室温において)で保存することができる。
【0107】
注射のための、水によるこの凍結乾燥粉末の再構成は、非経口投与に用いるための製剤を生成する。再構成のためには、滅菌水又は他の適当なキャリヤー1ml当たり凍結乾燥粉末約1〜50mg、5〜35mg又は約9〜30mgを加える。正確な量は、選択したコンジュゲート(conjugate)に依存する。このような量は実験によって決定することができる。
【0108】
典型的な凍結乾燥製剤
或る一定の実施態様では、本明細書においてシタクスセンタン・ナトリウムの安定な凍結乾燥粉末を提供する。該凍結乾燥粉末は、アンチオキシダント、緩衝剤及びバルキング剤(bulking agent)を含有する。本明細書で提供する凍結乾燥粉末では、存在するシタクスセンタン・ナトリウム量は、凍結乾燥粉末の総重量の約25%〜約60%の範囲内である。或る一定の実施態様では、シタクスセンタン・ナトリウム量は、凍結乾燥粉末の総重量の約30%〜約50%又は約35%〜約45%である。或る一定の実施態様では、シタクスセンタン・ナトリウム量は、凍結乾燥粉末の総重量の約30%、33%、35%、37%、40%、41%、43%、45%、47%、50%、53%、55%又は60%である。1実施態様では、凍結乾燥粉末中のシタクスセンタン・ナトリウム量は、該凍結乾燥粉末の総重量の約41%である。
【0109】
或る一定の実施態様では、凍結乾燥粉末は、アンチオキシダント、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウム、モノチオグリセロール、アスコルビン酸又はこれらの組み合わせを含有する。1実施態様では、アンチオキシダントはモノチオグリセロールである。1実施態様では、該アンチオキシダントは、アスコルビン酸と、亜硫酸ナトリウムと、亜硫酸水素ナトリウムとの組み合わせである。或る一定の実施態様では、本明細書で提供する凍結乾燥粉末は、シタクスセンタン・ナトリウムの既知の凍結乾燥製剤に比べて、再構成時に改良された安定性を有する(WO 98/49162参照)。
【0110】
或る一定の実施態様では、該アンチオキシダントはモノチオグリセロールである。或る一定の実施態様では、該モノチオグリセロールは、凍結乾燥粉末の総重量の約10%〜約30%の範囲の量で存在する。或る一定の実施態様では、該モノチオグリセロールは、凍結乾燥粉末の総重量の約12%〜約25%又は約15%〜約20%の範囲の量で存在する。或る一定の実施態様では、凍結乾燥粉末中のモノチオグリセロール量は、該凍結乾燥粉末の総重量の約10%、12%、14%、15%、15.5%、16%、16.2%、16.4%、16.8%、17%、17.5%、19%、22%、25%又は30%である。或る一定の実施態様では、モノチオグリセロール量は、該凍結乾燥粉末の総重量の約16.4%である。
【0111】
或る一定の実施態様では、亜硫酸ナトリウムは、該凍結乾燥粉末の総重量の約1%〜約6%の量で存在する。他の実施態様では、亜硫酸ナトリウムは、約1.5%〜約5%又は約2%〜約4%の量で存在する。或る一定の実施態様では、亜硫酸ナトリウムの量は、該凍結乾燥粉末の総重量の約1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.3%、3.5%、3.8%、4%、4.5%又は5%である。1実施態様では、亜硫酸ナトリウム量は、該凍結乾燥粉末の総重量の約3.3%である。
【0112】
或る一定の実施態様では、アスコルビン酸は、該凍結乾燥粉末の総重量の約1%〜約6%の量で存在する。他の実施態様では、アスコルビン酸は、約1.5%〜約5%又は約2%〜約4%の量で存在する。或る一定の実施態様では、アスコルビン酸量は、該凍結乾燥粉末の総重量の約1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.3%、3.5%、3.8%、4%、4.5%又は5%である。1実施態様では、アスコルビン酸量は、該凍結乾燥粉末の総重量の約3.3%である。
【0113】
或る一定の実施態様では、亜硫酸水素ナトリウムは、該凍結乾燥粉末の総重量の約5%〜約15%又は約8%〜約12%の量で存在する。或る一定の実施態様では、亜硫酸水素ナトリウムは、該凍結乾燥粉末の総重量の約5%、6%、7%、8%、9%、10%、10.3%、10.5%、10.8%、11%、11.5%、12%又は15%である。1実施態様では、亜硫酸水素ナトリウム量は、該凍結乾燥粉末の総重量の約10.8%である。
【0114】
1実施態様では、アンチオキシダントは、アスコルビン酸と、亜硫酸ナトリウムと、亜硫酸水素ナトリウムとの組み合わせである。1実施態様では、凍結乾燥粉末中のアスコルビン酸量は凍結乾燥粉末の総重量の約3.3%であり、亜硫酸ナトリウム量は凍結乾燥粉末の総重量の約3.3%であり、亜硫酸水素ナトリウム量は凍結乾燥粉末の総重量の約10.8%である。
【0115】
1実施態様では、凍結乾燥粉末はさらに、下記賦形剤:緩衝剤(例えば、リン酸ナトリウム若しくはリン酸カリウム、又はクエン酸ナトリウム若しくはクエン酸カリウム);及びバルキング剤(例えば、グルコース、デキストロース、マルトース、スクロース、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、グリシン、ポリビニルピロリドン、デキストラン)の1つ以上を含有する。1実施態様では、該バルキング剤は、デキストロース、D−マンニトール又はソルビトールから選択される。
【0116】
或る一定の実施態様では、本明細書で提供する凍結乾燥粉末は、リン酸塩緩衝剤を含有する。或る一定の実施態様では、該リン酸塩緩衝剤は、約10mM、約15mM、約20mM、約25mM又は約30mMの濃度で存在する。或る一定の実施態様では、リン酸塩緩衝剤は、20mMの濃度で存在する。或る一定の実施態様では、リン酸塩緩衝剤は、20mMの濃度で存在し、構成された製剤は約7のpHを有する。
【0117】
或る一定の実施態様では、本明細書で提供する凍結乾燥粉末は、クエン酸塩緩衝剤を含有する。1実施態様では、クエン酸塩緩衝剤はクエン酸ナトリウム二水和物である。或る一定の実施態様では、クエン酸ナトリウム二水和物の量は、該凍結乾燥粉末の総重量の約5%〜約15%、約6%〜約12%又は約7%〜約10%である。或る一定の実施態様では、凍結乾燥粉末中のクエン酸ナトリウム二水和物の量は、該凍結乾燥粉末の総重量の約5%、6%、7%、7.5%、8%、8.3%、8.5%、8.8%、9%、9.5%、10%、12%又は約15%である。或る一定の実施態様では、構成された製剤は、約5〜10、又は約6のpHを有する。
【0118】
或る一定の実施態様では、本明細書で提供する凍結乾燥粉末は、該凍結乾燥粉末の総重量の約30%〜約60%の範囲の量でデキストロースを含有する。或る一定の実施態様では、デキストロースの量は、該凍結乾燥粉末の総重量の約30%、35%、40%、45%、50%又は60%である。或る一定の実施態様では、デキストロースの量は、該凍結乾燥粉末の総重量の約40%である。或る一定の実施態様では、本明細書で提供する凍結乾燥粉末は、該凍結乾燥粉末の総重量の約20%〜約50%の範囲の量でマンニトールを含有する。或る一定の実施態様では、マンニトールの量は、該凍結乾燥粉末の総重量の約20%、25%、30%、32%、32.5%、32.8%、33%、34%、37%、40%、45%又は50%である。或る一定の実施態様では、マンニトールの量は、該凍結乾燥粉末の総重量の約32.8%である。
【0119】
或る一定の実施態様では、本明細書で提供する凍結乾燥粉末は、該凍結乾燥粉末の総重量の約41%のシタクスセンタン・ナトリウム、約3.3%のアスコルビン酸、約3.3%の亜硫酸ナトリウムと約10.8%の亜硫酸水素ナトリウム、約8.8%のクエン酸ナトリウム二水和物及び約32.8%のマンニトールを含有する。或る一定の実施態様では、該凍結乾燥粉末は下記組成を有する:
シタクスセンタン・ナトリウム凍結乾燥製剤
【0120】
【表1】

【0121】
或る一定の実施態様では、本明細書で提供する凍結乾燥粉末は、該凍結乾燥粉末の総重量の約40〜約30%のシタクスセンタン・ナトリウム、約4〜約6%のアスコルビン酸、約6〜約8%のクエン酸ナトリウム二水和物、約50〜約60%のD−マンニトール及び約1〜約2%のクエン酸一水和物を含有する。或る一定の実施態様では、本明細書で提供する凍結乾燥粉末は、該凍結乾燥粉末の総重量の約33%のシタクスセンタン・ナトリウム、約5.3%のアスコルビン酸、約7.6%のクエン酸ナトリウム二水和物、約53%のD−マンニトール及び約0.13%のクエン酸一水和物を含有する。1実施態様では、該凍結乾燥粉末は下記組成を有する:
シタクスセンタン・ナトリウム凍結乾燥製剤
【0122】
【表2】

【0123】
或る一定の実施態様では、本明細書で提供する凍結乾燥粉末は、該凍結乾燥粉末の総重量の約40〜約30%のシタクスセンタン・ナトリウム、約4〜約6%のアスコルビン酸、約3〜約4%の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、約50〜約60%のD−マンニトール及び約1.5〜約2.5%の一塩基性リン酸ナトリウム一水和物を含有する。或る一定の実施態様では、本明細書で提供する凍結乾燥粉末は、該凍結乾燥粉末の総重量の約34%のシタクスセンタン・ナトリウム、約5.5%のアスコルビン酸、約3.7%の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、約55%のD−マンニトール及び1.9%の一塩基性リン酸ナトリウム一水和物を含有する。1実施態様では、該凍結乾燥粉末は下記組成を有する:
シタクスセンタン・ナトリウム凍結乾燥製剤
【0124】
【表3】

【0125】
本明細書で提供するシタクスセンタン・ナトリウムの凍結乾燥製剤は、それを必要とする患者に、本明細書に記載する方法を非限定的に含めた、シタクスセンタン・ナトリウムをデリバリーするための標準的治療法を用いて、投与することができる。1実施態様では、該凍結乾燥シタクスセンタン・ナトリウムは、本明細書で提供する凍結乾燥シタクスセンタン・ナトリウムの治療有効量を製薬的に受容される溶媒中に溶解して、製薬的に受容される溶液を調製して、該溶液を該患者に投与する(例えば、静脈内注射によって)ことによって、投与される。
【0126】
本明細書で提供するシタクスセンタン・ナトリウム凍結乾燥製剤は、患者に非経口投与するために、製薬的に受容される希釈剤を用いて構成することができる。このような希釈剤は、非限定的に、注射用滅菌水(USP)、注射用滅菌静菌性水、生理食塩水(USP)(ベンジルアルコール又はパラベン保存)を包含する。適当な注射用溶液が調製されるように、凍結乾燥シタクスセンタン・ナトリウム製剤を構成するには、任意の量の希釈剤を用いることができる。したがって、希釈剤の量は、凍結乾燥シタクスセンタン・ナトリウムを溶解するために充分でなければならない。1実施態様では、約1〜50mg/ml、約5〜40mg/ml、約10〜30mg/ml又は10〜25mg/mlの最終濃度を得るように凍結乾燥シタクスセンタン・ナトリウム製剤を構成するために、10〜50ml又は10〜20mlの希釈剤が用いられる。或る一定の実施態様では、再構成溶液中のシタクスセンタン・ナトリウムの最終濃度は、約25mg/ml又は約12.5mg/mlである。正確な量は、治療される適応症に依存する。このような量は、実験によって(empirically)決定することができる。幾つかの実施態様では、再構成溶液のpHは、約5〜約10、又は約6〜約8である。幾つかの実施態様では、再構成溶液のpHは、約5、6、7、8、9又は10である。
【0127】
凍結乾燥シタクスセンタン・ナトリウムの構成溶液は、構成して直ちに患者に投与することができる。或いは、構成溶液を保存して、約1〜72時間内に、約1〜48時間内に又は1〜24時間内に用いることができる。幾つかの実施態様では、該溶液を調製の1時間内に用いる。
【0128】
e.局所投与
局所用混合物を、局部及び全身投与に関して述べたように調製する。得られた混合物は溶液、懸濁液、エマルジョン等であることができ、クリーム、ゲル、軟膏、エマルジョン、溶液、エリキシル剤、ローション、懸濁液、チンキ、ペースト、フォーム、エアロゾル、イリゲーション(irrigation)、スプレー、座薬、包帯、皮膚パッチ、又は局所投与に適した、任意の他の製剤に製剤化することができる。
【0129】
シタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩は、局部又は局所使用のために、例えば、皮膚及び粘膜に局所使用するために、ゲル、クリーム及びローションの形態で処方することができる。局所投与は、経皮デリバリーのために、さらに粘膜投与(administration mucosa)のために、又は吸入療法のためにも考えられる。
【0130】
f.他の投与経路用組成物
他の投与経路(例えば、局所適用、経皮パッチ及び直腸投与)も本明細書で考慮される。例えば、直腸投与のための製薬的投与形は、全身効果の直腸座薬、カプセル剤及び錠剤である。用いられる直腸座薬とは、本明細書では、直腸に挿入する固体ボディを意味し、これは体温で溶融又は軟化して、1種類以上の薬理学的若しくは治療的に有効な成分を放出する。直腸座薬に用いられる製薬的に受容される物質は、基剤又はビヒクルと、融点を高めるための作用剤である。基剤の例は、カカオ脂(theobroma oil)、グリセリン−ゼラチン、カーボワックス(carbowax)(ポリオキシエチレングリコール)並びに脂肪酸のモノー、ジー及びトリグリセリドの適当な混合物を包含する。種々な基剤の組み合わせも使用可能である。座薬の融点を高めるための作用剤は、鯨蝋及びワックスを包含する。直腸座薬は、圧縮法又は成形のいずれかによって製造することができる。直腸座薬の典型的な重量は約2〜3gである。
【0131】
直腸投与のための錠剤とカプセル剤は、経口投与用製剤と同じ製薬的に受容される物質を用いて、同じ方法によって製造される。
【0132】
投与量
ヒトの治療において、医者は、予防処置若しくは治療処置に応じて、及び治療されるべき対象に特異的な、年齢、体重、疾患の段階及びその他の要素に応じて最も適当である投与計画を決定する。或る一定の実施態様では、シタクスセンタン・ナトリウムの適用量(dose rate)は、成人に対しては約1〜約350mg/日、約1〜約300mg/日、約5〜約250mg/日、成人に対して約5〜約250mg/日又は約10〜約50mg/日である。本発明では、約50〜約300mg/日の適用量も考慮される。或る一定の実施態様では、投与量は、成人に対して1日に付き約5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、60mg、70mg、80mg、100mg、125mg、150mg、175mg又は200mgである。
【0133】
拡張期心不全又はその症状の1つ以上の予防又は治療に有効である、本明細書で提供する製剤中のシタクスセンタン・ナトリウム量は、該疾患又は状態の性質と重症度、及び有効成分が投与される経路によって変化する。投与頻度と投与量は、投与される特定の療法(例えば、治療剤若しくは予防剤)、障害、疾患若しくは状態の重症度、投与経路、並びに対象の年齢、体重、応答及び過去の病歴に依存して、各対象に特異的な要素によっても変化する。
【0134】
製剤の典型的な投与量は、対象又はサンプル重量の1kg当たりの活性化合物のmg量若しくはμg量(例えば、約1μg/kg〜約3mg/kg、約10μg/kg〜約3mg/kg、約100μg/kg〜約3mg/kg、又は約100μg/kg〜約2mg/kg)を包含する。或る一定の実施態様では、シタクスセンタン・ナトリウムの投与量は、それを必要とする対象に対して約0.01〜約3mg/kgである。或る一定の実施態様では、シタクスセンタン・ナトリウムの投与量は、対象の1kg当たり約0.01、0.05、0.1、0.2、0.4、0.8、1.5、2、3mgである。或る一定の実施態様では、シタクスセンタン・ナトリウムの投与は静脈内注射によって行われる。
【0135】
当業者に明らかであるように、場合によっては、本明細書に開示した範囲外の有効成分投与量を用いることが、必要になることがありうる。さらに、臨床医又は治療医師が、対象の応答に関連して治療を中断、調節又は停止すべき方法及び時期を知るであろうことが注目される。
【0136】
拡張期心不全の症状を予防、管理、治療又は改善するために充分な量であるが、本明細書で提供する組成物に付随する副作用を引き起こすには不充分であるか又は該副作用を軽減するのに充分である量も、上記投与量及び投与頻度スケジュールによって考慮される。さらに、本明細書で提供する組成物の多回投与量を対象に投与する場合に、該投与量の全てが必ずしも同じである必要はない。例えば、該組成物の予防効果若しくは治療効果を改良するために、対象への投与量を増加することができる、又は特定の対象が経験する副作用の1つ以上を軽減するために、該投与量を減少することもできる。
【0137】
他の実施態様では、本明細書で提供する製剤の投与量は、対象における拡張期心不全の症状を予防、治療、管理又は改善するために、約1mg〜300mg、50mg〜250mg又は75mg〜200mgの単位量(unit dose)で投与される。
【0138】
或る一定の実施態様では、本明細書で提供する同一製剤の投与を反復することができ、投与を少なくとも1日間、2日間、3日間、5日間、10日間、15日間、30日間、45日間、2ヶ月間、75日間、3ヶ月間又は6ヶ月間分離して行うことができる。
【0139】
製造品
シタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩は、パッケージング物質と、シタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩が拡張期心不全の治療に用いられることを表示するラベルとを含有する製造品としてパッケージすることができる。本明細書で提供する製造品はパッケージング物質を含有する。医薬製品のパッケージングに用いるためのパッケージング物質は当業者に周知である。例えば、米国特許Nos. 5,323,907、5,052,558、及び5,033,352を参照のこと。製薬的パッケージング物質の例は、非限定的に、ブリスター・パック、ボトル、チューブ、吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル、コンテナー、注射器、ボトル、及び選択された製剤と、投与及び治療の予定形式とに適した、任意のパッケージング物質を包含する。本明細書で提供するシタクスセンタンの多様な製剤が、本明細書で考慮される。
【0140】
活性の評価
本明細書で提供する方法におけるシタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩の効力を試験するための、標準の生理学的、薬理学的及び生化学的手段は入手可能であり、当業者に知られている。例えば、DHFの治療におけるシタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩の効力評価は、治療期間中に定期的な間隔で行われるトレッドミル運動負荷試験;心エコー法(ECHO)による、心室構造及び機能(即ち、左心室質量(left ventricular mass))に対する効果の測定;Doppler ECHOと組織Dopplerイメージング(TDI)による僧帽弁流入速度(transmitral inflow velocity)(E)対 拡張早期僧帽弁輸運動速度(early diastolic velocity of the mitral annulus)(E’)の比率の測定;心不全アンケートによるMinnesota Living(MLHF)によって測定されるクォリティオブライフ(QOL)の変化の評価;及び機能クラス評価(functional class assessment)(NYHA)を非限定的に包含するルーチン検査によって行うことができる。例えば、ZiIe et al. Heart failure with a normal ejection fraction: is measurement of diastolic heart failure necessary to make the diagnosis of diastolic heart failure?, Circulation 2001; 104:779-782及び Miguel et al, Recommendations for quantification of Doppler echocardiography: a report from the Doppler quantification task force of the nomenclature and standanrds committee of the American society of echocardiography, J. Am. Soc. Echocardiogr. 2002; 15: 167-84.を参照のこと。
【0141】
併用療法
本明細書で提供する方法では、エンドセリン拮抗薬(例えば、シタクスセンタン・ナトリウム)を、例えば、単独で、又は1種類以上の他のエンドセリン拮抗薬と組み合わせて、又は拡張期心不全の治療に有用な、他の化合物若しくは治療薬と組み合わせて用いることができる。例えば、該製剤は、例えば、米国特許Nos. 6,432,994; 6,683,103; 6,686,382; 6,248,767; 6,852,745; 5,783,705; 5,962,490; 5,594,021; 5,571821 ; 5,591,761; 5,514,691に記載された化合物のような、エンドセリン受容体の活性を調節することが知られている、他の化合物と組み合わせて投与することができる。幾つかの他のエンドセリン拮抗薬が、上述したような文献に記載されている。
【0142】
幾つかの実施態様では、該方法は、シタクスセンタン・ナトリウムを拡張期心不全の治療に用いられる他の化合物と組み合わせて投与することを含む。このような作用剤は、非限定的に、ループ利尿薬、例えば、Bumex(登録商標)(ブメタニド)、Lasix(登録商標)(フロセミド)、Demadex(登録商標)(トルセミド);チアジド系利尿薬、例えば、Hygroton(登録商標)(クロルタリドン)、Hydrodiuril(登録商標)、Esidrix(登録商標)(HCTZ, ヒドロクロロチアジド)、Amiloride、 Aldactone(登録商標)(スピロノラクトン);長時間作用型ニトレート、例えば、Isordil(登録商標)、Sorbitrate(登録商標)(イソソルビド・ジニトレート)、Imdur(登録商標)(イソソルビド・モノニトレート);β−遮断薬、例えば、フマル酸ビソプロロール、プロプラノロール、アテノロール、ラベタロール、ソタロール、カルベジロール;カルシウムチャンネル遮断薬、例えば、Norvasc(登録商標)(アムロジピン)、Cardizem(登録商標)(ジルチアゼム)、Isoptin(登録商標)(ベラパミル)、Procardia(登録商標)(ニフェジピン);腎動脈狭窄(RAS)抑制剤及びアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、例えば、カプトプリル、フォシノプリル、ベナゼプリル、エナラプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、スピラプリル、トランドラプリル;アンギオテンシン受容体遮断薬(ARBs)、例えば、ロサルタン、バルサルタン、イルベサルタン、テルミサルタン、及びアルドステロン拮抗薬を包含する。
【0143】
上記他の治療剤は、例えば、Physicians’ Desk Reference(PDR)に指示されたような量又はさもなくば当業者によって決定された量で用いることができる。
【実施例】
【0144】
実施例1: 4−クロロ−3−メチル−5−(2−(2−(6−メチルベンゾ[d][1,3]ジオキソル−5−イル)アセチル)−3−チエニルスルホンアミド)イソキサゾール・ナトリウム塩、又はN−(4−クロロ−3−メチル−5−イソオキサゾリル)−2−[2−メチル−4,5−(メチレンジオキシ)フェニルアセチル]−チオフェン−3−スルホンアミド・ナトリウム塩、又はN−(4−クロロ−3−メチル−5−イソオキサゾリル)−2−[3,4−(メチレンジオキシ)−6−メチルフェニルアセチル]−チオフェン−3−スルホンアミド・ナトリウム塩の製造
A. (4−クロロ−3−メチル−5−(2−(2−(6−メチルベンゾ[d][1,3]ジオキソル−5−イル)アセチル)−3−チエニルスルホンアミド)イソオキサゾールの製造
1. 5−クロロメチル−6−メチルベンゾ[d][1,3]ジオキソールの製造
塩化メチレン(130L)、濃HCl(130L)及び臭化テトラブチルアンモニウム(1.61kg)の混合物に、5−メチルベンゾ[d][1,3]ジオキソール(10kg)を加えて、続いて、ホルムアルデヒド(14L,水中37重量%)を徐々に加えた。該混合物を一晩撹拌した。有機層を分離して、硫酸マグネシウムで乾燥させ、油状物になるまで濃縮した。ヘキサン(180L)を加えて、混合物を沸騰するまで加熱した。熱ヘキサン溶液を重質油状残渣からデカントして、蒸発させ、ほぼ純粋な5−クロロメチル−6−メチルベンゾ[d][1,3]ジオキソールを白色固体として得た。ヘキサン(50L)からの再結晶によって、5−クロロメチル−6−メチルベンゾ[d][1,3]ジオキソールを得た(再結晶後80%回収)。
【0145】
2. (4−クロロ−3−メチル−5−(2−(2−(2−メチルベンゾ[d][1,3]ジオキソル−5−イル)アセチル)−3−チエニルスルホンアミド)イソオキサゾールの製造
テトラヒドロフラン(THF)(120ml)中の5−クロロメチル−6−メチルベンゾ[d][1,3]ジオキソール(16.8g,0.09mol)の溶液の一部を、室温においてTHF(120ml)中のマグネシウム粉末(3.3g,0.136g−atom,Alfa又はJohnson−Mathey,−20+100メッシュ)の充分に撹拌されたスラリーに加えた。得られた反応混合物を約40〜45℃までに約2〜3分間加温し、反応を開始させた。マグネシウムを加熱によって活性化し、反応が開始したならば、該混合物を冷却して、約8℃未満の温度に維持した。マグネシウムを、熱の代わりにジブロモエタンによって活性化することもできる。
【0146】
該反応混合物を含有するフラスコを冷却して、5−クロロメチル−6−メチルベンゾ[d][1,3]ジオキソールの残留溶液を、8℃未満の内部温度を維持しながら、1.5時間にわたって滴加した。温度制御が重要である:Grignard試薬(the Grignard)が形成され、8℃未満に維持されるならば、Wurtzカップリングは行われない。高温における長時間はWurtzカップリング経路を促進する。高品質のMgを使用し、Grignard試薬の温度を8℃未満に維持して、激しく撹拌するならば、Wurtzカップリングを避けることができる。該反応は−20℃において良好に生じる、したがって、8℃未満の如何なる温度も、その温度においてGrignard試薬が形成されるならば、許容される。該反応混合物の色は緑がかった色に変化する。
【0147】
該反応混合物を0℃においてさらに5分間撹拌し、この間に無水THF(90ml)中のN−メトキシ−N−メチル−3−(4−クロロ−3−メチル−5−イソオキサゾリルスルファモイル)−2−チオフェンカルボキサミド(6.6g,0.018mol)を添加ロート中に装入した。この反応混合物を2回脱ガスしてから、N−メトキシ−N−メチル−3−(4−クロロ−3−メチル−5−イソオキサゾリルスルファモイル)−2−チオフェンカルボキサミドの溶液を0℃において5分間にわたって加えた。この添加の直後に行った該反応混合物のTLC(シリカ、12%MeOH/CHCl)は、N−メトキシ−N−メチル−3−(4−クロロ−3−メチル−5−イソオキサゾリルスルファモイル)−2−チオフェンカルボキサミドを示さない。
【0148】
この反応混合物を、1N HCl(400ml,0.4mol HCl,氷浴撹拌)を含有するフラスコに移し、この混合物を2〜4分間撹拌して、分液ロートに移し入れて、酢酸エチル(300ml)で希釈した。振とう後に、層を分離した。水層を追加の酢酸エチル(150ml)で抽出して、一緒にした有機層(organics)をハーフブライン(half-brine)で洗浄した。分離後に、有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下、約39℃において濃縮することによって、THFを除去した。
【0149】
B. 4−クロロ−3−メチル−5−(2−(2−(6−メチルベンゾ[d][1,3]ジオキソル−5−イル)アセチル)−3−チエニルスルホンアミド)イソオキサゾール・ナトリウム塩の製造
パートAからの生成物を次に、酢酸エチル中に再溶解して、飽和NaHCO(5x50ml)によって、洗液(washings)が無色になるまで洗浄した。この溶液をブラインで洗浄して、NaSO上で乾燥させ、真空中で濃縮して、半結晶質の黄色残渣を得た。この溶液にCHCl(100ml)を加えて、混合物を窒素下で5〜10分間、微細な結晶質生成物が形成されるまで、撹拌した。エーテル(150ml)を加えて、混合物を適当な時間(例えば、10分間)撹拌した。生成物を濾過によって単離し、CHCl/エーテル(1:2)(30ml)の混合物で、次にエーテル(30ml)で洗浄して、減圧下で乾燥させた。上記特定実施態様によって製造した場合、標題生成物は約85%の純度を有して、7.3g量で製造された(HPLC,RP,40%アセトニトリル/水,アンモニアでpH2.5に中和した0.1%TFA,定組成条件(isocratic conditions),1ml/分)。
【0150】
上記からの塩生成物を10℃の水(600ml)中に溶解して、該溶液を短時間(例えば、3分間)撹拌してから、濾紙の層(例えば、3枚の濾紙)に通して吸引濾過した。場合によっては、水中に溶解性でない多量の不純物(10%以上)が濾過プロセスを極度に低速にする。この問題は、濾過中により大きいサイズのフィルターを用いることによって、回避することができる。粗塩の純度が90%以上である場合には、通常は、濾過に伴う問題は存在しない。
【0151】
濾過から得られた緑がかった、やや濁った溶液を氷浴中で冷却して、例えば4N HClのような酸を用いて、pH2に酸性化した。該溶液のpHが2である場合には、生成物は、乳白色の濾過不能な物質として沈殿する。付加的な4N HClを徐々に滴加すると、生成物は、微細な、容易に濾過可能な沈殿物を形成する。淡黄色の沈殿物を濾別し、中性になるまで、水で洗浄し、フィルター上で圧縮して、過剰な水を排除した。得られた遊離酸は、HPLCによって測定したときに、典型的に95%純粋であった。
【0152】
生成物の遊離酸形を酢酸エチル(約100ml)中に溶解し、ブライン(30ml)で洗浄して、水分を除去した。脱水済み溶液を冷飽和NaHCO溶液(2x30ml)と共に振とうし、次に、ブラインと共に再び振とうして、NaSO上で乾燥し、真空中で濃縮して(浴温度40℃未満)、鮮明な(very bright)黄色のフォームを得た。この生成物から酢酸エチルを完全に除去した後に、CHCl(100ml)を加えて、混合物を、生成物が結晶質になるまで、5〜10分間撹拌した。エーテル(150ml)を加えて、撹拌をさらに10分間続けた。形成された固体を濾過によって単離し、CHCl/エーテル(1:2)の混合物(30ml)によって、次にエーテル(30ml)によって洗浄して、減圧下で乾燥させた。このようにして精製したときに、4−クロロ−3−メチル−5−(2−(2−(6−メチルベンゾ[d][1,3]ジオキソル−5−イル)アセチル)−3−チエニルスルホンアミド)イソオキサゾール・ナトリウム塩が、良好な純度(HPLCによって98.2%純度)を有して、高収率(5.7g,68%)で得られた。該生成物を、上記手段後に、初期純度が充分に高いならば、EtOH/メチルt−ブチルエーテル(MTBE)からの再結晶によってさらに精製することも可能である。
【0153】
C. N−(4−クロロ−3−メチル−5−イソオキサゾリル)−2−[3,4−(メチレンジオキシ)−6−メチル]フェニルアセチル−3−チオフェンスルホンアミド・リン酸水素ナトリウム塩(これは、4−クロロ−3−メチル−5−(2−(2−(6−メチルベンゾ[d][1,3]ジオキソル−5−イル)アセチル)−3−チエニルスルホンアミド)イソオキサゾール・リン酸水素ナトリウム塩とも呼ばれる)
N−(4−クロロ−3−メチル−5−イソオキサゾリル)−2−[3,4−(メチレンジオキシ)−6−メチル]フェニルアセチル−3−チオフェンスルホンアミド(1.1492g,2.5263mmol)と二塩基性リン酸ナトリウム(0.3486g,2.5263mmol)との固体混合物に、脱イオン水(25ml)とアセトニトリル(25ml)を加えた。得られた混合物を充分に振とうして、50℃において加温して、透明な溶液を得て、これを濾過した。濾液を−78℃において凍結させ、凍結乾燥させて、塩を黄色粉末として得た(約1.50g)。
【0154】
実施例2:マンニトールを含有する凍結乾燥製剤
以下の表1と2におけるプロトコルによって、マンニトールを含有する凍結乾燥製剤を調製した。
【0155】
表1.シタクスセンタン・ナトリウム凍結乾燥製剤
【0156】
【表4】

【0157】
表2.製剤の凍結乾燥条件
【0158】
【表5】

【0159】
実施例3.
25mg/mlでのシタクスセンタン・ナトリウムと、さらにアスコルビン酸又はモノチオグリセロールを含有する3種類の製剤を下記のように調製した:
シタクスセンタン・ナトリウム凍結乾燥製剤
【0160】
【表6】

【0161】
シタクスセンタン・ナトリウム凍結乾燥製剤
【0162】
【表7】

【0163】
これらの製剤は、下記のような凍結乾燥サイクルに従って、凍結乾燥させた:該バッチを−45℃まで凍結した。真空を開始して、30ミクロンに制御し、次に、装置温度(shelf temperature)を10時間かけて+20℃に加温し、該バッチの水分に基づいて、該サイクルが完了するまで、その温度に保持した。
【0164】
実施例4:シタクスセンタン100mg被覆製剤
該錠剤を1kgスケールで製造した。精製水中に一塩基性及び二塩基性リン酸ナトリウムと、EDTA二ナトリウムを溶解することによって、造粒用溶液を調製した。該シタクスセンタン・ナトリウム薬剤物質に、アスコルビルパルミテートを加えて、バッグ中で手動で約30秒間ブレンドした。微結晶性セルロースの約半分をこのバッグに加えて、さらに30秒間ブレンドした。この混合物をスクリーンに通して選別した。残りの顆粒内成分(intragranular components)(即ち、残りの微結晶性セルロース、ラクトース、HPMC、澱粉グリコール酸ナトリウム)をスクリーンに通して選別して、該混合物に加えた。次に、該粉末を、加熱Glatt GPCG-1に装入した。該造粒用溶液を該顆粒内粉末に加えた。視覚的に望ましい顆粒(granulation)を得るために、必要に応じて、追加の水を噴霧した。この後に、2%未満のLODが達成されるまで、該顆粒を乾燥させた。乾燥した顆粒を0.0024サイズスクリーン付きFitzmillに通して粉砕した。顆粒外成分を選別して、8−qt.V−ブレンダー内で粉砕顆粒(milled granulation)と5分間ブレンドした。次に、ステアリン酸マグネシウムを選別して、該混合物と3分間ブレンドした。該最終ブレンドをタブレット・プレス上で、0.2900”x0.6550”改変オバール・ツーリング(oval tooling)を用いて500mgコア錠剤に圧縮成形した。
【0165】
Sepifilm LP014とSepisperse Dry 3202(Yellow)を水に混合しながら加えることによって、コーティング懸濁液を調製した。均質な懸濁液が形成されるまで、混合を続けた。19”コーティング・パン付きCompu-labコーターを用いて、該錠剤を被覆した。
【0166】
表3.シタクスセンタン・ナトリウム100mg臨床用錠剤製剤
【0167】
【表8】

【0168】
改変は当業者に明らかであるので、本発明が特許請求の範囲によってのみ決定されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドセリン拮抗薬である化合物を投与することを含む、拡張期心不全又はその1つ以上の症状の治療若しくは改善方法。
【請求項2】
該化合物が、BE−18257B;BQ−123;PD156707;L−754,142;SB209670;SB217242;A−127722;TAK−044;ボセンタン;シタクスセンタン、及びその製薬的に受容される誘導体から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
該化合物がシタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
該化合物がシタクスセンタンのアルカリ金属塩である、請求項2記載の方法。
【請求項5】
該化合物がシタクスセンタン・ナトリウムである、請求項2〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
該化合物が単回投与形で投与される、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
該化合物が多回投与形で投与される、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
該化合物が1日1回投与される、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
該化合物が約20mg/日〜約300mg/日の量で投与される、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
該化合物の投与量が約25mg/日である、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
該化合物の投与量が約50mg/日である、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
該化合物の投与量が約90mg/日である、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
該化合物の投与量が約100mg/日である、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
該化合物の投与量が約150mg/日である、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
該化合物が経口製剤として投与される、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
該経口製剤が錠剤である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
該錠剤が、アンチオキシダント、結合剤、希釈剤、緩衝剤及び耐湿性被膜を含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
該錠剤がさらに、微結晶性セルロース、ラクトース一水和物ファストフロ(顆粒内)、ラクトース一水和物ファストフロ(顆粒外)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースE−5P、アスコルビル・パルミテート、EDTA二ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム一水和物、二塩基性リン酸ナトリウム無水物、澱粉グリコール酸ナトリウム(顆粒内)、澱粉グリコール酸リン酸ナトリウム(顆粒外)、ステアリン酸マグネシウム及び耐湿性被膜を含む、請求項16記載の方法。
【請求項19】
錠剤が、約20%のシタクスセンタン・ナトリウム;約35%の微結晶性セルロース;約16.9%の顆粒内ラクトース一水和物ファストフロ;約16.4%の顆粒外ラクトース一水和物ファストフロ;約5.0%のヒドロキシプロピルメチルセルロースE−5P;約0.2%のアスコルビル・パルミテート;約0.2%のEDTA二ナトリウム;約0.1%の一塩基性リン酸ナトリウム一水和物;約0.2%の二塩基性リン酸ナトリウム無水物;約2.5%の顆粒外澱粉グリコール酸ナトリウム;約2.5%の顆粒内澱粉グリコール酸ナトリウム;約1%のステアリン酸マグネシウム及び約2.4%/1.6%増量でのヒドロキシプロピルメチルセルロース耐湿性被膜を含む、請求項18記載の経口錠剤。
【請求項20】
錠剤が、約100mgのシタクスセンタン・ナトリウム;約1.0mgのアスコルビル・パルミテート;約1.0mgのエデト酸二ナトリウム、EDTA;約25mgのヒドロキシプロピルメチルセルロースE−5P;約84.3mgの顆粒内ラクトース一水和物ファストフロ;約82mgの顆粒外ラクトース一水和物ファストフロ;約175mgの微結晶性セルロース;約0.6mgの一塩基性リン酸ナトリウム一水和物;約1.1mgの二塩基性リン酸ナトリウム無水物;約12.5mgの顆粒外澱粉グリコール酸ナトリウム;約12.5mgの顆粒内澱粉グリコール酸ナトリウム;約5mgのステアリン酸マグネシウム及び約20mgでのヒドロキシプロピルメチルセルロース耐湿性被膜を含む、請求項18記載の経口錠剤。
【請求項21】
該化合物を凍結乾燥粉末として投与する、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
該凍結乾燥粉末がアンチオキシダント、緩衝剤及び増量剤をさらに含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
該凍結乾燥粉末が約41%のシタクスセンタン・ナトリウム、約3.3%のアスコルビン酸、約3.3%の亜硫酸ナトリウムと約10.8%の亜硫酸水素ナトリウム、約8.8%のクエン酸ナトリウム二水和物及び約32.8%のマンニトールを含む、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
該凍結乾燥粉末が、該凍結乾燥粉末の総重量の、約33%のシタクスセンタン・ナトリウム、約5.3%のアスコルビン酸、約7.6%のクエン酸ナトリウム二水和物、約53%のD−マンニトール、及び約0.13%のクエン酸一水和物を含む、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項25】
該凍結乾燥粉末が、該凍結乾燥粉末の総重量の、約34%のシタクスセンタン・ナトリウム、約5.5%のアスコルビン酸、約3.7%の二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、約55%のD−マンニトール、及び約1.9%の一塩基性リン酸ナトリウム一水和物を含む、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項26】
該拡張期心不全が、息切れ、持続性咳、喘鳴、体組織中の過剰流体の蓄積、疲労感、倦怠感、食欲減退、吐き気、意識混濁、運動耐性低下、思考障害、又は心拍数増加を特徴とする、請求項1〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
該拡張期心不全が、運動耐性低下を特徴とする、請求項1〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
パッケージング物質と、該パッケージング物質内に含有される、シタクスセンタンとその製薬的に受容される塩から選択される化合物を含む製造品であって、該化合物が拡張期心不全の治療に用いられることを表示するラベルを該パッケージング物質が含む製造品。
【請求項29】
該化合物がシタクスセンタン・ナトリウムである、請求項28記載の製造品。
【請求項30】
拡張期心不全の治療用薬剤を製造するためのエンドセリン拮抗薬の使用。
【請求項31】
該エンドセリン拮抗薬がBE−18257B;BQ−123;PD156707;L−754,142;SB209670;SB217242;A−127722;TAK−044;ボセンタン;シタクスセンタンとその製薬的に受容される誘導体である、請求項30記載の使用。
【請求項32】
該エンドセリン拮抗薬がシタクスセンタン又はその製薬的に受容される塩である、請求項30又は31に記載の使用。
【請求項33】
該エンドセリン拮抗薬がシタクスセンタンのアルカリ金属塩である、請求項30〜32のいずれかに記載の使用。
【請求項34】
該エンドセリン拮抗薬がシタクスセンタン・ナトリウムである、請求項30〜33のいずれかに記載の使用。

【公表番号】特表2009−530284(P2009−530284A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500439(P2009−500439)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/006336
【国際公開番号】WO2007/106494
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(508339666)エンサイシブ・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (9)
【Fターム(参考)】