説明

指向性アンテナ

【課題】 反射素子の上部に備えさせる大径の傘部材を上側の支持板における長溝の入口に備えさせた掛合片の内側に掛合させることにより、組立の作業性を向上させると共に、支持板に反射素子の上部を装着した後は、定位置で横移動しないようにする。
【解決手段】 上下一対の平行配置の支持板7、10の間に、放射素子13と、複数本の反射素子17とを備えさせる指向性アンテナにおいて、上の支持板7には外周縁7aが解放の長溝40を備えさせ、その長溝40の入口41には上向掛合片44を備え、反射素子17の上部には傘部材46を備えさせ、上の支持板7の長溝40に傘部材46を、上記掛合片44を乗り越えさせる状態で挿入し、長溝40の上に傘部材46を定置させると共に、下の支持板10の外周縁10aが解放されている長溝50に反射素子17の下部を挿入し、その下部を下の支持板10にボルト56で締付け固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の指向特性を得ることのできる指向性アンテナに関し、詳しくは、
上下一対の平行に配置された支持板の間に、放射素子と、複数本の反射素子とを備えさせ、上記複数本の反射素子の内の任意複数の反射素子については、指向性アンテナの指向特性を変更できるように複数の装着部の位置を選択的に変更できるようにしてある指向性アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の指向性アンテナ、例えば特許文献1に示される指向性アンテナは、その記載に基づけば、次のように構成されている。
「上下一対の平行に配置された第1、第2角度調整板(支持板)14,15を備えると共に、それらの上下一対の角度調整板(支持板)の間には、放射器部10と、該放射器部から所定間隔離隔されて相互に平行状態に配置される複数本の反射器11,12,13とを、各上下端部を、夫々上下の角度調整板(支持板)における各装着部に対して装着した状態で備えさせ、上記複数本の反射器の内の任意複数の反射器12、13については、指向性アンテナの指向特性(図16、17、18)を変更できるように、上下一対の角度調整板(支持板)に夫々設けられている長溝状の屈曲溝14bに対して、横方向へ向けての往復移動を自在に、ボルト11aを用いて、装着してある。」
【0003】
【特許文献1】特開2002−335120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この特許文献1に記載されている指向性アンテナでは、複数の反射器12、13については、指向性アンテナの指向特性(図16、17、18)を変更できるように、上下一対の角度調整板(支持板)14,15に夫々設けられている長溝状の屈曲溝14bに対して、上下の端部を夫々横方向へ向けての往復移動を自在に、ボルト11aを用いて、締め付けるようにしてあるので、
現場において作業者が、角度調整板14,15の長溝状の屈曲溝14bに対して、反射器12、13の上下をボルト11aを用いて、締め付けながら固定する場合、上記長溝状の屈曲溝14bは、それの長溝が横方向に連続しているので、反射器の端部は調整板14,15の面に沿って横移動し、所定位置に留まらず、定位置を外れた位置に固着されることがあり、放射器部10に対して装着した反射器12,13の平行状態が乱れる問題点があった。
【0005】
更に経年後、上記ボルト11aの締め付けが、ほんの僅かに緩んだ場合で、屈曲溝14bは長溝で、横方向に連続しているので、反射器のボルト11aは長溝に沿って横滑りし、所定位置から横移動して、上記指向性アンテナの指向特性(図16、17、18)が変化する問題点がある。
【0006】
更に上記特許文献1に示される指向性アンテナにあっては、反射器は、上下の角度調整板14,15における屈曲溝14b、15bに対して、横方向への進退移動自在にボルト11aで締め付けする構成であるから、工場出荷に際して、上下の角度調整板14,15に対して複数の反射器12、13を装着する場合、上下の角度調整板14,15の間に、反射器を介在させ、その状態を維持しながら「上側の角度調整板14における屈曲溝14bにボルト11aを貫通させて、反射器上端の雌ねじに螺合させる工程」と、「下側の角度調整板15における屈曲溝15bにボルト11aを貫通させて、反射器下端の雌ねじに螺合させる工程」との2つの煩わしい工程を必要とする組付作業上の問題点があった。
【0007】
本件出願の目的は、いくつかの反射素子について、その取付位置を選択できるようにすることによって、要求される複数の指向特性に対応することができるようにした指向性アンテナを提供しようとするものである。
他の目的は、反射素子の上部に大径の傘部材を備えさせ、その傘部材を上側の支持板における長溝の入口に備えさせた掛合片の内側に掛合させることにより、組立の作業性を向上させると共に、一旦、支持板に反射素子の上部を装着した後は、定位置で横移動しないようにした指向性アンテナを提供しようとするものである。
他の目的及び利点は図面及びそれに関連した以下の説明により容易に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明における指向性アンテナは、
上下一対の平行に配置された支持板7、10を備えると共に、それらの上下一対の支持板の間には、放射素子13と、該放射素子から所定間隔離隔されて相互に平行状態に配置される複数本の反射素子17とを、各上下端部14、15、18、19を、夫々上記上下の支持板における各装着部8、11、9、12に対して装着した状態で備えさせ、しかも、上記複数本の反射素子の内の任意複数の反射素子17については、指向性アンテナの指向特性を変更できるように上下一対の支持板に設けられている複数の装着部9、12に対する装着位置を選択的に変更できるようにしてある指向性アンテナにおいて、上側の支持板7における上記選択利用される各反射素子の装着部9の構成は、外周縁7aに向けて解放された入口41を備える長溝40であって、かつ、長溝40の入口41近くの溝縁40aには上方に突出する掛合片44が備えられており、一方、上記の装着位置変更に係わる反射素子17の上部取付部18にあっては、上側の支持板における上面7bの上に対して周囲の張出部材47を位置させるために上記長溝40の溝幅W1よりも大きい外径W2の傘部材46を一体的に備えさせると共に、傘部材46の下側に位置する部材49の外径寸法W3は、上記長溝の溝幅W1に対応する寸法にし、かつ、上記傘部材46の外径寸法W2は、傘部材46の下側に位置する部材49を長溝40の内に位置させた状態で、上記傘部材の外周面46aが、上記掛合片44の内側に接するようにし、下側の支持板10における上記選択利用される各反射素子の装着部12の構成は、外周縁10aに向けて解放された入口51を備える長溝50であって、かつ、長溝50の入口51近くの溝縁50aには上方に突出する係り合片54が備えられており、一方、上記の装着位置変更に係わる反射素子17の下部取付部19にあっては、下側の支持板10における上面10bの上に対して周囲の部材20を位置させるために上記長溝50の溝幅W4よりも大きい寸法W5の外形太部20を形成し、その外形太部20の下面の中央部には雌ねじ孔55を設けて下方からボルト56を着脱自在に螺合させ、さらに、長溝50の溝幅W4よりも大きい上記外形太部20の外周径W5は、上記長溝50の内に上記ボルト軸部56aを位置させた状態で、上記係り合片54の内側に接するような径に形成し、上記の上下一対の支持板7、10に設けられている複数の反射素子17の装着部9、12に対して選択的に、反射素子17を装着するときには、上側の支持板7における長溝40に対して、反射素子上部の傘部材46を、支持板上方に突出する上記掛合片44を乗り越えさせる状態で挿入することと、反射素子下部に備えさせたボルト56を緩めた状態で、下側の支持板10における長溝50に対して、反射素子下部の上記長溝50の溝幅W4よりも大きい外形太部20が上記係り合片54を乗り越える状態で挿入することと、その後下側の支持板10の下側に表れるボルト56を締付けることにより、上記反射素子の上部の傘部材46は上記掛合片44の内側に掛合し、上記反射素子の下部の上記長溝50の溝幅W4よりも大きい外形太部20は上記係り合片54の内側に係合し、夫々定位置で不動状態になるようにしたものである。
【0009】
また好ましくは、上下一対の平行に配置された支持板7、10を備えると共に、それらの上下一対の支持板の間には、放射素子13と、該放射素子から所定間隔離隔されて相互に平行状態に配置される複数本の反射素子17とを、各上下端部14、15、18、19を、夫々上記上下の支持板における各装着部8、11、9、12に対して装着した状態で備えさせ、しかも、上記複数本の反射素子の内の任意複数の反射素子17については、指向性アンテナの指向特性を変更できるように上下一対の支持板に設けられている複数の装着部9、12に対する装着位置を選択的に変更できるようにしてある指向性アンテナにおいて、上側の支持板7における上記選択利用される各反射素子の装着部9の構成は、外周縁7aに向けて解放された入口41を備える長溝40であって、かつ、長溝40の深部42と入口41との間の溝縁40aには上方に突出する掛合片44が備えられており、一方、上記の装着位置変更に係わる反射素子17の上部取付部18にあっては、上側の支持板における上面7bの上に対して周囲の張出部材47を位置させるために上記長溝40の溝幅W1よりも大きい外径W2の傘部材46を一体的に備えさせると共に、傘部材46の下側に位置する第1頸部49の外径寸法W3は、上記長溝の深部における溝幅W1に対応する寸法にし、かつ、上記傘部材46の外径寸法W2は、上記の第1頸部49が長溝40の深部42に位置された状態で、上記傘部材の外周面46aが、上記掛合片44の内側に接するようにし、下側の支持板10における上記選択利用される各反射素子の装着部12の構成は、外周縁10aに向けて解放された入口51を備える長溝50であって、かつ、長溝50の深部52と入口51との間の溝縁50aには上方に突出する係り合片54が備えられており、一方、上記の装着位置変更に係わる反射素子17の下部取付部19にあっては、下側の支持板10における上面10bの上に対して周囲の部材20を位置させるために上記長溝50の溝幅W4よりも大きい寸法W5の外形太部20を形成し、その外形太部20の下面の中央部には雌ねじ孔55を設けて下方からボルト56を着脱自在に螺合させると共に、上記外形太部20の下側に位置させる第2頸部59となる部材の外形寸法W6は、上記長溝50の深部52における溝幅W4に対応する寸法にし、さらに、長溝50の溝幅W4よりも大きい上記外形太部20の外周径W5は、上記長溝の深部52に上記第2頸部となる部材59を位置させた状態で、上記係り合片54の内側に接するような径に形成し、上記の上下一対の支持板7、10に設けられている複数の反射素子17の装着部9、12に対して選択的に、反射素子17を装着するときには、上側の支持板7における長溝40に対して、反射素子上部の傘部材46を、支持板上方に突出する上記掛合片44を乗り越えさせる状態で挿入することと、反射素子下部に備えさせたボルト56を緩めた状態で、下側の支持板10における長溝50に対して、反射素子下部の上記長溝50の溝幅W4よりも大きい外形太部20が上記係り合片54を乗り越える状態で挿入することと、その後下側の支持板10の下側に表れるボルト56を締付けることにより、上記反射素子の上部の傘部材46は上記掛合片44の内側に掛合し、上記反射素子の下部の上記長溝50の溝幅W4よりも大きい外形太部20は上記係り合片54の内側に係合し、夫々定位置で不動状態になるようにしたものであればよい。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明にあっては、複数本の反射素子17の内、いくつかの反射素子17について、その取付位置を変更することができるので、1つの指向性アンテナでもって、要求される複数の指向特性に対応することができる利便性がある。
【0011】
さらに、複数の反射素子17については、指向性アンテナの指向特性を変更できるように上下一対の支持板に設けられている複数の装着部9、12の位置を選択的に変更できるようにしたものであっても、
反射素子17の装着状態は、上部18において、傘部材46の下側にある部材49を長溝40に位置させると共に、傘部材46の外周46aを掛合片44の内側44aに掛合させ、一旦、支持板に反射素子の上部18を装着した後は、定位置で横移動させない特長がある。このことは、他の放射素子13や反射素子17との位置関係に変動をもたらす恐れがなく、設定された指向特性を維持する上に効果がある。
【0012】
さらに、反射素子の下部19の装着状態は、上部18の傘部材46の外周46aが掛合片44の内側44aに掛合した状態で、長溝50の深部52に位置すると共に反射素子下部の外形太部20が係り合片54の内側に係合して、夫々定位置で不動状態になるようにしてあるから、反射素子17の装着作業中において、従来品のように、反射素子が長溝に沿って隣接場所へ横移動する恐れはなく、定位置に留まる特長がある。この点からも指向特性を設計値に維持する上に効果がある。
【0013】
その上、仮に、ボルト56の締め付け状態が少し位緩んだ状態でも、反射素子17の上下の固着状態は、夫々対応する「長溝の深部と、掛合片(係り合片)」の存在により横移動する恐れはなく、定位置に留まり、設定された指向特性を維持する効果がある。
【0014】
さらに本発明にあっては、工場出荷に際して、上下の2つの支持板7、10に対して反射素子17を装着する場合は勿論のこと、現場において上下の支持板7、10に対して反射素子17を装着換えする場合においても、上側の支持板7における長溝40に対して、反射素子上部18の傘部材46を支持板上方に突出する上記掛合片44を乗り越えさせる状態で挿入し、下側にあっては、反射素子下部のボルト56を緩めた状態で、下側の支持板10の長溝50に対して、反射素子下部の第2頸部59となる部材を挿入し、その後一本のボルト頭を締付けるだけの操作で装着を完了することのできる特長があり、反射素子の着脱が手間少なく、迅速に行える作業上の効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
まず図面において、図1は、アンテナ部3と、アンテナ部保持機構4との組付状態における関係を説明するための側面図である。このアンテナ部3は、例えば、2.4GHz無線LAN用セクターアンテナを示す。図2は、アンテナ部3の上部支持板7と、下部支持板10と、その間に配置される放射器13、反射素子17の関係及びアンテナ部保持機構4との組付状況における関係を説明するための斜視図。図3の(A)は上部支持板7の平面図、(B)は下部支持板10の平面図で、放射器装着部8,11と、着脱変更自在の反射素子装着部9、12の具体例が現れている説明用の図。
この図3において、符号A5、A6、A7は、順次、支持板7、10における各C1の点を中心とする反射素子装着部における長溝の中心位置相互間の角度(例えば123°、83°、50°)を示す。
図4の (A)と、(B)と、(C)と、(D)と、(E)と、(F)は、順次、図3(A)の「IVA矢視方向」の図と、図3(A)の「IVB矢視方向」の図と、図3(B)の「IVC矢視方向」の図と、図3(B)の「IVD矢視方向」の図と、掛合片44の異なる例を示す側面図と、係り合片54の異なる例を示す側面図である。
【0016】
図5は、図6(A)のV−V位置における上部支持板7と、下部支持板10と、それらの反射素子装着部9、12に対する反射素子17における反射素子上部取付部18、反射素子下部取付部19との関係を説明するための断面図で、(A)は分解断面図、(B)は組立状態を示す図、(C)は反射素子の下部装着部19における第2頸部59が、図(B)にあってはボルトで構成していたのに対し、反射素子の下部の部材をやや細く形成して第2頸部とした異なる例を示す図。
図6の(A)と、(B)と、(C)と、(D)は、順次、図5(B)のVIA−VIA位置、VIB−VIB位置、VIC−VIC位置、VID−VID位置の断面図を示す。
図7は、上部支持板7と、下部支持板10に対する反射素子17の反射素子上部取付部18と反射素子下部取付部19との装着状態を説明するための動作図。
【0017】
図8は、装着位置変更に係わる反射素子17(17b、17c)の上部取付部18における傘部材46の異なる例を示すもので、(A)(B)(C)は、順次、正面図、平面図、分解斜視図を示す。これらの図は、上部取付部18の上端を平坦に形成し、そこの上の中央部に、太い径(寸法がW2)の頭46(十字孔付き)を備える捻子48aを螺着して傘部材46を構成した例を示す。上部取付部18に対する螺着の度合いは、離脱不能な固着状態でも、回り止めが施されて離脱し難い固着状態であっても良い。
図9は、反射素子17(17b、17c)における上部の傘部材46のさらに異なる例を示すもので、(A)と、(B)と、(C)は、順次、正面図、平面図、分解斜視図を示す。これらの図は、上部取付部18の上端を平坦に形成し、そこの上の中央部に、太い径(寸法がW2)の頭46を備えるかしめ用の軸棒48aをかしめ付けして、傘部材46を構成した例を示す。上部取付部18に対するかしめ付けの度合いは、離脱不能な固着状態でよい。
図10は、上部支持板7における長溝40の形状と、これに対応する反射素子上部取付部18の形状の異なる装着例と、下部支持板10に対する反射素子下部取付部19の異なる装着例を示すもので、(A)と、(B)と、(C)の図は、順次、上部支持板7と反射素子上部取付部18との分解斜視図、長溝40を備える上部支持板7の平面図、長溝40の内側に傘部材46を装着した状態の平面図を示す。これらの図においては、傘部材46は、装着位置変更に係わる反射素子17(17b、17c)の上部取付部18の部材と、1体材で形成した例を示す。また反射素子17及び傘部材46の断面形状は矩形形状にしてある。更に傘部材46の下側に位置させる部材49(第1頸部)の外径も角形に形成して張り出させてある。なお、傘部材46を図(C)の状態にして掛合部44に掛合いした後は、反射素子17は回動をしないことになる。
(D)と、(E)と、(F)との図は、順次、下部支持板10と反射素子下部取付部19との分解斜視図、長溝50を備える下部支持板10の平面図、長溝50の上側に外形太部20を装着した状態の一部破断平面図を示す。これらの図においては、断面形状が矩形形状にしてある反射素子下部取付部19と、同じく断面形状が矩形形状にしてある外形太部20とを一体材で図示のように折り曲げて形成したものである。
なお、外形太部20を図(F)の状態にして係り合部54に係合させた後は、反射素子17は、ボルト56を強く回動させても反射素子17は回動しないことになる。
図(G)と、図(H)は、反射素子下部取付部19における外形太部20の装着方向を、(D)、(E)、(F)に示した場合とは、180度変更した場合の斜視図と一部破断平面図を示す。
【0018】
図11は、上部支持板7における9a、9b、9c、9d、9eに対して要求に対応して任意数量の反射素子を選択的に装着する場合の例を示すもので、(A)と、(B)と、(C)は、順次、上部支持板7に対して、反射素子の上部取付部18b、18c(●の印)を、装着場所を変更しながら装着した例を示す平面概略図で、(A)は要求される水平面半値角度60°の例、(B)は要求される水平面半値角度90°の例、(C)は要求される水平面半値角度120°の例を示す。
図12の(A)と、(B)と、(C)は、図11に示されている反射素子の上部取付部18b、18cの位置(設定値で、図(A)は60°、図(B)は90°、図(C)は120°の位置)における夫々対応する水平面内指向特性(2400MHz)を示すものであり、図(A)は半値角が約62.5°、図(B)は半値角が約89°、図(C)は半値角が約119°と夫々ほぼ設定値が得られている。
なお、図面の説明に当り、前出の図に対する後出の図面の説明において、前出の図と同符号を用いた構成、部材等の機能、性質、特徴、手段等は、以下の説明に於て加える新規な部材の構成、組合せ等の説明に係わる事項を除き、前出の図の同符号の説明と同旨である。よって、前出の図に対する後出の図面の説明においては重複する説明は一部省略する。
【0019】
次に、指向性アンテナ1は、図1、2に表れているようにアンテナ部3と、アンテナ部の保持機構4とを備える。
アンテナ部3においては、上下一対の平行に配置された支持板7、10を備えると共に、それらの上下一対の支持板の間には、放射素子13と、該放射素子から所定間隔離隔されて相互に平行状態に配置される複数本の反射素子17とを、各上下端部14、15、18、19を、夫々上記上下の支持板における各装着部8、11、9、12に対して装着した状態で備えさせてある。
しかも、上記複数本の反射素子の内の任意複数の反射素子17(17b、17c)については、指向性アンテナの指向特性を変更できる(図11,12参照)ように上下一対の支持板に設けられている複数の装着部9、12に対する装着位置(例えば上部の支持板7にあっては9b、9c、9dの装着位置、下部の支持板10にあっては12b、12c、12dの装着位置)を選択的に変更できるようにしてある。
【0020】
上記の点についてさらに詳細に説明する。
7は上部支持板で金属材を用いて板状に構成してある。7aは外周縁、7bは上面を示す。8は放射器装着部を示し、周知のように放射器13の上部14の上端に備えられる連結台14a(図1に表れている)を上部支持板7の下面に固着するための取付ボルト装着用の透孔8aが設けてある。
9(12)は反射素子装着部を示し、これらの装着部において、9a(12a)は、周知のように放射器13に対して所定の間隔を隔てて固定的な位置に配設される反射素子17a(図1、2にも表れている)の装着部を示し、反射素子17aは上下端を周知のようにボルト等の締付具を用いて上下の支持板7,10の所定場所に固着してある。
9b、9c、9d等は、図11、図12に係わる前述の説明からも明らかなように、指向性アンテナの指向特性を複数特定できる(図12参照)ように、上下一対の支持板に設けられている複数の装着部9、12に対する装着位置を選択的に変更できるように外周縁7aにおいて所定の間隔を隔てて配設された反射素子装着部を示す。
9eは、予備的に備えさせた反射素子装着部を示し、図11(A)の場合(例えば水平面半値角度60°の場合)に用いられていた反射素子17の内の1組(符号18c)が、図11(B)の場合(例えば水平面半値角度90°の場合)に変更すると不要になるので、これを指向特性の関わりなく仮に収用保持する為のものであり、無くてもよい。
【0021】
上側の支持板7における上記選択利用される各反射素子の装着部9(9b、9c、9d、9e)の各構成は、図3に表れているように夫々外周縁7aに向けて解放された入口41を備える長溝40を備えている。長溝40の入口41の溝縁40aの一方または両側には図示のように上方に突出する掛合片44が備えられている。これらの掛合片44は図3、4からも明らかなように溝縁40aの金属板片をプレス加工時、上方に向けて折り曲げて形成してある。上記長溝40の深部42は、図5に表れているように反射素子の第1頸部49(図10においては傘部材46の下側に位置する部材49)を存置させるに必要な大きさ空間である。
なお上記深部42の空間の広さは、反射素子の第1頸部49の断面形状に対応させたものであって、反射素子の第1頸部49の断面形状と同じであっても良いし、それよりもやや大きく、両者間に少しの間隙があっても、この深部42に反射素子の第1頸部49を存置させた場合に大きな横移動がなく、横移動があっても指向性アンテナの指向特性に対して実質的に影響がない範囲であれば許容される。このことは、長溝50の深部52の空間の広さと、反射素子の第2頸部59の断面形状との関係についても同様である。
【0022】
10は下部支持板で金属材を用いて板状に構成してある。10aは外周縁、10bは上面を示す。11は支持板に対する放射器装着部を示し、従来品と同様に任意の手段でレドーム13aを連結すればよい。例えば図示のようにすればよい。支持板10の1部を折り上げて形成してある連結片11aに、放射器13の支持部を構成するベース23(一般的には所定の支持強度を備える硬質材で中空管状に形成されている)を固着する。
【0023】
次に、下側の支持板10における上記選択利用される各反射素子の装着部12(12b、12c、12d、12e)の構成は、図3、4、5、6に表れているように、上側の支持板7における場合と同様の考えで、外周縁10aに向けて解放された入口51を備える長溝50を備える。この長溝50の位置は、上側の支持板7における位置と重合的に同様の位置である。更に長溝50の深部52の広さと、この内側に位置させる第2頸部59の断面形状との対応関係は、上記深部42の空間の広さと、第1頸部49の断面形状との対応関係と同じ考えである。
また、更に長溝50の深部52と入口51との間の溝縁50aの一方または両側には、支持板10における溝縁50aを上方に向けて突出状に叩き出して形成した係り合片54が備えられている。
【0024】
次に、放射器13における13aは、通称レドームとも称され、中空の保護パイプ材料としてはFRPを用いて構成されている。中空筒状の保護パイプ内には通信用アンテナ放射素子、例えばコーリニアアンテナ、或はスリーブアンテナと称される要望に対応する通信用アンテナ要素(放射素子)を収めている。15は放射器の下部を示し、周知のように(図1、2からも明らかなように)上記の支持物を構成するベース23に連結してある。
なお、反射素子17(17a、17b、17c)の材料は、周知のように鉄材、アルミニウム材が用いられており、例えばアルミニウム合金A6063、JIS H 4040 の材料を用いて図示のように一材で構成すればよい。
また、選択利用される反射素子17(17b、17c)における18(18b、18c)は反射素子上部取付部、19(19b、19c)は反射素子下部取付部を示す。20は反射素子17の下部を構成する外形太部で、図5(B)(C)に表れているように、下側の支持板10における上面10bの上に対して位置させるために、上記長溝50の溝幅W4よりも大きい寸法W5に形成してある。
【0025】
次に放射器13の支持部の構成にあっては、図1、2に表れているような周知の構成にされている。図において、23は上記した周知の構成による中空管状ベース、23aは上部、23bは下部、24は接栓(例えば同軸ケーブル・同軸管であっても良い)、24aは防水キャップを示す。内部には、接栓24から中空の保護パイプ13aに向けて通信回線、例えば同軸ケーブル・同軸管等が配設されている。
【0026】
次に、図1、2に良く表れているアンテナ部の保持機構4は、アンテナ部3、特に、上下一対の平行に配置された支持板7、10と、支持板の間の放射素子13と、複数本の反射素子17とを安定的に支持できる構成であればよく、この種の指向性アンテナを支持する周知の構成であれば、好みにあう構成のものを用いればよい。
図において、27は大地に連なる周知の支柱、29は支柱に当接させる基板、35は引止ボルト36で基板を引き締める当て板、30は傾動部材で、枢軸31で基板29に連結されており、基板29に植設したボルト32に対して長孔33の範囲内をこれを相対移動することにより傾動自在の連結装置26を構成してある。34はU字金具で元部を傾動部材30に締着してある。
【0027】
次に、装着位置変更に係わる反射素子17(17b、17c)の上部取付部18においては、上部には、図5〜図10に表れているように上側の支持板7における上面7bの上に対して、周囲の張出部材47を位置させるために上記長溝40の溝幅W1よりも大きい外径W2の傘部材46を一体的に備えさせてある。
この傘部材46としては、図5、6、7に表れているように外周面46aが溝幅W1よりも大きい外径となるように大きなワッシャー47を利用している。48はワッシャー47を上記の上部取付部18(第1頸部49)における上面の雌ねじ部に締付状態で固定するためのボルトを示す。なお上部取付部18(第1頸部49)の上面は、図5のように周囲が環状に切除されていても、図8のように平坦であっても良い。またボルト48の締め付け状態は、離脱不能な固着状態であっても、回り止めが施されて離脱し難い固着状態であっても良い。
【0028】
次に、傘部材46の下側に位置する第1頸部49の外径寸法W3は、図6に表れているように上記長溝の深部42における溝幅W1に対応する適当な寸法にし、かつ、上記傘部材46の外径寸法W2は、上記の第1頸部49が図示のように長溝40の深部42に位置した状態で、上記傘部材の外周面46aが、上記掛合片44の内側に接して外周方向に抜け出さないようにしてある。
【0029】
次に、装着位置変更に係わる反射素子17(17b、17c)の各下部取付部19にあっては、下側の支持板10における上面10bの上に対して、図示のように夫々周囲の部材20を位置させるために上記長溝50の溝幅W4よりも大きい寸法W5の外形太部20が形成してある。
更に外形太部20の下面の中央部には雌ねじ孔55を設けて下方からボルト56を着脱自在に螺合させてある。
上記外形太部20の下側に位置させる第2頸部59となる部材は、図5(B)のようにボルトの軸56aを利用する場合でも良いし、図5(C)のように反射素子17の各下部取付部19の下端の周辺を環状に欠如させ、やや細く構成したものであっても良い。このようにやや細くなる部材59の外形寸法W6は、上記長溝50の深部52における溝幅W4に対応する寸法にし、さらに、長溝50の溝幅W4よりも大きい上記外形太部20の外周径W5は、上記長溝の深部52に上記第2頸部となる部材59を位置させた状態で、図示のように上記係り合片54の内側に接するような径に形成してある。
【0030】
上記の上下一対の支持板7、10に設けられている複数の反射素子17の装着部9、12に対して選択的に、反射素子17を装着するときには、図7に表れているように、上側の支持板7における長溝40に対して、反射素子17の上部の傘部材46を、支持板上方に突出する上記掛合片44を乗り越えさせる状態で挿入することと(図7(A)(B)参照)、反射素子下部に備えさせたボルト56を緩めた状態で、下側の支持板10における長溝50に対して、反射素子下部の上記長溝50の溝幅W4よりも大きい外形太部20が上記係り合片54を乗り越える状態で挿入することと(図7(B)(C)参照)、その後下側の支持板10の下側に表れるボルト56を締付けること(図5(B)参照)により、上記反射素子の上部の傘部材46は上記掛合片44の内側44aに掛合し、上記反射素子の下部の上記長溝50の溝幅W4よりも大きい外形太部20は上記係り合片54の内側に係合し、夫々図5(B)、図11からも明らかなように定位置で不動状態になるようにしてある。
斯かる装着状態においては、長溝の深部縁42a に対して傘部材46の下側に位置する部材49が当接してあっても良いし、僅かに離れていても良い。
なお図3に表れる掛合片44と係り合片54とは、夫々長溝の一方の側に設置してあればストッパーの役割を果たすことができる。また、掛合片44と係り合片54の入口41、51の側の形状は、図4(E)、(F)に表れているように、面取りして斜面にすることにより傘部材46を挿入しやすいようにしてあっても良い。
【実施例】
【0031】
次に、一対の平行に配置された支持板7、10についての寸法は任意でよいが、あえて例示すれば次の通り。図3の台形をした支持板7、10における底辺、上辺、高さの寸法は、順次、164mm、64.5mm,83.3mm。支持板の板厚は2mm、W1(上の溝幅)は8.5mm、W2(傘部材の外径)は14mm、W3(上の頸部の外径)は8mm、W4(下の溝幅)は4.2mm、W5(反射素子の外径)8mm、W6(頸部の外径)は3.6mmにしてみた。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】アンテナ部と、アンテナ部保持機構の関係を示す側面図。
【図2】アンテナ部と、アンテナ部保持機構の関係を示す斜視図。
【図3】(A)は上部支持板の平面図。(B)は下部支持板の平面図。
【図4】(A)と、(B)と、(C)と、(D)と、(E)と、(F)は、順次、図3(A)の「IVA矢視方向」の図と、図3(A)の「IVB矢視方向」の図と、図3(B)の「IVC矢視方向」の図と、図3(B)の「IVD矢視方向」の図と、掛合片の異なる例を示す側面図と、係り合片の異なる例を示す側面図である。
【図5】上部支持板と下部支持板と反射素子との関係を示す断面図で、(A)は分解断面図、(B)は組立状態を示す図、(C)は反射素子の下部装着部における異なる例を示す図。
【図6】(A)と、(B)と、(C)と、(D)は、順次、図5(B)のVIA−VIA位置、VIB−VIB位置、VIC−VIC位置、VID−VID位置の断面図を示す。
【図7】上部支持板と、下部支持板に対する反射素子の装着状態を説明するための動作図。
【図8】反射素子における上部の異なる例を示すもので、(A)と、(B)と、(C)は、順次、正面図、平面図、分解斜視図を示す。
【図9】反射素子における上部のさらに異なる例を示すもので、(A)と、(B)と、(C)は、順次、正面図、平面図、分解斜視図を示す。
【図10】上部支持板に対する反射素子の異なる装着例と、下部支持板に対する反射素子の異なる装着例を示すもので、 (A)と、(B)と、(C)と、(D)と、(E)と、(F)と、(G)と、(H)は、順次、斜視図、平面図、平面図、斜視図、平面図、一部破断平面図、斜視図、一部破断平面図を示す。
【図11】(A)と、(B)と、(C)は、順次、上部支持板に対する反射素子の装着場所の変更例を示す平面概略図。
【図12】(A)と、(B)と、(C)は、順次、上部支持板に対する反射素子の装着場所を変更した場合の水平面内指向特性の変化を示す図。
【符号の説明】
【0033】
1・・・指向性アンテナ、3・・・アンテナ部、4・・・アンテナ部の保持機構、7・・・上部支持板、7a・・・外周縁、7b・・・上面、8・・・放射器装着部、9・・・反射素子装着部、10・・・下部支持板、10a・・・外周縁、10b・・・上面、11・・・放射器装着部、11a・・・連結片、12・・・放射器装着部、13・・・放射器(放射素子)、13a・・・レドーム、14・・・放射器の上部、14a・・・連結台、15・・・放射器の下部、17・・・反射素子(反射器)、18・・・反射素子上部取付部、19・・・反射素子下部取付部、20・・・外形太部、23・・・ベース(中空管状)、23a・・・上部、23b・・・下部、24・・・接栓(同軸ケーブル・同軸管)、24a・・・キャップ、26・・・連結装置(傾動自在の構成)、27・・・支柱、29・・・基板、30・・・傾動部材、31・・・枢軸、32・・・固定ボルト、33・・・長溝、34・・・U字金具、35・・・当板、36・・・引止ボルト、40・・・長溝、40a・・・溝縁、41・・・入口、42・・・深部、42a ・・・深部縁、44・・・掛合片、46・・・傘部材、46a・・・外周面、47・・・ワッシャー・張出部材、48・・・ボルト、49・・第1頸部・傘部材の下側に位置する部材、50・・・長溝、50a・・・溝縁、51・・・入口、52・・・深部、54・・・係り合片、55・・・雌ねじ、56・・・ボルト、59・・・第2頸部、A1・・・矢印(上方)、A2・・・放射方向、W1・・・溝幅、W2・・・傘部材の外径、W3・・・頸部の外径、W4・・・溝幅、W5・・・反射素子の外径、W6・・・第2頸部の外径。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下一対の平行に配置された支持板(7、10)を備えると共に、
それらの上下一対の支持板の間には、
放射素子(13)と、該放射素子から所定間隔離隔されて相互に平行状態に配置される複数本の反射素子(17)とを、各上下端部(14、15、18、19)を、夫々上記上下の支持板における各装着部(8、11、9、12)に対して装着した状態で備えさせ、
しかも、上記複数本の反射素子の内の任意複数の反射素子(17)については、指向性アンテナの指向特性を変更できるように上下一対の支持板に設けられている複数の装着部(9、12)に対する装着位置を選択的に変更できるようにしてある指向性アンテナにおいて、
上側の支持板(7)における上記選択利用される各反射素子の装着部(9)の構成は、
外周縁(7a)に向けて解放された入口(41)を備える長溝(40)であって、かつ、長溝(40)の入口(41)近くの溝縁(40a)には上方に突出する掛合片(44)が備えられており、一方、
上記の装着位置変更に係わる反射素子(17)の上部取付部(18)にあっては、上側の支持板における上面(7b)の上に対して周囲の張出部材(47)を位置させるために上記長溝(40)の溝幅(W1)よりも大きい外径(W2)の傘部材(46)を一体的に備えさせると共に、傘部材(46)の下側に位置する部材(49)の外径寸法(W3)は、上記長溝の溝幅(W1)に対応する寸法にし、かつ、上記傘部材(46)の外径寸法(W2)は、傘部材(46)の下側に位置する部材(49)を長溝(40)の内に位置させた状態で、上記傘部材の外周面(46a)が、上記掛合片(44)の内側に接するようにし、
下側の支持板(10)における上記選択利用される各反射素子の装着部(12)の構成は、
外周縁(10a)に向けて解放された入口(51)を備える長溝(50)であって、かつ、長溝(50)の入口(51)近くの溝縁(50a)には上方に突出する係り合片(54)が備えられており、一方、
上記の装着位置変更に係わる反射素子(17)の下部取付部(19)にあっては、下側の支持板(10)における上面(10b)の上に対して、周囲の部材(20)を位置させるために上記長溝(50)の溝幅(W4)よりも大きい寸法(W5)の外形太部(20)を形成し、その外形太部(20)の下面の中央部には雌ねじ孔(55)を設けて下方からボルト(56)を着脱自在に螺合させ、さらに、長溝(50)の溝幅(W4)よりも大きい上記外形太部(20)の外周径(W5)は、上記長溝(50)の内に上記ボルト軸部(56a)を位置させた状態で、上記係り合片(54)の内側に接するような径に形成し、
上記の上下一対の支持板(7、10)に設けられている複数の反射素子(17)の装着部(9、12)に対して選択的に、反射素子(17)を装着するときには、
上側の支持板(7)における長溝(40)に対して、反射素子上部の傘部材(46)を、支持板上方に突出する上記掛合片(44)を乗り越えさせる状態で挿入することと、
反射素子下部に備えさせたボルト(56)を緩めた状態で、下側の支持板(10)における長溝(50)に対して、反射素子下部の上記長溝(50)の溝幅(W4)よりも大きい外形太部(20)が上記係り合片(54)を乗り越える状態で挿入することと、
その後下側の支持板(10)の下側に表れるボルト(56)を締付けることにより、
上記反射素子の上部の傘部材(46)は上記掛合片(44)の内側に掛合し、
上記反射素子の下部の上記長溝(50)の溝幅(W4)よりも大きい外形太部(20)は上記係り合片(54)の内側に係合し、
夫々定位置で不動状態になるようにしてあることを特徴とする指向性アンテナ。
【請求項2】
上下一対の平行に配置された支持板(7、10)を備えると共に、
それらの上下一対の支持板の間には、
放射素子(13)と、該放射素子から所定間隔離隔されて相互に平行状態に配置される複数本の反射素子(17)とを、各上下端部(14、15、18、19)を、夫々上記上下の支持板における各装着部(8、11、9、12)に対して装着した状態で備えさせ、
しかも、上記複数本の反射素子の内の任意複数の反射素子(17)については、指向性アンテナの指向特性を変更できるように上下一対の支持板に設けられている複数の装着部(9、12)に対する装着位置を選択的に変更できるようにしてある指向性アンテナにおいて、
上側の支持板(7)における上記選択利用される各反射素子の装着部(9)の構成は、
外周縁(7a)に向けて解放された入口(41)を備える長溝(40)であって、かつ、長溝(40)の深部(42)と入口(41)との間の溝縁(40a)には上方に突出する掛合片(44)が備えられており、一方、
上記の装着位置変更に係わる反射素子(17)の上部取付部(18)にあっては、上側の支持板における上面(7b)の上に対して周囲の張出部材(47)を位置させるために上記長溝(40)の溝幅(W1)よりも大きい外径(W2)の傘部材(46)を一体的に備えさせると共に、傘部材(46)の下側に位置する第1頸部(49)の外径寸法(W3)は、上記長溝の深部における溝幅(W1)に対応する寸法にし、かつ、上記傘部材(46)の外径寸法(W2)は、上記の第1頸部(49)が長溝(40)の深部(42)に位置された状態で、上記傘部材の外周面(46a)が、上記掛合片(44)の内側に接するようにし、
下側の支持板(10)における上記選択利用される各反射素子の装着部(12)の構成は、
外周縁(10a)に向けて解放された入口(51)を備える長溝(50)であって、かつ、長溝(50)の深部(52)と入口(51)との間の溝縁(50a)には上方に突出する係り合片(54)が備えられており、一方、
上記の装着位置変更に係わる反射素子(17)の下部取付部(19)にあっては、下側の支持板(10)における上面(10b)の上に対して、周囲の部材(20)を位置させるために上記長溝(50)の溝幅(W4)よりも大きい寸法(W5)の外形太部(20)を形成し、その外形太部(20)の下面の中央部には雌ねじ孔(55)を設けて下方からボルト(56)を着脱自在に螺合させると共に、上記外形太部(20)の下側に位置させる第2頸部(59)となる部材の外形寸法(W6)は、上記長溝(50)の深部(52)における溝幅(W4)に対応する寸法にし、さらに、長溝(50)の溝幅(W4)よりも大きい上記外形太部(20)の外周径(W5)は、上記長溝の深部(52)に上記第2頸部となる部材(59)を位置させた状態で、上記係り合片(54)の内側に接するような径に形成し、
上記の上下一対の支持板(7、10)に設けられている複数の反射素子(17)の装着部(9、12)に対して選択的に、反射素子(17)を装着するときには、
上側の支持板(7)における長溝(40)に対して、反射素子上部の傘部材(46)を、支持板上方に突出する上記掛合片(44)を乗り越えさせる状態で挿入することと、
反射素子下部に備えさせたボルト(56)を緩めた状態で、下側の支持板(10)における長溝(50)に対して、反射素子下部の上記長溝(50)の溝幅(W4)よりも大きい外形太部(20)が上記係り合片(54)を乗り越える状態で挿入することと、
その後下側の支持板(10)の下側に表れるボルト(56)を締付けることにより、
上記反射素子の上部の傘部材(46)は上記掛合片(44)の内側に掛合し、
上記反射素子の下部の上記長溝(50)の溝幅(W4)よりも大きい外形太部(20)は上記係り合片(54)の内側に係合し、
夫々定位置で不動状態になるようにしてあることを特徴とする指向性アンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−74281(P2010−74281A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−236828(P2008−236828)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【出願人】(390040187)株式会社バッファロー (378)
【出願人】(000113665)マスプロ電工株式会社 (395)
【Fターム(参考)】